JP2003306497A - 巨大分子結晶の製造方法及びそれに用いる製造装置 - Google Patents

巨大分子結晶の製造方法及びそれに用いる製造装置

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JP2003306497A JP2003033718A JP2003033718A JP2003306497A JP 2003306497 A JP2003306497 A JP 2003306497A JP 2003033718 A JP2003033718 A JP 2003033718A JP 2003033718 A JP2003033718 A JP 2003033718A JP 2003306497 A JP2003306497 A JP 2003306497A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便に、再現性良く、汎用的に、巨大分子結
晶又は低分子結晶を製造できる新規な方法及びその方法
に用いる製造装置を提供すること。 【解決手段】 巨大分子の溶液に光を照射することによ
り、巨大分子結晶の核形成及び/又は結晶成長をさせる
工程を含むことを特徴とする巨大分子結晶の製造方法。
ここで、巨大分子には、タンパク質、ポリペプチド、糖
タンパク質、及び核酸が含まれる。照射する光は巨大分
子の電子遷移を起こさせる波長範囲の光を含むことが好
ましい。巨大分子の代わりに低分子を用いることもでき
る。本発明の製造装置は、巨大分子結晶又は低分子結晶
の核形成及び/又は結晶成長をさせるための光照射部を
有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は巨大分子の結晶化方
法、この方法を用いて調製された巨大分子結晶、及び巨
大分子結晶の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】タンパク質等の巨大分子を結晶化させる
には、バッチ法、透析法、液相間拡散法、気液相関拡散
法等の方法が用いられている(日本生化学会編、新生化
学実験講座1「タンパク質I−分離・精製・性質−」、
1990年、東京化学同人発行、高野常弘氏執筆、第1
4章「結晶化」参照)。例えば、バッチ法によれば、タ
ンパク質溶液に硫酸アンモニウム等の沈殿剤を結晶化濃
度まで直接加える。一般には、巨大分子溶液の入った容
器に沈殿剤を加え巨大分子が過飽和となるように制御
し、巨大分子の結晶を作成していた。このバッチ法で
は、高濃度の巨大分子試料を大量に必要とすること、操
作に熟練を要し再現性が低いこと、結晶化条件のスクリ
ーニングが困難であること、等の欠点がある。また、従
来の上記結晶化方法は、特定の巨大分子に比較的特異な
結晶化条件を要し、汎用的な条件がないという欠点を有
している。
【0003】特開平6−116098にはタンパク質結
晶の核形成に適した温度条件に設定したタンパク質溶液
に可視域と思われるレーザー光を照射し、このレーザー
光の散乱状況を解析することによりタンパク質結晶の核
形成の開始を検出し、核形成の開始を検出した時点でタ
ンパク質溶液を結晶成長に適した温度条件に制御するよ
うにした技術が開示されている。この例にあるように、
巨大分子溶液から結晶を得る過程で溶液に光を作用させ
る従来の例は、光が巨大分子あるいは発生した結晶の検
出を行うのみであり、結晶の核形成ないしは結晶成長に
光照射は何らの積極的な作用をもたらしてはいなかっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】発明が解決しようとす
る課題は、従来の結晶化方法に見られる欠点を解消し
て、簡便に、再現性良く、汎用的に、巨大分子結晶を製
造できる新規な方法及びその方法に用いる製造装置を提
供することである。本発明が解決しようとするは、結晶
化が難しい低分子の結晶を簡便に製造できる新規な方法
及びその方法に用いる製造装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、以下の解
決手段により達成された。 1)巨大分子の溶液に光を照射することにより、巨大分
子結晶の核形成及び/又は結晶成長をさせる工程を含む
ことを特徴とする巨大分子結晶の製造方法、 2)巨大分子がタンパク質、ポリペプチド、糖タンパク
質、及び核酸よりなる群から選ばれた1)に記載の巨大
分子結晶の製造方法、 3)照射する光が巨大分子の電子遷移を起こさせる波長
範囲の光を含む1)又は2)記載の巨大分子結晶の製造
方法、 4)巨大分子の溶液が各生成及び/又は結晶成長を促進
する沈殿剤又はpH調節剤を含有する1)ないし3)い
ずれか1つに記載の巨大分子結晶の製造方法、 5)水銀灯、キセノンランプ、レーザー光源又はエキシ
マーレーザー光源を用いて光を照射する1)ないし4)
いずれか1つに記載の巨大分子結晶の製造方法、 6)1)ないし5)いずれか1つに記載の巨大分子結晶
の製造方法により得られた巨大分子結晶、 7)1)、3)、4)又は5)において、巨大分子の代
わりに、低分子を使用することを特徴とする低分子結晶
の製造方法、 8)巨大分子結晶又は低分子結晶の核形成及び/又は結
晶成長をさせるための光照射部を有することを特徴とす
る巨大分子結晶の製造装置。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において、「巨大分子」と
は、分子量が1万以上の典型的な高分子以外に分子量が
約千以上1万未満のオリゴマー領域の分子をいう。本発
明において、「低分子」とは、分子量が約千未満である
分子をいい、好ましくは、分子量が300以上1,00
0未満の分子をいう。本発明の方法は、種々の巨大分子
の結晶化に適用することができるが、特にポリペプチ
ド、タンパク質、および核酸例えばDNA、ならびにそ
れらの誘導体の結晶化に適している。ここで、誘導体に
は糖タンパク質、DNAコンジュゲート等が含まれる。
【0007】以下、本発明の製造方法及び製造装置を巨
大分子について説明するが、「低分子」についても説明
は共通である。本発明において、「核形成」とは、巨大
分子の溶液中から巨大分子の結晶が出現する初期の段階
をいい、形成される核を「結晶核」ともいう。結晶核
は、安定に存在しうる巨大分子の規則的凝集体であっ
て、結晶成長を引き起こすことのできる巨大分子の集合
体である。「結晶成長」とは、上記の結晶核の表面に溶
質分子である巨大分子が取り込まれて、結晶が大きくな
ることをいう。本発明の巨大分子結晶の製造方法は、結
晶核の形成段階のみに使用しても良く、また予め別の方
法で形成された核を成長させる結晶成長の段階にのみ使
用しても良く、核形成とそれに続く結晶成長の両段階を
連続して、又は、途中で中断して逐次的に、実施しても
良い。
【0008】巨大分子の溶液は、必須成分として、巨大
分子とこれを溶解する溶媒とを含む。溶媒は、巨大分子
に応じて選択でき、水、有機溶媒、又は、水及び水と混
合する有機溶媒(水性有機溶媒)との混合物であること
ができる。
【0009】本発明の巨大分子結晶の製造方法におい
て、巨大分子の溶液中における濃度は、光照射する条件
下における飽和濃度の80%以上であることが好まし
く、90%以上であることがより好ましく、飽和濃度で
あるか過飽和であることが特に好ましい。核形成及び/
又は結晶成長に伴い、溶液濃度を上記の範囲内に維持す
ることが好ましい。この溶液濃度を維持するためには、
溶質の補充、温度の低下、沈殿剤の追加等の少なくとも
1つを実施することが好ましい。
【0010】本発明において、結晶化に供する巨大分子
は、その純度および均質性が高い方が容易に結晶を作製
することができる。このために本発明による結晶製造に
先立って、結晶化させる巨大分子に適当な精製を行うこ
とが好ましい。ポリペプチドとしては、大腸菌、酵母ま
たは動物細胞における発現によって得た後、慣用方法で
単離されたポリペプチド、または合成ポリペプチドを挙
げることができる。結晶化前の精製を、アフィニティー
クロマトグラフィー、慣用のクロマトグラフィー、rp
HPLC、FPLC等によって行なうことが好ましい。
核酸は、慣用の単離法により得た後、精製により純度を
高めた後に結晶化させることが好ましい。タンパク質は
慣用の方法により純度を高め、等電点電気泳動法あるい
は光散乱法等により純度を確認した後結晶化させること
が好ましい。
【0011】巨大分子結晶の核形成あるいは結晶成長を
起こさせるために用いられる光としは、巨大分子を電子
的に励起させる波長を含む単色光又は連続光を使用する
ことが好ましい。電子遷移を起こさせる波長とは、分子
吸光係数が10以上である波長をいい、多くの巨大分子
に対しては、一般的に可視光(波長390ないし700
nm)あるいは紫外光(波長390未満)である。本発
明に使用できる紫外光には、波長180ないし300n
mのdeep UV、波長300ないし350のmid
UV、及び波長350ないし390nmのnear
UVが含まれる。溶質が一般的なタンパク質の場合に
は、180ないし320nmの紫外線が好ましく使用で
きる。
【0012】巨大分子の結晶化のために用いることので
きる光は、タングステンランプ、水銀灯、キセノンラン
プなどの定常点灯光源の他に、固体レーザー、気体レー
ザー、半導体レーザー、エキシマーレーザーなどのレー
ザー光源を使用することもできる。パルスキセノン光
源、マイクロ波励起ランプ、KrF(249nm)、A
rF(193nm)、XeCl(308nm)、KrC
l(222nm)及びF (157nm)等のエキシマ
ーレーザーによれば、効率よくパルス状に紫外光を発生
することができる。照射する光の強度は、適宜選択でき
るが、通常は、数μWないし数100Wの範囲にある強
度の光を用いることができる。光照射は、定常光でも良
く、パルス光でも良い。必要に応じて、照射強度、1パ
ルス当たりのエネルギー、パルス間隔等を変化させるこ
ともできる。
【0013】本発明の核形成/結晶化方法において、光
を照射する巨大分子の溶液には、結晶化を促進する沈殿
剤、pH調節剤、その他タンパク質の結晶化に使用され
る添加剤を加えることができる。核形成/結晶化に使用
する溶液の最適条件は、結晶化させる巨大分子ごとに、
pH、沈殿剤の種類と濃度、温度ならびにその他の因子
を選択する。結晶化させる巨大分子に対する至適条件
(溶質濃度、溶媒組成、温度、沈殿剤の種類と濃度、及
びこれらの時間変化を含む。)は実験室的定常作業の一
部であり、当該分野に従事する技術者により容易に決定
できる。
【0014】結晶化に用いることのできる沈殿剤として
塩類、有機溶媒、水溶性高分子等を用いることができ
る。塩類としては、硫酸アンモニウムが最もよく用いら
れているが、塩化ナトリウム、リン酸塩、クエン酸ナト
リウム、硫酸塩、硝酸塩などを用いることができる。有
機溶媒も水溶性のものは沈殿剤として用いることができ
る。例えば、2−メチル−2,4−ペンタジオール(M
PD)やエタノール、プロパノールジオキサンなどを用
いることができる。高分子量の沈殿剤としてはポリエチ
レングリコールを用いることができ、平均分子量として
2000から8000のものを用いることができる。結
晶化の方法として、ハンギングドロップ蒸気拡散法、シ
ッティングドロップ蒸気拡散法、ミクロ透析法、自由界
面拡散法、静置バッチ法を用いることができる。その他
の結晶化を促進する条件は、前掲の日本生化学会編、新
生化学実験講座1「タンパク質I−分離・精製・性質
−」、高野常弘氏執筆、第14章「結晶化」、及びA.
McPherson著、”Preparation a
nd Analysis of Protein Cr
ystals”(John Wiley & Son,
Inc.)に記載されている。
【0015】本発明において、結晶核生成及び/又は結
晶成長の時間は、0.5時間ないし数ヶ月の範囲から任
意選択できる。
【0016】本発明で得られる巨大分子結晶の結晶形
は、従来の沈殿剤によるバッチ法により得られる結晶の
結晶形と異なる場合がある。実施例に示すように、光照
射により正方晶のリゾチーム結晶を得ることができる。
又、本発明において使用する光源を変えことにより、そ
の照射される光の分光エネルギー分布、パルス光・定常
光の相違等に基づき、生成する結晶の形を変化させるこ
ともできる。本発明によれば、X線結晶解析に適した大
型の結晶を得ることができる。
【0017】本発明により結晶化された巨大分子は、X
線結晶構造解析のための試料に供されるばかりでなく、
一般に保存安定性が極めて高いので、予防用または治療
用剤形として医薬組成物に使用することが可能であり、
巨大分子が結晶型であることにより特に有利な投与が可
能になる。結晶は、例えば経口、皮下、皮内、腹腔内、
静脈内、筋肉内等の投与に適当である。本発明はしたが
って、同様に、活性物質として本発明により結晶化され
た巨大分子の薬理学的有効量および、必要に応じて1種
または2種以上の慣用の医薬的に許容される担体からな
る医薬組成物を包含する。
【0018】本発明によって結晶化された巨大分子は、
原理的に、多くの巨大分子について知られているのと同
じ方法で、医薬製剤中に、例えば薬理学的に有効な巨大
分子0.001μg/kg〜100mg/kg体重の1
日用量を投与するためのデポ製剤として使用することが
できる。したがって、広範囲の様々な巨大分子が本発明
によって結晶化された形態で、例えば治療剤デポ製剤、
抗原デポ製剤、DNAデポ製剤または糖デポ製剤として
使用できる。結晶中に含有される結晶化補助剤はしか
も、アジュバント(ワクチン接種において)として使用
される。
【0019】本発明に用いる巨大分子結晶の製造装置
は、光源、光を巨大分子が含まれる溶液まで導くための
光学系、巨大分子を含む溶液セル、セルの温度を制御す
るための温度コントローラー、および結晶を観察するた
めの拡大鏡より構成することができる。巨大分子の電子
遷移が紫外光で起こる場合は、光源から照射試料まで光
を導く光路に用いられる、レンズ、ミラー等の光学部品
が紫外線を効率よく透過あるいは反射するものを用いる
ことが好ましい。上記の光学系には、適宜、反射鏡、集
光レンズ、光フィルター、赤外線遮断フィルター、光フ
ァイバー、非線形光学素子等の光学部材を使用すること
ができる。本発明の結晶製造装置における溶液セルの容
量は適宜選択できる。1ml以下から数100lの範囲
に及ぶ。溶液である巨大分子の溶解量も数mgから数K
g又はこれ以上に及ぶことができる。
【0020】本発明の結晶化装置において温度コントロ
ーラーは、巨大分子を含む溶液セルの内部温度を、一定
温度に保っても良く、必要な温度変化をさせるプログラ
ム回路を備えていても良い。また、必要に応じて、巨大
分子溶液中における結晶核の生成、沈殿剤濃度、pH等
を検出し、またこれらを制御するための装置、回路、プ
ログラムを具備していても良い。結晶条件の検出及び制
御のためには、複数の結晶条件検出用セルを1チップ化
した装置とすることが好ましい。このような検出チップ
は、特開2001−213699号公報に記載されたよ
うに、半導体装置の一般的な製造プロセスにより製造す
ることができる。本発明の結晶製造装置に、特開平6−
116098に記載されたような、結晶核の生成又は結
晶成長には寄与しないが、結晶核の生成状況を検出する
ための巨大分子が吸収しない長波のレーザー光を使用す
ることもできる。
【0021】本発明の作用機構は未だ解明されていな
い。一つの可能性としては、巨大分子の溶液中において
巨大分子を取り囲む溶媒(水溶液の場合には水和水とな
る)が光照射により離脱しやすくなるために、巨大分子
の核形成及び結晶成長が促進されるという機構が考えら
れる。ただし、この機構の当否は、本発明の特許性又は
有効性に何ら影響を及ぼすものではない。
【0022】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらの実施例により限定されるものではない。 (実施例1)リゾチーム60mg/mlおよび塩化ナト
リウム25mg/mlを含み、酢酸ナトリウム緩衝溶液
でpH4.3に保たれた溶液Aを調整した。以下の実施
例は全て室温約20℃で行った。溶液Aを一滴スライド
グラスに滴下し、光学顕微鏡上のステージに設置した。
ネオジウムYAGレーザーの第4高調波266nm、パ
ルス幅30ns、1パルス当たり2mJのレーザー光を
10Hzで20分間スライドグラス上のリゾチーム溶液
に照射したところ溶液が白濁した。レーザー光照射後の
溶液には、数十μmの大きさの正方晶のリゾチーム結晶
が析出していることが確認できた。結晶の析出が光によ
る作用であるか否か確認するために、溶液Aを一滴スラ
イドグラスに滴下し、レーザー光を当てずに20分間放
置し、溶液の変化を観察した。採取した溶液中にははじ
め斜方晶の結晶が散見されたが、20分間放置した後で
もレーザー光を照射したときに観察された正方晶の結晶
の析出は観察されなかった。また、最初に存在していた
斜方晶の結晶の形も変化していなかった。以上の結果か
ら、レーザー光照射により、リゾチーム結晶が、均一な
溶液から析出することが明らかとなった。 (実施例2)レーザー光源の代わりにキセノンランプを
用いる他は実施例1と同様にして実験を行った。キセノ
ンランプはUSHIO UXL-500D 500Wランプを定常点灯
で用いた。実施例1で調整した溶液Aをスライドグラス
上に一滴滴下した。キセノンランプ光を30分間照射し
た。光照射前には均一な溶液であったが、キセノンラン
プ照射後に、結晶の析出が確認できた。このことから、
レーザー光でなくても、紫外線を含む光照射によりリゾ
チーム結晶が析出したことが確認された。 (実施例3)スペルミン、MPD、塩化マグネシウム、
カコジル酸ナトリウム緩衝溶液、及び合成DNAオリゴ
マーdCGCGAATTCGCGを含む水溶液に、実施
例1と同様にレーザー光を照射したところ、結晶の析出
が見られる。 (実施例4)細胞性R Nase Hの1種である、大
腸菌R Nase HIを含む水溶液を実施例1と同様
に調製して、実施例1と同様にレーザー光照射を行った
ところ、結晶の析出が見られる。 (実施例5)リゾチーム結晶を、ハンギングドロップ法
により作成した。結晶作成用の母液をガラスプレート上
に5マイクロリットル滴下し、塩化ナトリウム溶液5マ
イクロリットルと混合した。液滴の塩化ナトリウム濃度
は1.0,2.0,2.5又は3.0%とした。母液に
対しキセノンランプ光を15秒あるいは30秒間照射し
た。その後ガラスプレートを裏返しリザーバー液の入っ
たウェルにグリースを用い密閉した。7日後に観察され
た液滴中には、リゾチーム結晶が観察された。光照射を
行わない液滴では結晶の出現が見られないが、光照射を
行った2.0%濃度の液滴中には結晶が出現した。この
ことから結晶の出現が不利な条件であっても結晶を出現
させることができることが判明した。また、光照射を行
い出現した結晶のX線結晶構造解析を行ったところ、通
常の方法で作成したものと同じ構造を示した。図3に、
光照射時間と結晶数の関係を示した。 (実施例6)タンパク質としてソーマチン(Thaumati
n)を用い、ハンギングドロップ法で結晶を作成した。
タンパク質濃度は20mg/ml、沈殿剤として酒石酸
ナトリウムカリウム0.75Mを用いた。光照射はキセ
ノンランプ光を5分間照射した。7日後観察したとこ
ろ、光照射を行った液滴中により多くの結晶が存在し
た。この事実から光照射はソーマチン結晶核の形成を促
進したものと考えられる。 (実施例7)タンパク質としてグルコースイソメラーゼ
を用い、ハンギングドロップ法で結晶を作成した。市販
のグルコースイソメラーゼ懸濁液を8倍に希釈し均一な
溶液とした。光照射はキセノンランプ光を5分間照射し
た。4日後観察したところ、光照射を行った液滴中によ
り数多く結晶が出現した。 (実施例8)インドメタシン(分子量358)のエタノ
ール−水(1:1)飽和溶液に、308nmレーザー光
を照射すると、針状結晶の析出が見られた。レーザー光
を照射しない場合には結晶の析出は認められなかった。
【0023】
【発明の効果】本発明によると、タンパク質等の巨大分
子の結晶を、簡便にまた再現性良く製造することができ
る。製薬工業や食品工業において、巨大分子電解質を含
む巨大分子を精製するために用いることができる。本発
明は、酵素、及び膜タンパクを含むタンパク質、ペプチ
ド、ポリペプチド、核酸及びこれらの誘導体を精製ない
し結晶化するために用いることができる。本発明はまた
分子量が300〜1,000である低分子の結晶化にも
使用できる。
【配列表】 <110> Tetsuo Okutsu <110> Kouji Hiratsuka <120> Method for manufacturing crystals of macromolecules and apparatus for using same <160> 1 <210> 1 <211> 13 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 1 dcgcgaattcgcg
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の結晶製造装置の一実施態様を
示す概念図である。
【符号の説明】
1:パルスレーザー光源 2:光ファイバー 3:巨大分子溶液 4:光学顕微鏡 5:温度制御装置
【図2】図2は、本発明により得られたタンパク質結晶
の一例についてその結晶構造を示す光学顕微鏡写真であ
る。 (A):レーザー光照射後のリゾチーム溶液に認められ
た結晶 (B):キセノンランプ照射後のリゾチーム溶液に認め
られた結晶
【図3】タンパク質としてソーマチンを用いて、ハンギ
ングドロップ法で結晶を作成する場合の光照射時間と結
晶数の関係を示した図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成15年4月22日(2003.4.2
2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の結晶製造装置の一実施態様を
示す概念図である。
【図2】図2は、本発明により得られたタンパク質結晶
の一例についてその結晶構造を示す光学顕微鏡写真であ
る。 (A):レーザー光照射後のリゾチーム溶液に認められ
た結晶 (B):キセノンランプ照射後のリゾチーム溶液に認め
られた結晶
【図3】タンパク質としてソーマチンを用いて、ハンギ
ングドロップ法で結晶を作成する場合の光照射時間と結
晶数の関係を示した図である。
【符号の説明】 1:パルスレーザー光源 2:光ファイバー 3:巨大分子溶液 4:光学顕微鏡 5:温度制御装置
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/92 C12N 9/92 Fターム(参考) 4B050 FF17 4C204 AB14 CB03 DB03 DB21 EB03 FB21 GB25 4G077 AA02 AA08 BF05 CB04 EJ04 HA20 4H045 AA20 GA40

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巨大分子の溶液に光を照射することによ
    り、巨大分子結晶の核形成及び/又は結晶成長をさせる
    工程を含むことを特徴とする巨大分子結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 巨大分子がタンパク質、ポリペプチド、
    糖タンパク質、及び核酸よりなる群から選ばれた請求項
    1記載の巨大分子結晶の製造方法。
  3. 【請求項3】 照射する光が巨大分子の電子遷移を起こ
    させる波長範囲の光を含む請求項1又は2記載の巨大分
    子結晶の製造方法。
  4. 【請求項4】 巨大分子の溶液が核生成及び/又は結晶
    成長を促進する沈殿剤又はpH調節剤を含有する請求項
    1ないし3いずれか1つに記載の巨大分子結晶の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 水銀灯、キセノンランプ、レーザー光源
    又はエキシマーレーザー光源を用いて光を照射する請求
    項1ないし4いずれか1つに記載の巨大分子結晶の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5いずれか1つに記載の
    巨大分子結晶の製造方法により得られた巨大分子結晶。
  7. 【請求項7】 請求項1、3、4又は5において、巨大
    分子の代わりに、低分子を使用することを特徴とする低
    分子結晶の製造方法。
  8. 【請求項8】 巨大分子結晶又は低分子結晶の核形成及
    び/又は結晶成長をさせるための光照射部を有すること
    を特徴とする巨大分子結晶の製造装置。
JP2003033718A 2002-02-12 2003-02-12 巨大分子結晶の製造方法及びそれに用いる製造装置 Expired - Lifetime JP4139888B2 (ja)

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