JP2003305340A - 触媒剤充填層装置 - Google Patents

触媒剤充填層装置

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JP2003305340A
JP2003305340A JP2002111795A JP2002111795A JP2003305340A JP 2003305340 A JP2003305340 A JP 2003305340A JP 2002111795 A JP2002111795 A JP 2002111795A JP 2002111795 A JP2002111795 A JP 2002111795A JP 2003305340 A JP2003305340 A JP 2003305340A
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exhaust gas
packed bed
adsorbent
catalyst
catalyst agent
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JP2002111795A
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English (en)
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Keizo Hamaguchi
敬三 浜口
Hiroshi Yamaguchi
宏 山口
Hisao Nara
久夫 奈良
Toshiaki Tsuji
俊昭 辻
Atsushi Hirayama
敦 平山
Toshihiko Iwasaki
敏彦 岩崎
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JFE Engineering Corp
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JFE Engineering Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 負荷変動の大きい排ガスにも好適に実施する
ことができ、簡便な手段でダイオキシン類を高い水準で
除去できる信頼性の高い触媒剤充填層装置を提供する。 【解決手段】 除塵後の排ガスに含まれるダイオキシン
類で代表される有機ハロゲン化合物を除去するための充
填装置であって、有機ハロゲン化合物を主に触媒作用に
より分解する粒状の触媒剤と、有機ハロゲン化合物を主
に吸着作用により吸着除去する熱伝導率が1W/m℃以
上の粒状の吸着剤とを充填層2内に共存させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイオキシンで代
表される有機ハロゲン化合物を含む排ガスを無害化処理
するための触媒剤充填層装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】都市ごみ、産業廃棄物等の可燃性廃棄物
の焼却、ガス化、溶融の各種工程から排出される排ガ
ス、スクラップ溶解やアルミ精錬等の各種金属精錬過程
で排出される排ガス、さらには各種製造工場、化学工
場、発電設備等で排出される排ガスには、ばいじん、H
ClやSOx等の酸性成分、窒素酸化物、水銀等の重金
属、ダイオキシン類およびその前駆物質等の有機ハロゲ
ン化合物など、さまざまな有害物質が含まれている。こ
れらの有害成分は、例えば、HCl等の酸性成分および
ばいじんは200℃以下の反応バグフィルタによって処
理され、窒素酸化物は炉内の燃焼改善または無触媒脱
硝、脱硝塔により処理される。また、水銀等の重金属
は、活性炭吹込法により前記バグフィルタにより処理さ
れる。
【0003】さて、ダイオキシンで代表される有機ハロ
ゲン化合物は、上記の活性炭吹込または脱硝を兼ねた脱
硝触媒により、概ね除去できるため一般に広く採用され
ている。しかしながら、近年のダイオキシンの排出規制
の強化により、高い水準の処理が求められ、バグフィル
タや脱硝塔の後段に、活性炭充填塔を追設するケースが
見られるようになった。この活性炭充填塔(吸着剤充填
層装置)は、充填物として、吸着剤である活性炭のみを
装置に充填して充填層を形成し、この充填層に排ガスを
接触させることにより、排ガス中の有機ハロゲン化合物
を吸着除去していた。一方、ダイオキシン等の有機ハロ
ゲン化合物を除去する目的ではないが、従来より、活性
炭粒や脱硝触媒を充填した吸着剤移動床により、除塵お
よび脱硫、脱硝を行うケースがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
活性炭吸着塔(吸着剤充填層装置)は、上述のように吸
着剤である活性炭のみで充填層を形成していたので、排
ガスとの長期にわたる接触過程において、前記充填層内
の一部の吸着剤は、完全には避けられない層内のガス流
れの偏り等により、吸着破過あるいは平衡吸着(飽和吸
着)に達しているものがあった。このような場合でも所
定の交換時期が到達するまで吸着剤を交換しなくとも、
吸着破過に達していないその他の吸着剤の吸着作用で、
ある程度のダイオキシン類(有機ハロゲン化合物)の吸
着除去は達成されていたが、ダイオキシン類の排出規制
が強化されつつある現状では、必ずしも十分な除去水準
を達成できるとは言えないおそれがあった。これを回避
するためは、例えば固定層方式から移動層方式に切り替
える、吸着剤の交換頻度を増加させることが考えられる
が、前者の方法は、移動層方式とすることにより設備費
が増大することと、運転管理が煩雑になる不利益を生
じ、後者の方法は、吸着剤の消費量を大幅に増大しなけ
ればならない不利益を生じてしまうことになる。
【0005】また、排ガスには、ダイオキシン類ととも
に微量に共存する高分子系の炭化水素やその他の微量成
分が含まれているので、ダイオキシンを十分吸着した吸
着剤(前記の吸着破過に到達した吸着剤)は、これらの
共存する微量成分により置換吸着が発生し、ダイオキシ
ン類がガス側に揮散して結果としてダイオキシンを大気
環境に放出してしまうおそれがさらに生じてしまう。こ
れを回避するためには、例えば吸着剤充填層装置の前段
にさらに充填層装置を余分に設置して、上記微量成分を
除去する方式が考えられるが、この場合、設備費が甚大
となる不利益や、必ずしも上記微量成分を完全に除去で
きずに後段の充填層装置に流出してしまうおそれがあっ
た。
【0006】さらに、充填層装置として、粒状の触媒剤
のみを充填する方式も考えられるが、触媒剤のみで構成
すると、触媒剤は一般に貴金属を含むため、高価である
ことと、前述したとおり排ガスに含まれる微量の共存成
分の被毒作用により、長期の運転で触媒剤が劣化・被毒
し、十分に高い水準の除去が長期にわたって得られない
という問題がある。
【0007】またさらに、吸着剤充填層装置は、活性炭
を吸着剤として採用する場合に、層内で高温域が不所望
に形成されることがあり、活性炭による発火の危険性を
生じていたため、例えば処理ガス温度を150℃または
これ以下と低温処理に限定されることが多かった。した
がって、排ガス処理プロセスの都合等により、相対的に
高温で処理することが望まれている施設では、従来の吸
着剤充填層装置では発火の危険性を回避できないため、
事前に排ガス冷却を実施しなければならなず、設備費が
甚大となってしまう問題があった。
【0008】また、ダイオキシン等の有機ハロゲン化合
物を含有する排ガスとして、大型施設の都市ごみ焼却排
ガスを除いた、例えば、産業廃棄物焼却排ガス、廃棄物
溶融炉排ガス、電気炉排ガス、スクラップ予熱炉排ガ
ス、アルミ精錬炉排ガス、焼結炉排ガスなどは、排ガス
発生源の焼却・加熱・溶融過程での負荷が一定でないこ
とが多く、結果として上記排ガスの負荷変動が大きいも
のとなり、例えば、メタン換算したハイドロカーボン濃
度が20ppm以上となったり、排ガス流量の変動幅が
基準値に対して±20%以上となることや、排ガス温度
を一定に制御することが困難である場合が多かった。
【0009】このように排ガスの負荷変動が大きいと、
上記の微量成分による置換吸着の他に、吸着剤を通過す
る排ガス速度および圧力に急激な変動を生じ、吸着剤内
部に到達していないごく外表面に弱い吸着力により付着
しているダイオキシン類を揮散(脱離)させてしまうお
それや、変動による排ガス温度の一時的な上昇により、
ダイオキシン類の分子運動エネルギーが増大されて、吸
着されつつあるダイオキシン類あるいは既吸着のダイオ
キシン類を揮散(脱離)させてしまうおそれを生じてし
まう。すなわち、上述した負荷変動の大きな排ガスを、
従来の吸着剤充填層装置を用いて該排ガスに含まれるダ
イオキシン類を除去しようとすると、共存する微量成分
による置換吸着や、負荷変動による揮散脱離が頻繁に発
生することが多いので、吸着剤を取り替えたばかりの初
期においても、十分なダイオキシン類の除去率が得られ
ないおそれがあった。
【0010】本発明は、上述の負荷変動の大きい排ガス
の処理にも好適に実施することができ、簡便な手段でダ
イオキシン類を高い水準で除去できる信頼性の高い触媒
剤充填層装置を提供することを目的としたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】(1)本発明に係る触媒
着剤充填装置は、除塵後の排ガスに含まれるダイオキシ
ン類で代表される有機ハロゲン化合物を除去するための
充填層装置であって、前記有機ハロゲン化合物を主に触
媒作用により分解する粒状の触媒剤と、前記有機ハロゲ
ン化合物を主に吸着作用により吸着除去する熱伝導率が
1W/m℃以上の粒状の炭素質の吸着剤とを充填層内に
共存させたものである。
【0012】(2)また、本発明に係る触媒剤充填層装
置は、除塵後の排ガスに含まれる有機ハロゲン化合物を
除去するための充填層装置であって、充填層を通気性を
有する仕切板により直列に複数層に仕切り、該仕切られ
た複数層が、充填物のひとつを熱伝導率が1W/m℃以
上の炭素質の吸着剤とした吸着剤層と、充填物のひとつ
を触媒剤とした触媒剤層とからなり、排ガス導入側から
この順に交互に配設したものである。
【0013】(3)上記(1)又は(2)の充填層を通
過する排ガス温度を200℃以上とした。
【0014】(4)上記(1)〜(3)のいのずれかの
触媒剤充填層装置は、メタン換算した際のハイドロカー
ボン濃度が平均的に20ppm以上の排ガス、排ガス流
量の変動幅が基準値に対して±20%以上の排ガス、産
業廃棄物焼却排ガス、廃棄物溶融炉排ガス、電気炉排ガ
ス、スクラップ予熱炉排ガス、アルミ精錬炉排ガス、焼
結炉排ガスから選ばれた排ガスを処理対象とする。
【0015】
【発明の実施の形態】図5は本発明を実施する排ガス処
理フローの代表例を示すブロック図である。図におい
て、21は排ガス発生源で、都市ごみ、汚泥、産業廃棄
物、焼却残査、汚染土壌などを処理する廃棄物焼却炉、
廃棄物溶融炉、廃薬物ガス化炉をはじめ、スクラップ溶
解炉、電炉、転炉、高炉、アルミ溶解炉などの各種金属
精錬炉、各種発電ボイラ、各種化学薬品製造炉、その
他、200℃以上の排ガスを発生する装置を示す。22
は排ガス発生装置21の下流側に設置した熱回収装置
で、高温排ガスの熱回収を行う蒸気式ボイラ、節炭器、
その他の熱回収手段または冷却手段を指すが、省略され
る場合もある。23は熱回収装置22の下流側に設置し
た排ガス減温塔で、例えばスプレーノズルによる水噴霧
式の排ガス冷却がなされる。24は排ガス減温塔23の
下流側に設置した集塵装置としてのバグフィルタ装置
で、同装置以外に、電気集塵機、慣性力集塵機、湿式集
塵機等、各種の集塵装置が用いられる。25はバグフィ
ルタ装置24の下流側に設置された本発明に係る触媒剤
充填層装置である。
【0016】次にこれらの構成装置からなる排ガス処理
フローを図5を参照して説明する。排ガス発生源21か
ら排出される800℃以上の排ガスは、熱回収装置22
で熱回収され、例えば250℃の温度となる。続いて排
ガス減温塔23により、バグフィルタ装置24に適した
温度、例えば、200℃以下の180℃の温度まで排ガ
スは冷却されたあと、バグフィルタ装置24に導入され
る。バグフィルタ装置24の上流側の煙道には、中和剤
である消石灰Ca(OH)2が空気搬送により排ガスに
噴霧され、バグフィルタ装置24内のろ過集塵過程で、
排ガス中のばいじんおよびHCl、SOxといった酸性
成分が除去される。このろ過集塵過程で、排ガスに含ま
れるダイオキシンで代表される有機ハロゲン化合物もあ
る程度除去される。
【0017】バグフィルタ装置24を経て実質的にばい
じん(ダスト、飛灰)と酸性成分が除去された排ガス
は、本発明に係る触媒剤充填層装置25に導入される。
この排ガスにはバグフィルタ装置24で除去しきれなか
ったダイオキシン等の有機ハロゲン化合物が含まれてい
るが、触媒剤充填層装置25を経ることにより、排ガス
中に含まれる有機ハロゲン化合物が確実に除去される。
触媒剤充填層装置25を経た排ガスは煙突を介して大気
放散される。
【0018】[実施の形態1]図1は本発明の実施の形
態1に係る触媒剤充填層装置の説明図である。図1にお
いて、1は触媒剤充填層装置(本体)、2は本体1内に
配設された触媒剤と吸着剤の混合層である充填層、6は
排ガス導入ダクト、7は排ガス排出ダクトである。な
お、触媒剤充填層装置1は、断面角形で縦型の固定層と
して例示した。
【0019】上記図5で説明したとおり、実質的にばい
じんと酸性成分が除去され、ダイオキシンで代表される
有機ハロゲン化合物を含有する排ガスは、排ガス導入ダ
クト6を介して触媒剤充填層装置1(本体)に導入され
る。触媒剤充填層装置1内の充填層2は、排ガスに含ま
れるダイオキシン類で代表される有機ハロゲン化合物を
主に触媒作用により分解する粒状の触媒剤と、前記有機
ハロゲン化合物を主に吸着作用により吸着除去する粒状
で熱伝導率が1W/m℃以上である炭素質吸着剤との混
合物として構成される。充填層2の上面、下面は通気性
を有する板で構成され、排ガスが通過できるよう構成さ
れている。
【0020】排ガス導入ダクト6から導入された排ガス
は、触媒剤と吸着剤の混合物で構成される充填層2に導
入され、充填層2と排ガスとの接触過程で、排ガスに含
まれるダイオキシン類等の有機ハロゲン化合物は充填層
2内の吸着剤に吸着されるとともに、共存する触媒剤に
より確実に分解されて、除去される。充填層2を経た清
浄な排ガスは排ガス排出ダクト7を経て系外に排出され
る。この例では触媒剤充填層装置1を縦型の固定層とし
たが、横型の固定層とすることもできる。また、装置は
やや煩雑となるが充填剤を一定時間ごとに補充する移動
層とすることもでき、同等の効果が得られる。
【0021】このように、本実施の形態においては、触
媒剤と熱伝導率が1W/m℃以上の炭素質の吸着剤を充
填層2内に共存させて充填層2を構成したので、吸着剤
の発火を確実に回避しながら吸着剤により有機ハロゲン
化合物を吸着除去できる作用と、触媒剤により有機ハロ
ゲン化合物を分解除去できる作用とが同時に得られ、以
ってより高い水準の除去を達成できる。さらに詳しく説
明すると、次の作用が得られる。 吸着剤の一部は、長期にわたる排ガスとの接触過程
で、吸着破過あるいは平衡吸着(飽和吸着)に達してい
るものがあり、部分的に吸着剤の初期活性が低下してい
るため、ダイオキシン等の有機ハロゲン化合物の除去を
高い水準で維持することが困難な場合があったが、吸着
剤を触媒剤と共存させることにより、一部の吸着剤に吸
着されないでいるダイオキシン等をひとつの充填層内で
触媒の分解作用により分解し、より確実にダイオキシン
を除去できる。
【0022】被処理排ガスには、ダイオキシン類とと
もに微量に共存する高分子系の炭化水素やその他の微量
成分が含まれているので、ダイオキシンを十分吸着した
吸着剤(前記の吸着破過に到達した吸着剤)は、これら
の共存する微量成分により置換吸着が発生し、ダイオキ
シン類がガス側に揮散してしまうことがあったが、吸着
剤を触媒剤と共存させることにより、不所望に揮散した
ダイオキシン類をひとつの充填層2内で触媒の分解作用
により分解し、より確実にダイオキシンを除去できる。
【0023】被処理排ガスは、その負荷変動が大きい
ものが多く、このため吸着剤を通過する排ガス速度およ
び圧力に急激な変動を生じ、吸着剤内部に到達していな
いごく外表面に弱い吸着力により付着しているダイオキ
シン類を揮散(脱離)させてしまうことや、変動による
排ガス温度の一時的な上昇により、ダイオキシン類の分
子運動エネルギーが増大されて、吸着されつつあるダイ
オキシン類あるいは既吸着のダイオキシン類を揮散(脱
離)させてしまうことがあったが、吸着剤を触媒剤と共
存させることにより、不所望に揮散したダイオキシン類
をひとつの充填層2内で触媒の分解作用により分解し、
より確実にダイオキシンを除去できる。
【0024】吸着剤として、広く採用される炭素質の
活性炭を用いると、ガス流れの偏りや排ガス負荷変動に
より、充填層2内で高温域(ヒートスポット)が形成さ
れるとともに、活性炭に少なからず含まれる可燃性揮発
成分が充填層2内に部分的に蓄積するので、活性炭単身
の発火温度よりも十分低い処理温度で活性炭が発火して
しまうおそれがあるが、1W/m℃以上の高熱伝導率を
有する炭素質の吸着剤を用いたので、粒状の吸着剤が排
ガス等から得られる熱量(熱流束)が吸着剤内で長くと
どまることがなく、充填層2内で高温域が発生すること
をより安全に回避することができ、発火のおそれをごく
低くすることができる。言い換えると、発火のおそれを
抑えながら、触媒活性の低下しないより高温での排ガス
処理を可能にできる。
【0025】また、高熱伝導率を有する炭素質の吸着剤
を充填層2内で混合物として均一に分散させて混合させ
るので、上述のとおり、不所望に置換作用や脱離作用で
揮散したダイオキシン類は、共存する触媒剤にごく短時
間内で接触できるので、気体状のダイオキシン類が不所
望に他の成分と反応して塩素化が進行するなどのおそれ
を未然に回避することができ、より確実にダイオキシン
を除去することができる。ここで、例えば、触媒剤を充
填した充填装置の下流側に別装置として、吸着剤のみを
充填した充填装置を設置させると、触媒によるダイオキ
シン分解除去が達成できるが、排ガスにはすでに述べた
ように各種の微量成分が共存するので、触媒被毒成分が
微量でも存在する場合は、吸着剤により事前またはほぼ
同時にこの被毒成分を吸着除去できないため、長期にわ
たる操業過程で触媒性能が劣化し、比較的早期に分解性
能が得られなくなるおそれがあるので好ましくない。
【0026】さらに、吸着剤のみを充填した充填装置の
後続には処理手段がないので、すでに述べた〜に係
る吸着剤からの揮散のおそれのあるダイオキシン類を分
解することができず、確実で高度なダイオキシン類除去
が必ずしも達成できないので好ましくない。また、別装
置とすることにより、触媒剤充填装置と吸着剤充填装置
との間にはある程度の排ガス滞留時間を生じ、この間
に、ダイオキシン類が他の成分と反応して塩素化が進行
するおそれやダイオキシン類の再合成を引き起こすおそ
れもあるため、好ましくない。また、別装置にすること
により、当然ながら、設備費が甚大となって好ましくな
い。このように、吸着剤と触媒剤を各々分離して別の装
置とすると、上述のとおり各種不具合を生じるが、ひと
つの充填層内に触媒剤と吸着剤を共存させることによ
り、このような不具合を回避することができる。
【0027】また、排ガスを除塵してから、触媒剤充填
層装置1に排ガスを導入するので、ダスト(ばいじん、
飛灰)が充填層2内の吸着剤に蓄積して通気抵抗を増大
させてしまうことを回避できる利点と、吸着剤を再利用
する際の篩い分け等のダスト分離手段による煩わしい操
作を回避できる利点と、ダストに含まれる金属成分や前
駆物質がダイオキシンの再合成を引き起こしてしまうお
それを回避できる利点とが得られるので、上記の各作用
をより確実に得ることができる。
【0028】触媒剤充填層装置1に充填する触媒剤は、
チタン、バナジウム、アルミニウムから選ばれる酸化物
に、タングステン、白金、モリブデンから選ばれる貴金
属を担持したもので粒状のものが用いられるが、成分お
よび担持方法は、特に限定されるものでなく、脱硝用に
用いられる触媒を用いても同等の効果が得られる。ま
た、発火の危険をより低くできる1W/m℃以上の高熱
伝導率を有する吸着剤を用いて、触媒剤との混合物とす
るので、炭素質の吸着剤の充填密度を下げることとな
り、充填層2内での高温域の発生および発火の危険性を
より確実に回避できる。すなわち、比較的高温の触媒剤
に適した温度まで処理ガス温度を上昇できる。触媒剤と
共存させる際の炭素質吸着剤の混合割合は、50%(重
量)以上を採用でき、相対的に高価な触媒の含有量を少
なくでき、以て設備費を低廉とすることができる。但
し、この値に限定されるものではなく、任意の混合割合
を設定できる。
【0029】触媒剤充填層装置1に充填し触媒剤と共存
させる炭素質吸着剤は、1W/m℃以上の熱伝導率を有
すればよく、製法として例えば、活性炭製造時に、グラ
ファイト粉末を従来の炭素原料に混入して焼成する方法
や、熱伝導性向上剤として、アルミナ粉末をバインダと
ともに従来の活性炭と混合して焼成、成形する方法など
が挙げられるが、1W/m℃以上の熱伝導率が得られる
炭素質の吸着剤であればよく、上記に限定されるもので
はない。さらに望ましくは2W/m℃以上であるが、炭
素質の比表面積が十分得られる範囲で、高い熱伝導率が
得られることが望ましい。また、必要に応じてアルカリ
処理等の表面処理を施したものも採用できる。
【0030】触媒剤充填層装置1を導入する排ガス温
度、すなわち、触媒剤充填層装置1の処理温度は、ダイ
オキシンの再合成を発生しないという点において、20
0℃以下が望ましい。さらにダイオキシンの再合成をよ
り安全に回避するとともに、ごく微量に含まれる成分等
の酸露点を回避することを考慮すれば、130〜180
℃とすることが望ましい。しかしながら、特定施設にお
いては、排ガス処理プロセス等の都合で、必ずしも上記
の200℃以下で排ガス処理できない場合が存在し、例
えば、集塵温度が200℃またはこれ以下であっても、
脱硝処理のため、排ガスを200℃以上に昇温したり、
白煙防止設備により200℃以上に昇温する場合や、小
型施設など熱回収が十分できない施設で200℃以上で
排ガスを処理しなければならない場合などが存在し、こ
のようなケースにおいて、炭素質吸着剤の充填層装置を
用いると、温度が高いために上述の発火の危険性が著し
く高くなり、このため、従来の充填層装置を採用するこ
とができないという問題があった。
【0031】本発明は、1W/m℃以上の高熱伝導率を
有する炭素質の吸着剤を用いるので、発火の危険性を回
避でき、上記の200℃以上の排ガス処理にも適用でき
る利点が得られる。言い換えると、200℃以上の排ガ
スであっても、炭素質吸着剤の発火のおそれを回避でき
るとともに、高温であることにより触媒剤のより高い活
性が得られるので、ダイオキシンの再合成が一部なされ
る温度域であっても、触媒が十分活性されているため、
ダイオキシン類を十分に分解除去できる作用が得られ、
以てダイオキシン類の排出濃度を低減することができ
る。すなわち、吸着剤の発火とダイオキシンの再合成が
懸念される200℃以上の排ガスの処理においても好適
に本発明を採用することができる。なお、排ガス処理温
度の上限値は、熱伝導率や活性炭に含まれる可燃性揮発
成分量にも影響されるので限定するものではないが、1
W/m℃程度の熱伝導率を有し、比較的揮発分が少ない
炭素質吸着剤の場合は、250℃を安全な上限値とする
ことができる。
【0032】[実施の形態2]図2は本発明の実施の形
態2に係る触媒剤充填層装置の説明図である。なお、図
1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略す
る。図において、11は吸着剤層、12は触媒剤層で、
仕切板3を介して本体1内に配設され、充填層2を構成
する。
【0033】図5で説明したとおり、実質的にばいじん
と酸性成分が除去され、ダイオキシンで代表される有機
ハロゲン化合物を含有する排ガスは、排ガス導入ダクト
6を介して触媒剤充填層装置1(本体)に導入される。
触媒剤充填層装置1内の充填層2は、通気性を有するパ
ンチングメタル態様の仕切板3により、上下の2層に分
割されており、上面および下面は仕切板3と同等に通気
性を有する板で構成されている。排ガスに含まれるダイ
オキシン類で代表される有機ハロゲン化合物を主に吸着
作用により吸着除去する粒状で熱伝導率が1W/m℃以
上の炭素質の吸着剤が充填された吸着剤層11は排ガス
導入部側に配置され、有機ハロゲン化合物を主に触媒作
用により分解する粒状の触媒剤が充填された触媒剤層1
2が吸着剤層11に仕切板3を介して隣接して配置され
る。
【0034】導入された排ガスは、まず吸着剤層11内
の主に吸着剤と接触してダイオキシンおよび触媒被毒成
分等の共存成分が吸着除去され、続いて触媒剤層12内
の主に触媒と接触して吸着剤層11から排出または揮散
のおそれのあるごく微量のダイオキシンが分解除去され
る。触媒剤層12を経た清浄ガスは排ガス排出ダクト7
を経て系外に放出される(作用・効果の詳細は実施の形
態3で説明する)。
【0035】[実施の形態3]図3は本発明の実施の形
態3に係る触媒剤充填層装置の説明図である。なお、実
施の形態2と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明
を省略する。本実施の形態は、触媒剤充填層装置1を横
型の移動層として示したもので、4は吸着剤供給バル
ブ、5は吸着剤排出バルブ、10は吸着剤貯槽である。
【0036】本実施の形態においては、図5で説明した
とおり、実質的にばいじんと酸性成分が除去され、ダイ
オキシンで代表される有機ハロゲン化合物を含有する排
ガスは、排ガス導入ダクト6を介して触媒剤充填層装置
1(本体)に導入される。触媒剤充填層装置1内の充填
層2は、通気性を有するパンチングメタル態様の仕切板
3により、左右の2層に分割されており、両側面は仕切
板3と同等に通気性を有する板で構成されている。もち
ろん、両側面は多段ルーバを設置してもよい。排ガス導
入部側に吸着剤層11、排出側に触媒剤層12を隣接し
て配置している。導入された排ガスは、実施の形態2の
場合と同様に、まず、吸着剤層11内の主に高熱伝導率
を有する炭素質の吸着剤と接触してダイオキシンおよび
触媒被毒成分等の共存成分が吸着除去され、続いて触媒
剤層12内の主に触媒と接触して吸着剤層11から排出
または揮散のおそれのあるごく微量のダイオキシンが分
解除去される。触媒剤層12を経た清浄ガスは排ガス排
出ダクト7を経て系外に放出される。
【0037】吸着剤層11は、移動層とし、未使用また
は再生処理後の吸着剤が吸着剤貯槽10から一定時間ご
とに吸着剤供給バルブ4を介して吸着剤が供給され、一
定時間ごとに吸着剤排出バルブ5を介して使用済み吸着
剤が排出される。一方、触媒剤層12は固定層としてい
る。吸着剤層11を移動層としたので、吸着剤が不所望
に吸着破過に到達してしまうのを回避できる。触媒剤層
12を移動層としてもよいが、吸着剤層11を移動層と
したので、触媒はより長時間活性を得ることができ、長
期にわたり交換する必要がない。
【0038】上記のような実施の形態2又は3に係る触
媒剤充填層装置1を実施することにより、以下のような
作用、効果を得ることができる。充填層2を複数層とし
て、例えば、排ガス導入側から、1W/m℃以上の熱伝
導率を有する炭素質の吸着剤からなる吸着剤層11、触
媒剤からなる触媒剤層12と2層にしたので、ダイオキ
シン等の有機ハロゲン化合物を含む排ガスは、吸着剤の
発火を確実に回避しながら、まず、吸着剤層11との接
触過程によりダイオキシン等が吸着除去されるととも
に、触媒被毒となる微量成分が排ガスに含まれている場
合も確実にこの被毒成分を吸着除去できるので、後続の
触媒剤を長寿命化できる利点が得られる。同時に、長期
にわたる通ガス過程や負荷変動の大きい排ガスとの接触
過程等から誘発されて、不所望に吸着剤層11から揮散
するおそれのあるダイオキシン類を、後続する触媒剤層
12により速やかに分解除去できるので、より確実にダ
イオキシン類を除去できる。
【0039】実施の形態2又は3によれば、実施の形態
1の場合と同様に次のような作用、効果が得られる。 吸着剤の一部は、長期にわたる排ガスとの接触過程
で、吸着破過あるいは平衡吸着(飽和吸着)に達してい
るものがあり、部分的に吸着剤の初期活性が低下してい
るため、ダイオキシン等の有機ハロゲン化合物の除去を
高い水準で維持することが困難な場合があったが、触媒
剤層12を吸着剤層11の後続に隣接させることによ
り、一部の吸着剤に吸着されないでいるダイオキシン等
をひとつの充填装置内で触媒の分解作用により分解し、
より確実にダイオキシンを除去できる。
【0040】被処理排ガスには、ダイオキシン類とと
もに微量に共存する高分子系の炭化水素やその他の微量
成分が含まれているので、ダイオキシンを十分吸着した
吸着剤(前記の吸着破過に到達した吸着剤)は、これら
の共存する微量成分により置換吸着が発生し、ダイオキ
シン類がガス側に揮散してしまうことがあったが、触媒
剤層12を吸着剤層11の後続に隣接させることによ
り、不所望に揮散したダイオキシン類をひとつの充填装
置内で触媒の分解作用により分解し、より確実にダイオ
キシンを除去できる。
【0041】被処理排ガスは、その負荷変動が大きい
ものが多く、このため吸着剤を通過する排ガス速度およ
び圧力に急激な変動を生じ、吸着剤内部に到達していな
いごく外表面に弱い吸着力により付着しているダイオキ
シン類を揮散(脱離)させてしまうことや、変動による
排ガス温度の一時的な上昇により、ダイオキシン類の分
子運動エネルギーが増大されて、吸着されつつあるダイ
オキシン類あるいは既吸着のダイオキシン類を揮散(脱
離)させてしまうことがあったが、触媒層12を吸着剤
層11の後続に隣接させることにより、不所望に揮散し
たダイオキシン類をひとつの充填装置内で触媒の分解作
用により分解し、より確実にダイオキシンを除去でき
る。
【0042】吸着剤として、広く採用される炭素質の
活性炭を用いると、ガス流れの偏りや排ガス負荷変動に
より、充填層2内で高温域(ヒートスポット)が形成さ
れるとともに、活性炭に少なからず含まれる可燃性揮発
成分が充填層2内に部分的に蓄積するので、活性炭単身
の発火温度よりも十分低い処理温度にて活性炭が発火し
てしまう危険性を生じていたが、1W/m℃以上の高熱
伝導率を有する炭素質の吸着剤を用いたので、粒状の吸
着剤が排ガス等から得られる熱量(熱流束)が吸着剤内
で長くとどまることがなく、充填層2内で高温域が発生
することをより安全に回避することができ、発火の危険
性をごく低くすることができる。言い換えると、発火の
おそれを抑えながら、触媒活性の低下しないより高温で
の排ガス処理を可能にできる。
【0043】また、触媒剤層12を、高熱伝導率を有す
る炭素質の吸着剤層11の後に配置させたので、上述の
とおり、不所望に置換作用や脱離作用で揮散したダイオ
キシン類は、隣接する触媒剤層12にごく短時間内で接
触できるため、気体状のダイオキシン類が不所望に他の
成分と反応して塩素化が進行するなどのおそれを未然に
回避することができ、より確実にダイオキシンを除去で
きる。
【0044】また、排ガスを除塵してから、触媒剤充填
層装置1に排ガスを導入するので、ダスト(ばいじん、
飛灰)が充填層2内の吸着剤に蓄積して通気抵抗を増大
させてしまうことを回避できる利点と、吸着剤を再利用
する際の篩い分け等のダスト分離手段による煩わしい操
作を回避できる利点と、ダストに含まれる金属成分や前
駆物質がダイオキシンの再合成を引き起こしてしまうの
を回避できる利点とが得られるので、上記の各作用をよ
り確実に得ることができる。
【0045】触媒剤充填層装置1に充填する触媒剤は、
チタン、パナジウム、アルミニウムから選ばれる酸化物
に、タングステン、白金、モリブデンから選ばれる貴金
属を担持したもので粒状のものが用いられるが、成分お
よび担持方法は、特に限定されるものでなく、脱硝用に
用いられる触媒を用いても同等の効果が得られる。
【0046】触媒剤充填層装置1の吸着剤層11に充填
する吸着剤は、1W/m℃以上の熱伝導率を有すればよ
く、製法として例えば、活性炭製造時に、グラファイト
粉末を従来の炭素原料に混入して焼成する方法や、熱伝
導性向上剤として、アルミナ粉末をバインダとともに従
来の活性炭と混合して焼成、成形する方法などが挙げら
れるが、1W/m℃以上の熱伝導率が得られる炭素質の
吸着剤であればよく、上記に限定されるものではない。
さらに望ましくは2W/m℃以上であるが、炭素質の比
表面積が十分得られる範囲で、高い熱伝導率が得られる
ことが望ましい。また、必要に応じてアルカリ処理等の
表面処理を施したものも採用できる。
【0047】触媒剤充填層装置1に導入する排ガス温
度、すなわち、触媒剤充填層装置1の処理温度は、ダイ
オキシンの再合成を発生しないという点において、20
0℃以下が望ましい。さらにダイオキシンの再合成をよ
り安全に回避するとともに、ごく微量に含まれる成分等
の酸露点を回避することを考慮すれば、130〜180
℃とすることが望ましい。しかしながら、特定施設にお
いては、排ガス処理プロセス等の都合で、必ずしも上記
の200℃以下にて排ガス処理できない場合が存在し、
例えば、集塵温度が200℃またはこれ以下であって
も、脱硝処理のため、排ガスを200℃以上に昇温した
り、白煙防止設備により200℃以上に昇温する場合
や、小型施設など熱回収が十分できない施設で200℃
以上で排ガスを処理しなければならない場合などが存在
し、このようなケースにおいて、炭素質吸着剤の充填層
装置を用いると、温度が高いため、上述の発火の危険性
が著しく高くなり、このため、従来の充填層装置を採用
することができないという問題があった。
【0048】本発明は、1W/m℃以上の高熱伝導率を
有する炭素質の吸着剤を用いるので、発火の危険性を回
避でき、上記の200℃以上の排ガス処理にも適用でき
る利点が得られる。言い換えると、200℃以上の排ガ
スであっても、炭素質吸着剤の発火のおそれを回避でき
るとともに、高温であることにより触媒剤のより高い活
性が得られるので、ダイオキシンの再合成が一部なされ
る温度域であっても、触媒が十分活性されているため、
ダイオキシン類を十分に分解除去できる作用が得られ、
以てダイオキシン類の排出濃度を低減することができ
る。すなわち、吸着剤の発火とダイオキシンの再合成が
懸念される200℃以上の排ガスの処理においても好適
に本発明を採用することができる。なお、排ガス処理温
度の上限値は、熱伝導率や活性炭に含まれる可燃性揮発
成分量にも影響されるので限定するものではないが、1
W/m℃程度の熱伝導率を有し、比較的揮発分が少ない
炭素質吸着剤の場合は、250℃を安全な上限値とする
ことができる。
【0049】このように、実施の形態2又は3によれ
ば、実施の形態1の場合と同様の作用、効果が得られる
が、さらに、次のような作用、効果を得ることができ
る。ここで、吸着剤充填層の上流側に触媒剤充填層を設
置する配列とすると、触媒によるダイオキシン分解除去
は達成できるが、排ガスにはすでに述べたように各種の
微量成分が共存するので、触媒被毒成分が微量でも存在
する場合は、吸着剤により事前にこの被毒成分を吸着除
去できないため、長期にわたる操業過程で触媒性能が劣
化し、比較的早期に分解性能が得られなくなるおそれが
あるので好ましくない。また、吸着剤のみを充填した充
填装置の後続には処理手段がないので、すでに述べた
〜に係る吸着剤からの揮散のおそれのあるダイオキシ
ン類を分解することができず、確実で高度なダイオキシ
ン類除去が必ずしも達成できないので好ましくない。
【0050】一方、触媒剤のみを充填した充填装置の上
流側に別装置として、吸着剤を充填した充填装置を設置
させると、吸着剤充填装置と触媒剤充填装置の間にはあ
る程度の排ガス滞留時間を生じ、この間に、ダイオキシ
ン類が他の成分と反応して塩素化が進行するおそれやダ
イオキシン類の再合成を引き起こすおそれもあるため、
相対的に好ましくない。また、別装置にすることによ
り、当然ながら、設備費が甚大となって好ましくない。
すなわち、1W/m℃以上の熱伝導率を有する炭素質の
吸着剤からなる層を、触媒剤からなる層の上流側に配置
させることが重要であるとともに、これらの層は接触の
時間遅れのごく少ない隣接タイプであることが必要であ
る。こうすることにより、簡便な一つの装置で、高度な
ダイオキシン除去が可能となる。
【0051】排ガス導入側の吸着剤層11は、充填剤が
主に吸着剤で構成されればよく、触媒剤を少量添加して
混合物の層としてもよいし、第三成分をさらに添加して
もよい。吸着剤層11に後続隣接する触楳剤層12は、
充填剤として、触媒剤を含んでいればよく、触媒剤10
0%としてもよいし、吸着剤との混合物としてもよい
し、第三成分をさらに添加してもよい。充填層を吸着剤
と触媒との混合物とすれば、実施の形態1と同等の構成
となるので、実施の形態1に係る作用が同等に得られ
る。
【0052】次に分割する層数は、上記例示の2層(吸
着剤層と触媒剤層)に限らず、全体の層の厚みが極端に
上昇しない範囲で、あるいは、各層の厚みを小さくとれ
る範囲で、図4(a)に示すように、吸着剤層+触媒剤
層+吸着剤層の3層構造、図4(b)に示すように、吸
着剤層+触媒剤層+吸着剤層+触媒剤層の4層構造とす
ることができる。このとき、排ガス導入側から吸着剤
層、触媒剤層の順に設置することが必要である。このよ
うに3層以上とすれば、今までに述べた作用が同等以上
に得られる。
【0053】次に、本発明に用いる吸着剤は、比表面積
が500m2/g以下の多孔性炭素質とすることができ
る。一般に高い吸着性能を得ようと考えれば、高度に賦
活された活性炭など、N2ガスによるBET比表面積が
1000m2/gまたはこれ以上の多孔質の炭素剤を用
いることが好ましい。ところが、このような活性炭はそ
の製法上の煩雑さから単価が高いことが多く、コスト高
となることが多かった。さて、実施の形態1又は実施の
形態2,3に示した構成を用いた、すなわち、触媒剤を
吸着剤と共存させるか隣接させることにより、すでに述
べたとおり、十分に高度なダイオキシン除去が達成でき
る。逆にいうと、十分に高い除去水準が得られるので、
従来装置に対して、吸着剤の充填量を少なくすることが
できることや、相対的に比表面積の小さい吸着剤を用い
ても同等の効果が得られるのである。
【0054】従来高度にダイオキシン類を除去するため
に、1000m2/gまたはこれ以上の高い比表面積の
吸着剤を用いることが多かったが、本発明によれば、5
00m2/g以下の相対的に低い比表面積の吸着剤を用
いることが可能となる。500m2/g以下の範囲で、
比表面積はもちろん大きい方が有利であり、極端に比表
面積が小さくなると実質的に吸着作用が得られないの
で、下限値は100m2/gとすることが望ましい。す
なわち、100〜500m2/gの比較的比表面積の小
さい安価な吸着剤を用いて、実施の形態1又は実施の形
態2,3に記載の作用が得られる。
【0055】また、熱伝導率が1W/m℃以上の炭素質
吸着剤の製造において、アルミナ粉末等の熱伝導向上剤
を添加する際に、その添加量の増大とともに、比表面積
が低下してしまうことがあるが、上述のとおり、100
2/g以上の比表面積を有していれば、十分なダイオ
キシン除去効果が得られるので、添加量をある程度増大
させて、発火を回避できるように熱伝導率を向上させた
吸着剤を用いることが可能である。
【0056】次に、本発明の処理対象とする排ガスは、
メタン換算した際のハイドロカーボン濃度が平均的に2
0ppm以上の排ガス、排ガス流量の変動幅が基準値に
対して±20%以上の排ガス、産業廃棄物焼却排ガス、
廃棄物溶融炉排ガス、電気炉排ガス、スクラップ予熱炉
排ガス、アルミ精錬炉排ガス、焼結炉排ガスから選ばれ
た排ガスとすることができる。
【0057】このように、高度なダイオキシン除去が難
しい負荷変動の大きい排ガスを処理する場合であって
も、実施の形態1又は実施の形態2,3に係る構成を実
施すれば、確実に排ガス中のダイオキシンを除去するこ
とができる。詳しくは以下のとおりである。 被処理排ガスには、ダイオキシン類とともに微量に共
存する高分子系の炭化水素やその他の微量成分が含まれ
ているが、排ガスの負荷変動が大きいとこの炭化水素が
メタン換算で20ppm以上となることが多く、ダイオ
キシンを十分吸着した吸着剤(吸着破過に到達した吸着
剤)は、これらの共存する微量成分により置換吸着がよ
り頻繁に発生し、ダイオキシン類がガス側に揮散してし
まうことがあったが、触媒剤を共存または隣接させるこ
とにより、不所望に揮散したダイオキシン類をひとつの
充填装置内で触媒の分解作用により分解し、より確実に
ダイオキシンを除去できる。
【0058】被処理排ガスは、その負荷変動が十分に
大きいので、このため吸着剤を通過する排ガス速度およ
び圧力に急激な変動を生じ、吸着剤内部に到達していな
いごく外表面に弱い吸着力により付着しているダイオキ
シン類を揮散(脱離)させてしまうことや、変動による
排ガス温度の一時的な上昇により、ダイオキシン類の分
子運動エネルギーが増大されて、吸着されつつあるダイ
オキシン類あるいは既吸着のダイオキシン類を揮散(脱
離)させてしまうことがより頻繁に発生するが、触媒剤
を共存または隣接させることにより、不所望に揮散した
ダイオキシン類をひとつの充填装置内で触媒剤の分解作
用により分解し、より確実にダイオキシンを除去でき
る。
【0059】被処理排ガスは、その負荷変動が十分に
大きいので、処理温度が一時的に高温となり、充填層内
で高温域を発生する頻度が高くなるため、炭素質吸着剤
による発火の危険度が増加してしまう不具合があるが、
熱伝導率が1W/m℃以上、さらに望ましくは2W/m
℃以上の炭素質吸着剤を用いたので、前記高温域の生成
を効率よく回避でき、上記高温による発火の危険性をご
く少なくすることができる。上記作用と同時に、すでに
述べた実施の形態1〜3に係る作用が得られる。
【0060】本発明で言及した排ガスに含まれる有機ハ
ロゲン化合物とは、厚生労働省、環境省により特定施設
への規制値や環境基準が毒性換算値により指定されてい
るダイオキシン類およびコプラナPCB、さらにダイオ
キシン類の前駆物質、関連物質と称されるクロロベンゼ
ン、クロロフェノール、PCB類、塩素化された多環芳
香族炭化水素類(PAH)などや、塩素以外のハロゲン
元素で一部が置換されたこれら化学物質の総称である。
さらに、ダイオキシン類とは、ポリジベンゾパラジオキ
シンとポリジベンゾフランの総称であって、通常毒性換
算濃度によって算定されるものである。本明細書におい
ては、上記の有機ハロゲン化合物を単にダイオキシン
(類)と略記している場合があることを付記する。
【0061】
【発明の効果】請求項1に係る発明は、除塵後の排ガス
に含まれるダイオキシン等の有機ハロゲン化合物を触媒
剤充填層装置によって除去する際に、前記有機ハロゲン
化合物を主に触媒作用により分解する粒状の触媒剤と、
前記有機ハロゲン化合物を主に吸着作用により吸着除去
する粒状で熱伝導率が1W/m℃以上の炭素質の吸着剤
とを充填層内に共存させて充填層を構成したので、吸着
剤の発火を確実に回避しながら、吸着剤により有機ハロ
ゲン化合物を吸着除去できる作用と、触媒剤により有機
ハロゲン化合物を分解除去できる作用とが同時に得ら
れ、以ってより高い水準の除去を達成できる。
【0062】請求項2に係る発明は、除塵後の排ガスに
含まれるダイオキシン等の有機ハロゲン化合物を触媒剤
充填層装置によって除去する際に、前記有機ハロゲン化
合物を主に吸着作用により吸着除去する粒状で熱伝導率
が1W/m℃以上の炭素質の吸着剤からなる吸着剤層
と、前記有機ハロゲン化合物を主に触媒作用により分解
する粒状の触媒剤からなる触媒剤層とをこの順に隣接さ
せて構成したので、吸着剤の発火を確実に回避しなが
ら、まず、吸着剤層との接触過程によりダイオキシン等
が吸着除去されるとともに、触媒被毒となる微量成分が
排ガスに含まれている場合も確実にこの被毒成分を吸着
除去できるので後続の触媒剤を長寿命化できる利点が得
られる。同時に、長期にわたる通ガス過程や負荷変動の
大きい排ガスとの接触過程等から誘発されて、不所望に
吸着剤層から揮散するおそれのあるダイオキシン類を、
後続する触媒剤層により速やかに分解除去できるので、
より確実にダイオキシン類を除去できる。
【0063】請求項3に係る発明は、請求項1又は2の
充填層を通過する排ガス温度を200℃以上としたの
で、ダイオキシンの再合成の懸念や、発火のおそれのあ
る200℃以上の排ガスにも好適に採用でき、上記の効
果を得ることができる。
【0064】請求項4に係る発明は、請求項1〜3のい
ずれかの触媒充填層装置において、負荷変動の大きい、
産業廃棄物排ガス、廃棄物溶融炉排ガス等の排ガスにも
好適に適用でき、上記の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る触媒剤充填層装置
の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る触媒剤充填層装置
の説明図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る触媒剤充填層装置
の説明図である。
【図4】本発明に係る充填層の分割例を示す説明図であ
る。
【図5】本発明を実施する排ガス処理フローの代表例の
ブロック図である。
【符号の説明】
1 触媒剤充填層装置(本体) 2 充填層(触媒剤と吸着剤の混合層) 3 仕切板 4 吸着剤供給バルブ 5 吸着剤排出バルブ 6 排ガス導入ダクト 7 排ガス排出ダクト 10 吸着剤貯槽 11 吸着剤層 12 触媒剤層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07D 319/24 F23J 15/00 H (72)発明者 奈良 久夫 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 辻 俊昭 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 平山 敦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 岩崎 敏彦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 3K070 DA05 DA25 4D002 AA21 AC02 AC04 AC06 AC10 BA04 BA14 CA07 DA41 DA70 EA03 GA01 GB01 GB02 GB03 GB20 4D048 AA11 AB03 BA03X BA07X BA23X BA26X BA27X BA30X BA41X BB01 CA03 CA07 CC32 CC38 CC58 CD01 CD03 DA03 DA05 DA08 4G066 AA04B BA38 CA33 DA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 除塵後の排ガスに含まれるダイオキシン
    類で代表される有機ハロゲン化合物を除去するための充
    填層装置であって、前記有機ハロゲン化合物を主に触媒
    作用により分解する粒状の触媒剤と、前記有機ハロゲン
    化合物を主に吸着作用により吸着除去する熱伝導率が1
    W/m℃以上の粒状の炭素質の吸着剤とを充填層内に共
    存させたことを特徴とする触媒剤充填層装置。
  2. 【請求項2】 除塵後の排ガスに含まれる有機ハロゲン
    化合物を除去するための充填層装置であって、充填層を
    通気性を有する仕切板により直列に複数層に仕切り、該
    仕切られた複数層が、充填物のひとつを熱伝導率が1W
    /m℃以上の炭素質の吸着剤とした吸着剤層と、充填物
    のひとつを触媒剤とした触媒剤層とからなり、排ガス導
    入側からこの順に交互に配設したことを特徴とする触媒
    剤充填層装置。
  3. 【請求項3】 充填層を通過する排ガス温度が200℃
    以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    触媒剤充填層装置。
  4. 【請求項4】 処理対象とする排ガスは、メタン換算し
    た際のハイドロカーボン濃度が平均的に20ppm以上
    の排ガス、排ガス流量の変動幅が基準値に対して±20
    %以上の排ガス、産業廃棄物焼却排ガス、廃棄物溶融炉
    排ガス、電気炉排ガス、スクラップ予熱炉排ガス、アル
    ミ精錬炉排ガス、焼結炉排ガスから選ばれた排ガスであ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の触
    媒剤充填層装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104807028A (zh) * 2015-04-10 2015-07-29 北京龙电宏泰环保科技有限公司 锅炉排放有机污染物及其前驱物的控制方法和装置

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CN104807028A (zh) * 2015-04-10 2015-07-29 北京龙电宏泰环保科技有限公司 锅炉排放有机污染物及其前驱物的控制方法和装置

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