JP2003299481A - 成熟肥満細胞の生産方法 - Google Patents

成熟肥満細胞の生産方法

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JP2003299481A JP2003017824A JP2003017824A JP2003299481A JP 2003299481 A JP2003299481 A JP 2003299481A JP 2003017824 A JP2003017824 A JP 2003017824A JP 2003017824 A JP2003017824 A JP 2003017824A JP 2003299481 A JP2003299481 A JP 2003299481A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な操作かつ短期間に成熟肥満細胞を生産
する方法を提供することである。 【解決手段】 細胞接着シグナルを現わす最小アミノ酸
配列を1分子中に少なくとも1個含有してなるポリペプ
チド(B)を有する培養基材と、サイトカイン(C)を
有する培地とを用いて未成熟肥満細胞(D)を成熟肥満
細胞(A)へ分化誘導することを特徴とする成熟肥満細
胞(A)の生産方法を用いる。なお、成熟肥満細胞
(A)としては、骨髄液中の未成熟肥満細胞(D)から
分化させた成熟肥満細胞であることが好ましい。また、
細胞接着シグナルを現わす最小アミノ酸配列の数は、ポ
リペプチド(B)1分子当たり3〜50個であることが
好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成熟肥満細胞の生
産方法に関する。さらに詳しくは未成熟肥満細胞を成熟
肥満細胞に分化誘導して成熟肥満細胞を生産する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】未成熟肥満細胞を分化誘導する方法とし
て、臍帯(さいたい)血単核球中の未成熟肥満細胞を、
幹細胞因子(SCF)及びインターロイキン−6を含有
する培地中で培養した後、初代皮膚線維芽細胞を単層培
養した面の上でSCF存在下に培養する方法が知られて
いる(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−199600号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この方法によ
ると、臍帯血単球細胞を6週間培養した後に初代皮膚線
維芽細胞との共生培養へ植え替えて、さらに2ヶ月間培
養が必要であり、臍帯血の採取から成熟細胞を得るまで
に最低でも3.5ヶ月間必要であり、このような煩雑な
操作と長い培養期間が大きな問題でであった。すなわ
ち、本発明の目的は、簡単な操作かつ短期間に成熟肥満
細胞を生産する方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究を
重ねてきた結果、特定のポリペプチドを有する培養基材
と、サイトカインを有する培地を用いることにより上記
の目的を達成し得ることを見いだし本発明に到達した。
すなわち、本発明の成熟肥満細胞(A)の生産方法の特
徴は、細胞接着シグナルを現わす最小アミノ酸配列を1
分子中に少なくとも1個含有してなるポリペプチド
(B)を有する培養基材と、サイトカイン(C)を有す
る培地とを用いて未成熟肥満細胞(D)を成熟肥満細胞
(A)へ分化誘導する工程を含む点を要旨とする。
【0006】
【発明の実施の形態】成熟肥満細胞(A)とは、哺乳動
物の骨髄若しくは臍帯血等から得られる未成熟肥満細胞
(D)を、サイトカイン等によって分化させて得られる
細胞であり、細胞内にコンドロイチン硫酸、ヘパリン及
びヒスタミン等を含む顆粒を有し、刺激に応じてその内
容物を放出するものである。培養で得られる成熟肥満細
胞は種々の表現型(刺激に対する応答や顆粒成分の構成
等)において、哺乳動物の腹腔若しくは皮膚等の組織内
に分布する成熟肥満細胞と同様に扱われる。成熟肥満細
胞(A)には分布する組織環境に応じて様々な亜群が存
在することが知られるが、大別して二つのグループに分
けられる。一つは皮膚や腹腔等に分布するものと同様の
表現型を有する組織結合型肥満細胞で、もう一つは腸管
膜等に分布するものと同様の表現型を有する粘膜型肥満
細胞である。一般的にアレルギーや炎症応答で重要な機
能を果たすのは組織結合型の方であることから、成熟肥
満細胞(A)としては組織結合型肥満細胞が好ましい。
また哺乳動物としては、ヒト、マウス、ラット、ブタ、
ウシ、ウマ及びヤギ等が挙げられる。これらのうち、ヒ
ト及びマウスが好ましい。未成熟肥満細胞(D)とは、
成熟肥満細胞(A)に分化する能力を有する細胞であ
り、一般に哺乳動物の骨髄又は臍帯血等に存在する。未
成熟肥満細胞(D)としては、骨髄中に含まれる造血幹
細胞、及び臍帯血中に含まれる造血幹細胞等が知られて
いる。
【0007】次に、細胞接着シグナルを現わす最小アミ
ノ酸配列を1分子中に少なくとも1個含有してなるポリ
ペプチド(B)について説明する。細胞接着性とは、特
定の最小アミノ酸配列(X)が細胞のインテグリンレセ
プターに認識され細胞が基材に接着しやすくなる性質を
意味する(大阪府立母子医療センター雑誌、第8巻 第
1号、58〜66頁、1992年)。細胞接着シグナル
を現わす最小アミノ酸配列としては、接着シグナルとし
て働くものであればいずれも使用でき、例えば、株式会
社永井出版発行「病態生理」Vol.9、No.7(1
990)527頁に記載されているもの等が挙げられ
る。これらのうち、接着する細胞の種類が多いという点
で、Arg Gly Asp配列、LeuAsp Val配列、Arg Glu Asp V
al配列(1)、Tyr Ile Gly Ser Arg配列(2)、Pro A
sp Ser Gly Arg配列(3)、Arg Tyr Val Val Leu Pro
Arg配列(4)、Leu Gly Thr Ile Pro Gly配列(5)、
Arg Asn Ile Ala Glu Ile Ile Lys Asp Ile配列
(6)、Ile Lys Val Ala Val配列(7)、Leu Arg Glu
配列、Asp Gly GluAla配列(8)及びHis Ala Val配列
が好ましく、さらに好ましくはArg Gly Asp配列、Ile L
ys Val Ala Val配列(7)及びHis Ala Val配列、特に
好ましくはIle Lys Val Ala Val配列(7)である。な
お、アミノ酸配列はアミノ酸3文字表記で現わし、
( )内にアミノ酸配列表に対応する配列番号を付記し
た(以下同様である。)。
【0008】ポリペプチド(B)中には前記最小アミノ
酸配列が1分子中に少なくとも1個含有される必要があ
る。前記最小アミノ酸配列があると、細胞接着活性が高
まり、未成熟肥満細胞(D)の成熟肥満細胞(A)への
分化誘導を促進することが可能となる。一方、前記最小
アミノ酸配列が含有されない場合、細胞接着性が低下す
る結果、(D)の(A)への分化誘導が不十分となりや
すい。
【0009】この最小アミノ酸配列の含有量は、細胞接
着・増殖性の観点から、1分子中3〜50個が好まし
く、さらに好ましくは5〜40個、特に好ましくは10
〜30個である。含有量がこの範囲であると、細胞接着
活性がさらに高まり、未成熟肥満細胞(D)の成熟肥満
細胞(A)への分化誘導がさらに促進されやすくなる。
【0010】ポリペプチド(B)の数平均分子量は、細
胞に対する毒性が低く、接着性能が高いという点で、
5,000以上が好ましく、さらに好ましくは10,0
00以上、特に好ましくは50,000以上である。ま
た5,000,000以下が好ましく、さらに好ましく
は1,000,000以下、特に好ましくは500,0
00以下である。なお、数平均分子量(Mn)は、SD
S−PAGE法(Naドデシルスルフェイト−ポリアク
リルアミドゲル電気泳動法)で、測定試料をゲル中で展
開し、泳動距離を標準物質と比較することによって求め
られる。
【0011】ポリペプチド(B)は、細胞接着シグナル
を現わす最小アミノ酸配列以外に、(B)の熱安定性が
高まるアミノ酸配列、例えばシルクフィブロイン由来の
GlyAla Gly Ala Gly Ser配列(9)を少なくとも2個有
することが好ましく、このアミノ酸配列を3個以上有す
ることがさらに好ましく、5〜30個有することが特に
好ましい。
【0012】ポリペプチド(B)としては、(Gly Ala
Gly Ala Gly Ser)9配列(10)とArg Gly Asp配列と
を有するポリペプチド、(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9
配列(10)とTyr Ile Gly Ser Arg配列(2)とを有
するポリペプチド、(Gly AlaPro (Gly Pro Pro)42
列(11)とArg Gly Asp配列とを有するポリペプチ
ド、(Gly Ala Pro (Gly Pro Pro)42配列(11)とT
yr Ile Gly Ser Arg配列(2)とを有するポリペプチ
ド、及び(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(10)と
Ile Lys Val Ala Val配列(7)とを有するポリペプチ
ド(特表平3−502935号公報)等が挙げられる。
【0013】ポリペプチド(B)として市場から入手で
きるものとしては、例えば、三洋化成工業(株)製プロ
ネクチンF(遺伝子組替大腸菌により製造され、1分子
中にArg Gly Asp配列と(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9
配列(10)とを各々約13個有する数平均分子量約1
1万のポリペプチド)、同プロネクチンFプラス(プロ
ネクチンFをジメルアミノエチルクロライドと反応させ
て水溶性にしたもの)、同プロネクチンL(遺伝子組替
大腸菌により製造され、1分子中にIle Lys Val Ala Va
l配列(7)と(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(1
0)とを各々約7個有する数平均分子量約9万のポリペ
プチド)等が挙げられる。
【0014】また、宝酒造(株)製RetroNect
in(リコンビナントヒトフィブロネクチンCH−29
6){ヒトフィブロネクチン細胞接着シグナルであるC
S1シグナルと細胞接着ドメインTypeIII及びヘ
パリン結合ドメインIIを1つずつ有する数平均分子量
約6万のポリペプチド}、同RGDS−Protein
A{Arg Gly Asp配列をProtein A(IgG結
合ドメイン)に挿入した数平均分子量約3万のポリペプ
チド}もポリペプチド(B)として使用可能である。
【0015】ポリペプチド(B)の製造方法は特に制限
されず、ペプチドを合成する従来既知の方法と同様にし
て製造することができ、例えば、有機合成法(固相合成
法、液相合成法等)及び生化学的合成法[遺伝子組換微
生物(酵母、細菌、大腸菌等)]等によって合成するこ
とができる。有機合成法に関しては、例えば、日本生化
学学会編「続生化学実験講座2、タンパク質の化学
(下)」第641〜694頁(昭和62年5月20日;
株式会社東京化学同人発行)に記載されている方法等が
用いられる。生化学的合成法に関しては、例えば、組換
えタンパク質生産法「塚越規弘 編著、株式会社学会出
版センター、2001年版」や特表平3−502935
号公報に記載されている方法等が用いられる。高分子量
のポリペプチド(B)を容易に合成できる点で、遺伝子
組換微生物による生化学的合成法が好ましく、特に好ま
しくは遺伝子組換大腸菌を用いて合成する方法である。
【0016】ポリペプチド(B)の含有量としては、培
養基材の培養表面積100cm2あたり、0.01μg
以上が好ましく、さらに好ましくは0.1μg以上、特
に好ましくは1μg以上、最も好ましくは10μg以上
である。また1000mg以下が好ましく、さらに好ま
しくは100mg以下、特に好ましくは10mg以下、
最も好ましくは1mg以下である。培養表面積あたりの
細胞接着性ペプチドの含有量の測定方法は特に限定され
ないが、例えば、免疫学的測定法が利用できる。例え
ば、培養基材に、ポリペプチド(B)と結合する抗体に
酵素を標識したもの(以下、酵素標識抗体)を反応さ
せ、この反応した酵素標識抗体の酵素量を測定すること
により、培養表面積あたりのポリペプチドの含有量を測
定できる。また、酵素の代わりにアイソトープ、色素、
蛍光物質又は発光物質等を用いて抗体に標識し、酵素量
の代わりに放射線量、色素量、蛍光強度又は発光強度等
を測定することにより、培養表面積あたりのポリペプチ
ドの含有量を測定することもできる。なお、培養表面積
は、培養容器の表面のうち、培養される細胞が接着し得
る表面の表面積を意味する。ここで、細胞が入り込まな
いような微小な凹凸(例えば、1μm以下)は平坦な表
面として取扱うが、培養面積を高める目的でリブ(畝)
等が設けてあるものについてはそのリブの表面積を培養
表面積に含める。また培養容器が市販品の場合、培養表
面積は容器メーカーがカタログ等に記載している培養容
器の培養表面積をそのまま適用できる。
【0017】本発明で使用される培養基材は、培養容器
にポリペプチド(B)を有していればよく、培養容器内
部に練り込まれていてもよく、表面に付着していもよ
い。培養容器としては特に制限はなく細胞培養に一般に
用いられるものが使用でき、例えば、プレート、シャー
レ、T−フラスコ、ローラーボトル、マイクロキャリア
ビーズ及びホローファイバー等が用いられる。これらの
培養容器の材質としては、細胞培養に使用できるもので
あればいずれも使用でき、例えば、プラスチック、ガラ
ス等が挙げられる。
【0018】本発明で使用される培養基材を得る方法と
しては、例えば、培養容器にポリペプチド(B)をコー
ティング処理する方法、及びポリペプチド(B)を培養
容器の原料に練り込んだ後、培養容器に成型する方法等
が挙げられる。これらの方法のうち、ポリペプチド
(B)の使用量が少なくて済むという観点から、培養容
器にポリペプチド(B)をコーティング処理する方法が
好ましい。
【0019】培養容器へのポリペプチド(B)のコーテ
ィング方法としては、ポリペプチド(B)を溶媒に溶か
した溶液を予め作製し、培養容器に加え、所定のコーテ
ィング時間静置した後に余分の溶液を捨て乾燥させる
か、余分の溶液を捨てずに乾燥させる方法や、ポリペプ
チド(B)の溶液をローラーボトルに加え、所定のコー
ティング時間ローラーボトルを回転した後に余分の溶液
を捨て乾燥させるか、余分の溶液を捨てずに乾燥させる
方法、ポリペプチド(B)の溶液中にマイクロキャリア
ビーズを入れて所定のコーティング時間必要に応じて攪
拌した後に溶液から取り出し必要に応じて乾燥させる方
法、及びポリペプチド(B)の溶液をホローファイバー
中に所定のコーティング時間循環させ必要に応じて乾燥
させる方法等が挙げられる。
【0020】ポリペプチド(B)の溶液を作製するため
に用いられる溶媒としては特に制限はないが、無機塩、
有機酸塩、アミノ酸、ビタミン、アルコール、脂質・
糖、酸及び/又は塩基を0.1重量%以上50重量%以
下(好ましくは1重量%以上30重量%以下)含有する
水溶液及び水等が使用できる。無機塩としては、ハロゲ
ン化金属塩、硫酸金属塩、リン酸金属塩、硝酸金属塩、
炭酸金属塩及び過ハロゲン酸金属等が使用でき、例え
ば、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウ
ム、塩化カルシウム、硝酸鉄、塩化カリウム、硫酸マグ
ネシウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リ
ン酸カリウム、リン酸水素カリウム、硫酸銅、硫酸鉄、
塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化リチウム過塩素酸
ナトリウム及び過塩素酸リチウム等が挙げられる。
【0021】有機酸塩としては、例えば、蟻酸ナトリウ
ム、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム及び酒石酸ナトリウ
ム等が挙げられる。アミノ酸としては、例えば、アルギ
ニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニ
ン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、
チロシン、バリン、アラニン、アスパラギン、アスパラ
ギン酸、グルタミン酸、プロリン、セリン及びグリシン
等が挙げられる。ビタミンとしては、例えば、コリン、
イノシトール、ニコチンアミド、グルタミン、ビタミン
A及びビタミンB12等が挙げられる。アルコールとし
ては、炭素数1〜4の脂肪族アルコール等が使用でき、
例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール及びブタノール等が挙げられる。
【0022】脂質・糖としては、例えば、脂質、単糖、
2糖、オリゴ糖、アミノ糖及び酸性糖等が挙げられる。
酸としては、無機酸及び炭素数1〜6の有機酸等が使用
でき、例えば、塩酸、燐酸、酢酸、蟻酸、フェノール及
び硫酸等が挙げられる。塩基としては、無機塩基及び炭
素数2〜6の有機塩基等が使用でき、例えば、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、アンモニア及びトリエチル
アミン等が挙げられる。水としては、蒸留水、イオン交
換水、水道水及びイオン交換蒸留水等が挙げられる。こ
れらの溶媒の中で、無機塩、酸及び/又は塩基を含有す
る水溶液及び水が好ましく、さらに好ましくは無機塩を
含有する水溶液及び水、特に好ましくは無機塩を含有す
る水溶液である。
【0023】ポリペプチド(B)の溶液の濃度は、溶媒
1ml当り、0.01μg以上が好ましく、さらに好ま
しくは0.1μg以上、特に好ましくは1μg以上であ
る。また同様に100mg以下が好ましく、さらに好ま
しくは10mg以下、特に好ましくは1mg以下であ
る。コーティング時間としては、用いる培養基材によっ
ても異なるが、30秒以上が好ましく、さらに好ましく
は1分以上、特に好ましくは3分以上である。また48
時間以下が好ましく、さらに好ましくは24時間以下、
特に好ましくは12時間以下である。
【0024】必要に応じて行われる乾燥の条件について
も特に制限はなく、通常の方法が適用でき、例えば、必
要に応じて順風乾燥機や減圧乾燥機などを用いて、0〜
200℃、0.001Pa〜大気圧の圧力下で、1〜1
00時間乾燥することで行える。また、必要に応じて行
われる乾燥の前又は後で、無機塩を含有する水溶液又は
水で通常の方法で洗浄することもできる。また、コーテ
ィングの後で、必要に応じて滅菌処理を施してもよい。
滅菌方法は特に制限は無く、例えば、放射線滅菌、エチ
レンオキサイドガス滅菌、オートクレーブ滅菌及び乾熱
滅菌等が挙げられる。
【0025】ポリペプチド(B)を培養容器の原料に練
り込んだ後、成型する方法としては、原料樹脂等とポリ
ペプチド(B)とを混練・成形する方法等が挙げられ、
例えば、ポリペプチド(B)と熱可塑性樹脂(ポリエチ
レン、ポリスチレン及びポリアミド等)とを、この融点
温度以上で、押出成形や射出成形等する方法や、(B)
と熱硬化性樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール
樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹
脂、ウレタン樹脂、エボナイト及びシリコーン樹脂等)
とを混練・成形した後、加熱硬化する方法等が適用でき
る。
【0026】ポリペプチド(B)を培養容器に練り込ま
せる場合、ポリペプチド(B)の含有量は、培養基材1
g当たり、0.1μg以上が好ましく、さらに好ましく
は1μg以上、特に好ましくは10μg以上である。ま
た同様に1000mg以下が好ましく、さらに好ましく
は100mg以下、特に好ましくは10mg以下であ
る。
【0027】サイトカイン(C)としては、インターロ
イキン(IL)、幹細胞因子(SCF)、コロニー刺激
因子(CSF)、インターフェロン(IFN)、腫瘍壊
死因子(TNF)、トランスフォーミング成長因子(T
GF)及びケモカイン等が挙げられる。ILとしては、
IL−1α、IL−1β、IL−2、IL−3、IL−
4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−
9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−1
3、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17
及びIL−18等が挙げられる。
【0028】SCFとしては、SCFが挙げられる。C
SFとしては、GM−CSF、G−CSF及びM−CS
F等が挙げられる。IFNとしては、IFN―α、IF
N―β及びIFN―γ等が挙げられる。TNFとして
は、TNF−α及びTNF−β等が挙げられる。TGF
としては、TGF−α及びTGF−β等が挙げられる。
ケモカインとしては、エオタキシン、MIP−1α、M
IP-1β、MCP−1及びRANTES等が挙げられ
る。
【0029】サイトカイン(C)は、2種以上を組み合
わせて用いることもでき、これらのうち、IL及びSC
Fが好ましく、さらに好ましくはILの一種以上とSC
Fとの組合せであり、特に好ましくはIL−3、IL−
4、IL−6、IL−9及びIL−10からなる群より
選ばれる一種以上とSCFとの組合せであり、最も好ま
しくはIL−4とSCFとの組合せである。
【0030】本発明の成熟肥満細胞の生産方法に用いる
培地としては、RPMI培地、MEM培地、BME培
地、DME培地、αMEM培地、IMEM培地、ES培
地、DM−160培地、Fisher培地、F12培地
及びWE培地等(朝倉書店発行「日本組織培養学会編
組織培養の技術第三版」581頁に記載の基礎培地)、
これらの培地に血清成分(仔ウシ血清、ウシ胎児血清
等)等を添加したもの、並びに市販の無血清培地[味の
素(株)製無血清培地ASF103,同ASF104,
同ASF301、ギブコ社製無血清培地CHO−SF
M,同VP−SFM等]等が用いられる。
【0031】これらのうち、基礎培地に血清成分を加え
たものが好ましく、さらに好ましくはRPMI−164
0培地に仔ウシ血清を加えたものである。血清成分の使
用量(重量%)は、基礎培地100重量部に対して、1
以上が好ましく、さらに好ましくは2以上、特に好まし
くは5以上である。また50以下が好ましく、さらに好
ましくは30以下、特に好ましくは20以下である。培
地の使用量(mL)は、用いる培養基材の種類や成熟肥
満細胞(A)の種類等によって異なるが、培養基材表面
積1cm2当り、0.01以上が好ましく、さらに好ま
しくは0.05以上、特に好ましくは0.1以上であ
る。また50以下が好ましく、さらに好ましくは5以
下、特に好ましくは0.5以下である。
【0032】サイトカイン(C)の使用量(μg)は、
培地1000mLに対して、0.1以上が好ましく、さ
らに好ましくは1以上、特に好ましくは10以上であ
る。また1000以下が好ましく、さらに好ましくは1
00以下、特に好ましくは90以下である。サイトカイ
ン(C)の含有量がこの範囲であると、細胞の分化誘導
が促進される。サイトカイン(C)を培地に添加する方
法としては、培地にサイトカイン(C)を直接加える方
法や、予めサイトカイン(C)を前記の溶媒に溶解又は
分散したものを培地に加える方法等が挙げられる。
【0033】さらに必要に応じて、細胞増殖因子(E)
を培地中に含有させることにより、成熟肥満細胞(A)
の増殖速度をさらに高めたり、細胞活性を高めたりする
ことができる。細胞増殖因子(E)は細胞を増殖させる
活性のある物質であり、例えば、FGF、VEGF、H
GF、EGF、PDGF、IGF及びBMP等が挙げら
れ、この他に、KGF、CSF−1、SCF、PIG
F、NGF、BDNF、NT−3、NT−4、TGF、
NDF及びインシュリン等{例えば財団法人名古屋大学
出版会発行「上田実編ティッシュエンジニアリング(1
999年)」43〜51頁及び同文献に付記されている
参考文献に記載されているもの等}も用いられる。細胞
増殖因子(E)を培地に添加する方法としては、培地に
(E)を直接加える方法や、予め(E)を前記の溶媒に
溶解又は分散したものを培地に加える方法等が挙げられ
る。
【0034】さらに培地中には必要に応じて、他の成分
(F)として、アミノ酸類(グルタミン、アラニルグル
タミン、アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイ
シン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、ト
リプトファン、チロシン、バリン、アラニン、アスパラ
ギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、セリ
ン及びグリシン等)、ビタミン類(コリン、塩化コリ
ン、パントテン酸カルシウム、葉酸、ピリドキサール、
リボフラビン、チアミン、イノシトール、ニコチンアミ
ド、グルタミン、ビタミンA及びビタミンB12等)、
成長促進剤(アルブミン、ウシ脳下垂体抽出物、ニワト
リ胚抽出液、インスリン、トランスフェリン、亜セレン
酸ナトリウム、メルカプトエタノール、ピルビン酸ナト
リウム、ヒドロコルチゾン及びエタノールアミン等)、
抗生物質(ペニシリン、ストレプトマイシン、ネオマイ
シン及びアクチノマイシン等)、安定化剤(例えば、酸
化防止剤等)及びpH調整剤(例えば、炭酸水素ナトリ
ウム、HEPES、炭酸ナトリウム及びリン酸ナトリウ
ム等)等を含有させることができる。
【0035】未成熟肥満細胞を培養し、成熟肥満細胞に
分化誘導する工程における未成熟肥満細胞(D)の量と
しては、用いる培養基材の種類等によって異なるが、培
地1mL当り、5万〜5000万個が好ましく、さらに
好ましくは50万〜1000万個、特に好ましくは50
0万〜500万個である。
【0036】培養条件(分化誘導条件)としては特に制
限はなく、CO2濃度1〜20体積%、5〜45℃で1
時間〜100日間、必要に応じて1〜7日毎に培地交換
しなら培養(分化誘導)すること等が挙げられる。特に
好ましい例としては、例えば、CO2濃度5体積%、3
7℃の条件で、2〜3日毎に培地交換しながら1〜36
日間培養(分化誘導)することである。
【0037】具体的な培養条件(分化誘導条件)や処理
の方法等は、朝倉書店発行日本組織培養学会編「組織培
養の技術」に記載されている方法等が適用できる。例え
ば、培養基材としてT−フラスコ(培養面積;10〜5
00cm2等)、プレート(2〜384穴等)又はディ
ッシュ(培養面積;5〜500cm2等)を用いる場
合、未成熟肥満細胞を50〜500万個/mLの濃度で
分散した培地を、深さが1〜20mmになる量だけディ
ッシュ又はシャーレに加え、CO2濃度5体積%、37
℃の炭酸ガスインキュベーター中で静置培養(分化誘
導)する方法等が挙げられる。この際、1〜5日毎に、
1/3量〜全量の培地を交換することが好ましい。
【0038】培養基材としてローラーボトル(容量;
0.1〜10L等)を用いる場合、未成熟肥満細胞を5
0〜500万個/mLの濃度で分散した培地を、0.5
/100〜30/100の容量になる量だけローラーボ
トルに加え、CO2濃度5体積%、37℃の炭酸ガスイ
ンキュベーター中で、0.1〜10rpmの回転速度で
回転させながら培養(分化誘導)する方法等が挙げられ
る。この際、12〜5日毎に、1/3量〜全量の培地を
交換することが好ましい。
【0039】培養基材としてマイクロキャリアビーズ
(粒子径;20〜500μm、表面積;100〜100
00cm2等)を用いる場合、スピナーフラスコ(容
量;10〜500mL等)中に、未成熟肥満細胞を50〜
500万個/mLの濃度で分散した培地を、1/10〜
7/10の容量になる量だけ加え、マイクロキャリアビ
ーズを、培地1L当り0.1〜50gの割合で加え、C
2濃度5体積%、37℃の炭酸ガスインキュベーター
中で、1〜100rpmの回転速度で撹拌しながら培養
(分化誘導)する方法等が挙げられる。この際、12〜
5日毎に、1/3量〜全量の培地を交換することが好ま
しい。さらにスピナーフラスコの代わりに流動層型バイ
オリアクターや充填型バイオリアクター(容量;10m
L〜10kL等)を用いて、マイクロキャリアビーズを
バイオリアクター内にセットし未成熟肥満細胞を50〜
500万個/mLの濃度で分散した1〜5倍容量の培地
を循環させた後、CO2濃度5体積%、37℃の炭酸ガ
スインキュベーター中で調整した培地を1〜100cm
/分の線速度で循環しながら連続培養(連続分化誘導)
する方法等が挙げられる。
【0040】培養基材としてホローファイバー(内径1
0〜500μm等)を用いる場合、カートリッジ(容
量;10〜1000mL等)中に、未成熟肥満細胞を5
0〜500万個/mLの濃度で分散した培地をカートリ
ッジに加えたあと、ホローファイバー内に、CO2濃度
5体積%、37℃の炭酸ガスインキュベーター中で調整
した培地を1〜100cm/分の線速度で循環し連続培
養(連続分化誘導)する方法等が挙げられる。
【0041】培養後は、EDTA等のキレート剤若しく
はトリプシン等の蛋白質分解酵素で処理するか又はスク
レーパーで掻きとることによって、成熟肥満細胞が回収
される。これらのうち、EDTAで処理する方法が好ま
しい。細胞の保存方法としては、細胞を、ジメチルスル
ホキシド等を1〜20体積%(好ましくは5〜15体積
%、さらに好ましくは10体積%)含有させた培地に分
散させた後、−80℃以下の温度の冷凍庫又は液体窒素
中で保存する方法等が挙げられる。
【0042】以上の分化誘導させる方法は、成熟した肥
満細胞を簡単な操作で短期間に得られるものであり、生
産される成熟肥満細胞は、アレルギーの機構解明、並び
に花粉症、アトピー性疾患及び慢性アレルギーの予防・
治療薬の開発研究及び生産に有用であるとともに、各種
サイトカイン(IL−3、IL−4、IL−5等)の大
量生産用にも非常に有用である。
【0043】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。 <実施例1> <細胞培養プレートの作製>特表平3−502935号
公報中の実施例記載の方法に準じて、(Gly Ala Gly Al
a Gly Ser)9配列(10)とArg Gly Asp配列とを12
個含むMn約11万の遺伝子組換え大腸菌の産生蛋白
質"SLPF"を作製した。次いで、SLPFの4.5規
定の過塩素酸リチウム溶液(SLPFの濃度;1mg/
ml)をリン酸バッファー液(PBS)でSLPFの濃
度が10μg/mlとなるように希釈し、PnF溶液を
作製した。旭テクノグラス製60mmφ細胞培養ディッ
シュにPnF溶液を1.5ml加え、室温で1週間放置
して乾燥した(SLPFの塗布量=15μg/ディッシ
ュ)。さらにPBS5mlで2回洗浄して、培養基材
(ディッシュ1)を得た。[SLPF含有量:約0.5
μg/cm2
【0044】<細胞培養>8週齢のBalb/c雌性マ
ウスから骨髄液(骨髄細胞)を採取した。この骨髄液
(骨髄細胞)を培地(シグマ社製RPMI−1640;
1000mL、インビトロジェン社製ウシ胎仔血清;1
00mL、エンドゲン社製SCF;10μg、エンドゲ
ン社製IL−4;30μg、インビトロジェン社製ペニ
シリン;100kU、インビトロジェン社製ストレプト
マイシン;100mg、インビトロジェン社製メルカプ
トエタノール;4.3mg(最終濃度50 μM)、インビ
トロジェン社製非必須アミノ酸溶液10mM;10m
l)に縣濁し、細胞濃度;2×106個/mlの細胞縣
濁液を得た。この細胞懸濁液5mlを培養基材(ディッ
シュ1)に加えて(細胞数:1×107個/ディッシ
ュ)、37℃、5体積%CO2で培養した。培地交換は
3日おきに行った。細胞播種後18及び21日目に、ア
ルシアンブルー・サフラニン染色で細胞を染色し、アル
シアンブルー、サフラニンともに陽性の細胞、即ち成熟
度の高い組織結合型肥満細胞様の細胞(成熟肥満細胞)
の、全細胞に対する比率を求め、この結果を表1に示し
た。
【0045】<実施例2> <細胞培養プレートの作製>特表平3−502935号
公報中の実施例記載の方法に準じて、(Gly Ala Gly Al
a Gly Ser)9配列(10)とIle Lys Val Ala Val配列
(7)とを7個含むMn約9万の遺伝子組換え大腸菌の
産生蛋白質"SLPL"を作製した。次いで、SLPLの
4.5規定の過塩素酸リチウム溶液(SLPLの濃度;
1mg/ml)をリン酸バッファー液(PBS)でSL
PFの濃度が10μg/mlとなるように希釈し、Pn
L溶液を作製した。旭テクノグラス製60mmφ細胞培
養ディッシュにPnL溶液を1.5ml加え、室温で1
週間放置して乾燥した(SLPLの塗布量=15μg/
ディッシュ)。さらにPBS5mlで2回洗浄して、培
養基材(ディッシュ2)を得た。[SLPL含有量:約
0.5μg/cm2
【0046】<細胞培養>ディッシュ1の代わりにディ
ッシュ2を用いた以外は実施例1と同様に細胞培養を行
い、細胞播種後18及び21日目に、全細胞中の成熟肥
満細胞の割合を測定し、この結果を表1に示した。
【0047】<実施例3> <細胞培養プレートの作製>実施例2の培養基材(ディ
ッシュ2)をそのまま使用した。 <細胞培養>8週齢のBalb/c雌性マウスから骨髄
液(骨髄細胞)を採取した。この骨髄液(骨髄細胞)を
培地(シグマ社製RPMI−1640;1000mL、
インビトロジェン社製ウシ胎仔血清;100mL、エン
ドゲン社製SCF;10μg、エンドゲン社製IL−
4;30μg、エンドゲン社製IL−3;10μg、イ
ンビトロジェン社製ペニシリン;100kU、インビト
ロジェン社製ストレプトマイシン;100mg、インビ
トロジェン社製メルカプトエタノール;4.3mg(最
終濃度50 μM)、インビトロジェン社製非必須アミノ酸
溶液10mM;10ml)に縣濁し、細胞濃度;2×1
6個/mlの細胞縣濁液を得た。この細胞懸濁液5m
lを培養基材(ディッシュ1)に加えて(細胞数:1×
107個/ディッシュ)、37℃、5体積%CO2で培養
した。培地交換は3日おきに行った。細胞播種後18日
目に、アルシアンブルー・サフラニン染色で細胞を染色
し、アルシアンブルー、サフラニンともに陽性の細胞、
即ち成熟度の高い組織結合型肥満細胞様の細胞(成熟肥
満細胞)の、全細胞に対する比率を求め、この結果を表
2に示した。
【0048】<比較例1>培養基材(ディッシュ1)の
替わりに、旭テクノグラス製35mmφ細胞培養ディッ
シュを比較用の培養基材(ディッシュ3)としてそのま
ま使用すること以外は実施例1と同様に細胞培養を行
い、細胞播種後18及び21日目に、全細胞中の成熟肥
満細胞の割合を測定し、この結果を表1に示した。
【0049】<比較例2>旭テクノグラス製35mmφ
コラーゲンコート細胞培養ディッシュを培養基材(ディ
ッシュ4)として用いて、ヘパリン処理した臍帯血をフ
ィコール・ハイパック液(比重1.077、シグマ社)
に重層して300×gで30分間室温で遠心して単核球
を分離した後、これをRPMI1640培地(日水製
薬)に懸濁した。なお、RPMI1640培地には、さ
らに、10%のFBS{ギブコ社(→インビトロジェン
社)}、50μMの2−メルカプトエタノール、4mM
のL−グルタミン、100U/mlのペニシリン及び5
0μg/mlのストレプトマイシンが加えられている。
次いで、懸濁液の単核球数濃度を2×106個/mlに
調製したもの5mlを、培養基材(ディッシュ4)に播
種し、実施例1と同様に細胞培養を行い、細胞播種後1
8及び21日目に、全細胞中の成熟肥満細胞の割合を測
定し、この結果を表1に示した。また、6週間培養した
段階で、上記培養細胞を、別途定法によって作製した肺
由来の繊維芽細胞の単層培養の上に移し、50ng/m
lのSCFの存在下で共培養した。2ヶ月後、全細胞中
の成熟肥満細胞の割合を測定した結果、成熟肥満細胞の
割合は20.0%であった。
【0050】<比較例3>培養基材(ディッシュ2)の
替わりに、旭テクノグラス製35mmφ細胞培養ディッ
シュを比較用の培養基材(ディッシュ3)としてそのま
ま使用すること以外は実施例3と同様に細胞培養を行
い、細胞播種後18日目に、全細胞中の成熟肥満細胞の
割合を測定し、この結果を表2に示した。
【0051】
【表1】
【0052】表1に示すように、比較例1の培養18日
目では成熟肥満細胞の割合が低く、さらに21日目では
殆どの細胞が死滅してしまい、培養が維持できなかっ
た。これに対し、実施例1及び2の培養18日目では成
熟肥満細胞の割合が極めて高く、さらに21日目でも高
水準を維持していることが判る。また、従来知られてい
る方法によっては、21日後の成熟肥満細胞の割合は非
常に低いものであり、また、その後、繊維芽細胞との共
培養を2ヶ月間行っても、つまり、3.5ヶ月間細胞培
養したにもかかわらず、成熟肥満細胞の割合は20%に
到達したにすぎなかった。
【0053】
【表2】 表2に示すように、比較例3では成熟肥満細胞が全く検
出されなかったが、実施例3では成熟肥満細胞が明らか
に検出されていることが分かる。
【0054】
【発明の効果】本発明の成熟肥満細胞の生産方法を用い
ることによって、簡単な操作で短期間に成熟した肥満細
胞を得ることができ、また、長時間維持することができ
る。これによって、成熟肥満細胞を用いるアレルギーの
研究開発や医薬品の生産が容易になることの他、サイト
カイン等の生産も容易になるため、非常に有用である。
【0055】
【配列表】 <110>三洋化成工業株式会社;SANYO CHEMICAL INDUSTRIES,LTD. <120>成熟肥満細胞の生産方法 <130>P5838 <150>特願2002-028246 <151>2002-2-5 <160>11 <210>1 <211>4 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>1 Arg Glu Asp Val 1 <210>2 <211>5 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>2 Tyr Ile Gly Ser Arg 1 5 <210>3 <211>5 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>3 Pro Asp Ser Gly Arg 1 5 <210>4 <211>7 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>4 Arg Tyr Val Val Leu Pro Arg 1 5 <210>5 <211>6 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>5 Leu Gly Thr Ile Pro Gly 1 5 <210>6 <211>10 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>6 Arg Asn Ile Ala Glu Ile Ile Lys Asp Ile 1 5 10 <210>7 <211>5 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>7 Ile Lys Val Ala Val 1 5 <210>8 <211>4 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>8 Asp Gly Glu Ala 1 <210>9 <211>6 <212>PRT <213>Bombyx mori <400>9 Gly Ala Gly Ala Gly Ser 1 5 <210>10 <211>54 <212>PRT <213>Bombyx mori <400>10 Gly Ala Gly Ala Gly Ser Gly Ala Gly Ala Gly Ser Gly Ala Gly Ala 1 5 10 15 Gly Ser Gly Ala Gly Ala Gly Ser Gly Ala Gly Ala Gly Ser Gly Ala 20 25 30 Gly Ala Gly Ser Gly Ala Gly Ala Gly Ser Gly Ala Gly Ala Gly Ser 35 40 45 Gly Ala Gly Ala Gly Ser 50 <210>11 <211>30 <212>PRT <213>Artificial Sequence <400>11 Gly Ala Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro Gly 1 5 10 15 Ala Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro 20 25 30

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】細胞接着シグナルを現わす最小アミノ酸配
    列を1分子中に少なくとも1個含有してなるポリペプチ
    ド(B)を有する培養基材と、サイトカイン(C)を有
    する培地とを用いて未成熟肥満細胞(D)を成熟肥満細
    胞(A)へ分化誘導する工程を含むことを特徴とする成
    熟肥満細胞(A)の生産方法。
  2. 【請求項2】成熟肥満細胞(A)が、骨髄液中の未成熟
    肥満細胞(D)から分化させた成熟肥満細胞である請求
    項1に記載の生産方法。
  3. 【請求項3】細胞接着シグナルを現わす最小アミノ酸配
    列の数がポリペプチド(B)1分子当たり3〜50個で
    ある請求項1又は2に記載の生産方法。
  4. 【請求項4】細胞接着シグナルを現わす最小アミノ酸配
    列が、Arg Gly Asp配列、Leu Asp Val配列、Arg Glu As
    p Val配列(1)、Tyr Ile Gly Ser Arg配列(2)、Pr
    o Asp Ser Gly Arg配列(3)、Arg Tyr Val Val Leu P
    ro Arg配列(4)、Leu Gly Thr Ile Pro Gly配列
    (5)、Arg Asn Ile Ala Glu Ile Ile Lys Asp Ile配
    列(6)、Ile Lys Val Ala Val配列(7)、Leu Arg G
    lu配列、Asp Gly Glu Ala配列(8)及びHis Ala Val配
    列からなる群より選ばれる少なくとも1種の配列である
    請求項1〜3のいずれかに記載の生産方法。
  5. 【請求項5】ポリペプチド(B)が、さらにGly Ala Gl
    y Ala Gly Ser配列(9)を少なくとも2個有してなる
    請求項1〜4のいずれかに記載の生産方法。
  6. 【請求項6】ポリペプチド(B)の含有割合が、培養基
    材の培養表面積100cm2あたり、0.1μg以上1
    00mg以下である請求項1〜5のいずれかに記載の生
    産方法。
  7. 【請求項7】サイトカイン(C)がインターロイキン及
    び/又は幹細胞因子である請求項1〜6のいずれかに記
    載の生産方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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