JP2003269151A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

内燃機関の排気浄化装置

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JP2003269151A
JP2003269151A JP2002072809A JP2002072809A JP2003269151A JP 2003269151 A JP2003269151 A JP 2003269151A JP 2002072809 A JP2002072809 A JP 2002072809A JP 2002072809 A JP2002072809 A JP 2002072809A JP 2003269151 A JP2003269151 A JP 2003269151A
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engine
fuel ratio
poisoning
exhaust
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Hiroshi Tanaka
比呂志 田中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 NOX吸蔵還元触媒のSOX被毒解消操作を効
率的に実施する。 【解決手段】 機関1の排気通路2にNOX吸蔵還元触
媒7を配置し、機関のリーン空燃比運転中に排気中のN
Xを触媒7に吸蔵し、機関の空燃比を短時間リッチ空
燃比に切換えて吸蔵したNOXを還元する。電子制御ユ
ニット(ECU)30は触媒7中にSOXが蓄積されて
NOX吸蔵能力が低下するSOX被毒が生じた場合に、触
媒を高温かつリッチ空燃比に保持するSOX被毒解消操
作を行う。ECUは、機関の運転領域を複数領域に分割
し、各運転領域毎に実行するSOX被毒解消操作の種類
を予め設定するとともに、触媒7のNOX吸蔵能力が予
め定めた判定値より低下した場合にはNOX吸蔵還元触
媒のSOX被毒が生じたと判定し、その領域に対応した
SOX被毒解消操作を行う。これにより、機関運転状態
に適した、効率的なSOX被毒解消操作が行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の排気浄
化装置に関し、詳細には排気中の特定物質の吸収または
吸着により低下した触媒の排気浄化能力を効率的に回復
させることが可能な内燃機関の排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】排気中の特定物質の吸収または吸着によ
り排気浄化能力が低下するNOX浄化触媒としては、例
えば、流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中の
窒素酸化物(NOX)を吸着、吸収またはその両方にて
選択的に吸蔵保持し、流入する排気の空燃比が理論空燃
比またはリッチ空燃比となったときに、吸蔵したNOX
を排気中の還元成分を用いて還元浄化するNOX吸蔵還
元触媒が知られている。NOX吸蔵還元触媒は、排気中
に硫黄酸化物(SOX)が存在すると、NOXの場合と同
様に排気中のSOXが吸着または吸収によりNOX吸蔵還
元触媒中に吸蔵されてしまう。また、NOXの場合と異
なり、NOX吸蔵還元触媒に吸蔵されたSO Xは、排気の
空燃比が理論空燃比またはリッチ空燃比になった場合で
もNOXが還元される程度の温度ではNOX吸蔵還元触媒
から放出されないため、機関運転中NOX吸蔵還元触媒
内に吸蔵されるSOX量は徐々に増大するようになる。
【0003】ところが、NOX吸蔵還元触媒中に吸蔵保
持されたSOX量が増大すると、それに応じて触媒のう
ちNOXを吸蔵可能な容積部分が減少してしまう。この
ため、NOX吸蔵還元触媒の吸蔵保持するSOX量が増大
するにつれてNOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵能力が低下
するようになり吸蔵されずに触媒を通過するNOX量が
増大するようになる。すなわち、排気中のNOXのうち
触媒により浄化されないNOXの量が増大して排気エミ
ッションの悪化が生じる。本明細書では、SOXの吸蔵
により触媒のNOX吸蔵能力が低下、すなわちNOX吸蔵
還元触媒のNOX浄化能力が低下する現象を「NOX吸蔵
還元触媒のSOX被毒」と称している。つまり、NOX
蔵還元触媒は排気中の特定物質である硫黄酸化物の吸着
または吸収により被毒が生じ排気浄化能力が低下するの
である。
【0004】このようにSOXの吸蔵により低下したN
X吸蔵還元触媒のNOX浄化能力は、吸蔵したSOX
NOX吸蔵還元触媒から放出させることにより回復可能
である。しかし、吸蔵したSOXをNOX吸蔵還元触媒か
ら放出させるためにはNOX吸蔵還元触媒による通常の
NOX還元時と同様に排気の空燃比を理論空燃比または
その近傍のリッチにするだけでなく、排気温度を通常の
NOX還元時より高く設定する、通常のNOX還元操作と
は異なる条件の被毒解消操作を実行する必要がある。
【0005】例えば、この種の被毒解消操作を行いNO
X吸蔵還元触媒のSOX被毒を解消するようにした内燃機
関の排気浄化装置の例としては、特開平8−10063
9号公報に記載されたものがある。
【0006】同公報の装置は機関排気通路に、流入する
排気の空燃比がリーンのときに排気中のNOXを吸蔵保
持し、流入する排気の空燃比が理論空燃比またはリッチ
空燃比となったときに、吸蔵したNOXを排気中の還元
成分を用いて還元浄化するNOX吸蔵還元触媒を配置し
ている。そして、機関運転中にNOX吸蔵還元触媒の硫
黄(SOX)吸収量を推定し、推定したSOX吸収量が予
め定めた一定量以上になった場合には、機関の点火時期
遅角と空燃比のリッチ化、或は点火時期遅角とNOX
蔵還元触媒への二次空気供給、バーナー加熱などの手段
を用いて触媒温度を上昇させてNOX吸蔵還元触媒のS
X被毒解消操作を行う。これにより、NO X吸蔵還元触
媒には通常より高温かつ空燃比の低い排気が供給される
ため、NOX吸蔵還元触媒に吸蔵された硫黄(SOX)が
放出され、NOX吸蔵還元触媒のNO X浄化能力が回復す
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記特開平
8−100639号公報の装置では、効率的にSOX
毒解消を行うことができない場合がある。例えば上記公
報の装置では、点火時期遅角、バーナー加熱、二次空気
供給などの種々の触媒加熱手段を開示しているものの、
これらの手段を使い分けるものではなく、基本的には機
関の運転条件にかかわらず常に同一の方法(例えば点火
時期遅角)を用いて触媒を加熱し、SOX被毒解消を行
う。
【0008】しかし、上記公報に開示された触媒の加熱
方法はそれぞれ昇温効果や機関の運転、或は燃料消費量
に与える影響の程度が異なっている。例えば、機関が排
気温度の高い運転状態で運転されている場合には、点火
時期をわずかに遅角させるだけで被毒解消操作に必要な
温度まで触媒温度を上昇させるのに充分な排気温度を得
ることができる。点火時期をわずかに遅角させる程度の
被毒解消操作であれば、機関の性能や燃料消費率への影
響は少ない。しかし、機関が排気温度の低い状態で運転
されている場合には、触媒温度を被毒解消操作に必要な
温度まで上昇させるためには点火時期の遅角では不十分
であり、他の手段(例えば触媒上で燃料を燃焼させる)
等の手段が必要となる。このようなSOX被毒解消操作
を行うと機関の運転や燃料消費率に与える影響が比較的
大きくなる。
【0009】このため、運転状態にかかわらず同一の被
毒解消操作を行っていたのでは触媒の温度上昇が不十分
になり充分な被毒解消を行うことができない場合や、或
は機関の燃費が悪化したりする場合が生じるのである。
本発明は上記問題に鑑み、機関運転状態にかかわらず確
実に、かつ効率的にNOX吸蔵還元触媒の被毒解消操作
を行うことを可能とする内燃機関の排気浄化装置を提供
することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、機関排気系に配置され、排気中のNOXを浄化
するとともに排気中の特定物質を吸着もしくは吸収によ
り保持し、保持量の増大に応じて前記NOXの浄化能力
が低下するNOX浄化触媒と、前記特定物質の保持量増
大により前記NOX浄化触媒のNOX浄化能力が低下した
ときに、前記NO X浄化触媒から前記特定物質を放出さ
せてNOX浄化能力を回復させる被毒解消操作を行う被
毒解消手段とを備えた内燃機関の排気浄化装置におい
て、前記被毒解消手段は、予め定められた複数の種類の
被毒解消操作の中から機関の運転状態に応じて選択した
被毒解消操作を実行し、前記NOX浄化触媒から前記特
定物質を放出させることを特徴とする、内燃機関の排気
浄化装置が提供される。
【0011】また、請求項2に記載の発明によれば、前
記被毒解消操作は、機関排気空燃比を理論空燃比または
リッチ空燃比とするとともに、排気温度を予め定めた温
度以上に上昇させる操作である、請求項1に記載の内燃
機関の排気浄化装置が提供される。
【0012】すなわち、請求項1と2の発明では被毒解
消手段は複数の種類の被毒解消操作の中から、機関の運
転状態に応じて最も適切な被毒解消操作を選択、実行す
る。例えば、特定物質による被毒の例としてNOX吸蔵
還元触媒のSOX被毒について考えると、SOXをNOX
吸蔵還元触媒から放出させて被毒を解消するためには、
機関排気空燃比をリッチまたは理論空燃比にするととも
に、触媒温度をSOXが放出させる温度まで上昇させる
必要がある。この場合、機関負荷が比較的高く排気温度
が上昇しているような状態では、機関点火時期をわずか
に遅角させるだけで機関の性能に与える影響を最小限に
しながらNOX吸蔵還元触媒がSOX放出温度になる程度
に排気温度上昇させることができる。従って、このよう
に機関が排気温度の高い状態で運転されているときにも
一律に触媒上で燃料を燃焼させることにより触媒の温度
を上昇させたのでは、不要に機関の燃料消費を増大させ
る結果になる。
【0013】一方、機関排気温度が低い場合には機関点
火時期を遅角させたのみでは排気温度は触媒をSOX
出温度まで昇温させるのに充分な程上昇しない。このた
め、このような場合にまで一律に点火時期の遅角のみに
よって触媒温度を上昇させようとしたのでは、触媒の充
分な温度上昇が得られず、充分に被毒を解消することが
できなくなる。
【0014】本発明では機関運転状態に応じて被毒解消
操作を選択することによりこの問題を解決している。例
えば、機関が排気温度の低い状態で運転されており、被
毒解消のために触媒を大幅に昇温させなければならない
ような場合には、被毒解消手段は、燃料を触媒上で燃焼
させるなどの大幅に触媒温度を上昇させる方法を用いて
触媒の昇温を行う。これにより、触媒の温度が不足する
ことなく充分な被毒解消操作を行うことが可能となる。
【0015】また、機関が排気温度の高い状態で運転さ
れており、被毒解消のための触媒温度上昇幅が比較的小
さい場合には、被毒解消手段は点火時期遅角などのよう
に触媒温度の上昇幅は小さいが機関性能に与える影響が
比較的少ない方法を用いて被毒解消操作を行う。これに
より、機関の燃料消費量等に与える影響を最小限に抑制
しつつ充分な被毒解消操作を行うことが可能となる。
【0016】すなわち、本発明では、複数の被毒解消操
作の中から機関運転状態に応じて最適なものを選択して
実行することにより、確実に、かつ効率的にNOX浄化
触媒のNOX浄化能力を回復させるこが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を用いて本発明の
実施形態について説明する。図1は本発明を自動車用内
燃機関に適用した場合の実施形態の概略構成を示す図で
ある。図1において1は自動車用内燃機関を示す。本実
施形態では、機関1は#1から#4の4つの気筒を備え
た4気筒ガソリン機関とされ、各気筒には気筒内に直接
燃料を噴射する筒内燃料噴射弁(図示せず)が設けられ
ている。本実施形態の内燃機関1は、理論空燃比より高
い(リーン)空燃比から理論空燃比より低い(リッチ)
空燃比までの広い範囲の空燃比で運転可能な機関とされ
ている。
【0018】また、本実施形態では#1から#4の気筒
はそれぞれが互いに点火時期が連続しない2つの気筒か
らなる2つの気筒群にグループ分けされている。(例え
ば、図1の実施形態では、気筒点火順序は1−3−4−
2であり、#1、#4の気筒と#2、#3の気筒とがそ
れぞれ気筒群を構成している。)各気筒の排気ポートは
気筒群毎に排気マニホルドに接続され、気筒群毎の排気
通路に接続されている。図1において、21aは#1、
#4気筒からなる気筒群の排気ポートを個別排気通路2
aに接続する排気マニホルド、21bは#2、#3気筒
からなる気筒群の排気ポートを個別排気通路2bに接続
する排気マニホルドである。本実施形態では、個別排気
通路2a、2b上には、公知の三元触媒からなるスター
トキャタリスト(以下「SC」と呼ぶ)5aと5bがそ
れぞれ配置されている。また、個別排気通路2a、2b
はSC下流側で共通の排気通路2に合流している。
【0019】図1に29a、29bで示すのは、個別排
気通路2a、2bのスタートキャタリスト5a、5b上
流側に配置された空燃比センサである。空燃比センサ2
9a、29bは、広い空燃比範囲で排気空燃比に対応す
る電圧信号を出力するセンサで、その出力は機関1の空
燃比制御に使用される。本実施形態では、合流後の排気
通路2には、NOX吸蔵還元触媒7が配置されている。
NOX吸蔵還元触媒7は、流入する排気の空燃比がリー
ンのときに排気中のNOXを吸着、吸収またはその両方
にて選択的に保持(吸蔵)し、流入する排気の空燃比が
理論空燃比またはリッチ空燃比となったときに、吸蔵し
たNOXを排気中の還元成分を用いて還元浄化するもの
である。
【0020】図1に9bで示すのは、NOX吸蔵還元触
媒7に流入する排気の温度を低下させるための冷却排気
通路として機能するU字排気管である。排気管9bは、
U字型(正確にはループ状)の排気管の両端を排気通路
2のNOX吸蔵還元触媒7入口部分9aに接続した構成
とされる。排気管9aへのU字排気管9b接続部9には
切換弁9cが設けられている。切換弁9cは、排気をU
字排気管9bを通ってNOX吸蔵還元触媒7に流入させ
る位置と、直接入口配管9aを通ってNOX吸蔵還元触
媒7に流入する位置との2つの位置に切換可能とされ、
後述するNOX吸蔵還元触媒7の温度調整に用いられ
る。
【0021】図1に30で示すのは、機関1の燃料噴射
制御、点火時期制御等の基本制御を行う電子制御ユニッ
ト(ECU)である。ECU30は、ランダムアクセス
メモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、中
央演算装置(CPU)を双方向性バスで互いに接続した
公知の形式のマイクロコンピュータとして構成され、本
実施形態では上記基本制御の他に、NOX吸蔵還元触媒
7の吸蔵したNOX量の増大に応じて短時間機関を理論
空燃比またはリッチ空燃比で運転して触媒7の吸蔵した
NOXを還元する公知のNOX還元操作を行うと共に、N
X吸蔵還元触媒7のSOX吸蔵(SOX被毒)により低
下したNOX浄化能力低下を回復させるために、後述す
るNOX吸蔵還元触媒7のSOX被毒解消操作を行う。
【0022】これらの制御のため、ECU30の入力ポ
ートには機関1の吸気量、回転数、冷却水温度、アクセ
ル開度(スロットルペダルの踏込み量)等の運転状態を
表すパラメータがそれぞれ図示しないセンサから入力さ
れている他、NOX吸蔵還元触媒7に流入する排気温度
TEXに対応する信号がNOX吸蔵還元触媒7入口排気
管9aに配置された排気温度センサ9dから入力されて
いる。ECU30の出力ポートは、燃料噴射弁や点火プ
ラグ(図示せず)に接続されている他、上述の排気切換
弁9cのアクチュエータ(図示せず)に接続され、切換
弁9cの動作を制御している。
【0023】また、本実施形態ではNOX吸蔵還元触媒
7下流側の排気通路には排気中のNOX濃度を検出する
NOXセンサ10が配置されており、NOX濃度に対応す
る出力信号がECU30に入力されている。本実施形態
で使用されるNOXセンサは、内蔵した還元触媒により
排気中のNOX(NO、NO2)をNO→(1/2)N 2
+(1/2)O2、またはNO2→(1/2)N2+O2
反応により還元し、それにより発生した酸素の量を検出
することにより排気中のNOX濃度を算出する形式のも
のである。
【0024】前述したように、NOX吸蔵還元触媒7は
流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中のNOX
を選択的に吸蔵し、排気の空燃比が理論空燃比又はリッ
チになったときに、吸蔵したNOXを排気中の還元物質
を用いてN2に還元浄化する。本実施形態の内燃機関1
は、リーン空燃比からリッチ空燃比までの広い範囲の空
燃比で運転可能であり、機関負荷が高い領域を除いた大
部分の運転領域ではリーン空燃比運転を行う。
【0025】機関がリーン空燃比運転されている状態で
は、NOX吸蔵還元触媒7を通過する排気中のNOXはN
X吸蔵還元触媒7に吸蔵され排気中から除去される。
また、リーン空燃比運転が継続すると、NOX吸蔵還元
触媒7中に吸蔵されたNOX量が増大し、次第にNOX
蔵還元触媒7中に保持可能な限界量(最大吸蔵量)に近
づくようになる。触媒7に吸蔵されたNOX量が最大吸
蔵量に到達するとNOX吸蔵還元触媒7はもはやNOX
吸蔵することはできず、排気中のNOXは触媒7に吸蔵
されることなくそのまま触媒7を通過するようになる。
また、最大吸蔵量に到達しないまでも、触媒7のNOX
吸蔵量が最大吸蔵量に近づくと触媒7のNOX吸蔵能力
は低下し、流入する排気中のNOXのうち触媒7に吸蔵
されないまま触媒7を通過するNOX量が増大するた
め、エミッションが悪化するようになる。
【0026】NOX吸蔵還元触媒7のNOXの理論上の最
大吸蔵量は触媒7の組成と容量とにより定まる。そこ
で、本実施形態では機関のリーン運転中NOX吸蔵還元
触媒7に吸蔵されたNOX量を推定し、この推定NOX
が触媒7の理論上の最大NOX吸蔵量の所定割合に到達
したときに短時間機関を理論空燃比またはリッチ空燃比
で運転するリッチスパイク操作を行うことにより、NO
X吸蔵還元触媒7に吸蔵されたNOXを還元するようにし
ている。リッチスパイク操作を行うことにより、NOX
吸蔵還元触媒7中に吸蔵されたNOXはN2の形で放出さ
れ、触媒7の吸蔵量はほぼゼロまで低下するためNOX
吸蔵還元触媒7のNOX吸蔵還元能力が回復する。
【0027】ところが、機関の排気には通常、燃料や潤
滑油に含まれる微量の硫黄分の燃焼により生成される硫
黄酸化物(SOX)が含まれている。排気中のSOXはN
Xと同様にリーン空燃比雰囲気でNOX吸蔵還元触媒7
に吸蔵され、リッチ空燃比下でSOXとして触媒7から
放出される。しかし、NOX吸蔵還元触媒7に吸蔵され
たNOXは空燃比を理論空燃比以下にすることにより比
較的低い温度でN2に還元されるのに対して、NOX吸蔵
還元触媒7に吸蔵されたSOXは触媒7の温度を大幅に
上昇させるか、或は触媒7の温度をある程度上昇させて
さらに排気空燃比をリッチにしないとNOX吸蔵還元触
媒7から放出されない。従って、吸蔵したNOXの還元
のために行う通常のリッチスパイクではNOX吸蔵還元
触媒7に吸蔵されたSOXはほとんど触媒から放出され
ず、NOX吸蔵還元触媒7中に吸蔵されたSOXの量は時
間とともに増大するようになる。
【0028】NOX吸蔵還元触媒7中に吸蔵されたSOX
が存在すると、その量に相当するだけNOX吸蔵還元触
媒の吸蔵可能な最大NOX量が低下する。すなわち、N
X吸蔵還元触媒に吸蔵されたSOX量が増大するにつれ
てNOX吸蔵還元触媒の実際のNOX最大吸蔵量が低下す
るようになる。このため、SOX吸蔵量が増大するとN
X吸蔵還元触媒7は吸蔵したNOX量が比較的少量であ
ってもNOX吸蔵能力が低下してしまい排気中のNOX
うち吸蔵されずに触媒7を通過する割合が増大し、排気
エミッションが悪化するようになる。本明細書では、上
述のようにSOX吸蔵量の増大によりNOX吸蔵還元触媒
のNOX吸蔵能力が低下する現象をSOX被毒と称してい
る。
【0029】後述するように、本実施形態ではSOX
蔵によるNOX吸蔵還元触媒7のNO X吸蔵能力の低下を
検出し、予め定めた判定値以下にNOX吸蔵還元触媒の
NOX吸蔵能力が低下している場合にSOX被毒が生じた
と判定する。また、NOX吸蔵還元触媒7にSOX被毒が
生じたと判定された場合には、NOX吸蔵還元触媒7か
ら吸蔵したSOXを放出させる被毒回復操作を行う。
【0030】前述したように、NOX吸蔵還元触媒から
吸蔵したSOXを放出させるためには、NOXの還元のた
めの通常のリッチスパイク時より触媒温度を高くする必
要がある。そこで本実施形態では、NOX吸蔵還元触媒
7の被毒回復操作として、NOX吸蔵還元触媒7に流入
する排気空燃比を理論空燃比またはその近傍のリッチ空
燃比に維持し、NOX吸蔵還元触媒の温度をSOXが放出
される温度まで上昇させる操作を行う。この被毒回復操
作によりNOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵能力は回復し、
排気エミッションの悪化が防止される。
【0031】SOX被毒回復操作では機関運転空燃比を
リッチ側にシフトするとともに、触媒温度を吸蔵SOX
が触媒から放出される温度(SOX放出温度)(例えば
約920度K(約650度C)程度)まで上昇させる必
要がある。ところが、機関運転中には触媒温度は排気温
度にほぼ等しい温度になっており、機関運転状態によっ
て温度が異なっている。例えば高負荷高回転の運転領域
では排気温度はかなり高くなっており、NOX吸蔵還元
触媒温度も上記SOX放出温度近傍まで上昇している。
この状態では、例えば機関運転空燃比を理論空燃比にす
るか、或はそれに加えて機関点火時期をわずかに遅角さ
せる等の操作を行えば機関の運転状態や燃料消費率にほ
とんど影響を与えることなくSOX被毒を解消すること
ができる。
【0032】一方、例えば機関が低負荷低回転運転領域
で運転されている場合には、機関排気温度がかなり低下
しているためNOX吸蔵還元触媒の温度も低くなってい
る。この場合には、単に機関空燃比を理論空燃比にした
り点火時期を遅角させた程度では触媒温度をSOX放出
温度まで上昇させることはできない。例えば、この場合
には機関の気筒のうち一部の気筒をリッチ空燃比で運転
し、他の気筒をリーン空燃比で運転することにより、触
媒上でリッチ空燃比気筒の排気に含まれる未燃炭化水素
をリーン空燃比気筒の排気に含まれる酸素で燃焼させ
る、いわゆる「気筒バンク制御」や、各気筒の膨張行程
または排気行程中に追加の燃料噴射を行い未燃燃料を触
媒に供給して燃焼させるいわゆる「ポスト燃料噴射」等
を実施する必要がある。この場合には機関運転状態や燃
料消費量に対する影響は比較的大きくなる。
【0033】すなわち、SOX被毒解消操作を行う場合
には前述の特開平8−100639号公報の排気浄化装
置のように機関の運転状態にかかわらず同一の操作を行
っていたのでは 充分に触媒の温度を上昇させることが
できないために完全なSOX被毒の解消を行えなかった
り、或は機関の運転状態に与える影響が大きくなったり
する場合が生じ被毒解消を効率的に行うことができな
い。
【0034】そこで、本実施形態では、機関の運転領域
を複数の領域に分割し、それぞれの領域毎に最適なSO
X被毒解消操作、すなわち触媒の温度をSOX放出温度ま
で上昇させることが可能な被毒解消操作のうち、機関の
性能や燃料消費率に与える影響が最も少ない操作を予め
設定している。
【0035】図2は、本実施形態における運転領域の分
割の一例を示す。本実施形態では、図2に示すように機
関負荷(燃料噴射量QJ)と機関回転数NEとを用いて
機関の運転領域を複数の領域Aiに分割し、各領域毎に
後述するそれぞれのSOX被毒解消操作のうちどの操作
を選択するかを予め設定している。
【0036】ここで、機関負荷は機関で燃焼する燃料
量、すなわち燃焼により排気に与えられる熱量と関係
し、機関負荷が大きいほど排気に与えられる熱量は大き
くなる。また、機関回転数は排気流量に関係し機関回転
数が高いほど排気流量も増大する。排気流量が増大すれ
ば、それに応じて排気から触媒に伝達される熱量も増大
するため触媒の温度も高くなる。従って、図2では機関
負荷(NOX発生量)が高い領域ほど、また機関回転数
(排気流量)が大きい領域ほど(すなわち図2の右上の
領域になるほど)触媒がSOX放出温度に到達しやす
く、機関性能や燃料消費率に大きな影響を与えることな
く充分なSOX被毒解消操作を行うことができる。以下
に本実施形態における機関運転領域毎のSOX被毒解消
操作の設定について説明する。
【0037】1)理論空燃比運転(又は理論空燃比運転
+点火時期遅角) 本実施形態では、機関がリーン空燃比運転時で最も高負
荷または高回転で運転されている場合には機関空燃比を
リーン空燃比から理論空燃比に変更、或はそれに加えて
点火時期をわずかに遅角する操作を行う。高負荷、高回
転領域ではリーン空燃比運転であっても排気温度がかな
り高くなっているため、リーン空燃比から理論空燃比へ
のシフトまたは、理論空燃比運転と点火時期遅角を併用
することにより容易に触媒温度をSOX放出温度以上に
昇温するのに充分な程度まで排気温度を上昇させること
ができる。
【0038】図2の機関運転領域のうち、符号(1)を
付した各領域は上記理論空燃比運転によるSOX被毒解
消操作を行う領域である。これらの運転領域では理論空
燃比運転を行うことにより、ほとんど機関性能や燃料消
費率に影響を与えることなく充分なSOX被毒解消操作
を行うことが可能となる。
【0039】2)排気通路の切換 上記の高負荷、高回転領域よりやや負荷、回転数が低い
領域では、理論空燃比運転のみでは排気温度が充分に上
昇しないようになる。本実施形態では、この領域では排
気通路の触媒入口に設けた切換弁9cを、直接排気通路
2から触媒7に排気が流入する位置に切換えることによ
り、高温の排気を触媒7に供給して触媒温度を上昇させ
ている。
【0040】図3(A)、(B)は切換弁9cの位置に
よる排気流の変化を示している。例えば、機関始動時等
のように排気温度が低い場合には本実施形態では排気切
換弁9cを図3(A)の位置に切換える。これにより、
排気は排気通路2からU字排気管9bを通ることなく直
接触媒7に流入するため、比較的温度低下の少ない状態
で触媒7に供給される。これにより、機関始動後に触媒
7を短時間で昇温することができる。
【0041】一方、機関の暖機が完了し排気温度が充分
に上昇した状態では排気切換弁9cは図3(B)の位置
に切換えられる。これにより、機関排気は切換弁9cに
より排気通路2からU字排気管9bとの接続部Aに導か
れてU字排気管9bに流入し、U字排気管9b内を流れ
た後接続部Bから触媒7に流入する。このため、排気は
U字排気管9b壁面からの放熱により冷却され、比較的
温度低下の大きい状態で触媒7に流入するようになる。
これにより、触媒7が過熱状態になることが防止され
る。
【0042】本実施形態では、理論空燃比運転のみでは
排気温度を充分に上昇させることができない運転領域で
は、機関の理論空燃比運転を行うとともに排気切換弁を
図3(A)の位置に切換える。これにより、NOX吸蔵
還元触媒7に流入する排気の温度が上昇するため、理論
空燃比運転のみでは充分な排気温度を得られない運転領
域においても、触媒をSOX放出温度まで加熱すること
が可能となる。排気通路切換によるSOX被毒解消操作
は、前述の理論空燃比運転と同様機関性能や燃料消費率
にほとんど影響を生じない。図2において、符号(2)
を付した各運転領域は上記排気通路の切換によるSOX
被毒解消操作が必要とされる領域である。
【0043】3)気筒のバンク制御 上記の排気通路切換によりSOX被毒解消操作を行う運
転領域より更に低負荷低回転の運転状態では、一部の気
筒をリッチ空燃比で運転し、残りの気筒をリーン空燃比
で運転する気筒のバンク制御により触媒温度を上昇させ
る。
【0044】本実施形態では、第1、第4気筒と第2、
第3気筒とがそれぞれ独立した排気マニホルド21a、
21bに接続され別の気筒群(バンク)を形成してい
る。SOX被毒解消操作を行う場合には、第1、第4気
筒群と第2、第3気筒群のうち一方の気筒群をリッチ空
燃比で運転し、他方の気筒群をリーン空燃比で運転す
る。これにより、リッチ空燃比運転される気筒群からは
未燃炭化水素成分を多く含むリッチ空燃比の排気が排出
され、リーン空燃比運転される気筒群からは酸素を多く
含むリーン空燃比の排気が排出される。これらの排気
は、合流排気通路2で混合して未燃炭化水素と酸素との
両方を多く含む理論空燃比近傍の排気となりNOX吸蔵
還元触媒7に流入する。このため、NOX吸蔵還元触媒
7上では排気中の比較的多量の未燃炭化水素等が酸素と
反応(燃焼)するようになり、反応熱によりNOX吸蔵
還元触媒7温度が上昇するようになる。
【0045】本実施形態では、図2に符号(3)を付し
た比較的低負荷、低回転の運転領域では気筒のバンク制
御により触媒7をSOX放出温度まで加熱する。これら
の領域では、排気温度が低いため触媒をSOX放出温度
まで昇温させるために必要な熱量が比較的大きくなる。
このため、理論空燃比運転(図2に(1)で示す領域)
や排気通路切換(図2に(2)で示す領域)よりも機関
燃料消費率に与える影響が多少大きくなる。
【0046】4)ポスト燃料噴射 機関負荷、回転数が更に低い運転領域では気筒のバンク
制御を行っても充分に触媒温度が上昇しない場合があ
る。本実施形態では、このように非常に負荷、回転数が
低い運転領域ではポスト燃料噴射を行うことにより触媒
温度を上昇させている。
【0047】ポスト燃料噴射においては、リーン空燃比
運転時の通常の燃料噴射に加えて各気筒の膨張行程もし
くは排気行程に燃料噴射を行う。膨張もしくは排気行程
では気筒内温度が低下しているため、膨張、排気行程中
に気筒内に噴射された燃料は燃焼しないまま排気熱によ
り気化し未燃炭化水素となる。このため、ポスト燃料噴
射時には各気筒からリーン空燃比の、酸素を多く含みな
がらしかも多量の未燃炭化水素を含む排気ガスが排出さ
れるようになる。このため、この排気がNOX吸蔵還元
触媒7に到達すると触媒上では排気中の未燃炭化水素が
酸化(燃焼)され、多量の熱が発生するようになる。こ
の、ポスト燃料噴射により気筒に供給される燃料は気筒
内燃焼には関係しないため、比較的多量の燃料をポスト
燃料噴射により気筒に供給しても、機関発生トルクが変
動したり失火が生じることがない。このため、気筒バン
ク制御よりも多くの未燃炭化水素を触媒に供給すること
が可能となり、より低温の運転状態からでも触媒温度を
SOX放出温度に到達させることが可能となる。
【0048】図2に符号(4)を付した各領域は、ポス
ト燃料噴射によるSOX被毒解消操作を行う機関運転領
域である。この領域では、触媒の昇温に多量の熱量が必
要となるため上記に説明したSOX被毒解消操作のうち
最も機関燃料消費率に与える影響が大きくなる。なお、
本実施形態では上記に説明した4種類のSOX被毒解消
操作の中から実行すべき被毒解消操作を機関運転状態に
応じて選択しているが、SOX被毒解消操作は上記4種
類に限定されるわけではない。例えば、NOX吸蔵還元
触媒に電気ヒータ、或は燃料を燃焼させるバーナ等を設
け、上記のポスト燃料噴射によるSOX被毒解消操作に
代えて、もしくは、ポスト燃料噴射を行う領域より更に
低負荷低回転の運転領域において、機関空燃比を理論空
燃比にシフトさせるとともにこのヒータまたはバーナを
作動させて触媒温度を上昇させるSOX被毒解消操作を
行うようにしても良い。
【0049】本実施形態では、NOX吸蔵還元触媒にS
X被毒が生じている場合には、機関運転状態に応じて
選択した上記のSOX被毒解消操作を行うが、そのため
にはNOX吸蔵還元触媒にSOX被毒が生じているか否か
を機関運転中に判定する必要がある。本実施形態では、
NOX吸蔵還元触媒7下流側に配置したNOXセンサ10
出力変化に基づいてNOX吸蔵還元触媒7のSOX被毒発
生の有無を判定する。
【0050】以下、本実施形態におけるSOX被毒判定
方法について説明する。前述したように、本実施形態で
はNOX吸蔵還元触媒が吸蔵したNOXが一定量に到達す
る毎にリッチスパイク操作を行い吸蔵したNOXを還元
するが、NOX吸蔵還元触媒にSOX被毒を生じていない
場合でも、NOX吸蔵還元触媒の下流側排気中のNOX
NOX吸蔵還元触媒に吸蔵されたNOX量が増大するにつ
れて上昇する。
【0051】図4は、NOX吸蔵還元触媒のNOX還元浄
化のためのリッチスパイク操作実行後の、下流側排気中
のNOX濃度RNの時間変化を示し、図4のカーブAは
NOX吸蔵還元触媒にSOX被毒が生じていない場合を、
カーブBはNOX吸蔵還元触媒にSOX被毒を生じNOX
浄化能力が低下している場合を示す。
【0052】図4、カーブAに示すように、NOX吸蔵
還元触媒にSOX被毒が生じていない場合にはNOX吸蔵
還元触媒のNOX最大保持量が大きいため、図4RS点
でリッチスパイクが実行されNOX吸蔵還元触媒中のN
Xが全て還元されるとNOX吸蔵還元触媒は以後のリー
ン空燃比運転では排気中のNOXの大部分を吸蔵するよ
うになり、下流側排気のNOX濃度は大幅に低下する
(図4、Amin点)。また、その後リーン空燃比運転
が続くとNOXの吸蔵量の増大とともに徐々にNOX吸蔵
還元触媒のNOX吸蔵能力が低下するため、触媒下流側
排気中のNOX濃度は時間とともに緩やかに上昇し、次
回のリッチスパイクが実行される時(図4、RS′点)
になっても下流側排気中のNOX濃度は比較的低く維持
される。
【0053】これに対して、SOX被毒が生じたNOX
蔵還元触媒では、図4カーブBに示すように、リッチス
パイク後下流側排気中のNOX濃度は低下するものの、
リッチスパイクによるNOX吸蔵能力の回復幅がSOX
毒のために小さくなっており、リッチスパイク直後の触
媒下流側排気中のNOX濃度はSOX被毒を生じていない
場合(Amin)に較べて高くなる(図4、Bmin
点)。また、この場合リッチスパイク後のリーン空燃比
運転では、比較的急激にNOX吸蔵能力が低下し触媒下
流側排気中のNOX濃度は比較的短時間で大きく上昇す
るようになる。
【0054】本実施形態では、機関のリーン空燃比運転
中の触媒下流側排気中のNOX濃度をNOXセンサ10で
検出し、リッチスパイク実行後のNOX濃度最小値(図
4、Amin、Bmin)が予め定めた所定値(KMI
N)を越えており、かつ現在のNOX濃度が予め定めた
所定値(KMAX)に到達した場合にはSOX被毒によ
りNOX吸蔵還元触媒のNOX浄化能力が低下したと判定
するようにしている。なお、上記の判定値KMIN、K
MAXはNOX吸蔵還元触媒の種類や容量によっても異
なるため、詳細には実際の触媒を用いた実験により決定
する。本実施形態で、上記のようにリッチスパイク後の
NOXセンサ出力最小値と現在のNOXセンサ出力値との
両方が所定値を越えた場合にのみ、SOX被毒によるN
X吸蔵還元触媒のNOX浄化能力の低下が生じたと判定
するのは、NOXセンサの出力の変化(ゼロ点の変動)
の影響を極力小さくするためである。
【0055】また、通常、NOX吸蔵還元触媒の下流側
にNOXセンサを配置した場合には、NOXセンサで検出
した排気中のNOX濃度がある値まで増大した場合にN
X吸蔵還元触媒のNOX吸蔵により生じるNOX吸蔵能
力が低下したと判断してリッチスパイクを実行してい
る。しかし、本実施形態のようにNOX吸蔵還元触媒下
流側のNOXセンサ出力に基づいてSOX被毒によるNO
X吸蔵還元触媒のNOX吸蔵能力の低下を判定する場合に
は、NOXセンサ出力がある値に上昇する毎にリッチス
パイクを実行していたのでは、NOXセンサ下流側のN
X濃度がKMAXに到達する前にリッチスパイクが行
われてしまい、SOX被毒の有無を判定することが困難
になる。そこで、本実施形態では、NOXセンサ出力に
基づいてSOX被毒を判定する場合には、リッチスパイ
クのタイミングはいわゆる「NOXカウンタ」を用いて
判定し、NOXセンサ出力は用いないようにしている。
【0056】すなわち、本実施形態ではECU30はリ
ーン空燃比運転中の機関運転状態(例えば機関負荷(燃
料噴射量)と機関回転数)とに基づいて、その運転状態
における単位時間当りのNOX発生量(mg/sec)
を予め実験により求めておいた関係を用いて算出し、リ
ーン空燃比運転中このNOX発生量に所定の比率を乗じ
た値を積算してNOXカウンタ値を逐次算出する。機関
で単位時間当りに発生するNOX量のうち所定の比率の
量のNOXがNOX吸蔵還元触媒に吸蔵されると仮定する
と、このNOXカウンタ積算値はその時点におけるNOX
吸蔵還元触媒の吸蔵したNOX量に対応する値となる。
ECU30は、このNOXカウンタ値が所定値(例えば
正常なNOX吸蔵還元触媒のNOX最大保持量の60パー
セント程度のNOX吸蔵量に対応する値)に到達したと
きにリッチスパイクを実行し、吸蔵したNOXを還元浄
化する。これにより、NOXセンサ出力を用いることな
くリッチスパイクタイミングを決定することが可能とな
る。
【0057】次に、上述したSOX被毒解消操作につい
て図5、図6を用いて具体的に説明する。図5はSOX
被毒が生じているか否かの有無の判定操作を具体的に示
すフローチャートである。本操作は、ECU30により
一定時間毎に実行されるルーチンにより実施される。図
5の操作では、図4で説明したNOXセンサ10出力に
基づいて推定したNOX浄化能力の低下によりSOX被毒
の有無が判定される。
【0058】図5の操作では、まずステップ501で現
在機関がリーン空燃比運転されているか否かが判定され
る。現在機関がリーン空燃比運転されていない場合に
は、図4の方法でNOX浄化能力(NOX吸蔵能力)を推
定することはできないため、ステップ525に進み、現
在リーン空燃比運転が実行されていないのはリッチスパ
イクを実行中であるためか否かを判定する。現在リッチ
スパイク実行中でない場合は、現在定常的に理論空燃比
またはリッチ空燃比の運転が行われているため本操作は
SOX被毒判定を行うことなく直ちに終了する。また、
ステップ525で現在リッチスパイク実行中であった場
合には、リッチスパイク操作終了後に再度SOX被毒判
定操作を新たに開始するため、ステップ527で今まで
に記憶したNOXセンサ10出力最大値RNMXと最小
値RNMNとを予め定めた初期値RNMX0、RNMN
0に設定する。
【0059】ステップ501で現在機関がリーン空燃比
運転中であった場合には、次にステップ503で現在の
機関負荷(燃料噴射量QJ)と機関回転数NEとが読込
まれる。更に、ステップ505では現在機関が定常運転
されているか否かが判定される。ステップ505では、
読込んだ燃料噴射量QJと機関回転数NEとの前回本操
作実行時からの変化が所定値以下である場合には現在機
関が定常運転されていると判定する。現在機関が定常運
転されていない場合にはSOX被毒の判定は実行せずに
本操作は終了する。
【0060】次いで、ステップ507ではNOXセンサ
10からNOX吸蔵還元触媒7下流側排気中のNOX濃度
RNが読込まれる。また、ステップ509から515で
は、このNOX濃度RNの最大値RNMXと最小値RN
MNとを記憶する。
【0061】そして、ステップ517と519とでは、
ステップ511、515で記憶したNOX濃度最大値R
NMXと最小値RNMNとが、それぞれ予め定めた判定
値KMAX、KMINを越えているか否かを判定する。
図4で説明したように、RNMX>KMAXかつRNM
N>KMINであった場合には、現在NOX吸蔵還元触
媒7のNOX浄化力が低下しておりSOX被毒が生じてい
ると判断される。従って、ステップ517と519との
両方のステップで肯定判定がなされた場合には、ステッ
プ521では、現在NOX吸蔵還元触媒7にSOX被毒が
生じていることを示すフラグFSXが1(被毒)に設定
される。
【0062】また、ステップ523では、理論空燃比フ
ラグRCの値が1にセットされる。理論空燃比フラグR
Cの値が1にセットされると、別途ECU30により実
行される図示しない制御操作によりSOX被毒が解消す
るまで機関が理論空燃比運転されるようになる。機関を
理論空燃比で運転することにより排気中のNOXの量は
低下する。また、NOX吸蔵還元触媒7は理論空燃比近
傍の空燃比領域では酸化還元を同時に行う三元触媒とし
て機能し、NOX浄化能力が低下してもこの三元触媒と
しての能力は低下しない。このためNOX浄化能力が低
下したときに機関を理論空燃比で運転することにより、
排気中のNOXの量を低下させるとともに、NOX吸蔵還
元触媒によりHC、CO、NOXの3成分を同時に浄化
することができ、NOX浄化能力が低下した触媒を通過
してNOXが大気に放出されることが防止される。
【0063】次に、図6はSOX被毒が生じていると判
定された場合のSOX被毒解消操作について説明するフ
ローチャートである。図6の操作は、ECU30により
一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。図6
の操作では、ステップ601で機関負荷QJと回転数N
Eとが読込まれ、ステップ603では、QJとNEとに
基づいて現在の機関の運転領域Aiが図2のいずれの領
域に該当するかが判定される。
【0064】また、ステップ605では、SOX被毒フ
ラグFSXの現在の値FSXが1にセットされているか
否か、すなわちこの運転領域でSOX被毒が生じている
か否かが判定され、生じていない場合(FSX≠1)に
はステップ607以下を実行することなく本操作を終了
する。ステップ605でFSX=1であった場合、すな
わちこの運転領域でSOX被毒が生じていた場合には、
ステップ607で現在の運転領域に設定されている被毒
解消操作(図2の(1):理論空燃比運転のみ、
(2):排気通路切換、(3):気筒バンク制御、
(4):ポスト燃料噴射)を選択するとともに、ステッ
プ609では、被毒解消操作を開始する下限排気温度T
ESiを運転領域に応じて設定する。
【0065】そして、ステップ611では現在の排気温
度TEXが、予め定めた現在の運転領域における被毒解
消操作開始下限温度TESiに到達しているか否かを判
定し、到達していない場合にはそのまま操作を終了し、
排気温度がTESiまで上昇するのを待つ。これによ
り、排気温度が極端に低いような場合にはSOX被毒解
消操作を開始せず、ある程度排気温度が上昇してから被
毒解消操作が開始されるようになるため、触媒昇温に要
する熱量の増大を抑制することができる。なお、図5の
判定操作ではSOX被毒フラグFSXの値が1にセット
されるのと同時に理論空燃比フラグRCの値が1にセッ
トされるため、ステップ611で排気温度が下限温度に
到達しておらずSOX被毒解消操作が開始されない場
合、あるいは一旦温度が上昇したにもかかわらず何らか
の理由で排気温度が低下してSOX被毒解消操作が中断
された場合にも、機関は理論空燃比で運転され、NOX
吸蔵還元触媒のNOX浄化能力低下によりNOXが大気に
放出されることが防止される。
【0066】ステップ611で排気温度が下限値TES
iに到達していた場合には、ステップ613では、ステ
ップ607で選択した種類のSOX被毒解消操作が行わ
れ、ステップ615で被毒解消操作が完了したと判定さ
れるまで被毒解消操作が継続される。ステップ615の
被毒解消操作完了の判定は、例えばステップ613で被
毒解消操作が開始されてから触媒温度がSOX放出温度
以上になっている時間が所定時間以上継続したか否か、
或は被毒解消操作開始後の燃料消費量が所定量以上にな
ったか否かにより判断する。ステップ615でSOX
毒解消操作が完了した場合には、ステップ617と61
9とで、SOX被毒フラグFSXと理論空燃比フラグR
Cの値を0にセットした後操作を終了する。これによ
り、NOX吸蔵還元触媒7がNOX浄化能力を回復した状
態でリーン空燃比運転が再開されるようになる。
【0067】なお、本実施形態では、各運転領域毎にS
X被毒操作実行の下限温度TESiを設定している
が、この下限温度は例えば、各運転領域で理論空燃比運
転を行った場合に最終的に到達する排気温度付近に設定
してもよい。この場合には、SOX被毒判定とともに各
運転領域で理論空燃比運転が行われると、実際に排気温
度が理論空燃比運転に相当する温度まで上昇すると直ち
にSOX被毒解消操作が開始されるようになる。また、
上記下限温度TESiを各運転領域に異なる値に設定す
るのではなく、各運転領域に共通した値に設定するよう
にすることも可能である。
【0068】
【発明の効果】各請求項に記載の発明によれば、NOX
浄化触媒の被毒解消の際に、複数の種類の被毒解消操作
の中から機関運転状態に応じた最適なものを選択して実
行するようにしたため、機関運転状態にかかわらず確実
かつ効率的にNOX浄化触媒の被毒解消を行うことが可
能となる共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用内燃機関に適用した場合の実
施形態の概略構成を示す図である。
【図2】機関運転領域毎の被毒解消操作NOX浄化触媒
設定を示す図である。
【図3】排気通路切換によるNOX吸蔵還元触媒の温度
制御を説明する図である。
【図4】NOX吸蔵還元触媒のNOX浄化能力の推定方法
の一例を示す図である。
【図5】NOX吸蔵還元触媒のSOX被毒判定操作を具体
的に説明するフローチャートである。
【図6】NOX吸蔵還元触媒のSOX被毒解消操作を具体
的に説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…内燃機関本体 2…排気通路 7…NOX吸蔵還元触媒 10…NOXセンサー 30…電子制御ユニット(ECU)
フロントページの続き Fターム(参考) 3G091 AA02 AA10 AA11 AA18 AA28 AB06 AB13 BA04 BA11 BA33 CA18 CA27 CB08 DA01 DA02 DB10 EA01 EA17 EA30 EA32 EA38 FB02 FC02 FC07 GA06 GB01W GB01X GB02W GB03W GB04W GB05W GB06W GB10X GB16X GB17X HA15 HA37 HB05 HB06 4D048 AA06 AB02 AB07 BC01 BD01 BD02 CC25 CC26 DA01 DA02 DA03 DA06 DA08 DA20 EA04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機関排気系に配置され、排気中のNOX
    を浄化するとともに排気中の特定物質を吸着もしくは吸
    収により保持し、保持量の増大に応じて前記NOXの浄
    化能力が低下するNOX浄化触媒と、 前記特定物質の保持量増大により前記NOX浄化触媒の
    NOX浄化能力が低下したときに、前記NOX浄化触媒か
    ら前記特定物質を放出させてNOX浄化能力を回復させ
    る被毒解消操作を行う被毒解消手段とを備えた内燃機関
    の排気浄化装置において、 前記被毒解消手段は、予め定められた複数の種類の被毒
    解消操作の中から機関の運転状態に応じて選択した被毒
    解消操作を実行し、前記NOX浄化触媒から前記特定物
    質を放出させることを特徴とする、内燃機関の排気浄化
    装置。
  2. 【請求項2】 前記被毒解消操作は、機関排気空燃比を
    理論空燃比またはリッチ空燃比とするとともに、排気温
    度を予め定めた温度以上に上昇させる操作である、請求
    項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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