JP2003268720A - プレキャストコンクリート製床版の継手構造 - Google Patents
プレキャストコンクリート製床版の継手構造Info
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Abstract
おいて、ループ筋と介在させる鋼板に新規構成を採り、
継手部の強度を向上させる。 【解決手段】床版(1)の端面(10)を近接させてル
ープ筋(11)どうしを交互に対向進入させると共に、
各ループ筋の対向方向の内側における床版幅方向に鋼板
(3)を配置し、間詰めコンクリート(4)を打設して
隣接する各床版を連結一体化する床版の継手構造におい
て、ループ筋の角部(11a)を熱間加工の屈曲によ
り、略直角のコ字状に形成する。また、鋼板の配置は、
複数枚の連続配置によって行い、かつ各鋼板をループ筋
の角部を結ぶ縦筋(11c)の内側に当接するように、
かつ、引張力が作用する側に配置する。さらに、鋼板の
下端縁に設けた切欠き(30)をループ筋の引張力が作
用する横筋(11b)に嵌合させる。
Description
ンクリート製床版を用いた橋梁路床の構築における床版
の継手構造に関し、特に、床版の継手部の耐力を高めた
プレキャストコンクリート製床版の継手構造に関する。
自動車等の荷重を直接支持するものである。近年、かか
る路床の構築においては、強度の均質化、設計精度の確
保、そして工期の短縮化などの要請から、予め工場にて
製造しておくブロック化されたプレキャストコンクリー
ト製の床版(通称、「PC床版」)が使用されるように
なってきている。
させるための継手部は、図10に示すように、端面から
所定長さ延出した後に湾曲又は屈曲して元の端面に戻る
いわゆるループ状に連続した鉄筋a1(以下、「ループ
筋」と略称する。)を、互いに接近させたPC床版Aの
端面から突出させて交互に対向進入させ、かつ側面視で
重畳するように配置したループ筋a1どうしを締結した
後に、その継手部となる端面間に間詰めコンクリートa
2を打設して一体化させる構造を採っている。このよう
な鉄筋の配置は、荷重により継手部の断面には中立軸C
を境に引張応力と圧縮応力が作用し、コンクリート構造
の引張耐力の脆弱さを補うためのものである。
示されている継手構造は、図11に示すように、PC床
版Bのループ筋b1を矩形状に形成すると共に、ループ
筋b1のそれぞれの内側位置の長手方向に鋼板b3を対
向させて配置した後に、間詰めコンクリートb4を打設
し、ループ筋b1に作用する引張力を間詰めコンクリー
トへの圧縮力に変えて力の伝達を向上させて継手の強度
を向上させるものであった。
に示すPC床版Aの継手構造は、鉄筋自体とコンクリー
トの付着力が元来低いため、適宜な継手強度を得るには
ループ筋a1の突出長を長くせざるを得ず、これに伴っ
て継手部の端面間距離が増大し、この継手部に打設する
間詰めコンクリートa2の量が増大して経済的でないば
かりかフランジd1の幅が小さい主桁Dで構成する橋梁
には適用できない問題があった。
では、ループ筋b1の突出長のバラツキが大きいため、
鋼板b3が継手部の長手方向に長い場合にはループ筋b
1と鋼板b3の間に隙間が発生することから鉄筋と鋼板
の密着性に問題があり、ループ筋b1から鋼板b3へ力
の伝達が悪かった。また、密着性を確保するため鋼板b
3に突起やジベルを設置するなどの措置をしているが、
この鋼板b3では力の伝達に寄与しないばかりかコスト
が嵩み問題であった。
プ筋b1に作用した場合には、引張力が働く鉄筋b2
(以下、「引張筋」と称する。)と鋼板b3は偏心して
いるため、引張筋b2からの鋼板b3への力の伝達の効
率が悪く問題があった。
ものであり、プレキャストコンクリート製床版の継手構
造において、継手部の端面間距離を短くすると共に、ル
ープ筋と介在させる鋼板に新規構成を採ることにより、
継手部断面に作用する引張力への対抗をより効果的に作
用させることを目的としたプレキャストコンクリート製
床版の継手構造を提供する。
に、本願発明にかかるプレキャストコンクリート製床版
の継手構造は以下のように構成している。すなわち、ル
ープ筋(11)を端面から所定間隔で複数個突出させて
成るプレキャストコンクリート製の床版(1)を、互い
の端面(10)を近接させてループ筋(11)どうしを
交互に対向進入させるように配置し、該各ループ筋(1
1)の端面対向方向の内側に帯状の鋼板(3)を床版幅
方向へ配置した後に、近接対向した端面(10)間の継
手部(2)に間詰めコンクリート(4)を打設して隣接
する床版(1)どうしを連結一体化するプレキャストコ
ンクリート製床版の継手構造において、ループ筋(1
1)を熱間加工によって屈曲させて角部(11a)を略
直角としたコ字状に形成したことを特徴としている。
(3)の連続配置によって構成し、かつ各鋼板(3)を
前記ループ筋(11)の角部(11a)を結ぶ縦筋(1
1c)の内側に当接するように配置し、さらに継手部
(2)断面の中立軸(C)より引張力が作用する側に鋼
板(3)を配置したことを特徴としている。
(30)を設け、該切欠き(30)をループ筋(11)
の引張力が作用する横筋(11b)に嵌合させて配置し
たことを特徴としている。
決するための手段の欄で記載した括弧付き符号は、発明
の構成の理解を容易にするため参考として図面符号を付
記したもので、この図面上の形態に限定するものでない
ことはもちろんである。
の継手構造(以下、「継手構造」と略称する。)の具体
的な実施形態例について、図面に基づき詳細に説明す
る。図1は本実施形態例の継手構造で構築する床版全体
とPC床版を示す外観斜視図であり、図2は本実施形態
例の継手構造を示す図1のAA線断面図あり、図3は本
実施形態例の継手構造を示す図1のBB線断面図あり、
図4は本実施形態例のPC床版、及びそのループ筋の形
成方法を示す斜視図であり、図5は本実施形態例の継手
構造における鋼板を示す斜視図であり、図6は本実施形
態例の継手構造における鋼板の配置状態を示す平面図
(A)と斜視図(B)である。
次のようにして連結されて一連一体の路床を構築し、自
動車等の荷重Gを支持している。すなわち、図1に示す
ように、並列状に架設した主桁Dのフランジd1上にP
C床版1の複数個を互いの端面10を近接対向させて配
置し、各端面に突出状に取付けられたループ筋11どう
しを、交互に対向進入させかつ側面視で重畳するように
近接配置して継手部2を構成する。
の縦筋11cの内側(取付けられている端面側)に当接
させ、かつPC床版1の幅方向に延びる鋼板3を互いに
対向させて配置する。最後に、継手部2に間詰めコンク
リート4を打設充填して隣接するPC床版1どうしを連
結一体化して路床を形成するものである。これらの継手
部2の断面は、橋梁の幅員方向側(図1のAA線断面)
では図2に示すようになり、橋梁の橋長方向側(図1の
BB線断面)では図3に示すようになる。
継手構造として機能する継手部2は、PC床版1から突
出したループ筋11、鋼板3、及び打設充填された間詰
めコンクリート4から構成されている。
るものであって、図4に示すように、主桁Dのフランジ
d1に載置する両側の断面積を若干厚くして台形状の形
状を成し、PC床版1の主桁Dと直交する両側(橋梁の
幅員方向側)の下端縁部からは棚板状に突出させたハン
チ13を一体形成している。このハンチ13は、PC床
版1の敷設時に隣接するPC床版1どうしの対向端面間
で目地材20を介して突き当てて、継手部2の下面側を
覆う底型枠として機能する。これにより継手部2に打設
した間詰めコンクリート4の保持を確実なものとしてい
る。
個のループ筋11を等間隔で突出状(又は植設状)に配
列形成しており、このループ筋11の形態は側面視(図
2、図3参照。)で略直角の角部11aを2個もったコ
字状に屈曲され、端面10と角部11aを略水平に連絡
する2本の横筋11bと、2個の角部11aを連絡する
縦筋11cとから成る。そして、上記角部11aは熱間
加工より略直角となるように加工している。本実施形態
例では、鉄筋径が19mmの場合には、内側の曲げ半径
rを約10mm程度に形成している。一方、冷間加工に
よれば、鉄筋径19mmの場合の内側曲げ半径rは、鉄
筋径の略5倍の47.5mmになる。
10からの突出長のバラツキを少なくするため、2個の
角部11aと縦筋11cよりなる屈曲棒12を別体とし
て予め形成しておき、端面10から突出した区々の横筋
11bの突出長さを揃えた後、前記屈曲棒12を横筋1
1bの先端部11dに溶接(又はガス圧接)して一体化
するようにしても良い。
(1ピッチ「P」)に配列形成したループ筋11どうし
が対向進入した状態では、隣接するループ筋11との距
離が1/2Pとなるようにするため、端面10における
ループ筋11の配列を幅方向へ1/2Pずらして形成し
た2種類のタイプを形成しておき、互いに異なるタイプ
のPC床版1が隣接するようにして配設している。
11cの対向側には、鋼板3を配設している。該鋼板3
の配設位置は、荷重Gによって生じる断面力のうち引張
応力が作用する部分側となる。すなわち、図2に示すよ
うに、下に凸曲となる曲げモーメントが作用する橋梁の
幅員方向側の場合には中立軸Cより下側に配置し、図3
に示すように、上に凸曲となる曲げモーメントが作用す
る橋梁の橋長方向の場合には中立軸Cより上側に配置す
るようにしている。
に、鋼材からなる矩形状の板体であり、長手方向の下端
縁にはループ筋11の下側の引張力が作用する横筋11
bに嵌合させる複数の切欠きを形成している。これらの
切欠きには、ループ筋11の1ピッチPに合わせると共
に縦筋11cの当接位置に形成する切欠き30と、対向
進入するループ筋11を避けるための切欠き31を両端
隅部と中心部とに配置している。つまり、鋼板3には1
/2Pごとに交互に切欠き31、30を順番に設けてい
る。また、この鋼板3の縦筋11cの当接位置には、結
束線挿通用の結束穴32を4つ開設している。
は、図1のAA線断面側(橋梁の幅員方向側)で説明す
ると、図6(A)、(B)に示すように、各ループ筋1
1の縦筋11cの対向側であって、当該縦筋11cと当
接させると共に切欠き30、31を所定の横筋11bに
跨ぐように嵌合させて、鋼板3の面に対して横筋11b
がほぼ垂直となるようにして取付けている。そして、か
かる鋼板3を複数枚用いて、PC床版1の幅方向へ面一
となるように連続させて配置し、結束穴32に結束線3
3を通してループ筋11へ強固に固定している。
より、一枚の帯状板を側面から挿入する現場作業を軽減
することができる。また、一枚もの鋼板では全てのルー
プ筋11の縦筋11cへ均一に当接させることが困難で
あると共に、幾つかの縦筋11cに対しては離隔した状
態で施工されていたため、この離隔した部分の間詰めコ
ンクリート4が剥離したりして強度が低下していたが、
本実施形態例のようにループ筋間隔の2倍程度の長さで
形成した鋼板3を複数枚で構成することより、上記設計
誤差を吸収して、全ての縦筋11cへ均一に当接させる
ことができることとなる。
は、継手部2の断面の中立軸Cより下側の引張力が作用
する側になるよう寸法取りしている。
状況であるが、BB線断面側では、鋼板3の配置はルー
プ筋11の上側の横筋11bに引張力が作用するため、
図5、図6に示す状態とは上下逆に配置されることとな
る(図示省略)。
Gの負荷により、次のように作用する。すなわち、図1
のAA線断面側においては、継手部2に下へ凸曲となる
曲げモーメントMが作用し、この場合は、通常、中立軸
Cより下側の間詰めコンクリート4の部分には引張応力
が分布することとなり、対向進入するループ筋11の下
側の横筋11bどうしにおける力の伝達は横筋11b間
詰めコンクリート4と付着力のみにより為されることに
なる。しかし、図7に示すように、ループ筋11の縦筋
11cに鋼板3を対向させて取付けたことにより、ルー
プ筋11の下側の横筋11bに作用する引張力が、縦筋
11cを介して対向した鋼板3の間隔を狭める方向に作
用し、これにより鋼板3の間の間詰めコンクリート4に
は、図示する三角分布状の圧縮応力σが作用することと
なる。これにより、多数が対向進入する下側の横筋11
b、11b、・・・群の間における力の伝達が確実なも
のとなり、継手部2がより一体化してその連結強度が向
上することとなる。
手部2に上へ凸曲となる曲げモーメントMが作用し、こ
の場合は、図8に示すように、応力分布は上記の場合と
上下逆となり、中立軸Cより上側に三角分布した圧縮応
力σが作用することになる。これにより、上記とは逆
に、引張力が作用する上側の横筋11b、11b、・・
・群の間における力の伝達が確実なものとなり、継手部
2の連結強度が向上することとなる。
けて鋼板3を引張力が作用する横筋11bへ嵌合するよ
うに配置したことにより、ループ筋11の横筋11bと
鋼板3の面とがより垂直関係を維持すると共に、鋼板3
の下端側が引張力の作用する横筋11bと重畳すること
となる。その結果、図9(A)に示すように、横筋11
cに作用する引張力Tの作用軸と、鋼板3に分布する圧
縮応力の合力Wの作用軸との偏心距離L(偏心距離)
が、図9(B)に示す従来例の場合より短くなり、この
偏心により縦筋11cへ鋼板3のずれ、及び付近の間詰
めコンクリート4へのせん断力として作用する回転モー
メントを少なく抑えることができる。すなわち、横筋1
1bの引張力Tと上記鋼板3の合力Wとの作用軸が、ほ
ぼ同軸上となりより直接的かつ効率的な伝達が可能とな
る。
下のような効果を有する。即ち、ループ筋の縦筋の対向
側に当接状態で鋼板を対向配置しているため、継手部に
打設した間詰めコンクリートの凸曲外側に分布する引張
応力を直接的にかつ効率的に圧縮応力に変えてループ筋
間の力の伝達を向上させることが可能となり、強度がよ
り向上した継手構造が提供できることになる。
プ状にしたため継手部を短くすることができる。その結
果、打設する間詰めコンクリート容積の減量による工期
の短縮とコスト削減が図れると共に、フランジ幅が狭い
橋梁にも適用可能となり、床版製作施工の柔軟性を向上
することが可能となる。
とPC床版を示す外観斜視図である。
断面図ある。
断面図ある。
の形成方法を示す斜視図である。
斜視図である。
状態を示す平面図(A)と斜視図(B)である。
て荷重による応力分布状態を示す説明図である。
て荷重による応力分布状態を示す説明図である。
構造(B)の力の作用状態を比較した説明図である。
る。
る。
Claims (4)
- 【請求項1】ループ筋(11)を端面から所定間隔で複
数個突出させて成るプレキャストコンクリート製の床版
(1)を、互いの端面(10)を近接させてループ筋
(11)どうしを交互に対向進入させるように配置し、 該各ループ筋(11)の端面対向方向の内側に帯状の鋼
板(3)を床版幅方向へ配置した後に、 近接対向した端面(10)間の継手部(2)に間詰めコ
ンクリート(4)を打設して隣接する床版(1)どうし
を連結一体化するプレキャストコンクリート製床版の継
手構造において、 ループ筋(11)を熱間加工によって屈曲させて角部
(11a)を略直角としたコ字状に形成したことを特徴
とするプレキャストコンクリート製床版の継手構造。 - 【請求項2】帯状の鋼板(3)を、複数枚の鋼板(3)
の連続配置によって構成し、かつ各鋼板(3)を前記ル
ープ筋11の角部(11a)を結ぶ縦筋(11c)の内
側に当接するように配置したことを特徴とする請求項1
記載のプレキャストコンクリート製床版の継手構造。 - 【請求項3】継手部(2)断面の中立軸(C)より引張
力が作用する側に鋼板(3)を配置したことを特徴とす
る請求項1、又は2記載のプレキャストコンクリート製
床版の継手構造。 - 【請求項4】各鋼板(3)の下端縁に切欠き(30)を
設け、該切欠き(30)をループ筋(11)の引張力が
作用する横筋(11b)に嵌合させて配置したことを特
徴とする請求項1、2、又は3記載のプレキャストコン
クリート製床版の継手構造。
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JP2002077133A JP4006481B2 (ja) | 2002-03-19 | 2002-03-19 | プレキャストコンクリート製床版の継手構造 |
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