JP2003267800A - 酸化物イオン伝導性結晶体及びその製造方法 - Google Patents

酸化物イオン伝導性結晶体及びその製造方法

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    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Abstract

(57)【要約】 【課題】良質の酸化物イオン伝導性結晶体を効率的に提
供する。 【解決手段】Rex(MO461.5x-12(但し、Reは
La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及び
Dyの少なくとも1種、MはSi及びGeの少なくとも
1種、8≦x≦9.33を示す。)で示される、1)配
向性多結晶又は2)小傾角粒界を形成する結晶粒子の単
位面積当たりの個数n(個/cm2)が0≦n≦102
ある単結晶から実質的に構成される酸化物イオン伝導性
結晶体及びその製造方法に係る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化物イオン伝導
性結晶体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来より、アパタイト結晶構造(空間群:
P63/m)を有するRex(MO461.5x-12単結晶
又は配向性多結晶(但し、ReはLa、Ce、Pr、N
d、Sm、Eu、Gd、Tb及びDyの少なくとも1
種、MはSi及びGeの少なくとも1種、8≦x≦9.
33を示す。)は、酸化物イオンによる電気伝導を利用
した排ガス中又は溶融金属中の酸素センサー、燃料電池
等の電気化学デバイス等に幅広く利用されている。
【0003】上記組成を有する焼結体の酸化物イオン伝
導性は、安定化ジルコニアとほぼ同じである。その伝導
性の低さの一因である多結晶特有の粒界部分を除くこ
と、あるいは、図8に示すように、上記組成がもつ結晶
構造のために単結晶化により伝導に寄与する2aサイト
の酸化物イオンの伝導路が得られるc軸方向に方位出し
することにより、数桁高い導電性が期待できる。さら
に、高い緻密性を有し、酸素センサー等の電解質に用い
た場合、酸素ガスが透過する等の問題も単結晶化によっ
て解決できることが知られている(特開平11−130
595号等)。
【0004】これら単結晶は、一般にフローティングゾ
ーン法(FZ法)等によって製造されている。ところ
が、FZ法では、直径5〜10mm×長さ50〜60m
m程度のものしか得られず、大型の単結晶をつくること
は困難である。また、これらの方法では、得られる単結
晶中の転位密度が高くないこと、組成不均一等を生じや
すいことと等の結晶育成上の問題がある。
【0005】このような問題を解決する方法として、
(BiTb)3Fe512組成物に関し、その単結晶を焼
成法によって製造することが知られている(特開平8−
91998号公報等)。この方法は、焼結体と単結晶と
をいったん接合し、1300℃程度で加熱・保持するこ
とによって挿入損失の比較的低い(BiTb)3Fe5
12単結晶を製造する方法である。
【0006】また、単結晶と多結晶とを張り合わせ、不
連続粒成長を生じるような温度域で熱処理することによ
って磁気ヘッド用フェライト単結晶を製造する方法が知
られている(特開昭57−92591号、特開昭55−
162496号、特開昭57−92599号等)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の焼成法による単結晶体も、その品質はなお不十分であ
る。すなわち、焼結法による単結晶は、小傾角粒界(亜
粒界)、転位、残留気泡等の欠陥濃度がなお高く、品質
面でなお改善の余地がある。
【0008】これらの欠陥がより低減ないしは解消され
た結晶体を効率的に提供することができれば、これまで
の単結晶体を用いた製品の性能を高めることができると
ともに単結晶体の用途をよりいっそう拡大することがで
きる。
【0009】従って、本発明の主な目的は、酸化物イオ
ン伝導体としてより優れた結晶体を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる従来
技術の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、
特定のプロセスで結晶体を作製することにより上記目的
を達成できることを見出し、ついに本発明を完成するに
至った。
【0011】すなわち、本発明は、下記の酸化物イオン
伝導性結晶体及びその製造方法に係るものである。
【0012】1.Rex(MO461.5x-12(但し、R
eはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb
及びDyの少なくとも1種、MはSi及びGeの少なく
とも1種、8≦x≦9.33を示す。)で示される、 1)配向性多結晶又は 2)小傾角粒界を形成する結晶粒子の単位面積当たりの
個数n(個/cm2)が0≦n≦102である単結晶 から実質的に構成される酸化物イオン伝導性結晶体。
【0013】2.Rex(MO461.5x-12(但し、R
eはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb
及びDyの少なくとも1種、MはSi及びGeの少なく
とも1種、8≦x≦9.33を示す。)で示される、 1)配向性多結晶又は 2)転位密度(但し、小傾角粒界を構成する転位を除
く。)が1×105個/cm2以下である単結晶から実質
的に構成される酸化物イオン伝導性結晶体。
【0014】3.交流複素インピーダンス解析法による
c軸方向の導電率(300℃)が1×10-7Scm-1
上である前記項1又は2に記載の酸化物イオン伝導性結
晶体。
【0015】4.結晶構造が、アパタイト結晶構造であ
る前記項1又は2に記載の酸化物イオン伝導性結晶体。
【0016】5.純度が99.5重量%以上である前記
項1又は2に記載の酸化物イオン伝導性結晶体。
【0017】6.モル比でRe:M(但し、ReはL
a、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及びD
yの少なくとも1種、MはSi及びGeの少なくとも1
種を示す。)が8.00〜11.00:6.00である
組成を有する酸化物粉末を成形し、得られた成形体又は
その焼結体を1000〜1900℃で熱処理して結晶成
長させることにより、Rex(MO461.5x-12単結晶
又は配向性多結晶から実質的に構成される酸化物イオン
伝導性結晶体を製造する方法であって、結晶成長させる
に際し、(a)結晶成長開始部分に対する加熱及び
(b)当該部分以外の末端部に対する冷却の少なくとも
一方の処理を施すことによって、10℃/cm以上の平
均温度勾配を当該成形体又は焼結体に与えることを特徴
とする酸化物イオン伝導性結晶体の製造方法。
【0018】7.酸化物粉末が 1)Reの酸化物粉末(但し、ReはLa、Ce、P
r、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及びDyの少なくと
も1種)と、 2)Mの酸化物粉末(但し、MはSi及びGeの少なく
とも1種を示す。)との混合粉末である前記項6記載の
製造方法。
【0019】8.1)Reの酸化物粉末(但し、Reは
La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及び
Dyの少なくとも1種)における一次粒子径が20〜5
00nm及びBET比表面積が5〜50m2/gであっ
て、かつ、2)Mの酸化物粉末(但し、MはSi及びG
eの少なくとも1種を示す。)における一次粒子径が1
00〜1000nm及びBET比表面積が3〜30m2
/gである前記項7記載の製造方法。
【0020】9.モル比でRe:M(但し、ReはL
a、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及びD
yの少なくとも1種、MはSi及びGeの少なくとも1
種を示す。)が8.00:11.00〜6.00の組成
を有するRex(MO461.5 x-12焼結体に、Rex
(MO461.5x-12単結晶を種子結晶として接触させ
た状態で又は当該単結晶を接触させない状態で、10
00〜1900℃で熱処理して結晶成長させることによ
り、Rex(MO461.5x-12単結晶又は配向性多結晶
から実質的に構成される酸化物イオン伝導性結晶体を製
造する方法であって、結晶成長させるに際し、(a)種
子結晶部分に対する加熱又は配向性多結晶成長の起点と
なる部分に対する加熱及び(b)当該部分以外の末端部
に対する冷却の少なくとも一方の処理を施すことによ
り、10℃/cm以上の平均温度勾配を当該焼結体に与
えることを特徴とする酸化物イオン伝導性結晶体の製造
方法。
【0021】10.Rex(MO461.5x-12(但し、
ReはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、T
b及びDyの少なくとも1種、MはSi及びGeの少な
くとも1種、8≦x≦9.33を示す。)焼結体が相対
密度95%以上である前記項9記載の製造方法。
【0022】11.Rex(MO461.5x-12(但し、
ReはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、T
b及びDyの少なくとも1種、MはSi及びGeの少な
くとも1種、8≦x≦9.33を示す。)単結晶のc軸
面を研磨し、その研磨面をRex(MO461.5x-12
結体に接触させる前記項9記載の製造方法。
【0023】12.研磨面が平均表面粗さRa=1.0
nm以下及び平坦度λ(λ=633nm)以下である前
記項11記載の製造方法。
【0024】13.Rex(MO461.5x-12(但し、
ReはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、T
b及びDyの少なくとも1種、MはSi及びGeの少な
くとも1種、8≦x≦9.33を示す。)焼結体の一部
又は全部を平均表面粗さRa=1.0nm以下及び平坦
度λ(λ=633nm)以下に研磨し、その研磨面をR
x(MO461.5x-12単結晶と接触させる前記項9記
載の製造方法。
【0025】14.Rex(MO461.5x-12(但し、
ReはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、T
b及びDyの少なくとも1種、MはSi及びGeの少な
くとも1種、8≦x≦9.33を示す。)焼結体及びR
x(MO461.5x-12単結晶の少なくとも一方の接触
面に、Re及びMの少なくとも1種を含む水溶液を塗布
する前記項9記載の製造方法。
【0026】15.モル比でRe:M(但し、ReはL
a、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及びD
yの少なくとも1種、MはSi及びGeの少なくとも1
種を示す。)が8.00:11.00〜6.00の組成
を有するRex(MO461 .5x-12焼結体にレーザービ
ームを照射することによりRex(MO461.5x-12
結晶の種子結晶を生成させた後、1000〜1900℃
で熱処理して結晶成長させることにより、Rex(M
461.5x-12単結晶又は配向性多結晶から実質的に
構成される酸化物イオン伝導性結晶体を製造する方法で
あって、結晶成長させるに際し、(a)種子結晶部分に
対する加熱又は配向性多結晶成長の起点となる部分に対
する加熱及び(b)当該部分以外の末端部に対する冷却
の少なくとも一方の処理を施すことにより、10℃/c
m以上の平均温度勾配を当該焼結体に与えることを特徴
とする酸化物イオン伝導性結晶体の製造方法。
【0027】16.レーザービームの波長が0.2〜1
1μm(但し、当該Rex(MO4 61.5x-12の透過波
長を除く。)である前記項15記載の製造方法。
【0028】17.レーザービームの照射エリアが1m
2以下である前記項15記載の製造方法。
【0029】18.1300℃未満で加熱しながら当該
Rex(MO461.5x-12焼結体にレーザービームを照
射する前記項15記載の製造方法。
【0030】19.当該成形体又は焼結体中に、結晶成
長時に液相を形成し得る酸化物を存在させることを特徴
とする前記項6、9又は15に記載の製造方法。
【0031】20.結晶成長させるに際し、昇温速度を
50℃/h以下とすることを特徴とする前記項6、9又
は15に記載の製造方法。
【0032】21.冷却が、冷媒を当該末端部分に吹き
付けることにより実施される前記項6、9又は15に記
載の製造方法。
【0033】22.冷却が、金属又は無機材料からなる
ヒートシンク材を当該末端部分に当接し、当該ヒートシ
ンク材に冷媒を接触させることにより実施される前記項
6、9又は15に記載の製造方法。
【0034】23.昇温速度又は昇温速度と冷媒の
流量の双方を変化させることにより、単結晶又は配向性
多結晶の結晶成長を制御する前記項6、9又は15に記
載の製造方法。
【0035】25.前記項1又は2に記載の酸化物イオ
ン伝導性結晶体を用いたデバイス。
【0036】26.配向性多結晶が、ロットゲーリング
法による結晶配向度50%以上である前記項1又は2に
記載の酸化物イオン伝導性結晶体。
【0037】
【発明の実施の形態】1.酸化物イオン伝導性結晶体 第一発明の酸化物イオン伝導性結晶体は、Rex(M
461.5x-12(但し、ReはLa、Ce、Pr、N
d、Sm、Eu、Gd、Tb及びDyの少なくとも1
種、MはSi及びGeの少なくとも1種、8≦x≦9.
33を示す。)で示される、 1)配向性多結晶又は
2)小傾角粒界を形成する結晶粒子の単位面積当たりの
個数n(個/cm2)が0≦n≦102である単結晶から
実質的に構成される。
【0038】また、第二発明の酸化物イオン伝導性結晶
体は、Rex(MO461.5x-12(但し、ReはLa、
Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及びDyの
少なくとも1種、MはSi及びGeの少なくとも1種、
8≦x≦9.33を示す。)で示される、 1)配向性多結晶又は 2)転位密度(ただし、小傾角粒界を構成する転位を除
く。)が1×105個/cm2以下である単結晶から実質
的に構成される。
【0039】以下、第一発明の結晶体を「第一結晶
体」、第二発明の結晶体を「第二結晶体」、両者を総称
するときは「本発明結晶体」という。
【0040】第一結晶体のうち単結晶は、小傾角粒界
(小傾角境界又は亜粒界ともいう。)を形成する結晶粒
子の単位面積当たりの個数n(個/cm2)が0≦n≦
102(好ましくは0≦n≦80、より好ましくは0≦
n≦50)であることに特徴を有する。単結晶では、結
晶粒界(いわゆる大傾角粒界)は存在しないが、結晶成
長の過程においてある結晶が隣り合う結晶と方位差が生
じ、その結果として小傾角粒界が形成されることがある
(一般的には、粒界での方位差が10゜以下である)。
この小傾角粒界は、傾角粒界(平行に並んだ刃状転位に
より構成された界面)とねじれ粒界(粒界を挟む二つの
結晶の方位が転位面に垂直な方向を軸として互いに回転
した形)の両者が含まれる。すなわち小傾角粒界は、刃
状転位及びらせん転位の複雑な配列により構成される界
面である。小傾角粒界は、単結晶が成長する段階で、そ
の界面に囲まれた領域部分がつくりだされる。すなわ
ち、上記単位面積当たりの個数が多くなれば、小傾角粒
界が多くなることを意味し、それだけ単結晶体としての
品質に劣ることになる。例えば、上記単位面積当たりの
個数が過多となれば、磁気−光学特性が低下する等の問
題が起こり得る。従って、本発明では、上記個数を通常
100個/cm2以下と規定する。
【0041】第二発明の単結晶体は、単結晶体中におけ
る転位密度が通常1×105個/cm2以下(好ましくは
1×104個/cm2以下、より好ましくは1×103
/cm2以下)であることに特徴を有する。単結晶体で
あっても、転位が存在することがあり、その転位密度が
高くなりすぎると小傾角粒界の場合と同様、単結晶体と
しての品質に問題が生じることがある。なお、転位密度
の下限値は特に限定されないが、経済性等の見地からみ
れば通常1×102個/cm2程度とすれば良い。小傾角
粒界は、刃状転位及びらせん転位が三次元的な連続性を
もったものである。つまり、小傾角粒界が界面における
欠陥であるのに対し、転位密度は結晶粒子内部に発生し
た欠陥であって、本発明では両者(小傾角粒界と転位密
度)を区別する。
【0042】本発明単結晶体は、上記の小傾角粒界の規
定とともに上記転位密度の規定を満たしていることが望
ましい。すなわち、本発明の単結晶は、Rex(MO4
61 .5x-12(但し、ReはLa、Ce、Pr、Nd、S
m、Eu、Gd、Tb及びDyの少なくとも1種、Mは
Si及びGeの少なくとも1種、8≦x≦9.33を示
す。)単結晶から実質的に構成され、小傾角粒界を形成
する結晶粒子の単位面積当たりの個数n(個/cm2
が0≦n≦102であり、かつ、転位密度(但し、小傾
角粒界を構成する転位を除く。)が1×105個/cm2
以下であることがより好ましい。
【0043】第一発明の配向性多結晶は、結晶の配向性
の高いものであれば良く、一般的にはロットゲーリング
法による結晶配向度50%以上、特に70%以上である
ことが望ましい。第二発明の配向性多結晶も、結晶の配
向性の高いものであれば良く、一般的にはロットゲーリ
ング法による結晶配向度50%以上、特に70%以上で
あることが望ましい。
【0044】第一結晶体と第二結晶体の組成は共通す
る。すなわち、両者ともに、Rex(MO461.5x-12
(但し、ReはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、
Gd、Tb及びDyの少なくとも1種、MはSi及びG
eの少なくとも1種、8≦x≦9.33を示す。)で示
される組成を有する。上記xは、好ましくは8.5≦x
≦9.3である。具体的な組成としては、Rex(Si
462(但し、ReはLa、Ce、Pr、Nd、S
m、Eu、Gd、Tb及びDyの少なくとも1種)等が
挙げられる。
【0045】第一結晶体と第二結晶体の結晶構造は、と
もにアパタイト結晶構造(空間群:P63/m)である
ことが望ましい。また、本発明結晶体は、交流複素イン
ピーダンス解析法によるc軸方向の導電率(300℃)
が1×10-7Scm-1以上であることが望ましい。
【0046】また、本発明結晶体は、気孔体積が200
体積ppm以下であることが好ましく、特に20体積p
pm以下であることがより好ましい。気孔体積の下限値
は限定的でないが、経済性等の見地より通常1体積pp
m程度とすれば良い。気孔体積が上記範囲に設定される
ことによって、いっそう優れた特性を得ることができ
る。
【0047】本発明結晶体は、組成的に上記組成から実
質的に構成されているが、不可避不純物が含まれていて
も差し支えない。上記成分の純度は高いほど好ましく、
通常は99.5重量%以上、特に99.9重量%以上で
ある。
【0048】本発明結晶体のサイズは特に限定的ではな
いが、通常は1mm3以上の範囲で最終製品の用途等に
応じて適宜変更することができる。また、後記の実施例
に示すように、例えば10cm3以上の結晶体も本発明
に包含される。
【0049】2.製造方法(第一方法) 第一方法は、モル比でRe:M(但し、ReはLa、C
e、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及びDyの少
なくとも1種、MはSi及びGeの少なくとも1種を示
す。)が8.00〜11.00:6.00である組成を
有する酸化物粉末を成形し、得られた成形体又はその焼
結体を1000〜1900℃で熱処理して結晶成長させ
ることにより、Rex(MO461.5x-12単結晶又は配
向性多結晶から実質的に構成される酸化物イオン伝導性
結晶体を製造する方法であって、結晶成長させるに際
し、(a)結晶成長開始部分に対する加熱及び(b)当
該部分以外の末端部に対する冷却の少なくとも一方の処
理を施すことによって、10℃/cm以上の平均温度勾
配を当該成形体又は焼結体に与えることを特徴とする。
【0050】まず、酸化物粉末の調製を行う。酸化物粉
末は、モル比でRe:Mが8.00〜11.00:6.
00(好ましくは8.5〜9.3:6.00)の組成を
有する限りは、1種の酸化物粉末(Re及びMを含む複
合酸化物又は混合酸化物(Rex(MO461.5x-12
末等))又は2種以上の酸化物粉末からなる混合粉末の
いずれであっても良い。
【0051】第一方法では、酸化物粉末が 1)Reの酸化物粉末(但し、ReはLa、Ce、P
r、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及びDyの少なくと
も1種)と、 2)Mの酸化物粉末(但し、MはSi及びGeの少なく
とも1種を示す。)との混合粉末を用いることが好まし
い。
【0052】この場合、上記1)の粉末は、その一次粒
子径が20〜500nmであって、BET比表面積が5
〜50m2/gであることが望ましい。また、上記2)
の粉末は、その一次粒子径が100〜1000nmであ
って、BET比表面積が3〜30m2/gであることが
望ましい。
【0053】なお、これら粉末の一次粒子径は、X線回
折分析における回折ピークの半価幅又はSEM(走査型
電子顕微鏡)若しくはTEM(透過型電子顕微鏡)によ
って求めることができる。すなわち、SEM又はTEM
の場合は任意に選んだ100個の粒子の長径の平均値を
算出することによって求めた値を示す。
【0054】さらに、本発明では、結晶成長時に液相を
形成し得る酸化物を0.01〜1重量%添加しても良
い。例えば、Re23(Reは前記と同じ。)、SiO
2、GeO2等の少なくとも1種を用いることができる。
かかる添加によって、成形体から低融点物質を形成さ
せ、結晶成長させる時に結晶成長界面(単結晶と多結晶
界面)に液相が存在した状態で単結晶を育成することも
できる。この場合、極少量の液相成分が結晶成長界面に
存在することにより液相を介した結晶成長(すなわち、
多結晶体の構成粒子が液相に一旦溶解したあと、単結晶
の成長界面に再析出することを繰り返すこと)でも単結
晶化を引き起すことができる。この方法を適用するとき
は、上記所定量の酸化物を含むRex(MO46
1.5x-12成形体又は焼結体を作製し、次いで第一方法を
適用すれば良いが、上記酸化物は育成した結晶内部に導
入される場合がある。このため、酸化物含有量は上記所
定量の範囲内とする。
【0055】上記の酸化物粉末自体は、構成元素の酸化
物をブレンドする固相法、構成元素を予め化学的に処理
することで均一化した粉末を得る共沈法、均一沈殿法、
アルコキシド法等の公知の製法で得られる粉末又は市販
品を使用することができる。特に、本発明結晶体は組成
が複雑になる場合が多いことから、個々の酸化物粉末を
電子天秤等で秤量するだけで目的とする組成をより確実
に得ることができるという点で上記固相法が好ましい。
なお、これらの粉末の純度は限定されないが、99.5
重量%以上であることが望ましい。
【0056】また、上記の混合粉末を用いる場合、これ
ら粉末の混合も公知の混合方法に従えば良いが、特に湿
式混合することが望ましい。具体的には、例えば2種以
上の酸化物粉末に溶媒(水、アルコール等)、必要に応
じて分散剤、バインダー等を配合し、ポットミル等を用
いて湿式混合すれば良い。混合時間は特に限定的ではな
いが、通常は5時間以上とすれば良い。湿式混合により
得られたスラリーは、スプレードライ等により乾燥する
ことによって混合された顆粒粉末とすることができる。
【0057】次いで、酸化物粉末の成形を行う。成形方
法は公知の成形方法を採用すれば良く、例えば一軸プレ
ス法、冷間静水圧成形法等が挙げられる。成形体の密度
は限定的ではなく、最終製品の用途等に応じて適宜設定
すれば良い。
【0058】また、必要に応じて、上記成形体を公知の
方法に従って焼成させても良い。例えば、上記成形体を
酸化性雰囲気中で焼成することによって焼結体を得るこ
とができる。この場合の焼成温度は、その組成における
結晶成長温度よりも低い温度とすることが好ましい。ま
た、焼結体は、仮焼体、焼結体等のいずれであっても良
い。特に、相対密度95%以上の焼結体とすることが望
ましい。
【0059】次に、上記成形体又はその焼結体を通常1
000〜1900℃程度、好ましくは1500〜180
0℃で熱処理して結晶成長させる。この温度は、例えば
Re 3+イオン半径等により決定できる。Re3+イオン半
径が小さくなるに従って熱処理温度を高くすれば、本発
明結晶体を好適に得ることができる。熱処理雰囲気は、
例えば酸化性雰囲気、不活性ガス雰囲気、大気中等のい
ずれでも良く、結晶体の組成等に応じて適宜変更すれば
良い。また、熱処理時間は、熱処理温度、所望の結晶体
のサイズ等に応じて適宜設定すれば良い。
【0060】第一方法では、結晶成長させる際の昇温速
度を調節することが望ましい。具体的には、50℃/h
以下、好ましくは20℃/h以下とする。かかる昇温速
度に調節することによって、効率的な結晶成長を行うこ
とができる。
【0061】第一方法では、結晶成長させるに際し、
(a)結晶成長開始部分に対する加熱及び(b)当該部
分以外の末端部に対する冷却の少なくとも一方の処理を
施すことによって、10℃/cm以上の平均温度勾配を
上記成形体又は焼結体に付与する。
【0062】結晶成長開始部分は、成形体又は焼結体の
任意の部分を定めることができる。また、上記末端部
は、一般的には最後に単結晶化される部分であり、成形
体又は焼結体の形状、所望の結晶成長方向等に応じて適
宜決定することができる。結晶成長開始部分及び末端部
は、本発明の効果を妨げない限り、それらの部分の周辺
部も含めることができる。例えば、図1(a)のように
成形体又は焼結体が立方体である場合、ある一面の中心
部x(当該面の対角線の交差点)を結晶成長開始部分と
すれば、その面に対向する面の中心部y又はその周辺部
を末端部とすることができる。
【0063】特に、第一方法では、ブリッジマン法と同
様に、結晶成長開始部分を鋭った形状に形成することに
より結晶体をいっそう効率的に得ることができる。例え
ば、図1(b)のように、成形体又は焼結体の先端を円
錐形状とすれば、その先端部xが単結晶(種子結晶)に
なりやすくなるため、この部分を結晶成長開始部分とす
ることにより本発明結晶体を効率良く製造できる。
【0064】本発明における平均温度勾配とは、成形体
又は焼結体のうち最高温度部分と最低温度部分における
温度差を、上記最高温度部分と上記最低温度部分との最
短距離で除した値をいう。通常は、上記最高温度部分は
結晶成長開始部分であり、最低温度部分は上記末端部と
なる。なお、上記温度差は、熱電対を上記最高温度部分
と上記最低温度部分に設置することにより測定すること
ができる。
【0065】本発明では、上記平均温度勾配が10℃/
cm以上、好ましくは50℃/cm以上となるように成
形体に温度勾配を与える。平均温度勾配が10℃/cm
未満の場合は、得られる結晶体中に多くの小傾角粒界が
発生したり、転位密度が過多になるおそれがある。な
お、平均温度勾配の上限値は特に限定されないが、通常
200℃/cm程度とすれば良い。
【0066】上記(a)の加熱処理の方法は、結晶成長
開始部分を集中的に加熱できる限り制限されない。例え
ば、ヒーター、レーザービーム等による加熱により適宜
実施することができる。これらの加熱処理は、電気炉等
による加熱を併用することもできる。
【0067】また、上記(b)の冷却処理の方法は、上
記末端部を集中的に冷却できる限り限定されない。例え
ば、空気、酸素、窒素等の冷媒を吹き付ける方法、金属
又は無機材料からなるヒートシンク材を末端部分に当接
又は接触させ、このヒートシンク材に空気等の冷媒を接
触又は吹き付ける方法等が挙げられる。上記ヒートシン
ク材としては、例えばMgO焼結体等のセラミックス、
白金等の金属が使用できる。また、これらの金属又は無
機材料は、結晶体及び多結晶体のいずれであっても良
い。ヒートシンク材の形状は限定的でないが、通常は板
状のものを使用すれば良い。
【0068】上記(a)及び(b)の処理は、併用する
ことができる。すなわち、結晶成長開始部分を加熱しな
がら、末端部の冷却をすることが可能である。両者の処
理を併用すれば、より大きな平均温度勾配を得ることが
できる。
【0069】このようにして上記成形体の熱処理をする
ことによって、単結晶の粗大粒子が生成し、これが成長
することによって所望サイズの結晶体を得ることができ
る。本発明では、例えば一辺が10〜30mm程度又は
それ以上の大きさの単結晶又は配向性多結晶を製造する
ことができる。
【0070】3.製造方法(第二方法) 第二方法は、モル比でRe:M(但し、ReはLa、C
e、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及びDyの少
なくとも1種、MはSi及びGeの少なくとも1種を示
す。)が8.00:11.00〜6.00の組成を有す
るRex(MO461.5x-12焼結体に、Rex(M
461.5x-12単結晶を種子結晶として接触させた状
態で又は当該単結晶を接触させない状態で、1000
〜1900℃で熱処理して結晶成長させることにより、
Rex(MO461.5x-12単結晶又は配向性多結晶から
実質的に構成される酸化物イオン伝導性結晶体を製造す
る方法であって、結晶成長させるに際し、(a)種子結
晶部分に対する加熱又は配向性多結晶成長の起点となる
部分に対する加熱及び(b)当該部分以外の末端部に対
する冷却の少なくとも一方の処理を施すことにより、1
0℃/cm以上の平均温度勾配を当該焼結体に与えるこ
とを特徴とする。第二方法は、第一方法よりも速くしか
も結晶方位を設定した大きな結晶体を製造できるという
点で好ましい。
【0071】Rex(MO461.5x-12焼結体は、モル
比でRe:Mが8.00:11.00〜6.00(好ま
しくは8.5〜9.3:6.00)の組成を有する限り
特に限定されない。また、上記焼結体としては、基本的
には多結晶体(好ましくは平均結晶粒径20μm以下)
を使用すれば良い。上記焼結体は、公知の方法により製
造することができる。焼結方法として、例えば常圧焼
結、ホットプレス、HIP(熱間等方圧プレス)等のい
ずれの方法も採用できる。第二方法では、第一方法で作
製された成形体を適当な温度及び時間で焼結して得られ
る多結晶体中に存在するいずれか1種の単結晶を好適に
使用することもできる。
【0072】また、第二方法では、結晶成長時に液相を
形成し得る酸化物を予め焼結体中に0.01〜1重量%
添加することができる。このような酸化物としては、例
えばRe23、SiO2、GeO2等の少なくとも1種を
用いることができる。かかる添加によって、母材より低
融点物質を形成させ、種子結晶から焼結体方向へ単結晶
化させる時に結晶成長界面(単結晶と多結晶界面)に液相
が存在した状態で単結晶を育成することもできる。この
場合、極少量の液相成分が結晶成長界面に存在すること
により液相を介した結晶成長(すなわち、多結晶体の構
成粒子が液相に一旦溶解したあと、単結晶の成長界面に
再析出することを繰り返すこと)でも単結晶化を引き起
すことができる。この方法を適用するときは、上記所定
量の酸化物を含むRex(MO461.5x-12焼結体を作
製し、次いで第一方法を適用すれば良いが、上記酸化物
は育成した結晶内部に導入される場合がある。このた
め、酸化物含有量は上記所定量の範囲内とする。
【0073】第二方法では、上記焼結体の相対密度は限
定的ではないが、通常95%以上、特に98%以上であ
ることが好ましい。これにより、いっそう良質な結晶体
を得ることができる。上記焼結体のサイズは、所望の結
晶体の大きさ等により変更できるが、通常は単結晶又は
配向性多結晶の体積以上のサイズとすれば良い。なお、
相対密度は、焼結前の成形体の密度、焼結温度及び時間
等によって制御することができる。
【0074】種子結晶として使用されるRex(MO4
61.5x-12(但し、ReはLa、Ce、Pr、Nd、S
m、Eu、Gd、Tb及びDyの少なくとも1種、Mは
Si及びGeの少なくとも1種、8≦x≦9.33を示
す。)単結晶は、第一方法及び第三方法で得られる単結
晶はもとより、FZ法、フラックス法、TSSG法等の
公知の単結晶製造法で得られる単結晶等も使用すること
ができる。使用する単結晶のサイズ(体積)は特に限定
されないが、通常は1mm3程度以上であれば良い。ま
た、上記単結晶は、上記焼結体の組成と同一であっても
良いし、互いに異なっていても良い。
【0075】焼結体と単結晶とを接触させる方法は特に
限定されないが、両者間に隙間がないように接触させる
ことが好ましい。この場合、上記焼結体と単結晶又は配
向性多結晶とを互いに加圧接触させながら熱処理しても
良い。加圧接触における圧力は、焼結体、単結晶等の種
類、接触面積等によって適宜変更すれば良い。例えば、
YIG単結晶とYIG焼結体とを用いる場合は約9.8
MPa程度以下とすれば良い。配向性多結晶を製造する
場合には、単結晶を接触させない状態で結晶成長するこ
とができる。
【0076】また、第二方法では、上記焼結体と単結晶
とを接触させるに際し、少なくとも一方の表面(接触
面)を研磨しておくことが望ましい。上記単結晶は、そ
のc軸面を研磨することが望ましい。この場合、研磨面
が平均表面粗さRa=1.0nm以下及び平坦度λ(λ
=633nm)以下となるように研磨することが好まし
い。一方、上記焼結体は、少なくとも単結晶と接触する
面を平均表面粗さRa=1.0nm以下及び平坦度λ
(λ=633nm)以下となるように研磨することが好
ましい。
【0077】次いで、1000〜1900℃程度、好ま
しくは1500〜1800℃で熱処理して結晶成長させ
る。この温度は、例えばRe3+イオン半径等により決定
できる。Re3+イオン半径が小さくなるに従って熱処理
温度を高くすれば、本発明結晶体を好適に得ることがで
きる。また、熱処理雰囲気は特に限定されず、第一方法
の雰囲気と同様にすれば良い。熱処理時間は、熱処理温
度、所望の結晶体サイズ等の応じて適宜設定すれば良
い。
【0078】第二方法では、結晶成長させる際の昇温速
度を調節することが望ましい。具体的には、50℃/h
以下、好ましくは20℃/h以下とする。かかる昇温速
度に調節することによって、効率的な結晶成長を行うこ
とができる。
【0079】第二方法では、結晶成長させるに際し、
(a)種子結晶部分に対する加熱又は配向性多結晶成長
の起点となる部分に対する加熱及び(b)当該部分以外
の末端部に対する冷却の少なくとも一方の処理を施すこ
とによって、10℃/cm以上の平均温度勾配を当該焼
結体に与える。
【0080】種子結晶部分は、種子結晶そのもののほ
か、種子結晶と焼結体が接触する部分も含まれる。配向
性多結晶成長の起点となる部分は適宜定めることができ
る。これらの部分の加熱は、ヒーター、レーザービーム
等による部分加熱により実施することができる。また、
上記末端部は、通常は最後に単結晶化される部分であ
り、焼結体の形状、所望の結晶成長方向等に応じて適宜
決定することができる。上記部分及び末端部は、本発明
の効果を妨げない限り、それらの部分の周辺部も含める
ことができる。例えば、焼結体が立方体又は円柱体であ
る場合、その一面の中心部分(対角線の交差点又は円の
中心)に種子結晶を配置すれば、その面に対向する面又
はその中心部分を末端部とすることができる。
【0081】本発明における平均温度勾配とは、上記焼
結体のうち最高温度部分と最低温度部分における温度差
を、上記最高温度部分と上記最低温度部分との最短距離
で除した値をいう。通常は、上記最高温度部分は結晶成
長開始部分であり、最低温度部分は上記末端部となる。
なお、上記温度差は、熱電対を上記最高温度部分と上記
最低温度部分に設置することにより測定することができ
る。
【0082】本発明では、上記平均温度勾配が10℃/
cm以上、好ましくは50℃/cm以上となるように焼
結体に温度勾配をつける。平均温度勾配が10℃/cm
未満の場合は、得られる結晶体中に多くの小傾角粒界が
発生したり、転位密度が過多になるおそれがある。な
お、平均温度勾配の上限値は特に限定されないが、通常
200℃/cm程度とすれば良い。
【0083】上記(a)の加熱処理の方法は、上記部分
を集中的に加熱できる限り制限されない。例えば、ヒー
ター、レーザービーム等による加熱により適宜実施する
ことができる。これらの加熱処理は、電気炉等による加
熱を併用することもできる。図2には、ヒーターで種子
結晶を直接加熱する態様(断面図)を示す。ヒーター
は、種子結晶に直接的に接触した状態で設置され、この
ヒーターにより種子結晶が加熱される。加熱された種子
結晶は焼結体(多結晶体)に向かって結晶成長する。必
要に応じて、焼結体の両側に補助的なヒーター(電気
炉)を設置しても良い。
【0084】また、上記(b)の冷却処理の方法は、上
記末端部を集中的に冷却できる限り限定されない。例え
ば、空気、酸素、窒素等の冷媒を吹き付ける方法、金属
又は無機材料からなるヒートシンク材を末端部分に当接
又は接触させ、このヒートシンク材に空気等の冷媒を吹
き付ける方法等が挙げられる。上記ヒートシンク材とし
ては、熱導電率が5W/mk以上、特に10W/mk以
上のものが好ましい。このような材料としては、例えば
MgO焼結体等のセラミックス、白金等の金属が使用で
きる。これらの材料は、結晶体又は多結晶体のいずれで
あっても良い。ヒートシンク材の形状は限定的でない
が、通常は板状のものを使用すれば良い。図3には、末
端部分にヒートシンク材を当接し、そのヒートシンク材
にガス媒体を吹き付けて冷却する態様(断面図)を示
す。図3のように、焼結体(多結晶体)が立方体又は円
柱体であり、ある一面の中心部に種子結晶を載せ、結晶
成長させる場合、その面に対向する面の全体にヒートシ
ンク材(板状材)を当接し、このヒートシンク材の下方
よりガスを供給し、ヒートシンク材に接触させる。この
ヒートシンク材の下方から炉内温度以下のガスを吹込む
ことにより、ヒートシンク材及び多結晶体そのものが冷
却され、非定常状態の温度分布(曲線的温度分布、すな
わち結晶成長界面を境として急激な温度変動)を材料内
に与えることができる。このことは、結晶成長界面より
下にある多結晶体の粒成長を極力抑制することができる
こととなる。さらに、下端からの冷却条件を一定とし、
炉内を一定速度で昇温すれば、結晶成長開始温度は順次
下方に向かって移動させることができるので、一定速度
かつ一方向からだけの結晶成長が可能となる。このこと
は、非溶融状態での結晶成長に有利なだけでなく、単結
晶化する前の多結晶体中にある残留気孔を結晶界面移動
を利用してスムーズに系外(単結晶の外)に排出できるた
め、材料内部の光散乱(すなわち、半導体レーザー照射
時の挿入損失)を低減でき、高品質化にもつながる。
【0085】上記(a)及び(b)の処理は、併用する
ことができる。すなわち、上記部分を加熱しながら、末
端部の冷却をすることが可能である。両者の処理を併用
すれば、より大きな平均温度勾配を得ることができる。
【0086】また、その他の手段としては、炉内温度を
結晶成長開始温度以上に設定し、かつ、単結晶と多結晶
体の接合部が結晶成長開始温度程度となるようにガスを
供給しながら冷却し、結晶成長の度合いに準じて冷却の
程度を弱めることにより結晶成長界面を移動させること
ができ、同様に高品質の結晶体を得ることができる。
【0087】上記部分にレーザービームを照射する場合
には、上記部分と上記焼結体と接触する部分の一部又は
全部にレーザービームを照射すれば良い。レーザービー
ム(レーザー光)のエネルギー密度は、ビームスポット
径等によって異なるが、通常は107W/cm2以下とす
れば良い。また、波長は通常0.2〜11μm程度(但
し、当該Rex(MO461.5x-12の透過波長を除
く。)とすれば良い。レーザー発生装置自体は公知又は
市販の装置を使用することができる。レーザービームの
種類も限定的でなく、例えばCO2レーザービーム、N
d:YAGの第二高周波(SHG)レーザービーム等を
採用できる。また、例えばRex(MO461.5x-12
結晶を種子結晶として接触させたRex(MO46
1.5x-12焼結体を加熱炉中に設置した後、これを熱処理
しながらレーザービーム照射を行えば良い。
【0088】また、第二方法では、必要に応じて、上記
焼結体及び上記単結晶の少なくとも一方の接触面に、R
e及びMの少なくとも1種を含む水溶液を塗布すること
もできる。このような水溶液としては、Re及びMの少
なくとも1種を含む水可溶性塩類(有機酸塩、無機酸塩
等)の水溶液が使用できる。例えば、LaCl3、La
(NO33、シリケートゾル、ゲルマネートゾル等の水
溶液が挙げられる。この場合、水溶液のReとMは、焼
結体に含まれるRe及びMと同じものを使用することが
好ましい。上記水溶液を使用することにより単結晶と焼
結体との接着性が改善することができ、良質の単結晶を
より確実に製造することができる。水溶液の濃度は特に
限定されないが、通常は0.5〜10重量%程度とすれ
ば良い。
【0089】4.製造方法(第三方法) 第三方法は、モル比でRe:M(但し、ReはLa、C
e、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及びDyの少
なくとも1種、MはSi及びGeの少なくとも1種を示
す。)が8.00:11.00〜6.00の組成を有す
るRex(MO461.5x-12焼結体にレーザービームを
照射することによりRex(MO461 .5x-12単結晶の
種子結晶を生成させた後、1000〜1900℃で熱処
理して結晶成長させることにより、Rex(MO46
1.5x-12単結晶又は配向性多結晶から実質的に構成され
る酸化物イオン伝導性結晶体を製造する方法であって、
結晶成長させるに際し、(a)種子結晶部分に対する加
熱又は配向性多結晶成長の起点となる部分に対する加熱
及び(b)当該部分以外の末端部に対する冷却の少なく
とも一方の処理を施すことにより、10℃/cm以上の
平均温度勾配を当該焼結体に与えることを特徴とする。
第三方法は、第一方法よりも速くしかも大きな結晶体を
製造できるという点で好ましい。
【0090】Rex(MO461.5x-12焼結体は、モル
比でRe:M(但し、ReはLa、Ce、Pr、Nd、
Sm、Eu、Gd、Tb及びDyの少なくとも1種、M
はSi及びGeの少なくとも1種を示す。)が8.0
0:11.00〜6.00(好ましくは8.5〜9.
3:6.00)の組成を有する限り特に限定されない。
また、上記焼結体としては、基本的に多結晶体(好まし
くは平均結晶粒径20μm以下)を使用すれば良い。従
って、第三方法では、第一方法で作製された成形体を適
当な温度及び時間で焼結して得られる多結晶体の1つの
単結晶を好適に使用することもできる。
【0091】また、第三方法では、結晶成長時に液相を
生じ得る酸化物を予め焼結体中に0.01〜1重量%添
加しても良い。例えば、Bi23(この場合はReの総
量が3.0を越える過剰量)、SiO2、GeO2等の少
なくとも1種を用いることができる。かかる添加によっ
て、母材より低融点物質を形成させ、種子結晶から焼結
体方向へ単結晶化させる時に結晶成長界面(単結晶と多
結晶界面)に液相が存在した状態で単結晶を育成するこ
ともできる。この場合、極少量の液相成分が結晶成長界
面に存在することにより液相を介した結晶成長(すなわ
ち、多結晶体の構成粒子が液相に一旦溶解したあと、単
結晶の成長界面に再析出することを繰り返すこと)でも
単結晶化を引き起すことができる。この方法を適用する
ときは、上記所定量の酸化物を含むRex(MO46
1.5x-12焼結体を作製し、次いで第一方法を適用すれば
良いが、上記酸化物は育成した結晶内部に導入される場
合がある。このため、酸化物含有量は上記所定量の範囲
内とする。
【0092】第三方法におけるRex(MO46
1.5x-12焼結体の相対密度は、通常95%以上、特に9
8%以上であることが好ましい。これにより、いっそう
良質な結晶体を得ることができる。なお、相対密度は、
焼結前の成形体の密度、焼結温度及び時間等によって制
御することができる。
【0093】第三方法では、レーザービームの照射によ
り、Rex(MO461.5x-12単結晶の種子結晶を生成
させる。すなわち、その照射部分に異常粒成長(特に未
照射部分に対して約10倍以上のサイズへの粒成長)を
起こさせる。従って、この異常粒成長が起こる限り照射
条件は特に限定されない。例えば、レーザービーム(レ
ーザー光)のエネルギー密度は107W/cm2以下とす
れば良い。また、波長は通常0.2〜11μm程度(但
し、当該Rex(MO461.5x-12の透過波長を除
く。)とすれば良い。レーザー発生装置自体は公知又は
市販の装置を使用すれば良い。レーザービームの種類も
限定的でなく、例えばCO2レーザービーム、Nd:Y
AGの第二高周波(SHG)レーザービーム等を採用で
きる。レーザービームを照射する場合の照射エリアは限
定的ではないが、通常は1mm2以下とすることが好ま
しい。
【0094】上記焼結体へのレーザービーム照射は、必
要により加熱しながら行うこともできる。この場合の加
熱温度は限定的ではないが、単結晶から多結晶側へ結晶
成長が起る温度未満の温度となるがこれは材料組成によ
り大きく変動する。例えば純粋なLa9.33(SiO46
2単結晶又は配向性多結晶を成長させる場合、通常1
700℃未満、好ましくは1550〜1650℃とすれ
ば良い。加熱は、例えば加熱炉等を用いて実施すること
ができる。
【0095】次いで、1000〜1900℃程度、好ま
しくは1500〜1800℃で熱処理して結晶成長させ
る。これらの方法は、第二発明と同様にして実施すれば
良い。この温度は、例えばRe3+イオン半径等により決
定できる。Re3+イオン半径が小さくなるに従って熱処
理温度を高くすれば、本発明結晶体を好適に得ることが
できる。また、熱処理雰囲気は特に限定されず、第一方
法の雰囲気と同様にすれば良い。熱処理時間は、熱処理
温度、所望の結晶体のサイズ等の応じて適宜設定すれば
良い。
【0096】第三方法では、結晶成長させる際の昇温速
度を調節することが望ましい。具体的には、50℃/h
以下、好ましくは20℃/h以下とする。かかる昇温速
度に調節することによって、効率的な結晶成長を行うこ
とができる。
【0097】第三方法では、結晶成長させるに際し、
(a)種子結晶部分に対する加熱又は配向性多結晶成長
の起点となる部分に対する加熱及び(b)当該部分以外
の末端部に対する冷却の少なくとも一方の処理を施すこ
とによって、10℃/cm以上の平均温度勾配を当該焼
結体に与える。
【0098】上記種子結晶部分は、種子結晶そのものの
ほか、種子結晶と焼結体が接触する部分も含まれる。ま
た、配向性多結晶成長の起点となる部分は適宜定めるこ
とができる。これらの部分の加熱は、ヒーター、レーザ
ービーム等による部分加熱により実施することができ
る。また、上記末端部は、通常は最後に単結晶化される
部分とし、焼結体の形状、所望の結晶成長方向等に応じ
て適宜決定することができる。例えば、焼結体が立方体
又は円柱体である場合、その一面の中心部分(対角線の
交差点又は中心点)に種子結晶が存在すれば、その面に
対向する面の中心部分を末端部とすることができる。
【0099】本発明における平均温度勾配とは、上記の
第二方法と同様の意味である。本発明では、上記平均温
度勾配が10℃/cm以上、好ましくは50℃/cm以
上となるように焼結体に温度勾配をつける。平均温度勾
配が10℃/cm未満の場合は、得られる結晶体中に多
くの小傾角粒界が発生したり、転位密度が過多になるお
それがある。なお、平均温度勾配の上限値は特に限定さ
れないが、通常200℃/cm程度とすれば良い。
【0100】上記(a)の加熱処理の方法、上記(b)
の冷却処理の方法は、上記の第二方法と同様にして実施
することができる。また、上記(a)及び(b)の処理
は、併用することができる。すなわち、上記部分を加熱
しながら、末端部の冷却をすることが可能である。両者
の処理を併用すれば、より大きな平均温度勾配を得るこ
とができる。
【0101】種子結晶にレーザービームを照射する場
合、レーザービーム(レーザー光)のエネルギー密度
は、ビームスポット径等によって異なるが、通常107
W/cm2以下とすれば良い。また、波長は通常0.2
〜11μm程度(但し、当該Re3Fe5-xx12の透
過波長を除く。)とすれば良い。レーザービーム装置自
体は公知又は市販の装置を使用することができる。レー
ザービームの種類も限定的でなく、例えばCO2レーザ
ービーム、Nd:YAGの第二高周波(SHG)レーザ
ービーム等を採用できる。レーザービーム照射を加熱と
併用する場合は、例えばRex(MO461.5x-12単結
晶を種子結晶が生成したRex(MO461.5x-12焼結
体を加熱炉中に設置した後、これを熱処理しながら種子
結晶にレーザービーム照射を行えば良い。
【0102】
【作用】一般的に、二成分以上の組成系の単結晶を溶融
凝固法で製造する場合、重力の影響により組成の均一性
改善に限界がある。Rex(MO461.5x-12単結晶又
は配向性多結晶も例外ではなく、その均一性が問題とな
る。例えば、移動体通信用のSAW(表面弾性波)フィ
ルターに使用されるLiTaO3単結晶、LiNbO3
結晶等に関しても屈折率の不均一性(すなわち組成の不
均一性)が指摘され、一部の単結晶においては近年では
重力の存在しない宇宙環境での合成研究も開始されてい
る。材料内部の組成均一性の向上は溶融凝固法に共通す
る課題であるが、その解決の糸口さえ見つかっていな
い。
【0103】この問題に関し、セラミックスプロセスが
その解明の突破口になると見出したのが本発明である。
セラミックスプロセスでは、基本的に原料を溶融するこ
となく、非溶融状態で焼結するので、各構成元素は常に
固体(結晶)中に拘束された状態に置かれる。すなわ
ち、固体中の各構成元素は重力の影響をほとんど受ける
ことがないという点からみれば、単結晶製造で生じる不
均一性、さらには偏析の問題もほとんど解消されるはず
である。ところが、セラミックスプロセスでは、圧粉体
中の出発原料の組成分布が均一でなければ焼結過程にお
ける構成成分の移動距離がわずかであるため、溶融凝固
法による単結晶より劣悪な均一性しか得られないことと
なる。このことから、これまでのセラミックス技術(焼
成法)では、製造工程における組成均一性の確保が困難
であるため、たとえ焼成法で単結晶化することができた
としても、溶融凝固法で作製された単結晶よりも不均一
であるとされていた。
【0104】これに対し、本発明では、特に、特定粒度
の出発原料と特殊な焼結方法を採用することにより、従
来の焼成法における問題を解決することに成功し、いま
まで以上に良質な結晶体を工業的規模で提供することが
可能となる。
【0105】
【発明の効果】本発明の酸化物イオン伝導性結晶体の製
造方法によれば、従来の結晶体よりも高品質の酸化物イ
オン伝導性結晶体を効率的に得ることができる。すなわ
ち、小傾角粒界が比較的少ない結晶体あるいは転位密度
が比較的少ない結晶体を効率良く生産することが可能と
なる。
【0106】従って、例えば大型の良質な結晶体を提供
することができる。例えば、図4に示すように、これま
での市販結晶体(a)は転位(凹凸外観)が多数見られ
るのに対し、本発明結晶体(b)は転位がほとんどない
ことがわかる。すなわち、同じ結晶体でも、本発明結晶
体はその転位密度が従来品に比べて非常に少ない。
【0107】このように、本発明結晶体及びその製造方
法では高品質の結晶体を効率的に提供できることから、
工業的規模での生産に適している。また、大型の結晶体
を比較的速く製造することができ、これにより結晶体の
低コスト化・量産化を図ることもできる。その結果、こ
れまでに使用されていなかった用途への拡大が期待され
る。
【0108】本発明結晶体は、従来の酸化物イオン伝導
性結晶体が使用されている用途、例えば酸化物イオンに
よる電気伝導を利用した排ガス中又は溶融金属中の酸素
センサ、燃料電池等の電気化学デバイス等のほか、幅広
い技術分野への応用が期待される。
【0109】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特
徴を一層明確にする。但し、本発明の範囲は、実施例の
範囲に限定されるものではない。
【0110】実施例1〜10は、純度99.8重量%の
MgO焼結体(室温での熱伝導率35W/mk)をヒー
トシンク材として用い、図4に示すように、ヒートシン
ク材上に焼結体を載せ、ヒートシンク材の下方から空気
を吹込んで冷却をしながら結晶成長させた。冷媒である
空気の温度は炉内雰囲気よりも低く設定した。実施例1
1では、ヒートシンクを用いず直接に空気で冷却しなが
ら結晶成長を行なった。この場合、空気と炉内雰囲気の
温度差が150℃、試料長が25mmであることから、
その平均温度勾配は60℃/cmである。
【0111】なお、各実施例及び比較例中における小傾
角粒界を形成する結晶粒子の単位面積当たりの個数の算
出、転位密度及び屈折率分布の測定は次のようにして行
った。 (1)小傾角粒界を形成する結晶粒子の単位面積当たり
の個数、転位密度 温度100℃程度の熱リン酸溶液(原液)中で試料をエ
ッチングすることにより、試料表面に蝕凹像を現出させ
る。小傾角粒界又は転位が存在する場合は、図5に示す
ような蝕凹像が得られる。図5中、点状の蝕凹像(A)
が転位である。図5中、線状の蝕凹像が小傾角粒界
(B)である。
【0112】本発明では、点状蝕凹像の単位面積当たり
の数を「転位密度(個/cm2)」とする。また、図5
中、小傾角粒界を形成する結晶粒子(C)であり、これ
を1個とカウントし、このような部分の数を観察面積
(cm2)で除した値を「小傾角粒界を形成する結晶粒
子の単位面積当たりの個数(個/cm2)」とする。 (2)屈折率分布 トワイマンタイプ干渉計を用いて測定した。光源は波長
λ1=1.3μmのYAGレーザーを使用した。干渉計
から得られる検出画像をInSbディテクターにより検
出し、得られた干渉縞から試料面内の屈折率分布を求め
た。試料は、平均表面粗度(Ra)0.3nm以下、平
坦度λ2/10(λ2=633nm)以下、平行度3se
c以内に精密加工した。 (3)気孔体積 試料の一面を鏡面研摩し、反射顕微鏡にて100〜50
0倍でその表面に露出した気孔面積を積算し、測定面積
との比を気孔体積として求めた。この場合、求められる
値は面積比であるが、この値を簡易的に気孔体積とし
た。ただし、測定面積は、少なくとも1cm2とした。 (4)平均温度勾配 図6に示すように、結晶成長開始部分又は種子結晶部分
(a)と末端部(b)に予め熱電対を設置し、その温度
差ΔT(℃)を測定する。ΔTを試料長さL(cm)で
除した値(ΔT/L)を平均温度勾配(℃/cm)とし
た。例えば、実施例1では、ΔTが150℃、で試料長
さが2.5cmであることから、その平均温度勾配は6
0℃/cmとなる。 (5)導電率 交流複素インピーダンス解析法によって、結晶のc軸方
向の300℃での導電率を求めた。
【0113】実施例1 La23粉末(平均粒径0.8μm)及びSiO3粉末
(平均粒径0.1μm)を原料とし、La:Si=9.
33:6.00(モル比)に組成調整した後、両者をボ
ールミルにて湿式混合し、得られた混合粉末を98MP
aの圧力でCIP成形(直径16mm×厚さ10mmの
ディスク状)した。次いで、上記成形体を酸素雰囲気中
1650℃で10時間焼成した。得られた焼結体は、約
8mmの粗大なLa9.33(SiO462粒子から構成
されており、この焼結体から種子結晶用粗大粒子を取り
出した。取り出した結晶はc軸面をカットし、この面を
平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/4に鏡面仕
上げをした。一方、上記組成と同じ原料を上記ディスク
状に成形し、大気雰囲気中1500℃で3時間ホットプ
レス焼結(圧力:9.8MPa)することにより、相対
密度98%の多結晶La9.33(SiO462(直径3
0mm×厚さ25mm)を得た。この多結晶体の端面を
上記と同様にして平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦
度λ2/4に鏡面仕上げを行い、前記の種子結晶と多結
晶体の両研磨面をアセトンにて洗浄した後、両者の研磨
面どうしを重ね合わせた。この状態を維持しながら酸素
雰囲気中、平均温度1650℃で20時間保持(163
0〜1670℃を20時間で昇温しているので、昇温速
度は2℃/h)し、非溶融下で単結晶化を行った。結晶
成長させる際の平均温度勾配は60℃/cmとした。育
成処理後は、単結晶と接合した面から約24mmの深さ
まで上記多結晶体が単結晶化していた。この結果から、
育成速度は1.2mm/hであり、従来の溶融凝固法の
育成速度よりもはるかに高速で育成できることが判明し
た。得られたLa9.33(SiO462単結晶に小傾角
粒界は存在せず、転位密度は1×102個/cm2、屈折
率分布は5×10-4、気孔体積は30体積ppmであっ
た。交流複素インピーダンス解析法で求めたc軸方向の
導電率(300℃)は1.2×10-3Scm-1であっ
た。
【0114】実施例2 Nd23粉末(平均粒径0.8μm)及びSiO2粉末
(平均粒径0.1μm)を原料とし、Nd:Si=9.
33:6.00(モル比)に組成調整した後、両者をボ
ールミルにて湿式混合し、得られた混合粉末を98MP
aの圧力でCIP成形(直径16mm×厚さ20mmの
ディスク状)した。上記成形体を酸素雰囲気中1700
℃で10時間焼成した。得られた焼結体は、約6mmの
粗大なNd9.33(SiO462粒子から構成されてお
り、この焼結体から種子結晶用粗大粒子を取り出した。
取り出した結晶はc軸面をカットし、この面を平均表面
粗度Ra=0.2nm、平坦度λ2/6に鏡面仕上げを
した。一方、同じ組成の原料を上記ディスク状に成形
し、大気中1500℃で3時間ホットプレス焼結(圧
力:9.8MPa)し、相対密度98%のNd9.33(S
iO462多結晶体(直径20mm×厚さ15mm)
を得た。この多結晶体の端面を上記と同様にして平均表
面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ2/4に鏡面仕上げ
を行い、前記の種子結晶と多結晶体の両研磨面をアセト
ンにて洗浄した後、両者研磨面どうしを重ね合わせた。
この状態を維持しながら酸素雰囲気中、平均温度170
0℃で20時間保持(1660〜1700℃を22時間
で昇温しているので、昇温速度は2.7℃/h)し、非
溶融下で単結晶化を行った。結晶成長させる際の平均温
度勾配は100℃/cmとした。育成処理後は、単結晶
と接合した面から約15mmの深さまで上記多結晶体が
単結晶化していた。この結果から、育成速度は0.7m
m/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度よりもはる
かに高速で育成できることが判明した。得られたNd
9.33(SiO462単結晶中に小傾角粒界は存在せ
ず、転位密度は5×102個/cm2、屈折率分布は3×
10-5、気孔体積は10体積ppmであった。交流複素
インピーダンス解析法で求めたc軸方向の導電率(30
0℃)は1.8×10-3Scm-1であった。
【0115】実施例3 La23粉末(平均粒径0.5μm)及びSiO2粉末
(平均粒径0.05μm)を原料とし、La:Si=
9.33:6.00(モル比)に組成調整した後、両者
をボールミルにて湿式混合し、得られた混合粉末を98
MPaの圧力でCIP成形(直径16mm×厚さ10m
mのディスク状)した。上記成形体を酸素雰囲気中13
90℃で6時間焼成した。得られた焼結体は、約8mm
の粗大なLa9.33(SiO462粒子から構成されて
おり、この焼結体から種子結晶用粗大粒子を取り出し
た。取り出した結晶はc軸面をカットし、この面を平均
表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げ
をした。一方、上記組成と同じ原料を上記ディスク状に
成形し、酸素雰囲気中1500℃で3時間ホットプレス
焼結(圧力:9.8MPa)することにより、相対密度
98%のLa9.33(SiO462多結晶体(直径30
mm×厚さ25mmのディスク状)を得た。この多結晶
体の端面を上記と同様にして平均表面粗度Ra=0.2
nm、平坦度λ2/4に鏡面仕上げを行い、前記の種子
結晶と多結晶体の両研磨面をアセトンにて洗浄した後、
両者の研磨面どうしを重ね合わせた。この場合、両者の
接触面にLa(NO33及びシリケートゾルをモル比で
5.00:3.00に調整した水溶液を塗布した。この
状態を維持しながら酸素雰囲気中1670℃で18時間
保持し、非溶融下で単結晶化を行った。結晶成長させる
際の平均温度勾配は50℃/cmとした。育成処理後
は、単結晶と接合した面から約23mmの深さまで上記
多結晶体が単結晶化していた。この結果から、育成速度
は1.3mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度
よりもはるかに高速で育成できることが判明した。得ら
れたLa9.33(SiO462単結晶中に小傾角粒界は
存在せず、転位密度は1×102個/cm2、屈折率分布
は2×10-6、気孔体積は8体積ppmであった。交流
複素インピーダンス解析法で求めたc軸方向の導電率
(300℃)は1.0×10-3Scm-1であった。
【0116】実施例4 実施例1と同様にして単結晶育成を行った。
【0117】但し、本実施例では、200mm×200
mm×200mmの有効容積をもつモリブデンシリサイ
ド発熱体の電気炉を使用し、その中に試料を20個挿入
し、100%の酸素雰囲気下で育成を行った。このと
き、炉内雰囲気を1670℃に保持し、冷却ガスとなる
酸素の吹込み量を6L/minから最終的に0.1L/
minまで変動させ、材料を強制冷却すると同時に材料
内部の結晶成長開始温度を種子結晶側から対面側に連続
的に移動させることによって、効率的な結晶成長を行な
った。結晶成長させる際の平均温度勾配は50℃/cm
とした。
【0118】処理後の試料はいずれも単結晶と接合した
面から約24mmの深さまで単結晶化していた。単結晶
の生産速度は、直径30mmで長さ24mmの単結晶
(容積16.9cm3)が20個できていることから3
38cm3/炉となる。育成に要した時間が20時間で
あることから単位時間当たりの生産量は16.9cm3
と生産性が高いことがわかる。
【0119】実施例5 実施例2と同様にして単結晶育成を行った。
【0120】但し、本実施例では、200mm×200
mm×200mmの有効容積をもつモリブデンシリサイ
ド発熱体の電気炉に試料を3個挿入し、100%の酸素
雰囲気下で育成を行った。このとき、炉内雰囲気を17
00℃に保持し、冷却ガスとなる酸素の吹込み量を5L
/minから最終的に0.3L/minまで変動させ、
材料を強制冷却すると同時に材料内部の結晶成長開始温
度を種子結晶側から対面側に連続的に移動させることに
よって、効率的な結晶成長を行なった。結晶成長させる
際の平均温度勾配は20℃/cmとした。
【0121】処理後の試料はいずれも単結晶と接合した
面から約40mmの深さまで単結晶化していた。単結晶
の生産速度は、直径75mmで長さ40mmの単結晶
(容積177cm3)が3個作製できていることから5
31cm3/炉となる。育成に要した時間が50時間で
あることから単位時間当たり10.6cm3と生産性が
高いことがわかる。
【0122】実施例6 La23粉末(平均粒径0.8μm)及びSiO2粉末
(平均粒径0.1μm)を原料とし、La:Si=9.
33:6.00(モル比)に組成調整した後、両者をボ
ールミルにて湿式混合し、得られた混合粉末を98MP
aの圧力でCIP成形(直径40mm×厚さ35mmの
ディスク状)した。上記成形体について、20%酸素−
80%Ar混合ガス組成のHIP成形(圧力147MP
a)を1500℃で実施した。得られた焼結体は、約2
μmの均一なLa9.33(SiO462粒子から構成さ
れており、この焼結体の相対密度は99.9%であっ
た。種子結晶としてフラックス法で作製したLa
9.33(SiO462単結晶のc軸面をカットし、この
面を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ2/4に
鏡面仕上げをした。一方、上記と同様してHIP焼結し
て得られた多結晶体を上記と同様にして平均表面粗度R
a=0.2nm、平坦度λ2/4に鏡面仕上げを行い、
前記の種子結晶と多結晶体の両研磨面をアセトンにて洗
浄した後、両者の研磨面どうしを重ね合わせた。この状
態を維持しながら酸素雰囲気中1670℃で16時間保
持し、非溶融下で単結晶化を行った。結晶成長させる際
の平均温度勾配は25℃/cmとした。育成処理後は、
単結晶と接合した面から約29mmの深さまで上記多結
晶体が単結晶化していた。この結果から、育成速度は
1.8mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度よ
りもはるかに高速で育成できることが判明した。得られ
たLa9.33(SiO462単結晶中の小傾角粒界を形
成した粒子の密度は5個/cm2であり、小傾角粒界を
除く転位密度は5×104個/cm2、屈折率分布は3×
10-3、気孔体積は1体積ppmであった。交流複素イ
ンピーダンス解析法で求めたc軸方向の導電率(300
℃)は1.0×10-3Scm-1であった。
【0123】実施例7 Nd23粉末(平均粒径0.8μm)及びSiO2粉末
(平均粒径0.3μm)を原料とし、Nd:Si=9.
33:6.00(モル比)に組成調整した後、両者をボ
ールミルにて湿式混合した。得られた混合粉末を98M
Paの圧力でCIP成形(直径40mm×厚さ30mm
のディスク状)した。上記成形体を、20%酸素−80
%Ar混合ガス組成のHIP成形(圧力:98MPa)
を1550℃を実施した。得られた焼結体は、約3μm
の均一なNd9.33(SiO46 2粒子から構成されて
おり、この焼結体の相対密度は99.9%であった。こ
の焼結体を電気炉中で900℃に加熱し、さらに出力5
WのCO2レーザー(ビーム径:直径0.1mmの円
形、レーザーのエネルギー密度:約1.6×104W/
cm2)を上記焼結体に30分間照射した。照射後、電
気炉温度を1700℃に上昇させ、この温度で24時間
保持した後、室温まで冷却した。結晶成長させる際の平
均温度勾配は25℃/cmとした。図7に示すように、
CO2レーザーを照射した上部から下部に向かうc軸方
向に沿って放射状に結晶成長が進行していた。育成処理
後の配向性多結晶のサイズは、直径30mm×厚さ27
mmであった。この結果から、育成速度は1.1mm/
hであり、配向性多結晶体を高速で育成できることが判
明した。得られたNd9.33(SiO462配向性多結
晶中において、交流複素インピーダンス解析法で求めた
c軸方向の導電率(300℃)は1.7×10-3Scm
-1であった。
【0124】実施例8 La23粉末(平均粒径0.5μm)及びSiO2粉末
(平均粒径0.1μm)を原料とし、La:Si=9.
33:6.00(モル比)に組成調整した後、さらに
0.8重量%(50重量%Bi23−40重量%PbO
−10重量%B23)のフラックスを添加し、各原料を
ボールミルにて湿式混合し、得られた混合粉末を98M
Paの圧力でCIP成形(直径25mm×厚さ30mm
のディスク状)した。上記成形体を酸素雰囲気中140
0℃で5時間焼成した。さらに、この焼結体を1390
℃−147MPaでホットプレスして粒径約6μm、相
対密度99.8%の焼結体を得た。種子結晶として市販
のFZ法で作製されたNd 9.33(SiO462単結晶
(結晶方位はc軸方向)を用い、種子結晶と前述の焼結
体表面を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/8
に鏡面仕上げをした。種子結晶と多結晶体の両研磨面を
アセトンにて洗浄した後、両者の研磨面どうしを重ね合
わせた。この場合、両者の接触面にLa(NO33水溶
液を塗布した。この状態を維持しながら酸素雰囲気中、
平均温度1600℃で15時間保持(1550〜165
0℃までを15時間で昇温しているので、6.7℃/
h)し、非溶融下で単結晶化を行った。結晶成長させる
際の平均温度勾配は30℃/cmとした。育成処理後
は、単結晶と接合した面から約23mmの深さまで上記
多結晶体が単結晶化していた。この結果から、育成速度
は1.5mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度
よりもはるかに高速で育成できることが判明した。得ら
れた単結晶中に小傾角粒界は存在せず、転位密度は1×
103個/cm2、屈折率分布は1×10-4、気孔体積は
3体積ppmであった。交流複素インピーダンス解析法
で求めたc軸方向の導電率(300℃)は1.1×10
-3Scm-1であった。また、単結晶の基本化学式はLa
9.33(SiO462であるが、少量のフラックスを焼
結体作製時に添加したため、単結晶中に0.3重量%の
23と0.05重量%のPbO(B23は検出できな
かった)が蛍光X線分析及びプラズマ発光分析にて検出
された。
【0125】実施例9 La23粉末(平均粒径0.5μm)及びGeO2粉末
(平均粒径0.3μm)を原料とし、La:Ge=9.
33:6.00(モル比)に組成調整した後、さらに
0.4重量%(40重量%Bi23−40重量%PbO
−20重量%B23)のフラックスを添加し、各原料を
ボールミルにて湿式混合し、得られた混合粉末を98M
Paの圧力でCIP成形(直径25mm×厚さ30mm
のディスク状)した。上記成形体を酸素雰囲気中133
0℃で5時間焼成した。さらに、この焼結体を1320
℃−147MPaでホットプレスして粒径約10μm、
相対密度99.1%の焼結体を得た。種子結晶として市
販のFZ法で作製されたNd9.33(SiO462単結
晶(結晶方位はc軸方向)を用い、種子結晶と前述の焼
結体表面を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/
8に鏡面仕上げをした。種子結晶と多結晶体の両研磨面
をアセトンにて洗浄した後、両者の研磨面どうしを重ね
合わせた。この場合、両者の接触面にLaCl3水溶液
を塗布した。この状態を維持しながら酸素雰囲気中、平
均温度1410℃で15時間保持(1380〜1440
℃までを15時間で昇温しているので、4.0℃/h)
し、非溶融下で単結晶化を行った。結晶成長させる際の
平均温度勾配は40℃/cmとした。育成処理後は、単
結晶と接合した面から約21mmの深さまで上記多結晶
体が単結晶化していた。この結果から、育成速度は1.
4mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度よりも
はるかに高速で育成できることが判明した。得られた単
結晶中に小傾角粒界は存在せず、転位密度は5×103
個/cm2、屈折率分布は5×10-4、気孔体積は5体
積ppmであった。交流複素インピーダンス解析法で求
めたc軸方向の導電率(300℃)は1.2×10-5
cm-1であった。また、単結晶の基本化学式はLa9.33
(GeO462であるが、少量のフラックスを焼結体
作製時に添加したため、単結晶中に0.2重量%のB2
3と0.04重量%のPbO(フラックスのB23は検
出できなかった)が蛍光X線分析及びプラズマ発光分析
にて検出され、不純物の大半は単結晶化していない部分
に集中していることが判明した。
【0126】実施例10 La23粉末(平均粒径0.5μm)及びSiO2粉末
(平均粒径0.2μm)を原料とし、La:Si=9.
00:6.00(モル比)に組成調整した後、さらに
0.5重量%(40重量%Bi23−40重量%PbO
−20重量%B23)のフラックスを添加し、各原料を
ボールミルにて湿式混合し、得られた混合粉末を98M
Paの圧力でCIP成形(直径25mm×厚さ30mm
のディスク状)した。上記成形体を酸素雰囲気中140
0℃で3時間焼成した。さらに、この焼結体を1390
℃−147MPaでホットプレスして粒径約8μm、相
対密度99.1%の焼結体を得た。種子結晶として市販
のFZ法で作製されたNd 9.33(SiO462単結晶
(結晶方位はc軸方向)を用い、種子結晶と前述の焼結
体表面を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/4
に鏡面仕上げをした。種子結晶と多結晶体の両研磨面を
アセトンにて洗浄した後、両者の研磨面どうしを重ね合
わせた。この場合、両者の接触面にLaCl3水溶液を
塗布した。この状態を維持しながら酸素雰囲気中、平均
温度1580℃で20時間保持(1550〜1610℃
までを20時間で昇温しているので、3.0℃/h)
し、非溶融下で単結晶化を行った。結晶成長させる際の
平均温度勾配は15℃/cmとした。育成処理後は、単
結晶と接合した面から約20mmの深さまで上記多結晶
体が単結晶化していた。この結果から、育成速度は1.
0mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度よりも
はるかに高速で育成できることが判明した。得られた単
結晶中に小傾角粒界は存在せず、転位密度は5×102
個/cm2、屈折率分布は5×10-4、気孔体積は8体
積ppmであった。交流複素インピーダンス解析法で求
めたc軸方向の導電率(300℃)は9.7×10-2
cm-1であった。また、単結晶の基本化学式はLa9.00
(SiO462であるが、少量のフラックスを焼結体
作製時に添加したため、単結晶中に0.03重量%のP
bOが蛍光X線分析及びプラズマ発光分析にて検出され
た(フラックスのBi単結晶母材元素のため検出できな
かった)。
【0127】実施例11 共沈法によりPr:Si=9.33:6.00に組成調
整し、湿式混合することにより平均粒径0.5μmのP
9.33(SiO462粉末を調製した。この混合粉末
を98MPaの圧力でCIP成形(直径30mm×厚さ
25mmのディスク状)した。上記成形体を酸素雰囲気
下1550℃で5時間焼成した。得られた焼結体は、約
7μmの均一なPr9.33(SiO462粒子から構成
されており、この焼結体の相対密度は99.1%であっ
た。種子結晶としてフローティングゾーン法(FZ法)
で作製したPr9.33(SiO462単結晶をc軸面に
カットし、この面を平均表面粗度Ra=0.2nm、平
坦度λ2/4に鏡面仕上げをした。一方、常圧焼結した
試料を上記と同様にして平均表面粗度Ra=0.2n
m、平坦度λ2/4に鏡面仕上げを行い、前記の種子結
晶と多結晶体の両研磨面をアセトンにて洗浄した後、両
者の研磨面どうしを重ね合わせた。両者の接触面にはH
NO3水溶液を塗布した。この状態を維持しながら酸素
雰囲気中1700℃で16時間保持し、非溶融下で単結
晶化を行った。結晶成長させる際の平均温度勾配は25
℃/cmとした。このとき、張り合わせた単結晶(5m
m×5mm×厚さ1mm)に出力5W、波長780nm
の半導体レーザー(ビームスポット:直径3mm、レー
ザーのエネルギー密度:71W/cm2)を連続照射し
た。育成処理後は、単結晶と接合した面から深さ約23
mmまで上記多結晶体が単結晶化していた。この結果か
ら、育成速度は1.4mm/hであり、従来の溶融凝固
法の育成速度よりもはるかに高速で育成できることが判
明した。得られた単結晶(DIG単結晶)中の小傾角粒
界を形成する結晶粒子の密度は1×10個/cm2であ
り、小傾角粒界を除く転位密度は5×103個/cm2
屈折率分布は1×10-5、気孔体積は150体積ppm
であった。交流複素インピーダンス解析法で求めたc軸
方向の導電率(300℃)は1.0×10-3Scm-1
あった。
【0128】参考例1 実施例1と同じLaO3粉末とSiO2粉末を用い、L
a:Si=11.10:6.00に組成調整して湿式混
合し、混合粉末を98MPaの圧力でCIP成形(直径
16mm×厚さ10mmのディスク状)した後、この成
形体を酸素雰囲気中1650℃で10時間焼結した。焼
結体には約5μmの均一な粒子から構成される微細構造
となっていた。また、これらの粒子周辺にはLa2Si2
7相が析出し、アパタイト単一相でないことが確認さ
れた。
【0129】種子結晶としてフラックス法で作製したN
9.33(SiO462単結晶のc軸面をカットし、こ
の面を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ2/4
に鏡面仕上げを行った。一方、同じ配合の混合粉末を同
様にディスク状に成形し、大気雰囲気中1500℃で3
時間ホットプレス焼結(圧力:9.8MPa)を行い、
相対密度98.5%の多結晶YIG(直径30mm×厚
さ25mm)を得た。この多結晶体の端面を平均表面粗
度Ra=0.2nm、平坦度λ2/4に鏡面仕上げを行
った。前記の種子結晶と多結晶体の両研磨面をアセトン
にて洗浄した後、両者の研磨面どうしを重ね合わせた。
この状態を維持しながら酸素雰囲気中1420℃で20
時間保持し、非溶融下で単結晶化を行った。育成処理後
は、単結晶と接合した面から約500μmの深さだけ単
結晶化していた。この結果から、育成速度は2.5×1
-2mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度より
もはるかに遅いものであった。
【0130】参考例2 実施例1と同じLi23粉末とSiO2粉末を用い、L
i:Si=7.90:6.00に組成調整して湿式混合
した。得られた混合粉末を98MPaの圧力でCIP成
形(直径16mm×厚さ10mmのディスク状)した
後、この成形体を酸素雰囲気中1530℃で10時間焼
結した。焼結体には数μmから数百μmまでの幅広い粒
度分布をもつ構成となっていた。また、これらの粒子周
辺にはLi 2Si27相が析出し、アパタイト単一相で
ないことが確認された。
【0131】種子結晶としてフラックス法で作製したN
9.33(SiO462単結晶のc軸面をカットし、こ
の面を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ2/4
に鏡面仕上げを行った。一方、同じ配合の混合粉末を同
様にディスク状に成形し、1500℃で3時間ホットプ
レス焼結(圧力:9.8MPa)を行い、相対密度9
8.8%の多結晶体(直径30mm×厚さ25mm)を
得た。この多結晶体の端面を平均表面粗度Ra=0.2
nm、平坦度λ2/4に鏡面仕上げを行った。前記の種
子結晶と多結晶体の両研磨面をアセトンにて洗浄した
後、両者の研磨面どうしを重ね合わせた。この状態を維
持しながら酸素雰囲気中1690℃で20時間保持し、
非溶融下で熱処理を行った。育成処理後は、単結晶と接
合した面から深さ約500μmだけ単結晶化していた。
また、単結晶部分以外は約300μmの大きな多結晶体
であった。この結果から、育成速度は2.5×10-2
m/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度よりもはる
かに遅いものであった。これとは別に、熱処理時間を5
00時間延長して同様に製造された試料も調べたが、単
結晶の成長域は上記試料とほとんど大差がないことが確
認された。
【0132】比較例1 フローティングゾーン法によるNd9.33(SiO46
2単結晶の育成を行った。市販の粉末を用いてNd9.33
(SiO462焼結体(直径10mm×長さ100m
m)を作製し、この焼結体を装置内に挿入して赤外線ラ
ンプによって局所溶解を行った。種子結晶としてはc軸
方向の方位出しした単結晶を用い、育成(溶解)温度1
900℃とし、反射板から集光ビームを0.4mm/h
の速度で移動させて育成を行った。約200時間後、す
なわち結晶長が80mmに達したところで育成を終了し
た。得られた結晶は直径10mm、長さ80mm(容積
6.3cm3)であった。結晶内部の転位密度は5×1
6個/cm2であった。転位密度が余りにも多いため、
小傾角粒界を検出することはできなかった。屈折率分布
は8×10-3であった。また、生産性は0.032cm
3/hであり、実施例4の生産性に比べて約1/500
と低いものであった。
【0133】比較例2 LPE法によるLa9.33(SiO462単結晶の育成
を行った。
【0134】市販のLa23粉末及びSiO2粉末を原
料とし、これにPbO−Bi23系フラックスを適量添
加して白金坩堝中で溶解し、1400℃で3時間ソーキ
ングを行ない、過飽和状態になるまで冷却を行なった。
この過飽和状態のメルトに中にNd9.33(SiO46
2単結晶ウエハを浸漬し、そのウエハ上にLa9.33(S
iO462結晶厚膜を成長させた。成長温度は135
0℃であり、約80時間かけて0.6mmのLa
9.33(SiO462単結晶厚膜をNd9.33(SiO4
62ウエハ上に形成した。小傾角粒界を形成する結晶粒
子の密度は120個/cm2であり、小傾角粒界を除く
転位密度は5×103個/cm2であった。生産性は3イ
ンチウエハ上に厚さ0.6mmの磁性膜を付けたので、
0.033cm 3/hであり、類似組成の単結晶を製造
した実施例5に比べて約3/1000と極めて低いもの
であった。
【0135】比較例3 実施例1と同様のLa23粉末(平均粒径0.8μm)
及びSiO2粉末(平均粒径0.1μm)を原料とし、
La:Si=9.33:6.00(モル比)に組成調整
した後、両者をボールミルにて湿式混合し、得られた混
合粉末を98MPaの圧力でCIP成形した。次いで、
上記成形体を酸素雰囲気中1500℃−9.8MPaで
3時間ホットプレス焼成して、相対密度99.1%のL
9.33(SiO462多結晶体(直径30mm×厚さ
25mm)を得た。この多結晶体の端面と種子結晶(F
Z法で作製したc軸方向の方位出ししたNd9.33(Si
462単結晶)の双方を平均表面粗度Ra=0.2n
m、平坦度λ2/4に鏡面仕上げを行い、前記の種子結
晶と多結晶体の両研磨面をアセトンにて洗浄した後、両
者の研磨面どうしを重ね合わせた。この状態を維持しな
がら酸素雰囲気中、平均温度1680℃で20時間保持
(1660〜1700℃を20時間で昇温しているの
で、昇温速度は2℃/h)し、非溶融下で単結晶化を行
った。この場合、実施例1と同様にしてヒートシンク材
としてMgO焼結体を用いた。しかし、下方からの強制
冷却は行なわない均熱炉内での育成処理を行なった。こ
のため、結晶成長させる際の平均温度勾配は0℃/cm
であった。育成処理後は、単結晶と接合した面から約8
mmの深さまで上記多結晶体が単結晶化していたが、単
結晶の成長方向の断面観察を行なったところ、単結晶内
部には直径0.5〜1.0mmサイズの方位の異なる結
晶の成長が確認された。方位の異なる結晶の周辺及び成
長した単結晶中には比較的多くの残留気泡が確認でき、
その量は実施例1の約17倍であった。また、種子結晶
と接合した面から8mm以降では直径1mmクラスの粗
大結晶になっており、単結晶化が中断されているのを確
認した。この結晶中の小傾角粒界を形成する結晶粒子の
密度は1×103個/cm2であり、小傾角粒界を除く転
位密度は5×105個/cm2、屈折率分布は5×1
-3、気孔体積は510体積ppmであった。得られた
La9.33(SiO462単結晶の酸化物イオン伝導率
は低く、燃料電池等に用いる酸化物イオン伝導体に適さ
ないものであった。
【0136】比較例4 実施例2と同様にNd23粉末(平均粒径0.8μ
m)、及びSiO2粉末(平均粒径0.1μm)を原料
とし、Nd:Si=9.33:6.00(モル比)に組
成調整した後、両者をボールミルにて湿式混合し、得ら
れた混合粉末を98MPaの圧力でCIP成形(直径1
6mm×厚さ60mmのロッド状)した。上記成形体を
酸素雰囲気中1550℃で3時間ホットプレス焼結(圧
力:19.6MPa)し、相対密度99.1%の多結晶
体(組成はNd9.33(SiO462)を得た。種子結晶
として市販のFZ法で作製されたc軸方向の方位出しし
たNd 9.33(SiO462単結晶を用い、種子結晶と
前記焼結体を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ
2/6に鏡面仕上げをした。種子結晶と多結晶体の両研
磨面をアセトンにて洗浄した後、両者研磨面どうしを重
ね合わせた状態で1300℃−1時間加熱(荷重1kg
を負荷)して種子結晶と多結晶体を接合した。接合した
試料は1640℃と1720℃に制御された2ゾーン炉
中で育成処理を行なった。まず、試料を1640℃に制
御した炉内に入れ、種子結晶側から1720℃に制御し
た炉内へ0.5mm/hの速度で挿入した。予め種子結
晶側と種子結晶の対面に熱電対を設置し、2ゾーン炉の
中央部に試料が達したところでΔTを測定したところ、
その温度差は30℃(試料長さは50mm)であったの
で、材料中の平均温度勾配は6℃/cmであった。結晶
成長は試料が全て高温側の炉に納まった時点で結晶成長
の終点としたので、引き上げ時間は約100時間に達し
た。
【0137】育成処理後は、単結晶と接合した面から約
13mmの深さまで上記多結晶体が単結晶化していた。
実施例3と同様に単結晶中の断面観察を行なったとこ
ろ、単結晶内部に直径0.5〜3.0mmの方位の異な
る結晶が成長し、方位の異なる結晶周辺及び結晶全体に
実施例2の約90倍の残留気孔の存在を確認した。ま
た、種子結晶から13mm以上離れると0.1〜3mm
サイズの粗大結晶が成長しており、単結晶化していない
ことを確認した。結晶成長域と要した時間で単純計算す
ると、育成速度は0.13mm/hであり、実施例2に
比べて結晶の質及び生産性が格段に劣っていることが判
明した。得られたNd9.33(SiO462単結晶中に
小傾角粒界を形成する結晶粒子の密度は1×103個/
cm2であり、小傾角粒界を除く転位密度は5×104
/cm2、屈折率分布は3×10-3、気孔体積は450
体積ppmであった。このように、得られたNd
9.33(SiO462単結晶の酸化物イオン伝導性は低
く、燃料電池等に用いる酸化物イオン伝導体に適さない
ものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】結晶成長させる際の結晶成長開始部分xと末端
部yとの位置関係を示す模式図である。
【図2】結晶成長させるに際し、種子結晶部分を加熱す
る状態を模式図(断面図)である。
【図3】結晶成長させるに際し、多結晶体の末端部を強
制冷却する状態を模式図(断面図)である。
【図4】市販の結晶体(a)及び本発明結晶体(b)の
転位を示すイメージ図である。
【図5】試料をエッチングすることにより現れた転位
A、小傾角粒界B、小傾角粒界を形成する結晶粒子Cを
示す模式図である。
【図6】実施例で平均温度勾配を測定する方法を示す模
式図である。
【図7】実施例7において、(a)CO2レーザーを照
射して種子結晶をつくる工程、(b)種子結晶が形成さ
れた状態、(c)加熱により種子結晶が成長する工程を
示す模式図である。
【図8】アパタイト結晶構造を有するRex(MO46
1.5x-12単結晶の各サイトを示す模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池末 明生 愛知県名古屋市熱田区六野二丁目6番27− 107 (72)発明者 柿田 進一 兵庫県神戸市北区桂木3丁目9番12号 (72)発明者 中山 享 愛媛県新居浜市庄内町2−10−111 Fターム(参考) 4G073 BA17 BD01 BD02 CD01 FC01 FD12 FD23 FE04 GA09 UB13 UB60 4G077 AA02 AB06 BC44 BD15 CA05 CA09 EA02 EC02 EC05 ED01 HA07 JA02 JA06 JB08 5H026 AA06 BB01 EE13 HH00 HH01 HH02 HH05 HH06 HH08

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Rex(MO461.5x-12(但し、Reは
    La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及び
    Dyの少なくとも1種、MはSi及びGeの少なくとも
    1種、8≦x≦9.33を示す。)で示される、 1)配向性多結晶又は 2)小傾角粒界を形成する結晶粒子の単位面積当たりの
    個数n(個/cm2)が0≦n≦102である単結晶から
    実質的に構成される酸化物イオン伝導性結晶体。
  2. 【請求項2】Rex(MO461.5x-12(但し、Reは
    La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及び
    Dyの少なくとも1種、MはSi及びGeの少なくとも
    1種、8≦x≦9.33を示す。)で示される、 1)配向性多結晶又は 2)転位密度(但し、小傾角粒界を構成する転位を除
    く。)が1×105個/cm2以下である単結晶から実質
    的に構成される酸化物イオン伝導性結晶体。
  3. 【請求項3】交流複素インピーダンス解析法によるc軸
    方向の導電率(300℃)が1×10-7Scm-1以上で
    ある請求項1又は2に記載の酸化物イオン伝導性結晶
    体。
  4. 【請求項4】結晶構造が、アパタイト結晶構造である請
    求項1又は2に記載の酸化物イオン伝導性結晶体。
  5. 【請求項5】純度が99.5重量%以上である請求項1
    又は2に記載の酸化物イオン伝導性結晶体。
  6. 【請求項6】モル比でRe:M(但し、ReはLa、C
    e、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及びDyの少
    なくとも1種、MはSi及びGeの少なくとも1種を示
    す。)が8.00〜11.00:6.00である組成を
    有する酸化物粉末を成形し、得られた成形体又はその焼
    結体を1000〜1900℃で熱処理して結晶成長させ
    ることにより、Rex(MO461.5x-12単結晶又は配
    向性多結晶から実質的に構成される酸化物イオン伝導性
    結晶体を製造する方法であって、結晶成長させるに際
    し、(a)結晶成長開始部分に対する加熱及び(b)当
    該部分以外の末端部に対する冷却の少なくとも一方の処
    理を施すことによって、10℃/cm以上の平均温度勾
    配を当該成形体又は焼結体に与えることを特徴とする酸
    化物イオン伝導性結晶体の製造方法。
  7. 【請求項7】酸化物粉末が 1)Reの酸化物粉末(但し、ReはLa、Ce、P
    r、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及びDyの少なくと
    も1種)と、 2)Mの酸化物粉末(但し、MはSi及びGeの少なく
    とも1種を示す。)との混合粉末である請求項6記載の
    製造方法。
  8. 【請求項8】1)Reの酸化物粉末(但し、ReはL
    a、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及びD
    yの少なくとも1種)における一次粒子径が20〜50
    0nm及びBET比表面積が5〜50m2/gであっ
    て、かつ、2)Mの酸化物粉末(但し、MはSi及びG
    eの少なくとも1種を示す。)における一次粒子径が1
    00〜1000nm及びBET比表面積が3〜30m2
    /gである請求項7記載の製造方法。
  9. 【請求項9】モル比でRe:M(但し、ReはLa、C
    e、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及びDyの少
    なくとも1種、MはSi及びGeの少なくとも1種を示
    す。)が8.00:11.00〜6.00の組成を有す
    るRex(MO4 61.5x-12焼結体に、Rex(M
    461.5x-12単結晶を種子結晶として接触させた状
    態で又は当該単結晶を接触させない状態で、1000
    〜1900℃で熱処理して結晶成長させることにより、
    Rex(MO461.5x-12単結晶又は配向性多結晶から
    実質的に構成される酸化物イオン伝導性結晶体を製造す
    る方法であって、 結晶成長させるに際し、(a)種子結晶部分に対する加
    熱又は配向性多結晶成長の起点となる部分に対する加熱
    及び(b)当該部分以外の末端部に対する冷却の少なく
    とも一方の処理を施すことにより、10℃/cm以上の
    平均温度勾配を当該焼結体に与えることを特徴とする酸
    化物イオン伝導性結晶体の製造方法。
  10. 【請求項10】Rex(MO461.5x-12(但し、Re
    はLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及
    びDyの少なくとも1種、MはSi及びGeの少なくと
    も1種、8≦x≦9.33を示す。)焼結体が相対密度
    95%以上である請求項9記載の製造方法。
  11. 【請求項11】Rex(MO461.5x-12(但し、Re
    はLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及
    びDyの少なくとも1種、MはSi及びGeの少なくと
    も1種、8≦x≦9.33を示す。)単結晶のc軸面を
    研磨し、その研磨面をRex(MO461.5x-12焼結体
    に接触させる請求項9記載の製造方法。
  12. 【請求項12】研磨面が平均表面粗さRa=1.0nm
    以下及び平坦度λ(λ=633nm)以下である請求項
    11記載の製造方法。
  13. 【請求項13】Rex(MO461.5x-12(但し、Re
    はLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及
    びDyの少なくとも1種、MはSi及びGeの少なくと
    も1種、8≦x≦9.33を示す。)焼結体の一部又は
    全部を平均表面粗さRa=1.0nm以下及び平坦度λ
    (λ=633nm)以下に研磨し、その研磨面をRex
    (MO461.5x-12単結晶と接触させる請求項9記載
    の製造方法。
  14. 【請求項14】Rex(MO461.5x-12(但し、Re
    はLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及
    びDyの少なくとも1種、MはSi及びGeの少なくと
    も1種、8≦x≦9.33を示す。)焼結体及びRex
    (MO461.5x- 12単結晶の少なくとも一方の接触面
    に、Re及びMの少なくとも1種を含む水溶液を塗布す
    る請求項9記載の製造方法。
  15. 【請求項15】モル比でRe:M(但し、ReはLa、
    Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb及びDyの
    少なくとも1種、MはSi及びGeの少なくとも1種を
    示す。)が8.00:11.00〜6.00の組成を有
    するRex(MO461.5x-12焼結体にレーザービーム
    を照射することによりRex(MO461 .5x-12単結晶
    の種子結晶を生成させた後、1000〜1900℃で熱
    処理して結晶成長させることにより、Rex(MO46
    1.5x-12単結晶又は配向性多結晶から実質的に構成さ
    れる酸化物イオン伝導性結晶体を製造する方法であっ
    て、結晶成長させるに際し、(a)種子結晶部分に対す
    る加熱又は配向性多結晶成長の起点となる部分に対する
    加熱及び(b)当該部分以外の末端部に対する冷却の少
    なくとも一方の処理を施すことにより、10℃/cm以
    上の平均温度勾配を当該焼結体に与えることを特徴とす
    る酸化物イオン伝導性結晶体の製造方法。
  16. 【請求項16】レーザービームの波長が0.2〜11μ
    m(但し、当該Rex(MO461.5x-12の透過波長を
    除く。)である請求項15記載の製造方法。
  17. 【請求項17】レーザービームの照射エリアが1mm2
    以下である請求項15記載の製造方法。
  18. 【請求項18】1300℃未満で加熱しながら当該Re
    x(MO461.5x-12焼結体にレーザービームを照射す
    る請求項15記載の製造方法。
  19. 【請求項19】当該成形体又は焼結体中に、結晶成長時
    に液相を形成し得る酸化物を存在させることを特徴とす
    る請求項6、9又は15に記載の製造方法。
  20. 【請求項20】結晶成長させるに際し、昇温速度を50
    ℃/h以下とすることを特徴とする請求項6、9又は1
    5に記載の製造方法。
  21. 【請求項21】冷却が、冷媒を当該末端部分に吹き付け
    ることにより実施される請求項6、9又は15に記載の
    製造方法。
  22. 【請求項22】冷却が、金属又は無機材料からなるヒー
    トシンク材を当該末端部分に当接し、当該ヒートシンク
    材に冷媒を接触させることにより実施される請求項6、
    9又は15に記載の製造方法。
  23. 【請求項23】昇温速度又は昇温速度と冷媒の流量
    の双方を変化させることにより、単結晶又は配向性多結
    晶の結晶成長を制御する請求項6、9又は15に記載の
    製造方法。
  24. 【請求項24】請求項1又は2に記載の酸化物イオン伝
    導性結晶体を用いたデバイス。
  25. 【請求項25】配向性多結晶が、ロットゲーリング法に
    よる結晶配向度50%以上である請求項1又は2に記載
    の酸化物イオン伝導性結晶体
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