JP2003253826A - 屋根用固定装置 - Google Patents
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 折板屋根にボルトや釘などの貫通孔を開ける
ことなく、屋根用設置機器を屋根に固定するための屋根
用固定装置を簡単且つ確実に折板屋根に固定することが
でき、しかも防水性、設置外観にも優れた屋根用固定装
置を提案すること。 【解決手段】 太陽電池モジュールを波形の屋根に固定
するための屋根用固定装置であって、太陽電池モジュー
ルを支持し屋根面に略平行な平板部１ａを有する脚部材
１と、この脚部材１の平板部１ａの下面に配設し両端が
下方に折り曲げられた屈曲部５を有する中間部材２と、
この中間部材２の下面に配設し屋根の波形部を挟む左右
クランプ片３（３Ｌ，３Ｒ）とを備えるとともに、左右
クランプ片のそれぞれを脚部材１及び中間部材２に対し
共通の締結部材４で固定し、中間部材２の屈曲部５によ
り左右クランプ片３の各締結固定部の動きを制限する屋
根用固定装置Ｋとする。
ことなく、屋根用設置機器を屋根に固定するための屋根
用固定装置を簡単且つ確実に折板屋根に固定することが
でき、しかも防水性、設置外観にも優れた屋根用固定装
置を提案すること。 【解決手段】 太陽電池モジュールを波形の屋根に固定
するための屋根用固定装置であって、太陽電池モジュー
ルを支持し屋根面に略平行な平板部１ａを有する脚部材
１と、この脚部材１の平板部１ａの下面に配設し両端が
下方に折り曲げられた屈曲部５を有する中間部材２と、
この中間部材２の下面に配設し屋根の波形部を挟む左右
クランプ片３（３Ｌ，３Ｒ）とを備えるとともに、左右
クランプ片のそれぞれを脚部材１及び中間部材２に対し
共通の締結部材４で固定し、中間部材２の屈曲部５によ
り左右クランプ片３の各締結固定部の動きを制限する屋
根用固定装置Ｋとする。
Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽エネルギー利
用機器（太陽電池モジュール等の太陽電池装置や太陽熱
集熱器）などの平板状をなす屋根設置体を、住宅の屋根
に好適に設置することが可能な屋根用固定装置に関する
ものである。 【０００２】 【従来の技術】屋根用固定装置は例えば太陽電池や太陽
熱集熱器をはじめとする様々な屋根設置体を、屋根上に
固定するためのものであり、その形状、取付方法は、屋
根形状や屋根への一体化具合により様々である。例え
ば、金属板を折り曲げて屋根材とした折板屋根は、施工
性の容易さと軽量であることから、工場、住宅、倉庫な
どの建築物に採用されている。また、折板屋根は折板構
造理論により作られたものの総称であり、折板の断面形
状には数種類ある。折板構造は柱間の大きい建築構造に
適するが、鉄骨などのフレームに渡して屋根を形成する
ものや、野地板や垂木に沿って覆い被さる構造とするも
のがある。 【０００３】図７に示すように、波形をなす折板屋根７
は、鉄骨のフレーム、垂木２１、野地板２０上を覆うこ
とにより屋根を形成しているので、太陽電池モジュール
や太陽熱集熱器などの屋根設置体１０をその屋根上に設
置しようとするときには、ボルト２２や釘で孔を開け、
屋根用固定装置Ｊを固定する必要があるが、この孔から
雨水の浸入が生じる。このため、取付ボルト２２や釘の
貫通部にパッキングなどを介して防水構造としたり、例
えば実開平１−８９５２３号公報に開示されているよう
に、ボルト部の周囲を屋根用固定装置で覆い被せる方法
が提案されている。また、実開平６−２２４３８号公報
に開示されているように、折板屋根に孔を開けずに、屋
根用固定装置を折板屋根の折り曲げ部を挟み込む方法で
取り付ける構造も提案されている。さらに、特開平２０
０１−１４０４１６号公報に開示されているように、太
陽電池モジュールや太陽熱集熱器などのように取付架台
に傾斜を必要とする設置構造に対応した折板屋根用固定
装置も提案されている。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ボルト
や釘などの貫通部にパッキンなどの止水材を配する場
合、パッキンの経年変化による材質劣化や変形による防
水性能の低下により屋内への雨水の浸入が生じる。 【０００５】また、ボルトや釘などの貫通部周辺を屋根
用固定装置で覆い被せる方法では、屋根に固定用のベー
ス材を先に取付、固定金具の爪でベース材に噛み込むよ
うなセパレート方式となるため、固定金具以外にも屋根
への取付作業が生じることにより部材が増え、作業工数
も増加する。 【０００６】また、例えば図８に示すように、クランプ
２８に対しその側面からボルト２３で締め付ける方法で
は、締め過ぎにより折板屋根を変形させるなどの問題が
あり、作業時の締め付けトルクの管理や、締め付けが過
剰にならないような機構が必要となり、構造・作業管理
が複雑化する。 【０００７】また、図９に示すように、脚部材２７と左
右クランプ片２４，２５を共通の締結部材２６で固定す
れば、これらの問題を解決して容易に折板屋根に取付る
ことが可能であるが、脚部材２７が左右クランプ片２
４，２５の間に存在するので横方向に対する外力がてこ
の原理により直接屋根面にかかることになる。このため
折板屋根の形状に対してクランプ片２４，２５の挟持す
る形状が適切でなければ、こすれによる塗装のはがれや
錆が生じたり、軋み音が発生することになる。この横方
向への揺れは、てこの原理により脚部材２７の長さが長
いほど少ない力でも生じる。また、前述のこすれや軋み
を回避するために、折板屋根への締め付けを強くした場
合、折板屋根を変形させたり、折板構造の繋ぎ部に隙間
を生じさせることもある。 【０００８】そこで、本発明は上述の諸事情に鑑みてな
されたものであり、折板屋根等の波形をなす屋根にボル
トや釘などによる貫通孔を開けることなく、平板状の屋
根設置体を屋根に簡単且つ確実に固定するための屋根用
固定装置を提供することを目的とする。 【０００９】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の屋根用固定装置は、平板状の屋根設置体を
波形の屋根に固定するための屋根用固定装置であって、
前記屋根設置体を支持し前記屋根面に略平行な平板部を
有する脚部材と、該脚部材の平板部下面に配設し両端が
下方に折り曲げられた屈曲部を有する中間部材と、該中
間部材の下面に配設し前記屋根の波形部を挟む左右クラ
ンプ片とを備えるとともに、左右クランプ片のそれぞれ
を前記脚部材及び前記中間部材に対し共通の締結部材で
固定し、且つ前記中間部材の屈曲部により前記左右クラ
ンプ片の各締結固定部の動きを制限したことを特徴とす
る。 【００１０】また、前記クランプ片は、一辺が中間部材
の両端に形成された屈曲部により支持され、前記中間部
材と平行に内方向に向かう支持部と、湾曲した折り返し
によって外方向へ向かう第１湾曲部と、折板屋根を包み
込むのに適した形状で湾曲した第２湾曲部により形成さ
れていることを特徴とする。なお、前記第２湾曲部は、
左右の第２湾曲部で折板屋根を挟み込んだ際に折板屋根
に押し返され、第１湾曲部を支点に外側に広がるように
材質、板厚を選定する。 【００１１】このように、本発明の屋根用固定装置は、
脚部材と中間部材、クランプ片が共通の締結部材で固定
されるので、屋根用固定装置の折板屋根への取付作業工
数を少なくすることができる。 【００１２】また、本発明の屋根用固定装置は、クラン
プ片が中間部材に取り付ける構造であるので、締結部材
であるボルトなどを誤って締めすぎても、折板屋根を変
形させたり傷つけることがなく、作業品質の管理を簡略
化することができる。 【００１３】さらに、第１湾曲部にバネの働きを兼ねさ
せることにより、前述の折板屋根を挟み込む力を一定に
保たせる効果が得られるとともに、脚部材から加えられ
る横方向への力を左右２つのバネ弾性によって緩和でき
るので、風圧などにより脚部材に取り付けられた架台が
揺動した場合などにも、折板屋根にかかる負担を軽減す
ることが可能な優れた固定構造を提供できる。 【００１４】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を平板状
の屋根設置体である太陽電池モジュールを折板屋根上に
配設する場合を例にとり、模式的に図示した図面に基づ
いて詳細に説明する。 【００１５】図１に本発明の屋根用固定装置Ｋの断面図
を、図２にその斜視図を示す。本発明の屋根用固定装置
Ｋは、太陽電池モジュールを波形の屋根に固定するため
の装置であって、太陽電池モジュールを支持し屋根面に
略平行な平板部１ａを有する脚部材１と、この脚部材１
の平板部１ａの下面に配設し両端が下方に折り曲げられ
た屈曲部５を有する中間部材２と、この中間部材２の下
面に配設し屋根の波形部を挟む左右クランプ片３（３
Ｌ，３Ｒ）とを備えるとともに、左右クランプ片のそれ
ぞれを脚部材１及び中間部材２に対し共通の締結部材４
で固定し、中間部材２の屈曲部５により左右クランプ片
３の各締結固定部の動きを制限している。 【００１６】また、左右クランプ片３Ｌ，３Ｒは、中間
部材２の端部にある屈曲部５により支持される支持辺３
ａと、前記中間部材２と平行に内方向に向かう支持部３
ｂと、湾曲した折り返しによって外方向へ向かいう第１
湾曲部３ｃと、折板屋根を包み込むのに適した形状で湾
曲した第２湾曲部３ｄとを備えている。 【００１７】ここで、脚部材１と中間部材２、左右クラ
ンプ片３は例えばアルミニウム等の軽量で強度に優れた
金属材料で構成される。また、耐候性に優れたポリカー
ボネートやエポキシなどの樹脂成型品でもよい。締結部
材４はボルトやナットが望ましい。 【００１８】以下に、屋根用固定装置Ｋの折板屋根への
固定が如何に行なわれるかについて図１に基づいて説明
する。まず、脚部材１、中間部材２、および左クランプ
片３Ｌを締結部材４Ｌで仮止めしておき、折板屋根７の
凸条部に係止させる。その後、右クランプ片３Ｒを締結
部材４Ｒで脚部材１、中間部材２に締結する。さらに締
結部材４Ｌ，４Ｒを締め付けていくと、左右クランプ片
３Ｌ，３Ｒの支持辺３ａが中間部材２に密着していき、
それにつれて第２湾曲部３ｄが折板屋根７に密着してい
く。第２湾曲部３ｄが折板屋根７に完全に密着した後、
さらに締結部材４を締め付けていくと、今度は第１湾曲
部３ｃを支点として第２湾曲部３ｄが引き上げられる動
きとなり、折板屋根７を挟み込む力がそれ以上強くなら
ないように加減される。これにより、折板屋根を締め付
け過ぎることによる折板屋根の変形や傷つけを防止する
ことができる。 【００１９】また、設置後は、脚部材１に左右いずれか
に向かって大きな外力が加わった場合には、左右クラン
プ片３の第１湾曲部３ｃがそれぞれ延びと縮みにより動
きを緩和するので、切片屋根７自体を左右に歪めるよう
な力が加わりにくい。具体的には脚部材１を左方向に倒
そうとする外力が働いた場合、その力は中間部材２によ
って左右クランプ片３Ｌ，３Ｒに２分される。そして、
左クランプ片３Ｌの第１湾曲部３ｃは縮み方向、右クラ
ンプ片３Ｒの第１湾曲部３ｃは延び方向に動くことによ
りその力を吸収するので、折板屋根７を挟んでいる左右
クランプ片３の第２湾曲部３ｄには大きな力が加わらな
いようになっている。なお、前述の外力が、左右クラン
プ片３の第１湾曲部３ｃで吸収不可能な大きさである場
合でも、屋根には瞬間的に大きな力を加えずに徐々に力
を伝えていくことになるので、従来の屋根用固定装置に
比べて屋根へのダメージの少ない、また強風や小刻みな
振動による折板屋根の変形や軋みが起こりにくい、屋根
にやさしい屋根用固定装置とすることができる。 【００２０】図３に屋根上に敷設された折板屋根７に、
屋根用固定装置の多数を配設した様子を示す。図３に示
すように、多数の屋根用固定装置（例えば屋根用固定装
置Ｋ１〜Ｋ５）を折板屋根の長手方向に対し直交する方
向に所定間隔を置いて配設し、脚部材１に延長部材６を
取り付ける。まず、延長部材６には太陽電池モジュール
１０を固定していき、固定装置群（例えば、屋根用固定
装置Ｋ１〜Ｋ４で構成される）を設ける。さらに、これ
ら固定装置群を複数配設することにより、より大面積の
太陽電池システム（アレイ）を構築することができる。
なお、このとき、延長部材６の取付孔を複数設けて、屋
根用固定装置（例えば、屋根用固定装置Ｋ３〜Ｋ５）に
対し、それぞれ複数個の屋根設置体１０が配されるよう
にして、屋根用固定装置の総数を少なくしてもよい。 【００２１】図４に屋根上に敷設された折板屋根７に、
屋根用固定装置Ｋの多数を配設し、太陽電池モジュール
１０を横レール１１に複数配設して太陽電池アレイとし
た架台を、勾配をつけて上記屋根用固定装置で固定する
様子を示す。 【００２２】ここで、横レール１１は数枚の太陽電池を
１群の太陽電池アレイとするフレームであり、鉄やアル
ミニウム等の強度的に優れた金属材料で構成される。図
４に示すように、多数の屋根用固定装置（例えば屋根用
固定装置Ｋ１〜Ｋ５）を折板屋根の長手方向に対し直交
する方向に所定間隔を置いて配設し、脚部材１に延長部
材６を取り付ける。延長部材６は太陽光の照射方向側に
短辺６ａ、後方に長辺６ｂを配する。 【００２３】具体的には屋根用固定装置Ｋ１、Ｋ３、Ｋ
５に延長部材６Ａ、屋根用固定装置Ｋ２、Ｋ４には延長
部材６Ｂを取り付ける。延長部材６Ａ、６ＢにはＬ字金
具１２を取り付ける。Ｌ字金具１２に横レール１１を取
り付けたのち、Ｌ字金具１２と延長金具６との接続部
を、延長部材６Ａと６Ｂの登頂を結ぶ傾斜に合わせて角
度を調整する。このようにして、傾斜のついた下部延長
部材と上部延長部材に複数枚の太陽電池モジュール１０
を順次固定していくことにより太陽電池アレイが構成さ
れる。 【００２４】ここで、脚部材１のみの方向を可変するよ
うにすれば、脚部材の取り付け方向を９０°ずらして、
縦レール対応とすることもでき、縦横いずれの向きでの
固定用としても利用することができる。 【００２５】また、脚部材と中間部材、クランプ片を固
定しているボルトの貫通孔のうち、脚部材の孔だけを楕
円にすることにより、太陽電池モジュールや縦レールま
たは、横レールとの取り付け部の寸法誤差を吸収させる
ことができる。 【００２６】また、脚部材をＬ字型を例に取り説明した
がＣ型でもよく、縦レールまたは横レール自身を、脚部
材として締結してもよい。 【００２７】なお、本実施形態では屋根設置体として太
陽電池モジュールを例にとり説明したが、これに限定さ
れるものではなく、太陽熱太陽熱集熱器等の平板状の太
陽エネルギー利用機器等に好適に適用可能である。ま
た、屋根用固定装置は図５に示すように脚部材１と延長
部材の接続部を折板屋根の中心位置でささえられるよう
にしたり、図６に示すように、脚部材１の取り付け方向
を９０°ずらした場合としても図１のものと同様の効果
が期待できる。 【００２８】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の屋根用固
定装置によれば、屋根設置体を支持し屋根面に略平行な
平板部を有する脚部材と、該脚部材の平板部下面に配設
し両端が下方に折り曲げられた屈曲部を有する中間部材
と、該中間部材の下面に配設し屋根の波形部を挟む左右
クランプ片とを備えるとともに、左右クランプ片のそれ
ぞれを脚部材及び中間部材に対し共通の締結部材で固定
し、且つ中間部材の屈曲部により左右クランプ片の各締
結固定部の動きを制限したので、屋根用固定装置の折板
屋根等の波形状の屋根への取付の作業工数を少なくする
ことができる。さらに、クランプ片が中間部材に取り付
ける構造であるので、締結部材であるボルトなどを誤っ
て締め付けすぎても、折板屋根を変形させたり傷つけた
りすることがなく、作業品質の管理を簡略化することが
できる。
用機器（太陽電池モジュール等の太陽電池装置や太陽熱
集熱器）などの平板状をなす屋根設置体を、住宅の屋根
に好適に設置することが可能な屋根用固定装置に関する
ものである。 【０００２】 【従来の技術】屋根用固定装置は例えば太陽電池や太陽
熱集熱器をはじめとする様々な屋根設置体を、屋根上に
固定するためのものであり、その形状、取付方法は、屋
根形状や屋根への一体化具合により様々である。例え
ば、金属板を折り曲げて屋根材とした折板屋根は、施工
性の容易さと軽量であることから、工場、住宅、倉庫な
どの建築物に採用されている。また、折板屋根は折板構
造理論により作られたものの総称であり、折板の断面形
状には数種類ある。折板構造は柱間の大きい建築構造に
適するが、鉄骨などのフレームに渡して屋根を形成する
ものや、野地板や垂木に沿って覆い被さる構造とするも
のがある。 【０００３】図７に示すように、波形をなす折板屋根７
は、鉄骨のフレーム、垂木２１、野地板２０上を覆うこ
とにより屋根を形成しているので、太陽電池モジュール
や太陽熱集熱器などの屋根設置体１０をその屋根上に設
置しようとするときには、ボルト２２や釘で孔を開け、
屋根用固定装置Ｊを固定する必要があるが、この孔から
雨水の浸入が生じる。このため、取付ボルト２２や釘の
貫通部にパッキングなどを介して防水構造としたり、例
えば実開平１−８９５２３号公報に開示されているよう
に、ボルト部の周囲を屋根用固定装置で覆い被せる方法
が提案されている。また、実開平６−２２４３８号公報
に開示されているように、折板屋根に孔を開けずに、屋
根用固定装置を折板屋根の折り曲げ部を挟み込む方法で
取り付ける構造も提案されている。さらに、特開平２０
０１−１４０４１６号公報に開示されているように、太
陽電池モジュールや太陽熱集熱器などのように取付架台
に傾斜を必要とする設置構造に対応した折板屋根用固定
装置も提案されている。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ボルト
や釘などの貫通部にパッキンなどの止水材を配する場
合、パッキンの経年変化による材質劣化や変形による防
水性能の低下により屋内への雨水の浸入が生じる。 【０００５】また、ボルトや釘などの貫通部周辺を屋根
用固定装置で覆い被せる方法では、屋根に固定用のベー
ス材を先に取付、固定金具の爪でベース材に噛み込むよ
うなセパレート方式となるため、固定金具以外にも屋根
への取付作業が生じることにより部材が増え、作業工数
も増加する。 【０００６】また、例えば図８に示すように、クランプ
２８に対しその側面からボルト２３で締め付ける方法で
は、締め過ぎにより折板屋根を変形させるなどの問題が
あり、作業時の締め付けトルクの管理や、締め付けが過
剰にならないような機構が必要となり、構造・作業管理
が複雑化する。 【０００７】また、図９に示すように、脚部材２７と左
右クランプ片２４，２５を共通の締結部材２６で固定す
れば、これらの問題を解決して容易に折板屋根に取付る
ことが可能であるが、脚部材２７が左右クランプ片２
４，２５の間に存在するので横方向に対する外力がてこ
の原理により直接屋根面にかかることになる。このため
折板屋根の形状に対してクランプ片２４，２５の挟持す
る形状が適切でなければ、こすれによる塗装のはがれや
錆が生じたり、軋み音が発生することになる。この横方
向への揺れは、てこの原理により脚部材２７の長さが長
いほど少ない力でも生じる。また、前述のこすれや軋み
を回避するために、折板屋根への締め付けを強くした場
合、折板屋根を変形させたり、折板構造の繋ぎ部に隙間
を生じさせることもある。 【０００８】そこで、本発明は上述の諸事情に鑑みてな
されたものであり、折板屋根等の波形をなす屋根にボル
トや釘などによる貫通孔を開けることなく、平板状の屋
根設置体を屋根に簡単且つ確実に固定するための屋根用
固定装置を提供することを目的とする。 【０００９】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の屋根用固定装置は、平板状の屋根設置体を
波形の屋根に固定するための屋根用固定装置であって、
前記屋根設置体を支持し前記屋根面に略平行な平板部を
有する脚部材と、該脚部材の平板部下面に配設し両端が
下方に折り曲げられた屈曲部を有する中間部材と、該中
間部材の下面に配設し前記屋根の波形部を挟む左右クラ
ンプ片とを備えるとともに、左右クランプ片のそれぞれ
を前記脚部材及び前記中間部材に対し共通の締結部材で
固定し、且つ前記中間部材の屈曲部により前記左右クラ
ンプ片の各締結固定部の動きを制限したことを特徴とす
る。 【００１０】また、前記クランプ片は、一辺が中間部材
の両端に形成された屈曲部により支持され、前記中間部
材と平行に内方向に向かう支持部と、湾曲した折り返し
によって外方向へ向かう第１湾曲部と、折板屋根を包み
込むのに適した形状で湾曲した第２湾曲部により形成さ
れていることを特徴とする。なお、前記第２湾曲部は、
左右の第２湾曲部で折板屋根を挟み込んだ際に折板屋根
に押し返され、第１湾曲部を支点に外側に広がるように
材質、板厚を選定する。 【００１１】このように、本発明の屋根用固定装置は、
脚部材と中間部材、クランプ片が共通の締結部材で固定
されるので、屋根用固定装置の折板屋根への取付作業工
数を少なくすることができる。 【００１２】また、本発明の屋根用固定装置は、クラン
プ片が中間部材に取り付ける構造であるので、締結部材
であるボルトなどを誤って締めすぎても、折板屋根を変
形させたり傷つけることがなく、作業品質の管理を簡略
化することができる。 【００１３】さらに、第１湾曲部にバネの働きを兼ねさ
せることにより、前述の折板屋根を挟み込む力を一定に
保たせる効果が得られるとともに、脚部材から加えられ
る横方向への力を左右２つのバネ弾性によって緩和でき
るので、風圧などにより脚部材に取り付けられた架台が
揺動した場合などにも、折板屋根にかかる負担を軽減す
ることが可能な優れた固定構造を提供できる。 【００１４】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を平板状
の屋根設置体である太陽電池モジュールを折板屋根上に
配設する場合を例にとり、模式的に図示した図面に基づ
いて詳細に説明する。 【００１５】図１に本発明の屋根用固定装置Ｋの断面図
を、図２にその斜視図を示す。本発明の屋根用固定装置
Ｋは、太陽電池モジュールを波形の屋根に固定するため
の装置であって、太陽電池モジュールを支持し屋根面に
略平行な平板部１ａを有する脚部材１と、この脚部材１
の平板部１ａの下面に配設し両端が下方に折り曲げられ
た屈曲部５を有する中間部材２と、この中間部材２の下
面に配設し屋根の波形部を挟む左右クランプ片３（３
Ｌ，３Ｒ）とを備えるとともに、左右クランプ片のそれ
ぞれを脚部材１及び中間部材２に対し共通の締結部材４
で固定し、中間部材２の屈曲部５により左右クランプ片
３の各締結固定部の動きを制限している。 【００１６】また、左右クランプ片３Ｌ，３Ｒは、中間
部材２の端部にある屈曲部５により支持される支持辺３
ａと、前記中間部材２と平行に内方向に向かう支持部３
ｂと、湾曲した折り返しによって外方向へ向かいう第１
湾曲部３ｃと、折板屋根を包み込むのに適した形状で湾
曲した第２湾曲部３ｄとを備えている。 【００１７】ここで、脚部材１と中間部材２、左右クラ
ンプ片３は例えばアルミニウム等の軽量で強度に優れた
金属材料で構成される。また、耐候性に優れたポリカー
ボネートやエポキシなどの樹脂成型品でもよい。締結部
材４はボルトやナットが望ましい。 【００１８】以下に、屋根用固定装置Ｋの折板屋根への
固定が如何に行なわれるかについて図１に基づいて説明
する。まず、脚部材１、中間部材２、および左クランプ
片３Ｌを締結部材４Ｌで仮止めしておき、折板屋根７の
凸条部に係止させる。その後、右クランプ片３Ｒを締結
部材４Ｒで脚部材１、中間部材２に締結する。さらに締
結部材４Ｌ，４Ｒを締め付けていくと、左右クランプ片
３Ｌ，３Ｒの支持辺３ａが中間部材２に密着していき、
それにつれて第２湾曲部３ｄが折板屋根７に密着してい
く。第２湾曲部３ｄが折板屋根７に完全に密着した後、
さらに締結部材４を締め付けていくと、今度は第１湾曲
部３ｃを支点として第２湾曲部３ｄが引き上げられる動
きとなり、折板屋根７を挟み込む力がそれ以上強くなら
ないように加減される。これにより、折板屋根を締め付
け過ぎることによる折板屋根の変形や傷つけを防止する
ことができる。 【００１９】また、設置後は、脚部材１に左右いずれか
に向かって大きな外力が加わった場合には、左右クラン
プ片３の第１湾曲部３ｃがそれぞれ延びと縮みにより動
きを緩和するので、切片屋根７自体を左右に歪めるよう
な力が加わりにくい。具体的には脚部材１を左方向に倒
そうとする外力が働いた場合、その力は中間部材２によ
って左右クランプ片３Ｌ，３Ｒに２分される。そして、
左クランプ片３Ｌの第１湾曲部３ｃは縮み方向、右クラ
ンプ片３Ｒの第１湾曲部３ｃは延び方向に動くことによ
りその力を吸収するので、折板屋根７を挟んでいる左右
クランプ片３の第２湾曲部３ｄには大きな力が加わらな
いようになっている。なお、前述の外力が、左右クラン
プ片３の第１湾曲部３ｃで吸収不可能な大きさである場
合でも、屋根には瞬間的に大きな力を加えずに徐々に力
を伝えていくことになるので、従来の屋根用固定装置に
比べて屋根へのダメージの少ない、また強風や小刻みな
振動による折板屋根の変形や軋みが起こりにくい、屋根
にやさしい屋根用固定装置とすることができる。 【００２０】図３に屋根上に敷設された折板屋根７に、
屋根用固定装置の多数を配設した様子を示す。図３に示
すように、多数の屋根用固定装置（例えば屋根用固定装
置Ｋ１〜Ｋ５）を折板屋根の長手方向に対し直交する方
向に所定間隔を置いて配設し、脚部材１に延長部材６を
取り付ける。まず、延長部材６には太陽電池モジュール
１０を固定していき、固定装置群（例えば、屋根用固定
装置Ｋ１〜Ｋ４で構成される）を設ける。さらに、これ
ら固定装置群を複数配設することにより、より大面積の
太陽電池システム（アレイ）を構築することができる。
なお、このとき、延長部材６の取付孔を複数設けて、屋
根用固定装置（例えば、屋根用固定装置Ｋ３〜Ｋ５）に
対し、それぞれ複数個の屋根設置体１０が配されるよう
にして、屋根用固定装置の総数を少なくしてもよい。 【００２１】図４に屋根上に敷設された折板屋根７に、
屋根用固定装置Ｋの多数を配設し、太陽電池モジュール
１０を横レール１１に複数配設して太陽電池アレイとし
た架台を、勾配をつけて上記屋根用固定装置で固定する
様子を示す。 【００２２】ここで、横レール１１は数枚の太陽電池を
１群の太陽電池アレイとするフレームであり、鉄やアル
ミニウム等の強度的に優れた金属材料で構成される。図
４に示すように、多数の屋根用固定装置（例えば屋根用
固定装置Ｋ１〜Ｋ５）を折板屋根の長手方向に対し直交
する方向に所定間隔を置いて配設し、脚部材１に延長部
材６を取り付ける。延長部材６は太陽光の照射方向側に
短辺６ａ、後方に長辺６ｂを配する。 【００２３】具体的には屋根用固定装置Ｋ１、Ｋ３、Ｋ
５に延長部材６Ａ、屋根用固定装置Ｋ２、Ｋ４には延長
部材６Ｂを取り付ける。延長部材６Ａ、６ＢにはＬ字金
具１２を取り付ける。Ｌ字金具１２に横レール１１を取
り付けたのち、Ｌ字金具１２と延長金具６との接続部
を、延長部材６Ａと６Ｂの登頂を結ぶ傾斜に合わせて角
度を調整する。このようにして、傾斜のついた下部延長
部材と上部延長部材に複数枚の太陽電池モジュール１０
を順次固定していくことにより太陽電池アレイが構成さ
れる。 【００２４】ここで、脚部材１のみの方向を可変するよ
うにすれば、脚部材の取り付け方向を９０°ずらして、
縦レール対応とすることもでき、縦横いずれの向きでの
固定用としても利用することができる。 【００２５】また、脚部材と中間部材、クランプ片を固
定しているボルトの貫通孔のうち、脚部材の孔だけを楕
円にすることにより、太陽電池モジュールや縦レールま
たは、横レールとの取り付け部の寸法誤差を吸収させる
ことができる。 【００２６】また、脚部材をＬ字型を例に取り説明した
がＣ型でもよく、縦レールまたは横レール自身を、脚部
材として締結してもよい。 【００２７】なお、本実施形態では屋根設置体として太
陽電池モジュールを例にとり説明したが、これに限定さ
れるものではなく、太陽熱太陽熱集熱器等の平板状の太
陽エネルギー利用機器等に好適に適用可能である。ま
た、屋根用固定装置は図５に示すように脚部材１と延長
部材の接続部を折板屋根の中心位置でささえられるよう
にしたり、図６に示すように、脚部材１の取り付け方向
を９０°ずらした場合としても図１のものと同様の効果
が期待できる。 【００２８】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の屋根用固
定装置によれば、屋根設置体を支持し屋根面に略平行な
平板部を有する脚部材と、該脚部材の平板部下面に配設
し両端が下方に折り曲げられた屈曲部を有する中間部材
と、該中間部材の下面に配設し屋根の波形部を挟む左右
クランプ片とを備えるとともに、左右クランプ片のそれ
ぞれを脚部材及び中間部材に対し共通の締結部材で固定
し、且つ中間部材の屈曲部により左右クランプ片の各締
結固定部の動きを制限したので、屋根用固定装置の折板
屋根等の波形状の屋根への取付の作業工数を少なくする
ことができる。さらに、クランプ片が中間部材に取り付
ける構造であるので、締結部材であるボルトなどを誤っ
て締め付けすぎても、折板屋根を変形させたり傷つけた
りすることがなく、作業品質の管理を簡略化することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る屋根用固定装置を模式的に説明す
る側面図である。 【図２】本発明に係る屋根用固定装置を模式的に説明す
る斜視図である。 【図３】本発明に係る屋根用固定装置を屋根に配設した
様子を模式的に説明する斜視図である。 【図４】本発明に係る屋根用固定装置に横レールを介し
て太陽電池モジュールを取付ける様子を模式的に説明す
る斜視図である。 【図５】本発明に係る屋根用固定装置の変形例を模式的
に説明する斜視図である。 【図６】本発明に係る屋根用固定装置の変形例を模式的
に説明する斜視図である。 【図７】従来の屋根用固定装置を屋根に配設した様子を
模式的に説明する斜視図である。 【図８】従来の側面からボルトで締め付ける屋根用固定
装置を模式的に説明する断面図である。 【図９】従来の脚部材一体型屋根用固定装置を模式的に
説明する断面図である。 【符号の説明】 Ｋ：本発明に係わる屋根用固定装置 Ｊ：従来の屋根用固定装置 １：脚部材 ２：中間部材 ３：クランプ片 ３Ｌ：左クランプ片 ３Ｒ：右クランプ片 ３ａ：クランプ片支持部 ３ｂ：クランプ片支持辺 ３ｃ：クランプ片第１湾曲部 ３ｄ：クランプ片第２湾曲部 ４：締結部材 ４Ｌ：締結部材 ４Ｒ：締結部材 ５：屈曲部 ６：延長部材 ６Ａ：延長部材（短辺） ６Ｂ：延長部材（長辺） ７：折板屋根 １０：屋根設置体 １１：横レール １２：Ｌ字金具 ２０：野地板 ２１：垂木 ２２：取付ボルト
る側面図である。 【図２】本発明に係る屋根用固定装置を模式的に説明す
る斜視図である。 【図３】本発明に係る屋根用固定装置を屋根に配設した
様子を模式的に説明する斜視図である。 【図４】本発明に係る屋根用固定装置に横レールを介し
て太陽電池モジュールを取付ける様子を模式的に説明す
る斜視図である。 【図５】本発明に係る屋根用固定装置の変形例を模式的
に説明する斜視図である。 【図６】本発明に係る屋根用固定装置の変形例を模式的
に説明する斜視図である。 【図７】従来の屋根用固定装置を屋根に配設した様子を
模式的に説明する斜視図である。 【図８】従来の側面からボルトで締め付ける屋根用固定
装置を模式的に説明する断面図である。 【図９】従来の脚部材一体型屋根用固定装置を模式的に
説明する断面図である。 【符号の説明】 Ｋ：本発明に係わる屋根用固定装置 Ｊ：従来の屋根用固定装置 １：脚部材 ２：中間部材 ３：クランプ片 ３Ｌ：左クランプ片 ３Ｒ：右クランプ片 ３ａ：クランプ片支持部 ３ｂ：クランプ片支持辺 ３ｃ：クランプ片第１湾曲部 ３ｄ：クランプ片第２湾曲部 ４：締結部材 ４Ｌ：締結部材 ４Ｒ：締結部材 ５：屈曲部 ６：延長部材 ６Ａ：延長部材（短辺） ６Ｂ：延長部材（長辺） ７：折板屋根 １０：屋根設置体 １１：横レール １２：Ｌ字金具 ２０：野地板 ２１：垂木 ２２：取付ボルト
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項１】 平板状の屋根設置体を波形の屋根に固定
するための屋根用固定装置であって、前記屋根設置体を
支持し前記屋根面に略平行な平板部を有する脚部材と、
該脚部材の平板部下面に配設し両端が下方に折り曲げら
れた屈曲部を有する中間部材と、該中間部材の下面に配
設し前記屋根の波形部を挟む左右クランプ片とを備える
とともに、左右クランプ片のそれぞれを前記脚部材及び
前記中間部材に対し共通の締結部材で固定し、且つ前記
中間部材の屈曲部により前記左右クランプ片の各締結固
定部の動きを制限したことを特徴とする屋根用固定装
置。
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2002
- 2002-02-27 JP JP2002052363A patent/JP3811412B2/ja not_active Expired - Fee Related
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