JP2003225171A - フライ調理器 - Google Patents

フライ調理器

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JP2003225171A
JP2003225171A JP2002067657A JP2002067657A JP2003225171A JP 2003225171 A JP2003225171 A JP 2003225171A JP 2002067657 A JP2002067657 A JP 2002067657A JP 2002067657 A JP2002067657 A JP 2002067657A JP 2003225171 A JP2003225171 A JP 2003225171A
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oil
frying
fried
cooker
ingredients
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JP2002067657A
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English (en)
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Minoru Nishida
稔 西田
Akira Okumura
彰 奥村
Toshiyuki Inui
利之 乾
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Nisshin Oillio Group Ltd
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Nisshin Oillio Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フライ油の急速加熱に適し、フライ油中の劣化
物を抑制することでフライ油の品質を保持し、フライ調
理品の品質を好適に保持することができるフライ調理器
を提供する。 【解決手段】収容されるフライ油を加熱するためのヒー
ターユニットをその側面に有する縦長のフライ油槽を1
またはそれ以上備え、該ヒーターユニットにはフライ油
を急速加熱するためのターボ機構が接続されていること
を特徴とするフライ調理器。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、フライ調理器に関
する。
【従来の技術】フライ調理において、フライ調理品の品
質を好適にするとともに、使用する油脂の品質を管理す
ることが重要である。食用油はフライ調理によって空気
中の酸素、ヒーターからの熱、揚げ種からの水等の影響
により分解や重合などの化学変化を受け、遊離脂肪酸、
カルボニル化合物、重合物などの油脂劣化物を生じる。
これら油脂劣化物はフライ調理時間の経過とともにフラ
イ油中に蓄積され、さらに揚げ種から分離した揚げかす
や揚げ種から溶出する動物脂なども加わって、フライ油
は着色、粘度、発煙、泡立ちの増加をまねくとともに不
快臭・不快味を呈するようになる。このようなフライ油
で揚げたフライ品は、風味が低下し外観も油っぽくなっ
て商品価値が大きく低下する。従って、フライ油は常に
劣化度が低い状態で使用しなければならない。従来のフ
ライ調理器(フライヤー)では、フライ油の劣化および
油脂劣化物の蓄積は避けられず、そのためにある程度劣
化度が高くなった段階で、フライ油の全量または一部を
廃棄し、新鮮なフライ油と入れ替える必要があった。劣
化フライ油の廃棄作業は手間がかかるうえ、高温状態の
フライ油を廃棄する場合には火傷などの危険を伴う。発
生した廃油の処分は、廃油処理業者に引き渡すケースが
多いが、近年では有償での引き取りが一般的となり、そ
の際必要な廃油処理費用が事業者にとって大きな負担に
なっている。また、産業廃棄物の削減という観点からも
廃油の発生をなるべく減少させたいという事業者のニー
ズは高まっている。廃油の発生を減少させる方法は、使
用中のフライ油の劣化を抑える方法と、劣化したフライ
油を使用後に浄化する方法とに大別することができる。
使用中のフライ油の劣化を抑える方法としては、フライ
油にセラミックや焼成骨粉などの多孔質物質を沈めたり
(特開平09−142950号公報、特開昭62−10
1699号公報)、調理中にフライ油に電圧や電流を印
加する方法(特開平09−100489号公報、特開平
10−276744号公報)が提案されている。しかし
ながら、これらの方法ではフライ油の劣化を効果的に抑
えることは難しく、装置の導入費用やランニングコスト
が高額であるという問題があった。一方、劣化したフラ
イ油を浄化する方法としては、活性炭や活性白土などの
多孔質や極めて目の細かい濾紙等による吸着・濾過作用
を利用したものが実用化されている。この方法は、微細
な揚げかすの除去やフライ油の色の回復には一定の効果
を示すが、劣化フライ油中に大量に生じた油脂重合物や
油脂分解物などを除去する効果は限定されている(特開
昭56−166820号公報、特開2000−1785
78号公報)。特に、フライ油の劣化を抑制する方法と
して、特開昭62−220160号公報に、フライ油の
張り込み量(リットル)に対する時間あたりのフライ数
量(kg/時)、すなわちフライ油回転率を100%/
時以上とし、かつフライ油の張り込み量(リットル)に
対する空気との接触面積(cm)の比を140以下と
する調理方法が開示されている。しかし、フライ油の劣
化を防ぐために、フライ油の回転率を高めること、フラ
イ油と空気との接触面積をできるだけ抑えることが効果
的であることそれ自体は、当業者にとって周知の事項で
ある。また、フライ油回転率を100%以上とすること
は、大量の揚げ物を長時間にわたり間断なく揚げている
食品工場の大型連続フライヤーでは可能であるが、惣菜
店やスーパーマーケットで使用している数十〜数リット
ルの中小型フライヤーでは事実上不可能である。また、
中小型フライヤーでは、フライ油の張り込み量(リット
ル)に対する空気との接触面積(cm)の比はほとん
どの場合140以下である。また、この比は結局油層の
深さ(H)の逆数(1/H)に相当するものである。本
公報はこのHが約7.2cm以上である全てのフライヤ
ーに言及している結果、実際上あらゆるフライヤーをそ
の範囲内のものとしているといえる。本公報には、油層
の形状等からフライ油の劣化の問題を解決する方法等が
示されていない。
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、フ
ライ油の急速加熱に適し、フライ油中の劣化物を抑制す
ることでフライ油の品質を保持し、フライ調理品の品質
を好適に保持することができるフライ調理器を提供する
ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明によれば、収容されるフライ油を加熱するた
めのヒーターユニットをその側面に有する縦長のフライ
油槽を1またはそれ以上備え、該ヒーターユニットには
フライ油を急速加熱するためのターボ機構が接続されて
いることを特徴とするフライ調理器が提供される。フラ
イ調理において、フライ開始時やフライ調理中に生じる
油温の低下時において、目的の油温度にいかに早く到達
させるかということは、作業効率、時間、品質の面から
重要な事項である。ここで、従来の油層内の底部または
中部に金属の伝熱ヒーターが設置された開口部が広く、
油面の浅いフライ調理器では、急速温度上昇を目的とし
て強加熱を行うと、伝熱面において過加熱されてしまい
フライ油は熱劣化するため、フライ油およびフライ調理
品の品質が劣るという問題があり、また、温度上昇にお
いても伝熱ヒーターとフライ油との接触面積が小さいた
め好適とはいえなかった。本発明において、同じ熱量で
の加熱であっても、伝熱面を広くすることで、上記劣化
を抑制し、好適な温度上昇を達成できることを見いだし
た。さらに、底面では、フライ調理に用いる具材、例え
ば衣を有する具材を調理する際に剥離する衣が底部に溜
まり、これが過熱されることで油脂に着色、劣化や具材
に焦げた衣が付着するという問題点が生じることを見い
だし、前記加熱面を広くするということ、また、粕の焦
げ等による悪影響を回避するためには加熱面を側面とす
ることが好適であることを見いだした。ここで、過熱面
を広くするという視点から、側面の面積が広いことが好
ましく、つまり油層が縦長であることが好ましいことを
見いだした。このように縦長であると、加熱面(油槽の
側面)同士が近いため、さらに急速な温度上昇が達成で
き、きわめて好適である。さらにフライ調理全体とし
て、フライ油脂、フライ調理品、使用性等について好適
な態様を達成するためには、フライ油槽は、油面に対応
する開口部の面積SBと該開口部から底までの深さHB
とが、HB/SB−2=0.8〜4.0なる関係を満た
すことが好ましい。
【発明の実施の形態】本発明は、フライ調理を、フライ
調理する油層の油面の面積SAと油底から油面までの高
さHAとが、HA/SA−2=0.6〜3.5なる関係
を満たす条件の下で行うために特に好適なフライ調理器
である。先に述べたように、フライ調理について管理が
必要なのは、主にフライ調理品の品質と、油脂の品質に
ついての管理である。ここで、油脂の品質に関し、油脂
の劣化度を左右する要因としては、油面の表面積と油脂
の体積(若しくは重量)が重要であるとされている。つ
まり、油面の表面積をSとし、油脂の体積をVとする
と、劣化速度は、S/Vと比例関係にあることが知られ
ている。ここで、油底から油面までの高さをHとした場
合、V=S×Hであることから、劣化速度は1/Hに比
例することとなる。つまり、劣化速度、言い換えると劣
化し易さとは、油底から油面までの距離であるHによっ
て支配され、表面積Sや体積V自体は直接関係ないこと
になる。これは、高さHが同じである場合は、油面の表
面積Sが広かろうが、狭かろうが、その劣化し易さに差
異はないということになり、高さHが同じであれば、縦
長の直方体の油層の場合でも、横に偏平形の直方体の油
層の場合でも油脂の劣化し易さに差異はないということ
になる。ところで、フライ中の油脂の品質を一定以上に
保つためには、まず、油の劣化を抑制することが考えら
れる。しかし、これのみでは限界があり、比較的早い時
間で油脂は使用限界に達する。そうなると、油層中の油
脂をすべて廃棄し、新油に交換する必要がある。この場
合、新たに大量の新油が必要となる他、廃油の処理も併
せればコスト面、環境面に悪影響が生じる。昨今、廃棄
物の処理には特にコストや必要な手間が増えているた
め、大きな問題である。また、この廃油量、必要な新油
量は、油層が大きいほど多くなり、それぞれのコストも
増加する。ここで、本発明等が、フライ調理に関する油
脂の品質について鋭意検討した結果、油脂の劣化し易さ
だけでなく、実際のフライ作業においては、フライ用具
材が吸油した分を補うために添加する新油量等がフライ
調理中の油脂の品質に大きな影響を与えていることを見
出した。すなわち、フライ調理中の油脂の品質を評価・
管理する視点として、油脂中に存在する劣化物を一定量
以下に抑制するということに注目した。この劣化物を一
定量以下に抑制する方法として、従来の油脂の劣化を抑
制するということに加え、油層中の油脂量に対する新油
の添加量、すなわち、回転率を高くすることを視点とし
て上記目的を達成している。ここで、回転率は下式
(1)から求められる。 回転率(%/時)=(時間当たりの給油量(g/時)÷油層中の油脂量(g) )×100(%) (1) 本発明において、実際のフライ作業を詳細に観察・検討
した結果、油脂の品質管理として、油脂の劣化を抑制す
ること、回転率を高くすることの双方により対応するこ
とが好ましいことが見出されている。ここで、単に吸油
量を多くするということでなく、本発明においては以下
のような思想により、目的を達成している。すなわち、
上記の通りV=S×Hの関係があるが、まず、劣化度を
低くするためには酸素との接触面である油面の表面積S
を小さくすることが好ましく(体積Vは大きいことが好
ましい)、また、回転率を上げるには逆にVを小さくす
ることが好ましい。この時点ではHは特に制限されず、
現実性のある値であれば良い。ここで、体積Vは、使用
する具材の量により自動的に限定されてしまう。下記に
も詳述するが回転率を高くしたい場合には、Vはできる
だけ小さいものとすることが好ましい。上記限定された
体積を仮に固定値Vとした場合、上述の通りSは小さ
い方が好ましいため、Hは必然的に大きい値が好ましい
ということになる。ここで、SやHの値は現実性を考え
るとある程度の範囲に限定される。本発明は、SとHの
関係について、一定の関係を保つ場合において、上記油
脂の好適な品質保持と、フライ作業性とを満たすものと
なることを見いだしたものである。すなわち、本発明に
おけるフライ調理方法は、フライ油面の面積SAと油底
から油面までの高さHAについて、HA/SA−2
0.6〜3.5、好ましくは0.65〜3.0、さらに
好ましくは0.7〜2.75、特に好ましくは0.75
〜2.5、最も好ましくは0.8〜2.25、特に最も
好ましくは0.9〜2.0となる条件で行うことが特に
好ましい。上述の通り、本発明においては、表面積SA
が小さく、高さHAは大きいことが好ましい。つまり、
上記HA/SA−2の値が大きいことが好ましい。しか
し、現実のフライ作業を考えると油面の表面積SAが小
さすぎても作業性が悪く、高さHAが大きすぎても油脂
の対流が悪くなり均一にフライできない等の悪影響があ
る。本発明に従い、表面積SAと高さHが上記関係にあ
る場合において、上記悪影響を受けること無く、油脂の
劣化を抑制し、高い回転率を達成し、油脂中に存在する
劣化物を一定量以下に抑制することができる。なお、通
常のフライ調理器を使用してフライ調理を行う場合、H
A/SA−2の値は0.1〜0.4程度で行われてい
る。本発明の条件でフライ調理する場合、例えば比較的
縦長の立方体や円柱等の油層が想定される。上述の通り
油脂量に対して表面積が少ないことから、空気に接触す
る面積が少なく、フライ調理中の油脂の劣化が抑制され
る。ここで、単に表面積が少なければ良いわけではな
く、油層が縦長すぎるとフライ作業ができなかったり、
加熱した油脂が対流しないため一部が過加熱されて逆に
劣化が促進してしまったり、温度差が生じるためフライ
「ムラ」が生じたりして、フライ調理に適さないことに
なることも上述の通りである。そこで、上記の場合にお
いて、実際の作業を想定した場合、油面から油底(平均
値)までの距離が10〜200cm、好ましくは10〜
100cm、さらに好ましくは10〜40cmである。
また、表面積SAについても30〜30,000c
、好ましくは30〜3,000cm、さらに好ま
しくは30〜1,000cmである場合が好ましい。
実際上、油面から油底までの距離が短すぎたり、表面積
が狭すぎてもフライしにくい等の弊害が生じ、逆に、距
離が大きすぎたり、表面積が広すぎると、実際の使用す
る油層が巨大すぎて現実に即しないことになるので好ま
しくない。また、回転率を高くするためには上記式
(1)からも分かるように、吸油量と油脂量の関係が重
要である。油脂量(油層中の油脂量)に関しては、少な
いほど好ましいということになる。つまり、設定される
前記Vが少ないほど好ましいということになる。これ
は、言い換えると、一定量の具材が少ない油脂で調理さ
れること、つまり、具材の充填率が高いほど好ましいと
いうことになる。よって、本発明は、好ましくは、調理
時に油層に充填される具材の総体積に対する具材の総体
積と油層体積との和の百分率(具材総体積/(具材層体
積+油層体積)×100)で表される具材の充填率が1
2%以上、好ましくは14%以上、さらに好ましくは1
6%以上となるようにして上記条件の下でフライ調理を
行う。具材の充填率が、これらの範囲より低いと回転率
の向上に寄与できず、この範囲より高いと具材が多すぎ
ることとなり、好適なフライ調理をすることができない
場合もあり得るので好ましくない。なお、通常のフライ
調理における充填率は4〜8%である。具材の充填率が
高いということは、言い換えると、具材に対する油量が
少ないということであり、同じ具材を調理するのにより
少ない油量で行うということである。本発明において、
例えば具材(体積)に対する油量(体積)は7.4(V
/V)以下、好ましくは6.2(V/V)以下、さらに
好ましくは5.3以下とすることができる。本発明によ
れば、この油/具材の体積比は、2まで減少させること
ができる。特に、形状が偏平状である具材において、そ
の広い面を油面と垂直の関係となるようにし、調理を行
うことで、具材の充填率を上げることができ、上記条件
でフライ調理することができる。また、特に、偏平状具
材を、その広い面を油面と垂直の関係となるようにキャ
リアーに設置しフライ調理を行うことで、好適に上記フ
ライ調理を行うことができる。ここで、垂直な関係とは
完全な垂直のみを示すのではなく、具材が見た目に「立
てた」状態であることをいう。さらには、具材を油面よ
り下になるように設置しフライを行うことで、上記充填
率を上げることができる。これにより上述の通り、回転
率を高くすることができ、油脂の品質を好適に維持する
ことに寄与する。さらに下記に示すように、作業環境、
フライ調理品への好適な効果を得ることができる。つま
り、具材の充填率を上げることにより、具材量に対し、
通常に比べ小さな油層でフライ調理することができる。
これは、油層自体を小さくすることができるため機器を
コンパクトにできるという作業面でのメリットや、使用
する油量が少なくて済むというコスト面でのメリット、
発生する廃油が少ないという環境上等のメリットを有す
る。フライ調理に使用される油脂の量は、油層の大きさ
に加え、差し油の量、廃油の量が大きく影響する。本発
明の方法およびフライ調理器は同じ具材に対して少ない
油量で調理することができること、つまり、油層が小さ
いこと、また、具材の吸油量が少ないため差し油量が少
ないこと、さらには油脂に含まれる劣化物を一定以下に
抑制維持することができるため、廃油の発生時期を遅ら
せること、さらには実質上廃油が発生しないように調整
することができるため、油脂の使用量を大幅に低減させ
ることができる。ここで、油脂の使用量に対し最も影響
を与えるのは廃油である。つまり、廃油として使用して
いる油脂を廃棄した場合、油層分の新油を新たに使用し
なければならないため、結果として油脂の使用量が大幅
に増えることになる。本発明によれば、廃油が発生しな
い程度の短期間での使用においても、従来に比べてその
使用量を例えば有意に低減することができる。ここで、
従来における標準的なフライ調理条件はHA/SA−2
=約0.3、具材充填率=約6%と設定することがで
き、この条件を標準従来条件といい、この標準従来条件
によりフライ調理方法を標準従来法という。本発明によ
れば、油脂の使用量は、標準従来法の70%以下に低減
することができる。さらに、廃油が生じた場合には、標
準従来法の65%以下、好ましくは60%以下、さらに
は55%以下、特に50%以下に低減するこができる。
本発明における油脂の使用量は、標準従来法に比べて1
0%まで低減することができる。また、上述の様に、実
質上廃油が生じない条件で長期運転することで、さらに
低減することができる。以下に示す例えば実施例9にお
いて、例えば、廃油基準を重合物量が5%以上とした場
合、従来機では80時間毎に廃油が必要となり、その度
に廃油が発生し、新油を大量に使用しなければならない
が、一方、本発明の場合、重合物量が常に2.5%以下
に維持されるため、廃油は発生しないことになる。ま
た、本発明の方法およびフライ調理器においては、具材
に対して使用する油脂量が少ないこと、熱効率が良いこ
と等の理由から、少ないエネルギーで運転することがで
きる。特に、長時間運転するにつれ、その低減効果は大
きくなるため、現実において好ましいといえる。その低
減効果について、例えば使用した電気量によって標準従
来法との比(使用エネルギー低減指数)を用いて示す
と、本発明では、電気量は標準従来法の0.7以下、好
ましくは0.65以下、さらに好ましくは0.6以下に
低減されるが、長期運転を行うことにより、これ以上の
効果を得ることができる。特に、常時フライ作業が行わ
れてうるわけではなく、定期的、または注文等により不
定期的に作業を行い、比較的空加熱が多い態様において
は、従来に比べて、より低減効果を得ることができる。
本発明によれば、この使用エネルギー低減指数は、0.
15まで減少させることができる。油層の油脂量を減ら
すためには、扁平な形状の底の浅い油層等を使用するこ
ともできるが、その場合、油面の面積が広いため油脂が
劣化し易いこと、また、底が浅いため加熱器に付着して
焦げた衣が具材に再付着して具材の品質や外観を損ねる
等の悪影響がある。これに対し本発明は、縦形の油層で
前述の本発明の条件を満たす場合において、上述の劣化
抑制やフライ調理品への好適な効果を得ながら、油層の
油脂量を少なくし、回転率を上げることができる。ま
た、油面でなく油中でフライ調理することで、上述の通
り多くの具材を調理することができるということに加
え、全体をムラなくフライ調理することができる。通常
のように油面付近でフライ調理する場合、油面から出て
いる部分と油面の下にある部分との温度差が大きいため
にムラになり易いこと、さらに、これらのムラを無くす
ためフライする面を変えて(引っ繰り返して)調整して
いるが完全とは言い難い。本発明のフライ調理方法によ
れば、具材の全面から同じ温度で加熱するためムラなく
均一に調理することができる。特に、偏平状具材の場合
には表、裏の両面をムラなく揚げるために常時監視し、
裏返したりするという処理等をする必要もなく、両面が
ムラなくフライ調理される。比較的縦長の油槽の深い部
分で具材を調理する場合にも、具材から生じる無数の蒸
気の気泡によりバブリングされ、油脂が攪拌され、油槽
内の油温が均一に調整されるという効果を有する。本発
明の方法およびフライ調理器においては、具材から発生
する気泡により油層内の油が好適に対流するため、温度
が均一となる。通常、油層の上下や左右での温度はかな
り異なるが、また、具材間や具材と壁面の間には油が滞
留してしまい、温度差の原因となるが、本発明の方法に
おいては、これらの場所においても具材から生じる気泡
により油が攪拌され、温度が均一となる。この結果、具
材も均一に調理することができる。これらのことから
も、フライの「ムラ」を防止し、均一に加熱された好適
なフライ調理品を得ることができる。本発明のフライ調
理方法においては、具材を油中に沈めてフライ調理する
こと、また、油中で生じる気泡がバブリング効果を有し
油を対流させることにより、全ての面を均一にフライ調
理することができる。外観上からも、従来の油面に浮か
せたフライ調理においては、油中にある面と、油面から
出て空気に曝されている面とでは揚がり具合、具体的に
は色が異なっていたり、また、衣の状態が極端に異なっ
ていたりするが、本発明においては外観上からも均一で
ある。また、一度に複数の具材をフライ調理した場合で
も、それぞれの具材の間に外観上の差異は無く、各具材
が均一にフライ調理されていた。また、フライ調理後
(または一定時間後)の具材の中心温度を測定した場
合、本発明の方法およびフライ調理器の場合、ばらつき
が少ないことがわかった。このことからも、各具材間に
おいて、均一に調理されていることがわかる。また、全
側面から加熱するため、具材によっては、特に通常油面
付近で浮かべてフライ調理する具材について、本発明の
方法によりフライ調理時間を短縮することもできる。よ
って、高充填率で多くの具材を調理することができるこ
と、フライ時間を短くすることができる等のことから、
本発明のフライ調理方法は、フライ作業の効率を向上さ
せることができる。さらに、本発明の方法およびフライ
調理器においては、全面から加熱されていること、熱効
率が良いこと等の理由から、短時間で具材の温度が上昇
し、調理を進行させることができる。加えて、充填率が
高い過密状態でフライ調理を行うため、油脂中において
具材から発生する蒸気の圧力で加圧状態となり、フライ
調理に関して好適な影響を与える。フライ状態が良好と
なること、フライ調理時間が短縮されることが期待され
る。また、偏平状具材がキャリヤーで固定されているよ
うな場合においては、加圧状態であること、固定されて
いることの相乗効果により、衣等の剥離が大幅に抑制さ
れるという効果も得られる。本発明の方法およびフライ
調理器においては、具材から剥離する衣の量が少ないた
め、油の劣化や、フライ調理品に付着する等の悪影響を
与え、かつ、廃棄物として生じる揚げかすの発生量を抑
制することができる。標準従来法と比によって比較した
場合、例えば0.8以下、好ましくは0.75以下、特
に好ましくは0.7以下であり、揚げかすの発生量が抑
制されていることがわかる。揚げかすの発生量は、0.
3まで減少させることができる。これは、剥離した衣の
「焦げ」等が原因となる油脂の劣化をも抑制するという
効果が得られるため好ましい。また、フライ作業後の清
掃も容易になるため好ましい。本発明においては、劣化
物が低レベルで抑制されているため油層内壁に付着する
汚れが少ない。また、重合物や揚げかすの発生が少ない
ことから、その付着抑制効果は顕著である。また、特に
付着しやすい油面付近についても、油中において発生す
る気泡等によるバブリング効果により油面の変動が大き
いため汚れが付着しにくいという特徴がある。これらに
より、油層内壁、特に通常多く付着する油面付近に汚れ
が付着することを防ぐ効果を有する。油面に具材が浮か
んでいる状態でフライ調理する場合は、油面の上に出て
いる部分や、油面付近から水分が蒸発するが、本発明の
ように油脂中に具材が存在する状態でフライ調理をする
場合は、全ての蒸発する水分は油脂中で発生し、油面へ
向かう。この結果、油面付近における蒸気の濃度が高く
なる。これは言い換えると酸素濃度が低くなるというこ
とであり、フライ調理中の油脂の劣化を抑制する効果が
得られる。このことに加え、本発明の調理方法において
は、空気と接する油面の面積が通常の場合に比べて狭く
設定されているため、その相乗効果から、より劣化抑制
効果が好適に得られる。また、本発明のフライ調理方法
ではフライ調理中、常に油脂中の具材から蒸気が発生
し、具材全体が泡で覆われるため不要な油分が吸収され
にくいという特徴がある。これにより、フライ調理品の
風味が油っぽくなく、風味が良好であること、また、吸
油量が少ないため油脂の使用量が少なくて済むというメ
リットを有する。また、形状が偏平状である具材につい
て、その広い面を油面と垂直の関係となるようにし、調
理を行うこと、つまり、立てた状態でフライ調理するこ
とにより、上記のような各種効果を得ることができる
が、さらに、フライ調理後において、フライ調理済み具
材を油脂中から取り出す時にもその状態を保持して取り
出す、つまり、立てたまま取り出すことによって、具材
の衣等の吸油量を大幅に減らすことができることができ
る。これは、取り出す時に油が乗る面の面積が小さいこ
とおよび具材の下面の面積が小さいことが一因であると
考えられる。広い面を油面と平行に向けて取り上げた場
合には、多量の油脂を乗せて取り上げることとなり、ま
た具材の下面に油が溜まることにより、吸油量が多くな
るが、本発明では、上記の態様で取り出すことにより、
このような弊害を防止している。本発明のフライ調理方
法で得られるフライ調理品は吸油量が少ないため、風味
面からは油っぽくないため好ましく、従来法により得ら
れるフライ調理品よりもローカロリーであるためカロリ
ーを気にする者に対して好ましい。吸油量は、例えば標
準従来法によりフライ調理した場合と比(吸油量指数)
によって比較すると0.85以下、好ましくは0.8以
下、特に好ましくは0.75以下、特に最も好ましくは
0.725以下となり、吸油量が少ないことがわかる。
本発明では、0.5までの吸油量指数を達成することが
できる。このように、フライ作業中の油脂の使用量を減
らすことができるとともに、フライ調理品の味・風味、
特に油っぽさを大幅に抑制することができる。また、通
常のフライ作業では、フライ作業中に剥離した衣等の焦
げが、新しいフライ具材の上にのったりする場合が多
く、見た目や味に悪影響を与えてきたが、上記のよう
に、立てた状態で油槽から取り出す場合には、これらの
焦げをフライ調理品の上にのせたまますくい上げること
もなく、このこの面からも好ましいといえる。本発明で
使用する油槽は上述の通り、縦形の油槽が想定されるた
め、上記焦げが具材の上に舞い上がってくることが少な
いため、さらに好ましい。従来のフライ法では、具材は
揚げカゴに乗せた状態で、油中に投じられる。この際、
具材と揚げカゴが接する面では、具材がカゴにこすれる
ことにより、高頻度で具材のパン粉層の剥離が見られ、
パン粉層の剥離率は2%以上におよぶ。本発明によるフ
ライ調理器では、コロッケなどの扁平な具材はキャリヤ
ーで固定してフライ調理をおこなう。具材とキャリヤー
の接触面積は非常に少なく、コロッケは固定されている
こと、さらに立てた状態であるため、気泡がスムーズに
抜けるため具材を振動させることもなく、また、具材表
面とキャリヤーがこすれることはほとんど無く、パン粉
層の剥離率は低い。例えば1.0%以下、好ましくは
0.7以下、さらに好ましくは0.5以下、特に好まし
くは0.3以下とすることができる。本発明のフライ調
理方法によれば、既述のように油脂中の劣化物が低い値
で維持される。例えば、熱劣化物である重合物を指標と
すると、回転率を2(%/時)で使用すると重合物が5
%以下、回転率が3(%/時)の場合は重合物は4%以
下、回転率が5(%/時)の場合は重合物は3%以下に
抑制される。その他、遊離脂肪酸等の劣化物も好適に抑
制される。また、油脂の色度の上昇も抑制され、粘度の
上昇も抑制される。重合物はフライ調理中に経時的に増
加し、従来機では数%〜20%程度の濃度に達する。重
合物が増加した油脂は不快味(渋味)を呈し、フライ品
の風味を悪化させる。また、油槽の内面へ強固に付着す
る、樹脂状の汚れを増加させ、調理器の清掃性を著しく
低下させる。さらには重合物の人体への悪影響も示唆さ
れている。欧州各国では、極性化合物量をフライ油の劣
化判定の指標とするのが一般的である。例えば、10質
量%以下、好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは
7質量%以下である。極性化合物とは、油脂が劣化する
ことにより生じた物質のうち、電気的に極性を有してい
るものの総称であり、その大半は重合物であるため、重
合物量は有効な指標であるといえる。油脂中の重合物
は、できるだけ低い濃度に抑えることが望ましく、例え
ば5質量%以下、好ましくは4.5質量%以下、さらに
好ましくは4質量%以下、特に好ましくは3.5質量%
以下、最も好ましくは3質量%以下である。テトラマー
以上の高重合物においては、1.0質量%以下、好まし
くは0.75質量%以下、更に好ましくは0.5質量%
以下である。なお、これら重合物は、常法により液体ク
ロマトグラフィーにより分析することができる。本発明
のフライ調理方法およびフライ調理器によれば、従来に
比べ大幅に極性化合物、例えば重合物の発生を抑制し、
低減量で維持することができる。例えば、標準従来法に
対する比でいうと、重合物についての比(重合物指数)
は、本発明では、0.75以下、好ましくは0.7以
下、さらに好ましくは0.65以下、特に好ましくは
0.6以下であり、重合物量が低減されていることがわ
かる。特に、テトラマー以上の高重合物であるポリマー
については、より低減され、低含量に抑制維持されてい
る。例えば、上記同様指数で示すと0.7以下、好まし
くは0.65以下、さらに好ましくは0.6以下、特に
好ましくは0.55以下である。本発明の方法によれ
ば、油脂の劣化を抑制することができるが、これは劣化
物の含量を指標とした場合も当然に含まれるが、風味の
面からも実感することができる。例えば、フライ調理に
使用した油脂から生じる劣化臭により把握することがで
きる。この劣化臭は、フライ調理品の風味や作業場の臭
気に影響を与えるものであるため、この劣化臭の発生抑
制は実際のフライ作業において重要である。本発明の方
法よれば、劣化臭の発生を抑制することができる。官能
的な評価の他、劣化臭の成分であるアクロレインや2,
4−ヘプタジエナールの発生量の比較によっても、従来
の場合と比較することができ、例えばこれらの発生量の
比について標準従来法と比較した場合、0.9以下、好
ましくは0.89以下、さらに好ましくは0.88以下
に抑制することができる。この比は、通常0.2以上で
ある。本発明の場合、通常の油層でのフライ調理に比
べ、油脂の劣化抑制効果や回転率の高さから通常の2〜
10倍もの期間、もしくは全く油層中の油脂を交換する
必要がないため、油脂の購入面や廃棄処理について、コ
スト面、環境面から好ましいといえる。また、本発明に
おいて使用される油量(油層中の油脂量)は、一定の具
材に対して通常の0.3〜0.75倍と少ないため、廃
棄・交換する油脂量が少なく、一定期間の連続的な使用
において必要とされる油脂量は格段に少なくてよい。本
発明の方法およびフライ調理器は、通常に比べ油面の面
積が小さいため、臭気発生面積が少ない。また、フライ
油の劣化が少ないので、臭気が発生しにくいという特徴
を有することから、作業場や店舖内に発生する臭気の発
生を抑制することができる。これらの低減効果は、臭気
センサーや官能評価によって評価することができる。そ
の臭気発生抑制効果を標準従来法との比において示すと
(臭気発生抑制指数)、0.2〜0.8、好ましくは
0.3〜0.7、さらに好ましくは0.4〜0.6であ
る。これにより、作業環境が改善され、作業者等にとっ
て好ましいことに加え、店舖内においてフライ調理をす
る形態である場合には、当該店舗内の臭気も改善される
ことから、この場合の購入者にとっても好ましい。劣化
物とは、遊離脂肪酸、ジグリセリド、モノグリセリド、
グリセリン、油脂重合物、アルコール類、アルデヒド
類、炭化水素、エポキシ化合物、ケトン、極性化合物等
をいう。また、本発明において、以下規定する回転率値
を2以上とすることにより油脂中の劣化物量が低減され
ることがわかった。ここで、回転率値とは、具材充填率
=6%、HA/SA−2=0.3という上記標準的従来
条件でフライ作業を行った場合の回転率を1とし、同じ
フライ作業を行った場合における本発明のフライ調理方
法およびフライ調理器における回転率の比をいう。本発
明では、この回転率値は、2以上であることが好まし
く、3以上であることがより好ましく、4以上であるこ
とが特に好ましく、5以上であることがさらに好まし
い。本発明においてフライ調理用に使用される食用油脂
には、植物性油脂、動物性油脂、ジグリセリドおよび食
用精製加工油脂が含まれるが、これら油脂としては、脱
臭工程前の脱色油のほか、抽出油、原油、脱酸油、脱ガ
ム油、脱ロウ油等の工程油および精製油も用いることが
できる。植物性油脂としては、大豆油、大豆胚芽油、菜
種油、コーン油、ゴマ油、ゴマサラダ油、シソ油、亜麻
仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、ひまわ
り油、高オレイン酸ひまわり油、綿実油、ブドウ種子
油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ
種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ
油、オリーブ油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、パー
ムオレイン、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、藻類油お
よびこれらの分別油が含まれるがこれらに限定されるも
のではない。動物性油脂としては、牛脂、ラード、鶏
油、乳脂、魚油、アザラシ油、およびこれらの分別油が
含まれるが、これらに限定されるものではない。ジグリ
セリドは、グリセリンと動植物油由来の脂肪酸のジエス
テルである。油脂の加水分解後精製したもの、またはグ
リセリンと脂肪酸をエステル化し、精製したものを用い
ることができるが、これらに限定されるものではない。
食用精製加工油脂としては、前記植物性油脂、動物性油
脂の水素添加油、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MC
T)、トリアセチン等の合成油脂、およびエステル交換
油(MLCT)等が含まれるが、これらに限定するもの
ではない。本発明において、フライとは、フライ、から
揚げ、天ぷら、衣揚げ等の比較的多量の油脂を熱媒とし
て使用する加熱調理方法をいい、具材の種類、形態等は
特に制限されない。フライ調理に供される具材として
は、コロッケ、とんかつ、メンチカツ、から揚げ、魚介
類フライ、肉類フライ、野菜類フライ、かき揚げ、天ぷ
ら、ハムカツ、フライドポテト、揚げ肉団子、プリフラ
イタイプの天ぷら、油揚げ米菓(揚げ煎餅等)、油揚げ
スナック、油揚げ、さつま揚げ、アメリカンドッグ、カ
レーパン、ピロシキ、春巻等が含まれる。特に偏平状具
材としては、コロッケ、とんかつ、メンチカツ、ハムカ
ツ、魚のフライ等が含まれる。具材の形状、材料等は特
に制限されない。フライ時間や目的に応じて適宜調整す
ることができる。具材自体の吸油性については、油脂の
使用量から見れば低い方が好ましく、逆に油中の劣化物
上昇抑制という視点からは、回転率を上げるため吸油率
が高い具材が好ましい。すなわち、具材の吸油率が高い
と、新油添加率(回転率)が高くなるためである。本発
明においては、好ましくは5質量%以上、より好ましく
は10質量%以上、特に好ましくは15質量%以上の吸
油率を有する具材を用いることが望ましい。このように
吸油率が高い具材としては、特に衣を有する具材、例え
ば、コロッケ、エビフライ、とんかつ等を例示すること
ができる。ここで、風味の面は、具材への吸油量が少な
いこと、どの面も均一にフライ調理されること、加圧状
態で調理されていること等の効果から、香ばしい、油っ
ぽくない、カラッとしている等好適である。また、油脂
中の劣化物の量が抑制されていることも、上記風味への
好影響の一因である。本発明に係るフライ調理方法を実
施するためのフライ調理器は、その油槽が、縦長のもの
であれば特に制限はないが、油面にあたる部分の開口部
の水平面の断面積SBと、開口部からそこまでの深さH
Bとが、HB/SB−2=0.8〜4.0、好ましくは
0.9〜3.5、より好ましくは1.0〜3.25、さ
らに好ましくは1.1〜3.0なる関係を満たすことが
特に好ましい。上記フライ調理方法を実施するため、油
層の体積は上記本発明のフライ調理方法で規定されてい
るものよりも大き目に設定する必要がある。上記フライ
調理器を使用することにより得られる効果は、フライ調
理方法で述べた通りである。フライ調理器は、上記得ら
れる効果を好適に、または、自動化等することで効率的
に得ることを目的として構成される。また、作業環境も
重要であり、この点にも留意する。図1は、本発明のフ
ライヤー装置の一例を示す斜視図であり、図2は、図1
に示すフライヤー装置のフライ調理器10の概略断面図
である。これらの図に示すように、本発明のフライヤー
装置は、本発明のフライ調理器10とこれに並設された
給油機構を備えたコントロールボックス40を備える。
フライ調理器10は、縦長の有底筒状油槽101を備え
る。図1および図2において、油槽101は、4つの側
壁と1つの底壁により規定される実質的に直方体の形状
を有する。この油槽101は、一定の間隔を隔てて、筺
体102により囲まれており、全体として油槽101の
形状を有する。油槽101の外側側面は、油槽101に
充填されるフライ油脂を加熱するためのヒーターユニッ
ト103により囲包されている。また、フライ油槽10
1の内面上部にフッ素樹脂コート層107を設けると、
フッ素樹脂の有する低い伝熱性のために、油面付近の過
加熱が抑制され、油脂の劣化が抑制され、油槽101か
らの放熱が抑制され、熱エネルギー使用量が低減される
ので好ましい。また、筺体102には、好ましくは、フ
ライ調理の際に具材を収容して油層中に設置するための
具材キャリアー60を昇降させるための昇降機構30が
設けられている。昇降機構30は、比較的縦長の油槽1
01に対する具材の出し入れを容易にするものである。
具材キャリアー60は、昇降する支持部材31に懸垂さ
れて油層中を昇降される。電源41をオンにし、スイッ
チ42を押すことにより、支持部材31とともに具材キ
ャリアーが下降し、油層中に浸漬されるとともに、ヒー
ターユニット103が駆動され、フライ調理を開始する
ことができる。フライ設定時間が経過すると、具材キャ
リアー60は上昇され、フライ作業が完了する。なお、
油槽101の外側には、油槽101の内面に至るまで温
度センサー104が挿通され、油槽101内のフライ油
脂温度を検出するように設定されている。既述のよう
に、本発明のフライ調理器において、油槽101は、油
面OSに対応するその開口部の面積SBの平方根と開口
部から底までの深さHBとが、HB/SB−2=0.8
〜4.0なる関係を満たす。ここで、油面OSに対応す
る開口部とは、通常、油槽101容積の約70%の油脂
を油槽101に充填したときに油脂により形成される油
面における開口部である。先に述べたように、HB/S
−2は、好ましくは0.9〜3.5、より好ましくは
1.0〜3.25、さらに好ましくは1.1〜3.0で
ある。さて、フライ油槽101の底部には、廃油となっ
たフライ油脂を油槽101から排出されるための排出ポ
ート105が設けられ、これには開閉コック106が設
けられている。本発明のフライ調理器10は、図1に示
すように、油槽101の開口を開閉するための開閉蓋2
0を備えることが好ましい。このような蓋20を備える
ことで、蓋20で油槽101を閉じることにより、放熱
量を抑制し、熱エネルギーを削減することができる。ま
た、臭気放散もより一層軽減されるとともに、蓋20を
閉じることにより、空気中の酸素との接触が抑制されて
フライ油脂の劣化が抑制される。この蓋20の開閉に連
動して、蓋20を閉じるとフライ油脂設定温度を低下
(例えば30℃低下)させてフライ油脂の不要な加熱を
防止し、他方蓋20を開けると、設定温度が元に戻り、
フライ油脂の温度を急激に上昇させ、フライ開始に備え
ることができるように、以下述べる温度調節機を駆動さ
せるための蓋連動スイッチ21を設けることがさらに好
ましい。本発明のフライ調理器は、図2に示すように、
揚げかすを受け取り収容するための揚げかす取り部材
(粕取り用部材)108をその底面に収容することが好
ましい。揚げかす取り部材108は、矩形の枠体の底面
をシート状の網体を張設することにより形成することが
できる。本発明のフライ調理器は、フライ油を加熱する
ためのヒーターユニットを油槽の側面に有するものであ
り、従来のようなフライ油中に伝熱器を設置する構成を
とっていないので、フライ調理終了後具材キャリヤー6
0を油槽から取り出した後、容易に揚げかす取り部材1
08を取り出すことができる。すなわち、従来のフライ
調理器では、フライ油槽からフライ油を抜き取り、伝熱
器を冷却してから出ないと、揚げかす取り部材を取り出
すのに危険であり、そのように作業が煩雑であり、それ
故揚げかす取り作業回数も制限されていたが、本発明で
は、上記したように容易かつ効率的に揚げかす取り部材
108を取り出すことができる。その結果、揚げかすが
フライ油中で加熱されることによりフライ油の着色等が
防止され、得られるフライ調理品の品質も良好となる。
また、上に述べた通り、本発明のフライ調理器は、フラ
イ油を加熱するためのヒーターユニットを油槽の側面に
有するものであるので、フライ油槽底面に設置された揚
げかす取り部材108は熱の伝達・フライ油の対流を妨
げることがない。粕取り用部材の好適な例を図11に示
す。この粕取り用部材1000は、網状のシート部材
(粕の受け取り部)1001からなり、シート部材10
01に対して垂直に接続された取っ手1003が設けら
れている。通常、シート部材1001の周囲を囲むよう
に枠体1004が設置されており、粕のこぼれを防止し
ている。取っ手1003は、油層上面より垂直に上部ま
で延びかつ上端部1003aが傾斜している。シート部
材1001の底部の一部に、シート部材の傾き調整して
水平に維持するための傾き調整部材(図示せず)を設け
ることができる。粕取り用部材1000は、フライ調理
中にフライ油層底部に設置され、フライ調理作業中また
は作業終了後に適宜粕を取り除くようにされる。本発明
の網状シート部材に取り出し用の取っ手1003が設置
された粕取り用部材1000は、コンパクトで簡単に粕
を取ることができる。手軽であるため、何度でも粕を除
去することができ、同じ条件でのフライ調理を行っても
フライ油、具材の品質、風味が向上する。特に、本発明
のフライ調理器のように、油層内部に伝熱線がない場合
に粕取り用部材1000は好適である。その使用方法と
しては、フライ調理中に上記、油層内に粕取り用部材1
000を設置しておき、フライ作業中、またはフライ作
業終了時に溜まったかすを簡単に除去することができ
る。油槽の底面が実質的に平面状(水平である必要はな
い)の油槽において使用する場合が特に好適である。加
熱が本発明のフライ調理器のように側面加熱である場
合、粕が焦げ難いので好ましい。本発明の粕取り用部材
は、比較的底面近くに設置する場合が多いためである。
従来のフライ調理器に使用されている粕取り部材の形状
は、通常バスケット上であるが、本発明の粕取り用部材
を用いる場合、コンパクトであるため調理ゾーンを広く
することができ、伝熱面からの熱・対流を妨げない、作
業性がよい(扱い易いので、掃除も簡単である)、収納
に大きなスペースを要しない(省スペース)という利点
を奏する。従来のフライ調理器におけるバスケット型の
粕取り部材の取り扱いは、まず、一連のフライ作業が終
了した後、油槽中の油を抜き取り、油層および油層内に
設置されている伝熱器を冷却する。その後、油層中に設
置されている伝熱器を移動し、粕受けのバスケットを取
り出し、粕を廃棄するという作業が必要である。これは
非常に労力を要する。また、作業回数も制限され、さら
には、作業自体が敬遠されがちとなる。これに対し、本
発明の粕取り部材は、常時作業ができる状態にあり、ま
た、作業性がよいため簡単、好適に粕取り作業を行うこ
とができる。これにより粕が加熱されることによるフラ
イ油の着色等が防止され、また、得られるフライ調理品
の品質も良好となる。上記従来の粕取り部材を用いる場
合に比べフライ油の品質やフライ調理品の品質は好適と
なる。また、粕取り部材がない場合には、廃油口こ粕が
詰まることがある。この場合、詰まったかすを除去する
ために棒等を使用した除去作業が必要となる。この除去
作業中に急にフライ油が流出する場合があり非常に危険
である。本発明の粕取り部材を使用すれば、かかる問題
を解消することが容易となる。次に、フライ調理器10
に並設される、給油機構を備えたコントロールボックス
40は、上記各種動作を自動制御するものであり、例え
ば、図3に示す回路構成を有する。すなわち、コントロ
ールボックス40内には、電源スイッチ41に接続され
た半導体無接点リレー401と、スタート/リセットス
イッチ42に接続されたデジタルタイマー402が設け
られている。半導体無接点リレー401は、コントロー
ルボックス40内でデジタル温度調節機403に接続さ
れ、このデジタル温度調節機403には温度センサー1
04からの信号と蓋連動スイッチ21からの信号が入力
されて、半導体無接点リレー401を介してフライ調理
器10のヒーターユニット103を前述の如く駆動す
る。他方、デジタルタイマー402は、昇降機構30の
支持部材31に接続された昇降装置201を上述のよう
に駆動する。なお、デジタル温度調節器403には、コ
ントロールボックス40に付設されたボタン405によ
り駆動されるターボスイッチ404が接続されている。
このターボスイッチ404がデジタル温度調節器403
に入力されると、デジタル温度調節器403による比例
加熱制御を解除し、ヒーターユニット103に最大加熱
を出力させ、フライ油を急速に加熱することができる。
このような急速加熱させると、短時間の加熱ですむた
め、フライ油の劣化を大幅に抑制することができる。本
発明において、ターボ機構は、急速加熱が必要な場合、
通常機能している温度制御機能を無視して一定時間強加
熱するシステムであるが、通常、その強加熱の加熱の強
さは油槽に設置されたヒーターユニットの能力により決
まり、上限はその最大出力である。優れた急速加熱を達
成するため、能力の高いヒーターユニットを設置するこ
ともできるが、これを常時使用することはフライ調理自
体の面からも、電力等の面からも非効率的である。ここ
で、予備(補助)のヒーターユニット(図示せず)を設
置することで、ターボ機構を使用するときだけ、必要な
ときだけ、優れた急速加熱をすることができることを見
いだした。この場合、急速加熱に優れ、電力等の効率も
良好である。コントロールボックス40に設けられた給
油機構50は、例えば石油ストーブのカートリッジタン
クによる給油機構と同じ原理のものであり、図4に示す
ように、レシーバータンク510とこのレシーバータン
ク510に装着し得る油脂カートリッジタンク520の
組み合わせから構成される。レシーバータンク510
は、コントロールボックス40の上面内に設けられた開
口51内に挿通されている。カートリッジタンク520
は、有底円筒状本体521からなり、本体521の径よ
りも小さな径の開口部522を有し、この開口部522
には、外側からキャップ523が螺合されている。キャ
ップは、本体521の開口端から本体内に突出する平坦
な突出部524を有し、その中央部には、弁ユニット5
25が設けられている。弁ユニット525は、下端がレ
シーバータンク510の底部に当接し、上面が突出部5
24からカートリッジタンク520内に突出するに弁ユ
ニット525を包囲する筒状部材526の内部に平坦突
出部524を貫通して上下動自在に設けられたナット5
27から構成され、ナット527の上部には、筒状部材
526の上端面と当接するとき筒状部材526を密閉す
るパリソン528が設けられている。ナット527の周
囲にはバネ部材528が設けられている。カートリッジ
タンク520は、レシーバータンク510に挿入されて
いないときは、パリソン528が筒状部材の上端面と当
接して筒状部材526を密閉し、収容されているフライ
用油脂FOを漏出させないように構成されている。カー
トリッジタンク520を図4に示すようにレシーバータ
ンク510内に収容させると、レシーバータンク510
の底面中央に設けられた突起511によりナット527
が押し上げられて筒状部材526とパリソン528の当
接が解除され、周囲の空気が入り込み、油槽101のレ
ベルまで油脂FOが、レシーバータンクの底部と油槽1
01とを連通する供給パイプ60を介して油槽101内
に排出される。油脂FOのレベルが上昇すると、空気流
入孔が閉塞され、カートリッジタンク520内に真空部
分が形成され、圧力がバランスされた時点でレベルが一
定となる。これを繰り返すことにより、所望量の油脂F
Oが油槽101内に自動的に供給される。なお、カート
リッジタンク520は、内部に収容された油脂FOの残
量が目視観察し得るように透明部材で構成することが好
ましく、レシーバータンク510には、油脂FOの残量
が目視観察し得るような窓を設けることが好ましい。な
お、本発明のフライ調理器の油層の具体的なサイズ、使
用する油量、具材個数、具材の充填率等のいくつかの例
を代表的な従来のフライ調理器(従来機)と比較して下
記表1に示す。
【表1】 また、図7に、表1に示す各フライ調理器のHB/√S
Bの値を縦軸にしてプロットして示す。図7中丸数字は
本発明のフライ調理器(表1中の数字に対応する)であ
り、単なる数字は、従来機(表1中の数字に対応する)
である。いうまでもなく、上述した本発明のフライ調理
器を用いてフライ調理をする場合、既述の本発明のフラ
イ調理方法の条件の下でフライ調理を行う。その場合、
具材を、図2に示すような、格子状メッシュ部材により
箱61の形態に形成された具材キャリアー60に設置さ
れた状態で油層中に浸漬することができる。キャリアー
60は、取っ手62と昇降機構30の支持部材31に懸
垂される懸垂部63を有する。このキャリアー60は汎
用の具材キャリアーとして使用することができる。とこ
ろで、フライ調理器に関しては、通常、最大処理量を想
定して、フライ調理器を購入する。フライ調理器が必要
以上に大きいと、使い勝手悪く、油脂の使用量も多くな
る。必要以上に大きな油層を有する場合、回転率が低く
なるため、常に、具材の量に合わせてフライ調理器(油
槽)の台数を調整するこが好ましい。油槽が複数ある場
合、その日のフライ量によって1つの油槽か複数の油槽
を使用するかを決めることができる。本発明のフライ調
理器は、油層が縦長であることから、外観上スマートで
あり、また、スペースも少なくて済むという省スペース
型フライ調理器である。例えば、底面積で比較すると、
同等のフライ能力を有する従来のフライ調理器を1とし
てこれと比較した場合、本発明の調理器は、0.7以
下、好ましくは0.65以下、さらに好ましくは0.6
以下となり、極めて省スペース型フライ調理器であるこ
とがわかる。本発明によれば、この比は、0.2まで減
少させることができる。本フライ調理器を使用した場
合、作業スペース面から余裕があり好ましく、狭いスペ
ースに上手く組み入れることができ、さらには、余裕が
出来たスペースにキャリヤーや具材等を置くことによ
り、作業性の向上も図れるため好ましい。本発明のフラ
イ調理器は通常のフライ調理器に比べて油槽が縦長であ
り、見た目がスリムであり、スペース的にはコンパクト
であるため、複数台並べて使用するのに好適である。狭
い作業場での使用も可能であり、スペース的にも隙間に
設置することもでき、使い勝手が良い。また、購入者が
作業を見ることができる場合において、その好印象は販
売促進等に寄与するため好ましい。また、フライ調理中
は、水蒸気や油煙が油面から発生するが、この面積が狭
いため、排気が一個所から排出されるので、排気の回収
・排出も容易であり作業環境の面からも好ましい。つま
り、発生する蒸気、油煙等が上方に柱状に立ち上がり、
排気の面から非常に好ましい。また、本発明のフライ調
理器は、油面面積が比較的小さいので、臭気発生面積も
小さく、また、フライ油の劣化も少ないために、臭気が
発生し難い。さらに、本発明のフライ調理器は、従来の
フライ調理器のように油槽底部にヒーターユニットが設
けられているのとは異なり、油槽側面にヒーターユニッ
トを設けることにより、具材が加熱源近傍に配置される
ので、加熱・輻射熱や、バブル対流等により、具材の中
心部が迅速に加熱され得る。また、本発明においては、
使用するフライ油脂量が少ないので、加熱を開始してか
らの温度上昇速度が速いため、短時間でフライ作業を開
始することができる。さらにまた、本発明のフライ調理
器は、同じ回転率であっても、通常のフライ調理器に比
べて、油脂劣化物の経時的増加が顕著に抑制される。こ
のことと、本発明では回転率を高くすることができると
いうこととがあいまって、油脂劣化物の増加を相乗的に
一層顕著に抑制することができる。また、本発明のフラ
イ調理器は、油槽が縦長であり底が深いため、通常のフ
ライ調理器のように、底部に存在する剥離した衣の焦げ
たもの等が対流して浮かび上がることが殆どなく、フラ
イ調理品への付着等の悪影響を受け難い。また、油層が
縦形であるため比較的容易に側面に加熱器を設置でき
る。この場合において、底部の油温は低く保たれるた
め、フライ作業中に剥離した衣が焦げることもない。ま
た、上述の通り、いわゆる立ててフライ調理した場合に
は、剥離した衣等を拾い上げることも無いため、さらに
好ましい。さて、上に述べたように、扁平形状の具材
は、その広い面をフライ油面に垂直にした状態(立てた
状態)でフライ調理することが好ましい。図5は、扁平
形状の具材を立てた状態に保持するための具材キャリア
ーを示す。図5に示すキャリアー80は、全体として箱
型に形成され、下部枠体801と、上部枠体802を備
え、下部枠体802には取っ手803が連接されてい
る。下部枠体801は、複数の仕切り棒体801a〜8
03cにより仕切られており、具材90を個別に立てた
状態で収容するスペース801sを構成している。上部
枠体802は、複数の具材90を周囲から支える構成と
なっている。コロッケ、カツは立てて並べて調理するこ
とが好ましいが、から揚げ等の付着性の高い衣を有する
具材にあっては、フライ調理中に互いにくっつくので、
から揚げなどを載置する棚段として2段以上有するキャ
リアーが好ましく、各棚段において重ねないでフライ作
業する場合が特に好ましい。図6には、図2に示すキャ
リアー60と同様の構成であるが、具材を載置する棚段
64を複数段有する具材キャリアー70が示されてい
る。本発明において、上記のいずれかのキャリアーにフ
ライ調理具材を設置し、上記いずれかに記載のフライ調
理器を用いて、本発明のフライ調理方法を実施すること
が好ましい。また、具材の大きさや材料を調整すること
で、フライ調理時間を短くしたり、フライ調理時間が一
定になるように調整することができる。この場合、注文
を受けてからフライ調理する場合に好適である。また、
本発明においては、廃油の発生量が少なく、運転条件に
よっては実質上廃油を出さないようにすることができ
る。また、本発明においては、消費するエネルギー(例
えば電気消費量)が少なこと、廃棄する揚げかす等の発
生が少ないこと、臭気発生量が少ないことが達成でき
る。これらことから、本発明のフライ調理器は、環境性
に優れた、環境対応型フライ調理器であるといえる。
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はそれらによって限定されるものではな
い。 実施例1 下記試験条件で、本発明のフライ調理器を用いた場合と
従来のフライ調理器を用いた場合において、フライ調理
後のフライ油の劣化状態(酸価、色度、重合物量)を比
較した。 試験条件: フライ調理器: 本発明品 横9cm、縦16cm、高さ17cmの油槽、開口部面
積144cm 油槽体積のほぼ70%に相当する油を添加 従来機(エイシン電気EF−3L型) フライ油:菜種油+パームオレイン(7;3) 張り込み油量:本発明品=1.50kg、従来機=3.
00kg 温度設定:具材を投入していないときの油温が180℃
となるように設定 加熱時間:8時間/日 フライ日数:7日 具材:冷凍コロッケ、冷凍鶏から揚げ、フライドポテト フライ数量:1時間に冷凍コロッケ4個、冷凍鶏から揚
げ8個、フライドポテト200g 差し油:吸油による減少分を1日に3回に分けて補給。 結果を図8〜図10にそれぞれ示す。図8〜図10に示
す結果から明らかなように、本発明によれば、フライ油
の劣化が従来と比べて著しく減少する。また、上記条件
でフライを1日8時間行ったときの消費電力を測定した
ところ、本発明機では66kWhであったのに対し、従
来機では、131kWhであった。本発明のフライ調理
器は、油面の面積が小さく、従って油面からの法熱量が
少ないために、フライ調理時に油温を上昇させたり、維
持するために要するヒーター熱量が少なくなり、消費電
力が少なくなる。
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、フ
ライ油脂の劣化を抑制すること、回転率が高いことの双
方から、油層中の劣化物の増加を抑制し、一定量以下に
維持することで、油層中の油脂を廃棄・交換することな
く、長期間継続して好適にフライ作業を行うことができ
る。これまでは、具材の量が多くなるほど、油層の大き
なフライ調理器を用いて、言い換えると油量の多い油層
によってフライ調理することが常識であった。つまり、
フライ作業において使用する油層の大きさ・油量は、具
材の量に比例していた。しかし、本発明によれば、一定
の制限はあるものの、具材が多いほど、大きな油層を使
用し、多くの油を使用するのではなく、逆に、具材が多
いほど、小さな油層を使用し、少ない油を使用する方
が、油脂の劣化を抑制し、具材の品質・風味を好適にす
ることができることが見いだされている。これは、フラ
イ調理方法の常識を覆すものであり、本発明のフライ調
理方法、フライ調理器は、極めて画期的であるといえ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフライヤー装置の一例を示す斜視図で
ある。
【図2】図1に示すフライヤー装置のフライ調理器の概
略断面図である。
【図3】給油機構を備えたコントロールボックスの回路
構成を示す図である。
【図4】給油機構の概略断面図である。
【図5】扁平形状の具材を立てた状態に保持するための
具材キャリヤーを示す側面図である。
【図6】具材を載置する棚段複数段有する具材キャリヤ
ーを示す側面図である。
【図7】本発明のフライ調理器のHB/√SBの値を従
来のフライ調理器と比較してプロットした図である。
【図8】実施例1におけるフライ日数とフライ油脂の酸
価との関係を示すグラフである。
【図9】実施例1におけるフライ日数とフライ油脂の色
度との関係を示すグラフである。
【図10】実施例1におけるフライ日数とフライ油脂中
の重合物との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の粕取り用部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
10…フライ調理器 20…開閉蓋 30…昇降機 31…支持部材 40…コントロールボックス 41…電源スイッチ 60,70,80…具材キャリアー 101…油槽 102…筺体 103…ヒーターユニット 104…温度センサー 401…無接点リレー 42…スタート/リセットスイッチ 402…デジタルタイマー 403…デジタル温度調節機 510…レシーバータンク 520…カートリッジタンク 521…カートリッジタンクの本体 522…開口部

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 収容されるフライ油を加熱するためのヒ
    ーターユニットをその側面に有する縦長のフライ油槽を
    1またはそれ以上備え、該ヒーターユニットにはフライ
    油を急速加熱するためのターボ機構が接続されているこ
    とを特徴とするフライ調理器。
  2. 【請求項2】 油槽の底部に、揚げかすを受け取り収容
    するための揚げかす取り部材が収容されている請求項1
    に記載のフライ調理器。
  3. 【請求項3】 フライ油槽が、油面に対応する開口部の
    面積SBと該開口部から底までの深さHBとが、HB/
    SB−2=0.8〜4.0なる関係を満たすことを特徴
    とする請求項1または2に記載のフライ調理器。
  4. 【請求項4】 フライ油槽の内面上部にフッ素樹脂コー
    ト層を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    1項に記載のフライ調理器。
  5. 【請求項5】 フライ油槽にフライ油を供給するための
    給油機構が付設されていることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれか1項に記載のフライ調理器。
  6. 【請求項6】 油槽を開閉する蓋を備えることを特徴と
    する請求項1〜5のいずれか1項に記載のフライ調理
    器。
  7. 【請求項7】 フライ油槽に具材を導入するための具材
    キャリヤーをフライ油槽中に出し入れするための具材キ
    ャリヤー昇降機構を備える請求項1〜6のいずれか1項
    に記載のフライ調理器。
  8. 【請求項8】 ヒーターユニットが、フライ油を急速加
    熱するための補助ヒーター部を有することを特徴とする
    請求項1〜7のいずれか1項に記載のフライ調理器。
  9. 【請求項9】 網状のシート部材と、該シート部材に対
    して垂直に接続された取っ手からなる粕取り用部材。
  10. 【請求項10】 取っ手が、油層上面より垂直に上部ま
    で延びかつ上端部が傾斜していることを特徴とする請求
    項9に記載の粕取り用部材。
  11. 【請求項11】 シート部材の周囲を囲むように枠体が
    設置されている請求項9または10に記載の粕取り用部
    材。
  12. 【請求項12】 シート部材の底部の一部に、シート部
    材の傾き調整部材が設けられた請求項9〜11のいずれ
    か1項に記載の粕取り用部材。
  13. 【請求項13】 フライ調理中にフライ油層底部に設置
    され、フライ調理作業中または作業終了後に適宜粕を取
    り除くようにされた請求項9〜12のいずれか1項に記
    載の粕取り用部材。
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