JP2003176961A - 多重効用吸収冷凍機・冷温水機における余剰温熱利用法 - Google Patents

多重効用吸収冷凍機・冷温水機における余剰温熱利用法

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JP2003176961A
JP2003176961A JP2001374311A JP2001374311A JP2003176961A JP 2003176961 A JP2003176961 A JP 2003176961A JP 2001374311 A JP2001374311 A JP 2001374311A JP 2001374311 A JP2001374311 A JP 2001374311A JP 2003176961 A JP2003176961 A JP 2003176961A
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Japan
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hot water
condenser
heat exchanger
heat
absorber
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JP2001374311A
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Kunihiko Nakajima
邦彦 中島
Masayuki Furuyama
雅之 古山
Toshinaka Kawada
敏央 川田
Masuomi Ota
益臣 大田
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Kawasaki Thermal Engineering Co Ltd
Original Assignee
Kawasaki Thermal Engineering Co Ltd
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
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    • Y02B30/62Absorption based systems

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 系外に存在する低温排熱を利用して冷媒蒸気
を生成し、低温再生器での蒸気発生負担を軽減させ、高
温再生器におけるガス消費量を大幅に節減できるように
すること。 【解決手段】 冷却水配管系9の冷却水9wは、凝縮器
管4pから吸収器管1pに向けて流される。吸収器管1
pを流通する前の温度の低い冷却水9wにより、凝縮器
4内の飽和圧力が吸収器管1pを流通した後に凝縮器管
4pへ流れ込む冷却水9wによって凝縮器4で発生する
飽和圧力より低くなるようにしておく。温水熱交換器8
において低い飽和圧力の下で吸収液8mに温水12aの
潜熱回収を行わせ、これによって冷媒蒸気8sを発生さ
せる。従って、低温再生器2における冷媒蒸気2sの生
成負担を軽減でき、再生器管2pに導入される高温再生
器3からの冷媒蒸気3sの量の節減が図られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多重効用吸収冷凍
機・冷温水機における余剰温熱利用法に係り、詳しく
は、系外に存在する低温排熱から熱エネルギを効率よく
回収することによって、高温再生器におけるガス燃焼量
を低減できるようにした排熱利用法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】吸収冷凍機や吸収冷温水機などは、機内
を循環する吸収液の濃度変化により冷水や温水を取り出
すことができるようになっている。例えば二重効用形の
吸収冷凍機では、その構成を図12に示すように、真空
容器からなる蒸発器5と吸収器1、それらよりは圧力の
高い容器の低温再生器2や凝縮器4、バーナ3Aによっ
て例えば都市ガスを燃焼させ熱エネルギを得る高温再生
器3からなっている。
【0003】蒸発器5では、高真空下で蒸発器管5pの
外面に流下された冷媒液5wによって蒸発潜熱を奪わ
れ、蒸発器管を流れる冷水20が冷却される。吸収器1
では、蒸発器5で発生した冷媒蒸気5sを吸収器管1p
を流れる冷却水9wで冷却することにより、吸収液1b
に吸収させると共に容器内を高い真空に保持する。低温
再生器2では、高温再生器3で分離蒸発した冷媒蒸気3
sを低温再生器管2pに流してその潜熱で吸収液2mを
加熱濃縮し、冷媒2sを分離蒸発させる。高温再生器3
では、吸収液3mを真空中で加熱濃縮して冷媒蒸気3s
を発生させる。凝縮器4では、低温再生器2で蒸発した
冷媒蒸気2sが凝縮器管4pを流れる冷却水9wで冷却
され、凝縮液化する。なお、ポンプ9aで圧送され吸収
器管1pを経て凝縮器管4pを流通した冷却水9wは、
図示しない冷却塔で冷却した後に循環される。
【0004】このような吸収冷凍機・冷温水機の運転で
は、冷房運転のみならず、冷暖切換弁21を開いて高温
再生器3で蒸発した冷媒蒸気3sを蒸発器5へ送れば、
蒸発器管5pを流れる温水を加熱し、暖房運転を行うこ
ともできる。なお、冷水または温水20の温度制御にあ
たっては、一般に冷温水出口温度tを基にして高温再生
器3における加熱量が図示しない燃料制御弁で調整され
る。
【0005】このような吸収冷凍機等においては二重効
用の原理に基づき省エネ化が進められているが、その系
内での熱交換効率の向上を図るために低温熱交換器6や
高温熱交換器7が設置される。高温熱交換器7は高温再
生器3に向かう吸収液3aを予熱するもので、その熱源
として高温再生器3から導出された高温の吸収液3bが
導入される。低温熱交換器6は低温再生器2に向かう吸
収液1aを予熱するもので、図示の例では低温再生器2
から導出された吸収液2bおよび高温熱交換器7を出た
吸収液3b7 であって、それらが吸収器1へ戻される途
中で熱源として利用されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近ではビ
ルや工場において、都市ガスを焚くことによって自家発
電すると共に冷暖房することができるコージェネレーシ
ョンシステムが導入されることが多くなってきている。
発電設備としては都市ガスの燃焼でエンジンを駆動して
発電機を回すというものであり、冷暖房設備としては上
記した吸収冷凍機・冷温水機が使用される。
【0007】両設備は都市ガスを燃料とする点で共通す
るのでコージェネレーションシステムとして一つに纏め
られるが、発電系統と冷暖房系統とは異質であるにもか
かわらず一体設備としようとする意義は、トータルでの
都市ガス消費量を低減できるようにしようとすることに
ある。即ち、発電設備では排熱の発生が避けられず、こ
れを冷暖房設備とりわけ冷房運転で利用できれば、冷暖
房設備でのガス消費量が節減できるという考えに基づい
ている。
【0008】因みに、ガスエンジンではケーシングを冷
却した後の冷却水が80ないし90℃となる。この程度
の排熱はその量が多くても保有熱エネルギはさしたるも
のでなく、結局は、小規模の暖房や給湯といったものに
供し得るにとどまる。ところが、吸収冷凍機・冷温水機
においては吸収液の濃縮・稀釈をサイクルとする関係
上、上記した低温排熱といえども吸収液の加熱や蒸発の
ためには或る程度寄与させることができるという点が着
目されているのである。
【0009】このような発電用ガスエンジンと吸収冷凍
機・冷温水機とをひと纏めにしたコージェネレーション
システムにおける吸収冷凍機・冷温水機の一例が、特開
平11−237136号公報に提案されている。ここで
利用される排熱は、吸収冷凍機・冷温水機からみれば、
その系外となる発電系統の温熱源から排出されるもの
で、温度の低い吸収液と接触させても顕熱・潜熱熱交換
が可能となり、排熱からの熱回収が図られることによっ
て吸収冷凍機・冷温水機に必要となる加熱量を減らすこ
とができるというものである。因みに、これによる燃料
ガスの削減率は10%近くに達すると言われている。
【0010】このように外部に存在する不要な熱を取り
込み、これを熱源として有効利用できるようにすること
は省エネの観点から望ましいことは言うまでもない。最
近では、排熱の回収効率を一層高め、吸収冷凍機・冷温
水機における燃料消費量を可及的に減らしてガス削減率
を大きくする努力が払われており、その期待はますます
高まってきている。
【0011】本発明は上記した事情に鑑みなされたもの
で、その目的は、吸収冷凍機・冷温水機の系外に存在す
る温熱、とりわけ低温の排熱であってもこれを利用して
冷媒蒸気を生成し、低温再生器での蒸気発生負担を軽減
させ、ひいては高温再生器におけるガス消費量を大幅に
減らすことができるようにすることを実現した多重効用
吸収冷凍機・冷温水機における余剰温熱利用法を提供す
ることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、吸収器、低温
再生器、高温再生器、凝縮器、蒸発器、吸収器へ戻され
る吸収液が熱源として導入され吸収器から導出された吸
収液を予熱する低温熱交換器、高温再生器から導出され
た吸収液が熱源として導入され高温再生器に向かう吸収
液を予熱する高温熱交換器、吸収器の吸収器管と凝縮器
の凝縮器管とが連なる冷却水配管系、系外より導入され
た温水と吸収器からもしくは低温熱交換器を経て導出さ
れた吸収液の全部または一部とを熱交換させる温水熱交
換器が備えられた吸収冷凍機・冷温水機における温熱利
用方法に適用される。その特徴とするところは、図1を
参照して、高温再生器3で発生した冷媒蒸気3sは低温
再生器2の加熱源として吸収液2mに埋没する再生器管
2pへ導出され、その再生器管の上方には発生した冷媒
蒸気2sを凝縮器4へ導く蒸気用空間2aが確保され
る。温水熱交換器8には温水管8pと接触する吸収液8
mから発生した蒸気8sを一時的に貯留すると共に凝縮
器4へ導出することができる蒸気溜め8aが確保され、
加えてその温水熱交換器8内の吸収液8mの全部または
一部を低温再生器2または高温熱交換器7を経て高温再
生器3へ導出できるようにされる。冷却水配管系9では
冷却水9wが凝縮器管4pから吸収器管1pに向けて流
され、吸収器管1pを流通する前の温度の低い冷却水9
wにより、凝縮器4内の飽和圧力が吸収器管1pを流通
した後に凝縮器4管へ流れ込む冷却水9wによって凝縮
器4で発生する飽和圧力より低くなるようにしておく。
そして、温水熱交換器8においては、その蒸気溜め8a
に凝縮器4から及ぶ低い飽和圧力の下で吸収液8mに温
水12aの潜熱回収を行わせ、これによって冷媒蒸気8
sを発生させることにより低温再生器2における冷媒蒸
気2sの生成負担を軽減し、再生器管2pに導入される
高温再生器3からの冷媒蒸気3sの量を低減できるよう
にしたことである。
【0013】温水は系外に設置された都市ガスを燃料と
するガスエンジン12の冷却水であり、高温再生器3の
加熱源も都市ガスとしておく。なお、温水はガスエンジ
ンの排ガスで加熱された熱交換水としてといてもよい
し、そのガスエンジンの排ガスが導入される排ガス熱交
換器14により昇温されたガスエンジンの冷却水として
おいてもよい。いずれの場合も、温水は83ないし95
℃となっていると都合がよい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る多重効用吸
収冷凍機・冷温水機における余剰温熱利用法を、図面を
参照しつつ詳細に説明する。図1は、吸収器1,低温再
生器2,高温再生器3,凝縮器4,蒸発器5,低温再生
器2に向かう吸収液1aを予熱しておく低温熱交換器
6,高温再生器3に向かう吸収液3aを予熱しておく高
温熱交換器7を備える二重効用吸収冷凍機・冷温水機1
0の構成図である。なお、低温再生器2はプール沸騰式
熱交換装置が採用され、高温再生器3で発生させた冷媒
蒸気3sを加熱源として再生器管2pで受入れ、吸収液
2mに埋没する再生器管の上方に冷媒蒸気2sを一時的
に貯留しかつ凝縮器4へ導き出すための蒸気用空間2a
が形成されている。
【0015】その機能や作用は「従来の技術」の項で説
明したとおりであり、図12と同一の符号を付してその
説明を省く。なお、高温再生器3では加熱源として都市
ガスをバーナ3Aによって燃焼させた熱ガスが使用さ
れ、高温再生器3で発生した冷媒蒸気3sが低温再生器
2に加熱源として導入される。高温熱交換器7には高温
再生器3から導出された吸収液(濃吸収液)3bが熱源
として導入され、低温熱交換器6には吸収器1へ戻され
る吸収液1bが熱源として導入される。また、吸収器1
の吸収器管1pと凝縮器4の凝縮器管4pとが連なる冷
却水配管系9が設けられている点についても同じであ
る。
【0016】本例において、このような吸収冷凍機・冷
温水機10は、その系外に83ないし95℃の排熱が存
在する環境に置かれる。即ち、高温再生器3と同じく都
市ガスを燃焼させて動力を得るガスエンジン(図3に小
さく示されている)12が設置され、吸収冷凍機・冷温
水機10の設備がそのガスエンジン12によって発電機
13を駆動する発電設備と併設される場合には、そのガ
スエンジンを冷却した後の排温水が保有する熱エネルギ
を積極的に活用できるようにしようとするものである。
【0017】図1を参照して、吸収冷凍機・冷温水機系
には、ガスエンジン冷却水である排熱温水12aと吸収
器1から低温熱交換器6を経て導出された吸収液1aと
を熱交換させる排熱温水熱交換器8が、低温再生器2よ
り高位置に設置される。本例ではこの排熱温水熱交換器
8に低温再生器2と同じくプール沸騰式熱交換装置が採
用され、排熱温水管8pと接触する吸収液8mから発生
した冷媒蒸気8sを一時的に貯留すると共に、低温再生
器2の蒸気用空間2aを介して凝縮器4へ導出すること
ができる蒸気溜め8aが確保されている。加えて、この
排熱温水熱交換器8内の吸収液8mを低温再生器2へ導
出する通路8bも備えられる。因みに、本例において
は、この通路8bは冷媒蒸気8sの低温再生器2への移
送経路としても機能するものである。
【0018】ところで、排熱温水熱交換器8の排熱温水
管8pに導入される排熱温水12aは83ないし95℃
であることが好ましい。例えば、ガスエンジン冷却水だ
けではそのような温度が得られない場合には、その冷却
水をガスエンジンの300ないし600℃といった排ガ
スで加熱できるように排ガス熱交換器14(図3を参
照)を設けておき、温度の高い排熱を熱交換水として供
給できるようにしておけばよい。もちろん、エンジン冷
却水にこだわることなく、排ガスと熱交換させただけの
温水でもよい。要するに、吸収冷凍機・冷温水機の系外
に上記した程度の温度を持った熱が温水のかたちで存在
すれば、それを利用することができる。
【0019】このように構成された吸収冷凍機・冷温水
機は、以下のようにして排熱の利用を図っている。ま
ず、冷却水配管系9では冷却水9wが、図1に示すよう
に、ポンプ9bにより凝縮器4の凝縮器管4pから吸収
器1の吸収器管1pに向けて流される。例えば32℃の
冷却水は吸収器1を経て凝縮器4に到った時点で36℃
程度に昇温するが、最初に凝縮器4に導入すれば吸収器
1で消費されていない分だけ凝縮器4での冷却効果を高
める。これによって、吸収器管1pを流通する前の温度
の低い冷却水によって、凝縮器4内の飽和圧力が吸収器
管1pを流通した後に凝縮器管4pへ流れ込む冷却水に
より凝縮器4で発生する飽和圧力より低くなるようにし
ておくことができる。
【0020】ところで、この凝縮器4は低温再生器2の
蒸気用空間2aと通路8bを介して排熱温水熱交換器8
の蒸気溜め8aと連なっているので、排熱温水熱交換器
8は凝縮器4とほぼ同じ圧力となる。これから分かるよ
うに、凝縮器4における圧力が低ければ排熱温水熱交換
器8における圧力も下がり、排熱温水熱交換器において
は低い温度でも気化を促すことができるようになるので
ある。
【0021】即ち、排熱温水熱交換器8においては、そ
の蒸気溜め8aに凝縮器4から及ぶ低い飽和圧力の下で
吸収液8mに排熱温水の潜熱回収を行わせ、これによっ
て冷媒蒸気8sを発生させることにより低温再生器2に
おける冷媒蒸気2sの生成負担を軽減させることができ
る。このようにして潜熱の発生を促せば、熱交換量を増
やすことができる。これは、低温再生器2の再生器管2
pに導入される高温再生器3からの冷媒蒸気3sの量を
節減できることを意味し、結局はバーナ3Aでの消費ガ
ス量の低減を可能とすることができる。
【0022】ところで、上記したように、本発明で特徴
的なことは、冷却水配管系9において冷却水9wを凝縮
器管4pから吸収器管1pに向けて流すという通常では
不適切と考えられている思想を導入したことである。こ
のようなことは、例えば特公昭62−48147号公報
にも記載されているが、極めて特殊な場合に行われるに
過ぎない。
【0023】一般に、吸収器から凝縮器に冷却水を流し
ているのは、以下の理由による。吸収器も凝縮器も温度
の低い冷却水が来るに越したことはない。しかし、吸収
器用に一系統、凝縮器用に一系統といったように冷却水
系を二つ備えることは設備コストの増大を招く。そこ
で、上記したように一系統の冷却水系で吸収器の冷却と
凝縮器の冷却を賄うようにしている。
【0024】そこで、冷却塔から戻ってきた冷却水を凝
縮器から流せば、凝縮器で昇温した冷却水が吸収器に導
入されることになり、吸収器での吸収液温度が高めとな
る。これでは冷媒吸収能力すなわち吸収性能がが低下す
る。一方、吸収器から凝縮器に流すと温度の高くなった
冷却水が導入される凝縮器では、凝縮性能が少し落ち
る。いずれも一長一短はあるが、吸収冷凍機の効率で見
ると、吸収器から凝縮器に向けて流す方が、吸収器での
吸収性能を落とさないようにしておくことができるとの
理由で、特別な事情のある場合を除いて、凝縮器から吸
収器に向けて冷却水が流されるという冷却方式を採るこ
とはない。
【0025】それにもかかわらず、本発明では逆に流す
ようにしているのであるが、これは排熱を利用する排熱
温水熱交換器が設けられる場合に凝縮器での冷却度が上
がれば冷媒蒸気の生成が助長され、ひいては低温再生器
や高温再生器における冷媒蒸気生成の負担を軽減させる
ことができ、吸収器における吸収性能の低下があるにし
てもそれを補うに十分なガス消費量の大幅な低減をもた
らすことができるようになるとの考えに立っている。
【0026】もう少し具体的に述べると、吸収器から凝
縮器に向けて冷却水を流した場合、凝縮器での飽和圧力
に対応する温度は例えば36.5℃となるが、その逆に
流すと例えば33.0℃とすることができる。前者の飽
和圧力は57ないし62mmHgであるのに対して、後
者のそれは46ないし51mmHgとなる。低温熱交換
器6を経て排熱温水熱交換器8に入ってくる吸収器1か
らの吸収液1aの温度は71ないし81℃であることを
考慮し、排熱温水熱交換器8の入口温度90℃、出口温
度80℃と計画すれば、対数平均温度差にして5.5な
いし6.0℃を達成することができる。これによれば、
吸収器から凝縮器に流す場合なら4.0ないし4.5℃
となるのに比べて、格段に良い熱交換率が得られる。
【0027】このようにして排熱温水熱交換器8の圧力
を下げることができれば飽和温度が下がり、低い温度で
潜熱として排熱を回収することができる。ちなみに、図
2の(a)には吸収器から凝縮器に冷却水を流した場合
のヒートバランスを、(b)にはその逆の場合を示し
た。本発明に係る流通経路は後者に該当するが、これか
ら分かるように、高温再生器における冷媒蒸気量を減ら
したり、その温度を少し低くするなどして、結果的に高
温再生器での燃焼量を(a)に比べて大きく減らすこと
ができる。なお、全体にわたり吸収液温が変わっている
のは系統全体の熱バランスに基因している。
【0028】ところで、図2の(a)の場合、排熱温水
熱交換器を備えない場合に比べて10%のガス削減率が
達成されるとしても、その場合と同じ伝熱面積であるに
もかかわらず(b)の場合のそれは25%にも及び、結
局は(a)に比べて2.5倍ものガス削減率が達成され
ることになる。これは、現状の伝熱面積を維持させた状
態でも本発明を適用できることを教えており、付随的な
コスト増を大きく伴わうことなく現存設備の改造も行い
やすくなるという利点がある。
【0029】ここで、排熱温水熱交換器8における挙動
について、若干を説明を加える。図1の例では、排熱温
水熱交換器8は低温再生器2よりも高い位置に設置され
ている。凝縮器4に32℃の冷却水が導入されそれが3
4℃で導出されるとすると、その平均温度は33℃であ
り、そのときの飽和圧力は50mmHg前後となる。こ
の凝縮器圧力は低温再生器2や通路8bを経て排熱温水
熱交換器8の蒸気溜め8aにも及ぶ。
【0030】低温熱交換器6から排熱温水熱交換器8に
入る吸収液温度は80℃弱であり、排熱温水温度が90
℃で供給されると、排熱温水熱交換器内では排熱温水管
8pと接触した吸収液が上記飽和圧力の下で気化する。
すなわち排熱温水から潜熱を奪って吸収液からは冷媒蒸
気が発生する。低温熱交換器6から排熱温水熱交換器8
へ次々と導入される吸収液1aによって排熱温水熱交換
器8からは吸収液8mが溢れ出し、それが通路8bを伝
って低温再生器2に導出される。
【0031】凝縮器4と排熱温水熱交換器8とは同じ圧
力であると言っても、凝縮器では冷媒を凝縮させている
ので、凝縮器圧力は少しであるが低温再生器2や排熱温
水熱交換器8より低い。従って、排熱温水熱交換器8で
生成された冷媒蒸気8sは、低温再生器2と通路8bと
を伝って凝縮器4へ移行する。このようにして排熱温水
熱交換器8で冷媒蒸気が発生すれば、上記したように低
温再生器2における冷媒蒸気発生負担は減ることにな
る。なお、その後の吸収冷凍機・冷温水機の挙動は冒頭
の説明に従う。
【0032】ところで、図1においては、排熱温水熱交
換器8が吸収液8mに浸漬する排熱温水管8pの上方に
蒸気溜め8aが確保されたプール沸騰式であると説明し
た。しかし、それに限らず、排熱温水熱交換器は、蒸発
器5や吸収器1と同様に、流下液膜式の構造となってい
てもよい。即ち、吸収液が散布される排熱温水管と蒸気
溜めとがほぼ同一空間を占めているものでも、その機能
はプール沸騰式と何ら異なるものでない。
【0033】上記した排熱温水熱交換器8は、低温再生
器2より是非上方に位置しなければならないというもの
でもない。例えば図3に示すように、ポンプ15を設け
るならば、排熱温水熱交換器8を低温再生器2よりも下
方に設置させることも差し支えない。ポンプ15の介在
される通路8cには吸収液8mだけが流れることになる
ので、生成された冷媒蒸気8sを低温再生器2へ送るた
めの蒸気通路8dが新たに必要となる。なお、通路8c
と通路8dの二つが低温再生器2に向けて設けられると
してもよいが、通路8b(図1を参照)のように通路8
cと通路8dとの共通化が図れないことを考慮すれば、
通路8dに代えて直接凝縮器4へ移行させるための通路
8eを設けるようにしてもよい。
【0034】ちなみに、図3は図1と表記法が異なって
いるが、排熱温水熱交換器8の位置と次に説明する事項
を除いて、図1と何ら変わるものでなく、いずれもリバ
ースフロータイプの吸収冷凍機・冷温水機であることを
示している。この図3は、低温熱交換器6をバイパスす
る吸収液1a1 も導入することができるようになってい
る。通常はバイパス通路6aに設けたバルブ16は閉め
られ、その場合は上記したようにして稼働する。しか
し、排熱温水12aの温度が高い場合には、排熱温水通
路に設けた温度センサ17からの信号でバルブ16が開
かれ、排熱温水からの顕熱回収も積極的に行わせること
ができるようになる。
【0035】ちなみに、排熱温水の温度が低い場合に
は、これを吸収液と熱交換させることは好ましくなく、
排熱温水通路に設けた三方切換弁18によって排熱温水
の導入を阻止しておくようにする。なお、ガスエンジン
12のところに表された19は放熱用冷却塔である。
【0036】図4は、本発明をパラレルフロータイプの
吸収冷凍機・冷温水機に適用した例である。図におい
て、排熱温水熱交換器8を低温再生器2より下方に置い
た例のみを示し、図1に相当する例は表されていない。
また、排熱温水熱交換器8から低温再生器2へ吸収液8
mを送る通路8cに設けられるポンプも略されている。
このパラレルフロータイプにおいては、低温熱交換器6
から導出される吸収液1aの一部が低温再生器2へ、残
部が高温熱交換器7へと、両方の再生器に並行して流さ
れるようになっている。勿論のことであるが、排熱温水
熱交換器8は低温再生器2での冷媒蒸気生成を軽減する
ことを目的としているので、低温再生器2に向かう経路
に設置される。その点では図1や図3と異なるものでな
い。図5は低温熱交換器6の入口前で吸収液の流れを分
岐させたものであり、その部分については図3と同趣旨
の構成になっている。
【0037】図6は排熱温水熱交換器8の吸収液8mの
一部を低温再生器2に、残部を高温熱交換器7に移行さ
せるようにしている。図7は図5と同じく低温熱交換器
6にバイパス通路6aを設けた例である。図8は低温熱
交換器6を出た吸収液1aが排熱温水熱交換器8と高温
熱交換器7に送られ、排熱温水熱交換器8から出た吸収
液8mが低温再生器2と高温熱交換器7へ移行させるよ
うにした例である。図9は図7と同じく低温熱交換器6
にバイパス通路6aを設けた例である。
【0038】図10は排熱温水熱交換器8から低温再生
器2へ吸収液を送らず、低温再生器2へは高温再生器3
を通過した吸収液3bのみが供給されるようになってい
るシリーズフロータイプの吸収冷凍機・冷温水機の例で
ある。この場合でも排熱温水熱交換器8で冷媒蒸気8s
を生成し、それによって低温再生器2での冷媒蒸気生成
量を軽減している。図11は低温熱交換器6をバイパス
する通路6aを設けたもので、その作用は図3の場合と
異ならない。
【0039】以上の種々な吸収冷凍機・冷温水機に適用
した例を述べたが、それぞれの二重効用形に限らず、中
間再生器といったものを備えた三重効用形に対しても適
用することができることは、その思想上明らかである。
また、ジェネリンクを前提にした例を用いたが、ガスエ
ンジンの排熱温水に限らず、上記した温度範囲にある利
用されないような熱温水が存在すれば、それを使用する
ことができる。その場合、排熱温水熱交換器は温水熱交
換器と称するものであればよいことは述べるまでもな
い。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、冷却水配管系において
冷却水を凝縮器管から吸収器管に向けて流すようにして
おり、吸収器管を流通する前の温度の低い冷却水によっ
て、凝縮器内の飽和圧力が吸収器管を流通した後に凝縮
器管へ流れ込む冷却水により凝縮器で発生する飽和圧力
より低くなるようにしておくことができる。これによっ
て、温水熱交換器においては、その蒸気溜めに凝縮器か
ら及ぶ低い飽和圧力の下で吸収液に温水の潜熱回収を行
わせることができ、その冷媒蒸気の発生により低温再生
器での冷媒蒸気の生成負担を軽減しておくことができ
る。再生器管に導入される高温再生器からの冷媒蒸気量
は低減でき、高温再生器で消費されるガスは著しく節減
される。具体的に述べれば、冷却水を吸収器管から凝縮
器管に向けて流す場合に対してガス削減率を2.5倍に
もすることができる場合がある。
【0041】温水は系外に設置された都市ガスを燃料と
するガスエンジンの冷却水としておき、高温再生器の加
熱源も都市ガスとしておけば、ガスエンジンから出る排
熱温水の利用により、コージェネレーションシステムに
おけるガス消費量の節減におおいに寄与させることがで
きる。
【0042】なお、温水は都市ガスを燃料とするガスエ
ンジンの排ガスで加熱された熱交換水としておいてもよ
く、また、排ガスが導入される排ガス熱交換器により昇
温されたガスエンジンの冷却水としておくこともでき
る。いずれにしても、温水熱交換器に供給される温水を
83ないし95℃のものにしておけば、多重効用吸収冷
凍機・冷温水機における省エネが促進される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る多重効用吸収冷凍機・冷温水機
における余剰温熱利用法が適用されているリバースフロ
ータイプの吸収冷凍機・冷温水機の全体系統図。
【図2】 冷却水の流れ方向の違いによるヒートバラン
スを示し、(a)は吸収器から凝縮器に向けて冷却水を
流した場合のブロック図、(b)は凝縮器から吸収器に
向けて冷却水を流した場合のブロック図。
【図3】 コージェネレーションシステムとしているこ
とを示すと共に、吸収器を出た吸収液を低温熱交換器の
手前で分岐させた後に排熱温水熱交換器へ導入するよう
にした場合のシステム図。
【図4】 パラレルフロータイプの吸収冷凍機・冷温水
機に適用した場合のシステム図。
【図5】 図4の構成のうち吸収器を出た吸収液を低温
熱交換器の手前で分岐させた後に排熱温水熱交換器へ導
入するようにした場合のシステム図。
【図6】 異なる構成のパラレルフロータイプの吸収冷
凍機・冷温水機に適用した場合のシステム図。
【図7】 図6の構成のうち吸収器を出た吸収液を低温
熱交換器の手前で分岐させた後に排熱温水熱交換器へ導
入するようにした場合のシステム図。
【図8】 さらに異なる構成のパラレルフロータイプの
吸収冷凍機・冷温水機に適用した場合のシステム図。
【図9】 図8の構成のうち吸収器を出た吸収液を低温
熱交換器の手前で分岐させた後に排熱温水熱交換器へ導
入するようにした場合のシステム図。
【図10】 シリーズフロータイプの吸収冷凍機・冷温
水機に適用した場合のシステム図。
【図11】 図10の構成のうち吸収器を出た吸収液を
低温熱交換器の手前で分岐させた後に排熱温水熱交換器
へ導入するようにした場合のシステム図。
【図12】 従来技術としての既存のリバースフロータ
イプの吸収冷凍機・冷温水機の全体系統図。
【符号の説明】
1…吸収器、1a,1a1 …吸収液、1p…吸収器管、
2…低温再生器、2a…蒸気用空間、2m…吸収液、2
p…再生器管、2s…冷媒蒸気、3…高温再生器、3A
…バーナ、3a…吸収液、3b…吸収液(濃吸収液)、
3s…冷媒蒸気、4…凝縮器、4p…凝縮器管、5…蒸
発器、6…低温熱交換器、7…高温熱交換器、8…温水
熱交換器(排熱温水熱交換器)、8a…蒸気溜め、8m
…吸収液、8p…温水管(排熱温水管)、8s…冷媒蒸
気、9…冷却水配管系、9w…冷却水、10…二重効用
吸収冷凍機・冷温水機、12…ガスエンジン、12a…
排熱温水、14…排ガス熱交換器。
フロントページの続き (72)発明者 川田 敏央 滋賀県草津市青地町1000番地 川重冷熱工 業株式会社内 (72)発明者 大田 益臣 滋賀県草津市青地町1000番地 川重冷熱工 業株式会社内 Fターム(参考) 3L093 AA05 BB11 BB22 BB26 BB29 MM02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸収器、低温再生器、高温再生器、凝縮
    器、蒸発器、前記吸収器へ戻される吸収液が熱源として
    導入され吸収器から導出された吸収液を予熱する低温熱
    交換器、前記高温再生器から導出された吸収液が熱源と
    して導入され高温再生器に向かう吸収液を予熱する高温
    熱交換器、前記吸収器の吸収器管と凝縮器の凝縮器管と
    が連なる冷却水配管系、系外より導入された温水と前記
    吸収器からもしくは低温熱交換器を経て導出された吸収
    液の全部または一部とを熱交換させる温水熱交換器が備
    えられた吸収冷凍機・冷温水機における温熱利用方法に
    おいて、 前記高温再生器で発生した冷媒蒸気は前記低温再生器の
    加熱源として吸収液に埋没する再生器管へ導出され、該
    再生器管の上方には発生した冷媒蒸気を前記凝縮器へ導
    く蒸気用空間が確保され、 前記温水熱交換器には温水管と接触する吸収液から発生
    した蒸気を一時的に貯留すると共に凝縮器へ導出するこ
    とができる蒸気溜めが確保され、加えて、該温水熱交換
    器内の吸収液の全部または一部を前記低温再生器または
    高温熱交換器を経て高温再生器へ導出できるようにさ
    れ、 前記冷却水配管系では冷却水が前記凝縮器管から吸収器
    管に向けて流され、吸収器管を流通する前の温度の低い
    冷却水により、凝縮器内の飽和圧力が吸収器管を流通し
    た後に凝縮器管へ流れ込む冷却水によって凝縮器で発生
    する飽和圧力より低くなるようにしておき、 前記温水熱交換器においては、その蒸気溜めに前記凝縮
    器から及ぶ低い飽和圧力の下で吸収液に温水の潜熱回収
    を行わせ、これによって冷媒蒸気を発生させることによ
    り前記低温再生器における冷媒蒸気の生成負担を軽減
    し、前記再生器管に導入される高温再生器からの冷媒蒸
    気量を低減できるようにしたことを特徴とする多重効用
    吸収冷凍機・冷温水機における余剰温熱利用法。
  2. 【請求項2】 前記温水は吸収冷凍機・冷温水機系外に
    設置された都市ガスを燃料とするガスエンジンの冷却水
    であり、前記高温再生器の加熱源も都市ガスであること
    を特徴とする請求項1に記載された多重効用吸収冷凍機
    ・冷温水機における余剰温熱利用法。
  3. 【請求項3】 前記温水は、都市ガスを燃料とするガス
    エンジンの排ガスで加熱された熱交換水であり、前記高
    温再生器の加熱源も都市ガスであることを特徴とする請
    求項1に記載された多重効用吸収冷凍機・冷温水機にお
    ける余剰温熱利用法。
  4. 【請求項4】 前記温水は、都市ガスを燃料とするガス
    エンジンの排ガスが導入される排ガス熱交換器により昇
    温されたガスエンジンの冷却水であり、前記高温再生器
    の加熱源も都市ガスであることを特徴とする請求項1に
    記載された多重効用吸収冷凍機・冷温水機における余剰
    温熱利用法。
  5. 【請求項5】 前記温水熱交換器に導入される温水は、
    83ないし95℃であることを特徴とする請求項1ない
    し請求項4のいずれか一項に記載された多重効用吸収冷
    凍機・冷温水機における余剰温熱利用法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010281462A (ja) * 2009-06-02 2010-12-16 Kawasaki Thermal Engineering Co Ltd 超低温廃熱利用吸収冷温水機
CN112539200A (zh) * 2020-12-17 2021-03-23 西安向阳新环保科技有限公司 一种利用工艺余热和排汽余热的蒸汽喷射真空泵机组

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JP2010281462A (ja) * 2009-06-02 2010-12-16 Kawasaki Thermal Engineering Co Ltd 超低温廃熱利用吸収冷温水機
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