JP2003171148A - 調理器用トッププレート - Google Patents

調理器用トッププレート

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JP2003171148A
JP2003171148A JP2001369834A JP2001369834A JP2003171148A JP 2003171148 A JP2003171148 A JP 2003171148A JP 2001369834 A JP2001369834 A JP 2001369834A JP 2001369834 A JP2001369834 A JP 2001369834A JP 2003171148 A JP2003171148 A JP 2003171148A
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top plate
fluorine
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cooker
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JP2001369834A
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Naoko Ubukawa
直子 生川
Shigeki Kawase
茂樹 河瀬
Akihiro Umeda
章広 梅田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 調理時の油煙、煮こぼれ汁分解生成物などに
対する防汚性を改善し、さらに耐熱耐久性も改善した調
理器用トッププレートの提供。 【解決手段】 基体が結晶化ガラスからなり、被加熱物
が載置される調理面を有する調理用トッププレート2で
あって、前記調理面にシリカ下地層が形成され、ついで
撥水層が形成された構成としたものである。撥水層は調
理面に形成されたシリカ下地層と化学的に強力に結合
し、高度な防汚性と耐久性を有する調理器用トッププレ
ートとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は調理器用トッププレ
ートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】電磁誘導加熱式調理器や、発熱体から放
射される赤外線によって加熱する電熱式調理器、ガステ
ーブルなどの加熱調理器のトッププレートとして、結晶
化ガラスが広く用いられている。例えば電磁誘導加熱式
調理器は、図1に示すようにトッププレート2上に設置
した金属なべ3を電磁誘導加熱で加熱して調理する調理
機器である。このような食材の加工や加熱を行う調理器
では食材の油の付着により、本来の機能や美観が損なわ
れてしまうため、耐熱性、油、焦げ付きや水垢に対する
非粘着性および防汚性の材料をトッププレートに使用す
ることが要請されている。
【0003】従来、調理器具の表面に非粘着性を付与す
ることにより、汚染を軽減したり、あるいは汚染の除去
を容易にするための種々の提案がなされている。
【0004】特開平9−132428号公報は、「フッ
素が存在する表面構造を有するとともに、JIS−B0
601−94に規定される表面粗さRyが0.5〜25
μmである調理器具用トッププレート」を開示してい
る。
【0005】また特開平4−98018号公報は、「ヒ
ータを備えた調理庫と、この調理庫を形成する内筐体の
内側面に設けた内板とからなり、この内板にフッ素樹脂
を被着した加熱調理器」を開示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の調理器などにおいては、初期の段階ではある程度の非
粘着性は確保されるが、耐熱耐久性あるいは被膜自体の
強度が不十分であるため、比較的短時間に被膜特性が劣
化するという課題があった。
【0007】本発明は上記従来の課題を解決するもの
で、非粘着性、耐傷つき性、耐熱性などに優れ、また手
入れが容易なので長時間の使用後にも、初期の優れた特
性を維持しうる被膜を備えた調理器用トッププレートを
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、主に結晶化ガラスからなり、被加熱物が載
置される調理面を有する調理器用トッププレートであっ
て、前記調理面にシリカ下地層が形成され、ついで撥水
層が形成された調理器用トッププレートである。
【0009】上記発明によれば、トッププレート表面は
非粘着性、耐傷つき性、耐熱性などの特性に優れ、基体
表面に形成されたシリカ下地層が撥水層と強力な結合力
を発現することにより、さらに特性の耐久性を長時間持
続することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、主に結
晶化ガラスからなり、被加熱物が載置される調理面を有
する調理用トッププレートであって、前記調理面にシリ
カ下地層が形成され、ついで撥水層が形成されたもので
ある。撥水層は主として、調理面に形成されたシリカ下
地層と化学的な結合により、強く密着する。したがって
耐久性の高い撥水層を形成することが出来る。
【0011】請求項2に記載の発明は、シリカ下地層
が、結晶化ガラス表面にシリケートグラスを塗布し、さ
らに加熱処理またはプラズマ処理することにより形成さ
れていることにより、シリカ下地層は基板により強固に
結合し、その結果トッププレート表面は優れた耐久性を
もつ防汚性能を実現することが出来る。
【0012】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載のトッププレートにおいて、撥水層は、含フッ
素エチレン性重合体の微粒子(A)が金属酸化物(B)
層中に分散して形成されていることにより、優れた防汚
性、耐焦げ付き性、撥水・撥油性を発揮することができ
る。
【0013】請求項4に記載の発明は、含フッ素エチレ
ン性重合体の微粒子(A)が、(a)ヒドロキシル基、
カルボキシル基、カルボン酸塩、カルボキシエルテル基
およびエポキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1
種の官能基を有する官能基含有含フッ素エチレン性単量
体0.05〜50モル%と(b)前記の官能基を有さな
い含フッ素エチレン性単量体の少なくとも1種の単量体
50〜99.95モル%とを共重合してなることによっ
て、従来の含フッ素重合体接着が不充分または不可能で
あったマトリクスである金属酸化物中での含フッ素重合
体の分散性、含フッ素重合体を金属酸化物の界面接着性
を改善し、被膜および該被膜を施したトッププレートに
優れた透明性、耐久性(耐摩耗性、耐傷つき性)を与え
ることが出来る。
【0014】請求項5に記載の発明は、前記官能基含有
含フッ素エチレン性単量体(a)が (式1):CX2=CX1−Rf−Y (式中、Yは−CH2OH、−COOH、カルボン酸
塩、カルボキシエステル基またはエポキシ基、Xおよび
1は同じかまたは異なり水素原子またはフッ素原子、
fは炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基、
炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基、炭素数
1〜40のエーテル基を含む含フッ素オキシアルキレン
基を表す)で示される少なくとも1種の官能基含有含フ
ッ素エチレン性単量体とすることによって、耐熱性、撥
水性の優れたトッププレートを提供することが出来る。
【0015】請求項6に記載の発明は、前記官能基を有
さない含フッ素エチレン性単量体(b)をテトラフルオ
ロエチレンとすることにより、含フッ素重合体がもつ防
汚性、耐薬品性、非粘着性、低摩擦性、耐候性、撥水撥
油性などの優れた特性を低下させずに与えうる。
【0016】請求項7に記載の発明は、前記官能基を有
さない含フッ素エチレン性単量体(b)を、テトラフル
オロエチレン85〜99.7モル%と (式2):CF2=CF−Rf 1 (式中、Rf 1はCF3またはORf 2(Rf 2は炭素数1〜
5のパーフルオロアルキル基))で示される単量体0.
3〜15モル%との混合単量体とすることにより、優れ
た耐熱性、撥水性を発揮することが出来る。
【0017】請求項8に記載の発明は、前記官能基を有
さない含フッ素エチレン性単量体(b)を、テトラフル
オロエチレン40〜80モル%とエチレン20〜60モ
ル%とその他の共重合可能な単量体0〜15モル%との
混合単量体とすることにより、防汚性に優れ、さらに透
明性、機械的特性に優れた被膜を形成することが出来
る。またこれらの官能基含有含フッ素エチレン性重合体
は、200℃以上の高い融点を持つため、高温での焼成
においても溶融せず、被膜中で微粒子の形態を保持する
ことが出来る。
【0018】請求項9に記載の発明は、前記金属酸化物
(B)をケイ素の酸化物とし、請求項10に記載の発明
は、前記金属酸化物(B)をアルミニウムの酸化物と
し、請求項11に記載の発明は、前記金属酸化物(B)
をチタニウムの酸化物とし、請求項12に記載の発明
は、前記金属酸化物(B)をジルコニウムの酸化物とす
ることにより、調理面に形成されたシリカ下地層に強固
に結合し、透明で硬度が高く、耐久性に富んだ撥水性膜
を形成することができる。
【0019】
【実施例】本発明の調理起用トッププレートは図1と同
様の構成を有しているが、トッププレートの調理面に形
成されるシリカ下地層は、結晶化ガラス表面にシリケー
トグラスを塗布し、加熱処理またはプラズマ処理して形
成してある。この結果シリカ下地層表面は−OH基が露
出しているため、撥水層の含フッ素エチレン性重合体の
微粒子を含む金属酸化物と強固に結合することが出来
る。
【0020】また本発明の官能基含有含フッ素エチレン
性共重合体(A)の官能基は、ヒドロキシル基、カルボ
キシル基、カルボン酸塩、カルボキシエステル基および
エポキシ基から選ばれる少なくとも一種であり、官能基
の効果により含フッ素重合体(A)が金属酸化物(B)
からなるマトリクス中に良好な分散性を与え、さらに含
フッ素重合体(A)と金属酸化物の間に良好な界面接着
性、親和性を与えうるものである。官能基の種類や組合
わせはマトリクスである金属酸化物(B)の種類、目的
や用途により適宜選択されるが、耐熱性の面でヒドロキ
シル基を有するものがもっとも好ましい。
【0021】また、本発明の官能基含有含フッ素エチレ
ン性単量体(a)は、具体的には (式3):CF2=CF−Rf 3−Y 〔式中、Yは式(1)のYと同じ、Rf 3は炭素数1〜4
0の2価の含フッ素アルキレン基またはORf 4(Rf 4
炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基または炭
素数1〜40のエーテル結合を含む2価の含フッ素アル
キレン基)を表す〕、(式4):CF3=CFCF2−O
f 5−Y 〔式中、Yは式(1)のYと同じ、Rf 5は炭素数1〜3
9の2価の含フッ素アルキレン基または炭素数1〜39
のエーテル結合を含む2価の含フッ素アルキレン基を表
す〕、 (式5):CH2=CFCF2−ORf 6−Y 〔式中、Yは式(1)のYと同じ、ORf 6は炭素数1〜
39の2価の含フッ素アルキレン基、またはORf 7(R
f 7は炭素数1〜39の2価の含フッ素アルキレン基また
は炭素数1〜39のエーテル結合を含む2価の含フッ素
アルキレン基)を表す〕または (式6):CH2=CH−Rf 8−Y 〔式中、Yは式(1)のYと同じ、Rf 8は炭素数1〜4
0の2価の含フッ素アルキレン基〕で示される単量体な
どが上げられる。(式3)〜(式6)で示される官能基
含有含フッ素エチレン性単量体が、含フッ素エチレン性
単量体(b)との共重合性が比較的良好な点で、また、
共重合して得られた共重合体の耐熱性、撥水性を著しく
低下させない理由で好ましい。
【0022】これらの中でも、他の含フッ素エチレン性
単量体との共重合性や、えられた共重合体の耐熱性の面
から、(式3)、(式5)で示される単量体が好まし
く、特に(式2)で示される単量体が好ましい。
【0023】(式3)で示される官能基含有含フッ素エ
チレン性単量体さらに詳しくは
【0024】
【化1】
【0025】などが例示される。
【0026】(式4)で示される官能基含有含フッ素エ
チレン性単量体としては、
【0027】
【化2】
【0028】などが例示される。
【0029】(式5)で示される官能基含有含フッ素エ
チレン性単量体としては、
【0030】
【化3】
【0031】などが例示される。(式6)で示される官
能基含有含フッ素エチレン性単量体としては、
【0032】
【化4】
【0033】などが例示される。
【0034】その他の単量体としては、
【0035】
【化5】
【0036】などもあげられる。
【0037】官能基含有含フッ素エチレン性単量体
(a)と共重合可能なエチレン性単量体は、既知の単量
体より適宜選択することが出来るが、防汚性のほか耐熱
性、撥水性、耐薬品性、低摩擦性を共重合体に与えるた
めには、含フッ素エチレン性単量体(b)から選ばれ
る。
【0038】具体的な含フッ素エチレン性単量体として
は、テトラフルオロエチレン、 (式2):CF2=CF−Rf 1−Y 〔式中、Rf 1はCF3またはORf 2(Rf 2は炭素数1〜
5のパーフルオロアルキル基)を表す〕、ヘキサフルオ
ロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデ
ンフルオロライド、フッ化ビニル、パーフルオロ(アル
キルビニルエーテル)類、ヘキサフルオロイソブテン、
【0039】
【化6】
【0040】(式中、X2は共に水素原子、フッ素原
子、塩素原子から選ばれる、nは共に1〜5の整数)な
どがあげられる。
【0041】また、官能基含有含フッ素エチレン性単量
体(a)と前記含フッ素エチレン性単量体(b)に加え
て、非粘着性や耐熱性、撥水性を低下させない範囲でフ
ッ素原子を有さないエチレン性単量体を共重合してもよ
い。その場合、フッ素原子を有さないエチレン性単量体
は、非粘着性、耐熱性、撥水性を低下させないためにも
炭素数5以下のエチレン性単量体から選ばれることが好
ましく、具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、2−ブテンなどがあげられる。
【0042】本発明における被膜において、官能基含有
含フッ素エチレン性重合体(A)中の官能基含有含フッ
素エチレン性単量体(a)の含有率は、金属酸化物
(B)の種類、官能基含有含フッ素エチレン性重合体
(A)と金属酸化物(B)との組成比率、固形分濃度、
さらに目的や用途によって適宜選択されうるが、好まし
くは0.05〜50モル%、さらに好ましくは、0.1
〜10モル%である。
【0043】前記官能基含有含フッ素エチレン性単量体
(a)の含有率が、0.05%未満であると、被膜中で
の分散が不均一となり、被膜が白化したりする。また、
被膜中の金属酸化物と皮膜中に分散している官能基含有
含フッ素エチレン性重合体(A)との界面接着性が不充
分となり、摩擦などにより官能基含有含フッ素エチレン
性重合体(A)が脱落し、非粘着性や撥水性などを低下
させることがある。
【0044】逆に、前記官能基含有含フッ素エチレン性
重合体(a)の含有率が、50モル%を超えると、官能
基含有含フッ素エチレン性重合体(A)が有している本
来の非粘着性、撥水性が失われたり、耐熱性が低下し、
高温での焼成時に熱分解し、着色、発泡、ピンホールな
どの塗膜不良や撥水性能の低下などを起こしやすい。
【0045】本発明で用いる非粘着性を付与する官能基
含有含フッ素エチレン性重合体(A)の好ましいものを
他の特性と共に次に例示する。
【0046】(1)官能基含有含フッ素エチレン性単量
体(a)0.05〜50モル%とテトラフルオロエチレ
ン50〜99.95モル%との重合体(1)(反応性P
TFE)。
【0047】この重合体は耐熱性、耐薬品性に最も優
れ、さらに低摩擦性に優れている。
【0048】(2)官能基含有含フッ素エチレン性単量
体(a)を単量体の全量に対して0.05〜50モル%
含み、さらに該単量体(a)を除く単量体の全量に対し
て、テトラフルオロエチレン85〜99.7モル%と前
記式(2):CF2=CF−Rf 1〔Rf 1はCF3またはO
f 2(Rf 2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)
から選ばれる〕で示される単量体0.3〜15モル%と
の重合体(2)。例えば官能基を有するテトラフルオロ
エチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共
重合体(反応性PFA)または官能基を有するテトラフ
ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン重合体(反
応性FEP)。
【0049】この重合体は耐熱性、耐薬品性に優れ、撥
水性が良好である。
【0050】(3)官能基含有含フッ素エチレン性単量
体(a)を単量体の全量に対して0.05〜50モル%
含み、さらに該単量体(a)を除く単量体の全量に対し
て、テトラフルオロエチレン40〜80モル%、エチレ
ン20〜60モル%、その他の共重合可能な前記単量体
0〜15モル%との重合体(官能基を有するエチレン−
テトラフルオロエチレン重合体(3)(反応性ETF
E))。
【0051】この重合体は防汚性に優れ、さらに透明
性、機械的特性に優れている。
【0052】またこれらの具体例としてあげた官能基含
有含フッ素エチレン性重合体は、200℃以上の高い融
点を持ち、官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)
の微粒子が分散された金属酸化物(B)からなる被膜を
作成する際、高温での焼成においても溶融せず、被膜中
で微粒子の形態を保持することが出来る。
【0053】本発明に用いることが出来る官能基含有含
フッ素エチレン性重合体(A)は、前述の官能基含有含
フッ素エチレン性単量体(a)と、エチレン性単量体
(b)を周知の重合方法で共重合することによってうる
ことが出来るが、主としてラジカル共重合による方法が
用いられる。すなわち重合を開始するには、ラジカル的
に進行するものであれば手段は制限されないが、例えば
有機、無機ラジカル重合開始剤、熱、光あるいは電離放
射線などによって開始される。重合の種類も溶液重合、
バルク重合、懸濁重合、乳化重合などを用いることが出
来る。また、分子量は、重合に用いるモノマーの濃度、
重合開始剤の濃度、連鎖移動剤の濃度、温度によって制
御される。生成する共重合体の組成は、仕込みモノマー
の組成によって制御可能である。
【0054】本発明において被膜のマトリクスを形成す
ることが出来る金属酸化物(B)は、例えば金属の有機
化合物や金属の無機化合物を出発原料とし、後述する被
覆組成物中の溶剤(C)により加水分解、重縮合によっ
てえられるものなどが好ましい。
【0055】このようにしてえられる金属酸化物(B)
としては、目的や用途により種々のものを用いることが
出来るが、例えば元素周期表における
【0056】
【数1】
【0057】などの金属(M)の酸化物があげられ、ま
た、2価以上の金属であって、アルキル基、含フッ素ア
ルキル基、アミノ基やエポキシ基、ヒドロキシル基など
の官能基を有しているアルキレン基などの有機基(R)
が金属(M)に直接結合した金属酸化物(R−MO)も
用いることが出来る。より具体的な金属酸化物(B)と
しては、後記するものがあげられる。
【0058】前記金属(M)は、目的、用途により種々
選択できるが、透明で硬度が高く、耐久性に富んだ被膜
を形成できる点からSi,Al,TiまたはZrから選
ばれるものが特に好ましい。
【0059】本発明における基材表面上の被膜中の官能
基含有含フッ素エチレン性重合体(A)と金属酸化物
(B)の割合(体積比)は、(A)/(B)が1〜85
/99〜15、特に透明性、被膜強度の点から5〜75
/25〜95であるのが好ましい。該重合体(A)が多
すぎると被膜の透明性が低下したり被膜がもろくなった
りする。逆に少なすぎると撥水性、非粘着性、防汚性と
いったフッ素樹脂本来の優れた性能が低下する。
【0060】前記金属酸化物の被膜の膜厚は、適用する
機器や器具の種類や部位により異なるが、0.01〜1
00μmであり、好ましくは0.01〜70μmであ
り、特に好ましくは0.02〜50μmである。
【0061】本発明における撥水性被膜は、いわゆるゾ
ル−ゲル法で作製した金属酸化物被膜であって、前記官
能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)の微粒子と前
記金属酸化物(B)の前駆体である金属酸化物ゾル(B
−1)(ゲル化前の低分子縮合体)と溶剤(C)とから
なる被覆用組成物を基材に適用することにより形成でき
る。
【0062】この被覆用組成物に用いることができる溶
剤(C)は、種々のものがあげられるが、金属酸化物ゾ
ル(B−1)を均質に調製することができる点から、主
としてメタノール、エタノール、プロパノール、イソプ
ロパノール、ブタノール、イソブタノールなどのアルコ
ール類、また加水分解を促進するための水などから選ば
れる。
【0063】なお、これらの溶剤(C)に不溶な金属化
合物を金属酸化物ゾル(B−1)(つまり金属酸化物被
膜)の出発原料として用いるばあい、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、トリエタノールアミン、キ
シレンなどを用いてもよい。また、被膜のき裂などを防
ぐためなどにホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジ
オキサン、シュウ酸などを使用してもよい。
【0064】これらの被覆用組成物において、官能基含
有含フッ素エチレン性重合体(A)、金属酸化物ゾル
(B−1)、溶剤(C)の各成分の組成比率は、調理器
の種類や部位により適宜選択されうるが、官能基含有含
フッ素エチレン性重合体(A)と金属酸化物ゾル(B−
1)の合計量に対し、該重合体(A)1〜85容量%、
金属酸化物ゾル(B−1)15〜99容量%であり、該
重合体(A)5〜75容量%、金属酸化物ゾル(B−
1)25〜95容量%であることがさらに好ましい。
【0065】また、組成物全体に占める官能基含有含フ
ッ素エチレン性重合体(A)と金属酸化物(B)の合計
量は、0.1〜70重量%であり、好ましくは0.5〜
50重量%である。
【0066】本発明の官能基含有含フッ素エチレン性重
合体(A)は、微粒子であることが好ましく、塗布後の
金属酸化物被膜中に微粒子の形態で、分散しており、と
くに防汚性、耐摩耗性、接水性に優れた被膜を与えるこ
とができる。
【0067】官能基含有含フッ素エチレン性重合体
(A)の微粒子の平均粒子径は、0.01〜1.0μm
程度であり、好ましくは0.6μm以下であり、この範
囲内においてとくに透明性を必要とする場合0.4μm
以下であることが好ましく、また、被覆用組成物の分散
安定性、貯蔵安定性、さらに被膜の透明性を必要とする
ばあい0.2μm以下であることがもっとも好ましい。
【0068】これらの官能基含有含フッ素エチレン性重
合体(A)の微粒子は、種々の方法で製造されるが、粒
子径を細かく、また均一に制御できることから、乳化重
含法によって製造することが好ましい。このばあい、乳
化重合によってえられた官能基含有含フッ素エチレン性
重合体(A)の水性ディスパージョンを、予め作成して
おいた金属酸化物ゾル(B−1)の溶液に直接混合する
か、または官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)
の水性ディスパージョンを含む溶剤中で出発原料の金属
化合物の加水分解、重縮合を行なうことにより、被覆用
組成物をうることができる。
【0069】なお、被覆用組成物には、たとえば界面活
性剤、顔料、染料、増粘剤などの添加剤を加えてもよ
い。
【0070】本発明において基材上に形成される被膜
は、前記官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)の
微粒子および金属酸化物ゾル(B−1)を含む被覆用組
成物(ゾル溶液)を、基材に塗布し、焼成(ゲル化)す
ること(すなわち、ゾル−ゲル法)により、金属酸化物
ゾル(B−1)の重縮合がさらに進み、硬質で高強度の
金属酸化物(B)の被膜が形成され、その被膜中に含フ
ッ素共重合体(A)が粒子状で均一に分散した金属酸化
物被膜となったものである。
【0071】本発明の金属酸化物被膜は、官能基含有含
フッ素エチレン性重合体(A)の微粒子が該被膜内部ま
で均一に分布しているため、該被膜表面が摩耗され、削
れたとしても、該被膜内部までフッ素樹脂の優れた防汚
性、接水性などを発揮し、この特性が低下しないもので
ある。
【0072】前記焼成は、前記金属酸化物被膜中に粒子
状で均一に分散させるために、官能基含有含フッ素エチ
レン性重合体(A)の融点以下で行なうことが好まし
い。しかしながら、溶融粘度が高く溶融しないもの(た
とえばPTFEなど)を微粒子として用いるばあい、官
能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)の分解温度を
超えない限り、融点以上でも焼成することができる。
【0073】このような金属酸化物被膜は、たとえば金
属アルコキシド、金属アセチルアセテート、金属カルボ
キシレート、金属硝酸塩、金属塩化物よりなる群から選
ばれた少なくとも1種を出発原料とし、加水分解および
縮合反応によりえられる金属酸化物ゾル(B−1)と乳
化重合法によりえられる前記官能基含有含フッ素エチレ
ン性重合体(A)の微粒子を含む水性ディスパージョン
を用いることによって製造でき、(1)該金属酸化物
(B−1)ゾルと該水性ディスパージョンを混合してコ
ーティング液を調製するコーティング液調製工程、
(2)該コーティング液を基板に塗布して塗膜を形成す
る塗膜形成工程、および(3)該塗膜を焼成して該官能
基含有含フッ素エチレン性重合体(A)の微粒子が分散
してなる被膜を形成する被膜形成工程を経て得られる
(金属酸化物ゾル溶液の調製)。
【0074】前記金属酸化物ゾルは、相当する金属アル
コキシド、金属アセチルアセテート、金属カルボキシレ
ート、金属硝酸塩、金属塩化物またはこれらのうちの、
2種以上の加水分解、重縮合により調製することができ
る。
【0075】これらのうちでも金属アルコキシドが、反
応性に富み、加水分解と重縮合反応を受けて、金属−酸
素結合を有している重合体(金属酸化物)を生成しやす
いため好ましい。
【0076】金属アルコキシドの合成が困難であった
り、金属アルコキシドが一般的に使用する水、アルコー
ルなどの溶剤に不溶なばあい(たとえば銅のアルコキシ
ドなど)、金属アセチルアセテートや金属酢酸塩などの
カルボン酸塩、オキシ酸塩などを使用することができ
る。
【0077】さらに適当な金属アルコキシドやその他の
有機金属化合物がないばあい、金属硝酸塩や金属塩化
物、金属酸化物などの無機金属化合物を用いることがで
きる。
【0078】金属アルコキシドは、M(OR)n(式
中、Mは金属、Rはアルキル、nは該金属の原子価に相
当する数値)で示される化合物であり、一般に金属M
は、最終的にえられる金属酸化物を含む被膜の目的、用
途により適宜選択することができ、アルキル基Rは、溶
剤に可溶であるかないか、加水分解反応性、重縮合反応
性などを左右するため、目的に応じて選択することがで
きる。
【0079】金属アルコキシドは、具体的にはLiOC
H、NaOCH3、Cu(OCH3)、Ca(OC
3)、Sr(OC252、Ba(OC252、Zn
(OC262、Y(OC493などがあげられる。
【0080】さらに金属アルコキシドとしては、金属に
アルコキシル基のみが結合した化合物のみならず、アル
コキシル基の一部をメチル基、エチル基などのアルキル
基で置換した化合物、含フッ素アルキル基で置換した化
合物、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、メルカ
プト基などの官能基を有しているアルキレン基で置換し
た化合物も用いることができる。
【0081】これらの具体例として、
【0082】
【化7】
【0083】などがあげられる。
【0084】その他、有機金属化合物としては、金属ア
セチルアセトネートたとえばZr(COCH2
34、In(COCH2COCH33、Zn(COC
2COCH32、金属カルボキシレートたとえばPb
(CH3COO)2、Y(C1735COO)3、Ba(H
COO)2などがあげられる。
【0085】また、無機金属化合物としては、金属硝酸
塩たとえばY(NO33・6H20、Ni(NO32
3H20、金属オキシ塩化物たとえばZrOC12、Al
OCl、金属塩化物たとえばTiCl4などがあげられ
る。また、フュームドシリカなどの金属酸化物を用い
て、再びゾル化して、ゾル−ゲル法を適用することもで
きる。
【0086】金属酸化物ゾル溶液の調製は、まず目的の
金属酸化物の金属に相当する金属化含物を前記にあげた
化合物のうちから選択し、アルコール系の溶剤に溶解す
る。このばあい、金属化合物は前記溶剤に均一に溶解す
ることが望ましく、溶解する金属化含物を選択すること
が好ましい。
【0087】この金属化合物溶液に、水および酸または
アルカリを触媒として加えることにより、加水分解、重
縮合がおこり、金属酸化物の粒子が生成し、金属酸化物
ゾル(B−1)の溶液がえられる。
【0088】前記触媒としての酸は、たとえば塩酸、硫
酸、硝酸、酢酸、フッ酸などが一般的に用いられ、前記
触媒としてのアルカリは、たとえば処理後揮発によって
除去できるアンモニアが好ましく用いられる。
【0089】金属酸化物ゾル溶液を調製するときの反応
温度は、金属の種類、用いる金属化合物の種類、目標と
するゾルの重合度などによって異なるが、一般的に室温
〜100℃、好ましくは室温〜80℃程度であり、固形
分含量は0.5〜50重量%であることが望ましい。ま
た、場合によっては、水や触媒を加えないで、空気中の
水分で除々に加水分解、重縮合させ、金属酸化物ゾル
(B−1)を調製することも可能である。
【0090】(官能基含有含フッ素エチレン性重合体水
性ディスパージョンの調製)金属酸化物ゾル(B−1)
と混合する官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)
の微粒子は、種々の方法で製造できる。
【0091】具体的には、(イ)懸濁重合法などでえら
れた官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)の粉末
を微粉砕し、金属酸化物ゾル(B−1)溶液ヘ、界面活
性剤などとともに加えて均一に混合する方法(このばあ
い、ディスパージョンと同時に後記コーティン液ができ
る)、(ロ)乳化重合法により重合と同時に官能基含有
含フッ素エチレン性重合体の水性ディスパージョンを製
造する(このばあい、直接、金属酸化物ゾル(B−1)
溶液と混合することができる)方法などがあげられる
が、生産性や品質面(小粒径化や、均一粒径化)から、
乳化重合法により水性ディスパージョンを調製し、水性
ディスパージョンの状態で直接、金属酸化物ゾル(B−
1)溶液に混合することが好ましい。混合する官能基含
有含フッ素エチレン性重合体(A)の微粒子の水性ディ
スパージョンは、通常1〜70重量%の固形分含量を有
し、好ましくは5〜50重量%である。
【0092】(コーティング液の調製)官能基含有含フ
ッ素エチレン性重合体(A)の微粒子を含む金属酸化物
ゾル(B−1)溶液(コーティング液)を調製する方法
として、(ハ)官能基含有含フッ素エチレン性重合体
(A)の微粒子を含む水性ディスパージョンを含むアル
コール溶液中で金属化合物を加水分解および重縮合さ
せ、金属酸化物ゾル(B−l)を形成し、コーティング
液を調製する方法、(二)予め加水分解、重縮合により
調製した金属酸化物ゾル(B−1)溶液と官能基含有含
フッ素エチレン性重合体(A)の微粒子を含む水性ディ
スパージョンを混合し、コーティング液を調製する方法
のいずれかを採用することができる。
【0093】前記官能基含有含フツ素工チレン性重合体
(A)の微粒子を含むディスパージョンは、この重合体
が有している官能基の効果により、アルコール系や他の
非水系溶剤に対し、高い分散安定性を有し、前記いずれ
かの方法によるコーティング液の調製工程においても、
微粒子の沈降や凝析などを起こさない。また、塗布に先
立ち、目標の膜厚、基材の種類や形状により、コーティ
ング液の固形分濃度を調整したり、増粘剤の添加などに
よるコーティング液の粘度の調整を行なってもよい。
【0094】(塗布)シリカ下地層を形成したトッププ
レート基体の結晶化ガラスへの塗布法としては、ディッ
ピング、スピンコート、スプレー、ハケ塗り、ロールコ
ートなど公知の塗布法が採用できる。
【0095】(焼成)塗膜を焼成して官能基含有含フッ
素エチレン性重合体(A)の微粒子が分散してなる被膜
を基材表面に形成する。通常、焼成に先立って水や溶剤
を除去する乾燥工程が行なわれる。乾燥は、通常室温〜
100℃、好ましくは室温〜80℃程度で行なう。
【0096】焼成は、目的、用途、官能基含有含フツ素
エチレン性重合体(A)の種類によって異なるが、10
0℃以上、官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)
の分解温度未満、好ましくは150℃以上、官能基含有
含フッ素エチレン性重合体(A)の融点未満で行なわれ
る。100℃以下で行なうと、金属酸化物の縮重合(ゲ
ル化)が充分に進行しないため、架橋が不充分であり、
高硬度、高強度の被膜がえられにくい。
【0097】また、官能基含有含フッ素エチレン性重合
体(A)の分解温度を超えると、発泡や着色のみでな
く、接水性などのフッ素樹脂の優れた特性が失なわれ
る。
【0098】また、被膜中に、官能基含有含フッ素エチ
レン性重合体(A)を粒子状で分散させるために、焼成
は官能基含有含フツ素エチレン性重合体(A)の融点以
下で行なうことが好ましい。しかしながら、溶融粘度が
高く、溶融しないもの(たとえばPTFEなどのような
もの)を微粒子として用いるばあい、官能基含有含フッ
素エチレン性重合体(A)の分解温度を超えない限り、
融点以上でも焼成することができる。
【0099】このようにして本発明の防汚性被膜を製造
することができる。
【0100】なお、防汚性被膜はさらに撥水性が要求さ
れることが多く、そのため官能基含有含フツ素エチレン
性重合体(A)の微粒子として、官能基含有含フツ素エ
チレン性重合体(A)自体の水に対する接触角が80度
以上、とくに95度以上のものを含む撥水性を併せもつ
被覆用組成物を用いるのが好ましい。また、被膜中で、
該撥水性微粒子の形状を保持するためには、高温での焼
成工程において、熱分解や溶融しない含フッ素共重合体
が好ましく、詳しくは融点が150℃以上、好ましくは
200℃以上、とくに好ましくは250℃以上のものが
用いられる。
【0101】特に防汚性、撥水性に優れた被膜を与える
官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)としては、
具体的には前述のいわゆる反応性PTFE、反応性PF
A、反応性FEP、反応性ETFEなどがあげられる。
【0102】また、これらの官能基含有含フッ素エチレ
ン性重含体(A)中の官能基の含有率は、0.1〜10
モル%であることがとくに好ましい。
【0103】前述のようにしてえられる本発明の撥水性
被膜は、第1に優れた防汚性を長期間維持でき、第2に
官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)の微粒子が
良好な界面接着性をもって金属酸化物(B)からなる被
膜中で均一に分散し該被膜が充分な硬さ、透明性および
接着性を有し、第3に官能基含有含フッ素エチレン性重
合体(A)の微粒子(B)からなる被膜が良好な耐熱
性、耐侯性、耐摩耗性、耐傷付き性、非粘着性、撥水性
などを有する。
【0104】つぎに、本発明の防汚性被膜をコーティン
グしたトッププレートについて、実施例に基づいてさら
に具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定され
るものではない。
【0105】(実施例1) (1)シリカ下地層の形成 5mmの結晶化ガラスを100mm角に切り出し、アセ
トンで脱脂をした。これにシリケートグラス(信越化学
工業製ハードコーティング剤KP−1100A)をキャ
スト法で塗布し、400℃で20分間熱処理を行い、シ
リカ下地層を形成した。
【0106】(2)金属酸化物ゾルの調製 テトラエトキシシラン54g、トリエトキシメチルシラ
ン46g、工タノール200gを500mlのビーカー
に入れ室温で1時間攪拌した。つぎに、0.1N塩酸水
溶液50gを加え50℃で3時間撹枠し、シリカゾル溶
液をえた。
【0107】(3)コーティング液の調製 ヒドロキシル機を有するPFAのディスパージョン45
gのなかに前記(1)でえられたシリカゾル溶液90g
を加え室温で1時間撹枠し、コーティング液をえた。
【0108】(4)塗布 前記(3)でえられたコーティング液を、10milア
プリケーターを用いて、シリカ下地層を形成した結晶化
ガラス上に塗布した。
【0109】(5)焼成 前記(4)でえられた塗膜を室温にて風乾し、基板上の
水やエタノールを乾燥させた後、大気下250℃にて6
0分間焼成し、約6μmの被膜を有する試験板をえた。
【0110】(比較例1)実施例1において、シリカ下
地層を形成していない未処理の結晶化ガラス上に撥水性
皮膜を形成したものを比較例1とした。
【0111】(比較例2)官能基を有していない含フッ
素共重合体の水性ディスパージョンを用い、実施例1と
同様にしてコーティング液の調製、塗布、焼成を行な
い、試験板を作成した。
【0112】(比較例3)含フッ素共重合体の水性ディ
スパージョンを添加していないシリカゾル溶液のみを用
いて、実施例1と同様にして塗布、焼成を行い、試験片
を作成した。
【0113】実施例1および比較例1、2、3でえられ
た撥水性被膜についてつぎの試験を行なった。
【0114】被膜の透明性 焼成後の被膜の透明性をへイズーメーターによりヘイズ
値を測定した。
【0115】被膜の硬さ JlS K5401にしたがい、鉛筆引っかき試験によ
り室温での鉛筆硬度を測定した。
【0116】密着性 JlS K5400にしたがって、被膜上にクロスカッ
ト100目を作りクロスカット面にセロハン粘着テープ
を貼りつけ、これを被膜に対して垂直方向に強く引っぱ
り、被膜の剥離状態を観察し、被膜の残り数/100で
表示した。
【0117】非粘着性試験 試験板の表面をエタノールで洗浄した後、サラダ油0.
02gをスポイトで滴下しこれをφ1.5cmに広げる。
サラダ油を付着させた試験板を300℃の電気炉内に2
0分間加熱して焼付け、取出して室温にまで冷ました後
キムワイプでふき取る。乾拭きで完全にふき取れた場合
を『○』、水拭きでわずかに力を入れてふき取れた場合
を『△』、力を入れても跡が残る場合を『×』として汚
れのふき取り性を評価した。
【0118】被膜の撥水性 接触角計(協和界面科学(株)製)により水の接触角を
測定した。
【0119】耐摩耗試験 ネル布(綿300番)を用い80gf/cm2の荷重にて、前
記被膜を5000回摩擦した後の水の接触角を前記と
同様にして測定した。前記試験の結果を(表1)に示
す。
【0120】
【表1】
【0121】(表1)の結果から明らかなように、本発
明の被覆用組成物は分散安定性に優れ、該組成物からえ
られる被膜は硬く透明性、非粘着性、接水性、耐磨耗性
に優れていることがわかる。
【0122】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、含フッ
素共重合体に特定の官能基を導入し、金属酸化物および
溶剤と組み合せることによってえられる組成物を、シリ
カ下地層を形成した結晶化ガラス基体に塗布、焼成して
えられた撥水性被膜は、硬く、透明性、非粘着性、接水
性、耐磨耗性に優れているため、これを用いた防汚性被
膜を形成した調理器用トッププレートは、優れた防汚
性、撥水性、耐熱性、耐薬品性、耐傷付き性、低摩擦
性、低屈折性、反射防止性などの性能をもつことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明及び従来の調理器用トッププレートにお
ける実施例を示す外観斜視図
【符号の説明】
1 電磁調理器本体 2 トッププレート 3 鍋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梅田 章広 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 3K051 AB02 AD38 CD44 4G059 AA01 AA15 AB11 AC22 GA02 GA04 GA17 4J038 AA011 CD092 CD122 GA03 GA06 GA07 GA16 HA211 HA441 MA02 NA05 NA07 PB02 PC03

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主に結晶化ガラスから構成され、被加熱
    物が載置される調理面を有する調理器用トッププレート
    であって、前記調理面にシリカ下地層が形成され、つい
    で撥水層が形成された調理器用トッププレート。
  2. 【請求項2】 シリカ下地層が、結晶化ガラス表面にシ
    リケートグラスを塗布し、さらに加熱処理またはプラズ
    マ処理することにより形成されている請求項1に記載の
    調理器用トッププレート
  3. 【請求項3】 調理面に形成された撥水層は含フッ素エ
    チレン性重合体の微粒子(A)が、金属酸化物(B)層
    中に分散して形成されている請求項1または2に記載の
    調理器用トッププレート。
  4. 【請求項4】 含フッ素エチレン性重合体の微粒子
    (A)が、(a)ヒドロキシル基、カルボキシル基、カ
    ルボン酸塩、カルボキシエステル基およびエポキシ基よ
    りなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する
    官能基含有含フッ素エチレン性単量体0.05〜50モ
    ル%と(b)前記の官能基を有さない含フッ素エチレン
    性単量体の少なくとも1種の単量体50〜99.95モ
    ル%とを共重合してなる請求項3に記載の調理器用トッ
    ププレート。
  5. 【請求項5】 官能基含有含フッ素エチレン性単量体
    (a)がCX2=CX1−Rf−Y(式中、Yは−CH2
    H、−COOH、カルボン酸塩、カルボキシエステル基
    またはエポキシ基、XおよびX1は同じかまたは異なり
    水素原子またはフッ素原子、Rfは炭素数1〜40の2
    価の含フッ素アルキレン基、炭素数1〜40の含フッ素
    オキシアルキレン基、炭素数1〜40のエーテル基を含
    む含フッ素オキシアルキレン基を表す)で示される少な
    くとも1種の官能基含有含フッ素エチレン性単量体であ
    る請求項4に記載の調理器および調理器用トッププレー
    ト。
  6. 【請求項6】 官能基を有さない含フッ素エチレン性単
    量体(b)が、テトラフルオロエチレンである請求項4
    記載の調理器用トッププレート。
  7. 【請求項7】 官能基を有さない含フッ素エチレン性単
    量体(b)が、テトラフルオロエチレン85〜99.7
    モル%とCF2=CF−Rf 1(式中、Rf 1はCF3または
    ORf 2(Rf 2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル
    基)で示される単量体0.3〜15モル%との混合単量
    体である請求項4に記載の調理器用トッププレート。
  8. 【請求項8】 官能基を有さない含フッ素エチレン性単
    量体(b)が、テトラフルオロエチレン40〜80モル
    %とエチレン20〜60モル%とその他の共重合可能な
    単量体0〜15モル%との混合単量体である請求項4記
    載の調理器用トッププレート。
  9. 【請求項9】 金属酸化物(B)がケイ素の酸化物であ
    る請求項3〜8のいずれか1項に記載の調理器および調
    理器用トッププレート。
  10. 【請求項10】 金属酸化物(B)がアルミニウムの酸
    化物である請求項3〜8のいずれかに記載の調理器およ
    び調理器用トッププレート。
  11. 【請求項11】 金属酸化物(B)がチタニウムの酸化
    物である請求項3〜8のいずれかに記載の調理器および
    調理器用トッププレート。
  12. 【請求項12】 金属酸化物(B)がジルコニウムの酸
    化物である請求項3〜8のいずれかに記載の調理器およ
    び調理器用トッププレート。
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