JP2003160731A - レーザー加工用プラスチック材料及び該材料が加工されたプラスチック光学素子 - Google Patents
レーザー加工用プラスチック材料及び該材料が加工されたプラスチック光学素子Info
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Abstract
レーザー照射により、屈折率が変調した部位を有するプ
ラスチック光学素子を作製する加工に適したプラスチッ
ク材料を提供する。 【解決手段】 レーザー加工用プラスチック材料は、パ
ルス幅が10-12秒以下のレーザーを外部から照射する
ことにより加工するレーザー加工用プラスチック材料で
あって、ポリシラン系ポリマーを含有することを特徴と
する。ポリシラン系ポリマーとともに、2つ以上のガラ
ス転移温度を有するポリマーを含有していてもよい。ポ
リシラン系ポリマーは、下記式(1)で表される構造単
位を有しているものが好適である。 【化1】 (式(1)において、R1、R2は、同一又は異なって、
水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、炭化水素
基、ハロゲン原子、ポリシラン骨格を示す。)
Description
の高機能化・高性能化のためのレーザーによる加工に関
する技術分野に属しており、さらにはプラスチックに超
短パルスのレーザーを照射して屈折率を変化させる加工
を行う目的に適したレーザー加工用プラスチック材料、
及び該プラスチック材料に超短パルスレーザーを照射し
て得られるプラスチック光学素子に関する。
面や内部を高機能化する要求が高まってきている。この
ような高機能化の要求に対して、プラスチック構造体自
身をポリマーアロイ化又は複合化する材料面での技術対
応と、要求に合わせて機能部位を組み込んだり、構造の
制御を行ったりする加工面での技術対応との2つの面で
の取り組みが行われている。例えば、プラスチック構造
体の内部(バルク)の高機能化・高性能化では、電気や
光の伝導性、光の透過性又は遮断性、水分やガスの透過
性又は遮断性、熱・光・応力等の外部刺激に対する応答
性又は記憶性などの様々な特性の要求に対応して、材料
・加工面の両面から種々の技術的な取り組みがなされて
いる。具体的には、プラスチック構造体の内部に、元の
プラスチック内部の構造と異なった構造部位を形成する
方法(技術)として、熱を加えることにより相分離(組
成変化)、再結晶化(密度や結晶化度の変化)や熱反応
を生じさせる方法、圧力や応力を加えることにより分子
配向(配向度、光学的・機械的異方性)を促進したり電
気的・光学的変化を促進したりする方法、光を照射する
ことにより光反応(電気的化学結合反応)・光架橋(架
橋や硬化)・光分解(結合の開裂)などを生じさせる方
法が検討されてきている。このような方法(技術)の中
で、熱や圧力などは、プラスチック構造体全体に作用さ
せる場合が多く、プラスチック構造体内部における任意
の場所(部位)に限定して作用させ、元のプラスチック
構造体内部と異なる構造を形成するのは不向きである。
一方、光は、本質的に、プラスチック構造体内部の任意
の場所への作用させることに適した手段であり、より微
細な構造制御による高機能化・高性能化の技術のトレン
ドに貢献できる可能性がある。
しく、特に、パルスレーザーでは、ナノ秒(10-9秒)
のオーダーのパルス幅から、ピコ秒(10-12秒)のオ
ーダーのパルス幅へと超短パルス化が進んでおり、更に
最近では、チタン・サファイア結晶などをレーザー媒質
とするフェムト秒(10-15秒)のオーダーのパルス幅
を有するパルスレーザーなども開発されてきている。パ
ルス幅が10-12秒以下である(例えば、パルス幅がフ
ェムト秒のオーダーである)超短パルスレーザー又はそ
のシステムは、通常のレーザーが持つ、指向性、空間的
・時間的なコヒーレントなどの特徴を有するとともに、
パルス幅が極めて狭いことから、同じ平均出力であって
も、単位時間・単位空間当たりの電場強度が極めて高い
という特徴を有している。そのため、この高い電場強度
を利用して、超短パルスレーザーを物質中に照射して新
たな構造(誘起構造)を形成させる試みが、無機ガラス
材料を主な対象物として行われてきている。
ラスチック等は、無機ガラス材料と比較して、ガラス転
移温度が低い。これは、無機ガラス材料が共有結合で三
次元的に結合してアモルファス構造が形成されているの
に対して、高分子材料は、一次元的に共有結合で繋がっ
た高分子鎖が三次元的に絡み合ってアモルファス構造が
形成されていることを反映した結果である。従って、無
機ガラス材料に対しては、大きな照射エネルギーで照射
しないと、誘起構造が形成されないが、高分子材料で
は、高いエネルギーの照射は材料の劣化を引き起こす虞
があるので、高いエネルギーの照射は回避する必要があ
る。
材料は、熱伝導性が低いという特徴を有している。従っ
て、高分子材料は熱伝導性が低いので、蓄熱し易い傾向
がある。すなわち、高分子材料は熱運動が無機ガラス材
料に比べて容易に起こり、運動や反応に必要な熱量が少
なくて済むので、無機ガラス材料に比べて、比較的低い
照射エネルギーでも誘起構造が形成される可能性があ
る。しかし、高分子材料であるプラスチック構造体に関
して、パルス幅が10-12秒以下である(例えば、パル
ス幅がフェムト秒のオーダーである)超短パルスレーザ
ーの照射による誘起構造形成の検討は、現在まで、無機
ガラス材料ほどには行われていなかった。そのため、ど
のような高分子材料が、パルス幅が10-12秒以下のレ
ーザーを外部から照射することにより加工して、誘起構
造を容易に形成することができるかが調べられておら
ず、レーザー加工用プラスチック材料として有用なもの
が求められている。
-12秒以下の超短パルスレーザーの照射により、劣化を
生じさせずに、精密に制御して、屈折率が大きく変調し
た屈折率変調部を有する光学素子を作製するための加工
に適したプラスチック材料、および該プラスチック材料
に超短パルスレーザーを照射して得られるプラスチック
光学素子を提供することにある。本発明の他の目的は、
さらに、パルス幅が10-12秒以下の超短パルスレーザ
ーの照射により、屈折率が変調した屈折率変調部と、屈
折率が変調していない屈折率未変調部との屈折率差がよ
り一層大きいプラスチック光学素子であっても、優れた
作業性で容易に作製するための加工に適したプラスチッ
ク材料、および該プラスチック材料に超短パルスレーザ
ーを照射して得られるプラスチック光学素子を提供する
ことにある。
的を達成するため鋭意検討した結果、ポリシラン系ポリ
マーを含有するプラスチック材料に対して、パルス幅が
10-12秒以下の超短パルスレーザー(以下、単に「超
短パルスレーザー」と称する場合がある)の照射を行う
と、レーザー加工が円滑に行われるとともに、クラック
などの劣化が生じておらず、しかも精密に屈折率変調部
が制御され、さらに該屈折率変調部は屈折率未変調部に
対して屈折率差が大きいプラスチック材料の加工品を得
ることができることを見出し、本発明を完成させた。
秒以下のレーザーを外部から照射することにより加工す
るレーザー加工用プラスチック材料であって、ポリシラ
ン系ポリマーを含有することを特徴とするレーザー加工
用プラスチック材料である。本発明では、ポリシラン系
ポリマーとともに、2つ以上のガラス転移温度を有する
ポリマーを含有していることが好ましい。
表される構造単位を有していてもよい。
水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、炭化水素
基、ハロゲン原子、ポリシラン骨格を示す。)
材料に、パルス幅が10-12秒以下のレーザーを外部か
ら照射することにより得られる、屈折率が変調した屈折
率変調部を有するプラスチック光学素子も含まれる。該
プラスチック光学素子において、屈折率が変調した屈折
率変調部の屈折率と、屈折率が変調していない屈折率未
変調部の屈折率との屈折率差が、0.0005以上であ
ってもよい。
面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の部材につ
いては、同一の符号を付している場合がある。 [プラスチック材料]本発明のレーザー加工用プラスチ
ック材料は、ポリシラン系ポリマーを含有している。前
記プラスチック材料は、ポリシラン系ポリマーととも
に、他のポリマー(以下、「併用ポリマー」と称する場
合がある)を含有していてもよい。プラスチック材料
は、少なくともポリシラン系ポリマーを含有していれば
よく、ポリシラン系ポリマーの含有割合は、例えば、ポ
リマー成分全量に対して10重量%以上(好ましくは1
5重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上)の範
囲から選択することができる。ポリシラン系ポリマーの
含有割合が少ないと(例えば、10重量%未満である
と)、パルス幅が10-12秒以下の超短パルスレーザー
の照射により形成された屈折率変調部を精密に制御する
ことが困難になり、屈折率変調部と屈折率未変調部との
屈折率差が小さくなる。
上限は、特に制限されず、すべてのポリマー成分がポリ
シラン系ポリマー(含有割合が100%)であってもよ
く、また、例えば、ポリマー成分全量に対して90重量
%以下(好ましくは85重量%以下、さらに好ましくは
80重量%以下)の範囲から選択することもできる。ポ
リシラン系ポリマーの含有割合が多いと(例えば、90
重量%を越えると)、プラスチック材料が脆くなり、パ
ルス幅が10-12秒以下の超短パルスレーザーによる加
工時のハンドリング性が低下し、また、プラスチック材
料をフィルム状に加工することができなくなる場合があ
る。
光波長領域(例えば、400nm〜800nm)におい
て全光線透過率が10%以上である透明性が高いものを
好適に用いることができる。このように、10%以上の
光透過性を有していると、パルス幅が10-12秒以下で
あり且つ波長が可視光波長領域にある超短パルスレーザ
ーの照射により、レーザー加工が容易に出来るようにな
る。
リマーは、ケイ素−ケイ素結合を有する主鎖から構成さ
れているポリマーである。主鎖のケイ素原子に置換して
いる置換基としては、特に制限されず、例えば、水素原
子、有機基、ハロゲン原子などが挙げられる。ポリシラ
ン系ポリマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用す
ることができる。
しては、例えば、前記式(1)で表される構造単位を有
するポリマーを用いることができる。前記式(1)にお
いて、R1、R2は、同一又は異なっていてもよい。R1
又はR2のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ
基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブ
チルオキシ基、イソブチルオキシ基、s−ブチルオキシ
基、t−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシル
オキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシ
ルオキシ基などの炭素数が1〜20程度のアルコキシ基
が挙げられる。
基、シクロアルキル基、アリール基などが挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、
s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウ
ンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル
基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル
基、オクタデシル基などの炭素数1〜20程度のアルキ
ル基が挙げられる。シクロアルキル基には、シクロヘキ
シル基などの炭素数5〜10程度のシクロアルキル基が
含まれる。また、アリール基としては、フェニル基、ナ
フチル基や、ビフェニル基、クメニル基、メシチル基、
トリル基、キシリル基などが挙げられる。炭化水素基
は、例えば、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキ
シル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ニトロ
基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子、炭化水素基な
どの置換基を有していてもよい。
子が含まれる。
る構造単位を有するポリシランの骨格を示している。
あってもよく、コポリマーであってもよい。なお、ポリ
シラン系ポリマーがコポリマーの場合、ポリシラン系ポ
リマーとしては、例えば、前記式(1)で表される複数
種(2種以上)の構造単位を有するコポリマーが挙げら
れる。コポリマーは、ランダム共重合体又はブロック共
重合体のいずれであってもよい。
ポリシラン;ポリ(ジメチルシラン)、ポリ(メチルエ
チルシラン)、ポリ(メチルプロピルシラン)、ポリ
(メチルブチルシラン)、ポリ(メチルヘキシルシラ
ン)、ポリ(ジヘキシルシラン)、ポリ(ジドデシルシ
ラン)等のポリ(アルキルアルキルシラン);ポリ(メ
チルシクロヘキシルシラン)等のポリ(アルキルシクロ
アルキルシラン);ポリ(メチルフェニルシラン)等の
ポリ(アルキルアリールシラン);ポリ(ジフェニルシ
ラン)等のポリ(アリールアリールシラン);ポリフェ
ニルシリン、ポリメチルシリン等のケイ素原子の3次元
構造を有する(ケイ素原子が3次元的に結合された構造
を有する)ケイ素原子含有ポリマーなどのホモポリマー
や、ポリ(ジメチルシラン−メチルシクロヘキシルシラ
ン)、ポリ(ジメチルシラン−メチルフェニルシラン)
などのコポリマーなどが挙げられる。
分子量など)は特に制限されない。ポリシラン系ポリマ
ーの分子量(重量平均分子量など)は、目的とするプラ
スチック光学素子に応じて適宜選択することができ、例
えば、1,000〜50,000程度の範囲から選択す
ることができる。
て、パルス幅が10-12秒以下の超短パルスレーザーを
照射すると、シロキサン結合やシラノール基(Si−O
H)が生成されて、屈折率が大きく低下し、屈折率が変
調された屈折率変調部を形成することができる。
は、特に制限されないが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹
脂、紫外線硬化性樹脂など種々の樹脂を用いることがで
きる。併用ポリマーを用いることにより、プラスチック
材料の機械的特性などを適宜調整することができる。ま
た、該併用ポリマーが、屈折率変調部における屈折率の
変調に寄与していてもよい。このような併用ポリマーと
しては、2つ以上のガラス転移温度(ガラス転移点)を
有するポリマーを好適に用いることができる。併用ポリ
マーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することが
できる。
リマーには、熱的な運動性が異なったお互いに相溶性の
ない2つ以上の成分を含んで構成された材料系が含まれ
る。このような材料系としては、2つ以上の異種材料の
ブレンド物(例えば、2種以上のホモポリマー及び/又
はランダム共重合体のブレンド物、2種以上のブロック
共重合体のブレンド物など)、2つ以上の異種成分から
構成されたブロック共重合体などが挙げられる。該材料
系は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することが
できる。
ド物はブレンドする各成分の成分比を変えることや分散
加工条件を変えることにより、その構造形態として、ド
メイン状、シリンダー状、層状、共連続状などの様々な
非相溶な形態を作り出す事が出来る。一方、ブロック共
重合体並びにそれらのブレンド物(2種以上のブロック
共重合体のブレンド物)は、ブロック的に結合された高
分子鎖の非相溶性が系全体の非相溶性を担っているの
で、その構造形態としては前記例示の非相溶な形態が挙
げられ、該非相溶な形態としては、ブレンド物よりもよ
り一層微細なものにすることが出来る。
ク共重合体高分子鎖におけるミクロ相分離により、2つ
以上のガラス転移温度が発現されている場合には、通常
の異種成分のブレンド系に比べて形成されるミクロドメ
イン構造等を、サブミクロン以下の大きさにまで小さく
出来るので、透明性に優れたフィルムを作製することが
出来る。すなわち、このようなミクロ相分離を生ずるよ
うなブロック共重合体に対して、超短パルスレーザーの
照射による加工を行うと、サブミクロン以下という極め
て小さなミクロドメイン構造又は誘起構造を形成するこ
とができる。このような形態を有しているプラスチック
構造体は、照射により部分的に形成されたミクロドメイ
ン構造が極めて小さいので、光学材料等に応用すること
が可能である。従って、併用ポリマーとしては、ブロッ
ク共重合体高分子鎖のミクロ相分離により、2つ以上の
ガラス転移温度を発現することができるポリマーを好適
に用いることができる。
材料に超短パルスレーザーの照射を行うと、レーザーの
照射部において、併用ポリマーにより、一旦ミクロドメ
イン熱溶融が起こり、照射の終了や照射部の移動によ
り、再度相分離構造が形成されて、すなわち、構造が変
化して屈折率が変調された屈折率変調部と、構造が変化
しておらず屈折率が変調されていない屈折率未変調部と
による相分離構造が形成されることになる。この相分離
構造の再生時に架橋(硬化)反応などが並列的に起こる
と、相分離が一層促進され、出来上がった相分離構造
は、元の相分離構造よりもドメイン構造などの寸法や形
態が大きくなる場合がある。また、相分離形態のプラス
チック構造体(前述のようにして形成されたドメインな
どの相分離構造物)が、特定の成分を選択的に含んだ
り、架橋(硬化)や光異性化などを起こしたりすること
により、元の成分とは異なるように化学的変化を起こす
ことが可能な場合には、より一層効果的に屈折率が変調
された屈折率変調部を安定的に形成することができる。
起こすことができ、且つ2つ以上のガラス転移温度を有
する併用ポリマーとしては、各種の高分子材料を組み合
わせて用いることができる。このような高分子材料の組
み合わせは数多くあり、むしろ異種成分高分子材料の組
み合わせで相分離を起こさずに相溶して単一のガラス転
移温度を示す組み合わせの方が少ないといえる。従っ
て、本発明では、このような数多くある組み合わせを利
用することができ、極めて実用性が高い。なお、高分子
材料の相溶性やガラス転移温度などの各種特性は、例え
ば、ポリマーハンドブックなどに記載されている。
より相分離を起こすことができるとともに、2つ以上の
ガラス転移温度を発現する高分子材料の組み合わせの中
で、例えば、低温側のガラス転移温度が常温(例えば、
20〜25℃、特に23℃)以下で光学的に透明性を有
するアモルファスな成分としては、例えば、ポリイソプ
レンやポリブタジエンなどのポリジエン類;ポリイソブ
チレンなどのポリアルケン類;ポリアクリル酸ブチル、
ポリアクリル酸エチルなどのポリアクリル酸エステル
類;ポリブトオキシメチレンなどのポリビニルエステル
類;ポリウレタン類;ポリシロキサン類;ポリサルファ
イド類;ポリフォスファゼン類;ポリトリアジン類;ポ
リカーボラン類などが挙げられる。なお、これらのうち
ポリジエン類、ポリアルケン類、ポリアクリル酸エステ
ル類、ポロシロキサン類などは、ガラス転移温度が低い
ことを利用して粘着剤の構成成分として幅広く使用され
ている。
的に透明性の高い材料としては、ポリカーボネート(P
C);ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのメ
タクリレート系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(P
ET)などのポリエステル系樹脂;ポリエーテルスルホ
ン(PES);ポリノルボルネン;エポキシ系樹脂;ポ
リアリール;ポリイミド;ポリアミド;ポリスチレン;
ポリアリーレンエーテル;ポリアリレートなどが挙げら
れる。
合体の高分子鎖のミクロ相分離により、2つ以上のガラ
ス転移温度を有するブロック共重合体は、上記の低温側
にガラス転移温度を発現する成分と、高温側にガラス転
移温度を発現する成分とを適当に組み合わせて、ブロッ
ク共重合体となるように重合(共重合)して、共重合化
すれば良い。重合方法(共重合方法)としては、特に制
限されず、例えば、リビングアニオン重合法、リビング
カチオン重合法、リビングラジカル重合法などの公知の
リビング重合法を採用することができる。
移温度は、2つ以上であれば、2つであってもよく、3
つ以上であってもよい。併用ポリマーとしては、2つの
ガラス転移温度を有するポリマーが好適であり、特に、
2つのガラス転移温度を有するブロック共重合体からな
るポリマーが好ましい。
ど)は特に制限されない。併用ポリマーの分子量(重量
平均分子量など)は、目的とするプラスチック光学素子
に応じて適宜選択することができ、例えば、10,00
0〜500,000程度の範囲から選択することができ
る。
シラン系ポリマーを少なくとも含有していれば、無機化
合物や金属化合物などの他の材料を分散状態で含んだ複
合体や他の材料を層状の状態で含んだ積層体であっても
よい。また、架橋剤を含有していてもよい。
ーザーの照射により、プラスチック材料を加工する方法
において、超短パルスレーザーが照射された照射部やそ
の近辺部は、プラズマ発生など化学的・物理的作用を受
けながら、局部的に高温状態となり、その後、レーザー
の照射の終了や、照射されている部位の移動に伴い、温
度が低下して、通常は常温に戻される。例えば、プラス
チック材料中のポリシラン系ポリマーは、レーザーの照
射により、シロキサン結合やシラノール基(Si−O
H)を生成して、屈折率を大きく低下させて、屈折率が
変調される。また、例えば、併用ポリマーとして2つの
ガラス転移温度を有し且つ低温側のガラス転移温度が常
温付近又は常温以下であるポリマーを含んでいる場合、
レーザーの照射開始後の高温状態から照射終了後の常温
状態にかけて温度が低下する過程において、高温側のガ
ラス転移温度を示す成分から順に固化され、該照射部及
びその近辺部の構造が、照射される前の構造に対して変
化して、屈折率が変調される。この併用ポリマーによる
屈折率の変調度合いは、ポリシラン系ポリマーによる屈
折率の変調度合いよりも小さいが、適宜選択された併用
ポリマーを、ポリシラン系ポリマーと併用することによ
り、脆い材料であるポリシラン系ポリマーのハンドリン
グ性を併用ポリマーで補うことができる。すなわち、ポ
リシラン系ポリマーにより変調度合いが大きい屈折率変
調部を形成し、併用ポリマーによりプラスチック材料の
ハンドリング性や機械的特性(例えば、硬さ又は脆さ、
強度、伸度、粘弾性など)を良好に調整することができ
る。例えば、ポリシラン系ポリマーのみからなるプラス
チック材料では、フィルム状に加工することが困難な場
合であっても、ポリシラン系ポリマー及び併用ポリマー
を含有するプラスチック材料を用いることにより、プラ
スチック材料のハンドリング性を高めることができ、フ
ィルム状に容易に加工することができるようになり、し
かも、屈折率の変調度合いが大きい屈折率変調部を超短
パルスレーザーの照射により形成することができる。
ーを含有するプラスチック材料(特に、ポリシラン系ポ
リマー及び併用ポリマーを含有するプラスチック材料)
に超短パルスレーザーを照射することにより、精密に制
御され且つ屈折率の変調度合いが大きい屈折率変調部を
有しているプラスチック光学素子を容易に優れた作業性
で、得ることができる。前記屈折率変調部は、屈折率が
変調されていない屈折率未変調部の屈折率に対して、
0.0005以上異なる(すなわち、前記各部の屈折率
の差が0.0005以上である)屈折率を有していれ
ば、光導波路などの光学的な機能材料(すなわち、プラ
スチック光学素子)として、使用出来る可能性がある。
従って、屈折率変調部と、屈折率未変調部の屈折率との
差としては、0.0005以上(好ましくは0.000
8以上、さらに好ましくは0.001以上)であること
が望ましい。また、前記屈折率差は、0.005以上
(特に0.01以上)であると、光学的な機能材料とし
てより一層有効に使用できる。
ーは、そのパルス幅が10-12秒以下である。超短パル
スレーザーとしては、パルス幅が10-12秒以下であれ
ば特に制限されず、パルス幅が10-15秒のオーダーの
パルスレーザーを好適に用いることができる。パルス幅
が10-15秒のオーダーであるパルスレーザーには、パ
ルス幅が1×10-15秒〜1×10-12秒であるパルスレ
ーザーが含まれる。より具体的には、超短パルスレーザ
ーとしては、パルス幅が10×10-15秒〜500×1
0-15秒(好ましくは50×10-15秒〜300×10
-15秒)程度であるパルスレーザーが好適である。
スレーザーは、例えば、チタン・サファイア結晶を媒質
とするレーザーや色素レーザーを再生・増幅して得るこ
とができる。
しては、例えば、可視光の波長領域(例えば、400〜
800nm)であることが好ましい。また、超短パルス
レーザーにおいて、その繰り返しとしては、例えば、1
Hz〜80MHzの範囲から選択することができ、通
常、10Hz〜500kHz程度である。
照射エネルギーとしては、特に制限されず、目的とする
変化部の大きさや変化の種類又は該変化の程度等に応じ
て適宜選択することができ、例えば、500mW以下
(例えば、1〜500mW)、好ましくは5〜300m
W、さらに好ましくは10〜100mW程度の範囲から
選択することができる。このように、本発明では、超短
パルスレーザーの照射エネルギーは低くてもよい。
径としては、特に制限されず、目的とする変化部の大き
さやその変化の種類又は該変化の程度、レンズの大きさ
や開口数又は倍率などに応じて適宜選択することがで
き、例えば、0.1〜10μm程度の範囲から選択する
ことができる。
チック光学素子は、前記プラスチック材料に、パルス幅
が10 -12秒以下の超短パルスレーザーを外部から照射
することにより、プラスチック材料の表面又は内部に屈
折率が変調(変化)した屈折率変調部を形成して作製さ
れる。図1は本発明のプラスチック光学素子の一例を示
す概略鳥瞰図である。図1において、1はプラスチック
光学素子(以下、単に「光学素子」と称する場合があ
る)、2は屈折率変調部、3は屈折率未変調部である。
光学素子1は屈折率変調部2と、屈折率未変調部3とを
有している。屈折率変調部2は、屈折率(n)を有する
プラスチック材料の内部における特定の部位に、パルス
幅が10-12秒以下の超短パルスレーザーの焦点を合わ
せて照射することにより、屈折率が変調した部位であ
る。従って、屈折率変調部2は、超短パルスレーザーが
照射された(レーザーの焦点が合わせられた)レーザー
照射部であり、超短パルスレーザー照射前のプラスチッ
ク材料の屈折率(n)と異なる屈折率(n´)を有して
いる。一方、屈折率未変調部3は、超短パルスレーザー
が照射されていない(レーザーの焦点が合わせられてい
ない)レーザー未照射部であり、超短パルスレーザー照
射前のプラスチック材料の屈折率(n)と同じ屈折率
(n)を有している。
2は、説明を容易にするために、両者とも直方体として
表現しているが、それぞれ、如何なる形状のものであっ
てもよく、またその大きさも特に制限されない。
て、屈折率変調部の数は、特に制限されず、図1で示さ
れているように単数であってもよく、複数であってもよ
い。複数の屈折率変調部が設けられている場合、複数の
屈折率変調部の三次元的な配置は特に制限されない。複
数形成されている屈折率変調部の位置関係は、例えば、
互いに平行な位置関係であってもよく、隣接する屈折率
変調部の間隔が一方の側から他方の側にかけて変化して
いる位置関係であってもよく、また、各屈折率変調部が
交差する位置関係であってもよい。さらにまた、複数形
成された屈折率変調部が格子群を形成しているととも
に、該複数の屈折率変調部を有する格子群を複数有し、
且つ前記複数の格子群がそれぞれ層状に形成されている
位置関係であってもよい。
明の光学素子1は、例えば、図2で示されるように、屈
折率(n)を有するプラスチック材料11の内部におけ
る特定の部位に、パルス幅が10-12秒以下の超短パル
スレーザー4の焦点を合わせてプラスチック材料11の
外部から照射することにより、屈折率が変調された屈折
率変調部2を形成させて作製することができる。図2は
本発明のプラスチック光学素子を作製する一例を示す概
略図である。図2において、1、2、3は、それぞれ、
図1と同様である。また11はプラスチック材料、1a
はプラスチック材料11の上面、4はパルス幅が10
-12秒以下である超短パルスレーザー(単に「レーザ
ー」と称する場合がある)、Lはレーザー4の照射方向
であり、5はレンズである。
けて、照射方向Lの向きで、すなわちZ軸と平行な方向
で、照射している。なお、レーザー4はレンズ5を用い
ることにより焦点を絞って合わせることができる。従っ
て、レーザーの焦点を絞って合わせる必要が無い場合等
では、レンズを用いる必要はない。
あり、その上面1aは、X−Y平面に対して平行、又は
Z軸に対して垂直となっている。なお、プラスチック材
料11の形状としては、直方体を用いているが、如何な
る形状のものであってもよく、またその大きさも特に制
限されない。
焦点を合わせた最初の位置又はその中心位置(「照射開
始位置」と称する場合がある)、6bはレーザー4の照
射を終えたときの焦点を合わせた最終の位置又はその中
心位置(「照射終了位置」と称する場合がある)であ
り、6cはレーザー4の照射の焦点又はその中心位置
(単に「焦点位置」と称する場合がある)が照射開始位
置6aから照射終了位置6bに移動する移動方向であ
る。6はレーザー4の照射の焦点位置又は焦点の中心位
置が移動した軌跡(「焦点位置軌跡」と称する場合があ
る)である。すなわち、図2では、レーザー4の焦点位
置を、照射開始位置6aから照射終了位置6bにかけ
て、焦点位置の移動方向6cの方向で、連続的に直線的
に移動させており、該移動した焦点位置の軌跡が焦点位
置軌跡6である。該焦点位置軌跡6において、焦点位置
が移動した方向6cは、レーザー4の照射方向Lと垂直
な方向(図2では、X軸と平行な方向)である。
ザー4が照射方向Lの方向で照射されて、レーザー4の
焦点位置を、プラスチック材料11の上面1aから一定
の深さに保持して、レーザー4の照射方向Lとは垂直な
方向である移動方向61cの方向に、照射開始位置61
aから照射終了位置61bに移動させている。この際、
前記レーザー4の焦点位置軌跡6上の各焦点位置及びそ
の周辺部(近辺部)において、プラスチック材料11の
屈折率に変調が生じる。また、レーザー4の照射に際し
て、その焦点の位置を連続的に移動させているので、プ
ラスチック材料11の屈折率が変調している部位も焦点
位置の移動に応じて連続的に移動して、移動方向に延び
て変調した部位(「変化部位」と称する場合がある)か
らなる屈折率変調部2が形成されている。すなわち、図
2に示すように、レーザー4の照射方向Lに対して垂直
な方向(X軸と平行な方向)に沿って形成された屈折率
変調部2が形成されている。従って、屈折率変調部2の
長手方向は、移動方向61cの方向である。
照射による影響を受けておらず、屈折率が変調していな
い部位(元の状態又は形態を保持している部位)であ
る。
点の位置を移動させることにより、焦点位置の移動方向
に連続的に屈折率が変調して形成された屈折率変調部2
を形成することができる。この際、レーザー4の移動方
向は、特に制限されず、如何なる方向であってもよい。
例えば、レーザー4の照射方向Lに対して、垂直な方
向、平行な方向(レーザー4の照射方向と同一の方向又
は反対の方向)、斜めの方向などが挙げられる。レーザ
ー4の焦点位置は、何れかの方向のみに直線的に移動さ
せることもでき、種々の方向に曲線的に移動させること
もできる。また、レーザー4の焦点位置は、連続的又は
間欠的に移動させることもできる。
(移動速度)は、特に制限されず、プラスチック材料1
1の材質やレーザー4の照射エネルギーの大きさ等に応
じて適宜選択することができる。なお、前記移動速度を
コントロールすることにより、屈折率変調部の大きさ等
をコントロールすることも可能である。
レーザーの焦点位置又は照射位置を起点にし、照射方向
側に屈折率が変調した屈折率変調部位が連続して、焦点
位置の移動方向(長手方向)に向かって形成されている
ような状態又は形態として作製することができる。例え
ば、焦点位置を照射方向に垂直な方向に移動させた場
合、長手方向に対する垂直断面形状が、焦点位置を起点
として(すなわち、上端として)、照射方向に延びた又
は拡がるような略楕円形状又は略長方形状となり、該長
手方向に対する垂直断面形状が焦点の移動方向(長手方
向)に連続して形成されたような屈折率変調部を形成す
ることができる。
移動方向を適宜選択することにより、屈折率変調部にお
いて、長手方向に対する垂直断面形状や照射方向に対す
る平行断面形状などの断面形状を様々なものに調整する
ことができる。
て、屈折率の変調の程度は、均一であってもよく、不均
一であってもよい。従って、屈折率変調部は、変調した
程度が均一的であるように屈折率が変調しているような
構成であってもよく、また、屈折率未変調部側の端部か
ら内部又は焦点位置若しくはその中心に向かって、変調
した程度が徐々に連続的に増加するように屈折率が変調
しているような構成であってもよい。従って、屈折率変
調部と、屈折率未変調部との界面(又は境界)は、明瞭
又は不明瞭となっていてもよい。
状、屈折率の変調の程度は、レーザーの照射時間、レー
ザーの焦点位置の移動方向やその速度、プラスチック構
造体の材質の種類、レーザーのパルス幅の大きさや照射
エネルギーの大きさ、レーザーの焦点を調整するための
レンズの開口数等により適宜調整することができる。
断面)の大きさが、直径又は1辺の長さが1mm以下
(好ましくは500μm以下)の極めて小さなものであ
っても、精密に屈折率変調部を制御して作製することが
できる。
のままプラスチック部材として用いてもよく、他の部材
と組み合わせて用いてもよい。屈折率変調部を有するプ
ラスチック光学素子は、延伸や収縮などの加工処理を行
い、さらに必要に応じて後処理を行うこともできる。す
なわち、屈折率変調部を有するプラスチック光学素子に
は、任意の加工や処理を施すことが可能である。
は、超短パルスレーザーの照射による誘起構造形成など
の加工に対して、優れた加工性を有している。そのた
め、本発明のプラスチック光学素子を容易に作製するこ
とができる。該プラスチック光学素子は、例えば、拡散
板や散乱素子などの光機能部材;精密な空間や流路など
の形成用スペーサー機能を利用したマイクロマシーンや
センサー;電気的探針;バイオ機器;マイクロリアクタ
ーチップ;埋め込み型人工臓器などの高機能なレーザー
加工品の他、回折格子(透過型回折格子など)、光導波
路などとして好適に利用することができる。
が10-12秒以下の超短パルスレーザーの照射により、
屈折率が大きく変調した屈折率変調部をプラスチック材
料の内部に形成することができる。また、クラック等の
劣化を起こさずに、屈折率変調部を精密に制御して形成
することができる。特に、ポリシラン系ポリマーととも
に他のポリマーを併用することにより、プラスチック材
料のハンドリング性や機械的特性を向上させることがで
き、優れた作業性でプラスチック光学素子を作製するこ
とができる。従って、本発明のプラスチック材料は、屈
折率の変調度合いが大きい屈折率変調部を有するプラス
チック光学素子を作製するためのレーザー加工に適して
いる。
説明するが、本発明はこれらの実施例により限定される
ものではない。 (実施例1)重合用容器に、モノマー成分としてアクリ
ル酸ブチル(BA)と、アクリル酸エチル(EA)とを
等モル比の割合で入れ、重合開始剤として2−ブロモイ
ソ酪酸エチル(前記モノマー成分全量に対して0.00
12モル%)、重合触媒として臭化銅(前記モノマー成
分全量に対して0.0012モル%)、助触媒として
2、2´−ビピリジン系誘導体(前記モノマー成分全量
に対して0.0036モル%)を用いた公知のリビング
ラジカル重合法により、先ず、重量平均分子量約25,
000のアクリル酸ブチル・アクリル酸エチルランダム
共重合体[ポリ(BA・EA)ランダム共重合体]を作
製した。引き続いて、前記ポリ(BA・EA)ランダム
共重合体を含む反応混合物に、ブロック共重合体を作製
するための共重合性モノマー成分としてメチルメタアク
リレート(MMA)を追加して、さらにリビングラジカ
ル重合を行うことにより、ポリ(BA・EA)ランダム
共重合体に、ブロック的に、重量平均分子量が約58,
000のポリメチルメタクリレート(PMMA)を結合
させた、PMMA・(ポリ(BA・EA)ランダム共重
合体)ブロック共重合体[ポリ(MMA/BA・EA)
ブロック共重合体]を得た。該ポリ(MMA/BA・E
A)ブロック共重合体(「ブロック共重合体A」と称す
る場合がある)において、ブロック共重合体全体の重量
平均分子量は約83,000であり、PMMAの比率は
70重量%(重量平均分子量比)である。このブロック
共重合体Aをフィルターやイオン交換樹脂を用いて精製
した後、紫外線(UV)により架橋させることができ且
つ約250nm及び約360nmに最大吸収波長(λm
ax)を有するトリアジン系架橋剤を、ブロック共重合
体(ブロック共重合体A)100重量部に対して1重量
部添加し、さらにテトラヒドロフラン(THF)を加え
て、濃度が約30重量%の溶液(溶液A)を調製した。
(メチルフェニルシラン)を、THFに溶解させて、濃
度が約20重量%の溶液(溶液B)を調製した。
固形分との固形分比が50:50となる割合で、前記溶
液Aと前記溶液Bとを混合して攪拌し、さらに、キャス
ティング法により、膜厚:約40μmのフィルム状サン
プルと、膜厚:約0.8mmのフィルム状サンプル
(「照射サンプルA」と称する場合がある)とを作製し
た。
ルを用いて、(株)村上色彩技術研究所のMICC製反
射・透過計HR−100を用いて、400nmから80
0nmの全光線透過率を測定したところ、該フィルム状
サンプルの波長:400nm〜800nmにおける全光
線透過率は91.2%であった。
0μmである内部の位置を焦点にして、チタン・サファ
イア・フェムト秒パルスレーザー装置及び対物レンズ
(倍率:20倍)を使用して、超短パルスレーザー(照
射波長:800nm、パルス幅:150×10-15秒、
繰り返し:200kHz)を、照射エネルギー(平均出
力):20mW、照射スポット径:約3μmの条件で、
照射サンプルAを照射方向に垂直な方向に移動速度:約
500μm/秒で移動させながら、照射サンプルAの上
面側から照射したところ、照射サンプルAの内部に、超
短パルスレーザーの照射を開始した焦点位置(照射開始
位置)から、照射を止めた焦点位置(照射終了位置)に
かけて、元のサンプルAとは異なる構造を有する構造変
化部が形成された。該構造変化部において、焦点位置の
移動方向に対して垂直な面で切断した断面の形状は、略
長方形状(長方形に近似した形状)であり、該略長方形
状は、短軸が約7μm、長軸が約240μmであった。
また、該略長方形状の構造変化部は、照射点又は焦点を
起点に深さ方向(照射方向)に進行したものであった。
ない元のままの状態である構造未変化部との屈折率差を
求めたところ、2.8×10-3であった。従って、超短
パルスレーザーの照射により形成された構造変化部は、
屈折率が変調された屈折率変調部である。
000のポリメチルメタクリレート(PMMA)をTH
Fに溶解させて、濃度が約20重量%の溶液(溶液C)
を調製した。また、ポリシラン系ポリマーを含む溶液と
して、実施例1で調製された溶液Bを用いた。前記溶液
C中の固形分と、前記溶液B中の固形分との固形分比が
80:20となる割合で、前記溶液Cと前記溶液Bとを
混合して攪拌し、さらに、キャスティング法により、膜
厚:約50μmのフィルム状サンプルと、膜厚:約1m
mのフィルム状サンプルとを作製した。この実施例2に
係る膜厚:約50μmのフィルム状サンプルを、実施例
1と同様の測定条件で全光線透過率を測定したところ、
93.2%であった。
ルム状サンプル(「照射サンプルB」と称する場合があ
る)に対して、実施例1と同じパルスレーザー装置を使
用して、同様の照射条件で照射したところ、照射サンプ
ルBの内部に、超短パルスレーザーの照射を開始した焦
点位置(照射開始位置)から、照射を止めた焦点位置
(照射終了位置)にかけて、元のサンプルBとは異なる
構造を有する構造変化部が形成された。該構造変化部に
おいて、焦点位置の移動方向に対して垂直な面で切断し
た断面の形状は、略楕円形状(楕円形に近似した形状)
であり、該略楕円形状は、短軸が約10μm、長軸が約
25μmであった。また、該略楕円形状の構造変化部
は、照射点又は焦点を起点に深さ方向(照射方向)に進
行したものであった。
ない元のままの状態である構造未変化部との屈折率差を
求めたところ、2.2×10-3であった。従って、超短
パルスレーザーの照射により形成された構造変化部は、
屈折率が変調された屈折率変調部である。
000のポリカーボネート(PC)をTHFに溶解させ
て、濃度が約20重量%の溶液(溶液D)を調製した。
また、ポリシラン系ポリマーを含む溶液として、実施例
1で調製された溶液Bを用いた。前記溶液D中の固形分
と、前記溶液B中の固形分との固形分比が20:80と
なる割合で、前記溶液Dと前記溶液Bとを混合して攪拌
し、さらに、キャスティング法により、膜厚:約60μ
mのフィルム状サンプルと、膜厚:約1mmのフィルム
状サンプルとを作製した。この実施例3に係る膜厚:約
60μmのフィルム状サンプルを、実施例1と同様の測
定条件で全光線透過率を測定したところ、90.2%で
あった。
ルム状サンプル(「照射サンプルC」と称する場合があ
る)に対して、実施例1と同じパルスレーザー装置を使
用して、同様の照射条件で照射したところ、照射サンプ
ルCの内部に、超短パルスレーザーの照射を開始した焦
点位置(照射開始位置)から、照射を止めた焦点位置
(照射終了位置)にかけて、元のサンプルCとは異なる
構造を有する構造変化部が形成された。該構造変化部に
おいて、焦点位置の移動方向に対して垂直な面で切断し
た断面の形状は、略楕円形状(楕円形に近似した形状)
であり、該略楕円形状は、短軸が約10μm、長軸が約
400μmであった。また、該略楕円形状の構造変化部
は、照射点又は焦点を起点に深さ方向(照射方向)に進
行したものであった。
ない元のままの状態である構造未変化部との屈折率差を
求めたところ、3.5×10-3であった。従って、超短
パルスレーザーの照射により形成された構造変化部は、
屈折率が変調された屈折率変調部である。
(菱化システム社製)、反射型電子顕微鏡(SEM)
(日立製作所社製)を用いて、構造変化部を有するプラ
スチック構造体の表面並びに断面の形態や形状の観察を
行って、構造変化部の形状などを観測した。
ポリマーを含有するプラスチック材料に、超短パルスレ
ーザーを照射することにより、前記プラスチック材料の
内部に元の屈折率とは異なる屈折率を有する、屈折率が
変調された屈折率変調部が形成されたプラスチック光学
素子を容易に得ることができる。特に、該プラスチック
光学素子の屈折率変調部には、クラックなどの劣化が生
じていない。また、屈折率変調部を精密に作製すること
ができる。しかも、屈折率が変調した屈折率変調部と、
屈折率が変調していない屈折率未変調部との屈折率差が
大きい。
略鳥瞰図である。
を示す概略図である。
ーザー 5 レンズ L レーザー4の照射方向 6 レーザー4の焦点位置軌跡 6a レーザー4の照射開始位置 6b レーザー4の照射終了位置 6c レーザー4の焦点位置の移動方向
Claims (5)
- 【請求項1】 パルス幅が10-12秒以下のレーザーを
外部から照射することにより加工するレーザー加工用プ
ラスチック材料であって、ポリシラン系ポリマーを含有
することを特徴とするレーザー加工用プラスチック材
料。 - 【請求項2】 ポリシラン系ポリマーとともに、2つ以
上のガラス転移温度を有するポリマーを含有している請
求項1記載のレーザー加工用プラスチック材料。 - 【請求項3】 ポリシラン系ポリマーが、下記式(1)
で表される構造単位を有している請求項1又は2記載の
レーザー加工用プラスチック材料。 【化1】 (式(1)において、R1、R2は、同一又は異なって、
水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、炭化水素
基、ハロゲン原子、ポリシラン骨格を示す。) - 【請求項4】 前記請求項1〜3の何れかの項に記載の
レーザー加工用プラスチック材料に、パルス幅が10
-12秒以下のレーザーを外部から照射することにより得
られる、屈折率が変調した屈折率変調部を有するプラス
チック光学素子。 - 【請求項5】 プラスチック光学素子において、屈折率
が変調した屈折率変調部の屈折率と、屈折率が変調して
いない屈折率未変調部の屈折率との屈折率差が、0.0
005以上である請求項4記載のプラスチック光学素
子。
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