JP2003155390A - アイオノマー組成物およびこれを用いたゴルフボール - Google Patents

アイオノマー組成物およびこれを用いたゴルフボール

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JP2003155390A
JP2003155390A JP2001353485A JP2001353485A JP2003155390A JP 2003155390 A JP2003155390 A JP 2003155390A JP 2001353485 A JP2001353485 A JP 2001353485A JP 2001353485 A JP2001353485 A JP 2001353485A JP 2003155390 A JP2003155390 A JP 2003155390A
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acid
ionomer
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ethylene
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Kazuyuki Nakada
田 一 之 中
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Dow Mitsui Polychemicals Co Ltd
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Du Pont Mitsui Polychemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 本発明に係るアイオノマー組成物は、不
飽和カルボン酸から誘導される構成単位を5〜35質量
%の量で含有するエチレン・不飽和カルボン酸共重合体
のアイオノマー(A)と、分子量350以下のポリカル
ボン酸(B)とを含むアイオノマー組成物であって、成
分(A)100質量部に対して、成分(B)が9質量部
以下の量で配合されていることを特徴としている。 【効果】 本発明によれば、反発弾性、剛性、硬度、引
張り強度などの機械的特性に優れるとともに、流動性が
向上した加工性に優れたアイオノマー組成物を提供する
ことができる。また、このようなアイオノマー組成物を
用いることで、成形加工が容易で、剛性、反発性に優れ
たゴルフボールを提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、機械的特性が保持される
とともに、流動性が改善され、成形時の発煙が防止され
たアイオノマー組成物、およびこれを用いたゴルフボー
ルに関する。
【0002】
【発明の技術的背景】アイオノマーは、ベースポリマー
であるエチレンと不飽和カルボン酸との共重合体の酸基
(カルボキシル基)を金属イオンで中和した金属塩であ
り、その優れた強靭性と耐久性から、ゴルフボールなど
のほか、さまざまな用途に広く用いられている。
【0003】このようなアイオノマーのうち、ベースポ
リマーにおける不飽和カルボン酸から誘導される構成単
位の含有量(以下、酸含量ともいう。)が高く、金属イ
オンによる中和度も高いものは、剛性などの機械的特性
に優れるが、溶融粘度が高く、流動性が低いため、成形
加工が困難であるという問題があった。ところで、アイ
オノマーに脂肪酸を配合する技術は既に知られている。
たとえば、米国特許第5312857号明細書、米国特
許第5306760号明細書、WO98/46671号
公報には、アイオノマーに多量の金属せっけんを添加し
て、反発性の増大化を図ろうとする技術が記載されてい
る。
【0004】また、特開2001−120686号公報
には、アイオノマーまたはそのベースポリマーに、脂肪
酸またはその誘導体と、塩基性無機金属化合物を配合
し、脂肪酸に由来する成形時のガス発生を低減して、成
形性を改善しようとする技術が開示されている。しかし
ながら、このような脂肪酸を配合する技術では、アイオ
ノマーが本来有する優れた機械的特性を保持しつつ、流
動性に代表される加工性を充分に向上するには至ってお
らず、特に高酸含量で高中和度のアイオノマーの成形加
工は依然として困難であった。
【0005】本発明者らは、上記の問題点を解決すべく
鋭意検討した結果、アイオノマーに特定のポリカルボン
酸を特定量配合することで、反発弾性、剛性、硬度、引
張り強度などの機械的特性が優れるとともに、流動性が
向上したアイオノマー組成物が得られることを見出して
本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の目的】本発明は、反発弾性、剛性、硬度、引張
り強度などの機械的特性が優れており、さらに流動性が
向上し、加工性に優れたアイオノマー組成物を提供する
ことを目的としている。また、本発明は、このようなア
イオノマー組成物を用いたゴルフボールを提供すること
を目的としている。
【0007】
【発明の概要】本発明に係るアイオノマー組成物は、不
飽和カルボン酸から誘導される構成単位を5〜35質量
%の量で含有するエチレン・不飽和カルボン酸共重合体
のアイオノマー(A)と、分子量350以下のポリカル
ボン酸(B)とを含むアイオノマー組成物であって、成
分(A)100質量部に対して、成分(B)が9質量部
以下の量で配合されていることを特徴としている。
【0008】本発明では、前記ポリカルボン酸(B)
は、脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。本発明
では、前記ポリカルボン酸(B)は、脂肪族ジカルボン
酸であって、かつ、該脂肪族ジカルボン酸を構成するメ
チレン基とカルボキシル基とのモル比(メチレン基/カ
ルボキシル基)が6以下であることが好ましい。
【0009】本発明では、前記ポリカルボン酸(B)の
沸点(標準沸点)が300℃以上であることが好まし
い。本発明では、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重
合体のアイオノマー(A)のメルトフローレート(JIS
K 6760、190℃、2160g荷重)が、0.001〜
50.0g/10分であることが望ましい。
【0010】本発明では、前記エチレン・不飽和カルボ
ン酸共重合体のアイオノマー(A)の中和金属塩の量が
1モル%以上であることが好ましい。本発明に係るアイ
オノマー組成物は、メルトフローレート(JIS K 6760、
190℃、2160g荷重)が、0.1g/10分以上
であることが好ましい。本発明に係るゴルフボールは、
前記のアイオノマー組成物を表皮材、中間層、コア材の
いずれかまたはすべてとして有することを特徴としてい
る。
【0011】
【発明の具体的説明】以下、本発明について具体的に説
明する。 <エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー
(A)>まず、本発明で用いられるエチレン・不飽和カ
ルボン酸共重合体のアイオノマー(A)について説明す
る。
【0012】前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体
のアイオノマー(A)は、ベースポリマーであるエチレ
ン・不飽和カルボン酸共重合体の酸基(カルボキシル
基)を金属イオンで部分的または完全に中和した金属塩
である。前記ベースポリマーとしては、不飽和カルボン
酸から誘導される構成単位を5〜35質量%の量で含有
するエチレン・不飽和カルボン酸共重合体が好ましく挙
げられる。ここで、前記エチレン・不飽和カルボン酸共
重合体は、エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体で
あって、任意に他の単量体が共重合されていてもよい。
【0013】具体的には、前記エチレン・不飽和カルボ
ン酸共重合体は、エチレンから誘導される構成単位を、
好ましくは65〜95質量%、さらに好ましくは65〜
85質量%の量で含有していることが望ましく、不飽和
カルボン酸から誘導される構成単位を、好ましくは5〜
35質量%、さらに好ましくは15〜35質量%の量で
含有していること(以下、不飽和カルボン酸単位含有量
ともいう)が望ましく、他の単量体から誘導される構成
単位を0〜30質量%、好ましくは0〜25質量%の量
で含有していることが望ましい。
【0014】エチレンと共重合させる不飽和カルボン酸
としては、具体的には、たとえば、アクリル酸、メタク
リル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マ
レイン酸などの炭素原子数3〜8のα,β- 不飽和カル
ボン酸を挙げることができる。これらの中では、アクリ
ル酸、メタクリル酸が好ましい。また、任意に共重合さ
れていてもよい他の単量体としては、たとえば、アクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチ
ル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソオクチル、メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン
酸ジエチルなどの不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル、一酸化
炭素などを挙げることができる。
【0015】このようなエチレン・不飽和カルボン酸共
重合体としては、具体的には、たとえば、エチレン・ア
クリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、
エチレン・エタクリル酸共重合体、エチレン・マレイン
酸共重合体、エチレン・フマル酸共重合体、エチレン・
無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。これらのう
ちでは、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メ
タクリル酸共重合体が好ましい。
【0016】前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体
は、高圧法ポリエチレンと同様、各成分を高温、高圧下
においてラジカル共重合することによって得ることがで
きる。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノ
マー(A)は、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合
体のカルボキシル基を金属イオンによって、部分的また
は完全に中和した金属塩である。
【0017】前記金属イオンとしては、1〜3価の原子
価を有する金属イオン、特に元素周期律表におけるI、
II、III、IV AおよびVII族の1〜3価の原子価を有す
る金属イオンが好ましく、具体的には、たとえば、Na
+、K+、Li+、Cs+、Ag +、Hg+、Cu+、B
++、Mg++、Ca++、Sr++、Ba++、Cu++、Cd
++、Hg++、Sn++、Pb++、Fe++、Co++、N
++、Zn++、Al+++、Sc+ ++、Fe+++、Y+++など
が挙げられる。これらの金属イオンは2種以上の混合成
分であっても差し支えないし、またアンモニウムイオン
との混合成分であっても差し支えない。これらの金属イ
オンの中では、特にZn++、Na+が好ましい。
【0018】また、前記エチレン・不飽和カルボン酸共
重合体のアイオノマー(A)の中和金属塩の量は、好ま
しくは1モル%以上、より好ましくは3モル%以上であ
ることが望ましい。ここで、中和金属塩の量とは、下式
で表されるように、アイオノマー(A)のベースポリマ
ーであるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を構成す
るエチレンおよび不飽和カルボン酸から誘導される構成
単位の総モル数に対する、金属イオンでカルボキシル基
が中和された不飽和カルボン酸から誘導される構成単位
のモル数の割合(モル%)を意味する。
【0019】中和金属塩の量(モル%)=[X1/(X1
+X2+Y)]×100 X1:中和された不飽和カルボン酸から誘導される構成
単位のモル数 X2:中和されていない不飽和カルボン酸から誘導され
る構成単位のモル数 Y:エチレンから誘導される構成単位のモル数 アイオノマー成分(A)として、中和金属塩の量が1モ
ル%未満のものを用いると、後述するアイオノマー組成
物とした際に、本発明の効果が得られにくいことがあ
る。
【0020】本発明では、前記中和金属塩の量が上記数
値以上であれば、一般に高中和度と言われるアイオノマ
ーであっても、アイオノマー成分(A)として用いるこ
とができ、機械的特性を低下させることなく、流動性を
向上したアイオノマー組成物を提供することができる。
なお、前記中和金属塩の量の上限は、ベースポリマーの
組成および金属イオン種やその量によって決まり、特に
限定されないが、一般的には10モル%以下であっても
よい。
【0021】前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体
のアイオノマー(A)のメルトフローレート(JIS K 67
60、190℃、2160g荷重)は、好ましくは0.0
01〜50.0g/10分、より好ましくは0.002
〜40.0g/10分、さらに好ましくは0.005〜
30.0g/10分の範囲にあることが望ましい。ま
た、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオ
ノマー(A)として不飽和カルボン酸単位含有量や金属
種の異なる2種以上のものを混合して用いてもよい。
【0022】なお、本発明に用いられるエチレン・不飽
和カルボン酸共重合体のアイオノマー(A)は、前記エ
チレン・不飽和カルボン酸共重合体を中和して製造した
ものに限定されず、エチレン・不飽和カルボン酸エステ
ル共重合体を部分的あるいは完全にけん化して製造した
ものも用いることができる。 <ポリカルボン酸(B)>ポリカルボン酸とは、1分子
中にカルボキシル基を2個以上有するカルボン酸を意味
し、具体的には、たとえば、ジカルボン酸、トリカルボ
ン酸、テトラカルボン酸などを挙げることができる。
【0023】これらのうち、本発明で用いられるポリカ
ルボン酸(B)としては、好ましくは350以下、より
好ましくは270以下、さらに好ましくは250以下の
分子量を有するものが望ましい。分子量が上記数値以下
であるポリカルボン酸を使用すると、アイオノマー組成
物の物性の低下を伴うことなく、その流動性を向上する
ことができる。これに対し、分子量が上記数値を超える
ポリカルボン酸を使用したり、モノカルボン酸を使用し
たりすると、流動性の向上効果が得られないことがあ
る。なお、本発明では、前記ポリカルボン酸の分子量
は、90以上であることが好ましい。
【0024】前記ポリカルボン酸(B)としては、アイ
オノマー成分(A)との相溶性が良い点から、脂肪族ジ
カルボン酸が好ましい。これに対し、たとえば芳香族ジ
カルボン酸を用いた場合には、アイオノマー成分(A)
との相溶性が悪いことがある。前記脂肪族ジカルボン酸
としては、具体的には、たとえば、シュウ酸、マロン
酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、
スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナ
ンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,
11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジ
カルボン酸などの脂肪族飽和ジカルボン酸;マレイン
酸、フマル酸、シスヘキセンジカルボン酸、トランスヘ
キセンジカルボン酸、ヘキシンジカルボン酸、シスオク
テンジカルボン酸、トランスオクテンジカルボン酸、オ
クチンジカルボン酸、シスデセンジカルボン酸、トラン
スデセンジカルボン酸、デシンジカルボン酸などの脂肪
族不飽和ジカルボン酸;が挙げられる。
【0025】これらの脂肪族ジカルボン酸のうちでは、
脂肪族ジカルボン酸を構成するメチレン基とカルボキシ
ル基とのモル比(メチレン基/カルボキシル基)が好ま
しくは6以下、より好ましくは4以下であるものが望ま
しい。また前記メチレン基/カルボキシル基のモル比
は、1/2以上であることが好ましい。このような脂肪
族ジカルボン酸として、具体的には、たとえば、マロン
酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、
スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナ
ンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,
11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジ
カルボン酸などが好ましく挙げられる。これらのうちで
は、アジピン酸、セバシン酸がより好ましい。これらは
単独で使用してもよいが、組み合わせて使用してもよ
い。
【0026】また、本発明で用いられるポリカルボン酸
(B)としては、300℃以上、より好ましくは320
℃以上の沸点(標準沸点)を有するものが望ましい。こ
こで、沸点とは、101325Paにおいて測定した沸点、す
なわち標準沸点を意味する。前記沸点が上記数値以上で
あると、成形時にポリカルボン酸が気化するという問題
がなく、熱安定性が良く、安定した成形加工が可能であ
る。
【0027】<アイオノマー組成物>本発明に係るアイ
オノマー組成物は、前記エチレン・不飽和カルボン酸共
重合体のアイオノマー(A)と前記ポリカルボン酸
(B)とを、アイオノマー成分(A)100質量部に対
して、ポリカルボン酸(B)を好ましくは9質量部以下
の量で、より好ましくは0.05〜8質量部の量で、さ
らに好ましくは0.1〜6質量部の量で配合することに
よって得ることができる。アイオノマー組成物中に含有
されるポリカルボン酸の量が、上記の数値以下もしくは
上記範囲内であると、アイオノマー組成物の物性、特に
反発弾性率の低下を伴うことなく、その流動性を向上す
ることができる。
【0028】具体的には、前記アイオノマー(A)に前
記ポリカルボン酸(B)を特定量配合することで、アイ
オノマー(A)よりもメルトフローレートの大きなアイ
オノマー組成物を得ることができる。前記アイオノマー
組成物のメルトフローレート(JIS K 6760、190℃、
2160g荷重)は、好ましくは0.1g/10分以
上、より好ましくは0.15g/10分以上であること
が望ましい。なお、該メルトフローレートの上限値は特
に限定されないが、一般には100g/10分以下であ
ってもよく、好ましくは50g/10分以下である。
【0029】本発明に係るアイオノマー組成物は、具体
的には、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオ
ノマー(A)とポリカルボン酸(B)とを、前記アイオ
ノマー(A)の融点以上、たとえば100〜350℃、
好ましくは150〜250℃の温度で、押出機、ロール
などを用いて、溶融混練することによって、得ることが
できる。
【0030】この場合、アイオノマー(A)とポリカル
ボン酸(B)とを直接配合する方法が一般的であるが、
アイオノマー(A)の原料であるエチレン・不飽和カル
ボン酸共重合体と、金属イオンを構成する金属化合物
と、ポリカルボン酸(B)とを同時に配合し、アイオノ
マーを製造しつつ、ポリカルボン酸を配合する方法を採
用することもできる。この場合、前記金属化合物とポリ
カルボン酸を予め配合しておいてもよい。このような金
属化合物として、たとえば、ギ酸塩、酢酸塩、硝酸塩、
炭酸塩、炭酸水素酸塩、酸化物、水酸化物、アルコキシ
ドなどを用いることができる。
【0031】なお、本発明のアイオノマー組成物は、本
発明の目的を損なわない範囲内で、酸化防止剤、安定
剤、滑剤、粘着剤、増粘剤、着色剤などを添加してもよ
く、また、他の熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂と混
合して使用することもできる。<ゴルフボール>本発明
に係るゴルフボールは、上述したアイオノマー組成物を
ゴルフボールの表皮材、中間層、コア材のいずれかまた
はすべてとして有するものである。
【0032】本発明に係るゴルフボールは、糸巻きボー
ルであってもソリッドボールであってもよく、ソリッド
ボールとしては、ワンピースボール、ツーピースボール
の他、3ピース、4ピースなどのマルチピースボールな
どであってもよい。本発明に係るゴルフボールを製造す
る方法は、特に限定されず、常法に従い、射出成形や加
圧成形などの方法を適宜採用することができる。その
際、本発明に係るアイオノマー組成物は、流動性が高
く、成形時に発煙が生じないため、ゴルフボールの表皮
材、中間層、コア材のいずれかまたはすべてへの成形加
工が容易である。
【0033】また本発明に係るアイオノマー組成物は、
アイオノマー本来の物性を保持しているため、反発弾性
や剛性、耐磨耗性などの機械的特性に優れており、この
ようなアイオノマー組成物を表皮材、中間層、コア材の
いずれかまたはすべてとして有するゴルフボールは、剛
性、反発性、耐久性に優れることが期待できる。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、反発弾性、剛性、硬
度、引張り強度などの機械的特性に優れるとともに、流
動性が向上し、加工性に優れたアイオノマー組成物を提
供することができる。該アイオノマー組成物は、優れた
機械的特性と、流動性、熱安定性を兼ね備えているた
め、各種成形法により、フィルム、シートなどに加工さ
れ、合わせガラス中間膜、自動車部品、工具、スポーツ
用品などの各種用途に好適に使用することができる。こ
のような特性を利用して、成形容易で剛性、反発性に優
れたゴルフボールを提供することができる。
【0035】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。なお、実施例および比較例で用いたアイ
オノマー、脂肪族酸(および芳香族カルボン酸)、得ら
れたアイオノマー組成物の物性測定方法は、以下の通り
である。
【0036】<エチレン・メタクリル酸共重合体のアイ
オノマーA> アイオノマー(A−1) エチレン・メタクリル酸共重合体のZnアイオノマー ベースポリマーのメタクリル酸単位含量:20質量% 中和金属塩の量:6モル% (中和度:80モル%) MFR(JIS K 6760、190℃、2160g) 0.0
1g/10分 アイオノマー(A−2) エチレン・メタクリル酸共重合体のNaアイオノマー ベースポリマーのメタクリル酸単位含量:20質量% 中和金属塩の量:7.5モル% (中和度:100モル
%) MFR(JIS K 6760、190℃、2160g) 0.0
1g/10分 アイオノマー(A−3) エチレン・メタクリル酸共重合体のMgアイオノマー ベースポリマーのメタクリル酸単位含量:15質量% 中和金属塩の量:5.4モル% (中和度:100モル
%) MFR(JIS K 6760、190℃、2160g) 0.0
2g/10分 <脂肪族酸(および芳香族カルボン酸)B> 脂肪族酸(B−1) アジピン酸(脂肪族ジカルボン酸、分子量146、メチ
レン基/カルボキシル基=2、沸点265℃(13.3kPa
にて測定)) 脂肪族酸(B−2) セバシン酸(脂肪族ジカルボン酸、分子量202、メチ
レン基/カルボキシル基=4、沸点295℃(13.3kPa
にて測定)) 脂肪族酸(B−3) ラウリン酸(脂肪族モノカルボン酸、分子量200) 脂肪族酸(B−4) ステアリン酸(脂肪族モノカルボン酸、分子量284) 脂肪族酸(B−5) ベヘン酸(脂肪族モノカルボン酸、分子量340) 芳香族カルボン酸(B−6) テレフタル酸(芳香族ジカルボン酸、分子量166) <得られたアイオノマー組成物の物性測定方法> (1)メルトフローレート(MFR) メルトフローレートは、JIS K6760に従って測
定した。 (2)曲げ剛性率(オルゼン式) 曲げ剛性率(オルゼン式)は、JIS K7106に従
って測定した。 (3)硬度(ショアD) 硬度(ショアD)は、JIS K7215に従って測定
した。 (4)引張破断点強度および引張破断点伸び 引張破断点強度および引張破断点伸びは、JIS K6
760に従い、引張速度200mm/分で引張試験を行
って測定した。 (5)反発弾性率 反発弾性率は、JIS K6301に準拠して測定し
た。 (6)耐磨耗性試験 耐磨耗性試験は、エリクセン式引っ掻き試験により測定
した。 (7)加工性評価 加工性は、220℃で押出し成形を行い、その際に発煙
もなく安定して押出しができるものを○、発煙が発生し
たものを×として評価した。
【0037】
【実施例1】単軸押出機(スクリュー径65mm、L/D
=33)を用い、アイオノマー(A−1)100質量部に
対して、脂肪族酸(B−1)としてマスターバッチ化し
たアジピン酸を、アジピン酸添加量が1質量部となるよ
うに配合した後、溶融温度220℃、スクリュー回転数
30rpmの条件下で溶融混練した。得られたアイオノ
マー組成物を所定形状に加圧成形し、上記の測定方法で
各種物性を測定するとともに、加工性を評価した。結果
を表1に示す。
【0038】
【実施例2】実施例1において、脂肪族酸(B−1)の
量を5質量部に変更した他は実施例1と同様にして行っ
た。得られたアイオノマー組成物の各種物性、加工性の
測定評価を実施例1と同様にして行った。結果を表1に
示す。
【0039】
【実施例3】実施例2において、アイオノマー(A−
1)の代わりにアイオノマー(A−2)を用いた他は実
施例2と同様にして行った。得られたアイオノマー組成
物の各種物性、加工性の測定評価を実施例1と同様にし
て行った。結果を表1に示す。
【0040】
【実施例4】実施例2において、アイオノマー(A−
1)の代わりにアイオノマー(A−3)を用いた他は実
施例2と同様にして行った。得られたアイオノマー組成
物の各種物性、加工性の測定評価を実施例1と同様にし
て行った。結果を表1に示す。
【0041】
【実施例5】実施例2において、脂肪族酸(B−1)の
代わりに脂肪族酸(B−2)としてセバシン酸を用いた
他は、実施例2と同様にして行った。得られたアイオノ
マー組成物の各種物性、加工性の測定評価を実施例1と
同様にして行った。結果を表1に示す。
【0042】
【比較例1】実施例1において、脂肪族酸(B−1)を
配合しなかった他は、実施例1と同様にして行った。結
果を表2に示す。
【0043】
【比較例2】実施例3において、脂肪族酸(B−1)を
配合しなかった他は、実施例3と同様にして行った。結
果を表2に示す。
【0044】
【比較例3】実施例4において、脂肪族酸(B−1)を
配合しなかった他は、実施例4と同様にして行った。結
果を表2に示す。
【0045】
【比較例4】実施例1において、脂肪族酸(B−1)の
量を10質量部に変更した他は実施例1と同様にして行
った。結果を表1に示す。
【0046】
【比較例5】実施例2において、脂肪族酸(B−1)の
代わりに脂肪族酸(B−3)としてラウリン酸を用いた
他は、実施例2と同様にして行った。得られたアイオノ
マー組成物の各種物性、加工性の測定評価を実施例1と
同様にして行った。結果を表2に示す。
【0047】
【比較例6】実施例2において、脂肪族酸(B−1)の
代わりに脂肪族酸(B−4)としてステアリン酸を用い
た他は、実施例2と同様にして行った。得られたアイオ
ノマー組成物の各種物性、加工性の測定評価を実施例1
と同様にして行った。結果を表2に示す。
【0048】
【比較例7】実施例2において、脂肪族酸(B−1)の
代わりに脂肪族酸(B−5)としてベヘン酸を用いた他
は、実施例2と同様にして行った。得られたアイオノマ
ー組成物の各種物性、加工性の測定評価を実施例1と同
様にして行った。結果を表2に示す。
【0049】
【比較例8】実施例2において、脂肪族酸(B−1)の
代わりに芳香族カルボン酸(B−6)としてテレフタル
酸を用いた他は、実施例2と同様にして行ったが、アイ
オノマー(A−1)との相溶性が悪く、配合することが
できなかった。結果を表2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不飽和カルボン酸から誘導される構成単位
    を5〜35質量%の量で含有するエチレン・不飽和カル
    ボン酸共重合体のアイオノマー(A)と、 分子量350以下のポリカルボン酸(B)とを含むアイ
    オノマー組成物であって、 成分(A)100質量部に対して、成分(B)が9質量
    部以下の量で配合されていることを特徴とするアイオノ
    マー組成物。
  2. 【請求項2】前記ポリカルボン酸(B)が、脂肪族ジカ
    ルボン酸であることを特徴とする請求項1に記載のアイ
    オノマー組成物。
  3. 【請求項3】前記ポリカルボン酸(B)が、脂肪族ジカ
    ルボン酸であって、かつ該脂肪族ジカルボン酸を構成す
    るメチレン基とカルボキシル基とのモル比(メチレン基
    /カルボキシル基)が6以下であることを特徴とする請
    求項1に記載のアイオノマー組成物。
  4. 【請求項4】前記ポリカルボン酸(B)の沸点(標準沸
    点)が300℃以上であることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載のアイオノマー組成物。
  5. 【請求項5】前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体
    のアイオノマー(A)のメルトフローレート(JIS K 67
    60、190℃、2160g荷重)が、0.001〜5
    0.0g/10分であることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれかに記載のアイオノマー組成物。
  6. 【請求項6】前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体
    のアイオノマー(A)の中和金属塩の量が1モル%以上
    であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載
    のアイオノマー組成物。
  7. 【請求項7】メルトフローレート(JIS K 6760、190
    ℃、2160g荷重)が、0.1g/10分以上である
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のアイ
    オノマー組成物。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載のアイオノ
    マー組成物を表皮材、中間層、コア材のいずれかまたは
    すべてとして有するゴルフボール。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011043271A1 (ja) * 2009-10-09 2011-04-14 三井・デュポンポリケミカル株式会社 アイオノマー組成物並びに成形体及びその製造方法
JP2017012739A (ja) * 2015-06-30 2017-01-19 ダンロップスポーツ株式会社 ゴルフボール用樹脂組成物およびゴルフボール

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