JP2003146650A - 結晶性アルミノリン酸塩およびその製造方法 - Google Patents

結晶性アルミノリン酸塩およびその製造方法

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JP2003146650A JP2002251600A JP2002251600A JP2003146650A JP 2003146650 A JP2003146650 A JP 2003146650A JP 2002251600 A JP2002251600 A JP 2002251600A JP 2002251600 A JP2002251600 A JP 2002251600A JP 2003146650 A JP2003146650 A JP 2003146650A
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Takanori Aoki
隆典 青木
Toshitaka Ko
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 VPI−5あるいはそれに関連する結晶性ア
ルミノリン酸塩を高純度で収率よく工業的に有利に製造
する方法および結晶性アルミノリン酸塩を提供する。 【解決手段】 一般式NR123(1)(式中、R1
2およびR3はそれぞれ独立に水素、炭素数が1〜4の
直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基または1〜2個の
水酸基を有する炭素数が1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖
状のヒドロキシアルキル基であり、R1、R2およびR3
のうち少なくとも1つは前記ヒドロキシアルキル基を表
す。)で表される少なくとも1種のヒドロキシアルキル
アミン化合物を用いる製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は約1.2nmの細孔
径を有するとされる結晶性アルミノリン酸塩およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明のアルミノリン酸塩は例えばMa
rk E. Davisらによって報告されている(M.
E. Davis et al., Nature, 331, 698, (1988))VPI
−5と同様な構造を有するものであり、特公平5−74
523号公報に記載されている粉末X線回折パターンに
よって特徴づけられる物質である。
【0003】構造の詳細については、例えば、ATLAS OF
ZEOLITE FRAMEWORK TYPES, Ch.Baerlocher, W.M. Me
ier, D. H. Olson (Eds.), Fifth Revised Edition 200
1,ELSEVIERや「ゼオライトの科学と工学」(小野嘉夫・
八嶋建明編 講談社サイエンティフィク、2000年)
の第12頁に記載されているように、アルミニウムもし
くはリンを中心に有する酸素四面体からなる基本単位が
頂点酸素を他の四面体基本単位と共有することによって
3次元的に連結し、酸素18員環細孔をもつ六方晶系の
結晶を形成したものである。この構造はIZA構造コー
ドとしてVFIと定義されている。さらに、いくつかの
報告(例えば、B. Duncan et al., Catal. Lett., 7, 3
67 (1990))によれば、D’Yvoireらが報告して
いる(F. D'voire, Bull. Soc. Chem., Fr., 1762 (196
1))AlPO4水和物 H1も同一の構造を有する物質
と考えられる。
【0004】1988年にMark E. Davis
らによって高純度のVPI−5が合成され、その結晶構
造が解明されて以来、非常に大きな細孔を有するために
かさ高い分子を容易に吸脱着できる可能性があるVPI
−5もしくはそれに関連する構造を有するアルミノリン
酸塩は、触媒や触媒担体、吸着剤等として期待され盛ん
に研究されてきた。例えば、VPI−5自体について
は、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、テトラ
プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアン
モニムヒドロキシド、ジペンチルアミン、トリペンチル
アミン、トリブチルアミン等を構造指示剤(structure-
directing agents)としてプソイドベーマイト等の酸化
アルミ水和物とリン酸を混合して水熱条件下で結晶化さ
せることによってVPI-5と称するアルミノリン酸塩
が得られることが特公平5−74523号公報に記載さ
れている。減圧下、350℃で1晩活性化されたサンプ
ルの液体窒素温度でのN2吸着量は、100Torrで
0.219cm3/g、740Torrで0.249c
3/gとされている。
【0005】また、エチルプロピルアミンを有機テンプ
レートとして用いることによって、短い結晶化時間で高
純度で結晶性のよいVPI−5が得られることが特開平
3−45507号公報に記載されている。同様に、テト
ラキス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキ
シド等の水酸基を有する4級アンモニウム塩化合物を誘
導剤として、安定性の高いアルミノリン酸塩を得ること
が特開平3−503881号公報に記載されている。し
かし、これらの熱安定性が改善されたアルミノリン酸塩
のN2吸着量は不明であり、結晶外部から接触可能な細
孔がどの程度存在するのかは不明である。
【0006】収率、特にリンやアルミ基準の収率は工業
化に際して非常に重要なファクターであるにもかかわら
ず、公知の文献の中では記載されていないことが多い。
これは、一般的に工業化されている材料に比較して、従
来の製法では高純度のアルミノリン酸塩の収率が非常に
低いことが原因として推測される。例えば、J. R. Ande
rson et al., Zeolites, 16, 15 (1996)には、高純度の
VPI−5が得られる条件では、リン基準の収率は40
%程度に留まることが記載されており、高い収率が得ら
れる条件では不純物が増加する傾向が顕著に認められ
る。さらに、W.Schmidtらの報告(W. Schmidt
et al., Zeolites, 12, 2 (1992))では、収率はさら
に低く、2%程度に留まっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】「ゼオライトの科学と
工学」(小野嘉夫・八嶋建明編 講談社サイエンティフ
ィク、2000年)の第12頁にも記載されているよう
に、VPI−5あるいはそれに関連する結晶性アルミノ
リン酸塩の応用例は少なく、実質的な規模において存在
しないものと考えられる。VPI−5あるいはそれに関
連する結晶性アルミノリン酸塩が実用化されない最大の
理由は、熱安定性が低く、触媒や吸着剤としての使用に
耐えないことが挙げられる。さらに、高価な有機アミン
や4級アンモニウム塩を原料として用いることや収率が
低いことから、製造コストが高いことも実用化を妨げる
大きな原因となっている。
【0008】本発明はこのような背景の下になされたも
のであって、本発明はVPI−5あるいはそれに関連す
る結晶性アルミノリン酸塩を高純度で収率よく工業的に
有利に製造する方法を提供することを課題とする。ま
た、本発明はマイクロ孔の容積が大きなVPI−5ある
いはそれに関連する結晶性アルミノリン酸塩を提供する
ことを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の課題
を解決すべく鋭意検討した結果、下記一般式(1) NR123 (1) (式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素、炭
素数が1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基ま
たは1〜2個の水酸基を有する炭素数が1〜4の直鎖状
もしくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であり、
1、R2およびR3のうち少なくとも1つは前記ヒドロ
キシアルキル基を表す。)で表される少なくとも1種の
ヒドロキシアルキルアミン化合物を用いることにより、
結晶性が高く、高純度であり、さらには安定性も高い結
晶性アルミノリン酸塩が高収率で得られることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。本発明は以下の〔1〕
〜〔24〕に示される結晶性アルミノリン酸塩およびそ
の製造方法である。
【0010】〔1〕アルミニウム源、リン源、水および
下記一般式(1) NR123 (1) (式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素、炭
素数が1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基ま
たは1〜2個の水酸基を有する炭素数が1〜4の直鎖状
もしくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であり、
1、R2およびR3のうち少なくとも1つは前記ヒドロ
キシアルキル基を表す。)で表される少なくとも1種の
ヒドロキシアルキルアミン化合物を混合して酸化物のモ
ル比基準で次に示す組成 P25/Al23 0.5〜1.5 H2O/Al23 5〜200 NR123/Al23 0.1〜2 を有する混合物を調製し、該混合物を100〜180℃
に保持して結晶を得ることを特徴とする結晶性アルミノ
リン酸塩の製造方法。
【0011】〔2〕前記結晶性アルミノリン酸塩が表1
に示す粉末X線回折パターンを有する上記〔1〕に記載
の製造方法。 表1 粉末X線回折パターン 面間隔 d(Å) ピーク強度 16.4±0.4 vs 8.22±0.2 w〜m 4.09±0.05 w〜m 4.05±0.05 w〜m 3.97±0.05 w〜m 3.93±0.05 w〜m 3.77±0.05 w〜m 3.28±0.03 w〜m (表中、wは弱い、mは中程度、vsは非常に強いこと
を表す。) 〔3〕前記結晶性アルミノリン酸塩が表2に示す粉末X
線回折パターンを有する上記〔1〕に記載の製造方法。 表2 粉末X線回折パターン 面間隔 d(Å) ピーク強度 16.4±0.4 vs 8.22±0.2 w〜m 6.16±0.1 w 4.74±0.06 w 4.09±0.05 w〜m 4.05±0.05 w〜m 3.97±0.05 w〜m 3.93±0.05 w〜m 3.77±0.05 w〜m 3.63±0.04 w 3.28±0.03 w〜m 3.16±0.03 w 3.08±0.03 w 3.03±0.03 w 2.95±0.03 w 2.74±0.03 w (表中、wは弱い、mは中程度、vsは非常に強いこと
を表す。)
【0012】〔4〕前記混合物を100〜180℃に保
持して得られる結晶を熱処理する工程を含む上記〔1〕
〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法。 〔5〕前記熱処理工程の温度が100℃未満である上記
〔4〕に記載の製造方法。 〔6〕前記熱処理工程の後に、前記結晶を15〜90℃
の温度で乾燥する工程を含む上記〔4〕または〔5〕に
記載の製造方法。 〔7〕前記結晶を15〜90℃の温度で乾燥する工程を
含む上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法。 〔8〕アルミノリン酸塩の無水の酸化物基準の組成式が Al23・xP25 x=0.8〜1.2 で表される上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の製造
方法。
〔9〕前記ヒドロキシアルキルアミン化合物が、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノ
ールアミンおよびトリイソプロパノールアミンからなる
群から選ばれる少なくとも1種の化合物である上記
〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の製造方法。 〔10〕前記ヒドロキシアルキルアミン化合物が、ジエ
タノールアミン、ジイソプロパノールアミンからなる群
から選ばれる少なくとも1種の化合物である上記〔1〕
〜〔8〕のいずれかに記載の製造方法。
【0013】〔11〕アルミニウム源、リン源、水およ
び下記一般式(1) NR123 (1) (式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素、炭
素数が1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基ま
たは1〜2個の水酸基を有する炭素数が1〜4の直鎖状
もしくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であり、
1、R2およびR3のうち少なくとも1つは前記ヒドロ
キシアルキル基を表す。)で表される少なくとも1種の
ヒドロキシアルキルアミン化合物を混合して酸化物のモ
ル比基準で次に示す組成 P25/Al23 0.5〜1.5 H2O/Al23 5〜200 NR123/Al23 0.1〜2 を有する混合物を調製し、該混合物を100〜180℃
に保持することにより得られる結晶性アルミノリン酸
塩。 〔12〕前記結晶性アルミノリン酸塩が前記表1に示す
粉末X線回折パターンを有する上記〔11〕に記載の結
晶性アルミノリン酸塩。 〔13〕前記結晶性アルミノリン酸塩が前記表2に示す
粉末X線回折パターンを有する上記〔11〕に記載の結
晶性アルミノリン酸塩。 〔14〕アルミノリン酸塩の無水の酸化物基準の組成式
が Al23・xP25 x=0.8〜1.2 で表される上記〔11〕〜〔13〕のいずれかに記載の
結晶性アルミノリン酸塩。 〔15〕液体窒素温度での相対圧力0.3におけるN2
吸着量が0.15cm3/g以上である上記〔11〕〜
〔14〕のいずれかに記載の結晶性アルミノリン酸塩。 〔16〕液体窒素温度での相対圧力0.3におけるN2
吸着量が0.2cm3/g以上である上記〔11〕〜
〔14〕のいずれかに記載の結晶性アルミノリン酸塩。
【0014】〔17〕アルミニウム源、リン源、水およ
び下記一般式(1) NR123 (1) (式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素、炭
素数が1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基ま
たは1〜2個の水酸基を有する炭素数が1〜4の直鎖状
もしくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であり、
1、R2およびR3のうち少なくとも1つは前記ヒドロ
キシアルキル基を表す。)で表される少なくとも1種の
ヒドロキシアルキルアミン化合物を混合して酸化物のモ
ル比基準で次に示す組成 P25/Al23 0.5〜1.5 H2O/Al23 5〜200 NR123/Al23 0.1〜2 を有する混合物を調製し、該混合物を100〜180℃
に保持することにより得られる結晶が、100℃未満の
温度で熱処理されていることを特徴とする結晶性アルミ
ノリン酸塩。 〔18〕前記結晶性アルミノリン酸塩が前記表1に示す
粉末X線回折パターンを有する上記〔17〕に記載の結
晶性アルミノリン酸塩。 〔19〕前記結晶性アルミノリン酸塩が前記表2に示す
粉末X線回折パターンを有する上記〔17〕に記載の結
晶性アルミノリン酸塩。
【0015】〔20〕アルミニウム源、リン源、水およ
び下記一般式(1) NR123 (1) (式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素、炭
素数が1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基ま
たは1〜2個の水酸基を有する炭素数が1〜4の直鎖状
もしくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であり、
1、R2およびR3のうち少なくとも1つは前記ヒドロ
キシアルキル基を表す。)で表される少なくとも1種の
ヒドロキシアルキルアミン化合物を混合して酸化物のモ
ル比基準で次に示す組成 P25/Al23 0.5〜1.5 H2O/Al23 5〜200 NR123/Al23 0.1〜2 を有する混合物を調製し、該混合物を100〜180℃
に保持することにより得られる結晶が、15〜90℃で
乾燥されたことを特徴とする結晶性アルミノリン酸塩。 〔21〕前記結晶性アルミノリン酸塩が前記表1に示す
粉末X線回折パターンを有する上記〔20〕に記載の結
晶性アルミノリン酸塩。 〔22〕前記結晶性アルミノリン酸塩が前記表2に示す
粉末X線回折パターンを有する上記〔20〕に記載の結
晶性アルミノリン酸塩。 〔23〕アルミノリン酸塩の無水の酸化物基準の組成式
が Al23・xP25 x=0.8〜1.2 で表される上記〔17〕〜〔22〕のいずれかに記載の
結晶性アルミノリン酸塩。 〔24〕液体窒素温度での相対圧力0.3におけるN2
吸着量が0.15cm3/g以上である上記〔17〕〜
〔23〕のいずれかに記載の結晶性アルミノリン酸塩。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。はじめに本発明の結晶性アルミノリン酸塩の製造
方法について説明する。本発明の結晶性アルミノリン酸
塩の製造方法は、アルミニウム源、リン源、水および下
記一般式(1) NR123 (1) (式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素、炭
素数が1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基ま
たは1〜2個の水酸基を有する炭素数が1〜4の直鎖状
もしくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であり、
1、R2およびR3のうち少なくとも1つは前記ヒドロ
キシアルキル基を表す。)で表される少なくとも1種の
ヒドロキシアルキルアミン化合物を混合して酸化物のモ
ル比基準で次に示す組成 P25/Al23 0.5〜1.5 H2O/Al23 5〜200 NR123/Al23 0.1〜2 を有する混合物を調製し、該混合物を100〜180℃
に保持して結晶を得ることを特徴とする製造方法であ
る。
【0017】原料に用いられるアルミニウム源、リン源
に特に制限はない。アルミニウム源としてはアルミニウ
ムの水和物、水酸化物、メタル、アルコキシド、酸化物
等を用いることができる。リン源としてはリン酸、酸化
リン、リン酸エステル等を用いることができる。アルミ
ニウム源とリン源の両者を混合した際に反応し易いもの
が好適に用いられ、アルミニウム源としては、ベーマイ
トやプソイドベーマイト、アルミニウムイソプロポキシ
ド等が好ましく、リン源としては、オルトリン酸やポリ
リン酸等が好ましい。
【0018】本発明の結晶性アルミノリン酸塩の製造方
法は、アルミニウム源とリン源に加えて、ボロンやガリ
ウム、珪素、砒素等の化合物を添加して他のメタルを含
有するメタロアルミノリン酸塩を形成することも可能で
あり、この際にはほう酸や硝酸ガリウム、ヒュームドシ
リカやコロイダルシリカ、テトラエチルオルソシリケー
ト、砒酸等を後述するモル比の範囲で原料に添加するこ
とができる。さらに、他の遷移金属の化合物を原料中に
添加することも可能である。
【0019】しかし、安定性の高い製品を得るためには
過度のアルカリ金属やアルカリ土類金属の混入は避ける
ことが望ましく、不純物として原料中に含まれる量につ
いても留意した方がよい。アルカリ金属、アルカリ土類
金属の含量は、共に0.05質量%以下、より好ましく
は0.01質量%以下、さらに好ましくは0.005質
量%以下の原料を用いることが望ましい。
【0020】本発明の製造方法の特徴の1つとして、一
般式NR123で表されるヒドロキシアルキルアミン
化合物(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水
素、炭素数が1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキ
ル基または1〜2個の水酸基を有する炭素数が1〜4の
直鎖状もしくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であ
り、R1、R2およびR3のうち少なくとも1つは前記ヒ
ドロキシアルキル基を表す。)を有機アミンとして用い
ることが挙げられる。従来から知られている結晶性のア
ルミノリン酸塩やアルミノシリケート(慣用名:ゼオラ
イト)を合成する際に用いる有機アミン類は、一般的に
は結晶化終了段階で結晶内部に留まり、これを焼成等の
方法で除去することによって細孔が形成されることから
テンプレートと呼ばれることがある。
【0021】しかし、本発明のアルミノリン酸塩の製造
方法においては、例えば、M. E. Davis et al., J. Am.
Chem. Soc., 111, 3919 (1989)に記載されているよう
に結晶化終了時点で大部分の有機アミンは結晶内部に留
まらず、外部に存在することが明らかになっている。よ
って本発明の製造方法で用いられる有機アミンはテンプ
レートと呼ぶのは適当でなく、その本質的効果は明らか
ではないが、原料ゲルのpH調整も1つの役割とされて
いる。しかし、用いる有機アミンの種類によっては、得
られるアルミノリン酸塩の純度や結晶性、さらには安定
性に差があることは事実であり、本発明はアルミノリン
酸塩を製造する方法において、非常に有効な有機アミン
を見出したことに基づいている。しかも、本発明の製造
方法に用いられる有機アミンは比較的安価で入手し易い
ものであり、低コストで結晶性アルミノリン酸塩を製造
することに大きく寄与し得るものである。
【0022】本発明の製造方法で用いることができる有
機アミンとしては、一般式NR123で表されるヒド
ロキシアルキルアミン化合物であり、R1、R2、R3
それぞれ独立に水素、炭素数が1〜4の直鎖状もしくは
分岐鎖状のアルキル基または1〜2個の水酸基を有する
炭素数が1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のヒドロキシ
アルキル基であり、R1、R2およびR3のうち少なくと
も1つは前記ヒドロキシアルキル基である。1つのヒド
ロキシアルキル基の有する水酸基の数は1〜2個であ
り、好ましくは1個である。また、さらに好ましくはR
1、R2およびR3のうち、水素である基が0個もしくは
1個である2級または3級のアミンである。
【0023】本発明の製造方法で用いることができるヒ
ドロキシアルキルアミン化合物としては、例えばN−エ
チル−N−(2−ヒロドキシエチル)アミン、N−n−
プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N−
iso−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミ
ン、N−n−ブチル−N−(2−ヒドロキシエチル)ア
ミン、N−sec−ブチル−N−(2−ヒドロキシエチ
ル)アミン、N−t−ブチル−N−(2−ヒドロキシエ
チル)アミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジ
エチルアミノエタノール、2−ジ−n−プロピルアミノ
エタノール、2−ジ−iso−プロピルアミノエタノー
ル、2−ジ−n−ブチルアミノエタノール、2−ジ−s
ec−ブチルアミノエタノール、2−ジ−iso−ブチ
ルアミノエタノール、2−ジ−t−ブチルアミノエタノ
ール、2−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−ジ
エチルアミノ−1−プロパノール、2−ジ−n−プロピ
ルアミノ−1−プロパノール、2−ジ−iso−プロピ
ルアミノ−1−プロパノール、2−ジ−n−ブチルアミ
ノ−1−プロパノール、2−ジ−sec−ブチルアミノ
−1−プロパノール、2−ジ−iso−ブチルアミノ−
1−プロパノール、2−ジ−t−ブチルアミノ−1−プ
ロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、
1−ジエチルアミノ−2−プロパノール、1−ジ−n−
プロピルアミノ−2−プロパノール、1−ジ−iso−
プロピルアミノ−2−プロパノール、1−ジ−n−ブチ
ルアミノ−2−プロパノール、1−ジ−sec−ブチル
アミノ−2−プロパノール、1−ジ−iso−ブチルア
ミノ−2−プロパノール、1−ジ−t−ブチルアミノ−
2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1,2−プロ
パンジオール、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン
(慣用名:ジエタノールアミン)、N−メチル−N−ビ
ス(2−ヒドロキシエチル)アミン、N−エチル−N−
ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、N−n−プロピ
ル−N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、N−i
so−プロピル−N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ア
ミン、N−n−ブチル−N−ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)アミン、N−sec−ブチル−N−ビス(2−ヒド
ロキシエチル)アミン、N−iso−ブチル−N−ビス
(2−ヒドロキシエチル)アミン、N−t−ブチル−N
−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、トリス(2−
ヒドロキシエチル)アミン(慣用名:トリエタノールア
ミン)、N−エチル−N−(2−ヒロドキシプロピル)
アミン、N−n−プロピル−N−(2−ヒドロキシプロ
ピル)アミン、N−iso−プロピル−N−(2−ヒド
ロキシプロピル)アミン、N−n−ブチル−N−(2−
ヒドロキシプロピル)アミン、N−sec−ブチル−N
−(2−ヒドロキシプロピル)アミン、N−iso−ブ
チル−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミン、N−t
−ブチル−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミン、ビ
ス(2−ヒドロキシプロピル)アミン(慣用名:ジイソ
プロパノールアミン)、N−メチル−N−ビス(2−ヒ
ドロキシプロピル)アミン、N−エチル−N−ビス(2
−ヒドロキシプロピル)アミン、N−n−プロピル−N
−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、N−iso
−プロピル−N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミ
ン、N−n−ブチル−N−ビス(2−ヒドロキシプロピ
ル)アミン、N−sec−ブチル−N−ビス(2−ヒド
ロキシプロピル)アミン、N−iso−ブチル−N−ビ
ス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、N−t−ブチル
−N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、トリス
(2−ヒドロキシプロピル)アミン(慣用名:トリイソ
プロパノールアミン)、N−エチル−N−(3−ヒロド
キシプロピル)アミン、N−n−プロピル−N−(3−
ヒドロキプロピル)アミン、N−iso−プロピル−N
−(3−ヒドロキプロピル)アミン、N−n−ブチル−
N−(3−ヒドロキプロピル)アミン、N−sec−ブ
チル−N−(3−ヒドロキプロピル)アミン、N−is
o−ブチル−N−(3−ヒドロキプロピル)アミン、N
−t−ブチル−N−(3−ヒドロキプロピル)アミン、
ビス(3−ヒドロキシプロピル)アミン、N−メチル−
N−ビス(3−ヒドロキシプロピル)アミン、N−エチ
ル−N−ビス(3−ヒドロキシプロピル)アミン、N−
n−プロピル−N−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ア
ミン、N−iso−プロピル−N−ビス(3−ヒドロキ
シプロピル)アミン、N−n−ブチル−N−ビス(3−
ヒドロキシプロピル)アミン、N−sec−ブチル−N
−ビス(3−ヒドロキシプロピル)アミン、N−iso
−ブチル−N−ビス(3−ヒドロキシプロピル)アミ
ン、N−t−ブチル−N−ビス(3−ヒドロキシプロピ
ル)アミン、トリス(3−ヒドロキシプロピル)アミ
ン、N−エチル−N−(2−ヒロドキシブチル)アミ
ン、N−n−プロピル−N−(2−ヒドロキシブチル)
アミン、N−iso−プロピル−N−(2−ヒドロキシ
ブチル)アミン、N−n−ブチル−N−(2−ヒドロキ
シブチル)アミン、N−sec−ブチル−N−(2−ヒ
ドロキシブチル)アミン、N−iso−ブチル−N−
(2−ヒドロキシブチル)アミン、N−t−ブチル−N
−(2−ヒドロキシブチル)アミン、ビス(2−ヒドロ
キシブチル)アミン、N−メチル−N−ビス(2−ヒド
ロキシブチル)アミン、N−エチル−N−ビス(2−ヒ
ドロキシブチル)アミン、N−n−プロピル−N−ビス
(2−ヒドロキシブチル)アミン、N−iso−プロピ
ル−N−ビス(2−ヒドロキシブチル)アミン、N−n
−ブチル−N−ビス(2−ヒドロキシブチル)アミン、
N−sec−ブチル−N−ビス(2−ヒドロキシブチ
ル)アミン、N−iso−ブチル−N−ビス(2−ヒド
ロキシブチル)アミン、N−t−ブチル−N−ビス(2
−ヒドロキシブチル)アミン、トリス(2−ヒドロキシ
ブチル)アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−
(2−ヒドロキシプロピル)アミン、N−ジ(2−ヒド
ロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミ
ン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−ジ(2−ヒド
ロキシプロピル)アミン等を挙げることができる。
【0024】しかし、安価な製造方法の提供という観点
からは、汎用的に入手可能なヒドロキシアルキルアミン
化合物が望ましく、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミ
ン(慣用名:ジエタノールアミン)、トリス(2−ヒド
ロキシエチル)アミン(慣用名:トリエタノールアミ
ン)、ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン(慣用
名:ジイソプロパノールアミン)、トリス(2−ヒドロ
キシプロピル)アミン(慣用名:トリイソプロパノール
アミン)からなる群から選ばれるヒドロキシアルキルア
ミン化合物が好ましい。
【0025】また、後述するように、結晶化後にミクロ
孔内に残留する物質(多くはアミン由来のカーボン種と
考えられる)の量はヒドロキシアルキルアミン化合物の
サイズが大きいほど増加する傾向が認められる。ミクロ
孔内に残留する物質の量が多いと、結晶外部からの物質
の出入りを阻害し、有効なミクロ孔容積の低下を引き起
こすため、結晶化後に焼成や抽出といった工程を設けて
ミクロ孔内の残留物を除去する必要がある。しかし、残
留物が十分少ない場合にはそうした除去工程を省くこと
ができより経済的である。そうした観点から、R1、R2
およびR3のうちの1つが水素である2級アミンがさら
に好ましく、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン(慣
用名:ジエタノールアミン)および/またはビス(2−
ヒドロキシプロピル)アミン(慣用名:ジイソプロパノ
ールアミン)が最も好ましく用いられる。
【0026】ヒドロキシルアルキルアミンの種類によっ
て、生成する結晶の形態が微妙に変化することもある。
このため、2種類以上のヒドロキシルアルキルアミンを
同時に使用したり、ヒドロキシルアルキルアミンと後述
するような一般のアミンや4級アンモニウム塩を併用す
ることで、生成する結晶の形態を制御することも可能で
ある。また、こうした手段を用いることによって、生成
物のかさ密度といった物性値をコントロールすることも
できる。
【0027】本発明のアルミノリン酸塩の製造方法は、
ヒドロキシアルキルアミン化合物と一般のアルキルアミ
ン類を併用することも可能であり、公知のアミン類(ジ
プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジペンチルア
ミン、ジイソペンチルアミン、ジネオペンチルアミン、
トリブチルアミン、トリペンチルアミン等)を用いるこ
とができる。この場合にはアミンの総量を一定にして、
添加したアミンのモル数分、ヒドロキシアルキルアミン
の量を減らしてもよい。また、本発明の製造方法は4級
アンモニウム塩を併用することもできる。
【0028】前記の原料を酸化物のモル比基準で次に示
す組成 P25/Al23 0.5〜1.5 H2O/Al23 5〜200 NR123/Al23 0.1〜2 になるように混合する。より好ましい組成範囲は P25/Al23 0.8〜1.3 H2O/Al23 10〜80 NR123/Al23 0.3〜1.5 であり、さらに好ましくは P25/Al23 0.9〜1.2 H2O/Al23 20〜60 NR123/Al23 0.4〜1.3 である。
【0029】P25/Al23比が1.5より大きくて
も0.5より小さくても、目的とするアルミノリン酸塩
が得られなかったり、目的以外のリン酸塩結晶相の量が
増加するといった問題を生じる。また、例えば、アルミ
ナ由来の不純物が増加したり、固体成分の回収率が低下
するといった問題も生じる。H2O/Al23比が5よ
り小さいと粘性が高く、取り扱いに支障を来し、200
より大きいと生産性が低下することから好ましくない。
NR123/Al23比は、2より大きくても0.1
より小さくても目的とするアルミノリン酸塩が得られな
かったり、目的以外のリン酸塩結晶相の量が増加する。
【0030】前述したように、NR123と他のアル
キルアミンや4級アンモニウム塩を併用することも可能
であるが、その際にはアミンもしくはアミン+4級アン
モニウム塩の総量が、Al23に対して0.1〜2、好
ましくは0.3〜1.5、より好ましくは0.4〜1.
3の範囲になるように調整することが望ましい。また、
ヒドロキシアルキルアミン化合物を、最低でもNR12
3/Al23モル比にして0.1以上用いる必要があ
る。
【0031】ボロンやガリウム、珪素、砒素等の化合物
を添加して他のメタル(M)を含有するメタロアルミノ
リン酸塩を形成する場合には、上記の比はそのまま維持
して、MOz/Al23のモル比を0.001〜0.5
の範囲にする(zはメタルの価数を2で除した値)。最
適な範囲はメタルによって異なり、Mがボロン、ガリウ
ム、砒素や遷移金属等のその他金属化合物である場合に
は0.001〜0.2であり、Mが珪素である場合には
0.1〜0.4である。
【0032】水の一部を、他の溶媒、例えばアルコール
やケトン、ニトリル等の有機溶媒で置き換えることも可
能であり、エタノールやイソプロパノール、n−プロパ
ノール等は好適に用いることができる。さらに、アルミ
ニウムイソプロポキシドを原料とした場合には、加水分
解で生じたイソプロパノールを除去する必要はなく、そ
のまま原料混合物の一部として取り扱うことができる。
【0033】これらの原料を混合する手順に特に制限は
ないが、まず、プソイドベーマイト等のアルミニウム源
とオルトリン酸等のリン源、水の一部を混合してアルミ
ノリン酸スラリーを形成し、さらにヒドロキシアルキル
アミン化合物の水溶液を添加して反応前駆体を調製する
方法を用いることができる。反応前駆体が不均一である
と、副生物が生成したり、収率が低下したりする原因と
なるため、これら原料の混合は十分攪拌しながら実施
し、最終的には実質的に均質となるまで攪拌することが
望ましい。こうした反応前駆体の調製は10〜100℃
の温度で行うことが適当であり、好ましくは30〜80
℃、より好ましくは40〜80℃で行う。温度が低すぎ
るとアルミニウム源とリン源とが反応して均一な前駆体
を形成しにくいことがあり、温度が高すぎると他の結晶
相が生成しやすくなったり、水の蒸発量が大きく組成を
維持しにくくなる等の問題が生じることがあるためであ
る。
【0034】こうして調製した反応前駆体を結晶化させ
て、目的の構造を有するアルミノリン酸塩に転化する。
結晶化は、例えば自然圧下、結晶が生成するまで100
℃〜180℃、好ましくは110〜150℃、さらに好
ましくは120〜145℃の温度で行う。温度が低すぎ
ると結晶化が進行せず、高すぎるとVFI以外の構造を
有する副生物が増加することがある。通常、この温度で
30分〜240時間、好ましくは1時間〜150時間、
さらに好ましくは1時間〜50時間保持することでVF
I構造を有するアルミノリン酸塩が得られる。収率を上
げるためにはなるべく高い温度で長時間保持することが
望ましいが、これは同時に副生物が増加する条件でもあ
る。したがって、副生物の生成を抑制しつつ収率を上げ
るために、結晶化を135〜145℃の高温で開始して
平均して0.1〜2℃/分程度の速度で温度を100〜
130℃にまで序々に降温するといった温度制御も有効
である。結晶化にはポリテトラフルオロエチレン等の不
活性ポリマーでライニングしたステンレス製オートクレ
ーブを用いるとよい。マイクロ波を利用する等のその他
公知の結晶化方法を用いることも可能である。
【0035】結晶化後に続いて、生成物の回収を公知の
方法で行う。まず、ろ過、遠心分離、デカンテーション
等の方法によって母液から結晶を分離し、さらに、水も
しくは希酸水溶液、硝酸アンモニウム等のアンモニウム
塩水溶液、メタノールやアセトン等の有機溶媒等で十分
洗浄して付着している不純物を除去する。その後、熱処
理工程を行うことが好ましく、熱処理工程の温度は10
0℃未満であることが好ましい。熱処理工程の方法とし
ては、例えば、M. E. Davis et al., Stud. Surf. Sci.
Catal., 60, 53 (1991)に記載されているように、得ら
れた粉末を水中で処理する方法を用いることができる。
また、得られた結晶の乾燥工程を行うことが好ましく、
乾燥を行うことにより粉末状の製品を得ることができ
る。乾燥は熱風乾燥器や減圧乾燥器等、いかなるもので
行ってもよいが、常圧下100℃以上の温度で長時間乾
燥すると構造が壊れる恐れがあるため、望ましくは減圧
下で行うか、もしくは常圧下で15〜90℃の範囲、よ
り好ましくは15〜80℃の範囲、さらに好ましくは1
5〜60℃の範囲の温度で行うのがよい。メタノールや
アセトン等の有機溶媒等でリンスして低温で乾燥させる
ことも構造破壊を防止する手段として好ましく用いるこ
とができる。また、乾燥工程は熱処理工程に次いで行っ
てもよいが、熱処理工程を実施せずに行ってもよい。
【0036】上記のような方法で得られる本発明の結晶
性アルミノリン酸塩は、表1に示す粉末X線回折パター
ンを有することが好ましい。 表1 粉末X線回折パターン 面間隔 d(Å) ピーク強度 16.4±0.4 vs 8.22±0.2 w〜m 4.09±0.05 w〜m 4.05±0.05 w〜m 3.97±0.05 w〜m 3.93±0.05 w〜m 3.77±0.05 w〜m 3.28±0.03 w〜m (表中、wは弱い、mは中程度、vsは非常に強いこと
を表す。)
【0037】また、本発明の製造方法で得られるアルミ
ノリン酸塩は、表2に示す粉末X線回折パターンを有す
ることがさらに好ましい。 表2 粉末X線回折パターン 面間隔 d(Å) ピーク強度 16.4±0.4 vs 8.22±0.2 w〜m 6.16±0.1 w 4.74±0.06 w 4.09±0.05 w〜m 4.05±0.05 w〜m 3.97±0.05 w〜m 3.93±0.05 w〜m 3.77±0.05 w〜m 3.63±0.04 w 3.28±0.03 w〜m 3.16±0.03 w 3.08±0.03 w 3.03±0.03 w 2.95±0.03 w 2.74±0.03 w (表中、wは弱い、mは中程度、vsは非常に強いこと
を表す。)
【0038】本発明の結晶性アルミノリン酸塩は、前記
表1または表2に示す粉末X線回折パターンで特徴づけ
ることができる。これはVPI−5やそれと同様な構造
を有するアルミノリン酸塩やメタロアルミノリン酸塩の
水和物に特徴的な粉末X線回折パターンである。本発明
のアルミノリン酸塩は非常に吸湿しやすいため乾燥を行
っても大気中に放置すると直ちに吸湿し水和物となるた
め、通常の開放系で測定した場合には水和物に特徴的回
折パターンが得られる。したがって、実用上はこの水和
状態での粉末X線パターンを規定することで本発明のア
ルミノリン酸塩の特徴を十分説明できるが、吸湿しない
条件で測定を行った場合にはM.J.Annenらが報
告(M. J. Annen et al., J. Phys. Chem., 95, 1380
(1991))しているように若干パターンが変化するため、
例えば、乾燥後のサンプルなら1晩大気中に放置後測定
するなど、十分に吸湿した状態での測定結果を持って比
較すべきである。面間隔がサンプルの状態によって大き
く変化することは稀であるが、ピーク強度はアミン類の
残留状態や水の吸着状態等によってかなり変化するた
め、そのすべての場合を網羅的に記述することは困難
で、あくまで目安として相対強度をw〜vsとして記述
してある。従って、ピーク強度はあくまで補足的パラメ
ーターであり、本質的には面間隔をもって同定すべきで
ある。
【0039】粉末X線回折パターンは一般の粉末X線回
折測定装置、例えばマックサイエンス社製MXP18V
AHF22型粉末X線回折装置等を用いてCuKα線を線
源として測定することができる。回折線の見られる2θ
の値からブラッグの式を用いて面間隔dを計算する。乾
燥後のサンプルをそのまま測定に供することができ2θ
の範囲として2〜50°程度を測定すればよい。
【0040】本発明の製造方法を用いて得られるアルミ
ノリン酸塩はさらにその組成に特徴があり、無水の酸化
物基準の組成式が Al23・xP25 x=0.8〜1.2 で表される。さらに好ましいxの値は0.9〜1.1で
あり、より好ましくは0.9〜1.05である。他のメ
タルが含まれる場合にはそれらメタルの価数に応じて置
換するサイトが異なる。つまり3価のメタルはAlサイ
トを、4価のメタルはAlとPの両方のサイトを、5価
のメタルはPのサイトを原則的には置換する。よって組
成は以下のように異なる。 3価の場合 Al23・xP25・yMOz x=0.8〜1.5 y=0.001〜0.5 4価の場合 Al23・xP25・yMOz x=0.8〜1.2 y=0.001〜0.5 5価の場合 Al23・xP25・yMOz x=0.55〜1.2 y=0.001〜0.5 組成の分析は例えばサンプルを溶解し、ICPや原子吸
光といった機器を用いて各メタル成分の濃度を分析して
モル比を求めてもよいし、固体のまま蛍光X線分析装置
といった定量機器を用いて各メタル成分の定量を行って
もよい。
【0041】本発明のアルミノリン酸塩の製造方法のさ
らなる特徴として高温の熱処理を施さなくてもマイクロ
孔容積が十分大きいアルミノリン酸塩が得られることが
挙げられる。本発明で言うマイクロ孔とは、例えば、
「吸着の科学」(近藤精一、石川達雄、安部郁夫共著
丸善株式会社 平成3年)第12頁に記載されているよ
うにIUPACで提案している0.5〜2nmを中心と
した細孔直径を有する孔のことを意図しており、ゼオラ
イト等のマイクロポーラス材料に特有の細孔のことを意
味する。マイクロ孔の容積は各種プローブ分子の吸着容
量から求めることができるが、本発明では最も一般的に
用いられるプローブであるN2の吸着容量を持ってマイ
クロ孔容積を規定する。N2をプローブとした場合の測
定値は一般的にはN2と分子サイズが似通っており同程
度に不活性なプローブであるArやO2を用いて測定し
た値とほぼ一致する。
【0042】アルミノリン酸塩のN2吸着量は、液体窒
素温度でサンプルにN2を接触させ、平衡時の圧力をモ
ニターすることによって測定する。N2導入量を徐々に
増加させてその際の平衡圧を連続してモニターすれば、
液体窒素温度でのN2の吸着等温線が得られる。本発明
ではミクロ孔の容積の指標として、液体窒素温度でのN
2の相対圧力0.3におけるN2吸着量を採用する。これ
はN2の吸着等温線から容易に読み取ることができる。
実際の測定は、例えばマイクロメリティックス社製AS
AP2010等の機器を用いて行うと非常に簡便に行う
ことができる。通常は測定に先だってサンプルを脱気処
理する。脱気処理の条件としては、例えば、減圧下35
0℃程度の高温で加熱してもよいが、250℃程度の減
圧乾燥でも十分脱気は可能である。
【0043】本発明の結晶性アルミノリン酸塩は、上記
の液体窒素温度での相対圧力0.3におけるN2吸着量
と規定したミクロ孔容積が0.15cm3/g以上、さ
らには0.2cm3/g以上である。本発明の製造方法
を用いて得られるアルミノリン酸塩のうち、特に2級の
ヒドロキシアルキルアミンを用いて得られるアルミノリ
ン酸塩は細孔内へのカーボン等の残留が少ないため、通
常行われる350℃といった高温での活性化を行わなわ
なくとも、100℃以下、あるいは90℃以下、さらに
は80℃以下の温度での処理だけでも大きなミクロ孔容
積を保有している。例えば、80℃の水中で1晩放置し
た後に同じく80℃で減圧乾燥したサンプルは0.15
cm3/g以上のN2吸着容量を示す。さらに、結晶化後
に水中での処理といった細孔内に残留するカーボンを除
去し得る工程を一切省いて、かつ、減圧処理中のカーボ
ン除去量を最低限にとどめるため70℃、さらには60
℃という低温で減圧乾燥した状態で測定したN2吸着量
が0.15cm3/g以上であるアルミノリン酸塩を提
供することもできる。
【0044】
【実施例】以下に実施例および比較例を用いて本発明を
さらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限
定されるものではない。
【0045】(実施例1)プソイドベーマイト(コンデ
ア社製 CATAPAL C1、Al23換算純度7
3.3%)13.9gを純水19.9gに分散してスラ
リーとした。これに85%オルトリン酸23.0gを水
19.9gで希釈した水溶液を加えよく攪拌した。さら
に、ジイソプロパノールアミン(DIPOA)13.4
gを水19.8gに溶解した水溶液を添加してよく攪拌
して以下のモル比組成を有する反応前駆体を調製した。 P25/Al23 1.0 H2O/Al23 40 DIPOA/Al23 1.0 この反応前駆体をポリテトラフルオロエチレンライナー
つきオートクレーブに仕込み自然圧下138℃で加熱
し、18時間この温度で保持した。固体状物質をデカン
テーションにて回収し、純水の追加とデカンテーション
を数回繰り返すことにより十分洗浄し、最終的にろ過し
た後少量のアセトンでリンスして室温で24時間風乾し
た。乾燥後のサンプルの粉末X線回折パターンを以下の
条件で測定した。 装置 マックサイエンス製MXP18VAHF22型粉末X線回折装 置 管電圧と電流 50kV−180mA スリット幅 発散:0.5°、散乱:0.5°、受光:0.15mm サンプリング幅 0.02° 走査速度 5°/min 測定範囲 2〜51° 結果を図1に示す。表2に示したVFIの特徴的粉末X
線回折パターンと一致しており、非常に純度の高いVF
I構造を有するアルミノリン酸塩であることがわかっ
た。組成分析の結果は、Al:16.3質量%、P:1
8.5質量%、C:0.12質量%で酸化物基準のP2
5/Al23比は0.989であった。回収物の乾燥
後の重量は22.1gであり、得られたサンプルの一部
を600℃で焼成することにより求めた乾燥減量は27
質量%であった。これらの値から吸着水等の重量を補正
したAl基準の収率(固体成分回収率)は66%であっ
た。
【0046】(実施例2)実施例1で得られたサンプル
の一部を沸騰水の中に分散して15時間放置後、ろ過に
より回収した。風乾後、減圧下250℃で脱気処理して
マイクロメリティックス社製ASAP2010を用いて
液体窒素温度での吸着等温線を測定した。結果から相対
圧力0.3でのN2吸着量を読み取ると標準状態での吸
着ガス容積が140cm3/g−STPであり、液体状
態でのN2量に換算することにより求めたN2吸着容量は
0.217cm3/gであった(換算時に用いた密度換
算係数0.001547)。また、このサンプルの組成
分析結果はAl:16.7質量%、P:18.9質量
%、C:0.03質量%で酸化物基準のP25/Al2
3比は0.986であった。
【0047】(実施例3)実施例1で得られたサンプル
の一部を沸騰水中で処理することなくそのまま減圧下6
0℃で脱気処理して実施例2と同様な方法で相対圧力
0.3でのN2吸着容量を測定した。結果は0.179
cm3/gであった。また、このサンプルのカーボン含
有量は0.13質量%であり、減圧処理によるカーボン
量の変化が実質的にないにもかかわらず、大きなミクロ
孔容積を有していることがわかる。
【0048】(実施例4)実施例1で得られたサンプル
の一部を80℃の水中に分散し15時間放置後、ろ過に
より回収した。風乾後、減圧下80℃で脱気処理して実
施例2と同様な方法で測定した相対圧力0.3でのN2
吸着容量は0.205cm3/gであった。
【0049】(実施例5)実施例1で得られたサンプル
の一部を90℃の水中に分散し15時間放置後、ろ過に
より回収した。風乾後、減圧下90℃で脱気処理して実
施例2と同様な方法で測定した相対圧力0.3でのN2
吸着容量は0.218cm3/gであった。実施例4、
5から100℃以上の温度で処理を行なわなくても大き
なミクロ孔容積をもつアルミノリン酸塩が得られること
がわかる。
【0050】(実施例6)ジイソプロパノールアミンの
代わりに19.1gのトリイソプロパノールアミン(T
IPOA)を用いた以外は実施例1と同様にして以下の
モル比組成の反応前駆体を調製した。 P25/Al23 1.0 H2O/Al23 40 TIPOA/Al23 1.0 そして、自然圧下138℃で加熱し、4時間温度を保持
した以外は実施例1と同様に結晶化を行い、乾燥したサ
ンプルを得た。粉末X線回折パターンは図1に示したも
のと同様で表2に記載したパターンと一致した。組成分
析の結果は、Al:16.3質量%、P:18.7質量
%、C:0.50質量%で酸化物基準のP25/Al2
3比は0.999であった。収量は22.2gであ
り、実施例1と同様にして測定した乾燥減量は27質量
%であった。以上の値から求めたAl基準の収率は67
%であった。また、実施例2と同様にして求めた相対圧
力0.3におけるN2吸着量は0.228cm3/gであ
った。
【0051】(実施例7)ジイソプロパノールアミンの
代わりに 6.66gのジイソプロパノールアミン(D
IPOA)と9.56gのトリイソプロパノールアミン
(TIPOA)を用いた以外は実施例1と同様にして以
下のモル比組成の反応前駆体を調製した。 P25/Al23 1.0 H2O/Al23 40 DIPOA/Al23 0.5 TIPOA/Al23 0.5 そして、自然圧下138℃で加熱し、4時間温度を保持
した以外は実施例1と同様に結晶化を行い、乾燥したサ
ンプルを得た。粉末X線回折パターンは図1に示したも
のと同様で表2に記載したパターンと一致した。収量は
19.4gであり、実施例1と同様に測定した乾燥減量
は26質量%であり、この値から補正したAl基準の収
率は59%であった。また、実施例2と同様にして求め
た相対圧力0.3におけるN2吸着量は0.224cm3
/gであった。
【0052】(実施例8)ジイソプロパノールアミンの
代わりに10.6gのジエタノールアミン(DEOA)
を用いた以外は実施例1と同様にして以下のモル比組成
の反応前駆体を調製した。 P25/Al23 1.0 H2O/Al23 40 DEOA/Al23 1.0 そして、自然圧下138℃で加熱し、4時間温度を保持
した以外は実施例1と同様に結晶化を行い、風乾したサ
ンプルを得た。粉末X線回折パターンは図1に示したも
のと同様で表2に記載したパターンと一致した。収量は
20.8gであり、実施例1と同様にして測定した乾燥
減量は27質量%であった。以上の値から求めたAl基
準の収率は62%であった。また、実施例2と同様にし
て求めた相対圧力0.3におけるN2吸着量は0.21
7cm3/gであった。
【0053】(実施例9)ジイソプロパノールアミンの
代わりに16.1gのn−ブチルジエタノールアミン
(BDEOA)を用いた以外は実施例1と同様にして以
下のモル比組成の反応前駆体を調製した。 P25/Al23 1.0 H2O/Al23 40 BDEOA/Al23 1.0 そして、自然圧下138℃で加熱し、4時間温度を保持
した以外は実施例1と同様に結晶化を行い、風乾したサ
ンプルを得た。粉末X線回折パターンは図1に示したも
のと同様で表2に記載したパターンと一致した。収量は
18.9gであり、実施例1と同様に測定した乾燥減量
は26質量%であり、この値から補正したAl基準の収
率は57%であった。
【0054】(実施例10)結晶化の温度を150℃に
した以外は実施例6と同様にして風乾したサンプルを得
た。粉末X線回折パターンは図1に示したものと同様で
表2に記載したパターンと一致した。収量は24.2g
であり、実施例1と同様に測定した乾燥減量は27質量
%であり、この値から補正したAl基準の収率は72%
であった。
【0055】(実施例11)結晶化の温度を133℃に
した以外は実施例6と同様にして風乾したサンプルを得
た。粉末X線回折パターンは図1に示したものと同様で
表2に記載したパターンと一致した。収量は15.8g
であり、実施例1と同様に測定した乾燥減量は27質量
%であり、この値から補正したAl基準の収率は47%
であった。
【0056】(実施例12)13.4gのジイソプロパ
ノールアミン(DIPOA)に加えて0.228gの2
0質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキサイド
(TMAOH)水溶液を用いた以外は実施例1と同様に
して以下のモル比組成の反応前駆体を調製した。 P25/Al23 1.0 H2O/Al23 40 DIPOA/Al23 1.0 TMAOH/Al23 0.005 そして、実施例1と同様に結晶化を行い、風乾したサン
プルを得た。粉末X線回折パターンは図1に示したもの
と同様で表2に記載したパターンと一致した。収量は2
1.1gであり、実施例1と同様に測定した乾燥減量は
27質量%であり、この値から補正したAl基準の収率
は63%であった。
【0057】(実施例13)自然圧下で120℃で加熱
し、24時間温度を保持した以外は実施例6と同様にし
て風乾したサンプルを得た。粉末X線回折パターンは図
1に示したものと同様で表2に記載したパターンと一致
した。収量は15.1gであり、実施例1と同様に測定
した乾燥減量は27質量%であり、この値から補正した
Al基準の収率は53%であった。
【0058】(実施例14)実施例6で得られたサンプ
ルの一部をポリテトラフルオロエチレンライナー付きオ
ートクレーブ中で水に分散させ、自然圧下150℃で4
時間加熱後、ろ過により回収した。風乾後、減圧下90
℃で脱気処理して実施例2と同様な方法で測定した相対
圧力0.3でのN2吸着容量は0.228cm3/gであ
った。
【0059】(比較例1)13.4gのジイソプロパノ
ールアミンの代わりに10.1gのジ−n−プロピルア
ミン(DPA)を用いた以外は実施例1と同様にして以
下のモル比組成の反応前駆体を調製した。 P25/Al23 1.0 H2O/Al23 40 DPA/Al23 1.0 そして、自然圧下138℃で加熱し、4時間温度を保持
した以外は実施例1と同様に結晶化を行い、風乾したサ
ンプルを得た。粉末X線回折パターンを図2に示す。表
2に記載した面間隔のピーク群以外に表3に記載した面
間隔のピーク群がみられ、これはIZAコードでAPC
(AlPO4−CやAlPO4−H3の構造に相当する)
に由来するものと考えられる。 表3 粉末X線回折パターン 面間隔 d(Å) ピーク強度 9.68±0.4 w 6.86±0.1 w 6.49±0.1 w 4.88±0.06 w 4.25±0.06 w (表中、wは弱いことを表す。) 収量は15.4gであり、実施例1と同様に測定した乾
燥減量は25質量%であり、この値から補正したAl基
準の収率は48%であった。DPAでは高純度のVFI
構造を有するアルミノリン酸塩が得られないことがわか
る。
【0060】(比較例2)自然圧下145℃で加熱し、
4時間温度を保持した以外は比較例1と同様に結晶化を
行い、風乾したサンプルを得た。粉末X線回折パターン
は図2に示したものと同様で表2、3に記載したパター
ンと一致した。収量は15.7gであり、実施例1と同
様に測定した乾燥減量は25質量%であり、この値から
補正したAl基準の収率は48%であった。
【0061】(比較例3)自然圧下130℃で加熱し、
4時間温度を保持した以外は比較例1と同様に結晶化を
行い、風乾したサンプルを得た。粉末X線回折パターン
は図2に示したものと同様で表2、3に記載したパター
ンと一致した。収量は16.2gであり、実施例1と同
様に測定した乾燥減量は25質量%であり、この値から
補正したAl基準の収率は47%であった。
【0062】(比較例4)10.1gのジ−n−プロピ
ルアミン(DPA)に加えて0.760gの20質量%
のテトラメチルアンモニウムヒドロキサイド(TMAO
H)水溶液を用いた以外は比較例1と同様にして以下の
モル比組成の反応前駆体を調製した。 P25/Al23 1.0 H2O/Al23 40 DPA/Al23 1.0 TMAOH/Al23 0.0167 そして、比較例1と同様に結晶化を行い、風乾したサン
プルを得た。粉末X線回折パターンは図2に示したもの
と同様で表2、3に記載したパターンと一致した。収量
は14.4gであり、実施例1と同様に測定した乾燥減
量は27質量%であり、この値から補正したAl基準の
収率は43%であった。比較例1と較べるとTMAOH
を添加しても純度はそれほど変わらず、収率はむしろ低
下した。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、高純度のアルミノリン
酸塩を安価に収率良く製造することができる。また、高
温での熱処理を行わなくても大きなマイクロ孔容積を有
するアルミノリン酸塩を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1で得られたサンプルの粉末X線
回折パターンを示す図である。
【図2】図2は比較例1で得られたサンプルの粉末X線
回折パターンを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 廣 俊孝 神奈川県川崎市川崎区扇町5−1 昭和電 工株式会社ガス・化成品事業部生産・技術 統括部内 Fターム(参考) 4G073 BA70 BB50 CZ57 FB21 FC01 FF07 GA03 UA06

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム源、リン源、水および下記
    一般式(1) NR123 (1) (式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素、炭
    素数が1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基ま
    たは1〜2個の水酸基を有する炭素数が1〜4の直鎖状
    もしくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であり、
    1、R2およびR3のうち少なくとも1つは前記ヒドロ
    キシアルキル基を表す。)で表される少なくとも1種の
    ヒドロキシアルキルアミン化合物を混合して酸化物のモ
    ル比基準で次に示す組成 P25/Al23 0.5〜1.5 H2O/Al23 5〜200 NR123/Al23 0.1〜2 を有する混合物を調製し、該混合物を100〜180℃
    に保持して結晶を得ることを特徴とする結晶性アルミノ
    リン酸塩の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記結晶性アルミノリン酸塩が表1に示
    す粉末X線回折パターンを有する請求項1に記載の製造
    方法。 表1 粉末X線回折パターン 面間隔 d(Å) ピーク強度 16.4±0.4 vs 8.22±0.2 w〜m 4.09±0.05 w〜m 4.05±0.05 w〜m 3.97±0.05 w〜m 3.93±0.05 w〜m 3.77±0.05 w〜m 3.28±0.03 w〜m (表中、wは弱い、mは中程度、vsは非常に強いこと
    を表す。)
  3. 【請求項3】 前記結晶性アルミノリン酸塩が表2に示
    す粉末X線回折パターンを有する請求項1に記載の製造
    方法。 表2 粉末X線回折パターン 面間隔 d(Å) ピーク強度 16.4±0.4 vs 8.22±0.2 w〜m 6.16±0.1 w 4.74±0.06 w 4.09±0.05 w〜m 4.05±0.05 w〜m 3.97±0.05 w〜m 3.93±0.05 w〜m 3.77±0.05 w〜m 3.63±0.04 w 3.28±0.03 w〜m 3.16±0.03 w 3.08±0.03 w 3.03±0.03 w 2.95±0.03 w 2.74±0.03 w (表中、wは弱い、mは中程度、vsは非常に強いこと
    を表す。)
  4. 【請求項4】 前記混合物を100〜180℃に保持し
    て得られる結晶を熱処理する工程を含む請求項1〜3の
    いずれかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記熱処理工程の温度が100℃未満で
    ある請求項4に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記熱処理工程の後に、前記結晶を15
    〜90℃の温度で乾燥する工程を含む請求項4または5
    に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記結晶を15〜90℃の温度で乾燥す
    る工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 アルミノリン酸塩の無水の酸化物基準の
    組成式が Al23・xP25 x=0.8〜1.2 で表される請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ヒドロキシアルキルアミン化合物
    が、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイ
    ソプロパノールアミンおよびトリイソプロパノールアミ
    ンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であ
    る請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記ヒドロキシアルキルアミン化合物
    が、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンか
    らなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請
    求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 アルミニウム源、リン源、水および下
    記一般式(1) NR123 (1) (式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素、炭
    素数が1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基ま
    たは1〜2個の水酸基を有する炭素数が1〜4の直鎖状
    もしくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であり、
    1、R2およびR3のうち少なくとも1つは前記ヒドロ
    キシアルキル基を表す。)で表される少なくとも1種の
    ヒドロキシアルキルアミン化合物を混合して酸化物のモ
    ル比基準で次に示す組成 P25/Al23 0.5〜1.5 H2O/Al23 5〜200 NR123/Al23 0.1〜2 を有する混合物を調製し、該混合物を100〜180℃
    に保持することにより得られる結晶性アルミノリン酸
    塩。
  12. 【請求項12】 前記結晶性アルミノリン酸塩が前記表
    1に示す粉末X線回折パターンを有する請求項11に記
    載の結晶性アルミノリン酸塩。
  13. 【請求項13】 前記結晶性アルミノリン酸塩が前記表
    2に示す粉末X線回折パターンを有する請求項11に記
    載の結晶性アルミノリン酸塩。
  14. 【請求項14】 アルミノリン酸塩の無水の酸化物基準
    の組成式が Al23・xP25 x=0.8〜1.2 で表される請求項11〜13のいずれかに記載の結晶性
    アルミノリン酸塩。
  15. 【請求項15】 液体窒素温度での相対圧力0.3にお
    けるN2吸着量が0.15cm3/g以上である請求項1
    1〜14のいずれかに記載の結晶性アルミノリン酸塩。
  16. 【請求項16】 液体窒素温度での相対圧力0.3にお
    けるN2吸着量が0.2cm3/g以上である請求項11
    〜14のいずれかに記載の結晶性アルミノリン酸塩。
  17. 【請求項17】 アルミニウム源、リン源、水および下
    記一般式(1) NR123 (1) (式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素、炭
    素数が1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基ま
    たは1〜2個の水酸基を有する炭素数が1〜4の直鎖状
    もしくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であり、
    1、R2およびR3のうち少なくとも1つは前記ヒドロ
    キシアルキル基を表す。)で表される少なくとも1種の
    ヒドロキシアルキルアミン化合物を混合して酸化物のモ
    ル比基準で次に示す組成 P25/Al23 0.5〜1.5 H2O/Al23 5〜200 NR123/Al23 0.1〜2 を有する混合物を調製し、該混合物を100〜180℃
    に保持することにより得られる結晶が、100℃未満の
    温度で熱処理されていることを特徴とする結晶性アルミ
    ノリン酸塩。
  18. 【請求項18】 前記結晶性アルミノリン酸塩が前記表
    1に示す粉末X線回折パターンを有する請求項17に記
    載の結晶性アルミノリン酸塩。
  19. 【請求項19】 前記結晶性アルミノリン酸塩が前記表
    2に示す粉末X線回折パターンを有する請求項17に記
    載の結晶性アルミノリン酸塩。
  20. 【請求項20】 アルミニウム源、リン源、水および下
    記一般式(1) NR123 (1) (式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素、炭
    素数が1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基ま
    たは1〜2個の水酸基を有する炭素数が1〜4の直鎖状
    もしくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であり、
    1、R2およびR3のうち少なくとも1つは前記ヒドロ
    キシアルキル基を表す。)で表される少なくとも1種の
    ヒドロキシアルキルアミン化合物を混合して酸化物のモ
    ル比基準で次に示す組成 P25/Al23 0.5〜1.5 H2O/Al23 5〜200 NR123/Al23 0.1〜2 を有する混合物を調製し、該混合物を100〜180℃
    に保持することにより得られる結晶が、15〜90℃で
    乾燥されたことを特徴とする結晶性アルミノリン酸塩。
  21. 【請求項21】 前記結晶性アルミノリン酸塩が前記表
    1に示す粉末X線回折パターンを有する請求項20に記
    載の結晶性アルミノリン酸塩。
  22. 【請求項22】 前記結晶性アルミノリン酸塩が前記表
    2に示す粉末X線回折パターンを有する請求項20に記
    載の結晶性アルミノリン酸塩。
  23. 【請求項23】 アルミノリン酸塩の無水の酸化物基準
    の組成式が Al23・xP25 x=0.8〜1.2 で表される請求項17〜22のいずれかに記載の結晶性
    アルミノリン酸塩。
  24. 【請求項24】 液体窒素温度での相対圧力0.3にお
    けるN2吸着量が0.15cm3/g以上である請求項1
    7〜23のいずれかに記載の結晶性アルミノリン酸塩。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010126371A (ja) * 2008-11-25 2010-06-10 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 多孔性アルミノリン酸塩結晶AlPO4−5の合成方法

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