JP2003120328A - ガスタービンおよびその運転方法、並びにガスタービン複合発電プラント - Google Patents

ガスタービンおよびその運転方法、並びにガスタービン複合発電プラント

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JP2003120328A
JP2003120328A JP2001312980A JP2001312980A JP2003120328A JP 2003120328 A JP2003120328 A JP 2003120328A JP 2001312980 A JP2001312980 A JP 2001312980A JP 2001312980 A JP2001312980 A JP 2001312980A JP 2003120328 A JP2003120328 A JP 2003120328A
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temperature
air
gas turbine
cooling
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JP2001312980A
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English (en)
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Chikanori Momotake
慎徳 百武
Yasuhiro Fujita
泰弘 藤田
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E20/00Combustion technologies with mitigation potential
    • Y02E20/16Combined cycle power plant [CCPP], or combined cycle gas turbine [CCGT]

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  • Control Of Turbines (AREA)
  • Engine Equipment That Uses Special Cycles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷却媒体の切替え時におけるガスタービンの
トリップを最小限にすること。 【解決手段】 蒸気温度Tsおよび車室空気温度Taは
温度計40および41で測定される(ステップS1)。
この測定結果は測定器131および132へ取り込まれ
て電気信号に変換される。この電気信号は測定器131
および132でA/D変換された後、制御装置100へ
送られて、この内部に備えられている処理部110の減
算器111によって両者の差分が計算される。この差分
の絶対値ΔT=|Ta−Ts|が10回連続して10℃
以内に収まったとき、演算器112から制御部であるコ
ントローラ120に制御信号を送り(ステップS2)、
圧力調整弁等を制御して冷却媒体を蒸気に切替える(ス
テップS4)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高温部材の冷却
に蒸気を使用するガスタービンに関し、更に詳しくは、
高温部材の冷却媒体を空気から蒸気へ切替える際に、主
軸の振動を抑えてガスタービンのトリップを最小限にで
きる蒸気冷却を用いたガスタービンおよびその運転方
法、並びにガスタービン複合発電プラントに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、ガスタービン複合サイクルにおい
て熱効率を高めるため、空気の代わりに蒸気を冷却媒体
として使用して、ガスタービンの動翼や静翼といった高
温部を蒸気冷却する技術が使用されつつある。ここで、
乾き蒸気の低圧比熱は基準状態の下でcp=1.86k
J/kgKであり、空気の低圧比熱cp=1.00kJ/
kgKの2倍近い値を持っている。このため、蒸気は同
じ質量の空気と比較して熱容量が大きく吸熱効果も高く
なる。また、湿り蒸気を冷却媒体として利用すれば湿り
分の蒸発潜熱も冷却に利用できるので、さらに吸熱効果
が高くなる。このように、冷却媒体に蒸気を使用する
と、空気を使用した場合よりも冷却効率が高くできるの
で、燃焼ガスのタービン入口温度も高くでき、その結果
熱効率を向上させることができる。
【0003】また、従来タービン動静翼の冷却には圧縮
機からの空気が使用されていたが、この圧縮空気が冷却
に使用されるとタービンから取り出すことのできる仕事
が少なくなってしまう。そこで、空気の代わりに蒸気を
使用すれば、動静翼の冷却空気が省略でき、その分ター
ビンで回収できる仕事は多くなるので、発電効率が向上
する。
【0004】図12は、動静翼に蒸気冷却を適用したガ
スタービンの部分断面図である。また、図13は、高温
部に蒸気冷却を採用したガスタービン複合プラントを示
す概略図である。このガスタービン複合発電プラントで
は、HRSG(Heat Recovery Steam Generator:排熱
回収ボイラー)370によって、ガスタービンの排ガス
が持っている熱エネルギーを回収する。回収されたガス
タービン排ガスの熱エネルギーによって蒸気が作られ
て、この高温・高圧の蒸気はまず高圧蒸気タービン35
0に供給されてこれを駆動し、これに接続された発電機
355によって電力を発生する。
【0005】高圧蒸気タービン350で仕事をした蒸気
は、ガスタービンのタービン主軸310内に設けられた
蒸気供給管311を通って動翼321に導かれる。ま
た、ガスタービンのケーシング外側に設けられた蒸気供
給口330から静翼325へ蒸気が供給される。ここ
で、動翼321および静翼325内部には冷却流路が設
けられており、動翼321および静翼325に導かれた
蒸気はこの冷却流路を通過する間に流路内壁面から燃焼
ガスの熱を吸収して流路外へ排出される。その後、動翼
321を冷却した蒸気はタービン主軸310内に設けら
れた蒸気回収管312を通って、また、静翼325を冷
却した蒸気は蒸気回収口331からガスタービンの外部
へ取り出される。
【0006】この冷却蒸気は混合器360に導かれて、
燃焼器尾筒等を冷却した冷却蒸気等と混合された後、中
圧蒸気タービン351や低圧蒸気タービン352を駆動
するための作動流体として使用される。中圧蒸気タービ
ン351や低圧蒸気タービン352を駆動した蒸気は復
水器365によって水に戻った後、ポンプによってHR
SG370へ供給されて、再び上記の過程を繰り返す。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の動翼
や静翼等といった高温部材に蒸気冷却を適用したガスタ
ービンでは、起動からしばらくの間、ローターディスク
や動翼を圧縮機から送られる燃焼用空気の一部を使用し
て暖機する。これは、起動直後から高温・高圧の蒸気に
よって動翼や静翼、あるいはローターディスクを冷却す
ると、急激な温度差による熱衝撃が発生してこれらの部
材に不具合を発生させる場合があるからである。そし
て、最悪の場合には破損を招き、ガスタービンの運転が
できなくなる場合もある。しかしながら、暖機に使用し
た空気を蒸気に切替える際に、両者の間に温度差が存在
する場合には、程度の違いはあるものの動翼や静翼には
熱衝撃が発生し、これらに不具合を起こさせる場合があ
った。
【0008】この問題を解決するために、特開平10−
18809号公報には、圧縮機の途中から圧縮中の空気
を抽気してガスタービンの高温部を冷却し、冷却媒体を
空気から蒸気へ切替える際には両者の温度差をなくすよ
うに制御する技術が開示されている。しかし、このガス
タービンでは圧縮機における圧縮段の途中から冷却用の
空気を抽気するので、翼の失速等により圧縮機の運転が
不安定になり、その結果、高温部の冷却も不安定になる
場合があった。また、動翼に供給される冷却空気が不安
定になる結果、高温部の温度を一定に保ちにくくなり、
ひいてはガスタービンの運転が不安定となる場合があ
る。このように、このガスタービンでは安定した運転状
態を維持することが難しく、ガスタービンのトリップを
引き起こす場合があった。
【0009】また、ガスタービンの動静翼は内部に冷却
媒体を流すための冷却流路を備えているが、運転直後は
まだ動静翼の温度が十分に温まっておらず、これらの温
度が冷却蒸気の飽和蒸気温度よりも低い場合には、冷却
蒸気が凝縮して水滴となってしまう。また、運転停止後
再起動した場合には、先の運転時に流した冷却蒸気が凝
縮し、水滴となって冷却流路内に留まっている場合もあ
る。
【0010】ここで、特に動翼は高速で回転し、さらに
その回転半径も大きいため、動翼には約50000〜1
00000m/s2という非常に大きい遠心加速度が作
用する。このため、動翼の冷却流路内に蒸気が凝縮して
できた水滴が存在すると、上述したような非常に大きい
遠心加速度がこの水滴に作用する。そして、たとえこの
水滴がわずかな量であっても、ガスタービンの回転バラ
ンスを大きく崩して振動を発生し、最悪の場合にはガス
タービンのトリップを招くこともあった。
【0011】この問題を解決するために、従来から、冷
却媒体を蒸気へ切替える前に空気を動静翼内に設けられ
た冷却流路へ流して、動翼等の暖機を兼ねて冷却蒸気が
凝縮してできた水滴をパージする技術が使用されてい
る。また、このパージをより完全なものとするために、
特開平11−93693号公報には、ガスタービンの高
温部を真空状態に維持させた後、パージ運転、ウォーミ
ング運転、蒸気冷却運転、停止運転を順次行うコンバイ
ンドサイクル発電プラントの運転方法が開示されてい
る。しかしながら、完全に冷却流路内に残された水滴を
パージしたとしても、冷却媒体を空気から蒸気へ切替え
たときに、ガスタービンのローター系における軸振動が
許容値を超えてしまうことがある。このように、冷却媒
体の切替え時にガスタービンのトリップを招くという問
題は依然として残されていた。
【0012】そこで、この発明は、上記に鑑みてなされ
たものであって、高温部材の冷却媒体を空気から蒸気へ
切替える際に、主軸の振動を抑制してガスタービンのト
リップを最小限にできる蒸気冷却を用いたガスタービン
およびその運転方法、並びにガスタービン複合発電プラ
ントを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、請求項1に係るガスタービンは、冷却媒体として
ガスタービン車室の空気と蒸気とを切替えて使用する、
内部に冷却流路を備えたガスタービンの高温部材と、前
記高温部材へ冷却用の蒸気を供給するボイラーその他の
蒸気供給手段と、温度が異なる空気の混合割合または空
気の冷却量のうち少なくとも一方を制御することで、前
記高温部材へ供給されるガスタービン車室の空気温度を
調整できる空気温度調整手段を有する車室空気供給手段
と、前記空気温度調節手段によって車室空気と蒸気との
温度を揃えた後、前記高温部材の冷却媒体を車室空気か
ら蒸気へ切替える冷却媒体切替え手段と、を備えたこと
を特徴とする。
【0014】このガスタービンは、動翼等のガスタービ
ンの高温部材を冷却する冷却媒体を、車室空気からHR
SG等で作られた蒸気に切替えるにあたり、車室空気と
蒸気との温度を揃えてから弁等の切替え手段によって切
替えるようにしてある。蒸気冷却を採用するガスタービ
ンでは、自己の排ガスによって十分な冷却用の蒸気が生
成できるまでは、圧縮機で作られた燃焼用空気の一部を
抽気して高温部材を冷却する。そして、自己の排ガスに
よって十分な冷却用蒸気が生成できると、冷却媒体を車
室空気からHRSGで生成された蒸気に切替える。
【0015】このとき、車室空気と蒸気との温度差が大
きいと、ガスタービンのタービン主軸やローターディス
ク等を含むローター系全体の軸振動が大きくなり、その
許容値を超える場合がある。特にタービン主軸の軸振動
が許容値を超えると、それ以上の運転は危険なのでガス
タービンの運転が停止(トリップ)する。実際の発電プ
ラントでこのようなガスタービンのトリップが発生する
と、予定通りに電力を供給できないことがあり、運用上
大きな障害となる。
【0016】タービン主軸を含むローター系全体の軸振
動は、タービン主軸の周方向に温度分布が生じたり、タ
ービン主軸に連結されているローターディスクの周方向
に温度分布が生じたりすることによって発生する。ここ
で、切替え対象である車室空気と蒸気との温度を揃えれ
ば、この温度分布が小さくなり、ローター系全体の軸振
動を許容値以内に収めることができる。これによって、
冷却媒体の切替え時におけるガスタービンのトリップを
回避できるので、信頼性の高い安定した運転ができる。
そして、ガスタービン複合発電プラントではトリップの
発生が極小になるので、計画通りに電力を供給できる。
また、このガスタービンでは、冷却媒体の切替え時にお
けるローター系全体の軸振動を許容値以下に抑えること
ができるので、ガスタービンの併入期間に重ねて冷却媒
体を車室空気から蒸気へ切替えることができる。このた
め、定格負荷まで移行する時間が短縮でき、起動損失を
低減できる。ここで、ガスタービンの併入とは、それま
で単独で運転されていたガスタービンに発電機を接続し
て、電力を発生させることをいう。
【0017】なお、車室空気と蒸気との温度を揃えると
は、理想的には両者の温度が等しくなることをいうが、
実際の運用上は両者の温度差が15℃以内であれば、タ
ービン主軸の軸振動やローター系全体の軸振動を許容値
に収めることができる。ただし、温度差が15℃以内と
いう条件は、軸振動の許容限界に近い。したがって、よ
り安定して冷却媒体を切替えるには12〜13℃以内が
好ましく、さらに安全を見込むと両者の温度差は10℃
以内であることが望ましい。
【0018】ガスタービンの高温部材には、動翼、ター
ビン主軸、ローターディスクあるいは静翼等があるが、
この発明においては温度分布に起因する回転系の不釣合
いによる振動が問題となる。このため、本発明における
高温部材としては、特に動翼、タービン主軸、あるいは
ローターディスクが対象となる(以下同様)。また、こ
の発明では空気温度調整手段によって、車室空気温度と
蒸気温度とを揃える。ここで、温度が異なる空気の混合
割合の制御には、例えば、空気を冷却するための熱交換
器を通過する車室空気とこの熱交換器を通過しない車室
空気との混合割合を変化させることで、混合後の車室空
気の温度を調整するような制御がある。また、空気の冷
却量の制御には、例えば、車室空気を流す熱交換器を冷
却するためのファンの台数を変化させたり、あるいはこ
のファンの回転数を変化させたりする制御がある。
【0019】ガスタービンの起動から蒸気へ切替えるま
では、車室から抽気した車室空気を用いて動翼やタービ
ン主軸あるいはローターディスクを暖機・冷却する。従
来は圧縮機の途中段からこの空気を抽気していたが、こ
のように空気の流れがある場所から抽気すると、翼の失
速等により圧縮機の運転が不安定になる結果、動翼やタ
ービン主軸等の暖機・冷却が不十分になる場合があっ
た。また、圧縮機の途中で抽気した空気は圧縮の途中で
あるため圧力が低く、動翼内に設けられた冷却流路を流
すために十分な圧力が得られない場合もあった。その結
果、動翼の冷却不良を引き起こす場合もあった。一方、
車室は圧縮の完了した空気が一時的にためられる場所で
あり、空気の流れが持つ運動エネルギーが圧力のエネル
ギーに変換されているため、動翼内に設けられた冷却流
路を流すのに十分な圧力を得ることができる。したがっ
て、車室から抽気した車室空気を使用すると、安定して
動翼やタービン主軸等を暖機・冷却できるので、トリッ
プも回避できる。
【0020】また、請求項2に係るガスタービンは、冷
却媒体としてガスタービン車室の空気と蒸気とを切替え
て使用する、内部に冷却流路を備えたガスタービンの高
温部材と、前記高温部材へ冷却用の蒸気を供給するボイ
ラーその他の蒸気供給手段と、前記高温部材と前記蒸気
供給手段との間に設けられ、且つ前記冷却用の蒸気に水
を噴射しさらにこの水噴射量または水温のうち少なくと
も一方を調整することでこの蒸気の温度を調整できる水
噴射手段と、ガスタービンの車室空気を前記高温部材へ
供給する空気供給手段と、前記水噴射手段によって冷却
用の蒸気温度を調整して、車室空気と蒸気との温度を揃
えた後、前記高温部材の冷却媒体を車室空気から蒸気へ
切替える冷却媒体切替え手段と、を備えたことを特徴と
する。
【0021】このガスタービンは、冷却媒体を車室空気
から蒸気に切替える際に、蒸気に水を噴射して蒸気の温
度を調整して、車室空気と蒸気との温度を揃えるように
してある。蒸気に水を噴射すると、蒸気の温度は急激に
低下するので、迅速な制御には車室空気の温度を調整す
るよりも蒸気温度を調整した方がよい。このようにする
と、車室空気と蒸気との温度を迅速に揃えることができ
るので、温度調整に時間を要さず、より短い時間で定格
運転に移ることができる。また、起動損失も抑えること
ができる。
【0022】蒸気温度の調整には水噴射手段を使用する
が、これは、例えば蒸気の配管途中に水スプレーを設
け、この水スプレーから高圧水を噴射するようなものが
ある。また、水噴射量あるいは水温の少なくとも一方を
調整することで、蒸気温度を調整できるが、水温の異な
る水を用意して、車室空気温度と蒸気温度との偏差に基
づき、蒸気の比熱から必要な水温とその噴射量とを計算
してもよい。このようにすると、より短い時間で車室空
気温度と蒸気温度とを揃えることができるので好まし
い。なお、水噴射による蒸気温度の調整は、蒸気温度を
下げることしかできないので、車室空気温度よりも蒸気
温度のほうが高い場合に、この調整方法が適用できる。
このため、実際の運転においては、車室空気温度よりも
蒸気温度の方が高い状態で、両者の温度を揃えるように
することが好ましい。
【0023】また、請求項3に係るガスタービンは、冷
却媒体としてガスタービン車室の空気と蒸気とを切替え
て使用する、内部に冷却流路を備えたガスタービンの高
温部材と、前記高温部材へ冷却用の蒸気を供給するボイ
ラーその他の蒸気供給手段と、前記高温部材と前記蒸気
供給手段との間に設けられ、且つ前記冷却用の蒸気に水
を噴射しさらにこの水噴射量または水温のうち少なくと
も一方を調整することでこの蒸気の温度を調整できる水
噴射手段と、温度が異なる空気の混合割合または空気の
冷却量のうち少なくとも一方を制御することで、前記高
温部材へ供給されるガスタービン車室の空気温度を調整
できる空気温度調整手段を有する車室空気供給手段と、
前記水噴射手段または前記空気温度調整手段のうち少な
くとも一方を制御することで車室空気と蒸気との温度を
揃えた後、前記高温部材の冷却媒体を車室空気から蒸気
へ切替える冷却媒体切替え手段と、を備えたことを特徴
とする。
【0024】このガスタービンは、車室空気温度と蒸気
温度とを揃えるにあたり、空気温度調整手段と蒸気温度
を調整する水噴射手段との少なくとも一方によって、両
者の温度を揃えるようにしてある。このガスタービンで
は、空気温度調整手段と水噴射手段との両方を併用して
車室空気温度と蒸気温度とを揃えることができるので、
このようにした場合には、上記ガスタービンよりもさら
に迅速に両者の温度を揃えることができる。このため、
さらに短い時間で定格運転に移行できるので、起動損失
をより低減できる。
【0025】また、上述したように、車室空気温度と蒸
気温度とを揃えるにあたっては、蒸気温度の方を車室空
気温度よりも高くしてから冷却媒体を切替えた方が好ま
しい。しかし、このガスタービンでは、空気温度調整手
段と水噴射手段とを選択して、または併用して車室空気
と蒸気温度とを揃えることができる。このため、蒸気温
度の方が車室温度よりも高くなるのを待たずに両者の温
度を揃える制御ができるので、この分、定格運転に移行
する時間を早くでき、起動損失も低く抑えることができ
る。
【0026】また、請求項4に係るガスタービンは、上
記ガスタービンにおいて、さらに、上記車室空気と蒸気
との温度差が15℃以内になったときに、上記冷却媒体
切替え手段によって冷却媒体を車室空気から蒸気へ切替
えることを特徴とする。このガスタービンでは、車室空
気と蒸気との温度を完全に等しくなるまで合わせなくと
も、両者の温度差が15℃以内になったときに冷却媒体
を切替えればよいので、それだけ早く冷却媒体を切替え
ることができる。その結果、より早く定格運転に移行で
きるので、起動損失も低減できる。
【0027】また、請求項5に係るガスタービンは、上
記ガスタービンにおいて、さらに、上記冷却用の蒸気は
ガスタービンの静翼を冷却した後の蒸気であることを特
徴とする。このガスタービンでは、静翼を冷却した後の
蒸気を利用して動翼の冷却蒸気として使用する。動翼の
冷却媒体を車室空気から蒸気に切替える段階は、車室空
気による暖機が終了した段階であり、この時点でガスタ
ービンの排ガスによって生成できる蒸気の温度は300
℃程度である。一方、この段階で車室空気の温度は40
0℃程度であるので、車室空気を空気冷却手段によって
100℃程度冷却する必要がある。一方、この段階では
静翼を冷却した後の蒸気温度はおよそ400℃であり、
車室空気温度と同程度である。このため、静翼を冷却し
た後の蒸気を動翼の冷却に使用すれば、車室空気の冷却
はほとんど必要なくなる。その結果、これまで車室空気
の冷却に費やしてきたエネルギーがほとんど不要になる
ので、この分起動損失を低減できる。
【0028】また、請求項6に係る制御装置は、ガスタ
ービンの高温部材に蒸気を供給する蒸気供給手段と、こ
の蒸気に水を噴射して蒸気温度を調整する水噴射手段
と、空気の冷却量または温度の異なる空気の混合割合の
うち少なくとも一方を制御することで前記高温部材に供
給する車室空気の温度を調整できる空気温度調整手段
と、前記高温部材の冷却媒体を車室空気から蒸気へ切替
える冷却媒体切替え手段と、を備えたガスタービンの高
温部材に供給される冷却媒体を車室空気から蒸気へ切替
えるための制御装置であって、前記蒸気温度と前記車室
空気温度とを比較し、この比較結果に基づいて前記蒸気
温度と前記車室空気温度とを揃えるように、前記水噴射
手段または前記空気温度調整手段のうち少なくとも一方
を作動させる信号を生成する処理部と、前記処理部から
の信号に基づいて前記水噴射手段または前記空気温度調
整手段のうち少なくとも一方を制御し、且つ前記蒸気温
度と前記車室空気温度との温度が揃ったときに、前記冷
却媒体切替え手段を作動させ冷却媒体を蒸気に切替える
制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0029】この制御装置は、車室空気温度を調整する
空気温度調整手段と、蒸気温度を調整する水噴射手段と
のうち少なくとも一方を制御して、車室空気温度と蒸気
温度とを揃えるものである。この制御においては、車室
空気温度と蒸気温度とを制御のパラメータとして使用
し、これらの比較結果に基づいて、空気調整手段と水噴
射手段を作動させる。ここで、車室空気温度と蒸気温度
との温度差が15℃以内、好ましくは12〜13℃以
内、さらに望ましくは10℃以内になるように両者の温
度を揃える。
【0030】車室空気温度と蒸気温度とを比較した結
果、車室空気温度が高い場合には、空気冷却手段の冷却
量を増やしたり、あるいは空気冷却手段によって冷却さ
れる空気の割合を増やしたりして、車室空気温度を下げ
るように制御する。また、蒸気温度の方が高い場合に
は、水噴射手段において水噴射量を増やしたり、より低
い温度の水を噴射したりして蒸気の温度を下げるように
制御する。
【0031】なお、蒸気温度の方が高い場合には、同時
に空気冷却手段を制御して、車室空気の温度を高くする
ようにしてもよい。冷却媒体の切替え時における車室空
気の温度は蒸気の温度よりも100℃程度高いため、車
室空気は冷却して高温部材に供給しているため、冷却の
程度を少なくすることで、高温部材に供給される車室空
気温度を高くできるからである。このように制御するこ
とで、迅速に車室空気温度と蒸気温度とを揃えることが
できる。両者の温度が揃ったら、冷却媒体切替え手段を
作動させて、高温部材の冷却媒体を蒸気に切替える。こ
の制御装置は、空気温度調整手段と水噴射手段とを選択
して、または併用して制御することで車室空気と蒸気温
度とを揃えることができる。このため、蒸気温度の方が
車室温度よりも高くなるのを待たずに両者の温度を揃え
る制御ができるので、この分定格運転に移行する時間を
早くでき、その分、起動損失も低く抑えることができ
る。
【0032】また、請求項7に係るガスタービンの運転
方法は、ガスタービンの高温部材を冷却する冷却媒体を
車室空気から蒸気へ切替えるにあたって、前記車室空気
と前記蒸気との温度を測定する工程と、前記車室空気と
前記蒸気との温度を比較する工程と、この比較結果に基
づき、前記車室空気の温度を調整することで、前記車室
空気温度と前記蒸気温度とを揃える工程と、前記車室空
気温度と前記蒸気温度とを揃えた後、前記高温部材の冷
却媒体を車室空気から蒸気へ切替える工程と、を有する
ことを特徴とする。
【0033】このガスタービンの運転方法は、車室空気
温度と蒸気温度とを揃えるにあたり、空気温度調整手段
を調整することによって、両者の温度を揃えるようにし
てある。冷却媒体を蒸気に切替えるときの車室空気温度
は、蒸気温度よりも約100℃高いので、車室空気は冷
却手段によって温度を調整してから動翼に供給される。
冷却媒体切替え時における蒸気温度はある値よりも高く
はできないので、蒸気温度が車室空気温度よりも低い場
合には蒸気温度の調整によって車室空気温度と蒸気温度
とを揃えることはできない。この運転方法によれば、車
室空気温度を調整するため、蒸気温度に関わらず、車室
空気温度と蒸気温度とを揃えることができる。なお、こ
の運転方法における各工程は人手によってもよい。ま
た、このガスタービンの運転方法をコンピュータに実行
させるためのプログラム(請求項10)によって、この
ガスタービンの運転方法がコンピュータを利用して実現
できる。
【0034】また、請求項8に係るガスタービンの運転
方法は、ガスタービンの高温部材を冷却する冷却媒体を
車室空気から蒸気へ切替えるにあたって、前記車室空気
と前記蒸気との温度を測定する工程と、前記車室空気と
前記蒸気との温度を比較する工程と、この比較結果に基
づき、前記蒸気の温度を調整することで、前記車室空気
温度と前記蒸気温度とを揃える工程と、前記車室空気温
度と前記蒸気温度とを揃えた後、前記高温部材の冷却媒
体を車室空気から蒸気へ切替える工程と、を有すること
を特徴とする。
【0035】このガスタービンの運転方法は、車室空気
温度と蒸気温度とを揃えるにあたり、蒸気温度を調整す
る水噴射手段によって、両者の温度を揃えるようにして
ある。蒸気に水を噴射すると、蒸気温度を急速に下げる
ことができるので、迅速な制御ができる。このため、車
室空気温度と蒸気温度とを素早く揃えて、起動損失を低
減できる。また、蒸気や噴射する水の比熱や温度から、
蒸気温度をある値まで下げるにはどの程度水を噴射すれ
ばよいかが計算できるので、この計算値に基づいて水を
噴射すれば、さらに迅速な制御ができる。これにより、
さらに短い時間で定格運転に移行できるので、起動損失
はより低減できる。なお、この運転方法における各工程
は人手によってもよい。また、このガスタービンの運転
方法をコンピュータに実行させるためのプログラム(請
求項10)によって、このガスタービンの運転方法がコ
ンピュータを利用して実現できる。
【0036】また、請求項9に係るガスタービンの運転
方法は、ガスタービンの高温部材を冷却する冷却媒体を
車室空気から蒸気へ切替えるにあたって、前記車室空気
と前記蒸気との温度を測定する工程と、前記車室空気と
前記蒸気との温度を比較する工程と、この比較結果に基
づき、前記車室空気または前記蒸気のうち少なくとも一
方の温度を調整することで、前記車室空気温度と前記蒸
気温度とを揃える工程と、前記車室空気温度と前記蒸気
温度とを揃えた後、前記高温部材の冷却媒体を車室空気
から蒸気へ切替える工程と、を有することを特徴とす
る。
【0037】このガスタービンの運転方法は、車室空気
温度と蒸気温度とを揃えるにあたり、空気温度調整手段
と蒸気温度を調整する水噴射手段との少なくとも一方に
よって、両者の温度を揃えるようにしてある。このガス
タービンの運転方法では、空気温度調整手段と水噴射手
段とを選択して、または併用して車室空気と蒸気温度と
を揃えることができる。このため、蒸気温度の方が車室
空気温度よりも低い場合であっても車室空気温度を調整
すればよいので、蒸気温度が車室空気温度よりも高くな
るのを待たずに両者の温度を揃えることができる。した
がって、この分、定格運転に移行する時間を早くでき、
起動損失も低く抑えることができる。また、空気温度調
整手段と水噴射手段との両方を併用して車室空気温度と
蒸気温度とを揃える場合には、さらに迅速に両者の温度
を揃えることができる。このため、さらに短い時間で定
格運転に移行できるので、起動損失をより低減できる。
なお、この運転方法における各工程は人手によってもよ
い。また、このガスタービンの運転方法をコンピュータ
に実行させるためのプログラム(請求項10)によっ
て、このガスタービンの運転方法がコンピュータを利用
して実現できる。
【0038】また、請求項11に係るガスタービン複合
発電プラントは、上記ガスタービンと、このガスタービ
ンに接続された発電機と、前記ガスタービンの排ガスに
よって蒸気を生成する排熱回収ボイラーと、当該排熱回
収ボイラーで生成された蒸気を前記ガスタービンの高温
部材に供給し、当該高温部材を冷却するための配管と、
前記排熱回収ボイラーで生成された蒸気が供給され、発
電機を駆動して電力を発生する蒸気タービンと、を備え
たことを特徴とする。
【0039】このガスタービン複合発電プラントは、上
記ガスタービンを備えており、高温部材の冷却媒体を切
替える際には車室空気温度と蒸気温度とを揃えてから切
替えるので、ローター系全体の軸振動に起因するガスタ
ービンのトリップの危険性を極小にできる。このため、
計画通りに電力を供給でき、信頼性の高い運転ができ
る。また、迅速に冷却媒体を切替えることができるの
で、起動損失も低減できる。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、この発明につき図面を参照
しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこ
の発明が限定されるものではない。また、下記実施の形
態における構成要素には、当業者が容易に想定できるも
のが含まれるものとする。
【0041】(実施の形態1)図1は、この発明の実施
の形態1に係る蒸気冷却を用いたガスタービンおよびそ
の冷却系統を示す説明図である。このガスタービンは、
ガスタービンの起動から動翼等の暖機が完了するまでは
車室から供給される空気によって動翼等を暖機する。そ
して、暖機終了後、車室から供給される冷却空気とガス
タービン外部から供給される蒸気との温度を揃えてから
冷却媒体を蒸気に切替える点に特徴がある。なお、次の
説明では動翼の冷却媒体を空気から蒸気へ切替える場合
を例にとって説明するが、本発明の適用範囲は動翼に限
られるものではない。例えば、静翼の冷却媒体を工場の
ボイラーで作られる補助蒸気から高圧過熱器で作られる
高圧蒸気へ切替える場合にも適用できる。また、燃焼器
尾筒の冷却蒸気を工場の補助蒸気からHRSGの高圧蒸
気へ切替える場合にもこの発明は適用できる。
【0042】ガスタービン90に連結された発電機(図
示せず)をモーターとして使用することで、ガスタービ
ン90を起動させる。ガスタービン90が起動したら、
一定の回転数(ここでは3600rpm)に達するまで
ガスタービン90の回転を上昇させる。ここで、ガスタ
ービン90の起動直後においては、熱容量の大きいHR
SG(図示せず)はまだ十分に蒸気を供給できない。こ
のため、ガスタービン90の動翼1を冷却するために
は、ガスタービン90の車室3から供給される車室空気
を使用する。この車室空気を動翼1、タービン主軸2等
に流して、これらのメタル温度がこの後供給する冷却蒸
気の飽和温度以上になるまで暖機する。動翼1やタービ
ン主軸2等のメタル温度が冷却蒸気の飽和温度よりも低
いと、冷却蒸気に切替えた後に蒸気が結露してしまい、
回転系に不具合を与えるからである。冷却蒸気の飽和温
度は運転条件やガスタービンの仕様によって異なるが、
この例においては動翼1等のメタル温度を250℃以上
になるまで暖機する。
【0043】なお、車室3から供給される車室空気の温
度は400℃〜450℃であるが、これに対してガスタ
ービン90のコールドスタート時には動翼1やタービン
主軸2等のメタル温度は150〜250℃である。した
がって、このまま車室空気を動翼1等に供給すると、車
室空気と動翼1等のメタル温度との間には最大で300
℃程度の温度差が生ずることになる。そして、この温度
差によって動翼1やタービン主軸2が急激に膨張するた
め、動翼1等には過大な熱応力が急激に作用して、変形
や破壊を引き起こすおそれがある。また、動翼1やター
ビン主軸2は高速で回転するため、わずかな変形であっ
ても回転バランスが大きく崩れて、ガスタービン90の
トリップ(停止)を引き起こす場合もある。
【0044】反対に、ホットスタート時には動翼1やタ
ービン主軸2等のメタル温度の方が車室空気の温度より
も高くなる場合がある。この場合は動翼1等が収縮する
ことになるが、動翼1の冷却流路やタービン主軸2等の
加工精度やタービン内部の圧力分布等に起因して、車室
空気は必ずしも動翼1やタービン主軸2を均一に冷却す
る訳ではない。このため、動翼1やタービン主軸2に温
度分布が生ずる結果、部分的に寸法が変化してしまい、
回転バランスを崩してガスタービン90のトリップを招
くおそれがある。
【0045】これらの問題を回避するために、車室空気
供給系は図2に示すように構成されている。ここで、図
2は、車室空気供給系を示す説明図である。車室空気供
給系にはTCA(Turbine Cooling Air)クーラー20
およびTCAクーラー20をバイパスするバイパス流路
21が設けられている。そして、このバイパス流路21
には流量調整弁23が備えられており、TCAクーラー
20をバイパスする車室空気の流量を調整する。コール
ドスタート時(図2(a))には流量調整弁23が閉じ
られており、すべての車室空気はTCAクーラー20に
よって、その温度を動翼1等のメタル温度近傍まで下げ
られた後に動翼1等へ供給される。また、TCAクーラ
ー20には冷却ファン24が備えられており、この冷却
ファン24の運転台数や回転数を調整することで、TC
Aクーラー20を通過する車室空気の温度を調整するこ
とができる。このようにして、徐々に動翼1等のメタル
温度をつぎに供給する蒸気の飽和温度以上に昇温させ
る。
【0046】ホットスタート時(図2(b))には動翼
1等のメタル温度がある程度高くなっているため、車室
空気の温度を大きく下げる必要はない。このため、流量
調整弁23を開けることで、TCAクーラー20をバイ
パスする車室空気量を多くする。このようにして、動翼
1等に供給される車室空気の温度を下げ過ぎないように
してから、動翼1等に車室空気を供給する。また、冷却
ファン24の運転台数や回転数を調整して車室空気の温
度を調整することもできる。このような車室空気冷却系
によって、コールドスタートまたはホットスタートを問
わず、最適な空気温度の車室空気を供給できるので、動
翼1、タービン主軸2(図1参照)等といった回転系の
熱変形を極めて小さくできる。これによって、ガスター
ビン90(図1参照)のトリップを抑えることができる
ので、安定した運転ができる。
【0047】なお、動翼1等を流れる車室空気の流量が
少なすぎると冷却が不十分になるのでメタル温度が許容
値を超えてしまい、動翼1等が破損する場合がある。一
方、コールドスタート時のように動翼1等のメタル温度
が低い場合には、動翼1等に供給される車室空気の量が
多すぎると、適切な温度までメタル温度を昇温させるま
で長い時間を要する結果、起動損失が増加する場合があ
る。したがって、TCAクーラー20のバイパス流路2
1がTCAクーラー20の後流側流路と合流した後に、
動翼1等をバイパスさせるタービンバイパス流路26を
設け、流量調整弁25によって動翼1等に供給される車
室空気量を適切な量に調整するようにしてもよい。この
ようにすると、適切な車室空気を動翼1等に流すことが
できるため、起動損失を抑えつつ速やかに動翼1等のメ
タル温度を昇温させることができる。
【0048】動翼1、タービン主軸2等の温度が、冷却
媒体を切替えた後に供給される蒸気の飽和温度よりも高
くなったら、動翼1等を冷却する媒体を車室空気からH
P−SH(High Pressure-Super Heater:高圧過熱器)
80の高圧蒸気に切替える。まず、HP−SH圧力調整
弁11を制御して、HP−SH80から供給される高圧
蒸気の圧力をおよそ2MPaに制御する。これは、車室
空気圧力が約2MPaであるため、両者の圧力差を小さ
くしてできるだけ滑らかに冷却媒体を切替えるためであ
る。
【0049】しかしながら、車室空気の圧力が動翼1等
に供給される蒸気圧力よりも高い場合には、高温の燃焼
ガスが動翼1の表面に設けられたフィルム冷却空気孔
(図示せず)から逆流する。その結果、動翼1が過熱し
てガスタービンのトリップを招くおそれがあるので、車
室空気の圧力よりも動翼1等に供給される蒸気圧力を高
く保つ必要がある。
【0050】このために、圧力計45によって動翼に供
給される蒸気圧力P1を、圧力計46によって車室空気
の圧力P2を測定し、常にP1>P2+αとなるように制
御する。αを加算するのは、何らかの理由によって車室
空気の圧力P2が急激に上昇しても、αがマージンとな
って動翼に供給される蒸気圧力P1を超える前にP1を上
昇させる等の制御できるからである。このαはガスター
ビンの仕様によっても若干異なるが、0.15MPa〜
0.20MPaの範囲であれば何らかの理由によって急
激に車室空気の圧力P2が上昇した場合でも、圧力の制
御は追従できる。なお、動翼1に供給される蒸気圧力P
1の制御は、例えば排気弁13を閉じることによって、
あるいはHP−SH圧力調整弁11を開けることによっ
て、P1を上昇させることができる。
【0051】HP−SH圧力調整弁11の制御によっ
て、HP−SH80から供給される高圧蒸気の圧力がお
よそ2MPaになったら、動翼1の入口側に設けられた
動翼蒸気制御弁10を徐々に開く。すると、動翼蒸気制
御弁10後流の蒸気圧力P1が徐々に上昇を開始する。
また、車室空気供給系が蒸気供給系と合流する部分を基
準とした車室空気供給系の上流側には、車室空気逆止弁
12が設けられている。そして、蒸気圧力P1が車室空
気圧力P2よりも高くなると車室空気逆止弁12が閉じ
るので、動翼1へ供給される冷却媒体が車室空気から蒸
気へ切り替わる。
【0052】動翼1の冷却媒体が蒸気に切り替わった
ら、動翼1の冷却流路出口側に設けられた排気弁13を
閉じて、動翼1を冷却した蒸気を混合器5へ導く。混合
器5に導かれた蒸気は、尾筒(図示せず)や静翼4を冷
却した蒸気と混合されて中圧タービン6を駆動する。な
お、動翼1の冷却媒体を蒸気に切替える前には排気弁1
3を開けて、動翼1の冷却流路出口から車室空気をガス
タービン外部へ排気する。中圧タービン6を駆動した蒸
気は復水器7に導かれて水に戻された後、再びHRSG
へ供給される。
【0053】なお、動翼1の冷却媒体としてHRSGで
作られた蒸気を使用する場合には、HRSGで回収した
ガスタービンの排ガスが持つ熱エネルギーを中圧タービ
ン6によって運動エネルギーに変換して外部に取り出す
必要がある。このため、排気弁13を閉じて、動翼1を
冷却した後の蒸気で中圧タービン6を駆動するのであ
る。ここで、動翼1に導かれた蒸気は動翼1内に設けら
れた冷却流路で熱交換するため、冷却後の蒸気温度は冷
却する前よりも高くなる。したがって、冷却後に蒸気温
度が上昇した分の熱エネルギーも中圧タービン6で回収
できるので、プラント全体の熱効率はより高くなる。
【0054】上記冷却媒体の切替えにおいては、車室空
気とHP−SH80からの高圧蒸気の温度を揃える必要
がある。この理由をつぎに説明する。図1に示すよう
に、動翼1に蒸気を供給するための蒸気供給管8、およ
び動翼1を冷却した後の蒸気を回収する蒸気回収管9
は、タービン主軸2の内部に設けられている。また、図
1からは明らかではないが、蒸気回収管9はタービン主
軸2と前記蒸気供給管8との間へ、環状に複数本設けら
れている。
【0055】ガスタービン90の外部から供給される高
圧蒸気は、冷却媒体供給口30からタービン主軸2内に
導かれる。ここで、配管系の配置上、蒸気はタービン主
軸2の軸方向に対して垂直な方向から供給された後、ジ
ョイント部35でその向きを90度変えてから、タービ
ン主軸2内の蒸気供給管8へ流れ込む。このように、H
P−SH80から供給される高圧蒸気は、タービン主軸
2内の蒸気供給管8に導かれる手前のジョイント部35
で急激に流れの方向を変えるため、タービン主軸2内部
に設けられた蒸気供給管8の内部は乱れた蒸気の流れと
なる。
【0056】また、複数の動翼1がローターディスク3
6の周囲に取り付けられて、一つのタービン翼列を形成
するが、それぞれの動翼1内に設けられた冷却流路は完
全に均一に形成されている訳ではない。このように、個
々の動翼1に設けられた冷却流路の成形精度が異なるこ
とに起因して、それぞれの冷却流路における圧力損失が
異なる結果、個々の冷却流路に流れる冷却媒体の量も異
なる。このため、タービン主軸2の内部に設けられてい
るすべての蒸気回収管9へ均等に蒸気が流れる訳ではな
く、管によって流れる蒸気流量には差が生ずる。
【0057】一方、動翼1の冷却媒体を車室空気からH
P−SH80の高圧蒸気に切替える際には両者が混在す
るときがある。ここで、蒸気供給管8内の流れは乱れて
おり、また、すべての蒸気回収管9へ均等に冷却媒体が
流れる訳ではないので、冷却媒体の切替え時には、車室
空気が多い部分と高圧蒸気が多い部分とが存在する。そ
して、両者の温度差が大きくなると、蒸気供給管8や蒸
気回収管9に温度分布が顕著に生ずる結果、動翼1やタ
ービン主軸2あるいはローターディスク36にも同様に
温度分布が生ずる。
【0058】図3は、タービン主軸2に周方向の温度分
布が生じた場合を示す概念図である。ここで、図3
(a)は周方向の温度分布が小さいときを示し、図3
(b)は周方向の温度分布が大きいときを示す。特にタ
ービン主軸2の周方向に温度差が生ずると、図3(b)
に示すようにタービン主軸2が反ることになる。そし
て、周方向の温度差が大きくなるとともにこの反りも大
きくなるので軸振動が大きくなり、ついにはガスタービ
ン90のトリップを招いてしまう。すなわち、タービン
主軸2に周方向の温度分布が生じ、その温度差が大きく
なると、タービン主軸2に生ずる軸振動も大きくなる。
【0059】図4は、車室空気と高圧蒸気との温度差
と、タービン主軸の軸振動との関係を示した説明図であ
る。ここで、軸振動は中心軸からの振れ幅である。図4
に示すように、両者の温度差が小さくなれば軸振動の値
も小さくなることがわかる。両者の温度差が20℃を超
えたときの軸振動値は運転上の許容値を超えており、こ
の軸振動値ではガスタービンのトリップを招いてしま
う。そして、両者の温度差が15℃以下であればガスタ
ービンの運転上許容できる軸振動値となるが、この値は
許容限界に近いので、この温度差でガスタービンの運転
を管理すると、運転状態がやや不安定になる。したがっ
てより安定した運転をするためには、両者の温度差を1
2〜13℃以下で運転することが好ましく、さらには1
0℃以下で運転することが好ましい。
【0060】つぎに、車室空気と高圧蒸気との温度を揃
える方法について説明する。このためには、車室空気ま
たは高圧蒸気のうち少なくとも一方の温度を調整するこ
とで、両者の温度を揃えることができる。図1に示すよ
うに、動翼1とHP−SH80との間には、水を高圧蒸
気に噴射して高圧蒸気の温度を下げるための水噴射スプ
レー34が備えられている。この水噴射スプレー34に
は高圧給水ポンプ37が接続されており、HP−SH8
0から供給される高圧蒸気に水を噴射する。
【0061】高圧蒸気に噴射された水は微粒子となって
高圧蒸気中に拡散するので、高圧蒸気の温度を急速に下
げることができる。このため、蒸気温度と車室空気温度
とを素早く揃えることができる。なお、車室空気の温度
は上述したようにTCAクーラー20(図2参照)で冷
却する空気量を変化させたり、あるいは作動させる冷却
ファン24の個数を変化させたり、冷却ファン24の回
転数を変化させることで調整できる。
【0062】車室空気温度の方が蒸気温度よりも高い場
合には、TCAクーラー20(図2参照)を通過する車
室空気量を多くして、蒸気の配管をウォーミングしつつ
蒸気温度を高くする。なお、TCAクーラー20のファ
ン台数を少なくする、あるいはTCAクーラー20のフ
ァン回転数を低くすることによって、車室空気温度を調
整してもよい。両者の温度差が10℃以内に収まったと
き、冷却媒体を車室空気から高圧蒸気へ切替える。ま
た、蒸気温度の方が車室空気温度よりも高い場合には、
水噴射スプレー34(図1参照)によって冷却水を高圧
蒸気に噴射して蒸気温度を下げつつ、TCAクーラー2
0(図2参照)を通過する車室空気量を少なくして車室
空気温度を高くする。そして、両者の温度差が10℃以
内になったときに冷却媒体を蒸気へ切替える。
【0063】このように、車室空気温度と蒸気温度とを
同時に調整することによって短時間で両者の空気温度を
揃えることができるので、切替えに時間を要さず、起動
損失も低減できる。なお、車室空気または高圧蒸気のう
ちいずれか一方の温度を調整して、両者の温度を揃えて
もよい。このようにすると、両者の温度を揃えるための
時間はやや多く要するが、両者の温度が急激に接近した
結果、両者の温度が所定の範囲を超えてしまう危険は低
く抑えることができる。
【0064】図5は、車室空気と蒸気との温度を揃える
ための制御方法を示す説明図である。ここで、同図
(a)は、制御方法を示すフローチャート、同図(b)
は、制御装置のブロック図である。この制御方法は、蒸
気温度と車室空気温度との差分の絶対値が所定の温度
(ここでは10℃)内になったときに、冷却媒体を蒸気
へ切替えるものである。図1に示すように、蒸気温度T
sは温度計40により、車室空気温度Taは温度計41
により測定する。なお、温度計40および41はガスタ
ービン90に設けられた冷却媒体供給口30近傍に設け
られており、この部分で測定すれば、この制御に対して
は十分である。なお、より精度よく制御するために、さ
らに動翼1に近い場所で測定してもよい。
【0065】蒸気温度Tsおよび車室空気温度Taは温
度計40および41で測定される(ステップS1)。こ
の測定結果は測定器131および132へ取り込まれて
電気信号に変換される。この電気信号は測定器131お
よび132でA/D変換された後、制御装置100へ送
られる。そして、比較の手段として制御装置100内の
処理部110に備えられている減算器111を用いて、
これによって両者の差分が計算される。なお、比較の手
段として、減算器の他にコンパレータ等を用いて、その
結果に基づいて演算装置等で蒸気温度Tsと車室空気温
度Taとの差を計算してもよい。
【0066】ここで、上記A/D変換された信号は、サ
ンプリング周波数500msで減算器111に取り込ま
れる。なお、サンプリング周期は制御の応答速度等を考
慮して適宜設定するものであり、500msに限定され
るものではない。この差分の絶対値ΔT=|Ta−Ts
|が所定の回数(ここでは10回)連続して10℃以内
に収まったとき、演算器112から制御部であるコント
ローラ120に制御信号を発信する(ステップS2)。
そして、動翼蒸気制御弁10、圧力調整弁11および排
気弁13を制御して冷却媒体を蒸気に切替える(ステッ
プS4)。
【0067】なお、信号にノイズがのりやすい環境下で
制御する場合には、ノイズの影響によってΔTが連続し
て10℃以内に収まらない場合がある。この場合には、
例えば、あるサンプリング周期で測定した温度に基づい
て求めたΔTを10回平均した値が10℃以内に収まっ
たときに、冷却媒体を切替えてもよい。このようにする
と、ノイズの影響を除去できるので、無闇に長い時間温
度調節をすることなく、冷却媒体を切替えることができ
る。ΔTが10℃以内に収まったことを判断する方法に
ついて、二つの例をあげて説明したが、蒸気温度Tsと
車室空気温度Taとの温度差が10℃以内に収まったこ
との判断は、これらの判断方法に限定されるものではな
い。例えば、タービン主軸2(図1参照)の温度を基準
として、両者をこの温度の±5℃以内の範囲に収めるよ
うにしてもよい。
【0068】差分の絶対値ΔTが10℃以内に収まらな
い場合には、演算器112からコントローラ120に制
御信号を送る。そして、コントローラ120によってT
CAクーラー20または水噴射装置高圧給水ポンプ37
を作動させ、TaまたはTsを調整して、ΔTを10℃
以内に収めるように制御する(ステップS3)。このと
き、車室空気または冷却蒸気の比熱から、どの程度の空
気をバイパスさせれば、あるいはどの程度の水を噴射す
ればどのくらい温度が下がるのかを計算できる。したが
って、この計算値を温度のフィードバックとともに使用
すると、より早くΔTを所定の温度範囲に収めることが
できる。なお、TCAクーラー20または水噴射装置高
圧給水ポンプ37は両方同時に作動させてもよいし、ど
ちらか一方のみを作動させて、ΔTを10℃以内に収め
るようにしてもよい。
【0069】ここで、蒸気温度を上昇させるには、HR
SGに入力される熱エネルギーを大きくする必要がある
が、HRSGは熱容量が大きいため、短時間で蒸気温度
を上昇させることは困難である。このため、冷却空気温
度Taの方が蒸気温度Tsよりも高い場合には、TCA
クーラー20を通過する空気温度を増やす等して冷却空
気の温度を下げて、ΔTを10℃以内に収める。一方、
車室空気温度Taよりも蒸気温度Tsの方が高い場合に
は、蒸気に水噴射することで蒸気温度Tsを下げつつT
CAクーラー20を通過する冷却空気の量を少なくする
ことで、車室空気温度Taを高くする。このようにする
と、車室空気温度Taと蒸気温度Tsとが同時に接近す
るので、より短い時間でΔTを10℃以内に収めること
ができる。
【0070】また、蒸気温度Tsの方が車室空気温度T
aよりも高い場合には、図6(a)に示すように、車室
空気温度Taと蒸気温度Tsとの変化率に基づき、変化
率の絶対値が小さい方をより大きく変化するように制御
してもよい。例えば、図6では車室空気温度Taの方が
その変化率の絶対値が小さいので、水噴射の量を多くし
て急速に蒸気温度Tsを下げるように制御する。する
と、蒸気温度Tsが急速に下がるので、より短い時間で
ΔTを10℃以内に収めることができる。
【0071】ここで、冷却媒体を車室空気から蒸気へ切
替える際には蒸気圧力の調整等が必要であり、また徐々
に動翼蒸気制御弁10(図1参照)を開けて切替える必
要があるため、ある程度の時間を要する。したがって、
図6(b)に示すように、蒸気温度Tsと冷却空気温度
Taとの変化率が大きい場合には、冷却媒体の切替え開
始から終了するまでの時間τcが経過する前に、両者が
逆転してΔTが10℃を超えてしまう場合がある。こう
なると、軸振動が発生してガスタービンのトリップを招
くおそれがある。
【0072】これを防止するために、両者が逆転してΔ
Tが10℃を超えるまでの時間τを冷却空気温度Taと
蒸気温度Tsとの変化率から求め、τが冷却媒体の切替
え時間τcよりも短い場合には、蒸気温度Ts等の変化
率が緩やかになるようにする。具体的には、水噴射量を
少なくしたり、あるいはTCAクーラーを通過する冷却
空気量を多くしたりする方法がある。このようにする
と、冷却媒体の切替え開始から終了までの間にΔTは1
0℃を超えることはないので、軸振動を許容値以下に抑
えることができ、ガスタービンのトリップを抑制でき
る。
【0073】なお、上記処理部110は専用のハードウ
エアにより実現されるものであってもよく、また、この
処理部110はメモリおよびCPU(中央演算装置)に
より構成され、処理部110の機能を実現するためのプ
ログラム(図示省略)をメモリにロードして実行するこ
とによりその機能を実現させるものであってもよい。ま
た、この制御装置100には、周辺機器として入力装
置、表示装置など(いずれも図示省略)をメモリにロー
ドして実行することによりその機能を実現させるもので
あってもよい。
【0074】(実施の形態2)図7は、この発明の実施
の形態2に係るガスタービンの冷却系統を示す説明図で
ある。このガスタービンは、静翼4を冷却した後の蒸気
を、動翼1の冷却にも使用する点に特徴がある。実施の
形態1におけるガスタービンでは、動翼および静翼にそ
れぞれ別個の蒸気供給系を備えて動翼および静翼を冷却
していた。また、ガスタービン90が起動してからしば
らくの間は、ガスタービンの車室3から供給される空気
によって動翼やタービン主軸あるいはローターディスク
といった回転系を暖機する必要がある。
【0075】このときに、車室3から供給される車室空
気の温度はおよそ400℃である。一方、動翼等の暖機
時にはガスタービンに負荷をかけていないので、定格負
荷時と比較して排ガス温度は低く、およそ300℃であ
る。そして、HRSGではガスタービンの排ガス温度よ
りも高い温度の蒸気は作ることができないため、HP−
SH80の蒸気温度は300℃程度である。このよう
に、実施の形態1におけるガスタービンでは車室空気と
蒸気との間にはおよそ100℃の温度差がある。冷却媒
体を車室空気から蒸気に切替える際には車室空気と蒸気
との温度を揃える必要があるが、両者の間の温度差を1
0℃以内にするため、TCAクーラー20によって車室
空気を約100℃冷却する必要がある。
【0076】このように、実施の形態1におけるガスタ
ービンでは、車室空気を冷却するためのエネルギーが必
要であり、また、車室空気をわざわざ冷却して使用する
ため、動翼1等の暖機に時間を要し、その分燃料が無駄
になっていた。このため、実施の形態1に係るガスター
ビン90は、起動損失、すなわちガスタービン90の起
動から定格出力を得ることができるまでの費用が大きく
なるという問題があった。
【0077】実施の形態2に係るガスタービンは、この
問題を解決するためになされたものであり、図7に示す
ように静翼4を冷却した蒸気をさらに動翼1の冷却に使
用するものである。静翼4の冷却流路入口には、冷却蒸
気を供給するための配管51が備えられており、弁15
および16を切替えることで、静翼4に供給する蒸気の
供給源補助蒸気ヘッダ81からHP−SH80の高圧蒸
気に切替えることができる。
【0078】静翼4の冷却流路出口には連結管50が設
けられている。そして、この連結管50のもう一端は、
動翼1の冷却流路に蒸気を供給するための配管52に接
続されており、静翼4を冷却した蒸気を動翼1へ供給す
るようになっている。また、連結管50は、配管52に
備えられている水噴射スプレー34の上流側に接続され
ており、静翼4を冷却した蒸気の温度が高い場合にはこ
の高圧給水ポンプ37から水を噴射して、動翼1に供給
する蒸気温度を下げることができる。
【0079】ガスタービンが起動して昇速し、定速運転
に入ると、動翼1は車室3から供給される車室空気によ
って暖機される。車室空気の温度は400℃程度である
ので、起動直後はTCAクーラー20によって温度を下
げて動翼1等を暖機する。これは、特にコールドスター
トをした場合のように、動翼1等の温度が下がっている
ときに高温の車室空気を供給すると、熱衝撃によって動
翼1等に不具合が生ずる場合があるからである。このた
め、起動直後はTCAクーラー20によって温度を下げ
た車室空気を供給し、暖機が進むにつれて徐々に高い温
度の車室空気を供給し、最終的には400℃の車室空気
が直接動翼1等に供給されてこれらを暖機する。
【0080】暖機が終了すると、冷却媒体を車室空気か
ら蒸気へ切替えるが、実施の形態1に係るガスタービン
では、この蒸気にHRSGに備えられたHP−SH80
の高圧蒸気を使用していた。しかしながら、上述したよ
うに、定速運転時にはガスタービンの排ガス温度が30
0℃程度であるので、HP−SH80の蒸気温度もこれ
以上高くはできない。しかし、実施の形態2に係るガス
タービンでは、HP−SH80の高圧蒸気を使用する代
わりに静翼4を冷却した蒸気を使用する。静翼4を冷却
する蒸気はおよそ300℃で静翼4内部の冷却流路へ供
給され、この冷却流路を通過する間に熱交換をして冷却
流路の出口から排出されるが、このときの蒸気温度は約
400℃である。ここで、上述した通り、動翼1は車室
空気によっておよそ400℃まで暖められており、静翼
4を冷却した蒸気の温度とほぼ同じ温度になっている。
【0081】ここで、動翼1の冷却媒体を車室空気から
蒸気へ切替える場合には、両者の温度を10℃以内に揃
える必要がある。車室空気の温度Taと静翼4を冷却し
た蒸気の温度Toとは、それぞれ温度計41および42
によって測定されており、両者の温度が10℃以内にな
ったときに弁17を閉じ、弁18を開けることによって
冷却媒体を切替える。ここで、蒸気圧力調整弁19を調
整することで、静翼4を冷却した蒸気の圧力よりも蒸気
圧力調整弁19下流におけるHP−SH80の高圧蒸気
圧力の方が低くなるように調整する。また、車室空気の
温度TaはTCAクーラー20によって冷却したり、静
翼4を冷却した蒸気の温度Toは水噴射スプレー34に
よって蒸気冷却したりすることで、両者の温度が上記温
度範囲に収まるように制御する。なお、この温度制御に
は、実施の形態1で説明した制御方法が適用できる。実
施の形態2に係るガスタービンでは、車室空気と静翼4
を冷却した蒸気の温度とは両者ともに400℃程度であ
るので、ほとんど温度調整をせずに冷却媒体を切替える
ことができる。このため、冷却媒体の切替えに時間を要
さず、起動損失を低減できる。
【0082】実施の形態2に係るガスタービンは、静翼
4を冷却した蒸気をさらに動翼1の冷却にも使用する。
このため、静翼4および動翼1にそれぞれ別系統の蒸気
供給系を備えて冷却蒸気を供給していた実施の形態1の
ガスタービンと比較して、蒸気量を半分にできる。した
がって、この分だけ起動損失を少なくすることができ
る。また、このガスタービンでは高圧蒸気の供給系が不
要になるため、配管を簡素化できる。
【0083】また、実施の形態2に係るガスタービンで
は、冷却媒体を車室空気から静翼4を冷却した蒸気に切
替える段階で、既に動翼1等が400℃まで暖機されて
いるので、その後の暖機に時間を要さない。また、暖機
の最終段階においては車室空気を冷却しないで直接動翼
1等に供給してこれらを暖機できるので、車室空気を冷
却するためにTCAクーラー20を作動させる必要がな
くなり、その分起動損失も少なくできる。
【0084】(実施の形態3)図8は、この発明の実施
の形態3におけるガスタービンを示す部分断面図であ
る。このガスタービンは、動翼に冷却媒体を供給する配
管がタービン主軸2に入る直近上流側に、冷却媒体をよ
どませるためのマニホールドを備え、このマニホールド
で冷却媒体をよどませた後、タービン主軸2内に設けら
れた冷却媒体供給用の配管へ冷却媒体を供給する点に特
徴がある。
【0085】上述したように、動翼の冷却媒体を車室空
気から高圧蒸気に切替える際にガスタービンのトリップ
が発生するのは、動翼やタービン主軸、あるいはロータ
ーディスクといったガスタービンの回転系に生ずる温度
差による熱膨張が原因である。特に、タービン主軸2に
周方向の温度分布が生じた場合にはタービン主軸2が反
ってしまい(図3参照)、これが原因で軸振動を発生し
てガスタービンのトリップを招いていた。
【0086】タービン主軸2に温度分布が生ずる原因の
一つとしては、冷却媒体である蒸気がタービン主軸2内
に備えられた蒸気供給管8や蒸気回収管9(図1参照)
へ不均一に流入することがあげられる。図8(a)に示
すように、実施の形態3に係るガスタービンにおいて
は、蒸気供給管8の上流側に設けたマニホールド70に
よって冷却媒体である蒸気をよどませている。そして、
軸方向に垂直な断面内においてはほぼ一様の速度分布に
なるようにして蒸気供給管8へ蒸気が流れ込むようにし
てある。このため、タービン主軸2には周方向の温度分
布がほとんど発生しなくなるので、温度分布が大きいこ
とに起因するタービン主軸2の反りはほとんど生じな
い。その結果、タービン主軸2の軸振動が許容値以下に
抑えられるので、ガスタービンのトリップはほとんど起
こらない。
【0087】なお、図8(b)に示すように、蒸気供給
管8を蒸気回収管9の外側に設けるようにしてもよい。
この場合には、マニホールド71を蒸気供給管8の周囲
に設けてここに蒸気を供給する。そして、マニホールド
71で蒸気をよどませた後、蒸気供給管8に蒸気が供給
される。これによって、すべての蒸気供給管8にはほぼ
一様に蒸気が流れ込むので、タービン主軸2には周方向
の温度分布を一様に近くすることができる。このため、
タービン主軸2に生ずる温度分布に起因するタービン主
軸2の反りはほとんど生じない。その結果、タービン主
軸2の軸振動が許容値以下に抑えられるので、ガスター
ビンのトリップはほとんど起こらない。
【0088】(変形例1)図9は、この発明の実施の形
態3におけるガスタービンの第一の変形例を示す部分断
面図である。このガスタービンは、動翼に冷却媒体を供
給する冷却媒体供給管の上流側に、冷却媒体を攪拌する
ためのスワーラ72を設け、冷却媒体の温度を均一にす
る点に特徴がある。タービン主軸2に温度分布が生ずる
もう一つの原因としては、冷却媒体である蒸気の温度が
場所によって異なることがあげられる。この変形例にお
いては、蒸気がタービン主軸2内に設けられた冷却媒体
供給管である蒸気供給管8へ流入する前に、スワーラ7
2によって蒸気を十分に攪拌して温度分布をできるだけ
均一にするものである。このようにすると、蒸気供給管
8に流れ込む蒸気はほとんど同じ温度になって蒸気供給
管8に流れ込むので、タービン主軸2の周方向における
温度分布はほとんど生じない。その結果、軸振動を許容
値以下に抑えてガスタービンのトリップを抑制できる。
【0089】(変形例2)図10は、この発明の実施の
形態3におけるガスタービンの第二の変形例を示す軸方
向に垂直な断面図である。このガスタービンは、動翼を
冷却した蒸気を回収する蒸気回収管9の数をこれまでよ
りも多くして、タービン主軸の周方向における温度分布
をより均一にする点に特徴がある。従来、タービン主軸
2内に設けられた蒸気回収管9は8〜12本であったた
め、図10(b)に示すように、タービン主軸2には温
度が高い部分と低い部分とが8〜12箇所ずつ生じてい
た。このため、それぞれの蒸気回収管9を流れる蒸気流
量が異なると、比較的タービン主軸2の軸方向に温度分
布が生じやすかった。そこで、図10(a)に示すよう
に、この変形例に係るガスタービンは蒸気回収管9の本
数を多くしてある。このため、それぞれの蒸気回収管9
を流れる蒸気流量が異なっても、タービン主軸2の周方
向における温度分布はより一様になりやすくなる。その
結果、タービン主軸2やローターディスクを含むロータ
ー系全体の軸振動を許容値以下に抑えてガスタービンを
運転できる。
【0090】なお、上述したマニホールド、スワーラお
よび冷却媒体供給管の本数増加という3種類の手段は、
ガスタービンの仕様に応じてこれらの手段を選択し、あ
るいは組み合わせることができる。特に、これらのうち
2以上の手段を組み合わせて使用することで、さらにタ
ービン主軸の周方向における温度分布を均一にできるの
で有効である。さらに、実施の形態1において説明し
た、動翼の冷却媒体を切替える際に、車室空気と蒸気と
の温度を揃える方法を併用してもよい。この方法を併用
することで、さらにタービン主軸の周方向における温度
分布を均一にできるので、ガスタービンのトリップもさ
らに抑えることができ、安定してガスタービンを運転で
きる。
【0091】(実施の形態4)図11は、この発明に係
るガスタービンをガスタービン複合発電プラントに適用
した例を示す説明図である。このガスタービン複合発電
プラントは、動静翼等の高温部材に対して蒸気冷却シス
テムを使用したガスタービンを含んだものであって、動
翼の冷却媒体を車室空気から蒸気に切替える際に、両者
の温度を揃えて切替える点に特徴がある。
【0092】ガスタービン500は、圧縮機505と、
燃焼器546と、タービン530とを備えており、圧縮
機505で圧縮された高温・高圧の空気が燃焼器546
に導かれる。燃焼器546では、この高温・高圧の空気
に、天然ガス等のガス燃料や、軽油、軽重油等の液体燃
料を噴射して燃焼させて高温の燃焼ガスを発生させる。
燃焼ガスは燃焼器尾筒545を通ってタービン530へ
噴射され、タービン530で高温高圧の燃焼ガスが持つ
熱エネルギーを回転エネルギーに変換する。この回転エ
ネルギーによって圧縮機505が駆動され、圧縮機50
5を駆動した残りの回転エネルギーによって発電機60
0が駆動されて電力を発生する。
【0093】ガスタービン500は発電機600によっ
て起動された後昇速し、一定の回転数(3000または
3600rpm)で定速運転に入って、車室503から
抽気される車室空気によって動翼531、タービン主軸
532等を暖機する。動翼531とHP−SH721と
はガスタービン500の高温部材である動翼531等に
蒸気を供給する配管550でつながれており、暖機終了
後に動翼531の冷却媒体を車室空気からHP−SH7
21の高圧蒸気へ切替える。このときには、車室空気と
高圧蒸気との温度を揃えて、具体的には両者の温度差を
10℃以内に合わせてから切替える。両者の温度差を1
0℃以内に揃える手順は上述した通りであり、制御装置
100によってTCAクーラー520や水噴射スプレー
534が作動することで、両者の温度差を10℃以内に
合わせる。両者の温度が10℃以内になったら、圧力調
整弁511、510、513等を開閉して、冷却媒体を
高圧蒸気に切替える。
【0094】このガスタービン複合発電プラントでは、
動翼531の冷却媒体を車室空気から高圧蒸気へ切替え
る際に、両者の温度を合わせてから切替える。これによ
って、タービン主軸532やローターディスクを含むロ
ーター系全体の軸振動を許容値内に抑えることができ
る。このため、動翼531の冷却を切替える際において
ガスタービンがトリップする危険性を極小にできるの
で、安定してガスタービンを運転できる。その結果、ガ
スタービン複合発電プラント自体が停止する危険性を最
小限に抑えることができ、安定して電力を供給できる。
また、ガスタービン複合発電プラントで一旦ガスタービ
ンのトリップが起きるとプラント自体が停止してしまい
再起動に時間を要するため、プラント全体の立ち上がり
が遅くなり、電力消費量がピークに達する時間に電量の
供給が間に合わないこともある。このガスタービン複合
発電プラントでは、ガスタービンのトリップが最小限に
抑えられているので、計画通りにプラントが運転でき、
その結果、安定して電力を供給できる。
【0095】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のガスタ
ービン(請求項1)では、動翼等のガスタービンの高温
部材を冷却する冷却媒体を蒸気へ切替えるにあたり、車
室空気と蒸気との温度を揃えてから弁等の切替え手段に
よって切替えるようにした。このため、タービン主軸に
生ずる周方向の温度分布を小さくできるので、タービン
主軸やローターディスクを含むローター系全体の軸振動
を許容値以内に収めることができる。これによって、冷
却媒体の切替え時におけるガスタービンのトリップを回
避できるので、信頼性の高い安定したガスタービンの運
転ができる。
【0096】また、この発明のガスタービン(請求項
2)では、冷却媒体を車室空気から蒸気に切替える際
に、蒸気に水を噴射して蒸気の温度を調整して、車室空
気と蒸気との温度を揃えるようにした。蒸気に水を噴射
すると、蒸気の温度は急激に低下するので、車室空気と
蒸気との温度を迅速に揃えることができる。その結果、
温度調整に時間を用さず、より短い時間で定格運転に移
ることができ、起動損失も抑えることができる。
【0097】また、この発明のガスタービン(請求項
3)では、車室空気温度と蒸気温度とを揃えるにあた
り、空気温度調整手段と蒸気温度を調整する水噴射手段
との少なくとも一方によって、両者の温度を揃えるよう
にした。このため、空気温度調整手段と水噴射手段とを
選択して、または併用して車室空気と蒸気温度とを揃え
ることができるので、蒸気温度の方が車室温度よりも高
くなるのを待たずに両者の温度を揃える制御ができる。
その結果、定格運転に移行する時間を早くでき、起動損
失も低く抑えることができる。また、空気温度調整手段
と水噴射手段との両方を併用して車室空気温度と蒸気温
度とを揃えると、さらに迅速に両者の温度を揃えること
ができるので、より短い時間で定格運転に移行して起動
損失をより低く抑えることができる。
【0098】また、この発明のガスタービン(請求項
4)では、上記ガスタービンにおいて、さらに、上記車
室空気と蒸気との温度差が15℃以内になったときに、
冷却媒体を車室空気から蒸気へ切替えるようにした。こ
のため、車室空気と蒸気との温度を完全に等しくなるま
で合わせなくともよいので、それだけ早く冷却媒体を切
替えることができる。その結果より早く定格運転に移行
できるので、起動損失も低減できる。
【0099】また、この発明のガスタービン(請求項
5)では、上記ガスタービンにおいて、さらに、ガスタ
ービンの静翼を冷却した後の蒸気によって動翼その他の
高温部材を冷却するようにした。このため、車室空気と
蒸気との温度がほぼ等しい状態で冷却媒体を蒸気に切替
えることができるので、車室空気の冷却がほとんど必要
なくなる。その結果、これまで車室空気の冷却に費やし
てきたエネルギーはほとんど不要になるので、この分起
動損失を低減できる。
【0100】また、この発明に係る制御装置(請求項
6)では、車室空気温度を調整する空気温度調整手段
と、蒸気温度を調整する水噴射手段とのうち少なくとも
一方を制御して、車室空気温度と蒸気温度とを揃えるよ
うにした。このため、空気温度調整手段と水噴射手段と
を選択して、または併用して制御することで車室空気と
蒸気温度とを揃えることができるので、蒸気温度の方が
車室温度よりも高くなるのを待たずに両者の温度を揃え
る制御ができる。その結果、定格運転に移行する時間を
早くでき、その分、起動損失も低く抑えることができ
る。
【0101】また、この発明に係るガスタービンの運転
方法(請求項7)は、このガスタービンの運転方法は、
車室空気温度と蒸気温度とを揃えるにあたり、空気温度
調整手段を調整することによって、両者の温度を揃える
ようにした。冷却媒体切替え時において蒸気温度が車室
空気温度よりも低い場合には蒸気温度の調整によって車
室空気温度と蒸気温度とを揃えることはできない。しか
し、この運転方法では車室空気温度を調整するため、蒸
気温度に関わらず、車室空気温度と蒸気温度とを揃える
ことができる。さらに、この発明に係るコンピュータプ
ログラム(請求項10)によれば、このガスタービンの
運転方法をコンピュータに実行させるためのプログラム
によって、このガスタービンの運転方法がコンピュータ
を利用して実現できる。
【0102】また、この発明に係るガスタービンの運転
方法(請求項8)は、車室空気温度と蒸気温度とを揃え
るにあたり、蒸気温度を調整する水噴射手段によって、
両者の温度を揃えるようにした。このため、車室空気温
度と蒸気温度とを素早く揃えて、起動損失を低減でき
る。さらに、この発明に係るコンピュータプログラム
(請求項10)によれば、このガスタービンの運転方法
をコンピュータに実行させるためのプログラムによっ
て、このガスタービンの運転方法がコンピュータを利用
して実現できる。
【0103】また、この発明に係るガスタービンの運転
方法(請求項9)は、車室空気温度と蒸気温度とを揃え
るにあたり、空気温度調整手段と蒸気温度を調整する水
噴射手段との少なくとも一方によって、両者の温度を揃
えるようにした。このため、空気温度調整手段と水噴射
手段とを選択して、または併用して車室空気と蒸気温度
とを揃えることができるので、蒸気温度の方が車室温度
よりも高くなるのを待たずに両者の温度を揃えることが
できる。その結果、定格運転に移行する時間を早くで
き、起動損失も低く抑えることができる。さらに、この
発明に係るコンピュータプログラム(請求項10)によ
れば、このガスタービンの運転方法をコンピュータに実
行させるためのプログラムによって、このガスタービン
の運転方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0104】また、この発明に係るガスタービン複合発
電プラント(請求項11)は、上記ガスタービンを備え
ており、高温部材の冷却媒体を切替える際には車室空気
温度と蒸気温度とを揃えてから切替えるようにした。こ
のため、ローター系全体の軸振動に起因するガスタービ
ンのトリップを抑えることができるので、安定した信頼
性の高いプラントの運転ができ、また、計画通りに電力
を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る蒸気冷却を用い
たガスタービンおよびその冷却系統を示す説明図であ
る。
【図2】車室空気供給系を示す説明図である。
【図3】タービン主軸に周方向の温度分布が生じた場合
を示す概念図である。
【図4】車室空気と高圧蒸気との温度差と、タービン主
軸の軸振動との関係を示した説明図である。
【図5】車室空気と蒸気との温度を揃えるための制御方
法を示す説明図である。
【図6】車室空気温度と蒸気温度との変化を示した説明
図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係るガスタービンの
冷却系統を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態3におけるガスタービン
を示す部分断面図である。
【図9】この発明の実施の形態3におけるガスタービン
の第一の変形例を示す部分断面図である。
【図10】この発明の実施の形態3におけるガスタービ
ンの第二の変形例を示す軸方向に垂直な断面図である。
【図11】この発明に係るガスタービンをガスタービン
複合発電プラントに適用した例を示す説明図である。
【図12】動静翼に蒸気冷却を適用したガスタービンの
部分断面図である。
【図13】高温部に蒸気冷却を採用したガスタービン複
合プラントを示す概略図である。
【符号の説明】
1、531 動翼 2、532 タービン主軸 3、503 車室 4 静翼 5 混合器 6 中圧タービン 7 復水器 8 蒸気供給管 9 蒸気回収管 10 動翼蒸気制御弁 11、511 圧力調整弁 12 車室空気逆止弁 13 排気弁 15、17、18 弁 19 蒸気圧力調整弁 20、520 TCAクーラー 21 バイパス流路 23 流量調整弁 24 冷却ファン 25 流量調整弁 26 タービンバイパス流路 30 冷却媒体供給口 34、534 水噴射スプレー 35 ジョイント部 36 ローターディスク 37 高圧給水ポンプ 40、41、540、541 温度計 45、46 圧力計 50 連結管 51、52 配管 70、71 マニホールド 72 スワーラ 81 供給源補助蒸気ヘッダ 90 ガスタービン 100 制御装置 110 処理部 111 減算器 112 演算器 120 コントローラ 131 測定器 500 ガスタービン 505 圧縮機 530 タービン 545 燃焼器尾筒 546 燃焼器 550 配管 600 発電機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3G071 AB01 AB04 BA21 FA06 HA05 JA03 3G081 BA02 BA11 BB00 BC07 BD00 DA23

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷却媒体としてガスタービン車室の空気
    と蒸気とを切替えて使用する、内部に冷却流路を備えた
    ガスタービンの高温部材と、 前記高温部材へ冷却用の蒸気を供給するボイラーその他
    の蒸気供給手段と、 温度が異なる空気の混合割合または空気の冷却量のうち
    少なくとも一方を制御することで、前記高温部材へ供給
    されるガスタービン車室の空気温度を調整できる空気温
    度調整手段を有する車室空気供給手段と、 前記空気温度調節手段によって車室空気と蒸気との温度
    を揃えた後、前記高温部材の冷却媒体を車室空気から蒸
    気へ切替える冷却媒体切替え手段と、 を備えたことを特徴とするガスタービン。
  2. 【請求項2】 冷却媒体としてガスタービン車室の空気
    と蒸気とを切替えて使用する、内部に冷却流路を備えた
    ガスタービンの高温部材と、 前記高温部材へ冷却用の蒸気を供給するボイラーその他
    の蒸気供給手段と、 前記高温部材と前記蒸気供給手段との間に設けられ、且
    つ前記冷却用の蒸気に水を噴射しさらにこの水噴射量ま
    たは水温のうち少なくとも一方を調整することでこの蒸
    気の温度を調整できる水噴射手段と、 ガスタービンの車室空気を前記高温部材へ供給する空気
    供給手段と、 前記水噴射手段によって冷却用の蒸気温度を調整して、
    車室空気と蒸気との温度を揃えた後、前記高温部材の冷
    却媒体を車室空気から蒸気へ切替える冷却媒体切替え手
    段と、 を備えたことを特徴とするガスタービン。
  3. 【請求項3】 冷却媒体としてガスタービン車室の空気
    と蒸気とを切替えて使用する、内部に冷却流路を備えた
    ガスタービンの高温部材と、 前記高温部材へ冷却用の蒸気を供給するボイラーその他
    の蒸気供給手段と、 前記高温部材と前記蒸気供給手段との間に設けられ、且
    つ前記冷却用の蒸気に水を噴射しさらにこの水噴射量ま
    たは水温のうち少なくとも一方を調整することでこの蒸
    気の温度を調整できる水噴射手段と、 温度が異なる空気の混合割合または空気の冷却量のうち
    少なくとも一方を制御することで、前記高温部材へ供給
    されるガスタービン車室の空気温度を調整できる空気温
    度調整手段を有する車室空気供給手段と、 前記水噴射手段または前記空気温度調整手段のうち少な
    くとも一方を制御することで車室空気と蒸気との温度を
    揃えた後、前記高温部材の冷却媒体を車室空気から蒸気
    へ切替える冷却媒体切替え手段と、 を備えたことを特徴とするガスタービン。
  4. 【請求項4】 さらに、上記車室空気と蒸気との温度差
    が15℃以内になったときに、上記冷却媒体切替え手段
    によって冷却媒体を車室空気から蒸気へ切替えることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のガスタ
    ービン。
  5. 【請求項5】 さらに、上記冷却用の蒸気はガスタービ
    ンの静翼を冷却した後の蒸気であることを特徴とする請
    求項1〜4のいずれか一つに記載のガスタービン。
  6. 【請求項6】 ガスタービンの高温部材に蒸気を供給す
    る蒸気供給手段と、この蒸気に水を噴射して蒸気温度を
    調整する水噴射手段と、空気の冷却量または温度の異な
    る空気の混合割合のうち少なくとも一方を制御すること
    で前記高温部材に供給する車室空気の温度を調整できる
    空気温度調整手段と、前記高温部材の冷却媒体を車室空
    気から蒸気へ切替える冷却媒体切替え手段と、を備えた
    ガスタービンの高温部材に供給される冷却媒体を車室空
    気から蒸気へ切替えるための制御装置であって、 前記蒸気温度と前記車室空気温度とを比較し、この比較
    結果に基づいて前記蒸気温度と前記車室空気温度とを揃
    えるように、前記水噴射手段または前記空気温度調整手
    段のうち少なくとも一方を作動させる信号を生成する処
    理部と、 前記処理部からの信号に基づいて前記水噴射手段または
    前記空気温度調整手段のうち少なくとも一方を制御し、
    且つ前記蒸気温度と前記車室空気温度との温度が揃った
    ときに、前記冷却媒体切替え手段を作動させ冷却媒体を
    蒸気に切替える制御部と、 を備えたことを特徴とする制御装置。
  7. 【請求項7】 ガスタービンの高温部材を冷却する冷却
    媒体を車室空気から蒸気へ切替えるにあたって、 前記車室空気と前記蒸気との温度を測定する工程と、 前記車室空気と前記蒸気との温度を比較する工程と、 この比較結果に基づき、前記車室空気の温度を調整する
    ことで、前記車室空気温度と前記蒸気温度とを揃える工
    程と、 前記車室空気温度と前記蒸気温度とを揃えた後、前記高
    温部材の冷却媒体を車室空気から蒸気へ切替える工程
    と、 を有することを特徴とするガスタービンの運転方法。
  8. 【請求項8】 ガスタービンの高温部材を冷却する冷却
    媒体を車室空気から蒸気へ切替えるにあたって、 前記車室空気と前記蒸気との温度を測定する工程と、 前記車室空気と前記蒸気との温度を比較する工程と、 この比較結果に基づき、前記蒸気の温度を調整すること
    で、前記車室空気温度と前記蒸気温度とを揃える工程
    と、 前記車室空気温度と前記蒸気温度とを揃えた後、前記高
    温部材の冷却媒体を車室空気から蒸気へ切替える工程
    と、 を有することを特徴とするガスタービンの運転方法。
  9. 【請求項9】 ガスタービンの高温部材を冷却する冷却
    媒体を車室空気から蒸気へ切替えるにあたって、 前記車室空気と前記蒸気との温度を測定する工程と、 前記車室空気と前記蒸気との温度を比較する工程と、 この比較結果に基づき、前記車室空気または前記蒸気の
    うち少なくとも一方の温度を調整することで、前記車室
    空気温度と前記蒸気温度とを揃える工程と、 前記車室空気温度と前記蒸気温度とを揃えた後、前記高
    温部材の冷却媒体を車室空気から蒸気へ切替える工程
    と、 を有することを特徴とするガスタービンの運転方法。
  10. 【請求項10】 ガスタービンの高温部材を冷却する冷
    却媒体を車室空気から蒸気へ切替えるにあたって、請求
    項7〜9のいずれか一つに記載したガスタービンの運転
    方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴と
    するコンピュータプログラム。
  11. 【請求項11】 請求項1〜5のいずれか一つに記載の
    ガスタービンと、 このガスタービンに接続された発電機と、 前記ガスタービンの排ガスによって蒸気を生成する排熱
    回収ボイラーと、 当該排熱回収ボイラーで生成された蒸気を前記ガスター
    ビンの高温部材に供給し、当該高温部材を冷却するため
    の配管と、 前記排熱回収ボイラーで生成された蒸気が供給され、発
    電機を駆動して電力を発生する蒸気タービンと、 を備えたことを特徴とするガスタービン複合発電プラン
    ト。
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