JP2003118339A - 車両用サスペンション装置 - Google Patents

車両用サスペンション装置

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JP2003118339A
JP2003118339A JP2001314940A JP2001314940A JP2003118339A JP 2003118339 A JP2003118339 A JP 2003118339A JP 2001314940 A JP2001314940 A JP 2001314940A JP 2001314940 A JP2001314940 A JP 2001314940A JP 2003118339 A JP2003118339 A JP 2003118339A
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JP
Japan
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vehicle
cylindrical elastic
suspension device
center
suspension
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Application number
JP2001314940A
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English (en)
Inventor
Keijiro Iwao
桂二郎 巖
Michito Hirahara
道人 平原
Mitsuhiro Makita
光弘 牧田
Kenji Suma
賢二 須磨
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タイヤのトー角コントロール性と、旋回時に
おける外輪側の円筒型弾性ブッシュの歪み抑制と、旋回
時における内輪側のリバウンド剛性確保と、を同時に、
かつ、低コストにて達成することができる車両用サスペ
ンション装置を提供すること。 【解決手段】 2つの円筒型弾性ブッシュ8,9を介し
車体側に支持されるサスペンションAアーム7を有する
車両用サスペンション装置において、2つの円筒型弾性
ブッシュ8,9の内外筒8a,8b及び9a,9bを予
め相対回転状態とし内外筒間のゴム8c,9cに初期歪
みを付与することにより、車両静止姿勢時において、サ
スペンションAアーム7のタイヤ側支持点に車両下方向
の初期荷重が加わるように設定した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2つの円筒型弾性
ブッシュを介し車体側に支持されるサスペンションAア
ームを有し、車両重心の高い小型車両等に好適な車両用
サスペンション装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両用サスペンション装置(従来
例1)としては、例えば、実公平5−23362号公報
(図8)に記載のものが知られている。この従来例1
は、サスペンションAアームを用いたストラット形式の
サスペンション装置において、サスペンションAアーム
の車体側支持点に円筒型弾性ブッシュを用い、その2つ
の円筒中心線L(=揺動中心線)が同一線上にあり、こ
の中心線Lを回転中心として揺動するタイプであり、且
つ、その揺動中心線Lが車両上方から見て前外側、車両
側からみて前上側に向いていることを特徴としている。
該構造とすることで、車両旋回時のタイヤから加わる横
力作用時に、円筒型弾性ブッシュの円筒中心線方向にサ
スペンションAアームが変位することで、タイヤのトー
角が的確にコントロールされ車両挙動が安定化する利点
を有している。
【0003】しかしながら、このような従来のサスペン
ション装置にあっては、サスペンションAアーム長を大
きくとりたい場合、少なくとも1つの円筒型弾性ブッシ
ュが車両内側に入ることになり、例えば、排気管、スペ
アタイヤ、エンジン等と干渉する等、レイアウト上の問
題があった。
【0004】この問題を解決できる車両用サスペンショ
ン装置(従来例2)としては、特開昭61−26381
2号公報(図9)に記載のものが知られている。この従
来例2は、サスペンションAアームの揺動中心線L3に
対し、2つの円筒型弾性ブッシュの円筒中心線L1,L
2を同一線上に配置せず平行配置とすることで、円筒型
弾性ブッシュを車両内側に配置することなく、従来例1
と同様の効果が得られるという利点を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来例
1,2の車両用サスペンション装置にあっては、車両静
止姿勢時において2つの円筒型弾性ブッシュの初期歪み
がほぼゼロで、車両静止姿勢状態からサスペンションA
アームがバウンド方向に揺動変位する場合やリバウンド
方向に揺動変位する場合、バウンド剛性もリバウンド剛
性もほぼ等しくなるように設定されているため、図10
に示すような車両旋回ロール時に、旋回内輪側(リバウ
ンド側)が大きく浮き上がり、旋回外輪側(バウンド
側)が沈み込むことで、車両姿勢変化が大きくなり、こ
の結果、乗員の視線変化が大きくなることで、乗員に疲
労感を与えるという問題点があった。
【0006】この問題を解決するものとして、図11に
示すように、ショックアブソーバ内にスプリングを配置
し、サスペンション装置にリバウンド剛性を与えること
で、特に旋回時内輪側のサスペンションの伸び(リバウ
ンド)を抑える作用を示すものが知られている。しか
し、このショックアブソーバは、新たな部品であるリバ
ウンドスプリングを内部に設置する必要があるため、リ
バウンドスプリング付きショックアブソーバを採用する
と、コストが高くなってしまうという問題点があった。
【0007】さらに、従来例2の車両用サスペンション
装置にあっては、サスペンションAアームの揺動中心線
L3に対し円筒型弾性ブッシュの円筒中心線L1,L2
が交角α(=β)を持つことから、特に旋回時外輪側に
おいて、旋回時のバウンド、つまり、サスペンションA
アームが上方に揺動する際、円筒型弾性ブッシュがこじ
れ、弾性体が非線型特性となってバウンド剛性が高くな
り、サスペンションAアームを介して車体へ伝達される
路面振動の減衰機能等、弾性ブッシュに要求される本来
の機能が得られないという別の問題があった。ここで、
「こじれ」とは、内外筒間が相対回転すると共に相対傾
斜することにより、内外筒間のゴムがせん断と捩りによ
る複合的な歪み状態となることをいう。
【0008】本発明は、上記問題点に着目してなされた
もので、その目的とするところは、タイヤのトー角コン
トロール性と、旋回時における外輪側の円筒型弾性ブッ
シュの歪み抑制と、旋回時における内輪側のリバウンド
剛性確保と、を同時に、かつ、低コストにて達成するこ
とができる車両用サスペンション装置を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に係る発明では、2つの円筒型弾性ブッシ
ュを介し車体側に支持されるサスペンションAアームを
有する車両用サスペンション装置において、前記2つの
円筒型弾性ブッシュの内外筒を予め相対回転状態とし内
外筒間のゴムに初期歪みを付与することにより、車両静
止姿勢時において、前記サスペンションAアームのタイ
ヤ側支持点に車両下方向の初期荷重が加わるように設定
したことを特徴とする。
【0010】請求項2に係る発明では、請求項1に記載
の車両用サスペンション装置において、前記2つの円筒
型弾性ブッシュを、2本の円筒中心線が互いに同一線上
に重なるらないように設定したことを特徴とする。
【0011】請求項3に係る発明では、請求項2に記載
の車両用サスペンション装置において、前記2つの円筒
型弾性ブッシュは、2本の円筒中心線が互いに平行、も
しくは、車両上方から見た交叉角θが0<θ≦60deg
となる設定としたことを特徴とする。
【0012】請求項4に係る発明では、請求項1ないし
請求項3の何れかに記載の車両用サスペンション装置に
おいて、前記サスペンションAアームに与えられた上下
荷重が車両静止姿勢時よりも少ない条件時において、一
方の円筒型弾性ブッシュの中央点と他方の円筒型弾性ブ
ッシュの円筒中心線とで規定される平面を、車両中央に
向かって下方に傾斜させた状態で、円筒型弾性ブッシュ
の内外筒の周方向位置関係を拘束することにより、車両
静止姿勢時において、2つの円筒型弾性ブッシュに初期
歪みを付与したことを特徴とする。
【0013】請求項5に係る発明では、請求項2ないし
請求項4の何れかに記載の車両用サスペンション装置に
おいて、前記2つの円筒型弾性ブッシュの中心位置か
ら、それぞれの円筒中心線に垂直な線を路面に対して平
行に引いたとき、車両上方から見た交点が、タイヤ中心
から見て、車両内側前方、もしくは、車両外側後方の位
置となるように配置したことを特徴とする。
【0014】請求項6に係る発明では、請求項1ないし
請求項5の何れかに記載の車両用サスペンション装置に
おいて、前記2つの円筒型弾性ブッシュの中心位置か
ら、それぞれの円筒中心線に垂直な線を車両中心面に対
して平行に引いたとき、車両側面方向から見た交点が、
タイヤ中心から見て、前方上方、もしくは、後方下方の
位置となるように配置したことを特徴とする。
【0015】
【発明の作用および効果】請求項1に係る発明にあって
は、2つの円筒型弾性ブッシュの内外筒を予め相対回転
状態とし内外筒間のゴムに初期歪みを付与することによ
り、車両静止姿勢時において、サスペンションAアーム
のタイヤ側支持点に車両下方向の初期荷重が加わるよう
に設定したため、タイヤのトー角コントロール性と、旋
回時における外輪側の円筒型弾性ブッシュの歪み抑制
と、旋回時における内輪側のリバウンド剛性確保と、を
同時に、かつ、低コストにて達成することができる。す
なわち、タイヤに横力が作用する時には、従来例1と同
様にタイヤのトー角コントロール性が確保される。ま
た、旋回時において、バウンドする外輪側では、初期歪
み(初期荷重)がバウンド変位の増大に従って徐々に減
少するため、円筒型弾性ブッシュの歪みが抑制される。
この結果、バウンド側でのバネ剛性の線形特性が確保さ
れ、トー角コントロールが適切になされる。一方、旋回
時において、リバウンドする内輪側では、初期歪み(初
期荷重)にリバウンド変位に伴う歪み(荷重)が加わ
り、歪み(荷重)が一気に増大するため、リバウンド剛
性が確保される。この結果、車両旋回ロール時に、旋回
内輪側(リバウンド側)の浮き上がりが抑えられ、車両
姿勢変化が小さくなり、乗員の視線変化が小さくなるこ
とで、乗員への疲労感を軽減することができる。さら
に、円筒型弾性ブッシュに対する初期歪みの付与により
リバウンド剛性を確保しているため、同様に、リバウン
ドスプリングを内蔵したショックアブソーバを用いてリ
バウンド剛性を確保する場合に比べ、低コストにするこ
とができる。
【0016】請求項2に係る発明にあっては、2つの円
筒型弾性ブッシュを、2本の円筒中心線が互いに同一線
上に重ならないように設定したため、タイヤのトー角コ
ントロール性と、旋回時における外輪側のブッシュこじ
れ抑制と、旋回時における内輪側のリバウンド剛性確保
と、を同時に、かつ、低コストにて達成することができ
る。すなわち、従来例2の問題点であった旋回時におけ
る外輪側のブッシュこじれが、円筒型弾性ブッシュに対
する初期歪みの付与により抑制される。
【0017】請求項3に係る発明にあっては、2つの円
筒型弾性ブッシュは、2本の円筒中心線が互いに平行、
もしくは、車両上方からみた交叉角θが0<θ≦60de
gとなる設定としたため、2本の円筒中心線を互いに同
一線上に配置した場合のように、1つの円筒型弾性ブッ
シュが車両内側に入ることが無く、例えば、排気管、ス
ペアタイヤ、エンジン等と干渉する等、レイアウト上の
問題を解消することができる。すなわち、上記従来例2
の利点である良好なレイアウト性が得られる。
【0018】請求項4に係る発明にあっては、サスペン
ションAアームに与えられた上下荷重が車両静止姿勢時
よりも少ない条件時において、一方の円筒型弾性ブッシ
ュの中央点と他方の円筒型弾性ブッシュの円筒中心線と
で規定される平面を、車両中央に向かって下方に傾斜さ
せた状態で、円筒型弾性ブッシュの内外筒の周方向位置
関係を拘束することにより、車両静止姿勢時において、
2つの円筒型弾性ブッシュに初期歪みを付与したため、
例えば、組み付け工程において、円筒型弾性ブッシュの
取付ボルトが仮止めしてあるサスペンションAアーム
を、車両中央に向かって下方に傾斜させた状態で本締め
することにより、2つの円筒型弾性ブッシュに対し、容
易に初期歪みを付与することができる。
【0019】請求項5に係る発明にあっては、2つの円
筒型弾性ブッシュの中心位置から、それぞれの円筒中心
線に垂直な線を路面に対して平行に引いたとき、車両上
方から見た交点が、タイヤ中心から見て、車両内側前
方、もしくは、車両外側後方の位置となるように配置し
たため、タイヤ横力だけでなくタイヤ前後力に対するト
ー角変化も確実にコントロールできる機能が得られる。
【0020】請求項6に係る発明にあっては、2つの円
筒型弾性ブッシュの中心位置から、それぞれの円筒中心
線に垂直な線を車両中心面に対して平行に引いたとき、
車両側面方向から見た交点が、タイヤ中心から見て、前
方上方、もしくは、後方下方の位置となるように配置し
たため、例えば、車両走行時に突起を乗り越える際、タ
イヤが後上方に逃げることで乗り心地が良くなるという
利点を有する。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明における車両用サス
ペンション装置を実現する実施の形態を、請求項1〜請
求項4に対応する第1実施例と、請求項1〜請求項4に
対応する第2実施例と、請求項5に対応する第3実施例
と、請求項6に対応する第4実施例とに基づいて説明す
る。
【0022】(第1実施例)まず、構成を説明する。図
1は車両の後輪に採用した第1実施例の車両用サスペン
ション装置を示す全体システムであり、図中、1はタイ
ヤ、2はロードホイール、3はアクスルハウジング、4
はラテラルロッド、5はブラケット、6はショックアブ
ソーバ、7はサスペンションAアーム、8,9は円筒型
弾性ブッシュ、10は車体である。
【0023】前記タイヤ1は、ロードホイール2に装着
され、該ロードホイール2には、アクスルハウジング3
及びブラケット5が固定されている。
【0024】前記ラテラルロッド4は、横荷重に対する
支持部材で、タイヤ1側の一端はブラケット5に対しボ
ールジョイント11を介して支持され、車体10側の他
端はボールジョイント12を介して車体10に支持され
ている。
【0025】前記ショックアブソーバ6は、上下荷重に
対する減衰力発生部材で、チューブ側の下端はアクスル
ハウジング3に固定され、ロッド側の上端は車体10に
図外の弾性体を介して支持される。なお、このショック
アブソーバ6と同心位置、あるいは、別位置には、上下
荷重に対するバネ部材として、図外のコイルスプリング
が配置される。
【0026】前記サスペンションAアーム7は、前後荷
重及び横荷重に対する支持部材で、タイヤ1側はアクス
ルハウジング3に対しボールジョイント13を介して1
点支持され、車体側は2つの円筒型弾性ブッシュ8,9
を介し2点支持されている。
【0027】前記円筒型弾性ブッシュ8(9)は、図1
(ニ)に示すように、サスペンションAアーム7が固定
される外筒8a(9a)と、車体側の取付ボルトが挿通
される内筒8b(9b)と、前記内外筒8a,8b(9
a,9b)間に介装されたゴム8c(9c)を有して構
成される。
【0028】前記2つの円筒型弾性ブッシュ8,9は、
2本の円筒中心線L1,L2が同一線上に無く互いに平
行であり、サスペンションAアーム7の揺動中心線L3
は、横力が作用しない条件時において、タイヤ1と平行
配置とされている。そして、揺動中心線L3に対し2本
の円筒中心線L1,L2は、車両上方から見た場合にそ
れぞれ交角α,β(α=β、例えば、30deg)を持
ち、車両側方から見た場合に一致する設定とされる。
【0029】また、サスペンションAアーム7に与えら
れた上下荷重が車両静止姿勢時より少ない条件時、例え
ば、上下荷重を与えない条件時(=車体荷重が加わらな
い条件時)において、一方の円筒型弾性ブッシュ9(ま
たは8)の中央点と他方の円筒型弾性ブッシュ8(また
は9)の円筒中心線L1(またはL2)とで規定される
平面を、図1(ロ)に示すように、車両中央に向かって
下方に傾斜角γで傾斜させた状態で、円筒型弾性ブッシ
ュ8,9の内外筒の周方向位置関係を拘束すること、つ
まり、仮止めしていた取付ボルトの完全締め付けにより
内筒8b,9bの車体固定を行うことにより、車体荷重
が加わる車両静止姿勢時において、2つの円筒型弾性ブ
ッシュ8,9に、こじり角δ(図2)を有する初期歪み
を付与している。言い換えると、車両静止姿勢時におい
て、サスペンションAアーム7のタイヤ側支持点に車両
下方向の初期荷重が加わるように設定している。
【0030】次に、作用を説明する。
【0031】[トー角コントロール作用]タイヤ1から
加わる横力作用時には、図3に示すように、円筒型弾性
ブッシュ8,9が円筒中心線L1,L2に沿って車両後
方側に移動し、これに伴って、サスペンションAアーム
7が実線位置から仮想線位置へ変位することで、タイヤ
1のトー角がトーイン方向にコントロールされ、車両挙
動が安定する。
【0032】[旋回ロール作用]サスペンションAアー
ム7に上下荷重を与えない条件時において、円筒型弾性
ブッシュ8,9により規定される平面を、車両中央に向
かって下方に傾斜角γで傾斜させた状態で、円筒型弾性
ブッシュ8,9の内外筒の周方向位置関係を拘束し、車
両静止姿勢時において、2つの円筒型弾性ブッシュ8,
9に初期歪みを付与したため、円筒型弾性ブッシュ8,
9のバネ剛性特性は、図4に示すように、傾斜角γを6
degとした実線特性となる。
【0033】すなわち、傾斜角γを0degとした点線特
性の場合には、低バウンド変位領域及び低リバウンド変
位領域においては線形特性を示すが、高バウンド変位領
域及び高リバウンド変位領域においては非線形特性を示
すというように、バウンド側もリバウンド側もほぼ対称
なバネ剛性特性となる。これに対し、傾斜角γを6deg
とした実線特性の場合には、バネ剛性特性の中立位置
(車両静止姿勢位置)がバウンド側にオフセットした特
性、つまり、バウンド側は高バウンド変位領域まで線形
性の高いバネ剛性特性を示し、リバウンド側は低リバウ
ンド変位領域から非線形のバネ剛性特性を示す。
【0034】よって、旋回時にサスペンションAアーム
7がバウンド変位する外輪側においては、バウンド変位
が開始してから傾斜角γまでは円筒型弾性ブッシュ8,
9の初期歪みが減少し、傾斜角γのバウンド変位時に円
筒型弾性ブッシュ8,9の初期歪みがゼロとなり、傾斜
角γ以上のバウンド変位領域ではゼロから徐々に歪みが
増すことになるため、円筒型弾性ブッシュ8,9のこじ
れを抑制することができる。そして、上記のように、バ
ウンド変位領域では、ばね特性として線形特性が確保さ
れるため、旋回外輪側においては、上記トー角コントロ
ールも適切になされる。
【0035】一方、旋回時にサスペンションAアーム7
がリバウンド変位する内輪側においては、リバウンド変
位が開始されると、円筒型弾性ブッシュ8,9の初期歪
みにリバウンド変位の大きさに応じた歪みが加わること
になるため、旋回内輪側では、非線形バネ特性を示し、
大きなリバウンド剛性を与えることができる。この大き
なリバウンド剛性により、旋回内輪側において、車体1
0の浮き上がりを小さく抑えることができる。この結
果、車両旋回ロール時に、旋回内輪側(リバウンド側)
の浮き上がりが抑えられ、車両姿勢変化が小さくなり、
乗員の視線変化が小さくなることで、乗員への疲労感を
軽減することができる。
【0036】次に、効果を説明する。
【0037】(1)2つの円筒型弾性ブッシュ8,9の内
外筒8a,8b及び9a,9bを予め相対回転状態とし
内外筒間のゴム8c,9cに初期歪みを付与することに
より、車両静止姿勢時において、サスペンションAアー
ム7のタイヤ側支持点に車両下方向の初期荷重が加わる
ように設定したため、タイヤ1のトー角コントロール性
と、旋回時における外輪側の円筒型弾性ブッシュ8,9
の歪み抑制と、旋回時における内輪側のリバウンド剛性
確保と、を同時に、かつ、低コストにて達成することが
できる。
【0038】(2)2つの円筒型弾性ブッシュ8,9を、
2本の円筒中心線L1,L2が互いに同一線上に重なら
ないように設定したため、従来例2の問題点であった旋
回時における外輪側のブッシュこじれを、円筒型弾性ブ
ッシュ8,9に対する初期歪みの付与により抑制するこ
とができる。
【0039】(3)2つの円筒型弾性ブッシュ8,9は、
2本の円筒中心線L1,L2が互いに平行となる設定と
したため、2本の円筒中心線を互いに同一線上に配置し
た場合のように、1つの円筒型弾性ブッシュが車両内側
に入ることが無く、例えば、排気管、スペアタイヤ、エ
ンジン等と干渉する等、レイアウト上の問題を解消する
ことができる。すなわち、図1(イ)に示すように、サ
スペンションAアーム7のタイヤ側支持点から揺動中心
線L3までの幅Wを、例えば、300mm等というように
狭い幅にて設定することができ、この良好なレイアウト
性と、旋回時における内輪側のリバウンド剛性確保によ
る車両姿勢変化の抑制が得られることで、車両重心の高
い小型車両のサスペンションとして好適である。
【0040】(4)サスペンションAアーム7に上下荷重
を与えない条件時において、一方の円筒型弾性ブッシュ
9(または8)の中央点と他方の円筒型弾性ブッシュ8
(または9)の円筒中心線L1(またはL2)とで規定
される平面を、車両中央に向かって下方に傾斜させた状
態で、円筒型弾性ブッシュ8,9の内外筒の周方向位置
関係を拘束することにより、車両静止姿勢時において、
2つの円筒型弾性ブッシュ8,9に初期歪みを付与した
ため、例えば、組み付け工程において、円筒型弾性ブッ
シュ8,9の取付ボルトが仮止めしてあるサスペンショ
ンAアーム7を、車両中央に向かって下方に傾斜させた
状態で本締めすることにより、2つの円筒型弾性ブッシ
ュ8,9に対し、容易に初期歪みを付与することができ
る。
【0041】(第2実施例)この第2実施例は、図5に
示すように、2つの円筒型弾性ブッシュ8,9の2本の
円筒中心線L1,L2が互いに同一線上に無く、タイヤ
1と平行配置とされているサスペンションAアーム7の
揺動中心線L3に対し、円筒中心線L1が車両前方外側
に交角αを持つ設定で、円筒中心線L2が車両前方外側
に交角βを持つ設定であり、2本の円筒中心線L1,L
2が、車両上方から見た場合に交叉角θ(=β−α)を
持ち、車両側方から見た場合にも交叉角を持つ設定とし
た例である。なお、第2実施例の他の構成は第1実施例
と同様であるので、説明を省略する。
【0042】作用効果については、サスペンションAア
ーム7に上下荷重を与えない条件時(=車体荷重が加わ
らない条件時)において、一方の円筒型弾性ブッシュ9
(または8)の中央点と他方の円筒型弾性ブッシュ8
(または9)の円筒中心線L1(またはL2)とで規定
される平面を、図5(ロ)に示すように、車両中央に向
かって下方に傾斜角γで傾斜させた状態で、円筒型弾性
ブッシュ8,9の内外筒の周方向位置関係を拘束するこ
とにより、第1実施例と同様の効果が得られると共に、
タイヤ横力作用時に円筒型弾性ブッシュ8が大きく変位
し、トー角コントロールを、第1実施例より安定して行
えるという利点も有する。
【0043】ここで、車両上方から見たときの2本の円
筒中心線L1,L2の交叉角θは、あまり大きくなると
サスペンションAアーム7が上下に揺動したときに、ブ
ッシュ8(または9)のこじりが大きくなりすぎるの
で、60deg程度が限界であることが実験的にわかって
いる。
【0044】(第3実施例)この第3実施例は、図6に
示すように、2つの円筒型弾性ブッシュ8,9の中心位
置から、それぞれの円筒中心線L1.L2に垂直な線を
路面に対して平行に引いた場合、車両上方から見たとき
の交点(アーム回転中心)が、タイヤ1の中心から見
て、車両内側前方に配置される例である。なお、第3実
施例の他の構成は第2実施例と同様であるので、説明を
省略する。
【0045】作用効果については、第2実施例の効果に
加え、タイヤ横力だけでなく、タイヤ前後力に対するト
ー角変化も確実にコントロールできる機能が得られる。
【0046】なお、第3実施例において、2つの円筒型
弾性ブッシュ8,9の中心位置から、それぞれの円筒中
心線L1.L2に垂直な線を路面に対して平行に引いた
場合、車両上方から見たときのその交点(アーム回転中
心)が、タイヤ1の中心から見て、車両外側後方に配置
しても同様の効果を得ることができる。
【0047】(第4実施例)この第4実施例は、図7に
示すように、2つの円筒型弾性ブッシュ8,9の中心位
置から、それぞれの円筒中心線L1.L2に垂直な線を
車両中心面に対して平行に引いた場合、車両側面方向か
ら見たときの交点(アーム回転中心)が、タイヤ1の中
心から見て、前方上方に配置される例である。なお、第
4実施例の他の構成は第2実施例と同様であるので、説
明を省略する。
【0048】作用効果については、第2実施例の効果に
加え、例えば、車両走行時に突起を乗り越える際、タイ
ヤ1が後ろ上方に逃げることで乗り心地が良くなるとい
う利点を有する。
【0049】なお、第4実施例において、2つの円筒型
弾性ブッシュ8,9の中心位置から、それぞれの円筒中
心線L1.L2に垂直な線を車両中心面に対して平行に
引いた場合、車両側面方向から見たときの交点(アーム
回転中心)が、タイヤ1の中心から見て、後方下方に配
置しても同様の利点を有することができる。
【0050】(他の実施例)以上、本発明の車両用サス
ペンション装置を第1実施例〜第4実施例に基づき説明
してきたが、具体的な構成については、これらの実施例
に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に
係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等
は許容される。
【0051】例えば、第1実施例〜第4実施例では、2
つの円筒型弾性ブッシュ8,9の円筒中心線L1.L2
が同一線上に無い例を示したが、2つの円筒型弾性ブッ
シュ8,9の円筒中心線L1.L2が同一線上のもので
あっても請求項1に係る発明に含まれ、この場合、旋回
時にバウンド側(外輪側)で円筒型弾性ブッシュ8,9
の歪みを抑制することができると共に、リバウンド側
(内輪側)で大きなリバウンド剛性を与えることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の車両用サスペンション装置を示す
平面図、正面図、側面図、及び円筒型弾性ブッシュの半
断面図である。
【図2】第1実施例の車両用サスペンション装置におい
て円筒型弾性ブッシュのこじり状態を示す半断面図であ
る。
【図3】第1実施例の車両用サスペンション装置におい
てタイヤに横力が作用した場合のトー角コントロールの
作用説明図である。
【図4】第1実施例の車両用サスペンション装置におい
て円筒型弾性ブッシュのバウンド・リバウンド変位に対
するバネ剛性特性図である。
【図5】第2実施例の車両用サスペンション装置を示す
平面図、正面図、側面図である。
【図6】第3実施例の車両用サスペンション装置の平面
図である。
【図7】第4実施例の車両用サスペンション装置の側面
図である。
【図8】従来例1の車両用サスペンション装置を示す平
面図である。
【図9】従来例2の車両用サスペンション装置を示す平
面図及び円筒型弾性ブッシュ断面図である。
【図10】旋回時におけるその場ロールモードと沈みロ
ールモードと浮きロールモードを示す図である。
【図11】リバウンドスプリングを内蔵したショックア
ブソーバを示す断面図である。
【符号の説明】
1 タイヤ 2 ロードホイール 3 アクスルハウジング 4 ラテラルロッド 5 ブラケット 6 ショックアブソーバ 7 サスペンションAアーム 8,9 円筒型弾性ブッシュ 10 車体 L1.L2 円筒中心線 L3 揺動中心線 α,β 交角 θ 交叉角 γ 傾斜角 δ こじり角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 牧田 光弘 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 須磨 賢二 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 3D001 AA14 DA04 DA08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つの円筒型弾性ブッシュを介し車体側
    に支持されるAアームタイプのサスペンションロアアー
    ム(以下、サスペンションAアームという)を有する車
    両用サスペンション装置において、 前記2つの円筒型弾性ブッシュの内外筒を予め相対回転
    状態とし内外筒間のゴムに初期歪みを付与することによ
    り、車両静止姿勢時において、前記サスペンションAア
    ームのタイヤ側支持点に車両下方向の初期荷重が加わる
    ように設定したことを特徴とする車両用サスペンション
    装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の車両用サスペンション
    装置において、 前記2つの円筒型弾性ブッシュを、2本の円筒中心線が
    互いに同一線上に重なるらないように設定したことを特
    徴とする車両用サスペンション装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の車両用サスペンション
    装置において、 前記2つの円筒型弾性ブッシュは、2本の円筒中心線が
    互いに平行、もしくは、車両上方から見た交叉角θが0
    <θ≦60degとなる設定としたことを特徴とする車両
    用サスペンション装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3の何れかに記載
    の車両用サスペンション装置において、 前記サスペンションAアームに与えられた上下荷重が車
    両静止姿勢時よりも少ない条件時において、一方の円筒
    型弾性ブッシュの中央点と他方の円筒型弾性ブッシュの
    円筒中心線とで規定される平面を、車両中央に向かって
    下方に傾斜させた状態で、円筒型弾性ブッシュの内外筒
    の周方向位置関係を拘束することにより、車両静止姿勢
    時において、2つの円筒型弾性ブッシュに初期歪みを付
    与したことを特徴とする車両用サスペンション装置。
  5. 【請求項5】 請求項2ないし請求項4の何れかに記載
    の車両用サスペンション装置において、 前記2つの円筒型弾性ブッシュの中心位置から、それぞ
    れの円筒中心線に垂直な線を路面に対して平行に引いた
    とき、車両上方から見た交点が、タイヤ中心から見て、
    車両内側前方、もしくは、車両外側後方の位置となるよ
    うに配置したことを特徴とする車両用サスペンション装
    置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5の何れかに記載
    の車両用サスペンション装置において、 前記2つの円筒型弾性ブッシュの中心位置から、それぞ
    れの円筒中心線に垂直な線を車両中心面に対して平行に
    引いたとき、車両側面方向から見た交点が、タイヤ中心
    から見て、前方上方、もしくは、後方下方の位置となる
    ように配置したことを特徴とする車両用サスペンション
    装置。
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