JP2003110307A - 誘電体導波管フィルタとその実装構造 - Google Patents

誘電体導波管フィルタとその実装構造

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 誘電体導波管フィルタの入出力の整合を得る
とともに、誘電体の露出部からの電磁界の漏れを防い
で、損失を少なくする。 【解決手段】 直方体の誘電体を連結して複数の誘電体
導波管型共振器によるフィルタを構成し、入出力端共振
器には誘電体の突出部を形成する。入出力用の導体スト
リップ線路を入出力端の共振器から突出部に、両脇に誘
電体の露出部を具えて伸びるように形成し、突出部の端
面で終端させる。所定の長さ以上に形成された配線基板
のマイクロストリップ線路やコプレーナ線路と結合させ
て入出力の整合を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】本発明は、誘電体導波管フィルタとその実
装構造に係るもので、特に、その入出力電極とそれを搭
載する配線基板に形成する導体パターンの構造に関する
ものである。
【０００２】
【従来の技術】誘電体導波管共振器を複数個結合させる
ことにより、種々の形態の誘電体導波管フィルタが得ら
れる。しかし、これまでの誘電体導波管フィルタでは、
入出力電極の構造として、共振器の側壁に導体パターン
を形成したものや、共振器内に貫通孔を設けたものなど
が考えられている。
【０００３】そのような入出力電極の構造は、接続部分
において配線基板上の線路との不連続性が大きく、入出
力部での不整合による影響が大きくなってしまうという
問題があった。そこで、特願2000−329046において、図
８および図９に示したように、導体膜の舌片（ストリッ
プ線路）85を形成し、これを配線基板上の導体ストリッ
プ線路86、86’と結合させることを提案した。
【０００４】しかし、このような導体の舌片を用いる場
合、それを端面まで伸ばして形成する必要があり、その
端面の一部には導体膜を形成せずに誘電体が露出する部
分を設けなければならない。このような誘電体が露出す
る部分が存在すると、この誘電体の露出部から共振器内
の電磁界が漏れ、これが放射損となってフィルタの損失
を著しく増大させてしまう要因となる。また、搭載位置
を厳密に制御しないと特性がずれてしまうという問題も
ある。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、誘電体導波
管フィルタを配線基板に実装したときに、フィルタの入
出力端子を配線基板に形成された信号線の不連続性を極
力減らして、入出力部での電磁界の反射や放射によって
引き起こされる損失を低減できる構造を提供するもので
ある。また、単純な構造で生産性の高い誘電体導波管フ
ィルタの実装構造を提供するものである。さらに、多少
の位置ずれがあっても特性が変化しない誘電体導波管フ
ィルタを提供するものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明は、入出力端の誘
電体導波管共振器の構造を改良し、それを搭載する配線
基板の導体パターンとしてその構造に適合したものを採
用することによって、上記の課題を解決するものであ
る。
【０００７】すなわち、複数の直方体の誘電体導波管共
振器が連結され、両端の誘電体導波管共振器に入出力電
極を具えた誘電体導波管フィルタにおいて、両端の誘電
体導波管共振器に誘電体の突出部が形成され、両端の誘
電体導波管共振器底面からそれぞれの突出部の底面の先
端まで伸び、両側に誘電体の露出部を具えた導体ストリ
ップ線路による入出力電極を具え、それぞれの導体スト
リップ線路が達する辺に接する端面では導体ストリップ
線路に接する部分で誘電体が露出しており、導体ストリ
ップ線路に接する誘電体の露出部を除いて誘電体の他の
表面は導体膜で覆われていることに特徴を有するもので
ある。
【０００８】さらに、その誘電体をを搭載する配線基板
上にそれぞれ入出力電極と接続される導体パターンが一
直線上に配置され、それらの導体パターンの先端の間隔
が入出力電極の端面の反対側の位置の間隔よりも短くさ
れたことに特徴を有するものである。
【０００９】
【発明の実施の形態】本発明による誘電体導波管フィル
タの構成要素は、 Ａ．連結された複数の誘電体導波管共振器、 Ｂ．入出力端の共振器に形成された突出部、そして、 Ｃ．入出力端の共振器の表面から突出部の表面に伸び、
突出部の端面まで伸びる導体ストリップ線路、である。
【００１０】配線基板にそれらのストリップ線路と同じ
幅の導体線路が形成され、それらのストリップ線路を接
続され、これらの導体パターンが誘電体導波管共振器の
底面で終端されることになる。配線基板からの信号が誘
電体導波管フィルタ内部の共振モードと結合することに
なる。配線基板の導体線路は入出力電極の内側の短部よ
りも内側まで伸びるように形成でき、誘電体導波管共振
器の搭載位置が線路の長さ方向にずれても特性に影響し
ない。
【００１１】誘電体導波管共振器の入出力電極を接続す
る部分の側壁において誘電体が露出しないように、ま
た、入出力電極を誘電体導波管共振器の側壁に直接にけ
いせいせず、突出部によってある程度はなれた位置まで
移動させる。突出部の壁面まで導体のストリップ線路を
伸ばすようにしてもよい。
【００１２】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例につ
いて説明する。図１は、本発明の実施例を示す斜視図で
ある。直方体の誘電体11a、11b、11c、11dによって構成
される4個の誘電体導波管共振器が、スリット13a、13
b、13cによって所定の結合に調整したものである。入力
電極となる導体ストリップ線路15a、15bは同じ底面に形
成されている。この例においては、共振器を構成する直
方体の誘電体11a、11dの外側に、同じ誘電体による突出
部17a、17bが形成されている。入出力電極となる導体ス
トリップ線路15a、15bは誘電体11a、11dの底面からそれ
ぞれ突出部17a、17bに跨って形成され、突出部17a、17b
の端部まで伸びている。
【００１３】突出部17a、17bの導体ストリップ線路15
a、15bに接する部分は誘電体が露出している。これは、
導体ストリップ線路15a、15bを入出力信号線路と接続さ
せるためである。図２は、突出部の端面の側壁の導体パ
ターンの形状の例を示したものであり、アース電位に接
続された導体膜19が導体ストリップ線路に接続されない
ように形成されている。導体ストリップ線路を側壁まで
伸ばして、導体パターン15’を形成してもよい。
【００１４】図３は、本発明の他の実施例を示す斜視図
で、突出部37a、37bの誘電体の幅を狭くしたものであ
る。同様に、図４に示した例は、突出部全体の寸法にお
いて幅と高さを小さくしたものを示している。もちろ
ん、突出部の側壁の導体パターンは、図２に示したよう
に、任意の形状とすることができる。
【００１５】図5は、本発明による誘電体導波管フィル
タを配線基板に搭載する実装構造を示す斜視図である。
誘電体導波管フィルタの構造は図１に示した例と同じ
で、配線基板18上には、一直線上に位置する導体パター
ン19a、19bが形成されて、誘電体導波管フィルタのスト
リップ線路15a、15bと接続される。
【００１６】本発明による誘電体導波管フィルタにおい
ては、ストリップ線路15a、15bの内側の端部の位置より
もさらに内側に伸びるように、導体パターン19a、19bが
形成されている。これによって、導体パターンの長さ方
向において誘電体導波管共振器の取付け位置が若干ずれ
ても特性に影響を生じることはない。なお、図６に示し
たように、配線基板の導体パターンを１本の直線の導体
パターン29だけで構成してもよい。
【００１７】本発明による誘電体導波管フィルタの動作
について説明する。両面プリント基板等の配線基板に形
成されたマイクロストリップ線路やコプレーナ線路の導
体パターンと、本発明による誘電体導波管フィルタの入
出力電極となる導体ストリップ線路は連続的な形状とな
る。また、誘電体導波管フィルタの入出力段の内部に入
り込んで終端しているので、底面にＴＥＭモードの入出
力信号が流れる。
【００１８】この信号によって誘電体導波管共振器の内
部に引き起こされた磁界が誘電体導波管共振器の基本共
振モードの磁界と結合し、その結果、外部回路と共振器
の結合が生じる。本発明による結合構造では、フィルタ
の入出力電極が配線基板の信号線と同じ平面にあるた
め、配線基板の信号線とフィルタの入出力電極の連続性
が保たれる。それによって、不連続によって生じる高周
波信号の反射を抑えることができる。
【００１９】入出力端子を設けた突出部は、誘電体導波
管共振器に比べて寸法が小さくなっているので、誘電体
導波管共振器の基本モード周波数に対しては遮断導波路
となり、共振周波数の電磁界は外部に漏洩しなくなるの
で、低損失を実現できる。
【００２０】本発明による誘電体導波管フィルタとして
４素子のサンプルを作製した例について説明する。全体
の長さを18.8mm、幅を4.1mm、高さを2.6mmとした誘電体
ブロックで図１と同じ構造のフィルタを構成し、入出力
電極となる導体ストリップの幅を0.68mmとし、その両側
の誘電体の露出部の幅を1.78mmとして、図６に示した配
線基板に搭載した。その結果、図７に示したように25GH
z帯で帯域内のリップルが小さく、帯域外の減衰特性が
良好なフィルタ特性を得られることが確認された。
【００２１】本発明による誘電体導波管フィルタは、入
出力信号線と連続性が高く、信号線が共振器の底面で終
端される構造を採用した。これによって、フィルタを搭
載する配線基板（プリント配線基板）のパターンは、フ
ィルタの底面の電極の電気的終端位置が変化しない範囲
でどのようなパターンを用いてもよい。例えば、前記の
ように連続したストリップ線路の上にフィルタを搭載す
ることも可能であり、仕様の変更によってフィルタの寸
法が変化した場合でも対応が容易となる。
【００２２】
【発明の効果】本発明によれば。配線基板への搭載時
に、フィルタの入出力端子と配線基板の信号線の不連続
性をほぼなくすことができ、入出力部での電磁界の反射
や放射によって生じる損失を最小限に抑えることができ
る。そのうえ、誘電体導波管共振器の搭載も容易とな
る。さらに、誘電体の形状を変えるのみで済むので、特
別な素子を付加する必要もなく工数、コストの面で有利
となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の実施例を示す斜視図
【図２】 本発明の実施例を示す側面図
【図３】 本発明の他の実施例を示す斜視図
【図４】 本発明の他の実施例を示す斜視図
【図５】 本発明の他の実施例を示す斜視図
【図６】 本発明の他の実施例を示す斜視図
【図７】 本発明による誘電体導波管フィルタの特性の
説明図
【図８】 従来の誘電体導波管フィルタを示す斜視図
【図９】 従来の誘電体導波管フィルタを示す斜視図
【符号の説明】
11：誘電体導波管共振器 13：スリット 15：入手sつ力電極 17：突出部 18：配線基板 19、29：導体パターン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮下 明司 埼玉県比企郡玉川村大字玉川字日野原828 番地 東光株式会社玉川工場内 (72)発明者 佐野 和久 埼玉県比企郡玉川村大字玉川字日野原828 番地 東光株式会社玉川工場内 Ｆターム(参考） 5J006 HC01 JA01 LA02 LA07 NA08 ND01 PA10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 複数の直方体の誘電体導波管共振器が連
    結され、両端の誘電体導波管共振器に入出力電極を具え
    た誘電体導波管フィルタにおいて、両端の誘電体導波管
    共振器に誘電体の突出部が形成され、両端の誘電体導波
    管共振器底面からそれぞれの突出部の底面の先端まで伸
    び、両側に誘電体の露出部を具えた導体ストリップ線路
    による入出力電極を具え、それぞれの導体ストリップ線
    路が達する辺に接する端面では導体ストリップ線路に接
    する部分で誘電体が露出しており、導体ストリップ線路
    に接する誘電体の露出部を除いて誘電体の他の表面は導
    体膜で覆われていることを特徴とする誘電体導波管フィ
    ルタ。
  2. 【請求項２】 入出力電極が配線基板のマイクロストリ
    ップ線路と接続される請求項１記載の誘電体導波管フィ
    ルタ。
  3. 【請求項３】 入出力電極が配線基板のコプレーナ線路
    と接続される請求項１記載の誘電体導波管フィルタ。
  4. 【請求項４】 複数の直方体の誘電体導波管共振器が連
    結され、両端の誘電体導波管共振器に入出力電極を具え
    た誘電体導波管フィルタの実装構造において、両端の誘
    電体導波管共振器に誘電体の突出部が形成され、両端の
    誘電体導波管共振器底面からそれぞれの突出部の底面の
    先端まで伸び、両側に誘電体の露出部を具えた導体スト
    リップ線路による入出力電極を具え、それぞれの導体ス
    トリップ線路が達する辺に接する端面では導体ストリッ
    プ線路に接する部分で誘電体が露出しており、導体スト
    リップ線路に接する誘電体の露出部を除いて誘電体の他
    の表面は導体膜で覆われており、その誘電体を搭載する
    配線基板上にそれぞれ入出力電極と接続される導体パタ
    ーンが一直線上に配置され、それらの導体パターンの先
    端の間隔が、入出力電極の端面の反対側の位置の間隔よ
    りも短くされたことを特徴とする誘電体導波管フィルタ
    の実装構造。
  5. 【請求項５】 配線基板上の導体パターンがマイクロス
    トリップ線路である請求項４記載の誘電体導波管フィル
    タの実装構造。
  6. 【請求項６】 配線基板上の導体パターンがコプレーナ
    線路である請求項４記載の誘電体導波管フィルタの実装
    構造。
  7. 【請求項７】 入出力電極が接続される導体パターンが
    配線基板上に形成された１本の直線の導体パターンであ
    る請求項４記載の誘電体導波管フィルタの実装構造。
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