JP2003100084A - 相変化型不揮発性記憶装置 - Google Patents

相変化型不揮発性記憶装置

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JP2003100084A
JP2003100084A JP2001296101A JP2001296101A JP2003100084A JP 2003100084 A JP2003100084 A JP 2003100084A JP 2001296101 A JP2001296101 A JP 2001296101A JP 2001296101 A JP2001296101 A JP 2001296101A JP 2003100084 A JP2003100084 A JP 2003100084A
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Katsutaro Ichihara
勝太郎 市原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 相変化材料を記憶セルとして用いる相変化型
不揮発性記憶装置(Ovonic-memory)の原理的問題点を
解決し、記憶装置として確実且つ容易に動作する相変化
型不揮発性記憶装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 非晶質状態と結晶状態との間で相変化
可能な相変化材料を有する記憶セル(16)を備え、前
記記憶セルの前記相変化材料の一部分(161)を非晶
質状態と結晶状態との間で相変化させることにより第1
の記憶状態と第2の記憶状態のいずれかを選択的に記憶
可能とし、前記記憶セルが有する前記相変化材料の残り
の部分(162)は、前記第1の記憶状態においても前
記第2の記憶状態においても結晶状態を維持することに
より、記憶セルの抵抗値を好適に調節してオーバーライ
ト・モードでの書き込みを可能にできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、相変化型不揮発性
記憶装置に関し、特に記憶セルに収容した相変化材料の
抵抗の変化によって情報を記憶し再生する相変化型不揮
発性記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】記憶装置(メモリ)は、計算機システム
に限らず、電気、ガス、水道、交通、通信等の社会イン
フラの制御系や家電製品の制御系など、至る所で使われ
ており、記憶装置無しでは、現代社会は成立しない。理
想的な記憶装置の姿は、大容量、高速、低ビットコス
ト、不揮発性、低消費電力、高信頼性の全てを併せ持つ
ことであるが、このような素子が存在しないため、シス
テムとして最適化するメモリ階層が組まれているのが現
状である。
【0003】例えばパソコンのメモリ階層を例にとる
と、上位のメモリから順番に、MPU(MicroProcessin
g Unit)と直接対話する超高速だがビット単価が非常に
高いSRAM(Static Random Access Memory)、SR
AMほど高速ではないが、固体メモリとしては比較的大
容量でありビット単価がSRAMよりは安いDRAM
(Dynamic Random Access Memory)、DRAMより数桁
もアクセス速度は低いが機械的アクセスとしては高速で
大容量でビット単価が安く但し媒体可換性の無いHDD
(Hard Disk Drive)、HDDよりは低速だがビット単
価が極めて安く媒体可換性や信頼性に優れる光ディス
ク、フロッピーディスク(登録商標)、磁気テープ、と
いうような階層が組まれている。
【0004】このようなメモリ階層を構築することによ
り、システムとしての性能と価格の最適化が図られてい
るが、理想的な記憶装置、例えばDRAMの速度とHD
Dの容量と不揮発性とを併せ持つ全能的なメモリ(ユニ
バーサルメモリ)が出現すれば、システム設計が大幅に
簡略化され、飛躍的に高性能で低価格なシステムの構築
が可能となる。
【0005】また一方で、全能的なメモリという立場で
なく、個別の記憶装置に焦点を当てた場合でも、「産業
の米」と言われ電子産業を牽引してきたDRAMの大容
量化が限界に近づいている、という具体的な課題もあ
る。例えば、日経エレクトロニクス2001−2−12
号に、DRAMの限界とそれに置き換わる記憶装置の候
補が説明されている。
【0006】DRAMの限界は、大容量化即ち記憶セル
の微細化に伴う、容量占有面積の相対的な増大であり、
もはやトレンチ構造やスタック構造で所定の容量(30
fF)を得ることが困難になってきている。DRAMに
置き換わり得る記憶装置の候補は、FeRAM(Ferroe
lectric RAM:強誘電体ランダムアクセスメモリ)、MR
AM(Magnetoresistive RAM:磁気抵抗ランダムアクセ
スメモリ)、PRAM(Phase-change RAM:相変化型ラ
ンダムアクセスメモリ)の三種類である。
【0007】FeRAMは、強誘電体の残留分極を利用
して記憶保持するもので、信号量は蓄積電荷量に比例す
る。蓄積電荷量は記憶セル面積に比例するのでDRAM
同様、記憶セルの微細化に伴い強誘電体記憶部の構造は
三次元的に複雑化する宿命にある。
【0008】MRAMは、磁気抵抗効果を利用するもの
で、比較的大きな抵抗変化を示すTMR(Tunneling Ma
gnetoResistance effect)素子や、CPPGMR(Curr
entPerpendicular to Plane GiantMagnetoResistance e
ffect)素子が主に検討されている。MRAMの課題
は、素子の微細化に伴い磁化反転時の反磁界が増加し、
記録電流が増大する点にある。また、抵抗変化率が比較
的大きいと言っても高々50%程度である。
【0009】PRAMは、本発明に関わる素子であり、
相変化材料の比抵抗の変化を利用して情報を記録する素
子である。その原理的な提案は、1966年の米国特許
第3,271,591号の開示、及び1970年の米国
特許第3,530,441号の開示に遡り、提案者のO
vshinsky氏の名前を取り「オボニック・メモリ
(Ovonic-memory)」とも呼ばれることがある。
【0010】その動作原理を簡単に説明すると、以下の
如くである。
【0011】相変化材料を収容した記憶セルに非晶質化
レベルの記録電流を通電して相変化材料を溶融してから
急冷し、室温に非晶質状態を持ち来たすことにより、非
晶質状態が得られる。一方、このような相変化材料に結
晶化レベルの記録電流を通電することによってアニール
すると、相変化材料は結晶化して結晶状態が得られる。
このようにして、非晶質状態と結晶状態とを各セルに書
き込むことができる。
【0012】一方、再生は、非晶質化レベル未満で結晶
化レベル未満の電流をセルに通電し、非晶質状態と結晶
状態の抵抗の違いを電圧変化もしくは電流変化として読
み取って行う。ある種の相変化材料においては、非晶質
状態の比抵抗と結晶状態の比抵抗が2〜3桁程度も違う
ため、再生信号品質は極めて高く、例えば米国特許第
5,296,716号公報に開示されているように多値
記録に技術展開することも可能である。
【0013】PRAMのセルの構造は基本的に電極と相
変化材料からなり、これにセル選択用のダイオードもし
くはトランジスタを直列接続してマトリクスアレイを構
成する。DRAMやFeRAMのようにセルの微細化に
よって記憶保持部が相対的に肥大化するといった問題は
無く、また、MRAMのように微細化によって記録しに
にくなる、といった問題も無い。PRAMの相変化記憶
部は、セルの微細化と共にスケーリング則通りに縮小
し、記録電流は微細化により低下する。
【0014】このように、PRAMはDRAMの置換え
としての優れてポテンシャルを有する。また、前記した
ように多値記録が可能なため、前述した「ユニバーサル
メモリ」の有力な候補としても位置付けられる。上述の
ようにPRAMの抵抗変化は100〜1000倍にも達
するので、例えば、上述したMRAMで得られる50%
の抵抗変化を二つの信号レベルに割振ると、一つの相変
化記憶セルで200〜2000値の情報を記憶すること
が可能、ということになる。従って、二値動作で1Gb
のマトリクスでは、実質的に200Gb〜2Tbの情報
の記憶が可能となる。このように、PRAMは、まさし
くDRAMの高速性とHDDの大容量性とを併せ持つユ
ニバーサルメモリの有力候補ということができる。
【0015】PRAMに関しては、前記した文献以外
に、米国特許第5,341,328号、米国特許第5,
359,205号、米国特許第5,406,509号、
米国特許第5,414,271号、米国特許第5,53
4,711号、米国特許第5,534,712号、米国
特許第5,596,522号、米国特許第5,687,
112号、米国特許第6,087,674号公報などに
おいて、改良技術が開示されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者は、
相変化材料を用いた記憶装置の動作について独自の検討
を行った結果、原理的な問題を見出した。そして、この
知見に基づき、記憶セルを試作して動作を試みた結果、
本発明の発明者等の見出した問題が本質的であることを
確認し、さらにこの原理的問題を解決する新規な手法を
開発して、本発明に至った。
【0017】すなわち、本発明は、かかる課題の認識に
基づいてなされたものであり、その目的は、相変化材料
を記憶セルとして用いる相変化型不揮発性記憶装置(Ov
onic-memory)の原理的問題点を解決し、記憶装置とし
て確実且つ容易に動作する相変化型不揮発性記憶装置を
提供することにある。
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の相変化型不揮発性記憶装置は、第1の比抵
抗を有する第1の相状態と、前記第1の比抵抗とは異な
る第2の比抵抗を有する第2の相状態と、の間で相変化
可能な相変化材料を有する記憶セルを備え、前記記憶セ
ルの前記相変化材料の一部分を前記第1の相状態と前記
第2の相状態との間で相変化させることにより、前記第
1の相状態に対応づけた第1の記録状態または前記第2
の相状態に対応づけた第2の記憶状態として記憶可能と
し、前記記憶セルが有する前記相変化材料の残りの部分
は、前記第1の記憶状態においても前記第2の記憶状態
においても前記第1の相状態にあることを特徴とする。
【0018】上記構成によれば、相変化材料の中に、常
に相変化しない「残りの部分」を設けることによって記
憶セルの抵抗値を好適に調節し、同一の書き込み電圧パ
ルスあるいは電流パルスでオーバーライト・モードの書
き込みが可能となる。
【0019】ここで、前記第1の相状態は、結晶状態で
あり、前記第2の相状態は、非晶質状態であるものとす
ることにより、記憶セル中に、常に結晶状態を維持する
「永久結晶領域」を設けることができる。
【0020】また、前記記憶セルは、前記相変化材料か
らなる層を挟むように設けられた一対の電極を有し、前
記一対の電極のうちの少なくともいずれかの電極の面積
よりも前記相変化材料からなる層の面積のほうが大きい
ものとすれば、永久結晶領域を確実且つ容易に確保する
ことができる。
【0021】また、前記相変化材料として、結晶成長型
材料を用いれば、永久結晶領域からの結晶成長による相
変化を生じさせることができる。
【0022】また、前記記憶セルの前記相変化材料の前
記一部分に対する前記残りの部分の体積の割合は、0.
1以上で1.5以下であるものとすれば、記憶セルの抵
抗値を好適な範囲に調節することができる。
【0023】また、前記記憶セルの前記相変化材料の前
記一部分を前記第1の相状態と前記第2の相状態とが混
在した中間の相状態とすることにより、前記第1の記憶
状態とも前記第2の記憶状態とも異なる第3の記憶状態
として記憶可能とすれば、いわゆる多値記憶を実現でき
る。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、具体例を参照しつつ本発明
の実施の形態について詳細に説明する。
【0025】図1は、本発明の相変化型不揮発性記憶装
置(PRAM)の要部構成を例示する模式図である。す
なわち、複数のYアドレス線12とXアドレス線18と
が縦横マトリクス状に配線され、これらのそれぞれにメ
モリセルCがアレイ状に接続されている。メモリセルC
のそれぞれは、例えば図示したように、相変化記憶セル
1とセル選択ダイオード2とが直列に接続された構造と
することができる。
【0026】そして、Yアドレス線12とXアドレス線
18とにそれぞれ接続されたドライバ回路23A、23
Bにより、メモリセルCのいずれかが選択され、その選
択ダイオード2を動作させて、記憶セル1に情報を書き
込み、あるいは書き込まれている情報を読み出す。な
お、ドライバ回路23A、23Bは、記憶装置の内部に
設けられていてもよく、または外部に別体として設けら
れていてもよい。
【0027】ここで、それぞれのメモリセルCにおける
記憶セル1とダイオード2との接続関係は逆でもよい。
また、記憶セル1の選択は、対応する選択ダイオード2
の順方向特性を利用しても逆方向特性を利用しても良
い。例えば、選択したいメモリセルCのみに対して、そ
のダイオード2の順方向バイアスを印加し、他のメモリ
セルCには逆方向バイアスを印加するようにドライバ回
路23A、23Bを動作させれば、選択した記憶セル1
のみに順方向電流を流すことができる。
【0028】図2は、本発明のPRAMのメモリセルC
の断面構造を例示する模式図である。 すなわち、本発
明のPRAMは、基板11の上にYアドレス線12、選
択ダイオード2、相変化記憶セル1、Xアドレス線1
8、保護層19が順に積層された構造を有する。ただ
し、本発明における各要素の積層関係は、図示したもの
には限定されず、異なる順序に積層したものや、その他
の要素を適宜追加したものも本発明の範囲に包含され
る。
【0029】さて、セル選択ダイオード2の構造を説明
すると、Yアドレス線12の上にn型半導体層13とp
型半導体層14とが積層された構造を有する。その周囲
は、第1の絶縁チャネル20により電気的に分離されて
いる。
【0030】次に、その上に積層された相変化記憶セル
1の構造を説明すると、第1電極15、相変化記憶層1
6、第2電極17が順次積層された構造を有する。その
周囲は、第2の絶縁チャネル21によって電気的に分離
されている。
【0031】相変化記憶層16は、上下の電極15、1
7の間に挟まれた相変化領域161とその周囲に延出し
た永久結晶領域162とを有する。すなわち、相変化領
域161は第1電極15と第2電極17とに面接触して
おり、記録電流の通電により非晶質状態、結晶状態及び
中間状態の間を遷移し、それに対応して電気抵抗が変化
する。
【0032】これに対して、永久結晶領域162は、基
本的には記録電流の通電によってもその状態を結晶状態
に保持するが、第1電極15、第2電極17とは間接的
に線接触しており、適度な「記録電流路」として作用す
る。適度な記録電流路としての作用とは、例えば相変化
領域161が高抵抗の非晶質状態にある時、相変化領域
161と永久結晶領域162との境界付近の永久結晶領
域162に定電圧駆動により電流を通電し、相変化領域
161と永久結晶領域162との境界付近の相変化領域
161の非晶質部を選択的に加熱して、この加熱部に結
晶核を生成したり、結晶化を促進させたり、隣接する永
久結晶領域162を結晶種(シード)として横方向に結
晶成長を促したりすることを意味する。
【0033】永久結晶領域162は、図2に例示したよ
うに、第1電極15と第2電極17とを結ぶ主要電流経
路から外側に外れるように設けるのが好ましいが、これ
ら上下電極を結ぶ経路内に多少食い込むように設けられ
てもよい。
【0034】なお、この場合の「主要電流経路」は、電
極15と相変化記憶層16との接触面を第1の接触面と
し、電極17と相変化記憶層16との接触面を第2の接
触面とした時に、第1の接触面と第2の接触面の外周同
士を直線で結んで形成される最大の領域に対応する。
【0035】また、図2に例示したように上下の電極1
5、17の面積に比べて相変化記憶層16の断面積が大
きい場合には、相変化領域161と永久結晶領域162
とを同一の相変化材料で形成できるので製造が容易とな
る。これに対して、永久結晶領域162を相変化領域1
61よりも非晶質化しにくい材料により形成すれば、上
下電極を結ぶ経路上に永久結晶領域162を食い込ませ
て設けてよいのはもちろん、電極15、17の面積と相
変化記憶層16の断面積を一致させてもよく、あるいは
電極面積よりも記憶層16の面積を小さくすることもで
きる。ここで、非晶質化しにくい材料としては、相変化
領域161よりも融点が高いか、結晶化時間が短く再結
晶化しやすい材料を挙げることができる。
【0036】相変化記憶層16の材料としては、Ge−
Sb−Te,In−Sb−Te,Ag−In−Sb−T
e,Ge−Sn−Teなどのカルコゲン化合物を挙げる
ことができる。これらの材料は、高速スイッチング性、
繰返し記録安定性、高信頼性を確保する上で望ましい。
【0037】一方、セル選択ダイオード2としては、通
常の半導体、代表的にはn型シリコン(Si)とp型シ
リコンとの接合を用いることができる。セルの選択は、
ダイオードの代わりに、トランジスタ、例えばMOSF
ET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Trans
istor)を用い、ゲート電圧の印加によりソース・ドレ
イン間にn型もしくはp型のチャネル(電流路)を形成
して行っても良い。
【0038】基板11としては、単結晶シリコンを用い
ることができる。この上に、通常の半導体プロセスによ
ってダイオード2やトランジスタなどを形成することが
できる。
【0039】Yアドレス線12としては、n型もしく
はp型の高濃度ドープの半導体や、アルミニウム(A
l)、銅(Cu)などの金属を用いることができる。単
層でも多層構造でもよい。
【0040】相変化記憶セル1の電極15、17も、単
層でも多層構造でも良く、例えば相変化記憶層16の上
下に炭素(C)、非晶質シリコン(a−Si)などの拡
散バリア層を設け、その上下にタンタル(Ta)、モリ
ブデン(Mo)、タングステン(W)などの高融点金属
からなる層を配置すると、繰返し記録、保存寿命等の信
頼性を確保する上で好ましい。
【0041】Xアドレス線18としては、アルミニウム
(Al)、銅(Cu)などの高伝導金属を用いるのが良
い。第1の絶縁チャネル20は、ドープ量の少ない絶縁
性半導体により形成するのがプロセス上は好ましいが、
酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(Si
)などを用いて形成することもできる。第2の絶
縁チャネル21の材料としては、各種の絶縁体、例えば
酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(Si
)、酸化アルミニウム(Al)、窒化アル
ミニウム(AlN)、酸化タンタル(Ta)、酸
化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(Zr
)、窒化ボロン(BN)、炭素水素(C−H)系も
しくは炭素フッ素(C−F)系のプラズマ重合体、スピ
ンコート・ポリイミドなどを用いることができる。
【0042】保護層19の材料は、第2の絶縁チャネル
21と同様の材料から選択することが可能である。
【0043】以上、本発明のPRAMの要部構成につい
て説明した。
【0044】次に、このPRAMの動作作用について説
明する。
【0045】まず、永久結晶領域162を設けない従来
のPRAMの動作に関して本発明者が見いだした本質的
な問題点について説明する。
【0046】これは、一言で言うと、これまでに開示さ
れているPRAM技術においては書き込みすなわち記録
を「オーバライトモード」で行うことが困難であった、
ということである。つまり、記録前のセルが非晶質状態
であっても結晶状態であっても、一意的に決められた所
定の非晶質化電流を通電すればセルは非晶質化し、一意
的に決められた所定の結晶化電流を通電すればセルは結
晶化する、という公式が成り立たないということであ
る。
【0047】ここで、セルが非晶質状態に有る時のセル
の抵抗をRa、セルが結晶状態に有る時のセルの抵抗を
Rcとする。記録は定電圧を印加して行っても定電流を
流して行っても良いが、まず、定電圧駆動する場合につ
いて説明する。表1は、記録前の状態から記録後の状態
への遷移、非晶質化電圧Va、結晶化電圧Vc、セルに
流れる電流Ic、セルで消費される電力Pcの関係を纏
めた表である。ここで、aは非晶質状態を表し、cは結
晶状態を表す。例えば表1において、c→aは、結晶状
態から非晶質状態への遷移を意味する。
【0048】
【表1】 セルへの記録は、電流通電によるセルの加熱により行わ
れる。そして、セルの温度Tはセル以外の部分への熱伝
導損失を無視するとPcに比例する。表1において、I
c、Pcは記録過程初期の値を表すが、実際には、後述
するように相変化に伴ってIc、Pcは記録過程の途中
で変化する。
【0049】さてここで、前述したように、Ra=(1
00〜1000)×Rcという関係がある。本発明者が
見出した従来のPRAMの原理的な問題は、このRa、
Rcの抵抗の差と表1のPcに関連しており、RaとR
cの差が大きいほど深刻となる。以下、一例として問題
が最も軽減化されるRa=100Rcの場合について説
明する。
【0050】相変化記憶層に用いられるカルコゲン系の
化合物の融点Tmと結晶化温度Txは、材料や組成に依
存し、例えばGeSbTeの場合、Tm=600
℃、Tx=160℃である。
【0051】図3及び図4は、定電圧モードすなわち印
加電圧を一定とした場合のセルの温度T(∝Pc)と通
電時間tとの関係を模式的に表すグラフ図である。それ
ぞれのグラフは、表1に表したそれぞれの遷移に対応す
るセルの温度変化を表す。また、ここで、温度上昇の過
程では、相変化記憶層から周囲への熱伝導損失は簡略化
のために無視した。
【0052】前述したように、PRAMに対するオーバ
ーライトは、現在のセルの状態に関わらず、一意的に決
定された所定の非晶質化電流パルスを通電してセルを非
晶質化させ、一意的に決定された所定の結晶化電流パル
スを通電してセルを結晶化せんとするものである。つま
り、Va、Vcが各々一意的に決定される他、Va、V
cのパルス幅も一意的に決定される。
【0053】しかしながら、前述したようにRa=10
0Rcとすると、同一の電圧を印加して通電した場合、
結晶状態(c)の消費電力は、非晶質状態(a)の消費
電力の100倍となる。従って、通電によるセル温度の
時間に対する上昇率は、結晶状態(c)のほうが非晶質
状態(a)よりも100倍大きい。セルの温度は、消費
電力と時間との積、即ちセルへの投入エネルギーで決ま
るから、同一の電圧を印加した場合、結晶状態(c)の
セルの温度は、非晶質状態(a)のセルの温度よりも1
00倍速く上昇することとなる。以下、図3及び図4を
参照しつつこの点について詳しく説明する。
【0054】まず、結晶(a)→結晶(a)遷移につい
て説明する。
【0055】図3(a)は、a→a遷移において、パル
ス幅が比較的長い場合のセルの温度変化を表す。
【0056】非晶質化電圧Vaの印加によりセルに通電
すると、セルがメモリの動作環境温度TaにあるO点か
ら温度が上昇し、A点で結晶化温度Txに至る。Taか
らTxの間は相変化が起こらないので、セルへ投入され
る電力は表1に示した値のままである。従ってOからA
への温度上昇は直線的であり、その傾斜は表1に表した
ようにPc=Va/Raで与えられる。
【0057】A点からさらに温度が上昇すると次第にセ
ルが結晶化する。結晶化に要する時間は相変化記憶層の
材料の選定にも依存するが一般的にはサブナノ秒から数
10ナノ秒である。結晶化の途中の段階では、セルは非
晶質状態と結晶状態との中間的な状態にある。この中間
的な状態においては、従来のPRAMに関して開示され
たように微細結晶粒を非晶質マトリクスが取り囲む状態
以外にも、本発明者が見出したところによれば、セルの
上下を略連通する略柱状の結晶柱もしくは略円筒状の結
晶円筒が形成され、これら結晶柱の周囲を非晶質円筒が
取り囲んでいる状態や、結晶円筒中に非晶質柱が残留し
ている状態なども有り得る。
【0058】いずれの場合も、結晶化に伴ってセルの抵
抗は減少して電流が流れやすくなり、温度上昇の傾斜は
図3(a)のA→Bに示すように増大し、B点において
セルはほぼ完全に結晶化する。A点とB点の途中で通電
を中断すれば、中間的な状態(結晶と非晶質とが混在し
た状態)を形成できるので多値記録ができる。
【0059】B点を経過した後の融点Tm未満の温度帯
における温度上昇率はPc=Va/Rcであり、この
経路の傾斜角は経路OAの傾斜角の100倍である。C
点に至ると、結晶化したセルは溶融する。溶融潜熱が必
要なので極く短い時間ではあるがC点からD点まではセ
ルの温度は融点に保持される。C点からD点に至る間に
おいても、セルは結晶状態と溶融状態との中間的な状態
に有るので、CD間でパルスオフすると、結晶状態と非
晶質状態との中間的な状態(混在した状態)を形成で
き、グレー記録即ち多値記録が可能である。
【0060】D点においてセルはほぼ完全に溶融し、経
路OAと概ね同じ傾斜角で温度上昇しE点に至りパルス
がオフされる。経路DEの傾斜角が経路OAと概ね一致
するのは、溶融状態の比抵抗が非晶質状態の比抵抗にほ
ぼ一致するためである。パルスオフのタイミングは、D
点以降ならいつでも良くD点でパルスオフしても良い。
【0061】パルスオフ後、セルは急峻に冷却されてF
点で保持温度Taに戻り、a→a(非晶質→非晶質)の
記録が完了する。
【0062】ここで、経路EFの冷却過程においても、
セルはTmからTxの間の温度帯を通過するが、相変化
記憶材料の結晶化時間に比べてTmとTxの間を通過す
る時間が十分に短い場合、保持温度に溶融したランダム
な状態がクエンチされて非晶質状態の記録ができる。こ
のことは、図3(a)において、AからBにいたる時間
に比べEからFにいたる時間の中でTmとTxの間にセ
ルが有る時間が十分に短いことを意味している。
【0063】次に、図3(b)を参照しつつ、定電圧モ
ードにおけるc→a(結晶→非晶質)遷移について説明
する。
【0064】非晶質化の記録であるから、オーバライト
モードを採用する場合には、記録電圧、記録パルス幅共
に上述したa→a遷移と同一となる。
【0065】まず、同図においてO点の結晶状態のセル
にVaを印加すると、Pc=Va/Rcの傾斜角で急
峻に温度が上昇する。セルが結晶状態に有るので、Tx
を過ぎても相変化は起こらずTmまで直線的に温度上昇
してG点に至る。そして、溶融潜熱領域に対応する経路
GHを経て、H点以降は概ねPc=Va/Raの緩い
傾斜角で温度上昇を続け、a→a遷移のパルスオフ時間
に相当するI点に至り、パルスオフ後急冷されてc→a
の記録が完了する。
【0066】この場合は、H点からI点までの時間帯の
加熱は不必要な加熱時間ということができるが、オーバ
ライト記録の場合は、a→a遷移とパルス幅が同じなの
で無駄が生じてしまう訳である。また、E点に比較して
I点の温度は高いのでセルに不必要な温度上昇を与える
ことにもなり、繰返し記録の安定性を損ないやすいとい
う問題も有する。
【0067】これらの点も、従来のPRAMの問題点で
あり、本発明はこれらの問題も解決するものである。但
し、これらの問題は、前述した原理的問題とは異なる。
本発明者が見出した原理的問題とは、後述するa→c遷
移とc→c遷移の両立の困難性のことである。
【0068】a→c遷移とc→c遷移の両立困難性を説
明する前に、本発明におけるa→a遷移、c→a遷移の
例を説明する。a→a遷移、c→a遷移は図3に関して
前述した以外にも、以下の過程でも実施可能である。
【0069】すなわち、図3(b)において、c→a遷
移をH点で終了させる。このようにH点から急冷した場
合も、I点から急冷した場合と同ようにc→a遷移を実
現することができる。
【0070】また、前述したように経路GHの中間でパ
ルスオフすれば多値記録が可能である。これに対応する
a→a遷移は、図3(a)において、A点に至る前にパ
ルスがオフされることになるので、記録前の非晶質状態
は記録過程で何ら相変化過程を通ることなく非晶質状態
を保存しa→aの記録が完了する。この方法は、前記し
た方法即ちa→a遷移において一旦セルを結晶化させる
場合に比べて記録時間が短く消費電力が低いという利点
がある。
【0071】次に、従来のPRAMの原理的問題とし
て、本発明者が見出したa→c遷移とc→c遷移の両立
困難性について説明する。
【0072】図4は、定電圧モードでa→c遷移および
c→c遷移を起こさせる場合のセルの温度T(∝Pc)
と通電時間tとの関係を模式的に表すグラフ図である。
【0073】まず、図4(a)に表したa→c遷移から
説明する。
【0074】この場合、動作環境温度TaにあるO点か
らJ点、及びJ点からK点までの温度上昇の挙動は、図
3(a)に表したa→a遷移の場合のO点からA点及び
A点からB点の場合と同様である。但し、OAの傾斜角
はPc=Vc/Raであり、VaがVcになっている
点が異なる。a→c遷移を実現するためには、K点まで
の加熱は必須である。K点を含みセルが融点に至る前の
点Lでパルスオフすることでa→c遷移を実現すること
ができる。
【0075】次に、図4(b)に表したc→c遷移につ
いて説明する。
【0076】この場合、結晶状態の比抵抗が小さいため
にO点からM点まで温度上昇する時間は極めて短く、例
えば図4(a)に表した非晶質状態のO点からJ点に至
る時間の数10分の1程度である。従って、a→c遷移
(図4(a))を完了させるために必要とされる時間だ
け電圧を印加してc→c遷移(図4(b))を行おうと
すると、セルはM点に至り溶融を開始する。状態Oから
状態Mに至る時間は極く短く、そのままa→c遷移を完
了させる電圧印加時間と同じ時間だけ電圧を印加する
と、セルはO→M→N→Pと温度上昇を続けパルスオフ
によってF点で非晶質状態に遷移してしまう。つまり、
c→c遷移の筈が、c→a遷移となってしまう。
【0077】一方、c→c遷移を実現するために、例え
ばQ点でパルスオフすればR点に結晶状態が持ちきたさ
れてc→c遷移を実現できる。しかし、この様な短パル
スを印加した場合、図4(a)に表したa→c遷移にお
いて、J点に至る前に電圧パルスがオフされることにな
り、a→c遷移を実現できない。
【0078】つまり、図4(a)及び(b)に表したよ
うに、定電圧モードでa→c遷移とc→c遷移を実現さ
せる場合、それぞれに必要とされる電圧パルスの印加時
間は大きく異なり、同一の電圧パルスを用いてa→c遷
移とc→c遷移とを実現することができない。
【0079】本発明は、このような従来のPRAMが有
する原理的問題を解決するものである。
【0080】以下、本発明のPRAMにおけるセルの消
費電力と温度履歴について説明する。
【0081】図5は、図2に例示した本発明のPRAM
の相変化記憶セル1の部分を抽出した模式図であり、同
図(a)は図2と同様の断面図、同図(b)は平面図す
なわち相変化記憶セルを上方または下方から見た図であ
る。
【0082】図5においては、説明の簡単のために、相
変化領域161、永久結晶領域162の厚みは同一で、
形状は正方形状とし、電極15、17の形状は相変化領
域の形状と同一とした。また、電極15、17と永久結
晶領域162とは、電極の周縁部で線接触しているもの
とする。但し、前述したように、これらの条件は本発明
の必須事項ではなく、相変化領域や永久結晶領域の厚み
や形状、あるいは電極との配置関係などについては適宜
変更してもよい。
【0083】ここで、相変化領域161の一辺の長さを
M、永久結晶領域162の外縁部の一辺の長さをL、相
変化記憶層の厚みをd、相変化記憶層16が非晶質状態
に有る時の比抵抗をρa、結晶状態に有る時の比抵抗を
ρc、電極と永久結晶領域の接触部の幅をΔx、接触部
の厚みをΔzとする。
【0084】すると、電極15、17と永久結晶領域1
62との接触抵抗(Rcont.)は、次式により表すこと
ができる。
【0085】
【数1】 ここで、ΔxとΔzの収束次数は同じなので、上式は次
式により表される。
【0086】Rcont.=ρc/(4M) また、電極15、17と永久結晶領域162との接触部
を介して、電極から永久結晶領域に電流が通電した時、
永久結晶領域162に均一に電流が流れると近似する
と、永久結晶領域の抵抗(Rperm.)は、次式により表
すことができる。
【0087】Rperm.=ρc×[d/(L−M)] 実際には、永久結晶領域162においては、電極15、
17との接触部近傍に電流が集中するので、上式で与え
られるよりも抵抗Rperm.は大きいが、以下の説明にお
いては、上式により近似する。
【0088】ただし、正確には上式に適当な係数k(k
>1)を乗じて扱えば良く、本発明の効果はkがρa/
ρcの1/2以下程度で有れば得ることができ、1/1
0以下程度で有れば十分な効果を得ることができる。こ
こで、k>1とするのは、記録電流が永久結晶領域全域
に亘って通電するのでは無いことを意味する。従って非
晶質化レベルの記録電流を通電しても永久結晶領域が非
晶質化することは無く保存される。また、電極15、1
7と永久結晶領域162とが直接電気的に接触していな
い場合でも、電極と永久結晶領域との間の相変化領域を
介して永久結晶領域に通電するので本発明の実施は可能
であり、その場合は、上式において抵抗Rperm.に1未
満の係数を適宜選択して乗じた値が実効的な抵抗とな
る。
【0089】さて、図5に例示した構造を参照しつつ説
明を続けると、電極15、17から見た永久結晶領域1
62の実効抵抗(Rpeff)は、次式により表すことが
できる。
【0090】Rpeff=Rcont.+Rperm. 一方、相変化領域161の抵抗は、相変化領域161が
非晶質状態に有る時には次式により表される。
【0091】Ra=ρa×d/M また、相変化領域161の抵抗は、相変化領域161が
結晶状態に有る時には次式により表される。
【0092】Rc=ρc×d/M 上記したRa、Rcは、前述した従来のPRAMのそれ
らと一致する。ただし、本発明の相変化記憶セルにおい
ては、相変化領域161が非晶質状態に有る時の実効抵
抗(Ra’)は、次式により表される。
【0093】 Ra’=1/[(1/Rpeff)+(1/Ra)] また一方、本発明の相変化記憶セルにおいては、相変化
領域161が結晶状態に有る時の実効抵抗(Rc’)
は、次式により表される。
【0094】 Rc’=1/[(1/Rpeff)+(1/Rc)] つまり、単にRa、Rcのみによって決定されるのでは
なく、Rpeffとの並列抵抗で与えられる点に特徴を有
する。このことは、図5に表した長さLと長さMとの比
率によって、Ra’とRc’の値を自由に制御できるこ
とを意味する。
【0095】図6は、長さLおよびMとセルの抵抗との
関係を例示するグラフ図である。すなわち、同図の縦軸
はセルの抵抗Rcellを表し、横軸はパラメータ(L
)/M を表す。
【0096】図6に例示した曲線は、M=0.2μm、
d=0.1μm、ρa=100Ω・cm、ρc=1Ω・
cmとして、(L−M)/Mに対してRa’とR
c’を表したものである。L=Mの場合のプロット、す
なわち永久結晶領域162を有さない従来のPRAMの
Ra’,Rc’は各々Ra,Rcと一致し、図6では黒
丸と白丸で表した。
【0097】図6から明らかなように、本発明に従って
相変化記憶セル中に永久結晶領域162を設けること
で、Ra’,Rc’を幅広く制御できる。その結果とし
て、本発明によればRa’とRc’との差を小さくでき
るので、従来のPRAMの原理的な問題、すなわち図4
に関して前述したようにRaとRcの差が大きいが故に
オーバーライト記録において記録前のセルの状態に応じ
てセルの温度上昇が大幅に異なり、例えば定電圧駆動で
はc→c遷移の実現が困難だったという問題を解決でき
る。
【0098】次に、記憶装置の読み出し動作について説
明する。
【0099】相変化記憶セル1の状態を読み出すために
は、相変化領域161に相変化が発生しない程度の再生
電圧パルスVrをセル1に印加し、非晶質状態の信号電
流Vr/Ra’と結晶状態の信号電流Vr/Rc’及び
Vr/Ra’とVr/Rc’の間にある中間状態の信号
電流を読み出す。従って、再生信号振幅を大きくするた
めには、また、中間状態をできるだけ多く設定するため
には、Ra’とRc’との差は大きい方が好ましい。
【0100】つまり、本発明によれば、従来のPRAM
が有していたオーバライト記録が困難という原理的問題
を解決することができるが、その一方で、再生信号振幅
が低くなる。ただし、相変化型メモリにおいては、用い
る材料の特性上、元々のRaとRcの差が十分過ぎる程
度に大きいので、本発明を適用しても十分に大きな再生
信号振幅が得られ、かつ多値記録が可能である。
【0101】図6には、再生信号振幅の目安となる抵抗
変化率((Ra’−Rc’)/Rc’)も併せて表し
た。図6は、M=0.2μm、d=0.1μm、ρa=
100Ω・cm、ρc=1Ω・cmとした場合の一例だ
が、他の実用的な条件範囲において、(L−M)/
とRa’、Rc’、 (Ra’−Rc’)/Rc’
の関係は、概ね図6と一致した。
【0102】多値記録が可能な(Ra’−Rc’)/R
c’は概ね100%以上、オーバライト記録においてa
→c遷移とc→c遷移が両立するRa’/Rc’比は概
ね10で有るから、永久結晶領域162の断面積(L
−M)と相変化領域161の断面積(M)との比は
0.1以上で、1.5以下であることが望ましいと言え
る。
【0103】以上、従来のPRAMが有する原理的な問
題点と、これに対する本発明の解決手段とについて、相
変化セルを定電圧駆動させる場合を例に挙げて説明し
た。
【0104】しかし、本発明は、定電圧駆動には限定さ
れず、相変化セルを定電流駆動する場合にも同様に有用
である。
【0105】以下に相変化セルを定電流駆動する場合
の、従来のPRAMの問題点とそれを解決する本発明の
構成と手段について、上記した定電圧駆動の説明と重複
しない部分について述べる。
【0106】定電流源を用いた場合、非晶質化電流をI
a、結晶電流をIcとおくと、セルの遷移に対応するセ
ル端電圧、セルの消費電力は表2のようになる。
【0107】
【表2】 表2から、定電流駆動の場合は、表1に表した定電圧駆
動の場合とは逆に、セルが非晶質状態の時のセルの温度
上昇がセルが結晶状態の時のセルの温度上昇の100倍
程度大きいことが分かる。
【0108】図7及び図8は、定電流駆動時の各遷移に
おけるセルの温度履歴を示す図である。図8(a)およ
び(b)に表したように、a→c遷移とc→c遷移とは
両立する。つまり、同一幅の電流パルスによって、これ
らの遷移を実行させることができる。
【0109】しかし、図7(a)及び(b)に表したよ
うに、a→a遷移とc→a遷移とは両立しない。つま
り、同一幅に電流パルスによっては、これらの遷移を両
方とも実行することはできない。
【0110】すなわち、図7(a)に表したように、a
→a遷移では、非晶質状態の抵抗が高いために、これに
定電流を流すとセルの温度上昇がTxまでは極めて急峻
でTmに比較的速い時間内に到達し溶融後、メルトの抵
抗も高いために再度極めて急峻に温度上昇してしまうの
で、セルの熱負荷が過大とならない程度の時間(E点)
にパルスオフする必要がある。
【0111】これに対応したパルス幅の電流パルスを用
いてc→a遷移を起こさせようとした場合を例示したも
のが図7(b)である。結晶状態の抵抗が低いために定
電流モードで加熱した場合には、セルの温度上昇が緩慢
になり、同図に表したように、Tm未満の温度でパルス
オフされることとなる。つまり、c→a遷移させようと
していたものが、c→c遷移になってしまうのである。
【0112】逆に、c→a遷移が起こる程度の長い時間
幅の電流パルスもしくは高い電流を通電してしまうと、
a→a遷移(図7(a))の温度上昇が過大となってセ
ルに熱損傷を与えてしまう。
【0113】このような問題に対しても、定電圧駆動で
説明した場合と同様に図5の構成を用い、セル抵抗をR
a、Rcの代わりにRa’、Rc’に調整すればオーバ
ライトモードでも容易にa→a遷移とc→a遷移とを両
立することができることが判る。定電流モードにおいて
も、永久結晶領域162の断面積(L−M)と相変
化領域161の断面積(M)の比の望ましい範囲は、
定電圧駆動の場合と同様である。
【0114】以下、本発明の相変化型不揮発性記憶装置
の具体例を参照しつつ本発明の実施の形態についてさら
に詳細に説明する。
【0115】(第1の実施例)まず、本発明の第1の実
施例として、図1及び図2に例示したものと同様の相変
化型不揮発性記憶装置を試作・評価した。その構造と材
料については概ね前述した通りであるが、相変化記憶層
16の膜厚とセルサイズについて補足説明をしておく。
【0116】例えば相変化記憶セルの正方形状の相変化
領域161の一辺の長さMが0.2μm、永久結晶領域
162の外縁部の一辺の長さLが0.224μm((L
−M)/ M=0.25)の場合、相変化記憶層
16の膜厚を100nmとすると、駆動電圧2.5Vと
した定電圧駆動モードにおいて、非晶質状態のセルには
22.7μAの電流、結晶状態のセルには125μAの
電流を通電することができる。これはほんの一例である
が、L、M及び相変化記憶層の膜厚dはドライバ回路の
電圧と電流の要求値に応じて適宜最適化することができ
る。
【0117】定電圧駆動の場合の非晶質化電圧をVa、
結晶化電圧をVc、再生電圧をVrとした時、Ra’、
Rc’とVa、Vc、Vrの関係から適度な非晶質化電
力、結晶化電力及び適度な非晶質再生電流、結晶再生電
流が得られるように、d、Va、Vc、Vrを調整すれ
ば良い。また、定電流駆動の場合には、Va、Vc、V
rの代わりに非晶質化電流Ia、結晶化電流Ic、再生
電流Irを調整すれば良い。
【0118】以下、図1及び図2に表したの素子の形成
方法と本発明に従った動作結果について説明する。
【0119】図1及び図2に表した本発明のPRAM
は、通常の半導体製造プロセスに相変化材料の成膜と加
工の工程を加えることで作成することが可能で、例えば
以下の手順で形成することができる。
【0120】例えば、p型の単結晶シリコン(Si)基
板11上にイオンインプランテーション法、拡散法など
の通常の半導体プロセスに用いられるのと同様の手法で
型導電領域を形成しこれをYアドレス線12とす
る。Yアドレス線12は、図2において紙面に垂直な方
向に形成され、ラインアンドスペース状に配置される。
【0121】このn型導電領域の上にn型ドープ層を
エピタキシャル成長させてn型半導体層13を得る。n
型半導体層13の形成時は、第1の絶縁チャネル20の
部分はマスキングしておく。このn型半導体層13の厚
みは、例えば500nmである。
【0122】次に、p型にドープした半導体からなる第
1の絶縁チャネル20をn型半導体層13を取り囲むよ
うに形成する。第1の絶縁チャネル20は、ウェーハ基
板11上にグリッド状に形成され、グリッドの空孔内に
n型半導体が埋め込まれた構造となる。第1の絶縁チャ
ネル20は、p型ドープ層により形成しても良いし、S
iOなどの絶縁膜をCVD(Chemical Vapor Deposit
ion)法などにより形成してもよい。
【0123】次に、第2の絶縁チャネル21の少なくも
一部として例えばSiOを例えば熱酸化法やCVD法
などで、第1の絶縁チャネル20とn型半導体層13の
上に形成し、さらにエッチング法によりn型半導体層1
3の上の第2の絶縁チャネル20を除去する。このよう
して露出させたn型半導体層上にp型材料を拡散させて
p型半導体層14を形成し、n型半導体層13とp型半
導体層14からなるダイオード2を形成する。
【0124】次にp型半導体層上に第1電極15、相変
化記憶層16、第2電極17からなる相変化記憶セル1
を例えばスパッタ法、蒸着法などの方法によって形成す
る。この部分の具体的な形成プロセスとしては、幾つか
の方法を例示できる。
【0125】その一つは、予め第2の絶縁チャネル21
の第1電極15の高さまでの部分を形成してから第1電
極部をエッチング加工して除き、第1電極を例えば異方
性スパッタもしくはCVD埋め込みし、第2の絶縁チャ
ネル上へ成膜された部分はCMP(Chemical Mechanica
l Polishing)もしくはリフトオフ法で除去する。次
に、第2の絶縁チャネル21の残りの厚み部分のうち
で、相変化記憶層16の高さまでの部分を形成してから
相変化記憶層部をエッチング加工して除去し、相変化記
憶層を例えば異方性スパッタもしくは蒸着で埋め込み、
第2の絶縁チャネル上の相変化記憶層材料は、CMPも
しくはリフトオフ法で除去する。
【0126】続いて、第2の絶縁チャネル21のさらに
残りの厚み部分を形成し第2電極部をエッチング除去し
た後、第2電極17を埋め込む。このようにして相変化
記憶層16の断面積と第1及び第2電極15、17の断
面積とを異ならせることができ、相変化記憶層中に電極
15、17と面接触する相変化領域161、及び電極と
線接触するか接触しない永久結晶領域162の両方を形
成することができる。
【0127】もう一つの方法は、以下の通りである。す
なわち、上記したのとは逆に第1電極15を形成後、第
2の絶縁チャネル部を形成し、第1電極上の第2の絶縁
チャネル材料を除去して第2の絶縁チャネル部の高さを
第1電極の高さと一致させる。次に、相変化記憶層16
を連続膜状に形成しRIE法等で記憶層を島取りした
後、CVD法もしくは異方性スパッタ法等で第2の絶縁
チャネルをグリッド状に相変化記憶層の高さまで埋め込
み、相変化記憶層上の第2の絶縁チャネル材料をCMP
法等で除去する。続いて第1電極の形成と同様に第2電
極と残りの厚みの第2の絶縁チャネル部を形成する。
【0128】その他にも各種のプロセスを用いることが
できる。
【0129】第1電極15、第2電極17は、各々単層
の構成でも良いが、相変化記憶層16の上下には拡散バ
リアとして例えば炭素(C)膜を配し、その上下に主電
極としてタンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、タン
グステン(W)などの高融点金属を配するのが良い。炭
素(C)バリア層の厚みは、例えば10nm以上50n
m以下、主電極15、17の厚さは例えば100以上2
00nm以下、相変化記憶層16の厚さはドライバ回路
の電圧、電流の要求値に整合するように、セルサイズ毎
に設定することができる。
【0130】次に、Xアドレス線18を相変化記憶セル
1の第2電極17と第2の絶縁チャネル21の上に形成
する。例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)など
の高伝導率の薄膜をスパッタ法、蒸着法等で連続膜状に
形成した後、第2電極を連結する線状にラインアンドス
ペース状にエッチングしてXアドレス18を得る。
【0131】最後に、素子を湿度等から保護するための
保護層19を形成する。保護層19は、CVD法もしく
はスパッタ法で形成されたSi、スピンコート後
ベーキングキュアされたポリイミド等を用いるのが好適
である。
【0132】以上に説明した以外に、本発明のPRAM
の形成には様々な変形例を挙げることが可能であり、P
EP(Photo-Engraving Process)と、熱CVD、プラ
ズマCVD、MOCVD(Metal-Organic CVD)、エピ
タキシャル成長、スパッタ、蒸着、プラズマ重合、スピ
ンコートなどの成膜プロセスと、インプランテーショ
ン、熱拡散等のドーピングプロセスと、RIE(Reacti
ve Ion Etching)、CDE(Chemical Dry Etching)、
イオンミリング、ウエットエッチング等のエッチングプ
ロセスと、CMP、イオンポリッシング等の表面平坦化
プロセスとを適宜組み合わせて実施することができる。
【0133】次に、図1に表したように、ドライバ回路
によりPRAMを動作させた結果について説明する。
【0134】図9は、PRAMのメモリセル部22とド
ライバ23の接続例を表す模式図である。ドライバ回路
23は、基本的には電源とスイッチング素子と信号検出
回路からなる。メモリセル部22とドライバ回路23と
は、同一基板上にハイブリッド形成しても良いし、別の
基板上に形成してチッピング後に接続しても良い。
【0135】メモリセル部22とドライバ回路23との
配線は、セル選択にダイオードを用いる場合は基本的に
Xアドレス線18とYアドレス線12である。Xアドレ
ス線とYアドレス線との間に所定の電圧を印加するか所
定の電流を通電して記録再生動作を行う。ドライバ回路
23のスイッチング素子を用いて、例えば選択したいセ
ルの両端に順方向バイアスを印加し、他のセルは全て逆
方向バイアスするとセル選択ができる。
【0136】また、セル選択にMOSFET(Metal-Ox
ide-Semiconductor Field Effect Transistor)を用い
る場合は、ソースとYアドレス線、ドレインに相変化記
憶セルを直列接続してXアドレス線とを各々接続し、ゲ
ートにワード線を接続し、ワード線を介してゲート電圧
を印加することによって所定のセルを選択可能とする。
セル選択にダイオードを用いる場合もトランジスタを用
いる場合も、選択動作に関しては、DRAM、FeRA
M、MRAMなどと同様の方法を用いることができる。
【0137】本発明によれば、選択したセルへの記録
は、全てオーバライト動作により実現可能である。
【0138】図10は、定電圧駆動における本発明のP
RAMの各遷移のセルの温度履歴を例示するグラフ図で
ある。すなわち、同図(a)はa→a遷移(太線)とc
→a遷移(細線)を表し、同図(b)はa→c遷移(太
線)とc→c遷移(細線)をそれぞれ表す。
【0139】本発明によれば、結晶状態と非晶質状態の
抵抗の差を適度に調節できるために、記録前のセルの状
態に依存する温度上昇率の差異を少なくすることができ
る。その結果として、図10(a)に表したように、同
一の書き込み電圧パルスを用いてa→a遷移とc→a遷
移のいずれも実現することができ、図10(b)に表し
たように、同一の消去電圧パルスを用いてa→c遷移と
c→c遷移のいずれも実現することができる。
【0140】図4に関して前述したように、従来のPR
AMは、定電圧駆動の場合にa→c遷移とc→c遷移と
を同一の電圧パルスにより実行することが困難であった
が、本発明によれば、記録前のセルの状態に依存せず、
同一の電圧パルスを用いてオーバーライトモードで書き
込み、あるいは消去を行うことができる。
【0141】また、図10の時間軸(横軸)は、図3及
び図4よりも拡大して表したが、両者を比較して分かる
ように、本発明のPRAMの記録パルスは、従来のPR
AMの記録パルスよりも短いので、高速動作が可能とな
る。特に、定電圧駆動の場合には、a→a遷移とc→a
遷移において従来よりも高速に書き込みを行うことがで
きる。
【0142】図11は、定電流駆動における本発明のP
RAMの各遷移のセルの温度履歴を例示するグラフ図で
ある。すなわち、同図(a)はa→a遷移(太線)とc
→a遷移(細線)を表し、同図(b)はa→c遷移(太
線)とc→c遷移(細線)をそれぞれ表す。
【0143】本発明によれば、定電流駆動の場合にも、
図11(a)に表したように、同一の書き込み電流パル
スを用いてa→a遷移とc→a遷移のいずれも実現する
ことができ、図11(b)に表したように、同一の消去
電流パルスを用いてa→c遷移とc→c遷移のいずれも
実現することができる。
【0144】図8に関して前述したように、従来のPR
AMは、定電流駆動の場合にa→a遷移とc→a遷移と
を同一の電流パルスにより実行することが困難であった
が、本発明によれば、記録前のセルの状態に依存せず、
同一の電流パルスを用いてオーバーライトモードで書き
込み、あるいは消去を行うことができる。
【0145】ここで、定電圧駆動におけるa→a遷移
を、「a→c→溶融・急冷→a」というプロセスで行う
べきか、あるいは単純に「a→a」(すなわち、Tx未
満でパルスオフする)というプロセスで行うべきかにつ
いて、簡単に説明する。
【0146】高速記録という観点からは、後者が良いと
考えられる。しかし、動作温度マージンの点からはむし
ろ前者が良い場合がある。
【0147】例えば、半導体を用いたDRAMの場合、
デバイスに要求される動作環境温度(Ta)の最大値
は、150℃とかなり高い場合が多い。これは、実際的
な相変化材料のTxにかなり近い。従って、定電圧動作
で非晶質化遷移させようとする場合、TaとTxに殆ど
差がないと、c→a遷移に必要な時間のほうが非晶質状
態のセルがTaからTxに至る時間より長くなって、a
→a遷移が成立しなくなる。つまり、セルの一部が結晶
化してしまう。
【0148】従って、動作環境温度がTxに近いことを
考慮すると、a→a遷移は「a→c→溶融・急冷→a」
というプロセスにより実行するほうが良いと言える。
「a→c→溶融・急冷→a」というプロセスを用いると
定電圧駆動における非晶質化遷移は本発明のほうが従来
よりも速いということは、例えば、図10と図3とを比
較すれば容易に理解できる。
【0149】また、本具体例においては、非晶質状態と
結晶状態の二値の状態を用いる記録方法を例示したが、
本発明はこれには限定されず、例えば、抵抗が高い非晶
質状態を主な構成成分とする状態と、結晶状態を主な成
分とする状態とを用いて記録を行ってもよい。
【0150】(第2の実施例)第1実施例においては、
主に非晶質状態と結晶状態の二値記録モードに本発明を
適用した場合を説明したが、本発明は多値記録する場合
においても有用である。 以下、本発明の第2の実施例
として、多値記録の例について説明する。
【0151】図12(a)は、図10のAB部またはH
I部を拡大したグラフ図であり、図12(b)は、図1
0のCD部またはEF部を拡大したグラフ図である。
【0152】図12(a)のA点においては相変化領域
161は非晶質状態にあり、B点においては相変化領域
161は結晶状態にある。そして、A点とB点との間
は、非晶質と結晶とが混在した中間状態X1,X2・・
・・・・Xnである。B点に近づくにつれて結晶の比率
が大きくなる。そして、この比率に応じて、セルの抵抗
値が変化する。このような中間状態X1〜Xnは、印加
電圧と通電時間によって制御可能である。従って、これ
らの中間状態を適宜、形成、判別すれば、多値記録が可
能となる。
【0153】一方、図12(b)のC点においては相変
化領域161は結晶状態にあり、D点においては相変化
領域161は非晶質(溶融)状態にある。そして、C点
とD点との間が、結晶と非晶質(溶融)とが混在した中
間状態Xn,・・・・・X2,X1である。この場合
も、XnからX1の状態は印加電圧と通電時間によって
制御可能である。従って、この場合も、これらの中間状
態を適宜、形成、判別すれば、多値記録が可能となる。
【0154】中間状態の記録は、図12(a)のA点と
B点との間で実施することもできるし、図12(b)の
C点とD点との間でも実施してもよく、または、両方を
併用しても良い。
【0155】X1からXnの中間状態において、セルの
相変化領域161は、非晶質状態と結晶状態の中間にあ
り、その具体的な構造のひとつは、微細結晶粒を非晶質
マトリクスが取り囲む状態であって、結晶粒のサイズも
しくは密度がX1からXnに向けて増加している状態で
ある。
【0156】また、具体的な構造の他の例は、セルの上
下を略連通する非晶質柱が形成され、その周囲を結晶角
筒が取り囲む状態であり、結晶角筒のXY面内の断面積
がX1からXnに向けて増加している状態である。
【0157】本発明は、微細結晶粒を非晶質マトリクス
が取り囲む形態の中間状態でも、非晶質柱を結晶角筒が
取り囲む形態の中間状態でも適用できるが、望ましくは
非晶質柱を結晶角筒が取り囲む形態を用いるのがよい。
何故ならば、本発明においては、相変化領域161が非
晶質状態にある時、電流は相変化領域161と永久結晶
領域162との界面を優先的に流れ、このように電流が
優先的に流れた部分が優先的に温度上昇するからであ
る。この優先的に温度上昇した部分が結晶化することに
なり、中間状態の構造としては、非晶質柱を結晶角筒が
取り囲む形態となる場合が多いからである。
【0158】また一方、そのような中間状態の記録に適
した相変化材料としては、核生成型よりも結晶成長型の
ものが好ましい。具体的には、アンチモン(Sb)とテ
ルル(Te)の組成比Sb/Teが1.5〜4.0の範
囲にあり、ゲルマニウム(Ge)の含有量が3〜25原
子%の範囲にあるGe−Sb−Teを挙げることができ
る。
【0159】図13は、Ge(SbTe95
を相変化記憶層に用いた場合の中間状態における記憶セ
ルの断面状態を例示する模式図である。すなわち、同図
において、161は相変化領域、162は永久結晶領
域、1611は相変化領域中の結晶部、1612は相変
化領域中の非晶質部である。相変化領域161の全域が
非晶質状態に有る場合も含めて、記録電流は永久結晶領
域162もしくは結晶部1611を優先的に流れし、そ
の部分の温度が優先的に上昇する。結晶化の記録を行う
場合、相変化材料が結晶成長型であると優先的に通電加
熱された結晶部1611から非晶質部1612へ向けて
結晶成長が起こり、非晶質部1612の柱が細くなりな
がら結晶化パルスオフのタイミングにより中間状態の記
録が実施できる。
【0160】非晶質化の記録を行った場合、相変化材料
が結晶成長型であると非晶質部1612の界面から結晶
部1611に向けて非晶質領域の拡大が起こり、非晶質
化パルスオフのタイミングに応じた中間状態の記録がで
きる。
【0161】以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施
の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの
具体例に限定されるものではない。例えば、記憶装置の
メモリアレイの接続関係やドライバ回路の具体的な構
成、あるいは、記憶セルを構成する各要素の具体的な形
状なサイズあるいは材料などについては、当業者が適宜
選択したものを用いた場合でも本発明と同様の作用効果
が得られる限り本発明の範囲に包含される。
【0162】また、相変化材料についても、前述した具
体例には限定されず、抵抗値が異なる複数の相を有する
材料であれば、同様に用いて同様の作用効果が得られ、
この限りにおいて本発明の範囲に包含される。
【0163】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
従来の相変化記憶セルを用いた不揮発性固体メモリでは
オーバライト記録が困難だった、という課題を解決でき
るので、相変化型不揮発性記憶装置を、DRAMやSR
AM、HDDなどの各種の記憶装置に置換え、ユニバー
サルメモリとして実用化する上で格段の技術的進展に寄
与する所極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の相変化型不揮発性記憶装置(PRA
M)の要部構成を例示する模式図である。
【図2】本発明のPRAMのメモリセルCの断面構造を
例示する模式図である。
【図3】定電圧モードすなわち印加電圧を一定とした場
合のセルの温度T(∝Pc)と通電時間tとの関係を模
式的に表すグラフ図である。
【図4】定電圧モードすなわち印加電圧を一定とした場
合のセルの温度T(∝Pc)と通電時間tとの関係を模
式的に表すグラフ図である。
【図5】図2に例示した本発明のPRAMの相変化記憶
セル1の部分を抽出した模式図であり、同図(a)は図
2と同様の断面図、同図(b)は平面図すなわち相変化
記憶セルを上方または下方から見た図である。
【図6】長さLおよびMとセルの抵抗との関係を例示す
るグラフ図である。すなわち、同図の縦軸はセルの抵抗
Rcellを表し、横軸はパラメータ(L−M)/M
を表す。
【図7】定電流駆動時の各遷移におけるセルの温度履歴
を示す図である。
【図8】定電流駆動時の各遷移におけるセルの温度履歴
を示す図である。
【図9】PRAMのメモリセル部22とドライバ23の
接続例を表す模式図である。
【図10】定電圧駆動における本発明のPRAMの各遷
移のセルの温度履歴を例示するグラフ図である。
【図11】定電流駆動における本発明のPRAMの各遷
移のセルの温度履歴を例示するグラフ図である。
【図12】同図(a)は、図10のAB部またはHI部
を拡大したグラフ図であり、図12(b)は、図10の
CD部またはEF部を拡大したグラフ図である。
【図13】Ge(SbTe95 を相変化記憶
層に用いた場合の中間状態における記憶セルの断面状態
を例示する模式図である。
【符号の説明】
1 相変化記憶セル 2 選択用ダイオード 11 基板 12 Yアドレス線 13 n型半導体層 14 p型半導体層 15 第1電極 16 相変化記憶層 161相変化領域 162永久結晶領域 1611結晶部 1612非晶質部 17 第2電極 18 Xアドレス線 19 保護層 20 第1の絶縁チャネル 21 第2の絶縁チャネル 22 相変化記憶アレイ(メモリセル) 23 ドライバ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の比抵抗を有する第1の相状態と、前
    記第1の比抵抗とは異なる第2の比抵抗を有する第2の
    相状態と、の間で相変化可能な相変化材料を有する記憶
    セルを備え、 前記記憶セルの前記相変化材料の一部分を前記第1の相
    状態と前記第2の相状態との間で相変化させることによ
    り、前記第1の相状態に対応づけた第1の記録状態また
    は前記第2の相状態に対応づけた第2の記憶状態として
    記憶可能とし、 前記記憶セルが有する前記相変化材料の残りの部分は、
    前記第1の記憶状態においても前記第2の記憶状態にお
    いても前記第1の相状態にあることを特徴とする相変化
    型不揮発性記憶装置。
  2. 【請求項2】前記第1の相状態は、結晶状態であり、 前記第2の相状態は、非晶質状態であることを特徴とす
    る請求項1記載の相変化型不揮発性記憶装置。
  3. 【請求項3】前記記憶セルは、前記相変化材料からなる
    層を挟むように設けられた一対の電極を有し、 前記一対の電極のうちの少なくともいずれかの電極の面
    積よりも前記相変化材料からなる層の面積のほうが大き
    いことを特徴とする請求項2記載の相変化型不揮発性記
    憶装置。
  4. 【請求項4】前記相変化材料は、結晶成長型材料である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の
    相変化型不揮発性記憶装置。
  5. 【請求項5】前記記憶セルの前記相変化材料の前記一部
    分に対する前記残りの部分の体積の割合は、0.1以上
    で1.5以下であることを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれか1つに記載の相変化型不揮発性記憶装置。
  6. 【請求項6】前記記憶セルの前記相変化材料の前記一部
    分を前記第1の相状態と前記第2の相状態とが混在した
    中間の相状態とすることにより、前記第1の記憶状態と
    も前記第2の記憶状態とも異なる第3の記憶状態として
    記憶可能としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    か1つに記載の相変化型不揮発性記憶装置。
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