JP2003089578A - 透光性希土類酸化物焼結体及びその製造方法 - Google Patents
透光性希土類酸化物焼結体及びその製造方法Info
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Abstract
含有量が金属換算で10wtppm以下の純度99.9%以上の高純
度希土類酸化物原料粉末とバインダーとを用いて、成形
密度が理論密度比58%以上の成形体を作製する。熱処理
によりバインダーを除去した後に、水素希ガスあるいは
これらの混合雰囲気中、もしくは真空中で、1450℃以上
1700℃以下で0.5時間以上焼結し、一般式がR2O3(RはY,
Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Luからなる群の少なくとも一員の
元素)で表わされる透光性希土類酸化物焼結体とする。 【効果】 波長500〜6μmにおいて、1mm厚での直線
光透過率が80%以上の焼結体が得られる。
Description
o, Er, Tm, Yb, Luからなる群の少なくとも一員の元素)
で表わされる透光性希土類酸化物焼結体、及びその製造
方法に関する。本発明の焼結体は、例えば赤外透過窓
材、偏光板、放電ランプ用エンベロープ、光学部品、レ
ーザー発振子として好適に使用される。
らなる群の少なくとも一員の元素)で表わされる希土類
酸化物は、その結晶構造が立方晶であり複屈折が無い。
そのため、気孔や不純物の偏析を完全に除去する事によ
り、透光性に優れた焼結体を得ることが可能である。
中最高の融点2415℃を有し、耐熱性、耐アルカリ性に優
れており、赤外領域で高い透光性を示す事が知られてい
る。更に高い熱伝導率を有するため、固体レーザー用ホ
スト材料としても期待されている。しかしながら、その
融点が極めて高い上、2280℃付近で相転移(立方晶と六
方晶)を生じるため、既存の単結晶合成技術では光学的
に優れた大型結晶を合成することは困難である。一方、
セラミックス(多結晶体)は、融点以下の比較的低い温度
での合成が可能であるため、従来より赤外用高温窓材、
放電ランプ用エンベロープ、耐食部材等に適用すべく検
討が盛んに行なわれている。
製においては、焼結の際、粒成長による気孔の排出を上
手く行なえるかどうかが最も重要であり、粒成長速度を
制御すべく焼結助剤を添加する手法が一般的である。従
来より多数報告されているイットリアの製造方法に関し
ても、その多くは焼結助剤を添加した手法である。
の製造方法としては、以下のものが知られている。 (1) ThO2を添加して水素中2100℃以上で焼結する
方法(Ceramic BulletinVol.52,No5(1973)),(2) AlF3を
添加したY2O3粉末を真空ホットプレスで焼結する方法
(特開昭53-120707),(3) 同様にLiF又はKFを添加してホ
ットプレスする方法(特開平4-59658),(4) La2O3やAl2O
3を添加して低O2雰囲気中で焼結する方法(特開昭54-179
11,特開昭54-17910)。
い焼結体が得られるものの、入手及び取り扱いが容易で
ない放射性のトリアを焼結助剤として添加している。更
に高温で長時間焼結を行なうため、平均粒子径は100μ
m以上と非常に大きく、その材料強度は極めて低い。従
って民生品としての実用には不適である。(2)のホット
プレス法では、比較的低温での焼結が可能であるもの
の、可視部での直線光透過率は60%程度のものしか得ら
れない。
ス処理を行なうことにより、波長2μm以上の赤外領域
で直線光透過率が80%程度の焼結体が作製可能である。
可視部での透過率は明記されておらず不明であるが、焼
結助剤として添加されている弗化物は低融点物質(LiF:8
42℃,KF:860℃)であり、焼結過程において蒸発し、試料
の外周部と内部で粒成長速度に差が生じるため、肉厚試
料の場合には均一な焼結体を作製することは困難と推定
される。また真島らによれば(日本金属学会誌第57巻10
号(1993)1221-1226)、LiFを助剤としてホットプレスし
た場合、添加量を最適化しても試料中心部にフッ素が残
留し、試料の外周部と比較してその透過率は低くなるこ
とが述べられている。従って弗化物を焼結助剤として用
い、大型、肉厚焼結体を作製することは容易ではない。
量が約6〜14モル%と多く、固溶できないLa2O3が偏析層
を生成し易く(例えばJournal of Materials Science 24
(1989)863-872)、光学的に均一な焼結体を作製すること
は容易ではない。また、Al2O3を添加する手法では、そ
の添加量を0.05wt%〜5wt%とし、Y4Al3O9とY2O3との間の
共晶温度(1920℃)以上で液相焼結により緻密体を作製し
ている。しかしながら、高温で焼結を行なっているにも
かかわらず、得られる焼結体の透過率は、理論透過率に
対して最大でも80%に留まっている。
製造方法としては、特許第2773193や特開平6-211573に
よるものがある。特許第2773193では、BET値10m2/g以上
のイットリア粉末をホットプレスして、理論密度比95%
以上に緻密化した後に、HIP処理を行なう。これにより
得られる焼結体の透過率は、波長3〜6μmの赤外領域で
は80%程度と良好であるが、0.4〜3μmの波長域では平
均で75%程度に留まっている。HIP処理を行なっているに
も関らず、短波長域での透光性が不充分なのは、出発原
料としてハンドリングの困難な超微粉を用いているた
め、ホットプレスにより表面は緻密化したとしても、試
料内部にはHIP処理を行なっても除去出来ない大きな空
隙を含みやすいためであると推測される。
が0.01〜1μmの易焼結性原料粉末をCIP成形した後
に、1800℃以上で真空焼結若しくは1600℃以上でHIP処
理を行なうことにより透明体を作製している。この手法
により得られる焼結体は、可視領域における平均直線光
透過率が80%以上と高く、発光元素を添加することによ
りレーザー発振可能な焼結体が作製可能であると記され
ている。しかしながら、透明度の高い試料を作製するた
めには、真空焼結及びHIP処理の何れの場合においても2
000℃前後の高温で焼結を行なう必要があり、工業的に
連続生産を行なう場合、焼結炉の劣化が激しく維持が大
変である。更に、波長が短くなるにつれて透過率の低下
が著しく(波長1000nmから400nmでは10%以上低下)、可視
部の透光性を重視する光学部材への適用は不適である。
希土類酸化物原料粉末は、一般には蓚酸塩を母塩とした
ものであるが、これを仮焼して得られる原料粉末は粒度
分布が不均一であり、凝集の激しい二次粒子から構成さ
れている。そのため成形によるパッキングが充分とれ
ず、緻密体を作製することは容易でない。近年、この点
を改善すべく易焼結性原料粉末を用いた低温焼結による
透明体作製法も開示されている(例えば、特開平9-31586
5、10-273364、11-189413 、11-278933)。
用い、これを仮焼して得られる比較的粒度分布が均一
で、凝集の少ない粉末を出発原料として用いることによ
り焼結体を作製している。しかしながら、これらの手法
において得られる焼結体の可視部での直線光透過率は、
最高でも70%程度であり、理論透過率(≒82%)と比較する
と単結晶に匹敵する透明体とは言い難い。
法を述べたが、可視部から赤外領域に渡って単結晶と同
等の優れた透光性を有する焼結体を、工業的に容易に製
造する手法は皆無である。また、イットリア以外の希土
類元素を用いた透光性希土類酸化物焼結体は、希土類元
素が比較的高価であること、更に特定の用途が見出せな
いことから、製造条件がイットリアの場合とほとんど同
じであるにも関らず、それらに関する報告はほとんど認
められない。
用可能な手法により、可視部から赤外領域に渡って良好
な透過率を示す希土類酸化物焼結体、及びその製造方法
を提供することを目的とする。
一般式がR2O3(RはY, Dy, Ho, Er, Tm,Yb, Luからなる群
の少なくとも一員の元素)で表わされ、波長500nmから6
μmにおける、特異吸収波長以外での、直線光透過率が
焼結体1mm厚で80%以上であり、焼結体中のAlの含有量が
金属換算で5wtppm以上、100wtppm以下である。5wtppm以
上のAlは、焼結体を緻密化し、特に気孔を完全に除去し
て80%以上の直線光透過率を得るために必要である。100
wtppmを越えるAlは、粒界にAlが偏析して異相が析出す
る原因となり、直線光透過率を低下させる。
量でも異相が粒界に析出しやすくなるので、焼結体の平
均粒径は2μm以上20μm以下が好ましい。Siは焼結体
の平均粒径を大きくするので、平均粒径を2〜20μmと
するため、焼結体中のSi量を金属換算で10wtppm以下と
することが好ましい。本発明では、5〜100wtppmのAlに
より焼結体の透明度を向上させ、従来技術のように、Ca
OやMgOにより透明度を向上させるのではない。このた
め、CaO含有量やMgO含有量は5wtppm未満が好ましい。Ca
OやMgOがY2O3中に固溶すると、焼結体が着色しやすくな
る。これは、+3のYイオンと+2のCaやMgイオンとの電荷
の差のため、光吸収の原因となる欠陥が生じやすくなる
ためと思われる。
の製造方法では、Al含有量が金属換算で5〜100wtppm
で、Si含有量が金属換算で10wtppm以下であり、かつ純
度99.9%以上の高純度希土類酸化物原料粉末を用いて、
成形密度が理論密度比58%以上の成形体を作製し、熱処
理により脱バインダー処理を行なった後に、水素、希ガ
スあるいはこれらの混合雰囲気中、もしくは真空中で、
1450℃以上1700℃以下の温度で0.5時間以上焼結する。
この方法によって、波長500nmから6μmにおける、特異
吸収波長以外での、直線光透過率が焼結体1mm厚で80%以
上の焼結体を得ることができる。焼結体の平均粒径は2
〜20μmが好ましく、焼結体の粒界でのAl含有の異相の
析出が実質的にないようにすることが好ましく、焼結体
中のCaOやMgOが5wtppm未満となるように、原料粉末や成
形工程を管理することが好ましい。なお以下では、Al含
有量やSi含有量は金属換算で示す。
るため種々検討を行なった結果、波長500nmから6μmの
領域に渡って、特異吸収波長以外での直線光透過率が1m
m厚みで80%以上の希土類酸化物焼結体を作製できること
を見出した。そのためには、原料の純度、Al含有量、成
形体密度を管理した成形体を、熱処理による脱バインダ
ー処理を行なった後に、水素、希ガスあるいはこれらの
混合雰囲気中もしくは真空中で、1450℃以上1700℃以下
の温度で、0.5時間以上焼結すれば良い。
ては、極微量(金属換算で5wtppm〜100wtppm)のAlが焼結
助剤として大きな効果を発揮している。なおこの明細書
中で、AlとSiの含有量は特に記さない限り、金属換算の
重量比で表す。また成形体の密度は、理論密度との比で
示す。
加する手法は種々開示されているが、これらはほとんど
全ての場合において、助剤が粒界に偏析して粒界の移動
速度を減少させることにより、粒成長速度を制御し緻密
化を行なっている。本発明における、Alを極微量含有し
た場合の、焼結による緻密化機構の詳細に関しては不明
であるが、焼結体の平均粒径が2μm〜20μm程度の範
囲においてのみ緻密化促進剤としての効果を発揮し、そ
れ以上ではAlを含有する異相を生成する。
Alの有無に関係なく、粒成長による緻密化が充分進行し
ないため、不透明若しくは半透明の焼結体しか得られな
い。通常この場合の平均粒径は2μm未満である。焼結温
度が1450℃以上1700℃以下で、Al含有量が5〜100wtpp
m、及び成形体密度が理論密度比58%以上である場合に
は、使用原料の焼結性にもよるが、得られる焼結体の平
均粒径は2〜20μmの範囲にあり、透光性に優れた焼結
体が得られる。またAl含有量が5wtppm未満の試料を同様
に焼結した場合、その平均粒径はやはり2〜20μm程度
であるが、得られる焼結体は半透明体若しくは不透明体
である。
の場合には、それ以下の場合と比較して粒成長してお
り、その平均粒径は大きくなっている。しかしながら、
得られる焼結体はAl含有量が5wtppm未満の場合と同様
に、半透明体若しくは不透明体である。焼結助剤として
のAlは、その量が5〜100wtppmの範囲においては緻密化
促進剤として作用しており、その場合においてのみ良好
な透明体が得られる。しかしながら、100wtppmを超える
場合には主として粒成長促進剤として作用しており、気
孔の排出が十分行なえないため、満足な透明体が得られ
ない。
た場合、Alの有無に関らず粒成長が著しく進行するた
め、気孔の排出が充分行われず、充分な透光性を有する
焼結体を作製することは容易ではない。この場合の平均
粒径は例えば25μm以上である。1700℃を越える焼結温
度においては、Alの含有量が5〜100wtppmの極微量で
も、粒界にAlの偏析相が生じる。Alの析出は焼結体の平
均粒径に依存しており、20μm以下の場合は如何なる焼
結雰囲気においても析出は認められない。しかしなが
ら、焼結体の平均粒径が20μmを超えると、粒界にAlの
偏析が生じ始め、平均粒径が30μm以上になるとその現
象は顕著になる。
緻密化促進剤としての効果を発揮し、析出の生じない14
50℃以上1700℃以下の温度範囲で、かつ平均粒径が2μm
以上20μm以下となる様に焼結された場合のみ、透光性
に優れた焼結体を作製することができる。ただし、極微
量のAlによる緻密化促進効果を充分発揮し、透光性に優
れた焼結体を作製するためには、原料中に含まれるSi量
を厳密に管理する必要があり、その量を10wtppm以下と
すると共に、更に成形体密度を理論密度比58%以上とし
ておく必要がある。
%以上の高純度希土類酸化物粉末中に含まれる不純物
は、各元素毎に見ると数wtppm程度であり、多くても10w
tppm程度に満たない。例えばCaOやMgOは含有量が5wtppm
以下である。しかしながら、Siは10wtppm程度含まれる
場合が多く、多い場合には数十wtppm以上含まれてい
る。これは希土類原料を仮焼する際に使用する匣鉢が通
常は石英製で、付着水が石英容器と僅かに反応し、Siが
原料粉体中に混入するためである。また反応槽がガラス
やグラスライニング製であったり、沈殿剤中にSiが含ま
れる場合があるためである。なお高純度希土類原料中で
の、不純物としてのAl濃度は5wtppm未満である。焼結体
の製造過程でのAlの意図しない混入は、原料粉末の粉砕
にアルミナボールではなくナイロンボールなどのプラス
チックボールを用いる、仮焼に高純度のアルミナ坩堝な
どを用い坩堝の反応性を低下させることにより、防止で
きる。これらにより、意図的にAlを添加しない場合、焼
結体中のAl濃度は5wtppm未満にできる。
るため、その量が多いと微量のAlによる緻密化促進効果
を打ち消してしまう。そのため、使用する希土類酸化物
原料粉末に含まれるSiは10wtppm以下とし、好ましくは5
wtppm以下とする。原料中に含まれるSiは、そのほとん
どが仮焼用匣鉢から混入しており、例えば仮焼にアルミ
ナ製坩堝等を使用することにより、Si量の低い原料を得
ることが可能である。またイオン交換水や蒸留水からも
Siが混入することがあり、好ましくは超純水などを用い
る。なおアルミナ製坩堝は、例えば99%アルミナなどの
高純度アルミナ坩堝を用い、坩堝からのAlの混入を防止
することが好ましい。
まない均質で高密度の成形体を作製する必要がある。一
般的な透光性セラミックスは、融点より100℃〜300℃程
度低い温度で焼結され、その平均粒径は50μm程度若し
くはそれ以上である。すなわち成形体内部の空孔を粒成
長により排出するため、空孔の多い(成形体密度の低い)
成形体を焼結する際には、著しく粒成長させることによ
り緻密体を作製している。一方、本発明における焼結体
はAlの析出が生じない1700℃以下の比較的低温で焼結さ
れ、その平均粒径は20μm以下と比較的小さい。従って
過度の粒成長による気孔の排出効果を期待せず、透光性
に優れた焼結体を作製するためには、均質で高密度な成
形体を作製し、焼結する必要がある。
ッキングが不充分なため大きな空孔が多数存在してお
り、このような成形体を1700℃以下の低温で充分緻密化
させることは容易ではない。一方、成形密度が58%以上
の成形体は比較的その内部の空孔が少なく、低温でも充
分緻密化させることは可能である。従って波長500nmか
ら6μmの領域に渡って、特異吸収波長以外での直線光透
過率が1mm厚みで80%以上の、透光性に優れた焼結体を作
製するためには、その成形密度を58%以上とする必要が
あり、好ましくは60%以上とする。
方法を説明する。焼結体の作製には、純度99.9%以上の
高純度易焼結性原料粉末で、Si含有量が10wtppm以下の
ものを使用する。一般に各種希土類原料は、複数の希土
類元素を含む鉱石から溶媒抽出法により分離精製され、
蓚酸塩の沈殿を仮焼することにより作製されている。そ
のため、十分な分離精製が行われていない原料粉末に
は、主成分以外の希土類元素が含まれている場合があ
る。不純物として含まれる希土類元素は、場合によって
はその元素特有の吸収を示し焼結体が着色する恐れがあ
り好ましくない。またFe等の遷移元素も同様に着色源と
なるため好ましくない。従って、出発原料は充分精製さ
れたものを選択する必要がある。ただし、レーザー発振
子材料の場合は、NdやYb等のレーザー活性元素を添加
し、着色ガラス等の場合は着色元素を添加する。
イットリウムの場合、焼結性は一般的には、(1)炭酸
塩、(2)水酸化物、(3)蓚酸塩、(4)アンモニウム硫酸
塩、(5)硫酸塩の順となる(例えば、L.R.Furlong,L.P.Do
mingues,Bull.Am.Ceram.Soc,45,1051(1966)による)。し
かしながらこれらの母塩の種類は特に限定されるもので
はなく、入手しやすいものを使用すれば良い。
ても特に限定されるものではなく、成形、焼結プロセス
に適合したものを選択すれば良い。すなわち、超微粉は
焼結活性が高く比較的低温でよく緻密化するものの、ハ
ンドリングが容易でないばかりか、凝集粒子が多く成形
密度を高くすることが容易ではない。また粗粒の場合、
パッキングは容易なものの焼結活性が低く、低温で緻密
化させることは出来ない。従って、焼結性、パッキング
性及びハンドリング性の容易さの観点から、使用原料の
比表面積は3〜12m2/g程度が好ましく、4〜10m2/g程度の
ものがより好ましい。更には、凝集が少なく粒度分布の
均一なものを使用するのが最も好ましい。
所望の形状の成形体を作製する。セラミックスの成形方
法としては、押し出し成形、射出成形、プレス成形や鋳
込み成形等が挙げられる。実施例においては特に何れか
の手法に限定されるものではなく、成形密度が58%以上
となり不純物の混入が少ない手法により行なえば良い。
またこの際、必要に応じて焼結助剤のAlを各種成形法に
応じ均一に分散する様に添加する。例えば、プレス成形
の場合であれば、顆粒作製用スラリー中に適量のAlを添
加し、ボールミル等により充分混合した後にスプレード
ライヤ等により乾燥し、成形用顆粒とすれば良い。
に分散させることが可能であれば特に限定されるもので
はなく、例えば原料合成段階や仮焼段階で添加しても問
題ない。極微量のAlでその効果を充分発揮させるには、
原料中に混合させておくのが最も好ましい。
るものではなく、例えば成形段階で混合するのであれ
ば、アルミナゾルやAl2O3粉末、R3Al5O12(RはY, Dy, H
o, Er,Tm, Yb, Lu)粉末等のアルミニウム化合物を適量
添加すれば良い。また原料合成時に添加する場合には、
塩化アルミニウムや水酸化アルミニウム等で添加すれば
良い。添加剤の純度に関しては、その添加量が微量であ
るため特に限定されるものではないが、原料粉末同様、
高純度なものを使用するのが好ましい。また粉末で添加
する場合には、その大きさは原料粉末の一次粒子径と同
程度、若しくはそれ以下のものを使用するのが好まし
い。
ダー処理を行なう。この際の処理温度、時間、雰囲気は
添加した成形助剤の種類により異なるが、試料の表面が
閉空孔化してしまうと脱バインダーが困難となる。その
ため表面の閉空孔化しない温度以下で充分時間をかけて
行なう。この温度は、使用原料粉末の仮焼温度や焼結
性、及び成形体のパッキングにもよるが、通常900℃〜1
400℃程度であり、それ以下の温度で行なうのが好まし
い。また雰囲気は酸素雰囲気が最も一般的であるが、必
要に応じ加湿水素やAr、若しくは減圧下で行なっても問
題ない。
ガスあるいはこれらの混合雰囲気もしくは真空中で、14
50℃以上1700℃以下の温度で0.5時間以上焼結する。ま
た、脱バインダー終了後の試料を、一次焼結により閉空
孔化した後にHIP焼結することも有効である。焼結時間
は全体を均一に焼結するためには0.5時間以上必要であ
り、それ以上であれば特に限定されるものではない。焼
結雰囲気や試料の厚みにもよるが、通常1〜5mm程度の試
料厚みであれば、2時間から10時間程度の焼結で充分で
ある。また加圧焼結の場合には、0.5時間から2時間程
度で充分である。
に限定されるものではない。実施例1 特開平11-157933の手法に基づき、平均一次粒子径0.3μ
m、純度99.9%以上、Si3wtppmのY2O3原料粉末を作製し
た。即ち、イットリウムの硝酸塩水溶液と尿素の水溶液
と硫酸アンモニウムの水溶液とを混合して、イットリウ
ム:尿素:硫酸アンモニウムがモル比で1:6:1とし、オ
ートクレーブ中125℃で2時間水熱反応させ、イットリ
ウムの炭酸塩を得た。得られた炭酸塩を純水で洗浄し、
乾燥した。次にこの乾燥粉をアルミナ坩堝で大気雰囲気
中1200℃で3時間仮焼して、原料粉とした。
ルC-08(日本油脂製、セラミゾールは商品名)60g、バイ
ンダーとしてメチルセルロースを300g添加し、原料粉末
に対してAl金属換算で50wtppm相当のアルミナゾル(日産
化学製)を焼結助剤として添加し、純水4kgを加えナイロ
ンポット及びナイロンボールを用いて、100時間ボール
ミル混合した。このスラリーを加熱濃縮して、押出し可
能な粘度とした後、3本ロールミルを5回通して生地の
均一性を向上させた。こうして得られた生地を、押出し
機を用いて60mm×200mm×3mmに成形した。
で600℃まで昇温し、この温度で20時間保持して脱脂し
た。この成形体の密度は、アルキメデス法により測定す
ると、59.8%であった。脱脂を充分に行なうために、こ
の成形体を更に1200℃まで昇温し、10時間保持した。そ
の後、真空炉にて1650℃の温度で8時間焼結した。この
際、昇温速度は1200℃までは300℃/hr、それ以上は50℃
/hrとし、炉内の真空度は10-1Pa以下とした。
ラリーを用いて鏡面研磨を行ない、分光光度計にて直線
光透過率を測定した。その結果、波長500nm及び800nmで
の直線光透過率はそれぞれ80.6%,82.1%(試料厚み1mm)で
あった。また赤外領域における透過率は、波長3μm及
び6μmでそれぞれ83.2%,84.1%であった。
マルエッチングを行ない、微構造を光学顕微鏡にて観察
した結果、平均粒径は12.6μmであった。ここで平均粒
径は、SEM等の高分解能画像上で任意に引いた線の長さ
をCとし、この線上の粒子数をN、倍率をMとして、平均
粒径=1.56C/(MN) として求めた。また、アルキメデス
法により焼結体の密度を求めた結果、理論密度比99.97%
であった。なおこの焼結体をオートクレーブにより溶解
後、ICP法によりAl及びSi量を求めた結果、Alが47wtpp
m,Siが3wtppmであった。
した。全ての試料において、使用した原料純度は希土類
元素として99.9%以上、Si10wtppm以下であり、成形密度
は58%以上であった。焼結条件、Al含有量及び1mm厚みで
の直線光透過率、平均粒径を表1に示す。直線光透過率
の測定波長はYb2O3及びLu2O3は500nmとしたが、他の焼
結体については固有吸収の影響の無い波長を選択して測
定した。
直線光透過率を測定した結果、波長1μm以上6μmにお
いては全ての場合において82%以上であった(ただし、固
有の吸収波長を除く)。これらの結果から、実施例によ
り、可視部から赤外領域に渡って優れた透光性を有する
焼結体の作製が可能であることが判る。
した。原料粉末の仮焼には石英製匣鉢を用い、匣鉢中で
のサンプリング位置を変えることにより、Si含有量の異
なる原料粉末を得た。ただし比較例1と比較例5に使用
した原料の仮焼には高純度アルミナ製匣鉢を使用した。
得られた原料粉末を用い、実施例1と同様にして、Al含
有量の異なるイットリア焼結体を作製した。原料中に含
まれるSi量、焼結体中に含まれるAl量と波長500nmでの
直線光透過率(試料厚み1mm)を表2に示す。なお成形体
密度は全ての場合において58%以上であった。
量が少ない場合には、その効果が充分発揮されないた
め、平均粒径は11μmとほぼ実施例1と同程度であるに
もかかわらず、透光性は高くない。また比較例5より、A
l含有量が100wtppmを超える場合には、その平均粒径は3
0μmと実施例1の2倍以上であり、充分な緻密化が行わ
れず透光性は高くない。この試料をEDX(エネルギー分散
型X線分析)を装備したSEMにより観察した結果、粒界に
Alの偏析相が確認された。また逆に比較例2〜4より、焼
結体中のAl含有量が5〜100wtppm内でも、原料中に含ま
れるSi量が10wtppmを超える場合には、充分な透光性が
得られないことが判る。従ってこれらの比較例より、透
光性に優れた焼結体を作製するためには、原料中に含ま
れるSi量、焼結体中に含まれるAl量を厳密に管理する必
要があることが判明した。
料粉末を用い、成形圧力を種々変更してCIP成形を行な
い、成形密度の異なる成形体を作製し、実施例4と同様
にして焼結体を作製した。成形密度と、焼結体の波長60
0nmでの直線光透過率(t=1.0mm)を表3に示す。なお焼結
体中に含まれるAl量は全ての場合において、55〜60wtpp
mの範囲内にあった。
が著しく、焼結体内部には気孔が多数残存しており、更
にAlの偏析も認められ、不透明体であり透過率の測定は
不可能であった。比較例7,8及び実施例8,9,10より、成
形密度の増加と共に透過率も上昇しており、80%以上の
透光性に優れた焼結体を得るためにはその成形密度が58
%以上必要であることが判る。
体中に含まれるAlが50wtppmとなるようにアルミナゾル
を添加し、実施例1と同様にして、成形密度59.5%の成
形体を作製した。この成形体を、種々異なる焼結温度に
より10時間焼結を行ない、Yb2O3焼結体を作製した。焼
結温度、及び得られた焼結体の平均粒径と、波長500nm
での直線光透過率を表4に示す。焼結温度が1450℃〜17
00℃では、平均粒径が2〜20μmで、直線光透過率は80%
以上となるが、焼結温度がこの範囲を外れると、直線光
透過率は極端に低くなる。
実施例2と同様にして作製した。即ち塩化イットリウム
を純水に溶解し、冷却しながら撹拌下にアンモニア水を
ゆっくりと滴下して水酸化イットリウムを沈殿させ、次
いで硫酸アンモニウムの水溶液を加えて3時間撹拌し、
沈殿を濾過し、純水で洗浄し、乾燥させた。前駆体の水
酸化イットリウムを1100℃で仮焼し、原料粉末とした。
ただし、原料中へのSiの混入を防ぐため、原料合成はガ
ラス製ビーカーに換えてポリテトラフルオロエチレン製
容器により行ない、前駆体の仮焼にはアルミナ製匣鉢を
使用した。得られた原料粉末の純度をICP発光分析法に
より求めた結果、純度99.9%以上、Si2wtppmであった。
DAR 平均一次粒子径0.3μm,TM-DARは商品名)を添加
し、アルミナ製乳鉢により充分混合、粉砕を行なった。
この粉末をφ20mmの金型に挿入し、20MPaで一次成形を
行なった後に、250MPaの圧力にてCIP成形を行なった。
成形体中に含まれるAl量、及び成形密度を測定した結
果、それぞれ75wtppm、59.6%であった。 この成形体
を、真空炉にて100℃/hrで1650℃まで昇温し、10時間保
持した後に200℃/hrで冷却した。焼結時の真空度は10- 1
Pa以下とした。得られた焼結体を実施例1と同様に評価
した結果、波長500nmでの直線光透過率80.3%、平均粒径
14.2μmであった。
たが、その直線光透過率は48%であり、特開平11-189413
中の実施例により得られた焼結体と、ほぼ同程度(1700
℃焼結で約45%)であった。以上により、Alを極微量含有
することにより、使用原料粉末の製法に依存せず透光性
に優れた焼結体が得られることが判る。
の、CaO含有量やMgO含有量は5wtppm未満であった。この
原料粉末に、アルミナゾルの代わりに、CaOを200wtppm
相当分添加し、ナイロンボールとナイロンポットとを用
いて混合し、以降は実施例1と同様にして、イットリア
焼結体を作製した。焼結体の両面をダイアモンドスラリ
ーで鏡面研磨した際の、直線光透過率は、試料厚さが1m
m、波長が500nmで、約80%であった。
のイットリア焼結体を、太陽光が当たる場所に3ヶ月放
置した。実施例の焼結体を3ヶ月放置しても変化は見ら
れなかったが、比較例では1ヶ月放置で僅かに黄色に着
色し、3ヶ月では明らかに黄色く着色した。確認のた
め、CaO含有量を50wtppmとして、他は比較例13と同様
のイットリア焼結体を得たが、太陽光に当たる場所に3
ヶ月放置すると同様に黄色に着色した。
Claims (9)
- 【請求項1】 一般式がR2O3(RはY, Dy, Ho, Er, Tm,
Yb, Luからなる群の少なくとも1員の元素)で表わさ
れ、波長500nm〜6μmにおける、特異吸収波長以外で
の、直線光透過率が焼結体1mm厚で80%以上で、Al含有量
が金属換算で5〜100wtppmの透光性希土類酸化物焼結
体。 - 【請求項2】 焼結体の平均粒径が2〜20μmである
ことを特徴とする、請求項1の透光性希土類酸化物焼結
体。 - 【請求項3】 Si含有量が金属換算で10wtppm以下で
あることを特徴とする、請求項2の透光性希土類酸化物
焼結体。 - 【請求項4】 焼結体の平均粒径が2〜20μmで、焼
結体中の粒界にAl含有の異相の析出が実質的にないこと
を特徴とする、請求項1の透光性希土類酸化物焼結体。 - 【請求項5】 CaO含有量及びMgO含有量が各5wtppm未
満であることを特徴とする、請求項3の透光性希土類酸
化物焼結体。 - 【請求項6】 前記焼結体が、レーザー活性元素を含
むレーザー発振子材料であることを特徴とする、請求項
3の透光性希土類酸化物焼結体。 - 【請求項7】 Al含有量が金属換算で5〜100wtppm
で、Si含有量が金属換算で10wtppm以下の純度99.9%以上
の希土類酸化物原料粉末と、バインダーとを用いて、成
形密度が理論密度比58%以上の成形体を作製し、熱処理
により成形体からバインダーを除去した後に、水素,希
ガスあるいはこれらの混合雰囲気中、もしくは真空中
で、1450℃以上1700℃以下で0.5時間以上成形体を焼結
するようにした、一般式がR2O3(RはY, Dy, Ho, Er, Tm,
Yb, Luの何れか1種以上の希土類元素)で表わされる透
光性希土類酸化物焼結体の製造方法。 - 【請求項8】 前記焼結は、焼結体の平均粒径が2〜2
0μmとなるように行われることを特徴とする、請求項
7の透光性希土類酸化物焼結体の製造方法。 - 【請求項9】 前記焼結は、焼結体中の粒界でのAl含
有の異相の析出が実質的にないように行われることを特
徴とする、請求項8の透光性希土類酸化物焼結体の製造
方法。
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