JP2003082236A - 樹脂磁石組成物 - Google Patents
樹脂磁石組成物Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 熱可塑性樹脂から成るバインダに希土類磁性
合金粉末を混合・分散させた、射出成形に好適に用いら
れる、流動性の高い樹脂磁石組成物を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂から成るバインダに、希土
類磁性合金粉末を混合・分散させた樹脂磁石組成物に、
金属不活性剤及びラジカル補集剤とをともに含有する劣
化防止剤、及び、置換尿素系滑剤が少なくとも一種含有
されている添加剤を配合し、樹脂磁石組成物の成形時の
流動性を向上させるようにした。
合金粉末を混合・分散させた、射出成形に好適に用いら
れる、流動性の高い樹脂磁石組成物を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂から成るバインダに、希土
類磁性合金粉末を混合・分散させた樹脂磁石組成物に、
金属不活性剤及びラジカル補集剤とをともに含有する劣
化防止剤、及び、置換尿素系滑剤が少なくとも一種含有
されている添加剤を配合し、樹脂磁石組成物の成形時の
流動性を向上させるようにした。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂磁石組成物に
関するもので、特に、射出成形に用いられる、熱可塑性
樹脂から成るバインダに希土類磁性合金粉末を混合・分
散して成る樹脂磁石組成物に関する。
関するもので、特に、射出成形に用いられる、熱可塑性
樹脂から成るバインダに希土類磁性合金粉末を混合・分
散して成る樹脂磁石組成物に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来、ＯＡ機器や家電製品、生産ライ
ン、移動設備等に用いられる各種規模のモータや電磁リ
レー等に使用される永久磁石として、フェライト系や希
土類系の焼結磁石を微粉末にした磁性粉末を、ナイロ
ン，ポリエチレン，ＥＶＡなどの熱可塑性樹脂、あるい
はエポキシ樹脂，フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂か
ら成る結合材（バインダ）に混合・分散させた混練物
を、周知のプラスチック成形と同様に、成形金型を用い
て射出成形、圧縮成形、あるいは押し出し成形等の加圧
成形により所望の形状に成形した後着磁して成るボンド
磁石が知られている。このようなボンド磁石は、可撓性
に富み、ゴムやプラスチックと同様に扱える上、加工性
もよいので、上記モータ用あるいは電磁リレー用の永久
磁石等の他に、複写機やプリンタ等の現像ローラに用い
られるマグネットローラなどに適用されるなど、各分野
において広く使用されている。上記ボンド磁石には、通
常、バインダが５〜１５重量％程度混合されているため
エネルギー積（ＢＨ）Maxが焼結磁石に比較して小さい
ので、小型モータ用の磁石などのように、薄肉で小さく
かつ高磁力を必要とする製品に使用されるボンド磁石で
は、上記磁性粉末としてＳｍＣｏやＮｄＦｅＢなどの飽
和磁束密度の高い希土類磁性合金粉末が用いられてい
る。
ン、移動設備等に用いられる各種規模のモータや電磁リ
レー等に使用される永久磁石として、フェライト系や希
土類系の焼結磁石を微粉末にした磁性粉末を、ナイロ
ン，ポリエチレン，ＥＶＡなどの熱可塑性樹脂、あるい
はエポキシ樹脂，フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂か
ら成る結合材（バインダ）に混合・分散させた混練物
を、周知のプラスチック成形と同様に、成形金型を用い
て射出成形、圧縮成形、あるいは押し出し成形等の加圧
成形により所望の形状に成形した後着磁して成るボンド
磁石が知られている。このようなボンド磁石は、可撓性
に富み、ゴムやプラスチックと同様に扱える上、加工性
もよいので、上記モータ用あるいは電磁リレー用の永久
磁石等の他に、複写機やプリンタ等の現像ローラに用い
られるマグネットローラなどに適用されるなど、各分野
において広く使用されている。上記ボンド磁石には、通
常、バインダが５〜１５重量％程度混合されているため
エネルギー積（ＢＨ）Maxが焼結磁石に比較して小さい
ので、小型モータ用の磁石などのように、薄肉で小さく
かつ高磁力を必要とする製品に使用されるボンド磁石で
は、上記磁性粉末としてＳｍＣｏやＮｄＦｅＢなどの飽
和磁束密度の高い希土類磁性合金粉末が用いられてい
る。
【０００３】上記ボンド磁石の成形方法においては、金
型の設計自由度が大きく様々な形状の成形品を成形でき
る射出成形法が広く用いられている。上記射出成形法
は、ボンド磁石用の磁性粉末と熱可塑性樹脂から成るバ
インダとを混合した樹脂磁石組成物のペレットを、ヒー
タとスクリューとを備えた加熱シリンダ内に投入して加
熱・混練・流動化させる可塑化処理を行った後、射出シ
リンダにより、この可塑化された樹脂磁石組成物を所望
の形状のキャビティーが形成された成形金型内に圧送し
た後冷却・固化させて成形するもので、これにより、上
記キャビティー形状に成形されたボンド磁石を得る。
型の設計自由度が大きく様々な形状の成形品を成形でき
る射出成形法が広く用いられている。上記射出成形法
は、ボンド磁石用の磁性粉末と熱可塑性樹脂から成るバ
インダとを混合した樹脂磁石組成物のペレットを、ヒー
タとスクリューとを備えた加熱シリンダ内に投入して加
熱・混練・流動化させる可塑化処理を行った後、射出シ
リンダにより、この可塑化された樹脂磁石組成物を所望
の形状のキャビティーが形成された成形金型内に圧送し
た後冷却・固化させて成形するもので、これにより、上
記キャビティー形状に成形されたボンド磁石を得る。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記射出成
形においては、可塑化された樹脂磁石組成物をキャビテ
ィー内に圧送して充填する構成となっているため、上記
樹脂磁石組成物にはある程度の流動性が要求される。し
かしながら、上記磁性粉末が希土類磁性合金粉末である
場合には、キャビティー内での流動性が十分でないた
め、磁力の低下や表面磁力のバラツキを生じるだけでな
く、場合によっては、樹脂磁石組成物が金型内に十分に
充填されず、ショートショットとなり、成形不良になっ
てしまうといった問題点があった。
形においては、可塑化された樹脂磁石組成物をキャビテ
ィー内に圧送して充填する構成となっているため、上記
樹脂磁石組成物にはある程度の流動性が要求される。し
かしながら、上記磁性粉末が希土類磁性合金粉末である
場合には、キャビティー内での流動性が十分でないた
め、磁力の低下や表面磁力のバラツキを生じるだけでな
く、場合によっては、樹脂磁石組成物が金型内に十分に
充填されず、ショートショットとなり、成形不良になっ
てしまうといった問題点があった。
【０００５】本発明は、従来の問題点に鑑みてなされた
もので、熱可塑性樹脂から成るバインダに希土類磁性合
金粉末を混合・分散して成る、射出成形に好適に用いら
れる流動性の高い樹脂磁石組成物を提供することを目的
とする。
もので、熱可塑性樹脂から成るバインダに希土類磁性合
金粉末を混合・分散して成る、射出成形に好適に用いら
れる流動性の高い樹脂磁石組成物を提供することを目的
とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討を
重ねた結果、射出成形に用いられる熱可塑性樹脂から成
るバインダに希土類磁性合金粉末を混合・分散して成る
樹脂磁石組成物に添加される可塑剤、表面処理剤、劣化
防止剤、固体潤滑剤、などの各種添加剤の中で、金属不
活性剤及びラジカル補集剤とをともに含有する劣化防止
剤、及び、尿素結合を有する化合物から成る固体潤滑剤
である置換尿素系滑剤が樹脂磁石組成物の溶融流動性向
上に大きく寄与することを見出し、本発明に至ったもの
である。すなわち、本発明の請求項１に記載の樹脂磁石
組成物は、熱可塑性樹脂から成るバインダに希土類磁性
合金粉末を混合・分散した樹脂磁石組成物に、金属不活
性剤及びラジカル補集剤とをともに含有する劣化防止剤
が少なくとも一種含有されている添加剤を配合したこと
を特徴とするもので、上記金属不活性剤とラジカル補集
剤との相乗効果により、混練時のトルクアップの抑制と
成形時の流動性の向上を図ることができ、高磁力の希土
類ボンド磁石を得ることが可能となる。請求項２に記載
の樹脂磁石組成物は、熱可塑性樹脂から成るバインダに
希土類磁性合金粉末を混合・分散して成る樹脂磁石組成
物に、金属不活性化構造とラジカル補集構造とをともに
分子中に持つ劣化防止剤が少なくとも一種含有されてい
る添加剤を配合したことを特徴とするものである。請求
項３に記載の樹脂磁石組成物は、上記劣化防止剤の添加
量を、樹脂バインダと希土類磁性合金粉末との総量に対
して、０．０１〜５重量％としたものである。
重ねた結果、射出成形に用いられる熱可塑性樹脂から成
るバインダに希土類磁性合金粉末を混合・分散して成る
樹脂磁石組成物に添加される可塑剤、表面処理剤、劣化
防止剤、固体潤滑剤、などの各種添加剤の中で、金属不
活性剤及びラジカル補集剤とをともに含有する劣化防止
剤、及び、尿素結合を有する化合物から成る固体潤滑剤
である置換尿素系滑剤が樹脂磁石組成物の溶融流動性向
上に大きく寄与することを見出し、本発明に至ったもの
である。すなわち、本発明の請求項１に記載の樹脂磁石
組成物は、熱可塑性樹脂から成るバインダに希土類磁性
合金粉末を混合・分散した樹脂磁石組成物に、金属不活
性剤及びラジカル補集剤とをともに含有する劣化防止剤
が少なくとも一種含有されている添加剤を配合したこと
を特徴とするもので、上記金属不活性剤とラジカル補集
剤との相乗効果により、混練時のトルクアップの抑制と
成形時の流動性の向上を図ることができ、高磁力の希土
類ボンド磁石を得ることが可能となる。請求項２に記載
の樹脂磁石組成物は、熱可塑性樹脂から成るバインダに
希土類磁性合金粉末を混合・分散して成る樹脂磁石組成
物に、金属不活性化構造とラジカル補集構造とをともに
分子中に持つ劣化防止剤が少なくとも一種含有されてい
る添加剤を配合したことを特徴とするものである。請求
項３に記載の樹脂磁石組成物は、上記劣化防止剤の添加
量を、樹脂バインダと希土類磁性合金粉末との総量に対
して、０．０１〜５重量％としたものである。
【０００７】また、請求項４に記載の樹脂磁石組成物
は、熱可塑性樹脂から成るバインダに希土類磁性合金粉
末を混合・分散した樹脂磁石組成物に、尿素の水素原子
の１個または２個を長鎖アルキル基、飽和脂肪炭化水素
基、不飽和脂肪炭化水素基、あるいは芳香族基などで置
換した置換尿素化合物から成る置換尿素系滑剤が少なく
とも一種含有されている添加剤を配合したことを特徴と
するもので、これにより、成形時の流動性を高めること
ができ、高磁力の希土類ボンド磁石を得ることが可能と
なる。請求項５に記載の樹脂磁石組成物は、上記置換尿
素系滑剤の添加量を、樹脂バインダと希土類磁性合金粉
末との総量に対して、０．０１〜５重量％としたもので
ある。
は、熱可塑性樹脂から成るバインダに希土類磁性合金粉
末を混合・分散した樹脂磁石組成物に、尿素の水素原子
の１個または２個を長鎖アルキル基、飽和脂肪炭化水素
基、不飽和脂肪炭化水素基、あるいは芳香族基などで置
換した置換尿素化合物から成る置換尿素系滑剤が少なく
とも一種含有されている添加剤を配合したことを特徴と
するもので、これにより、成形時の流動性を高めること
ができ、高磁力の希土類ボンド磁石を得ることが可能と
なる。請求項５に記載の樹脂磁石組成物は、上記置換尿
素系滑剤の添加量を、樹脂バインダと希土類磁性合金粉
末との総量に対して、０．０１〜５重量％としたもので
ある。
【０００８】また、請求項６に記載の樹脂磁石組成物
は、熱可塑性樹脂から成るバインダに希土類磁性合金粉
末を混合・分散した樹脂磁石組成物に、金属不活性剤及
びラジカル補集剤とをともに含有する劣化防止剤と置換
尿素系滑剤とがそれぞれ少なくとも一種含有されている
添加剤を配合したことを特徴とするものである。
は、熱可塑性樹脂から成るバインダに希土類磁性合金粉
末を混合・分散した樹脂磁石組成物に、金属不活性剤及
びラジカル補集剤とをともに含有する劣化防止剤と置換
尿素系滑剤とがそれぞれ少なくとも一種含有されている
添加剤を配合したことを特徴とするものである。
【０００９】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。はじめに、熱可塑性樹脂から成る樹脂バイ
ンダに希土類磁性合金粉末と、金属不活性剤及びラジカ
ル補集剤とをともに含有する劣化防止剤、及び、置換尿
素系滑剤とがそれぞれ少なくとも一種含有されている添
加剤を配合し、これを混練押出機等の混練手段を用いて
混練して混練物（樹脂磁石組成物）を作製する。その
後、上記混練物をカッティングまたは粉砕して、ペレッ
ト状の樹脂磁石用組成物を得、これを、例えば、射出成
形機のホッパーから加熱シリンダ内に投入し、射出ノズ
ルを介して、所定の形状のキャビティーが形成された成
形型に注入して上記樹脂磁石組成物を成形する。
て説明する。はじめに、熱可塑性樹脂から成る樹脂バイ
ンダに希土類磁性合金粉末と、金属不活性剤及びラジカ
ル補集剤とをともに含有する劣化防止剤、及び、置換尿
素系滑剤とがそれぞれ少なくとも一種含有されている添
加剤を配合し、これを混練押出機等の混練手段を用いて
混練して混練物（樹脂磁石組成物）を作製する。その
後、上記混練物をカッティングまたは粉砕して、ペレッ
ト状の樹脂磁石用組成物を得、これを、例えば、射出成
形機のホッパーから加熱シリンダ内に投入し、射出ノズ
ルを介して、所定の形状のキャビティーが形成された成
形型に注入して上記樹脂磁石組成物を成形する。
【００１０】本例で用いられる金属不活性剤としては、
構造中に窒素を含有するものが好ましく、具体的には、
ベンゾトリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ヒド
ラジン誘導体、サリチル酸誘導体、シュウ酸誘導体、ヒ
ドラジン誘導体などを挙げることができ、更に詳しく
は、３−（Ｎ−サリチロイル）アミノ−１，２，４−ト
リアゾール、デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイル
ヒドラジド、オキサリルビス［ベンジリデンヒドラジ
ド］、２’，３−ビス［［３−［３，５−ジ−ｔｅｒ
ｔ．ブチル−４−ヒドロキシフェニル］プロピオニ
ル］］プロピオノヒドラジド、イソフタル酸ビス（２−
フェノキシプロピオニルヒドラジド）、２，２’−オキ
サリルジアミドビス［エチル３−（３，５−ジ−ｔｅｒ
ｔ．ブチル−４−ヒドロキシフェニル）プロピオネート
を挙げることができる。中でも特に好ましいものとして
は、シュウ酸誘導体、ヒドラジン誘導体を挙げることが
でき、更に詳しくは、２’，３−ビス［［３−［３，５
−ジ−ｔｅｒｔ．ブチル−４−ヒドロキシフェニル］プ
ロピオニル］］プロピオノヒドラジド、オキサリルビス
［ベンジリデンヒドラジド］、イソフタル酸ビス（２−
フェノキシプロピオニルヒドラジド）を挙げることがで
きる。
構造中に窒素を含有するものが好ましく、具体的には、
ベンゾトリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ヒド
ラジン誘導体、サリチル酸誘導体、シュウ酸誘導体、ヒ
ドラジン誘導体などを挙げることができ、更に詳しく
は、３−（Ｎ−サリチロイル）アミノ−１，２，４−ト
リアゾール、デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイル
ヒドラジド、オキサリルビス［ベンジリデンヒドラジ
ド］、２’，３−ビス［［３−［３，５−ジ−ｔｅｒ
ｔ．ブチル−４−ヒドロキシフェニル］プロピオニ
ル］］プロピオノヒドラジド、イソフタル酸ビス（２−
フェノキシプロピオニルヒドラジド）、２，２’−オキ
サリルジアミドビス［エチル３−（３，５−ジ−ｔｅｒ
ｔ．ブチル−４−ヒドロキシフェニル）プロピオネート
を挙げることができる。中でも特に好ましいものとして
は、シュウ酸誘導体、ヒドラジン誘導体を挙げることが
でき、更に詳しくは、２’，３−ビス［［３−［３，５
−ジ−ｔｅｒｔ．ブチル−４−ヒドロキシフェニル］プ
ロピオニル］］プロピオノヒドラジド、オキサリルビス
［ベンジリデンヒドラジド］、イソフタル酸ビス（２−
フェノキシプロピオニルヒドラジド）を挙げることがで
きる。
【００１１】また、ラジカル補集剤としては、フェノー
ル誘導体が好ましく、具体的には、２，６−ジ−ｏ−ブ
チル−４−メチルフェノール、ｎ−オクタデシル−３−
（３’，５’−ジ−ｔ−ブチル−４’−ヒドロキシフェ
ニル）プロピオネート、４，４−ブチリデンビス（３−
メチル−６−ｔ−ブチル）フェノール、ペンタエリスト
ールテトラビス［３−（３，５−ジ−ｔｅｒｔ．ブチル
−４−ヒドロキシフェニル）プロピオネート］、Ｎ，
Ｎ’−ヘキサンー１，６−ジイルビス［３−（３，５−
ジ−ｔｅｒｔ．ブチル−４−ヒドロキシフェニルプロピ
オナミド）］、エチレンビス（オキシエチレン）ビス
［３−（３，５−ジ−ｔｅｒｔ．ブチル−４−ヒドロキ
シ−ｍ−トリル）プロピオネート］、ヘキサメチレンビ
ス［３−（５−ｔｅｒｔ．ブチル−４−ヒドロキシフェ
ニル）プロピオネート］、１，１，３−トリス（２−メ
チル−４−ヒドロキシ−５−ｔｅｒｔ．ブチルフェニ
ル）ブタン、トリエチレングリコールビス［３−（３−
ｔｅｒｔ．ブチル−４−ヒドロキシ−５−メチルフェニ
ル）プロピオネート］、２’，３−ビス［［３−［３，
５−ジ−ｔｅｒｔ．ブチル−４−ヒドロキシフェニル］
プロピオニル］］プロピオノヒドラジド、などを挙げる
ことができる。中でも特に好ましいものとしては、
２’，３−ビス［［３−［３，５−ジ−ｔｅｒｔ．ブチ
ル−４−ヒドロキシフェニル］プロピオニル］］プロピ
オノヒドラジド、エチレンビス（オキシエチレン）ビス
［３−（３，５−ジ−ｔｅｒｔ．ブチル−４−ヒドロキ
シ−ｍ−トリル）プロピオネート］、Ｎ，Ｎ’−ヘキサ
ンー１，６−ジイルビス［３−（３，５−ジ−ｔｅｒ
ｔ．ブチル−４−ヒドロキシフェニルプロピオナミ
ド）］、トリエチレングリコールビス［３−（３−ｔｅ
ｒｔ．ブチル−４−ヒドロキシ−５−メチルフェニル）
プロピオネート］を挙げることができる。
ル誘導体が好ましく、具体的には、２，６−ジ−ｏ−ブ
チル−４−メチルフェノール、ｎ−オクタデシル−３−
（３’，５’−ジ−ｔ−ブチル−４’−ヒドロキシフェ
ニル）プロピオネート、４，４−ブチリデンビス（３−
メチル−６−ｔ−ブチル）フェノール、ペンタエリスト
ールテトラビス［３−（３，５−ジ−ｔｅｒｔ．ブチル
−４−ヒドロキシフェニル）プロピオネート］、Ｎ，
Ｎ’−ヘキサンー１，６−ジイルビス［３−（３，５−
ジ−ｔｅｒｔ．ブチル−４−ヒドロキシフェニルプロピ
オナミド）］、エチレンビス（オキシエチレン）ビス
［３−（３，５−ジ−ｔｅｒｔ．ブチル−４−ヒドロキ
シ−ｍ−トリル）プロピオネート］、ヘキサメチレンビ
ス［３−（５−ｔｅｒｔ．ブチル−４−ヒドロキシフェ
ニル）プロピオネート］、１，１，３−トリス（２−メ
チル−４−ヒドロキシ−５−ｔｅｒｔ．ブチルフェニ
ル）ブタン、トリエチレングリコールビス［３−（３−
ｔｅｒｔ．ブチル−４−ヒドロキシ−５−メチルフェニ
ル）プロピオネート］、２’，３−ビス［［３−［３，
５−ジ−ｔｅｒｔ．ブチル−４−ヒドロキシフェニル］
プロピオニル］］プロピオノヒドラジド、などを挙げる
ことができる。中でも特に好ましいものとしては、
２’，３−ビス［［３−［３，５−ジ−ｔｅｒｔ．ブチ
ル−４−ヒドロキシフェニル］プロピオニル］］プロピ
オノヒドラジド、エチレンビス（オキシエチレン）ビス
［３−（３，５−ジ−ｔｅｒｔ．ブチル−４−ヒドロキ
シ−ｍ−トリル）プロピオネート］、Ｎ，Ｎ’−ヘキサ
ンー１，６−ジイルビス［３−（３，５−ジ−ｔｅｒ
ｔ．ブチル−４−ヒドロキシフェニルプロピオナミ
ド）］、トリエチレングリコールビス［３−（３−ｔｅ
ｒｔ．ブチル−４−ヒドロキシ−５−メチルフェニル）
プロピオネート］を挙げることができる。
【００１２】本発明の樹脂磁石組成物は、金属不活性剤
とラジカル補集剤とをともに含有する劣化防止剤が少な
くとも一種含有されている添加剤を配合したので、上記
金属不活性剤とラジカル補集剤との相乗効果により、混
練時のトルクアップを抑制することができるとともに、
成形時の流動性を高めることができるので、高磁力の希
土類ボンド磁石を得ることができる。なお、上記効果を
得るためには、樹脂磁石組成物に金属不活性剤とラジカ
ル補集剤がともに含まれている必要があり、金属不活性
剤またはラジカル補集剤を単独で添加した場合には、流
動性はほとんど向上しない。但し、上記例のうち、
２’，３−ビス［［３−［３，５−ジ−ｔｅｒｔ．ブチ
ル−４−ヒドロキシフェニル］プロピオニル］］プロピ
オノヒドラジドは、金属不活性化構造とラジカル補集構
造とをともに分子中に持つ劣化防止剤であるので、単独
で添加しても成形時の流動性を向上させることが可能で
ある。
とラジカル補集剤とをともに含有する劣化防止剤が少な
くとも一種含有されている添加剤を配合したので、上記
金属不活性剤とラジカル補集剤との相乗効果により、混
練時のトルクアップを抑制することができるとともに、
成形時の流動性を高めることができるので、高磁力の希
土類ボンド磁石を得ることができる。なお、上記効果を
得るためには、樹脂磁石組成物に金属不活性剤とラジカ
ル補集剤がともに含まれている必要があり、金属不活性
剤またはラジカル補集剤を単独で添加した場合には、流
動性はほとんど向上しない。但し、上記例のうち、
２’，３−ビス［［３−［３，５−ジ−ｔｅｒｔ．ブチ
ル−４−ヒドロキシフェニル］プロピオニル］］プロピ
オノヒドラジドは、金属不活性化構造とラジカル補集構
造とをともに分子中に持つ劣化防止剤であるので、単独
で添加しても成形時の流動性を向上させることが可能で
ある。
【００１３】また、本例で用いられる置換尿素系滑剤
は、尿素の水素原子の１個または２個を長鎖アルキル
基、飽和脂肪炭化水素基、不飽和脂肪炭化水素基、ある
いは芳香族基などで置換した置換尿素化合物から成る固
体潤滑剤で、特に、尿素中にある（−ＮＨ2）構造が、
双方とも置換後には残らない構造の置換尿素化合物が好
適に用いられる。なお、上記飽和脂肪炭化水素基として
は、ラウリル基、ステアリル基、パルチミル基、不飽和
脂肪炭化水素基としては、オレイル基、エルカリル基、
芳香族基としてはフェニルメタン基、キシリル基などが
挙げられる。置換尿素系滑剤の具体例としては、ジフェ
ニルメタンビスラウリル尿素、ジフェニルメタンビスス
テアリル尿素、ヘキサメチレンビスステアリル尿素、ト
ルイレンビスステアリル尿素、キシレンビスステアリル
尿素、Ｎ−ブチル−Ｎ’−ステアリル尿素、Ｎ−フェニ
ル−Ｎ’−ステアリル尿素、Ｎ−ステアリル−Ｎ’−ス
テアリル尿素を挙げることができる。中でも特に好まし
いものとしては、ジフェニルメタンビスラウリル尿素、
ジフェニルメタンビスステアリル尿素、ヘキサメチレン
ビスステアリル尿素、トルイレンビスステアリル尿素、
キシレンビスステアリル尿素を挙げることができる。上
記置換尿素系滑剤の添加量は、磁性粉やバインダ樹脂の
種類などに応じて適宜決定されるものであるが、通常
は、０．０１〜５重量％、好ましくは０．０２〜２重量
％の範囲で添加する。
は、尿素の水素原子の１個または２個を長鎖アルキル
基、飽和脂肪炭化水素基、不飽和脂肪炭化水素基、ある
いは芳香族基などで置換した置換尿素化合物から成る固
体潤滑剤で、特に、尿素中にある（−ＮＨ2）構造が、
双方とも置換後には残らない構造の置換尿素化合物が好
適に用いられる。なお、上記飽和脂肪炭化水素基として
は、ラウリル基、ステアリル基、パルチミル基、不飽和
脂肪炭化水素基としては、オレイル基、エルカリル基、
芳香族基としてはフェニルメタン基、キシリル基などが
挙げられる。置換尿素系滑剤の具体例としては、ジフェ
ニルメタンビスラウリル尿素、ジフェニルメタンビスス
テアリル尿素、ヘキサメチレンビスステアリル尿素、ト
ルイレンビスステアリル尿素、キシレンビスステアリル
尿素、Ｎ−ブチル−Ｎ’−ステアリル尿素、Ｎ−フェニ
ル−Ｎ’−ステアリル尿素、Ｎ−ステアリル−Ｎ’−ス
テアリル尿素を挙げることができる。中でも特に好まし
いものとしては、ジフェニルメタンビスラウリル尿素、
ジフェニルメタンビスステアリル尿素、ヘキサメチレン
ビスステアリル尿素、トルイレンビスステアリル尿素、
キシレンビスステアリル尿素を挙げることができる。上
記置換尿素系滑剤の添加量は、磁性粉やバインダ樹脂の
種類などに応じて適宜決定されるものであるが、通常
は、０．０１〜５重量％、好ましくは０．０２〜２重量
％の範囲で添加する。
【００１４】上記置換尿素系滑剤も、上述した金属不活
性剤とラジカル補集剤とをともに含有する劣化防止剤と
同様に、混練時のトルクアップの抑制効果と成形時の流
動性の向上効果に寄与するので、上記効果を更に高める
ことができる。なお、上記劣化防止剤と置換尿素系滑剤
とは必ずしも両方添加する必要はなく、どちらか一方を
添加しただけでも、混練時のトルクアップの抑制効果と
成形時の流動性とを十分に向上させることができる。ま
た、上記劣化防止剤や置換尿素系滑剤とともに、分岐構
造を有しないモノエステルを添加してもよい。
性剤とラジカル補集剤とをともに含有する劣化防止剤と
同様に、混練時のトルクアップの抑制効果と成形時の流
動性の向上効果に寄与するので、上記効果を更に高める
ことができる。なお、上記劣化防止剤と置換尿素系滑剤
とは必ずしも両方添加する必要はなく、どちらか一方を
添加しただけでも、混練時のトルクアップの抑制効果と
成形時の流動性とを十分に向上させることができる。ま
た、上記劣化防止剤や置換尿素系滑剤とともに、分岐構
造を有しないモノエステルを添加してもよい。
【００１５】また、本例に用いられる熱可塑性樹脂とし
ては、例えば、ポリアミド樹脂（ＰＡ）、ポリスチレン
樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂（ＰＥＴ）、ポ
リブチレンテレフタレート樹脂（ＰＢＴ）、ポリフェニ
レンサルフアイド樹脂（ＰＰＳ）、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体樹脂（ＥＶＡ）、エチレン−エチルアクリレ
ート共重合体樹脂（ＥＥＡ）など、種々の熱可塑性樹脂
を単独または二種以上を組み合わせて用いることができ
るが、特に本発明においては、ポリアミド−６，ポリア
ミド−１２，ポリアミド−６６，ポリアミド−１１，ポ
リアミド−４６などのポリアミド系樹脂が好ましく用い
られ、中でも、ポリアミド−１２，ポリアミド−６が特
に好ましく用いられる。
ては、例えば、ポリアミド樹脂（ＰＡ）、ポリスチレン
樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂（ＰＥＴ）、ポ
リブチレンテレフタレート樹脂（ＰＢＴ）、ポリフェニ
レンサルフアイド樹脂（ＰＰＳ）、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体樹脂（ＥＶＡ）、エチレン−エチルアクリレ
ート共重合体樹脂（ＥＥＡ）など、種々の熱可塑性樹脂
を単独または二種以上を組み合わせて用いることができ
るが、特に本発明においては、ポリアミド−６，ポリア
ミド−１２，ポリアミド−６６，ポリアミド−１１，ポ
リアミド−４６などのポリアミド系樹脂が好ましく用い
られ、中でも、ポリアミド−１２，ポリアミド−６が特
に好ましく用いられる。
【００１６】また、上記樹脂バインダ中に混合・分散さ
れる希土類磁性粉としては、Ｎｄ2Ｆｅ14ＢなどのＮｄ
系磁性粉、あるいはＳｍ2Ｆｅ17Ｎ3などのＳｍ系磁性粉
などが挙げられる。これらの磁性粉は単独で用いてもよ
く、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、上記
磁性粉は粉末として用いられ、その粒径は制限されるも
のではないが、得られる樹脂磁石組成物の溶融流動性，
磁性粉の配向性，充填率等の観点から、平均粒径１〜２
５０μｍ、特に２０〜５０μｍであることが好ましい。
上記希土類磁性粉には、必要に応じて、磁性粉とバイン
ダとの接着性を向上させる目的で公知の前処理を施して
おくことができる。例えば、シラン系やチタン系などの
公知のカップリング剤を用いてカップリング処理を施す
ことにより、高充填時の溶融流動性を効果的に向上させ
ることができる。また、樹脂磁石組成物における樹脂バ
インダと磁性粉の配合割合は、特に制限はなく、樹脂成
形物に要求される磁力の強さに応じて適宜選定される。
通常は、磁性粉が、樹脂磁石組成物全量に対して、７０
〜９５重量％程度の配合比率となるようにするのが適当
である。
れる希土類磁性粉としては、Ｎｄ2Ｆｅ14ＢなどのＮｄ
系磁性粉、あるいはＳｍ2Ｆｅ17Ｎ3などのＳｍ系磁性粉
などが挙げられる。これらの磁性粉は単独で用いてもよ
く、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、上記
磁性粉は粉末として用いられ、その粒径は制限されるも
のではないが、得られる樹脂磁石組成物の溶融流動性，
磁性粉の配向性，充填率等の観点から、平均粒径１〜２
５０μｍ、特に２０〜５０μｍであることが好ましい。
上記希土類磁性粉には、必要に応じて、磁性粉とバイン
ダとの接着性を向上させる目的で公知の前処理を施して
おくことができる。例えば、シラン系やチタン系などの
公知のカップリング剤を用いてカップリング処理を施す
ことにより、高充填時の溶融流動性を効果的に向上させ
ることができる。また、樹脂磁石組成物における樹脂バ
インダと磁性粉の配合割合は、特に制限はなく、樹脂成
形物に要求される磁力の強さに応じて適宜選定される。
通常は、磁性粉が、樹脂磁石組成物全量に対して、７０
〜９５重量％程度の配合比率となるようにするのが適当
である。
【００１７】更に、上記樹脂磁石組成物には、必要に応
じ、マイカやタルク、あるいは炭素繊維，ガラス繊維な
どの繊維やウイスカーなどの補強効果の大きな充填材
を、本発明の目的を妨げない範囲で添加することができ
る。すなわち、成形品に要求される磁力が比較的低くて
磁性粉の充填量が少ない場合には、成形品の剛性が低く
なりやすく、このような場合には剛性を補うために、マ
イカやウイスカーなどの充填材を添加して成形品の補強
を行うことができる。この場合、好適に用いられる充填
材としては、マイカやウイスカーなどが挙げられる。こ
のウイスカーとしては、例えば炭化ケイ素，窒化ケイ素
などから成る非酸化物系ウイスカー、ＺｎＯ，ＭｇＯ，
ＴｉＯ2，ＳｎＯ2，Ａｌ2Ｏ3などから成る金属酸化物系
ウイスカー、チタン酸カリウム，ホウ酸アルミニウム，
塩基性硫酸マグネシウムなどから成る複酸化物系ウイス
カーなどが挙げられるが、これらの中で、プラスチック
との複合化が容易な点から複酸化物系ウイスカーが好適
である。
じ、マイカやタルク、あるいは炭素繊維，ガラス繊維な
どの繊維やウイスカーなどの補強効果の大きな充填材
を、本発明の目的を妨げない範囲で添加することができ
る。すなわち、成形品に要求される磁力が比較的低くて
磁性粉の充填量が少ない場合には、成形品の剛性が低く
なりやすく、このような場合には剛性を補うために、マ
イカやウイスカーなどの充填材を添加して成形品の補強
を行うことができる。この場合、好適に用いられる充填
材としては、マイカやウイスカーなどが挙げられる。こ
のウイスカーとしては、例えば炭化ケイ素，窒化ケイ素
などから成る非酸化物系ウイスカー、ＺｎＯ，ＭｇＯ，
ＴｉＯ2，ＳｎＯ2，Ａｌ2Ｏ3などから成る金属酸化物系
ウイスカー、チタン酸カリウム，ホウ酸アルミニウム，
塩基性硫酸マグネシウムなどから成る複酸化物系ウイス
カーなどが挙げられるが、これらの中で、プラスチック
との複合化が容易な点から複酸化物系ウイスカーが好適
である。
【００１８】また、上記樹脂磁石組成物の調製方法とし
ては特に制限はないが、例えば樹脂バインダ，磁性粉及
び必要に応じて用いられる充填材を、通常の方法に従っ
て混合し、溶融混練した後、ペレット状に成形すること
により、樹脂磁石組成物を調製することができる。この
際、溶融混練には、一軸あるいは二軸混練押出機，ＫＣ
Ｋ混練押出機などを用いる通常の方法及び条件を採用す
ることができる。
ては特に制限はないが、例えば樹脂バインダ，磁性粉及
び必要に応じて用いられる充填材を、通常の方法に従っ
て混合し、溶融混練した後、ペレット状に成形すること
により、樹脂磁石組成物を調製することができる。この
際、溶融混練には、一軸あるいは二軸混練押出機，ＫＣ
Ｋ混練押出機などを用いる通常の方法及び条件を採用す
ることができる。
【００１９】［実施例］以下に、実施例、比較例を示
し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記に限定
されるものではない。原子重量％でＮｄ12Ｆｅ78Ｃｏ4
Ｂ6の組成を有するＮｄ系希土類磁石合金原料粉末（Ｍ
ＱＩ製；ＭＱＰ−Ｂ）を平均粒径５０μｍに粉砕して微
粉末化して分級した後、得られた磁性粉２０００ｇを秤
量し、Ｍw≒１２０００のナイロン１２（宇部興産製；
Ｐ３０１２Ｕ）１２０ｇと、図１の表に示す金属不活性
剤、ラジカル補集剤、置換尿素系滑剤のいずれか１つあ
るいはその混合物から成る添加剤１及び添加剤２をそれ
ぞれ１０ｇずつ混合し、樹脂磁石組成物を調整した。次
に、上記得られた混合物を東洋精機製ラボプラストミル
にて混練後、ハンマーミルにて粉砕して、金属不活性剤
とラジカル補集剤とをともに含有する劣化防止剤、また
は置換尿素系滑剤が添加された小粒状の樹脂磁石組成
物、及び、上記劣化防止剤と置換尿素系滑剤の両方が添
加された小粒状の樹脂磁石組成物を作製した（実施例１
〜８）。また、比較例１〜５として、金属不活性剤とラ
ジカル補集剤の一方しか含まない樹脂磁石組成物、及
び、両方とも含まない樹脂磁石組成物を上記実施例と同
様な方法で作製した。なお、本実施例においては、添加
剤の効果を確認するため、通常行われる磁性粉表面の表
面処理を省略した。次に、島津製作所製Flowtesterを用
い、各試料の流動性を測定した。測定条件は、２４０℃
恒温下において、ダイス形φ１×５ｍｍと規定して測定
した。測定結果を図２のグラフに示す。同図において、
横軸は剪断速度、縦軸は剪断応力であり、同じ剪断速度
に対して剪断応力の値が小さいほど流動時の抵抗が小さ
い、すなわち流動性が高いことを示す。なお、同図の１
点鎖線で結んだ＋印の試料（ｒｅｆ．）は、添加剤を何
も入れない試料（参考例）のデータである。グラフから
明らかなように、実施例１〜８の各試料は、比較例１〜
５の各試料に対して剪断力が小さく、流動性が著しく改
善されていることがわかる。更に、上記各試料を、ＦＡ
ＮＵＣ製射出成形機を用いて、シリンダー温度２７０
℃、金型温度１５０℃、射出圧力１００ｋｇ／ｃｍ2の
成形条件にて射出成形し、１０ｍｍ×４ｍｍ×１００ｍ
ｍの直方体状の樹脂磁石成型物を作製した。上記実施例
１〜８の各試料から作製した樹脂磁石成型物は外観、寸
法精度、表面磁力のバラツキにおいて、良好な結果が得
られたのに対し、比較例１〜５の各試料から作製した樹
脂磁石成形物は、ショートショット、樹脂充填不良とい
った成型上の不具合が生じた。これにより、本発明の樹
脂磁石組成物においては、成形時の流動性も著しく向上
していることが確認された。
し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記に限定
されるものではない。原子重量％でＮｄ12Ｆｅ78Ｃｏ4
Ｂ6の組成を有するＮｄ系希土類磁石合金原料粉末（Ｍ
ＱＩ製；ＭＱＰ−Ｂ）を平均粒径５０μｍに粉砕して微
粉末化して分級した後、得られた磁性粉２０００ｇを秤
量し、Ｍw≒１２０００のナイロン１２（宇部興産製；
Ｐ３０１２Ｕ）１２０ｇと、図１の表に示す金属不活性
剤、ラジカル補集剤、置換尿素系滑剤のいずれか１つあ
るいはその混合物から成る添加剤１及び添加剤２をそれ
ぞれ１０ｇずつ混合し、樹脂磁石組成物を調整した。次
に、上記得られた混合物を東洋精機製ラボプラストミル
にて混練後、ハンマーミルにて粉砕して、金属不活性剤
とラジカル補集剤とをともに含有する劣化防止剤、また
は置換尿素系滑剤が添加された小粒状の樹脂磁石組成
物、及び、上記劣化防止剤と置換尿素系滑剤の両方が添
加された小粒状の樹脂磁石組成物を作製した（実施例１
〜８）。また、比較例１〜５として、金属不活性剤とラ
ジカル補集剤の一方しか含まない樹脂磁石組成物、及
び、両方とも含まない樹脂磁石組成物を上記実施例と同
様な方法で作製した。なお、本実施例においては、添加
剤の効果を確認するため、通常行われる磁性粉表面の表
面処理を省略した。次に、島津製作所製Flowtesterを用
い、各試料の流動性を測定した。測定条件は、２４０℃
恒温下において、ダイス形φ１×５ｍｍと規定して測定
した。測定結果を図２のグラフに示す。同図において、
横軸は剪断速度、縦軸は剪断応力であり、同じ剪断速度
に対して剪断応力の値が小さいほど流動時の抵抗が小さ
い、すなわち流動性が高いことを示す。なお、同図の１
点鎖線で結んだ＋印の試料（ｒｅｆ．）は、添加剤を何
も入れない試料（参考例）のデータである。グラフから
明らかなように、実施例１〜８の各試料は、比較例１〜
５の各試料に対して剪断力が小さく、流動性が著しく改
善されていることがわかる。更に、上記各試料を、ＦＡ
ＮＵＣ製射出成形機を用いて、シリンダー温度２７０
℃、金型温度１５０℃、射出圧力１００ｋｇ／ｃｍ2の
成形条件にて射出成形し、１０ｍｍ×４ｍｍ×１００ｍ
ｍの直方体状の樹脂磁石成型物を作製した。上記実施例
１〜８の各試料から作製した樹脂磁石成型物は外観、寸
法精度、表面磁力のバラツキにおいて、良好な結果が得
られたのに対し、比較例１〜５の各試料から作製した樹
脂磁石成形物は、ショートショット、樹脂充填不良とい
った成型上の不具合が生じた。これにより、本発明の樹
脂磁石組成物においては、成形時の流動性も著しく向上
していることが確認された。
【００２０】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
熱可塑性樹脂から成るバインダに希土類磁性合金粉末を
混合・分散させた樹脂磁石組成物に、金属不活性剤及び
ラジカル補集剤とをともに含有する劣化防止剤及び置換
尿素系滑剤が少なくとも一種含有されている添加剤を配
合することより、樹脂磁石組成物の流時の動性を向上さ
せることができる。したがって、上記樹脂磁石組成物を
射出成形することにより、表面磁力のバラツキが少な
く、かつ、高磁力を有する希土類ボンド磁石を得ること
ができる。
熱可塑性樹脂から成るバインダに希土類磁性合金粉末を
混合・分散させた樹脂磁石組成物に、金属不活性剤及び
ラジカル補集剤とをともに含有する劣化防止剤及び置換
尿素系滑剤が少なくとも一種含有されている添加剤を配
合することより、樹脂磁石組成物の流時の動性を向上さ
せることができる。したがって、上記樹脂磁石組成物を
射出成形することにより、表面磁力のバラツキが少な
く、かつ、高磁力を有する希土類ボンド磁石を得ること
ができる。
【図１】 本発明の実施例に添加した添加剤を示す図で
ある。
ある。
【図２】 本発明の実施例の流動性の測定結果を示す図
である。
である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考）
// Ｂ２２Ｆ 3/02 Ｂ２２Ｆ 3/02 Ｍ
Ｆターム(参考） 4J002 AA011 BB061 BB071 BC031
CF061 CF071 CL001 CN011
DF016 DK006 EJ018 EJ038
EJ067 EQ027 EQ028 ET019
EU177 FD037 FD038 FD179
FD206 GQ00
4K018 AA27 BA18 CA08 CA30 GA04
KA46
5E040 AA04 AA19 BB03 CA01 HB17
NN01 NN06
5E062 CC05 CD05 CG07
Claims (6)
- 【請求項１】 熱可塑性樹脂から成るバインダに希土類
磁性合金粉末を混合・分散して成る樹脂磁石組成物にお
いて、金属不活性剤及びラジカル補集剤とをともに含有
する劣化防止剤が少なくとも一種含有されている添加剤
を配合したことを特徴とする樹脂磁石組成物。 - 【請求項２】 熱可塑性樹脂から成るバインダに希土類
磁性合金粉末を混合・分散して成る樹脂磁石組成物にお
いて、金属不活性化構造とラジカル補集構造とをともに
分子中に持つ劣化防止剤が少なくとも一種含有されてい
る添加剤を配合したことを特徴とする樹脂磁石組成物。 - 【請求項３】 上記劣化防止剤の添加量を、樹脂バイン
ダと希土類磁性合金粉末との総量に対して、０．０１〜
５重量％としたことを特徴とする請求項１または請求項
２に記載の樹脂磁石組成物。 - 【請求項４】 熱可塑性樹脂から成るバインダに希土類
磁性合金粉末を混合・分散して成る樹脂磁石組成物にお
いて、置換尿素系滑剤が少なくとも一種含有されている
添加剤を配合したことを特徴とする樹脂磁石組成物。 - 【請求項５】 上記置換尿素系滑剤の添加量を、樹脂バ
インダと希土類磁性合金粉末との総量に対して、０．０
１〜５重量％としたことを特徴とする請求項４に記載の
樹脂磁石組成物。 - 【請求項６】 熱可塑性樹脂から成るバインダに希土類
磁性合金粉末を混合・分散して成る樹脂磁石組成物にお
いて、金属不活性剤及びラジカル補集剤とをともに含有
する劣化防止剤と置換尿素系滑剤とがそれぞれ少なくと
も一種含有されている添加剤を配合したことを特徴とす
る樹脂磁石組成物。
Priority Applications (4)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001274636A JP2003082236A (ja) | 2001-09-11 | 2001-09-11 | 樹脂磁石組成物 |
| CNA028168593A CN1549846A (zh) | 2001-09-11 | 2002-09-05 | 树脂磁石组合物 |
| US10/475,992 US20040144960A1 (en) | 2001-09-11 | 2002-09-05 | Resin-magnet composition |
| PCT/JP2002/009067 WO2003025068A1 (en) | 2001-09-11 | 2002-09-05 | Resin-magnet composition |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001274636A JP2003082236A (ja) | 2001-09-11 | 2001-09-11 | 樹脂磁石組成物 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003082236A true JP2003082236A (ja) | 2003-03-19 |
Family
ID=19099639
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2001274636A Pending JP2003082236A (ja) | 2001-09-11 | 2001-09-11 | 樹脂磁石組成物 |
Country Status (4)
| Country | Link |
|---|---|
| US (1) | US20040144960A1 (ja) |
| JP (1) | JP2003082236A (ja) |
| CN (1) | CN1549846A (ja) |
| WO (1) | WO2003025068A1 (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2004315715A (ja) * | 2003-04-18 | 2004-11-11 | Toyo Ink Mfg Co Ltd | 塩素含有水に耐性を有する着色樹脂組成物及び水道用パイプ |
| JP2020057792A (ja) * | 2019-11-26 | 2020-04-09 | 日亜化学工業株式会社 | ボンド磁石 |
Families Citing this family (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| DE10314068B4 (de) * | 2003-03-25 | 2016-08-18 | Thyssenkrupp Transrapid Gmbh | Fahrwegträger und damit hergestellte Magnetschwebebahn |
| US6994891B2 (en) * | 2004-06-14 | 2006-02-07 | Murray Ginsberg | Method for producing an epoxy composition |
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