JP2003082094A - ポリアミドの製造方法 - Google Patents

ポリアミドの製造方法

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JP2003082094A
JP2003082094A JP2002186417A JP2002186417A JP2003082094A JP 2003082094 A JP2003082094 A JP 2003082094A JP 2002186417 A JP2002186417 A JP 2002186417A JP 2002186417 A JP2002186417 A JP 2002186417A JP 2003082094 A JP2003082094 A JP 2003082094A
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ppm
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Atsushi Hara
厚 原
Seiji Nakayama
誠治 中山
Yoshitaka Eto
嘉孝 衛藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 異物をほとんど含まず、紡糸時や製膜時のフ
ィルタ−詰まりが少なく、操業性の改善されたポリアミ
ドを製造する方法を提供すること。 【解決手段】 ナトリウムの含有量(N)、マグネシウ
ムの含有量(M)、珪素の含有量(S)及びカルシウム
の含有量(C)が、下記の(1)〜(4)を満足する冷
却水を用いて冷却しながらチップ化した、融点が170
℃以上の結晶性ポリアミドを固相重合することを特徴と
するポリアミドの製造方法。 N ≦ 1.0(ppm) (1) M ≦ 0.5(ppm) (2) S ≦ 2.0(ppm) (3) C ≦ 1.0(ppm) (4)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、産業資材用繊維を
はじめとして、ポリアミドフィルム、シート等の包装材
料などに用いられるポリアミドの製造方法に関し、さら
に詳しくは、異物をほとんど含まないフイルム、ポリエ
チレンテレフタレ−ト等の他の樹脂とのブレンド成形体
や多層中空成形体等を与え、また紡糸時や製膜時のフィ
ルタ−詰まりが少なく、操業性の改善されたポリアミド
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミドは、耐熱性、耐摩耗性、耐衝
撃性、耐薬品性、機械的強度、バリヤ−性および成形加
工性に優れた材料として、産業資材用繊維、包装材料、
電気部品や自動車用部品に多く使用されている。用途に
よっては、高重合度、例えば重合度が約200以上のポ
リアミドが要求される場合がある。しかし、融点が26
0℃以上と高かったり、また熱安定性が劣るポリアミド
においては、このような高重合度品を溶融重合法で製造
した場合は、重合温度が高いために重縮合中にゲル化物
が発生し、問題となることがある。
【0003】このような問題点を解決する方法として、
先ずポリアミド低次縮合物をつくり、次いで高重合度化
する方法が採用されている。
【0004】高重合度化する方法としては、特開昭61
−283621号公報、特開昭61−228022号公
報などに、溶融押出機を用いる方法が開示されている。
しかし、この方法は、生成する縮合水を除去するために
ベントでの脱気能力を高めなければならず装置が大型化
し、また、ベント部からの飛沫も多くなり経済的ではな
い。
【0005】固相重合を用いる方法は、融点以下の温度
で高重合度化できる為、熱劣化の点において有利であ
り、さまざまな形態が実現化されている。例えば、特開
昭60−163928号公報では、攪拌しながら固相重
合を減圧下で行っている。また、特開平2000−19
8841号公報では、連続式の塔型固相重合装置で固相
重合を行っている。
【0006】溶融重縮合ポリアミドは、溶融重縮合終了
後に細孔から押出され、冷却水で冷却しながらチップ化
される。このチップ化工程での冷却水として蒸留水を用
いるとコストの面から不利であるため、河川からの水や
地下水、排水等を簡易処理した工業用水を用いるのが一
般的である。工業用水には、自然界由来の細菌、バクテ
リア等や、腐敗した植物、動物に起源を有する有機粒子
や有機化合物等や、ナトリウムやマグネシウム、カルシ
ウム、珪素(珪酸)等の金属含有物質を含んでいる。
【0007】しかしながら、工業用水を用いて冷却処理
をした場合、チップ化工程においてチップ表面に付着し
て固相重合反応装置に持ち込まれた前記の金属含有物質
は、ポリアミドチップの表面層の一部と共に固相重合装
置の器壁に固着し、これが約150〜200℃の高温度
での長時間加熱によって金属含有量の高いスケ−ルとな
って器壁に付着していく。そして、これが時々剥離して
ポリアミドチップ中に混入し、フイルムや成形体中の異
物となって商品価値を低下さす場合があった。
【0008】また、フイルムや繊維を製造する際には、
紡糸時や製膜時に前記のスケ−ルが溶融ポリマ−濾過フ
ィルタ−に詰まるためフィルタ−濾過圧の上昇が激しく
なり、操業性や生産性が悪くなるという問題もあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
問題点を解決することにあり、異物をほとんど含まない
ポリアミドフイルム、ポリエチレンテレフタレ−ト等の
他の樹脂とのブレンド成形体や多層中空成形体等を与
え、紡糸時や製膜時のフィルタ−詰まりが少なく、操業
性の改善されたポリアミドの製造方法を提供することで
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のポリアミドの製造方法は、ナトリウムの含
有量(N)、マグネシウムの含有量(M)、珪素の含有
量(S)及びカルシウムの含有量(C)が、下記の
(1)〜(4)の少なくとも一つを満足する冷却水を用
いて冷却しながらチップ化した、融点が170℃以上の
結晶性ポリアミドを固相重合することを特徴とするポリ
アミドの製造方法である。 N ≦ 1.0(ppm) (1) M ≦ 0.5(ppm) (2) S ≦ 2.0(ppm) (3) C ≦ 1.0(ppm) (4)
【0011】上記方法において、溶融状態のポリアミド
を水中に開口部を持つダイスから直接冷却水中に押し出
し、半固化状態のポリアミドを冷却水中で切断すること
によりチップ化することができる。
【0012】上記方法において、溶融状態のポリアミド
をダイスから大気中もしくは不活性ガス雰囲気中に押し
出し、押し出された樹脂に冷却水をシャワー状に浴びせ
て冷却後、チップ化することができる。
【0013】この場合において、チップ化工程の冷却水
として、少なくともイオン交換装置で処理した水を使用
することができる。
【0014】この場合において、前記のポリアミドが、
ε−カプロラクタムからなるポリアミド、脂肪族ジカル
ボン酸と脂肪族ジアミンとからなるポリアミド、脂肪族
ジカルボン酸と芳香族環含有ジアミンとからなるポリア
ミド、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとからなる
ポリアミドからなる群から選ばれたポリアミドであるこ
とができる。
【0015】この場合において、前記の脂肪族ジカルボ
ン酸と芳香族環含有ジアミンとからなるポリアミドが、
炭素数4〜14の脂肪族ジカルボン酸とキシリレンジア
ミンからなるポリアミドであることができる。
【0016】この場合において、前記のキシリレンジア
ミンが60モル%以上のメタキシリレンジアミンと40
モル%以下のパラキシリレンジアミンからなり、前記の
脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸からなることができ
る。この場合において、前記の固相重合後のポリアミド
からファインを除去することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明のポリアミドの製造
方法の実施の形態を具体的に説明する。本発明に係るポ
リアミドは、ε−カプロラクタムからなるポリアミド、
脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとからなるポリア
ミド、脂肪族ジカルボン酸と芳香族環含有ジアミンとか
らなるポリアミド、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミ
ンとからなるポリアミドからなる群から選ばれたポリア
ミドである。
【0018】脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとか
らなるポリアミドとしては、主たるジカルボン酸である
アジピン酸と主たるジアミンであるヘキサメチレンジア
ミンとからなるポリアミドである。
【0019】脂肪族ジカルボン酸と芳香族環含有ジアミ
ンとからなるポリアミドとしては、主たるジカルボン酸
であるアジピン酸と主たるジアミンであるキシリレンジ
アミンとからなるポリアミドが挙げられ、この中には、
60モル%以上のメタキシリレンジアミンと40モル%
以下のパラキシリレンジアミンからなるジアミンとアジ
ピン酸とからなるポリアミドがある。
【0020】また芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミン
からなるポリアミドとしては、主たるジカルボン酸であ
るテレフタル酸やイソフタル酸と主たるジアミンである
ヘキサメチレンジアミンとからなるポリアミドである。
具体的な例としては、ナイロン6、ナイロン11、ナイ
ロン12、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン6
9、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6T、
ナイロン6I、ナイロン6T/ナイロン6I、ナイロン
6N、ナイロンMXD6、ナイロンMXD8、ナイロン
6/ナイロン6T、ナイロン66/ナイロン6T、ナイ
ロン12/ナイロン6T、ナイロン66/ナイロン6
I、ナイロン6/ナイロン6T/ナイロン6I、ナイロ
ン66/ナイロン6T/ナイロン6I、ナイロン12/
ナイロン6T/ナイロン6I、ナイロン6/ナイロン6
6/ナイロン6T、ナイロン6/ナイロン12/ナイロ
ン6T、ナイロン66/ナイロン12/ナイロン6T等
を挙げることができる。
【0021】ここで、Tはテレフタル酸、Iはイソフタ
ル酸、Nはナフタレンジカルボン酸、MXDはメタキシ
レンジアミンを示す。これらのポリアミドは1成分だけ
でなく、2成分以上を組み合わせて使用してもよい。
【0022】本発明の製造方法の対象となるポリアミド
は、融点が170℃以上、好ましくは180℃〜380
℃の融点をもつポリアミドである。なお、ポリアミドの
融点は、示差走査熱量計(DSC)により求めることが
できる。
【0023】前記の溶融重縮合ポリアミドは、ε−カプ
ロラクタムやジアミンとジカルボン酸から生成するアミ
ノカルボン酸塩の水溶液を加圧下および常圧下に加熱し
て反応させる方法、あるいは常圧下でジアミンとジカル
ボン酸を加熱して直接反応させる方法により製造するこ
とができる。
【0024】なお、必要に応じて、水酸化ナトリウムや
酢酸ナトリウムなどのアルカリ金属化合物、次亜燐酸、
次亜リン酸ソーダ、フェニル亜ホスホン酸、亜燐酸など
のリン化合物を熱分解抑制を目的として、あるいは重縮
合触媒として加えることも可能である。これらの添加剤
の残存量は、ポリアミド1グラム当り約0.5×10 -6
〜約50×10-6モルの範囲が好ましい。
【0025】溶融重縮合ポリアミドの相対粘度は、1.
05〜2.5であり、好ましくは1.1〜2.3、より
好ましくは1.1〜2.0である。相対粘度が1.05
より小さければ、モノマー成分が多量に含まれているた
めポリアミド低次縮合物として使用することが困難とな
ることがある。相対粘度が2.5より大きいものを得よ
うとすると、装置内での劣化や装置内での固化等の支障
をきたすことがあるので望ましくない。
【0026】本発明に係るポリアミドのチップの形状
は、シリンダ−型、角型、球状または扁平な板状等の何
れでもよい。その平均粒径は通常1.0〜5mm、好ま
しくは1.2〜4.5mm、さらに好ましくは1.5〜
4.0mmの範囲である。例えば、シリンダ−型の場合
は、長さは1.0〜4mm、径は1.0〜4mm程度で
あるのが実用的である。球状粒子の場合は、最大粒子径
が平均粒子径の1.1〜2.0倍、最小粒子径が平均粒
子径の0.7倍以上であるのが実用的である。また、チ
ップの重量は10〜30mg/個の範囲が実用的であ
る。
【0027】本発明のポリアミドの製造方法では、ナト
リウムの含有量(N)、マグネシウムの含有量(M)、
珪素の含有量(S)及びカルシウムの含有量(C)が、
下記の(1)〜(4)の少なくとも1つ、好ましくはす
べてを満足する冷却水を用いて冷却しながらチップ化し
た溶融重縮合ポリアミドを固相重合することによって上
記の問題点を解決するものである。 N ≦ 1.0(ppm) (1) M ≦ 0.5(ppm) (2) S ≦ 2.0(ppm) (3) C ≦ 1.0(ppm) (4)
【0028】冷却水中のナトリウム含有量(N)は、好
ましくはN≦0.5ppmであり、さらに好ましくはN
≦0.1ppmである。冷却水中のマグネシウム含有量
(M)は、好ましくはM≦0.3ppmであり、さらに
好ましくはM≦0.1ppmである。また、冷却水中の
珪素の含有量(S)は、好ましくはS≦0.5ppmで
あり、さらに好ましくはS≦0.3ppmである。さら
に、冷却水中のカルシウム含有量(C)は、好ましくは
C≦0.5ppmであり、さらに好ましくはC≦0.1
ppmである。
【0029】また、冷却水中のナトリウム含有量
(N)、マグネシウム含有量(M)、珪素の含有量
(S)およびカルシウム含有量(C)の下限値は、N≧
0.001ppm、M≧0.001ppm、S≧0.0
2ppmおよびC≧0.001ppmである。このよう
な下限値以下にするには、莫大な設備投資が必要であ
り、また運転費用も非常に高くなり経済的な生産が困難
となることがある。
【0030】ナトリウムの含有量(N)、マグネシウム
の含有量(M)、珪素の含有量(S)及びカルシウムの
含有量(C)が、前記の(1)〜(4)のいずれか一つ
好ましくはすべてを満足する冷却水を用いて冷却しなが
らチップ化した溶融重縮合ポリアミドを固相重合したポ
リアミドからの成形体の透明性は非常に優れており、ま
た紡糸時のフィルタ−詰まりが少なく操業性が非常に安
定する。
【0031】以下にチップの冷却水のナトリウム含有
量、マグネシウム含有量、珪素含有量、カルシウム含有
量を前記の範囲に抑える方法を例示するが、本発明はこ
れに限定するものではない。
【0032】冷却水のナトリウムやマグネシウム、カル
シウム、珪素を低減させるために、チップ冷却工程に工
業用水が送られるまでの工程で少なくとも1ヶ所以上に
ナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を除去す
る装置を設置する。また、粒子状になった二酸化珪素や
アルミノ珪酸塩等の粘土鉱物を除去するためにはフィル
ターを設置する。ナトリウムやマグネシウム、カルシウ
ム、珪素を除去する装置としては、イオン交換装置、限
外濾過装置や逆浸透膜装置などが挙げられる。
【0033】また、チップ冷却水として系外から導入す
る水の中に存在する粒径が1〜25μmの粒子を500
00個/10ml以下にした水を使用することが望まし
い。冷却水中の粒径1〜25μmの粒子の個数は、好ま
しくは10000個/10ml以下、さらに好ましくは
1000個/10ml以下である。導入水中の粒径25
μmを越える粒子は、特に規定するものではないが、好
ましくは2000個/10ml以下、より好ましくは5
00個/10ml以下、さらに好ましくは100個/1
0ml、特に好ましくは10個/10ml以下である。
【0034】なお、導入水中の粒径1μm未満の粒子に
関しては、本発明で特に規定するものではないが、少な
い方が好ましい。粒径1μm未満の粒子数としては好ま
しくは100000個/10ml以下、より好ましくは
50000個/10ml以下、さらに好ましくは200
00個/10ml以下、特に好ましくは10000個/
10ml以下である。1μm以下の粒子を水中から除
去、コントロールする方法としてはセラミック膜、有機
膜等の膜を用いた精密濾過法や限外濾過法等を用いるこ
とができる。
【0035】以下にチップ化工程で導入する導入水中
の、粒径1〜25μmの粒子を50000個/10ml
以下に制御する方法を例示するが、本発明はこれに限定
するものではない。
【0036】水中の粒子数を50000個/10ml以
下にする方法としては、工業用水等の自然水をチップ化
工程に供給するまでの少なくとも1ヶ所以上に粒子を除
去する装置を設置する。好ましくは自然界の水の採取口
から、前記したチップ化工程に至るまでの間に粒子を除
去する装置を設置し、チップ化工程に供給する水中の、
粒径1〜25μmの粒子の含有量を50000個/10
ml以下にすることが好ましい。
【0037】粒子を除去する装置としてはフィルター濾
過装置、膜濾過装置、沈殿槽、遠心分離器、泡沫同伴処
理機等が挙げられる。例えばフィルター濾過装置であれ
ば、方式としてベルトフィルター方式、バグフィルター
方式、カートリッジフィルター方式、遠心濾過方式等の
濾過装置が挙げられる。中でも連続的に行うにはベルト
フィルター方式、遠心濾過方式、バグフィルター方式の
濾過装置が適している。
【0038】またベルトフィルター方式の濾過装置であ
れば濾材としては、紙、金属、布等が挙げられる。また
粒子の除去と導入水の流れを効率良く行なうため、フィ
ルターの目のサイズは5〜100μm、好ましくは10
〜70μm、さらに好ましくは15〜40μmがよい。
【0039】また、チップの冷却水は繰り返しリサイク
ルしながら使用することが経済性、生産性を向上させる
点から好ましい。冷却水のリサイクル工程中に、フィル
タ−や温度調節機、ε−カプロラクタム等の不純物を除
去する装置等を設けることができる。また、前記の粒子
やナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を除去
する装置を設けることもできる。
【0040】ポリアミドのチップ化を行う方法として
は、溶融したポリアミドをダイスでストランド状に大気
中、または不活性ガス中に押し出し、冷却水で冷却す
る。不活性ガスとしては、窒素ガス等が挙げられる。冷
却水で冷却する際は、ストランドを冷却水が貯まった水
槽に落とし込む方法、冷却水をストランドにシャワー状
に浴びせる方法等が挙げられるが、冷却水をシャワー状
に浴びせる方法が好ましい。
【0041】また、溶融状態のポリアミドを水中に開口
部を持つダイスから直接冷却水中に押し出し、半固化状
態のポリアミドを冷却水中で切断することによりチップ
化する、水中カット方も好ましい。水中カット法を用い
ることで、略球形のチップを得たり、非常に小さなチッ
プを得ることが出来る。
【0042】次いで、前記の溶融重縮合ポリアミドは固
相重合工程に送られ、固相重合される。固相重合工程は
結晶化工程と固相重合工程よりなるのが一般的である。
また、これらは回分式装置で行ってもよいし、連続式装
置で行ってもよい。また、結晶化工程と固相重合工程は
同一の装置で行ってもよいし、別々の装置で行ってもよ
い。
【0043】結晶化工程ではポリアミドを減圧下または
不活性ガス雰囲気下で、ポリアミドのガラス転移温度〜
融点未満の温度領域の適当な範囲で結晶化処理が実施さ
れる。回分式の場合、ポリアミドの結晶化温度は、ポリ
アミドの重縮合の進行が鈍い温度域であることが好まし
く、ガラス転移温度〜融点未満の温度域から選択され
る。
【0044】特に好適な温度域は結晶化温度〜180℃
である。具体的には上記温度域において、不活性ガス雰
囲気下または100Torr以上の減圧度(660To
rr以下の真空度)と少なくとも30分以上の加熱条件
が好ましい。ポリアミドの固相重合温度は、ポリアミド
の重縮合が容易に進行する温度域であることが好まし
く、結晶化温度〜融点未満の温度域から選択される。特
に好適な温度域は、150℃〜融点より10℃以上低い
温度領域である。具体的には上記温度域において、不活
性ガス気流下または500Torr以上の減圧度(26
0Torr以下の真空度)と少なくとも30分以上の加
熱条件が好ましい。
【0045】また不活性ガス雰囲気下又は減圧下に固相
重合させるに当たり、水蒸気雰囲気下で実施したり、あ
るいは一定量の水分を付与した溶融重縮合ポリアミドを
用いてもよい。
【0046】結晶化装置の具体例としては、ドラムミキ
サー、ダブルコーンミキサー、V型ミキサー、リボンミ
キサー、縦型スクリューミキサー、流動化型ミキサー、
気流型混合機などである。
【0047】固相重合装置の具体例としては、回転乾燥
機(例えばコニカルドライヤー)、流動層乾燥機、振動
乾燥機、気流乾燥機、伝導加熱型乾燥機(例えば、パド
ルドライヤー;奈良機械製作所(株)社製、トーラスデ
ィスク;ホソカワミクロン(株)社製)、バンド乾燥機
などが挙げられる。
【0048】前記のようにして溶融重縮合されたポリア
ミドは、チップ化されたあと輸送配管中を貯蔵用サイロ
や固相重合工程に輸送される。このようなチップの輸送
を、例えば空気を使用した強制的な低密度輸送方法で行
うと、溶融重縮合ポリアミドのチップの表面には配管と
の衝突によって大きな衝撃力がかかり、この結果ポリア
ミドの微粉末(以下、「ファイン」と称する)やフイル
ム状物が多量に発生する。また固相重合を回転式の装置
で実施するとかなり大量のファインが発生する。
【0049】このようなファインやフイルム状物は、結
晶化が進んでおり、その融点が正常なポリアミドの融点
より約5〜20℃高い場合がある。このようなファイン
等はポリアミドの結晶化を促進させる効果を持ってお
り、多量に存在する場合には得られた成形体に未溶融の
異物となって存在する場合があり、また成形体の透明性
が非常に悪くなる。一般に固相重合したポリアミドは、
製造方法にもよるが、前記のようなファインやフイルム
状物を約100ppm〜数重量%含有しており、しかも
このようなファイン等は偏在して存在している。したが
って固相重合後、ファインを除去することが必要であ
る。
【0050】ファイン等の除去方法としては、振動篩及
び空気流による気流分級機、重力式分級機等で処理する
方法等が挙げられる。これらの装置を多段に追加しても
よい。本発明の製造方法により得られるポリアミドの相
対粘度は、2.20〜4.00の範囲である。
【0051】得られたポリアミドには、必要に応じて他
の添加剤、例えば、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤、
滑剤、離型剤、核剤、安定剤、帯電防止剤、顔料などの
各種の添加剤を配合してもよい。
【0052】また得られたポリアミドは、単独で溶融成
形して、フイルム用途や射出成形用途に、ポリエチレン
テレフタレ−ト等とブレンドして、中空成形体用途に、
またフィラーやガラス繊維と混合して、射出成形用途等
に使用できる。
【0053】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定させるものではな
い。なお、本明細書中における主な特性値の測定法を以
下に説明する。
【0054】(評価方法) (1)ポリアミドの相対粘度(Rv) 試料0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、この溶
液10mlをオストワルド粘度管にて20℃で測定、下
式より求めた。 Rv=t/t00:溶媒の落下秒数 t :試料溶液の落下秒数
【0055】(2)ポリアミドシ−トの異物 得られた固相重合ポリアミドを押出成形機で厚み約20
0ミクロンのシ−トを作成し、このシ−トからの10c
m×10cmの試料3枚について目視で異物の有無を観
察し、下記のように評価した。 ◎ : 異物が存在しない ○ : 異物の量が非常に少ない(シ−ト1枚あたり
0.5mm以下の大きさの異物が3個以下) △ : シ−ト1枚あたり0.5mm以上の大きさの異
物が5〜10個 × : 非常に沢山存在する(シ−ト1枚あたり0.5
mm以上の大きさの異物が10個以上)
【0056】(3)ファインの含有量の測定 樹脂約0.5kgを、JIS−Z8801による呼び寸
法1.7mmの金網をはった篩の上に乗せ、テラオカ社
製揺動型篩い振トウ機SNF−7で1800rpmで1
分間篩った。この操作を繰り返し、樹脂を合計20kg
篩った。ファインはイオン交換水で洗浄し岩城硝子社製
G1ガラスフィルターで濾過して集めた。これらをガラ
スフィルタ−ごと乾燥器内で100℃で2時間乾燥後、
冷却して秤量した。再度、イオン交換水で洗浄、乾燥の
同一操作を繰り返し、恒量になったことを確認し、この
重量からガラスフィルタ−の重量を引き、ファイン重量
およびフイルム状物の重量を求めた。ファイン含有量
は、ファイン重量/篩いにかけた全樹脂重量である。
【0057】(実施例1)メタキシリレンジアミンとア
ジピン酸とを溶融重縮合反応器で重縮合させて得たメタ
キシリレン基含有ポリアミド(Ny−MXD6)を、工
業用水(河川伏流水由来)をフィルタ−濾過装置、活性
炭吸着装置およびイオン交換装置で処理した、粒径1〜
25μmの粒子が約560個/10ml、ナトリウム含
有量が0.2ppm、マグネシウム含有量が0.1pp
m、カルシウム含有量が0.1ppm、珪素含有量が
0.9ppmの導入水をチップ化工程の冷却水貯蔵タン
クに導入して混合した冷却水で冷却しながらチップ化し
た。この樹脂をオ−バ−ホ−ルし、清浄化した回分式固
相重合装置へ投入した。窒素置換後、装置内を減圧下に
しながら昇温して行き、約80〜130℃で予備結晶化
を行い、次いで約150℃で結晶化したあと、約1to
rr以下、約200℃で固相重合し、相対粘度2.5の
Ny−MXD6を得た。固相重合後、篩分工程で処理し
ファイン等を除去した。ファイン含有量は約60ppm
であった。回分式固相重合を連続して300バッチ行
い、300バッチ目の樹脂を用いてシ−ト成形し、異物
を測定したが、評価結果は、「◎(異物が存在しな
い)」であった。
【0058】(比較例1)実施例1で使用したイオン交
換装置等の装置を使用せずに工業用水をそのままチップ
化時の冷却水として使用する以外は実施例1と同様にし
て溶融重縮合メタキシリレン基含有ポリアミドチップを
得た。オ−バ−ホ−ルおよび清浄化した回分式固相重合
装置へ投入して実施例1と同様にして固相重合し、30
0バッチ目の樹脂を用いてシ−ト成形し、異物を測定し
たが、評価結果は、「×(非常に沢山存在する)」であ
った。なお、チップ化時の冷却水として使用した工業用
水中に含まれる粒径1〜25μmの粒子は約49230
0〜654000個/10ml、ナトリウム含有量が
4.3〜7.5ppm、マグネシウム含有量が1.0〜
2.0ppm、カルシウム含有量が6.2〜7.1pp
m、珪素含有量が10.1〜15.5ppmであった。
また固相重合後ファイン分離処理を行わなかったので、
ファインの含量は約3.8重量%であった。
【0059】
【発明の効果】本発明のポリアミドの製造方法によれ
ば、異物をほとんど含まないフイルム、成形体や多層中
空成形体等を与え、紡糸時や製膜時のフィルタ−詰まり
が少なく、操業性の改善されたポリアミドが有利に得ら
れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J001 DA01 EA06 EB08 EB36 EB37 EB46 EC08 EC47 EC48 GA15 GB01 GB20 GC10 JB06 JB50

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナトリウムの含有量(N)、マグネシウ
    ムの含有量(M)、珪素の含有量(S)及びカルシウム
    の含有量(C)が、下記の(1)〜(4)の少なくとも
    一つを満足する冷却水を用いて冷却しながらチップ化し
    た、融点が170℃以上の結晶性ポリアミドを固相重合
    することを特徴とするポリアミドの製造方法。 N ≦ 1.0(ppm) (1) M ≦ 0.5(ppm) (2) S ≦ 2.0(ppm) (3) C ≦ 1.0(ppm) (4)
  2. 【請求項2】 溶融状態のポリアミドを水中に開口部を
    持つダイスから直接冷却水中に押し出し、半固化状態の
    ポリアミドを冷却水中で切断することによりチップ化す
    ることを特徴とする請求項1に記載のポリアミドの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 溶融状態のポリアミドをダイスから大気
    中もしくは不活性ガス雰囲気中に押し出し、押し出され
    た樹脂に冷却水をシャワー状に浴びせて冷却後、チップ
    化することを特徴とする請求項1または2のいずれかに
    記載のポリアミドの製造方法。
  4. 【請求項4】 チップ化工程の冷却水として、少なくと
    もイオン交換装置で処理した水を使用することを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミドの製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記のポリアミドが、ε−カプロラクタ
    ムからなるポリアミド、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジ
    アミンとからなるポリアミド、脂肪族ジカルボン酸と芳
    香族環含有ジアミンとからなるポリアミド、芳香族ジカ
    ルボン酸と脂肪族ジアミンとからなるポリアミドからな
    る群から選ばれたポリアミドであることを特徴とする請
    求項1〜4のいずれかに記載のポリアミドの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記の脂肪族ジカルボン酸と芳香族環含
    有ジアミンとからなるポリアミドが、炭素数4〜14の
    脂肪族ジカルボン酸とキシリレンジアミンとからなるポ
    リアミドであることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載のポリアミドの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記のキシリレンジアミンが60モル%
    以上のメタキシリレンジアミンと40モル%以下のパラ
    キシリレンジアミンからなり、前記の脂肪族ジカルボン
    酸がアジピン酸からなることを特徴とする請求項1〜6
    のいずれかに記載のポリアミドの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記の固相重合後のポリアミドからファ
    インを除去することを特徴とする請求項1〜7のいずれ
    かに記載のポリアミドの製造方法。
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