JP2003069319A - 高周波回路素子および高周波回路モジュール - Google Patents

高周波回路素子および高周波回路モジュール

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回路基板に搭載可能で小型化された,損失の
小さいフィルタ等の高周波回路素子及び高周波回路モジ
ュールを提供する。 【解決手段】 高周波回路素子は、誘電部材1と、誘電
部材1を取り囲む遮蔽導体2と、誘電部材1を固定・支
持するための支持部材3と、マイクロストリップ線路か
らなる1対の伝送線路4とを備えている。伝送線路4
は、誘電体からなる基板6とストリップ導体5と接地導
体層9とによって構成されている。ストリップ導体5の
先端部は、誘電部材1の一部に対向していて、出力結合
又は入力結合する結合プローブとして機能する。伝送線
路4は、ストリップ線路,マイクロストリップ線路,コ
プレーナ線路等であり、回路基板への接続に際して損失
が少ない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無線通信システム
を初めとした、高周波信号を扱う装置に用いられる共振
用の高周波回路素子及び高周波回路モジュールに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、高周波フィルタをはじめとし
て、基本要素として共振体を備えた高周波回路素子は通
信システムに不可欠の要素である。また、共振体の中で
も、誘電体例えば高誘電率かつ低損失のセラミックス材
料を用いることにより、小型で、低損失(高Q)な共振
器として機能する高周波回路素子を実現することができ
る。
【0003】ところで、このような共振器と、共振器以
外の回路要素、例えば、増幅回路、発振回路、ミキサー
回路などとを同一の基板上に設け、高周波回路をモジュ
ール構成にすることも可能である。その場合には、共振
器に対して、基板上のストリップ線路等の伝送線路から
高周波信号を入出力する必要がある。このような高周波
回路で、かつ誘電体を用いたものとして、例えば特開平
10−284946号公報に開示されているように、回
路基板上に誘電部材を配置し、その近傍にストリップ線
路を配置することによって、共振器への高周波信号の入
出力を行なうものが知られている。
【0004】この場合、誘電部材は、円形断面を有して
いてTE01δ モードの共振を行なっている。そして、
ストリップ線路からの高周波信号のうち所望の周波数成
分のみを透過させたり、あるいは、不要な周波数成分を
取り除いたりする目的で、誘電部材が用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のような誘電部材を基板上に配置した高周波回路にお
いては、以下のような不具合があった。
【0006】まず、誘電部材を遮蔽することなく用いて
いるので、誘電部材からの高周波信号(電磁波)が放射
する。そのために、共振器の損失が増加する、つまり、
共振Q値が低下するおそれがあった。また、放射した電
磁波が基板上の他の回路と結合して、回路動作の不安定
を招くおそれがあった。さらに、放射した電磁波と他の
回路との結合を抑えるために、誘電部材と他の回路とを
ある程度の距離を隔てて配置する必要があるので、モジ
ュール全体の小型化を阻む要因になっている。
【0007】以上のような不具合は、高周波回路におい
て扱う高周波信号の周波数が高くなるほど顕著に現れる
ため、ミリ波帯などにおいては、致命的な問題となるお
それがある。
【0008】また、TE01δ モード共振器では、共振
電界の分布が円筒形の誘電部材内部で同心円を描くよう
に回転していることがあり、基板上に配置されたストリ
ップ線路などとの所望の結合を得るのが困難になること
もある。
【0009】本発明の目的は、誘電部材を組み込んだ,
損失の小さい高周波回路素子及び高周波回路モジュール
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の高周波回路素子
は、電磁波の共振状態を生じさせることが可能な少なく
とも1つの誘電部材と、上記誘電部材の周囲を取り囲む
遮蔽導体と、上記誘電部材の一部に対向して配置される
ストリップ導体,該ストリップ導体に対向する接地導体
層,及びストリップ導体−接地導体層間に介在する誘電
体層を有する少なくとも1つの伝送線路と、上記伝送線
路に接続され、上記誘電部材との間で電磁波の入力結合
機能又は出力結合機能を有する結合プローブとを備えて
いる。
【0011】これにより、誘電部材が遮蔽導体によって
囲まれているので、誘電部材から外部への電磁波の放射
が遮断されるとともに、伝送線路の構造上、高周波回路
内で他の半導体デバイス等への接続が円滑になされる。
すなわち、従来導波管などで実現されていた機能が、回
路基板上で実現される。従って、損失が小さく,つまり
Q値が大きく、かつ、高周波回路素子が配置される高周
波回路全体のサイズの小型化を図ることができる。
【0012】上記誘電部材は、TMモードで励振される
ものであることにより、TMモード共振器では電界が誘
電部材の長手方向に向いているので、伝送線路のストリ
ップ導体と結合が容易に実現する。その結果、入出力に
ストリップ導体を有する伝送線路を用いることができ、
伝送線路を高周波回路と共通の基板上に配置することに
より、モジュール構成の高周波回路に適用することが容
易となる。
【0013】上記伝送線路は、ストリップ線路,マイク
ロストリップ線路,コプレーナ線路及びマイクロワイヤ
線路のうち少なくともいずれか1つを含むことが好まし
い。
【0014】上記遮蔽導体内部において、上記遮蔽導体
と上記誘電部材との間の空間を埋めて,上記誘電部材を
支持する絶縁層をさらに備えることにより、誘電部材の
共振状態が安定化する。
【0015】上記遮蔽導体は、上記絶縁層の外表面に形
成された導体被膜から形成され、上記ストリップ導体
は、上記遮蔽導体とは分離するように上記導体被膜から
形成されていて、上記導体被膜のうち上記ストリップ導
体に対向する部分が上記接地導体層として機能すること
により、製造工程の簡素化及び製造コストの低減を図る
ことができる。
【0016】上記接地導体層は、上記遮蔽導体の一部と
なる1つの壁部を形成しており、上記接地導体層に形成
された溝と、上記溝を跨いで上記接地導体層の上に設け
られ、上記誘電部材を支持する絶縁体支持板とをさらに
備える構造を採ることもできる。
【0017】上記少なくとも1つの伝送線路は1対設け
られており、帯域通過フィルタとして機能することがで
きる。
【0018】その場合には、上記ストリップ導体の先端
部は上記誘電体層の外方に延びていて、この先端部が上
記結合プローブとして機能することもできるし、上記ス
トリップ導体の先端部は上記誘電体層の上に位置してお
り、この先端部が上記結合プローブとして機能すること
をもできる。
【0019】上記ストリップ導体の先端部は、上記誘電
部材との結合が大きくなる方向に曲げられていることが
好ましい。
【0020】特に、上記ストリップ導体の主部が上記誘
電部材の長手方向に交差する方向に延びている場合に
は、上記ストリップ導体の先端部は、上記誘電部材の長
手方向にほぼ並行に延びていることが好ましい。
【0021】上記少なくとも1つの伝送線路は、1つの
連続した線路であり、帯域阻止フィルタとして機能する
こともできる。
【0022】その場合には、上記ストリップ導体の端部
を除く一部が上記誘電部材と対向しており、上記一部が
上記結合プローブとして機能することになる。
【0023】上記ストリップ導体の上記一部は、上記誘
電部材との結合が大きくなる方向に曲げられていること
が好ましい。
【0024】特に、上記ストリップ導体の主部が上記誘
電部材の長手方向に交差する方向に延びている場合に
は、上記ストリップ導体の上記一部は、上記誘電部材の
長手方向にほぼ並行に延びていることが好ましい。
【0025】誘電体基板と、上記誘電体基板の上記誘電
部材に対向する面上に形成され、上記遮蔽導体の一部と
なる第1の導体膜とをさらに備えていることにより、製
造工程の簡素化を図ることができる。
【0026】上記誘電部材は、例えば四角柱又は円柱で
ある。
【0027】上記誘電部材の長手方向に垂直な方向にお
ける誘電部材の断面形状が、その面積が中央部で最大に
なるように変化していることにより、高周波回路素子の
小型化を図ることができる。
【0028】上記少なくとも1つの誘電部材は、互いに
結合している複数の誘電部材であってもよい。
【0029】上記遮蔽導体を貫通して上記遮蔽導体に囲
まれる領域に挿入され、先端で上記誘電部材に対向する
周波数調整ねじをさらに備えることにより、周波数特性
をより微細に調整することができる。
【0030】上記少なくとも1つの誘電部材は、互いに
結合している複数の誘電部材である場合には、上記遮蔽
導体を貫通して上記遮蔽導体に囲まれる領域に挿入さ
れ、先端で上記各誘電部材間の間隙部に対向する段間結
合調整ねじをさらに備えることにより、段間の結合状態
をより微細に調整することができる。
【0031】本発明の高周波回路モジュールは、複数の
高周波回路素子と、上記複数の高周波回路素子間に設け
られた位相回路とを備え、上記各高周波回路素子は、電
磁波の共振状態を生じさせることが可能な少なくとも1
つの誘電部材と、上記誘電部材の周囲を取り囲む遮蔽導
体と、上記誘電部材の一部に対向して配置されるストリ
ップ導体,該ストリップ導体に対向する接地導体層,及
びストリップ導体−接地導体層間に介在する誘電体層を
有する少なくとも1つの伝送線路と、上記伝送線路に接
続され、上記誘電部材との間で高周波信号の入力結合機
能又は出力結合機能を有する結合プローブとを有してお
り、上記各高周波回路素子の伝送線路が、上記位相回路
に接続されている。
【0032】これにより、小型で低損失な共用器(周波
数帯域の異なる送受信信号を合波・分離する)を実現す
ることができ、従来導波管などで実現されていた機能
が、回路基板上で実現されることになる。
【0033】上記複数の高周波回路素子の共振状態にお
ける中心周波数が互いに異なっている場合にも、処理が
可能になる。
【0034】例えば、上記位相回路がアンテナに接続さ
れている場合には、上記複数の高周波回路素子を利用し
て、同時に送受信を行なうことが容易となる。
【0035】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)図1(a),
(b),(c)は、それぞれ順に、本発明の第1の実施
形態に係る高周波回路素子の斜視図、縦断面図及び横断
面図である。図1(a)〜(c)に示すように、本実施
形態の高周波回路素子は、例えばZrO2・TiO2・M
gNb26を主成分とする材料等のセラミックス材料な
どからなる四角柱形状の誘電部材1と、誘電部材1を取
り囲む,内壁が金メッキされた亜鉛−銅合金等からなる
遮蔽導体2と、誘電部材1を固定・支持するための,ポ
リテトラフルオロエチレン樹脂などからなる支持部材3
と、マイクロストリップ線路からなる1対の伝送線路4
とを備えている。伝送線路4は、高周波信号が流れる方
向に応じて、入力線路又は出力線路として機能する。
【0036】また、伝送線路4は、ポリテトラフルオロ
エチレン樹脂等からなる伝送線路基板6と、伝送線路基
板6の上面上に形成された,銀製リボン等からなるスト
リップ導体5と、伝送線路基板6をその裏面から支持す
る接地導体層9とによって構成されている。接地導体層
9は、遮蔽導体2の一部によって構成されている。そし
て、各伝送線路4は、遮蔽導体2の一部を貫通して遮蔽
導体によって囲まれる領域内に挿入されている。つま
り、遮蔽導体2の長手方向に直交する側壁の一部分に窓
を開け、伝送線路4を挿入するとともに、窓部において
絶縁体7によって伝送線路4の上面を覆っている。この
絶縁体7は伝送線路基板6上のストリップ導体5が遮蔽
導体2に短絡しないようにするためのものである。そし
て、遮蔽導体2の内部では、ストリップ導体5の先端部
が絶縁体基板6の外側に突出し、その先端部が誘電部材
1の長手方向に直交する側面に対向していて結合プロー
ブ部8となっている。この結合プローブ部8は、高周波
信号の流れる方向に応じて誘電部材1と入力結合機能又
は出力結合機能を有するものである。
【0037】なお、図示しないが、本実施形態及び後述
する他の実施形態において、この伝送線路4は、回路基
板に搭載された各種回路(増幅回路や音声変換回路,画
像変換回路)などに接続されている。
【0038】本実施形態の場合、遮蔽導体2の一部分で
もある接地導体層9が、伝送線路4のグランドプレーン
となる。したがって、伝送線路4と外部回路とを接続す
るためには、ストリップ導体5と接地導体層9との間に
信号電圧が印加されるようにすれば済むので、信号の損
失を小さく抑制することができる。
【0039】本実施形態の高周波回路素子の構成におい
て、誘電部材1,遮蔽導体2及び支持部材3の形状及び
材質を適宜選択することにより、誘電部材1が、矩形断
面共振体におけるTM11δ モードと呼ばれる共振モー
ドで共振することが可能となり、本実施形態の高周波回
路素子によって、TM11δ モード共振器を実現するこ
とができる。そして、本実施形態の高周波回路素子を、
1段の帯域フィルタとして用いることが可能である。
【0040】ここで、矩形断面を有する誘電部材を用い
た矩形断面共振体におけるTM11δモードは、円筒状誘
電部材を用いた円形断面共振体でのTM01δ モードと
同等である。これは、モードの呼称における、はじめの
2つの添え字(ここでは“11”または“01”)の決
め方が、矩形断面共振体では断面の矩形の各辺方向での
電磁界の周期性に基づいているのに対して、円形断面共
振体では断面の円の円周方向と半径方向とにおける電磁
界の周期性に基づいているからである。
【0041】(第2の実施形態)図2(a),(b)
は、それぞれ順に、本発明の第2の実施形態に係る高周
波回路素子の斜視図及び横断面図である。図2(a),
(b)に示すように、本実施形態の高周波回路素子にお
いては、第1の実施形態とは異なり、遮蔽導体2の長い
方の側壁の一部分に窓を開け、伝送線路4を挿入した構
造となっている。そして、ストリップ導体5の結合プロ
ーブ部8の側面が、誘電部材1の長手方向に直交する側
面に対向している。その他の構造及び得られる効果は、
基本的に第1の実施形態と同じである。
【0042】なお、図2(b)に示すように、1対の伝
送線路4が遮蔽導体2の互いに対向する長い方の側壁か
ら挿入されていなくてもよく、両者が同じ側壁から挿入
されている構造でも、本実施形態と同じ効果を発揮する
ことができる。
【0043】−第2の実施形態の具体例− 図2(a),(b)に示す構造を有する高周波回路素子
を、以下のような手順で形成した。誘電部材1として、
サイズ1×1×4mmの四角柱の誘電体セラミックス
(ZrO2・TiO2・MgNb26を主成分とする材
料,比誘電率:42.2,fQ値:43000GHz)
を準備し、この誘電部材1を、内壁が金メッキされた亜
鉛−銅合金製の遮蔽導体2の中に固定する。遮蔽導体2
の内壁の寸法は2×2×10mmである。その際、支持
部材3としてポリテトラフルオロエチレン樹脂を用い
て、遮蔽導体2と誘電部材1との隙間を満たした。伝送
線路4は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる伝
送線路基板6の上に、銀製のリボン(厚さ:0.1m
m,幅:約1mm)からなるストリップ導体5を乗せた
ものを形成し、このストリップ導体5を伝送線路基板6
上からはずれた遮蔽導体2の内部まで延ばして、この延
長部を結合プローブ部8とする。
【0044】図3は、電磁界解析によってシミュレーシ
ョンされた本具体例の高周波回路素子の挿入損失の周波
数特性(透過特性)である。同図から、約26GHzに
基本共振モードが存在することがわかる。電界分布の解
析により、このモードはTM 11δ モードであることが
確認され、これにより、この高周波回路素子が共振回路
(共振器)として動作することが確認された。
【0045】図4は、試作された本具体例の高周波回路
素子の挿入損失の周波数特性の実測データである。同図
に示すデータは、高次共振モードを含めて、図3に示す
電磁界解析によるシミュレーション結果とよく一致して
いる。実測した無負荷Q値は870であった。この測定
は、以下の手順で行なった。図4のTM11δ モードの
ピーク付近を拡大して、ピークの周波数f0,挿入損失
L0(dB),及びピークの両側で損失がL0+3(d
B)になる周波数f1,f2 を計測する。そして、これ
らの値を下記式 Qu={f0/|f1−f2|}[1/{1−1
-L0/20}] に代入することにより、無負荷Q値(Qu)を算出し
た。
【0046】また、この具体例のセラミックス材料を用
いたときの無負荷Q値(Qu)の実測値は、高周波回路
素子の構造を微調整することにより、約1000まで向
上することが確認されている。
【0047】後に述べるように、他の低損失セラミック
ス材料を用いると、さらに無負荷Q値が向上することも
わかっている。
【0048】通常のマイクロストリップ線路による1/
2波長共振器のQ値が100程度であることを考慮する
と、これらの無負荷Q値の実測値は非常に高いことか
ら、本実施形態の高周波回路素子により、非常に低損失
な共振回路を構成できることが実証された。特に、ミリ
波帯での共振器やフィルタなどの回路素子に適用するこ
とによって、よりその効果が発揮される。
【0049】なお、本具体例は第2の実施形態の構造に
ついての具体例であるが、第1の実施形態の構造につい
ても、ほぼ同じ結果が得られる。
【0050】(第3の実施形態)図5は、本発明の第3
の実施形態に係る高周波回路素子の縦断面図である。図
5に示すように、本実施形態の高周波回路素子は、遮蔽
導体2の内部に、2つの誘電部材1a,1bをほぼ同じ
高さ位置で長手方向に直列に並べて配置することによっ
て構成されている。その他の基本的な構造は、図1に示
す第1の実施形態における高周波回路素子の構造と基本
的には同じである。
【0051】本実施形態の高周波回路素子は、以下の具
体例によって確認されたように、低損失の2段の帯域通
過フィルタとして機能することができる。
【0052】−第3の実施形態の具体例− 図5に示す構造を有する高周波回路素子を、以下のよう
な手順で形成した。誘電部材1a,1bとして、サイズ
1×1×4mmの四角柱の誘電体セラミックス(ZrO
2・TiO2・MgNb26を主成分とする材料,比誘電
率:42.2,fQ値:43000GHz)を2つ準備
し、これらの誘電部材1a,1bを、内壁が金メッキさ
れた亜鉛−銅合金製の遮蔽導体2の中に固定する。遮蔽
導体2の内壁の寸法は2×2×12mmである。その
際、支持部材3としてポリテトラフルオロエチレン樹脂
を用いて、遮蔽導体2と誘電部材1a,1bとの隙間を
満たした。伝送線路4は、ポリテトラフルオロエチレン
樹脂からなる伝送線路基板6の上に、銀製のリボン(厚
さ:0.1mm,幅:約1mm)からなるストリップ導
体5を乗せたものを形成し、このストリップ導体5を伝
送線路基板6上からはずれた遮蔽導体2の内部まで延ば
して、この延長部を結合プローブ部8とする。
【0053】図6は、電磁界解析によってシミュレーシ
ョンされた第3の実施形態の具体例に係る高周波回路素
子の挿入損失の周波数特性(透過特性)である。同図か
ら、本具体例(つまり第3の実施形態)の高周波回路素
子は、2段の帯域通過フィルタとして動作することが確
認された。
【0054】なお、本実施形態の高周波回路素子の構造
において、第2の実施形態の高周波回路素子(図2参
照)のように、遮蔽導体2の長い方の側壁の一部分に窓
を開け、伝送線路4を挿入し、ストリップ導体5の結合
プローブ部8の側面が、各誘電部材1a,1bの長手方
向に直交する側面に対向している構造としても、本実施
形態とほぼ同じ効果を発揮することができる。
【0055】なお、本実施形態の2つの誘電部材に代え
て、3つ以上の誘電部材を配置することも可能である。
つまり、多段の帯域フィルタとして利用することも可能
である。
【0056】(第4の実施形態)図7(a),(b)
は、それぞれ順に、本発明の第4の実施形態に係る高周
波回路素子の縦断面図及び横断面図である。図7(a)
において、誘電部材1の位置は破線で示されている。図
7(a),(b)に示すように、本実施形態の高周波回
路素子においては、伝送線路4(マイクロストリップ線
路)を構成するストリップ導体5及び伝送線路基板6
が、遮蔽導体2の接地導体層9の短い方の辺に平行に形
成された溝内に埋め込まれている。すなわち、ストリッ
プ導体5及び伝送線路基板6は、接地導体層9の溝内で
誘電部材1の両端部の直下方に挿入され、ストリップ導
体5の先端部が誘電部材1の下面に対向している。本実
施形態の高周波回路素子の他の部分の構造は、基本的に
第1の実施形態と同様である。
【0057】本実施形態においては、ストリップ導体5
の伝送線路基板6上に位置している先端部をそのまま結
合プローブ部8とすることができるので、第1の実施形
態と同じ効果に加えて、入出力結合を行なう部分の構造
が簡素化されると言う利点がある。
【0058】なお、本実施形態の高周波回路素子の構造
においては、伝送線路基板6と誘電部材1との高さ位置
や横方向位置の位置関係によって、入出力の結含度を調
節することができる。たとえば、伝送線路基板6と誘電
部材1との間隔が小さくなって両者が互いに接近するほ
ど入出力の結合度が大きくなり、伝送線路基板6が誘電
部材1の中央部に近づくほど入出力の結合度が小さくな
る傾向がある。そして、本実施形態の高周波回路素子
は、第1の実施形態と同様に、共振器として機能し、低
損失の1段の帯域フィルタとして用いることが可能であ
る。
【0059】なお、本実施形態においては、1つの誘電
部材を配置した例について説明したが、第3の実施形態
のごとく2つの誘電部材1a,1bを配置してもよい
し、あるいは、3つ以上の誘電部材を配置することも可
能である。つまり、2段あるいは多段の帯域フィルタと
して利用することも可能である。
【0060】(第5の実施形態)図8は、本発明の第5
の実施形態に係る高周波回路素子の横断面図である。図
8において、誘電部材1の位置は破線で示されている。
図8に示すように、本実施形態の高周波回路素子におい
ては、伝送線路4(マイクロストリップ線路)を構成す
るストリップ導体5及び伝送線路基板6が、遮蔽導体2
の接地導体層9の短い方の辺に平行に形成された溝内に
埋め込まれている。すなわち、ストリップ導体5及び伝
送線路基板6は、接地導体層9の溝内で誘電部材1の両
端部の直下方に挿入され、ストリップ導体5の先端部が
誘電部材1の下面に対向している。そして、本実施形態
においては、ストリップ導体5の先端部10が平面的に
直角に曲げられて、ストリップ導体5がL字状の形状を
有しており、主として曲げられた先端部10が入出力結
合プローブ8として機能する。本実施形態の高周波回路
素子の他の部分の構造は、基本的に第1の実施形態と同
様である。
【0061】本実施形態においても、ストリップ導体5
の伝送線路基板6上に位置している先端部をそのまま結
合プローブ部8とすることができるので、第4の実施形
態と同様に、入出力結合を行なう部分の構造が簡素化さ
れると言う利点がある。
【0062】特に、本実施形態では、結合プローブとし
て機能する先端部を入力結合または出力結合が大きくな
る方向に曲げることによって、高い効率を有する共振器
を実現することができる。たとえば、曲げられた先端部
10の長さを長くすれば、誘電部材1の短辺の長さより
も長くすることができるので、誘電部材に対向する入出
力プローブ8の長さを第4の実施形態よりも長くするこ
とが可能になる。よって、本実施形態の高周波回路素子
によって、共振モードの電界成分と効率よく縮合させる
ことにより、第4の実施形態よりも大きな入出力結合を
得ることが可能である。また、伝送線路基板6と誘電部
材1との位置関係は固定したまま、先端部10の長さL
によって縮合度を調整することができるという利点があ
る。そして、本実施形態の高周波回路素子は、第1の実
施形態と同様に、共振回路として機能し、低損失の1段
の帯域フィルタとして用いることが可能である。
【0063】−第5の実施形態の具体例− 図8に示す構造を有する高周波回路素子を、以下のよう
な手順で形成した。誘電部材1として、サイズ1×1×
4mmの四角柱の誘電体セラミックス(ZrO 2・Ti
2・MgNb26を主成分とする材料,比誘電率:4
2.2,fQ値:43000GHz)を準備し、この誘
電部材1を、内壁が金メッキされた亜鉛−銅合金製の遮
蔽導体2の中に固定する。遮蔽導体2の内壁の寸法は2
×2×12mmである。その際、支持部材3としてポリ
テトラフルオロエチレン樹脂を用いて、遮蔽導体2と誘
電部材1との隙間を満たした。伝送線路4は、アルミナ
焼結体からなる伝送線路基板6の上に、金薄膜(厚さ:
10μm,幅:約0.3mm)からなるストリップ導体
5(特性インピーダンス:50Ω)を乗せたものを形成
し、先端部10の長さをLmmとする。
【0064】実際に、ネットワークアナライザによる測
定の結果、26GHz付近で共振現象を起こすことが確
認されており、共振回路として動作するとともに、1段
帯域通過フィルタとして利用できることが確認できた。
共振の無負荷Q値は約1000であった。
【0065】図9は、本具体例の高周波回路素子におけ
る先端部10の長さと入出力結合度を表す外部Q値(Q
e)との関係を、3次元電磁界解析によりシミュレーシ
ョンした結果を示す図である。外部Q値Qeは、入出力
結合が強いほど小さい値を取るので、同図からわかるよ
うに、長さLによって、外部Q値Qeを広範囲にわたっ
て制御しうることがわかる。
【0066】(第6の実施形態)図10は、本発明の第
6の実施形態に係る高周波回路素子の横断面図である。
図10に示すように、本実施形態の高周波回路素子は、
第3の実施形態と同様に遮蔽導体2の内部に2つの誘電
部材1a,1bをほぼ同じ高さ位置で長手方向に直列に
並べて配置し、かつ、第6の実施形態と同様に、ストリ
ップ導体5を伝送線路基板6の上で直角方向に曲げてな
るL字状にした構造を有している。その他の基本的な構
造は、図8に示す第5の実施形態における高周波回路素
子の構造と基本的には同じである。
【0067】本実施形態の高周波回路素子は、以下の具
体例によって確認されたように、低損失の2段の帯域通
過フィルタとして機能することができる。
【0068】そして、本実施形態の回路素子によると、
第5の実施形態の結合構造を多段の帯域通過フィルタに
適用することによって、さらに、大きな効果を発揮する
ことができる。なぜならば、帯域通過フィルタにおいて
は、通常、入出力結合度は比較的大きく、かつ、所望の
特性を得るためには結合度が精度よく制御されることが
好ましいからである。
【0069】なお、本実施形態では2段の帯域フィルタ
として機能する高周波回路素子の例を示したが、誘電部
材を3個以上用いることにより、3段以上の多段の帯域
フィルタとして利用することも、非常に有効である。
【0070】−第6の実施形態の具体例− 図10に示す構造を有する高周波回路素子を、以下のよ
うな手順で形成した。誘電部材1a,1bとして、サイ
ズ1×1×4mmの四角柱の誘電体セラミックス(Zr
2・TiO2・MgNb26を主成分とする材料,比誘
電率:42.2,fQ値:43000GHz)を2つ準
備し、これらの誘電部材1a,1bを、内壁が金メッキ
された亜鉛−銅合金製の遮蔽導体2の中に固定する。遮
蔽導体2の内壁の寸法は2×2×12mmである。その
際、支持部材3としてポリテトラフルオロエチレン樹脂
を用いて、遮蔽導体2と誘電部材1a,1bとの隙間を
満たした。伝送線路4は、アルミナ焼結体からなる伝送
線路基板6の上に、金薄膜(厚さ:10μm,幅:約
0.3mm)からなるストリップ導体5(特性インピー
ダンス:50Ω)を乗せたものを形成し、先端部10の
長さをLmmとする。
【0071】図11は、本具体例における、誘電部材1
a,1b間の結合度kと誘電部材1a,1b間の間隔d
との関係をシミュレーションした結果を示す図である。
同図からわかるように、誘電部材同士の間隔によって、
誘電部材間の結合度(段間結合度)を設定することが可
能であることがわかる。実際に、本具体例の高周波回路
素子の構造を用いて、中心周波数26GHz前後で、比
帯域0.3%、帯域内リップル0.005dBのチェビ
シェフ型フィルタを設計・試作した。このフィルタ仕様
から、必要な入出力結合度は、Qe(外部Q値)=12
0、段間結合度k=0.0083と算出された。この算
出結果に基づいて、図9,図11から、適正な先端部の
長さL=0.7mm,間隔d=1.2mmであることが
わかるので、この値の高周波回路素子を実際に試作し
た。
【0072】図12は、このようにして試作された高周
波回路素子の損失量の周波数特性を示す図である。2段
帯域通過フィルタとして良好に動作していることが確認
できる。挿入損失は約1.2dBであった。同様の特性
のフィルタを、従来のマイクロストリップ線路共振器で
作製すれば、挿入損失は本具体例の高周波回路素子の数
倍である数dB程度になることが推定されるので、本実
施形態の高周波回路素子の有効性が十分確認される。
【0073】(第7の実施形態)図13は、本発明の第
7の実施形態に係る高周波回路素子の横断面図である。
第1〜第6の実施形態においては、高周波回路素子が2
つの伝送線路(マイクロストリップ線路)を備えている
のに対し、図13に示すように、本実施形態の高周波回
路素子は、両端部が入出力端子(入出力結合プローブ)
となる通過型のマイクロストリップ線路からなる1つの
伝送線路4に対して誘電部材1が結合する構造を有す
る。ここでは、伝送線路4の近傍に、破線で示される誘
電部材1を配置し、伝送線路4の電磁界と、誘電部材1
の共振モードの電磁界との重なりによって入出力結合が
行なわれ、伝送線路4を伝搬する高周波信号のエネルギ
ーの一部が誘電部材1に吸収される。したがって、図1
2に示す高周波回路素子の構造において、伝送線路4の
両端部を入出力端子として、その間の透過特性を見る
と、誘電部材1の共振周波数の近傍で透過率が減少す
る、いわゆる帯域阻止フィルタ(ノッチフィルタ)とし
て動作することがわかる。
【0074】なお、本実施形態では誘電部材1が1つの
場合を示したが、誘電部材1を複数個用いることで、多
段の帯域阻止フィルタとして利用する場合も同様に有効
である。
【0075】(第8の実施形態)図14は、本発明の第
8の実施形態に係る高周波回路素子の横断面図である。
図14に示すように、本実施形態の高周波回路素子は、
第7の実施形態と同様に、両端部が入出力端子(入出力
結合プローブ)となる通過型のマイクロストリップ線路
からなる1つの伝送線路4に対して誘電部材1が結合す
る構造を有する。ただし、第7の実施形態においては、
ストリップ導体5が直線状であるのに対し、本実施形態
においては、ストリップ導体7が誘電部材1の下方にお
いて屈曲部11を有している。本実施形態においても、
伝送線路4の近傍に、破線で示される誘電部材1を配置
し、伝送線路4の電磁界と、誘電部材1の共振モードの
電磁界との重なりによって入出力結合が行なわれ、伝送
線路4を伝搬する高周波信号のエネルギーの一部が誘電
部材1に吸収される。したがって、図12に示す高周波
回路素子の構造において、伝送線路4の両端部を入出力
端子として、その間の透過特性を見ると、誘電部材1の
共振周波数の近傍で透過率が減少する、いわゆる帯域阻
止フィルタ(ノッチフィルタ)として動作する。
【0076】加えて、本実施形態の高周波回路素子によ
ると、ストリップ導体5が屈曲部11において誘電部材
1の長手方向に延びている。これによって、屈曲部11
で、共振モードの電磁界と伝送線路4の電磁界との方向
が一致するので、伝送線路4を伝搬する電磁波と共振モ
ードの電磁界との間に非常に大きな結合が得られること
になり、より急峻な帯域阻止特性を得ることができる。
【0077】なお、本実施形態では誘電部材1が1つの
場合を示したが、誘電部材1を複数個用いることで、多
段の帯域阻止フィルタとして利用する場合も同様に有効
である。
【0078】−第8の実施形態の具体例− 図14に示す構造を有する高周波回路素子を、以下のよ
うな手順で形成した。誘電部材1として、サイズ1×1
×4mmの四角柱の誘電体セラミックス(ZrO2・T
iO2・MgNb26を主成分とする材料,比誘電率:
42.2,fQ値:43000GHz)を準備し、この
誘電部材1を、内壁が金メッキされた亜鉛−銅合金製の
遮蔽導体2の中に固定する。遮蔽導体2の内壁の寸法は
2×2×10mmである。その際、支持部材3としてポ
リテトラフルオロエチレン樹脂を用いて、遮蔽導体2と
誘電部材1との隙間を満たした。伝送線路4は、アルミ
ナ焼結体からなる伝送線路基板6の上に、金薄膜(厚
さ:10μm,幅:約0.3mm)からなるストリップ
導体5(特性インピーダンス:50Ω)を乗せたものを
形成し、先端部10の長さをLmmとする。
【0079】図15は、本具体例の高周波回路素子にお
ける挿入損失の周波数特性を電磁界解析によりシミュレ
ーションした結果を示す図である。同図からわかるよう
に、本具体例の高周波回路素子は、共振器の共振周波数
の前後で減衰量が大きく増える帯域阻止フィルタとして
動作していることがわかり、本実施形態の有効性が確認
された。
【0080】(第9の実施形態)図16(a),
(b),(c)は、それぞれ順に、本発明の第9の実施
形態に係る高周波回路素子の横断面図、長手方向の縦断
面図及び長手方向に直交する縦断面図である。図16
(a)〜(c)に示すように、本実施形態の高周波回路
素子は、例えばZrO2・TiO2・MgNb26を主成
分とする材料等のセラミックス材料などからなる四角柱
形状の誘電部材1と、誘電部材1を取り囲む,内壁が金
メッキされた亜鉛−銅合金等からなる遮蔽導体2と、ア
ルミナ等からなり誘電部材1を支持する誘電体基板12
と、マイクロストリップ線路からなる1対の伝送線路4
とを備えている。
【0081】ここで、本実施形態においては、接地導体
層9に長手方向に延びる溝13が形成されており、溝1
3の内部は空間となっている。また、遮蔽導体2の内部
も空間となっている。そして、誘電部材1は、溝13の
上方において誘電体基板12上に載置されている。つま
り、本実施形態においては、誘電体基板12が誘電部材
1を支持する支持部材として機能する。
【0082】また、伝送線路4は、伝送線路基板6と、
伝送線路基板6の上面上に形成された,銀製リボン等か
らなるストリップ導体5と、遮蔽導体2の一部である接
地導体層9とによって構成されている。そして、各伝送
線路4は、遮蔽導体2の一部を貫通して遮蔽導体によっ
て囲まれる領域内に挿入されている。つまり、遮蔽導体
2の長手方向に直交する側壁の一部分に窓を開け、伝送
線路4を挿入するとともに、窓部において絶縁体7によ
って伝送線路4の上面を覆っている。この絶縁体7は伝
送線路基板6上のストリップ導体5が遮蔽導体2に短絡
しないようにするためのものである。そして、遮蔽導体
2の内部では、ストリップ導体5は誘電体基板12の上
に延びており、その先端部10がほぼ直角に曲げられて
なるL字状となっており、誘電体基板12の上で、スト
リップ導体5の先端部10が誘電部材1の長手方向に延
びる側面に対向していて、この先端部10が結合プロー
ブ部8として機能する。
【0083】本実施形態においても、遮蔽導体2の一部
分でもある接地導体層9が、伝送線路4のグランドプレ
ーンとなる。したがって、伝送線路4と外部回路とを接
続するためには、ストリップ導体5と接地導体層9との
間に信号電圧が印加されるようにすれば済むので、信号
の損失を小さく抑制することができる。
【0084】本実施形態の高周波回路素子の構成におい
て、誘電部材1,遮蔽導体2,誘電体基板12及び溝1
3の形状(及び材質)を適宜選択することにより、誘電
部材1が、矩形断面共振体におけるTM11δ モードと
呼ばれる共振モードで共振することが可能となり、本実
施形態の高周波回路素子によって、TM11δ モード共
振器を実現することができる。そして、本実施形態の高
周波回路素子は、1段の帯域フィルタとして用いること
が可能である。
【0085】特に、本実施形態の高周波回路素子によ
り、図16からわかるように、伝送線路基板6と誘電体
基板12とを一体化することが可能であることや、誘電
体基板12によって誘電部材1が固定されるので、第1
〜第8の実施形態における支持部材3が不要であるこ
と、などの特徴がある。
【0086】なお、本実施形態においても、伝送線路4
は、第1の実施形態のように、誘電部材1の前後方向か
ら挿入してもよい。
【0087】さらに、溝12は、必ずしも必要ではな
い。溝12を無くして、誘電体基板12の裏面が直接遮
蔽筐体2の内壁と接していても、本実施形態と同様の動
作を示す共振器が得られる。ただし、誘電体基板12の
裏面のうち誘電部材1の直下方に位置する裏面に遮蔽導
体2が接触していると、そこに、大きな高周波電流が流
れることにより損失の増大を招くおそれがある。それに
対し、図16に示すように、溝13を設けることによ
り、損失の低減が図られる。
【0088】また、図16(a)〜(c)に示す本実施
形態の高周波回路素子において、結合プローブ部8の形
状は、必ずしもL字状に曲げられたストリップ導体5の
先端部10である必要はなく、図1(c)や図2(b)
に示すように、直線状のストリップ導体5の先端部が結
合プローブ部8として機能することも可能である。ま
た、2つのストリップ導体5の各先端部10を互いに同
じ方向に曲げてもよいし、互いに遠ざかる方向に曲げて
もよい。
【0089】また、誘電体基板12の裏面側に結合プロ
ーブ部8を形成することも同様に有効である。この場
合、結合プローブ部8を誘電部材1の直下に形成するこ
とによって、結合量を大きく取ることが可能である。た
だし、この場合、ストリップ導体5と接続するために
は、容量を介して誘電体基板12の表面のストリップ導
体5と裏面の結合プローブ部8とを容量結合させるか、
あるいは、伝送線路基板6の下側の面にストリップ導体
5を形成する必要がある。
【0090】また、本実施形態の構造においても、第7
又は第8の実施形態(図13あるいは図14参照)のよ
うに、両端部が入出力端子となる通過型の伝送線路4に
対して誘電部材1が結合する構造を用いることができ
る。その場合、伝送線路4の両端を入出力端子として、
いわゆる帯域阻止フィルタとして動作させることが可能
である。
【0091】また、本実施形態において、誘電体基板1
2としては、誘電部材1よりも誘電率が低い材料を用い
るのがより望ましい。例えば、誘電部材1として比誘電
率20以上の材料を用いた場合には、誘電体基板12と
してアルミナなどの比較的誘電率の低い板状誘電体を用
いるのが、特性上や構造上有効である。
【0092】(第10の実施形態)図17(a),
(b)は、それぞれ順に、本発明の第10の実施形態に
係る高周波回路素子の斜め上からみた斜視図及び斜め下
からみた斜視図である。図18(a),(b)は、それ
ぞれ順に、第10の実施形態に係る高周波回路素子の縦
断面図及び横断面図である。
【0093】図17(a),(b)及び図18(a),
(b)に示すように、本実施形態の高周波回路素子に
は、セラミックス材料などからなる四角柱形状の誘電部
材1が設けられており、ポリテトラフルオロエチレン樹
脂などからなる支持部材3により誘電部材1が固定・支
持されている。そして、支持部材3の外表面に銅メッキ
加工などによる導体被膜17が形成されている。また、
導体被膜17の一部を分離して形成されたストリップ導
体5と、残部の導体被膜17により伝送線路4が形成さ
れている。そして、導体被膜17の内部で誘電部材1の
底面とストリップ導体5とが相対向しており、ストリッ
プ導体5によって、誘電部材1との入出力結合が行なわ
れている。
【0094】本実施形態の場合、領域Rcoにおいて、ス
トリップ導体5と導体被膜17とによってコプレーナ線
路が構成されている。したがって、外部回路と接続する
際には、ストリップ導体5と導体被膜17との間に信号
電圧が印加されるようにすればよい。
【0095】本実施形態の高周波回路素子の構成におい
て、誘電部材1,導体被膜17及び支持部材3の形状及
び材質を適宜選択することにより、誘電部材1が、矩形
断面共振体におけるTM11δ モードと呼ばれる共振モ
ードで共振することが可能となり、本実施形態の高周波
回路素子によって、TM11δ モード共振器を実現する
ことができる。そして、本実施形態の高周波回路素子
は、1段の帯域フィルタとして用いることが可能であ
る。
【0096】加えて、本実施形態の高周波回路素子によ
り、伝送線路4を構成するストリップ導体5とグランド
プレーンである導体被膜17とを同一面に形成すること
ができ、表面実装を行うことが容易となる。
【0097】なお、本実施形態の高周波回路素子におい
ても、第2の実施形態(図2参照)のように、伝送線路
4を誘電部材に対して、横方向に形成する,つまり図1
7(a)に示す四角柱の上面又は下面にストリップ導体
5を設けることも可能である。
【0098】(第11の実施形態)図19(a),
(b),(c)は、それぞれ順に、本発明の第11の実
施形態に係る高周波回路素子の斜視図、縦断面図及び横
断面図である。図20(a),(b),は、それぞれ順
に、第11の実施形態に係る高周波回路素子の誘電体基
板の上面図及び裏面図である。図19(a)〜(c)及
び図20(a),(b)に示すように、セラミックス材
料などからなる四角柱形状の誘電部材1が遮蔽導体2の
中に配置され、支持部材3によって固定されている。誘
電部材1と遮蔽導体2の間は支持部材3によって満たさ
れている。また、セラミックス材料などからなる誘電体
基板20の上面には、遮蔽導体2の一部を構成する金属
膜からなる導体被膜17が形成され、誘電体基板20の
裏面には、グランドプレーンである接地導体層9が形成
されている。
【0099】また、伝送線路4は、誘電体基板20と、
導体被膜17から切り離された金属膜からなるストリッ
プ導体5と、誘電体基板20をその裏面から支持する接
地導体層9とによって構成されている。導体被膜17と
接地導体層9とは、誘電体基板20を貫通するビアホー
ル21によって、互いに電気的に接続されている。そし
て、各伝送線路4は、遮蔽導体2の一部を貫通して遮蔽
導体2によって囲まれる領域内に挿入されている。つま
り、遮蔽導体2の長手方向に直交する側壁の一部分に窓
を開け、伝送線路4を挿入するとともに、窓部において
絶縁体7によって伝送線路4の上面を覆っている。この
絶縁体7は誘電体基板20上のストリップ導体5が遮蔽
導体2に短絡しないようにするためのものである。そし
て、遮蔽導体2の内部では、ストリップ導体5の先端部
が誘電体基板20上で誘電部材1の下面(及び長手方向
に直交する側面)に対向して、結合プローブ部8として
機能している。
【0100】本実施形態の場合、遮蔽導体2の一部分で
もある接地導体層9が、伝送線路4のグランドプレーン
となる。したがって、伝送線路4と外部回路とを接続す
るためには、ストリップ導体5と接地導体層9との間に
信号電圧が印加されるようにすれば済むので、信号の損
失を小さく抑制することができる。
【0101】本実施形態の高周波回路素子の構成におい
て、誘電部材1,遮蔽導体2,誘電体基板20及び支持
部材3の形状及び材質を適宜選択することにより、誘電
部材1が、矩形断面共振体におけるTM11δ モードと
呼ばれる共振モードで共振することが可能となり、本実
施形態の高周波回路素子によって、TM11δ モード共
振器を実現することができる。そして、本実施形態の高
周波回路素子は、低損失の1段の帯域フィルタとして機
能する。
【0102】また、本実施形態の高周波回路素子による
と、ストリップ導体5と導体被膜17とを共通の金属膜
から形成することができるので、組み立て部品点数を減
らすことができ、よって、各部品のばらつきによる性能
のばらつきを抑制することができるという利点がある。
【0103】なお、本構成においても、実施形態1の図
2のように、伝送線路4を誘電部材1に対して、横方向
に形成することも可能である。
【0104】(第12の実施形態)図21(a),
(b)は、それぞれ順に、本発明の第12の実施形態に
係る高周波回路素子の横断面図及び縦断面図である。図
21(a),(b)に示すように、本実施形態の高周波
回路素子は、遮蔽導体2の内部に、2つの誘電部材1
a,1bをほぼ同じ高さ位置で長手方向に直列に並べて
配置することによって構成されている。そして、遮蔽導
体2の長手方向に直交する側壁を貫通して誘電部材1
a,1bの各一方の端面に対向するように配置された2
つの周波数調整ねじ14と、遮蔽導体2の上壁を貫通し
て各誘電部材1a,1bの上面のほぼ中央部に対向する
ように配置された2つの周波数調整ねじ15と、遮蔽導
体2の上壁を貫通して各誘電部材1a,1b間の間隙部
に対向するように配置された1つの段間結合度調整ねじ
16とを有している。また、必要に応じて、各ねじ1
4,15,16が遮蔽導体2内に挿入できるように、各
ネジ14,15,16の周囲においては支持部材3が取
り除かれている。その他の基本的な構造は、図7
(a),(b)に示す第4の実施形態における高周波回
路素子の構造と基本的には同じである。
【0105】本実施形態の高周波回路素子の構造より、
誘電部材1a,1bの周囲における電磁界分布が調整可
能になる。すなわち、周波数調整ねじ14,15の挿入
量により共振器の共振周波数が、段間結合調整ねじ16
の挿入量により共振器間の結合度が、調整可能になる。
よって、製造工程で生じる加工・組み立てでの寸法誤差
による特性の劣化を、高周波回路素子の作製後の調整に
より回復させることが可能となり、製造の効率を飛躍的
に向上することができる。
【0106】なお、本実施形態では、2段の帯域フィル
タの構造を例にとっているが、この構造に限ることはな
く、1段フィルタあるいは3段以上のフィルタなどに適
用することができる。
【0107】ただし、周波数の調整や段間結合の調整
は、必ずしもねじでなくても、ねじと同じ機能を有する
棒状の部材や、平板状の部材などを設けることによって
行なうことができる。
【0108】また、第1〜第11の実施形態において
も、ねじなどの部材によって、共振周波数の調整や、段
間結合度の調整を行なうことができ、その場合にも、本
実施形態と同じ効果を発揮することができる。
【0109】なお、周波数調整ねじの配置位置とねじの
軸方向については、周波数調整ねじ14のように、誘電
部材1a,1bの各端部にねじを対向させた場合には、
本実施形態で説明したように効果的に周波数を調整でき
るが、反面、誘電部材を3段以上設けた場合に、両端の
誘電部材の周波数調整にしか適用できない。そこで、周
波数調整ねじ15のように、各誘電部材に対して垂直方
向、正確に言うと、TMモードの電界の向く方向と垂直
な方向に調整ねじを設けるのが効果的である。また、周
波数調整用ねじの挿入位置は、誘電部材の電界が最も強
くなる部分、つまり、本実施形態では誘電部材1a,1
bの中央付近に調整ねじを対向させるのが最も効果的で
ある。この場合は、3段以上の多段の誘電部材を配置し
た高周波回路素子に対しても適用可能であるという利点
がある。
【0110】−第12の実施形態の具体例− 図21(a),(b)に示す構造を有する高周波回路素
子を、以下のような手順で形成した。誘電部材1a,1
bとして、サイズ1×1×4mmの四角柱の誘電体セラ
ミックス(ZrO2・TiO2・MgNb26を主成分と
する材料,比誘電率:42.2,fQ値:43000G
Hz)を2つ準備し、これらの誘電部材1a,1bを、
内壁が金メッキされた亜鉛−銅合金製の遮蔽導体2の中
に固定する。遮蔽導体2の内壁の寸法は2×2×12m
mである。その際、支持部材3としてポリテトラフルオ
ロエチレン樹脂を用いて、遮蔽導体2と誘電部材1a,
1bとの隙間を満たした。伝送線路4は、アルミナ焼結
体からなる伝送線路基板6の上に、金薄膜(厚さ:10
μm,幅:約0.3mm)からなるストリップ導体5
(特性インピーダンス:50Ωを乗せたものを形成し、
このストリップ導体5を伝送線路基板6上で遮蔽導体2
の内部まで延ばして、先端部を誘電部材の長手方向に曲
げてこの先端部を結合プローブ部8とする。また、周波
数調整ねじ14,15および段間結合調整ねじ16とし
ては、ねじ規格M1.6のビスを用いた。ビスの端面は
平坦に加工し、表面全体を金メッキした。
【0111】図22〜図24は、本具体例の高周波回路
素子について、ネットワークアナライザによって行なっ
た共振周波数の調整機能を示す図である。図22は、本
具体例の高周波回路素子の共振周波数と周波数調整ねじ
14の挿入量との関係を示す図である。図23は、本具
体例の高周波回路素子の共振周波数と周波数調整ねじ1
5の挿入量との関係を示す図である。図24は、本具体
例の高周波回路素子の共振周波数と段間結合度調整ねじ
16の挿入量との関係を示す図である。
【0112】図22〜図24からわかるように、各ねじ
の挿入量により、共振周波数、および、段間結合度を微
細に調整することが可能である。
【0113】(第13の実施形態)図25(a),
(b)は、それぞれ順に、本発明の第13の実施形態に
係る高周波回路モジュールの斜視図及び横断面図であ
る。本実施形態では、上記第1の実施形態の高周波回路
素子を位相回路を挟んで2つ組み合わせた構造を有して
いる。すなわち、互いに中心周波数が異なる2つの高周
波回路素子A,Bを、適当な移相変化量を有する移相回
路18の2つの分岐部と入出力結合させることにより、
周波数の異なる信号を分離する共用器を構成した例であ
る。位相回路18は、接地導体層9と、接地導体層9の
凹部に埋め込まれた位相回路基板19と、位相回路基板
19上に設けられた金属膜からなるストリップ導体5b
とによって構成されたマイクロストリップ線路であり、
導体ストリップ5bの基幹部はアンテナに接続されてい
る。その他の基本的な構造は、図1(a)〜(c)に示
す第1の実施形態における高周波回路素子の構造と基本
的には同じである。そして、例えば高周波回路素子B
(又はA)からアンテナを経て高周波信号を外部に送信
し、高周波回路素子A(又はB)にアンテナを経て高周
波信号を外部から受信することが可能な構成になってい
る。
【0114】なお、各高周波回路素子は、スイッチによ
り処理用回路に接続されていて、処理用回路で信号の増
幅,音声・画像等への変換等の処理を受けることにな
る。
【0115】本実施形態の高周波回路モジュールによる
と、位相回路を介在させて複数の高周波回路素子を設け
たので、すなわち、小型で低損失な共用器(周波数帯域
の異なる送受信信号を合波・分離する)を実現すること
ができ、従来導波管などで実現されていた機能が、回路
基板上で実現されることになる。
【0116】例えば位相回路をアンテナに接続した場合
には、送受信を行なうことが可能になる。特に、互いに
中心周波数が異なる2つの高周波回路素子を位相回路を
挟んで組み合わせた場合にも、上記第1の実施形態の効
果を維持しつつ、同時に送受信を行なうことが可能にな
る。
【0117】なお、本実施形態では、1段×1段の誘電
部材を有する共用器の例を示したが、少なくとも一方の
帯域フィルタ(高周波回路素子A又はB)の誘電部材を
複数個用いることで、多段の帯域フィルタを有する共用
器として利用することも有効である。
【0118】−第13の実施形態の変形例− 図26(a),(b)は、それぞれ順に、第13の実施
形態の変形例に係る高周波回路モジュールの斜視図及び
横断面図である。この変形例では、高周波回路素子Aに
3つの誘電部材1a〜1cを同じ高さ位置で長手方向に
直列に並べ、高周波回路素子Bに3つの誘電部材1d〜
1fを同じ高さ位置で長手方向に直列に並べている。
【0119】そして、図26(a),(b)に示す構造
を有する高周波回路モジュールを、以下のような手順で
形成した。高周波回路素子A(帯域通過フィルタ)にお
いては、誘電部材1a,1cとして、サイズ1×1×
5.6mmの四角柱の誘電体セラミックス(比誘電率:
21,fQ値:70000GHz)を、誘電部材1bと
して、サイズ1×1×5.4mmの四角柱の誘電体セラ
ミックス(比誘電率:21,fQ値:70000GH
z)をそれぞれ準備し、これらの誘電部材1a〜1c
を、内壁が金メッキされた亜鉛−銅合金製の遮蔽導体2
aの中に固定する。遮蔽導体2aの内壁の寸法は3×3
×24.1mmである。
【0120】また、高周波回路素子B(帯域通過フィル
タ)においては、誘電部材1d,1fとして、サイズ1
×1×5.8mmの四角柱の誘電体セラミックス(比誘
電率:21,fQ値:70000GHz)を、誘電部材
1bとして、サイズ1×1×5.6mmの四角柱の誘電
体セラミックス(比誘電率:21,fQ値:70000
GHz)をそれぞれ準備し、これらの誘電部材1d〜1
fを、内壁が金メッキされた亜鉛−銅合金製の遮蔽導体
2bの中に固定する。遮蔽導体2bの内壁の寸法は3×
3×25.7mmである。
【0121】そして、支持部材3a,3bとしてポリテ
トラフルオロエチレン樹脂を用いて、遮蔽導体2aと誘
電部材1a〜1cとの隙間、及び遮蔽導体2bと誘電部
材1d〜1fとの間隙を満たした。伝送線路4は、アル
ミナ焼結体からなる伝送線路基板6の上に、金薄膜(厚
さ:10μm,幅:約0.3mm(特性インピーダン
ス:50Ω)からなるストリップ導体5a,5cを乗せ
たものを形成し、このストリップ導体5a,5cを伝送
線路基板6上で遮蔽導体2a,2bの内部まで延ばし
て、先端部を結合プローブ部8とする。
【0122】また、移相回路18は、ポリテトラフルオ
ロエチレン樹脂基板からなる移相回路基板19の上にパ
ターン化された金薄膜によるストリップ導体5bを形成
し、基幹部と2つの分岐部とからなるT字形のパターン
を形成している。ストリップ導体5bの幅は、特性イン
ピーダンスが50Ω付近となるように、0.5mmにし
た。
【0123】なお、移相回路18とは、ストリップ導体
の長さを適度に設定することによりそれぞれ分岐の他方
のクロスバンド帯域を電気的にほぼオープンとし分岐・
合成する働きを持つものである。
【0124】図27(a),(b)は、それぞれ順に、
送信側の損失量の周波数特性及び受信側の損失量の周波
数特性を示す図である。図27(a),(b)から、本
実施形態の高周波回路モジュールは、3段×3段の共用
器として良好に動作していることが確認できる。挿入損
失は約2dB、クロスバンドの減衰量は約53から55
dBであった。
【0125】また、本構成においても実施形態1の図1
のように、伝送線路4を誘電部材1a,1bに対して、
それぞれ長手方向に直列に並べることも可能である。
【0126】図28(a),(b)は、上記第13の実
施形態又は変形例における位相回路18の好ましい構造
例をそれぞれ示す断面図である。図28(a)または図
28(b)に示すように、高周波回路素子A,B(帯域
フィルタ)の伝送線路4と移相回路18とを同一の位相
回路基板19上に一体化することにより、通常接続部で
起こる不整合による反射をなくすことができる。
【0127】また、本実施形態では、送受信信号を合波
・分離する2波の共用器の例を示したが、本発明の高周
波回路モジュールは、本実施形態の構造に限られるもの
ではなく、3波以上の周波数帯の信号を合波・分離する
場合にも有効である。その際には、移相回路基板19上
の位相回路18のパターンは、合波・分離する周波数帯
の数だけ分岐されたパターンを用いればよい。また、分
岐数が多いときは、図28(a),(b)に示すような
2分岐線路を複数個の組み合わせて、分岐の先にさらに
同様の分岐線路を繋いで、枝分かれさせたパターンを用
いることも有効である。いずれの場合においても、分岐
部分から各フィルタ(高周波回路素子)までの位相変化
量(電気長)を調整することによって、共用器としての
動作が実現できる。
【0128】(その他の実施形態)上記各実施形態で
は、誘電部材1として、矩形断面を有する四角柱形状の
誘電部材におけるTM11δ モードを用いているが、本
発明はこのような構造に限る必要はなく、円形断面の円
柱形状の誘電部材を用いても、上記各実施形態と同様の
効果を発揮することができる。この場合、共振モードは
TM01δ という呼称を用いるのが慣例となっている。
また、誘電部材の断面形状についても、長さ方向、つま
り、誘電部材内部の電界の方向に対して一定の形状の誘
電部材を例に挙げて述べているが、部分的に断面形状を
変化させた場合でも同様に有効である。
【0129】図29は、第1の実施形態における誘電部
材1を、端部から中央部に向かって断面が拡大していく
ように形成した変形例を示す断面図である。このよう
に、誘電部材1の中央部付近の断面寸法を大きくするこ
とによって、誘電部材(共振体)の長さを短くすること
が可能である。これは、TMモード電界強度が誘電部材
の中央付近で最も大きくなるため、この付近の断面を大
きくすることで、共振モードの実効的な誘電率を大きく
することになるからである。そして、このような誘電部
材の形状は、第2〜第13の実施形態(変形例を含む)
についても、適用することができる。
【0130】また、上記第13の実施形態を除く各実施
形態の具体例において、誘電部材1をZrO2・TiO2
・MgNb26を主成分とする材料(比誘電率:42.
2,fQ値:43000GHz)により構成したが、必
ずしもこの材料に限る必要はない。誘電部材1として、
支持部材3よりも誘電率の高い材料を用いればTM11δ
モードが存在し、本発明の効果を確実に発揮すること
ができる。
【0131】また、共振器のQ値は誘電部材1を構成す
る材料の誘電損失によって大きな影響を受けるので、誘
電部材1としては損失の少ない材料(fQ値の大きな材
料)を用いることが好ましく、また、誘電率の大きな材
料を用いると、同じ共振周波数を得るのに必要な誘電部
材1の長さや太さが小さくて良いので、共振器の小型化
が実現できる。
【0132】図30は、3種類のセラミックス材料を用
いたときの26GHzでの誘電部材と遮蔽導体の寸法
と、無負荷Qの実測値を表にして示す図である。
【0133】誘電部材1として、たとえばアルミナのよ
うなより低誘電率で、損失の小さなものを用いれば、共
振器のサイズは大きくなるが、さらに無負荷Q値の大き
な共振器が得られる。
【0134】上記各具体例における支持部材3として
は、比誘電率が2のポリテトラフルオロエチレンを例に
挙げたが、これに限る必要はなく、誘電部材1を支持・
固定することができる材料であればよい。ただし、支持
部材3の誘電率は誘電部材1に比べて低いものが好まし
い。実際には、誘電部材1として比誘電率20以上の誘
電部材を用いた場合、支持部材3としては比誘電率がお
おむね15以下の材料を用いれば、より好ましい特性が
得られる。
【0135】また、第9の実施形態を除く各実施形態に
おいては、支持部材3が遮蔽導体2内の隙間に充填され
ている場合の構成について述べたが、必ずしもこのよう
な構成に限る必要はなく、他の実施形態においても、第
9の実施形態のような誘電部材支持構造を採用すること
ができる。
【0136】また、各実施形態において例示した帯域通
過フィルタと帯域阻止フィルタ(ノッチフィルタ)と
を、マイクロストリップ線路などからなる分岐線路など
で接続することによって、周波数が相異なる送受信信号
を分離するデュプレクサを構成することができる。この
場合、たとえば、送信周波数、及び、受信周波数付近に
中心周波数を有する2つの帯域通過フィルタを、適当な
位相変化量を有する分岐伝送線路の分岐部に入出力結合
させることで構成される。さらに、所望の仕様を満たす
ために、必要に応じて、帯域通過フィルタに帯域阻止フ
ィルタを直列に接続し、クロスバンドの減衰を増やすこ
とも可能である。
【0137】また、上記各実施形態においては、設計周
波数帯として26GHz帯での場合を例に挙げて説明し
たが、この周波数帯に限る必要はなく、所望の周波数に
合わせて、誘電部材の寸法を変えれば広い周波数範囲に
おいて適用が可能である。特に、共振器に誘電率が20
〜40程度の材料を用いた場合、5GHzから100G
Hz程度の範囲においては共振器の幅がおおむね0.1
mm〜10mmの範囲に入るので、本発明の構造を用い
る場合にも、高周波回路素子の寸法が適度な大きさとな
り都合がよい。とりわけ、20〜70GHzの範囲で
は、図30に示す低損失なセラミックス材料を用いて構
成することによって、他の構造の誘電部材に比べて高い
無負荷Q値を示し、また、回路基板上に実装するのに十
分小型で、かつ、特別な精度の加工を必要としない程度
の大きさであるので、本発明の効果が非常に大きい。
【0138】さらに、上記各実施形態においては、2つ
の伝送線路4が共通の接地導体層9の上に設けられてい
る構造としたが、本発明の高周波回路素子における伝送
線路は必ずしもかかる構造に限定されるものではない。
【0139】図31(a),(b),(c)は、1対の
伝送線路が接地導体層の上に形成されている場合の構造
例を示す平面図である。図31(a)〜(c)に示すよ
うに、結合プローブ10となる部分が誘電部材1のいず
れかの一部に対向さえしていれば、入出力結合機能を有
するので、本発明の基本的な効果を発揮することができ
る。なお、コプレーナ線路を構成する場合には、図31
(a)〜(c)に示す接地導体層9は、伝送線路基板6
の上でストリップ導体5と同じ側に形成されていること
になる。また、結合プローブ10として機能する部分に
は、伝送線路基板6や接地導体層9が存在している必要
はない。
【0140】また、上記各実施形態においいては、伝送
線路4として、マイクロストリップ線路又はコプレーナ
線路を用いた例について説明したが、本発明の高周波回
路素子又は高周波回路モジュールにおける伝送線路4
は、かかる実施形態に限定されるものではない。
【0141】図32(a)〜(i)は、本発明の高周波
回路素子又は高周波回路モジュールに用いることができ
る伝送線路の例を示す断面図である。図32(a)〜
(i)において、上記各実施形態と同様に、5はストリ
ップ導体、6は伝送線路基板、9は接地導体層の例を示
している。図32(a)はもっとも一般的なマイクロス
トリップ線路の例を示し、図32(b)は多線状マイク
ロストリップ線路の例を示し、図32(c)はコプレー
ナ線路の例を示し、図32(c)はTFMS(Thin Fil
m Microstrip)線路の例を示し、図32(d)はインバ
ーテッドTFMS線路の例を示し、図32(e)はイン
バーテッドTFMS線路の例を示し、図32(f)は広
面結合TFMS線路の例を示し、図32(g)はスリッ
ト付きTFMS線路の例の例を示し、図32(h)はマ
イクロワイヤ線路の例を示し、図32(i)はストリッ
プ線路の例を示している。本発明の高周波回路素子又は
高周波回路モジュールは、図32(a)〜(i)に示す
いずれか1つの構造、又は、これらの構造が複数種類混
在した伝送線路を用いることができる。
【0142】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の高周波回
路素子の構成を用いることによって、簡単な構成で小型
でQ値の高い共振動作を可能となる。特に、ミリ波帯で
の共振器やフィルタなどの回路素子に適用することによ
って、よりその効果が発揮される。
【0143】さらに、上記高周波回路素子を応用して構
成される高周波回路モジュールは、上記高周波回路素子
の小型、高Q値の特性を生かして構成したことにより、
小型・低損失で、高い機能を発揮する。
【0144】−産業上の利用分野− 具体的には、 1.ミリ波あるいはマイクロ波を用いたFWA(Fixed W
ireless Access)システムの送受信機内の高周波回路部 2.移動体通信(携帯電話)システムの端末機、及び、
基地局の高周波回路部分 3.光通信システムにおける高周波の変調信号を扱う回
路 4.無線LAN装置の高周波回路部分 5.車々車間通信、路車間通信システムの高周波回路部
分 6.ミリ波レーダーシステムの高周波回路部分等に応用
が可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b),(c)は、それぞれ順に、本
発明の第1の実施形態に係る高周波回路素子の斜視図、
縦断面図及び横断面図である。
【図2】(a),(b)は、それぞれ順に、本発明の第
2の実施形態に係る高周波回路素子の斜視図及び横断面
図である。
【図3】電磁界解析によってシミュレーションされた第
2の実施形態の具体例の高周波回路素子の挿入損失の周
波数特性(透過特性)である。
【図4】試作された第2の実施形態の具体例の高周波回
路素子の挿入損失の周波数特性の実測データである。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る高周波回路素子
の縦断面図である。
【図6】電磁界解析によってシミュレーションされた第
3の実施形態の具体例に係る高周波回路素子の挿入損失
の周波数特性(透過特性)である。
【図7】(a),(b)は、それぞれ順に、本発明の第
4の実施形態に係る高周波回路素子の縦断面図及び横断
面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る高周波回路素子
の横断面図である。
【図9】第5の実施形態の具体例の高周波回路素子にお
ける先端部の長さと入出力結合度を表す外部Q値(Q
e)との関係を、3次元電磁界解析によりシミュレーシ
ョンした結果を示す図である。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る高周波回路素
子の横断面図である。
【図11】第6の実施形態の具体例における2つの誘電
部材間の結合度kと誘電部材の間隔dとの関係をシミュ
レーションした結果を示す図である。
【図12】第6の実施形態の具体例で試作された高周波
回路素子の損失量の周波数特性を示す図である。
【図13】本発明の第7の実施形態に係る高周波回路素
子の横断面図である。
【図14】本発明の第8の実施形態に係る高周波回路素
子の横断面図である。
【図15】第8の実施形態の具体例の高周波回路素子に
おける挿入損失の周波数特性を電磁界解析によりシミュ
レーションした結果を示す図である。
【図16】(a),(b),(c)は、それぞれ順に、
本発明の第9の実施形態に係る高周波回路素子の横断面
図、長手方向の縦断面図及び長手方向に直交する縦断面
図である。
【図17】(a),(b)は、それぞれ順に、本発明の
第10の実施形態に係る高周波回路素子の斜め上からみ
た斜視図及び斜め下からみた斜視図である。
【図18】(a),(b)は、それぞれ順に、第10の
実施形態に係る高周波回路素子の縦断面図及び横断面図
である。
【図19】(a),(b),(c)は、それぞれ順に、
本発明の第11の実施形態に係る高周波回路素子の斜視
図、縦断面図及び横断面図である。
【図20】(a),(b),は、それぞれ順に、第11
の実施形態に係る高周波回路素子の誘電体基板の上面図
及び裏面図である。
【図21】(a),(b)は、それぞれ順に、本発明の
第12の実施形態に係る高周波回路素子の横断面図及び
縦断面図である。
【図22】第12の実施形態の具体例の高周波回路素子
の共振周波数と周波数調整ねじの挿入量との関係を示す
図である。
【図23】第12の実施形態の具体例の高周波回路素子
の共振周波数と周波数調整ねじの挿入量との関係を示す
図である。
【図24】第12の実施形態の具体例の高周波回路素子
の共振周波数と段間結合度調整ねじの挿入量との関係を
示す図である。
【図25】(a),(b)は、それぞれ順に、本発明の
第13の実施形態に係る高周波回路モジュールの斜視図
及び横断面図である。
【図26】(a),(b)は、それぞれ順に、第13の
実施形態の変形例に係る高周波回路モジュールの斜視図
及び横断面図である。
【図27】(a),(b)は、それぞれ順に、送信側の
損失量の周波数特性及び受信側の損失量の周波数特性を
示す図である。
【図28】(a),(b)は、第13の実施形態又は変
形例における位相回路の好ましい構造例をそれぞれ示す
断面図である。
【図29】第1の実施形態における誘電部材1を、端部
から中央部に向かって断面が拡大していくように形成し
た変形例を示す断面図である。
【図30】3種類のセラミックス材料を用いたときの2
6GHzでの誘電部材と遮蔽導体の寸法と、無負荷Qの
実測値を表にして示す図である。
【図31】(a),(b),(c)は、1対の伝送線路
が接地導体層の上に形成されている場合の構造例を示す
平面図である。
【図32】(a)〜(i)は、本発明の高周波回路素子
又は高周波回路モジュールに用いることができる伝送線
路の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 誘電部材 2 遮蔽導体 3 支持部材 4 伝送線路 5 ストリップ導体 6 伝送線路基板 7 絶縁体 8 結合プローブ部 9 接地導体層 10 先端部 11 屈曲部 12 誘電体基板 13 溝 14,15 周波数調整ねじ 16 段間結合度調整ねじ 17 導体被膜 18 移相回路 19 移相回路基板 20 誘電体基板 21 ビアホール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 俊昭 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5J006 HC03 HC13 HC21 JA01 JA02 JA11 KA03 KA11 MA01 MB01 NA01 PA01

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電磁波の共振状態を生じさせることが可
    能な少なくとも1つの誘電部材と、 上記誘電部材の周囲を取り囲む遮蔽導体と、 上記誘電部材の一部に対向して配置されるストリップ導
    体,該ストリップ導体に対向する接地導体層,及びスト
    リップ導体−接地導体層間に介在する誘電体層を有する
    少なくとも1つの伝送線路と、 上記伝送線路に接続され、上記誘電部材との間で電磁波
    の入力結合機能又は出力結合機能を有する結合プローブ
    とを備えている高周波回路素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の高周波回路素子におい
    て、 上記誘電部材は、TMモードで励振されるものであるこ
    とを特徴とする高周波回路素子。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の高周波回路素子に
    おいて、 上記伝送線路は、ストリップ線路,マイクロストリップ
    線路,コプレーナ線路及びマイクロワイヤ線路のうち少
    なくともいずれか1つを含むことを特徴とする高周波回
    路素子。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のうちいずれか1つに記載
    の高周波回路素子において、 上記遮蔽導体内部において、上記遮蔽導体と上記誘電部
    材との間の空間を埋めて,上記誘電部材を支持する絶縁
    層をさらに備えていることを特徴とする高周波回路素
    子。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の高周波回路素子におい
    て、 上記遮蔽導体は、上記絶縁層の外表面に形成された導体
    被膜から形成され、 上記ストリップ導体は、上記遮蔽導体とは分離するよう
    に上記導体被膜から形成されていて、 上記導体被膜のうち上記ストリップ導体に対向する部分
    が上記接地導体層として機能することを特徴とする高周
    波回路素子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のうちいずれか1つに記載
    の高周波回路素子において、 上記接地導体層は、上記遮蔽導体の一部となる1つの壁
    部を形成しており、 上記接地導体層に形成された溝と、 上記溝を跨いで上記接地導体層の上に設けられ、上記誘
    電部材を支持する絶縁体支持板とをさらに備えているこ
    とを特徴とする高周波回路素子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のうちいずれか1つの高周
    波回路素子において、 上記少なくとも1つの伝送線路は1対設けられており、
    帯域通過フィルタとして機能することを特徴とする高周
    波回路素子。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の高周波回路素子におい
    て、 上記ストリップ導体の先端部は上記誘電体層の外方に延
    びていて、この先端部が上記結合プローブとして機能す
    ることを特徴とする高周波回路素子。
  9. 【請求項9】 請求項7記載の高周波回路素子におい
    て、 上記ストリップ導体の先端部は、上記誘電体層の上に位
    置しており、この先端部が上記結合プローブとして機能
    することを特徴とする高周波回路素子。
  10. 【請求項10】 請求項8又は9記載の高周波回路素子
    において、 上記ストリップ導体の先端部は、上記誘電部材との結合
    が高くなる方向に曲げられていることを特徴とする高周
    波回路素子。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の高周波回路素子にお
    いて、 上記ストリップ導体の主部は、上記誘電部材の長手方向
    に交差する方向に延びており、 上記ストリップ導体の先端部は、上記誘電部材の長手方
    向にほぼ並行に延びていることを特徴とする高周波回路
    素子。
  12. 【請求項12】 請求項1〜6のうちいずれか1つに記
    載の高周波回路素子において、 上記少なくとも1つの伝送線路は、1つの連続した線路
    であり、帯域阻止フィルタとして機能することを特徴と
    する高周波回路素子。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の高周波回路素子にお
    いて、 上記ストリップ導体の端部を除く一部が上記誘電部材と
    対向しており、上記一部が上記結合プローブとして機能
    することを特徴とする高周波回路素子。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の高周波回路素子にお
    いて、 上記ストリップ導体の上記一部は、上記誘電部材との結
    合が大きくなる方向に曲げられていることを特徴とする
    高周波回路素子。
  15. 【請求項15】 請求項14記載の高周波回路素子にお
    いて、 上記ストリップ導体の主部は、上記誘電部材の長手方向
    に交差する方向に延びており、 上記ストリップ導体の上記一部は、上記誘電部材の長手
    方向にほぼ並行に延びていることを特徴とする高周波回
    路素子。
  16. 【請求項16】 請求項1〜15のうちいずれか1つに
    記載の高周波回路素子において、 誘電体基板と、 上記誘電体基板の上記誘電部材に対向する面上に形成さ
    れ、上記遮蔽導体の一部となる第1の導体膜とをさらに
    備えていることを特徴とする高周波回路素子。
  17. 【請求項17】 請求項1〜16のうちいずれか1つに
    記載の高周波回路素子において、 上記誘電部材が、四角柱又は円柱であることを特徴とす
    る高周波回路素子。
  18. 【請求項18】 請求項1〜17のうちいずれか1つに
    記載の高周波回路素子において、 上記誘電部材の長手方向に垂直な方向における誘電部材
    の断面形状が、その面積が中央部で最大になるように変
    化していることを特徴とする高周波回路素子。
  19. 【請求項19】 請求項1〜18のうちいずれか1つに
    記載の高周波回路素子において、 上記少なくとも1つの誘電部材は、互いに結合している
    複数の誘電部材であることを特徴とする高周波回路素
    子。
  20. 【請求項20】 請求項1〜19のうちいずれか1つに
    記載の高周波回路素子において、 上記遮蔽導体を貫通して上記遮蔽導体に囲まれる領域に
    挿入され、先端で上記誘電部材に対向する周波数調整ね
    じをさらに備えていることを特徴とする高周波回路素
    子。
  21. 【請求項21】 請求項1〜19のうちいずれか1つに
    記載の高周波回路素子において、 上記少なくとも1つの誘電部材は、互いに結合している
    複数の誘電部材であり、 上記遮蔽導体を貫通して上記遮蔽導体に囲まれる領域に
    挿入され、先端で上記各誘電部材間の間隙部に対向する
    段間結合調整ねじをさらに備えていることを特徴とする
    高周波回路素子。
  22. 【請求項22】 複数の高周波回路素子と、 上記複数の高周波回路素子間に設けられた位相回路とを
    備え、 上記各高周波回路素子は、 電磁波の共振状態を生じさせることが可能な少なくとも
    1つの誘電部材と、 上記誘電部材の周囲を取り囲む遮蔽導体と、 上記誘電部材の一部に対向して配置されるストリップ導
    体,該ストリップ導体に対向する接地導体層,及びスト
    リップ導体−接地導体層間に介在する誘電体層を有する
    少なくとも1つの伝送線路と、 上記伝送線路に接続され、上記誘電部材との間で高周波
    信号の入力結合機能又は出力結合機能を有する結合プロ
    ーブとを有しており、 上記各高周波回路素子の伝送線路が、上記位相回路に接
    続されていることを特徴とする高周波回路モジュール。
  23. 【請求項23】 請求項22記載の高周波回路モジュー
    ルにおいて、 上記複数の高周波回路素子の共振状態における中心周波
    数が互いに異なることを特徴とする高周波回路モジュー
    ル。
  24. 【請求項24】 請求項22又は23記載の高周波回路
    モジュールにおいて、 上記位相回路はアンテナに接続されていることを特徴と
    する高周波回路モジュール。
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JP2006238027A (ja) * 2005-02-24 2006-09-07 Tdk Corp 誘電体フィルタ、及び、誘電体フィルタの製造方法
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