JP2003066643A - 電子写真用転写シートおよび画像形成方法 - Google Patents

電子写真用転写シートおよび画像形成方法

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JP2003066643A
JP2003066643A JP2001258265A JP2001258265A JP2003066643A JP 2003066643 A JP2003066643 A JP 2003066643A JP 2001258265 A JP2001258265 A JP 2001258265A JP 2001258265 A JP2001258265 A JP 2001258265A JP 2003066643 A JP2003066643 A JP 2003066643A
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JP2001258265A
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English (en)
Inventor
Ryosuke Nakanishi
亮介 中西
Eizo Kurihara
英三 栗原
Takashi Okazaki
崇 岡崎
Tomofumi Tokiyoshi
智文 時吉
Masaru Kato
勝 加藤
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Oji Paper Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷する際に転写シートの巻き付きが起こら
ず、高光沢・高品位の画像を形成することができ、且つ
印刷物の高温保管性に優れた電子写真用転写シートおよ
び画像形成方法を提供すること。 【解決手段】 顔料と接着剤とを主成分とする塗工層が
設けられた基材の少なくとも片面に、熱可塑性樹脂を主
成分とし離型剤を含有する受像層が設けられてなる転写
シートであって、該転写シートのCDこわさが10cm
以上であり、前記離型剤の定着部材表面における溶融時
傾斜角が35°〜70°の範囲であり、前記離型剤の前
記熱可塑性樹脂表面における溶融時傾斜角が30°以下
であり、前記受像層中における前記離型剤の個数平均分
散径が1.0μm以下であることを特徴とする電子写真
用転写シート、およびそれを用いた画像形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラー複写機また
はカラープリンター等に適用される電子写真法におい
て、高品位なフルカラー画像を、印刷時に巻き付き等の
トラブルなく形成することができる電子写真用転写シー
ト、およびそれを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法によりカラー画像を形成する
方法としては、潜像担持体に、色分解光を照射して色別
に潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像を、Y(イ
エロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)等の各色のト
ナーにより逐次現像して色別にトナー像を形成する現像
工程と、形成されたトナー像を色別に形成する度に被転
写体に重ね合わせて転写する転写工程と、前記被転写体
に転写されたトナー像を加熱圧着する定着工程と、から
なる画像形成方法がある。また別の方法としては、潜像
形成工程と、色別のトナー像を潜像担持体に形成する現
像工程と、形成されたトナー像を中間転写体に転写する
第1の転写工程と、前記中間転写体に転写されたトナー
像を被転写体に転写する第2の転写工程と、定着工程
と、からなる画像形成方法もある。
【0003】これら画像形成方法で使用されるトナー
は、通常、着色剤として各種の染料又は顔料をバインダ
ー樹脂中に分散含有させることにより構成される。前記
着色剤の粒子径は、数μmから数十μmである。トナー
の受容体としての転写シートは、普通紙や、一般の印刷
用紙などのコート紙のような紙基材が使用される。カラ
ー画像は前記紙基材の表面に複数層重ね合わされた前記
トナーが加熱定着されることにより形成される。前記カ
ラー画像は、例えば、特開昭63−92965号公報に
よれば、10〜100μm程度の凹凸を有するトナー層
が形成されてなる。したがって前記トナー層表面の凹凸
により、前記カラー画像の光沢にムラが生じてしまう。
すなわち、前記カラー画像に入射する照明光が、凹凸の
激しい前記カラー画像の表面で乱反射するため、肉眼で
前記カラー画像を観察すると、該カラー画像の光沢性が
不十分になる。
【0004】前記の問題点を改善するために、特開昭6
3−92965号公報によれば、基材表面に熱可塑性透
明樹脂層(受像層)を設け、トナー像を熱ロール定着器
により前記熱可塑性透明樹脂層に埋め込む方法が開示さ
れている。また、特開平5−127413号公報によれ
ば、ガラス転移温度が40℃〜70℃であり、テトラヒ
ドロフランに可溶な架橋樹脂よりなる透明樹脂層(受像
層)を有する画像転写シート表面にトナー像をのせ、こ
れをベルト状定着器で前記透明樹脂層に埋め込む方法が
開示されている。さらに特開平5−216322号公報
及び特開平6−11982号公報によれば、熱可塑性樹
脂が塗設されている画像転写シートの表面にトナー像を
転写し、ベルト状定着器により前記トナー像を前記熱可
塑性樹脂層(受像層)に埋め込む方法が開示されてい
る。
【0005】また、前記ベルト状の定着器を使用しない
でも、光沢ムラのないグロスマッチングが得られる転写
シートも提唱されている。例えば、特開平10−221
877号公報によれば、転写シート表面の透明樹脂(熱
可塑性樹脂)の平均分子量(Mwa)とカラートナーの
結着樹脂の平均分子量(Mwb)との間にMwa−Mw
b≧10000の関係を有し、且つ、前記透明樹脂のト
ナーの定着温度における前記カラートナーの結着樹脂と
の溶融傾斜角を40°以下に調整した電子写真用転写シ
ートが提唱されている。また、特開平11−16090
5号公報によれば、転写シート表面の透明受像層(受像
層)の数平均分子量(Mn)が5000〜20000の
範囲であり、且つ、前記透明樹脂層のガラス転移温度が
30〜85℃の範囲である電子写真用転写シートが提唱
されている。
【0006】これら各公報に記載の技術によれば、トナ
ー像を被転写体表面に定着する際に、前記トナー像は熱
ロールにより加圧されながら加熱溶融されて定着され
る。このように定着されて形成されたカラー画像では、
前記トナー像が前記転写体表面の透明樹脂層(受像層)
中に埋め込まれるので、前記カラー画像の表面凹凸は小
さくなる。このため、前記カラー画像表面に入射した光
の乱反射が軽減され、光沢ムラのないグロスマッチング
性の高い高品位のカラー画像(画像光沢の均一性ともい
う)を得ることが可能である。
【0007】一方、従来の技術では、定着する際に、定
着部材に転写シートに対する離型性を付与するために、
前記定着部材表面にシリコーンオイル等の離型剤を塗布
することが一般的に行われてきた。しかし、離型剤とし
てオイル等を使用した場合には、定着後の印刷物に前記
オイルが付着するため、水性インク等を用いた筆記具に
よる前記印刷物への書きこみが困難となること、粘着の
り付き付箋等が貼り付つけられなくなること等の問題が
あった。また、印刷物に付着したオイルの付着ムラによ
り画質が低下する問題があった。
【0008】また、従来の技術では、定着装置にオイル
等の離型剤を貯蔵するためのタンクが必要となるため
に、前記定着装置の小型化が困難であるとともに、消耗
品としてオイル等の離型剤を補充する必要があった。こ
のため、近年、定着時に定着部材表面にオイル等の離型
剤塗布を必要としない定着システム(以下、「オイルレ
ス定着システム」と略す)の確立が提案されている。
【0009】しかし、前記各公報技術に記載された熱可
塑性透明樹脂層を有する前記転写シートに、前記オイル
レス定着システムにより定着部材表面にオイル等の離型
剤を塗布せずにトナー像を加圧加熱して定着すると、定
着時に、受像層が定着部材の表面に粘着するオフセット
現象が発生し易くなる。該オフセット現象が発生する
と、前記熱可塑性透明樹脂層が前記定着ロールに付着し
て、前記転写シートの表面層が剥離したり、転写シート
が前記定着部材に巻き付く現象(以下、該現象を「巻き
付き現象」と略す)が発生する。
【0010】さらに、前記各公報技術に記載された転写
シートを用いて印刷された印刷物は、前記印刷物の保管
や輸送中に前記転写シートの前記熱可塑性樹脂層の樹脂
のガラス転移点近傍又はそれ以上に加熱されると、画像
形成部分の樹脂成分が溶融して前記印刷物の裏面や該印
刷物自体に付着し、画像の欠損が発生する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点
を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、従
来技術と比べて、オイルレス定着システムで印刷する際
に転写シートの巻き付き現象が起こらず、前記オイルレ
ス定着システムで印刷された印刷物の高温保管性に優れ
た電子写真用転写シートおよび画像形成方法を提供する
ことを主たる課題とする。更に、前記印刷物に光沢ムラ
のない高光沢である画像を形成することができる電子写
真用転写シートおよび画像形成方法を提供することを従
たる課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
により達成される。すなわち、本発明の電子写真用転写
シートは、顔料と接着剤とを主成分とする塗工層が設け
られた基材の少なくとも片面に、熱可塑性樹脂を主成分
とし離型剤を含有する受像層が設けられてなる転写シー
トであって、該転写シートのCDこわさが10cm以上
であり、前記離型剤の定着部材表面における溶融時傾斜
角が35°〜70°の範囲であり、前記離型剤の前記熱
可塑性樹脂表面における溶融時傾斜角が30°以下であ
り、前記受像層中の前記離型剤の個数平均分散径が1.
0μm以下であることを特徴とする。
【0013】本発明の電子写真用転写シートによれば、
以下の作用を発現する。 (1)前記電子写真用転写シートのCDこわさが10c
m以上であるため、前記電子写真用転写シートが剛性を
有する。 (2)前記離型剤の定着部材表面における溶融時傾斜角
が35°以上であるため、加熱定着時に前記定着部材表
面と前記電子写真用転写シート表面との間に形成された
離型層が粘着を起こさない。 (3)前記離型剤の定着部材表面における溶融時傾斜角
が70°以下であるため、前記加熱定着時に前記定着部
材表面と前記電子写真用転写シート表面との間に均一な
離型層が形成される。 (4)前記受像層中の前記離型剤の個数平均分散径が
1.0μm以下であることから、前記加熱定着時に前記
受像層中に分散している前記離型剤が瞬時に溶融して前
記電子写真用転写シート表面に拡散し、前記定着部材表
面と前記電子写真用転写シート表面との間に均一な離型
層が形成される。また、定着前の前記電子写真用転写シ
ートの光沢感が損なわれない。
【0014】これら(1)〜(4)の作用により、前記
電子写真用転写シートと前記定着部材表面との剥離性が
良好となる。このため、巻き付き現象が発生しない。ま
た、前記離型剤の前記熱可塑性樹脂表面における溶融時
傾斜角が30°以下であることから、前記電子写真用転
写シートに画像を印刷した印刷物の表面が高温保管時に
前記離型剤により均一に覆われるので、高温環境下で前
記印刷物同士の接触により前記印刷物表面で結着して画
像が欠損することがない。このため、高温保管性に優れ
ている。
【0015】前記離型剤の融点としては、50℃〜90
℃の範囲であることが好ましい。前記離型剤の融点を5
0℃以上とすることにより、前記加熱定着時に、形成さ
れた前記離型層が該離型層の内部で決裂して定着部材表
面に付着しない。従って、連続給紙した場合でも、前記
定着部材表面に離型剤が付着せず、定着部材の劣化が抑
えられる。また、前記離型剤の融点を90℃以下とする
ことにより、前記加熱定着時に前記離型剤が瞬時に溶融
して、前記定着部材表面と前記電子写真用転写シート表
面との間に均一な離型層が形成されるので、前記電子写
真用転写シートと前記定着部材表面との剥離性が良好で
ある。このため巻き付き現象が発生しない。
【0016】前記受像層において前記離型剤としては、
前記熱可塑性樹脂に対して0.5質量%〜10質量%の
範囲で配合されていることが好ましい。前記離型剤の前
記熱可塑性樹脂に対する配合量が0.5質量%以上とす
ることにより、前記加熱定着時に前記電子写真用転写シ
ートと前記定着部材表面との十分な剥離性が得られるた
め、巻き付き現象の発生が防止できる。また高温保管時
に印刷物の表面が離型層で均一に覆われるため、前記印
刷物表面同士の結着による画像の欠損がない。このため
高温保管性に優れている。一方、前記配合量を10質量
%以下とすることにより、前記印刷物表面に局部的な染
み出し痕が発生しない。このため画質欠陥の発生が防止
できる。
【0017】前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度として
は、85℃以下であることが好ましい。前記熱可塑性樹
脂のガラス転移温度を、85℃以下とすることにより、
前記加熱定着時に、前記熱可塑性樹脂を主成分とする受
像層が容易に軟化してトナーが埋め込まれるので、印刷
物表面の凹凸が少ない。このため、高光沢な画像が得ら
れる。
【0018】前記受像層の厚みとしては、3μm〜25
μmの範囲であることが好ましい。前記受像層の厚みを
3μm以上とすることにより、前記加熱定着時に前記受
像層中にトナーを十分に埋め込むことができ、一方、前
記受像層の厚みを25μm以下とすることにより、前記
加熱定着時に前記受像層が容易に軟化してトナーを十分
に埋め込むことができる。このため、画像光沢の均一性
が良好な画像が得られる。
【0019】本発明の画像形成方法は、少なくとも潜像
担持体に潜像を形成する潜像形成工程と、該潜像を電子
写真用現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像
工程と、形成されたトナー像を被転写体に転写する転写
工程と、該被転写体に転写されたトナー像を加熱圧着す
る定着工程と、からなる画像形成方法であって、前記被
転写体が、上記本発明の電子写真用転写シートであるこ
とを特徴とする。本発明の画像形成方法によれば、前記
定着工程で、巻き付き現象が発生せず、加熱ロールの劣
化が抑えられる。また、本発明の画像形成方法により形
成された印刷物は、高温保管性に優れ、画質欠陥の発生
が無く、高光沢で画像光沢の均一性が良好な画像が形成
される。
【0020】前記定着工程としては、定着部材表面に離
型剤が塗布されていない定着部材により定着する工程で
あることが好ましい。前記定着部材表面に前記離型剤が
塗布されていない定着部材を用いることにより、印刷物
の表面には離型剤が付着しない。このため、前記印刷物
に粘着のり付き付箋等を貼り付けることができ、また、
水性インク等を用いた筆記具による前記印刷物への書き
こみが容易に行える。さらに、離型剤の付着ムラによる
画質の低下が起こらず高品位な画像を得ることができ
る。また、定着部材表面にオイルを塗布しない定着工程
であるため、定着装置には離型剤の供給装置が不要とな
る。このため、定着装置の小型化と低コスト化が達成で
き、また、消耗品である離型剤の補充が不要となり、且
つ、定着時のランニングコストも安くできるという利点
もある。
【0021】前記定着工程としては2回以上行うことが
好ましい。前記定着工程を2回以上行うことにより、ト
ナーが受像層中に深く埋め込まれる。このため、より高
い光沢度を持つ画像が得られる。
【0022】前記被転写体の白紙光沢度としては、40
%以上であることが好ましい。前記被転写体の白紙光沢
度として、40%以上のものを用いて印刷物表面に画像
を形成すれば、非画像部における白紙光沢度の優れた高
品位の画像を得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を、本
発明の電子写真用転写シート(以下、「転写シート」と
略す場合がある)と画像形成方法とに大きく分けて、詳
細を具体的に説明する。
【0024】〔電子写真用転写シート〕本発明の転写シ
ートは、基材の少なくとも片面に顔料と接着剤とを主成
分とする塗工層を有する。前記塗工層を基材の表面に設
けることにより、該基材の表面粗さを小さくすることが
できる。このため、本発明の転写シートによれば、定着
後に得られた印刷物の画像の表面を平坦にすることがで
きる。
【0025】前記転写シートのCDこわさ(JIS P
8143)は少なくとも10cm以上である。10c
m未満の場合には、本発明で用いられる離型剤を用いて
も、定着工程で良好な剥離性が得られない。前記CDこ
わさは、好ましくは20cm以上である。前記CDこわ
さの上限は特に限定されるものではないが、一般的には
50cm以下が好ましい。前記CDこわさは、前記基材
の坪量と厚み、前記基材の表面に設けられる受像層の弾
性、前記基材中のパルプ繊維の配向等を変更することに
より調整することができる。
【0026】次に本発明に用いられる離型剤について説
明する。まず、本発明者らは従来技術における受像層に
含有される離型剤について検討した。受像層に離型剤を
含有させる発明としては、例えば、特開平5−1048
68号公報に、熱可塑性樹脂(受像層)に融点が90〜
170℃の範囲であるワックスを離型剤として含有させ
た転写シートが開示されており、これにより定着時に前
記転写シートとベルト状定着器との剥離性が得られるこ
とが提唱されている。
【0027】一方、特開2000−147821号公報
には、融点が−100℃から0℃の範囲である剥離剤
(離型剤)を熱可塑性樹脂(受像層)に含有させた受像
シート(転写シート)が開示されている。前記公報に記
載の技術によれば、定着する際に、前記剥離剤が前記熱
可塑性樹脂層の表面に滲み出し、前記受像シートと定着
部材表面との間に剥離性を付与するため、オフセット現
象の発生や定着器への受像シートの巻き付きの発生等を
防止できることが提唱されている。
【0028】本発明者らは、前記2つの公報に報告され
ている離型剤について検討を行った。その結果、前記離
型剤を用いた転写シートを用いた、オイルレス定着シス
テムによる定着器(以下、「オイルレス定着器」と略
す)において、巻き付き現象や加熱ロール等の定着部材
の劣化が発生することを確認した。
【0029】すなわち、前者の文献で報告されている融
点の高い離型剤を用いた用紙(転写シート)において
は、オイルレス定着器で定着する際に、前記離型剤によ
り瞬時に用紙表面を均一に覆うことが出来ない。従っ
て、熱可塑性樹脂と定着部材とが直接に接触する部分が
発生する。このため、前記部分で用紙と前記定着部材と
が結着して巻き付き現象が発生することを確認した。
【0030】また、後者の文献で報告されている融点の
低い離型剤を用いた用紙においては、オイルレス定着器
で定着する際に、前記離型剤により瞬時に用紙表面を均
一に覆いやすい。しかし、定着部材から用紙が剥離する
際に、用紙表面に形成された離型層の内部で決裂して剥
離すると考えられる。この場合、前記離型層の内部決裂
に要するエネルギーが必要となるため、逆に剥離性に劣
ることが挙げられる。また、前記離型剤では、前記定着
部材表面に前記離型層の内部で決裂した離型剤が付着し
てしまう。このため、本発明者らは連続給紙して印刷し
た場合、前記定着部材表面に前記離型剤の膜が形成さ
れ、前記定着部材の劣化を引き起こすことを確認した。
【0031】本発明者らは、上記結果を考慮して、オイ
ルレス定着器で定着する際の、転写シートと定着部材と
の剥離性を支配する要因について検討した。その結果、
前記転写シートに用いられる離型剤と、前記定着部材表
面との濡れ性の制御により良好な剥離性が得られること
を確認した。かかる濡れ性の評価は、前記オイルレス定
着器における定着部材表面で一旦溶融した後の離型剤
が、前記定着部材表面に対して成す傾斜角を測定する方
法を新たに用いた。前記オイルレス定着器で良好な剥離
性が得られる離型剤の条件は、前記離型剤と前記オイル
レス定着器の前記定着部材とが成す溶融時傾斜角が35
°〜70°の範囲である。
【0032】溶融時傾斜角が35°未満の場合、転写シ
ート表面に形成された離型層が定着部材表面に粘着する
ため、剥離性能が劣る。また、溶融時傾斜角が70°よ
り大きい場合、離型剤により転写シート表面と定着部材
との間に形成される離型層が均一にならない。このた
め、前記離型層が形成されない箇所で転写シート表面と
定着部材との接触が起こり、巻き付き現象が発生する。
離型剤と前記定着部材とが成す溶融時傾斜角としては、
40°〜60°の範囲がより好ましい。この場合の前記
溶融時傾斜角の具体的な測定方法は、後述する実施例に
て説明する。なお、本発明において、溶融時傾斜角を規
定する際の相手材料である定着部材とは、定着時に転写
シートの受像層と接触する、加熱された定着部品のこと
をいう。
【0033】また、本発明者らは離型剤と熱可塑性樹脂
との濡れ性を適正化することにより、良好な高温保管性
が得られることを見出した。かかる濡れ性の評価は、転
写シートの熱可塑性樹脂を主成分とする受像層表面で一
旦溶融した後の離型剤と、前記受像層表面、即ち前記熱
可塑性樹脂との成す傾斜角を測定する方法を新たに用い
た。良好な高温保管性を得る条件は、離型剤と受像層中
の熱可塑性樹脂とが成す溶融時傾斜角が30°以下であ
ることが必要である。
【0034】離型剤と受像層の熱可塑性樹脂とが成す溶
融時傾斜角が30°を超える場合、定着後の印刷物表面
に前記離型剤による離型層が形成されにくい。このた
め、高温保管時に前記印刷物表面に前記離型剤による均
一な保護層が形成されないため、前記印刷物表面同士が
接触した場合、受像層が軟化し、前記印刷物表面の結着
が発生する。前記溶融時傾斜角としては、25°以下が
より好ましい。なお、前記溶融時傾斜角の具体的な測定
方法は後述する実施例にて説明する。なお、この場合の
前記溶融時傾斜角の具板的な測定方法についても、後述
する実施例にて説明する。
【0035】本発明において、受像層中に分散している
前記離型剤の個数平均分散径は1.0μm以下である。
前記個数平均分散径が1.0μmを超えた場合、前記受
像層中に分散している前記離型剤粒子の熱容量が大きく
なるため、加熱定着時に前記離型剤が瞬時に溶融するこ
とが困難になる。このため、加熱定着時に定着部材表面
と前記転写シート表面との間に均一な離型層を形成する
ことができず、定着部材表面と前記転写シートとの間で
離型層が形成されない部分が発生し、かかる部分の結着
により巻き付き現象が発生する。また、定着前の前記転
写シートの光沢感も損なわれる。従って、前記個数平均
分散径は小さい程好ましく、下限は特に限定されない。
前記個数平均分散径としては、0.5μm以下がより好
ましい。なお、前記個数平均分散径は前記受像層中に分
散している前記離型剤粒子をTEM(透過型電子顕微
鏡)で観察することにより求めた。TEMにより個数平
均分散径を求める具体的な測定方法については、後述す
る実施例にて説明する。
【0036】前記個数平均分散径を小さくするには、受
像層の塗工液を調合する際に離型剤を細かく砕いて高い
せん断力を加えて攪拌することが好ましい。前記離型剤
の粉砕方法および前記受像層の塗工液を攪拌する方法は
特に限定されないが、公知の方法を用いることができ
る。また、より効果的に前記個数平均分散径を小さくす
るためには、受像層の塗工液中に予め微粉砕した離型剤
を徐々に滴下しながら攪拌する方法、加温溶媒に離型剤
を一旦溶解させた後、攪拌しながら温度を徐々に低下さ
せて微粒子を析出させる方法、あるいは、受像層の塗工
液中に分散助剤等を添加しながら攪拌する方法等を用い
ることができる。前記分散助剤としては、前記塗工液の
溶媒が親油性溶媒である場合には、例えば、ポリオキシ
エチレン、酸化マイクロワックス、含金属ワックス等の
親水基を有するワックス類が、前記塗工液の溶媒が親水
性溶媒である場合には、例えば、ステアリン酸セッケ
ン、パルチミン酸セッケン、ミリスチン酸セッケン、ラ
ウリル酸セッケン、オレイン酸セッケン、あるいはエー
テル型非イオン活性剤等が挙げられる。
【0037】前記離型剤の受像層への配合量としては、
前記受像層の主成分である熱可塑性樹脂に対して0.5
質量%〜10質量%の範囲が好ましい。前記配合量が
0.5質量%未満では、定着時の良好な剥離性と印刷物
の良好な高温保管性と、が得られない場合がある。前記
配合量が10質量%を超えると、印刷物の画像に局部的
な染み出し跡が発生するといった画質欠陥が生じる場合
がある。前記配合量としては、1質量%〜8質量%の範
囲がより好ましい。
【0038】前記離型剤として用いられる物質は、マイ
クロクリスタリンワックス、カルナバワックス、ライス
ワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプッ
シュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミ
ツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワッ
クス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、ポリエ
ステルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、
脂肪酸アミド、ポリエチレンワックス、ステロールワッ
クス等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるも
のでは無い。また、2種類以上を組み合わせて用いても
よい。
【0039】但し、前記離型剤は、定着部材および受像
層の熱可塑性樹脂との溶融時傾斜角について前述の関係
を満足するものが選ばれる。さらに、前記離型剤の融点
としては、0℃〜120℃の範囲が好ましく、50℃〜
90℃の範囲がより好ましく、70℃〜80℃が特に好
ましい。前記離型剤の融点は定着時に適正な流動性を有
することが好ましい。上記の特性を鑑みた場合、本発明
に用いる離型剤としては、特に、カルナバワックス、ラ
イスワックス、パラフィンワックスから選ばれることが
好ましい。さらに、直鎖飽和炭化水素からなるワックス
も前記離型剤として好ましい。
【0040】次に、本発明における受像層の主成分を成
す熱可塑性樹脂について説明する。前記熱可塑性樹脂の
ガラス転移温度は85℃以下であることが好ましく、7
8℃以下であることがより好ましい。前記ガラス転移温
度が85℃を超えると、定着時にトナーの埋め込み性が
十分でなく、また受像層の表面が軟化しにくいことか
ら、印刷物表面の平坦性を確保することが困難になる。
従って、高光沢な画像が得られにくい。
【0041】前記ガラス転移温度の下限は、特に限定さ
れないが、40℃以上であることが好ましい。前記熱可
塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、スチレン−アク
リル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル
樹脂等を用いることができるが、特にポリエステル樹脂
を用いることが好ましい。前記ポリエステル樹脂を構成
する、多価アルコール成分及び多価カルボン酸成分とし
ては、下記のものが例示される。
【0042】前記多価アルコール成分としては、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタン
ジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピ
レングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、ビスフェノールAにオレフィンオキサ
イドを付加したモノマー等を挙げることができる。
【0043】前記多価カルボン酸成分としては、マレイ
ン酸、無水マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル
酸、ドデシルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ド
デシルコハク酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン
酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,
2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキ
サントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチ
ル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレ
ンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテト
ラカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸および
これらの酸の低級アルキルエステル等を用いることがで
きる。本発明に用いられるポリエステル樹脂は、前記多
価アルコール成分から選択される少なくとも1種類以上
と、前記多価カルボン酸成分から選択される少なくとも
1種類以上と、の重合により合成される。
【0044】トナーの樹脂成分としては、一般に、ポリ
エステル樹脂あるいはスチレン−アクリル酸エステル樹
脂が主に用いられている。前記熱可塑性樹脂としては、
前記トナーの樹脂成分と相溶性の高いことが好ましいた
め、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル
樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル樹脂等の中から
目的に応じて選択された1種類又は2種類以上の混合物
を使用することが特に好ましい。なお、トナー成分中
に、本発明に用いられる離型剤成分を配合してもよい。
【0045】次に本発明の受像層の厚みについて説明す
る。前記受像層の厚みは3μm〜25μmの範囲である
ことが好ましい。前記受像層の厚みが3μm未満の場
合、前記受像層にトナーを完全に埋め込むことが困難な
ため、画像光沢の均一性が得られにくい。また、前記受
像層の厚みが25μmを超えた場合、前記受像層の軟化
が起こりにくいので、前記トナーを前記受像層に埋め込
みにくくなる。前記受像層の厚みとしては、5μm〜1
5μmの範囲であることがより好ましい。
【0046】前記受像層には前記熱可塑性樹脂と前記離
型剤に加えて、顔料、導電剤等も含有させることができ
る。前記受像層に含まれる熱可塑性樹脂量は80質量%
以上であることが好ましく、90質量%以上であること
がより好ましい。さらに、前記受像層は、温度28℃、
相対湿度85%において、前記受像層の表面電気抵抗が
8.0×108 Ω以上となるように前記受像層の組成が
調整されていることが好ましい。
【0047】本発明の転写シートは、例えば、顔料と接
着剤とを主成分とする塗工層が設けられた基材の少なく
とも片面に平滑化処理を施し、更にその上に熱可塑性樹
脂を主成分とし離型剤を含有する受像層が形成されるこ
とによって得られる。前記顔料としては、例えば、重質
炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成
カオリン、構造性カオリン、デラミカオリン、タルク、
硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜
鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、
シリカ、アルミノ珪酸マグネシウム、微粒子状珪酸カル
シウム、微粒子状炭酸マグネシウム、微粒子状軽質炭酸
カルシウム、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオラ
イト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物材料からなる
顔料や、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合
樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビ
ニリデン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、並びにこれらの
微小中空粒子や貫通孔型の有機材料からなる顔料等が挙
げられる。本発明では前記顔料の中から1種類あるいは
2種類以上を組合せた顔料を用いることができる。
【0048】前記接着剤としては、水溶性及び/または
水分散性の高分子化合物が用いられる。該高分子化合物
としては、例えば、カチオン性澱粉、両性澱粉、酸化澱
粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、エステル化澱粉、
エ−テル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導
体、ゼラチン、カゼイン、大豆蛋白、天然ゴム等の天然
高分子化合物あるいは半合成高分子化合物、ポリビニル
アルコール、イソプレン、ネオプレン、ポリブタジエン
等のポリジエン類、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポ
リプロピレン、ポリエチレン等のポリアルケン類、ビニ
ルハライド、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルア
ミド、メチルビニルエーテル等のビニル系重合体や共重
合体類、スチレン−ブタジエン系、メチルメタクリレー
ト−ブタジエン系等の合成ゴムラテックス、ポリウレタ
ン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、オレフィ
ン−無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂等から選択でき
る。なお、各化合物における「(メタ)アクリル」なる
表現はメタアクリルおよびアクリルの双方を意味する。
前記高分子化合物の中から、転写シートに要求される品
質に応じて、前記接着剤として1種又は2種以上を組合
せて適宜選択して使用することができる。
【0049】前記接着剤の配合割合は、前記顔料100
質量部に対して5質量部〜50質量部の範囲であること
が好ましく、5質量部〜20質量部の範囲であることが
より好ましい。前記配合割合が5質量部未満の場合、前
記配合割合で基材に塗工された塗工層表面に更に受像層
を塗工する際に、前記基材の表面が前記受像層の塗工液
に含まれる樹脂液によって侵される場合があり、良好な
白紙光沢度を得ることが困難になる。一方、前記配合割
合が50質量部を超えた場合、前記塗工層を塗工する際
に、泡が発生して前記塗工層の表面にザラツキが発生す
る場合があり、良好な白紙光沢度を得ることが困難にな
る。
【0050】前記塗工層を形成するための塗布液には、
前記顔料及び前記接着剤の他に、各種助剤を必要に応じ
て添加することも可能である。かかる各種助剤として
は、例えば界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、柔軟
剤、光沢付与剤、分散剤、流動変性剤、導電防止剤、安
定化剤、帯電防止剤、架橋剤、サイズ剤、蛍光増白剤、
着色剤、紫外線吸収剤、消泡剤、耐水化剤、可塑剤、滑
剤、防腐剤、香料等が挙げられる。
【0051】前記塗工層の塗工量は、本発明の転写シー
トの使用目的に応じて適宜に選択される。一般的には、
基材表面の凹凸を完全に覆う程度の量が望ましいため、
前記塗工量は乾燥質量で8〜40g/m2 であることが
好ましい。前記塗工層を形成する塗工方法は、特に限定
されないが、一般に公知の塗工装置、例えばブレードコ
ータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、リバースロ
ールコータ、バーコータ、カーテンコータ、ダイコー
タ、グラビアコータ、チャンプレックスコータ、ブラシ
コータ、ツーロールあるいはメータリングブレード式の
サイズプレスコータ、ビルブレードコータ、ショートド
ウェルコータ、ゲートロールコータ等を適宜用いること
ができる。
【0052】前記塗工層は、基材の片面或いは両面に形
成される。前記塗工層は、1層以上の中間層を有する多
層構造から成ることも可能である。なお前記基材の両面
に塗工層を形成する場合、基材の表面と裏面で塗工され
る塗布液の組成と塗工量とは同一でなくてもよい。ま
た、前記基材表面に形成される塗工層が多層構造である
場合、各層毎に塗工される塗布液の組成と塗工量とは同
一でなくてもよい。更に、前記塗布液の組成または前記
塗工量は所要の品質に応じて適宜調整される。また前記
基材の片面に前記塗工層を設けた場合、前記基材のもう
一方の片面に合成樹脂層や顔料と接着剤等からなる塗布
層又は帯電防止層等を設けて、カール発生を防止した
り、印刷適性、及び給排紙適性等を付与することも可能
である。さらに前記基材のもう一方の片面に種々の後加
工、例えば粘着、磁性、難燃、耐熱、耐水、耐油、防滑
等の加工を施すことにより、各種の用途適性を付加する
ことも可能である。
【0053】前記塗工層を設けた基材は、通常の乾燥工
程や表面処理工程等において平滑化処理され、前記基材
及び塗工層の合計の水分含有量が、好ましくは3質量%
〜10質量%の範囲、より好ましくは4質量%〜8質量
%の範囲となるように調整される。
【0054】前記塗工層を設けた基材に平滑化処理を施
す際には、通常のスーパーカレンダ、グロスカレンダ、
ソフトカレンダ等の平滑化処理装置を用いて行われる。
前記平滑化処理はオンマシンやオフマシンで適宜施され
てもよく、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も
通常の平滑化処理装置に応じて適宜調節される。なお、
基材表面に予め顔料と接着剤とからなる塗工層が設けら
れた市販の用紙を用いることにより塗工層の形成を省略
してもよい。
【0055】本発明で用いられる基材は、特に限定され
るものではないが、例えば抄紙pHが4.5付近である
酸性抄紙、炭酸カルシウム等のアルカリ性填料を主成分
として含む抄紙pHが約6〜9の範囲である弱酸性乃至
弱アルカリ性である中性抄紙等を用いることができる。
抄紙方法については、特に限定されないが、一般の長網
多筒式、丸網単筒式、ヤンキー等の抄紙機が適宜用いら
れる。また、用途に応じて前記基材として、合成紙、不
織布、合成樹脂フィルムも使用できる。さらに、前記基
材としてパルプを用いる場合は、ECFパルプ及び/又
はTCFパルプの塩素フリーパルプが好ましく用いら
れ、また、前記パルプに古紙パルプを配合して用いても
よい。
【0056】前記塗工層を設けた基材表面への受像層の
塗工は、特に限定されないが一般に公知の塗布装置、例
えば、リバースロールコータ、バーコータ、カーテンコ
ータ、ダイコータ、グラビアコータ等の装置を適宜用い
ることができる。
【0057】以上のように塗工層を設け、更にその上に
受像層を設けてなる転写シートは、必要に応じて平滑化
処理される。かかる平滑化処理は、特に限定されない
が、通常のスーパーカレンダ、グロスカレンダ、ソフト
カレンダ等の平滑化処理装置によって施される。また加
圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も通常の平滑化
処理装置に応じて適宜調節される。
【0058】〔画像形成方法〕本発明の画像形成方法
は、本発明の転写シートを用いることを特徴とする。か
かる画像形成方法は、潜像担持体に潜像を形成する潜像
形成工程と、該潜像を電子写真用現像剤を用いて現像
し、トナー像を得る現像工程と、現像されたトナー像を
被転写体に転写する転写工程と、該被転写体上のトナー
像を加熱圧着する定着工程と、を少なくとも含む公知の
画像形成方法が採用される。
【0059】本発明の画像形成方法には、接触型熱定着
装置を使用することができる。前記該接触型熱定着装置
としては、例えば、芯金上にゴム弾性層を有し、必要に
応じて表面層を具備した熱定着ローラ(定着部材)と、
芯金上にゴム弾性層を有し、必要に応じて表面層を具備
した圧着ローラと、の組合せから構成される熱定着ロー
ラ定着装置が挙げられる。但し前記熱定着ローラと前記
圧着ローラとの組合せを、熱定着ローラと圧着ベルトと
の組み合わせ、熱定着ベルト(定着部材)と圧着ローラ
との組合せ、あるいは、熱定着ベルトと圧着ベルトとの
組み合わせ、から構成される各種接触型熱定着装置も使
用できる。かかる熱定着ベルトや圧着ベルトは、ベルト
状の基材の表面に、必要に応じてゴム弾性層や表面層が
形成されてなる。前記ゴム弾性層としては、シリコーン
ゴムやフッ素ゴム等の耐熱性ゴムが用いられる。
【0060】前記表面層としては、シリコーンゴム、フ
ッ素ゴム、フッ素ラテックス、フッ素樹脂等の表面エネ
ルギーの低い材料が用いられる。該材料を前記表面層と
して用いた場合、本発明の転写シートは離型性に優れる
ために良好な信頼性が得られる。特に、前記表面層とし
てフッ素樹脂を用いた場合、長期に渡り、信頼性の高い
定着性能が得られる。
【0061】かかるフッ素樹脂としては、PFA(パー
フロロアルコキシエチルエーテル共重合体)等のテフロ
ン(R)、フッ化ビニリデン等が含有された軟質フッ素
樹脂を用いることができる。前記フッ素樹脂を用いれ
ば、シリコーンゴムやフッ素ゴムと比較して、トナー汚
れ等の付着や沈着による離型性の低下が見られず、ま
た、耐摩耗性にも優れるため、定着部材の長寿命化を図
ることができる。
【0062】前記定着部材の芯金や基材には、耐熱性に
優れ、変形に対する強度が強く、熱伝導性の大きい材料
が選択される。ローラ型の定着装置の場合の芯金とし
て、例えばアルミ、鉄、銅等が選択され、ベルト型の定
着装置の場合の基材として、例えばポリイミドフィル
ム、ステンレス製ベルト等が選択される。
【0063】前記定着部材の各層には、目的に応じて各
種の添加剤を含有してもよい。該添加剤としては、例え
ば、耐摩耗性向上、抵抗値制御等の目的でカーボンブラ
ックや金属酸化物、SiCなどのセラミックス粒子等を
選択することができる。
【0064】図1に本発明の画像形成方法に用いる定着
装置を示し、定着工程について詳記する。図1に示す定
着装置は、定着部材がローラ形状を有する装置であり、
熱定着ローラ(定着部材)1と、これに対向配置された
圧着ローラ2とからなる。熱定着ローラ1は加熱源3
と、芯金8と、弾性層5と、定着部材表面層4とからな
る。圧着ローラ2は少なくとも芯金8と、弾性層5から
なり、必要に応じて加熱源3を有していてもよい。転写
シートへのトナー像の定着は、トナー像6が形成された
転写シート(被転写体)7が、熱定着ローラ1と圧着ロ
ーラ2との間を通過する際に、加熱、加圧されることに
より行われる。なお、図1に示した定着装置は熱定着ロ
ーラ1と圧着ローラ2とからなる組合せに限定されるも
のではなく、例えば、熱定着ローラと圧着ベルトとの組
み合わせ、熱定着ベルトと圧着ローラとの組合せ、ある
いは、熱定着ベルトと圧着ベルトとの組み合わせ、から
構成される定着装置であってもよい。
【0065】図1に示す定着装置は、必要に応じてさら
に、熱定着ローラ1の表面に付着したトナーを除去する
ための不図示のクリーニング部材、圧着ローラ2を加熱
するための加熱源3、転写シート7を熱定着ローラ1か
ら剥離させる不図示の爪(フィンガー)などを有してい
てもよい。なお、図1に示す定着装置における加熱源3
は、温度制御装置(図示せず)により制御されている。
【0066】定着部材である熱定着ローラ1及び圧着ロ
ーラ2は、単層又は積層構造の弾性層5を有することが
好ましい。弾性層5の厚みは0.1mm〜3mmの範囲
が好ましく、0.5mm〜2mmの範囲がより好まし
い。弾性層の厚みが3mmを越えた場合、前記定着部材
の熱容量が大きくなるため、定着時に前記定着部材を所
望の温度まで加熱するのに長い時間を要する場合や、加
熱に必要なエネルギーが増大する場合がある。また、弾
性層5の厚みが0.1mm未満の場合、前記定着部材の
変形が転写シート7の表面に形成されたトナー像6の凹
凸に追従することが困難になるため、トナーの溶融ムラ
が発生する場合や、転写シート7が前記定着部材の表面
から剥離するのに有効な弾性層5の歪みが得られない場
合がある。
【0067】弾性層5には、シリコーンゴムやフッ素ゴ
ム等の耐熱性ゴムが用いられ、該耐熱性ゴムのゴム硬度
(JIS−A)は60以下が好ましい。前記定着部材が
弾性層5を有している場合、定着時に転写シート7の表
面に形成されたトナー像6の凹凸に追従して前記定着部
材が変形し、定着後の印刷物の画像の平滑性を向上させ
ることができる利点がある。
【0068】本発明の画像形成方法における定着工程は
1回に限定されるものではない。前記定着工程は2回以
上行うことが好ましい。図2に示す定着装置は、図1に
示す定着装置をタンデム状に並べたものである。図2に
示した定着装置では、転写シート7表面に形成されたト
ナー像6が、図2の右側に示した熱定着ローラ1と圧着
ローラ2とから成る第1の定着器で加熱加圧され、転写
シート7の受像層にトナー像6のトナーが埋め込まれ
る。更に、図2の左側に示した2番目の熱定着ローラ1
と圧着ローラ2から成る第2の定着器で再度加熱加圧さ
れることにより、前記トナーは前記受像層中に更に深く
埋め込まれる。第1の定着器および第2の定着器の構成
は、図2に示した熱定着ローラ1と圧着ローラ2からな
る組み合わせに限定されるものではない。例えば前記2
つの定着器は、熱定着ローラと圧着ベルト、熱定着ベル
トと圧着ローラ、あるいは、熱定着ベルトと圧着ベルト
とを組合せた定着器でもよい。また、前記組合せは第1
の定着器と第2の定着器で異なるものであってもよい。
【0069】図1および図2に示した定着装置を用いた
前記画像形成方法では、本発明の離型性に優れた転写シ
ートを用いている。従って、前記定着装置の定着部材が
表面エネルギーの低い材料からなる表面層を有する場
合、定着時、特に加熱圧着により定着する際に、前記定
着部材表面へのオイル等の離型剤の塗布は必ずしも必要
ではない。すなわち、本発明の画像形成方法ではオイル
レス定着システムを採用することができる。
【0070】前記オイルレス定着システムを採用した画
像形成方法では、印刷物の表面には離型剤が付着しな
い。このため、前記印刷物に粘着のり付き付箋等を貼り
付けることができ、また、水性インク等を用いた筆記具
による前記印刷物への書きこみが容易に行える。さら
に、離型剤の付着ムラによる画質の低下が起こらず高品
位な画像を得ることができる。また、前記オイルレス定
着システムを採用した画像形成方法では、定着装置には
離型剤の供給装置が不要となる。このため、前記定着装
置の小型化と低コスト化が達成でき、また、消耗品であ
る離型剤の補充が不要となり、且つ、定着時のランニン
グコストも安くできるという利点もある。
【0071】前記画像形成方法は、前記定着工程を1回
以上行うことにより、トナー定着後の被転写体(転写シ
ート)の白紙光沢度(JIS Z 8741 20°
法)が40%以上、好ましくは70%以上、さらに好ま
しくは90%以上になるように定着される。
【0072】図3は、本発明の画像形成方法に好適に用
いられる画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図3に示す画像形成装置は、潜像担持体11を備え、潜
像担持体11の周りには、ローラ型帯電器12と、露光
装置13と、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの
各現像剤をそれぞれ収容する現像器14a、14b、1
4c、14dを内蔵した現像装置14と、ベルト状の中
間転写体15と、クリーナー16と、光除電器17と、
が配置されている。中間転写体15は、支軸ローラー1
8a、18b、18cで張架されている。支軸ローラー
18aは、中間転写体15を介して、潜像担持体11と
圧接している。支軸ローラー18cは、中間転写体15
を介して、転写用ロール19に圧接され中間転写体15
と転写用ロール19との間にニップ部が形成されてい
る。また、転写用ロール19により転写シート7に転写
されたトナー像を定着させる熱定着ローラ1と圧着ロー
ラ2とからなる定着器が備えられている。
【0073】図3に示す前記画像形成装置を用いて、本
発明の画像形成方法により下記のように画像が形成され
る。帯電器12により帯電された潜像担持体11を露光
装置13により、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラッ
クの各色の画像情報に基づいて露光することにより、潜
像担持体11に潜像が形成される。該潜像は、現像装置
14に内蔵された現像器14a、14b、14c、14
dにより各色ごとに現像されて、潜像担持体11表面に
トナー像が現像される。現像されたトナー像は、ベルト
状の中間転写体15表面に各色ごとに転写され重ね合わ
せられる。中間転写体15表面のトナー像は、中間転写
体15の矢印P方向への進行に伴い、中間転写体15を
介して圧接されている転写用ローラ19との間のニップ
部まで移動する。中間転写体15表面のトナー像が、当
該ニップ部を通過する際、該ニップ部に同時に挿通され
重ね合わせられた転写シート7に転写される。転写シー
ト7に転写されたトナー像は、転写シート7が熱定着ロ
ーラ1と圧着ローラ2との間を通過させられることによ
り転写シート7表面に定着され、画像が形成される。
【0074】なお、潜像担持体11表面のトナー像を中
間転写体15に転写した後、潜像担持体11の表面に残
存したトナー像がクリーナー16よって除去され、さら
に潜像担持体11の表面に残存した残留電荷が光除電器
17によって除電され、次の画像形成に備えられる。
【0075】
【実施例】以下に本発明を実施例を挙げてより具体的に
説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるも
のではない。
【0076】(実施例1)以下に示す受像層組成物を溶
媒として50℃のトルエンに溶解した溶液とした後、攪
拌しながら前記溶液の温度を毎分1℃の割合で低下させ
て25℃の受像層塗工液(固形分濃度25質量%)を得
た。この受像層塗工液を、予め顔料と接着剤とからなる
塗工層が設けられた市販の坪量157g/m2のキャス
トコート紙(ミラーコートプラチナ、王子製紙株式会社
製)の光沢面に、バーコータを用いて10g/m2 (絶
乾質量)となるように塗工し、坪量167g/m2の電
子写真用転写シートを得た。該電子写真用転写シートの
CDこわさは22cmであった。
【0077】〔受像層組成物〕 ・ポリエステル樹脂(熱可塑性樹脂、品番:TP22
0、日本合成化学社製): 100質量部 ・カルナバワックス(離型剤、東亜化成株式会社):
5質量部
【0078】得られた電子写真用転写シートに、図3に
示した画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製、Do
cuColor1250を用いた。但し、前記画像形成
装置の定着装置は予め除去した。)を用いて、トナー像
が転写シートに定着されていない未定着シートを作成し
た。該未定着シートに形成したトナー像は、網点面積率
100%部分のトナー量が各色とも0.7mg/cm2
となるように画像形成装置を調整し、イエロー、マゼン
タ、シアンの各1次色、レッド、ブルー、グリーンの各
2次色、およびイエロー、マゼンタ、シアンからなる3
次色を有し、かつ網点面積率が0〜100%に広く分布
しているものを採用した。
【0079】前記未定着シートは、図1に示した定着装
置を用いて、定着圧力を4kg/cm2、熱定着ローラ
1の表面温度を170℃、圧着ローラ2の表面温度を1
50℃、定着速度60mm/secとして定着し、定着
画像を得た。定着時には熱定着ローラ1および圧着ロー
ラ2への離型剤の塗布は行わなかった。
【0080】(実施例2)実施例1において、予め顔料
と接着剤とからなる塗工層が設けられた市販の坪量79
g/m2のコート紙(OKトップコートN、王子製紙株
式会社製)を用い、離型剤の配合量を8質量部とし、そ
れ以外は実施例1と同様にして、電子写真用転写シート
を得た。かかる電子写真用転写シートは、坪量が89g
/m2、CDこわさが12cmであること以外は実施例
1で得られた電子写真用転写シートと同様であった。更
に得られた電子写真用転写シートを用いて、実施例1と
同様にして定着画像を得た。
【0081】(実施例3)受像層組成物を下記内容とす
る以外は、実施例1と同様にして、電子写真用転写シー
トを得た。更に得られた電子写真用転写シートを用い
て、実施例1と同様にして定着画像を得た。 〔受像層組成物〕 ・ポリエステル樹脂(熱可塑性樹脂、品番:TP22
0、日本合成化学社製): 100質量部 ・パラフィンワックスSP0160(離型剤、日本精鑞
株式会社製): 5質量部
【0082】(実施例4)受像層組成物を下記内容とす
る以外は、実施例1と同様にして、電子写真用転写シー
トを得た。更に得られた電子写真用転写シートを用い
て、実施例1と同様にして定着画像を得た。 〔受像層組成物〕 ・ポリエステル樹脂(熱可塑性樹脂、品番:TP21
7、日本合成化学社製): 100質量部 ・パラフィンワックスSP0160(離型剤、日本精鑞
株式会社製): 7質量部
【0083】(実施例5)実施例4において、受像層の
塗工量を20g/m2 (絶乾質量)としたこと以外は、
実施例4と同様にして、電子写真用転写シートを得た。
かかる電子写真用転写シートは、坪量が177g/
2、CDこわさが23cmであること以外は実施例4
で得られた電子写真用転写シートと同様であった。更に
得られた電子写真用転写シートを用いて、実施例4と同
様にして定着画像を得た。
【0084】(実施例6)定着工程を2回行うこと以外
は、実施例3と同様にして、定着画像を得た。
【0085】(実施例7)定着工程を3回行うこと以外
は、実施例3と同様にして、定着画像を得た。
【0086】(実施例8)実施例1で、受像層組成物を
下記内容としたこと以外は、実施例1と同様にして、電
子写真用転写シートを得た。更に得られた電子写真用転
写シートを用いて、実施例1で、定着工程を2回行うこ
と以外は、実施例1と同様にして定着画像を得た。 〔受像層組成物〕 ・ポリエステル樹脂(熱可塑性樹脂、品番:T271
6、日本合成化学社製): 100質量部 ・カルナバワックス(離型剤、日本精蝋株式会社製):
5質量部
【0087】(比較例1)受像層組成物を下記内容とす
る以外は、実施例1と同様にして、電子写真用転写シー
トを得た。さらに得られた電子写真用転写シートを用い
て実施例1と同様にして定着画像を得た。 〔受像層組成物〕 ・ポリエステル樹脂(熱可塑性樹脂、品番:TP22
0、日本合成化学社製): 100質量部 ・PARAFFIN WAX−115(離型剤、日本精
蝋株式会社製): 8質量部
【0088】(比較例2)受像層組成物を下記内容とす
る以外は、実施例1と同様にして、電子写真用転写シー
トを得た。さらに得られた電子写真用転写シートを用い
て実施例1と同様にして定着画像を得た。 〔受像層組成物〕 ・ポリエステル樹脂(熱可塑性樹脂、品番:TP22
0、日本合成化学社製): 100質量部 ・Polywax1000(離型剤、東洋ペトロライト
株式会社製): 5質量部
【0089】(比較例3)受像層組成物を25℃のトル
エンに攪拌しながら分散・溶解させて作製した受像層塗
工液を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真用
転写シート得た。更に得られた電子写真用転写シートを
用いて、実施例1と同様にして定着画像を得た。
【0090】評価方法 〔坪量測定方法〕坪量測定方法は、JIS P 812
4に記載の方法により測定した。結果を表1及び表2に
示した。
【0091】〔CDこわさ測定方法〕CDこわさ測定方
法は、JIS P 8143に記載の方法により測定し
た。結果を表1および表2に示した。
【0092】〔離型剤の溶融時傾斜角の測定方法〕離型
剤の溶融時傾斜角の測定は、以下の(1)〜(3)に示
した方法で実施した。 (1)離型剤の準備 離型剤を乳鉢等で練りつぶし、直径が0.5mm〜1m
mの球形の大きさのものを10粒選択し、離型剤粒子の
試料を得た。
【0093】(2)離型剤の定着部材表面における溶融
時傾斜角の測定 定着器の定着部材表面から、表面層シートを採取し、定
着時に前記表面層シートが電子写真用転写シートと接触
する表層側を上にして平面状に伸ばし、かかる表層側に
(1)で得た離型剤粒子の試料を置いた。次に、当該表
面層シートを、150℃に加熱した乾燥機中にて2時間
放置し前記試料を溶融させた。その後冷却して、前記試
料を前記表面層シート上で固化させた。溶融時傾斜角
は、接触角測定装置(共和界面化学(株)製、CA−X
型)を使用して、固化した前記試料の裾野の角度を、1
粒につき左右2箇所測定した。離型剤の定着部材表面に
おける溶融時傾斜角は、前記測定を10粒全ての前記試
料について測定した合計20箇所の測定値の平均値とし
て求めた。
【0094】(3)離型剤の熱可塑性樹脂表面における
溶融時傾斜角の測定 実施例および比較例中にて使用したポリエステル樹脂
(熱可塑性樹脂)のみを、トルエンに溶解した塗工液
(固形分濃度25質量%)を作製した。次に、この塗工
液を、坪量140g/m2のOHPフィルム(品番:V
516、富士ゼロックスオフィスサプライ(株))の上
にバーコーターを用いて10g/m2(絶乾質量)とな
るように塗工し、ポリエステル樹脂層が形成されたシー
トを得た。更に、このシートのポリエステル樹脂層が形
成された表面に(1)で得た離型剤粒子の試料を置き、
前記シートを150℃に加熱した乾燥機中にて5分間放
置して前記試料を溶融させた。その後、冷却して、前記
試料を前記シート上で固化させた。その後は、上記の
「(2)離型剤の定着部材表面における溶融時傾斜角の
測定」と同様の手順で、離型剤の熱可塑性樹脂表面にお
ける溶融時傾斜角を求めた。離型剤の定着部材表面にお
ける溶融時傾斜角、および、離型剤の熱可塑性樹脂表面
における溶融時傾斜角の測定結果を表1及び表2に示し
た。
【0095】〔離型剤の個数平均分散径の測定方法〕電
子写真用転写シートから5mm×5mmの切片を5枚切
り取り、透過型電子顕微鏡(JEM−1010型、日本
電子データム株式会社製)により倍率10000倍で測
定を実施した。この測定により得られた画像はルーゼッ
クス画像解析装置(ニレコ株式会社製)に取り込み、1
切片についてランダムに50個以上の離型剤粒子の面積
を測定し、個々の面積に相当する円の直径を計算した。
次に、5切片のこの直径を平均することにより、個数平
均分散径として求めた。
【0096】〔白紙光沢度の測定方法〕白色光沢度の測
定は、JIS Z 8741に記載の方法に基づき、定
着後の印刷物の白紙面について入射角と受光角が20°
の条件で光沢度を測定した。光沢度の測定は光沢測定器
(GM−26D型、村上色彩研究所社製)を使用した。
光沢度の測定結果を表1及び表2に示した。
【0097】〔オイルレス定着器剥離性(巻き付き現象
の有無)確認方法〕定着時の剥離性(巻き付き現象の有
無)を目視により確認した。結果を表1及び表2に示し
た。
【0098】〔記録画像面の光沢ムラ(画像光沢の均一
性)の評価〕印刷物の画像面の光沢ムラ(画像光沢の均
一性)を目視により評価し、光沢ムラの程度を下記の評
価基準で目視評価した。結果を表1及び表2に示した。 ◎:光沢ムラがなく極めて優れている。実用上問題がな
く、画質も優れている。 ○:光沢ムラが殆どなく良好である。実用上問題がな
い。 △:光沢ムラがあり僅かに劣っている。実用上問題があ
る。 ×:光沢ムラが多く劣っている。実用上問題があり、画
質も著しく劣っている。
【0099】〔高温保管性の評価〕印刷物の画像部分と
白紙部分を用いて、以下に示す「画像の重ね合わせパタ
ーン」で印刷物を重ね合わせ55℃30%RH環境下に
て、荷重40g/cm2の条件で1週間放置した。次
に、当該印刷物の画像および白紙部欠陥を以下に示した
「画像欠損評価」基準に基づき評価し、かかる評価結果
を高温保管性の評価とした。結果を表1及び表2に示し
た。 (画像の重ね合わせパターン) ■白紙部×白紙部、■ベタ画像×白紙部、■ベタ画像×
ベタ画像、■ベタ画像×白紙の裏、■白紙部×白紙の裏 ※「×」の前後を向き合わせて重ねる (画像欠損評価)得られた画像を、以下の評価基準で目
視評価した。 ◎:ベタ画像あるいは白紙部で欠損もなく、光沢感も低
下していない。実用上は問題がなく、画質も優れてい
る。 ○:ベタ画像あるいは白紙部で欠損はないが、わずかに
光沢感が低下している。実用上は問題がない。 △:ベタ画像あるいは白紙部で欠損はないが、光沢感が
低下している。実用上は問題がある。 ×:ベタ画像あるいは白紙部で欠損が発生している。実
用上は問題があり、画質も著しく劣っている。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
【発明の効果】上記した本発明によれば、オイルレス定
着システムで印刷する際に転写シートの巻き付き現象が
起こらず、前記オイルレス定着システムで印刷された印
刷物の高温保管性が優れている電子写真用転写シートお
よび画像形成方法を提供することができる。また、前記
した効果に加えて、前記印刷物に光沢ムラがなく高光沢
である画像を形成することができる電子写真用転写シー
トおよび画像形成方法を提供することができ、実用上極
めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法に用いる定着装置の例を
示す概略構成図である。
【図2】本発明の画像形成方法に用いる定着工程を2回
とする定着装置の例を示す概略構成図である。
【図3】本発明の画像形成方法に用いる画像形成装置の
例を示す概略構成図である。
【符号の説明】 1 熱定着ローラ(定着部材) 2 圧着ローラ 3 加熱源 4 定着部材表面層 5 弾性層 6 トナー像 7 転写シート(被転写体) 8 芯金 11 潜像担持体 12 ローラ型帯電器 13 露光装置 14 四色現像器(14a、14b、14c、14d) 15 中間転写体 16 クリーナー 17 光除電器 18 支軸ローラ(18a、18b、18c) 19 転写用ローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 栗原 英三 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社海老名事業所内 (72)発明者 岡崎 崇 東京都江東区東雲1丁目10番6号 王子製 紙株式会社東雲研究センター内 (72)発明者 時吉 智文 東京都江東区東雲1丁目10番6号 王子製 紙株式会社東雲研究センター内 (72)発明者 加藤 勝 東京都江東区東雲1丁目10番6号 王子製 紙株式会社東雲研究センター内 Fターム(参考) 2H033 AA01 AA35 AA45 BA01 BA59 BB01 BB38 2H200 FA16 GA09 GA17 GA23 GA44 GA47 GB25 HA03 HB12 JB10 JC03 MA04 MA13 MA17 MA20

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顔料と接着剤とを主成分とする塗工層が
    設けられた基材の少なくとも片面に、熱可塑性樹脂を主
    成分とし離型剤を含有する受像層が設けられてなる転写
    シートであって、 該転写シートのCDこわさが10cm以上であり、 前記離型剤の定着部材表面における溶融時傾斜角が35
    °〜70°の範囲であり、 前記離型剤の前記熱可塑性樹脂表面における溶融時傾斜
    角が30°以下であり、 前記受像層中における前記離型剤の個数平均分散径が
    1.0μm以下であることを特徴とする電子写真用転写
    シート。
  2. 【請求項2】 前記離型剤の融点が、50℃〜90℃の
    範囲であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真
    用転写シート。
  3. 【請求項3】 前記受像層において前記離型剤が、前記
    熱可塑性樹脂に対して0.5質量%〜10質量%の範囲
    で配合されていることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の電子写真用転写シート。
  4. 【請求項4】 前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度が、
    85℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れか1に記載の電子写真用転写シート。
  5. 【請求項5】 前記受像層の厚みが、3μm〜25μm
    の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    1に記載の電子写真用転写シート。
  6. 【請求項6】 少なくとも、潜像担持体に潜像を形成す
    る潜像形成工程と、該潜像を電子写真用現像剤を用いて
    現像し、トナー像を得る現像工程と、現像されたトナー
    像を被転写体に転写する転写工程と、該被転写体上のト
    ナー像を加熱圧着する定着工程と、からなる画像形成方
    法であって、 前記被転写体が、請求項1〜5のいずれか1に記載の電
    子写真用転写シートであることを特徴とする画像形成方
    法。
  7. 【請求項7】 前記定着工程が、定着部材表面に離型剤
    が塗布されていない定着部材により定着する工程である
    ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成方法。
  8. 【請求項8】 前記定着工程を2回以上行うことを特徴
    とする請求項6又は7に記載の画像形成方法。
  9. 【請求項9】 前記被転写体の白紙光沢度が、40%以
    上であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1に
    記載の画像形成方法。
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