JP2003053626A - スぺーサー用リング並びに該リングを取着してなる回転刃具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電動工具等のスピンドル外径と、該スピンド
ルに嵌挿して取り付けられる回転刃具の取付孔の孔径と
の差を補って、同心円に取り付けるためのスペーサー用
リングであって、取付時や取り付けた後の作業中に、該
リングがズレや脱落しない構造としたスペーサー用リン
グと、該リングを取着した回転刃具を提供する。 【解決手段】 中心部に電動工具等への取付孔を有する
回転刃具を、該取付孔を介して電動工具等のスピンドル
へ取り付ける際、該取付孔とスピンドルとの径の相違を
補うために用いられるスぺーサー用リングであって、一
端がフランジ部、それに連なる他端が環状のボス部から
なり、該ボス部の先端外周縁に、円環状の突起部が設け
られてなることを特徴とするスペーサー用リング、並び
に該リングを取着してなる回転刃具。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、ダイヤモンド工
具等の回転刃具を、電動工具等へ取り付ける際に、電動
工具のスピンドルの外径と、回転刃具の取付孔の内径と
の相違を補い、該回転刃具が電動工具等へ同心で取り付
けられるためのアダプターリングに係り、詳しくは、回
転刃具の取付孔に取り付ける際、及び取り付けられた後
に、該取付孔から脱落することの無いように構成された
スペーサー用リング、並びに該リングを取着してなる回
転刃具に関する。

【０００２】

【従来の技術】エンジン工具、電動工具、エアー工具等
に取り付けられ、各種被削材を高速回転で切断したり研
削するためのダイヤモンド工具等の回転刃具は、図７に
示すように通常該回転刃具を構成する基板１０２の中心
部に、上記電動工具等の砥石軸の先端に連なって設けら
れる、スピンドル１０１に嵌挿されるための取付孔１１
４を有している。この取付孔１１４の内径がスピンドル
１０１の外径に一致している場合は、回転刃具は工具の
砥石軸に同心円に取り付けられるため、芯ぶれなどの懼
れもなく安定した取付が可能となり、特段の不都合はな
いが、工具側のスピンドル１０１の外径は、必ずしも同
一ではなく工具メーカーによって微妙に異なるのが実状
である。

【０００３】一方、ダイヤモンド工具などの回転刃具を
製造する砥石メーカーの立場においては、可能な限り汎
用性を持たせるため、図７に示すように砥石基板１０２
の取付孔１１４の内径を大ならしめ、スピンドル１０１
の外径との空隙をスペーサー用のリング１０８で補うこ
とにより対応している。このようにして内フランジ１０
４、外フランジ１０５で基板１０２を挟持し、スピンド
ル１０１先端の雄ネジ１０６に、ナット１０７を螺合す
ることによって、工具に対する回転刃具の強固な取り付
けを完了する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが従来のスぺー
サー用リング１０８は、図７に示すようにスピンドル１
０１の外径と、回転刃具の基板１０２に設けられる取付
孔１１４の内径との隙間を補うためにのみ、機能するよ
う構成された所謂円筒状のリング１０８であるため、該
リング１０８を回転刃具の取付孔１１４にセットした
後、スピンドル１０１に嵌挿する際、該スピンドル１０
１の先端部に接触して抜け落ちたり、或いはそれを免れ
て図７に示すように正常に取付が完了しても、研削作業
中の高速回転や被削材との過酷な接触に起因する微妙な
振動により、該リング１０８がズレたり、あるいは脱落
するという状況に見舞われることがある。

【０００５】即ち、一般に回転刃具は図７に示すように
内フランジ１０４と、外フランジ１０５との間に挟持さ
れる形で電動工具等に取り付けられるが、より強固な取
り付けを完了させることを目的として、内フランジ１０
４、外フランジ１０５と回転刃具の基板１０２との間に
空隙１０９ａ、１０９ｂを設け、挟持部分の接触面積を
少なくすることにより、把持力となるトルクを大ならし
めるよう構成されている。

【０００６】ところで、ダイヤモンドソーブレード等の
回転刃具を構成する上記基板１０２の厚さは、通常１．
８〜２．０ｍｍに規定されている。一方、基板１０２と
内フランジ１０４並びに外フランジ１０５との間に設け
られる空隙１０９ａ、１０９ｂは、回転刃具の砥石部１
０３を含めた最大外径により異なり、一般に外径４〜８
吋（１００〜２００ｍｍ）の手持ちの電動工具等に取り
付けて用いられる回転刃具の場合は、その空隙１０９
ａ、１０９ｂは１〜１．５mm程度に統一されている。従
って基板１０２の取付孔１１４に面一に嵌挿されたスペ
ーサー用リング１０８は、水平方向にズレることはあっ
ても、物理的に空隙１０９a、１０９ｂ内に脱落するこ
とはあり得ないことになる。

【０００７】しかしながら、回転刃具の最大外径が１０
吋（２５０mm）以上の大径のダイヤモンドソーブレード
等は、エンジン工具や電動工具等に取り付けられ、より
過酷な条件の中で石材やコンクリートなどの切断や研削
作業に供せられるため、回転刃具を挟持する内フランジ
１０４並びに外フランジ１０５は、その把持力を大なら
しめるために大径化し、空隙１０９ａ、１０９ｂもそれ
に応じて通常２mm以上に設計されるため、作業中の過酷
な振動等によりリング１０８が徐々に抜け落ち、空隙１
０９ａ若しくは１０９ｂ内に脱落し、それに起因して芯
ぶれが発生し、作業を中断せざるを得ないという状況に
陥ることが多く、斯かる実体について屡々報告されてい
る。そこで、本発明は、このような従来技術に残された
課題を解決することを目的としてなされたものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本願による第１の発明は、中心部に電動工具等への取
付孔を有する回転刃具を、該取付孔を介して電動工具等
のスピンドルへ取り付ける際、該取付孔とスピンドルと
の径の相違を補うために用いられるスぺーサー用リング
であって、一端がフランジ部、それに連なる他端が環状
のボス部からなり、該ボス部の先端外周縁に円環状の突
起部が設けられてなることを構成上の特徴とするスペー
サー用リングにある。

【０００９】本発明の上記スぺーサー用リングにおい
て、該ボス部に少なくとも１条のスリットが設けられる
ことがより好ましい態様である。

【００１０】さらに本願による第２の発明は、中心部に
電動工具等への取付孔を有する回転刃具において、該取
付孔を介して電動工具等のスピンドルへ取り付ける際、
該取付孔とスピンドルとの径の相違を補うために用いら
れるスペーサー用リングとして、一端がフランジ部、そ
れに連なる他端が環状のボス部からなり、該ボス部の先
端外周縁に円環状の突起部が設けられたリングを、取着
してなることを構成上の特徴とする回転刃具にある。

【００１１】この発明による上記回転刃具は、該ボス部
に少なくとも１条のスリットが設けられることがより好
ましい態様である。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を添付し
た図面に基づきより詳細に説明するが、本発明はこれに
拘束されるものではなく、本発明の主旨の範囲内におい
て自由に設計変更が可能である。図１は本発明のスぺー
サー用リングの一実施例の正面図であり、図２はその平
面図である。図３は本発明の他の実施例の正面図であ
り、図４はその平面図、図５は同じくその斜視図であ
る。図６は本発明の回転刃具の一実施例を示す側面説明
図であり、図７は回転刃具の従来例を示す側面説明図で
ある。

【００１３】本願における第１の発明のスペーサー用リ
ング８は、図１に示すように一端がフランジ部１０、そ
れに連なる他端が環状のボス部１１からなり、該ボス部
１１の先端外周縁に円環状の突起部１２が設けられてい
ることを基本的な構成要件とする。該リング８の内径D
は、使用する電動工具等のスピンドルの外径に応じて形
成されるが、通常３０．５ｍｍ未満、最小が２０ｍｍ
で、電動工具等の種別に応じて４種類用意される。

【００１４】上記スペーサー用リング８のボス部１１の
外径は、使用する回転刃具の取付孔の孔径と、同じく使
用する電動工具等のスピンドルの外径との相違を補うこ
とを目的とするため、数種類用意されるが、通常最大が
３０．５ｍｍ、最小が２０ｍｍで、電動工具等の種別に
応じて４種類用意される。

【００１５】上記スペーサー用リング８のフランジ部１
０は、これを取り付けての研削作業中に、該リング８が
空隙９ａ内に脱落することを防ぐために設けられるが、
該リング８を回転刃具基板２の取付孔１４に嵌挿する際
に鍔として機能し、所謂ストッパーとして作用する役割
と、該リング８を装着した回転刃具を電動工具等のスピ
ンドル１に挿入する際に、該スピンドル１の先端に接触
して抜け落ちるのを防止するためにも作用する。従っ
て、該フランジ部１０の外径は、上記ボス部１１の外径
より大であれば特に制限はないが、取扱いの容易性等を
加味してボス部１１の外径より、径にして２〜６mm大き
いことが望ましい。また、該フランジ部１０の厚さはこ
れを形成する素材によっても異なるが、強度的に保証さ
れる範囲で可能な限り薄い方が望ましく、通常０．５〜
２mmの範囲で任意である。

【００１６】上記ボス部１１の長さは、回転刃具の基板
２の厚さにより定められるが、本発明のスペーサー用リ
ング８が用いられる回転刃具は、基板２の厚さが通常
１．８mm乃至は２．０mmであるため、それに対応する長
さが保証されれば任意である。また、該ボス部１１の先
端外周縁に設けられる円環状の突起部１２は、該基板２
の中心部に設けられる取付孔１４に嵌合し、取付完了後
は脱落を防止するために機能する範囲において、その最
大外径を含む寸法並びに形状は任意であるが、通常ボス
部１１の外径に対し、径にして０．５〜２mm程度の範囲
で大きいことが望ましい。

【００１７】回転刃具の取付孔１４に上記スぺーサー用
リング８のボス部１１を嵌合して一体化を図り、電動工
具等のスピンドルの外径と、該取付孔１４との差を修正
するる際、ボス部１１の先端外周縁に形成された上記突
起部１２が、該取付孔１４を潜って容易に嵌合するため
に、該ボス部１１にスリット１３を設けることが望まし
い。

【００１８】上記ボス部１１に設けられるスリット１３
は、回転刃具の基板２の中心部に形成される取付孔１４
に、該ボス部１１を嵌合する際、その外径が内側に歪ん
で嵌合を容易にするために作用し、嵌合が完了して回転
刃具とスペーサー用リングとが一体に形成された後は、
その弾発力でスプリングバックし、該リング８が回転刃
具の基板２に設けられた取付孔１４に、強固に取着され
た状態を維持する。従って該スリット１３は、該ボス部
１１に少なくとも１条、好ましくは２〜４条設けられ、
その幅と深さは上記目的を達成し得る範囲内において任
意であるが、通常幅は０．５〜２mm、深さは１．５〜２
mmであることが望ましい。

【００１９】本発明における上記スペーサー用リングを
形成する素材は、その機械的強度が担保されることを条
件に任意であるが、コスト面と加工性を加味してアルミ
ニウム等の軽金属、硬質プラスチック等の樹脂類が好ま
しく用いられる。

【００２０】本願における第２の発明のスペーサー用リ
ングを取着してなる回転刃具は、図６にその一例が示さ
れるように、基板２の中心部に設けられた取付孔１４
に、スペーサー用リング８を嵌合することによって形成
される。該リング８を回転刃具の取付孔１４に取り付け
る際は、該リング８のボス部１１の先端外周縁に形成さ
れた突起部１２を、該取付孔１４にあてがい強く押しつ
けると、該突起部１２が取付孔１４を潜って基板２の反
対側に貫通し、該取付孔１４に対する該ボス部１１の嵌
合が完了して、本発明のスペーサー用リングを取着して
なる回転刃具が完成する。

【００２１】上記嵌合の際、スペーサー用リング８のボ
ス部１１スリット１３を形成しておくことにより、該ス
リット１３の作用によって、該突起部１２を含むボス部
１１が内側に歪み、基板２の取付孔１４を潜って差し込
む作業が容易となり、嵌合に注がれる労力が著しく省力
化される。

【００２２】嵌合する際、上記スペーサー用リング８の
フランジ部１０は鍔として作用し、基板２の側面に当接
して、該リング８が必要以上に取付孔１４に差し込まれ
ることを妨げるストッパーの役割を果たす。このように
して該リング８のボス部１１が回転刃具の取付孔１４に
嵌合すると、該ボス部１１に設けられたスリット１３の
作用で、内側に歪んでいたボス部１１並びにそれに連な
る突起部１２の外径は、弾発力の作用で直ちにスプリン
グバックを果たし、もとの状態に復帰して回転刃具と、
スペーサー用リング８とが強固に一体化して、本発明に
おける他の例のスペーサー用リングを取着してなる回転
刃具が完成する。

【００２３】

【実施例】以下本発明を実施例によりさらに具体的に説
明する。 実施例１ 市販の外径３３mmのアルミニウム合金製丸棒を用意し、
旋盤加工により内径２２mm、ボス部１１の外径が２５．
４mm、該ボス部１１の先端外周縁に最大外径２６mmで、
全幅が１mmの半円形の突起部１２を設けると共に、それ
に連なって外径３３mm、厚さが１mmのフランジ部１０を
形成し、図１及び図２に示すような略円盤状のスペーサ
ー用リング８を製造した。なお、該ボス部１１の突起部
１２を含む全長は３mmであった。

【００２４】実施例２ 上記のようにして製造されたスペーサー用リング８の、
該ボス部１１を３等分して、セーパー加工によりそれぞ
れ幅１mm深さ２mmのスリットを設けた以外は、実施例１
と同様にして、図３〜図５示すようなスペーサー用リン
グ８を製造した。

【００２５】一方、外径３００mm、基板２の厚さが１．
８mmで、その中心部に内径２５．４mmの取付孔１４を有
するダイヤモンドソーブレードを用意し、実施例２によ
って得られたスペーサー用リング８を、該取付孔１４に
嵌合することにより、図６に示すような本発明のスペー
サー用リングを取着してなる回転刃具を完成した。次い
でこの回転刃具をエンジン工具（日立工機株式会社製）
のスピンドルに装着したところ、スピンドル外径と回転
刃具の取付孔の孔径との差は所期どうり解消され、これ
を用いてのトータル約５時間のコンクリート切断作業に
おいても、リングの脱落等は報告されず、本発明の効果
が確認された。

【００２６】

【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によるスペー
サー用リングは極めてシンプルで、かつその加工が容易
であるにも拘らず、これを取着した回転刃具、とりわけ
最大外径が１０吋（２５０mm）以上の回転刃具をエンジ
ン工具や電動工具等へ取り付け、コンクリートなどの切
断や各種研削等の過酷な作業に供した場合、従来のスペ
ーサー用リングにみられた脱落という弊害は起こらず、
それに起因する芯ぶれ等は効果的に解消された。また、
本発明によるスペーサー用リングは、素材としてアルミ
ニウム合金などの軽金属や、硬質プラスチック等の樹脂
を選択することも可能であり、しかも上記の通りその形
状がシンプルで、加工が容易であるところから、他品種
の工具や回転刃具に対応して、複数のリングを用意する
場合であっても、経済的に大きな負担とならないという
付加的な効果も期待できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るスペーサー用リングの一実施例を
示す正面図である。

【図２】同上実施例の平面図である。

【図３】本発明に係るスペーサー用リングの他の実施例
の正面図である。

【図４】同上実施例の平面図である。

【図５】同上実施例の斜視図である。

【図６】本発明に係るスペーサー用リングを取着してな
る回転刃具の、一実施例の側面説明図である。

【図７】従来例のスペーサー用リングを取着してなる回
転刃具の、側面説明図である。

【符号の説明】

１、１０１ スピンドル ２、１０２ 基板 ３、１０３ 砥石部 ４、１０４ 内フランジ ５、１０５ 外フランジ ６、１０６ 雄ネジ ７、１０７ ナット ８、１０８ スペーサー用リング ９ａ、９ｂ、１０９ａ、１０９ｂ 空隙 １０ フランジ部 １１ ボス部 １２ 突起部 １３ スリット １４、１０４ 取付孔 Ｄ スペーサー用リングの内径

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中心部に電動工具等への取付孔を有する
   回転刃具を、該取付孔を介して電動工具等のスピンドル
   へ取り付ける際、該取付孔とスピンドルとの径の相違を
   補うために用いられるスぺーサー用リングであって、一
   端がフランジ部、それに連なる他端が環状のボス部から
   なり、該ボス部の先端外周縁に円環状の突起部が設けら
   れてなることを特徴とするスペーサー用リング。
2. 【請求項２】 上記スペーサー用リングのボス部に、少
   なくとも１条のスリットが設けられることを特徴とする
   請求項１に記載のスペーサー用リング。
3. 【請求項３】 中心部に電動工具等への取付孔を有する
   回転刃具において、該取付孔を介して電動工具等のスピ
   ンドルへ取り付ける際、該取付孔とスピンドルとの径の
   相違を補うために用いられるスペーサー用リングとし
   て、一端がフランジ部、それに連なる他端が環状のボス
   部からなり、該ボス部の先端外周縁に円環状の突起部が
   設けられたリングを、取着してなることを特徴とする回
   転刃具。
4. 【請求項４】 上記スペーサー用リングのボス部に、少
   なくとも１条のスリットが設けられることを特徴とする
   請求項３に記載の回転刃具。