JP2003034863A - 真空成膜装置 - Google Patents

真空成膜装置

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JP2003034863A
JP2003034863A JP2001225442A JP2001225442A JP2003034863A JP 2003034863 A JP2003034863 A JP 2003034863A JP 2001225442 A JP2001225442 A JP 2001225442A JP 2001225442 A JP2001225442 A JP 2001225442A JP 2003034863 A JP2003034863 A JP 2003034863A
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Kazuo Kamiya
一夫 上谷
Kiyoshi Takeuchi
清 武内
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Shinmaywa Industries Ltd
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Shin Meiva Industry Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材に対する付着力が強く緻密な高品質の膜
に形成できるとともに、成膜可能な材質や成膜条件の制
約を受けること等のない真空成膜装置を提供することで
ある。 【解決手段】 真空成膜装置1に、真空チャンバ2内に
配置されるターゲット5に向かってレーザ光17を照射
するレーザ装置16を設ける。ターゲット5にレーザ光
17を照射することによって膜の原料からなる粒子群を
噴出させるようにする。また、基材ホルダ6を介して電
源ユニット10から出力された電力を真空チャンバ2内
に供給することによって、前記粒子群を励起させてイオ
ン化させるとともに、基材15に膜の原料のイオンを入
射させて成膜できるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、膜の原料をレーザ
光により蒸発させることに基づき成膜する真空成膜装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】真空成膜装置は、一般的に、真空チャン
バ内に配置された蒸発源により膜の原料物質を蒸発さ
せ、該蒸発させた膜の原料物質を成膜対象の基材上に析
出させて成膜するようにされている。そして、膜の原料
物質を蒸発させる蒸発源として、抵抗加熱に基づくもの
や電子ビーム照射に基づくものが用いられている。
【0003】抵抗加熱に基づく蒸発源にあっては、膜の
原料物質を保持する容器に一定の電力を供給して抵抗加
熱することで膜の原料物質を蒸発させる。また、電子ビ
ーム照射に基づく蒸発源にあっては、膜の原料物質に電
子ビームを照射して加熱することで膜の原料物質を蒸発
させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の真空
成膜装置のうちイオンプレーティングに基づく成膜装置
によると、真空チャンバ内にプラズマを生成させ膜の原
料物質をイオン化させることに基づいて成膜するので、
基材に対する付着力が強く緻密な高品質の膜を得ること
ができる。
【0005】しかし、このイオンプレーティングに基づ
く成膜装置について、その蒸発源として上記電子ビーム
照射に基づくものを用いると、以下の問題を生ずる。即
ち、イオンプレーティングに基づく成膜装置では、真空
チャンバ内に生成させたプラズマが電子ビームに対して
電気的影響を及ぼし電子ビームの故障を招く場合があっ
た。
【0006】そして、かかる電子ビームの故障を防止し
ようとすると、真空チャンバ内でプラズマ化させる膜の
原料物質の濃度を低下させる等する必要があった。従っ
て、イオンプレーティングに基づく成膜装置において、
電子ビーム照射による蒸発源を用いた場合、上記真空チ
ャンバ内の成膜可能なガス圧の制限に伴う成膜可能な条
件についての制約があり、成膜できる範囲が制限され
た。
【0007】一方、従来の蒸発源のうち前記抵抗加熱式
の蒸発源によると、膜の原料を保持する容器について、
膜の原料の融点よりも高い耐熱性が必要となり、超高温
に耐え得る特殊な金属等により形成する必要があった。
そのため、成膜可能な材質の制約を招くか、蒸発源に特
殊な材質を用いることに伴う装置のコストの増加を招い
た。また、抵抗加熱式の蒸発源を用いると、膜の原料を
保持する容器より膜の原料中に不純物が混入することが
あり、膜の品質上問題となることがあった。
【0008】また、以上の抵抗加熱式による蒸発源及び
電子ビーム照射による蒸発源のいずれについても、化合
物を成膜する場合における組成のずれを生じ易かった。
即ち、化合物に含まれる各元素毎の融点の相違により、
蒸発源に保持される膜の原料物質に含まれる元素の組成
と基材上に形成された膜の元素の組成との間でずれを生
じ易かった。そのため、基材上に形成された膜につい
て、必ずしも目標とする物理的強度や光学的特性等の諸
特性を得られない場合があった。
【0009】そこで、本発明は、基材に対する付着力が
強く緻密な高品質の膜に形成できるとともに、成膜可能
な材質や成膜条件の制約を受けることがなく、また化合
物を成膜する場合について、供給した膜の原料物質と成
膜された膜との間での組成のずれを防ぐこともできる真
空成膜装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、膜が形成される基材が内部の空間に配置
される真空チャンバと、前記基材を該基材の成膜対象と
なる表面に対する背面側から保持する基材ホルダと、前
記真空チャンバ内で前記膜の原料物質からなるターゲッ
トを前記基材に対向するように保持するターゲット保持
手段と、前記ターゲットの前記基材と対向する表面にレ
ーザ光を照射してプラズマ化したものを含む膜の原料物
質からなる粒子群を噴出させるレーザ光照射手段と、前
記真空チャンバ内における前記基材に対する背面側に配
置された電力供給用電極と、前記電力供給用電極を介し
て真空チャンバ内に少なくとも高周波電力を供給する電
源ユニットとを備え、前記電源ユニットより供給された
電力によって、前記ターゲットより噴出した粒子群をさ
らに励起してイオン化を促進させるとともに膜の原料物
質のイオンを前記基材に入射させて成膜するように構成
された真空成膜装置である(請求項1)。
【0011】本発明の真空成膜装置によると、膜の原料
をイオン化させて成膜できるので、基材に対する付着力
が強く緻密な高品質の膜に形成できる。そして、この発
明の真空成膜装置によると、膜の原料物質を真空チャン
バ内で蒸発させるにあたり、上記レーザ光照射手段によ
りレーザ光をターゲットに照射して蒸発させるので、真
空チャンバ内に上記プラズマを生成させることに伴う電
気的影響を受けることがない。
【0012】これにより、本発明の真空成膜装置による
と、前記基材に対する付着力が強く緻密な高品質の膜に
形成できるとともに、前記プラズマを生成させる条件を
広範囲に選択することができ、各種の成膜条件の下に各
種の膜を得ることができる。
【0013】また、膜の原料物質の蒸発を上記レーザ光
を照射して行い、該膜の原料を保持する容器自体を加熱
することがないので、膜の原料物質を保持する容器の耐
熱性に伴う制約を受けることもない。
【0014】また、膜の原料物質の蒸発をレーザ光の照
射によって行うので、化合物を成膜する場合でも各元素
間で略均一に加熱することができ、ターゲットの化合物
の組成と基材に形成された膜の化合物の組成とのずれを
低減させることができる。これにより、基材上に形成さ
れた膜について、目標とする物理的強度や光学的特性等
からのずれを少なくでき、所期の目標どおりの諸特性を
得ることができる。
【0015】また、この発明の真空成膜装置によると、
基材に入射させる原料物質の粒子群を励起するにあた
り、基材に対する背面側に配置される電力供給用電極を
介して電力を供給するので、基材とターゲットとの間の
空間全体を有効に利用して励起することができ、前記基
材に入射させる粒子群のイオン化を促進させ易い。
【0016】そして、前記基材ホルダを導電性の材質に
よって形成し、該基材ホルダを電力供給用電極としても
機能するように形成することができる(請求項2)。こ
れにより、前記基材ホルダが電力供給用電極と兼用され
るので、真空チャンバ内における構造をコンパクトにす
ることができる。また、基材を保持する基材ホルダによ
り前記膜の原料物質のイオン化を促進させる電力を供給
できるので、該電力に関する条件の調整を行い易くでき
る。
【0017】また、前記レーザ光照射手段について、紫
外域の波長のレーザ光を出力するように構成することが
できる(請求項3)。紫外域の波長のレーザ光による
と、その波長が短いので、前記ターゲットより粒子群を
噴出させるにあたり、ターゲット上に照射したエネルギ
ーに対する効率を高めることができる。
【0018】また、紫外域の波長のレーザ光によると、
化合物からなる膜を成膜する場合において、ターゲット
の元素の組成と基材に形成された膜の元素の組成とのず
れを特に低減させることができる。
【0019】また、前記レーザ光照射手段について、紫
外域の波長のレーザ光としてエキシマレーザ光を出力す
るエキシマレーザ装置を有する構成とすることができる
(請求項4)。エキシマレーザ装置によると、紫外域の
波長のレーザ光を出力させるにあたり、煩雑な調整等要
することなく、容易に高出力のレーザ光を出力させるこ
とができる。
【0020】そして、上記エキシマレーザ装置を用いる
にあたり、ArFを増幅媒質とするレーザ光を出力する
ものを用いることができる(請求項5)。ArFを増幅
媒質として出力されるエキシマレーザ光は、特に波長が
短いので、上記膜の原料物質の粒子群を噴出させ励起さ
せるにあたり、レーザ光のエネルギーに対して特に高効
率で行うことができる。また、化合物からなる膜を成膜
する場合に、ターゲットの元素の組成と基材に形成され
た膜の元素の組成とのずれを特に低減させることができ
る。
【0021】また、以上の真空成膜装置について、前記
電源ユニットを直流電力も供給できるように構成するこ
とができる(請求項6)。これにより、膜の原料物質の
イオンを基材に向かってより有効に加速させることがで
き、より緻密な膜に形成することが可能となり、膜の品
質を高めることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら本
発明の真空成膜装置の実施形態を説明する。
【0023】図1は、本発明の一実施形態である真空成
膜装置1の模式図であり、成膜装置1の構成の概略を示
している。真空成膜装置1は、成膜される基材15が内
部の空間に配置される真空チャンバ2を備えている。真
空チャンバ2の内部の空間は、特に図示されない真空ポ
ンプにより排気口14を介して排気され、成膜上の所要
の真空雰囲気とされる。
【0024】また、真空チャンバ2には第一のガス供給
口13a、第二のガス供給口13bが設けられている。
そして、第一のガス供給口13aを介してアルゴン等の
不活性ガスをチャンバ2内に供給できるようにされてお
り、第二のガス供給口13bを介して酸素や窒素等の反
応性ガスをチャンバ2内に供給できるようにされてい
る。そして、第一のガス供給口13a、第二のガス供給
口13bは、各々に特に図示しないガスボンベにより上
記ガスが所要の圧力として供給されるようにされてい
る。
【0025】前記第一のガス供給口13aを介して供給
される不活性ガスは真空チャンバ2内にプラズマを生成
させるための媒質とされ、第二のガス供給口13bを介
して供給される反応性ガスは膜の原料として用いられ
る。
【0026】真空チャンバ2内の下部には、膜の原料物
質からなるターゲット5が配置される。ターゲット5
は、レーザ光17を照射される表面が基材15に対向す
るようにターゲット用回転テーブル3によって保持され
る。
【0027】ターゲット用回転テーブル3は、ターゲッ
ト5を保持するためのターゲット保持手段にあたる。タ
ーゲット用回転テーブル3は、特に図示しないモータ等
の回転駆動手段により支持シャフト3aの中心軸C1回
りに回転駆動されるようにされており、ターゲット5を
軸C1回りに回転させつつ保持できるようにされてい
る。
【0028】また、真空チャンバ2には、ターゲット5
にレーザ光17を照射して膜の原料物質からなる粒子群
を噴出させるとともに励起させるレーザ光照射手段がチ
ャンバ2の外部に付設されている。
【0029】レーザ光照射手段は、レーザ光を出力する
レーザ装置16を備えている。チャンバ2外部に設けら
れるレーザ装置16より出力されたレーザ光17は、チ
ャンバ2の側部に付設される窓7を通してチャンバ2内
部に導入される。窓7は、レーザ光17の波長の光に対
して透明な材質で形成される。
【0030】また、レーザ光照射手段には、レーザ装置
16を駆動するための特に図示しない駆動機構が設けら
れており、 レーザ装置16を、特定の中心回りに回転
させるようにして姿勢を変更したり、直線的に移動させ
得るようにされており、レーザ光17をターゲット5に
対してアライメントできるようにされている。
【0031】また、レーザ装置16の出射側には特に図
示しないレンズ系が設けられており、このレンズ系を調
節することで、ターゲット5上でのレーザ光のスポット
径を任意に調節して照射できるようにされている。
【0032】レーザ装置16は、一般に入手可能な各種
のレーザ装置を用いることができ、各種の気体レーザ装
置や固体レーザ装置を用いることができる。例えば、レ
ーザ装置16として、炭酸ガスレーザ装置やエキシマレ
ーザ装置等の気体レーザ装置の他、YAGレーザ等のガ
ラスレーザ装置を用いることができる。
【0033】そして、レーザ装置16として、紫外域
(光の波長約30nm〜350nmの範囲)の波長のレ
ーザ光を出力できるものを用いるのがより好ましい。紫
外域の波長のレーザ光によると、波長が短くレーザ光の
光子エネルギーが高いので、膜の原料物質の構成元素の
化学結合を効率良く解離させることができる。
【0034】これにより、後に説明するようにターゲッ
ト5から膜の原料物質の粒子群を噴出させ励起させるに
あたり、ターゲット5上に入力するレーザ光のエネルギ
ーに対する効率を高めることができる。
【0035】また、紫外域の波長のレーザ光によると、
化合物からなる膜を成膜する場合に、ターゲット5の元
素の組成と基材15に形成された膜の元素の組成とのず
れを特に低減させることができる。即ち、紫外域の波長
のレーザ光によると、上記波長が短いことにより、化合
物に含まれる各元素間の光の吸収の差を特に少なくする
ことができ、各元素間でより均一にエネルギーを吸収さ
せ得るからである。
【0036】ターゲット5に紫外域の波長のレーザ光を
照射する場合について、レーザ装置16としてエキシマ
レーザ装置を用いるのが好ましい。エキシマレーザ装置
は、紫外光を出力するレーザ装置として技術的にも確立
されており、動作させるにあたって煩雑な調整等を要す
ることなく、比較的に容易に高出力のレーザ光を出力さ
せ得るからである。
【0037】かかるエキシマレーザ装置として、各種の
増幅媒質のものを用いることができ、増幅媒質として希
ガスハライド系(ArF、ArCl、KrF、KrC
l、XeBr、XeCl、XeF、Kr2F、Xe2
l)、単一希ガス系(Xe2、Kr2、Ar2)、希ガス
酸素系(ArO、KrO、XeO)、水銀ハライド系
(HgCl、HgBr、HgI)等を用いることができ
る。
【0038】そして、上記各種の増幅媒質のうち、特に
ArFを増幅媒質とするエキシマレーザ装置を用いるの
が好ましい。ArFを増幅媒質として発振させ得るエキ
シマレーザ光は特に短波長のものが得られるからであ
る。これにより、ターゲット5より膜の原料物質の粒子
群を噴出させ励起させるにあたり、特に効率を高め得る
とともに、化合物を成膜する場合について、ターゲット
5の元素の組成と基材15に形成された膜の元素の組成
とのずれをより低減させることができる。
【0039】また、ターゲット5に紫外域の波長のレー
ザ光を照射する場合について、レーザ装置16の増幅媒
質より発振されたレーザ光の高調波を発生させることに
よって、紫外域の波長のレーザ光を得るようにするので
あってもよい。
【0040】例えば、YAGレーザ装置の増幅媒質より
出力された赤外域の波長のレーザ光より三倍高調波や四
倍高調波を発生させ、紫外域の波長のレーザ光を得るよ
うにするのであってもよい。なお、上記入射光に対する
高調波の光を発生させるにあたっては、例えば非線形結
晶を用いることができる。
【0041】また、レーザ装置16について、パルス状
にレーザ光を出力させ得るものを用いるのが好ましい。
これにより、ターゲット5に照射するレーザ光のエネル
ギーの強さを、パルス数に基づいて容易に調節できるか
らである。
【0042】真空チャンバ2内の上部には、成膜される
基材15を、該基材15の成膜対象となる表面に対する
背面側から保持するための基材ホルダ6が配設されてい
る。また、この例では、基材ホルダ6は、導電性の材質
により形成されており、真空チャンバ2内に電力を供給
する電力供給用電極としても機能させ得るよう形成され
ている。
【0043】また、基材ホルダ6には、基材15を回転
させながら成膜できるように回転駆動される回転軸が設
けられている。即ち、基材ホルダ6は、特に図示しない
モータ等の回転駆動手段により、回転軸の軸回りに回転
駆動されるようにされている。
【0044】そして、基材ホルダ6は、その回転する回
転軸に接触しつつ電力の伝達が可能な機構を介して、後
に説明する電源ユニット10からの電力を供給できるよ
うにされている。
【0045】電源ユニット10は、前記ターゲット5よ
り噴出した膜の原料物質からなる粒子群をさらに励起し
てイオン化を促進させるとともに、イオン化した膜の原
料物質を基材15に向かって電界により加速させるため
の電力を供給する。
【0046】電源ユニット10は、高周波電力を出力す
る高周波電源(RF)8と直流電力を出力する直流電源
(DC)9を備えている。高周波電源8は、マッチング
ボックス(MB)11と特に図示しない直流ブロッキン
グコンデンサとを介して基材ホルダ6に電力を伝達する
ように、基材ホルダ6と電気的に接続される。また、直
流電源9は、特に図示しないチョークコイルを介して基
材ホルダ6と電気的に接続される。
【0047】上記マッチングボックス11は、高周波電
源8のインピーダンスとチャンバ2側のインピーダンス
とをマッチングさせるべくマッチング動作する。このマ
ッチングボックス11内の回路は、図2に示すように、
例えば可変コンデンサC1、C2及びチョークコイルL
1からなる周知のものである。
【0048】また、高周波電源8及び直流電源9とチャ
ンバ2側とを接続するにあたり、導電性材料で形成され
るチャンバ2が接地されるとともに、高周波電源8の出
力端子のうち基材ホルダ6側に対する他方側が接地され
る。また、直流電源9は、基材ホルダ6側が負極とな
り、他方側が接地される接続とされる。
【0049】なお、上記基材ホルダ6を回転手段により
回転駆動しつつ電源ユニット10により電力を供給する
ための構造については、従来のイオンプレティーングに
基づく真空成膜装置で用いられる各種の公知の技術(例
えば、特公平1−48347号等参照)を適用すること
ができる。
【0050】以上の真空成膜装置1により、レーザ装置
16より出力されたレーザ光17をターゲット5に照射
すると、ターゲット5より膜の原料物質からなる粒子群
を上方に噴出させるとともに、前記粒子群にレーザ光1
7を吸収させ励起させてイオン化を促進させることがで
きる。かかるターゲット5から噴出した原料物質からな
る粒子群には、膜の原料の元素がプラズマ化しているも
のが含まれている。
【0051】そして、前記膜の原料物質の粒子群がター
ゲット5より噴出している状態で、上記電源ユニット1
0を動作させ真空チャンバ2内に高周波電力及び直流電
力を供給すると、前記噴出した粒子群をさらに励起する
とともに、膜の原料のイオンを基材15に入射させて成
膜できる。
【0052】即ち、真空チャンバ2内に高周波電力を供
給することで前記噴出した粒子群を高周波電界で励起し
てイオン化を促進させることができる。そして、イオン
化した膜の原料物質は直流電界により基材15に向かっ
て加速される。そして、基材15に入射したイオンが基
材15に付着して膜が形成される。
【0053】また、この成膜装置1において、ターゲッ
ト5より噴出した粒子群のイオン化を促進させるにあた
り以下のようにすることもできる。第一のガス供給口1
3aより所要のガス圧力とされた不活性ガスを供給す
る。そして、電源ユニット10を動作させ、前記不活性
ガスを励起してプラズマを生成させる。そして、ターゲ
ット5にレーザ光17を照射して膜の原料物質からなる
粒子群を噴出させると、前記励起された不活性ガスによ
って膜の原料物質からなる粒子群を励起することがで
き、膜の原料物質のイオン化を促進させることができ
る。
【0054】また、この成膜装置1において、前記第二
のガス供給口13bより反応ガスを供給しつつ、ターゲ
ット5から噴出した粒子群を励起することもできる。即
ち、ターゲット5にレーザ光を照射して膜の原料物質の
粒子群を噴出させつつ、第二のガス供給口13bより所
要の圧力とされた反応ガスを供給し、電源ユニット10
を動作させる。これにより、反応ガスを励起してプラズ
マを生成させることができ、この励起された反応ガスに
よってターゲット5より噴出した粒子群を励起してイオ
ン化を促進させることもできる。
【0055】そして、反応ガスが供給される場合には、
ターゲット5より噴出した粒子群が基材15に入射して
膜が形成されるとともに、反応ガスに含まれた元素も基
材15上に析出して膜を形成することになる。
【0056】以上に説明したように、真空チャンバ2内
に不活性ガスや反応ガス等のプラズマを生成させること
により、ターゲット5より噴出してきた粒子群を励起さ
せるようにすると、該粒子群を効率良く励起することが
でき膜の原料物質を効率良くイオン化させることができ
る。
【0057】なお、以上に説明した電源ユニット10に
関して、ターゲット5より噴出した粒子群を励起すると
ともに、膜の原料物質のイオンを基材15に入射させて
成膜するにあたっては、少なくとも高周波電力を出力で
きれば十分であり、直流電源9は必ずしも必要ではな
い。
【0058】即ち、チャンバ2内に高周波電力を供給し
て正帯電した膜の原料物質のイオンを生成させると、該
イオンを基材15に向かって加速させることが可能であ
り、成膜できるからである。これは、正帯電したイオン
を高周波電界中に存在させると、いわゆる自己バイアス
に伴う直流電界が形成され、基材15に向かって加速で
きることによる。
【0059】ただし、上記直流電源9により直流電力を
も供給するようにすると、膜の原料物質のイオンを基材
15に向かってより有効に加速させることができ、より
緻密な膜に形成することが可能となり、膜の品質を高め
ることはできる。
【0060】以上に説明した真空成膜装置1によると、
膜の原料をイオン化させて成膜するので、基材15に対
する付着力が強く緻密な高品質の膜に形成できる。そし
て、ターゲット5にレーザ光17を照射して膜の原料物
質を蒸発させるので、真空チャンバ2内にプラズマを生
成させ膜の原料をイオン化させても、その電気的影響が
問題となることがない。
【0061】即ち、従来の電子ビーム照射による蒸発源
で生じた電子ビームの動作に対する電気的影響が問題と
なることがない。これにより、電子ビーム照射による蒸
発源を用いる真空成膜装置のように、前記蒸発源に対す
る電気的影響を低減する観点から、チャンバ2内のプラ
ズマの濃度(即ち、膜の原料のイオンの濃度)を低減さ
せなければならないという制約を受けることがない。
【0062】これにより、真空成膜装置1によると、基
材15に対する付着力が強く緻密な高品質の膜に形成で
きるとともに、前記プラズマを生成させる条件を広範囲
に選択することができ、各種の成膜条件の下に各種の膜
を得ることができる。
【0063】また、膜の原料物質の蒸発を上記レーザ光
を照射して行い、ターゲット5を保持するターゲット用
回転テーブル3自体を加熱する必要がないので、従来の
抵抗加熱式の蒸発源のような膜の原料物質を保持する容
器の耐熱性に関する問題や、かかる容器から膜の原料中
に不純物が混入する等の問題もない。
【0064】また、この成膜装置1によると、膜の原料
物質をレーザ光により加熱するので、化合物を成膜する
場合について各元素間で略均一に加熱することができ、
ターゲット5の化合物の組成と基材15に形成された膜
の化合物の組成とのずれを低減させることができる。こ
れにより、基材上に得た膜について、目標とする物理的
強度や光学的特性等からのずれを少なくでき、所期の目
標どおりの諸特性を得ることができる。
【0065】また、以上の説明では、真空チャンバ2内
で膜の原料物質からなる粒子群を励起させる電力を供給
するための電力供給用電極を基材ホルダ6により兼用す
る例を挙げて説明した。基材ホルダ6を電力供給用電極
と兼用する構成とすると、基材15を保持する基材ホル
ダ6を介して膜の原料物質をイオン化させることができ
るので、所要の膜に形成するにあたり基材ホルダ6によ
って供給する電力の調整を容易にできる。
【0066】なお、基材ホルダと電力供給用電極を分離
して設けることもできる。電力供給用電極が基材ホルダ
から分離して設けられる場合についても、電力供給用電
極は、真空チャンバ内における基材に対する背面側に基
材ホルダと空間的に干渉することなく、真空チャンバ内
に所要の電力を供給できるよう設けられる。
【0067】電力供給用電極を基材ホルダから分離して
設ける場合であっても、基材に入射させる原料物質の粒
子群をイオン化させるにあたり、基材に対する背面側に
配置される電力供給用電極を介して電力を供給するの
で、基材とターゲットとの間の空間全体を有効に利用し
て励起することができる。
【0068】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の真空成
膜装置によると、基材に対する付着力が強く緻密な高品
質の膜に形成できるとともに、成膜可能な材質や成膜条
件の制約を受けることがないという効果を奏することが
できる。
【0069】また、本発明の真空成膜装置によると、化
合物を成膜する場合について、供給した膜の原料物質と
成膜された膜との間での組成のずれを防ぐこともできる
という効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の真空成膜装置の構成の概略を模式的に
表す図である。
【図2】マッチングボックス内の回路の例を示す回路図
である。
【符号の説明】
1 真空成膜装置 2 真空チャンバ 3 ターゲット用回転テーブル 3a 支持シャフト 5 ターゲット 6 基材ホルダ 7 窓 8 高周波電源 9 直流電源 10 電源ユニット 11 マッチングボックス 13a 第一の供給口 13b 第二の供給口 14 排気口 15 基材 16 レーザ装置 17 レーザ光

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜が形成される基材が内部の空間に配置
    される真空チャンバと、 前記基材を該基材の成膜対象となる表面に対する背面側
    から保持する基材ホルダと、 前記真空チャンバ内で前記膜の原料物質からなるターゲ
    ットを前記基材に対向するように保持するターゲット保
    持手段と、 前記ターゲットの前記基材と対向する表面にレーザ光を
    照射することによりプラズマ化したものを含む膜の原料
    物質からなる粒子群を噴出させるレーザ光照射手段と、 前記真空チャンバ内における前記基材に対する背面側に
    配置された電力供給用電極と、 前記電力供給用電極を介して真空チャンバ内に少なくと
    も高周波電力を供給する電源ユニットとを備え、 前記電源ユニットより供給された電力によって、前記タ
    ーゲットより噴出した粒子群をさらに励起してイオン化
    を促進させるとともに膜の原料物質のイオンを基材に入
    射させて成膜するように構成された真空成膜装置。
  2. 【請求項2】 前記基材ホルダが導電性の材質により形
    成されており、該基材ホルダが電力供給用電極としても
    機能するように形成されている、請求項1に記載の真空
    成膜装置。
  3. 【請求項3】 前記レーザ光照射手段が、紫外域の波長
    のレーザ光を出力することを特徴とする請求項1又は2
    に記載の真空成膜装置。
  4. 【請求項4】 前記レーザ光照射手段が、エキシマレー
    ザ光を出力するエキシマレーザ装置を有することを特徴
    とする請求項3に記載の真空成膜装置。
  5. 【請求項5】 前記エキシマレーザ装置がArFを増幅
    媒質とするレーザ光を出力する請求項4に記載の真空成
    膜装置。
  6. 【請求項6】 前記電源ユニットが直流電力も供給でき
    るように構成されている請求項1乃至5のいずれかに記
    載の真空成膜装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015081358A (ja) * 2013-10-22 2015-04-27 三井造船株式会社 皮膜形成装置及び皮膜形成方法

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JP2015081358A (ja) * 2013-10-22 2015-04-27 三井造船株式会社 皮膜形成装置及び皮膜形成方法

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