JP2003012679A - トリアリールホスホニウム塩の製造法 - Google Patents
トリアリールホスホニウム塩の製造法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】炭化水素基の導入試薬として有用なトリアリー
ルホスホニウム塩を容易に高収率で製造する方法を提供
すること。 【解決手段】 一般式(1)のハロゲン化炭化水素と一
般式(2)のトリアリールホスフィンを、一般式(1)
のハロゲン化炭化水素と同一の炭化水素基を有する一般
式(3)のアルコール系溶媒[一般式(1)と(3)の
Rは同一のもの]、またはこれと炭化水素系溶媒との混
合溶媒中で反応させることを特徴とする、一般式(4)
のトリアリールホスホニウム塩の製造法。 【化1】 (式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、アラルキル基を示し、Arはアリール基を示し、X
はハロゲンを示す。)
ルホスホニウム塩を容易に高収率で製造する方法を提供
すること。 【解決手段】 一般式(1)のハロゲン化炭化水素と一
般式(2)のトリアリールホスフィンを、一般式(1)
のハロゲン化炭化水素と同一の炭化水素基を有する一般
式(3)のアルコール系溶媒[一般式(1)と(3)の
Rは同一のもの]、またはこれと炭化水素系溶媒との混
合溶媒中で反応させることを特徴とする、一般式(4)
のトリアリールホスホニウム塩の製造法。 【化1】 (式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、アラルキル基を示し、Arはアリール基を示し、X
はハロゲンを示す。)
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、炭化水素基の導入
試薬として有用なトリアリールホスホニウム塩を容易に
高収率で製造するに方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、炭化水素化トリアリールホスホニ
ウム塩の製造法としては、次の方法が知られている。 【0003】イ)アルキルアルコールとトリフェニルホ
スフィンを臭化水素酸中で反応させる方法(Phosp
horus Sulfur, Silicon Rel
at.Elem.,第48巻,1990年,279
頁)。 【0004】ロ)ハロゲン化アルキルとトリアリールホ
スフィンを、有機溶媒の存在下あるいは不在下で反応さ
せる方法(J.Am.Chem.Soc.,第82巻,
1960年,3919頁) この文献中には、n−ブチルトリフェニルホスホニウム
ブロマイドの合成方法が記載されている。また、n−ブ
タノールの使用についても記載されているが、使用理由
などは示されていない。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】前述した従来の技術で
は次のような問題点があった。すなわち、イ)の方法で
は、使用される臭化水素酸は強い腐食作用をもつため、
特殊な製造装置を必要とする。また、ロ)の方法では、
ハロゲン化炭化水素の分解がおこるので、反応を完結さ
せるために、過剰のハロゲン化炭化水素を用いる必要が
ある。また、ハロゲン化炭化水素の分解で発生する酸に
より、イ)の方法と同様の問題が生ずる。 【0006】したがって、これらの技術に代わるホスホ
ニウム塩の新しい製造法の開発が望まれている。本発明
は、このような要望に合致した、トリアリールホスホニ
ウム塩の新規な製造法を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
課題を解決して、高収率で高純度のトリアリールホスホ
ニウム塩を製造する方法について検討した。その結果、
下記の反応式で示されるように、一般式(1)のハロゲ
ン化炭化水素と一般式(2)のトリアリールホスフィン
を、50〜150℃の温度範囲で、一般式(3)のアル
コール系溶媒の単独、またはこのアルコール系溶媒と炭
化水素系溶媒との混合溶媒中で反応させることにより、
一般式(4)のトリアリールホスホニウム塩を安定に結
晶化することができ、かつ高収率に得られることを見出
し、本発明を完成した。 【化2】 (式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、またはアラルキル基を示し、Arはアリール基を示
し、Xはハロゲンを示す。) 【0008】一般式(1)中の、アルキル基としては、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピ
ル基、n−ブチル基,iso−ブチル基、n−アミル
基、iso−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル
基などを挙げることができる。また、アルケニル基とし
てはアリル基を、アルキニル基としてはプロパルギル基
を挙げることができる。また、アラルキル基としては、
ベンジル基、フェネチル基などを挙げることができる。 【0009】また、Xはハロゲンを示し、塩素、臭素あ
るいはヨウ素のいずれかを示す。 【0010】一般式(1)の化合物の具体例としては、
臭化メチル、臭化エチル、臭化n−プロピル、臭化n−
ブチル、臭化n−アミル、臭化iso−アミル、塩化ベ
ンジル、塩化アリル、塩化プロパルギルなどを挙げるこ
とができる。 【0011】前記の一般式中Arはアリール基であり、
具体例を挙げると、フェニル基,p−トリル基、p−メ
トキシフェニル基、メシチル基、キシリル基などであ
る。 【0012】また、3つのアリール基はそれぞれ同一で
あっても、異なっていてもよい。 【0013】反応溶媒としては、一般式(3)で表され
るアルコール系溶媒の単独か炭化水素系溶媒との混合溶
媒が使用される。炭化水素系溶媒の具体例としては、ベ
ンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。一般式
(3)で表されるアルコール系溶媒としては、一般式
(1)と同一の炭化水素基を有するアルコールを使用し
なければならない。一般式(3)で表されるアルコール
系溶媒は、ハロゲン化炭化水素の分解で副生するハロゲ
ン化水素と下式の反応により、ハロゲン化炭化水素へと
再生される。そのため、従来法のように過剰のハロゲン
化炭化水素を使用しなくても、高い収率で一般式(4)
のトリアリールホスホニウム塩を得ることができる。 【0014】 【化3】 (式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、またはアラルキル基を示す) 【0015】仮に、一般式(1)の炭化水素基と異なる
アルコールを用いた場合には、ハロゲン化炭化水素の分
解で発生するハロゲン化水素により、原料と異なるハロ
ゲン化炭化水素を生成するため、異種の炭化水素基を含
むトリアリールホスホニウム塩が副生し、目的物の純度
が低下する。その結果、比較例2のように温度幅の広い
異常な融点を示す。したがって、常に一般式(1)と一
般式(3)の炭化水素基は同一のものを使用する必要が
ある。このようなアルコール類としては、一般式(1)
のRに対応して、メタノール、エタノール、n−プロパ
ノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、is
o−ブタノール、n−アミルアルコール、iso−アミ
ルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチル
アルコール、アリルアルコール、プロパルギルアルコー
ル、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなどが
挙げられる。 【0016】 【発明の実施の形態】本発明の目的物である一般式
(4)のトリアリールホスホニウム塩の製造法の特徴
は、反応溶媒として、一般式(1)のハロゲン化炭化水
素と同一の炭化水素基を有する一般式(3)のアルコー
ル系溶媒を用いることにある。 【0017】より具体的な反応について述べると次のと
おりである。すなわち、反応容器に一般式(1)のハロ
ゲン化炭化水素と一般式(2)のトリアリールホスフィ
ンを一般式(3)のアルコール系溶媒の単独またはこれ
と炭化水素系溶媒との混合溶媒に加える。そして、この
混合物を撹拌しながら加熱して反応させることにより目
的とする一般式(4)の炭化水素化トリアリールホスホ
ニウム塩が反応液中に析出する。反応温度および反応時
間は、用いるハロゲン化炭化水素とトリアリールホスフ
ィンの種類により反応性が異なるので、一定ではない
が、一般的には50〜150℃および3〜12時間反応
させるのがよい。また、一般式(1)のハロゲン化炭化
水素と一般式(2)のトリアリールホスフィンとはほぼ
等モル比で反応させればよい。 【0018】反応終了後、反応液を室温に冷却し、析出
した沈殿を濾取する。そしてその結晶をトルエンなどで
洗浄した後、乾燥することにより、目的とする一般式
(4)の炭化水素化トリアリールホスホニウム塩の結晶
が得られる。 【0019】 【実施例】以下に実施例をあげて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。 【0020】なお、化合物の同定は、融点、1H核磁気
共鳴スペクトル、赤外スペクトルなどにより行い、目的
物の生成を確認した。 【0021】(実施例1)n−プロピルトリフェニルホ
スホニウムブロマイドの合成 四径フラスコに、n−プロピルブロマイド(12.3
g、0.1mol)、トリフェニルホスフィン(26.
2g、0.1mol)およびキシレン/n−プロピルア
ルコール[25ml、7/3(wt/wt)]を仕込
む。この反応溶液を110〜115℃の温度範囲で8時
間撹拌する。反応終了後、反応混合溶液にキシレン(2
5ml)を追加する。そして反応混合液を30℃以下に
冷却して、n−プロピルトリフェニルホスホニウムブロ
マイドの結晶を完全に析出させる。得られた結晶を濾取
し、キシレン(20ml)で洗浄して、乾燥重量(g)
から収率(%)を求めた。その結果を表1に示す。 【0022】(実施例2)n−ブチルトリフェニルホス
ホニウムブロマイドの合成 四径フラスコに、n−ブチルブロマイド(13.7g、
0.1mol)、トリフェニルホスフィン(26.2
g、0.1mol)およびキシレン/n−ブチルアルコ
ール[25ml、7/3(wt/wt)]を仕込む。こ
の反応溶液を125〜130℃の温度範囲で5時間撹拌
する。反応終了後、反応混合液にキシレン(25ml)
を追加する。そして反応混合液を30℃以下に冷却し
て、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイドの
結晶を完全に析出させる。得られた結晶を濾取し、キシ
レン(20ml)で洗浄して、乾燥重量(g)から収率
(%)を求めた。その結果を表1に示す。 【0023】(実施例3)n−アミルトリフェニルホス
ホニウムブロマイドの合成 四径フラスコに、n−アミルブロマイド(15.1g、
0.1mol)、トリフェニルホスフィン(26.2
g、0.1mol)、およびキシレン/n−アミルアル
コール[25ml、7/3(wt/wt)]を仕込む。
この反応液を125〜130℃の温度範囲で8時間撹拌
する。反応終了後、反応混合液にキシレン(50ml)
を追加する。そして反応混合液を30℃以下に冷却し
て、n−アミルトリフェニルホスホニウムブロマイドの
結晶を完全に析出させる。得られた結晶を濾取し、キシ
レン(20ml)で洗浄して、乾燥重量(g)から収率
(%)を求めた。その結果を表1に示す。 【0024】(実施例4)iso−アミルトリフェニル
ホスホニウムブロマイドの合成 四径フラスコに、iso−アミルブロマイド(15.1
g、0.1mol)、トリフェニルホスフィン(26.
2g、0.1mol)、およびキシレン/iso−アミ
ルアルコール[25ml、7/3(wt/wt)]を仕
込む。この反応溶液を125〜130℃の温度範囲で8
時間撹拌する。反応終了後、反応混合液にキシレン(5
0ml)を追加する。この反応混合液を30℃以下に冷
却して、iso−アミルトリフェニルホスホニウムブロ
マイドの結晶を完全に析出させる。得られた結晶を濾取
し、キシレン(20ml)で洗浄して、乾燥重量(g)
から収率(%)を求めた。その結果を表1に示す。 【0025】(比較例1)iso−アミルトリフェニル
ホスホニウムブロマイドの合成 四径フラスコに、iso−アミルブロマイド(15.1
g、0.1mol)、トリフェニルホスフィン(26.
2g、0.1mol)、およびキシレン(25ml)を
仕込む。この反応溶液を125〜130℃の温度範囲で
8時間撹拌する。反応終了後、反応混合液にキシレン
(25ml)を追加する。そして反応混合液を30℃以
下に冷却して、iso−アミルトリフェニルホスホニウ
ムブロマイドの結晶を完全に析出させる。得られた結晶
を濾取し、キシレン(20ml)で洗浄して、乾燥重量
(g)から収率(%)を求めた。その結果を表1に示
す。 【0026】(比較例2)iso−アミルトリフェニル
ホスホニウムブロマイドの合成 四径フラスコに、iso−アミルブロマイド(13.7
g、0.1mol)、トリフェニルホスフィン(26.
2g、0.1mol)、およびキシレン/n−ブチルア
ルコール[25ml、4/1(wt/wt)]を仕込
む。この反応混合液を125〜130℃の温度範囲で8
時間撹拌する。反応終了後、反応混合液にキシレン(2
0ml)を追加する。そしてこの反応混合液を30℃以
下に冷却して、iso−アミルトリフェニルホスホニウ
ムブロマイドの結晶を完全に析出させた。得られた結晶
を濾取し、キシレン(20ml)で洗浄して、乾燥重量
(g)から収率(%)を求めた。その結果を表1に示
す。 【0027】 【表1】 【0028】(注):表中でPrはプロピル基を、Bu
はブチル基を、Amはアミル基を示す。 【0029】 【発明の効果】本発明によれば、トリアリールホスホニ
ウム塩を収率よく製造することができる。特に本発明に
よれば、ハロゲン化炭化水素の分解により発生するハロ
ゲン化水素は溶媒として用いたアルコールとの反応によ
りハロゲン化炭化水素に再生されるため、ハロゲン化炭
化水素を過剰に用いる必要はない。
試薬として有用なトリアリールホスホニウム塩を容易に
高収率で製造するに方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、炭化水素化トリアリールホスホニ
ウム塩の製造法としては、次の方法が知られている。 【0003】イ)アルキルアルコールとトリフェニルホ
スフィンを臭化水素酸中で反応させる方法(Phosp
horus Sulfur, Silicon Rel
at.Elem.,第48巻,1990年,279
頁)。 【0004】ロ)ハロゲン化アルキルとトリアリールホ
スフィンを、有機溶媒の存在下あるいは不在下で反応さ
せる方法(J.Am.Chem.Soc.,第82巻,
1960年,3919頁) この文献中には、n−ブチルトリフェニルホスホニウム
ブロマイドの合成方法が記載されている。また、n−ブ
タノールの使用についても記載されているが、使用理由
などは示されていない。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】前述した従来の技術で
は次のような問題点があった。すなわち、イ)の方法で
は、使用される臭化水素酸は強い腐食作用をもつため、
特殊な製造装置を必要とする。また、ロ)の方法では、
ハロゲン化炭化水素の分解がおこるので、反応を完結さ
せるために、過剰のハロゲン化炭化水素を用いる必要が
ある。また、ハロゲン化炭化水素の分解で発生する酸に
より、イ)の方法と同様の問題が生ずる。 【0006】したがって、これらの技術に代わるホスホ
ニウム塩の新しい製造法の開発が望まれている。本発明
は、このような要望に合致した、トリアリールホスホニ
ウム塩の新規な製造法を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
課題を解決して、高収率で高純度のトリアリールホスホ
ニウム塩を製造する方法について検討した。その結果、
下記の反応式で示されるように、一般式(1)のハロゲ
ン化炭化水素と一般式(2)のトリアリールホスフィン
を、50〜150℃の温度範囲で、一般式(3)のアル
コール系溶媒の単独、またはこのアルコール系溶媒と炭
化水素系溶媒との混合溶媒中で反応させることにより、
一般式(4)のトリアリールホスホニウム塩を安定に結
晶化することができ、かつ高収率に得られることを見出
し、本発明を完成した。 【化2】 (式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、またはアラルキル基を示し、Arはアリール基を示
し、Xはハロゲンを示す。) 【0008】一般式(1)中の、アルキル基としては、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピ
ル基、n−ブチル基,iso−ブチル基、n−アミル
基、iso−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル
基などを挙げることができる。また、アルケニル基とし
てはアリル基を、アルキニル基としてはプロパルギル基
を挙げることができる。また、アラルキル基としては、
ベンジル基、フェネチル基などを挙げることができる。 【0009】また、Xはハロゲンを示し、塩素、臭素あ
るいはヨウ素のいずれかを示す。 【0010】一般式(1)の化合物の具体例としては、
臭化メチル、臭化エチル、臭化n−プロピル、臭化n−
ブチル、臭化n−アミル、臭化iso−アミル、塩化ベ
ンジル、塩化アリル、塩化プロパルギルなどを挙げるこ
とができる。 【0011】前記の一般式中Arはアリール基であり、
具体例を挙げると、フェニル基,p−トリル基、p−メ
トキシフェニル基、メシチル基、キシリル基などであ
る。 【0012】また、3つのアリール基はそれぞれ同一で
あっても、異なっていてもよい。 【0013】反応溶媒としては、一般式(3)で表され
るアルコール系溶媒の単独か炭化水素系溶媒との混合溶
媒が使用される。炭化水素系溶媒の具体例としては、ベ
ンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。一般式
(3)で表されるアルコール系溶媒としては、一般式
(1)と同一の炭化水素基を有するアルコールを使用し
なければならない。一般式(3)で表されるアルコール
系溶媒は、ハロゲン化炭化水素の分解で副生するハロゲ
ン化水素と下式の反応により、ハロゲン化炭化水素へと
再生される。そのため、従来法のように過剰のハロゲン
化炭化水素を使用しなくても、高い収率で一般式(4)
のトリアリールホスホニウム塩を得ることができる。 【0014】 【化3】 (式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、またはアラルキル基を示す) 【0015】仮に、一般式(1)の炭化水素基と異なる
アルコールを用いた場合には、ハロゲン化炭化水素の分
解で発生するハロゲン化水素により、原料と異なるハロ
ゲン化炭化水素を生成するため、異種の炭化水素基を含
むトリアリールホスホニウム塩が副生し、目的物の純度
が低下する。その結果、比較例2のように温度幅の広い
異常な融点を示す。したがって、常に一般式(1)と一
般式(3)の炭化水素基は同一のものを使用する必要が
ある。このようなアルコール類としては、一般式(1)
のRに対応して、メタノール、エタノール、n−プロパ
ノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、is
o−ブタノール、n−アミルアルコール、iso−アミ
ルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチル
アルコール、アリルアルコール、プロパルギルアルコー
ル、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなどが
挙げられる。 【0016】 【発明の実施の形態】本発明の目的物である一般式
(4)のトリアリールホスホニウム塩の製造法の特徴
は、反応溶媒として、一般式(1)のハロゲン化炭化水
素と同一の炭化水素基を有する一般式(3)のアルコー
ル系溶媒を用いることにある。 【0017】より具体的な反応について述べると次のと
おりである。すなわち、反応容器に一般式(1)のハロ
ゲン化炭化水素と一般式(2)のトリアリールホスフィ
ンを一般式(3)のアルコール系溶媒の単独またはこれ
と炭化水素系溶媒との混合溶媒に加える。そして、この
混合物を撹拌しながら加熱して反応させることにより目
的とする一般式(4)の炭化水素化トリアリールホスホ
ニウム塩が反応液中に析出する。反応温度および反応時
間は、用いるハロゲン化炭化水素とトリアリールホスフ
ィンの種類により反応性が異なるので、一定ではない
が、一般的には50〜150℃および3〜12時間反応
させるのがよい。また、一般式(1)のハロゲン化炭化
水素と一般式(2)のトリアリールホスフィンとはほぼ
等モル比で反応させればよい。 【0018】反応終了後、反応液を室温に冷却し、析出
した沈殿を濾取する。そしてその結晶をトルエンなどで
洗浄した後、乾燥することにより、目的とする一般式
(4)の炭化水素化トリアリールホスホニウム塩の結晶
が得られる。 【0019】 【実施例】以下に実施例をあげて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。 【0020】なお、化合物の同定は、融点、1H核磁気
共鳴スペクトル、赤外スペクトルなどにより行い、目的
物の生成を確認した。 【0021】(実施例1)n−プロピルトリフェニルホ
スホニウムブロマイドの合成 四径フラスコに、n−プロピルブロマイド(12.3
g、0.1mol)、トリフェニルホスフィン(26.
2g、0.1mol)およびキシレン/n−プロピルア
ルコール[25ml、7/3(wt/wt)]を仕込
む。この反応溶液を110〜115℃の温度範囲で8時
間撹拌する。反応終了後、反応混合溶液にキシレン(2
5ml)を追加する。そして反応混合液を30℃以下に
冷却して、n−プロピルトリフェニルホスホニウムブロ
マイドの結晶を完全に析出させる。得られた結晶を濾取
し、キシレン(20ml)で洗浄して、乾燥重量(g)
から収率(%)を求めた。その結果を表1に示す。 【0022】(実施例2)n−ブチルトリフェニルホス
ホニウムブロマイドの合成 四径フラスコに、n−ブチルブロマイド(13.7g、
0.1mol)、トリフェニルホスフィン(26.2
g、0.1mol)およびキシレン/n−ブチルアルコ
ール[25ml、7/3(wt/wt)]を仕込む。こ
の反応溶液を125〜130℃の温度範囲で5時間撹拌
する。反応終了後、反応混合液にキシレン(25ml)
を追加する。そして反応混合液を30℃以下に冷却し
て、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイドの
結晶を完全に析出させる。得られた結晶を濾取し、キシ
レン(20ml)で洗浄して、乾燥重量(g)から収率
(%)を求めた。その結果を表1に示す。 【0023】(実施例3)n−アミルトリフェニルホス
ホニウムブロマイドの合成 四径フラスコに、n−アミルブロマイド(15.1g、
0.1mol)、トリフェニルホスフィン(26.2
g、0.1mol)、およびキシレン/n−アミルアル
コール[25ml、7/3(wt/wt)]を仕込む。
この反応液を125〜130℃の温度範囲で8時間撹拌
する。反応終了後、反応混合液にキシレン(50ml)
を追加する。そして反応混合液を30℃以下に冷却し
て、n−アミルトリフェニルホスホニウムブロマイドの
結晶を完全に析出させる。得られた結晶を濾取し、キシ
レン(20ml)で洗浄して、乾燥重量(g)から収率
(%)を求めた。その結果を表1に示す。 【0024】(実施例4)iso−アミルトリフェニル
ホスホニウムブロマイドの合成 四径フラスコに、iso−アミルブロマイド(15.1
g、0.1mol)、トリフェニルホスフィン(26.
2g、0.1mol)、およびキシレン/iso−アミ
ルアルコール[25ml、7/3(wt/wt)]を仕
込む。この反応溶液を125〜130℃の温度範囲で8
時間撹拌する。反応終了後、反応混合液にキシレン(5
0ml)を追加する。この反応混合液を30℃以下に冷
却して、iso−アミルトリフェニルホスホニウムブロ
マイドの結晶を完全に析出させる。得られた結晶を濾取
し、キシレン(20ml)で洗浄して、乾燥重量(g)
から収率(%)を求めた。その結果を表1に示す。 【0025】(比較例1)iso−アミルトリフェニル
ホスホニウムブロマイドの合成 四径フラスコに、iso−アミルブロマイド(15.1
g、0.1mol)、トリフェニルホスフィン(26.
2g、0.1mol)、およびキシレン(25ml)を
仕込む。この反応溶液を125〜130℃の温度範囲で
8時間撹拌する。反応終了後、反応混合液にキシレン
(25ml)を追加する。そして反応混合液を30℃以
下に冷却して、iso−アミルトリフェニルホスホニウ
ムブロマイドの結晶を完全に析出させる。得られた結晶
を濾取し、キシレン(20ml)で洗浄して、乾燥重量
(g)から収率(%)を求めた。その結果を表1に示
す。 【0026】(比較例2)iso−アミルトリフェニル
ホスホニウムブロマイドの合成 四径フラスコに、iso−アミルブロマイド(13.7
g、0.1mol)、トリフェニルホスフィン(26.
2g、0.1mol)、およびキシレン/n−ブチルア
ルコール[25ml、4/1(wt/wt)]を仕込
む。この反応混合液を125〜130℃の温度範囲で8
時間撹拌する。反応終了後、反応混合液にキシレン(2
0ml)を追加する。そしてこの反応混合液を30℃以
下に冷却して、iso−アミルトリフェニルホスホニウ
ムブロマイドの結晶を完全に析出させた。得られた結晶
を濾取し、キシレン(20ml)で洗浄して、乾燥重量
(g)から収率(%)を求めた。その結果を表1に示
す。 【0027】 【表1】 【0028】(注):表中でPrはプロピル基を、Bu
はブチル基を、Amはアミル基を示す。 【0029】 【発明の効果】本発明によれば、トリアリールホスホニ
ウム塩を収率よく製造することができる。特に本発明に
よれば、ハロゲン化炭化水素の分解により発生するハロ
ゲン化水素は溶媒として用いたアルコールとの反応によ
りハロゲン化炭化水素に再生されるため、ハロゲン化炭
化水素を過剰に用いる必要はない。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 一般式(1)のハロゲン化炭化水素と一
般式(2)のトリアリールホスフィンを、一般式(1)
のハロゲン化炭化水素と同一の炭化水素基を有する一般
式(3)のアルコール系溶媒[一般式(1)と(3)の
Rは同一]、または一般式(3)のアルコール系溶媒と
炭化水素系溶媒との混合溶媒中で反応させることを特徴
とする、一般式(4)のトリアリールホスホニウム塩の
製造法。 【化1】 (式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、またはアラルキル基を示し、Arはアリール基を示
し、Xはハロゲンを示す。)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001191009A JP2003012679A (ja) | 2001-06-25 | 2001-06-25 | トリアリールホスホニウム塩の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001191009A JP2003012679A (ja) | 2001-06-25 | 2001-06-25 | トリアリールホスホニウム塩の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003012679A true JP2003012679A (ja) | 2003-01-15 |
Family
ID=19029698
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001191009A Pending JP2003012679A (ja) | 2001-06-25 | 2001-06-25 | トリアリールホスホニウム塩の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003012679A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104478930A (zh) * | 2014-11-19 | 2015-04-01 | 上海泰坦科技股份有限公司 | 磷配体类化合物的合成工艺 |
CN105330696A (zh) * | 2015-12-08 | 2016-02-17 | 山东维天精细化工科技有限公司 | 一种三苯基丁基溴化膦的合成方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11124388A (ja) * | 1997-10-17 | 1999-05-11 | Nippon Chem Ind Co Ltd | ホスホニウム塩の製造方法 |
-
2001
- 2001-06-25 JP JP2001191009A patent/JP2003012679A/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH11124388A (ja) * | 1997-10-17 | 1999-05-11 | Nippon Chem Ind Co Ltd | ホスホニウム塩の製造方法 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104478930A (zh) * | 2014-11-19 | 2015-04-01 | 上海泰坦科技股份有限公司 | 磷配体类化合物的合成工艺 |
CN105330696A (zh) * | 2015-12-08 | 2016-02-17 | 山东维天精细化工科技有限公司 | 一种三苯基丁基溴化膦的合成方法 |
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