JP2003010774A - 金属材の塗装方法 - Google Patents

金属材の塗装方法

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JP2003010774A
JP2003010774A JP2001194680A JP2001194680A JP2003010774A JP 2003010774 A JP2003010774 A JP 2003010774A JP 2001194680 A JP2001194680 A JP 2001194680A JP 2001194680 A JP2001194680 A JP 2001194680A JP 2003010774 A JP2003010774 A JP 2003010774A
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JP2001194680A
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Tasuku Yamane
翼 山根
Keiji Masada
恵司 政田
Takahito Otsu
孝仁 大津
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Nippon Paint Co Ltd
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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C28/00Coating for obtaining at least two superposed coatings either by methods not provided for in a single one of groups C23C2/00 - C23C26/00 or by combinations of methods provided for in subclasses C23C and C25C or C25D

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 廃液処理等の環境上の問題が少なく、また、
水性塗料により塗装した金属材の耐食性を向上させるこ
とができる塗装方法を提供する。 【解決手段】 脱脂等の通常の前処理を行った後、リン
酸イオン、塩素酸イオン、硝酸イオン、臭素酸イオンお
よび含有量200〜800ppmの6フッ化ジルコニウ
ムイオンを含むpH2.5〜3.5のリン酸塩化成処理
液で金属材を化成処理する(化成処理工程)。ついで、
塗装に先立ち皮膜形成処理等を行い、あるいは、皮膜形
成処理等を行うことなく、炭素数6〜18のアルキル鎖
を有する単官能モノマーを10〜70質量%含む原料か
ら製造されるものであって、かつ、数平均分子量が10
00〜10000、酸価が20〜80および水酸基価が
50〜200である水溶性ポリエステル樹脂と硬化剤と
を含有する熱硬化型水性塗料組成物を化成処理により形
成された皮膜上に塗布する(塗装工程)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属材の塗装方法
に関し、詳細には、リン酸塩化成処理液を用いた化成処
理工程と水性塗料を用いた塗装工程とを有する金属材の
塗装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、鉄等の金属表面に対する塗装
下地処理として、例えば、リン酸塩化成処理が広く行わ
れている。
【0003】上記リン酸塩化成処理は、代表的なものと
して、リン酸鉄化成処理を挙げることができる。
【0004】リン酸鉄化成処理は、処理された金属表面
の耐食性を向上させ、また、金属に塗布された塗料の金
属表面に対する密着性を向上させることができるため、
特に賞用されている。
【0005】また、リン酸鉄化成処理は、処理液に重金
属イオンを含まず、さらにスラッジの発生量が少ないた
め、廃液処理が容易であるという利点を有する。
【0006】このため、リン酸鉄化成処理は、特段の耐
食性を要しない材料の下地処理用として好適に用いられ
ている。
【0007】ところで、自動車部品、自動車ボディー、
産業機械および配電盤等の分野では、電着等のプライマ
ー塗料が塗装された後、上塗り塗料として、溶剤型アク
リル樹脂塗料等が塗装されてきた。しかし、アクリル樹
脂等の樹脂を炭化水素等の溶剤に溶かした溶剤型塗料
は、溶剤を大気中に揮散させて環境を汚染するおそれが
あるため、最近では、この溶剤型塗料に代えて水性塗料
を用いる傾向にある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者
の、従来の塗装下地処理として行われるリン酸鉄化成処
理は、特定の用途においては必ずしも充分な耐食性を得
ることができないという不具合がある。
【0009】このため、例えば、上記した自動車のボデ
ィー等の被塗物については、リン酸鉄化成処理に代え
て、より高い耐食性を得ることができるリン酸亜鉛化成
処理が用いられている。ところが、リン酸亜鉛化成処理
液には、主成分金属としての亜鉛を含むとともに、ニッ
ケルやマンガン等の金属を必須成分として含むものが主
に用いられているため、廃棄物処理等の環境面からは好
ましくない。したがって、良好な耐食性を有するリン酸
鉄化成処理方法が求められている。
【0010】一方、後者の従来の塗装処理として行われ
る水性塗料を用いた塗装処理は、水性化された塗料を塗
装ブース内においてスプレー塗装すると、被塗装物に塗
着しない塗料が、塗料ダストとして発生することにな
る。この塗料ダストは、塗装ブース内のブース水に溶解
または分散させて捕集する。捕集された塗料ダストは、
長期間塗装を続けると、非常に多量となるため、これを
そのまま廃棄することは塗料の損失になるとともに、廃
棄物の発生という新たな環境問題を引き起こすことにも
なる。このため、塗装ブース内の洗浄水中から回収して
リサイクル利用するのに適した水性塗料が求められてい
る。
【0011】本発明は、上記の課題に鑑みてなされたも
のであり、廃液処理等の環境上の問題が少なく、また、
金属材の耐食性を向上させることができる塗料を用いた
金属材の塗装方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る金属材の塗
装方法は、リン酸イオン、塩素酸イオン、硝酸イオン、
臭素酸イオンおよび200〜800ppmの6フッ化ジ
ルコニウムイオンを含むpH2.5〜3.5のリン酸塩
化成処理液で金属材を処理する化成処理工程と、炭素数
6〜18のアルキル鎖を有する単官能モノマーを10〜
70質量%含む原料から製造されるものであって、か
つ、数平均分子量が1000〜10000、酸価が20
〜80および水酸基価が50〜200である水溶性ポリ
エステル樹脂と硬化剤とを含有する熱硬化型水性塗料組
成物を、化成処理により形成された皮膜上に塗布する塗
装工程とを有することを特徴とする。
【0013】これにより、化成処理および塗装処理工程
における有害廃棄物の発生が軽減されて環境上好まし
く、また、化成処理皮膜および塗膜の双方が金属材の耐
食性向上に寄与することができる。
【0014】また、本発明に係る金属材の塗装方法は、
前記熱硬化型水性塗料組成物が硫酸バリウムまたはタル
クを体質顔料として含有してなることを特徴とする。
【0015】これにより、金属材の耐食性を一層向上さ
せることができる。
【0016】この場合、前記体質顔料の含有量が体積基
準で全固形分に対する百分率比率として25〜40%の
範囲内にあると、より好適である。
【0017】ここで、体質顔料の含有量の体積基準で全
固形分に対する百分率比率とは、PVC(Pigment Vol
ume Content:体質顔料容量/全固形分容量×100)
をいう。
【0018】また、本発明に係る金属材の塗装方法は、
前記化成処理工程と前記塗装工程との間に、前記金属材
を水洗する水洗工程と、水洗工程の後、乾燥させること
なく、表面張力を40mN/m以下に調整した水性樹
脂を1〜10質量%含む水溶液で0.05〜3μmの乾
燥膜厚の皮膜を形成した後、乾燥させる皮膜形成工程と
をさらに有することを特徴とする。
【0019】これにより、金属材の耐食性を一層向上さ
せることができる。
【0020】この場合、前記皮膜形成工程において、前
記水性樹脂の水溶液がカチオン電着液であり、表面張力
の調整に低級アルコールを使用すると、より好適であ
る。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、以
下に説明する。
【0022】本発明の金属材の塗装方法は、リン酸イオ
ン、塩素酸イオン、硝酸イオン、臭素酸イオンおよび2
00〜800ppmの6フッ化ジルコニウムイオンを含
むpH2.5〜3.5のリン酸塩化成処理液で金属材を
処理する化成処理工程と、炭素数6〜18のアルキル鎖
を有する単官能モノマーを10〜70質量%含む原料か
ら製造されるものであって、かつ、数平均分子量が10
00〜10000、酸価が20〜80および水酸基価が
50〜200である水溶性ポリエステル樹脂と硬化剤と
を含有する熱硬化型水性塗料組成物を化成処理により形
成された皮膜上に塗布する塗装工程とを有する。
【0023】ここで、鋼板等の被塗物(金属材)に塗膜
を形成する場合、一般に、脱脂工程→水洗工程→化成処
理工程→水洗処理工程→純水洗工程→乾燥工程→塗装工
程の手順で処理される。本発明の化成処理および塗装工
程も、この一連の工程のなかの当該工程で実施される。
この場合、脱脂工程等の他の工程の処理条件について
は、以下に説明する特定の条件で行うものを除き、特に
限定するものではない。
【0024】本発明において、被塗物である金属材は、
特に限定するものではないが、好適には、アルミ材、鉄
板、亜鉛メッキ鋼板、アルミ亜鉛メッキ鋼板等が挙げら
れる。
【0025】本発明の化成処理工程で使用するリン酸塩
化成処理液は、上記のように、リン酸イオン、塩素酸イ
オン、硝酸イオンおよび臭素酸イオンを含むpH2.5
〜3.5のリン酸塩化成処理液であって、さらに、6フ
ッ化ジルコニウムイオンを200〜800ppm含有す
る。
【0026】ここで、リン酸イオンの供給源としては、
リン酸、第1リン酸ナトリウム等が挙げられる。また、
塩素酸イオンの供給源としては、塩素酸、塩素酸カリウ
ム、塩素酸ナトリウム、塩素酸アンモニウム等が挙げら
れる。また、硝酸イオンの供給源としては、硝酸、硝酸
カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等が挙げ
られる。また、臭素酸イオンの供給源としては、臭素
酸、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、臭素酸アンモ
ニウム等が挙げられる。
【0027】上記各イオンのうち、リン酸イオンは、金
属と不溶性の金属塩を形成して被処理物の表面に皮膜を
形成する役割を果たす。一方、塩素酸イオン、硝酸イオ
ンおよび臭素酸イオンは、いずれも前記した皮膜形成促
進剤の役割を果たす。
【0028】本発明のリン酸塩化成処理液は、リン酸イ
オンを4,000〜10,000ppm含む。リン酸イ
オン含有量が4,000ppm未満の場合は化成皮膜が
不均一な状態に形成されやすく、一方、10,000p
pmを越えても化成性の向上は期待できず、薬品消費量
が増大するのみである。
【0029】また、リン酸塩化成処理液は、塩素酸イオ
ンを100〜500ppm含むことが好ましい。塩素酸
イオン含有量が100ppm未満の場合は錆を発生しや
すく、一方、500ppmを越えても化成性の向上は期
待できない。
【0030】また、リン酸塩化成処理液は、硝酸イオン
を1,000〜5,000ppm含むことが好ましい。
硝酸イオン含有量が1,000ppm未満の場合は皮膜
形成反応が遅れ、一方、5,000ppmを越えても化
成性の向上は期待できない。
【0031】また、リン酸塩化成処理液は、臭素酸イオ
ンを100〜800ppm含むことが好ましい。硝酸イ
オン含有量が100ppm未満の場合は化成皮膜が形成
されにくく、一方、800ppmを越えても化成性の向
上は期待できない。
【0032】本発明のリン酸塩化成処理液は、上記のと
おりさらに6フッ化ジルコニウムイオンを200〜80
0ppm含む。
【0033】ここで、6フッ化ジルコニウムイオンの供
給源としては、6フッ化ジルコニウム酸(HZr
)、6フッ化ジルコニウムアンモニウム((N
ZrF)等が挙げられる。
【0034】リン酸塩化成処理液の6フッ化ジルコニウ
ムイオンの含有量が200ppm未満の場合は充分な耐
食性向上効果を得ることができず、一方、800ppm
を越えても耐食性のそれ以上の向上を期待できず、薬剤
消費量の増加に伴うコスト増加の不具合が顕在化する。
【0035】また、本発明のリン酸塩化成処理液は、上
記したように、pHを2.5〜3.5の範囲に調整す
る。
【0036】pHが2.5未満の場合はエッチング過多
となり、一方、3.5を越える場合は沈殿析出の懸念を
生じる。
【0037】上記のリン酸塩化成処理液を用いた化成処
理は、スプレー処理または浸漬(ディップ)処理のいず
れの処理方法を用いてもよく、また、スプレー処理およ
び浸漬処理を併用してもよい。
【0038】本発明の化成処理は、好ましくは30〜4
5℃の温度で行う。
【0039】また、処理時間は、10秒以上が好まし
く、さらに30〜180秒がより好ましい。処理時間が
10秒未満の場合、充分な皮膜量を有する皮膜を形成す
ることができず、塗装後の塗料密着性の不良の原因や耐
食性が向上しない原因となる。
【0040】本発明の化成処理工程おいて形成された化
成処理皮膜により、被処理材(金属材)の耐食性を向上
させることができる。
【0041】また、本発明の塗装処理工程は、炭素数6
〜18のアルキル鎖を有する単官能モノマーを10〜7
0質量%含む原料から製造されるものであって、かつ、
数平均分子量が1000〜10000、酸価が20〜8
0および水酸基価が50〜200である水溶性ポリエス
テル樹脂と硬化剤とを含有する熱硬化型水性塗料組成物
を含む塗料を化成処理により形成された皮膜上に塗布す
るものである。
【0042】本発明の熱硬化型水性塗料組成物に含有さ
れる水溶性ポリエステル樹脂は、炭素数6〜18のアル
キル鎖を有する単官能モノマーを10〜70質量%含む
原料から製造されるものである。
【0043】この単官能モノマーは、ただ一つの官能基
を有し、その官能基としては、特に限定されないが、中
でも上記水溶性ポリエステル樹脂の製造の際に用いられ
る、上記単官能モノマー以外に用いられる他のモノマー
と反応する官能基であれば特に限定されないが、カルボ
キシル基、水酸基またはエポキシ基が好ましい。
【0044】また、この単官能モノマーは炭素数が6〜
18、好ましくは6〜12である、分岐状または直鎖状
のアルキル基を有している必要がある。炭素数が6未満
だと、この樹脂を用いて得られた塗膜に、耐食性、耐水
性および耐候性を十分に付与することができず、炭素数
が18を上回ると、樹脂の疎水性が高くなりすぎるた
め、水分散化を容易にすることができなくなる。
【0045】このような単官能モノマーの具体的な化合
物の中で、モノカルボン酸としては、ドデカン酸、イソ
ノナン酸(3,5,5−トリメチルヘキサン酸)、2−
エチルヘキサン酸(オクチル酸)、シクロヘキサンカル
ボン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミスチ
リン酸、パルミチン酸、ステアリン酸があり、好ましく
はカプリン酸、ラウリン酸がある。モノオールとして
は、3,5,5−トリメチルヘキサノール、1−ノナノ
ール、イソノナノール、ヘプタノール、イソデシルアル
コール(デカノール)、イソトリデシルアルコール(ト
リデカノール)、オクタノール、2−エチルヘキサノー
ル、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノールが
あり、好ましくは1−ノナノール、イソノナノールがあ
る。モノエポキシ化合物としては2−エチルヘキシルグ
リシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、2
−メチルオクチルグリシジルエーテルなどのグリシジル
エーテル類、グリシドールと炭素数6〜18のモノカル
ボン酸とのエステル類があり、好ましくはバーサティッ
ク酸グリシジルエステル(昭和シェル石油社製「カージ
ュラーE−10」)がある。
【0046】上記水溶性ポリエステル樹脂を製造するに
あたり、上記単官能モノマー以外に用いられる、他のモ
ノマーとしては、一般的なポリエステル樹脂を合成する
ときに通常用いられる多塩基酸および多価アルコールで
あれば、特に制限されない。
【0047】上記多塩基酸としては、シュウ酸、コハク
酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル
酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒド
ロフタル酸、テトラクロロフタル酸、シクロヘキサンジ
カルボン酸、アゼライン酸、1,10−デカンジカルボ
ン酸、プロパントリカルボン酸、ブタントリカルボン
酸、トリメリット酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメ
リット酸、安息香酸、およびそのエステル形成誘導体
(低級アルコールエステル、無水物、酸ハロゲン化物)
が挙げられる。この中で、イソフタル酸、ヘキサヒドロ
フタル酸、トリメリット酸、アジピン酸が好ましい。
【0048】上記多価アルコールとしては、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3
−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,1
0−デカンジオール、プロピレングリコール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコー
ル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオー
ル、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、グ
リセリン、ブタントリオール、トリメチロールエタン、
トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソル
ビタンモノオレート、ペンタエリスリトール、ジペンタ
エリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ソルビト
ール、ジグリセリン、、トリグリセリン、トリペンタエ
リスリトール、ビスフェノールAが挙げられる。この中
で、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトールが好ましい。
【0049】上記多塩基酸および多価アルコールの両方
に属する化合物としては、ε−カプロラクトン、γ−ブ
チロラクトンなどのラクトン類や、p−オキシ安息香
酸、p−オキシエトキシ安息香酸などの芳香族オキシモ
ノカルボン酸が挙げられる。
【0050】上記単官能モノマーは、上記水溶性ポリエ
ステル樹脂を製造するにあたり、全モノマー原料中に1
0〜70質量%、好ましくは20〜50質量%含有され
ている。この単官能モノマーの含有量が、全モノマー原
料中10質量%未満であると、樹脂の疎水性が低下し、
かつその樹脂を用いて得られた塗膜の耐食性および耐候
性は、上塗り塗膜に対する要求を十分に満足させるもの
とはならない。一方、この単官能モノマーの含有量が、
全モノマー中70質量%を越えると、樹脂の水分散性が
悪化することになる。
【0051】上記水溶性ポリエステル樹脂は、上記単官
能モノマー、上記多塩基酸および上記多価アルコール
を、所定量配合し、常法により縮合反応させて得ること
ができる。
【0052】また、本発明の熱硬化型水性塗料組成物に
含有される水溶性ポリエステル樹脂は、上記原料から上
記単官能モノマーを除いた成分を用いてポリエステル樹
脂を合成した後、上記ポリエステル樹脂に上記単官能モ
ノマーを反応させて得られるものであっても構わない。
この時、上記単官能モノマーの量は上記原料の10〜7
0質量%に相当する。ここで、上記単官能モノマーおよ
び上記原料から上記単官能モノマーを除いた成分は、先
に述べた単官能モノマーおよび他のモノマーとそれぞれ
同一である。
【0053】この場合の製造方法としては、あらかじめ
上記原料から上記単官能モノマーを除いた成分である、
上記多塩基酸と上記多価アルコールとを所定量仕込み、
常法により縮合反応させることによりポリエステル樹脂
を製造し、その後上記単官能モノマーをさらに仕込ん
で、そのポリエステル樹脂中に存在する水酸基またはカ
ルボキシル基に、上記単官能モノマーを反応させる方法
を利用することができる。
【0054】上記2種類の製造方法によって得られる、
本発明の熱硬化型水性塗料組成物に含有される水溶性ポ
リエステル樹脂の酸価は、水分散化または水溶化の点、
および塗料のリサイクル性の点から20〜80であり、
好ましくは30〜60である。酸価が20未満である
と、水分散性または水溶性が低下して、これに伴い塗料
のリサイクル性が低下することになる。一方、酸価が8
0を越えると、樹脂の親水性が高くなりすぎて、その樹
脂を用いて得られた塗膜の耐水性および耐候性が低下す
ることになる。
【0055】また、上記水溶性ポリエステル樹脂の水酸
基価は、50〜200であり、好ましくは100〜20
0である。水酸基価が50未満であると、樹脂の水分散
性が低下し、この樹脂を用いた塗料のリサイクル性が低
下するとともに、その塗料の硬化性が不十分となる。水
酸基価が200を越えると、この樹脂を用いて得られた
塗料の塗膜の耐食性、耐水性および耐候性が低下するこ
とになる。
【0056】更に、上記水溶性ポリエステル樹脂の数平
均分子量は、1000〜10000であり、好ましくは
1000〜5000である。数平均分子量が、1000
未満であると、この樹脂を用いて得られた塗料の塗膜の
耐食性、耐水性および耐候性が低下し、その数平均分子
量が10000を越えると、この樹脂を用いた塗料の粘
度が高くなりすぎて、塗装作業性が悪化することにな
る。一方、本発明の熱硬化型水性塗料組成物に含有され
る水溶性ポリエステル樹脂は、炭素数6から18の分岐
または直鎖状のアルキル鎖部分を、樹脂分子中に5〜7
0質量%有し、かつ、数平均分子量が1000〜100
00、酸価が20〜80および水酸基価が50〜200
の水溶性ポリエステル樹脂でもある。この水溶性ポリエ
ステル樹脂は、上記2種類の製造方法の内、いずれの製
造方法によっても得ることができる。本発明の熱硬化型
水性塗料組成物は、硬化剤を含有する。
【0057】硬化剤としては、特に限定されないが、メ
ラミン樹脂またはブロックイソシアネート化合物が好ま
しい。
【0058】メラミン樹脂の具体例としては、メラミ
ン、尿素、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ステ
アログアナミン、スピログアナミン等のアミン成分と、
ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グリオキサ
ール、アセトアルデヒドなどのアルデヒド成分との縮合
物、およびブタノール、メタノール等の低級アルコール
による、それらのエーテル化合物が挙げられる。この中
で、アルキルエーテル化メチロールメラミンが好まし
い。
【0059】ブロックイソシアネート化合物の具体例と
しては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン
ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシ
リレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレン
ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物
を、この分野でよく知られたブロック剤でイソシアネー
ト基をブロックしたものである。
【0060】上記ブロック剤としては、フェノール、ク
レゾール、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エ
チレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリ
コールモノメチルエーテル、ホルムアルドキシム、アセ
トアルドオキシムが挙げられる。
【0061】ブロックイソシアネートとしては、上記の
うちではヘキサメチレンジイソシアネートのフェノール
ブロック体が好ましい。
【0062】上記水溶性ポリエステル樹脂と上記硬化剤
との割合は、固形分質量比で5/95〜95/5(水溶
性ポリエステル樹脂/硬化剤)であり、好ましくは50
/50〜90/10である。
【0063】上記水溶性ポリエステル樹脂の量が5/9
5未満であると、硬化剤が過剰となって、得られる塗膜
中に未反応のまま残存することで硬化塗膜が軟化し、9
5/5を越えると硬化剤が不足し、十分な硬化塗膜を得
ることができない。
【0064】ここで、上記で上記水溶性ポリエステル樹
脂のSP値は、10.0から11.0の範囲内の値であ
ることが好ましい。更には、上記硬化剤のSP値は、上
記水溶性ポリエステル樹脂のSP値よりも0.5〜3.
0高いことが好ましい。この範囲内に、上記水溶性ポリ
エステル樹脂および硬化剤のSP値をコントロールする
ことにより、塗料のリサイクル性が、一層向上すること
になる。
【0065】ここでいうSP値(溶解度パラメータ)は
溶解度の尺度となるものであり、その測定方法は濁度法
などの当業者によく知られた手法による。
【0066】本発明の熱硬化型水性塗料組成物は、上記
水溶性ポリエステル樹脂および硬化剤以外に、中和剤、
顔料および溶剤を含有することができる。
【0067】上記中和剤としては、アンモニア、モノメ
チルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノ
エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モ
ノーn−プロピルアミン、ジメチルーn−プロピルアミ
ン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メ
チルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、
イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン等
が挙げられる。特にトリエチルアミン、ジメチルエタノ
ールアミン等が好ましい。
【0068】上記中和剤の含有量は、上記水溶性ポリエ
ステル樹脂固形分の0.1〜10質量%であることが好
ましい。
【0069】上記顔料としては、二酸化チタン、カーボ
ン、キナクリドン系、シアニンブルー、シアニングリー
ン、アセチレンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、
黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ネーブルスイ
エロー、ベンジジンイエロー、モリブデンイエロー、パ
ーマネントオレンジGTR、ベンガラ、カドミウムレッ
ド、リゾールレッド、パーマネントレッド4R、ファス
トバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、ファー
ストスカイブルー、クロムグリーン、酸化クロム等の着
色顔料や、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、ク
レー、シリカ等の体質顔料や、燐酸亜鉛、燐酸カルシウ
ム、リンモリブデン酸アルミニウム等の防錆顔料が挙げ
られる。
【0070】本発明では、上記の顔料のうち、体質顔料
であるタルクまたは硫酸バリウムをより好適に用いるこ
とができ、これにより、金属材の耐食性を向上させるこ
とができる。
【0071】本発明で使用する顔料の含有量は、PVC
で、25〜40%であることが好ましい。PVCが25
%未満の場合は耐食性が悪化し、一方、PVCが40%
を越えると塗装外観が不良となる。
【0072】必要に応じて溶剤を用いるとき、溶剤とし
ては、塗料一般に用いられているものであれば特に制限
はないが、水分散性の点から、水溶性有機溶剤が好まし
く、その具体的な例としては、アルコール類、例えばメ
タノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパ
ノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル
2−プロパノール、メトキシプロパノール、エトキシプ
ロパノール、ブチルグリコール、ソルフィット、ブチル
ジグリコール、ジアセトンアルコール、ジエチレングリ
コールなど;ケトン類、例えばアセトン、メチルエチル
ケトンなど;エーテル類、例えばテトラヒドロフラン、
ジオキサンなど;アミン類、ジメチルエタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン;ピロリドン
類、例えばピロリドン、n―メチルピロリドンなど;な
どが挙げられる。上記溶剤の含有量は、一般的な水性塗
料の場合と同じように、全塗料重量あたり1〜30質量
%が好ましい。
【0073】本発明の熱硬化型水性塗料組成物の具体的
な調整方法は、例えば、以下の通りである。あらかじめ
上記水溶性ポリエステル樹脂を、中和剤および顔料とと
もに配合し、サンドグラインド、ボールミル、ブレンダ
ーなどの通常の分散機や混練機を用いて分散し、分散ペ
ーストを得る。ここで得られた分散ペーストに、上記硬
化剤を配合し、所定量の脱イオン水で希釈することによ
り、本発明の熱硬化型水性塗料組成物を得ることができ
る。希釈後の不揮発分は、25〜70質量%が好まし
い。
【0074】塗装は、例えば、 スプレー法により行わ
れ、常温でセッティングした後、100〜250℃の温
度で5〜60分の間、焼き付けることにより、塗膜が形
成される。
【0075】また、本発明の金属材の塗装方法は、上記
の化成処理工程および塗装工程との間に、金属材を水洗
する水洗工程と、水洗工程の後、乾燥させることなく、
表面張力を40mN/m以下に調整した水性樹脂を1
〜10質量%含む水溶液で0.05〜3μmの乾燥膜厚
の皮膜を形成した後、乾燥させる皮膜形成工程とをさら
に有することが好ましい。
【0076】また、この場合、より好ましくは、水性樹
脂の水溶液としてカチオン電着液を用い、表面張力の調
整用に低級アルコールを用いる。
【0077】本発明の水性樹脂は、樹脂の種類を限定す
るものではなく、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂
を適宜選定して用いることができる。
【0078】水性樹脂の固形分濃度は、1〜10質量%
の範囲にあることが望ましい。水性樹脂の固形分濃度が
1質量%未満の場合は、金属材の耐食性向上効果が充分
ではなく、一方、水性樹脂の固形分濃度が10質量%を
越える場合は、処理ムラ、タマリ等を生じ、外観への影
響が大きい。また、水性樹脂の水溶液の濃度管理の容易
さ、作業性の点からは、水性樹脂の固形分濃度が5質量
%前後であることが特に好ましい。
【0079】この水性樹脂の水溶液には、発泡防止等の
目的で必要に応じて、溶剤や各種添加剤を、十分な水溶
性が維持される範囲内で、加えることができる。特に好
ましいのはカチオン電着液をベースとしたものである。
【0080】本発明の水性樹脂の水溶液は、表面張力を
40mN/m以下に調整したものである。
【0081】本発明では、上記水性樹脂の水溶液によっ
て、乾燥処理を行っていない湿潤状態の金属材を処理す
るが、このとき、表面張力が40mN/mを越える
と、金属材表面の濡れが悪く水性樹脂の水溶液が均一に
付着しないことがある。
【0082】水性樹脂の水溶液の表面張力は、表面調整
剤を含む水を希釈液に使用することにより容易に制御可
能である。
【0083】この表面調整剤は、特に好ましくは、低級
アルコールである。カチオン電着水溶液に対しては、イ
ソプロピルアルコールが最適である。なお、例えばセロ
ソルブ等のような樹脂分を選択的に溶解する表面調整剤
は必ずしも適当ではない。
【0084】このような表面張力の制御された水性樹脂
の水溶液を用いて金属材上に均一に塗布することが重要
である。
【0085】十分な濡れ性を有する皮膜を金属材上に均
一に塗布することにより、0.05〜3μmの乾燥膜厚
を有する皮膜を形成すれば、充分な耐食性改善効果を得
ることができる。皮膜の乾燥膜厚が3μmを越えると、
作業性が悪化し、また、塗膜外観が良くなくなるおそれ
がある。
【0086】上記の水性樹脂の水溶液は、金属材に対し
て皮膜形成処理を行った後、残液を回収しリサイクル使
用される。その循環系において、水性樹脂の濃度および
表面張力の制御が行われるが、このとき、循環液の表面
張力を40mN/m以下に保持するためには、初期の
水性樹脂水溶液の表面張力を30mN/m以下に調整
しておくことがより好ましい。
【0087】上記の水性樹脂の水溶液を用いた本発明の
皮膜形成処理は、スプレー法あるいは浸漬法等の適宜の
方法により行うことができる。
【0088】水性樹脂の水溶液を塗布して金属材上に皮
膜を形成した後、用いた水性樹脂系の適正な焼き付け条
件の範囲から適宜選定した条件で乾燥を行う。
【0089】本発明の皮膜形成処理を行った後、上記塗
装処理を行って塗膜を形成することにより、金属材の耐
食性をより向上させることができる。この場合、上記塗
装処理を行うに先立ち、通常のプライマー処理を行う
と、より好適である。
【0090】
【実施例】実施例および比較例を挙げて、本発明をさら
に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施例に
限定されるものではない。 (被処理物)被処理物としての鋼板は、冷延鋼板(JI
S SPCC SD3141)の7cm×15cmのテ
ストピースを用いた。 (予備処理)上記鋼板を用い、鋼板表面を清浄化するた
めの脱脂等の予備処理を以下の手順で行った。
【0091】まず、脱脂処理は、日本ペイント(株)製
アルカリ脱脂剤(商品名「サーフクリーナーCS31
0」)の2質量%水溶液を50℃の温度で2minスプ
レーすることにより行った。
【0092】ついで、水洗処理は、上水を常温で30秒
スプレーすることにより行った。 (化成処理)水洗処理の後、以下の条件で化成処理を行
った。
【0093】リン酸塩化成処理液は、リン酸イオン含有
量8,000ppm、塩素酸イオン含有量300pp
m、硝酸イオン含有量3,000ppmおよび臭素酸イ
オン含有量500ppmの液を準備し、この液に、50
0ppmの含有量となるように6フッ化ジルコニウム酸
を添加した。調製したリン酸塩化成処理液のpHは約
3.0である。
【0094】上記のリン酸塩化成処理液を、40℃の温
度で2分、鋼板にスプレーした。
【0095】なお、比較のために、6フッ化ジルコニウ
ム酸を添加しない点を除き上記実施例と同じ条件で化成
処理を行った。 (皮膜形成)下記の配合により、水性樹脂の4.9質量
%水溶液を調製した。このときの表面張力は、26mN
/mであった。
【0096】 エポキシ系カチオン電着クリヤー 100質量部 (日本ペイント社製 商品名「パワートップU100F−2」) イソプロピルアルコール 250質量部 水道水 450質量部 調製に際しては、まず、イソプロピルアルコールと水道
水を混合しておき、これをかき混ぜながらエポキシ系カ
チオン電着クリヤーを添加した。
【0097】この水性樹脂の4.9質量%水溶液を、上
記の各化成処理を行った湿潤状態の鋼板に、スプレー法
により塗布した。その後、190℃の温度で10分間焼
付乾燥を行うことにより、約0.2μmのクリヤー皮膜
を形成した。
【0098】また、比較のために、上記の皮膜形成処理
を行うことなく、そのまま以下の塗装工程に移った。 (塗装)以下の要領により水溶性ポリエステル樹脂を調
製した。
【0099】撹拌機、温度計、還流管、デカンター、窒
素ガス吹き込み管を備えた四ツ口フラスコにカージュラ
E−10(昭和シェル石油株式会社製のバーサティック
酸グリシジルエステル)30質量部、イソフタル酸30
質量部、トリメチロールプロパン23質量部、ヘキサヒ
ドロキシ無水フタル酸9質量部、プラクセルM(ダイセ
ル工業株式会社製のε−カプロラクトン)7質量部を導
入し、220℃で加熱し、水の還流がなくなるまで縮合
反応をおこなった。次に反応混合物に無水トリメリット
酸を6質量部加え、180℃で加熱し、水を除去しなが
ら酸価50になるまで縮合反応を行った。これを固形分
が70質量%となるようにブチルセロソルブで希釈し、
水酸基価150、数平均分子量1200のポリエステル
樹脂を得た。
【0100】上記のポリエステル樹脂樹脂を用い、以下
の条件で塗料を調製した。
【0101】ポリエステル樹脂24質量部、ジメチルエ
タノールアミン1質量部、酸化チタン( 商品名CR−
97、石原産業株式会社製)20質量部、硫酸バリウム
(商品名B−34、堺化学株式会社製)10質量部、脱
イオン水45質量部をSGミルで1時間分散し、分散ペ
ーストを得た。この分散ペースト96質量部と、メラミ
ン樹脂(商品名サイメル238、三井サイテック社製)
4質量部を撹拌機にて撹拌混合した。
【0102】ここで、ポリエステル樹脂の固形分量が7
0容積%、顔料である酸化チタンおよび硫酸バリウムの
合計量が30容積%であるため、PVCは30%であ
る。
【0103】この分散ペースト90質量部と、メラミン
樹脂(商品名C−238、三井サイテック社製)10質
量部を撹拌機にて撹拌混合した。得られた塗料組成物を
脱イオン水にて希釈しNK−2カップにて20℃で40
秒に粘度調製してポリエステル樹脂系塗料組成物を得
た。
【0104】また、比較のために、以下の要領によりア
ルキッド樹脂を調製した。
【0105】撹拌機、温度計、還流管、デカンター、窒
素ガス吹き込み管を備えた四ツ口フラスコに大豆油脂肪
酸30質量部、無水フタル酸13質量部、トリメチロー
ルプロパン36質量部を導入し、220℃で加熱し、水
の除去が完了するまで縮合反応をおこなった。次に反応
混合物に無水トリメリット酸を11質量部加え、180
℃で加熱し、水を除去しながら酸価35になるまで縮合
反応をおこなった。これを固形分70%となるようにブ
チルセロソルブで希釈し、水酸基価110、数平均分子
量1200のアルキッド樹脂を得た。
【0106】上記のアルキッド樹脂を用い、前記ポリエ
ステル樹脂の場合と同様の条件でアルキッド樹脂系塗料
組成物を調製した。
【0107】また、比較のために、PVCが実施例と異
なる顔料を配合して分散ペーストを調製した。
【0108】前記皮膜形成処理工程を経た(皮膜形成処
理を行わないケースを含む)鋼板上にこれらの塗料をス
プレー法により25〜35μmの膜厚に塗布した。
【0109】以上説明した塗装条件について、実施例
1、2、比較例1〜3を表1にまとめて示した。
【0110】
【表1】 (評価)以上の処理条件で処理して得られた塗装鋼板に
ついて、耐湿性検査を行うとともに、塩水噴霧試験およ
び塩水浸漬試験を行って、耐食性を評価した。
【0111】耐湿性検査は、目視により、外観評価およ
び密着性評価を行った。
【0112】塩水噴霧試験(SST)は、塗装鋼板に3
5℃の温度の5質量%Nacl水溶液を連続噴霧して、
所定時間経過後の錆発生状態を腐食発生率(単位%)と
して目視で評価したものあり、ここでは、100時間の
経過時間で評価した。
【0113】塩水浸漬試験(SDT)は、塗装鋼板の塗
膜面に切り傷をつけ、20℃に保持した5質量%NaC
l水溶液中に鋼板を48時間浸漬した後、鋼板の切り傷
部分にテープを粘着させた後、テープを剥離して、テー
プに塗膜等が付着することによって鋼板から剥離した最
大剥離幅(片側 単位mm)を測定する方法に拠った。
【0114】評価結果を表2に示した。
【0115】
【表2】 表2からわかるように、ジルコニウムイオンを含むリン
酸塩化成処理を行い水性塗料を塗装することにより、耐
食性が向上することが確認された。
【0116】
【発明の効果】本発明に係る金属材の塗装方法によれ
ば、6フッ化ジルコニウムイオンを含むリン酸塩化成処
理液で金属材を処理する化成処理工程と、単官能モノマ
ーを含み、所定の数平均分子量、酸価および水酸基価で
ある水溶性ポリエステル樹脂と硬化剤とを含有する熱硬
化型水性塗料組成物を塗布する塗装工程とを有するた
め、化成処理および塗装処理工程における有害廃棄物の
発生が軽減されて環境上好ましく、また、耐食性の向上
した塗装金属材を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 167/00 C09D 167/00 C23C 22/07 C23C 22/07 22/36 22/36 28/00 28/00 C (72)発明者 大津 孝仁 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 Fターム(参考) 4D075 BB75X CA33 DA06 DB02 DC12 EA06 EA19 EB35 EC37 4J038 DD041 GA03 GA06 JA19 KA03 KA08 MA08 MA09 MA12 MA14 PA04 PA07 4K026 AA02 AA09 AA22 BA01 BA03 BB08 BB10 CA13 CA18 CA23 CA28 CA32 CA34 DA06 EA08 EB01 4K044 AA02 AA06 AB02 BA10 BA17 BA21 BB03 BB04 BC02 CA16 CA17 CA53

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸イオン、塩素酸イオン、硝酸イオ
    ン、臭素酸イオンおよび200〜800ppmの6フッ
    化ジルコニウムイオンを含むpH2.5〜3.5のリン
    酸塩化成処理液で金属材を処理する化成処理工程と、 炭素数6〜18のアルキル鎖を有する単官能モノマーを
    10〜70質量%含む原料から製造されるものであっ
    て、かつ、数平均分子量が1000〜10000、酸価
    が20〜80および水酸基価が50〜200である水溶
    性ポリエステル樹脂と硬化剤とを含有する熱硬化型水性
    塗料組成物を、化成処理により形成された皮膜上に塗布
    する塗装工程とを有することを特徴とする金属材の塗装
    方法。
  2. 【請求項2】 前記塗装工程において、前記熱硬化型水
    性塗料組成物が硫酸バリウムまたはタルクを体質顔料と
    して含有してなることを特徴とする請求項1記載の金属
    材の塗装方法。
  3. 【請求項3】 前記体質顔料の含有量が体積基準で全固
    形分に対する百分率比率として25〜40%の範囲内に
    あることを特徴とする請求項2記載の金属材の塗装方
    法。
  4. 【請求項4】 前記化成処理工程と前記塗装工程との間
    に、 前記金属材を水洗する水洗工程と、 水洗工程の後、乾燥させることなく、表面張力を40m
    N/m以下に調整した水性樹脂を1〜10質量%含む
    水溶液で0.05〜3μmの乾燥膜厚の皮膜を形成した
    後、乾燥させる皮膜形成工程とをさらに有することを特
    徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属材の
    塗装方法。
  5. 【請求項5】 前記皮膜形成工程において、前記水性樹
    脂を含む水溶液がカチオン電着液であり、表面張力の調
    整に低級アルコールを使用することを特徴とする請求項
    4記載の金属材の塗装方法。
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