JP2003002775A - 肥効促進剤とその製造方法、肥効促進剤を含む肥料及び植物栽培方法 - Google Patents

肥効促進剤とその製造方法、肥効促進剤を含む肥料及び植物栽培方法

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JP2003002775A
JP2003002775A JP2001187959A JP2001187959A JP2003002775A JP 2003002775 A JP2003002775 A JP 2003002775A JP 2001187959 A JP2001187959 A JP 2001187959A JP 2001187959 A JP2001187959 A JP 2001187959A JP 2003002775 A JP2003002775 A JP 2003002775A
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methane fermentation
liquid
organic
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Nobuo Akiyama
伸雄 秋山
Sho Hashimoto
升 橋本
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NIKKI BIOSCAN CO Ltd
NIKKI-BIOSCAN CO Ltd
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NIKKI BIOSCAN CO Ltd
NIKKI-BIOSCAN CO Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E50/00Technologies for the production of fuel of non-fossil origin
    • Y02E50/30Fuel from waste, e.g. synthetic alcohol or diesel
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/40Bio-organic fraction processing; Production of fertilisers from the organic fraction of waste or refuse

Abstract

(57)【要約】 【課題】 メタン発酵法によって有機廃棄物を処理する
際に回収される消化液の浄水分離後に得られる残液の有
効利用法の提供。 【解決手段】 有機廃棄物のメタン発酵後の消化液から
NH3およびCO2を分離した後、逆浸透膜を用いて浄水
を分離した残液を酸性にし、析出する有機物を捕集する
ことを特徴とする肥効促進剤の製造方法。この製造方法
によって得られた肥効促進剤。肥効促進剤を含む肥料。
前記肥効促進剤または肥料を用いて植物を栽培すること
を特徴とする植物栽培方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、畜産廃棄物などの
有機廃棄物の生物処理液から植物生長促進効果の高い肥
効促進剤を製造する方法、該方法により得られる肥効促
進剤、この肥効促進剤を含む肥料及びこの肥効促進剤を
用いる植物栽培方法に関する。
【0002】
【従来の技術】1999年7月28日に公布された「家
畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法
律」および2000年6月7日に公布された「食品循環
資源の再生利用の促進に関する法律」のもとで、畜産、
食品工業や家庭・レストラン・ホテルなどから排出され
る有機廃棄物については適正な処理およびリサイクル利
用が求められてきている。斯かる状況のなかで、それら
の有機廃棄物を有効に処理することが可能な処理法とし
て、微生物による生物処理、例えばメタン発酵法などの
様々な処理法が提案され、その一部は既に実用化されて
いる。
【0003】嫌気性メタン発酵と膜分離技術を巧みに組
み合わせ、有機廃棄物を効果的に処理するバイオレック
(BIOREK)プロセスと称される技術がデンマークのバイ
オスキャン社によって開発されている(WO99/42
423参照)。このバイオレックプロセスは、有機廃棄
物をメタン発酵槽中で嫌気的メタン発酵し、生成するメ
タンガスを主成分とするバイオガスから電力と熱エネル
ギーを回収する一方、メタン発酵後の消化液は、NH3
およびCO2を分離した後、逆浸透膜を用いて浄水と、
低濃度ながら肥料成分である窒素、リン(P25)及び
カリ(K2O)を含む液とに分離回収される。このプロ
セスは1997年よりデンマークやドイツで既に商業規
模の操業が実施されており、その他世界の主要国でプラ
ントの建設や建設計画が進行中である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このプロセ
スで逆浸透膜によって浄水と分離されて回収される残液
は、西欧ではそのまま液肥として使用しているが、この
液には肥効成分である窒素、リン(P25)及びカリ
(K2O)とともにNaClを含有するため、長期間の
施肥により土壌中に塩分が濃縮されるおそれがあること
から、特に塩分濃縮障害の発生しやすいハウス栽培等で
は、肥料としての使用は好ましくない。以下に、豚の糞
尿をこのバイオレックプロセスで処理した場合に得られ
る該残液の組成分析の一例を示す。なお、下記の%は、
すべて重量%を表す。 N: 0.02% P25: 0.82% K2O: 1.68% NaCl:0.43% 有機成分:0.81% pH: 8.0
【0005】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、前記バイオレックプロセスによって分離回収される
前記残液の有効利用法の提供を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記残液
の有効利用法について鋭意研究を重ねた結果、該残液を
酸性とすることによって該残液中に含まれている有機物
が析出すること、該有機物を肥料と共に土壌に施肥し、
有機物を加えずに肥料のみ与えた土壌によって植物栽培
試験を行った結果、有機物を含有する土壌で栽培した植
物の生長が顕著に促進されることを知見し、本発明を完
成させた。
【0007】即ち、本発明は、有機廃棄物のメタン発酵
後の消化液からNH3およびCO2を分離した後、逆浸透
膜を用いて浄水を分離した残液を酸性にし、析出する有
機物を捕集することを特徴とする肥効促進剤の製造方法
を提供する。この製造方法において、前記有機物に、前
記消化液から分離したNH3およびCO2を加えても良
い。また本発明は、前記の製造方法によって得られた肥
効促進剤を提供する。さらに本発明は、前記肥効促進剤
を含む肥料を提供する。さらにまた、本発明は、前記肥
効促進剤または肥料を用いて植物を栽培することを特徴
とする植物栽培方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明による肥効促進剤は、有機
廃棄物のメタン発酵後の消化液から得られ、アルカリ性
溶液に溶解し、この水溶液を酸性にすると析出する有機
物である。その明確な構造、組成は未だ明確でないが、
前述した通り、有機廃棄物のメタン発酵後の消化液から
得られ、アルカリ性溶液に溶解し、この水溶液を酸性に
すると析出する有機物であること、分子量1000以下
の比較的低分子量の物質を多く含む組成物であること、
及び肥料と共に植物に与えると、肥料のみを与えて栽培
したものよりも格段に生長を促進し得る、といった特徴
を有している。
【0009】一般に、この種の有機廃棄物の処理液中に
含有され、且つ肥効促進効果を有するものは、総じて腐
植酸であるとされている。概して腐植酸は、土壌中で生
物遺体が微生物により分解された後、自発的に重合した
有機高分子であるとされ、土壌をアルカリ溶液やキレー
ト剤で処理した場合、溶出しない部分をヒューミン、溶
出するもののうち酸性媒質中で析出沈殿するものを腐植
酸、析出沈殿しない部分をフルボ酸と呼んでいる。この
腐植酸については、1950年代よりソ連の研究者を中
心に精力的に検討が行われ、その構造は複雑な環状芳香
族核のまわりに線状に重合した炭素側鎖を持つかなり高
分子量(約2000程度)の物質であるとされている。
【0010】一方、本発明に係る肥効促進剤の分子量分
布をゲルクロマトグラフィーで測定した結果、その分子
量分布は以下の如くであり、前述した腐植酸に比較して
かなり低分子量の物質を主成分としていた。従って本発
明に係る肥効促進剤は腐植酸とは異なる物質である。 分子量 組成比 200以下 45.9% 200−1000 39.2% 1000−6000 12.1% 6000以上 2.8%
【0011】この肥効促進剤は、有機廃棄物のメタン発
酵後の消化液からNH3およびCO2を分離した後、逆浸
透膜を用いて浄水を分離した残液を酸性にし、析出する
有機物を捕集することによって得られ、該有機物を含有
する懸濁液状の形態または該有機物を乾燥した粉末また
は顆粒状として、あるいはアンモニア水、水酸化カリウ
ムなどのアルカリ水溶液または緩衝液中に溶解した液状
の形態で、製品として提供することができる。以下、本
発明に係る肥効促進剤の製造方法の一形態を図面を参照
して説明する。
【0012】図1は、本発明の肥効促進剤の製造方法の
一形態を説明するための製造プロセスを例示する図であ
る。本製造プロセスは、有機廃棄物を嫌気的にメタン発
酵するためのメタン発酵槽1と、該メタン発酵槽1から
の消化液から水とともにメタン細菌より小さい成分を透
過分離するウルトラフィルター2と、該ウルトラフィル
ター2を透過した濾過消化液からNH3およびCO2を分
離するアンモニアストリッパー3と、該アンモニアスト
リッパー3によってNH3およびCO2を除去した液(逆
浸透膜供給液)から水(浄水)を分離する逆浸透膜4
と、該逆浸透膜4の残液と無機酸を供給し、析出した有
機物を分離して捕集する酸沈分離装置5とを主要な構成
要素として備えている。以下、このプロセスを用いて肥
効促進剤を製造する各工程を説明する。
【0013】(1)メタン発酵工程 メタン発酵工程では、各種の有機廃棄物をメタン発酵槽
1内に供給し、槽内でメタン生成細菌(例えばMethanoc
occus属細菌,Methanosarcina属細菌,Methanobacteriu
m属細菌など)によって有機廃棄物を嫌気的メタン発酵
し、メタンガスを主成分とするバイオガスを発生させ
る。このメタン発酵のために用いられる発酵槽は、基本
的には従来より周知の嫌気的培養槽を適用することがで
き、操業規模に応じて各種のタンク式培養槽等を用いる
ことができる。本例示においてメタン発酵槽1には、有
機廃棄物を供給する供給ラインと、発生したバイオガス
を槽外に取り出すバイオガス取出ラインと、消化液をウ
ルトラフィルター2に供給する消化液供給ラインと、槽
内の余剰固形物(ブリード)を取り出すブリード取出ラ
インとを備えている。さらにこのメタン発酵槽1には、
撹拌装置、保温装置、酸あるいはアルカリを添加して発
酵液のpHを調節するためのpH調整装置などの各種装
置を付設し得る。
【0014】このメタン発酵槽1に供給される有機廃棄
物は、メタン生成細菌によってメタン発酵が可能な有機
物を含むものであれば、特に限定されず、例えば豚、牛
の糞尿、鶏糞などの畜産業から排出される有機廃棄物、
あるいは一般家庭、レストラン、ホテル、食品工場など
からの廃棄食品、生ゴミ類などである。これらの有機廃
棄物をメタン発酵槽1に供給する場合、必要に応じて加
水し、有機廃棄物を沈殿槽に入れて砂や砂利等を分離
し、さらに破砕機にかけて粗大物を細かく粉砕し、さら
に必要に応じて難分解物を沈殿させて分離したり、篩
(スクリーン)を通して難分解物を捕集する前処理を行
って良い。さらに、有機廃棄物を中和するため、硫酸な
どの酸あるいは石灰乳などのアルカリを添加しても良
い。なお、分離除去した難分解物はコンポスト生産に利
用し得る。前処理された有機廃棄物は、供給ラインを通
してメタン発酵槽1内に供給される。
【0015】メタン発酵において、メタン発酵槽1内は
嫌気性雰囲気に保ち、発生するバイオガスをバイオガス
取出ラインを通して取り出す。メタン発酵槽1内は、中
温発酵菌を用いる場合には20〜40℃、好ましくは3
5〜37℃程度に、高温発酵菌を用いる場合には50〜
60℃、好ましくは55〜57℃に保温する。メタン発
酵槽1内でのメタン発酵は、バッチ式、半連続式あるい
は連続式とすることができる。本例示では、消化液を抜
き出してウルトラフィルター2にかけて、該フィルター
を透過しない未分解有機物とメタン生成細菌をメタン発
酵槽1に返送することができるので、単一の発酵槽を用
いて連続発酵を行うことが可能である。なお、半連続式
または連続式メタン発酵を行う場合には、メタン発酵槽
1を複数基用意し、あるいは1基の槽内を複数に区画
し、発酵液を別な槽に移動させながら発酵を進めること
もできる。メタン発酵の継続時間は、有機廃棄物の有機
物濃度、発酵温度によって適宜選択し得るが、例えば豚
の糞尿を用い、中温発酵菌によって37℃でメタン発酵
を行う場合、滞留時間は9〜11日程度とすることが望
ましい。
【0016】メタン発酵で発生するバイオガスは、メタ
ンガス(約72〜74容量%)を主成分とし、その他C
2(約20〜25容量%)、H2、H2S、N2などが含
まれる。バイオガス取出ラインを通してメタン発酵槽1
から取り出されるバイオガスは、ガスホルダーに貯留し
ておき、H2Sなどの有害成分を除去した後、燃料等と
して利用される。例えば、このバイオガスを複合ガス発
電機(コ・ジェネ装置)やガスタービンの燃料とするこ
とによって電気、熱(温水)を得ることができる。ある
いは、バイオガスをリフォーマーで処理し、得られる水
素ガスを燃料電池の燃料として発電することもできる。
【0017】メタン発酵を継続して行うと、メタン発酵
槽1内に余剰固形物(ブリード)が溜まってくる。この
ブリードは定期的に、もしくは槽内のブリード貯留量が
予め設定した基準を超えた時点で、ブリード取出ライン
を通してメタン発酵槽1外に取り出される。取り出され
たブリードは、コンポスト生産に利用し得る。
【0018】(2)ウルトラフィルター分離工程 メタン発酵槽1内でメタン発酵を終えた消化液は、消化
液供給ラインを通してウルトラフィルター2に供給され
る。ウルトラフィルター2は、メタン生成細菌(例えば
0.1〜10μm程度)や未分解有機物を透過せず、水
及び低分子量の発酵分解物を透過するような微細孔を有
している。
【0019】このウルトラフィルター2によって消化液
を膜分離し、低分子量の発酵分解物を含む水を透過して
抜き出すとともに、返送ラインを通してフィルター2を
透過しないメタン生成細菌と未分解有機物を含む液をメ
タン発酵槽1に返送する。このようにメタン生成細菌と
未分解有機物をメタン発酵槽1に返送することによっ
て、メタン生成細菌と未分解有機物の流出を防ぎ、発酵
槽中の有機物とメタン生成細菌を高濃度に保つことが可
能となり、その結果有機廃棄物の発酵効率を向上させる
ことができる。
【0020】ウルトラフィルター2の運転圧力は2〜1
0気圧、好ましくは4〜7気圧程度とされる。ウルトラ
フィルター2の運転圧を高くすることによって、ウルト
ラフィルター2透過液中の溶存CO2濃度を高くするこ
とができ、メタン発酵槽1内のCO2を該透過液中に追
い出すことができるので、結果的としてメタン発酵槽1
から得られるバイオガス中のメタンガス濃度を高くする
ことができる。
【0021】(3)NH3、CO2分離工程 ウルトラフィルター2を透過した消化液は、次にアンモ
ニアストリッパー3に送り、スチーム加熱などのストリ
ッピング処理によって消化液中のNH3、CO2を液相中
から分離する。分離されたNH3、CO2は、塔頂から抜
き出され、好ましくは冷却器を通して冷却し、凝縮水中
にアンモニアおよびCO2を含んだ水溶液として取り出
される。この水溶液は、窒素肥料の原料として利用さ
れ、また後述するように、酸沈殿させた肥効促進剤と混
合して用いることもできる。なおストリッピング処理に
よるNH3、CO2分離は、完全に分離する必要はなく、
液相中にNH3、CO2を残した状態で終了させても良
い。
【0022】ストリッピング処理し、液相としてアンモ
ニアストリッパー3の下部から取り出される処理液中に
は、肥効成分としてリン(P25)及びカリ(K2O)
を含む他、NaClなどの無機塩、本発明に係る肥効促
進剤である有機物が溶解している。この処理液は、供給
ラインを通して逆浸透膜4に送られる。
【0023】(4)逆浸透膜による分離工程 逆浸透膜4は、前記処理液から水(浄水)を分離するも
のである。逆浸透膜4を透過した水(浄水)は、洗浄そ
の他各種の用途への使用、或いはそのまま廃棄処理する
ことができる。逆浸透膜4を透過しなかった成分を含む
残液は、残液供給ラインを通して酸沈分離装置5に送ら
れる。
【0024】(5)肥効促進剤分離工程 この工程で用いる酸沈分離装置5は、析出した肥効促進
剤を沈殿させ、あるいは遠心分離によって、もしくは濾
過によって捕集するためのものである。酸沈分離装置の
貯槽に送られた前記残液は、該液を酸性、好ましくはp
H6以下にするのに充分量の酸と混合される。この残液
に加えられる酸としては、硫酸、硝酸、塩酸などの無機
酸、酢酸、クエン酸などの有機酸を使用し得るが、好ま
しくは硫酸、硝酸などの無機酸、さらに好ましくは硫酸
または硝酸が使用される。
【0025】酸を加えて該残液を酸性にすると、残液は
濁り、暫く貯槽内で放置しておくと析出物は成長して薄
片状の析出物となって、透明な液相から分離し、貯槽底
部に沈降する。所定時間放置後、析出物を含む部分を透
明な液相から、好ましくは遠心分離または濾過によって
分離する。分離した析出物を含む部分(肥効促進剤)
は、必要に応じて真空凍結乾燥などの低温乾燥法により
乾燥し、粉末として、あるいはシリカなどの無機担体粉
末や澱粉などの有機質担体粉末、あるいは複合肥料粉末
の表面にコーティングすることによって粉末状ないし顆
粒状とし、適当な容器に充填して肥効促進剤の製品形態
として良い。
【0026】また別な形態として、分離した析出物を含
む部分(肥効促進剤)にアルカリ水溶液、緩衝液を加え
て析出物を溶解せしめ、液状肥効促進剤の形態として製
品化することもできる。この液状肥効促進剤の調製にお
いて、前記(3)NH3、CO2分離工程で消化液からス
トリッピングによって分離したアンモニアおよびCO2
を含んだ水溶液と前記肥効促進剤を混合し、肥効促進剤
を溶解するとともに、窒素肥料としての肥効を持たすこ
とができる。
【0027】本発明の別な形態は、この肥効促進剤を、
従来周知の粉末肥料や液体肥料に添加した肥効促進剤入
り肥料である。ベースとなる肥料は、従来より周知の各
種肥料、例えば、第1種複合肥料(配合肥料、化成肥
料)、第2種複合肥料、第3種複合肥料、発酵廃液乾燥
複合肥料、ペースト肥料、液状複合肥料などの複合肥
料、硫安や尿素などの窒素質肥料、過リン酸石灰や溶性
リン肥などのリン酸質肥料、硫酸カリや塩化カリなどの
カリ質肥料、有機質肥料、石灰質肥料、ケイ酸や苦土を
含む特殊化成肥料、微量要素複合肥料、葉面散布肥料、
農薬入肥料などを挙げることができる。肥効促進剤は、
乾燥粉末状体として、ベースとなる肥料に混合して良
く、あるいは懸濁状または液状のまま肥料に含浸させる
か、もしくは肥料粉末又は顆粒に噴霧し、乾燥すること
によってコートしても良い。
【0028】本発明の別な形態は、前述した肥効促進
剤、或いは前記肥効促進剤入り肥料を用いて、各種の植
物を栽培する方法である。前述した通り、本発明に係る
肥効促進剤は、肥料と共に植物に与えると、肥料のみを
与えて栽培したものよりも格段に生長を促進し得る、と
いった特徴を有している。肥効促進剤は、農作物の播種
あるいは苗の植え付け前に土壌中に加えても良いし、追
肥と共に、あるいは別に、播種あるいは苗の植え付け後
に与えることもできる。栽培する植物は、特に限定され
ることなく、稲、麦、トウモロコシ、ソバ、大豆、小豆
などの穀類や豆類、ジャガイモ、サツマイモなどの芋
類、大根、ニンジン、ネギなどの根菜類、小松菜、ホウ
レンソウ、キャベツ、白菜などの菜類、各種花卉類、リ
ンゴ、ミカンなどの果樹類、広葉樹、針葉樹などの栽培
に利用し得る。
【0029】この肥効促進剤の使用量は、栽培する農作
物の種類、土壌などに応じて適宜選択して良いが、通常
は土壌1kg当たり、乾物で1〜10000mg、好ま
しくは10〜5000mg、さらに好ましくは20〜5
00mgとされる。以下、実施例により本発明の効果を
実証する。
【0030】
【実施例】図1に示す製造プロセスにより、豚の糞尿を
メタン発酵処理し、消化液から本発明に係る肥効促進剤
を製造した。図1中、符号〜に示す試料を採取し、
全固形分(TS)、揮発性有機固形分(VS)、窒素
(N)、リン(P)、カリウム(K)、有機成分、硫酸
及び硫安の各成分の物質収支を調べた。 メタン発酵槽1に供給する有機廃棄物(反応槽供給
液) 逆浸透膜4に供給されるNH3、CO2分離済消化液
(RO膜供給液) 酸沈分離装置5に供給される逆浸透膜4の残液(PK
濃縮液) 酸沈分離装置5から分離した析出物(肥効促進剤) 析出物(肥効促進剤)に工程(3)からのアンモニア
およびCO2を含む水溶液を混合した肥効促進剤 その結果を表1にまとめて示す。
【表1】
【0031】実施例1:小松菜の栽培テスト 前述の通り得られた肥効促進剤の肥効促進効果を確かめ
るべく、アンモニアおよびCO2を含む水溶液を混合し
た肥効促進剤液に窒素(0.2g/4.4kg無肥培
土、0.5g/4.4kg無肥培土)、リン(P25
(0.3g/4.4kg無肥培土)及びカリ(K2O)
(2.13g/4.4kg無肥培土)を含む肥料液を調
製し、これを4.4kg無肥培土中に施肥し、小松菜を
播種した。窒素0.2g/4.4kg無肥培土区の肥効
促進剤濃度は0.42g/4.4kg無肥培土、0.5
g/4.4kg無肥培土の肥効促進剤濃度は1.06g
/4.4kg無肥培土であった。比較のために、窒素、
リン(P25)、カリ(K2O)を同量含み、肥効促進
剤を含まない肥料液を調製し、これを4.4kg無肥培
土中に施肥し、小松菜を播種した。これらの4.4kg
土壌試験区において散水のみで小松菜を栽培した。間引
きして各試験区当たり10本の小松菜を栽培し、播種後
45日目で平均葉長と平均生体重を測定した。結果は以
下の通りであった。 窒素施肥量 肥効促進剤 平均葉長 平均生体重 (g/4.4kg培土) (g/4.4kg培土) (cm) (g/株) 0.2 0.42 25.4 15.9 0.2 含まず 15.8 6.9 0.5 1.06 27.2 21.4 0.5 含まず 21.2 11.7
【0032】前記のテスト結果から分かるように、本発
明に係る肥効促進剤を含む試験区で栽培した小松菜は、
肥料(窒素、リン(P25)、カリ(K2O))が同量
で肥効促進剤を含まない試験区で栽培したものと比べ、
平均葉長と平均生体重が格段に増加した。
【0033】実施例2:稲の栽培テスト 実施例1と同様に、肥効促進剤を溶かした液と無機肥料
を使用して、N:P25:K2O=1.5:1.5:
1.8になるように調製した溶液(肥効促進剤0.42
重量%含有;肥効促進剤添加区)、および同量の無機肥
料のみを含む溶液(無機肥料区)を、ロックウール素材
の育苗マットに同量宛塗布し、稲の育苗状態を灌水しな
がら比較した。育苗終了の12日目、葉長は、無機肥料
区で平均22cmであったのに対し、肥効促進剤添加区
は25cmであった。また乾物重量は、無機肥料区で平
均1.06gであったのに対し、肥効促進剤添加区は平
均1.18gであり、葉長、乾物重量ともに肥効促進剤
添加区は高い値を示し、肥効促進効果が実証された。ま
た、肥効促進剤添加区は無機肥料区と比べ、特に根の張
り具合が良好であった。
【0034】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、有
機廃棄物の生物処理において生じる消化液から、植物の
肥効促進効果を有する肥効促進剤を提供することができ
る。この肥効促進剤は、肥料と組み合わせて植物に施肥
することによって、植物の生育を大幅に増加することが
できるので、農業生産性を大幅に高めることができる。
またこの肥効促進剤は、植物及びヒトを含む動物に対す
る安全性が高い。さらにこの肥効促進剤は、NaClを
実質的に含まないので、土壌中に塩分が蓄積して植物の
生長を阻害することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る肥効促進剤の製造方法を説明す
るために製造プロセスの概要を示す概略図である。
【符号の説明】
1 メタン発酵槽 2 ウルトラフィルター 3 アンモニアストリッパー 4 逆浸透膜 5 酸沈分離装置
フロントページの続き Fターム(参考) 4D006 GA03 GA06 KA01 KA86 KB17 PB08 PC62 4H061 AA01 AA02 CC36 FF06 GG50 GG69 HH07 KK02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機廃棄物のメタン発酵後の消化液から
    NH3およびCO2を分離した後、逆浸透膜を用いて浄水
    を分離した残液を酸性にし、析出する有機物を捕集する
    ことを特徴とする肥効促進剤の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記有機物に、前記消化液から分離した
    NH3およびCO2を加えることを特徴とする請求項1に
    記載の肥効促進剤の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の製造方法によ
    って得られた肥効促進剤。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の肥効促進剤を含む肥
    料。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の肥効促進剤または請求
    項4に記載の肥料を用いて植物を栽培することを特徴と
    する植物栽培方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009148714A (ja) * 2007-12-21 2009-07-09 Kurita Water Ind Ltd 有機物含有水の生物処理方法および装置
JP2009154114A (ja) * 2007-12-27 2009-07-16 Kurita Water Ind Ltd 有機物含有水の生物処理方法および装置
KR101575345B1 (ko) * 2007-12-21 2015-12-07 쿠리타 고교 가부시키가이샤 유기물 함유수의 생물 처리 방법 및 장치
JP2016203160A (ja) * 2015-04-17 2016-12-08 コリア・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー 膜蒸留工程を用いた高温廃水処理装置

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