JP2002538840A - ミスマッチの修復検出 - Google Patents

ミスマッチの修復検出

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マレク ファハム
シアマク バハールー
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ザ・レジェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティー・オブ・カリフォルニア
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Abstract

(57)【要約】 ミスマッチの修復検出(MRD)は、DNA変異を検出するための新規な方法であり、細菌を利用して、マーカー遺伝子の発現における変化によってミスマッチを検出する。変異についてスクリーニングされるべきDNA断片を2つのMRDプラスミドへクローン化し、そして、これらの構築物のヘテロ二本鎖を細菌に形質転換する。その結果生じるコロニーは、ミスマッチがない場合は、マーカー遺伝子を発現し、ミスマッチがある場合は発現しない。MRDは、10kbのDNA内の1つのミスマッチを検出することが可能である。さらに、MRDは、多くの断片を同時に分析でき、高処理量のゲノタイピングおよび突然変異変異の検出のための、強力な方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 政府助成金 本発明は、国立保健研究所により認められた契約番号:HD24610 07-10および
契約番号:5T32GM07618に基づく政府援助によりなされた。政府は、本発明にお
いて一定の権利を有する。
【0002】 序文 背景 ゲノムDNAにおける突然変異の検出は、人間の疾患の遺伝的根拠を解明するた
めに努力するにあたり重大な役割をはたす。遺伝的スクリーニングおよび分析の
多くの型にとって、遺伝子の突然変異されたコピーの存在を知ることは、不可欠
である。そのような情報は、癌細胞やその他の体細胞突然変異の分析はもちろん
、出生前やその他の遺伝的検査において用いることができる。多くの遺伝子にと
って、機能に影響を及ぼしうる多数の異なる突然変異がある。
【0003】 糖尿病、心臓病、および精神医学的疾患などありふれた疾患は、同義遺伝子に
おいての遺伝的変異によっていくぶん引き起こされる。遺伝的変異は疾患の発生
にからむだけでなく、疾患の進行や治療への反応にもまた主なる決定子である。
ありふれた疾患に関連している遺伝的変異の同定は、そのような疾患の診断、予
測および治療を大いに進歩させることができる。
【0004】 ありふれた疾患に関連している引き起こす可能性を秘めた変異の同定への一つ
の方法としては、大量の候補遺伝子における遺伝的変異について、患者と対照者
をスクリーニングすることである。遺伝的コード配列は、ヒトのゲノム全体の5%
未満を構成しているが、人間の疾患の大多数はこれらのコード配列における配列
変異により引き起こされる。急速に広まっている公開データベースにヒト遺伝子
配列のかなりの割合が載っているので、遺伝子の大量のスクリーニングのための
試薬はすでに入手可能である。多くのDNA変異スクリーニング方法が発達してき
た。たとえば、一本鎖DNA高次構造多型(SSCP)や高速液体クロマトグラフィー(HP
LC)などがある。これらの方法は多くの遺伝子を同時にスクリーニングするよう
に設計されていないので、それらの有用性は少量の候補遺伝子を検査することに
限られていた。
【0005】 疾患にからむ変異の同定にとって、遺伝子の大量スクリーニングできる高処理
量の技術がないため、関連および連鎖マッピングのような直接前進的研究方法は
あまり提案されなかった。これらの研究方法において、ニュートラルな遺伝的変
異(多型マーカー)が遺伝子地図へ登載される。これらの多型マーカーは、疾患
の遺伝子の染色体位置に近づくための遺伝的連鎖または関連分析に用いられる。
【0006】 関連の研究は、先祖の疾患を引き起こした変異にきわめて接近しているある多
型が今だ今日の患者の個体群に存在しているという見込みに基づいている。連鎖
あるいは関連マッピングにおいて、少なくとも1つのマーカーがその疾患を引き
起こす変異に十分に近くにあり、それゆえに、家族または個体群においてその疾
患とともに同時分離できるであろうと期待している。その分析は、その突然変異
のほとんどは起点が1点であったという仮定のもとにある。
【0007】 連鎖および関連に基づく研究方法は、簡単なメンデル病のマッピングに成功し
た。しかしながら、遺伝形質が複雑な系をもっている疾患のマッピングはあまり
成功しなかった。そのような疾患を引き起こす変異の同定は、何万というマーカ
ーを使った関連分析の実施が要求されるものと広く信じられている。一塩基多型
(SNPs)は最も頻繁に存在する多型であるから、それらがこれらの関連の研究にと
って選択のマーカーになることを提案されている。
【0008】 チップハイブリダイゼーションやオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ
(OLA)のような複合的方法は、SNPsのゲノタイピングを発達させた。これらのSNP
ゲノタイピング方法はすべて、前に同定された一塩基多型をゲノタイプするとい
う共通の原理の上に機能する。多型部位は、まず、多数の個体の配列を決めるこ
とによって同定され、それから地図へと編集される。最後に、患者および対照者
に対して、おのおのの多型性の有無を検査する。
【0009】 遺伝的検査の重要な見地として、誰もが容易に二つのDNA分子の間の遺伝的ミ
スマッチをスクリーニングできる方法に大きな関心がある。二つのDNA分子が一
致しているか異なっているかを決定できる簡単な方法で、しかも多重的な分析が
可能であれば、これらの分析において大いに恩典をもたらすであろう。
【0010】関連文献 DNA配列の変異によって生じた構造的変化を電気泳動の移動性における変化と
して検出する技術は、オリタら(Orita)、(1989) P.N.A.S. 86:2766; オリタら、
(1989) Genomics 5:874; マイヤーら(Myers)、(1985) N.A.R. 13:3131; シェフ
フィールドら(Sheffield) P.N.A.S. 86:231; マイヤーら(Myers)、Meth. Enzym.
155:501; ペリーおよびカレル(PerryおよびCarrell) (1992) Clin. Pathol. 45
:158; ホワイトら(White)、(1992) Genomics 5:301に記載されている。
【0011】 ヘテロ二本鎖DNAにおける配列のミスマッチの部位を検出するために化学物質
またはタンパク質を使用する技術は、コットン(Cotton)ら、(1988) P.N.A.S. 85
:4397; マイヤー(Myers)ら、(1985) Science 230:1242; マーシャル(Marshal)ら
、(1995) Nature Genetics 9:177; ユイル(Youil)ら、(1995) P.N.A.S. 92:87に
記載されている。チップハイブリダイゼーションについては、ワング(Wang)ら、
Science 280:1077-1082に記載されている。
【0012】 グロンペ(Grompe)、Nature Genetics 5:111には、DNAの大きな範囲をスクリー
ニングする方法を概説している。マッピング設計はリシュ(Risch) (1990) Am.J.
Hum.Genet. 46:229-241; ランダーおよびボッツスタイン(LanderおよびBotstein
) (1987) Science 236:1567-1570; およびビショップおよびウィリアムソン(Bis
hopおよびWilliamson) (1990) Am.J.Hum.Genet. 46:254-265に見ることができる
。サンドラおよびフォード(SandraおよびFord)、(1986) Nucleic Acids Res. 14
:7265-7282およびキャスナ(Casna)ら、(1986) Nucleic Acids Res. 14:7285-730
3には、遺伝的分析が記載されている。
【0013】 しかしながら、いくつかの研究方法は、ニールソン(Nielson)ら、(1995) Stra
tegies 8:26に記載されている高忠実性をもつ酵素での長鎖PCR、フェリンおよび
キャメリニ-オテロ(Camerini-Otero) (1991) Science 254:1494に記載されてい
るrecA関与の切断、およびブローケス(Brookes)ら、(1995) Human Molecular Ge
netics 3:2011に記載の多数の特異的断片を同時にPCR増幅するための一組のオリ
ゴヌクレオチドプライマーの使用を含めて、現在、大きなDNA断片を単離するた
めに利用されている。
【0014】 大腸菌のメチルミスマッチ修復システムは、ワグナーおよびメセルソン(Wagne
rおよびMesselson) (1976) P.N.A.S. 73:4135; モドリッヒ(Modrich) (1991) An
nu.Rev.Genet. 25:229; パーカーおよびマリナス(ParkerおよびMarinus) (1992)
P.N.A.S. 89:1730; およびキャラウェイおよびマリナス(CarrawayおよびMarinu
s) (1993) J.Bacteriology 175:3972に記載されている。大腸菌のメチル依存性
ミスマッチ修復システムの通常の機能は、不完全なDNA複製から生じる新しく合
成されたDNAにおけるエラーを修正することである。そのシステムは、配列GATC
におけるアデニンのメチル化は新しく合成されたDNAに起こるのではなく、複製
されていないDNAに起っているという事実を利用して、複製されていないDNAを新
しく複製されたDNAから区別している。ミスマッチの修復は、三つのタンパク質
、MutS、MutL、およびMutHの作用によって開始され、それらは、メチル化されて
いない、新しく複製された鎖にヘミメチル化されたGATC部位で、ニックを入れる
。メチル化されていないDNA鎖は、それから、消化され、鋳型としてメチル化さ
れた鎖を使って再合成される。メチル依存性ミスマッチ修復システムは、1塩基
対のミスマッチ、および長さが4つまでのヌクレオチドのミスマッチまたはルー
プを修復することができる。5つのヌクレオチドやそれ以上のループは修復され
ない。
【0015】 真核細胞における部位特異的リコンビナーゼの利用は、ワール(Wahl)ら、米国
特許第5,654,182号、およびソイアー(Sauer)、米国特許第4,959,317号に記載さ
れている。
【0016】 発明の概要 「ミスマッチの修復検出」(MRD)と名付けられた、インビボの細菌による分析
のための構成と方法を提供する。1つのヌクレオチドほどの小さな部分によって
一方の鎖の配列がもう一方の鎖の配列と異なっているような、二本鎖のDNA分子
におけるミスマッチを検出する方法である。DNA分子の2つの鎖は、異なった供給
源から来ている。一つの鎖は、メチル化されていないDNAであり、検出マーカー
遺伝子およびミスマッチを検査される配列をもっている。もう一方の鎖は、メチ
ル化されたDNAであり、その欠陥が修復機能を活性化しないようなマーカー遺伝
子の不活性化されたコピーおよび検査されるべき配列のもう一つのコピーをもっ
ている。2つの鎖のハイブリダイゼーションから形成されるヘテロ二本鎖dsDNAは
、活性メチルミスマッチ修復システムをもつ細菌の宿主(MMR宿主)へ形質転換さ
れる。
【0017】 宿主の修復システムは、対象となる配列にあるミスマッチによって活性化され
、その時マーカー遺伝子も「同時修復」し、不活性な二本鎖のコピーを産生する
であろう。対象となる配列の2つの鎖が完全に対合している場合に、マーカー遺
伝子は変化させられず、形質転換された細菌は活性型マーカーを産生するであろ
う。ミスマッチが存在する形質転換体は、活性マーカーの欠如により容易に同定
され、それから、さらに分析するために、単離し、増殖させてもよい。MRDは、
多数の断片を同時に分析するための迅速な方法である。それは種々の由来のDNA
の間の相違を数え上げるための分析として、および変異のある配列をもつDNAを
単離する手段として有用である。
【0018】 特定の態様の説明 ミスマッチの修復検出法(MRD)は、二本鎖DNA分子の配列におけるミスマッチを
検出する方法である。その方法は、10,000を越すヌクレオチドの領域において、
2つのDNA配列が、1つの塩基ほどの小さな変化をもって異なっているかどうかを
決定する。多数のDNA断片を1つの反応で分析することができ、その過程は、平行
して多くの反応を走らせて容易にスケールアップされる。入力DNAにより、MRDは
いろいろな目的に使うことができる。真核生物の染色体の大きな領域での突然変
異の存在を分析するために多数の多型マーカーを検査することにより、遺伝子マ
ッピングにおいて利用される。ゲノムまたはcDNAのクローンの大量のプールにお
いて、その方法は、対照と検査個体群の間にあるミスマッチがあるところのそれ
らのDNAsを同定して、特別の座または領域から変異体対立遺伝子を単離する特に
簡単な方法を提供するものである。その方法はまた、癌細胞または抗体遺伝子の
高度突然変異に見られるような、DNAにおける体細胞変化を検出するために使う
ことができる。MRDのキーとなる利点とは、いったん適切なベクターが供給され
れば、その工程は実施するのが極めて簡単であるということである。
【0019】 高処理量DNA変異検出を実行する能力により、ミスマッチの修復検出法(MRD)を
関連および直接的スクリーニング研究を行うのに理想のものとしている。MRDの
多重化の潜在能力は現在知られている方法のそれを越えるものであり、それゆえ
、大量のSNPをゲノタイピングするのに、他の方法をしのぐ進歩を与える。
【0020】 MRDはまた、疾患を引き起こす変異を同定するために膨大な数の候補遺伝子を
スクリーニングするために使うことができる。限られた数のMRD反応においてす
べてのヒト遺伝子のコード領域を検査することは可能である。患者および対照者
の個体群におけるすべての遺伝子のコード領域を検査することにより、容易に疾
患を引き起こす変異を明らかにするだろう。突然変異の起点、および患者個体群
においての疾患を保有する先祖の染色体の普及率についての仮定を必要としない
ので、この直接的研究法は、関連研究よりはるかに高い感度をもっている。疾患
を引き起こす変異を直接検出する方法は、これらの変異の同定を成功させるのに
は関連方法より、より可能性が高い。この直接的候補遺伝子スクリーニング方法
は、強力かつ効果的で、臨床上意味のある表現型を引き起こす変異の同定を大い
に加速することができ、疾患の診断、予測および治療を大いに進歩させる。
【0021】 疾患遺伝子の直接的スクリーニングに基づく方法の適用には、診断、たとえば
、ファクターVIII対ファクターIXの欠失のような、遺伝子に関係した2つの関連
の疾患においての突然変異の間を区別する補助診断、疾患感受性の予測、治療の
発達、および治療の最適化が含まれる。
【0022】 MRD方法 ミスマッチの修復検出法(MRD)は、DNA変異を検出するために、大腸菌のミスマ
ッチを認識する能力を利用している。ミスマッチを所有している可能性のある多
くのDNA断片は、同じ大腸菌の培養へ同時に導入することができる。おのおのの
細胞は、別々のミスマッチ検出存在物として機能する。ミスマッチを検出された
細胞を検出されなかった細胞から分離することによって、断片を含む2つの細胞
のプール、ミスマッチのあるプール1つとないプール1つができる。変異検出の複
雑な過程は、おのおののプールのDNA断片内容を同定するという比較的簡単な操
作に引き下げられる。
【0023】 大腸菌は、1つ、2つ、および3つのヌクレオチドループと同様に、1点のミスマ
ッチを検出する、しかし、5つのヌクレオチドまたはそれ以上のループは検出し
ない。大腸菌による修復のための鋳型は、ヘミメチル化された二本鎖DNAである
。ヘミメチル化されたDNAにおけるミスマッチは、大腸菌のミスマッチ修復経路
を活性化し、メチル化されていない鎖の大部分は(もしその全体でなければ)、
分解され、メチル化された鎖は再複製のための鋳型として供給されるという結果
になる。
【0024】 MRDは、細菌細胞の、DNAの長く拡張した範囲を「同時修復」する能力を利用し
ている。dsDNA分子の2つの鎖がミスマッチを有している場合に、すなわち、ある
特定の位置でヌクレオチドが相補的でない場合に、細菌のメチル依存性ミスマッ
チ修復システムは間違っているヌクレオチドを削り取り置換するだろう。内に改
変された配列のモティーフGAメチルTCを含むDNA鎖が修復システムによって「正
しい」配列として認識される。修正は、1つから4つまでの連続するヌクレオチド
のミスマッチによって開始される。5つ以上のミス対合されたヌクレオチドのル
ープは、修復開始を担うタンパク質によって認識されず、他のミスマッチがなけ
れば修正されないままになるであろう。しかしながら、修復がDNA分子の1つの部
位で開始されるならば、その場合は、少なくとも10kbにわたる領域が、分子上に
おいて同時修復されるであろう。
【0025】 主題の方法は、おのおののベクターが1つの鎖を二本鎖の検査ベクターへ与え
るという2つのベクターシステムを使用する。1つの与える側のベクターは活性の
ある検出マーカーをコードする遺伝子を含む。便宜上、これは、「Aベクター」
または「標準」と呼ぶことにする。第二の与える側のベクターは、マーカー遺伝
子が長さが少なくとも約5つのヌクレオチドの不活性化する挿入、欠失または置
換のループをもつことを除いて、Aベクターと実質的に相補的である。このベク
ターは「I」ベクターと呼ぶことにする。AベクターおよびIベクターは二本鎖DNA
として複製されてもよく、それから一本鎖を形成するために変性させる、または
ベクターを一本鎖物として増殖させてもよい。Aベクターは、GATC認識部位でア
デニンをメチル化しない条件下で複製され、一方、Iベクターは、これらの部位
でメチル化されたアデニンをもつように改変されるようにする。
【0026】 Aベクターからの1つの鎖およびIベクターからの1つの鎖は、アニーリングさせ
て、ヘテロ二本鎖の、二本鎖「A/I」ベクターを形成する。そのA/Iベクターはた
だ1つの鎖においてのみメチル化されているだろう。たとえば、その鎖とは、Iベ
クターによって与えられている。A/Iベクターが活性メチルミスマッチ修復シス
テムをもつ適切な細菌宿主(MMR宿主)へ形質転換される場合に、活性と不活性の
マーカー遺伝子の間にあるループは修復を開始しないであろう。マーカー遺伝子
の修正は、分子の他のどこかに修復を開始できるミスマッチがある時のみ起こる
であろう。
【0027】 A/Iベクターは「検査配列」にライゲーションされる。検査配列は、ミスマッ
チを検査されるべき対象となる配列を含む、二本鎖DNA分子である。検査配列に
おけるミスマッチは、細菌宿主細胞において、マーカー遺伝子内のループの修復
を開始すると思われる。検査配列のおのおのの鎖は、異なった供給源によって与
えられ、ここではX鎖およびY鎖と名付ける。X鎖およびY鎖のうちの一つまたは両
方は、前に記載されたアニーリング段階の前に、AベクターおよびIベクターにラ
イゲーションさせてもよい。本発明の一つの態様として、Aベクターは検査配列
にライゲーションされ、一本鎖の「標準」ベクターとして複製される。または、
X鎖またはY鎖は、二本鎖A/Iベクターにライゲーションされる。検査配列にライ
ゲーションされたA/Iベクターは、検査ベクターと呼ばれるべきであろう。
【0028】 検査配列のX鎖およびY鎖は完全に相補的である時では、検査ベクターで形質転
換された細菌は、マーカー遺伝子内のループの修正を開始せず、活性および不活
性マーカーの混合を発現するであろう。もし、XおよびYがミス対合しているなら
ば、その時は修復は開始される。マーカー遺伝子は、両方の鎖が不活性のマーカ
ー配列をもつように、同時修復により「修正」されるだろう。そのため、形質転
換された細菌は活性マーカーを欠く。形質転換された細菌は、マーカーの発現を
検出できる条件の下で、プレート、液体培養などで増殖される。マーカーを欠く
形質転換体の存在は、検査配列のミスマッチを示している。これらの形質転換体
をそれから、さらなる使用のために単離してもよい。図1は、この過程を描いた
概略図である。
【0029】 DNAベクター AベクターおよびIベクターは、MMR細菌宿主において複製されるどの二本鎖ま
たは一本鎖のエピソームのDNA要素でもよく、たとえばファージ、プラスミド、
細菌の人工染色体(BACs)などがある。多くのベクターは、当技術分野において公
知であり、商業的に入手できる。2つのベクターは、マーカー遺伝子にある前に
考察したループ、および選択的に、対象となるX配列またはY配列については除い
て、もし一本鎖ならば実質的に相補的であり、二本鎖ならば実質的に一致してい
る。二本鎖ベクターは、A/Iベクターを形成する前に直鎖状にして変性させなけ
ればならない。ベクターは、少なくとも1つのメチル化認識配列、一般的にはGAT
Cを含むようにするが、さらに通常では多数の認識配列が存在するようにする。
【0030】 AベクターおよびIベクターは、MMR宿主細胞において活性のある複製起点をも
っている。起点は、高コピー数または低コピー数のベクターを供給できる。選択
的に、ベクターは、選択マーカー、たとえば、抗生物質耐性、MMR宿主の代謝欠
陥を補足する遺伝子もしくはオペロン、ファージ感染に対する耐性などをコード
する遺伝子を含むようにする。ファージベクターは、パッケージングシグナル、
ファージコートタンパク質をコードする遺伝子、および調節遺伝子などを含んで
もよい。望ましくは、ベクターは、クローニングを容易にするために多くのの制
限エンドヌクレアーゼ部位をもつポリリンカーを含むようにする。
【0031】 検出マーカー遺伝子は、直接的または間接的に検出可能な特徴を示す、細菌の
宿主において発現されるどの遺伝子であってもよい。興味のある直接的検出可能
なマーカーとしては、抗生物質耐性、物質の色変化、ルシフェラーゼの発現など
が含まれる。本発明の一つの態様として、マーカーは、間接的に検出される、た
とえば、cre リコンビナーゼ、FLP リコンビナーゼ、pSR1 リコンビナーゼなど
のリコンビナーゼである。例として、活性creの存在は、組換え部位の間に直接
検出可能なマーカーが存在する2つ以上の異種構造の組換え部位の間での、組換
えによって検出することができる。その活性酵素は、その部位間で組換えて、そ
れにより直接検出可能なマーカーを欠失させる。一方、不活性酵素の存在下では
、直接検出可能なマーカーは維持される。そのような直接検出されるマーカーは
、その時のベクター上に存在している必要はなく、細菌の染色体上または他のエ
ピソーム上に含まれていてもよい。
【0032】 「異種構造の組換え部位」という言葉は、部位特異的組換えを容易にする任意
の導入された遺伝子配列を含むことを意味する。一般的には、そのような部位は
、2つのそのような部位をもつ特異的酵素の相互作用により、組換えが容易にな
る。模範的な異種構造の組換え部位としては、ただし、必ずしも制限されるもの
ではないが、lox配列、Cre酵素によって仲介される組換え、frt配列(Golicら、(
1989) Cell 59:499-509; O'Gormanら、(1991) Science 251:1351-1355; FLPリコ
ンビナーゼによって仲介される組換え)、チゴサッカロマイセス ルーキ(Zygosa
ccharomyces rouxii)のpSR1リコンビナーゼの認識配列(Matsuzakiら、(1990) J.
Bacteriol. 172:610-618)などが含まれる。
【0033】 lox部位をコードする配列は、本発明において使用することは特に興味あると
ころである。lox部位は、そこでcre遺伝子の遺伝子産物が部位特異的組換えに触
媒作用を及ぼすヌクレオチド配列である。特に好ましいlox部位はloxP部位であ
る。loxP配列は、長さにして34bpであるが、公知であり、当技術分野において公
知の方法によって、合成的に作製するか、またはバクテリオファージP1から単離
することができる(たとえば、フォスら(Hoess)、(1982) Proc.Natl.Acad.Sci.US
A 79:3398参照)。loxP部位は、8bpのスペーサー領域によって分けられた2つの13
bpの逆方向の繰り返しから構成されている。挿入の繰り返しおよびloxPのスペー
サー領域のヌクレオチド配列は次のとおりである。
【0034】 他の適当なlox部位は、loxB、loxL、およびloxRを含み、それらは、大腸菌か
ら単離することができる(Hoessら、(1982) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 22:3398)。
挿入繰り返しおよびloxC2のスペーサー領域のヌクレオチド配列は、次のとおり
である。
【0035】 本発明において有用な異種構造の組換え部位は自然発生の配列または改変され
た配列のいずれであってもよい。例として、国際公開公報第93/19172号に、VH10
遺伝子の側面に、1つがloxP部位変異体である2つのloxP部位が隣接しているファ
ージベクターについて記載している。Lox部位はまた、当技術分野において公知
であるいろいろな合成技術によって作製することができる。例として、lox部位
を作製するための合成技術は、オギルビーら(Ogilvie)、(1981) Science, 210:2
70によって開示されている。
【0036】 間接的に検出されるマーカーの他の例としては、調節因子、たとえば、特異的
リプレッサーによって調節される1つ以上の遺伝子をもつように構築された株に
おけるリプレッサーが含まれる。1つ以上の直接的に検出されるマーカーに間接
的な影響を及ぼすことができる遺伝子のもう一つの例は、アンバーサプレッサー
supF(またはオーカーサプレッサー、またはオパールサプレッサー)である。
【0037】 色の変化を与えるマーカーの使用は、色の変化を与える培地で形質転換された
細菌を増殖させることによって検出してもよいが、そこでは活性マーカーは増殖
には要求されない。マーカーを発現する形質転換体は、視覚による観察、分光測
光法、フローサイトメトリーなどによって検出可能である。直接検出されるマー
カーのもう一つの例は、細菌の表面に発現させることができる遺伝子であり、そ
れにより、それに対する抗体によって検出することができる。検出マーカーとし
て抗生物質耐性の使用、たとえば、β-ラクタマーゼなどは、ミス対合している
配列を単離するために写しのプレートを必要とするかもしれない。または、抗生
物質耐性および抗生物質感受性の遺伝子の両方とも存在してもよい。例として、
ベクターはストレプトマイシン感受性およびテトラサイクリン耐性の遺伝子を含
んでいてもよい。両方の活性のある遺伝子が存在している場合に、細胞は、一つ
にはストレプトマイシンを含み、もう一方にはテトラサイクリンを含んでいるよ
うに、2重の培養で増殖させてもよい。もう一つの例として、形質転換体は、無
選択条件下で増殖させて、写しのプレートは、選択的条件下で増殖させる。抗生
物質存在下では増殖できないコロニーはミス対合している検査配列をもっている
。便利なマーカーは、LacZα遺伝子で、イソプロピル-β-D-チオガラクトシド存
在下で、β-ガラクトシダーゼの発現を誘導させることができる(Messing、前記)
。そのβ-ガラクトシダーゼは、インドリル-β-D-ガラクトシドを切断して色の
ある物質を製造する。
【0038】 Iベクター上の不活性化されたマーカー遺伝子は少なくとも約5ヌクレオチドの
挿入、欠失、または置換の「ループ」をもっている。ループは、MMR宿主による
修復を開始してはならないから、ループの最小限の大きさが要求される。数百の
塩基くらいの、大きい方のループも、導入してもよいが、本発明にとっては必要
ではない。ループはフレームシフトやストップコドンなどを導入することにより
マーカー遺伝子を不活性化させる。
【0039】 たいていの場合、Iベクターはメチル化された鎖を提供することになるだろう
。同時修復の間、マーカー遺伝子は不活性型に変えられるように、このようにさ
れる。多数のマーカーにとって、活性遺伝子は不活性遺伝子より優性である。例
として、1つの活性抗生物質耐性遺伝子および1つの不活性遺伝子を含む形質転換
体は、選択的条件下で増殖することができるであろう。これらの同じ条件下で、
混合された活性/不活性から不活性マーカーを容易に区別することができる。質
的分析のこのような型は、ただ便利なだけで、本発明の実施にとって不可欠では
ないことは、当業者には理解されるところであろう。1つの活性遺伝子により産
生されたマーカーの量と2つの活性遺伝子(またはそれらの複合体)によって産
生されたマーカーの量の間を区別することができる量的分析方法、たとえば、EL
ISA、RIAなどもまた、使用してもよい。そのような量的方法は、活性マーカーの
みをもつ細胞を活性と不活性の混合をもつ細胞から検出するか、または不活性マ
ーカーのみをもつ細胞を活性と不活性の混合をもつ細胞から検出するかのどちら
かを可能にする。
【0040】 GATC認識部位のアデニンでメチル化されているIベクターは最も通常の実験大
腸菌株で複製することができる。この部位でDNAを修飾する他の細菌宿主もまたI
ベクターDNAを調製するのに使用してもよい。一般的に、細菌以外の細胞で複製
されたDNAは、精製されたDNAメチラーゼを使って、付加的なエクスビボでのメチ
ル化段階が要求されるだろう。IベクターにおけるGATC部位は実質的にすべて、
メチル化されているだろう。
【0041】 AベクターはこのDNA修飾システムを欠く宿主において複製されなければならな
い。適する大腸菌dam-株にはJM110が含まれ、ヤニシュ-ペロン (1985) Gene 33:
103-119に記載されている。細菌以外の宿主細胞、たとえば酵母、哺乳類細胞の
培養などにおいて複製されたAベクターもまた使用してもよい。
【0042】 一本鎖DNAの調製のための便利なベクターは、M13ファージの派生体である。メ
ッシング(Messing) (1983) Meth.in Enzym. 101:20を参照。M13は、繊維状バク
テリオファージで、研究実験室で通常使われている。野生型ファージの派生体は
当技術分野において公知であり、多数の供給元から商業的に入手可能である。M1
3ファージ(+)鎖DNAは、ファージ粒子から単離することができる。二本鎖ファー
ジDNAは、感染した細胞から単離され、その(-)鎖は、当技術分野で公知のいろい
ろな鎖分離方法、たとえば、カラム、ゲルによって、二本鎖から単離できる。ま
たは、その(+)鎖は、二本鎖型と組み合わせて使用してもよい。M13複製に最適の
大腸菌株は、JM101、JM105、JM107、JM109などが含まれる。M13複製起点(ファ
ージミド)を所有し、一本鎖または二本鎖DNAを産生することができるベクター
は、当技術分野において公知であり、広く入手可能である。
【0043】 検査ベクターの形成に参加するAベクターおよびIベクターの鎖は、実質的に相
補的である。検査ベクターを形成するために、AベクターおよびIベクターは直鎖
状にし、必要があれば変性して、お互いアニーリングさせる。分子を直鎖状にす
るいろいろな方法は公知であり、たとえば、制限酵素での消化などがある。DNA
を変性したりアニーリングする方法は、当技術分野においてよく知られており、
詳細に記載するまでもない。2つの末端は、平滑末端、または相補的に突出して
いる末端をもっていてもよい。アニーリングされたヘテロ二本鎖DNAは、たとえ
ばT4、大腸菌などの任意の適当なリガーゼを使って、通常のバッファーおよび条
件を用い、ライゲーション反応によって環状化させる。一般的に、形成されたヘ
テロ二本鎖DNAは、標準の形質転換反応において検出するのに十分な量、たとえ
ば、少なくともDNA約0.1ピコグラム、であろう。
【0044】 二本鎖ベクターが使われる場合、ベクターは、アニーリング段階の前に直鎖状
にして変性されなければならない。さらには、形質転換体の高いバックグラウン
ドを避けるために、アニーリング後で形質転換前に、ホモ二本鎖のAベクターお
よびIベクターを除去することが望ましい。この段階を行うのに便利な方法の一
つとして、2つのベクターの差異のあるメチル化を利用する。1つのメチル化され
た鎖および1つのメチル化されていない鎖をもつヘテロ二本鎖DNAを切断しないが
、ホモ二本鎖のメチル化されていないDNAを切断する(たとえばMboI)、および
ホモ二本鎖のメチル化されているDNAを切断する(たとえばDpnI)制限酵素は、
当技術分野において公知である。二本鎖AベクターおよびIベクターは、変性、結
合、そして再アニーリングさせて、ホモ二本鎖DNA(Aベクター、Iベクター)およ
びヘテロ二本鎖DNA(A/Iベクター)の混合物を残す。その混合物は、それから、メ
チル特異的制限酵素で処理される。ホモ二本鎖DNAは切断され、そしてヘテロ二
本鎖DNAは切断されない。ヘテロ二本鎖DNAはそれから、方法の次の段階で利用さ
れる。
【0045】 検査配列 検査配列は前に記載のとおり、XおよびYのヘテロ二本鎖である。XおよびYは実
質的に相補的であり、お互いアニーリングする。一般的に、X鎖およびY鎖の供給
源は、近い関係にあるだろう。たとえば、単一種の個体、近い関係の種の個体、
単一個体からの生殖系列組織および体細胞組織、種の同系交配株などがある。検
査配列は、どんな供給源から由来するものでもよく、たとえば、原核生物または
真核生物、植物、哺乳動物、昆虫などがある。本方法は、高等植物や動物に見ら
れるような複雑なゲノムの分析に特に有用である。検査DNA配列は、通常、長さ
が少なくとも約20ヌクレオチドであり、しかも通常、長さが約10ヌクレオチド
以上にならないであろう。長さの上限は、鎖を同時修復するMMR宿主の能力によ
り決定される。
【0046】 マーカー遺伝子の同時修復を開始するためには、検査配列において、少なくと
も1つの「開始するミスマッチ」がなければならない。開始するミスマッチは、1
つから4つまでの連続するヌクレオチドの欠失、挿入または置換である。5つ以上
の連続するヌクレオチドのループは、修復を開始しないであろう。検査配列に複
数の連続していないミスマッチが存在していてもよい。一般的に、検査配列は、
2つの鎖の間に少なくとも約90%の同一性をもっているだろう。同時修復の開始は
、1つの開始するミスマッチが存在する限り、進行するであろう。
【0047】 X鎖およびY鎖を産生するのにいろいろな方法を用いてもよい。DNA配列の単離
および増幅は当技術分野において公知である。XおよびYは逆転写酵素反応からの
cDNA、ゲノム、プラスミド、YAC、ウイルスなどからの制限酵素切断断片、ポリ
メラーゼ連鎖反応法(PCR)からの増幅産物などであってよい。PCR産物の使用につ
いて重要な制限事項は、耐熱性ポリメラーゼの選択である。3'から5'へのエキソ
ヌクレアーゼ活性をもつ、たとえば、プルーフリーディング機能をもつ、ポリメ
ラーゼが好ましい。当技術分野において公知のプルーフリーディング能力をもつ
有用な耐熱性ポリメラーゼには、サーモコッカス リトラリス(Thermococcus li
toralis)、ピロコッカス フリオーシス(Pyrococcus furiosis)、およびサーマ
ス サーモフィラス(Thermus thermophilus)から単離されたものが含まれる。商
業的に入手可能なサーマス アクアティカス(Thermus aquaticus)のポリメラー
ゼは、増幅されたDNAへかなりの数のエラーを導入することが見つかり、一般的
には、とても短いもの、たとえば、約500ヌクレオチド未満を除くすべての配列
に対して適していないだろう。
【0048】 検査配列がインビトロの増幅反応で得られている場合、通常の酵素と方法論を
使ってその増幅産物をメチル化することが望ましいかもしれない。
【0049】 一本鎖を単離する、または二本鎖DNAを変性するための数多くの技術が、当技
術分野において知られている。例として、逆転写酵素の産物は、DNA鎖のみ残す
ためにリボヌクレアーゼで処理すればよい。鎖の分離ゲルは当技術分野において
公知であり、DNA分子の2つの鎖を分離するために使ってもよい。PCRは、1つのプ
ライマーにビオチン、ハプテンなどのような結合相手をもつ分子を結合させて行
ってもよい。そのPCR反応はそれから変性させ、たとえば、アビジン、ハプテン
に特異的な抗体などの結合相手を結合させた固体物質に結合させる。検査DNAは
、たとえば、M13ファージ、ファージミドなどの一本鎖物として複製してもよい
。Xおよび/またはY配列は、制限酵素切断断片、PCR産物、または他の二本鎖DNA
分子であってもよく、通常の方法にしたがって、変性される。国際特許出願PCT/
US93/10722には、ミスマッチの検査のために適するヘテロ二本鎖DNAを産生する
一つの方法が記載されている。
【0050】 検査配列DNAをベクターに付けるのに使うことができるいくつかの違った方法
がある。一つの方法として、二本鎖A/Iベクターは、二本鎖のX/Y検査配列DNAに
ライゲーションされる。この方法は、二本鎖のヘテロ二本鎖A/Iベクターを二本
鎖のヘテロ二本鎖X/Y検査DNAにライゲーションする。2つの二本鎖DNA分子は結合
される。いろいろな制限エンドヌクレアーゼでの消化により、または末端への特
別なリンカーのライゲーションにより形成されるような、X/Y分子、およびA/I分
子の末端に、短い、相補的な突出部分をもっていると便利であり、そこでベクタ
ーと検査配列がお互いにアニーリングするであろう。好ましくは、ベクターの自
己環状化を防ぐため、一つの分子内のそれぞれの末端に異なる突出部分が存在す
るようにする。平滑末端もまた使用されるかもしれないが、その場合、自己環状
化を減らすためベクターの末端をフォスファターゼ処理をすることが望ましいだ
ろう。分子は環状dsDNAを形成するためにライゲーションされ、それから次の段
階で使用される。
【0051】 もう一つの方法は、X DNAおよびY DNAは、別々のクローニング段階において、
AベクターおよびIベクターへライゲーションされる、そして、そのキメラのDNA
鎖は、A/Iヘテロ二本鎖分子を形成するために使われる。X配列およびY配列は、
通常の組換えDNA法(Sambrookら、前記参照)を使って、別々にAベクターおよびI
ベクターへクローン化してもよい。どちらかの鎖がどちらかのベクターへ行くこ
とになる。そのキメラの分子はそれから前に記載のとおり、複製され、メチル化
された鎖およびメチル化されていない鎖を提供する。キメラの分子は、A/Iベク
ターを形成するために、上記のとおり、直鎖状にし、必要があれば変性し、アニ
ーリングして、ライゲーションする。
【0052】 好ましい方法として、ただ一つの供給源(X)からの検査DNAをAベクターまたはI
ベクターへクローン化し、キメラの分子を形成する。IベクターかAベクターのい
ずれかがそのようなキメラであるのだろうが、便宜上、Aベクターがその検査配
列のコピーを含んでいることにする。そのようなベクターは、「標準」ベクター
と呼んでもいい。一つの標準は一つの反応に使われてもよい、または、おのおの
が別個の検査配列を含んでいる複数の標準を一つの反応においてハイブリダイズ
させるという、多重反応が行われてもよい。その多重反応は、2つ以上の標準を
複合するが、通常は少なくとも約10の標準、さらに通常には少なくとも約100の
標準で、10,000または100,000くらいの多さの標準を複合してもよい。
【0053】 一本鎖標準ベクターは、ヘテロ二本鎖を形成するために、IベクターおよびY検
査配列のハイブリダイゼーション反応で結合されてもよく、その鎖はそれからア
ニーリングされてライゲーションされる。
【0054】 そのような場合、検査配列のただ一つの鎖のみをベクターへクローン化して、
検査配列のもう一方の鎖は別に供給されることが望ましいであろう。通常の組換
えDNA技術を使って、検査配列(任意に設計されたX)は、AベクターまたはIベク
ターへクローン化される。どちらのベクターがX DNAの受容体になってもよい。
いくつかその方法を利用するにあたって、Aベクターを受容体として使用するこ
とは都合がよいかもしれない。なぜなら、最終DNA産物は、形質転換およびメチ
ルミスマッチ修復後、Y(メチル化された)鎖の配列をもつように修正されてお
り、それにより、Y DNAの単離およびさらに増殖させることができるからである
。もし、ベクターを一本鎖体として増殖させようとするならば、その場合は、X
とYがハイブリダイズできるようにその鎖の相補性を選択しなければならない。
【0055】 X DNAを含むキメラのAベクターまたはIベクターは、直鎖状にされて相補的ベ
クターへアニーリングされ、一本鎖X領域をもつヘテロ二本鎖A/Iベクターを形成
する。Y DNAは、ヘテロ二本鎖ベクターへ結合され、Xへアニーリングされる。一
つのアニーリング反応でこれら3つの分子をいっしょに行なえるだろうことは、
当業者に理解されるところであろう。Yは、たとえば、PCR産物、ゲノムDNAの断
片などの変性された二本鎖であってもよいし、またはcDNAのような一本鎖であっ
てもよい。3つの鎖(I、AXおよびY)はそれからライゲーションされる。
【0056】 形質転換と検出 検査ベクター、つまりX/Y検査配列DNAをライゲーションしたヘテロ二本鎖A/I
ベクターは、適当な細菌宿主へ形質転換される。たいていの細菌種は、活性メチ
ルミスマッチ修復システムをもっており、そのためにMMR宿主として使用するこ
とができる。適する種には、大腸菌やシュードモーナス(Pseudomonas)、エルウ
ィニア(Erwinia)、シゲラ(Shigella)、サルモネラ(Salmonella)、プロテウス(Pr
oteus)、クレブジーラ(Klebsiella)、エンテロバクター(Enterobacter)およびイ
ェルシニア(Yersinia)のような他のグラム陰性桿菌が含まれる。興味ある他の種
では、枯草菌(B. subtilis)、ストレプトマイセス(Streptomyces)などが含まれ
る。大腸菌の遺伝的性質および増殖要求物はよく知られており、たいていの場合
、好まれる宿主であろう。形質転換技術はよく知られており、例として、ハナハ
ン(Hanahan) (1985) 「DNAクローニング(DNA Cloning)」, 1巻, D.Glover編, IR
L Press社, 109を参照。
【0057】 形質転換された細菌は、一般的に、選択マーカーをコードしているベクターを
発現することができる細胞のみが増殖することができる、選択的条件の下で増殖
させる。好ましくは、検査ベクターは、この目的のためには、抗生物質耐性のよ
うな選択マーカーを含んでいるようにする。形質転換体は、液体培養としてやプ
レート上などで、適当な培地、たとえばLB培地、SOB培地、2YTなどで増殖させて
もよい。いくつかの場合では、増殖培地に、検出マーカーを現すのに要求される
いくらかの物質もまた含んでいるだろう。
【0058】 活性および不活性マーカーを発現している形質転換体の決定は、その時なされ
る。決定の方法は、前に考察したとおり、使用された特異的マーカーによって変
わるだろう。一つの態様として、形質転換体のプレートは、インドリル-β-D-ガ
ラクトシドの切断によって青色を出すような色の変化の陽性もしくは陰性、また
はルシフェラーゼの発現をもつコロニーを数える。もう一つの態様として、レプ
リカプレートを作り、個々のコロニーからの細胞が選択培地で増殖することがで
きるかどうかを決める。液体培養で増殖させた形質転換体は、たとえば選択マー
カーに特異的な抗体などを付け、フローサイトメトリーにより分析することによ
って、活性マーカーを発現している細胞の数を測定してもよい。
【0059】 活性マーカーを欠く形質転換体は、検査配列において開始するミスマッチをも
っていた。完全に検査配列と対合している対照と比較して、活性マーカーを欠く
形質転換体の割合の増加は、ミスマッチを示している。活性マーカーを欠く形質
転換された細菌は、「修正された」検査ベクターを増殖しており、ベクターDNA
の両方の鎖が元からのメチル化されている鎖の配列をもっているだろう。活性マ
ーカーを発現する形質転換された細菌は、通常、AベクターおよびIベクターを混
合してもっているだろう。ベクターDNAは、形質転換体から調製され、そしてさ
らなる精製および特性解析のために使用されてもよい。
【0060】 方法の適用 本方法は、DNA多型、突然変異の分析、および変異配列の単離について有用で
ある。本方法の適用の多くは、単一で公知のDNA配列における、配列多型の検出
に基づいている。例として、出生前の診断において、たとえば、ヘモグロビン、
ジストロフィンなどの特別な遺伝子における突然変異が、胎児のDNA試料に見つ
かるかどうかを測定したいと望むであろう。多くの癌細胞は、1つ以上の癌遺伝
子および/または癌抑制遺伝子に突然変異を含んでいる。それゆえに、癌細胞試
料において特別な遺伝子が変化させられているかどうかを測定することは、関心
がよせられている。個体群における配列多型の発生および頻度を測定することは
、遺伝的変異と連鎖不平衡の動学を理解するにおいて重要である。
【0061】 このようなタイプの分析を実施するため、対象となる配列の対照(X)のコピー
をAベクターまたはIベクター(通常はAベクター)へクローニングする。遺伝子
が多型性であることが公知である数個の異なるベクターで、それぞれが異なる対
立遺伝子の型をもっているベクターを使ってもよい。Y配列は、実施される分析
のタイプにより、適切なDNAの供給源から得られる。Y配列はまた、ベクターへク
ローニングしてもよい。しかしながら、好ましい態様としては、ヘテロ二本鎖は
、AX鎖および一本鎖Y DNAと結合されたI鎖から形成されており、Yが変性されたP
CR産物、cDNAなどで、XおよびYはアニーリングされ、そして、ライゲーションが
行われて検査ベクターが作製される。
【0062】 遺伝的検査にとって、たとえば、BRCA1遺伝子またはCF遺伝子のような、染色
体の領域が明らかになっているAベクターまたはIベクターのパネルを作り上げて
もよく、そこで、遺伝子配列のコピーは、そのベクターへクローン化される。同
様に、臨床上の表現型を引き起こす変異の同定においては、SNPsまたは遺伝子変
異を検査するための多くの断片を所有するAベクターまたはIベクターのパネルを
作り上げてもよい。対立遺伝子の変異のため、数組の対照ベクターを比較する必
要があるかもしれない。いくつかの遺伝子の長さによっては、全体の領域を網羅
するために、一連のベクターを必要とするかもしれない。Y配列DNAは、任意の便
利なDNAの供給源を使って、検査される個体から得られる。Y配列はAX/Iハイブリ
ダイゼーション反応へ加えてもよい、または、別の反応においてIベクターへク
ローン化してもよい。X配列ベクターのパネルの対応するY配列とのハイブリダイ
ゼーションは、平行して、または多重的反応において行われてもよい。特別な配
列の存在は、活性マーカー遺伝子の有りまたは無しと関連している。DNAの大き
な領域、または大量の遺伝子について、個体の配列が標準、対照配列とは異なる
ところを決定することができる。
【0063】 上記の工程から生じるコロニーは、対照配列と一致しているDNA配列をもつこ
とによる活性マーカーの発現、および検査配列に開始するミスマッチがあったた
めの活性化マーカーの欠如との混合となるであろう。その結果を分析するために
は、これらの2つの個体群の頻度を測定することが望ましいかもしれない。これ
は、活性および不活性のコロニーを2つの異なるプールへ分離することにより達
成できる。分離は、コロニーの採取、フローサイトメトリー、マーカーの結合に
基づくカラム分離、免疫磁気性ビーズ分離などによって行なってもよい。これら
のプールから単離されたベクターDNAは、その挿入をはずすために適当な制限エ
ンドヌクレアーゼにより消化される。それから、ゲル電気泳動を使って、ベクタ
ーのバンドを内部標準として用い、それぞれのプールにおける挿入DNAの量を定
量してもよく、そこから変異と一致のクローンの割合を決めることができる。ア
クリルアミドゲル(または他の分離方法)を使用できる。または、それぞれのプ
ールからの挿入DNAは、ハイブリダイゼーションフィルターまたは検査される断
片に対応する断片のマイクロアレイにおける、ハイブリダイゼーションプローブ
として使われる。挿入部分の活性型と不活性型のプールとのハイブリダイゼーシ
ョンからのシグナル強度の割合は、変異配列と一致配列の割合を決めるのに使う
ことができる。これは、多くの異なった断片の配列変異を同時に分析することが
可能になる。
【0064】 X/Y配列の性質は多様である。一つの態様として、検査配列は、すべてのコー
ド領域および、たとえば、人間や酵母などの特別な生物体にとっての調節要素を
含むようにする。もう一つの態様としては、それらは、遺伝子地図に使用するこ
とができる多型マーカーである。さらにもう一つの態様として、それらは、患者
のための診断、予測、または治療を進歩させる目的のためへもっていける臨床上
において検査される1個または数個の遺伝子である。
【0065】 この多重化は、対象となる特別な断片または遺伝的配列について、多数の個体
の遺伝子型を同時に査定することにより、増加させることができる。または、多
数の試料は、たとえば、癌細胞などの、細胞個体群における体細胞変異の程度を
測定するために、個体から取られてもよい。試料の核酸は、増幅産物やクローン
化された断片などであってもよい。個体群における遺伝的変異を査定することに
より、一つの実験において、様々な遺伝子について、特別な個体群における変異
の頻度を見積もることができる。正常の個体群と比較して、対象となる個体群に
おいて高い頻度で変異が見られる遺伝子を同定することにより、臨床上関連の表
現型に関連のある遺伝子を同定することができる。さらに、この方法は、変異を
もつ断片を同定するために使うことができ、それゆえ、SNP検査に関して有用で
ありえる。
【0066】 方法の他の適用として、配列、特にゲノム配列の変異を単離したいと思うかも
しれない。いくつかの場合、対照配列は、ただ部分的にしか特性がわかっていな
いであろう。例として、多くの遺伝的疾患または条件、たとえば、肺癌、肥満の
高疾病素質などは、ただ、それらの表現型および普通の地図の位置としてしか知
られていない。特別地図領域に対する遺伝子の位置推定またはYACクローンは、
まだ、遺伝子候補として可能性のあるものを含めて、何十万というDNAの塩基が
残っている。MRDは、変異配列を同定および単離する手段を提供する。
【0067】 DNAは、2つの供給源から単離される。そのDNAは、YACやBACの挿入からやヒト
染色体からの制限酵素切断断片などであってよい。DNAの一つの供給源は、推定
の変異配列をもち、もう一つの方は、たとえば、野生型のような対照配列をもつ
ようにする。好ましくは、2つの供給源は、たとえば、同系交配のマウス系統、
一個体、ヒトの両親または兄弟からの組織試料など、関連しているようにする。
形質転換された細胞は、クローン化されたDNAの供給源として有用である。
【0068】 一つの方法において、2つのDNA試料は、IベクターおよびAベクターへそれぞれ
クローン化され、長さは約10ヌクレオチド未満で、通常は長さが少なくとも約
10ヌクレオチドの挿入を与えることになる。ベクターは、一本鎖か二本鎖のい
ずれかとして、メチル化陽性およびメチル化陰性の条件において、別々に複製さ
れる。2つのベクターは、それから、前に記載のとおり、直鎖状にされ、必要な
らば変性され、アニーリング、ライゲーション、そしてMMR宿主へと形質転換さ
れる。完全な対合を示す形質転換体は多数あると思われ、それらは活性マーカー
遺伝子を発現するだろう。活性マーカーを欠く形質転換体は、2つのDNA供給源間
にミスマッチをもっており、変異配列のクローンとしての候補になる。
【0069】 変異配列をもつDNAを単離するMRDの能力は、多数のDNA断片を一つの反応にお
いて分析できるという、「多重的」工程に使用することができる。多重的反応は
、DNAの特殊な断片または染色体の領域などについて設定されてもよい。多重的
反応において、通常、MRDは2回行われるだろう。MDRの第一回は、DNA断片のプー
ルから変異または一致する対立遺伝子もつ、多数の細菌コロニーを提供する。MD
Rの第二回は、さらに変異配列を集積する。
【0070】 DNA領域を多重的反応において比較してもよい。一つまたは多くの異なる断片
を一つの反応において単離してもよい。通常、一つの供給源からのDNAは、たと
えば、制限エンドヌクレアーゼによる消化などの適当な方法によって、断片化さ
れ、適当なベクターへクローン化され、もう一つの供給源からのDNAも同様にし
たもう一つのベクターとハイブリダイズさせ、そしてMRDの一回目の分析を一つ
の反応で行わせるであろう。第一回後、不活性のマーカーをもつコロニーは、変
異配列を集積させる。これらのコロニーから単離されたDNAは、さらに変異体を
集積させるためにMRDの回数を加えることによって、対照配列と比較してもよい
。第二回目からの不活性コロニーの大部分は、対照とは異なるDNA配列を所有し
ているだろう。誤りがちなポリメラーゼがDNAを産生するために使われた時の、
下記記載の「クリーニング」という方法は、本物の変異を集積させるために使っ
てもよい。
【0071】 変異配列を単離する別の方法は次のとおりである。対象となる領域を含む、2
つのDNA試料、たとえば、YAC、プラスミド、制限酵素切断断片などを制限エンド
ヌクレアーゼで切断し、約10ヌクレオチド未満の断片にする。2つの試料は、
合わされ、変性され、そしてアニーリングするようにさせる。そのX/Y混合物は
、それからアニーリングされ、和合性末端をもつヘテロ二本鎖A/Iベクターへラ
イゲーションされる。その混合物は、MMR宿主へ形質転換される。活性マーカー
を欠くどの形質転換体も、2つのDNA供給源間においてのミスマッチがあることを
示すものだろう。
【0072】 変異断片の単離は、同じ実験において、多数の人からの多数の断片に対しても
行うことができる。例として、個体のプールからのPCRは、多数の断片について
行うことができる。これらのPCR産物は、アニーリングされて、ヘテロ二本鎖A/I
ベクターへライゲーションさせることができる。または、それらは、すでにライ
ゲーションされているX配列をもつAベクターへアニーリングさせることができる
。2回のMRD工程を上記のとおり、変異断片を集積させるために行なってもよい。
この方法は、変異をもつ断片を個体群において同定するのに有用であり、それゆ
え、その断片は遺伝的マーカーとして使うことができる。さらに、この方法は、
特別な臨床上の表現型に関連のあると思われるコード領域における変異を同定し
てもよい。この方法は、特別な個体群に特異的な変異を単離するために、異なる
個体群についても行うことができる(個体群につき1実験)。言い換えれば、MRD
は、多数の遺伝子について個体群におけるまれな対立遺伝子を同定するのに使用
することができる。類似の方法として、一つの個体における体細胞の突然変異ま
たは精子により産生されたまれな対立遺伝子の同定がある。この例として、癌細
胞断片におけるまれな対立遺伝子、正常細胞のプールにおける前癌性の変化、環
境的突然変異原によって引き起こされた突然変異、または免疫疾患または加齢の
ような過程に関連していると思われる体細胞突然変異の同定を含んでいる。
【0073】 たとえば、疾患の発生、進行、または治療に影響する表現型のような臨床上の
表現型を含む人間の遺伝的変異の同定のためのMRDの使用に加えて、MRDは、人間
以外の種における変異を検査するために使うことができることは明らかである。
マウス、キイロショウジョウバエ属のハエ、酵母および他の種における表現型へ
と導かれる変異の同定は、研究者にとって関心となるところである。さらに、ミ
コバクテリウム ツベルキュロシス(Mycobacterium tuberculosis)のHIVウイル
スのような人間の病原体における変異の同定は、重要な臨床上の意義をもつこと
ができる。最後に、MRDの他の用途として、たとえば、牛における牛乳の生産を
増加させたりまたはトマトの新鮮さを長く保つようにしたりする変異など、農業
の表現型に関連のある変異の同定において用いることができる。
【0074】 MRDは、PCR誘発性エラーのない分子を集積させるため、Taqポリメラーゼと共
に用いてもよい。この「クリーニング」実験手順に引き続き、クローン化された
PCR産物をさらなる分析のために単離される。Taq PCR反応産物は対照および検査
ベクターへクローン化される、そして、それからハイブリダイズされて形質転換
される。Taq PCR誘発性エラーを含む大部分の形質転換体は、ミスマッチを含む
ヘテロ二本鎖分子として存在し、活性マーカーを産生しないであろう。対照的に
、PCR誘発性エラーがないそれらのPCR産物は、ミスマッチを含まず、活性マーカ
ーを産生するであろう。これらのコロニーは、単離でき、望むならば、2回目の
浄化を施す。よく似た実験手順として、個体群から、変異のない配列を単離する
のに用いてもよい。
【0075】 本発明の実施のためにキットを提供することが企画されている。最小限として
、キットはAベクターおよびIベクターを含んでいるようにする。ベクターは一本
鎖または二本鎖であってよい。一本鎖のベクターは、A/Iヘテロ二本鎖において
前アニーリング化してもよい。MMR宿主株と同様に、メチル化されていないベク
ターおよびメチル化されているベクターを増殖するためのコンピテント宿主細菌
もまた、含んでいてもよい。たとえば、癌遺伝子、癌抑制遺伝子、ヒトβ-ヘモ
グロビン、BRCA1およびBRCA2のcDNAおよびゲノムコピー、ヒトジストロフィン遺
伝子を網羅するパネルなどの、特定のDNA配列の分析のために、X(対照)配列を
含むキメラのAベクターが供給されるキットが、提供されてもよい。この場合、A
ベクターおよびIベクターはまた、AX/Iヘテロ二本鎖を形成するために前アニー
リングされてもよい。そのようなキットはまた、Y配列DNAを増幅するための特異
的プライマー、および選択的に、耐熱性ポリメラーゼを含んでいてもよい。
【0076】 本発明は、記載された、特別の、方法体系、実験手順、細胞系、動物の種およ
び属、および試薬に限定されるものではなく、それなりに変わるだろうことは、
理解されるところである。本明細書に使用される用語は、特別な態様のみを記載
する目的のためのものであり、本発明の範囲を限定しようとするものでははなく
、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるだろうことも、理解
されると思われる。
【0077】 本明細書に使われている、単数形、「一つの(a)」、「および(and)」、お
よび「その(the)」は、内容が明らかにそうではないことを指図するのでなけ
れば、複数形の指示対象を含んでいる。このように、たとえば、「一つの細胞(
a cell)」の指示するものは、複数のそのような細胞を含んでいるし、「その細
胞(the cell)」の指示するものは、1つ以上の細胞および当業者に公知のそれ
らと同等のものの指示するものを含んでいる。本明細書に使われるすべての技術
的および科学的用語は、明らかにそうではないことを示しているのではないかぎ
り、本発明が属する技術分野における当業者に通常に理解されるような同等の意
味をもつ。
【0078】 本明細書および従属クレームにおいて使われる、単数形「一つの(a)」、「
および(and)」、および「その(the)」は、内容が明らかにそうではないこと
を指図しているのではないかぎり、複数形の指示対象物を含むことは、書き留め
ておかなくてはならない。このように、例として、「一つの複合体(a complex
)」の指示するものは、複数のそのような複合体を含んでいるし、「その製剤(
the formulation)」が指示するものは、1つ以上の製剤および当業者に公知のそ
れらの同等のものの指示するものを含んでいる。
【0079】 そうではないことを定義されているのではないかぎり、本明細書で使われるす
べての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者に通
常理解されるような同等の意味をもつ。本明細書に記載されているのと類似また
は同等の、どんな方法、装置および材料も本発明の実験または検査において使用
することができるが、好ましい方法、装置および材料は今記載されているもので
ある。
【0080】 本明細書で言及されているすべての出版物は、例として、現在記載されている
本発明に関連して使用されるかもしれない、出版物記載の、方法および方法体系
などを記載および開示する目的で、参照として本明細書に組み入れられる。上記
および文章中を通じて考察されている出版物は、本出願の出願日以前の開示のた
めにのみ提供されている。発明者が、先発明によるそのような開示に先立つ権利
を与えられないという承認として解釈されるべきことは、本明細書にはない。
【0081】 次の実施例は、当業者に本発明を製造または使用する方法の完全な開示および
記載をもって提供するために出されるものであり、本発明として関係していると
ころの範囲を限定しようというものではない。使われる数(たとえば、量、温度
、濃度など)については、正確さを確保するように努力が払われたが、いくらか
の実験的誤差およびずれは容認されるべきであろう。そうではないことを示され
ているのではないかぎり、部分とは重量による部分であり、分子量とは平均の分
子量であり、そして圧力は大気中での、または大気に近い状態においてである。
【0082】 実験 実施例1 2つのpUC由来のプラスミド、Aプラスミド(pMF200)およびIプラスミド(pMF100)
は、MRDの工程に使われる。そのプラスミドの地図は図3に示されている。これら
のプラスミドは、pMF100のLac Zα遺伝子への5bpの挿入のことを除いて、一致し
ている。この挿入により、Iプラスミドで形質転換された細菌が、インドリル-β
-D-ガラクトシド(Xgal)およびイソプロピル-β-D-チオガラクトシド(IPTG)を追
加したLB培地で増殖させると、白色のコロニーを生じる。対照的に、Aプラスミ
ドで形質転換された細菌は、これらの条件下で増殖させると、青色のコロニーを
生じる。
【0083】 MRD工程の最初の段階は、相違についてスクリーニングされるべき2つのDNAフ
ラグメントのうちの1つをAプラスミドへクローニングし、第2のDNAフラグメント
をIプラスミドへクローニングすることからなる。Aプラスミド構築物は、それか
ら、dam- 細菌株へ形質転換され、完全にメチル化されていないプラスミドを生
じる。一方、Iプラスミド構築物は、dam+ 細菌株へ形質転換され、完全にメチル
化されたプラスミドを生じる。その2つのプラスミドはそれから、直鎖状にされ
、変性され、そして再アニーリングされて、2つのヘテロ二本鎖プラスミドおよ
び2つのホモ二本鎖プラスミドを生じる。ホモ二本鎖のみを消化するMboIおよびD
pnIの消化に引き続き、残っているヘミメチル化されているヘテロ二本鎖を環状
化し、大腸菌へ形質転換して、XgalおよびIPTGを追加された寒天上で培養する。
【0084】 2つの検査DNA断片の間にミスマッチがない場合、IプラスミドおよびAプラスミ
ド間のヘテロ二本鎖形成から生じるLac Zα遺伝子の5つのヌクレオチドループは
、ミスマッチの修復システムによって修復されない。続いてのプラスミドの複製
は、単一コロニーにおいてIプラスミドとAプラスミドの両方を産生し、青色を呈
する。対照的に、ヘテロ二本鎖DNAにミスマッチが存在するならば、Lac Zαの5
つのヌクレオチドループも同様に、DNAのミスマッチの両方を含めて、同時修復
事象が起こる。この場合、Aプラスミドのメチル化されていないLac Zα遺伝子は
分解されて、Iプラスミドのメチル化された鎖からのLac Zα遺伝子によって置き
換わり、その結果、白色のコロニーを生じる。そのデータは、MRDシステムにお
いてミスマッチおよびLac Zα遺伝子の同時修復が、それらの間の距離が5kbより
大きい時でさえも起こることを示している。
【0085】 方法 MRDベクター。pMF100およびpMF200はpUC19由来であり、Lac Zα領域から置換
されたマルチクローニング部位をもつ。さらに、MRDベクターは、BglI断片(2166
-472)およびpBluescriptのマルチクローニング部位のほとんどを含んでいる(Str
atagene, La Jolla, CA)。MRDベクターのクローニング部位は、制限エンドヌク
レアーゼXbaI、SpeI、BamHI、SmaIおよびApaIの部位をもっていない。EcoRI部位
は、唯一ではない。pUC19マルチクローニング部位、ヌクレオチド400〜454は、4
つのGATC部位を含む配列をもつ70ヌクレオチドの長いオリゴヌクレオチドを使っ
て、置換される。さらに、pMF200におけるpUC19マルチクローニング部位を置換
している部位は、pMF100と比較すると、5bpの挿入をもち、pMF200において機能
しないLac Zαにしている。図3における「ループ」というラベルはこの違いを示
している。
【0086】 ヘテロ二本鎖DNAの形成。非メチル化プラスミドおよびメチル化プラスミドか
らのDNAを直鎖状にし、変性して、再アニーリングする。その結果生じる分子は
、完全非メチル化Aプラスミドホモ二本鎖、完全メチル化Iプラスミドホモ二本鎖
、およびヘミメチル化ヘテロ二本鎖である。その混合物を、完全非メチル化DNA
を消化するMboI、および完全メチル化DNAを消化するDpnIで消化する。ヘテロ二
本鎖のヘミメチル化DNAのみが残る。
【0087】 実施例2 MRDシステムの感受性および特異性の最初の検査として、マウスのβ-グロビン
遺伝子のプロモーター由来の550塩基対DNA断片において、一つのヌクレオチドの
ミスマッチを検出した(Myersら、(1985) Science 229:242)。MRDは、位置-49(
遺伝子の機能的転写開始部位に関連)にTを含むこのDNA断片を、位置-49がCであ
る点を除いては、配列において一致している第二のDNA断片とを比較するために
使われた。そのミスマッチは、ベクターにおいて、5つのヌクレオチドLac Zαル
ープから約700塩基対のところに位置していた。MRD使用による2つのDNA分子の比
較は、90%が白色コロニーという結果になった。対照的に、ミスマッチをもたな
い同じ2つのDNA分子(位置-49T/位置-49T)の比較では、たった7%しか白色コロ
ニーを生じなかった。そのデータは表1に示す。
【0088】
【表1】 MRDを使った既知点突然変異の検出 * A_T変異とは、比較される2つの断片間の変異の位置のみにおいて、dam-増殖さ
れる変異体はAをもち、dam+増殖される変異体は同じ鎖の同じ位置にTをもつこと
を意味する。それゆえ、そのような実験において製造されるミスマッチは、A/A
およびT/Tである。 ^ キロベース @ 率を決めるために、少なくとも250のコロニーを数えた。 1. マウスβ-グロビンの遺伝子の断片を使った実験。 2. ヒトアグーチ(agouti)遺伝子の断片を使った実験。 3. ヒトシスタチオニン-β-シンターゼ遺伝子の断片を使った実験で、それぞれ
、位置341、502、992、および833にある。
【0089】 MRDを使って、位置-49における、すべての可能性のある一つのヌクレオチドの
ミスマッチの比較は、白色コロニーの割合が80%から90%までの範囲であることが
明らかになった。これらの結果は、MRDが、この位置において可能性のある異な
るDNA変異のすべてを高効率で検出できることを証明している。
【0090】 MRDシステムは、表1に示されているように、2つの異なるDNA断片において一つ
のヌクレオチドのミスマッチを加えて全部で5つのヌクレオチドを検出するため
に使われた。ヒトシスタチオニン-β-シンターゼの遺伝子においては、4つのこ
れらのミスマッチは、異なるヌクレオチド位置にある(KrugerおよびCox (1995)
Human Molecular Genetics 4:1155)。ヒトアゴーチの遺伝子において、一つのミ
スマッチが残っているということは、一つのヌクレオチドの変化を表している(W
ilsonら、(1995) Human Molecular Genetics 4:223)。それぞれの場合において
、一つのヌクレオチドのミスマッチが検出された。
【0091】 ミスマッチは、Lac Zαループから2.3kbほど離れている時でさえも、検出され
た。白色のコロニーの割合が50%より大きくなっているので、ミスマッチおよび
非メチル化鎖のループの同時修復が、ミスマッチのどちら側がループと関連して
いるかに関係なく、起こった。
【0092】 もしミスマッチとベクターループの間の距離が、さらに大きくなったら、ミス
マッチの検出の有効性が高く留まっていられるかどうかを測定するために、次の
実験が行われた。λバクテリオファージ由来の9kbの検査DNA断片をMRDプラスミ
ドシステムへクローン化し、断片の一つの末端から5kbの位置に2つの塩基対の挿
入を含む同じ検査DNAと比較した。ミスマッチが存在しない時の10%の白色コロニ
ーと比較して、2つの塩基対のミスマッチの追加は70%の白色コロニーという結果
となった。これらの結果は、MRDは、10kbのDNAにおけるミスマッチを検出できる
ことを示している。
【0093】 実施例3 MRDは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって産生されたゲノムDNA断片におい
て未知の突然変異を検出するために使われた。PCRは、多くの異なる個体から対
象となる特別なゲノムDNA断片を得るための実用的な方法である。PCR技術におけ
る最近の発達により、長さが10kb以上のDNA産物を単離することが可能である(Ba
rnes (1994) P.N.A.S. 91:2216; Chengら(Cheng)、(1994) P.N.A.S. 91:5695)。
しかしながら、PCR反応の間のエラーの導入により、個々のクローン化されたPCR
産物の使用を厳しく制限せざるおえない。この制限を克服する努力において、MR
D実験手順が開発され、PCR誘導によるエラーのない分子を高められるようになっ
た。この「クリーニング」実験手順に続いて、そのクローン化したPCR産物は、
上記のMRD工程の使用によってDNA配列の相違を比較することができる。
【0094】 MRDクリーニング実験手順の根幹をなす基礎的原理は、どの単一PCR誘発性突然
変異も、PCRによって産生されたすべての分子のうちのとても小さなフラクショ
ンを作り上げているだろうという事実である。結果として、PCR反応の産物を、A
の「青色」MRDベクターおよびIの「白色」MRDベクターへクローン化し、上記の
とおり測定すると、PCR誘発性エラーを含む産物の大部分は、ミスマッチを含む
ヘテロ二本鎖分子として現れ、白色のコロニーを生じるだろう。対照的に、PCR
誘発性エラーをもたないそれらのPCR産物は、ミスマッチを含まず、結果として
青色のコロニーを生じるだろう。すべてのミスマッチが100%の効率で修復される
わけではないとするならば、いくつかの青色のコロニーは、第一回の集積化にと
もなうPCR誘発性エラーを含むものと予想することができる。しかしながら、も
し、青色コロニーを単離し、第二回のMRDクリーニングに使うならば、PCR誘発性
エラーを含むそれらの分子をいっそうさらに減らすことができる。おのおのの青
色コロニーは、青色MRDプラスミドおよび白色MRDプラスミドの両方を含んでいる
ので、第二回のMRDクリーニングは次のように行われる。第一回クリーニングに
続いて、青色コロニーから単離されたプラスミドDNAは、dam-細菌株およびdam+
細菌株の両方に形質転換するために使われる。青色コロニーと白色コロニーの両
方がおのおの形質転換から生じたが、dam-形質転換から青色コロニーだけを単離
し、そしてdam+形質転換から白色コロニーだけを単離する。プラスミドDNAはそ
のようなコロニーから調製され、ヘテロ二本鎖を上記のとおり単離される。これ
らのヘテロ二本鎖をもつ形質転換から生じた青色コロニーは、PCR誘発性エラー
のない産物がさらに高められている。75%の分子がPCRにともなう1つ以上のPCR誘
発性エラーを含んでいる実験において、ミスマッチの修復効率が95%で、ミスマ
ッチをもたない白色コロニーが10%の頻度であると仮定するならば、予想として
は、第一回MRD集積化の結果、10%の青色コロニーを生じ、そのようなコロニーに
おいてPCR誘発性エラーのない分子は66%であることになる。青色コロニーからの
プラスミドDNAは、第二回MRD集積化に用いたならば、41%の青色コロニーを生じ
、そのようなコロニーにおいてPCR誘発性エラーのない分子は96%になるものと予
想される。
【0095】 MRDクリーニング実験手順の効率性と同様に、実用性の試験として、2kbのヒト
染色体21特異的PCR産物を、単一の個体の2つの染色体21相同物のおのおのから単
離した。2つの染色体21相同物は、独立したハムスター-ヒトの体細胞ハイブリッ
ドクローンにおいてお互い分離させた。これらの体細胞ハイブリッドクローンか
ら単離されたゲノムDNAは、PCR産物の供給源である。おのおのの相同物由来のPC
R産物は、上記のとおり、MRDを使って比較すると、おのおのの場合において、約
10%の青色コロニーが観察された。
【0096】 2回のMRDクリーニングの結果、表2に示されるデータのとおり、青色コロニー
の割合は、60〜80%である。対照的に、2つの相同物由来のこれらの「クリーン化
された」PCR産物をMRDを使ってお互いに比較すると、生じたコロニーの約90%が
白色で、これは2つの異なる染色体21相同体由来の2kbのPCR産物において少なく
とも一つの塩基の相違が存在することを示している。PCR産物におけるDNA配列変
異は、独立して、制限酵素消化により確かめた。これらの結果より、MRDは、PCR
誘発性エラーがほとんどないPCR産物を高めるために使用することができ、そし
てそのような産物は、MRDと関連して、ヒトDNA配列変異を検出するために使用す
ることができることを明らかにしている。
【0097】
【表2】 2つの体細胞ハイブリッドからの2kb PCR産物を含むプラスミドの相違
比較における不活性コロニーの割合率 * 1および2は、2つのハイブリッドからの産物を表す。1/1は、dam-株で増殖され
て、かつハイブリッド1からのPCR産物を含むAベクターと、dam+株で増殖されて
、かつハイブリッド1からのPCR産物を含むIベクターとの比較を表す。A1/A1は、
比較1/1の活性コロニーから得られた、dam-宿主において増殖されたAベクターと
、同じ供給源から得られた、dam+で増殖されたIベクターとの比較を表す。AA1/A
A1は、比較A1/A1の活性コロニーから得られたdam-で増殖されたAベクターと、同
じ供給源からのdam+で増殖されたIベクターとの比較を表す。最後に、AA1/AA2は
、比較A1/A1の活性コロニーから得られたdam-で増殖されたAプラスミドと、比較
A2/A2の活性コロニーから得られたdam+で増殖されたIベクターとの比較を表す。
【0098】 上記結果から、本発明は、2つのDNA配列間のミスマッチを検出する効率的で簡
単な方法を提供していることは明らかである。その方法は、ただ単にミスマッチ
の存在を検出する手段を提供する、または、適正対合のDNAおよびミスマッチのD
NAの両方の複製を単離するのに使うことができる。MRDは、遺伝子配列において
体細胞の変化を測定したり、出生前または他の遺伝的スクリーニングのために生
殖系列の突然変異を同定したり、ヒト遺伝子のマッピング、および突然変異のク
ローニングにとって、有用である。MRDの主な利点とは、一つの実験において、
多くの断片を同時に分析するというこのシステムの潜在能力であり、何百キロベ
ースというDNAを表す領域における突然変異の検出を可能にし、または同時に多
くの座をゲノタイピングすることができる。MRDは、未知の突然変異の検出、大
きなゲノム領域におけるDNA変異の検出、および高処理量のゲノタイピングにと
って、強力な技術を提供している。
【0099】 実施例4 検出マーカーとしてのCre-Loxの使用 標準の構築: MRDは、一方のベクター上の、Creリコンビナーゼをコードする
遺伝子における5つの塩基対の欠失を除いて、一致している2つのベクターを利用
する。DNA断片は、野生型Creを含むベクターでクローン化される。これらのクロ
ーン、標準と呼ぶことにするが、たった一度だけ作製され、検査されるべき各人
からの配列に対して、配列比較鋳型として供給される。標準は、メチル化を欠損
した大腸菌宿主において増殖され、実質的に、非メチル化一本鎖DNAが得られる
【0100】 DNA変異スクリーニングのためのヘテロ二本鎖の調製:DNA変異のためのスクリ
ーニングを行うために、検査されるべきDNA断片は、各個体から増幅される。そ
のPCR産物のインビトロのメチル化後、すべての標準からの一本鎖DNAは、プール
され、PCR産物を含む試験管に添加される。5塩基対欠失しているCre遺伝子を含
む直鎖状化されたベクターもまた、同じ試験管に添加される。その3つの構成要
素(PCR産物、一本鎖標準、および直鎖状化Cre欠失ベクター)は、NaOHによって
変性され、中和化により再アニーリングされる。この過程は、図6に示している
が、非メチル化一本鎖標準、その相補的PCR産物および直鎖状化Cre欠失ベクター
の間で、ヘテロ二本鎖を形成する。
【0101】 細菌の形質転換に必要な閉環した分子を調製するために、2つの方法が使われ
た。第一の方法は、ヤエナリのヌクレアーゼを加えて残っている一本鎖の構成要
素を分解する。それから、Taqリガーゼが加えられ、閉環したヘミメチル化され
たヘテロ二本鎖を形成する。ゲル電気泳動で、ニックの入った個体群から閉環分
子を単離する。
【0102】 もう一つの方法として、閉環ヘミメチル化ヘテロ二本鎖を形成するためにTaq
リガーゼを利用する。この後続いて、エキソヌクレアーゼIIIを使用してニック
の入ったDNAを破壊する。その時、樹脂/ビーズに結合している一本鎖は、その一
本鎖DNAを結合するために使うことができる。
【0103】 どちらの方法も、標準および検査されるべき遺伝子断片に対応するヘテロ二本
鎖のすべてを含む一本の試験管が製造される。一つの反応混合物において、ヘテ
ロ二本鎖DNAは、テトラサイクリン耐性(tetR)遺伝子およびストレプトマイシン
感受性(strepS)遺伝子のカセットが2つのlox部位に挟まれてあるように操作され
た電気的受容能をもつ大腸菌株(突然変異ソーター、MS)へ形質転換される。突
然変異ソーターは、その染色体上にストレプトマイシン耐性遺伝子をもっている
。ストレプトマイシン感受性対立遺伝子は、その耐性対立遺伝子より優性である
ので、この株の表現型は、テトラサイクリン耐性およびストレプトマイシン感受
性である。
【0104】 変異DNA断片および非変異DNA断片の分離:ミスマッチをもたないそれらのヘテ
ロ二本鎖分子(すなわち、標準と検査されるべきDNA断片の間に変異がない)は
、正常に複製され、活性Creおよび不活性Creの両方をもつプラスミドが存在する
ようになる。活性Creは、2つのlox部位間のカセットを結合し直しtetR遺伝子お
よびstrepS遺伝子の欠失へと導く。これは、その細胞をテトラサイクリン感受性
およびストレプトマイシン耐性にする。したがって、それは、ストレプトマイシ
ンの存在下では増殖するが、テトラサイクリン存在下では増殖しないであろう。
【0105】 ヘテロ二本鎖分子において、ミスマッチが存在するならば(すなわち、標準と
検査されるDNA断片との間に変異があれば)、そのようなミスマッチの修復が起
こる。そのミスマッチの修復過程において、活性Cre遺伝子をもつ非メチル化鎖
は、分解され、不活性Creをもつ鎖が、複製されるための鋳型として使われる。
その結果として、ミスマッチのあるヘテロ二本鎖で形質転換された細胞は、少し
のCre活性も全くなく、細胞はそのtetRおよびstrepSカセットを保有したままに
おかれる。それゆえ、細胞は、テトラサイクリンの存在下では増殖するが、スト
レプトマイシン存在下では、増殖しない。
【0106】 テトラサイクリンまたはストレプトマイシンのいずれかを含む2本の試験管で
その形質転換混合物を増殖させることにより、変異を含む断片および変異を含ま
ない断片は、別々に単離される。DNA変異検出の評価は、プールしているところ
においてどんな断片が存在しているかを同定するということに引き下げられる。
この作業は、ゲル電気泳動やハイブリダイゼーションを含む多様な方法で、行っ
てもよい。
【0107】変異DNA断片および非変異DNA断片の同定 ABIシーケンシングゲルの使用:おのおののプールからのDNAは、検査される断
片をはずすために制限酵素で消化される。2つの制限消化物の試料は、蛍光標識
され、ABIシーケンシングゲルの上で泳動する。断片における変異の有無は、そ
の特別の断片が存在しているプールを測定することにより評価される。これは、
異なる断片がそれぞれの大きさによりお互い分離されるという理由から、達成し
うる。
【0108】 DNAマイクロアレイ技術の使用:この工程において、標準に現れるすべての断
片をスライド上へ点に並べていく。続いて、テトラサイクリン含有の培養および
ストレプトマイシン含有の培養から得られたDNAを蛍光標識し、ハイブリダイゼ
ーションのプローブとして使用される。テトラサイクリン含有培養からのプロー
ブは、変異を含むDNA断片に対応しているスポットへハイブリダイズさせる。一
方、ストレプトマイシン含有培養からのプローブは、変異を含まないDNA断片に
対応するスポットへハイブリダイズさせる。おのおののプールの断片内容を分析
するために、他の方法を利用することは可能であり、質量分光学が含まれる。
【0109】 臨床的関連の表現型に関係してくる変異を同定するという目標を達成するため
には、多くの遺伝子を検査する必要がある。この圧倒される作業は、MRDの多重
化する能力により、大幅に容易になっている。多くの研究者は、10,000以上の標
的を含むマイクロアレイ上に、細胞の全cDNA内容をプローブとして使っていた。
それゆえ、4,000標的を含むマイクロアレイ上に、4,000の断片のプールをプロー
ブとして使うことは、比較的簡単であるといえる。さらに試料が多様化されうる
としても、これは、4,000の断片を同時に検査することが可能である。一人の人
間の個体の遺伝子の全コード領域を検査するためには、それぞれ300bpの平均の
大きさをもつ400,000断片を検査することになる。その時、その作業を達成する
には、100回のMRD反応を行うことになるだろう。
【0110】 疾患原因の変異は、定義により、対照においてよりも患者個体群における頻度
が増加した。ハプロタイプの構築およびあらゆる個人の遺伝子型の知識は、疾患
原因変異を同定するために必要ではないので、患者または対照はプールされて、
おのおのの個体群における異なるDNA変異の頻度を評価することで検査すること
ができる。MRDは、個体群における多数の変異の頻度を同時に評価するという潜
在能力をもっている。まず、多数の個体からのゲノムDNAを物理的にプールし、
続きのMRD段階のための鋳型として使われる。あらゆる変異断片の頻度は、工程
の終わりに得られる2つのプールにおけるその占有率を測定することにより、評
価される。異なる個体群、たとえば、患者と対照者、における異なる変異遺伝子
断片の頻度を得るということは、疾患原因変異をもつ断片を速く同定することが
できる。
【0111】 多重化するというMRDの潜在能力を明らかにするために、本発明者らは、公開
されている多型性配列標識化部位(polymorphic Sequence Tagged Sites; STSs)
のグループから無作為に選択された13のDNA断片におけるDNA配列変異の同定にMR
D工程を用いた。簡単に言えば、標準は各STSとして作製され、ヘテロ二本鎖は、
標準および検査される各個体から増幅されたDNA断片の混合物の間で形成された
。ヘテロ二本鎖は、ひとまとめに、突然変異ソーター(MS)株へ形質転換し、一つ
にはテトラサイクリンが追加され、もう一つにはストレプトマイシンが追加され
た2つの別々の培養において増殖させた。2つの培養のおのおのからのDNAは、蛍
光標識し、ABIシーケンシング装置に装填した。断片ピークは分析され、特別なD
NA断片における変異の有無は、特殊な断片がより優勢であるプールを測定するこ
とにより、評価される(図7)。
【0112】 図7が示すように、ストレプトマイシンまたはテトラサイクリンを別々に追加
された培養から調製された2つの試料は、異なるピーク線をもっている。その線
は、異なる断片に対応する異なるピークを示している。おのおののピークは、自
動的に定量される。検査される個体の対立遺伝子の認定は、2つのプール間での
断片の相対的強度から決定される。ストレプトマイシンのプールにおいて優勢の
断片は、変異がないことを示している。対照的に、テトラサイクリンのプールに
おいて優勢の断片は、両方の対立遺伝子に変異があることを示している。最後に
、両方のプールにおいて多量である断片は、検査される個体がその断片のヘテロ
接合体であることを示している。
【0113】 上記実験は、3個体からなる核家族において行われた。変異は、3つの個体のす
べてにおいて検出された。これらの結果は、3つの独立した実験のそれぞれにお
いて、個体から同じ変異断片が正確に検出されて、再現された。異なる断片は、
異なる個体における変異であった。3人の間における変異のパターンは、メンデ
ルの遺伝方式に従っていた。MRDによって得られた結果の正確さを確認するため
に、本発明者らは、9/13断片のシーケンスした。すべての場合において、シーケ
ンシングにより、変異状態のMRDの認定の正確さは確認された。
【0114】 MRD技術は、ありふれた疾患を現実の可能性へと引き起こす変異を同定するた
めに候補遺伝子の大量スクリーニングを行う。この研究方法の核心に、正常の個
体群より特別な患者グループにおいてより頻繁にあるゲノム配列変異を同定する
能力がある。これらの変異を同定することは、現代医学の多くの局面、人間の疾
患に対する診断の決定、予測の評価および治療の工夫に影響を及ぼしうる。あり
ふれた疾患を引き起こす遺伝的因子の知識は、すでにまれで単純なメンデル疾患
に対する治療に影響を及ぼしているのと同様に、医学的治療に強い影響を与える
だろう。
【0115】 実施例5 腫瘍形成の役割を担うものとして知られている遺伝子の45エキソンからなる16
kbのDNAについて、変異についてスキャンするために、MRD工程を行なった。簡単
に言えば、変異についてスキャンされるべき45エキソンを表す、45の標準クロー
ンを作製した。そのクローンは、1個体からのPCR産物を活性Cre遺伝子をもつベ
クターへクローニングすることにより作製された。検査される16個体のそれぞれ
の45のPCR産物はプールされた。各個体からのPCRsのプールは、45の標準クロー
ンおよびCreに5bp欠失をもつ直鎖状にされたベクターに結合させた。その混合物
の変性および再アニーリングにより、望みのヘテロ二本鎖が作製された。
【0116】 ヤエナリのヌクレアーゼ、TaqリガーゼおよびMS株への形質転換を含むMRD工程
は、上記のとおりに行われた。ストレプトマイシンの培養およびテトラサイクリ
ンの培養から得られたDNAは、その挿入をはずすために消化され、蛍光標識され
、そして377ABIシーケンシング装置の上で泳動された。断片における変異の有無
は、2つのプール、ストレプトマイシンのプールおよびテトラサイクリンのプー
ルにおける断片の相対的多量性によって決定された。本発明者らは、16人の正常
者において、45エキソンにおける変異をスキャンして、6変異を同定した。これ
らの変異は、後で、続きのシーケンシングにより確認された(表3)。
【0117】
【表3】 16個体において、変異について45断片をスキャンすることにおいて同
定された配列変異の型
【0118】 この方法は、多重PCR産物は、それらの間を区別する能力が大きさにより制限
されるため、同じ大きさをもつということの制限を受けていた。45のPCR産物か
ら、本発明者らは、それぞれ違う大きさをもつ35断片を取り出した。MRD分析は
、上記のとおり行い、ニックの入っている分子の個体群を破壊するために、エキ
ソヌクレアーゼIIIを使った。11の正常個体において、変異について35断片をス
クリーニングした。本発明者らは、本発明者らの前の分析においてすでに同定さ
れていた4つの変異を同定した。この分析において、すべての35断片についての
結果は、疑いもなく、決定させることができた。
【0119】 その結果はまた、スクリーニング方法としてゲル電気泳動を使用するにあたり
、それぞれ違う大きさをもつ断片の選択は、重要であることを示した。別の方法
としては、質量分光学およびマイクロアレイハイブリダイゼーションを含む。
【0120】 実施例6 実施例3において出された結果は、いかにMRDが、MRDを多数回行うことによりP
CR産物をクリーニングするために使うことができるかを明らかにしている。この
実施例においては、複数回のMRDは、変異の同定におけるノイズに対してシグナ
ルを増強するために使う。5断片が使われた。そのうち3断片は、実施例5で行わ
れた分析から変異であることがわかっている。本発明者らは、5断片を作製する
ために5つのPCR反応を行った。これらのPCR反応産物は、それに対応する5つの標
準およびベクターDNAに混合した。ヘテロ二本鎖が形成され、ニックの入ったDNA
を取り去るためにエキソヌクレアーゼIIIの使用の後、続いてMRD工程を行った。
テトラサイクリンのプールおよびストレプトマイシンのプールからのDNAは、消
化され、標識されて、377ABIシーケンシング装置の上で泳動された。異なる断片
についての、ノイズに対するシグナルの比(変異断片 VS 非変異断片については
、tet/strpでの割合の比として算定される。すなわち、tet変異/strp変異 X str
p非変異/tet非変異)は、6〜9の範囲であった。テトラサイクリンDNAは、MRDの
次の回を続けるために5つのPCR反応を行うための鋳型として使った。テトラサイ
クリンDNAは、すでに変異断片が高められているので、2回目にはノイズに対する
シグナルの比が増加することが期待される。本発明者らは、MRD工程を行い、テ
トラサイクリン培養およびストレプトマイシン培養におけるそれぞれの断片の比
率を分析した。4つの異なる実験のおのおのにおいて、あらゆる変異の検出につ
いてのノイズに対するシグナルの比は、少なくとも2つの因子によって増加した
【0121】 第二回のPCRは、個体のプライマーの代わりにベクタープライマーを使って行
うことができる。この場合、ヘテロ二本鎖の段階で使われるベクターDNAは、ベ
クタープライマーの部位を削除するために消化される。これにより、続行するた
めの、次に続くPCRとベクターの間のニックの閉環/ライゲーションを可能になる
。2回の使用は、変異について個体を検査するにおいて、ノイズに対するシグナ
ルの比を高めるために採用されうる。さらに、それは、ノイズに対するシグナル
の相対量が低い状況において使用することができる。例として、一つの個体群に
おける個体のプールを表している断片において、変異を同定するために、2(ま
たはそれ以上)回使用すればよい。そのような場合、特別な断片における変異の
割合は、一つのヘテロ接合体の個体を検査した時に予想される50%という割合よ
りずっと少なくなりうる。そのような状況において、複数回のMRDを採用するこ
とにより、ノイズに対するシグナルの比を高めることが容易にすることができる
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 ミスマッチの修復検出の方法を記載する。
【図2】 一本鎖または二本鎖のベクターおよび検査配列としての増幅産物
を使う方法を記載する。
【図3】 pMF200およびpMF100のプラスミド地図を示す。
【図4】 ヘテロ二本鎖DNAの形成を記載する。
【図5】 ハイブリダイゼーションによるMRDの結果の分析を記載する。
【図6】 検出マーカーとしてcre/loxを使ったMRDの概略図である。
【図7】 スクリーニングされた断片のアクリルアミドゲルの読出しである
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EE,ES ,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU, ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,K R,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV ,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO, NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,S I,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA ,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 コックス デイビッド アール. アメリカ合衆国 カリフォルニア州 ベル モント ホールマーク ドライブ 2743 (72)発明者 ファハム マレク アメリカ合衆国 カリフォルニア州 デイ リー シティー レイク マースト ブー ルバード 655 アパートメント 60 (72)発明者 バハールー シアマク アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サン フランシスコ カール ストリート 301 アパートメント 15 Fターム(参考) 4B024 AA11 CA04 DA06 EA04 GA11 HA08 HA13 HA14 4B063 QA01 QA12 QA17 QQ06 QQ13 QQ42 QR60 QR69 QS05 QS24 QS28 QS38 QX01

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対象となる2つの実質的に相補的なDNA配列の間におけるミス
    マッチを検出する方法であり、以下の段階を含む方法: 部位特異的リコンビナーゼをコードする遺伝子および細菌の宿主細胞において
    活性のある複製起点を含む第一の鎖であって、メチルアデニンを欠如していると
    いう特徴がある第一の鎖と、検出マーカーをコードする遺伝子が不活性化する少
    なくとも約5ヌクレオチドの挿入、欠失または置換をさらに含む、実質的に相補
    的な第二の鎖であって、GATC部位にメチルアデニンが存在するという特徴がある
    第二の鎖とをアニーリングする段階; 該第一の鎖を、長さが約20〜10のヌクレオチドの対象となる第一のDNA配列
    へライゲーションする段階; 該実質的に相補的な第二の鎖を、該第一のDNA配列と実質的に相補的であり、
    長さが1〜4の連続するヌクレオチドの少なくとも1つのミスマッチをもつと推測
    される対象となる第二のDNA配列へライゲーションする段階;環状二本鎖DNA分子
    を供給するため、該ライゲーションされた第一の鎖および第二の鎖を環状化する
    段階; 該環状二本鎖DNA分子で、活性なメチルミスマッチ修復システムをもつ細菌宿
    主を形質転換する段階; 該検出マーカーを発現していない形質転換体の存在によって、該対象となる第
    一のDNA配列および該対象となる第二のDNA配列の間のミスマッチが示される、該
    検出マーカーを発現していない細菌の形質転換体の存在を検出する段階。
  2. 【請求項2】 細菌の形質転換体の単離および増殖をさらに含む、請求項1
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 第一の鎖および実質的に相補的な第二の鎖が選択マーカーお
    よび制限エンドヌクレアーゼの多数部位をもつポリリンカーをさらに含む、請求
    項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 対象となる第一のDNA配列がポリメラーゼ連鎖反応産物であ
    る、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 対象となる第一のDNA配列がcDNAである、請求項1記載の方法
  6. 【請求項6】 対象となる第一のDNA配列が制限酵素切断断片である、請求
    項4記載の方法。
  7. 【請求項7】 対象となる第二のDNA配列がポリメラーゼ連鎖反応産物であ
    る、請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 対象となる第二のDNA配列がcDNAである、請求項1記載の方法
  9. 【請求項9】 対象となる第二のDNA配列が制限酵素切断断片である、請求
    項1記載の方法。
  10. 【請求項10】 第一の鎖と、対象となる第一のDNA配列とのライゲーショ
    ンがアニーリング段階の前に行われる、請求項1記載の方法。
  11. 【請求項11】 第一の鎖と、対象となる第一のDNA配列とのライゲーショ
    ンがアニーリング段階の後に行われる、請求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】 実質的に相補的な第二の鎖と、第一のDNA配列と実質的に
    相補的な対象となる第二のDNA配列とのライゲーションがアニーリング段階の前
    に行われる、請求項1記載の方法。
  13. 【請求項13】 実質的に相補的な第二の鎖と、第一のDNA配列と実質的に
    相補的な対象となる第二のDNA配列とのライゲーションがアニーリング段階の後
    に行われる、請求項1記載の方法。
  14. 【請求項14】 部位特異的リコンビナーゼがcreリコンビナーゼである、
    請求項1記載の方法。
  15. 【請求項15】 活性creリコンビナーゼの存在が、2つのlox部位の間の組
    換えの無しまたは有りによって検出され、2つのlox部位の間に直接的に検出され
    るマーカーが存在する、請求項14記載の方法。
  16. 【請求項16】 直接的に検出されるマーカーが抗生物質耐性または抗生物
    質感受性のために供給される、請求項15記載の方法。
  17. 【請求項17】 2つの対象となる実質的に相補的なDNA配列の間のミスマッ
    チを検出する方法であり、以下の段階を含む方法: ベクターがメチルアデニンを欠く、部位特異的リコンビナーゼをコードする
    遺伝子、細菌の宿主細胞において活性のある複製起点、および対象となる配列を
    含むベクターと、 検出マーカーをコードする遺伝子が不活性化する少なくとも5ヌクレオチ
    ドの挿入、欠失または置換をさらに含み、ベクターがGATC部位にメチルアデニン
    を含む、実質的に相補的な第二のベクターと、 実質的に該配列に相補的な対象となる検査配列であり、長さが1〜4の連続
    するヌクレオチドの少なくとも1つのミスマッチをもつと推測される検査配列と
    をハイブリダイゼーション反応においてアニーリングする段階; 該アニーリング段階の産生物をライゲーションする段階; 活性メチルミスマッチ修復システムをもつ細菌宿主を該ライゲーション段階の
    産生物で形質転換する段階; 該検出マーカーを発現していない形質転換体の存在により該対象となる配列お
    よび該検査配列の間のミスマッチが示される、該検出マーカーを発現しているま
    たは発現していない細菌の形質転換体の存在を測定する段階。
  18. 【請求項18】 アニーリング段階が、複数の対象となる配列を含むベクタ
    ーおよび複数の検査配列を含む、請求項17記載の方法。
  19. 【請求項19】 細菌の形質転換体の単離および増殖をさらに含む、請求項
    17記載の方法。
  20. 【請求項20】 検査配列が増幅産物である、請求項17記載の方法。
  21. 【請求項21】 部位特異的リコンビナーゼがcreリコンビナーゼである、
    請求項17記載の方法。
  22. 【請求項22】 活性creリコンビナーゼの存在が2つのlox部位の間の組換
    えの無しまたは有りによって検出され、該2つのlox部位の間に直接的に検出され
    るマーカーが存在する、請求項21記載の方法。
  23. 【請求項23】 直接的に検出されるマーカーが抗生物質耐性または抗生物
    質感受性のために供給される、請求項22記載の方法。
  24. 【請求項24】 2つの実質的に相補的なDNA配列の間のミスマッチの存在を
    同定するキットであり、以下のものを含むキット: ベクターがメチルアデニンを欠く、部位特異的リコンビナーゼをコードする遺
    伝子と、細菌の宿主細胞において活性のある複製起点と、対象となる配列とを含
    む第一のDNAベクター;および、検出マーカーをコードする遺伝子が少なくとも5
    ヌクレオチドの不活性化する挿入、欠失または置換をさらに含み、ベクターがGA
    TC部位にメチルアデニンを含む、実質的に相補的な第二のベクター。
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