【発明の詳細な説明】
NGFの安定化処方
背景
発明の分野
本発明は神経成長因子(「NGF」)の処方及びin vivoまたはex vivoでの神経細胞
増殖、分化、生存、修復、成熟または機能を誘導するためのその使用に関する。
より好ましくは、本発明はNGF構成要素、特にヒト組換えNGF(「rhNGF」)について
の増大した安定性及び可溶性性質を持ち、ヒト患者に安全で有効な治療上の投与
に対するNGFの安定な形態を創り出すことを可能にするための、該製薬学的組成
物に関する。
関連開示の説明
神経成長因子(NGF)は発達の間の、及び成熟動物における交感神経及び知覚神
経の成長及び生存に必要とされる神経栄養因子である(1)。組換えヒトNGFに対す
る臨床上の適応症としては、末梢知覚神経障害及びアルツハイマー病が含まれる
。例えば、NGFの全身の投与はマウスへのシスプラチン及びタクソールの投与に
よって誘発される知覚神経障害を減少することが示されている(2,3)。最近の臨
床試験では、NGFは糖尿病性神経障害における知覚機能を改良するためにヒトに
投与されている(4)。
NGFは現在では液体非経口処方として発展している。タンパク質の安定性は、N
GFが二量体であるため通常の化学的及び物理的分解経路よりも複雑である。組換
えタンパク質がC末端クリップNGF変異体の混合物である場合には、タンパク質の
安定性はさらに複雑になる。ネズミNGFの結晶構造は、単量体が二量体化するの
に必要な平らな表面を形成するβストランドの3の逆平行のペアを示す(5);二量
体解離定数は≦10-13Mである(6,7)。平衡二量体配置に向けた二量体形成への単
量体の再編成は、NGF二量体分解の定量を複雑にする。
NGFを含む処方については、哺乳動物、特にヒト患者に対して安全で有効な治
療
上の投与の必要性がある一方で、NGFの安定性を導く必要性が存在する。
概要
本発明は液体処方におけるNGFの処方コンディションの発見及びNGFの安定化の
方法の発見に基づく。本発明の目的は、神経細胞増殖、生存、分化、成熟、修復
または機能を、好ましくはin vivoまたはex vivoでの有効な誘導を提供するため
に、促進されたNGFの安定性をもったNGFの適した処方を提供することにある。様
々な実施態様において、処方は振動、凍結、解凍、光または貯蔵に対する促進さ
れた安定性を持ち得る。もう一つの本発明の目的は、治療上の有効量のNGFを提
供するために、NGF治療を必要とする哺乳動物、好ましくはヒトの治療への使用
に対する安定なNGF処方を提供することにある。さらなる目的は、ニューロンま
たは哺乳動物ヘの改良された適用のために、促進された状態を持つNGF処方を提
供することである。これら及び他の目的は当業者に明らかになるであろう。
上記目的は製薬学的に許容される酢酸バッファー、好ましくは酢酸ナトリウム
に有効量のNGFを含むNGF処方を提供することで達成される。特異的な実施態様と
しては、この処方は5から50mMでpH5から6の酢酸バッファーにおいて約0.1から2.
0mg/mllのNGFを含む。該処方は場合により製薬学的に許容される希釈液、製薬学
的に許容される塩、好ましくは塩化ナトリウム、または保存料、好ましくはベン
ジルアルコールを含む。
もう一つの実施態様において、本発明はNGF及び酢酸、及び場合により塩化ナ
トリウム、及びさらに場合により保存料を処方することを含む工程により生産さ
れるNGF処方の生産法を提供する。
もう一つの実施態様において、NGF二量体分解を二量体交換とは独立に定量す
る方法が存在する。
図面の簡単な説明
図1はサイズ溶出クロマトグラフィーによって定量された、37℃でのNGF分解形
成の処方バッファー及びpHに対する依存性を示す。(◇)コハク酸,pH4.2;(△)コ
ハク酸,pH5.0;(□)コハク酸,pH5.8;(X)0.05%Tween20を含むコハク酸,pH5.0;(▲)
酢
酸,pH5.0;及び(■)酢酸,pH5.8。
図2は(a)-70℃コントロール及び(b)37℃で38日間のインキュベーション後、pH
5.0でコハク酸バッファーにおけるNGFに対する代表的なRP-HPLCクロマトグラフ
ィーを示す。
図3はRP-HPLCによって定量される様々な時間長に対する37℃でインキュベーシ
ョン後に残存しているNGF単量体パーセント半対数プロットを示す。(◇)コハク
酸,pH4.2;(△)コハク酸,pH5.0;(□)コハク酸,pH5.8;(X)0.05%Tween20を含むコハ
ク酸,pH5.0;(▲)酢酸,pH5.0;及び(■)酢酸,pH5.8。曲線はデータに対する一次近
似である。
図4は-70℃(実線)及び37℃(点線)での38日間のインキュベーション後の、pH5.
0での酢酸バッファーにおけるNGFに対する代表的なIECクロマトグラフィーを示
す。各二量体はN末端SerのGlyへの変換(SIG)のため、クロマトグラムにおいて三
重として現れている(13)。三重のものにおける最も速いピークが元となる二量体
であり、続いて単一のSerのGlyへの変換をもった二量体であり、最後が両鎖にお
いてSerのGlyへの変換をもった二量体である。
図5は37℃でのインキュベーションに対するIECによるNGF118/118及び117/120
二量体の損失の時間依存性を示す。(△)コハク酸,pH5.0;(□)コハク酸,pH5.8;(X
)0.05%Tween20を含むコハク酸,pH5.0;(▲)酢酸,pH5.0:及び(■)酢酸,pH5.8。
図6は5℃(点線)及び-70℃(実線)での1.6年後のNGFの安定性を示すRP-HPLCクロ
マトグラフィーを示す。5℃での主要な分解産物はAsn93がイソAsp93に変換され
ている。
図7A及び7Bは分析前のサンプルの酸での処理なし(図7A)及び酸での処理(図7B)
における、pH5.0での酢酸バッファーにおいて1.6年のインキュベーション後のNG
Fの-70℃(実線)及び5℃(点線)でのIECクロマトグラフィーの比較を示す。
図8は5℃(実線)、25℃(点線)及び40℃(ドットの線)で3ヶ月貯蔵された10mM酢
酸,pH5.5及び142mMNaClにおける0.1mg/ml rhNGFのRP-HPLCクロマトグラフィー
を示す。ピーク(a)は二酸化rhNGFを含む;ピーク(b)は脱アミド化rhNGFを含む;ピ
ーク(c)は一酸化rhNGFを含む;ピーク(d)はイソアスパラギン酸を含む;ピーク(e)
は120rhNGFを含む;ピーク(f)は118rhNGFを含む;ピーク(g)はN末端クリップrhNGF
を含む;ピ
ーク(h)はミスホールディングrhNGFを含む;そしてピーク(i)は勾配傾斜で溶出さ
れたタンパク質を含む。
図9は逆相HPLCによる、5℃で12ヶ月後のrhNGF処方に残存するrhNGF単量体(118
及び120)の測定を示す。処方A(-○-)は2mg/ml rhNGF(142mMNaCl,10mM酢酸,pH5.5
)を含む;処方B(-□-)は0.1mg/ml rhNGF(136mMNaCl,20mM酢酸,pH5.5)を含む;処方
C(--◇--)は処方Bプラス0.9%BAを含む;処方D(--x--)は処方Bプラス0.25%フェノ
ールを含む;処方E(---+---)は0.1mg/ml rhNGF(136mMNaCl,20mM酢酸,0.01%F68,pH
5.5)を含む;処方F(--△--)は処方Eプラス0.9%BAを含む;及び処方G(--■--)は処
方Eプラス0.25%フェノールを含む。
図10は逆相HPLCによる、25℃で9ヶ月後のrhNGF処方に残存するrhNGF単量体(11
8及び120)の測定を示す。処方A(-○-)は2mg/ml(10mM酢酸,pH5.5)を含む;処方B(-
□-)は0.1mg/ml(20mM酢酸,pH5.5)を含む;処方C(--◇--)は処方Bプラス0.9%BAを
含む;処方D(--x--)は処方Bプラス0.25%フェノールを含む;処方E(---+---)は0.1m
g/ml(20mM酢酸,0.01%F68,pH5.5)を含む;処方F(--△--)は処方Eプラス0.9%BAを含
む;及び処方G(--■--)は処方Eプラス0.25%フェノールを含む。
図11は逆相HPLCによって測定された12ヶ月5℃で貯蔵された液体複数投与量処
方におけるrhNGFのイソアスパラギン酸形成に対する保存料の効果を示す。処方A
(-○-)は2mg/ml(10mM酢酸,pH5.5)を含む;処方B(-□-)は0.1mg/ml(20mM酢酸,pH5.
5)を含む;処方C(--◇--)は処方Bプラス0.9%BAを含む;処方D(--x--)は処方Bプラ
ス0.25%フェノールを含む;処方E(---+---)は0.1mg/ml(20mM酢酸,0.01%F68,pH5.5
)を含む;処方F(--△--)は処方Eプラス0.9%BAを含む;及び処方G(--■--)は処方E
プラス0.25%フェノールを含む。
図12は逆相HPLCによって測定された9ヶ月25℃で貯蔵された液体複数投与量処
方におけるrhNGFのイソアスパラギン酸形成に対する保存料の効果を示す。処方A
(-○-)は2mg/ml(10mM酢酸,pH5.5)を含む;処方B(-□-)は0.1mg/ml(20mM酢酸,pH5.
5)を含む;処方C(--◇--)は処方Bプラス0.9%BAを含む;処方D(--x--)は処方Bプラ
ス0.25%フェノールを含む;処方E(---+---)は0.1mg/ml(20mM酢酸,0.01%F68,pH5.5
)を含む;処方F(--△--)は処方Eプラス0.9%BAを含む;及び処方G(--■--)は処方E
プラス0.25%フェノールを含む。
図13は5℃(実線)、25℃(点線)及び40℃(ドットの線)で3ヶ月貯蔵された10mM酢
酸,pH5.5及び142mMNaClにおける0.1mg/ml rhNGFのカチオン交換HPLCクロマトグ
ラフィーを示す。ピーク(a)は二酸化及び一酸化118/1l8rhNGF及び酸化N末端クリ
ップrhNGFを含む;ピーク(b)は118/118rhNGFホモ二量体;そしてピーク(c)はSer-G
ly118/118rhNGF(1鎖)を含む。
図14はカチオン交換HPLCによる、5℃で12ヶ月後のrhNGF処方に残存するrhNGF
二量体(118/118)の測定を示す。処方A(-○-)は2mg/ml(10mM酢酸,pH5.5)を含む;
処方B(-□-)は0.1mg/ml(20mM酢酸,pH5.5)を含む;処方C(--◇--)は処方Bプラス0.
9%BAを含む;処方D(--x--)は処方Bプラス0.25%フェノールを含む;処方E(---+---)
は0.1mg/ml(20mM酢酸,0.01%F68,pH5.5)を含む;処方F(--△--)は処方Eプラス0.9%
BAを含む;及び処方G(--●--)は処方Eプラス0.25%フェノールを含む。
図15はカチオン交換HPLCによる、25℃で9ヶ月後のrhNGF処方に残存するrhNGF
二量体(118/118)の測定を示す。処方A(-○-)は2mg/ml(10mM酢酸,pH5.5)を含む;
処方B(-□-)は0.1mg/ml(20mM酢酸,pH5.5)を含む;処方C(--◇--)は処方Bプラス0.
9%BAを含む;処方D(--x--)は処方Bプラス0.25%フェノールを含む;処方E(---+---)
は0.1mg/ml(20mM酢酸,0.01%F68,pH5.5)を含む;処方F(--△--)は処方Eプラス0.9
%BAを含む;及び処方G(--●--)は処方Eプラス0.25%フェノールを含む。
図16は10mM酢酸、136mMNaCl,pH5.5におけるrhNGFの近UV CDスペクトルを示す
。
図17は25℃で24時間後のpH5.5での、20mM酢酸及び136mMNaClにおける0.9%ベン
ジルアルコールの存在下(実線)及び不存在下(点線)におけるrhNGFの近UVCDスペ
クトルの比較を示す。
詳細な説明
本発明は、製薬学的組成物としてpH5からpH6の間の製薬学的に許容される酢酸
バッファーにおいて処方されたNGFが、これらの組成物において著しく増大した
安定性を持つという発見に基づく。酢酸濃度は0.1から200mM、より好ましくは1
から50mM、そしてさらに好ましくは5から30mM、そしてよりさらに好ましくは10
から20mMの範囲であり得る。一つの好ましい実施態様は投与される溶液において
20mM酢酸であり、もう一つは10mM酢酸である。安定性を増大し力価を緩衝するた
めの好
ましい酢酸塩は、酢酸ナトリウムである。しかしながら他の生理学的に許容され
る塩類も用いられ得、例えば酢酸カリウムがある。ここでの組成物の調製に対す
る適したpH範囲は5から6、好ましくは5.4から5.9、より好ましくは5.5から5.8で
ある。好ましいpHは安定性を増大し力価を緩衝する5.5である。もう一つの好ま
しい実施態様はpH5.8である。
NGFの「製薬学的な有効量」なる語は、様々な投与摂生において治療上の効果を
提供する量をいう。ここでの組成物は、0.07から20mg/ml、好ましくは0.08から1
5mg/ml、より好ましくは0.09から10mg/ml、最も好ましくは0.1から2mg/mlのNGF
の量を含むように調整される。好ましい実施態様としてNGF濃度は0.1mg/mlであ
る。もう一つの好ましい実施態様として、NGF濃度は2.0mg/mlである。末梢神経
障害に苦しんでいるヒト患者に対する投与におけるこれらの組成物の使用に対し
ては、例えばこれらの組成物は約0.1mg/mlから約2mg/mlNGFを含み、それは該治
療に対して現在企図されている投与量に相当する。NGFは十分に耐性があり、も
し医師によって決定される必要があれば高投与量が投与され得る。
場合により、しかし好ましくは、該処方は製薬学的に許容される塩、好ましく
は塩化ナトリウムを、そして好ましくはおよそ生理的濃度で含む。例えば約0.3M
から約0.5Mより低い、好ましくは0.16から0.20M NaCl、より好ましくは0.13から
0.15Mの低濃度が好ましい。好ましい実施態様として、塩化ナトリウム濃度は136
mMである。もう一つの好ましい実施態様として、該濃度は142mMである。
場合により、本発明の処方は製薬学的に許容される保存料を含み得る。ある実
施態様においては、保存料濃度は0.1から2.0%、典型的にはv/vの範囲である。適
した保存料には、製薬学分野で周知のものが含まれる。ベンジルアルコール、フ
ェノール、m-クレゾール、メチルパラベン及びプロピルパラベンが好ましい保存
料である。ベンジルアルコールは増大したNGF安定性を導く特に好ましい保存料
である。特に好ましいベンジルアルコール濃度は0.7から1.2%、より好ましくは0
.8から1.0%であり、0.9%が特に好ましい濃度である。
場合により、本発明の処方は製薬学的に許容される界面活性剤を含み得る。好
ましい界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。好ましい界面活性剤には、Tw
een20及びプルロン酸(F68)が含まれる。F68はNGFの安定性を増大するために特に
好ましい。適した界面活性剤濃度は0.005から0.02%である。界面活性剤に対する
好ましい濃度は0.01%である。界面活性剤は微粒子形成を最小化するために用い
られる。特に好ましい実施態様において、組成物は0.1mg/mlのNGF濃度、20mM,pH
5.5の酢酸ナトリウム濃度、136mMの塩化ナトリウム濃度、0.9%(v/v)でのベンジ
ルアルコール濃度を含む。もう一つの実施態様において、NGF濃度は2.0mg/ml、
酢酸ナトリウム濃度は10mM,pH5.5、そして塩化ナトリウム濃度は142mMである。
本発明のもう一つの実施態様において、製薬学的に有効量の神経成長因子及び
製薬学的に許容される酢酸含有バッファーを含む本発明の製薬学的組成物を含む
バイアルまたは容器を含む、NGF投与のためのキットが提供される。好ましいバ
イアル容量は繰り返しのサンプル投与中止を許容する複数投与使用に適したもの
である。本発明の処方において達成された増大した安定性は、複数投与液体処方
を許容する。典型的には複数投与バイアルは、一ヶ月間、好ましくは一週間一人
の患者に対して十分な投与量を提供するために十分な処方を提供するであろう。
例えば組成物容量は一般的に0.3から10.0mlの範囲であり、より好ましくは1.6か
ら2.0mlの範囲であって、投与濃度、頻度および使用の容易性に依存する。例え
ば1.8mlの容量は0.3μg/kgから0.1μg/kgのそれぞれが用いられた場合便利であ
り、それぞれ7または24投与を許容する。ベンジルアルコールのような光感受性
構成要素が存在する場合、バイアルは強い光から保護される。一般的にバイアル
を暗くした冷蔵庫内にまたは不透明な箱内に貯蔵することで十分である。しかし
ながらバイアル壁は光透過性減少物質を含み得る。例えば、半透明琥珀または茶
バイアルあるいは半透明バイアルを用い得る。好ましい実施態様において、バイ
アルは複数投与処方を含む。バイアルの構成については、選択された複数投与液
体処方を3ccI型ガラスバイアルに1.8mL注入容量で満たし得る。ストッパーの選
択は選択された処方との異なる型のストッパーの適合性に基づくであろう。
本発明の組成物は典型的には2から8℃で貯蔵される。該処方はここに示されて
いるように何回もの凍結解凍サイクルに対しても安定である。
もう一つの実施態様として、該処方は上記した酢酸濃度で調製される。処方の
好ましい調製法は、最終処方バッファー内に大量のNGF溶液を透析することであ
る。最終NGF濃度はNGF不存在下の処方バッファーを用いて処方の適切な調節によ
って
達成される。上記NGF及び酢酸含有バッファーを混ぜ合わせる工程を含む請求項1
の組成物の調製法もまた提供される。活性要素としてNGFを含む製薬学的組成物
におけるNGFの安定性の増大法もまた提供され、上記組成物には酢酸を取り込む
ことを含み、上記酢酸はNGFの安定性を増大するために有効な量とpHで存在して
いる。
凍結乾燥形態を含むここでの組成は、本質的に知られている一般的に利用可能
な製薬学的混ぜ合わせ法を用いる構成要素の混ぜ合わせによって一般的に調整さ
れる。同様に本分野で周知の標準的な凍結乾燥法及び装置が用いられる。ここで
のNGFの製薬学的な組成物の特定の調製法には、精製された(いかなる標準的なタ
ンパク質精製スキームにしたがったものでも)NGF、好ましくはrhNGFをゲル濾過
または透析のようないくつかの周知のバッファー交換法のいかなる一つにおいて
でも用いることを含む。
神経成長因子(「NGF」)は、末梢神経系の知覚神経及び交感神経の発達に対して
顕著な効果を持つ120アミノ酸ポリペプチドホモ二量体タンパク質である。NGFは
ニューロンの生存を助け、神経突起伸長を促進し、神経化学的分化を増大するた
めに、反応性ニューロン上の特異的細胞表面受容体を介して機能する。NGFの機
能はニューロンのメンバーにおける改変、ニューロンタンパク質のリン酸化の状
態における改変、及びニューロンの分化と機能において役割を果たすであろう特
定のmRNAおよびタンパク質の発生量における改変を伴う。(Connolly等,J.Cell.B
iol.90:176−180[1981];SkaperとVaron,Brain Res.197:379-389[1980];Yu等,J.B
iol.Chem.255:10481-10492[1980];HaleqouaとPatrick,Cell 22:571-581[1980];T
iercyとShooter,J.Cell.Biol.103:2367-2378[1986])。
前脳コリン作用系ニューロンはまたNGFに応答し、栄養要求のためNGFを必要と
する(Hefti,J.Neurosci.,6:2155[1986])。実際中枢神経系(CNS)におけるNGF及び
その受容体の配置と発生は、NGFが基底の前脳コリン作用系ニューロンに対する
ターゲット由来神経栄養因子として機能することを示唆する(Korsching,TINS,pp
570-573[Nov/Dec1986])。
trkA-チロシンキナーゼ受容体との相互作用に必要とされるNGFのアミノ酸残基
についてはほとんど知られていない。生物学的活性及び受容体結合の有意な損失
が、ヒト及びマウスNGFの精製されたホモ二量体に観察され、それらはアミノ末
端
及びカルボキシ末端で修飾された同種の切り詰められた形態を表している。精製
された組換えヒトNGFのN末端の最初の9の残基の欠失とC末端の少なくとも2の残
基の欠失に由来する109アミノ酸種(10-118)hNGFは、(1-118)hNGFと比較してヒト
trkA受容体からのマウス[125I]NGFを置換することにおいて300倍非能率的である
。それは(1-118)hNGFと比較して後根神経節生存及び交感神経節生存における活
性において50から100倍活性がない。(1-118)hNGFはtrkAチロシンキナーゼ自己リ
ン酸化活性において、相当により小さい。好ましい形態は118アミノ酸ヒトNGFで
あり、それはホモ二量体としてより好ましい。
本発明の処方は汎親和性(pantropic)ニューロトロフィン汎親和性NGFを含む。
汎親和性NGFは、他のニューロトロフィン特異性を持ったドメインを持つ、NGFの
アミノ酸配列と同種のアミノ酸配列を持つ汎親和性ニューロトロフィンである。
好ましい実施態様において、該ドメインはNGF残基に置換される;つまり、アミノ
酸のあるメンバーはNGF配列から欠失され、同等なまたは等しいアミノ酸のメン
バーが置換され、付加的な特異性を持つ。例えば、汎親和性NGFはD16A置換によ
り作製され、それはBDNF特異性を持つ。場合によりプレ可変領域1(V18E+V20L+G2
3T)及び可変領域4(Y79Q+T81K+H84Q+F86Y+K88R)での置換が含まれる。代わりにプ
レ可変領域1での置換は可変領域4でのわずか単一のアミノ酸置換により作製され
得る;V18E+V20L+G23T及びY79Q,T81K,H84Q,F86YまたはK88Rの一つが作製され得る
。
水溶液中の組換えヒト神経成長因子(NGF)の化学的及び物理的安定性をpH4.2か
ら5.8の範囲で5から37℃の間で調べた。NGFの化学的安定性はpHの上昇と共に増
大した。コハク酸バッファー,pH5.8では、NGFの物理的安定性はタンパク質凝集
のため減少した。5℃の安定性データと37℃での加速された分解研究の両者に基
づいて、最適な処方は酢酸バッファー,pH5.8に見出された。逆相HPLCクロマトグ
ラフィーは主要な安定性示唆法であるが、Asn-93のイソAsnへの変換が5℃での主
要な分解経路であることを示した。カチオン交換クロマトグラフィーによるNGF
分解産物の定量は、NGF単量体変異体が時間によって様々な混合した二量体に再
編成される(二量体交換)ため複雑であった。希釈酸を用いたサンプルとコントロ
ールの処理は、二量体における単量体の配置を急速に平衡化し、二量体交換の不
存在下でNGF分解の定量を許容した。
ベンジルアルコール及びフェノールを複数使用目的のため2の液体処方におけ
るrhNGFを用いたその適合性と安定性のため評価した。これら2の処方は界面活性
剤として0.01%プルロン酸(pluronic acid)(F68)の存在下及び不存在下で、20mM
酢酸ナトリウム,pH5.5及び136mM塩化ナトリウムにおいて0.1mg/mLタンパク質よ
り成る。これら2の処方のそれぞれにおいてベンジルアルコール及びフェノール
の最終濃度は、それぞれ0.9及び0.25%である。12ヶ月安定性データに基づいて、
rhNGFはこれらの処方においてフェノールよりベンジルアルコールを用いると安
定である。界面活性剤の存在下でrhNGF処方の保存されたベンジルアルコールは
、界面活性剤の付加のない処方と同じくらい安定であり、それはrhNGF複数投与
処方へのF68の付加が安定性目的にとって必要ないことを示す。それゆえ20mM酢
酸、136mMNaCl、0.9%ベンジルアルコール,pH5.5よりなる処方は、フェーズIII臨
床試験で複数投与に用いられるrhNGFに対して推奨される。このrhNGF複数投与処
方は5℃で6ヶ月後のUSP及びEP保存効力試験をパスし、2mg/mlでの最近の液体処
方と同じくらい安定である。しかしながら処方は光感受性である保存料としての
ベンジルアルコールの存在のため、強い光にさらすことを避けるべきである。
一般的に組成物は、好ましくは安定な、液体または凍結乾燥形態の調製を損な
わない量で、及び有効で、安全な製薬学的投与に適した量で、他の構成要素を含
み得る。
NGFのような物質がヘルスケア従事者及び患者に提供されるために、これらの
物質は製薬学的組成物として調製されなければならない。該組成物は適切な期間
安定であり、ヒトへの投与に対するそれら自身の権利を受けられ、容易に製品化
されなければならない。多くの場合製薬学的溶液処方は迅速な使用に適した液体
形態で提供されるが、その元となる処方は凍結形態または凍結乾燥形態でも提供
され得る。前者の場合には、組成物は使用前に解凍されねばならない。凍結乾燥
調製物は一般的に液体のものより安定であることが当業者に認識されているので
、後者の形態はより広い様々な貯蔵コンディションの下で組成物中に含まれる医
療上の試薬の安定性を増大するためにしばしば用いられる。該凍結乾燥調製物は
、注射のための滅菌水または滅菌生理塩水溶液等のような適した製薬学的に許容
される希釈液(類)の添加によって、使用前に再構成される。
本発明のNGF処方は、中枢神経(脳及び脊髄)、末梢神経(交感神経、副交感神経
、知覚神経及び内臓神経)及び運動神経を含む、in vivoでのニューロンの発達、
維持または再生を促進するのに有用であると考えられている。したがって本発明
のNGF処方は、様々な神経学的疾患及び傷害の治療のための方法において利用さ
れる。好ましい実施態様として、本発明の処方は神経疾患を治療するために患者
に投与される。ここでいう「神経疾患」なる語は、ニューロン変質または損傷を伴
う中枢及び/または末梢神経系の疾患を意味する。神経疾患の特異的な例として
、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンティングトン舞踏病、発作、ALS、
末梢神経障害及び中枢、末梢または運動神経のいずれでもニューロンの壊死また
は損失によって特徴付けられる他の病気が制限されることなく含まれ、外傷、火
傷、腎機能障害、傷害及びガンとAIDSを治療するために用いられる化学療法の副
作用による神経損傷を治療することも含まれる。例えば、糖尿病、AIDS、または
化学療法に関連する神経障害のような特定の病気と関連する末梢神経障害は、本
発明の処方を用いて治療され得る。in vitroまたはex vivoでの神経細胞の培養
での使用のための培地の構成要素ととしても有用である。
本発明の様々な実施態様において、ニューロンの生存または成長を促進するた
めに、神経系が外傷、手術、発作、虚血、感染、代謝疾患、栄養欠乏、悪性腫瘍
または毒性試薬によって損傷されている患者、またはNGFを用いて治療可能なこ
とが見出されている病気なら何でもそれをもつ患者にNGF処方を投与する。例え
ば本発明のNGF処方は外傷または手術によって損傷された運動神経の生存または
成長を促進するために用いられ得る。また、本発明のNGF処方は筋萎縮側索硬化
症(ルー・ゲーリグ病)、ベル麻痺及び脊髄筋萎縮症または麻痺を含む様々な病気
のような運動神経疾患に用いられ得る。本発明のNGF処方はアルツハイマー病、
パーキンソン病、癲癇、多発性硬化症、ハンティングトン舞踏病、ダウン症、感
音難聴及びメニエール病のようなヒトニューロン退行性疾患を治療するために用
いられ得る。本発明のNGF処方は特に痴呆または精神的外傷において学習を促進
するために、認識促進剤として用いられ得る。年配者の痴呆の50%以上を説明で
きるとNational Institutes of Agingによって指摘されているアルツハイマー病
はまた、65歳以上のアメリカ大における死の第四または第五のリーディングケー
スである。85歳以
上のアメリカ人(米国人口において最も急速に増加している部分である)の40%に
当たる四百万人のアメリカ人がアルツハイマー病に罹患している。パーキンソン
病に罹患している全患者の25%がまた、アルツハイマー病様痴呆に苦しんでいる
。そして痴呆にかかっている患者の約15%において、アルツハイマー病及び多発
脳梗塞性痴呆が共に存在している。アルツハイマー病及び血管性痴呆に次いで、
痴呆の第三に一般的な原因は、アルコール症患者の約10%で生じているアルコー
ル症に直接関連する器質性脳疾患のための認識障害である。しかしながらアルツ
ハイマー病に対するもっとも一貫した異常は、血管性痴呆及びアルコール症に関
連する器質性脳疾患のための認識障害も同様に、コデックス(codex)と海馬状隆
起の両者に対して基底の前脳(BF)から生ずるコリン作用系の低下である(Bigl等,
Brain Cholinergic Systems内,M.SteriadeとD.Biesold,編,Oxford University P
ress,Oxford,pp.364-386(1990))。そしてアルツハイマー病によつて影響される
たくさんの他の神経伝達物質系が存在する(Davies Med.Res.Rev.3:221(1983))。
しかしながら例えばコリン作用性神経伝達物質系の低下に関連する認識障害は、
痴呆に苦しんでいる患者に限られない。それは他の健康で高齢の大人及びラット
にもみられている。高齢のラットにおいて学習障害の程度を、減少した皮質大脳
血流の程度と比較する研究は優れた相関関係を示す(Berman等,Neurobiol.Aging9
:691(1988))。慢性のアルコール症患者においては、アルツハイマー病及び通常
の老化のように結果としての器質性脳疾患もまた、コリン作用ニューロンが生じ
(基底の前脳)、それらが機能する(皮質コルテックス)その脳領域での皮質大脳血
流における拡散した減少によって特徴付けられる(Lofti等,Cerebrovasc and Bra
in Hetab.Rev 1:2(1989))。該痴呆は本発明のNGF処方の投与によって治療され得
る。
さらに本発明のNGF処方は、神経障害、よくに末梢神経障害を治療するために
好ましくは用いられる。「末梢神経障害」なる語は、抹消神経系に影響する疾患を
いい、それはしばしば運動、知覚、感覚運動または自律の各神経機能不全の一つ
または組み合わせとして表される。末梢神経障害によって示される広い様々な組
織学的なものは、それそれ同様に広い多くの原因に独特に帰せられ得る。例えば
末梢神経障害は遺伝学的に獲得され、全身性疾患から由来し、または毒性試薬に
よって誘発され得る。制限することのない例としては、糖尿病性末梢神経障害、
遠
心感覚運動神経障害、または胃腸管の減少した運動性あるいは膀胱の緊張減退症
のような自律神経障害が含まれる。全身性疾患と関連した神経障害の例としては
、ポリオ後症候群が含まれる;遺伝的な神経障害の例としては、シャルコー-マリ
ー-ツース病、レフサム病、無β-リポタンパク血症、タンジアー病、クラッベ病
、異染性白質萎縮症、ファブリー病、及びドゥジューヌ-ソッタ病が含まれる;そ
して毒性試薬によって引き起こされる神経障害の例として、ビンクリスチン、シ
スプラチン、メトトレキサート、または3'-アジド-3'-デオキシチミジンのよう
な化学療法試薬を用いた治療によって引き起こされるものが含まれる。
NGF処方の治療上の有効量が患者に投与される。ここで「治療上の有効量」なる
語は、その投与によって効果が生ずる投与量を意味する。正確な投与量は治療さ
れる疾患に依存し、周知の方法を用いて当業者によって突き止められ得るであろ
う。一般的に本発明のNGF処方は、一日当たり約0.01μg/kgから100mg/kgで投与
される。好ましくは0.1から0.3μg/kgである。加えて本分野で周知であるように
、年齢と同様に、体重、日常の健康状態、性別、治療食、投与時間、薬剤の相互
作用及び疾患のひどさをも考慮に入れての調節が必要であり、それらは当業者に
よって日常の実験で突き止められるであろう。典型的には臨床医は投与量が修復
、維持、そして場合により神経機能の再確立に到達するまで、本発明のNGF処方
を投与するであろう。この治療の進行は簡便なアッセイにより容易にモニターさ
れる。
本発明の目的として「患者」なる語は、ヒトと他の動物の両方が含まれる。それ
ゆえ該方法はヒトの治療と獣医学的応用の両方に適用される。
NGFの治療上の処方は、望ましい精製度を持ったNGFを場合により生理学的に許
容されるキャリアー、賦形剤または安定剤と混ぜることによって調製される(Rem
ington's Pharmaceutical Sciences)。許容されるキャリアー、賦形剤及び安定
剤は、用いられる投与量および濃度で受容者にとって非毒性であり、ここで表さ
れたような処方においてNGFの安定性を有意には減少しないであろう。該化合物
には、アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基より少ない)ポリペプ
チド;血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリ
ビニルピロリドンのような親水性ポリマー;ヒスチジン、メチオニン、グリシン
、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリシンのようなアミノ酸;グル
コース、マン
ノースまたはデキストリンを含む単糖類、二糖類及び他の炭化水素;EDTAのよう
なキレート試薬;マンニトールまたはソルビトールのような糖アルコール;ナトリ
ウムのような塩形成カウンターイオン;及び/またはTween、PluronicsまたはPEG
のような非イオン性界面活性剤が含まれる。
in vivoの投与にために用いられるNGF処方は滅菌されていなければならない。
これは減菌濾過メンブレンを通した濾過によって容易に成し遂げられる。本発明
の通常のNGF処方は2から8℃で液体形態で貯蔵されるであろう。該処方は解凍と
凍結の繰り返しサイクルで凍結貯蔵に適している。
治療上のNGF組成物は一般的に滅菌アクセスポートを持った容器、例えば静脈
内溶液バッグまたは皮下注射針によって貫通可能なストッパーを持ったバイアル
内に入れられる。
NGFは場合によりNT-4/5、NT-3及び/またはBDNFを含む他のニューロトロフィン
因子と共に組み合わされまたは投与され、神経疾患に対する他の簡便な治療と共
に用いられる。
本発明の処方の投与は、経口、皮下、静脈内、脳内、鼻腔内、経皮、腹膜内、
筋肉内、肺内、膣内、直腸内または眼内を制限することなく含む様々な方法で投
与され得る。該処方は、巨丸剤は受け入れられないが、ポンプまたは移植のよう
な本分野で周知の方法を用いて、CNSの液体貯蔵所内に点滴によって継続的に投
与し得る。ある例として例えば傷の治療においては、該処方は溶液またはスプレ
ーとして直接的に適用されるであろう。
以下の実施例は説明のため提供され、制限するためではない。明細書中の全て
の引例の開示は参考としてここで明らかに取り込まれる。
実施例
実施例I
物質
組換えヒト神経成長因子(NGF)をチャイニーズハムスター卵巣細胞で生産し、
以前に記述したように逆相クロマトグラフィー(RP-HPLC)及びイオン交換クロマ
トグラフィー(IEC)で精製した(8)。HPLCグレードアセトニトリル及びTFAをRP-HP
LCで
用いた。全ての他の化学物質はUSPグレードであった。滅菌タイプI、クリアー
ガラス2ccバイアルをWheatonから購入し、シリコン処理し、テフロンコートし、
ブチルラバーストッパーを用いた。
方法
NGFを10mM酢酸ナトリウム、142mM塩化ナトリウム,pH5.0及び5.8内で透析し、
そして10mMコハク酸ナトリウム,142mMNaCl,pH4.2,5.0及び5.8内で透析し、10mg/
mlに調節した。界面活性剤がNGF凝集を減少するかどうか測定するためにTween20
もコハク酸pH5.0処方に加えた(10mMコハク酸ナトリウム,142mMNaCl、0.05%Tween
20)。
バイアルに無菌的に0.3mlのNGF処方を満たし、5,25及び37℃で貯蔵した(25℃
のデータはここで報告されていない)。コントロールは-70℃で貯蔵したものであ
り、そこでは有意な分解は観察されなかった。各時間点で50μlの容量を個々の
バイアルから採取し、分析まで-70℃で貯蔵した。
HPLC分析。カチオン交換HPLC(IEC)を10m粒子を用いたTosohasスルホ-プロピル
TSK-SP-5PW(7.5×75mm)カラムを用いてHP1090システムで実施した。移動相は(A)
10mMリン酸ナトリウム、5%(v/v)アセトニトリル,pH7.0及び(B)A+1.0M塩化アンモ
ニウムであった。NGFを5から60分の20-40%のBの直線勾配で35℃(0.5ml/分)で溶
出した。コントロール及び5℃で1.6年のサンプルもまた二量体における単量体の
変異体の配置を平衡化するために「酸処理」後アッセイした(8,9)。これらのサン
プルをHClを用いてpH3.5に調節し、37℃で2時間インキュベートした(2及び4時間
での結果は等しかった)。YMC C4,5μm(4.6×250mm)カラムを25℃でHP1090システ
ムで逆相HPLC(RP-HPLC)のため用いた。NGFを5から40分まで稼動させたA中に26-3
0%のBの直線勾配(B=アセトニトリル中に0.05%TFA、A=水中に0.05%TFA)を用いて
溶出した(0.5ml/分)。サイズ排除HPLC(「SEC-HPLC」)をPerkin Elmer LC 90分光測
光式UV検出器及びTosohas TSK 2000 SWXL,5μm(7.8×300mm)カラムを用いて、Pe
rkin Elmer Series 410 Bio LC Pumpで実施した。このSECを0.2Mリン酸カリウム
、0.45M塩化カリウム移動相,pH7.0を用いて0.5ml/分で稼動した。SEC UVのため2
80nmで検出した;RP-HPLC及びIECのため214nmで検出した。全てのアッセイに対し
て50mgのNGFを注入した。
SDS-PAGE。サンプルをNovexトリシンSDSサンプルバッファー内に希釈し、50℃
で1時間インキュベートした。非還元SDS-PAGEを10%アクリルアミドを含むNovex
トリシンケルで実施し、引き続きクマシーブルー染色をした。分子量をBio-Rad
低分子量マーカーを用いて見積もった。
神経突起伸長アッセイ。NGFの生物学的活性をGreene(10)により発達され、Sch
melzer等(8)によって記述されたように修飾されたPC12アッセイを用いて測定し
た。
溶血反応。全ての処方を溶血反応活性について試験した。溶血反応法は等容量
の洗浄赤血球細胞と処方を分析前30分間37℃でインキュベートすることを除いて
、ReedとYalkowsky(11)のものであった。
結果
NGFの処方の発展には、タンパク質が2-8℃で1.5年以上で化学的及び物理的安
定性を示すコンディションが見出されることが必要とされる。我々はコハク酸バ
ッファー,pH4.2,5.0及び5.8、そして酢酸バッファー,pH5.0及び5.8でのNGFの安
定性を確認することによって、最大のNGFの安定性のおよそのpHを決定した。NGF
の安定性はpH6.0以上で減少する。タンパク質の安定性を測定するために用いら
れたアッセイはIEC,SEC,RP-HPLC,SDS-PAGE及びPC12生活性アッセイであった。処
方の生物適合性は溶血反応試験によって測定した。NGFの安定性は37℃であった
。
NGFの凝集。ネズミNGFに対する二量体/単量体平衡定数はpH4-7(6,7,9,12)で10
-13Mより小さい。それゆえNGFは中性pHのSECアッセイで主に二量体としてアッセ
イされた。少量の凝集NGF(分子量スタンダードに基づいて三量体)が、コントロ
ールサンプルにおいて観察された。この三量体ピークエリアは37℃で時間と共に
増加した。より大きい凝集を示すこのピークのリーディングショルダーは、37℃
で38日後全ての処方で観察された。様々な処方に対する凝集形成の時間依存性が
図1に示されている。コハク酸pH5.8処方は最大の凝集割合を示した。全ての他の
処方は同割合の凝集形成を示した。界面活性剤Tween20の添加は、pH5.0のコハク
酸処方において凝集に対する何の保護も提供しなかつた。調製の間NGFのpH5.8の
コハク酸処方は、47mmの直径の0.22mmフィルターを通して濾過した一方、全ての
他の処方は25mmの直径のフィルターを通して濾過可能であった。これはpH5.8で
のコ
ハク酸バッファーにおいて37℃で観察される高割合の凝集に一致する。
凝集はまた非還元SDS-PAGEを用いてもモニターされた(データは示していない)
。-70℃コントロールサンプルにおいて3のバンドが観察された:13.5kDaで単量体
、およそ26kDaで大変かすかな二量体のバンド、そして31kDaでわずかにより強い
バンドであった。26及び31kDaのバンドはより高い温度でのインキュベーション
でより強くなった。少量の大きい分子量の凝集VA(〉97kDa)が、37℃で38日後の
全ての処方で観察された。このバンドの強さはpH5.8のコハク酸処方において最
大であり、この処方に対してSECで観察されたわずかな濾過可能性及び高凝集割
合に一致した。Tween20はpH5.0でこの高分子量凝集物の形成を防いだ。コハク酸
,pH5.8を除いて、これらのサイズの方法はNGF処方の性質の間で差異がない。
NGF単量体及び分解産物の定量。これらの研究で用いられるNGFは120,118,及び
117アミノ酸を含む3の単量体ポリペプチドの1:9:1の割合より成っていた。118ア
ミノ酸変異体は120の元となるもののC末端からAla120及びArg119のクリッピング
によって生産された;117変異体はArg118の更なるクリップを持っていた(8)。pH5
.0で120の元のものと比較して、117変異体は2の正電荷が存在せず、118変異体は
1の正電荷が存在しなかった。PC12及びヒヨコ後根神経節アッセイで測定したと
ころ、117,118及び120変異体で形成されたホモ二量体及びヘテロ二量体の生活性
において有意な差は存在しない(8)。NGFが単量体に解離する酸性、有機的、RP移
動相において、溶出順位は120,118,117の順である。-70℃及び37℃で38日間コハ
ク酸バッファー,pH5.0で貯蔵された典型的なRP-HPLCクロマトグラムが図2に示さ
れている。より高い温度ではピークエリアは、イソAsp、酸化物及び他のNGF分解
ピークがエリアにおいて上昇して、NGF(118及び120単量体ピークの合計)として
定義されたピークから失われる。117ピークエリアは上昇した温度ではこのピー
クと共に分解産物が共溶出するため、NGFの定義には含めなかった。37℃でのNGF
分解の時間依存性及びこの分解に対する見かけの一次割合定数がそれぞれ図3及
び表1に示されている。
pHが減少するとNGFの安定性は減少した。酢酸とコハク酸のpH5.8では両者とも、
NGFの安定性はpH5.0より大きかった。コハク酸バッファー,pH4.2では、NGFの分
解割合はさらに増大し、おそらくAsp60-Pro61結合での酸誘導性切断のため、い
くつかの疎水性分解産物が観察される。Tween20はコハク酸バッファー,pH5.0でN
GF安定性に対して何の効果もなかった(図3)。酢酸処方はNGFの安定性を維持する
のにいくらか適しているようである。
NGF二量体配置。117,118及び120アミノ酸を含む3のNGF単量体は、117/117,118
/118及び120/120ホモ二量体及び117/118,118/120及び117/120ヘテロ二量体を形
成するように組み合わせ得る。3のNGF変異体の会合は、いかなる単量体の好みも
ないように、ランダムであることが示されている(8,9)。二量体の会合及び様々
な二量体を形成する単量体の再会合(二量体交換)は、低pH及び上昇した温度で促
進される(9)。平衡化状態でのランダムな会合プロセスと最初の117/118/120の割
合が1:9:1であるために、118/118ホモダイマーは優勢な二量体種であり、より少
量の117/118及び118/120二量体が形成されている。
118/118及び117/120二量体は選択されたIEC移動相で同じ有効なナット電荷を
もち、それゆえNGF精製の間IECにおいて共に溶出される。これはNGF産物におい
てNGF二量体における単量体変異体の最初の非平衡配置の結果である。117/120及
び118/118二量体は117及び120単量体を与えると解離し、それは最も頻繁に118単
量体と再会合して117/118及び118/120二量体を形成するであろう。単量体での異
なる電荷のため、カチオン交換クロマトグラフィーでの3の二量体の期待される
溶出順序は:
117/117<117/118<118/118=117/120<118/120<120/120である。
最も一般的な二量体は図4に示されているようにIEC(8)によって区別され得る。
-70℃及び37℃で38日後のコハク酸バッファー,pH5.0でのNGFに対する代表的な
IECクロマトグラムが図4に示されている。NGF生産の間、N末端セリン残基の画
分はグリシンに変換されるが、NGFの活性に何の影響もない(13)。NGFは118/118
ホモ二量体及び2の単量体の1においてSer1がGly1に変換されている118/118二量
体の合計としてここで定量される(13)(そして共溶出したいかなる117/120変異体
も);117/118及び118/120ピークエリアはこれらのピークと共溶出する分解産物の
ため含まれない。37℃でIECでモニターしたところ、NGFの損失の割合が図5に示
されている。118二量体に対する分解速度論は多面的である。13日前のメインピ
ークの損失は主に考え得る二量体タイプの間の単量体変異体の再構成のためであ
る。13日後の該データはNGFの化学的分解をより正確に示している。NGFは酢酸処
方,pH5.0及びpH5.8で最も安定であり、それらは同様の安定性を持つ。コハク酸
バッファー,pH5.8及びpH5.0におけるNGFは、0.05%のTween20の存在下でも不存
在下でも、全て同様の安定性を持つ。それぞれのNGF処方の溶血反応アッセイも
また試験した。処方の全てが有意な赤血球溶血反応を示さなかった(<0.1%)。各
処方におけるNGFの生活性もまた、神経突起伸長PC12アッセイを用いて測定した
。NGFは37℃で38日後全ての処方で生活性であった。大きなアッセイ変異性(およ
そ50%エラー)は、測定されたこれらの処方間で定量的な生活性差異を許容しなか
った。
NGFに対する液体処方は好ましくは5℃で十分な保存温度を持つ。37℃での加速
された安定性データは、NGFが酢酸バッファーにおいて最も安定であることを示
した。このデータに基づいて、酢酸,pH5.0及びpH5.8処方におけるNGF安定性を5
℃で1.6時間で調べた。-70℃のコントロールと5℃のサンプルでの1.6時間のpH5.
0でのRP-HPLCクロマトグラムが図6に示されている。主要な分解産物はAsp-93が
イソAspに変換されていた;より少量だがMet-37及びMet-92の酸化物も観察された
。RP-HPLCによって定量されたNGF分解に対する見かけの一次割合定数は、それぞ
れpH5.0及び5.8で1.4×10-4±1.7×10-5d-1及び6.8×10-5±7.0×10-6d-1である
。5℃ではIECはNGFの安定性はpH5.0とpH5.8で大体同じであることを示し、37℃
のIECデータと一致する。NGF二量体の凝集は5℃では有意な分解経路ではなく、
凝集におけ
るわずか1%の増大だけが5℃で1.6年の貯蔵で観察された。
5℃と37℃の両者のIECデータの説明は二量体交換により複雑であり、交換割合
は低温でより小さい。IEC定量を改良するために、二量体配置をIEC分析の前に37
℃で2時間pH3.5でインキュベートすることによって平衡化した(8,9,14)。この
処理の後、新たな分解産物は観察されなかった。5℃でのインキュベーションの1
.6年後の酢酸,pH5.8サンプルを、図7で「酸処理」の前後でコントロールと比較し
た。二量体交換のための周りのピークに対する主なピークエリアの損失は酸処理
によって除去され、NGFの真の分解を顕にした。酸処理後の定量により、NGF主要
ピークの94及び92%がそれぞれpH5.0及びpH5.8で5℃で1.6年後残存し、酸処理な
しでは84及び87%であることと比較された。比較のため、RP-HPLC分析はNGFの118
及び120単量体の93及び96%がそれぞれpH5.0及びpH5.8で残存していることを示し
た。
NGFの化学的安定性はpHと共に増大することが示され、最大の安定性のpHはpH5
.8近くであった。固定されたpHでは、5及び37℃のRP-HPLC及びIECデータは、NGF
の化学的安定性はコハク酸バッファーより酢酸バッファーで大きいことを示すこ
とに一致した。加えてNGF凝集は、コハク酸バッファー,pH5.8を除いて、有意な
分解経路ではなかった。NGFの安定性を測定する土での複雑な因子は、二量体交
換がIECによって測定されたように、NGF二量体の見かけの分解に資することであ
る。全て考慮すると、これらのデータはNGF安定性に対する最適な処方と貯蔵コ
ンディションは酢酸バッファー,pH5.8で5℃での貯蔵であることを示す。
実施例II
フェーズII臨床試験の結果は、末梢神経障害疾患をもつ患者は0.3または0.1μ
g/kgのrhNGFの週当たり3の投与量を必要とすることを示す。これはrhNGFの投与
量当たり21または7μgのみが体重70kgの平均的な患者に対して必要であることを
意味する。現在のrhNGF液体処方(10mM酢酸ナトリウム,pH5.5、142mMNaCl中に2mg
/mL)及びバイアル形態(バイアル当たり0.7mL)は、たくさんの薬剤産物を無駄に
してしまうであろう。この研究の目的は、フェーズIII臨床試験においての使用
のため3ccガラスバイアル内に1.8mLで満たす0.1mg/mLのrhNGFの安定な複数投与
液体処方を発展することであった。この新しい形態では、各バイアルは180ttgタ
ンパク質
を与え、高投与量レベル(0.3μg/kg)では少なくとも7投与量、そして低投与量レ
ベル(0.1μg/kg)では24投与量を与えるであろう。
この研究において、pH5.5で0.1mg/mlのrhNGF複数投与量液体処方を含む保存料
の適合性及び安定性に対する結果が表される。0.1mg/mLのrhNGFの新しい複数投
与量液体処方と現在の2mg/mLのrhNGF処方のそれぞれの安定性に対する比較もま
た研究された。0.1mg/mLのrhNGFに対する前者の複数投与量液体処方の振動、凍
結と解凍、及び光適合性に対する研究の結果もまた報告された。
この研究において、100ccガラスバイアルに20mLで満たされた10mM酢酸ナトリ
ウム,142mM塩化ナトリウム,pH5.5内に11.6mg/mLで処方されたrhNGF濃縮大容量が
用いられた。本実施例で用いられた全ての化学的試薬及び物質が表2で挙げられ
ている。
方法
rhNGF複数投与量液体処方調製物。10,000kDの分子量カットオフと共に、Amico
n CentriprepTMを用いた超濾過(ultrafiltration)により、20mM酢酸ナトリウム
、136mM塩化ナトリウム,pH5.5より成る処方バッファー中にrhNGF濃縮大容量を透
析した。それからこの再処方rhNGF大容量を透析のため同じ処方バッファーを用
いて0.15mg/mLに希釈した。適合性スクリーニング及び処方発達研究のために用
いた保存料及び界面活性剤を、その試験された濃度でこの希釈されたrhNGF溶液
に加えた。それから各処方におけるタンパク質濃度を、適切な処方バッファーを
用いてUV分析によって0.1mg/mLに調節した。液体処方におけるrhNGFとの物理的
適合性に対して用いられた保存料とその濃度のリストが表3に挙げられている。
実験のデザイン
調製された全てのrhNGF複数投与量液体処方を、バイアルに満たす前に0.22μm
フィルターを通して滅菌的に濾過した。各処方を1.8mLの容量でタイプIクリア
ーガラス3ccWheatonバイアル内に無菌的に満たした。バイアルを13mmのPurcoat
ストッパーで栓をし、13mmのアルミニウムフリップオフキャップを用いてハンド
クリ
ンプした。
保存料スクリーニング研究のため、物理的適合性を測定するために24時間室温
でサンプルを貯蔵した。処方発達研究のため、サンプルを-70,5,25及び40℃で貯
蔵した。各時点で一つのサンプル/処方/温度をアッセイした。
現在の2mg/mLrhNGF処方、界面活性剤の不存在下で0.9%ベンジルアルコールま
たは0.25%フェノールのそれぞれを含む複数投与量処方、及び界面活性剤と保存
料を含まない0.1mg/mLrhNGFコントロールにおいて、振動研究を室温で実施した
。試験される各処方の3ccバイアルを研究室ベンチトップシェイカー(Glas-Col)
に固定し、6及び24時間80rpmで振動させた。振動の6及び24時間後に集めたサン
プルを、SE-HPLC、RP-HPLC、ELISA及びRRAによってアッセイした。
凍結及び解凍サイクルを振動研究に用いたものと同じ処方で実施した。試験さ
れる各処方から一つのバイアルを-70℃凍結器に置き24時間凍結させた。凍結の2
4時間後、サンプルを24時間5℃で解凍した。この凍結及び解凍法を3回繰り返し
た。3サイクルの終わりに集めたサンプルをSE-HPLC、RP-HPLC、EUSA及びRRAによ
ってアッセイした。
rhNGFの安定性に対する光の効果を振動研究に用いたものと同じ処方で研究し
た。各処方から一つのバイアルをライトボックス(Forma Scientific,Model 3890
)内に置き、5週間高強度蛍光光の下に置いた。アルミホイルで巻いたコントロー
ルバイアルもまたライトボックス内に置いた。光強度は20,000luxであり、それ
は室内蛍光光の約15-20倍であり、ライトボックス内の温度を28℃に維持した。
サンプルを2及び5週でSEC-HPLC、ELISA及びRRAでアッセイした。
分析方法
A.UV分析。rhNGF濃度をHP8452AUV-Vis分光光度計を用いて240から360nmをスキ
ャンすることによって測定した。処方バッファーを機械をブランクにするために
リファレンスとして用い、mg/mLでのタンパク質濃度を(A280-320)/1.5によって
計算し、そこでは1.5はmL/(mg.cm)でのrhNGFの吸光係数である。
B.HPLC分析。以下のHPLC法を用いた。
逆相HPLC
カラム: YMCC4,5μm,4.6×250mm
移動相: A;0.05%(v/v)TFA,水
B;0.05%(v/v)TFA,100%AcCN
勾配: 25-27%B(26'),27-50%(4'),50-80%B(1')
80-25%B(4'),25%B(20')
流速: 1mL/分
稼動時間: 55分
温度: 25℃
LC: HP-1090
検出: 214,280nm
注入: 15μg
サイズ排除HPLC
カラム: Tosohaas TSK 2000SWXL,5μm,7.8×300mm
移動相: 0.2Mリン酸カリウム,0.45MKCl,pH7.0
勾配: アイソクラチック
流速: 1.0mL/分
稼動時間: 30分
温度: 環境と同じ
LC: HP-1090
検出: 214,280nm
注入: 15μg
カチオン交換HPLC
カラム: Tosohaas TSK SP-5PW,10μm,7.5×75mm
移動相: A:10mMリン酸ナトリウム、10%(v/v)
AcCN,pH7.0
B:A+1M塩化アンモニウム
勾配: 10-40%B(60'),40-60%B(5'),60-10%B(1'),71-86%B(15'
)
流速: 0.5mL/分
稼動時間: 86分
温度: 35℃
LC: HP-1090
検出: 214nm
注入: 15μg
C.ELISA。0.39-6.25ng/mLの範囲を持つこのアッセイをImmunoassay Services(G
enentech,Inc.のTest Procedure Code SNGF:1)によって実施した。各rhNGFサン
プルを5及び2.5ng/mLの2のターゲット濃度にアッセイ希釈液で希釈し、各希釈物
を三重にマイクロチューブに分けた。mg/mLでのタンパク質濃度を、同じアッセ
イに対して分けた-70℃内部リファレンススタンダードに対して標準化した。
D.ラジオリセプターアッセィ(RRA)。このアッセイはPC−12細胞上の受容体結合
に対する1251-rhNGFと競合する非ラベルrhNGFの能力を測定する。このアッセイ
をBioassay Service(Genentech,Inc.Test Procedure SNGF:6)によって実施し、3
-80ng/mLの範囲を持つ。各rhNGFサンプルを25及び12.5ng/mLの2のターゲット濃
度にアッセイ希釈液で希釈し、各希釈物を二重にマイクロチューブに分けた。mg
/mLでのタンパク質濃度を、同じアッセイに対して分けた-70℃内部リファレンス
スタンダードに対して標準化した。
E.PC-12細胞生存生活性。このアッセイは、その受容体に結合し、血清フリー培
養コンディションの下でPC-12細胞の生存を引き起こす細胞内シグナルを生産す
るrhNGFの能力を測定する。このアッセイをBioassay Service(Test Procedure S
NGF:7)によって実施し、0.24-30ng/mLの範囲を持つ。mg/mLでのタンパク質濃度
を、同じアッセイに対して分けた-70℃内部リファレンススタンダードに対して
標準化した。
F.視覚的調査。視覚的調査をサンプリングタイムの時点でバイアル内の全ての
処方に対して実施した。サンプルを溶液透明度、色、乳光及び粒子形成について
観察した。
G.pH測定。全ての処方のpHをラジオメーター(モデルPHM82,Radiometer America
Inc.)及びマィクロ電極(モデルM1-410,Microelectrodes,Inc.)を用いて各時点
で測定した。pH4.01及びpH7.00の標準溶液をpH測定の前にラジオメーターの標準
化と較正のため用いた。
H.保存料有効性試験。6ヶ月5℃で安定であるリードrhNGF複数投与量液体処方を
、USP及びEP標準基準に基づいて細菌チャレンジ試験のため、Northview Labに送
った。
I.円偏光二色性(CD)分析。ウォーターバスとデータプロセッサーを装備したAVI
V(登録商標)分光偏光計Model60DSを、円偏光二色性を測定するために用いた。測
定を20℃で実施した。1.0cm角の長さの石英キュベットを近UV CDを測定するため
に用いた。CDスペクトルを0.2nm間隔で0.5nm帯域幅で3.0秒の平均時間でとった
。CD測定の各サンプルを24時間継続的にとった。CDデータをrhNGFに対する平均
残基数の120を用いて、平均残基楕円率[q]、度.cm2/デシモルとして表した。
結果
20mM酢酸ナトリウム処方,pH5.5に0.1mg/mLでのrhNGFを用いて、いくつかの一
般的に用いられる保存料の物理的適合性を調べるために、保存料スクリーニング
研究を最初に実施した。これらの保存料の中には、ベンジルアルコール、フェノ
ール、m-クレゾール、メチルパラベン及びプロピルパラベンが含まれる。加えて
、ポリソルベート20及びプルロン酸(F68)のような界面活性剤の存在下での酢酸
処方におけるrhNGFとのこれらの保存料の物理的適合性もまた調べた。物理的適
合性の結果が表4に示されている。
スクリーニングに用いられた保存料において、それらは全て酢酸処方,pH5.5での
0.1mg/mLのrhNGFと物理的に適合的である。同処方において0.01%でのポリソルベ
ート20の存在下では、最初の濃度がそれぞれ0.9%及び0.25%であるベンジルアル
コール及びフェノールのみが、rhNGFと物理的に適合的であった。0.45%でのフェ
ノール及び0.25%でのm-クレゾールはそれぞれ、ポリソルベート20の存在下で酢
酸処方においてrhNGFと濁った溶液を形成した。rhNGF溶液はまた酢酸処方に含ま
れるポリソルベート20に対して、0.18%でのメチルパラベンまたは0.01%でのプロ
ピルパラベンの添加で、わずかに乳光を生じた。反対に同処方における0.01%で
のプルロン酸は、rhNGFと全ての保存料試験の間で、いかなる物理的非適合性を
も引き起こさなかった。
保存料スクリーニング研究の結果に基づいて、0.01%F68の存在下及び不存在下
で20mM酢酸,pH5.5内に0.9%ベンジルアルコールまたは0.25%フェノールのいずれ
かを含むいくつかのrhNGF複数投与量液体処方を、長期安定性研究のため用意し
た。これらの処方のリストが表5に与えられている。
これらの処方におけるrhNGFの安定性を以下の方法でアッセイした。SE-HPLC,RP-
HPLC,IE-HPLC,ELISA,ラジオリセプターアッセイ(RRA),PC-12細胞生存アッセイ,p
H及び視覚的調査。rhNGFに対する複数投与量液体処方の許容性は、10mM酢酸ナト
リウム、pH5.5及び142mM塩化ナトリウムにおいて2mg/mLrhNGFより成る現在の液
体処方との比較に基づくであろう。言い換えると、保存された処方は現在の液体
処方と同程度に安定であるべきである。データより得られた結果は-70℃及び5℃
で12ヶ月、25℃で9ヶ月、40℃で3ヶ月のデータをモニターした安定性を示す。
サイズ排除クロマトグラフィー。保存料を含まないコントロール処方と同様に
、rhNGF複数投与量液体処方における凝集物形成を検出し定量するために、サイ
ズ排除HPLCを実施した。この方法を用いると、rhNGFは8.6分の溶出時間で二量体
(メインピーク)として溶出する。ベンジルアルコール及びフェノールはそれぞれ
16及び19分で溶出する。二量体メインピークのリーディングショルダーの出現は
、より高分子量の凝集物の存在を示す。表6のデータは、rhNGFが保存料として0.
9%ベンジルアルコールを含む全ての処方において凝集物形成に対して安定である
ことを
示す。
40℃で3ヶ月後及び5℃で9ヶ月後、少量の凝集物(1%より小さい)がフェノール含
有処方(界面活性剤として0.01%F68の存在下及び不存在下で)において検出された
。-70℃のコントロールと比較して、これらのサンプルの全タンパク質回収が、
表7に示されている。現在の処方、コントロール及びベンジルアルコール含有処方は、25℃で6ヶ月後9
9%以上のタンパク質回収があった一方、フェノール含有処方は同じ貯蔵時間及び
温度で97%であった。これらの結果は、rhNGFが研究された全ての処方においてフ
ェノールよりベンジルアルコールを用いた方が適合的で安定であることを示す。
逆相HPLC。この研究で用いられたrhNGFは主に118/118ホモ二量体及び少量の12
0/120ホモ二量体より成る。逆相クロマトグラフィーのコンディションの下で、2
のrhNGF二量体型は解離し、それらの単量体は分離する。RP-HPLCは各種の疎水性
質に基づいてrhNGF単量体に分離する。120単量体より疎水性である118単量体は2
3分の溶出時間で溶出する。120単量体は118単量体ピークの前の小さいピークと
して溶出する。5,25,40℃で界面活性剤を含まないベンジルアルコールで保存さ
れた処方におけるrhNGFのRP-HPLCクロマトグラムの比較が、図8に示されている
。上昇した温度で貯蔵されたrhNGFの分解は、主にイソアスパラギン酸の形成、1
18及び120単量体ピークエリアにおける損失、クリップ形成及びRP-HPLCで測定さ
れるよ
うなミスホールディングrhNGFにおける増加のためであった。一酸化及び二酸化r
hNGFピークそして脱アミド化rhNGFピークは、変化しないままである。この研究
において、rhNGFはRP-HPLCによる118及び120単量体ピークエリアの合計として定
義され、その結果は-70℃コントロールと比較されるような残存しているrhNGFパ
ーセントとして報告される。
RP-HPLCによってアッセイされる118及び120単量体ピークエリアの損失のため
の残存しているタンパク質パーセントにおける減少は、液体処方におけるrhNGF
に対する主要な分解である。5℃では、RP-HPLCで測定されるような複数投与量処
方におけるrhNGFに安定性は、0.01%F68を含むフェノール含有処方を除いて現在
の処方(12ヶ月後に95%より多いrhNGFが残存している)と同様に、非保存コントロ
ール処方と同等に必須である(図9)。この処方は5℃で12ヶ月後わずかに少ない残
存しているパーセントrhNGF(93%)を持つ。25℃では、20mM酢酸処方,pH5.5におい
て保存料として0.9%ベンジルアルコールより0.25%フェノールの存在下で明らか
に安定でない(図10)。酢酸処方においてフェノール及びF68の組み合わせは、フ
ェノール単独の存在下より多いタンパク質の分解を引き起こす。
液体形態におけるrhNGFのイソアスパラギン酸形成は、時間及び温度依存性で
ある。イソアスパラギン酸形成の割合は時間と温度の増加に伴って増大する。5
℃では、全ての処方が同割合のイソアスパラギン酸形成を示す(図11)。5℃で12
ヶ月後、全てのrhNGF複数投与量処方及びそれらの非保存コントロール処方にお
いて形成される約1.5%のイソアスパラギン酸が存在した。しかしながらイソアス
パラギン酸形成の割合は、コントロール処方及び25℃で貯蔵されたフェノール保
存処方より、0.9%ベンジルアルコールを用いて保存されたrhNGF処方においてわ
ずかに高い(図12)。rhNGFのイソアスパラギン酸形成はタンパク質の生活性に影
響しないので、rhNGFのイソアスパラギン酸形成に対する保存料の効果は主要な
関心事ではない。
カチオン交換クロマトグラフィー。5,25及び40℃で3ヶ月の現在の処方におけ
るrhNGFに対するIE-HPLCクロマトグラムが図13に示されている。3の主要なピー
クが存在することが観察される。支配的なピークは約48分で溶出する118/118二
量体(ピークb)である。主要ピークの後のピークcは、2の二量体鎖の1において1
位でセリンからグリシンへの置換が生じたものである。主要ピークの前のピーク
は酸化
118/118及び酸化N末端クリップrhNGFであると考えられる。上昇した温度(25℃及
び40℃)では、IE-HPLCで測定されるようなrhNGFの分解は、118/118主要ピーク及
びセリンからグリシンへの置換118/118二量体のピークエリアの減少、そしてピ
ークaエリアの増大によって特性指摘される。この研究において、rhNGFは118/11
8二量体(ピークb)及びIE-HPLCによる一鎖のセリンがグリシンとなった二量体(ピ
ークc)ピークエリアの合計として定義され、該結果は-70℃コントロールと比較
した残存しているrhNGFパーセントとして報告される。
図14及び15はそれぞれ5℃で12ヶ月後及び25℃で9ヶ月後のIE-HPLCによる全て
のrhNGF処方に残存しているrhNGFパーセントを示す。5℃では全てのrhNGF処方に
対してピークb及びcのピークエリアは、12ヶ月後で変化しないままである。25℃
では、全てのrhNGF処方は同割合の分解を示し、IE-HPLCで評価されるような複数
投与量処方とコントロール処方の間で安定性において有意な差異は存在しなかっ
た。
ELISA。表8のデータはそれぞれ貯蔵の12,9及び3ヶ月後の5,25及び40℃で残存
しているrhNGFパーセントを示す。結果は同期間同温度で貯蔵された-70℃コントロールに対して標準化された。研
究された全ての温度及び時間点で界面活性剤として0.01%F68の存在下または不存
在下でベンジルアルコール及びフェノール保存処方の間で有意な差異は存在しな
かった。
ラジオリセプター結合活性(RRA)。RRAの結果は表9に存在し、-70℃コントロー
ルサンプルに対して標準化された。酢酸処方,pH5.5において0.01%F68の不存在下では、フェノール保存処方は、研究
された全ての温度に対してベンジルアルコール保存処方およびコントロール処方
の両者より、少ない残存タンパク質パーセントを持つた。酢酸処方,pH5.5におい
て0.01%F68の存在下では、(ベンジルアルコールまたはフェノールで)保存された
処方およびコントロール処方におけるrhNGFは、それぞれ25℃及び40℃で9ヶ月及
び3ヶ月でその生活性の約20%を失った。これらの結果は、フェノール及びF68がP
C-12細胞上のNGF受容体に結合するrhNGFの能力に影響し得ることを示唆する。そ
れゆえ0.9%でのベンジルアルコールは、複数投与目的のため界面活性剤を含まな
い酢酸処方において、rhNGFに対する保存料のよりよい選択物である。
PC-12細胞生存生活性。RRAの結果と対照的に、表10のPC-12細胞生存生活性デ
ータは、5℃で12ヶ月及び25℃で9ヶ月貯蔵された全ての処方においてrhNGFの有
効性において有意な差異が存在しないことを示した。タンパク質はこのアッセイで測定されたようにすべての処方において十分に活性
があることが見出された。それゆえラジオリセプター結合アッセイはrhNGFの生
活性を測定する上で細胞生存生活性より安定性を示すアッセイである。
全てのrhNGF処方の溶液は肉眼で透明で無色であった(表11)。粒子は全ての温
度及び時点でいかなる処方においても観察されなかった。 pHの結果。pH5.0またはpH5.8のそれぞれで10mM酢酸,142mM塩化ナトリウムにお
けるrhNGF処方は、安定性研究の間0.2ユニットまでpHの上昇があった。この研究
で用いられる複数投与量処方及びそのコントロール処方は、pH変化を妨げるため
より高バッファー力価を提供するべく20mM酢酸,pH5.5に処方された。表11はpHが
研究された全ての処方に対して変化しないままであることを示す。
保存料効力試験。安定性研究の6ヶ月後、20mM酢酸,pH5.5、136mM塩化ナトリウ
ム及び0.9%ベンジルアルコールにおいて0.1mg/mLrhNGFより成るもつとも安定なr
hNGFに対する複数投与量処方を、保存料効力試験のため用意した。このリード処
方は5℃で6ヶ月の貯蔵後、USP及びEP(基準A及びB)の両者をパスした。
円偏光二色性(CD)アッセイ。様々な液体インターフェロン-ガンマ(rhIFN-g)処
方において0.9%ベンジルアルコールの存在は、近Uv領域での円偏光二色性シグナ
ルにおいて損失を誘発する。rhIFN-gの近UV CDシグナルは24時間以内に消失する
が、これはベンジルアルコールの存在のためタンパク質の四次構造において変化
が存在することを示す。しかしながらこの減少は0.9%ベンジルアルコールを用い
て保存されたrhNGF処方においては観察されなかった。保存料の添加後24時間で
、近UV CDスペクトルは変化しないままであり、これは酢酸処方,pH5.5においてr
hNGFとベンジルアルコールの間で相互作用が存在しないことを示唆する。図16は
rhNGFの近UV CDスペクトルを示し、図17は25℃で24時間後のベンジルアルコール
の存在下及び不存在下でrhNGFの近UV CDスペクトルを比較している。275nm以下
の波長ではベンジルアルコールの妨害のため、サンプルが保存料を含む場合、rh
NGFのCDスペクトルは325nmから275nmをスキャンした。
安定性を試験するストレス。
1.振動研究。振動の間タンパク質の凝集を防ぎ、溶液の視覚的透明性を維持す
るため、0.1mg/mLのような低タンパク質濃度でrhNGF複数投与量処方において界
面活性剤(F68)を添加することが必要であるかどうかを測定する目的で、振動研
究を実施した。表12のデータは20mM酢酸処方,pH5.5(保存料の存在下または不存
在下)において0.1mg/mLでのrhNGFが、振動のような機械的破壊に対して等しく安
定であることを示す。これは界面活性剤が安定化目的のために複数投与量液体形
態として0.1mg/mLでrhNGFを処方する場合必要ではないことを示唆する。2.凍結解凍研究。0.1mg/mLrhNGF複数投与量液体処方の安定性に対する凍結及び
解凍の影響の結果が表13に示されている。
凍結及び解凍の3サイクル後、コントロールとして20mM酢酸処方,pH5.5、及び0.9
%ベンジルアルコールまたは0.25%フェノールのそれぞれを含む2の複数投与量処
方における0.1mg/mLrhNGFは、タンパク質の安定性においていかなる損失をも示
さなかった。それらは-70℃と5℃の間で凍結及び乾燥の3サイクル後、現在の2mg
/mLrhNGF液体処方と同様に安定である。
3.光適合性研究。表14は、現在の2mg/mL処方、0.1mg/mLrhNGFコントロール処方
、及びベンジルアルコールまたはフェノール保存0.1mg/mLrhNGF処方におけるrhN
GFの安定性に対する光の効果を要約する。
ライトボックスでの2週間の貯蔵後、研究された全ての処方においてタンパク質
の安定性について有意な損失は存在しなかった。しかしながらライトボックスで
の5週間の貯蔵後、SE-HPLCにより現在の処方において凝集形成の増大が生ずるこ
とが示された(1.6%)。5週間光にさらした後、凝集形成はフェノール保存処方に
おいていっそう促進されていた(12.1%)。ELISA及びRRAで測定されたように、光
にさらされたフェノール含有処方において、それぞれタンパク質濃度において30
%の損失、及び生活性において60%の損失もまた存在した。ベンジルアルコール保
存処方及び0.1mg/mLrhNGFコントロール処方の両者は、5週間光にさらされた後安
定であった。アルミホイルで巻かれた全てのコントロールバイアルは、ライトボ
ックスにおいて5週間の貯蔵の後安定であった。これらの結果は、rhNGFが酢酸処
方,pH5.5において低タンパク質濃度(0.1mg/mL)より高タンパク質濃度(2mg/mL)で
光に感受性であることを示唆する。フェノールの存在下では、rhNGFは光にさら
された場合より速く分解する。
全ての0.1mg/mLrhNGF複数投与量液体処方,pH5.5は、5℃で12ヶ月で安定である
。25℃では保存料として0.25%フェノールを用いた処方(F68の存在下または不存
在下)は、0.9%ベンジルアルコールを用いた処方より安定ではなかった。
界面活性剤(F68)を含む0.1mg/mLrhNGF処方,pH5.5は、界面活性剤を含まない処
方と同様に安定であった。
rhNGFに対するリード複数投与量処方は、1.8mL容量で3ccバイアルに満たされ
た20mM酢酸,pH5.5、136mMNaCl及び0.9%ベンジルアルコールにおいて0.1mg/mLタ
ンパク質である。該処方は5℃で6ヶ月後USP及びEP保存料効力試験の両者をパス
した。
20mM酢酸、136mMNaCl,pH5.5において0.1mg/mLで処方されたrhNGFは現在の2mg/
mL液体処方と同様に安定である。
振動は処方におけるタンパク質の濃度または賦形剤に関わらず、rhNGFの安定
性に対して何の影響もない。
特に該処方が保存料としてフェノールを含むならば、rhNGFは明所より暗所で
安定である。
現在の処方において2mg/mL、及び複数投与量液体処方において0.1mg/mLでのrh
NGFは、タンパク質の安定性に対する何の逆効果もなく、凍結(-70℃)及び解凍(5
℃)の少なくとも3サイクルで耐え得る。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成9年11月28日(1997.11.28)
【補正内容】
請求の範囲
1.製薬学的に有効量の神経成長因子及び製薬学的に許容されるpH5から6の酢酸
含有バッファーを含み、NGF安定化量のヒト血清アルブミンを排除し、特に酢酸,
pH4-5で緩衝された0.1mg/mlNGF、1mg/mlヒト血清アルブミン及び9mg/mlNaClを含
む処方を排除する安定な製薬学的組成物。
2.製薬学的に有効量の0.5mg/mlより少ない神経成長因子及び製薬学的に許容さ
れるpH5から6の酢酸含有バッファーを含み、NGF安定化量のヒト血清アルブミン
を排除し、特に酢酸,pH4-5で緩衝された0.1mg/mlNGF、1mg/mlHSA及び9mg/mlNaCl
を含む処方を排除する製薬学的組成物。
3.pHが5.5である請求項1または請求項2の組成物。
4.バッファーが酢酸ナトリウムである請求項1から3のいずれか一項の組成物。
5.0.1から200mMの酢酸濃度を持つ請求項1から4のいずれか一項の組成物。
6.NGF濃度が0.07から20mg/mlである請求項1から5のいずれか一項の組成物。
7.NGF濃度が0.1から2mg/mlである請求項6の組成物。
8.NGF濃度が0.1mg/mlである請求項6の組成物。
9.NGF濃度が0.5mg/mlより少ない請求項1から5のいずれか一項の組成物。
10.さらに製薬学的に許容される保存料を含む請求項1から9のいずれか一項の組
成物。
11.保存料がベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、メチルパラベン
及びプロピルパラベンより成るグループから選択される請求項10の組成物。
12.保存料がベンジルアルコールである請求項11の組成物。
13.ベンジルアルコール濃度が0.1から2.0%である請求項12の組成物。
14.さらに製薬学的に許容される界面活性剤を含む請求項1から13のいずれか一
項の組成物。
15.さらに生理的に許容される濃度の塩化ナトリウムを含む請求項1から14のい
ずれか一項の組成物。
16.神経成長因子が少なくとも約0.1mg/mlの濃度をもち、上記酢酸イオンが10mM
から50mMの濃度を持つ請求項1にしたがった組成物。
17.上記神経成長因子が0.1から約2.0mg/mlの濃度をもち、上記酢酸イオンが10m
Mから50mMの濃度を持つ請求項1にしたがった組成物。
18.NGF濃度が0.1mg/mlであり、酢酸ナトリウム濃度が20mMであり、pHが5.5であ
り、塩化ナトリウム濃度が136mMであり、そしてベンジルアルコール濃度が0.9%(
v/v)である請求項1の組成物。
19.NGF濃度が2.0mg/mlであり、酢酸ナトリウム濃度が10mMであり、pHが5.5であ
り、そして塩化ナトリウム濃度が142mMである請求項1の組成物。
20.組成物が0.1mg/mlNGF、20mM酢酸ナトリウム、136mM塩化ナトリウム、0.9%(v
/v)ベンジルアルコール,pH5.5を用いて処方される請求項16の組成物。
21.製薬学的に有効量の神経成長因子及び5から6のpHを持つ製薬学的に許容され
る酢酸含有バッファーを含み、NGF安定化量のヒト血清アルブミンを排除した製
薬学的組成物を含むNGF投与のためのキット。
22.組成物容量が1.6から2.0mlである請求項21のキット。
23.バイアルが組成物が光にさらされるのを減少する請求項21または請求項22の
キット。
24.組成物が2から8℃で貯蔵される請求項21から23のいずれか一項のキット。
25.バイアルがNGF処方の複数投与量容量を含む請求項21から24のいずれか一項
のキット。
26.上記組成物においてNGFの安定性を増大するのに有効な量及びpH酢酸を取り
込み、NGF安定化量のヒト血清アルブミンを排除した、活性要素としてNGFを含む
製薬学的組成物におけるNGFの安定性の増大法。
27.神経成長因子が118アミノ酸NGFである請求項1から26のいずれか一項の組成
物。
28.神経成長因子が118/118rhNGFである請求項27の組成物。
29.神経成長因子がチャイニーズハムスター卵巣細胞より分泌される請求項27の
組成物。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,
CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G
E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR
,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,
MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P
L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK
,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN
(72)発明者 ニュイェン,テュ
アメリカ合衆国 カリフォルニア 94402
サン マテオ キャニオン オーク コ
ート 1816
(72)発明者 パウェル,マイケル エフ
アメリカ合衆国 カリフォルニア 94122
サンフランシスコ ヒューゴ ストリー
ト 531