JP2002367849A - セラミックコンデンサ用導電ペーストとそれを用いたセラミックコンデンサ - Google Patents

セラミックコンデンサ用導電ペーストとそれを用いたセラミックコンデンサ

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JP2002367849A
JP2002367849A JP2001176165A JP2001176165A JP2002367849A JP 2002367849 A JP2002367849 A JP 2002367849A JP 2001176165 A JP2001176165 A JP 2001176165A JP 2001176165 A JP2001176165 A JP 2001176165A JP 2002367849 A JP2002367849 A JP 2002367849A
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Keiji Koyama
惠司 小山
Masatoshi Mashima
正利 真嶋
Shinji Inasawa
信二 稲澤
Tetsuya Nishi
徹也 西
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より安全かつ安価に製造され、しかも高純度
でかつ粒径の小さな銅超微粒子を用いることで、その製
造コストを圧迫することなしに、より薄型化された、良
好な特性を有するセラミックコンデンサを製造しうる新
規なセラミックコンデンサ用導電ペーストと、それを用
いたセラミックコンデンサとを提供する。 【解決手段】 導電ペーストは、導電成分として、銅
(I)アンミン錯イオンを含む溶液のpHを低下させるこ
とで、金属銅を超微粒子状に析出させて製造した銅超微
粒子を用いた。セラミックコンデンサは、セラミックグ
リーンシートと、上記導電ペーストを印刷して形成した
印刷層とを交互に積層し、全体を焼成して形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、誘電層と導電層
とが交互に積層された積層型のセラミックコンデンサの
うち導電層を形成するために用いるセラミックコンデン
サ用導電ペーストと、それを用いて形成したセラミック
コンデンサとに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近時、電子機器類の小型、軽量化に伴っ
て、これらの機器類を構成する電子部品などについても
さらなる小型化が要求される傾向にある。電子部品のう
ち、セラミック製の誘電層と導電層とを交互に積層した
積層型のセラミックコンデンサは、上記誘電層の元にな
るセラミックグリーンシートと、導電層の元になる、導
電ペーストからなる印刷層とを複数層ずつ交互に積層し
た積層体を焼成して形成される。
【0003】また導電ペーストは、銅の微粒子を、エポ
キシ樹脂などの有機バインダー中に分散して製造され
る。そして銅の微粒子について、(1) セラミックコン
デンサを薄肉化すべくこれまでよりも薄肉にした導電層
中で、均一でかつ良好な導電性を確保するとともに、
(2) 同じく薄肉化した誘電層に、微粒子の粒子形状に
よって導電層の表面に生じた突起に対応する薄肉部が発
生して静電容量が低下したり、あるいは電圧を印加した
際に、誘電層が上記薄肉部で絶縁破壊したりしないため
に、一層の小粒径化が期待されている。
【0004】特に最近では、その厚みがミクロンオーダ
ーの導電層を形成する必要から、サブミクロンオーダー
の平均粒径を有する銅超微粒子が求められる。かかる銅
超微粒子を製造する方法として、従来は、CVDなどの
気相法や、あるいは、ヒドラジン等の還元剤を用いて溶
液中の銅(II)イオンを還元して金属銅を析出させる液相
法などが実用化されている。しかし前者の気相法では、
それに使用する装置のイニシャルコストおよびランニン
グコストが極めて高くつく上、量産するのが難しく、し
かも製造できる銅超微粒子の収率が、原料としての銅の
量に比べて著しく低いため、製造コストが極めて高くつ
くという問題がある。このため気相法で製造した銅超微
粒子はその用途が限られており、セラミックコンデンサ
用の導電ペーストとしては使用していないのが現状であ
る。
【0005】そこで後者の液相法が、広く一般に行われ
ている。またその改良のために、種々の検討が行われて
いる。例えば特開平5−331508号公報には、ギ酸
銅を含む銅(II)イオン含有溶液のpHを6〜14に調整
した後、この溶液にヒドラジンまたはヒドラジン化合物
を加えて加熱することにより、平均粒径が1μm以下の
銅超微粒子を析出させる製造方法が開示されている。
【0006】また特開平8−232005号公報には、
銅(II)イオン含有水溶液にアルカリを加えて銅(II)水酸
化物を生成させた後、この水溶液にヒドラジンまたはヒ
ドラジン化合物を加えることで、水酸化物を還元して銅
超微粒子を析出させる製造方法が開示されている。特開
平9−241709号公報には、銅(II)イオン含有溶液
と錯化剤とから銅(II)錯イオン溶液を作製し、この溶液
中に還元剤を添加して金属銅を析出させる銅超微粒子の
製造方法が開示されている。
【0007】さらに特開平9−256007号公報に
は、銅(II)化合物およびリン酸塩が共存した銅(II)イオ
ン含有溶液、またはこの溶液にアンモニアを加えて得た
銅(II)アンミン錯イオン溶液、あるいは銅(II)化合物と
水溶性高分子とが共存した銅(II)イオン含有溶液にアン
モニアを加えて得た銅(II)アンミン錯イオン溶液のいず
れかに、還元剤を加えて金属銅を析出させる製造方法が
開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの液相
法で還元剤として使用するヒドラジンやヒドラジン化合
物は危険物であり、使用する場合には厳重な安全管理を
施した生産設備や保管施設などが必要である。そしてこ
のことが銅超微粒子や導電ペースト、ひいてはセラミッ
クコンデンサの製造コストを圧迫する原因となる。また
上記各法の多くでは、銅(II)イオンを安定させるべく、
溶液に、錯化剤や分散剤などとしてリン酸塩を多量に添
加しているため、金属銅の析出時にリンが共析すること
によって銅超微粒子の純度が低下する。そして、当該銅
超微粒子から形成される導電層の導電性が低下して、良
好な特性を有するセラミックコンデンサを形成できない
という問題も生じる。
【0009】この発明の目的は、より安全かつ安価に製
造され、しかも高純度でかつ粒径の小さな銅超微粒子を
用いることで、その製造コストを圧迫することなしに、
より薄型化された、良好な特性を有するセラミックコン
デンサを製造しうる新規なセラミックコンデンサ用導電
ペーストと、それを用いたセラミックコンデンサとを提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段および発明の効果】上記課
題を解決するために、発明者は、従来の還元剤による銅
(II)イオンの還元、析出反応とは異なる反応機構で、溶
液中に金属銅を析出させて銅超微粒子を製造することを
検討した。そして、溶液が塩基性の状態では安定な銅
(I)アンミン錯体が、溶液を酸性の状態にすると不安定
化して、錯体中の銅(I)イオン(Cu1+)が銅(II)イオ
ン(Cu2+)と金属銅(Cu)とに不均化分解反応する結
果、溶液中に金属銅が析出することを利用して銅超微粒
子を製造すればよいことを見出し、この発明を完成する
に至った。
【0011】すなわち請求項1記載の発明は、銅(I)ア
ンミン錯イオンを含む溶液のpHを低下させることで、
金属銅を超微粒子状に析出させて製造した銅超微粒子
を、導電成分として含有することを特徴とするセラミッ
クコンデンサ用導電ペーストである。この発明によれ
ば、ペーストに使用する銅超微粒子を、ヒドラジンやヒ
ドラジン化合物を一切、使用せずに、より安全に製造す
ることができる。したがって厳重な安全管理を施した生
産設備や保管施設などが不要となる。
【0012】また銅(I)アンミン錯イオンを含む溶液
は、例えば硫酸銅(II)とアンモニアと硫酸アンモニアと
を含む溶液に金属銅を加えて、無酸素条件下で反応させ
て製造するが、次工程で金属銅を析出させて銅超微粒子
を得た後の銅(II)イオンを含む溶液は、再び銅(I)アン
ミン錯イオンを含む溶液を製造する際の出発原料として
再利用できる。つまり溶液は、ほぼ半永久的に使用でき
ることになる。したがって銅超微粒子、並びに当該銅超
微粒子を用いた導電ペーストの製造コストを、これまで
よりもさらに引き下げることが可能となる。
【0013】またこの発明では、上に述べた銅(I)アン
ミン錯イオンを含む溶液の製造工程から、金属銅を析出
させて銅超微粒子を製造する工程までの全工程におい
て、リン酸塩などの、銅と共析するおそれのある元素を
含む成分を添加する必要がない。しかも後述するように
不均化分解反応の条件を調整して、金属銅の析出速度を
速くすればするほど、不純物の混入量を低減することが
できる。
【0014】したがって、例えば銅(I)アンミン錯イオ
ンを含む溶液の製造に、リサイクル銅などの、純度の低
い、そして安価な金属銅を使用しても、銅超微粒子の純
度を高純度に維持することが可能となる。また上記不均
化分解反応を、例えばかく拌下で行うことにより、金属
銅の析出を溶液中でほぼ均一に進行させることができる
ため、生成した銅超微粒子は、複数の粒子間で粒径がほ
ぼ揃ったものとなる。
【0015】しかもかく拌下で不均化分解反応を行う
と、個々の粒子の、特定の部分のみに金属銅が選択的に
析出するのを防止して、粒子の成長を、全方向にわたっ
て平均化できるため、生成した銅超微粒子は、その形状
がほぼ球形に揃ったものとなる。このため、かかる銅超
微粒子を含む導電ペーストから形成したセラミックコン
デンサの導電層は、薄肉化しても、これまでよりも均一
でかつ良好な導電性を有する上、その表面が突起などの
ない滑らかなものとなる。またそれゆえ、この導電層と
組み合わせる誘電層は、薄肉化しても絶縁破壊しにくい
ものとなる。したがってセラミックコンデンサを、これ
までよりも薄肉化することが可能となる。
【0016】したがって請求項4記載の発明は、セラミ
ック製の誘電層と導電層とが複数層ずつ交互に積層され
たセラミックコンデンサであって、上記誘電層のもとに
なるセラミックグリーンシートと、導電層のもとにな
る、請求項1記載のセラミックコンデンサ用導電ペース
トからなる印刷層とを複数層ずつ交互に積層した積層体
を焼成して形成されたことを特徴とするセラミックコン
デンサである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、この発明を説明する。 〔セラミックコンデンサ用導電ペースト〕この発明のセ
ラミックコンデンサ用導電ペーストは、銅(I)アンミン
錯イオンを含む溶液のpHを低下させることで、前記の
ように不均化分解反応により、金属銅を超微粒子状に析
出させて製造した銅超微粒子を、導電成分として含有す
るものである。
【0018】(銅超微粒子)上記不均化分解反応に用い
る、銅(I)アンミン錯イオンを含む溶液は、前記のよう
に硫酸銅(II)などの銅(II)イオンを含む化合物と、アン
モニアと、硫酸アンモニアなどのアンモニウム塩とを含
む溶液に金属銅を加えて、無酸素条件下で反応させるこ
とによって製造する。具体的には、金属銅を加えた上記
の溶液を、窒素などを用いてバブリングすることで液中
の溶存酸素を除去した後、酸素が混入しないように気密
性の高い容器内でかく拌しながら、例えば25℃で24
時間、反応させることによって、銅(I)アンミン錯イオ
ンを含む溶液を製造することができる。
【0019】銅(II)イオンを含む化合物としては、銅(I
I)イオンを含む従来公知の種々の化合物がいずれも使用
可能であり、特に上記硫酸銅(II)や、あるいは塩化銅(I
I)などが好ましい。また前記のように、金属銅を析出さ
せて銅超微粒子を得た後の、銅(II)イオンを含む溶液を
再使用することもできる。またアンモニウム塩として
は、これも上記硫酸アンモニウムが好適に使用できる
他、塩化アンモニウムなども使用可能である。
【0020】金属銅としては種々の形状のものが使用可
能であり、特に粉末や巻線などの、溶液との接触面積が
大きいものが好ましい。また金属銅としては、先に述べ
た理由により、例えば純度99.9%以下のリサイクル
銅などの、純度の低い、そして安価な金属銅を使用する
こともできる。アンモニアとしては、工業的に入手容易
な純度のものでよい。この理由も金属銅の場合と同じで
ある。つまり金属銅の析出速度を速くすればするほど不
純物の混入量を低減できるため、アンモニアの純度は、
工業的に入手容易な純度でよいのである。
【0021】次に、製造した銅(I)アンミン錯イオンを
含む溶液を用いて、前記のように不均化分解反応を行
う。具体的には、銅(I)アンミン錯イオンを含む溶液を
かく拌しながら酸を加えるか、逆に酸をかく拌しながら
銅(I)アンミン錯イオンを含む溶液を加えることで、溶
液を酸性の状態、好ましくはpH2以下、より好ましく
はpH1前後とする。そうすると前述したように、銅
(I)イオン(Cu1+)が銅(II)イオン(Cu2+)と金属銅
(Cu)とに不均化分解反応し、金属銅が析出して銅超
微粒子が生成する。
【0022】pH調整用の酸としては種々の酸が使用可
能であり、特に硫酸、塩酸、酢酸などが好ましい。ただ
し硝酸などの酸化作用を有する酸は好ましくない。発明
者の検討によると、上記不均化分解反応の際には、溶液
に酸を加えてpHを低下させる際の、当該pHの、単位
時間あたりの低下速度ΔpH/秒が、生成する銅超微粒
子の粒径を決定する重要な因子となる。すなわち不均化
分解反応時の、pHの、単位時間あたりの低下速度Δp
H/秒が小さいほど、銅超微粒子の粒径が小さくなる傾
向を示す。
【0023】かくして製造される銅超微粒子は、好まし
くは99.9%以上の高純度で、しかも平均粒径が40
0nm以下という粒径の小さなものとされる。また銅超
微粒子は、特に前記のように不均化分解反応をかく拌下
で行うことにより、複数の粒子間で粒径がほぼ揃い、な
おかつ粒子形状もほぼ球形に揃った良好なものとなる。
よって、かかる銅超微粒子を導電成分として用いたこの
発明のセラミックコンデンサ用導電ペーストは、粒子形
状が球形であることと、その粒径がほぼ揃っていること
と、粒径が小さいこととが相まって印刷特性にすぐれた
ものとなる。そして、ミクロンオーダーの厚みを有する
印刷層を、印刷不良などを生じることなく良好に印刷、
形成することができる。
【0024】また、上記印刷層を焼き付けて形成したセ
ラミックコンデンサの導電層は、その元になる銅超微粒
子の粒径が小さいこと、粒子形状が球形であること、そ
の粒径がほぼ揃っていること、純度が高く不純物が少な
いため電気伝導度が大きいこと等が相まって、これまで
より薄肉化しても緻密で構造欠陥等がなく、またその表
面が滑らかで突起が少ない上、導電性にすぐれたものと
なる。さらに上記セラミックコンデンサの誘電層は、上
記のように導電層の表面が滑らかで突起が少ないことか
ら、これまでより薄肉化しても絶縁破壊等を生じにくい
ものとなる。
【0025】なお銅超微粒子の平均粒径は、これに限定
されないが、30nm以上であるのが好ましい。銅超微
粒子の平均粒径が30nm未満では、導電ペーストの1
回の印刷によって形成される印刷層を焼成して得られる
導電層の厚みが薄すぎて、所定の導電性を確保できない
おそれがある。また、所定の導電層の厚みを確保するた
めには印刷を繰り返す必要が生じ、手間がかかるだけで
なく、印刷のずれ等を生じやすくなる。
【0026】なお、セラミックコンデンサの薄肉化を達
成するためにできるだけ薄肉で、しかも所定の導電性を
有する導電層を、できるだけ少ない印刷回数、できれば
1回の導電ペーストの印刷で形成することを考慮する
と、銅超微粒子の平均粒径は、上記の範囲内でも特に3
0〜100nmであるのが好ましく、40〜60nmで
あるのがさらに好ましい。銅超微粒子の、導電ペースト
中の固形分の総量に対する含有割合は50〜90重量%
であるのが好ましい。
【0027】銅超微粒子の含有割合が50重量%未満で
は、やはり導電ペーストの1回の印刷によって形成され
る印刷層を焼成して得られる導電層の厚みが薄すぎて、
所定の導電性を確保できないおそれがある。また、所定
の導電層の厚みを確保するためには印刷を繰り返す必要
が生じ、手間がかかるだけでなく、印刷のずれ等を生じ
やすくなる。また印刷層を焼成して導電層を形成する際
に、層の体積減少率が大きいため、導電層や誘電層にひ
び(クラック)が入ったり変形したりしやすくなる。
【0028】逆に、銅超微粒子の含有割合が90重量%
を超える場合には、相対的に、以下に述べるビヒクルの
含有割合が低下するため、導電ペーストの印刷特性が低
下する他、印刷層の一体性が低下して、焼成した際に、
導電層や誘電層にひび(クラック)が入ったりしやすく
なる。(他の成分)上記銅超微粒子とともに導電ペース
トを形成する他の成分としては、有機のビヒクルが挙げ
られる。
【0029】有機のビヒクルとしては、導電ペーストの
印刷温度下で液状を呈する硬化性樹脂を主体とし、これ
に、必要に応じて固体の硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、反
応性希釈剤、溶剤、硬化剤等を加えたものや、あるいは
硬化性もしくは熱可塑性の樹脂を溶剤に溶解または分散
したもの等が挙げられる。また導電ペーストには顔料、
ガラスフリットその他、公知の添加剤を加えることもで
きる。
【0030】(導電ペーストの製造)導電ペーストは、
上記の各成分を所定の割合で配合したものを、ロールミ
ル等を用いて混練することで製造される。 〔セラミックコンデンサ〕この発明のセラミックコンデ
ンサは、セラミック製の誘電層のもとになるセラミック
グリーンシートと、導電層のもとになる、上記導電ペー
ストからなる印刷層とを複数層ずつ交互に積層した積層
体を焼成して形成されるものである。
【0031】セラミックグリーンシートとしては、所定
のセラミックの原料粉末に、ポリビニルブチラールなど
の有機バインダと溶剤とを加えて得たスラリーを、支持
フィルム上にシート状に塗布し、乾燥させて溶剤を除去
したもの等が挙げられる。セラミックコンデンサの製造
に際しては、まずセラミックグリーンシートの片面に、
スクリーン印刷法等の印刷用によって、導電ペーストか
らなる印刷層を印刷、形成したものを複数枚、用意す
る。
【0032】次にこの複数枚のセラミックグリーンシー
トを、当該セラミックグリーンシートとその片面の印刷
層とが交互に配置されるように積層して積層体を得る。
そして、上記のようにこの積層体を焼成すると、セラミ
ックグリーンシート中の有機バインダが除去されるとと
もに、セラミックの原料粉末が焼成されてセラッミック
製の誘電層が形成される。また印刷層中の有機のビヒク
ルが除去されるとともに、銅超微粒子が焼結もしくは溶
融、一体化されて導電層が形成されて、誘電層と導電層
とが複数枚、交互に積層された積層型のセラミックコン
デンサが形成される。
【0033】
【実施例】以下にこの発明を、実施例、比較例に基づい
て説明する。 実施例1 (銅超微粒子の作製)硫酸銅(II)と、アンモニアと、硫
酸アンモニウムとを純水に加えて、各成分が下記の濃度
で含まれた溶液を調製した。
【0034】 (成 分) (濃 度) 硫酸銅(II) 0.5M アンモニア 5.0M 硫酸アンモニウム 1.0M 次にこの溶液1リットルに、過剰量(約10g)の銅線
(直径2mm)を浸漬し、窒素バブリングして溶存酸素
を除去した。
【0035】次にこの溶液を、酸素が混入しないように
気密性の高い容器内でかく拌しながら25℃で24時
間、反応させて、銅(I)アンミン錯イオンを含む溶液を
製造した。次にこの溶液の液温を25℃に維持してかく
拌しつつ、20%硫酸溶液100ミリリットルを加えて
不均化分解反応させて、溶液中に金属銅を析出させるこ
とで、銅超微粒子を生成させた。この際、溶液のpH
の、単位時間あたりの低下速度ΔpH/秒は0.25と
した。
【0036】次に、生成した銅超微粒子を溶液からロ別
し、純水で洗浄後、乾燥した。得られた銅超微粒子の粒
径と粒子形状を、走査型電子顕微鏡によって観察したと
ころ、その粒径がほぼ揃っているとともに、粒子形状も
球形にほぼ揃っていることが確認された。また写真に写
った銅超微粒子の平均粒径を測定したところ50nmで
あった。(導電ペーストの調製)上記の銅超微粒子と、
下記の各成分とを配合し、ロールミルで混練して導電ペ
ーストを調製した。
【0037】 (成 分) (重量部) 銅超微粒子 70 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 7 〔旭チバ(株)製の商品名アラルダイトAER グレード6051N75〕 ビスフェノールF型エポキシ樹脂 7 〔ジャパンエポキシレジン(株)製の商品名エピコート807〕 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 7 〔ジャパンエポキシレジン(株)製の商品名エピコート828〕 硬化剤 1 〔ジャパンエポキシレジン(株)製の商品名エポメートB002、複素環状を有す る変性脂肪族ジアミン〕 (セラミックコンデンサの製造)BaO−Al23−S
iO2系のセラミックグリーンシートを用意し、その片
面に、スクリーン印刷法によって1回印刷を行って、上
記導電ペーストからなる印刷層を形成した。
【0038】このものを199枚用意し、セラミックグ
リーンシートとその片面の印刷層とが交互に配置される
ように積層した上に、印刷層を形成していないセラミッ
クグリーンシート1枚を積層した後、圧着して積層体を
得た。そしてこの積層体を所定のセラミックコンデンサ
の寸法にカットし、その上下の最外面に、前記と同じ導
電ペーストを用いて、スクリーン印刷法によって1回印
刷を行って、外部電極となる印刷層を印刷した後、窒素
ガス雰囲気中、900〜1200℃で1時間の焼成を行
ってセラミックコンデンサを製造した。
【0039】比較例1 (銅超微粒子の作製)300g/リットルの硫酸銅(II)
水溶液を60℃に加温し、かく拌下、液中の銅イオンと
等モル量の水酸化ナトリウムを純水1リットルに溶かし
たアルカリ水溶液を200cc添加して銅水酸化物溶液
を得た。次にこの銅水酸化物溶液をかく拌下、抱水ヒド
ラジン200ccを加えて銅水酸化物を還元させて銅超
微粒子を製造した。
【0040】得られた銅超微粒子の平均粒径を、走査型
電子顕微鏡写真から測定したところ700nmであっ
た。 (導電ペーストおよびセラミックコンデンサの製造)上
記の銅超微粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にし
て導電ペーストを調製し、この導電ペーストを用いたこ
と以外は実施例1と同様にしてセラミックコンデンサを
製造した。
【0041】実施例、比較例で製造したセラミックコン
デンサについて、下記の試験を行って、その特性を評価
した。 導電層の厚み測定 セラミックコンデンサを樹脂に埋め込んで断面研磨した
後、この断面を電子顕微鏡で観察して導電層の厚み(μ
m)を求めた。 導電層の表面粗さ測定 支持基板上に1枚のセラミックグリーンシートを貼り付
け、さらにその表面に、実施例、比較例で調製した導電
ペーストを、スクリーン印刷法によって1回印刷して印
刷層を形成し、同条件で焼成して導電層のサンプルを作
製した。
【0042】そしてこの導電層のサンプルの表面粗さを
測定し、測定値から、日本工業規格JIS B0601
-1994「表面粗さ−定義及び表示」所載の定義に基づい
て中心線平均粗さRa(μm)を求めた。 静電容量の測定 実施例、比較例のセラミックコンデンサを各100個ず
つ用意し、個々のセラミックコンデンサの静電容量(n
F)を、クーロンメータを用いて測定して、実施例、比
較例ごとの平均値を求めた。
【0043】ショート不良率の測定 上記の、各100個ずつのセラミックコンデンサについ
て、その最外面の上下両外部電極間に直流120Vの電
圧を印加した際に、ショート不良が発生するか否かを検
査し、ショート不良が発生したセラミックコンデンサの
個数の、全個数(=100個)に占める割合をショート
不良率(%)として求めた。以上の結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】表より、従来法で製造した平均粒径の大き
い銅超微粒子を用いた比較例1のセラミックコンデンサ
は、導電層の厚みが大きい上、その表面に多数の突起が
あって表面があまり滑らかでなかった。このため全体の
厚みを、従来の同容量のセラミックコンデンサの標準で
ある0.80mmより小さくしようとすると、誘電層
に、上記突起に対応した薄肉部が生じて、設計値である
100nF以上の静電容量を達成することができなかっ
た。また誘電層の、上記薄肉部での絶縁破壊によるショ
ート不良が多発した。
【0046】これに対し、実施例1のセラミックコンデ
ンサは、比較例1に比べて導電層の厚みが小さく、かつ
その表面が滑らかであった。このため全体の厚みを、従
来の同容量のセラミックコンデンサの標準である0.8
0mmより小さい0.45mmとしても、設計値である
100nF以上の静電容量を確保しつつ、誘電層の絶縁
破壊によるショート不良を無くすることができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲澤 信二 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 西 徹也 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 Fターム(参考) 5E001 AB03 AC09 AH01 AH09 AJ01 AJ02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】銅(I)アンミン錯イオンを含む溶液のpH
    を低下させることで、金属銅を超微粒子状に析出させて
    製造した銅超微粒子を、導電成分として含有することを
    特徴とするセラミックコンデンサ用導電ペースト。
  2. 【請求項2】銅超微粒子の平均粒径が400nm以下で
    ある請求項1記載のセラミックコンデンサ用導電ペース
    ト。
  3. 【請求項3】銅超微粒子の純度が99.9%以上である
    請求項1記載のセラミックコンデンサ用導電ペースト。
  4. 【請求項4】セラミック製の誘電層と導電層とが複数層
    ずつ交互に積層されたセラミックコンデンサであって、
    上記誘電層のもとになるセラミックグリーンシートと、
    導電層のもとになる、請求項1記載のセラミックコンデ
    ンサ用導電ペーストからなる印刷層とを複数層ずつ交互
    に積層した積層体を焼成して形成されたことを特徴とす
    るセラミックコンデンサ。
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