JP2002365197A - 近接場光プローブおよびそれを用いた近接場光学顕微鏡および光記録再生装置 - Google Patents

近接場光プローブおよびそれを用いた近接場光学顕微鏡および光記録再生装置

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JP2002365197A
JP2002365197A JP2001174987A JP2001174987A JP2002365197A JP 2002365197 A JP2002365197 A JP 2002365197A JP 2001174987 A JP2001174987 A JP 2001174987A JP 2001174987 A JP2001174987 A JP 2001174987A JP 2002365197 A JP2002365197 A JP 2002365197A
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Takashi Furukawa
貴司 古川
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金属薄膜パターンに入射する光の偏光方向の正
確な位置合わせが不要でかつ発生する近接場光の基板面
内における形状が等方的となる近接場光プローブの提
供。 【解決手段】先鋭化した4枚の三角形状の金属薄膜パタ
ーン201、202、203、204からなる近接場光プローブに円
偏光を励起光205として入射させ、さらに2組の対向し
た三角形の金属薄膜パターンの頂点を結んだ角度Q1が90
度になるように配置しておくことで解決できる。 【効果】近接場光プローブに入射する光205の偏光方向
の金属薄膜パターン201、202、203、204に対する正確な
位置合わせを必要としない効果、および近接場光プロー
ブから発生する近接場光の基板301面内における形状が
等方的となる効果がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、近接場光学顕微鏡
もしくは近接場光を用いた光記録再生装置において、近
接場光を発生または検出する近接場光プローブに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近接場を用いた光プローブの生成につい
ては、従来、寸法がナノメートル・オーダーの微少構
造、例えば直径が光の波長以下の微少開口を用いて集光
させる方法が用いられている。光をこの微少構造に当て
ると、その微少構造近傍には近接場光とよばれる空間的
に局在した光が発生する。そこでこの近接場光を試料近
傍に近づけ、試料表面上を走査させることにより、微少
構造の寸法で決まる空間分解能で試料の表面形状や光学
特性を測定することが可能となる。この手法を用いた顕
微鏡は近接場光学顕微鏡とよばれ、近年、生体試料、半
導体試料、高分子試料などの形状および光学特性測定な
ど幅広い範囲に応用され始めている。さらにこの近接場
を用いた光プローブは、この光プローブによって得られ
る微小な光を高密度光記録再生に用いるなどの応用もな
され始めている。
【0003】近接場光を発生させる構造(近接場光プロ
ーブ)としては、光の波長以下の微少な開口を有する先
鋭化されたガラス製の光ファイバー(光ファイバープロ
ーブ)が広く用いられている。この光ファイバープロー
ブは、ガラスファイバーの一端を加熱しながら引き伸ば
したり、化学エッチング法により先鋭化した後、最先端
以外を金属膜でコーティングすることにより作製され
る。この光ファイバープローブに光を導入することで、
先端に形成された微少開口近傍に近接場光を発生させる
ことが可能となる。
【0004】このような近接場光プローブの性能として
はつぎにあげる3つの点が要求される。すなわち、
(1)光利用効率が高いこと、(2)高速走査が可能な
こと、(3)検出される光に含まれるバックグラウンド
光が少ないこと、である。しかしながら上記の光ファイ
バープローブは、光の利用効率が低いという欠点を持
つ。例えば開口径が100nmのとき、光ファイバープロー
ブに入射する光の強度と光ファイバープローブ先端から
出射する光の強度の比は0.001%以下であることがアプラ
イド・フィジックス・レターズ(Applied Physics Lett
ers)第68巻第19号(1996年)の2612頁から2614頁に報
告されている。
【0005】そこで、この問題点を解決し、さらに他の
(2)および(3)の性能を満足するためにつぎのよう
な近接場光プローブが報告(Technical Digest of 6th
international conference on near field optics and
related techniques, the Netherlands, Aug. 27-31, 2
000, p. 55)されている。すなわち、頂点の曲率半径が
数10nm以下の三角形の金属薄膜パターンを平面基板上に
形成した近接場光プローブである。この近接場光プロー
ブに直線偏光した光を入射させると、三角形の金属薄膜
パターンの頂点に局在した近接場光が発生する。さらに
図1に示したように上記三角形の金属薄膜パターンを2
つ、それぞれの頂点の間隔が数10nm以下になるように配
置した近接場光プローブも提案されており、この場合は
頂点間に局在した近接場光が発生する。
【0006】これら三角形の金属薄膜パターンを用いた
近接場光プローブは、いずれも非常に強い近接場光を発
生させることが可能である。とりわけ、入射光の偏光方
向と平行な軸上にある頂点に特に強い近接場光が発生す
る。さらに、入射光の波長を金属のプラズモン共鳴波長
に合わせることによって、入射光強度に比べて数100倍
以上の非常に強い近接場光を発生させることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
では、近接場光プローブから発生する近接場光の強度を
最も強くかつ時間的に一定にさせるためには、図1にお
いて三角形の金属薄膜パターン101、102に対する入射光
106の偏光方向を矢印103で示した方向、すなわち頂点10
4と頂点105を結ぶ方向に正確に位置合わせることを必要
とするため、それ専用の偏光軸方向調整機構が必要とな
る点およびそれによって装置全体の操作性が低下する点
で問題がある。
【0008】さらに、上記従来技術では、近接場光プロ
ーブから発生する近接場光の基板面内における形状が、
頂点104と頂点105を結ぶ方向にはその間隔で制限される
ものの、その面内垂直方向にはそれより広がってしま
う。これにより、この近接場光プローブを利用した近接
場光顕微鏡の空間分解能に空間的な異方性が生じる点、
および、この近接場光プローブを利用した光記録再生装
置において記録再生密度が低減もしくはノイズレベルが
上昇する点で問題がある。
【0009】本発明の目的は、三角形の金属薄膜パター
ンに対する入射光についてその偏光方向の正確な位置合
わせを必要としない近接場光プローブを提供することで
ある。
【0010】本発明の他の目的は、近接場光プローブか
ら発生する近接場光の基板面内における形状が等方的と
なる近接場光プローブを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の問題点は、図1に
示した先鋭化した三角形状の金属薄膜パターンを3枚以
上組み合せることで解決できる。いま説明を簡単にする
ために、図2に示したように本発明の近接場光プローブ
として、4枚の三角形状の金属薄膜パターン201、202、
203、204によって構成されているものを考える。ここで
金属薄膜パターン201、202、203、204は、そこに光205
を入射させた場合、強い近接場光を発生させる働きをも
ち、さらに2組の対向した三角形の金属薄膜パターン20
1、202および金属薄膜パターン203、204について、それ
ぞれの頂点206、207を結ぶ方向および頂点208、209を結
ぶ方向が直行するように配置しておくものとする。さら
に三角形の金属薄膜パターン201、202、203、204の形状
については、その3つの頂点のうち、2つの頂点の曲率
半径を残りの1つの頂点の曲率半径よりも大きくしても
よい。特に、最も曲率半径の小さい2つの頂点を対向さ
せ、その2つの頂点の間隔が数10nm以下になるように対
向する2枚の三角形状の金属薄膜パターンを形成するの
が望ましい。
【0012】このような構成においていま入射光205の
偏光状態を円偏光とすると、円偏光状態の光の偏光面は
光の進行方向に対して鉛直な面内において一定の速度で
回転している。この円偏光の光が金属薄膜パターンに入
射したとき、1組の対向した2枚の三角形の金属薄膜パ
ターン201、202についてその向き合った2つの頂点20
6、207を結ぶ方向と入射光205の偏光方向が一致した場
合、2枚の金属薄膜パターン201、202にはいづれも最も
大きな分極が発生するので、それらの相互作用の結果、
2枚の三角形の金属薄膜パターン201、202についてその
向き合った2つの頂点206、207の間には最も強い近接場
光が発生する。同様に、もう1組の2枚の対向した三角
形の金属薄膜パターン203、204についても向き合った2
つの頂点208、209を結ぶ方向に入射光205の偏光方向が
一致した場合に、それら2つの頂点208、209の間に最も
強い近接場光が発生する。本発明においては円偏光の光
205を入射するため、その偏光面は時間的に回転してい
る。したがって角度Q1が90度になるように配置してお
けば、この4枚の三角形の金属薄膜パターン201、202、
203、204を組み合せた近接場光プローブからは常に一定
の強度の近接場光を得られる。
【0013】さらにこの場合、対向した三角形の金属薄
膜パターン201、202および金属薄膜パターン203、204に
ついて、それぞれの頂点206、207を結ぶ方向および頂点
208、209を結ぶ方向が直行するように配置してあるた
め、発生する近接場光の空間的な減衰は金属薄膜パター
ンの頂点206、207および頂点208、209によってそれぞれ
制限されるので、非常に微少でかつ基板面内において等
方的な形状の近接場光が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】図3は本発明による近接場光プロ
ーブの実施例の第一の基本構成を示す図である。本構成
は光透過性のある基板301、およびこの基板301上に形成
された4枚の三角形の金属薄膜パターン201、202、20
3、204からなる。ここで光透過性のある基板301は例え
ば石英からなり、三角形の金属薄膜パターン201、202、
203、204は例えば金や銀からなる。このとき特に金属薄
膜パターン201、202、203、204の形状は、三角形のよう
に先端が先鋭化された形状をした金属薄膜であれば平面
楕円体でもよい。このとき1組の対向した三角形の金属
薄膜パターン201、202の頂点206、207は互いに近接する
ように配置し、もう1組の対向した三角形の金属薄膜パ
ターン203、204の頂点208、209も互いに近接するように
配置する。この場合、それぞれの三角形の金属薄膜パタ
ーン201、202、203、204について、その頂点206、207、
208、209の曲率半径は10nm以下、厚さは100nm以下、頂
点206、207の間隔および頂点208、209の間隔はそれぞれ
数10nm以下であればよいが、高い空間分解能を得るため
にはそれぞれ小さい方が望ましい。また入射させる光20
5の偏光状態は円偏光とすればよい。
【0015】この構成では、光学レンズなどにより集光
された光205は、基板301に入射し、金属薄膜パターン20
1、202、203、204に当る。このとき、光205は金属薄膜
パターン201、202、203、204により散乱され、その結
果、金属薄膜パターン201、202、203、204近傍には高い
空間フーリエ周波数成分をもった近接場光が発生する。
本発明においては入射光205の偏光状態は、円偏光とし
た。円偏光状態の光の偏光面は光の進行方向に対して鉛
直な面内において一定の速度で回転している。この円偏
光の光205が金属薄膜パターン201、202、203、204に入
射したとき、対向した三角形の金属薄膜パターン201、2
02についてその頂点206と頂点207を結ぶ方向に入射光20
5の偏光方向が一致した場合、2つの金属薄膜パターン2
01、202にはそれぞれ最も大きな分極が発生するので、
それらの相互作用の結果、2つの頂点206、207の間には
最も強い近接場光が発生する。同様に、もう1組の対向
した三角形の金属薄膜パターン203、204についてもその
頂点208と頂点209を結ぶ方向に入射光205の偏光方向が
一致した場合に、それら2つの金属薄膜パターン203、2
04の頂点208、209の間に最も強い近接場光が発生する。
本発明においては円偏光の光205を入射するため、その
偏光面は時間的に回転している。したがって、2組の対
向した三角形の金属薄膜パターン201、202および金属薄
膜パターン203、204についてそれぞれの頂点206と頂点2
07とを結ぶ方向および頂点208と頂点209とを結ぶ方向の
なす角度Q1が90度になるように配置しておくのが望ま
しい。この場合、本発明による近接場光プローブを用い
れば、常に最も強い近接場光を得られることになる。
【0016】さらに、本発明では、時間的に一定強度の
近接場光を必要としない場合には、これら2組の対向し
た三角形の金属薄膜パターン201、202、203、204の配置
について角度Q1には特に制限はない。
【0017】さらに、本発明では、角度Q1が90度になる
ように配置してあるため、発生する近接場光の空間的な
減衰は金属薄膜パターン201、202の頂点206、207および
金属薄膜パターン203、204の頂点208、209によってそれ
ぞれ制限されるので、非常に微少でかつ基板301面内に
おいて等方的な形状の近接場光が得られる。
【0018】さらに、本発明では、上述したように、金
属薄膜パターン201、202、203、204として三角形もしく
は平面楕円体の金属薄膜とした。このとき、金属で形成
されたパターンの寸法がナノメートルオーダーの場合、
金属薄膜パターンの内部に局在プラズモンを励起するこ
とにより、その金属薄膜パターン201、202、203、204近
傍に発生する近接場光強度を増大させてもよい。局在プ
ラズモンは、寸法が光の波長以下の楕円体や先端曲率半
径が光波長以下になるように先鋭化された金属の突起物
(すなわち三角形や平面楕円体の金属薄膜パターンの頂
点206、207、208、209がこれに相当する)内に発生する
電子の共鳴状態である。局在プラズモンが発生するとそ
の金属近傍には非常に強い光の場が発生する。局在プラ
ズモンは特定の波長の光によって励起され、その共鳴波
長は散乱体である金属の種類、形状、励起光の偏光方向
によって決まる。したがって共鳴波長が励起光源の波長
に近くなるようにこれらのパラメータを設定することが
望ましい。たとえば散乱体の形状が球で近似できると
き、金属が金の場合は共鳴波長は520nmとなる。このと
き散乱体近傍に発生する近接場光強度密度は入射光の光
強度密度の30倍となる。また、金属が銀の場合、共鳴波
長は350nmとなり、散乱体近傍の近接場光強度密度は入
射光の光強度密度の480倍となる。さらに散乱体の形状
が長軸:短軸=3:1の回転楕円体で近似できるときに
は、金属が金の場合、共鳴波長は650nmとなり、散乱体
近傍に発生する近接場光強度密度は入射光の光強度密度
の6500倍となる。また、金属が銀の場合には、共鳴波長
は500nmとなり、散乱体近傍の近接場光強度密度は入射
光の光強度密度の100000倍となる。ただし、励起光の偏
光方向は、金属の散乱体の形状が楕円体の場合には、楕
円の長軸方向と仮定した。金属の散乱体の形状が球に場
合には、中心対称であるので偏光方向は任意である。こ
れらの計算結果から、形状が平面楕円体の金属薄膜パタ
ーンの近傍には非常に強い近接場光が発生することがわ
かる。三角形の頂点の形状も近似的に長軸と短軸の長さ
の比が大きい楕円体と近似できるので、その形状および
材質を最適化することにより、平面楕円体の場合と同程
度の近接場光強度の増強効果が期待できる。
【0019】図4は本発明による近接場光プローブの実
施例の第二の基本構成を示す図である。本構成は光透過
性のある基板301、およびこの基板301上に形成された6
枚の三角形の金属薄膜パターン401、402、403、404、40
5、406からなる。ここで光透過性のある基板301は例え
ば石英からなり、三角形の金属薄膜パターン401、402、
403、404、405、406は例えば金や銀からなる。このとき
特に金属薄膜パターン401、402、403、404、405、406の
形状は、三角形のように先端が先鋭化された形状をした
金属薄膜であれば平面楕円体でもよい。このとき1組の
対向した三角形の金属薄膜パターン401、402の頂点40
7、408は互いに近接するように配置し、もう1組の対向
した三角形の金属薄膜パターン403、404の頂点409、410
も互いに近接するように配置し、さらにもう1組の対向
した三角形の金属薄膜パターン405、406の頂点411、412
も互いに近接するように配置する。この場合、それぞれ
の三角形の金属薄膜パターン401、402、403、404、40
5、406の頂点407、408、409、410、411、412の曲率半径
は10nm以下、厚さは100nm以下、頂点407、408の間隔お
よび頂点409、410の間隔および頂点411、412の間隔はそ
れぞれ数10nm以下であればよいが、高い空間分解能を得
るためにはそれぞれ小さい方が望ましい。また入射させ
る光の偏光状態は円偏光とすればよい。
【0020】この構成では、光学レンズなどにより集光
された光は、三角形の金属薄膜パターン401、402、40
3、404、405、406に当る。このとき、光**は三角形の金
属薄膜パターン401、402、403、404、405、406により散
乱され、その結果、三角形の金属薄膜パターン401、40
2、403、404、405、406近傍には高い空間フーリエ周波
数成分をもった近接場光が発生する。本発明においては
入射光の偏光状態は、円偏光とした。上述したように、
円偏光状態の光の偏光面は光の進行方向に対して鉛直な
面内において一定の速度で回転している。この円偏光の
光が三角形の金属薄膜パターン401、402、403、404、40
5、406に入射したとき、対向した三角形の金属薄膜パタ
ーン401、402についてその頂点407と頂点408を結ぶ方向
に入射光の偏光方向が一致した場合、2つの金属薄膜パ
ターン401、402にはそれぞれ最も大きな分極が発生する
ので、それらの相互作用の結果、2つの頂点407、408の
間には最も強い近接場光が発生する。同様に、他の2組
の対向した三角形の金属薄膜パターン403、404および三
角形の金属薄膜パターン405、406についてもその頂点40
9と頂点410を結ぶ方向および頂点411と頂点412を結ぶ方
向に入射光の偏光方向が一致した場合に、それら金属薄
膜パターン403、404の頂点409、410の間および金属薄膜
パターン405、406の頂点411、412の間にそれぞれ最も強
い近接場光が発生する。本発明においては円偏光光を入
射するため、その偏光面は時間的に回転している。した
がって、3組の対向した三角形の金属薄膜パターン40
1、402および金属薄膜パターン403、404および金属薄膜
パターン405、406について、それぞれの頂点407、408を
結ぶ方向および頂点409、410を結ぶ方向および頂点41
1、412を結ぶ方向のなす角度が等しい角度間隔で配置し
ておくのが望ましい。この場合、本発明による近接場光
プローブを用いれば、常に最も強い近接場光を得られる
ことになる。
【0021】さらに、本発明では、時間的に一定強度の
近接場光を必要としない場合には、これら3組の対向し
た三角形の金属薄膜パターン401、402および金属薄膜パ
ターン403、404および金属薄膜パターン405、406につい
て、それぞれの頂点407、408を結ぶ方向および頂点40
9、410を結ぶ方向および頂点411、412を結ぶ方向のなす
角度には特に制限はない。
【0022】さらに、本発明では、対向した三角形の金
属薄膜パターン401、402および金属薄膜パターン403、4
04および金属薄膜パターン405、406について、それぞれ
の頂点407、408を結ぶ方向および頂点409、410を結ぶ方
向および頂点411、412を結ぶ方向のなす角度が等角度と
なるように配置してあるため、発生する近接場光の空間
的な減衰は金属薄膜パターン401、402の頂点407、408お
よび金属薄膜パターン403、404の頂点409、410および金
属薄膜パターン405、406の頂点411、412によってそれぞ
れ制限されるので、非常に微少かつ基板301面内におい
て等方的な形状の近接場光が得られる。
【0023】さらに、本発明では、上述したように、金
属薄膜パターン401、402、403、404、405、406として三
角形もしくは平面楕円体の金属薄膜とした。このとき、
金属で形成されたパターンの寸法がナノメートルオーダ
ーの場合、金属薄膜パターンの内部に局在プラズモンを
励起することにより、その金属薄膜パターン近傍に発生
する近接場光強度を増大させてもよい。局在プラズモン
が発生するとその金属近傍には非常に強い光の場が発生
する。局在プラズモンは特定の波長の光によって励起さ
れ、その共鳴波長は散乱体の金属の種類、形状、励起光
の偏光方向によって決まる。したがって上述したように
共鳴波長が励起光源の波長に近くなるようにこれらのパ
ラメータを設定することが望ましい。上述の計算結果か
ら、形状が平面楕円体の金属薄膜パターンの近傍には非
常に強い近接場光が発生することがわかる。三角形の頂
点の形状も近似的に長軸と短軸の長さの比が大きい楕円
体と近似できるので、その形状および材質を最適化する
ことにより、平面楕円体の場合と同程度の近接場光強度
の増強効果が期待できる。
【0024】さらに、本発明では、6枚の金属薄膜パタ
ーン401、402、403、404、405、406について述べたが、
他の枚数の組み合せであっても同様の効果が期待でき
る。
【0025】図5は本発明による近接場光プローブの実
施例の第三の基本構成を示す図であり、上図は断面図、
下図は下面図である。本構成は遮光性のある基板501、
およびこの基板501上に形成された4枚の三角形の金属
薄膜パターン502、503、504、505からなる。ここで遮光
性のある基板501は例えばシリコンからなり、中心に孔5
06を開けておく。三角形の金属薄膜パターン502、503、
504、505は例えば金や銀からなる。このとき特に金属薄
膜パターン502、503、504、505の形状は、三角形のよう
に先端が先鋭化された形状であれば平面楕円体でもよ
い。このとき1組の対向した三角形の金属薄膜パターン
502、503の頂点507、508は互いに近接するように配置
し、もう1組の対向した三角形の金属薄膜パターン50
4、505の頂点509、510も互いに近接するように配置す
る。この場合、それぞれの三角形の金属薄膜パターン50
2、503、504、505の頂点507、508、509、510の曲率半径
は10nm以下、厚さは100nm以下、頂点507、508の間隔お
よび頂点509、510の間隔はそれぞれ数10nm以下であれば
よいが、高い空間分解能を得るためにはそれぞれ小さい
方が望ましい。また遮光性のある基板501に開けた孔506
の直径は、発生する近接場光の直径よりも大きく、かつ
この近接場光を照射する試料からの反射光の波長よりも
小さければよい。本発明の場合、近接場光の直径は、三
角形の金属薄膜パターン502、503の頂点507、508の間隔
および金属薄膜パターン504、505の頂点509、510の間隔
と同程度であり、光の波長は1ミクロン程度であるた
め、孔506の直径は数10nm以上1ミクロン以下であれば
よい。また励起光511は矢印の方向から入射させ、その
偏光状態は円偏光とすればよい。
【0026】この構成では、光学レンズなどにより集光
された光511は、金属薄膜パターン502、503、504、505
に当る。このとき、光511は金属薄膜パターン502、50
3、504、505により散乱され、その結果、金属薄膜パタ
ーン502、503、504、505近傍には高い空間フーリエ周波
数成分をもった近接場光が発生する。このとき、遮光性
のある基板501を用いているので、例えば近接場光プロ
ーブを試料に近づけた場合に発生するバックグラウンド
光を低減させることが可能となる。本発明においては入
射光511の偏光状態は、円偏光とした。上述したよう
に、円偏光状態の光の偏光面は光の進行方向に対して鉛
直な面内において一定の速度で回転している。この円偏
光の光511が金属薄膜パターン502、503、504、505に入
射したとき、対向した三角形の金属薄膜パターン502、5
03についてその頂点507と頂点508を結ぶ方向に入射光51
1の偏光方向が一致した場合、2つの金属薄膜パターン5
02、503にはそれぞれ最も大きな分極が発生するので、
それらの相互作用の結果、2つの頂点507、508の間には
最も強い近接場光が発生する。同様に、もう1組の対向
した三角形の金属薄膜パターン504、505についてもその
頂点509と頂点510を結ぶ方向に入射光511の偏光方向が
一致した場合に、それら金属薄膜パターン504、505の頂
点509、510の間に最も強い近接場光が発生する。本発明
においては円偏光の光511を入射するため、その偏光面
は時間的に回転している。したがって、2組の対向した
三角形の金属薄膜パターン502、503および金属薄膜パタ
ーン504、505について、それぞれの頂点507、508を結ぶ
方向および頂点509、510を結ぶ方向のなす角度が90度と
なるように配置しておくのが望ましい。この場合、本発
明による近接場光プローブを用いれば、常に最も強い近
接場光を得られることになる。
【0027】さらに、本発明では、時間的に一定強度の
近接場光を必要としない場合には、これら2組の対向し
た三角形の金属薄膜パターン502、503および金属薄膜パ
ターン504、505について、それぞれの頂点507、508を結
ぶ方向および頂点509、510を結ぶ方向のなす角度には特
に制限はない。
【0028】さらに、本発明では、対向した三角形の金
属薄膜パターン502、503および金属薄膜パターン504、5
05について、それぞれの頂点507、508を結ぶ方向および
頂点509、510を結ぶ方向のなす角度が90度となるように
配置してあるため、発生する近接場光の空間的な減衰は
金属薄膜パターンの頂点507、508および頂点509、510に
よってそれぞれ制限されるので、非常に微少かつ基板50
1面内において等方的な形状の近接場光が得られる。
【0029】さらに、本発明では、上述したように、金
属薄膜パターン502、503、504、505として三角形もしく
は平面楕円体の金属薄膜とした。このとき、金属で形成
されたパターンの寸法がナノメートルオーダーの場合、
金属薄膜パターンの内部に局在プラズモンを励起するこ
とにより、その金属薄膜パターン近傍に発生する近接場
光強度を増大させてもよい。局在プラズモンが発生する
とその金属近傍には非常に強い光の場が発生する。局在
プラズモンは特定の波長の光によって励起され、その共
鳴波長は散乱体の金属の種類、形状、励起光の偏光方向
によって決まる。したがって上述したように共鳴波長が
励起光源の波長に近くなるようにこれらのパラメータを
設定することが望ましい。上述の計算結果から、形状が
平面楕円体の金属薄膜パターンの近傍には非常に強い近
接場光が発生することがわかる。三角形の頂点の形状も
近似的に長軸と短軸の長さの比が大きい楕円体と近似で
きるので、その形状および材質を最適化することによ
り、平面楕円体の場合と同程度の近接場光強度の増強効
果が期待できる。
【0030】さらに、本発明では、4枚の金属薄膜パタ
ーン502、503、504、505について述べたが、他の枚数の
組み合せであっても同様の効果が期待できる。
【0031】図6は本発明による近接場光プローブの実
施例の第四の基本構成を示す図であり、そのうち上図は
断面図、下図は下面図である。本構成は遮光性のある基
板601、およびこの基板601上に形成された4枚の三角形
の金属薄膜パターン602、603、604、605からなる。ここ
で遮光性のある基板601は例えばシリコンからなり、中
心に孔606を開けておく。さらに基板601表面に深さが金
属薄膜パターンの膜厚と同じ窪みを形成し、その窪みの
中に三角形の金属薄膜パターン602、603、604、605を形
成する。三角形の金属薄膜パターン602、603、604、605
は例えば金や銀からなる。このとき特に金属薄膜パター
ン602、603、604、605の形状は、三角形のように先端が
先鋭化された形状をした金属薄膜であれば平面楕円体で
もよい。このとき1組の対向した三角形の金属薄膜パタ
ーン602、603の頂点607、608は互いに近接するように配
置し、もう1組の対向した三角形の金属薄膜パターン60
4、605の頂点609、610も互いに近接するように配置す
る。この場合、それぞれの三角形の金属薄膜パターン60
2、603、604、605の頂点607、608、609、610の曲率半径
は10nm以下、厚さは100nm以下、頂点607、608の間隔お
よび頂点609、610の間隔はそれぞれ数10nm以下であれば
よいが、高い空間分解能を得るためにはそれぞれ小さい
方が望ましい。遮光性のある基板601に開けた孔606の直
径は、発生する近接場光の直径よりも大きく、かつこの
近接場光を照射する試料からの反射光の波長よりも小さ
ければよい。本発明の場合、近接場光の直径は、三角形
の金属薄膜パターン602、603の頂点607、608の間隔およ
び金属薄膜パターン604、605の頂点609、610の間隔と同
程度であり、光の波長は1ミクロン程度であるため、孔
606の直径は数10nm以上1ミクロン以下であればよい。
また励起光611は矢印の方向から入射させ、その偏光状
態は円偏光とすればよい。
【0032】この構成では、光学レンズなどにより集光
された光611は、金属薄膜パターン602、603、604、605
に当る。このとき、光611は金属薄膜パターン602、60
3、604、605により散乱され、その結果、金属薄膜パタ
ーン602、603、604、605近傍には高い空間フーリエ周波
数成分をもった近接場光が発生する。このとき、遮光性
のある基板601を用いているので、例えば近接場光プロ
ーブを試料に近づけた場合に発生するバックグラウンド
光を低減させることが可能となる。また、金属薄膜パタ
ーン602、603、604、605が基板601内に埋め込まれてい
る構造になっているので、近接場光プローブを試料に近
づけて高速に走査する場合などに、金属薄膜パターン60
2、603、604、605が破損されるのを防ぐ働きがある。本
発明においては入射光611の偏光状態は、円偏光とし
た。上述したように、円偏光状態の光の偏光面は光の進
行方向に対して鉛直な面内において一定の速度で回転し
ている。この円偏光の光611が金属薄膜パターン602、60
3、604、605に入射したとき、対向した三角形の金属薄
膜パターン602、603についてその頂点607と頂点608を結
ぶ方向に入射光611の偏光方向が一致した場合、2つの
金属薄膜パターン602、603にはそれぞれ最も大きな分極
が発生するので、それらの相互作用の結果、2つの頂点
607、608の間には最も強い近接場光が発生する。同様
に、もう1組の対向した三角形の金属薄膜パターン60
4、605についてもその頂点609と頂点610を結ぶ方向に入
射光611の偏光方向が一致した場合に、それら金属薄膜
パターンの頂点609、610の間に最も強い近接場光が発生
する。本発明においては円偏光の光611を入射するた
め、その偏光面は時間的に回転している。したがって、
2組の対向した三角形の金属薄膜パターン602、603およ
び金属薄膜パターン604、605について、それぞれの頂点
607、608を結ぶ方向および頂点609、610を結ぶ方向のな
す角度が90度となるように配置しておくのが望ましい。
この場合、本発明による近接場光プローブを用いれば、
常に最も強い近接場光を得られることになる。
【0033】さらに、本発明では、時間的に一定強度の
近接場光を必要としない場合には、これら2組の対向し
た三角形の金属薄膜パターン602、603および金属薄膜パ
ターン604、605について、それぞれの頂点607、608を結
ぶ方向および頂点609、610を結ぶ方向のなす角度には特
に制限はない。
【0034】さらに、本発明では、対向した三角形の金
属薄膜パターン602、603および金属薄膜パターン604、6
05について、それぞれの頂点607、608を結ぶ方向および
頂点609、610を結ぶ方向のなす角度が90度となるように
配置してあるため、発生する近接場光の空間的な減衰は
金属薄膜パターンの頂点607、608および頂点609、610に
よってそれぞれ制限されるので、非常に微少かつ基板60
1面内において等方的な形状の近接場光が得られる。
【0035】さらに、本発明では、上述したように、金
属薄膜パターン602、603、604、605として三角形もしく
は平面楕円体の金属薄膜とした。このとき、金属で形成
されたパターンの寸法がナノメートルオーダーの場合、
金属薄膜パターンの内部に局在プラズモンを励起するこ
とにより、その金属薄膜パターン近傍に発生する近接場
光強度を増大させてもよい。局在プラズモンが発生する
とその金属近傍には非常に強い光の場が発生する。局在
プラズモンは特定の波長の光によって励起され、その共
鳴波長は散乱体の金属の種類、形状、励起光の偏光方向
によって決まる。したがって上述したように共鳴波長が
励起光源の波長に近くなるようにこれらのパラメータを
設定することが望ましい。上述の計算結果から、形状が
平面楕円体の金属薄膜パターンの近傍には非常に強い近
接場光が発生することがわかる。三角形の頂点の形状も
近似的に長軸と短軸の長さの比が大きい楕円体と近似で
きるので、その形状および材質を最適化することによ
り、平面楕円体の場合と同程度の近接場光強度の増強効
果が期待できる。
【0036】さらに、本発明では、4枚の金属薄膜パタ
ーン602、603、604、605について述べたが、他の枚数の
組み合せであっても同様の効果が期待できる。
【0037】図7は本発明による近接場光プローブの実
施例の第五の基本構成を示す図である。本構成は遮光性
のある基板701、およびこの基板701上に形成された4枚
の三角形の金属薄膜パターン702、703、704、705、およ
びこの三角形の金属薄膜パターン702、703、704、705を
均質に覆う光透過性のある保護膜706からなる。ここで
遮光性のある基板701は例えばシリコンからなり、中心
に孔707を開けておく。三角形の金属薄膜パターン702、
703、704、705は例えば金や銀からなる。このとき特に
金属薄膜パターン702、703、704、705の形状は、三角形
のように先端が先鋭化された形状をした金属薄膜であれ
ば平面楕円体でもよい。このとき1組の対向した三角形
の金属薄膜パターン702、703の頂点708、709は互いに近
接するように配置し、もう1組の対向した三角形の金属
薄膜パターン704、705の頂点710、711も互いに近接する
ように配置する。この場合、それぞれの三角形の金属薄
膜パターン702、703、704、705の頂点708、709、710、7
11の曲率半径は10nm以下、厚さは100nm以下、頂点708、
709の間隔および頂点710、711の間隔はそれぞれ数10nm
以下であればよいが、高い空間分解能を得るためにはそ
れぞれ小さい方が望ましい。また遮光性のある基板701
に開けた孔707の直径は、発生する近接場光の直径より
も大きく、かつこの近接場光を照射する試料からの反射
光の波長よりも小さければよい。本発明の場合、近接場
光の直径は、三角形の金属薄膜パターン702、703の頂点
708、709の間隔および金属薄膜パターン704、705の頂点
710、711の間隔と同程度であり、光の波長は1ミクロン
程度であるため、孔707の直径は数10nm以上1ミクロン
以下であればよい。また励起光712は矢印の方向から入
射させ、その偏光状態は円偏光とすればよい。
【0038】この構成では、光学レンズなどにより集光
された光712は、光透過性のある保護膜706に入射し、金
属薄膜パターン702、703、704、705に当る。このとき、
光712は金属薄膜パターン702、703、704、705により散
乱され、その結果、金属薄膜パターン702、703、704、7
05近傍には高い空間フーリエ周波数成分をもった近接場
光が発生する。このとき、遮光性のある基板701を用い
ているので、例えば近接場光プローブを試料に近づけた
場合に発生するバックグラウンド光を低減させることが
可能となる。また、金属薄膜パターン702、703、704、7
05の上に保護膜706が形成されている構造になっている
ので、近接場光プローブを試料に近づけて高速に走査す
る場合などに、金属薄膜パターン702、703、704、705が
破損されるのを防ぐ働きがある。本発明においては入射
光712の偏光状態は、円偏光とした。上述したように、
円偏光状態の光の偏光面は光の進行方向に対して鉛直な
面内において一定の速度で回転している。この円偏光の
光712が金属薄膜パターン702、703、704、705に入射し
たとき、対向した三角形の金属薄膜パターン702、703に
ついてその頂点708と頂点709を結ぶ方向に入射光712の
偏光方向が一致した場合、2つの金属薄膜パターン70
2、703にはそれぞれ最も大きな分極が発生するので、そ
れらの相互作用の結果、2つの頂点708と頂点709の間に
は最も強い近接場光が発生する。同様に、もう1組の対
向した三角形の金属薄膜パターン704と金属薄膜パター
ン705についてもその頂点710と頂点711を結ぶ方向に入
射光712の偏光方向が一致した場合に、それら金属薄膜
パターンの頂点710と頂点711の間に最も強い近接場光が
発生する。本発明においては円偏光の光712を入射する
ため、その偏光面は時間的に回転している。したがっ
て、2組の対向した三角形の金属薄膜パターン702、703
および金属薄膜パターン704、705について、それぞれの
頂点708、709を結ぶ方向および頂点710、711を結ぶ方向
のなす角度が90度となるように配置しておくのが望まし
い。この場合、本発明による近接場光プローブを用いれ
ば、常に最も強い近接場光を得られることになる。
【0039】さらに、本発明では、時間的に一定強度の
近接場光を必要としない場合には、これら2組の対向し
た三角形の金属薄膜パターン702、703および金属薄膜パ
ターン704、705について、それぞれの頂点708、709を結
ぶ方向および頂点710、711を結ぶ方向のなす角度には特
に制限はない。
【0040】さらに、本発明では、対向した三角形の金
属薄膜パターン702、703および金属薄膜パターン704、7
05について、それぞれの頂点708、709を結ぶ方向および
頂点710、711を結ぶ方向のなす角度が90度となるように
配置してあるため、発生する近接場光の空間的な減衰は
金属薄膜パターンの頂点708と頂点709および頂点710と
頂点711によってそれぞれ制限されるので、非常に微少
かつ基板701面内において等方的な形状の近接場光が得
られる。
【0041】さらに、本発明では、上述したように、金
属薄膜パターン702、703、704、705として三角形もしく
は平面楕円体の金属薄膜とした。このとき、金属で形成
されたパターンの寸法がナノメートルオーダーの場合、
金属薄膜パターンの内部に局在プラズモンを励起するこ
とにより、その金属薄膜パターン近傍に発生する近接場
光強度を増大させてもよい。局在プラズモンが発生する
とその金属近傍には非常に強い光の場が発生する。局在
プラズモンは特定の波長の光によって励起され、その共
鳴波長は散乱体の金属の種類、形状、励起光の偏光方向
によって決まる。したがって上述したように共鳴波長が
励起光源の波長に近くなるようにこれらのパラメータを
設定することが望ましい。上述の計算結果から、形状が
平面楕円体の金属薄膜パターンの近傍には非常に強い近
接場光が発生することがわかる。三角形の頂点の形状も
近似的に長軸と短軸の長さの比が大きい楕円体と近似で
きるので、その形状および材質を最適化することによ
り、平面楕円体の場合と同程度の近接場光強度の増強効
果が期待できる。
【0042】さらに、本発明では、4枚の金属薄膜パタ
ーン702、703、704、705について述べたが、他の枚数の
組み合せであっても同様の効果が期待できる。
【0043】さらに、本発明では、第4の実施例で示し
た図6と同様に基板701表面に深さが金属薄膜パターン7
02、705の膜厚と同じ窪みを形成し、その窪みの中に金
属薄膜パターン702、703、704、705を形成した上に保護
膜706を形成してもよい。
【0044】図8は本発明による近接場光プローブを用
いた光記録再生装置への応用例を示す図である。本構成
は図8(a)において光ヘッド801、およびこの光ヘッ
ドにより記録再生を行うディスク802よりなる。ここ
で、この光ヘッド801は、キャリッジアクチュエーター8
03によってディスク801の半径方向に移動させることが
可能である。さらにこの光ヘッド801は、図8(b)に
示したように、対物レンズ804、近接場光プローブ805、
アクチュエーター806、アクチュエーター807、サスペン
ション808からなる。
【0045】この構成では、光ヘッド801をディスク802
に近づけ、円偏光の光809を矢印の方向から入射させ、
記録再生を行う。このときキャリッジアクチュエーター
803を用いて回転するディスクの半径方向に動かすこと
で、ディスク802上の任意の位置において光記録および
再生が可能となる。このとき光ヘッド801内において
は、対物レンズ804の位置はアクチュエーター807を用い
て調整され、また、トラッキングのための近接場光プロ
ーブの位置の微調整には、アクチュエーター806を用い
る。さらに近接場光プローブ805はサスペンション808に
よってディスク802に適切な力で押し付けられる。な
お、全体の制御および光信号の記録再生はコンピュータ
を用いて行うことにより自動化が可能になる。
【0046】
【発明の効果】本発明の近接場光プローブは、頂点が対
向した一対の平面楕円体または三角形状の金属薄膜パタ
ーンを3枚以上配置し、これに円偏光の光を入射するこ
とにより、入射光についてその偏光方向の金属薄膜パタ
ーンに対する正確な位置合わせを必要としない効果があ
る。また2組の対向した三角形の金属薄膜パターンの頂
点を結んだ角度が90度になるように配置しておくこと
で、近接場光プローブから発生する近接場光の基板面内
における形状が等方的となる効果がある。これらの効果
の学術分野への応用、さらにはその工業的価値は非常に
高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の近接場光プローブの基本構成を表す図。
【図2】本発明の近接場光プローブを説明する図。
【図3】本発明の第一の基本構成を表す図。
【図4】本発明の第二の基本構成を表す図。
【図5】本発明の第三の基本構成を表す図。
【図6】本発明の第四の基本構成を表す図。
【図7】本発明の第五の基本構成を表す図。
【図8】本発明の光記録再生装置への応用例を表す図。
【符号の説明】
101…金属薄膜パターン、102…金属薄膜パターン、103
…偏光方向、104…頂点、105…頂点、106…入射光、201
…金属薄膜パターン、202…金属薄膜パターン、203…金
属薄膜パターン、204…金属薄膜パターン、205…入射
光、206…頂点、207…頂点、208…頂点、209…頂点、30
1…光透過性のある基板、401…金属薄膜パターン、402
…金属薄膜パターン、403…金属薄膜パターン、404…金
属薄膜パターン、405…金属薄膜パターン、406…金属薄
膜パターン、407…頂点、408…頂点、409…頂点、410…
頂点、411…頂点、412…頂点、501…遮光性のある基
板、502…金属薄膜パターン、503…金属薄膜パターン、
504…金属薄膜パターン、505…金属薄膜パターン、506
…孔、507…頂点、508…頂点、509…頂点、510…頂点、
511…入射光、601…遮光性のある基板、602…金属薄膜
パターン、603…金属薄膜パターン、604…金属薄膜パタ
ーン、605…金属薄膜パターン、606…孔、607…頂点、6
08…頂点、609…頂点、610…頂点、611…入射光、701…
遮光性のある基板、702…金属薄膜パターン、703…金属
薄膜パターン、704…金属薄膜パターン、705…金属薄膜
パターン、706…光透過性のある保護膜、707…孔、708
…頂点、709…頂点、710…頂点、711…頂点、712…入射
光、801…光ヘッド、802…ディスク、803…キャリッジ
アクチュエーター、804…対物レンズ、805…近接場光プ
ローブ、806…アクチュエーター、807…アクチュエータ
ー、808…サスペンション、809…入射光。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、長軸および短軸の長さ、および
    厚さが光の波長以下である平面楕円体の形状をした金属
    の散乱体を3枚以上有することを特徴とする近接場光プ
    ローブ。
  2. 【請求項2】基板上に、厚さおよび頂点の曲率半径が光
    の波長以下である三角形の形状をした金属の散乱体を3
    枚以上有することを特徴とする近接場光プローブ。
  3. 【請求項3】請求項1において、長軸の方向が一直線上
    に配置されるように頂点を対向させた2枚の平面楕円体
    の形状をした金属散乱体を2組用い、その頂点を結ぶ方
    向が直行するように配置したことを特徴とする近接場光
    プローブ。
  4. 【請求項4】請求項2において、頂点が対向した2枚の
    三角形の金属散乱体を2組用い、その頂点を結ぶ方向が
    直行するように配置したことを特徴とする近接場光プロ
    ーブ。
  5. 【請求項5】請求項1および請求項2および請求項3お
    よび請求項4において、近接場光を励起するための入射
    光の偏光状態を円偏光とすることを特徴とする近接場光
    プローブ。
  6. 【請求項6】遮光性のある基板およびこの基板上に形成
    された複数枚の三角形もしくは平面楕円体の金属薄膜パ
    ターンからなり、該基板の中心に孔を開けたことを特徴
    とする近接場光プローブ。
  7. 【請求項7】前記基板に開けた孔の直径が、発生する近
    接場光の直径よりも大きく、かつこの近接場光を照射す
    る試料からの反射光の波長よりも小さいことを特徴とす
    る近接場光プローブ。
  8. 【請求項8】請求項1から請求項7記載の近接場光プロ
    ーブを用いたことを特徴とする近接場光学顕微鏡。
  9. 【請求項9】請求項1から請求項7記載の近接場光プロ
    ーブを用いたことを特徴とする光記録再生装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113406361A (zh) * 2021-03-22 2021-09-17 季华实验室 用于近场区光场调控的显微镜针尖及其制备方法

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