JP2002355867A - 射出装置における射出駆動ねじ軸と電動モータの連結構造 - Google Patents

射出装置における射出駆動ねじ軸と電動モータの連結構造

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 射出駆動用ねじ軸側のスプラインと噛合する
モータ軸側のスプラインを、該モータ軸とは別個の軸受
筒の内周面に設けることによって、両軸のスプラインに
よる連結を可能となす。 【解決手段】 電動式射出装置における射出駆動用のね
じ軸１０と、電動モータ８のモータ軸９との連結をスプ
ラインの噛合により行う。ねじ軸１０の軸端部外周面の
スプライン１３と噛合するモータ軸９側のスプライン１
５を、モータ軸端内に形成した凹所１８に嵌合し、外周
囲のフランジ１７をモータ軸端面にボルト止めして、モ
ータ軸９に着脱自在に取付けた軸受筒１６の内周面に形
成する。軸受筒１６のねじ軸側の開口内周面に環状溝１
９を設ける。環状溝１９にねじ軸１０と軸受筒１７の隙
間を気密にシールするリング部材２０を嵌挿する。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】この発明は、射出駆動ねじ軸
と電動モータのモータ軸とをスプラインにより直結した
電動式の射出装置における射出駆動ねじ軸と電動モータ
の連結構造に関するものである。
【０００２】
【発明が解決しようとする課題】射出駆動用のねじ軸と
直線方向にガイドされたスクリュ駆動体側のナット部材
とを螺合し、そのナット部材によりねじ軸に伝達された
電動モータ（サーボモータ）による回転運動を直進運動
に変換し、それによりスクリュ駆動体を加熱筒内のスク
リュと共に前進移動して、溶融した樹脂の射出を行う電
動式の射出装置には、電動モータとねじ軸とをプーリー
及びタイミングベルトを介して間接的に連結する方式以
外に、ねじ軸を電動モータのモータ軸に直結する方式と
がある。
【０００３】この直結方式には、モータ軸端内の凹所に
ねじ軸の後端部を嵌合し、その両方を並行キーにより連
結するか、またはスプラインによる相互の噛合により連
結するかして、回転トルクをねじ軸に伝達する方法があ
る。
【０００４】並行キーによる連結では、ねじ軸の嵌合及
びメンテナンスを容易となすためのクリアランスが必要
とされ、これが電動モータの急激な正逆回転により隙間
の拡大となって、軸部のフレッテングによる焼付きの原
因となり、メンテナンスや点検作業時にモータ軸とねじ
軸を分離できず、その両方を廃棄しなければならないと
いう課題を有する。
【０００５】それに対し、スプラインによる連結では、
上記クリアランスは特に必要とされず、またスプライン
相互の噛合部分の摩耗や焼付きは、潤滑剤の塗布によっ
て防止することがてきるので、並行キーによる場合のよ
うな課題はないが、モータ軸側のスプラインの加工が難
しく、コスト高ともなるので、他の分野で回転軸相互の
連結に好ましいスプラインとして用いられているインボ
リュートスプラインの採用は困難であった。
【０００６】このインボリュートスプラインは、インボ
リュート平歯車の形をした断面形状を有するスプライン
で、その噛合部分では自動的に同芯になろうとする求芯
特性を有し、これにより芯振れによる不具合が防止され
て、正常な噛合状態を長く維持することができるという
もであり、また継手強度、組立・分解、メンテナンス、
点検作業等の点からも好ましいものとされている。
【０００７】この発明の目的は、スプラインによる連結
を採用するものでありながら、モータ軸側のスプライン
を、該モータ軸とは別個の軸受筒の内周面に設けること
によって、電動モータとは関係なくスプライン加工を容
易かつ高精度に行うことができ、これによりインボリュ
ートスプラインの採用も可能となすと共に、摩耗及び焼
付防止として施された潤滑剤の流出や揮発等を、リング
部材により長期にわたり防止することも可能な射出装置
における射出駆動ねじ軸と電動モータの連結構造を提供
することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】上記目的によるこの発明
は、射出駆動用のねじ軸とスクリュ駆動体側のナット部
材との螺合により、電動モータによるねじ軸の回転運動
をスクリュ駆動体の直進運動に変換し、そのスクリュ駆
動体の前進移動により樹脂の射出を行う射出装置におい
て、上記ねじ軸と上記電動モータのモータ軸との連結
を、相互に設けたスプラインの噛合により行うにあた
り、上記ねじ軸の軸端部外周面のスプラインと噛合する
モータ軸側のスプラインを、モータ軸端内に形成した凹
所と嵌合し、かつ外周囲に一体形成したフランジをモー
タ軸端面にボルト止めして、モータ軸に着脱自在に取付
けた軸受筒の内周面に形成してなる、というものであ
る。
【０００９】またこの発明の上記軸受筒は、ねじ軸側の
開口内周面に環状溝を有し、その環状溝に上記ねじ軸の
軸端部と軸受筒の隙間を気密にシールするリング部材を
嵌挿してなるというものである。
【００１０】上記構成では、モータ軸側のスプライン
を、モータ軸に着脱自在に取付けた軸受筒の内周面に形
成したことから、モータ軸端内に形成した凹所の内周面
を直接スプラインに加工する場合よりも加工し易く、熱
処理、表面処理等も容易に行えるので、加工精度が要求
されるインボリュートスプラインを採用し、そのスプラ
インの特性である求芯性により、上記ねじ軸の芯振れを
最小限に抑えて寿命の向上を図ることがてきる。
【００１１】また軸受筒は必要に応じて簡単に交換がで
きるので、長期使用によるスプラインの摩耗、変形によ
るねじ軸及びモータ軸の損傷を防止することができ、電
動モータの寿命も長くなる。
【００１２】さらにまた、軸受筒のねじ軸側の開口内周
面に設けた環状溝のリング部材により、上記ねじ軸と軸
受筒の隙間が気密にシールされることから、摩耗及び焼
付防止として、スプライン部分に塗布した潤滑剤の経時
に伴う基油の流出及び揮発が防止され、これによりスプ
ライン部分の長期にわたる摩耗及び焼付防止が維持され
るようになる。
【００１３】
【発明の実施の形態】図１は電動式の横型射出装置の１
例を示すもので、１は前プレート、２は後プレートで、
その両方は四隅部をタイバー３，３に連結して、機台４
の上面に設置した基盤５の上に固設してある。また前プ
レート１は前部中央に射出用のスクリュー６を回転かつ
進退自在に内装した射出加熱筒７を備え、後プレート２
はサーボモータによる射出駆動用の電動モータ８と、モ
ータ軸９に後端を連結して内側に突出位置させた回転自
在なボールねじ軸１０とを備えている。
【００１４】１１はスクリュー駆動体で、上記タイバー
３，３に四隅部を挿通して前後プレート１，２の間に進
退自在に配設されており、その前面中央に上記スクリュ
ー６の後端６ａが、図では省略したが回転自在に連結し
てある。またスクリュー駆動体１１の後部中央には、上
記後プレート２の中央に挿通して回転自在に軸承した上
記ボールねじ軸１０と螺合したボールナット部材１２が
一体に取付けてある。なお図では省略したが、スクリュ
ー駆動体１１には材料計量用の電動モータとスクリュー
回転機構とが取付けてある。
【００１５】上記構成の射出装置では、上記電動モータ
８が正回転すると、その回転運動が上記モータ軸９に連
結したボールねじ軸１０に伝達され、さらにボールねじ
軸１０の回転が、タイバー３，３により支持されたスク
リュー駆動体１１側のボールナット部材１２により、該
スクリュー駆動体１１を前進移動する直線運動に変換さ
れる。これによりスクリュー駆動体１１は上記スクリュ
ー６と共に前進移動して、上記加熱筒７の前部に計量し
た溶融樹脂を、金型に射出充填する。
【００１６】上記モータ軸９とボールねじ軸１０は、図
２に示すように、スプライン相互の噛合により一体連結
してある。ボールねじ軸側のスプライン１３は、上記後
プレート２のベアリングケース１４に回転自在に軸承さ
れた軸部の外側に突出した軸端部１０ａの外周囲に設け
られ、またモータ軸側のスプライン１５は軸受筒１６の
内周面に形成してある。なお、スプライン１３，１５
は、図ではその詳細を省略するが、インボリュートスプ
ラインからなる。
【００１７】上記軸受筒１６は、上記ボールねじ軸１０
の軸端部と噛合する内径の筒体で、モータ軸端面と同径
のフランジ１７を外周囲に一体に有し、そのフランジ１
７を境に後部の外径をモータ軸端内に形成した凹所１８
と嵌合する大きさに形成し、その後部の内周面に上記ス
プライン１５を、フランジ１７の下側から端縁まで設
け、またねじ軸側の開口内周面に環状溝１９を設けて、
その環状溝１８にシールリング又はＯリング等のリング
部材２０を嵌挿したものからなる。
【００１８】このような軸受筒１６は、上記フランジ１
７がモータ軸端面に当接されるところまで、後部を上記
凹所１５に嵌合したのち、フランジ１７のボルト孔２１
からモータ軸端面に穿設したねじ孔２３に、ボルト２２
をねじ込んでフランジ１７をモータ軸端面に止着するこ
とで、上記モータ軸９に着脱自在に取付けることがで
き、これにより軸受筒１６の内周面に形成したスプライ
ン１５が凹所１８の内部のスプラインとなる。
【００１９】このモータ軸９とボールねじ軸１０との連
結に際しては、摩耗及び焼付防止用の粘稠性を有する潤
滑剤をスプライン部分に充分に塗布し、その後にボール
ねじ軸１０の軸端部１０ａを挿入して相互のスプライン
１３，１５を噛合する。これにより両軸は回転方向に対
して一体化され、モータ軸９の回転が連結部において緩
みなくボールねじ軸１０に伝達されることから、上記電
動モータ８の急激な正逆回転にもスムーズに対応するよ
うになる。
【００２０】また軸端部１０ａと軸受筒１６との嵌合に
より、上記リング部材１９が軸端部１０ａの無スプライ
ン部分に密着して、軸端部１０ａと軸受筒１６との間隙
を気密にシールすることから、連結時に塗布した潤滑剤
が軸受筒１６に内包されて、その基油の流出及揮発によ
る消失が防止されるので、潤滑剤による摩耗及び焼付防
止が長期間にわたり維持されるようになる。
【００２１】上記実施形態は横型射出装置を対象として
いるが、この発明は射出駆動用のねじ軸とモータ軸とを
直結した射出装置である限りにおいて、射出装置の型式
にとらわれず適用可能であることは云うまでもなく、ま
たナット部材側が固定でねじ軸側が移動する射出駆動方
式にも採用できるので、直結式の射出装置に広く応用で
きる有益な発明である。
【図面の簡単な説明】
【図１】 この発明の射出駆動ねじ軸と電動モータの連
結構造が適用可能な電動式の射出装置の説明図である。
【図２】 この発明に係わる連結構造を示す要部縦断部
分図である。
【図３】 同じく連結構造の分解説明図である。
【符号の説明】
８ 電動モータ ９ モータ軸 １０ ボールねじ軸 １０ａ 軸端部 １１ スクリュー駆動体 １２ ボールナット部材 １３ ボールねじ軸側のスプライン １５ モータ軸側のスプライン １６ 軸受筒 １７ フランジ １８ モータ軸端部の凹所 １９ 環状溝 ２０ リング部材 ２１ ボルト孔 ２２ ボルト ２３ ねじ孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大久保 浩男 長野県埴科郡坂城町大字南条2110番地 日 精樹脂工業株式会社内 Ｆターム(参考） 4F206 AM03 JA07 JD03 JL02 JQ90 JT02 JT32 JT38

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 射出駆動用のねじ軸とスクリュ駆動体側
    のナット部材との螺合により、電動モータによるねじ軸
    の回転運動をスクリュ駆動体の直進運動に変換し、その
    スクリュ駆動体の前進移動により樹脂の射出を行う射出
    装置において、上記ねじ軸と上記電動モータのモータ軸
    との連結を、相互に設けたスプラインの噛合により行う
    にあたり、 上記ねじ軸の軸端部外周面のスプラインと噛合するモー
    タ軸側のスプラインを、モータ軸端内に形成した凹所と
    嵌合し、かつ外周囲に一体形成したフランジをモータ軸
    端面にボルト止めして、モータ軸に着脱自在に取付けた
    軸受筒の内周面に設けてなることを特徴とする射出装置
    における射出駆動ねじ軸と電動モータの連結構造。
  2. 【請求項２】 上記軸受筒は、ねじ軸側の開口内周面に
    環状溝を有し、その環状溝に上記ねじ軸と軸受筒の隙間
    を気密にシールするリング部材を嵌挿してなることを特
    徴とする請求項１記載の射出装置における射出駆動ねじ
    軸と電動モータの連結構造。
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