JP2002349011A - 鉄筋コンクリート製耐震柱状部材 - Google Patents

鉄筋コンクリート製耐震柱状部材

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 柱状部材の大変形時に弾性的に対応可能に強
化し、塑性変形域における靭性の強化および残留変位の
低減を目的とする。 【解決手段】 コンクリート躯体1aの長手方向に延び
て埋設された構造用主鉄筋1bよりも高強度を有し主鉄
筋1bの内側にほぼ平行に延びて埋設された4本の芯材
2とを備える鉄筋コンクリート製橋脚1において、芯材
2が鞘管3により周囲のコンクリート躯体1aと隔てら
れて配設され、芯材2の下端部2bがコンクリート躯体
1aに埋設の可動定着部材ユニット5のケーシング10
内において、ゴム部材7を介してかつ芯材端部を当接し
て配置され、橋脚1の大変形時にゴム部材7の圧縮代が
なくなると、引張り外力に対する芯材2の弾性的抵抗が
付加されるよう構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐震性に優れたR
C(鉄筋コンクリート)製柱状部材の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】高い耐震性を持つ柱状部材としては、従
来、例えばPC(プレストレストコンクリート)製の柱
状部材が知られており、これはプレストレス(予加応
力)を与えて柱状物の実質的な耐力および剛性を上げて
おくことで、残留変位を小さくしようとするものであ
る。しかし、PC製の柱状部材は、プレストレスにより
コンクリートに常時、外力を打ち消す方向の応力が負荷
されているため、コンクリートの圧壊によって定義され
る耐力相当の変形が、通常のRC製の柱状部材よりも小
さくなり、変形性能が減少するという欠点を有する。
【0003】一方、従来、各種強度の鉄筋を混用したR
C製の柱状部材も知られており、これは異なった降伏強
度を有する鉄筋を導入し、それらの鉄筋が順次降伏する
ことにより荷重−変形関係に二次剛性を付与することを
目的としている。ただし、大変形時には、全ての鉄筋が
降伏するため、弾性的な復元力を確保することができ
ず、残留変形の低減も困難である。
【0004】一般の耐震設計では、比較的頻度の高いレ
ベルIの地震動に対しては強度設計を行い、頻度は低い
が強烈なレベルIIの地震動に対しては部材の塑性領域
を含め変形性能を評価する保有水平耐力照査を行う、二
段階設計を行っているが、例えば橋脚については、大地
震後も比較的早期に修復可能なものとするために、残留
変形が橋脚高さの1/100であることをも同時に要求
している。
【0005】すなわち、耐震性に富む橋脚とは、レベル
Iの地震動に対しては高い耐力を備え、レベルIIの地
震動に対しては大きな靭性と小さな残留変形という性能
を兼ね備えた橋脚といえるが、特にレベルIIの地震動
における大きな靭性と小さな残留変形との要求項目は相
反する要求であり、従来のRC橋脚では実現することが
極めて困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、柱
状部材の大変形時に弾性的に対応可能に強化し、塑性変
形域における靭性の強化および残留変位の低減を目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は次のように構成する。
【0008】請求項1に記載の発明は、立設されたコン
クリート躯体と、前記コンクリート躯体の長手方向に延
びて埋設された構造用主鉄筋と、前記構造用主鉄筋より
も高強度を有し主鉄筋の内側にほぼ平行に延びて埋設さ
れた芯材とを備える鉄筋コンクリート製柱状部材におい
て、前記芯材を鞘管等のアンボンド層により周囲のコン
クリート躯体と隔てて配設すると共に、当該芯材の上下
両端部または下端部をコンクリート躯体に当接し、この
芯材の当接端部と前記アンボンド層端部に配設の定着部
材との間を可縮性部材配設区間とし、当該区間に配設し
た可縮性部材の圧縮により芯材一端部側へコンクリート
躯体が相対変位可能とし、柱状部材の大変形時における
可縮性部材の圧縮代解消により、芯材の弾性的作用が前
記定着部材を介してコンクリート躯体に伝達されて外力
に抵抗することを特徴とする。
【0009】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、前記可縮性部材がゴムまたはコイルば
ねまたは皿ばね等からなることを特徴とする。
【0010】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載の発明において、前記可縮性部材の圧縮代が前
記コンクリート躯体および主鉄筋の降伏点変位を考慮し
て設定されることを特徴とする。
【0011】請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の
何れかに記載の発明において、前記芯材の上下両端部ま
たは下端部を、コンクリート躯体に埋設の可動定着部材
ユニットに定着し、この可動定着部材ユニットは、所定
の間隔を離して配設した上下の定着板と、両板の間に挟
まれて固着されたケーシングと、定着板の開口を通して
ケーシング内に進入し、端部が定着板に当接し、この端
部に押圧プレートを固着した芯材端部と、押圧プレート
と定着板との間の可縮性部材配設区間Sに配設した可縮
性部材とから構成されていることを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明によると、柱状部材が引張外力を受けた
場合、まずコンクリートおよび主鉄筋が外力を負担し変
位する。これと同時に芯材下端部の可縮性部材が圧縮さ
れる。芯材は可縮性部材が圧縮されつつある間は引張力
を負担しないが、例えば、主鉄筋の引張降伏点変位を越
える塑性変位区間に入ると、可縮性部材の圧縮代はなく
なり、高強度の芯材が定着部材を介してコンクリート躯
体に負担メンバーとして加わる。こうして、柱状部材の
塑性域において芯材の作用が付加され、芯材が弾性的に
抵抗するため、柱状部材の靭性は増大し、弾性的な復元
力の付与により残留変位が小さくなる。反対に、柱状部
材が圧縮外力を受けた場合は、芯材の下端がコンクリー
ト躯体と当接していることで、当該芯材が抵抗し、本来
圧縮に強いコンクリートの圧縮強度が芯材によって一層
補強される。
【0013】また、芯材の上下両端部に可縮性部材を配
置した場合には、柱状部材が引張力、圧縮力のいずれの
外力を受けた場合にも、外力に対する芯材の同様の作用
が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】〔第1実施形態〕本発明の第1実
施形態について図1〜図11を参照して説明する。
【0015】図1は本実施形態の鉄筋コンクリート(R
C)製橋脚の構造を模式的に示す構造図である。図2、
図3と図4はそれぞれ図1のA−A断面図、B−B断面
図、C−C断面図である。図5〜図8は要部の構造につい
ての説明図である。また、図9〜図11は負荷時の特性
を示す説明図である。
【0016】図1〜図4に示すように、柱状部材の一例
として示す、鉄筋コンクリート(RC)製橋脚1は、従
来の通常のRC製橋脚と同様に、コンクリート躯体1a
と、そのコンクリート躯体1aの表面付近にその長手方
向に延びて埋設された構造用主鉄筋1bと、長手方向に
直交して主鉄筋1bを囲むように埋設された横拘束鉄筋
1cを主要素として構成され、これに加えて鞘管3と共
に、主鉄筋1bの内側に基礎部分1dから橋脚1の中間
部分まで延びて配置された複数(ここでは4本)の高強
度の芯材2が付加されて構成されている。
【0017】芯材2は、例えば高弾性鋼棒で構成される
と共に、図1に示すように、前記の鞘管3はアンボンド
層を形成する部材の一例として示され、芯材2の外部に
その略全長に亘って嵌合され、この鞘管3を介して、芯
材2が周囲のコンクリート躯体1aから隔てられて配置
されることで、アンボンド区間Dが設けられている。芯
材2と鞘管3との隙間は芯材2の座屈防止のために小さ
く抑えられている。
【0018】芯材2の上端部2aは、橋脚1の中間部分
の内部において、通常の構造の定着部4により、コンク
リート躯体1aに定着されているが、芯材2の下端部2
bは、コンクリート躯体1aに埋設された可動定着部材
ユニット5により、後述の可縮性部材7の圧縮を介し
て、当該芯材2を伸長する方向の外力を負担するように
構成されている。
【0019】可動定着部材ユニット5は、詳細を図5に
示すように、所定の間隔を離して平行配設した上下の定
着板6a、6bと、両定着板6a、6bの間に挟まれ両
端が閉塞されるようにして両板に固着された筒状のケー
シング10と、上部定着板6aの開口11を通してケー
シング10内に進入した芯材2の下端部2bと、この下
端部2bに螺着したナット2eからなる押圧プレート2
cと、ケーシング10内において、押圧プレート2cと
上部定着板6aの間の可縮性部材配設区間Sに配設した
可縮性部材の一例として示す、コの字状縦断面を有する
ゴム部材7から構成されている。
【0020】前述の構成において、橋脚1が引張り外力
を受けた場合に、図5(a)、(b)に示すように、芯
材2はゴム部材7の圧縮により上方への変位が許容され
ている。ゴム部材7の圧縮代S1の設定は、例えば橋脚
1が引張り外力を受けて主鉄筋1bが降伏し、塑性域に
入るときの変位量よりも若干小さい値に圧縮代S1を設
定するなど調整可能に設定する方法がとられる。これに
より、主鉄筋1bが塑性変形域(橋脚1が大変形領域)
に入っても、芯材2が引張り外力に対して弾性的に挙動
する開始時期を調整することが可能となる。
【0021】この弾性挙動を示すようにするため、芯材
2には主鉄筋1bよりも高強度の材料、例えば既述の高
弾性鋼棒や、高強度鉄筋、アラミド繊維等の新素材が用
いられている。また、芯材2の全長の設定は、橋脚1の
大変形領域において、例えば芯材2が降伏せずに弾性的
伸び量にて振舞うことができるように設定する。
【0022】このように、橋脚1の耐震機能が効果的に
発揮されるためには、高強度の芯材2が橋脚1の大変形
時においても弾性挙動しなければならない。そのため前
記のように、芯材2には構造用主鉄筋1bよりも高強度
のものを用い、かつこの芯材2は構造用主鉄筋1bより
も変位の少ない内部に配置し、芯材2とコンクリート躯
体1aとが付着しないアンボンド区間Dを設けることに
より、図9(b)に示すように、芯材2の変位(歪み)
はその全長に亘って均一化される。図9(a)は、比較
のために芯材2が配設されていない通常のRC製橋脚の
場合を示す。
【0023】なお、可動定着部材ユニット5の可縮性部
材配設区間Sに配設する可縮性部材としては、前述のゴ
ム部材7に代えて、図6、図8にそれぞれ示すコイルば
ね8、皿ばね9を配設させる構成をとっても勿論よい。
図6、図8(a)は、ばね8,9の取り付け状態を示
し、図6、図8(b)は圧縮された状態を示す。
【0024】このような構成により、図10(a)に示
すような通常のRC製橋脚の変位−復元力関係に、同図
(b)に示すような芯材2の弾性的な変位−復元力関係
を付加することができるので、同図(c)に示すよう
に、RC製橋脚1の変位−復元力関係の塑性域において
芯材2の復元力(二次剛性)を付与することができ、こ
れにより、RC製橋脚1の塑性域における靭性の増大と
残留変形の低減が得られる。
【0025】図11(a)〜(c)は、残留変位の低減
の原理を示す。すなわち、通常の鉄筋コンクリート構造
を持つRC製橋脚のみでは、図10(a)に示すように
塑性域における剛性が極めて低いことから、図11
(a)に示すように大地震後の残留変位が大きなものと
なる。しかし、図10(b)および図11(b)に示す
ような高強度の芯材2をアンボンド区間Dおよびゴム部
材7の圧縮代(不感帯)S 1を設けて付加することで、
図11(c)に示すように、変位がゴム部材7の圧縮
代S1より小のときはRC製橋脚のみの場合と同じ履歴
を呈し、変位が大きくて圧縮代S1がなくなると芯材2
の弾性的な復元力が付与されて、RC製橋脚のみの場合
よりも残留変位が小さくなる。
【0026】[第2実施形態]本発明の第2実施形態に
ついて図11、図12を参照して説明する。図12は本
実施形態の鉄筋コンクリート(RC)製橋脚1e(柱状
部材)の構造を模式的に示す構造図である。
【0027】本実施形態は、芯材2の上下両端部2a,
2bにゴム部材7等の可縮性部材を設けている点が、前
記第1実施形態(下端部2bのみ)と相違する。その構
成は同じであるので、同一要素に同一符号を付して重複
説明を省略する。
【0028】図12に示すように、芯材2の上下両端部
2a,2bは共にゴム部材7を介して、可動定着部材ユ
ニット5の一方の定着板6aに設置されている。したが
って、芯材2はゴム部材7の圧縮により上方への変位と
共に、下方への変位が許容され、橋脚の引張、圧縮いず
れの大変形領域においても、芯材2が弾性的に挙動でき
るように調整可能となる。
【0029】また、逆に芯材2の上下両端部部2a,2
bにおける定着部5のゴム部材7を廃止した場合には、
図11(d)に示すように橋脚に作用する外力に対して
直ちに芯材2が抵抗し、図11(e)に示すように残留
変位は小さくなるが、同変位時におけるエネルギー吸収
量はRC製橋脚のみの場合と同じとなる。
【0030】なお、前記の各実施形態ではRC製橋脚1
について説明したが、本発明はRC製橋脚1に限定され
るものではなく、その他各種のRC製柱状部材に適用で
きることは勿論である。
【0031】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、柱状部材の大変形時で主鉄筋が降伏して塑性
域に入ると、高強度の芯材が外力に対して弾性的に抵抗
するため、柱状部材の靭性は増大し、弾性的な復元力の
付与により残留変位が小さくなって、靭性は大、残留変
位は小という相反する要求に対応することが可能とな
り、さらに、柱状部材が圧縮外力を受けた場合は、芯材
の下端がコンクリート躯体と当接していることで、当該
芯材が抵抗し、本来圧縮に強いコンクリートの圧縮強度
が芯材によって一層補強される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の鉄筋コンクリート(R
C)製橋脚の構造を模式的に示す構造図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】図1のC−C断面図である。
【図5】(a)、(b)は、第1実施形態の要部の構造
を示す断面説明図である。
【図6】(a)、(b)は、第1実施形態の要部の構造
変更例を示す説明図である。
【図7】(a)は、図5(a)のE−E線の断面図、
(b)は、図6(a)のF−F線の断面図である。
【図8】第1実施形態の要部の構造変更における他の例
を示す説明図である。
【図9】第1実施形態における芯材の歪みを通常の構造
の場合と比較して示す説明図である。
【図10】第1実施形態の静的特性を示す説明図であ
る。
【図11】第1実施形態の残留変位を示す説明図であ
る。
【図12】本発明の第2実施形態の鉄筋コンクリート
(RC)製橋脚の構造を模式的に示す構造図である。
【符号の説明】
1,1e 鉄筋コンクリート(RC)製橋脚(柱状部
材) 1a コンクリート躯体 1b 構造用主鉄筋 1c 横拘束鉄筋 1d 基礎部分 2 芯材 2a 上端部 2b 下端部 2c 押圧プレート 3 鞘管 4 定着部 5 可動定着部材ユニット 6a,6b 定着板 7 ゴム部材(可縮性部材) 8 コイルばね(可縮性部材) 9 皿ばね(可縮性部材) 10 ケーシング 11 開口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // E01D 21/00 E01D 21/04 (72)発明者 高橋 良和 京都市左京区吉田本町 京都大学大学院工 学研究科内 Fターム(参考) 2D059 AA03 GG01 GG05 2E163 FA02 FD41 FD44 FD46 FD48 FD50 2E164 AA02 AA05 BA12 CA01 CA12

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 立設されたコンクリート躯体と、前記コ
    ンクリート躯体の長手方向に延びて埋設された構造用主
    鉄筋と、前記構造用主鉄筋よりも高強度を有し主鉄筋の
    内側にほぼ平行に延びて埋設された芯材とを備える鉄筋
    コンクリート製柱状部材において、 前記芯材を鞘管等のアンボンド層により周囲のコンクリ
    ート躯体と隔てて配設すると共に、当該芯材の上下両端
    部または下端部をコンクリート躯体に当接し、この芯材
    の当接端部と前記アンボンド層端部に配設の定着部材と
    の間を可縮性部材配設区間とし、当該区間に配設した可
    縮性部材の圧縮により芯材一端部側へコンクリート躯体
    が相対変位可能とし、柱状部材の大変形時における可縮
    性部材の圧縮代解消により、芯材の弾性的作用が前記定
    着部材を介してコンクリート躯体に伝達されて外力に抵
    抗することを特徴とする鉄筋コンクリート製耐震柱状部
    材。
  2. 【請求項2】 前記可縮性部材がゴムまたはコイルばね
    または皿ばね等からなることを特徴とする請求項1に記
    載の鉄筋コンクリート製耐震柱状部材。
  3. 【請求項3】 前記可縮性部材の圧縮代が前記コンクリ
    ート躯体および主鉄筋の降伏点変位を考慮して設定され
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の鉄筋コン
    クリート製耐震柱状部材。
  4. 【請求項4】 前記芯材の上下両端部または下端部を、
    コンクリート躯体に埋設の可動定着部材ユニットに定着
    し、この可動定着部材ユニットは、所定の間隔を離して
    配設した上下の定着板と、両板の間に挟まれて固着され
    たケーシングと、定着板の開口を通してケーシング内に
    進入し、端部が定着板に当接し、この端部に押圧プレー
    トを固着した芯材端部と、押圧プレートと定着板との間
    の可縮性部材配設区間Sに配設した可縮性部材とから構
    成されている請求項1〜3の何れかに記載の鉄筋コンク
    リート製耐震柱状部材。
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