JP2002348635A - アルミニウム含有耐摩耗鋳鉄 - Google Patents
アルミニウム含有耐摩耗鋳鉄Info
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- JP2002348635A JP2002348635A JP2001149882A JP2001149882A JP2002348635A JP 2002348635 A JP2002348635 A JP 2002348635A JP 2001149882 A JP2001149882 A JP 2001149882A JP 2001149882 A JP2001149882 A JP 2001149882A JP 2002348635 A JP2002348635 A JP 2002348635A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 耐摩耗性に優れ、安価であり、しかも人体へ
の害がほとんどないと考えられるアルミニウム含有耐摩
耗鋳鉄を提供する。 【解決手段】 普通鋳鉄にアルミニウムが8〜20重量%含
有される。
の害がほとんどないと考えられるアルミニウム含有耐摩
耗鋳鉄を提供する。 【解決手段】 普通鋳鉄にアルミニウムが8〜20重量%含
有される。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、アルミニ
ウム含有耐摩耗鋳鉄に関するものである。さらに詳しく
は、この出願の発明は、耐摩耗性に優れ、安価であり、
しかも人体への害がほとんどないと考えられるアルミニ
ウム含有耐摩耗鋳鉄に関するものである。
ウム含有耐摩耗鋳鉄に関するものである。さらに詳しく
は、この出願の発明は、耐摩耗性に優れ、安価であり、
しかも人体への害がほとんどないと考えられるアルミニ
ウム含有耐摩耗鋳鉄に関するものである。
【０００２】
【従来の技術とその課題】産業用の耐摩耗鋳鉄には、高
クロム鋳鉄が一般に使用されている。高クロム鋳鉄は、
一般に、炭素2.5〜4.2重量%、シリコン1.0〜2.5重量%、
クロム0.5〜10重量%を含有するものであり、クロムの含
有により硬度が増大し、優れた耐摩耗性を発揮する。
クロム鋳鉄が一般に使用されている。高クロム鋳鉄は、
一般に、炭素2.5〜4.2重量%、シリコン1.0〜2.5重量%、
クロム0.5〜10重量%を含有するものであり、クロムの含
有により硬度が増大し、優れた耐摩耗性を発揮する。
【０００３】しかしながら、クロムは高価な原料であ
り、安価な代替物質により高クロム鋳鉄程度の耐摩耗性
が得られれば、価格の引き下げが可能となる。また、ク
ロムは6価のとき人体に有害となるため、欧米では近年
使用の自粛が求められている。
り、安価な代替物質により高クロム鋳鉄程度の耐摩耗性
が得られれば、価格の引き下げが可能となる。また、ク
ロムは6価のとき人体に有害となるため、欧米では近年
使用の自粛が求められている。
【０００４】この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑
みてなされたものであり、高クロム鋳鉄に代わる、耐摩
耗性に優れ、安価であり、しかも人体への害がほとんど
ないと考えられるアルミニウム含有耐摩耗鋳鉄を提供す
ることを課題としている。
みてなされたものであり、高クロム鋳鉄に代わる、耐摩
耗性に優れ、安価であり、しかも人体への害がほとんど
ないと考えられるアルミニウム含有耐摩耗鋳鉄を提供す
ることを課題としている。
【０００５】
【課題を解決するための手段】この出願の発明の発明者
らは、前述の課題を解決するために鋭意検討した結果、
鉄系合金の中でも鋳造性に優れた普通鋳鉄にある特定量
の範囲でアルミニウムを含有させることにより、クロム
を使用せずとも耐摩耗性が向上することを突き止め、こ
の出願の発明を完成した。
らは、前述の課題を解決するために鋭意検討した結果、
鉄系合金の中でも鋳造性に優れた普通鋳鉄にある特定量
の範囲でアルミニウムを含有させることにより、クロム
を使用せずとも耐摩耗性が向上することを突き止め、こ
の出願の発明を完成した。
【０００６】すなわち、この出願の発明は、普通鋳鉄に
アルミニウムが8〜20重量%含有されていることを特徴と
するアルミニウム含有耐摩耗鋳鉄（請求項１）を提供す
る。また、この出願の発明は、アルミニウムが10〜16重
量％含有されていること（請求項２）を一態様として提
供する。
アルミニウムが8〜20重量%含有されていることを特徴と
するアルミニウム含有耐摩耗鋳鉄（請求項１）を提供す
る。また、この出願の発明は、アルミニウムが10〜16重
量％含有されていること（請求項２）を一態様として提
供する。
【０００７】以下、実施例を示しつつ、この出願の発明
のアルミニウム含有耐摩耗鋳鉄についてさらに詳しく説
明する。
のアルミニウム含有耐摩耗鋳鉄についてさらに詳しく説
明する。
【０００８】
【発明の実施の形態】この出願の発明のアルミニウム含
有耐摩耗鋳鉄は、前述の通り、普通鋳鉄にアルミニウム
が8〜20重量%含有されたものである。
有耐摩耗鋳鉄は、前述の通り、普通鋳鉄にアルミニウム
が8〜20重量%含有されたものである。
【０００９】普通鋳鉄は、鉄、炭素、シリコンなどを主
な構成元素とし、一般に、炭素を2.0〜4.5重量%、シリ
コンを1.0〜3.0重量%を含有する、鋳造性に優れた鉄系
合金である。
な構成元素とし、一般に、炭素を2.0〜4.5重量%、シリ
コンを1.0〜3.0重量%を含有する、鋳造性に優れた鉄系
合金である。
【００１０】この出願の発明のアルミニウム含有耐摩耗
鋳鉄では、その普通鋳鉄にアルミニウムを8〜20重量%含
有させることにより、硬度の高い、鉄とアルミニウムの
炭化物を晶出させ、耐摩耗性を向上させている。この鉄
とアルミニウムの炭化物の組成は、現状では正確に同定
されてはいないが、Fe3AlC0.5、Fe3AlC0.69（重量比）
とほぼ考えられている。一方、硬度は、ビッカース硬さ
で650が確認されている。耐摩耗性は、後述する実施例
に示すように、アルミニウムの含有量が10〜16重量%の
ときに特に向上する。アルミニウムの含有量が8重量%未
満及び20重量%を超えると、鉄とアルミニウムの炭化物
が晶出せず、したがって、耐摩耗性の向上は望めなくな
る。
鋳鉄では、その普通鋳鉄にアルミニウムを8〜20重量%含
有させることにより、硬度の高い、鉄とアルミニウムの
炭化物を晶出させ、耐摩耗性を向上させている。この鉄
とアルミニウムの炭化物の組成は、現状では正確に同定
されてはいないが、Fe3AlC0.5、Fe3AlC0.69（重量比）
とほぼ考えられている。一方、硬度は、ビッカース硬さ
で650が確認されている。耐摩耗性は、後述する実施例
に示すように、アルミニウムの含有量が10〜16重量%の
ときに特に向上する。アルミニウムの含有量が8重量%未
満及び20重量%を超えると、鉄とアルミニウムの炭化物
が晶出せず、したがって、耐摩耗性の向上は望めなくな
る。
【００１１】アルミニウムは、クロムに比較して資源が
豊富であり、価格の引き下げに有効であり、また、採掘
・精錬などの環境負荷の低減に寄与することができ、人
体への害もほとんどないと考えられる。したがって、こ
の出願の発明のアルミニウム含有耐摩耗鋳鉄は、前述の
課題を解決することができるのである。
豊富であり、価格の引き下げに有効であり、また、採掘
・精錬などの環境負荷の低減に寄与することができ、人
体への害もほとんどないと考えられる。したがって、こ
の出願の発明のアルミニウム含有耐摩耗鋳鉄は、前述の
課題を解決することができるのである。
【００１２】普通鋳鉄に含有させるアルミニウムの原料
には、たとえば、アルミニウムインゴットの他、アルミ
ニウムスクラップやスチール缶なども利用可能である。
このように、この出願の発明のアルミニウム含有耐摩耗
鋳鉄は、廃物のリサイクル利用という、それ自体の特性
とは全く別の観点からも、その有効性が指摘される。た
とえばスチール缶は、胴部が高品位スチール、蓋部がア
ルミニウム合金の異種材から形成されている。しがっ
て、この出願の発明のアルミニウム含有耐摩耗鋳鉄を作
製する際には、胴部と蓋部に分離することなく、アルミ
ニウムの含有量が前記所定範囲となる限りにおいて、ス
チール缶をそのままの状態で使用可能であると考えられ
る。
には、たとえば、アルミニウムインゴットの他、アルミ
ニウムスクラップやスチール缶なども利用可能である。
このように、この出願の発明のアルミニウム含有耐摩耗
鋳鉄は、廃物のリサイクル利用という、それ自体の特性
とは全く別の観点からも、その有効性が指摘される。た
とえばスチール缶は、胴部が高品位スチール、蓋部がア
ルミニウム合金の異種材から形成されている。しがっ
て、この出願の発明のアルミニウム含有耐摩耗鋳鉄を作
製する際には、胴部と蓋部に分離することなく、アルミ
ニウムの含有量が前記所定範囲となる限りにおいて、ス
チール缶をそのままの状態で使用可能であると考えられ
る。
【００１３】そして、この出願の発明のアルミニウム含
有耐摩耗鋳鉄は、その耐摩耗性により、たとえば、ブレ
ーキなどの摺動材、粉粒体取り扱い機械、建設機械など
の耐摩耗性が要求される各種機械の部材に幅広く適用す
ることが可能であると考えられる。
有耐摩耗鋳鉄は、その耐摩耗性により、たとえば、ブレ
ーキなどの摺動材、粉粒体取り扱い機械、建設機械など
の耐摩耗性が要求される各種機械の部材に幅広く適用す
ることが可能であると考えられる。
【００１４】以下、実施例を示し、この出願の発明のア
ルミニウム含有耐摩耗鋳鉄についてさらに詳しく説明す
る。
ルミニウム含有耐摩耗鋳鉄についてさらに詳しく説明す
る。
【００１５】
【実施例】電解鉄と電極黒鉛とを黒鉛るつぼに入れ、こ
れを高周波誘導炉内に配置し、電解鉄及び電解黒鉛がす
べて溶解したところで、黒鉛るつぼにFe-Si合金（Fe：2
5重量%、Si：75重量%）を投入し、さらに純アルミニウ
ムを黒鉛るつぼに投入し、1450℃に昇温して溶解させた
後、生砂型に鋳込んだ。このときの鋳物の形状は、サイ
ズが150mm×45mm×20mm程度の板状とし、この鋳物から
直径5mm、長さ20mmのピン型試料を切り出した。
れを高周波誘導炉内に配置し、電解鉄及び電解黒鉛がす
べて溶解したところで、黒鉛るつぼにFe-Si合金（Fe：2
5重量%、Si：75重量%）を投入し、さらに純アルミニウ
ムを黒鉛るつぼに投入し、1450℃に昇温して溶解させた
後、生砂型に鋳込んだ。このときの鋳物の形状は、サイ
ズが150mm×45mm×20mm程度の板状とし、この鋳物から
直径5mm、長さ20mmのピン型試料を切り出した。
【００１６】なお、作製した鋳物におけるアルミニウム
含有量は、0〜20重量%の間で変化させ、また、炭素及び
シリコンの含有率は、それぞれ3.2重量%、2.0重量%とし
た。前記ピン型試料について、ピンオンディスク(Pin-O
n-Disc)試験を行い、耐摩耗性を評価した。耐摩耗試験
装置において、S55Cの焼き入れ焼き戻し材からなる回転
円板にピン型試料を荷重20kg/cm2で押し付け、摩耗状態
を発生させ、ピン型試料の摩耗量を測定した。
含有量は、0〜20重量%の間で変化させ、また、炭素及び
シリコンの含有率は、それぞれ3.2重量%、2.0重量%とし
た。前記ピン型試料について、ピンオンディスク(Pin-O
n-Disc)試験を行い、耐摩耗性を評価した。耐摩耗試験
装置において、S55Cの焼き入れ焼き戻し材からなる回転
円板にピン型試料を荷重20kg/cm2で押し付け、摩耗状態
を発生させ、ピン型試料の摩耗量を測定した。
【００１７】図１は、ピン型試料の摩耗量と回転円板上
を滑る距離（摩擦距離）との関係を示したグラフであ
る。この図１図中に記載された0%Alは、アルミニウムを
含有しない普通鋳鉄、すなわち、普通鋳鉄そのものであ
るが、その耐摩耗性との比較から明らかなように、アル
ミニウムの含有量の増加にともない耐摩耗性が向上する
ことが、図１から確認される。
を滑る距離（摩擦距離）との関係を示したグラフであ
る。この図１図中に記載された0%Alは、アルミニウムを
含有しない普通鋳鉄、すなわち、普通鋳鉄そのものであ
るが、その耐摩耗性との比較から明らかなように、アル
ミニウムの含有量の増加にともない耐摩耗性が向上する
ことが、図１から確認される。
【００１８】また、試験結果から、耐摩耗性の向上は、
アルミニウムの含有量が10〜16重量%のときに特に優れ
ることも確認された。図２は、実施例において作製した
アルミニウム含有鋳鉄の典型的な組織を示した図面に代
わる写真である。
アルミニウムの含有量が10〜16重量%のときに特に優れ
ることも確認された。図２は、実施例において作製した
アルミニウム含有鋳鉄の典型的な組織を示した図面に代
わる写真である。
【００１９】この組織写真は、3.2重量%C-2.0重量%Si-1
2重量%Al鋳鉄の断面を写したものである。写真に現れる
灰色の組織が、鉄とアルミニウムの炭化物であり、その
硬度はきわめて高い。この鉄とアルミニウムの炭化物の
形成が、耐摩耗性の向上に寄与しているものと考えられ
る。
2重量%Al鋳鉄の断面を写したものである。写真に現れる
灰色の組織が、鉄とアルミニウムの炭化物であり、その
硬度はきわめて高い。この鉄とアルミニウムの炭化物の
形成が、耐摩耗性の向上に寄与しているものと考えられ
る。
【００２０】もちろん、この出願の発明は、以上の実施
形態及び実施例によって限定されるものではない。アル
ミニウム含有耐摩耗鋳鉄の原料、作製条件などの細部に
ついては様々な態様が可能であることは言うまでもな
い。
形態及び実施例によって限定されるものではない。アル
ミニウム含有耐摩耗鋳鉄の原料、作製条件などの細部に
ついては様々な態様が可能であることは言うまでもな
い。
【００２１】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この出願の発
明によって、耐摩耗性に優れ、安価であり、しかも人体
への害がほとんどないと考えられるアルミニウム含有耐
摩耗鋳鉄が提供される。
明によって、耐摩耗性に優れ、安価であり、しかも人体
への害がほとんどないと考えられるアルミニウム含有耐
摩耗鋳鉄が提供される。
【図１】実施例における耐摩耗性試験の、ピン型試料の
摩耗量と回転円板上を滑る距離（摩擦距離）との関係を
示したグラフである。
摩耗量と回転円板上を滑る距離（摩擦距離）との関係を
示したグラフである。
【図２】実施例において作製した3.2重量%C-2.0重量%Si
-12重量%Al鋳鉄の断面を写した図面に代わる組織写真で
ある。
-12重量%Al鋳鉄の断面を写した図面に代わる組織写真で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 幸明 茨城県つくば市千現１丁目２番１号 独立 行政法人物質・材料研究機構内
Claims (2)
- 【請求項１】 普通鋳鉄にアルミニウムが8〜20重量%含
有されていることを特徴とするアルミニウム含有耐摩耗
鋳鉄。 - 【請求項２】 アルミニウムが10〜16重量％含有されて
いる請求項１記載のアルミニウム含有耐摩耗鋳鉄。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001149882A JP3760223B2 (ja) | 2001-05-18 | 2001-05-18 | アルミニウム含有耐摩耗鋳鉄 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001149882A JP3760223B2 (ja) | 2001-05-18 | 2001-05-18 | アルミニウム含有耐摩耗鋳鉄 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2002348635A true JP2002348635A (ja) | 2002-12-04 |
| JP3760223B2 JP3760223B2 (ja) | 2006-03-29 |
Family
ID=18994999
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2001149882A Expired - Lifetime JP3760223B2 (ja) | 2001-05-18 | 2001-05-18 | アルミニウム含有耐摩耗鋳鉄 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3760223B2 (ja) |
-
2001
- 2001-05-18 JP JP2001149882A patent/JP3760223B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP3760223B2 (ja) | 2006-03-29 |
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|---|---|---|---|
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050531 |
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| A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050801 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050906 |
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