JP2002332820A - 排気ガス処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的簡便な構造で排気ガス中に含まれる黒
鉛などを泡を利用して吸着除去して排気ガスのクリーン
化を図ることにある。 【解決手段】 排気ガス処理装置１の本体２を気密構造
にすると共に、本体２の内部を内部隔壁４によって前後
の吸込ファン室５と泡発生室６とに仕切り、内燃機関の
排気管に接続され吸込ファン室５に連通する排気口３を
設け、吸込ファン室５内に吸込駆動ファン７を配置し、
泡発生室６内に吸込駆動ファン７の駆動に連動して回転
する回転筒体８を配置し、回転筒体８の側周面を通気性
に形成し、回転筒体８の側周面の表面に通気性の濾過材
９を被覆し、濾過材９の外周側と連通する内部隔壁４に
通気孔４ａを形成し、回転筒体８の内側と連通する排出
口１０を設け、泡発生室６の下部にタンク１１を設け、
泡発生室６の下部に回転する濾過材９の最下位側と一部
接触するように泡発生用水溶液ｃを配した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、内燃機関の排気
管から排出される排気ガスを処理する技術に係り、特
に、排気ガス中に含まれる黒鉛などを泡を利用して吸着
除去する排気ガス処理装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えば自動車、船、バイクなどに
おいては、内燃機関を駆動源としている。内燃機関では
燃料と空気の混合体を内部で瞬間的に燃焼爆発させてそ
のエネルギーを利用している。内燃機関では燃焼後に排
気ガスが生じ、この排気ガスは排気管を通じて大気中に
放出されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
内燃機関においては、完全燃焼が困難で大気中に放出さ
れる排気ガス中には黒鉛などの有害成分が多量に含まれ
ており、これが環境汚染の一因にもなっている。

【０００４】この発明は、上記のような課題に鑑み、そ
の課題を解決すべく創案されたものであって、その目的
とするところは、比較的簡便な構造で排気ガス中に含ま
れる黒鉛などを泡を利用して吸着除去して排気ガスのク
リーン化を図ることのできる排気ガス処理装置を提供す
ることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに、この発明は、排気ガス処理装置の本体を気密構造
にすると共に、本体の内部を内部隔壁によって前後の吸
込ファン室と泡発生室とに仕切り、内燃機関の排気管に
接続され吸込ファン室に連通する排気口を設け、吸込フ
ァン室内に吸込駆動ファンを配置し、泡発生室内に吸込
駆動ファンの駆動に連動して回転する回転筒体を配置
し、回転筒体の側周面を通気性に形成し、回転筒体の側
周面の表面に通気性の濾過材を被覆し、濾過材の外周側
と連通する内部隔壁に通気孔を形成し、回転筒体の内側
と連通する排出口を設け、泡発生室の下部にタンクを設
け、泡発生室の下部に回転する濾過材の最下位側と一部
接触するように泡発生用水溶液を配した手段よりなるも
のである。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、図面に記載の発明の実施の
形態に基づいて、この発明をより具体的に説明する。こ
こで、図１は排気ガス処理装置の側断面図、図２は本体
の概略平断面図、図３は本体の概略断面図、図４は内部
隔壁の正面図、図５は吸込駆動ファンの正面図、図６は
回転筒体の一端部断面図、図７は回転筒体の他端部断面
図である

【０００７】図において、排気ガス処理装置１は、図示
しない内燃機関の排気管に取り付けられて排気ガス中に
含まれる黒鉛などを吸着除去してクリーン化する機器で
ある。排気ガス処理装置ｌはその本体２の内部が気密構
造からなっており、本体２の前面上部中央には円筒状の
排気口３が設けられている。この排気口３は後述の吸込
ファン室５に連通している。

【０００８】排気口３は図示しない内燃機関の排気管に
接続され、排気管から排出される排気ガスａはこの排気
口３を通じて本体２の内部に導入される。排気口３に流
入した排気ガスａがスムーズに本体２内部に導入される
ように、排気口３の内周面の片側には傾斜曲面状に形成
された排気流返し３ａが取り付けられている。

【０００９】排気ガス処理装置１の本体２の内部は、内
部隔壁４によって前後に仕切られて区分され、内部隔壁
４の前部側には吸込ファン室５が形成され、内部隔壁４
の後部側には泡発生室６が形成されている。

【００１０】内部隔壁４には吸込ファン室５から泡発生
室６に排気ガスａを送り込むための通気孔４ａが形成さ
れている。通気孔４ａは例えば長円弧状の形状をしてい
て、後述の回転筒体８の外周側となる内部隔壁４の上部
周縁側の例えば１０時方向から１２時方向の間に形成さ
れている。

【００１１】吸込ファン室５内には水平軸回りに回転す
る吸込駆動ファン７が配置されている。吸込駆動ファン
７は、図示しない排気管から排出される排気ガスａを泡
発生室６内に吸い込んで送り込む機能と、泡発生室６内
に配置された後述の回転筒体８を回転させる機能とを有
している。

【００１２】吸込駆動ファン７の回転中心には水平方向
に配置された回転軸７ａが一体的に取り付けられてお
り、吸込駆動ファン７の回転によってこの回転軸７ａも
一体となって回転する。この吸込駆動ファン７が配置さ
れた吸込ファン室５は例えば上半分側が半円形状に形成
されている。

【００１３】吸込駆動ファン７の回転軸７ａはその一端
が吸込駆動ファン室５内の前面に設けられた軸受け５ａ
に回転自在に軸支され、回転軸７ａの他端側は後方の内
部隔壁４を貫通して泡発生室６内に延設されている。こ
の泡発生室６内に延設された回転軸７ａの他端側の外周
には後述の回転筒体８が一体的に取り付けられており、
吸込駆動ファン７が回転すると回転軸７ａを通じて回転
筒体８も水平軸回りに回転する構造になっている。

【００１４】内部隔壁４の後方側の泡発生室６内には水
平軸回りに回転する例えば円筒形の回転筒体８が配置さ
れている。回転筒体８はその両端側に円形枠板８ａ，８
ａがそれぞれ配置され、両円形枠板８ａ，８ａ間の側周
面の周方向には等間隔で複数の枠棒８ｂが軸芯方向に平
行に取り付けられ、この複数の枠棒８ｂの外周に例えば
金網８ｃが側周面方向に取り付けられていて、回転筒体
８はその側周面が通気性になっている。また、後端側の
円形枠板８ａの中央側には複数の排気ファン８ｄが円周
方向に等間隔で取り付けられている。

【００１５】回転筒体８の側周面の表面は通気性の濾過
材９で被覆されている。濾過材９には繊維質の材料、例
えばガラス強化プラスチック繊維（ＦＲＰ）などが使用
される。濾過材９は回転筒体８の側周面の表面に厚く被
覆されており、また、濾過材９はその最下位側の一部が
常に泡発生用水溶液ｃと接触するように被覆されてい
る。

【００１６】さらに、濾過材９は回転筒体８の外側と内
側とを隙間なく完全に分けるように被覆されている。特
に、回転筒体８の両端側にはその両側の隔壁と密接する
ように濾過材９は被覆されて、両端側で隙間が生じない
ようなっている。これにより、濾過材９の外側の排気ガ
スａが濾過材９を通過することなく回転筒体８の内側に
流入するのが阻止される。

【００１７】水平軸回りに上下方向に回転筒体８と一体
になって回転する濾過材９は、最下位側を通過する際に
泡発生室６の下部側の泡発生用水溶液ｃの一部と接触し
て掻き揚げる機能と、泡に吸着された黒鉛などを除去し
てクリーンになった排気ガスｂを通過させる機能とを備
えている。

【００１８】また、この濾過材９で掻き揚げた泡発生用
水溶液ｃの一部に、吸込駆動ファン７を利用して導入し
た排気ガスａを吹き込むことによって、濾過材９の外周
側の泡発生室６内に泡ｄを発生させることができ、発生
した泡ｄによって排気ガスａ中に含まれる黒鉛などを吸
着させる。

【００１９】回転筒体８と一体となって回転する濾過材
９は、泡発生室６の内部を濾過材９の外周側と内周側つ
まり回転筒体８の外側と内側とに完全に仕切る。濾過材
９を挟んでその外側は黒鉛などを含む排気ガスａの領域
となり、またその内側はクリーンになった排気ガスｂの
領域となる。

【００２０】この回転筒体８の回転中心には前記の回転
軸７ａの他端側が挿通している。回転軸７ａの他端側は
両円形枠板８ａ，８ａの回転中心を貫通している。回転
筒体８は両円形枠板８ａ，８ａを通じて回転軸７ａの他
端側に一体的に連結されていて、前述したように吸込駆
動ファン７の回転は回転軸７ａを通じて回転筒体８に伝
達されて、回転筒体８は吸込駆動ファン７の回転によっ
て回転する構造になっている。

【００２１】泡発生室６の後面中央には、円筒形の排出
口１０が後方に向けて形成されている。排出口１０の前
部側は泡発生室６内に突出して回転筒体８の内側と連通
していて、濾過材９を通過して回転筒体８の内側に流入
したクリーンになった排気ガスｂは排出口１０を経て外
部に放出される構造になっている。

【００２２】また、排出口１０の内部には軸受け桁１０
ａが直径方向に取り付けられ、この軸受け桁１０ａの中
央には前記回転軸７ａの他端を回転自在に軸支する軸受
け１０ｂが設けられている。回転軸７ａはその両端が前
記軸受け５ａとこの軸受け１０ｂに軸支されて、水平軸
回りに回転する構造になっている。

【００２３】前記泡発生室６の下部には、例えば石鹸液
やミョウバンを含んだ石鹸液などからなる泡発生用水溶
液ｃを溜めたタンク１１が取り付けられている。タンク
１１は着脱自在に取り付けられている。

【００２４】泡発生室６の下部とタンク１１との境には
例えば前後方向に細長な２本の通水溝６ａが形成されて
いて、この通水溝６ａを通じてタンク１１と泡発生室６
の下部とは連通しており、泡発生室６の下部に流下した
黒鉛などを吸着した泡ｄはこの通水溝６ａを通じてタン
ク１１内に収容される。

【００２５】また、泡発生室６の下部の泡発生用水溶液
ｃの液面が常時一定の高さに維持できるように、液面の
高さを監視する図示しないセンサーが設けられている。
そして、濾過材９による泡発生用水溶液ｃの掻き揚げに
よって液面が低下する場合には図示しない補助タンクか
ら泡発生用水溶液ｃが随時供給されて液面の高さを一定
に維持する構造になっている。

【００２６】次に、上記発明の実施の形態の構成に基づ
く作用について以下説明する。図示しない内燃機関の排
気管から排出された高圧の排気ガスａは排気口３から本
体２内部の吸込ファン室５内に流入する。排気ガスａが
排気口３から吸込ファン室５内に流入する際、排気口３
の内部には排気流返し3ａが形成されているため、吸込
ファン室５内には真っ直ぐに流入せず斜め方向から流入
する。

【００２７】この斜め方向からの流入は、吸込ファン室
５内の吸込駆動ファン７の羽の傾きに一致する方向から
の流入であるために、排気ガスａは吸込ファン室５内に
スムーズに流入すると共に、吸込駆動ファン７を効率よ
く回転させる。

【００２８】排気ガスａは高圧であるため、吸込駆動フ
ァン７は高速で水平軸回りに回転し、その回転中心に取
り付けられた回転軸７ａも一体となって回転する。吸込
駆動ファン７の回転により、吸込ファン室５に流入した
排気ガスａは、吸込ファン室５と泡発生室６とを仕切る
内部隔壁４に形成された通気孔４ａを経て泡発生室６内
に送り込まれる。

【００２９】一方、吸込駆動ファン７が高速で回転する
と、回転軸７ａを通じて連動連結された泡発生室６内の
回転筒体８及びその側周面に被覆された濾過材９も高速
で水平軸回りに回転する。

【００３０】泡発生室６の下部には例えばミョウバンを
含んだ石鹸液からなる泡発生用水溶液ｃが溜まってお
り、水平軸回りに上下方向に回転筒体８と一体になって
回転する濾過材９は、最下位側を通過する際に泡発生室
６の下部側の泡発生用水溶液ｃの一部と接触して掻き揚
げる。掻き揚げられた泡発生用水溶液ｃは流入する排気
ガスａによって泡ｄになる。このようにして、濾過材９
の外周側の泡発生室６内の空間には多量の泡ｄが発生し
て泡ｄだらけの状態になる。

【００３１】泡発生室６内に流入した排気ガスａは発生
した泡ｄによって、排気ガスａ中に含まれる黒鉛などは
吸着除去される。黒鉛などが泡ｄによって吸着除去され
てクリーンになった排気ガスｂは濾過材９及び金網８ｃ
を通過して回転筒体８の内側に流入し、排気ファン８ｄ
によって回転筒体８の内側から排出口１０に排出され、
排出口１０から外部の大気中に放出される。

【００３２】黒鉛などを吸着した泡ｄは、泡発生室６の
内壁面に沿って下方に向かって流下し、通水溝６ａを通
ってタンク１１内に流入する。タンク１１内に流入した
黒鉛などを吸着した泡ｄは泡発生用水溶液ｃ中に含まれ
るミョウバンの働きによって凝固して沈殿する。

【００３３】なお、この発明は上記発明の実施の形態に
限定されるものではなく、この発明の精神を逸脱しない
範囲で種々の改変をなし得ることは勿論である。

【００３４】

【発明の効果】以上の記載より明らかなように、この発
明に係る排気ガス処理装置によれば、濾過材で掻き揚げ
た泡発生用水溶液の一部に、吸込駆動ファン利用して導
入した排気ガスを吹き込むことによって、濾過材の外周
側の泡発生室内に泡を発生させることができ、これによ
り、例えば自動車、船、バイクなどの内燃機関の排気管
から排出される排気ガス中に含まれる黒鉛などを、この
発生した泡によって吸着させて除去することができ、排
気ガスのクリーン化に寄与することができる。しかも、
濾過材の表面は泡発生用水溶液に接触した際に洗われる
ので、濾過材の表面が汚れるのが長期間にわたり防が
れ、これにより、長期間にわたり濾過材の交換を不要に
でき、装置の長期間の使用が可能となる。また、この排
気ガス処理装置は排気管に取り付けられていて、消音効
果をも有している等、極めて新規的有益なる効果を奏す
るものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の形態を示す排気ガス処理装置
の側断面図である。

【図２】この発明の実施の形態を示す本体の概略平断面
図である。

【図３】この発明の実施の形態を示す本体の概略断面図
である。

【図４】この発明の実施の形態を示す内部隔壁の正面図
である。

【図５】この発明の実施の形態を示す吸込駆動ファンの
正面図である。

【図６】この発明の実施の形態を示す回転筒体の一端部
断面図である。

【図７】この発明の実施の形態を示す回転筒体の他端部
断面図である。

【符号の説明】

１ 排気ガス処理装置 ２ 本体 ３ 排気口 ３ａ 排気流返し ４ 内部隔壁 ４ａ 通気孔 ５ 吸込ファン室 ５ａ 軸受け ６ 泡発生室 ６ａ 通水溝 ７ 吸込駆動ファン ７ａ 回転軸 ８ 回転筒体 ８ａ 円形枠板 ８ｂ 枠棒 ８ｃ 金網 ８ｄ 排気ファン ９ 濾過材 １０ 排出口 １０ａ 軸受け桁 １０ｂ 軸受け １１ タンク ａ 排気ガス ｂ クリーンになった排気ガス ｃ 泡発生用水溶液 ｄ 泡

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 排気ガス処理装置の本体を気密構造にす
   ると共に、本体の内部を内部隔壁によって前後の吸込フ
   ァン室と泡発生室とに仕切り、内燃機関の排気管に接続
   され吸込ファン室に連通する排気口を設け、吸込ファン
   室内に吸込駆動ファンを配置し、泡発生室内に吸込駆動
   ファンの駆動に連動して回転する回転筒体を配置し、回
   転筒体の側周面を通気性に形成し、回転筒体の側周面の
   表面に通気性の濾過材を被覆し、濾過材の外周側と連通
   する内部隔壁に通気孔を形成し、回転筒体の内側と連通
   する排出口を設け、泡発生室の下部にタンクを設け、泡
   発生室の下部に回転する濾過材の最下位側と一部接触す
   るように泡発生用水溶液を配したことを特徴とする排気
   ガス処理装置。