JP2002294095A - カロチノイド系色素含有組成物 - Google Patents

カロチノイド系色素含有組成物

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JP2002294095A JP2001098753A JP2001098753A JP2002294095A JP 2002294095 A JP2002294095 A JP 2002294095A JP 2001098753 A JP2001098753 A JP 2001098753A JP 2001098753 A JP2001098753 A JP 2001098753A JP 2002294095 A JP2002294095 A JP 2002294095A
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Tetsuhiro Isobe
哲宏 磯部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、工業原材料として利用可能で、しか
も環境に優しい色素組成物を提供することを目的とす
る。 【解決手段】共役二重結合数が5から13のポリエン骨
格と反応性官能基とを有するカロチノイド系色素と、前
記反応性官能基と反応しうる官能基を有する化合物とを
反応させてなるカロチノイド系色素含有組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な着色組成物
に関する。さらに、詳しくは、天然資源のカロチノイド
系色素を色素源とするために環境に優しい色素組成物で
ある。カロチノイド系色素と反応させる化合物を適宜選
択することにより、色素に加工性、耐光性等の物性を付
与でき、得られた組成物は合成中間体、着色成形材料、
塗膜形成材料、電子受容化合物等として利用することが
できる。
【0002】
【従来の技術】カロチノイド系色素は、自然から確保さ
れるものであり、その安定した原料供給の困難さや、目
的色素の高純度化、大量確保等の問題点からその利用分
野は、食品添加物の着色料という分野に限られてきた。
しかしながら、組み替えDNA技術、細胞融合技術、バ
イオリアクター技術などのバイオテクノロジー技術の進
歩とともに、これらの問題点も徐々に解消されつつあ
る。
【0003】カロチノイド系色素は難水性であり、その
物性を変化させた例としては、官能基であるカルボキシ
ル基をアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム、アンモ
ニウム)に変えて水性化した例があるだけである。これ
は、食品添加物の規制範囲内での加工処理法にすぎず、
食品用着色剤という利用面のみをターゲットとしてきた
のである。結果として、天然色素の工業材料としての利
用面、即ち、反応性官能基を有する化合物との官能基変
換、還元反応、アルキル基またはアリール基での置換反
応などの検討はなされていない。最近においては、環境
問題もあいまって、安全で環境に優しい色素組成物の合
成は切望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、工業原材料
として利用可能で、しかも環境に優しい色素組成物を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者は、植物、動物お
よび微生物界に広く分布しているカロチノイド系色素の
反応性官能基をこれと反応しうる化合物と有機合成法あ
るいは酵素合成法等によって反応させることにより新規
なカロチノイド系色素含有組成物が得られることを見出
した。
【0006】すなわち、本発明は、共役二重結合数が5
から13のポリエン骨格と反応性官能基とを有するカロ
チノイド系色素と、前記反応性官能基と反応しうる官能
基を有する化合物とを反応させてなるカロチノイド系色
素含有組成物に関する。
【0007】また、本発明は、反応性官能基が、カルボ
キシル基である上記カロチノイド系色素含有組成物に関
する。
【0008】また、本発明は、2つ以上のポリエン骨格
を有する上記カロチノイド系色素含有組成物に関する。
【0009】また、本発明は、上記カロチノイド系色素
含有組成物を含んでなる着色体に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるカロチノイド
系色素は、植物、動物および微生物界に広く分布してい
る色素に由来する。カロチノイド系色素は、主として炭
素数40(ある種の微生物では炭素数30又は50)の
テルペノイドでテトラテルペンとして扱われることもあ
る。生合成的には、メバロン酸経路を経由して合成さ
れ、その生合成段階において共役二重結合がtrans
型で伸びリコペンとなり、生成したリコペンが閉環して
ベータカロチン類色素を生成し、さらに水酸化を受けて
キサントフィル類色素を生成する。これが、カロチノイ
ド系色素の基本的生合成経路であるが、最終的な構造
は、植物、動物及び微生物の種類によって種々異なり、
共通する特徴は、化学構造式中にポリエン構造を有する
ことである。着色体という観点から、これらのポリエン
構造の共役二重結合数は、5から13が好ましく、7か
ら11がより好ましい。
【0011】本発明で用いるカロチノイド系色素は、天
然物をそのまま用いても良いし、公知の化学反応処理を
行って、反応性官能基を導入しても良い。
【0012】本発明でいう反応性官能基としては、カル
ボキシル基、アミノ基、水酸基、メルカプト基、エポキ
シ基、重合性二重結合残基、ハロゲン原子であり、入手
のしやすさから、カルボキシル基、エポキシ基、重合性
二重結合残基が好ましい。カロチノイド系色素の構成要
件であるポリエン骨格は、本発明で言う重合性二重結合
残基に含まれる。本発明では、着色の点から反応後にも
ポリエン骨格が残ることが重要であり、反応してポリエ
ン構造とならなくなるものは、反応性官能基とみなす。
また、カロチノイド系色素が有する反応性官能基の数は
2つ以上であってもよく、また、2種以上の官能基を有
していても良い。
【0013】本発明で使用されるカロチノイド系色素
は、その構造的特徴から以下のように分類される。 カ
ルボキシル基を1個以上有する色素として、ビキシン、
ノルビキシン、クロセチン、クロシン等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。また、混合して
使用することも可能である。この分類中にはクロシンの
ようにカルボン酸部分にゲンチオビオースがエステル結
合した色素も含まれる。天然色素は抽出法として酸ある
いはアルカリ抽出法が用いられるがこの処理によって容
易にエステルの加水分解が行われ、カルボキシル基に変
換されるからである。また、糖加水分解酵素処理等によ
っても容易にエステルは加水分解されカルボキシル基に
変換される。
【0014】六員環二重結合であるシクロヘキセン環を
1個以上有する色素として、β−カロチン、α−カロチ
ン、γ−カロチン、ゼアキサンチン、キサントフィル、
ミュータクロム、フラボクロム、カプソクロム、リコペ
ン、リコフィル、カプサンチン等が挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。また、混合して使用する
こともできる。
【0015】エポキシ基を1個以上有する色素として、
前記六員環二重結合をエポキシ化した色素が挙げられ
る。例えば、シクロヘンセン残基に過安息香酸のような
過酸化物を直接作用させると炭素−炭素二重結合を直接
酸化してシクロヘキセンエポキシドが得られる。
【0016】具体的には、α−カロチン−エポキシド、
キサントフィル−エポキシド、β−カロチン−モノエポ
キシド、カプサンチン−モノエポキシド等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。また、混合して
使用することもできる。
【0017】これらの色調の違いは、共役二重結合の
数、六員環二重結合が共役二重結合から独立した場合、
末端の共役二重結合がエポキシ化した場合、モノエポキ
サイドがフラノイドエポキサイドに変換した場合、末端
が閉環した場合、水酸化した場合、カルボニル基が共役
二重結合と共役した場合、シス体−トランス体の違いに
よる場合等によって変化し、極大吸収波長が400から
600nmの範囲で黄色から赤色を呈する。
【0018】本発明で使用される、色素の反応性官能基
と反応しうる官能基を有する化合物が、有する官能基
は、色素の反応性官能基により、適宜選択される。
【0019】色素がカルボキシル基を有する場合の反応
相手の化合物は、水酸基、アミノ基、カルボキシル基な
どのカルボキシル基と反応しうる官能基を有している必
要がある。
【0020】具体的には、飽和アルコール、不飽和アル
コール及び芳香族アルコール等のエステルへの変換に関
わる化合物、アンモニア、アルキルアミン、アリールア
ミン等のアミドへの変換およびアミンとの反応に関わる
化合物、水酸化アルミニウムリチウム等の還元に関わる
化合物、リン、塩素、臭素等のハロゲン化反応に関わる
化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものでは
ない。また、エステル交換、エステルアミド交換など、
幾つかの手法を組み合わせることが可能であり、さら
に、色素のカルボキシル基を、あらかじめ、例えば、塩
化チオニル、五塩化リン、酸塩化リン等を用いた酸塩化
物への変換、あるいは、酢酸等を用いた酸無水物への変
換なども好適に行える。
【0021】カルボン酸は、他の誘導体に変換されるこ
とにより、酸塩化物に変換されることが多い。この反応
性が高い酸塩化物からエステルやアミド等の他の種類の
化合物に導くことができる。例えば、ビキシンを塩化チ
オニルと加熱処理することで塩化ビキシンに変換した
後、アンモニアと反応させてビキシンのアミド体を合成
することができる。アルコール類と反応させてエステル
に変換することができる。フリーデル−クラフツアシル
化反応によってケトン化合物に変換することができる。
有機カドミウム化合物との反応によってケトン化合物に
変換することができる。還元反応によってアルデヒド化
合物に変換することができる。
【0022】エステルへの変換反応は、アルコールまた
はフェノールを酸または酸誘導体と反応させて合成でき
る。反応性化合物としては、アルコール性水酸基を少な
くとも1個以上有している化合物であれば、一方の残基
は脂肪族でも芳香族でもその構造に特に制限はない。
【0023】カルボン酸エステルからの誘導体として
は、アンモノリシスによってアミドに変換することがで
きる。アルコーリシスによるエステル交換反応によりエ
ステル変性化合物に変換することができる。グリニャー
ド試薬との反応により第三アルコールに変換することが
できる。カルボアニオンとのクライゼン縮合反応によっ
てケトエステル化合物に変換することができる。
【0024】カロチノイド系色素の好ましい反応性官能
基であるカルボキシル基についてさらに言及する。カル
ボキシル基はカルボニル基と水酸基からなっている。ほ
とんどの反応、すなわち水素イオンの脱離または他の官
能基による置換に関与しているのは当該水酸基である。
しかし、このような挙動は当該カルボニル基の影響があ
って初めて可能である。酸の水酸基は種々の官能基、例
えば塩素、アルコール、アミンで置換され、酸塩化物、
エステル、アミドが生成する。これらには全てアシル基
が存在し、酸の官能基誘導体が得られる。色素と反応す
る化合物の構造において、カルボキシル基と反応可能な
官能基が存在していれば、それ以外の構造は基本的に何
でも良いのである。即ち、当該官能基以外は、脂肪族で
も芳香族でもよい。また、高分子ポリマーでもよい。さ
らに、ポリマー合成可能なカロチノイド系色素誘導体モ
ノマーを合成したあとポリマー化しても良いし、反応性
官能基を有するポリマーに対して官能基変換反応を行う
こともできる。
【0025】色素がシクロヘキセン環などの重合性二重
結合残基を有する場合の反応相手の化合物は、付加重合
可能な重合性二重結合を有するビニルモノマーなど、付
加反応可能なアミン化合物、ハロゲン化化合物などが挙
げられる。
【0026】色素がエポキシ基を有する場合の反応相手
の化合物は、エポキシ基の開環付加反応可能なアミン化
合物、酸無水物、アルコールなどがある。
【0027】さらに、例えば、酸触媒存在下で、水と反
応すればエポキシ環が開裂してジオールに変換され、当
該ジオールとアルコールとを反応させればエーテルでし
かもアルコールである化合物に変換される。アルカリ性
条件下においてもエポキシドの開裂反応が行われる。エ
ポキシドの開裂反応で重要な点は官能基を2個持つ化合
物が生成されることにある。
【0028】色素の官能基と反応しうる化合物としての
アルコールは、アルコール性水酸基を少なくとも1個以
上有する化合物であれば何でも良い。即ち、化合物分子
中に水酸基が少なくとも1個以上存在すれば、それ以外
の構造は限定されるものではない。例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコー
ル、t−ブチルアルコール、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、グリセリン等の低級飽和炭化水素系
の一価、二価、三価アルコール、ヘキサデカノール、ヘ
キサコサノール、トリアコンタノール等の高級飽和炭化
水素系一価アルコール、ビニルアルコール、エチニルア
ルコール、アリルアルコール、アリールアルコール、プ
ロパルギルアルコール等の不飽和炭化水素系アルコー
ル、グリセルアルデヒド、エリトロース、エリスリトー
ル、トレオース、リボース、アラビノース、キシロー
ス、リキソース等の糖および糖アルコールなどが挙げら
れるが、これらに限定されるものではない。また、混合
して使用することもできる。
【0029】また、エチレングリコール、プロピレング
リコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペン
タエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどのポリ
オールも、色素を2個以上、導入させるために好適に用
いられる。
【0030】色素の官能基と反応しうる化合物としての
アミン化合物は、アンモニアの水素原子を1から3個炭
化水素で置き換えた構造の化合物であれば何でも良い。
例えば、プロピルアミン、エチルメチルアミン、N−エ
チル−N−メチルブチルアミン、メチルアミン、ジメチ
ルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチル
アミン、トリエチルアミン、トリメチレンジアミン、ヘ
キサメチレンジアミン等が挙げられるがこれらに限定さ
れるものではない。また、混合して使用することもでき
る。アミノ酸、アミノアルコールなども使用できる。
【0031】本発明の反応性官能基を1個以上有するカ
ロチノイド系色素の反応は、色素の反応性官能基と色素
と反応する化合物中の官能基の等モル当量反応が基本反
応となる。
【0032】本発明において、色素と、色素と反応する
化合物との反応は、公知の技術が使用できる。例えば、
カルボキシル基あるいはカルボニル基を有するカロチノ
イド系色素及びその誘導体とアルコール性水酸基を有す
る化合物とを酵素化学的反応によって、有機溶媒中で、
穏和な条件下で収率良くエステル変換化合物を合成する
ことができる。
【0033】酵素剤として、例えば、カルボキシエステ
ラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、アセチルエステラ
ーゼ、コレステロールエステラーゼ、タンナーゼ、モノ
アシルグリセロールリパーゼ、ラクトナーゼ、リポプロ
テインリパーゼ等の一群のエステラーゼ、グルコシダー
ゼ、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ、キシロシダ
ーゼ等のグリコシル化合物に作用するEC3.2群に分
類される加水分解酵素、エポキシドヒドロラーゼ等のE
C3.3群に分類される加水分解酵素、アミノペプチダ
ーゼ、キモトリプシン、トリプシン、プラスミン等のペ
プチド結合に作用するEC3.4群に分類される加水分
解酵素、フロレチンヒドロラーゼ等のEC3.7群に分
類される加水分解酵素等が挙げられるが、これらに限定
されるものではない。また、混合して使用することもで
きる。
【0034】上記のエステラーゼのうち、グリセロール
エステルを加水分解し脂肪酸を遊離する酵素を特にリパ
ーゼと呼ぶが、リパーゼは有機溶媒中での安定性が高く
収率よくエステル化反応、あるいはエステル交換反応を
触媒し、さらに安価に入手できることなどから、有機溶
媒中でのポリエステルの合成に広く用いられている。し
たがって、収率やコストの面からリパーゼを用いること
が望ましい。リパーゼには種々の起源のものが使用でき
るが、好ましいものとして、シュードモナス属、アルカ
リゲネス属、アクロモバクター属、カンジダ属、アスペ
ルギルス属、リゾプス属、ムコール属等の微生物から得
られるリパーゼ類、植物種子から得られるリパーゼ類、
動物組織から得られるリパーゼ類、さらにパンクレアチ
ン、ステアプシン等を挙げることができる。好ましく
は、シュードモナス属、カンジダ属、アスペルギルス属
の微生物由来のリパーゼを用いることが望ましい。反応
には2種類以上の酵素を混合して用いても良く、また、
酵素の安定化や反応後の回収を容易にするために、固定
化した酵素を用いることもできる。
【0035】酵素反応に使用される溶媒は、エステル交
換反応を阻害せず、しかも酵素を失活しないものが望ま
しい。例えば、エーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶
媒、エステル系溶媒、ニトリル系溶媒、ハロゲン化炭化
水素系溶媒、アミド系溶媒等が好ましく、好ましくはエ
チルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサン、テ
トラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシ
レン、等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン等を用いる
ことが望ましい。また、2種類以上の溶媒を混合して用
いても良い。
【0036】酵素反応では、アルコール性水酸基を有す
る化合物1.0モルに対して、カルボン酸は1.0〜
2.0モル当量使用することが好ましく、特に好ましく
は1.0〜1.2モル当量使用することが望ましい。反
応温度は−10〜100℃が好ましく、特に好ましくは
20〜60℃が望ましい。反応系への加水分解酵素の添
加量は、用いる加水分解酵素のエステル合成能により適
宜加減すれば良いが、好ましくはアルコール性水酸基を
有する化合物に対して0.1〜1000重量%程度、さ
らに好ましくは1〜100重量%とすれば良い。このと
き、酵素を大量に使用しても副反応は生じず、精製操作
においても支障を来すことはない。
【0037】また、ビキシンなどの反応性官能基を2つ
有する化合物は、ジオール、ジアミン、などの前記反応
性官能基と反応しうる官能基を2つ以上有する化合物と
反応させることにより、色素のポリエン骨格が繰り返し
単位となった、2つ以上のポリエン骨格を有するカロチ
ノイド系色素含有組成物となる。また、ポリビニルアル
コール、ポリビニル酢酸部分鹸化物とはんのうさせるこ
とにより、側鎖に色素のポリエン骨格を有する、2つ以
上のポリエン骨格を有するカロチノイド系色素含有組成
物を得ることができる。2つ以上のポリエン骨格を有す
るカロチノイド系色素含有組成物は、高分子量化になる
ことによって、着色部であるポリエン骨格の反応性が制
御され、単独の色素より耐候性が改善される。また、加
工性が付与され、従来、天然色素が分散しにくかった媒
体への分散も改善される。
【0038】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳しく説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 ビキシン0.005モル量とジアミノヘキサン0.00
25モル量を10mlのジメチルホルムアミドに溶解し
た後、触媒として0.005モル量のトリフェニルフォ
スファイトを添加し、50℃の油浴中で浸透しながら1
5時間の反応を行った。反応終了後、ビキシン及びジア
ミノヘキサンは残存量として5%以下となり、高速液体
クロマトグラフィー分析で新規物質のピークが検出され
た。分析の結果、ジアミノヘキサンのアミノ基とビキシ
ンのカルボン酸基がアミド結合した分子量868の物質
が、収率82%で得られた。
【0039】図1に高速液体クロマトグラフィーのチャ
ートを示す。カラムはガスクロ工業社製ODS−2を用
い、展開溶媒はテトラヒドロフラン:水=55:45
(容積比)を用いた。図1は、原料のビキシン(保持時
間約7分)のみの試料と、反応後の試料の2つのチャー
トを重ね書きしたものである。反応後の試料には、ビキ
シンに相当するピークは消失し、新たに保持時間約3分
と約14分に生成物のピークが観測された。約3分のピ
ークが図1中に構造式を示したものであり、約14分の
ピークは構造不確定であるがビキシンとジアミノヘキサ
ンが1:1(モル比)で反応したものと推測している。
図2に反応後の試料の質量スペクトルを示す。図1中に
構造式で示したものに相当するピークが主であり、目的
物であることが確認された。 実施例2 オクタンジオール2ミリモル、ノルビキシン2ミリモ
ル、ピクリルクロライド2.5ミリモルをピリジン中に
て24時間、室温において撹拌後、反応液に酢酸エチル
を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて3回洗浄
後、酢酸エチル抽出画分を濃縮乾固し、ノルビキシンの
ポリエステル化合物を得た。GPCによる分析の結果、
分子量は約3000であった。 実施例3 ビキシン30mmolとオクタノール36mmolを1
00ミリリットルの5%ピリジンを含有したイソプロピ
ルエーテルに溶解(一部分散)し、3gのリパーゼ(シ
ュードモナス属の微生物由来)を添加した。リパーゼは
エチルエーテルに溶解せず懸濁した。この懸濁液を温度
30℃の恒温槽中に設置し、マグネチックスターラーで
撹拌しながら24時間反応を行った。反応終了後、懸濁
しているリパーゼをろ過によって除去し、ろ液を濃縮乾
燥した後、水洗いしてピリジンを除去して、70℃オー
ブンで乾燥した。褐色状固形物0.98gが得られた。
得られた試料をFD−MASS及びNMRを用いて分析
を行い、ビキシンのカルボキシメチル基とオクタノール
のアルコール性水酸基がエーテル結合した化合物である
ことが確認された。 実施例4 ビキシン飽和液(THF)25%含有イソプロピルエー
テル1ml中にプロパノール100mlと固定化リパー
ゼ100mgを加えた反応組成で、室温において24時
間反応させた。その後、HPLC、FD−MASS、N
MR、IRの分析を行った。ビキシンとプロパノールの
エステル化合物が収率40%で得られた。 実施例5 ケルセチン0.0025モル量とジアミノヘキサン0.
0025モル量を10mlのジメチルホルムアミドに溶
解した後、触媒として、0.006モル量のトリフェニ
ルフォスファイトを添加し、50℃の油浴中で浸透しな
がら、3時間反応させた。溶媒不溶性の赤褐色固形分が
収率65%で得られた。
【0040】
【発明の効果】本発明により、天然色素の色を保持した
新規な着色組成物が提供できた。色素と反応する化合物
を選択することにより、幅広い用途の使用が可能となっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の高速液体クロマトグラフィーチャー
【図2】実施例1の質量スペクトルチャート

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】共役二重結合数が5から13のポリエン骨
    格と反応性官能基とを有するカロチノイド系色素と、前
    記反応性官能基と反応しうる官能基を有する化合物とを
    反応させてなるカロチノイド系色素含有組成物。
  2. 【請求項2】反応性官能基が、カルボキシル基である請
    求項1記載のカロチノイド系色素含有組成物。
  3. 【請求項3】2つ以上のポリエン骨格を有する請求項1
    または2記載のカロチノイド系色素含有組成物。
  4. 【請求項4】請求項1〜3いずれか記載のカロチノイド
    系色素含有組成物を含んでなる着色体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014529346A (ja) * 2011-07-29 2014-11-06 エボニック デグサ ゲーエムベーハーEvonik Degussa GmbH 低分子量生成物、及びディールス−アルダー反応の際の可逆的又は永久的な低温架橋剤としてのそれらの使用

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JP2014529346A (ja) * 2011-07-29 2014-11-06 エボニック デグサ ゲーエムベーハーEvonik Degussa GmbH 低分子量生成物、及びディールス−アルダー反応の際の可逆的又は永久的な低温架橋剤としてのそれらの使用
US10030105B2 (en) 2011-07-29 2018-07-24 Evonik Degussa Gmbh Low molecular weight products and use thereof as reversible or permanent low-temperature crosslinking agent in Diels-Alder reactions

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