JP2002285298A - 建築・土木構造用のCr含有耐腐食鋼 - Google Patents

建築・土木構造用のCr含有耐腐食鋼

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JP2002285298A
JP2002285298A JP2002004644A JP2002004644A JP2002285298A JP 2002285298 A JP2002285298 A JP 2002285298A JP 2002004644 A JP2002004644 A JP 2002004644A JP 2002004644 A JP2002004644 A JP 2002004644A JP 2002285298 A JP2002285298 A JP 2002285298A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造物の完成後に人目に触れず、しかも外壁
材のような厳しい環境に曝されない、建築・土木構造用
部材としての用途に供して好適なCr含有耐腐食鋼を提供
する。 【解決手段】 C:0.0015〜0.02mass%、N:0.0015〜
0.02mass%、Si:0.1 〜1.0 mass%、Mn:0.1 〜3.0 ma
ss%、Cr:5mass%超,10mass%未満、Ni:0.01〜3.0
mass%、Al:0.1 mass%以下、P:0.05mass%以下およ
びS:0.03mass%以下を含み、さらにCo:0.01〜1.0 ma
ss%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接構造用部材と
してのCr含有鋼、特に構造物の完成後に人目に触れず、
しかも外壁材のような厳しい環境に曝されない用途で
の、建築・土木構造用部材として好適なCr含有耐腐食鋼
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建築・土木構造用鋼材としては、従来、
主に SS400等の普通鋼、 SM490等の高張力鋼ならびにこ
れらの鋼材に塗装やめっきを施した材料が使用されてき
た。しかしながら、近年の建物の大型化や設計の多様化
に伴い、各種の鋼材や材料の利用が検討され始めてい
る。特に環境問題への関心が高まる中、ライフサイクル
コスト(LCC)を重視した材料の選定が検討されるよ
うになってきており、例えば住宅に関しては 100年以上
の寿命を前提とした設計が求められつつある。
【0003】構造物の長寿命化を考えた場合、めっき鋼
板のめっき厚を厚くする方法が考えられるが、溶接を必
要とする建築構造物の場合には、溶接後の溶接部の処理
に多大な負荷がかかるため、実用には適さないという問
題がある。このような中、耐食性に優れ、発銹に対する
保守費用がほとんど必要なく、またリサイクルも容易で
あるFe−Cr系合金の、建築・土木構造用材料への適用が
大いに期待されている。
【0004】Cr含有鋼の代表であるステンレス鋼は、金
属組織の違いから、SUS430に代表されるフェライト系ス
テンレス鋼、SUS304に代表されるオーステナイト系ステ
ンレス鋼、SUS410に代表されるマルテンサイト系ステン
レス鋼およびSUS329に代表される2相ステンレス鋼に大
別される。このような各種ステンレス鋼の中で、オース
テナイト系ステンレス鋼は、材料強度、耐食性、溶接
性、溶接部じん性および汎用性の点で優れるため、従来
から建築・土木構造用材料としての適用が試みられてき
た。
【0005】しかしながら、オーステナイト系ステンレ
ス鋼には、(1) Ni,Cr等の合金元素を多量に含有してい
るため、普通鋼に比べると格段に高価である、(2) 応力
腐食割れ感受性が高い、(3) 普通鋼に比べると熱膨張率
が大きく、また熱伝導度が小さいため、溶接時の熱影響
に起因した歪みが蓄積し易いことから、精度を要求され
る部材等への適用が難しい、といった問題があり、従
来、普通鋼や普通鋼に塗装あるいはめっきを施した材料
が使用されていた汎用構造材への適用は難しく、適用範
囲が制限されるという問題があった。
【0006】このため、最近では、めっきや塗装を施し
た普通鋼の代替として、Cr含有量の少ない低Cr含有鋼の
建築・土木用材料への適用が検討されており、特にマル
テンサイト系ステンレス鋼の建築・土木用材料への適用
が考えられている。マルテンサイト系ステンレス鋼は、
上述したような高価なNiを多量に含有するオーステナイ
ト系ステンレス鋼に比べると格段に安価であり、また熱
膨張率が小さくかつ熱伝導率が大きいことに加え、普通
鋼に比べると著しく耐食性に優れ、しかも高い強度を有
するという特徴がある。また、マルテンサイト系ステン
レス鋼では、高Cr含有鋼で問題となるσ脆化や475 ℃脆
化等の心配がなく、さらにオーステナイト系ステンレス
鋼で問題となる塩化物環境下での応力腐食割れのおそれ
もないという利点がある。
【0007】しかしながら、SUS410鋼に代表されるマル
テンサイト系ステンレス鋼は、C含有量が 0.1mass%程
度と高いために、溶接部じん性や溶接部の加工性に劣
り、しかも溶接に際しては予熱を必要とし溶接作業性に
も劣ることから、溶接が必要な部材に対する適用には問
題を残していた。
【0008】上記の問題に対し、例えば特公昭51−1346
3 号公報では、Cr:10〜18mass%,Ni:0.1 〜3.4 mass
%,Si:1.0 mass%以下およびMn:4.0 mass%以下を含
み、さらにC:0.03mass%以下、N:0.02mass%以下に
低減し、溶接熱影響部にマッシブマルテンサイト組織を
生成させることによって、溶接部の性能を向上させた溶
接構造用マルテンサイト系ステンレス鋼を提案してい
る。また、特公昭57−28738 号公報には、Cr:10〜13.5
mass%,Si:0.5 mass%以下およびMn:1.0 〜3.5 mass
%を含有すると共に、C:0.02mass%以下、N:0.02ma
ss%以下に低減し、さらにNiを 0.1mass%未満に低減す
ることによって、溶接前後における予熱、後熱を必要と
しない、溶接部じん性および加工性に優れた構造用マル
テンサイト系ステンレス鋼が提案されている。
【0009】ところで、構造用鋼を耐食性の観点から考
えた場合には、Cr含有量は高い方が望ましい。しかしな
がら、実際に使用される構造用鋼の多くは、全く発銹が
ないような高耐食性を必ずしも必要とはしていない場合
が多く、特に構造物の完成後に人目に触れず、しかも外
壁材のような厳しい環境に曝されない部材では、完成後
の長期間の使用に際して錆汁が垂れ出してこない程度の
耐食性があれば充分であり、既存のステンレス鋼ほどの
高い耐食性を必要としない。また、建築・土木用構造材
料として用いる場合、表面性状に対する要求が低いの
で、熱間圧延まま、あるいは熱間圧延後脱スケール処理
を施したままでの使用が可能であることが経済的観点か
ら望ましい。このような要望に対し、Cr含有量を10mass
%未満に低減し、しかも熱間圧延ままあるいは熱間圧延
後脱スケールを施したままの状態での使用を前提とし
て、コストを抑えた安価なCr含有鋼の開発が進められて
いる。
【0010】例えば特許第 3039630号公報には、Cr:6
〜18mass%,Si:0.05〜1.5 mass%,Mn:0.05〜1.5 ma
ss%を含有し、またC:0.005 〜0.1 mass%とし、さら
に熱間圧延での仕上温度を 780℃以下とすることによ
り、酸化スケール直下に5μm以上のCr欠乏層を生成さ
せることで局部腐食の発生を抑えた、建造構造部材用低
腐食速度鋼が提案されている。
【0011】また、特開平11−323505号公報には、Cr:
5〜10mass%,Si:0.05〜1.0mass%,Mn:0.05〜2.0 m
ass%を含有し、かつC:0.005 〜0.03mass%、N:0.0
05〜0.03mass%に低減した鋼において、金属部最表層か
ら 0.5〜10μm の深さのCr量を5mass%未満にすること
により、均一型の全面腐食を生じさせることで、強度低
下や破壊を引き起こすような局部的かつ急激な肉厚の減
少を抑え、腐食に伴う強度低下を抑制した鋼が提案され
ている。
【0012】しかしながら、上記した特許第 3039630号
公報および特開平11−323505号公報に開示の技術によっ
ても、Cr含有量が10mass%未満の低Cr含有鋼の耐食性は
十分とはいい難く、耐長期間腐食性の一層の改善が望ま
れていた。しかも、特開平11−323505号公報に開示の技
術は、クラッド法や溶射、めっきといった工程を前提と
しており、実用化に向けてコスト面で大きな問題が残さ
れていた。
【0013】また、発明者らは、先に、Ni, Cu, Cr, Mo
などの元素を極端に増量することなく、またNb, Tiの添
加、さらにはC, Nの過度の低減を必要とすることなし
に、溶接性や耐初期発錆性に優れたFe−Cr合金を開発
し、特願2001−148701号明細書において開示した。具体
的には、Crを8mass%超,15mass%未満の範囲で含有す
るFe−Cr合金について、特にCo,VおよびWを、それぞ
れCo:0.01mass%以上、0.5 mass%未満、V:0.01mass
%以上、0.5 mass%未満およびW:0.001 mass%以上、
0.05mass%未満の範囲で含有させると共に、次式(2) で
示されるX値および好ましくは次式(3) で示されるZ値
がそれぞれ、X値≦11.0、0.03≦Z値≦1.5 の範囲を満
足するように成分調整するものである。 X値=Cr+Mo+1.5 Si+0.5 Nb+0.2 V+0.3 W+8Al −Ni−0.6 Co−0.5 Mn−30C−30N−0.5 Cu --- (2) Z値=(Co+1.5 V+4.8 W) --- (3) また、さらに好ましくは、CとNの比(C/N)が0.60
以下となるよう成分調整するものである。
【0014】しかしながら、上記の技術は、Cr含有量が
多く経済的に不利なだけでなく、特にCrを11mass%以上
含むような場合には、軟質化を目的とした焼鈍が必要と
なるため、さらにコスト面で不利となる問題を残してい
た。さらに、Crの含有量が多いと、長時間の使用に伴う
腐食減量は少なくなるものの、局部腐食が起こり易くな
り、強度低下の面ではむしろ全面腐食を起こす場合より
も不利となるところに問題を残していた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を有利に解決するもので、外観上の美麗さが問題となら
ないような溶接構造用材料に関し、100 年以上の寿命を
満足するのに十分な耐食性を有し、熱間圧延ままあるい
は熱間圧延後脱スケール処理を施したままでの使用を前
提とし、特に構造物の完成後に人目に触れず、しかも外
壁材のような厳しい環境にさらされない用途において、
建築・土木構造用部材として好適な鋼材を、10mass%未
満の低Cr含有量により実現し、同鋼材を安価に提供する
ことを目的とする。
【0016】本発明鋼は、熱間圧延ままで実質的にフェ
ライト単相からなる組織を有し、引張強さ(TS)が 400
〜550 MPa 級の強度を有し、特に建築・土木構造用部材
としての使用に当たり、100 年以上の使用においても、
腐食に伴う強度低下が使用前の10%以下、特に好適には
5%以下という性能を有している。また、本発明鋼で
は、溶接に際し、溶接部のじん性劣化の原因となる熱影
響部における粗大粒の生成を、該熱影響部での組織を実
質的にマルテンサイト組織とすることによって抑制し、
良好な溶接部じん性を確保している。さらに、本発明鋼
は、溶接・加工によって鋼管あるいは形鋼に成形したの
ち、構造用部材として用いることもできる。
【0017】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、上記
の目的を達成するために、各種元素の影響について綿密
な検討を行った。特に、Co,V,Wに注目して、Cr含有
量が10mass%未満の低Cr含有鋼において、耐発銹性に及
ぼすこれらの元素の影響について調査した。その結果、
適量のCoを添加することによって溶接部じん性が格段に
改善されること、またこれらの3元素を複合して適量添
加することによって、Ni,Cu,Cr,Moなどの元素を極端
に増量することや、Nb,Tiの添加あるいはC,Nの低減
といったコストアップの要因を増やすことなしに、耐長
期間耐食性を効果的に改善できるとの知見を得た。本発
明は、上記の知見に立脚して完成されたものである。
【0018】すなわち、本発明の要旨構成は次のとおり
である。 1.C:0.0015〜0.02mass%、 N:0.0015〜0.02mass%、 Si:0.1 〜1.0 mass%、 Mn:0.1 〜3.0 mass%、 Cr:5mass%超,10mass%未満、 Ni:0.01〜3.0 mass%、 Al:0.1 mass%以下、 P:0.05mass%以下および S:0.03mass%以下 を含み、さらに Co:0.010 〜1.0 mass% を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成にな
り、耐長期間腐食性および溶接部じん性に優れることを
特徴とする建築・土木構造用のCr含有耐腐食鋼。
【0019】2.上記1において、Cr含有量が5mass%
超,8mass%未満で、さらにVおよびWを、それぞれ
V:0.01〜0.5 mass%、W:0.001 〜0.05mass%の範囲
で、かつ下記 (1)式で表されるZ値が0.03≦Z≦1.5 を
満足する範囲において含有する組成になり、耐長期間腐
食性および溶接部じん性に優れることを特徴とする建築
・土木構造用のCr含有耐腐食鋼。 記 Z値=(〔%Co〕+ 1.5〔%V〕+ 4.8〔%W〕) ----(1) ここで、〔%Co〕,〔%V〕,〔%W〕は各元素の含有
量(mass%)
【0020】3.上記2において、CrおよびW含有量が
それぞれ、Cr:5mass%超,7.5 mass%未満、W:0.00
5 〜0.03mass%である、耐長期間腐食性および溶接部じ
ん性に優れることを特徴とする建築・土木構造用のCr含
有耐腐食鋼。
【0021】4.上記1〜3のいずれかにおいて、鋼
が、さらに Cu:3.0 mass%以下およびMo:3.0 mass%以下 のうちから選んだ1種または2種を含有する組成にな
り、耐長期間腐食性および溶接部じん性に優れることを
特徴とする建築・土木構造用のCr含有耐腐食鋼。
【0022】5.上記1〜4のいずれかにおいて、鋼
が、さらに B:0.0002〜0.0030mass% を含有する組成になり、耐長期間腐食性および溶接部じ
ん性に優れることを特徴とする建築・土木構造用のCr含
有耐腐食鋼。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を由来するに至った
実験結果について説明する。まず、低Cr含有鋼へのCo添
加効果について述べる。図1に、7mass%Cr鋼に対し
て、Coを添加した場合の溶接部(熱影響部)じん性の変
化について調べた結果を示す。ここで、溶接部じん性
は、板厚:5.5 mmの熱延板に溶接方向が鋼板の圧延方向
に垂直な方向となるようにI開先を作製し、1.2 mmφの
Y309Lタイプの溶接ワイヤを用い、半自動MAG溶接機
により溶接継手を作製し、この溶接継手から、図2に示
すように、Vノッチ先端位置が止端部から1mm溶接金属
側の位置となるように、2mmVノッチサブサイズシャル
ピー試験片(JIS Z 2202)を採取し、−50℃における吸
収エネルギー(vE-50)を測定することにより評価した。
なお、Vノッチ先端位置における溶接金属部と母材部と
の比率a:bはおよそ1:4であった。同図から明らか
なように、Coを0.01mass%以上添加することによって、
溶接部じん性が 150 J/cm2以上改善される。特にその効
果は、0.03mass%以上の添加で200 J/cm2 以上と著し
い。
【0024】次に、Co,V,Wの複合添加の効果につい
て説明する。図3に、同じく7mass%Cr鋼板に対し、こ
れら3元素を複合添加した場合における耐長期間腐食試
験による熱延板の強度低下状況について調べた結果を、
Z値(3元素の影響を示すパラメータ)との関係で示
す。ここで、Z値とは、次式(1) Z値=(〔%Co〕+ 1.5〔%V〕+ 4.8〔%W〕) ----(1) ここで、〔%Co〕,〔%V〕,〔%W〕は各元素の含有
量(mass%)で示される耐長期間腐食性の指標となる値
である。また、強度低下状況は、板厚:4mmの熱延板に
対し、塩水噴霧(0.1mass%NaCl,35℃,3h)→乾燥
(60℃,3h )→湿潤(50℃,2h)を1サイクルとす
る腐食試験を 300サイクル行った後に、腐食試験前後で
の強度(最大引張荷重)低下によって評価した。なお、
図3には、比較のため、Co,V,Wの単独添加または2
種添加を行った場合の調査結果についても併せて示す。
同図に示したとおり、Z値が0.03以上になると長期間腐
食に伴う強度低下が5%以下に激減し、耐長期間腐食性
が著しく改善されることが分かる。しかも、3元素を複
合添加していない場合に比べて強度低下が小さい。
【0025】次に、本発明において、鋼材の成分組成を
上記範囲に限定した理由について説明する。 C:0.0015〜0.02mass%,N:0.0015〜0.02mass% CおよびNは、溶接熱影響部の加工性の改善ならびに溶
接割れ防止の観点からは、可能な限り低減するのが好ま
しい。また、過度に添加すると熱間圧延ままでの強度が
高くなりすぎ、目標とする強度が得られない。さらに、
C,Nは、溶接熱影響部のマルテンサイト相の硬さに大
きな影響を及ぼすばかりでなく、炭窒化物の析出に伴う
Cr欠乏層の形成を助長し、耐食性を劣化させる原因とな
る。このためC,Nの上限はそれぞれ0.02mass%とする
必要がある。一方、C,N量の過度の低減は、精錬コス
トの増大を招くばかりでなく、熱間圧延ままでの強度が
低下し、目標とする強度が得られなくなる。さらに、溶
接熱影響部でのマルテンサイト生成能を低下させ、粗大
フェライト粒の生成を助長し、溶接熱影響部のじん性を
劣化させる。このためC,Nの下限はそれぞれ0.0015ma
ss%とした。より好ましい組成範囲は、C,Nとも0.00
20〜0.010 mass%である。
【0026】Si:0.1 〜1.0 mass% Siは、脱酸剤として有用な元素であるが、含有量が 0.1
mass%未満では十分な脱酸効果が得られず、一方 1.0ma
ss%を超える添加はじん性や加工性の低下を招くだけで
なく、溶接熱影響部でのマルテンサイト生成能を低下さ
せるので、Si量は 0.1〜1.0 mass%の範囲に限定した。
より好ましい組成範囲は 0.1〜0.5 mass%である。
【0027】Mn:0.1 〜3.0 mass% Mnは、オーステナイト安定化元素であり、溶接熱影響部
のマルテンサイト生成能を増加させ、じん性を改善する
効果を有するだけでなく、Siと同様、脱酸剤としての働
きをもつ。しかしながら、含有量が 0.1mass%未満では
その添加効果に乏しく、一方 3.0mass%を超えて添加す
ると加工性の低下やMnSの形成に伴う耐食性の低下を招
くため、Mn量は 0.1〜3.0 mass%の範囲に限定した。よ
り好ましい組成範囲は 0.1〜1.5 mass%である。
【0028】Cr:5mass%超, 10mass%未満 Crは、耐食性を向上させる有用元素である。本発明で
は、外壁材のような厳しい環境下での使用は想定してい
ないが、構造物の完成後に人目に触れず、よりマイルド
な環境下での使用においても、長期間の使用に際して錆
汁が垂れてこないようにする必要がある。このための耐
食性を確保するには、5mass%超の添加が必要である。
一方、本発明に関わる安価なCr含有鋼においては、10ma
ss%以上のCr添加はコスト増加を招く不利がある。従っ
てCr量は5mass%超, 10mass%未満の範囲に限定した。
なお、Co,V,Wを複合して添加した場合は、複合添加
による局部腐食の発生抑制効果が十分に発揮されるよう
に、Cr量を5mass%超, 8mass%未満とするのが好適で
ある。より好適な成分範囲は、Cr量が5mass%超,7.5
mass%未満で、W量が 0.005〜0.03mass%である。この
ような成分範囲に調整することにより、局部腐食の発生
が効果的に抑制され、長期間の使用に伴う強度低下をよ
り低く抑えることが可能となる。
【0029】Ni:0.01〜3.0 mass% Niは、延性、じん性を向上させる元素であり、本発明で
は特に溶接部のじん性を向上させるために添加する。し
かしながら、含有量が0.01mass%に満たないとその添加
効果に乏しく、一方 3.0mass%を超えて添加しても効果
は飽和に達し、むしろ素材が硬質化して加工性が劣化す
るため、Ni量は0.01〜3.0 mass%の範囲に限定した。
【0030】Al:0.1 mass%以下 Alは、脱酸剤として作用する元素であるが、多量に含有
すると酸化物系介在物が増加し、製鋼段階でのノズル詰
まり等の原因となったり、へげ等の表面欠陥の原因とな
り耐食性の低下を招く。このためAl量は 0.1mass%以下
に限定した。
【0031】P:0.05mass%以下 Pは、熱間加工の際に割れを誘発し、また耐食性に対し
ても有害な元素であるが、含有量が0.05mass%までなら
その悪影響が顕著とならず許容できるので、P量は0.05
mass%に制限した。より好ましくは0.03mass%以下であ
る。
【0032】S:0.03mass%以下 Sは、硫化物を形成し、鋼の清浄度を低下させるだけで
なく、MnSを形成して発銹の起点となる。また、Sは、
結晶粒界に偏析し粒界脆化を惹起する有害な元素でもあ
るので、できるだけ低減するのが好ましい。しかしなが
ら、0.03mass%以下であれば、その悪影響が顕著となら
ず許容できる。
【0033】Co:0.010 〜1.0 mass% Coは、本発明の骨子となる元素であり、10mass%未満の
低Cr含有鋼に対し、微量添加することで、溶接部じん性
が著しく改善される。また、Coを添加しない場合に比
べ、耐長期間腐食性も改善される。しかしながら、含有
量が 0.010mass%未満ではその効果が得られず、一方
1.0mass%を超えて添加すると素材が硬質化し加工性が
劣化するので、Co量は 0.010〜1.0 mass%の範囲に限定
した。より好ましい添加範囲は 0.030〜1.0 mass%であ
る。
【0034】Co添加による溶接部じん性の改善効果は、
Co添加に伴うオーステナイト生成能の増加によって溶接
熱影響部にマルテンサイト相が形成し易くなり、しかも
その硬化能がC,N等を添加した場合に比べて小さいこ
とによるものと考えられる。また、Co添加によって耐長
期間腐食性が改善される機構は明らかではないが、長期
間腐食において、最も強度低下の原因となる局部的かつ
急激な腐食に対し、鋼板表面あるいはスケール中に濃化
したCoが有効に働き、被腐食面全体が均一に腐食される
ようになるためと考えられる。
【0035】以上、必須成分および抑制成分について説
明したが、本発明では、その他にも以下の元素を適宜含
有させることができる。V:0.01〜0.5 mass%、W:0.
001 〜0.05mass%で、かつ Z値(〔%Co〕+ 1.5〔%V〕+ 4.8〔%W〕)=0.03
〜1.5 Co,VおよびWは、本発明において特に重要な元素であ
る。これまで、溶接熱影響部の溶接割れ感受性を改善す
るためには、PCM{=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20
+Ni/60+Mo/15+V/10+5B}あるいはNi当量、Cr
当量といった値の適正化が検討されてきた。このため、
溶接熱影響部の特性改善に加え、耐腐食性および延性・
加工性の改善を図るために、これらのパラメータに大き
く影響するCr,Mo,Niや、C,N,Nb,Tiといった元素
に注目した検討が行われてきた。しかしながら、Coおよ
びWについては、耐食性やフェライト相、オーステナイ
ト相の安定性に影響を与えるにもかかわらず、PCMある
いはNi当量、Cr当量といったパラメータに及ぼす影響
や、熱延ままあるいは熱延後脱スケールままの鋼板の耐
長期間腐食性に及ぼす影響について、詳細な検討が行わ
れていなかった。本発明では、熱延ままあるいは熱延後
脱スケールままの鋼板の耐長期間腐食性に及ぼすCo,
V,Wの影響、特にこれらを複合して添加した場合の効
果を定量的に評価し、これら元素の適正な添加範囲およ
び適正比率を明らかにした。
【0036】これら3元素の効果の指標となるZ値は、
耐長期間腐食性の指標となる値で、先に述べたように、
このZ値が0.03以上となるようにCo,V,Wを複合添加
することによって所望の効果が得られる。ここに、これ
ら3元素の複合添加によって耐長期間腐食性が改善され
る機構は明らかではないが、長期間腐食において、最も
強度低下の原因となる局部的かつ急激な腐食に対して、
鋼板表面あるいはスケール中に濃化したCo,V,Wが有
効に働き、被腐食面全体が均一に腐食されるようになっ
たためと考えられる。一方、Z値が 1.5を超えるような
添加を行った場合、耐長期間腐食性の効果は飽和する
上、硬質化により加工性がかえって低下する。このた
め、Z値は0.03〜1.5 の範囲に限定した。より好ましく
は0.05〜1.0 の範囲である。
【0037】また、V,Wの含有量はそれぞれ、V:0.
01〜0.5 mass%,W:0.001 〜0.05mass%に限定する必
要がある。というのは、上記したZ値が適正範囲 (0.03
≦Z≦1.5)を満足していても、各々の含有量が下限値を
下回ると複合添加による効果が得られず、一方Vの添加
量が 0.5mass%、またWの添加量が0.05mass%を超える
と、炭化物の析出が著しくなり、母材および溶接熱影響
部のじん性が著しく低下するからである。より好ましい
添加量は、V:0.05〜0.3 mass%、W:0.005〜0.03mas
s%である。
【0038】このように、本発明による低Cr含有鋼への
Co添加による溶接熱影響部のじん性改善効果、およびC
o,V,Wの複合添加による耐長期間腐食性向上効果を
利用することにより、高価なNi,Cu,Cr,Moなどの元素
を極端に増量することや、Nb,Tiの添加あるいはC,N
の低減といったコストアップの要因を増やすことなし
に、溶接部じん性と、熱延ままあるいは熱延後脱スケー
ルままの状態での耐長期間腐食性との両立が可能となっ
たのである。
【0039】Cu:3.0 mass%以下 Cuは、耐食性を向上させる元素であり、高い耐食性を必
要とする場合に添加することが有効である。しかしなが
ら、3.0 mass%を超えて添加すると、熱間圧延等におけ
る熱間割れのおそれが生じるため、Cuは 3.0mass%以下
で含有させるものとした。なお、より好ましくは効果が
顕著となる 0.1mass%を下限とし、1.0mass%以下で含
有させることが望ましい。
【0040】Mo:3.0 mass%以下 Moは、Cu同様、耐食性の改善に有効な元素である。しか
しながら、3.0 mass%を超えて添加すると、加工性が低
下するだけでなく、オーステナイト相の安定性が低下
し、特に溶接熱影響部のじん性が低下する。このため、
Moは 3.0mass%以下で含有させるものとした。なお、加
工性と耐食性の両立という観点からは 0.1〜1.0 mass%
の範囲が好適である。
【0041】B:0.0002〜0.0030mass% Bは、焼入れ性の向上を通じて特に溶接熱影響部のじん
性改善に効果がある。しかしながら、含有量が0.0002ma
ss%未満ではその効果に乏しく、一方0.0030mass%を超
える添加では、硬化が大きくなり、母材、溶接熱影響部
とも、じん性および加工性が損なわれる。このため、B
は0.0002〜0.0030mass%の範囲で含有させるものとし
た。なお、より好ましい添加範囲は0.0005〜0.0010mass
%である。
【0042】次に、本発明鋼の好適製造方法について説
明する。まず、上記の好適成分組成に調整した溶鋼を、
転炉または電気炉等の通常の溶製法にて溶製したのち、
真空脱ガス(RH法)、VOD法、AOD法等の公知の
精練方法で精錬し、ついで連続鋳造あるいは造塊−分塊
法でスラブ等に鋳造して鋼素材とする。ついで、鋼素材
は、加熱され、熱間圧延工程により鋼板、形鋼、棒鋼等
の所定の形状の鋼材とされる。熱間圧延工程における加
熱温度は特に限定しないが、加熱温度が高すぎると結晶
粒の粗大化を招き、じん性・加工性が劣化するばかりで
なく、δフェライトが生成し熱間圧延時に割れが生じ易
くなる場合がある。一方、加熱温度が低すぎると圧延が
困難となる。このため加熱温度は1000〜1300℃程度とす
るのが好ましい。また、熱間圧延工程では所定の板厚・
寸法の鋼材とすることができればよく、熱間圧延条件は
特に限定されないが、熱間圧延の仕上温度は 800〜1100
℃とするのが生産性の面から好ましい。
【0043】熱間圧延後の鋼材は、そのまま、あるいは
その後ショットブラスト、酸洗等による脱スケール処理
を行ったのち、製品となる。必要に応じ、防錆剤等を熱
延まま、あるいは脱スケール処理後の鋼材表面に塗布し
てもよい。また、より軟質な材料とする場合には、熱間
圧延後に 600〜900 ℃に加熱・保持するバッチ式あるい
は連続式の熱延板焼鈍を施してもよい。さらに、表面の
硬質化あるいは表面粗さの低減や表面光沢を必要とする
場合などは、脱スケール処理後に調質圧延により冷間で
の軽圧下を施すことは有利である。製品となる鋼材は、
そのまま構造用鋼材として用いることができ、また熱間
圧延により得られる鋼板を必要に応じて角状あるいは円
筒状のパイプ、各種形鋼等の素材として用いることもで
きる。
【0044】
【実施例】実施例1 表1に示す成分組成の溶鋼を、転炉−2次精錬工程で溶
製し、連続鋳造法でスラブとした。これらのスラブを、
加熱後、熱間圧延により板厚:4mmおよび板厚:5.5 mm
の熱延板とした。スラブ加熱温度は1100〜1200℃、熱間
圧延の仕上温度は 800〜1050℃、巻き取り温度は 600〜
900 ℃であった。また、得られた熱延板の一部は脱スケ
ール処理を行った。これらの鋼板から試験片を採取し、
引張試験、腐食試験および溶接試験を行い、強度、伸
び、耐長期間腐食性および溶接部じん性について評価し
た。
【0045】測定方法は次のとおりである。 (1) 強度、伸び 板厚:4mmの熱延板(脱スケール材を含む)から、引張
方向が圧延方向に平行になるようJIS 13号B試験片 (JI
S Z 2201)を採取し、引張試験を実施して、伸び(El)
および引張強さ(TS)を測定した。
【0046】(2) 耐長期間腐食性 板厚:4mmの熱延板(脱スケール材を含む)に対し、塩
水噴霧(0.1mass%NaCl,35℃,3h)→乾燥(60℃,3
h )→湿潤(50℃,2h)を1サイクルとする腐食試験
を 300サイクル行った。この試験方法により、100 年使
用後相当における耐腐食性を評価することができる。腐
食試験後の鋼板から引張方向が圧延方向に平行になるよ
うJIS 13号B試験片を採取して引張試験を実施し、次式
により腐食に伴う強度低下を求めた。 △TS=〔(Pmax0−Pmax)/Pmax0〕×100 (%) ここで、Pmax0:腐食試験前の鋼板を用いた引張試験に
おける最高荷重点での荷重 Pmax :腐食試験後の鋼板を用いた引張試験における最
高荷重点での荷重
【0047】(3) 溶接部じん性 板厚:5.5 mmの熱延板(脱スケール材を含む)より、溶
接方向が鋼板の圧延方向に垂直な方向になるようにI開
先を作製し、1.2 mmφの Y309Lタイプ溶接ワイヤを用
い、半自動MAG溶接機により溶接継手を作製し、溶接
熱影響部のじん性を評価した。溶接条件は、雰囲気ガ
ス:Ar (流量:15リットル/min) +CO2(流量:4リット
ル/min)、電圧:20〜30V、電流:200 〜250 A、ギャ
ップ:2〜3mm、溶接速度:30〜60 cm/min の1パス溶
接とした。得られた溶接継手から、図2に示したよう
に、Vノッチ先端位置が止端部から1mm溶接金属側の位
置となるように、かつ衝撃方向が溶接方向に一致するよ
うに、2mmVノッチ−サブサイズシャルピー試験片(JI
S Z 2202) を採取し、−50℃における吸収エネルギーを
測定した。なお、Vノッチ先端位置における溶接金属部
と母材部との比率a:bはおよそ1:4であった。ま
た、溶接金属が母材から盛り上がる部分は研削除去して
試験片を作製した。得られた結果を表2に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】表2に示したとおり、本発明の成分組成範
囲を満足する発明例は、 vE-50 が174 J/cm2 以上と良
好な溶接部じん性を有し、同時に 100年使用後相当での
強度低下が10%以内であり、良好な耐長期間腐食性を有
することがわかる。これに対し、比較例は、発明例に比
べると溶接部じん性や耐長期間腐食性に劣っている。
【0051】実施例2 表3に示す成分組成の溶鋼を、実施例1と同様に処理し
て得られた熱延鋼板から試験片を採取し、実施例1と同
様の方法で引張試験、腐食試験および溶接試験を行い、
強度、伸び、耐長期間腐食性および溶接部じん性につい
て評価した。得られた結果を表4に示す。
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】表4に示したとおり、本発明の成分組成範
囲を満足する発明例は、良好な溶接部じん性を有し、同
時に 100年使用後相当での強度低下が5%以内であり、
極めて良好な耐長期間腐食性を有することが分かる。こ
れに対し、比較例は、発明例に比べると溶接部じん性お
よび耐長期間腐食性とも劣っていた。
【0055】
【発明の効果】かくして、本発明によれば、溶接部じん
性に優れるだけでなく、熱延ままあるいは熱延後脱スケ
ールままの使用において耐長期間腐食性に優れたCr含有
鋼を安定して得ることができる。また、本発明のCr含有
鋼は、建築・土木構造用材料としての用途をはじめとす
る、安価な材料の提供に対する要求に応えるものであ
り、またライフサイクルコストを大幅に低減することも
でき、その工業的利用価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 溶接部じん性に及ぼすCo添加量の影響を示し
たグラフである。
【図2】 シャルピー試験片のVノッチ先端位置と溶接
部との位置関係を示した図である。
【図3】 長期間腐食に伴う強度低下とZ値との関係を
示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平澤 淳一郎 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 古君 修 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.0015〜0.02mass%、 N:0.0015〜0.02mass%、 Si:0.1 〜1.0 mass%、 Mn:0.1 〜3.0 mass%、 Cr:5mass%超,10mass%未満、 Ni:0.01〜3.0 mass%、 Al:0.1 mass%以下、 P:0.05mass%以下および S:0.03mass%以下 を含み、さらに Co:0.010 〜1.0 mass% を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成にな
    り、耐長期間腐食性および溶接部じん性に優れることを
    特徴とする建築・土木構造用のCr含有耐腐食鋼。
  2. 【請求項2】 請求項1において、Cr含有量が5mass%
    超,8mass%未満で、さらにVおよびWを、それぞれ
    V:0.01〜0.5 mass%、W:0.001 〜0.05mass%の範囲
    で、かつ下記 (1)式で表されるZ値が0.03≦Z≦1.5 を
    満足する範囲において含有する組成になり、耐長期間腐
    食性および溶接部じん性に優れることを特徴とする建築
    ・土木構造用のCr含有耐腐食鋼。 記 Z値=(〔%Co〕+ 1.5〔%V〕+ 4.8〔%W〕) --- (1) ここで、〔%Co〕,〔%V〕,〔%W〕は各元素の含有
    量(mass%)
  3. 【請求項3】 請求項2において、CrおよびW含有量が
    それぞれ、Cr:5mass%超,7.5 mass%未満、W:0.00
    5 〜0.03mass%である、耐長期間腐食性および溶接部じ
    ん性に優れることを特徴とする建築・土木構造用のCr含
    有耐腐食鋼。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかにおいて、鋼
    が、さらに Cu:3.0 mass%以下およびMo:3.0 mass%以下 のうちから選んだ1種または2種を含有する組成にな
    り、耐長期間腐食性および溶接部じん性に優れることを
    特徴とする建築・土木構造用のCr含有耐腐食鋼。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかにおいて、鋼
    が、さらに B:0.0002〜0.0030mass% を含有する組成になり、耐長期間腐食性および溶接部じ
    ん性に優れることを特徴とする建築・土木構造用のCr含
    有耐腐食鋼。
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WO2015192391A1 (zh) * 2014-06-18 2015-12-23 江苏省沙钢钢铁研究院有限公司 一种钢筋及其制备方法
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