JP2002273690A - 回転切断用円形刃物、フィルム切断装置およびフィルム切断方法 - Google Patents

回転切断用円形刃物、フィルム切断装置およびフィルム切断方法

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JP2002273690A
JP2002273690A JP2001080342A JP2001080342A JP2002273690A JP 2002273690 A JP2002273690 A JP 2002273690A JP 2001080342 A JP2001080342 A JP 2001080342A JP 2001080342 A JP2001080342 A JP 2001080342A JP 2002273690 A JP2002273690 A JP 2002273690A
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blade
cutting
film
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lower blade
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Takeshi Shimizu
丈司 清水
Kazumasa Nishiwaki
一雅 西脇
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NEC Corp
NEC Engineering Ltd
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NEC Corp
NEC Engineering Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 刃同士でダメージを与え合うことが軽減さ
れ、切れ味の低下が少なく、寿命の長い回転切断用円形
刃物を提供する。 【解決手段】 回転切断用円形刃物の上刃には、刃先の
下刃と接触する面に、回転軸に対して垂直で、かつ回転
軸方向に長さが0.0031〜0.0047D(Dは上
刃の外径)のフラット面を設け、前記フラット面を残し
て1〜3°の逃げ角を設け、刃先角度を70〜80°と
し、下刃には、3〜5°の逃げ角を設け、外周面を回転
軸に対して平行なフラット面とする。この回転切断用円
形刃物を用いて、カバーフィルム、フィルム、ベースフ
ィルムの3層からなるラミネータ用フィルムのカバーフ
ィルム剥離後、2層になったフィルムに一定のテンショ
ンを掛け、切断速度と上刃と下刃の周速度を同じにして
テンション方向に対して垂直にフィルムの切断を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、上刃と下刃を回転
させて、フィルム等の硬度が低く、粘性、展性が高い素
材を切断する回転切断用円形刃物に関し、さらにこの回
転切断用円形刃物を用いたフィルム切断装置およびフィ
ルム切断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示パネルやプラズマディスプレイ
パネル(以下、PDPという)やプリント基板の製造工
程には、基板の上にフォトレジストを形成し、マスクを
用いて露光して現像し、レジストを除去して電極等を形
成する工程がある。基板の上へのフォトレジストの形成
には、基板上に液状の感光性樹脂を塗布する方法と感光
性のフィルムを貼り付ける方法が用いられている。
【0003】基板上に感光性のフィルムを貼り付ける方
法では、カバーフィルム、フィルム、ベースフィルムの
3層からなる感光性のラミネート用フィルムを、カバー
フィルムの剥離後、一定の幅と長さに切断された基板上
に貼り付けた後、ラミネート用フィルムを切断してい
る。
【0004】このラミネート用フィルムの切断には、従
来、1枚の回転する円形刃が用いられている。ラミネー
タ用フィルムのカバーフィルムの剥離後、2層になった
フィルムに一定のテンションを掛け、テンション方向に
対して垂直にフィルムの切断を行うフィルム切断装置を
用いて、1枚の回転する円形刃によって切断している。
【0005】また、PDPの製造工程には、PDPのガ
ラス基板に電極を形成する工程があり、この工程では、
従来、感光性物質を印刷によりガラス基板上に形成する
方法が用いられていたが、近年、ガラス基板の上に感光
性フィルムを貼り付けた後、フィルムを切断する方法が
用いられてきている。図8は、PDPにおける露光、現
像、焼成の工程を示す図である。ガラス基板上に厚さ約
30μmの感光性銀シートを張り付け、ガラス基板毎に
感光性銀テープを切断した後、マスクを用いて紫外線を
数10秒間照射して露光し、炭酸ナトリウム(Na2
3 )等の現像液をスプレーして現像し、焼成を行う。
【0006】さらに、PDPの製造工程では、ガラス基
板に誘電体層形成する工程においても、ガラス基板上に
誘電体シートを貼り付け、シートを切断する方法が用い
られてきている。この工程では、ガラス基板に誘電体シ
ートを貼り付けた後に、誘電体シートを切断し、露光・
現像等を行わずに焼成を行う。
【0007】上述のように、PDPの製造工程では、ガ
ラス基板の上に感光性フィルムや誘電体シートを貼り付
けた後、感光性フィルムや誘電体シートを切断する方法
が用いられるが、この感光性フィルムや誘電体シート
は、粘性が高く、また、金属やガラス粉が入っているた
め、従来の1枚の回転する円形刃では、切断が困難であ
る。そのため、感光性フィルムや誘電体シートをガラス
基板上に貼り付けた後、2枚の回転する円形刃によっ
て、ラミネートフィルムを切断するのが好ましいと考え
られている。また、従来のレジスト用フィルムにも適用
でき、高寿命化できる。
【0008】被切断物を上下2枚の回転円形刃によって
切断する従来例が、実用新案登録第2566610号に
記載されている。図9は、同公報に記載の回転円形刃物
の背面図であり、図10は、同公報に記載の回転円形刃
物の上下刃の組み合わせの断面図である。
【0009】回転円形刃物の上刃61は下刃62と接触
面深さiで重なり合っており、下刃62は、上刃61に
接触線63で線接触している。
【0010】上刃61をセラミックにより成形し、下刃
62を高硬度の粉末工具鋼により成形し、上刃61のビ
ッカーズ硬度をHv1200〜Hv1500とし、下刃
62のビッカーズ硬度をHv900〜Hv1100と
し、上刃61の表面荒さを刃側面は0.05S以下と
し、外周面は0.1S以下とし、下刃62の刃面は0.
2S以下とし、上刃61の刃先角度hを90度とし、下
刃62には若干の逃げを付けた組み合わせの構成として
いる。
【0011】または、下刃62の材質と上刃61の材質
が逆の場合もある。表1に上刃と下刃の組み合わせを示
す。
【0012】
【表1】
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の回転円
形刃物では、上刃、下刃共材質に高強度、低靱性(もろ
く欠けやすい)の素材を用いていたため、刃同士でダメ
ージを与え合う。これは片側の刃にチッピングが発生す
るとチッピングの溝に相手側の刃のエッジ部が当たり、
双方共に低靱性であるためダメージ(チッピングまたは
欠損の発生)を受け易い。このため、1カ所でもチッピ
ングが発生すると刃全周にチッピング、欠損が発生す
る。
【0014】従来の回転円形刃物における刃先形状は上
刃、下刃共90度(被切断物と平行)である。これは、
被切断物が金属箔等の硬度がある素材に対し有効であ
る。しかし、ラミネータにおける被切断物はフィルムま
たはシート等の剛性が低い(切断面状態が悪い)素材で
あり、刃先端が90度では、切断性が悪くなる傾向にあ
る。特に、チッピング、欠損が進むことで刃が噛み合わ
ない部分が発生し、ささくれおよび変形の原因となる。
【0015】本発明の目的は、刃同士でダメージを与え
合うことが軽減され、切れ味の低下が少なく、寿命の長
い回転切断用円形刃物、およびこの刃物を用いたフィル
ム切断装置およびフィルム切断方法を提供することにあ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、上刃と下刃の
2枚の回転する円形刃からなる回転切断用円形刃物にお
いて、上刃は、刃先の下刃と接触する面に、回転軸に対
して垂直で、かつ回転軸方向に長さが0.0031〜
0.0047D(Dは上刃の外径)のフラット面が設け
られ、前記フラット面を残して1〜3°の逃げ角が設け
られ、刃先角度が70〜80°であり、下刃は、3〜5
°の逃げ角が設けられ、外周面が回転軸に対して平行な
フラット面であることを特徴とする。
【0017】また、本発明は、前記回転切断用円形刃物
を用いて、カバーフィルム、フィルム、ベースフィルム
の3層からなるラミネータ用フィルムのカバーフィルム
剥離後、2層になったフィルムに一定のテンションを掛
け、切断速度と上刃と下刃の周速度を同じにしてテンシ
ョン方向に対して垂直にフィルムの切断を行うことを特
徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0019】本発明の回転切断用円形刃物は、カバーフ
ィルム、フィルム、ベースフィルムの3層からなるラミ
ネータ用フィルムの切断に用いられ、上側円形刃(以
下、上刃という)と下側円形刃(以下、下刃という)に
より構成される。図1は、本発明の回転切断用円形刃物
の実施の形態を示す断面図である。図1(a)は上刃の
断面図であり、図1(b)は下刃の断面図である。
【0020】上刃の刃先には、下刃と接触する面に回転
軸に対して垂直で、かつ回転軸方向に長さaが0.00
3〜0.005D(Dは上刃の外径)のフラット面1が
設けられている。また、上刃には、フラット面1を残し
て1〜3°(下刃の逃げ角−2°)の逃げ角bが設けら
れており、さらに、内面2と外周面3とのなす角である
刃先角度cを70〜80°とする。dは上刃の幅であ
る。
【0021】下刃には、3〜5°の逃げ角eが設けられ
ており、外周面4を回転軸に対して平行なフラット面と
し、さらに、内面5と外周面4とのなす角である刃先角
度を90°とする。fは下刃の幅である。
【0022】上刃には、高速度鋼等の炭素工具鋼が用い
られ、下刃には、サーメット、超微粒子超硬合金等の粉
末工具鋼が用いられ、それぞれ下記の式1および式2が
成り立つものとする。
【0023】 上刃の硬度 < 下刃の硬度 (式1) 上刃破壊靱性 > 下刃破壊靱性 (式2) 図2は、上刃と下刃の組み合わせの背面図である。上刃
の刃先にはフラット面1が設けられ、さらにフラット面
1を残して逃げ角が設けられているため、下刃の刃先が
上刃の刃先フラット面1上の2カ所で、上下刃接触線
6,7により接触する。
【0024】図3は、上下刃の刃先部の組み合わせの断
面図であり、図4は、刃先部の拡大した組み合わせの断
面図である。図3および図4ににおいて、上刃と下刃の
重なり部分であるの接触面深さgが0.023〜0.0
31D(Dは上刃の外径)であり、上刃の下刃への接触
圧力が1.5〜2.0kgfとなるように組み合わせ
る。被切断物であるフィルムと回転刃の位置関係は、フ
ィルム下面が下刃の外周面4と同一となる位置とする。
【0025】本発明の回転切断用円形刃物は、上刃と下
刃に逃げ角が設けられているため、上刃と下刃の接触す
る部分の長さが極めて短く、2点の点接触とみなせるた
め、下刃の上刃へのダメージが軽減される。したがっ
て、従来の刃より寿命が長くランニングコストの低減が
できる。
【0026】また、上刃の刃先にはフラット面が設けら
れているので、上刃と下刃の接触圧力を調整することに
よって、下刃がこのフラット面を研磨するような効果を
得られるということで切れ味の低下が少ないという利点
がある。
【0027】また、本発明に係る被切断物はフィルムま
たはシートである。フィルムまたはシートの切断は、上
述した従来の回転円形刃物における被切断物である金属
箔等と比較すると硬度が低く、粘性、展性が高いので切
断しずらい(切断面状態が悪い)。このため、刃先を鋭
角とすることで切断性の向上を図っている。しかし、刃
先を鋭角とすることで刃の強度は低下する。この対策と
して、下刃による上刃の研磨効果を用い、先端部の鋭利
さを維持し、刃先の劣化を防いでいる。この方法で実験
を行った結果、刃先角度70〜80度の場合に切れ味の
低下が少なく、長寿命であった。
【0028】次に、表2に、使用する材料と刃先形状の
組み合わせ例を示す。
【0029】
【表2】
【0030】上刃には、ビッカーズ硬度Hv700〜1
000kgf/mm2 、破壊靱性H>13MN/m3/2
の高速度鋼を用い、刃先形状を刃先角度70〜80°、
逃げ角1〜3°、他刃との接触面(フラット面)0.2
〜0.3mmとする。
【0031】下刃には、ビッカーズ硬度Hv1400〜
2000kgf/mm2 、破壊靱性H≦11MN/m
3/2 のサーメット、またはビッカーズ硬度Hv1400
〜2000kgf/mm2 、破壊靱性H≦13MN/m
3/2 の超微粒子超硬合金を用い、刃先形状を刃先角度9
0°、逃げ角3〜5°とした。
【0032】上刃と下刃の硬度には、次の式3が成り立
つものとする。
【0033】 (上刃のビッカーズ硬度)=k(下刃のビッカーズ硬度) (式3) k=0.3〜0.7 また、上刃と下刃の接触面深さを1.5〜2.0mmと
し、上刃と下刃の接触圧力を1.5〜2.0kgfとす
る。
【0034】次に、本発明の回転切断用円形刃物を用い
た切断装置について説明する。図5は、本発明の回転切
断用円形刃物を用いたフィルム切断装置の切断ヘッド部
の構造を示す断面図である。
【0035】切断ヘッド部は、上刃機構21と、下刃機
構31により構成される。上刃機構21は、回転軸22
と、上刃23と、ラックギア24と、ピニオンギア2
5,26と、上刃ホルダ27と、ガイド28、スプリン
グ30と、により構成され、下刃機構31は、回転軸3
2と、下刃33と、ラックギア34と、ピニオンギア3
5,36と、下刃ホルダ37と、ガイド38により構成
される。
【0036】回転軸22の一方の端部には上刃23が取
り付けられており、回転軸22の他方の端部にはピニオ
ンギア26が取り付けられている。上刃23は、スプリ
ング30によって図5のX方向に圧力が加えられてお
り、この圧力によって上刃23は、下刃33の刃先側に
接触圧力が加えられている。
【0037】ラックギア24は、図示しない保持装置に
よって固定され、ピニオンギア25と噛み合っている。
ピニオンギア25は、さらにピニオンギア26と噛み合
っており、上刃機構21が切断動作をすることによっ
て、ピニオンギア26が駆動されて回転軸22が回転
し、回転軸22に取り付けられた上刃23が回転する。
【0038】回転軸22は、回転軸受け29によって上
刃ホルダ27によって保持されており、上刃ホルダ27
の上部は、内部をガイド28が貫通している。上刃機構
21は、このガイド28上を移動する。
【0039】また、回転軸32の一方の端部には下刃3
3が取り付けられており、回転軸32の他方の端部には
ピニオンギア36が取り付けられている。
【0040】ラックギア34は、図示しない保持装置に
よって固定され、ピニオンギア35と噛み合っている。
ピニオンギア35は、さらにピニオンギア36と噛み合
っており、下刃機構31が切断動作をすることによっ
て、ピニオンギア36が駆動されて回転軸32が回転
し、回転軸32に取り付けられている下刃33が回転す
る。
【0041】回転軸32は、回転軸受け39によって下
刃ホルダ37によって保持されており、下刃ホルダ37
の上部は、内部をガイド38が貫通している。下刃機構
31は、このガイド38上を移動する。
【0042】吸着プレート48,49からなるシート等
の送りおよび保持機構を配置するため、回転軸22と回
転軸32の間にある程度の空間が必要となる。このこと
から、上下刃の間隔および刃の径が決定し、回転軸22
と回転軸32の間が62.5mmであれば、上刃および
下刃の外径は、64mmとなる。また、シート保持間隔
は狭いほどシートに掛かる負荷が軽く、望ましい。この
ため、本発明の条件下(外径、素材、機構)で使用する
際の精度維持可能な最小幅としている。
【0043】図6は、フィルム切断装置の正面図であ
り、図7は、フィルム切断装置の平面図である。
【0044】プーリ41とプーリ42は、連結棒45に
よって結合されており、ベルトまたはワイヤ51を介し
て駆動モータ50によって駆動される。プーリ41とプ
ーリ43の間にはベルトまたはワイヤ46が架けられて
おり、プーリ42とプーリ44の間にはベルトまたはワ
イヤ47が架けられている。
【0045】ベルトまたはワイヤ46には上刃機構21
が固定されており、上刃機構21は、ベルトまたはワイ
ヤ46の移動と共にガイド28上を移動する。同様に、
ベルトまたはワイヤ47には下刃機構31が固定されて
おり、下刃機構31は、ベルトまたはワイヤ47の移動
と共にガイド38上を移動する。この時、プーリ41と
プーリ42が連結棒45によって結合されているため、
上刃機構21と下刃機構31は同期して移動する。
【0046】ラックギア24には上刃機構21の図示し
ないピニオンギアが噛み合っており、上刃機構21が移
動することによって、ピニオンビアと同じ回転軸に取り
付けられた上刃23が回転する。また、ラックギア34
には下刃機構31の図示しないピニオンギアが噛み合っ
ており、下刃機構31が移動することによって、ピニオ
ンギアと同じ回転軸に取り付けられた下刃33が回転す
る。
【0047】吸着プレート48,49は、被切断物であ
るワーク(フィルムまたはシート)を切断時に固定する
ためのものである。フィルムまたはシート52が搬入さ
れると、フィルムまたはシート52を吸着プレート48
(固定)および吸着プレート49(可動)で吸着した
後、吸着プレート49を移動させることによりフィルム
またはシート52に張力(5〜20kgf/m)を与え
る。
【0048】この状態で駆動モータ50を作動させるこ
とにより、待機位置Aに停止していた上刃機構21およ
び下刃機構31からなる切断ヘッドが切断方向に動作
し、切断を開始する。この時、上刃23および下刃33
も、下記の式4の条件を満たす所定回転数および方向
(図6の場合、上刃:時計回り、下刃:反時計回り)で
回転する。
【0049】 切断速度 = 刃の周速度 (式4) この条件を満たすことによって刃とフィルムとの間の摩
擦を無くすことができる。切断速度と刃の周速度が等し
くないときには、刃とフィルムとの間の摩擦によって切
れ味が悪くなる。
【0050】待機位置Bに達すると駆動モータ50は停
止し、切断動作を終了する。この状態でワーク搬入、吸
着、張力を与えた後、駆動モータ50を上記と逆回転さ
せることにより待機位置Bから待機位置Aへの切断動作
を行う。
【0051】表3は、実験に使用された上刃および下刃
の素材と組み合わせ例を示しており、表4は、組み合わ
せによる寿命評価を示している。表3に示す上刃、下刃
の素材および組み合わせにより、シート幅1000m
m、シート厚75μmの感光性樹脂を切断速度1000
mm/sで切断する実験を行った。上刃には、外径Dが
64mm、フラット面長さaが0.3mm、逃げ角bが
3°、刃先角度cが75°、幅dが1.4mmのものを
用い、下刃には、外径Dが64mm、逃げ角eが5°、
幅dが3.0mmのものを用いた。
【0052】表4は、上刃が20000回切断したとき
の状態を示しており、下刃が40000回切断したとき
の状態を示している。
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】上刃には、ビッカーズ硬度Hv772kg
f/mm2 、破壊靱性H>13MN/m3/2 のSKH5
1(高速度鋼)、またはビッカーズ硬度Hv1250k
gf/mm2 、破壊靱性H6.7MN/m3/2 のジルコ
ニアを用いた。
【0056】下刃には、ビッカーズ硬度Hv1250k
gf/mm2 、破壊靱性H6.7MN/m3/2 のジルコ
ニア、ビッカーズ硬度Hv1650kgf/mm2 、破
壊靱性H8.5MN/m3/2 のサーメット、またはビッ
カーズ硬度Hv1800kgf/mm2 、破壊靱性H1
3MN/m3/2 の超微粒子超硬合金を用いた。
【0057】表4の結果から、上刃または下刃のいずれ
か一方、または上刃および下刃の両方にジルコニアを用
いた場合には、刃に欠損が発生するが、上刃にSKH5
1を用い、下刃にサーメットまたは超微粒子超硬合金を
用いた場合には、刃に欠損が発生せず、長寿命化するこ
とが分かった。
【0058】以上の実験結果から表4より長寿命化が効
率よく得られるのは、上記の式1および式2の条件を満
たす場合であることが分かる。
【0059】また、本条件にて運用する際、制作条件
(硬度、靱性)を限定することにより、寿命管理を行う
ことが可能となる。
【0060】表5は、従来方式と本発明との比較を示し
ている。
【0061】
【表5】
【0062】本発明は、上刃の材質を、従来の2枚回転
刃方式におけるセラミック材から高速度鋼とすることで
刃の制作コストが低減(セラミックの約40%減)でき
る。また、高速度鋼はセラミックより硬度が低いため下
刃へのダメージが軽減され、上刃の寿命に対し、下刃は
倍程度となる。
【0063】なお、上述した実施の形態では、ラミネー
ト用フィルムを切断する回転切断用円形刃物について説
明したが、この発明は、ラミネート用フィルムを切断す
る場合に限るものではなく、あらゆるフィルムおよびシ
ートの切断に用いることができるものである。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、上刃の
刃先に、回転軸方向に長さが0.0031〜0.004
7D(Dは上刃の外径)のフラット面を設けることによ
って、上刃と下刃との接触面を少なくし、かつ接触圧を
軽減することにより、下刃が上刃を研磨する効果が得ら
れる。このため、上刃は常時最適の刃先状態を保つこと
ができ、切れ味の低下が少ない。
【0065】また、本発明は、上刃の硬度が下刃より低
いため下刃へのダメージが軽減され、上刃の寿命に対
し、下刃は倍程度となる。また、上刃の材質を価格の安
い高速度鋼とすることで刃の制作コストが低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回転切断用円形刃物の実施の形態を示
す断面図である。
【図2】上刃と下刃の組み合わせの背面図である。
【図3】上下刃の刃先部の組み合わせの断面図である。
【図4】刃先部の拡大した組み合わせの断面図である。
【図5】本発明の回転切断用円形刃物を用いたフィルム
切断装置の切断ヘッド部の構造を示す断面図である。
【図6】フィルム切断装置の正面図である。
【図7】フィルム切断装置の平面図である。
【図8】PDPにおける露光、現像、焼成の工程を示す
図である。
【図9】従来の回転円形刃物の背面図である。
【図10】従来の回転円形刃物の上下刃の組み合わせの
断面図である。
【符号の説明】
1 フラット面 2,5 内面 3,4 外周面 6,7 上下刃接触線 21 上刃機構 22,32 回転軸 23 上刃 24,34 ラックギア 25,26,35,36 ピニオンギア 27 上刃ホルダ 28,38 ガイド 29,39 回転軸受け 30 スプリング 31 下刃機構 33 下刃 37 下刃ホルダ 41,42,43,44 プーリ 45 連結棒 46,47,51 ベルトまたはワイヤ 48,49 吸着プレート 50 駆動モータ 52 フィルムまたはシート a フラット面長さ b,e 逃げ角 c,h 刃先角度 d,f 幅 g,i 接触面深さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西脇 一雅 東京都港区芝浦三丁目18番21号 日本電気 エンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 3C021 JA03 JA09 3C027 RR01 RR03 RR06 UU01 UU06 VV04

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上刃と下刃の2枚の回転する円形刃からな
    る回転切断用円形刃物において、 上刃は、刃先の下刃と接触する面に、回転軸に対して垂
    直で、かつ回転軸方向に長さが0.0031〜0.00
    47D(Dは上刃の外径)のフラット面が設けられ、前
    記フラット面を残して1〜3°の逃げ角が設けられ、刃
    先角度が70〜80°であり、 下刃は、3〜5°の逃げ角が設けられ、外周面が回転軸
    に対して平行なフラット面であることを特徴とする回転
    切断用円形刃物。
  2. 【請求項2】上記上刃と下刃の接触面深さが0.023
    〜0.031D(Dは上刃の外径)であり、上刃の下刃
    への接触圧力が1.5〜2.0kgfであることを特徴
    とする請求項1に記載の回転切断用円形刃物。
  3. 【請求項3】前記上刃および下刃の材質が、 上刃の硬度 < 下刃の硬度 上刃破壊靱性 > 下刃破壊靱性 の条件を満たすことを特徴とする請求項1または2に記
    載の回転切断用円形刃物。
  4. 【請求項4】前記上刃および下刃の材質が、 (上刃の硬度)=k(下刃の硬度) k=0.3〜0.7 上刃破壊靱性 > 下刃破壊靱性 の条件を満たすことを特徴とする請求項1または2に記
    載の回転切断用円形刃物。
  5. 【請求項5】前記上刃の材質は、ビッカーズ硬度Hv7
    00〜1000kgf/mm2 、破壊靱性H>13MN
    /m3/2 であり、前記下刃の材質は、ビッカーズ硬度H
    v1400〜2000kgf/mm2 、破壊靱性H≦1
    3MN/m3/2 であることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれかに記載の回転切断用円形刃物。
  6. 【請求項6】前記上刃は炭素工具鋼であり、前記下刃は
    粉末工具鋼であることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかに記載の回転切断用円形刃物。
  7. 【請求項7】ラミネータ用フィルムの切断に用いられる
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の回転
    切断用円形刃物。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載の回転切断
    用円形刃物を用いて、切断速度と上刃と下刃の周速度を
    同じにして切断を行うことを特徴とするフィルム切断装
    置。
  9. 【請求項9】請求項1〜7のいずれかに記載の回転切断
    用円形刃物を用いて、カバーフィルム、フィルム、ベー
    スフィルムの3層からなるラミネータ用フィルムのカバ
    ーフィルム剥離後、2層になったフィルムに一定のテン
    ションを掛け、切断速度と上刃と下刃の周速度を同じに
    してテンション方向に対して垂直にフィルムの切断を行
    うことを特徴とするフィルム切断装置。
  10. 【請求項10】請求項1〜7のいずれかに記載の回転切
    断用円形刃物を用いて、切断速度と上刃と下刃の周速度
    を同じにして切断を行うことを特徴とするフィルム切断
    方法。
  11. 【請求項11】請求項1〜7のいずれかに記載の回転切
    断用円形刃物を用いて、カバーフィルム、フィルム、ベ
    ースフィルムの3層からなるラミネータ用フィルムのカ
    バーフィルム剥離後、2層になったフィルムに一定のテ
    ンションを掛け、切断速度と上刃と下刃の周速度を同じ
    にしてテンション方向に対して垂直にフィルムの切断を
    行うことを特徴とするフィルム切断方法。
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