JP2002253000A - 速度センサレスベクトル制御装置 - Google Patents

速度センサレスベクトル制御装置

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JP2002253000A
JP2002253000A JP2001048732A JP2001048732A JP2002253000A JP 2002253000 A JP2002253000 A JP 2002253000A JP 2001048732 A JP2001048732 A JP 2001048732A JP 2001048732 A JP2001048732 A JP 2001048732A JP 2002253000 A JP2002253000 A JP 2002253000A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モータパラメータ特には一次抵抗の設定誤差
に対しロバストで安定性を高めること、および一次抵抗
を精度良く推定し制御の安定化を図ること。 【解決手段】 誘起電圧演算部23は、d軸誘起電圧E
d とq軸誘起電圧Eq とを推定演算する。dq軸回転座
標系に対し一次電流位相角θIdq に等しい位相角θhvだ
け遅れたhv軸回転座標系が定義され、hv軸誘起電圧
誤差演算部39は、h軸誘起電圧誤差dEh とv軸誘起
電圧誤差dEv を演算する。軸安定化補償部46はロー
パスフィルタ45を通過したh軸誘起電圧誤差dEhLF
が0に収束するようにインバータ周波数ωinv を補正
し、軸安定化補償部48はハイパスフィルタ47を通過
したd軸誘起電圧EdHF が0に収束するようにインバー
タ周波数ωinv を補正する。一次抵抗補正部53は、v
軸誘起電圧誤差dEv が0に収束するように一次抵抗の
設定値R1 を補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、速度センサを用い
ずに誘導電動機をベクトル制御する速度センサレスベク
トル制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】誘導電動機の速度センサレスベクトル制
御装置に関しては、これまでに種々のものが提案されて
いる。例えば「誘導電動機の速度センサレス非干渉制御
方式」(昭63年電気学会産業応用部門全国大会No.
85)や「センサレスベクトル制御インバータ」(昭6
3年電気学会論文誌D108巻2号)において、誘導電
動機を駆動する速度センサレスベクトル制御の一手段が
開示されている。
【0003】ベクトル制御装置は、インバータ回路が出
力するインバータ周波数ωinv と同一の角速度で回転す
るdq軸直交座標系上において制御演算をする場合が多
い。図17は、このdq軸直交座標系と静止座標系との
関係を示したベクトル図である。回転座標系であるdq
軸直交座標系は、ab軸静止座標系に対してθabの位相
角を有している。uvw軸は、互いに120°の位相差
を有する三相の静止座標軸であって、a軸とu軸とが一
致するように定義されている。
【0004】ベクトル制御には上述したものの他にも種
々の方式があるが、以下に述べる従来例および本願発明
においては、上記dq軸直交座標系のd軸の向きと誘導
電動機の二次磁束の向きとが一致するように制御する方
式となっている。この方式の場合、力行時におけるイン
バータ回路の出力電圧ベクトルVは、例えば図17に示
すベクトルV(位相角θV )のようになる。
【0005】さて、図15は、第1の従来例であるセン
サレスベクトル制御装置の構成を機能ブロックにより示
したものである。この図15において、センサレスベク
トル制御装置1は、三相のインバータ回路2とベクトル
制御部3とから構成されている。インバータ回路2は、
フィルタコンデンサ4、インバータ主回路5およびPW
M回路6から構成され、その交流出力端子には三相の誘
導電動機7が接続されている。ベクトル制御部3は、指
令電流演算部8、指令電圧演算部9、座標変換部10、
11、電流検出器12、13、インバータ周波数演算部
14、モータ速度演算部15および積分部16から構成
されている。ここで、指令電流演算部8は、減算器17
と速度制御部18とから構成され、指令電圧演算部9
は、減算器19、20と電流制御部21、22とから構
成されている。また、インバータ周波数演算部14は、
誘起電圧演算部23とPI演算部24とから構成され、
モータ速度演算部15は、基準すべり周波数演算部25
と減算器26とから構成されている。
【0006】インバータ周波数演算部14において、誘
起電圧演算部23は、指令d軸電圧VdRefから一次抵抗
R1 と一次側に換算した漏れインダクタンスσ・L1 と
によるインピーダンス降下分を減算することによりd軸
誘起電圧Ed を推定演算している(後述する(19)式
参照)。そして、PI演算部24は、このd軸誘起電圧
Ed が0に収束するように、次の(1)式に従ってイン
バータ周波数ωinv を演算する。ここで、Kp 、Ki
は、それぞれ比例ゲイン、積分ゲインである。
【0007】
【数1】
【0008】図16は、第2の従来例であるセンサレス
ベクトル制御装置の構成を機能ブロックにより示したも
のである。このセンサレスベクトル制御装置27は、上
記センサレスベクトル制御装置1に対し、ベクトル制御
部28内のインバータ周波数演算部29の構成が異なっ
ている。すなわち、インバータ周波数演算部29は、上
述した誘起電圧演算部23に加えて、インバータ基準周
波数演算部30、軸安定化補償部31および減算器32
を備えて構成されている。
【0009】誘起電圧演算部23は、指令d軸電圧VdR
efと同様にして、指令q軸電圧VqRefから一次抵抗R1
と一次側に換算した漏れインダクタンスσ・L1 とによ
るインピーダンス降下分を減算することによりq軸誘起
電圧Eq を推定演算している(後述する(20)式参
照)。インバータ基準周波数演算部30は、このq軸誘
起電圧Eq と指令d軸電流IdRefとを入力として、次の
(2)式に従ってインバータ基準周波数ωinv*を演算す
る。
【0010】
【数2】
【0011】また、軸安定化補償部31は、d軸誘起電
圧Ed が0に収束するように、次の(3)式、(4)式
に従って周波数補正量ωcmp を演算する。ここで、Kp
、Ki は、それぞれ比例ゲイン、積分ゲインである。
【0012】
【数3】
【0013】減算器32は、上記インバータ基準周波数
ωinv*から上記周波数補正量ωcmpを減算することによ
りインバータ周波数ωinv を生成する。このように、第
2の従来例では、誘起電圧演算部23で推定演算された
q軸誘起電圧Eq に基づいて基準項となるインバータ基
準周波数ωinv*を演算し、d軸誘起電圧Ed が0に収束
するように周波数補正量ωcmp を用いてインバータ周波
数ωinv を補正している。
【0014】以上説明した第1、第2の各従来例は、何
れも誘起電圧演算部23で推定演算されたd軸誘起電圧
Ed が0に収束するようにインバータ周波数ωinv を補
正する点において相違ない。センサレスベクトル制御装
置1、27において設定されたモータパラメータに設定
誤差がない条件の下では、d軸誘起電圧Ed が0となる
状態は、d軸の向きと誘導電動機7の二次磁束の向きと
が一致した状態、つまり速度センサを付加した場合にお
ける理想的なベクトル制御の動作状態と等しくなる。従
って、この動作状態を維持することにより、高速なトル
ク応答を得ることができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一次抵
抗などのモータパラメータは、誘導電動機7の運転状態
例えば温度状態に応じて変動するため、センサレスベク
トル制御装置1、27において用いられるモータパラメ
ータには設定誤差が生じる場合がある。また、インバー
タ主回路5のデッドタイム補償が十分でない場合、デッ
ドタイム補償誤差による電圧誤差が生じる。この電圧誤
差は、一次抵抗の設定誤差による電圧誤差と同様の方向
(一次電流の方向)に生じる。こうした場合には、上述
した理想的なベクトル制御の動作状態を維持することは
困難となる。特に、誘起電圧が小さくなる低速回転時に
は上記一次抵抗の設定誤差(デッドタイム補償誤差)が
大きく影響し、モータ負荷が増大するに従って安定動作
の確保が難しくなる。その結果、速度センサを用いずに
速度制御をする場合の速度制御範囲は、例えば1:10
弱となっていた。
【0016】そこで、本発明の目的は、第1に、モータ
パラメータ特には一次抵抗の設定誤差に対してロバスト
で安定した速度センサレスベクトル制御装置を提供する
ことであり、第2に、モータパラメータ特には一次抵抗
を精度良く推定し制御の安定化を図った速度センサレス
ベクトル制御装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るため、請求項1記載の速度センサレスベクトル制御装
置は、誘導電動機を駆動するインバータ装置と当該イン
バータ装置を制御するベクトル制御手段とから構成さ
れ、前記ベクトル制御手段が、前記誘導電動機の相電流
を検出する電流検出手段と、d軸と当該d軸に対し90
°進んだq軸とからなるdq軸直交座標系において、前
記検出された相電流に基づいて前記誘導電動機の一次電
流のd軸電流とq軸電流とを演算するdq軸電流演算手
段と、前記d軸電流と前記q軸電流とがそれぞれ前記誘
導電動機の励磁電流を指令する指令d軸電流とトルク電
流を指令する指令q軸電流とに一致するように指令d軸
電圧と指令q軸電圧とを演算するdq軸指令電圧演算手
段と、前記d軸の向きと前記誘導電動機の二次磁束の向
きとが一致するように、前記インバータ装置が出力する
インバータ周波数を演算するインバータ周波数演算手段
とを備えて構成されている速度センサレスベクトル制御
装置において、前記d軸に対し位相角θHVだけ遅れたh
軸と当該h軸に対し90°進んだv軸とからなるhv軸
直交座標系を定義し、前記インバータ周波数演算手段
は、前記位相角θHVと前記dq軸直交座標系における前
記一次電流の位相角とが同符号となる条件の下で前記位
相角θHVを所定の位相角に設定するhv軸位相角演算手
段と、前記インバータ周波数と前記指令d軸電流とに基
づいて基準誘起電圧を演算する基準誘起電圧演算手段
と、前記指令d軸電流または前記d軸電流、前記指令q
軸電流または前記q軸電流、前記指令d軸電圧、および
前記指令q軸電圧に基づいてd軸誘起電圧とq軸誘起電
圧とを推定演算するdq軸誘起電圧演算手段と、前記位
相角θHV、前記基準誘起電圧、前記d軸誘起電圧、およ
び前記q軸誘起電圧に基づいてh軸誘起電圧誤差を演算
するh軸誘起電圧誤差演算手段と、前記h軸誘起電圧誤
差に基づいて前記インバータ周波数を補正するインバー
タ周波数補正手段とを備えて構成されていることを特徴
とする。
【0018】この構成によれば、dq軸直交座標系に対
して位相角θHVだけ遅れたhv軸直交座標系が新たに定
義され、基準誘起電圧と誘起電圧とのh軸における誤差
つまりh軸誘起電圧誤差が演算され、このh軸誘起電圧
誤差に基づいてインバータ周波数が補正される。この場
合、位相角θHVとdq軸直交座標系における一次電流の
位相角(d軸を基準として進み方向に見た一次電流ベク
トルの位相角)とが同符号となる条件の下では、h軸誘
起電圧誤差には、d軸誘起電圧よりも軸ずれ(d軸の向
きと二次磁束の向きとのずれ)の影響が顕著に現れる。
【0019】このため、d軸誘起電圧に着目していた従
来構成に比べ、軸ずれの情報をインバータ周波数に作用
させ易くなり、制御系の安定化を図ることができる。そ
して、上記h軸誘起電圧誤差に基づく制御により、モー
タパラメータ特には一次抵抗の設定誤差に対しロバスト
な制御系を実現できる。その結果、速度制御範囲が低速
側へ拡大する。また、すべり周波数が負となるためにイ
ンバータ周波数がより0に近付く低速回生時において
も、大きなトルクを安定して発生させることが可能とな
る。
【0020】請求項2記載の手段によれば、軸ずれ現象
が周波数の低い現象と高い現象とに分離され、それぞれ
に対して補償制御が行われる。すなわち、周波数の低い
現象に対しては、第1の軸安定化補償手段が、低域ろ過
特性を持つ第1のフィルタ手段を介して出力されるh軸
誘起電圧によりインバータ周波数を補正し、周波数の高
い現象に対しては、第2の軸安定化補償手段が、高域ろ
過特性を持つ第2のフィルタ手段を介して出力されるd
軸誘起電圧によりインバータ周波数を補正する。これに
より、定常状態における軸ずれと急激に生じる軸ずれの
両者に対して制御系の安定性を高めることができ、例え
ば発生トルクや負荷トルクの急変時においても安定した
動作を維持できる。
【0021】また、一般に二次磁束の応答時定数は誘導
電動機の二次時定数にほぼ等しいため、請求項3記載の
手段によれば、インバータ周波数補正手段は、主として
二次磁束の応答よりも遅い応答をするh軸誘起電圧と、
主として二次磁束の応答よりも速い応答をするd軸誘起
電圧とに基づいてインバータ周波数を補正することとな
る。一方、誘起電圧誤差が一次電流ベクトルのd軸対称
ベクトルの方向に推移するかd軸方向に推移するかは、
軸ずれにより二次磁束の大きさが変化するかしないか、
つまり軸ずれ現象の持つ時定数が二次時定数よりも大き
いか小さいかに依存して決まる。従って、本手段によれ
ば、両補正が干渉し合うことがなく効果的に作用するの
で、安定性を一層高めることができる。
【0022】請求項4記載の手段によれば、hv軸位相
角演算手段によって位相角θHVが一次電流の位相角に等
しく設定され、これによりh軸の向きが一次電流ベクト
ルのd軸対称ベクトルの向きに等しくなる。この設定に
あっては、モータパラメータに設定誤差がないとした場
合、hv軸回転座標系上での誘起電圧誤差の軌跡はv軸
上に中心を有しh軸に接する円となることが判明してい
る。そして、軸ずれが正側に生じる場合と負側に生じる
場合とにおける誘起電圧誤差の軌跡は、上記円上を原点
(理想動作点)に対し互いに逆向きに推移する。従っ
て、正側の軸ずれ時に生じるh軸誘起電圧誤差の(絶対
値としての)最大値と負側の軸ずれ時に生じるh軸誘起
電圧誤差の(絶対値としての)最大値とは等しくなる。
その結果、モータパラメータの設定値が正側または負側
のどちらの設定誤差を有する場合でも、それらをバラン
ス良く許容でき、トルク制御精度や速度制御精度を一層
高めることができる。
【0023】請求項5記載の手段によれば、hv軸位相
角演算手段は、一次電流位相角演算手段、符号判定手段
および位相角設定手段から構成される。このhv軸位相
角演算手段によって、力行時にあってはh軸が一次電流
ベクトルよりも90°遅れた向きに設定され、回生時に
あっては、h軸が一次電流ベクトルよりも90°進んだ
向きに設定される。一次抵抗設定値に設定誤差がある場
合、誘起電圧誤差の軌跡は一次電流ベクトルの方向つま
りv軸方向に推移するため、h軸方向には一次抵抗の設
定誤差の影響が現れない。従って、h軸誘起電圧誤差に
基づいてインバータ周波数を補正する場合、一次抵抗設
定値の設定誤差に対してロバストな軸ずれ補正が可能と
なる。これにより、速度制御範囲が低速側へ拡大すると
ともに、制御精度が一層高まる。
【0024】請求項6記載の手段によれば、インバータ
基準周波数演算手段が、位相角θHVとv軸誘起電圧と指
令d軸電流またはd軸電流とに基づいて、インバータ周
波数の基準項であるインバータ基準周波数を演算する。
v軸誘起電圧は軸ずれにより変化しにくいため、v軸誘
起電圧を用いて演算されたインバータ基準周波数をイン
バータ周波数の基準項としても制御系は安定に保持され
る。また、上記インバータ基準周波数を付加することに
より、インバータ周波数補正手段の有する補正ゲインを
下げることができ、ハイゲイン化によるトルクリプル、
速度リプルの発生や制御系の不安定化を抑制することが
可能となる。
【0025】上記第2の目的を達成するため、請求項7
記載の速度センサレスベクトル制御装置は、誘導電動機
を駆動するインバータ装置と当該インバータ装置を制御
するベクトル制御手段とから構成され、前記ベクトル制
御手段が、電流検出手段、dq軸電流演算手段、dq軸
指令電圧演算手段およびインバータ周波数演算手段を備
えて構成されている速度センサレスベクトル制御装置に
おいて、前記d軸に対し位相角θHVだけ遅れたh軸と当
該h軸に対し90°進んだv軸とからなるhv軸直交座
標系を定義し、前記位相角θHVと前記dq軸直交座標系
における前記一次電流の位相角とが同符号となる条件の
下で前記位相角θHVを所定の位相角に設定するhv軸位
相角演算手段と、前記インバータ周波数と前記指令d軸
電流とに基づいて基準誘起電圧を演算する基準誘起電圧
演算手段と、前記指令d軸電圧から、少なくとも、前記
誘導電動機の一次抵抗設定値と前記指令d軸電流または
前記d軸電流との積を減算することによりd軸誘起電圧
を推定演算し、前記指令q軸電圧から、少なくとも、前
記一次抵抗設定値と前記指令q軸電流または前記q軸電
流との積を減算することによりq軸誘起電圧を推定演算
するdq軸誘起電圧演算手段と、前記位相角θHV、前記
基準誘起電圧、前記d軸誘起電圧、および前記q軸誘起
電圧に基づいてv軸誘起電圧誤差を演算するv軸誘起電
圧誤差演算手段と、前記v軸誘起電圧誤差に基づいて前
記一次抵抗設定値を補正する一次抵抗補正手段とを備え
て構成されていることを特徴とする。
【0026】この構成によれば、一次抵抗補正手段は、
v軸誘起電圧誤差に基づいて一次抵抗設定値を補正す
る。位相角θHVとdq軸直交座標系における一次電流の
位相角とが同符号となる条件の下では、一次抵抗設定値
に誤差がない場合、軸ずれにより生じる誘起電圧の誤差
はh軸方向に顕著に現れ、v軸方向には現れにくい。逆
に、一次抵抗設定値の誤差による場合、誘起電圧の誤差
はv軸方向に顕著に現れ易い。従って、このv軸誘起電
圧誤差に基づいて(例えばv軸誘起電圧誤差を0にする
ように)一次抵抗設定値を補正することにより、一次抵
抗設定値を精度良く推定することが可能となる。その結
果、速度制御範囲が低速側へ拡大し、トルク制御精度が
高まる。
【0027】この場合、請求項8記載の手段を用いる
と、v軸と一次電流ベクトルの方向とが一致する。一次
抵抗設定値に設定誤差がある場合、誘起電圧誤差の軌跡
は一次電流ベクトルの方向つまりv軸方向に推移するた
め、一次抵抗補正手段はv軸誘起電圧誤差に基づいて一
次抵抗設定値をより効果的に補正することができる。
【0028】上記第1の目的を達成するため、請求項9
記載の速度センサレスベクトル制御装置は、誘導電動機
を駆動するインバータ装置と当該インバータ装置を制御
するベクトル制御手段とから構成され、前記ベクトル制
御手段が、電流検出手段、dq軸電流演算手段、dq軸
指令電圧演算手段、d軸誘起電圧演算手段、およびd軸
誘起電圧に基づいてインバータ周波数を補正して生成す
るインバータ周波数演算手段を備えて構成されている速
度センサレスベクトル制御装置において、前記インバー
タ周波数演算手段は、前記インバータ周波数と前記指令
d軸電流とに基づいて基準誘起電圧を演算する基準誘起
電圧演算手段と、前記指令d軸電流または前記d軸電
流、前記指令q軸電流または前記q軸電流、および前記
指令q軸電圧に基づいてq軸誘起電圧を推定演算するq
軸誘起電圧演算手段と、前記q軸誘起電圧と前記基準誘
起電圧とに基づいてq軸誘起電圧誤差を演算するq軸誘
起電圧誤差演算手段と、前記q軸誘起電圧誤差に基づい
て前記インバータ周波数を補正するインバータ周波数補
正手段とから構成されていることを特徴とする。
【0029】この構成によれば、軸ずれを補正するため
に、d軸誘起電圧のみならず、q軸誘起電圧と基準誘起
電圧とに基づいて演算されるq軸誘起電圧誤差に基づい
てインバータ周波数が補正される。重負荷時の場合、d
軸誘起電圧には軸ずれの情報が現れにくいが、q軸誘起
電圧誤差は軸ずれにより大きく変化することから軸ずれ
に関する多くの情報を含んでいる。従って、q軸誘起電
圧誤差に基づいてインバータ周波数を補正することによ
り、負荷の大きさにかかわらず、軸ずれの情報をインバ
ータ周波数に作用させ易くなり、制御系の安定化を図る
ことができる。そして、この制御により、モータパラメ
ータ特には一次抵抗の設定誤差に対しロバストな制御系
を実現できる。また、速度制御範囲が低速側へ拡大し、
低速回生時においてより大きなトルクを安定して発生す
ることが可能となる。
【0030】上記第1の目的を達成するため、請求項1
0記載の速度センサレスベクトル制御装置は、誘導電動
機を駆動するインバータ装置と当該インバータ装置を制
御するベクトル制御手段とから構成され、前記ベクトル
制御手段が、電流検出手段、dq軸電流演算手段、dq
軸指令電圧演算手段およびインバータ周波数演算手段を
備えて構成されている速度センサレスベクトル制御装置
において、前記d軸に対し位相角θHVだけ遅れたh軸と
当該h軸に対し90°進んだv軸とからなるhv軸直交
座標系を定義し、前記インバータ周波数演算手段は、前
記位相角θHVと前記dq軸直交座標系における前記一次
電流の位相角とが同符号となる条件の下で前記位相角θ
HVを所定の位相角に設定するhv軸位相角演算手段と、
前記指令d軸電流に基づいて基準二次磁束を演算する基
準二次磁束演算手段と、前記指令d軸電流または前記d
軸電流、前記指令q軸電流または前記q軸電流、前記指
令d軸電圧、および前記指令q軸電圧に基づいてd軸二
次磁束とq軸二次磁束とを推定演算するdq軸二次磁束
演算手段と、前記位相角θHV、前記基準二次磁束、前記
d軸二次磁束、および前記q軸二次磁束に基づいてv軸
二次磁束誤差を演算するv軸二次磁束誤差演算手段と、
前記v軸二次磁束誤差に基づいて前記インバータ周波数
を補正するインバータ周波数補正手段とから構成されて
いることを特徴とする。
【0031】この構成によれば、v軸二次磁束と基準二
次磁束とに基づいて演算されるv軸二次磁束誤差に基づ
いてインバータ周波数が補正される。q軸二次磁束は、
理想的なベクトル制御が成立している状態(理想動作
点)では0になる。しかし、重負荷時の場合、q軸二次
磁束には軸ずれの情報が現れにくい。これに対し、v軸
二次磁束誤差は軸ずれにより大きく変化することから軸
ずれに関する多くの情報を有している。従って、v軸二
次磁束誤差に基づいてインバータ周波数を補正すること
により、負荷の大きさにかかわらず、軸ずれの情報をイ
ンバータ周波数に作用させ易くなり、制御系の安定化を
図ることができる。そして、この制御により、モータパ
ラメータ特には一次抵抗の設定誤差に対しロバストな制
御系を実現できる。その結果、速度制御範囲が拡大し、
また、低速回生時においてより大きなトルクを安定して
発生することが可能となる。
【0032】上記第1の目的を達成するため、請求項1
1記載の速度センサレスベクトル制御装置は、誘導電動
機を駆動するインバータ装置と当該インバータ装置を制
御するベクトル制御手段とから構成され、前記ベクトル
制御手段が、電流検出手段、dq軸電流演算手段、指令
二次磁束と指令トルクとに基づいて指令d軸電流と指令
q軸電流とを演算するdq軸指令電流演算手段、dq軸
指令電圧演算手段、d軸誘起電圧演算手段、およびイン
バータ周波数演算手段を備えて構成されている速度セン
サレスベクトル制御装置において、前記dq軸指令電流
演算手段は、前記誘導電動機の発生トルクが前記指令ト
ルクに等しくなるとともに、前記指令d軸電流に対する
前記指令q軸電流の割合が所定値以下となるように前記
指令d軸電流と前記指令q軸電流とを演算するように構
成されていることを特徴とする。
【0033】d軸電流(励磁電流)に対するq軸電流
(トルク電流)の割合が増加する重負荷時においては、
軸ずれによる誘起電圧誤差の軌跡は、d軸に対して大き
な交差角を持つようになる。一方、一次抵抗設定値に誤
差がある場合、誘起電圧誤差の軌跡は、一次電流ベクト
ルの方向に推移する。従って、重負荷時においては、d
軸誘起電圧に関して軸ずれによる影響と一次抵抗設定値
の誤差による影響とが互いに干渉し合い、d軸誘起電圧
からでは軸ずれを補償できない虞がある。
【0034】これに対し、本手段によれば、d軸電流に
対するq軸電流の割合が所定値以下に制限されるので上
記干渉状態を回避し易くなり、軸ずれ補償による安定性
と一次抵抗に対するロバスト性とを確保することができ
る。その結果、速度制御範囲が低速側へ拡大し、重負荷
時においても指令トルクに一致したトルクを安定して発
生させることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)以下、本発明
の第1の実施例について図1ないし図9を参照しながら
説明する。なお、説明において、R1 、R2 、L1 、L
2 、M、σは、それぞれ一次抵抗、二次抵抗、一次イン
ダクタンス、二次インダクタンス、相互インダクタン
ス、漏れ係数(=1−M/L1 /L2 )の設定値を表
しており、sはラプラス演算子を表している。また、P
I制御で用いるKp 、Ki はそれぞれ比例ゲイン、積分
ゲインであり、その値は制御系が安定するように適宜決
められる。
【0036】図1は、センサレスベクトル制御装置の構
成を機能ブロックにより示したもので、従来技術を示す
図15と同一構成部分には同一符号を付している。この
図1において、センサレスベクトル制御装置33は、イ
ンバータ回路2(インバータ装置に相当)とベクトル制
御部34(ベクトル制御手段に相当)とから構成されて
いる。
【0037】インバータ回路2において、インバータ主
回路5は、IGBTなどのスイッチング素子(図示せ
ず)が三相ブリッジ接続されてなる電圧型インバータで
あって、その直流入力端子間にはフィルタコンデンサ4
が接続されており、その交流出力端子には三相の誘導電
動機7が接続されている。PWM回路6は、ベクトル制
御部34から出力される三相指令電圧VuRef、VvRef、
VwRefに基づいて、例えば三角波比較PWM制御方式に
より、上記スイッチング素子に対するゲート信号を生成
するようになっている。さらに、PWM回路6は、アー
ム短絡防止のためにデッドタイムを設定し、これによる
出力電圧の低下を補償するためにデッドタイム補償を行
うようになっている。
【0038】ベクトル制御部34は、指令電流演算部
8、指令電圧演算部9(dq軸指令電圧演算手段に相
当)、座標変換部10、座標変換部11(dq軸電流演
算手段に相当)、電流検出器12、13(電流検出手段
に相当)、インバータ周波数演算部35(インバータ周
波数演算手段に相当)、モータ速度演算部15および積
分部16から構成されている。
【0039】指令電流演算部8において、減算器17
は、指令速度ωrRefから後述する推定速度(モータ速
度)ωrhを減算して速度偏差dωr を求め、速度制御部
18は、その速度偏差dωr が0に収束するように当該
速度偏差dωr に対しPI制御を実行して指令トルク電
流IqRefを生成するようになっている。
【0040】電流検出器12、13は、それぞれ誘導電
動機7のU相電流Iu 、W相電流Iw を検出する電流セ
ンサである。座標変換部11は、その検出された静止座
標系上のU相電流Iu とW相電流Iw とを、次の(5)
式、(6)式によりdq軸回転座標系上のd軸電流Id
とq軸電流Iq とに変換するようになっている。ここ
で、位相角θは、静止座標系のa軸またはu軸に対する
dq軸回転座標系のd軸がなす角度(図17に示すθab
に相当)である。
【0041】
【数4】
【0042】指令電圧演算部9において、減算器19
は、指令励磁電流IdRef(指令d軸電流に相当)からd
軸電流Id を減算してd軸電流偏差dId を求め、電流
制御部21は、そのd軸電流偏差dId が0に収束する
ように当該d軸電流偏差dIdに対し次の(7)式で示
されるPI制御を実行し、指令d軸電圧VdRefを生成す
るようになっている。
【0043】
【数5】
【0044】また、減算器20は、指令トルク電流IqR
ef(指令q軸電流に相当)からq軸電流Iq を減算して
q軸電流偏差dIq を求め、電流制御部22は、そのq
軸電流偏差dIq が0に収束するように当該q軸電流偏
差dIq に対し次の(8)式で示されるPI制御を実行
し、指令q軸電圧VqRefを生成するようになっている。
【0045】
【数6】
【0046】座標変換部10は、上記指令d軸電圧VdR
efと指令q軸電圧VqRefとを入力し、次の(9)式〜
(13)式により静止座標系上の三相指令電圧VuRef、
VvRef、VwRefに変換するようになっている。
【0047】
【数7】
【0048】詳しくは後述するが、インバータ周波数演
算部35は、理想的なベクトル制御を行うために必要と
なるインバータ周波数ωinv を演算するようになってい
る。積分部16は、このインバータ周波数ωinv を次の
(14)式により積分し、座標変換部10、11に対し
て上記位相角θを出力するようになっている。
【0049】
【数8】
【0050】また、モータ速度演算部15において、基
準すべり周波数演算部25は、指令励磁電流IdRefと指
令トルク電流IqRefとを入力し、次の(15)式により
基準すべり周波数ωs*を演算するようになっている。そ
して、減算器26において、インバータ周波数ωinv か
ら基準すべり周波数ωs*が減算され、速度センサレスで
誘導電動機7の推定速度(モータ速度)ωrhが求められ
る。
【0051】
【数9】
【0052】さて、以下においてインバータ周波数演算
部35の構成を具体的に説明するが、それに先立って本
発明において新規に導入するhv軸回転座標系について
説明する。図2は、hv軸回転座標系とdq軸回転座標
系との関係を示すベクトル図である。この図2におい
て、h軸はd軸に対し位相角θhvだけ遅れた軸として定
義され、v軸はh軸から90°進んだ軸として定義され
る。この定義によれば、位相角θhvが正である場合、h
軸はd軸に対して遅れの関係となり、位相角θhvが負で
ある場合、h軸はd軸に対して進みの関係となる。図2
は、位相角θhvが正である場合を示している。なお、詳
しくは後述するように、本実施例においては、位相角θ
hvは、dq軸回転座標系における一次電流位相角θIdq
に等しく設定されている。
【0053】hv軸位相角演算部36(hv軸位相角演
算手段に相当)は、上記位相角θhvを設定するもので、
除算器37とAtan演算部38とから構成されている。d
q軸回転座標系における一次電流ベクトルは、指令励磁
電流IdRef、指令トルク電流IqRefをそれぞれd軸成
分、q軸成分とするベクトルであって、d軸から一次電
流ベクトルまでの角度が一次電流位相角θIdq となる。
ここで、除算器37は、指令励磁電流IdRefと指令トル
ク電流IqRefとを入力し、次の(16)式に示す除算を
実行するようになっている。
【0054】
【数10】
【0055】Atan演算部38は、上記電流の比率γを入
力として次の(17)式により一次電流位相角θIdq を
演算し、それを位相角θhvとして出力するようになって
いる。つまり、本実施例ではθIdq =θhvの関係が成立
する。
【0056】
【数11】
【0057】本発明における位相角θhvの設定方法によ
れば、一次抵抗R1 などのモータパラメータに設定誤差
がない場合、hv軸回転座標系上での誘起電圧誤差の軌
跡は、v軸上に中心Zを有しh軸に接する円となること
が判明している(図2参照)。しかしながら、本発明の
位相角θhvの設定方法は、上記(16)式、(17)式
に限られるものではない。すなわち、本発明は、位相角
θhvと一次電流位相角θIdq とが同符号となる条件の下
において成立する。従って、次の(18)式に示すよう
に、指令トルク電流IqRefが正となる力行時においては
位相角θhvを正の一定値α(αは正)に設定し、指令ト
ルク電流IqRefが負となる回生時においては位相角θhv
を負の一定値−β(βは正)に設定するようにしても良
い。
【0058】
【数12】
【0059】誘起電圧演算部23(dq軸誘起電圧演算
手段に相当)は、指令d軸電圧VdRef、指令q軸電圧V
qRefからそれぞれ一次抵抗R1 と一次側に換算した漏れ
インダクタンスσ・L1 とによるインピーダンス降下分
を減算することによりd軸誘起電圧Ed 、q軸誘起電圧
Eq を推定演算するもので、具体的には次の(19)
式、(20)式の演算を実行するようになっている。理
想的なベクトル制御が成立している場合、d軸誘起電圧
Ed は0になる。
【0060】
【数13】
【0061】hv軸誘起電圧誤差演算部39は、本発明
でいうh軸誘起電圧誤差演算手段およびv軸誘起電圧誤
差演算手段に相当するもので、座標変換部40、41と
減算器42、43とから構成されている。このうち座標
変換部40は、dq軸回転座標系における誘起電圧をh
v軸回転座標系における誘起電圧に変換するもので、d
軸誘起電圧Ed とq軸誘起電圧Eq とを入力とし、次の
(21)式によりh軸誘起電圧Eh とv軸誘起電圧Ev
とを演算するようになっている。
【0062】
【数14】
【0063】基準誘起電圧演算部44(基準誘起電圧演
算手段に相当)は、インバータ周波数演算部35が演算
したインバータ周波数ωinv と指令励磁電流IdRefとに
基づいて、dq軸回転座標系において理論上導かれる基
準誘起電圧E* を次の(22)式により演算するように
なっている。この基準誘起電圧E* は、二次磁束に対し
90°進んだq軸上の電圧である。
【0064】
【数15】
【0065】上記hv軸誘起電圧誤差演算部39の座標
変換部41は、dq軸回転座標系における基準誘起電圧
をhv軸回転座標系における基準誘起電圧に変換するも
ので、基準誘起電圧E* を入力とし、次の(23)式、
(24)式によりh軸基準誘起電圧Eh*とv軸基準誘起
電圧Ev*とを演算するようになっている。
【0066】
【数16】
【0067】減算器43は、h軸誘起電圧Eh からh軸
基準誘起電圧Eh*を減算してh軸誘起電圧誤差dEh を
求め、ローパスフィルタ45(第1のフィルタ手段に相
当)は、そのh軸誘起電圧誤差dEh を入力とし、次の
(25)式に示す低域ろ過特性に従ってその低周波成分
であるh軸誘起電圧誤差dEhLF を出力するようになっ
ている。ここで、g1 はカットオフ角周波数である。
【0068】
【数17】
【0069】軸安定化補償部46(第1の軸安定化補償
手段に相当)は、h軸誘起電圧誤差dEhLF が0に収束
するように当該h軸誘起電圧誤差dEhLF に対して次の
(26)式によりPI制御を実行し、インバータ周波数
ωinv に対する補正量ωcmp1(第1の周波数補正量に相
当)を出力するようになっている。なお、関数Sgn()
は、上述した(4)式により定義されるものである。
【0070】
【数18】
【0071】一方、ハイパスフィルタ47(第2のフィ
ルタ手段に相当)は、d軸誘起電圧Ed を入力とし、次
の(27)式に示す高域ろ過特性に従ってその高周波成
分であるd軸誘起電圧EdHF を出力するようになってい
る。ここで、g2 はカットオフ角周波数である。
【0072】
【数19】
【0073】軸安定化補償部48(第2の軸安定化補償
手段に相当)は、d軸誘起電圧EdHF が0に収束するよ
うに当該d軸誘起電圧EdHF に対して次の(28)式に
よりPI制御を実行し、インバータ周波数ωinv に対す
る補正量ωcmp2(第2の周波数補正量に相当)を出力す
るようになっている。なお、ローパスフィルタ45、軸
安定化補償部46、ハイパスフィルタ47および軸安定
化補償部48により、インバータ周波数補正部49(イ
ンバータ周波数補正手段に相当)が構成されている。
【0074】
【数20】
【0075】インバータ基準周波数演算部50(インバ
ータ基準周波数演算手段に相当)は、v軸誘起電圧Ev
、指令励磁電流IdRefおよび一次電流位相角θIdq を
入力とし、次の(29)式によりインバータ基準周波数
ωinv*を演算するようになっている。
【0076】
【数21】
【0077】加算器51は、以上から得られた補正量ω
cmp1とωcmp2とを加算して補正量ωcmp とし、減算器5
2は、インバータ基準周波数ωinv*からその補正量ωcm
p を減算することによりインバータ周波数ωinv を出力
するようになっている。上述したように、このインバー
タ周波数ωinv から基準すべり周波数ωs*が減算されて
推定速度ωrhが得られる。
【0078】減算器42は、v軸誘起電圧Ev からv軸
基準誘起電圧Ev*を減算してv軸誘起電圧誤差dEv を
求める。一次抵抗補正部53(一次抵抗補正手段に相
当)は、このv軸誘起電圧誤差dEv が0に収束するよ
うに当該v軸誘起電圧誤差dEv に対して次の(30)
式によりPI制御を実行し、一次抵抗の設定値R1 を補
正するようになっている。ここで、関数Sgn() は、上述
した(4)式により定義されるものである。補正された
一次抵抗の設定値R1 は、誘起電圧演算部23において
d軸誘起電圧Ed とq軸誘起電圧Eq とを推定演算する
のに用いられる((19)式、(20)式参照)。
【0079】
【数22】
【0080】次に、上記構成を備えたセンサレスベクト
ル制御装置33の作用、効果を説明するために、図3〜
図9を参照しながら誘起電圧誤差に関する解析結果につ
いて詳述する。
【0081】ベクトル制御部34は、d軸の向きと誘導
電動機7の二次磁束の向きとが常に一致するように制御
することによりベクトル制御を実現するように構成され
ている。このような理想的なベクトル制御が行われる動
作点を、以下の説明において「理想動作点」と称する。
ベクトル制御がこの理想動作点から外れると、d軸の向
きと二次磁束の向きとがずれた状態すなわち「軸ずれ状
態」が生じる。
【0082】そこで、まず軸ずれと誘起電圧誤差との関
係についての解析結果を説明する。図3〜図7は、軸ず
れに対する誘起電圧誤差の軌跡を示したもので、以下の
〜の仮定の下でシミュレーションを実施したもので
ある。軸ずれ状態は、真のすべり周波数に対しすべり周
波数誤差ΔFs [Hz]を与えることにより設定され
る。 インバータ周波数ωinv は一定 電流制御によりd軸電流Id とq軸電流Iq はdq軸
座標系上において一定値に制御されている モータパラメータの設定値に設定誤差はない
【0083】図3、図4、図5、図6、図7は、それぞ
れ力行150%、力行75%、0%(無負荷)、回生7
5%、回生150%の負荷条件での解析結果である。各
図には、複数のプロットを結んでなる2本の軌跡A、B
と、原点から右斜め上方または右斜め下方(図5では横
軸の向き)に延びる2本の直線C、Dが描かれている。
【0084】軌跡Aは、横軸をd軸誘起電圧誤差とし、
縦軸をq軸誘起電圧誤差として描いたすべり周波数誤差
ΔFs に対する誘起電圧誤差の軌跡を示している。ま
た、軌跡Bは、横軸をh軸誘起電圧誤差とし、縦軸をv
軸誘起電圧誤差として描いたすべり周波数誤差ΔFs に
対する誘起電圧誤差の軌跡を示している。すなわち、軌
跡AとBとは同じ誘起電圧誤差の軌跡を示したものであ
るが、軌跡Aはdq軸回転座標系から見たもので、軌跡
Bはhv軸回転座標系から見たものである。
【0085】本実施例の場合、hv軸回転座標系の位相
角θhvは、dq軸回転座標系における一次電流位相角θ
Idq に等しく設定され、一次電流ベクトルのd軸対称ベ
クトル(後述)の向きがh軸の向きに一致する。従っ
て、軌跡Aを原点を中心として位相角θhvだけCCW方
向に回転させたものが軌跡Bとなる。
【0086】これらの軌跡A、Bは、すべり周波数誤差
ΔFs [Hz]を−1.0[Hz]から+1.0[H
z]まで0.1[Hz]刻みで与えた場合における誘起
電圧の誤差をそれぞれプロットし、これら合計21個の
プロットを順に結ぶことにより描かれている。ここで、
例えば−1.0[Hz]のすべり周波数誤差ΔFs と
は、本来与えるべきすべり周波数よりも1.0[Hz]
低いすべり周波数を与えることを意味しており、本来与
えるべきインバータ周波数よりも1.0[Hz]低いイ
ンバータ周波数ωinv を与えたことと等価である。ま
た、すべり周波数誤差0.0[Hz]とは、本来与える
べきすべり周波数を与えた場合であって、各図の原点に
相当するとともに上述した「理想動作点」に相当する。
【0087】直線Cは、横軸をd軸、縦軸をq軸とし、
d軸電流Id (励磁電流)とq軸電流Iq (トルク電
流)とをベクトル要素とする一次電流ベクトル(Id ,
Iq )の向きを示している。また、直線Dは、横軸をd
軸、縦軸をq軸とし、上記一次電流ベクトル(Id ,I
q )のd軸対称ベクトル(Id ,−Iq )の向きを示し
ている。従って、直線Cは、q軸電流Iq が正となる力
行時(図3、図4)には原点から右斜め上方に延び、q
軸電流Iq が負となる回生時(図6、図7)には原点か
ら右斜め下方に延びる。
【0088】図3〜図7によれば、dq軸回転座標系か
ら見た誘起電圧誤差の軌跡Aは、パラメータ誤差のない
理想動作点(各図の原点)の近傍において、一次電流ベ
クトルのd軸対称ベクトルの方向に推移することが分か
る。そして、q軸電流Iq(トルク電流)の絶対値が大
きい場合すなわち力行または回生の重負荷の場合(図3
または図7参照)には、d軸と一次電流ベクトルのd軸
対称ベクトルとのなす角度が大きくなるため、誘起電圧
誤差の軌跡Aはd軸方向ではなくむしろq軸方向に推移
するようになる。従って、特に重負荷時においてd軸誘
起電圧を用いると、軸ずれの情報を十分に得られない場
合がある。
【0089】これに対し、hv軸回転座標系から見た誘
起電圧誤差の軌跡Bは、軸ずれに対し横軸方向つまりh
軸方向に推移していることが分かる。このことは解析的
にも導出可能であって、上述したようにhv軸回転座標
系から見た誘起電圧誤差の軌跡Bは、v軸上に中心を有
しh軸に接する円となることが判明している(図2参
照)。従って、h軸上において誘起電圧誤差を検出する
ことにより、軸ずれをh軸誘起電圧誤差dEh として最
も有効に検出することができ、軸ずれをd軸誘起電圧誤
差(d軸誘起電圧Ed )として検出していた従来のもの
に比べ、軸ずれに対する補正動作をより有効に行うこと
ができる。
【0090】続いて、モータパラメータの設定誤差を考
慮した解析結果の一例として、一次抵抗の設定誤差を考
慮する場合の誘起電圧誤差の軌跡について説明する。図
8、図9は、回生150%時において、それぞれdq軸
回転座標系、hv軸回転座標系から見た誘起電圧誤差の
軌跡を示している。各図には、複数のプロットを結んで
なる5本の軌跡E、F、G、H、Iと、原点から右斜め
下方または左斜め下方に延びる1本の直線Jが描かれて
いる。
【0091】軌跡E、F、G、H、Iは、それぞれ一次
抵抗の設定誤差ΔR1 (=(一次抵抗の設定値R1 −一
次抵抗の真値)/一次抵抗の真値×100[%])を−
20%、−10%、0%(設定誤差なし)、+10%、
+20%に設定した上で描いたすべり周波数誤差ΔFs
に対する誘起電圧誤差の軌跡を示している。すべり周波
数誤差ΔFs の与え方は図3〜図7と同様である。従っ
て、図8、図9に示す各軌跡Gは、それぞれ図7に示す
軌跡A、軌跡Bに等しくなる。また、図8、図9におけ
る各直線Jは、それぞれdq軸回転座標系上での一次電
流ベクトルの向き、hv軸回転座標系上での一次電流ベ
クトルの向きを示している。
【0092】図8、図9において、誘起電圧誤差の軌跡
は、一次抵抗の設定誤差ΔR1 の変化に対し一次電流ベ
クトルの方向に変化することが分かる。dq軸回転座標
系から見た誘起電圧誤差の軌跡を示す図8では、例えば
一次抵抗の設定誤差ΔR1 が−10%や−20%になる
と、軌跡FやEが縦軸(q軸)と交差しないことから、
d軸誘起電圧誤差すなわちd軸誘起電圧Ed が0に収束
し得ない状態となる。このような設定誤差ΔR1 を持っ
た状態でd軸誘起電圧Ed に基づいた軸ずれ補償を実行
すると、制御系の安定性が低下する虞がある。
【0093】これに対し、hv軸回転座標系から見た誘
起電圧誤差の軌跡を示す図9では、一次抵抗に同様の設
定誤差ΔR1 が存在してもh軸誘起電圧誤差dEh は縦
軸(v軸)と交差するので、h軸誘起電圧誤差dEh を
0に収束させることが可能となる。従って、h軸誘起電
圧誤差dEh が0となるように軸ずれ補償を実行すれ
ば、(一次抵抗の設定誤差ΔR1 の影響で理想動作点に
は収束し得ないものの)安定性を確保することが可能と
なる。
【0094】以上、図3〜図9を用いた解析によれば、
軸安定化のためにd軸誘起電圧Edに基づいてインバー
タ周波数ωinv を調整する従来構成のセンサレスベクト
ル制御装置(図15、図16参照)では、重負荷時にお
いてd軸誘起電圧Ed の変化である軸ずれの情報が十分
に得られず、安定性が低下する可能性があることが理解
できる。そして、このような不安定化は、誘起電圧が小
さい低速回転時に生じ易い。
【0095】これに対し、本実施例のように新たにhv
軸回転座標系を導入し、この座標系において観測された
h軸誘起電圧誤差dEh を用いると、従来構成に比べて
軸ずれの情報を把握し易くなる。さらに、一次抵抗の設
定誤差の解析結果に示されるように、一次抵抗に多少の
設定誤差ΔR1 が存在する場合であっても、軸ずれ情報
を有するh軸誘起電圧誤差dEh は0に収束するので、
軸ずれ補償制御を実行する上で一次抵抗の設定誤差に対
するロバスト性が向上する。
【0096】また、PWM回路6は、インバータ主回路
5のデッドタイム補償を行うようになっているが、この
デッドタイム補償が十分でない場合デッドタイム補償誤
差による電圧誤差が生じる。この電圧誤差は、一次抵抗
の設定誤差による電圧誤差と同じ方向(一次電流ベクト
ルの方向)に生じる。従って、h軸誘起電圧誤差dEh
を用いた軸ずれ補償を行うと、デッドタイム補償誤差に
対するロバスト性の向上も期待できる。
【0097】そこで、本実施例では、hv軸誘起電圧誤
差演算部39においてh軸誘起電圧誤差dEh を求め、
軸安定化補償部46においてh軸誘起電圧誤差dEh が
0に収束するようにインバータ周波数ωinv を補正して
いる。h軸誘起電圧誤差dEhは、d軸誘起電圧に比べ
て軸ずれに対する変化が顕著に現れるため、この軸ずれ
の情報をインバータ周波数ωinv に作用させることによ
り制御系の安定化を図れる。また、一次抵抗R1 などの
モータパラメータの設定誤差やデッドタイム補償誤差に
対してロバストな制御系を構築できる。こうした効果に
より、速度制御範囲を従来よりも低速側に広げることが
できる。また、すべり周波数ωs*が負となるためにイン
バータ周波数ωinv がより0に近付く低速回生時におい
ても、大きなトルクを安定して発生させることが可能と
なる。
【0098】さらに、軸ずれによる誘起電圧誤差は一次
電流ベクトルのd軸対称ベクトルの方向に推移するとい
う解析結果に基づいて、本実施例では、一次電流位相角
θIdq を演算しそれを位相角θhvとすることにより、h
軸の向きをd軸対称ベクトルの向きに一致させている。
その結果、より安定で且つモータパラメータの設定誤差
に対してロバストな制御系を構築できる。
【0099】さらに、この設定の場合、軸ずれが正側に
生じる場合と負側に生じる場合とにおける誘起電圧誤差
の軌跡は、v軸上に中心を有する円上を原点(理想動作
点)に対し互いに逆向きに推移する。従って、正側の軸
ずれ時に生じるh軸誘起電圧誤差の(絶対値としての)
最大値と負側の軸ずれ時に生じるh軸誘起電圧誤差の
(絶対値としての)最大値とは等しくなる。その結果、
一次抵抗の設定値R1 が正側または負側のどちらの設定
誤差を有する場合でも、それらをバランス良く許容でき
(つまり誤差軌跡をv軸と交差させることができ)、ト
ルク制御精度や速度制御精度を一層高めることができ
る。
【0100】なお、d軸誘起電圧Ed を用いた従来の補
償制御においては、dq軸回転座標系から見た誘起電圧
誤差の軌跡(円)の中心はq軸から外れるため、誤差軌
跡が常にq軸と交差するように予め一次抵抗の設定値R
1 にオフセットを付加する必要が生じ、理想動作点を保
持することが難しかった。
【0101】ところで、本実施例のインバータ周波数演
算部35は、インバータ周波数ωinv を補正するための
2つの軸安定化補償部46、48を備えている。これら
軸安定化補償部46、48の前段には、それぞれローパ
スフィルタ45、ハイパスフィルタ47が設けられてい
る。この構成によれば、インバータ周波数ωinv は、角
周波数g1[rad/s]よりも遅い軸ずれ成分に対してはh軸
誘起電圧誤差dEh により補正され((25)式、(2
6)式参照)、角周波数g2[rad/s]よりも速い軸ずれ成
分に対してはd軸誘起電圧Ed により補正される((2
7)式、(28)式参照)。
【0102】このように軸ずれ現象を周波数領域で2分
割する理由は、以下のように説明できる。すなわち、誘
導電動機7の二次磁束の応答は比較的遅く、その時定数
は、電動機容量にもよるが一例として数十[msec]〜数百
[msec]の値である。上述した図3〜図9の解析結果は定
常状態、すなわち二次磁束が変化した後の状態を示すも
のである。軸ずれ発生時の過渡状態では、二次磁束がま
だ一定であると考えられ、その場合誘起電圧誤差の軌跡
の推移はd軸方向(図3〜図9の各原点付近)となる。
従って、速い軸ずれ成分に対してはd軸誘起電圧Ed を
用い、遅い軸ずれ成分に対してはh軸誘起電圧誤差dE
h を用いて補正することにより、瞬時的な軸ずれに対す
る安定度を高めることができ、指令トルクや負荷トルク
の急変時においても安定した動作を確保することができ
る。
【0103】このように、誘起電圧誤差が一次電流ベク
トルのd軸対称ベクトルの方向に推移するかあるいはd
軸上に推移するかは、軸ずれにより二次磁束が変化する
か否かに依存すること、および二次磁束の応答時定数は
誘導電動機7の二次時定数τ2 (=L2 /R2 )[sec]
と見なせることから、上記周波数領域での分割は二次時
定数τ2 [sec] に相当する角周波数1/τ2[rad/s]で行
うことが好ましい。このため、本実施例では、ローパス
フィルタ45のカットオフ角周波数g1 およびハイパス
フィルタ47のカットオフ角周波数g2 をともに1/τ
2[rad/s]に設定している。これにより、インバータ周波
数ωinv に対する定常的および瞬時的な軸ずれ補償が互
いに干渉することなく効果的に実行され、より一層の安
定性の改善が図られる。
【0104】さて、本実施例のインバータ周波数演算部
35は、インバータ基準周波数演算部50を備え、上述
した(29)式によりインバータ周波数ωinv の基準項
であるインバータ基準周波数ωinv*を演算するようにな
っている。このような基準項を付加することにより、軸
安定化補償部46、48のPI制御ゲインKp 、Kiを
下げることができ、ハイゲイン化によるトルクリプル、
速度リプルの発生や制御系の不安定化を抑制することが
可能となる。
【0105】こうした基準項は、第2の従来例を示す図
16においても、インバータ基準周波数演算部30がq
軸誘起電圧Eq に基づいて生成している。しかし、q軸
誘起電圧Eq を用いた場合には、以下に述べる理由によ
り制御系を不安定化させる虞がある。すなわち、上述し
た軸ずれと誘起電圧誤差との解析結果に示される通り、
軸ずれの影響はd軸誘起電圧のみならずq軸誘起電圧に
も大きく現れる。そして、力行時と回生時とでは、軸ず
れに対するq軸誘起電圧誤差の推移方向が逆になってい
る。力行時にあっては、インバータ周波数ωinv が下が
った場合にq軸誘起電圧が増加することから、インバー
タ周波数ωinv が上昇して軸ずれを抑制する方向に作用
する。しかしながら、回生時にあっては、インバータ周
波数ωinv が下がった場合にq軸誘起電圧が減少するこ
とから、インバータ周波数ωinvが低下して軸ずれを助
長する方向に作用する。従って、第2の従来例において
常に制御系を安定化させるのは難しかった。
【0106】これに対し、本実施例では、軸ずれの影響
を受けにくいv軸誘起電圧Ev に基づいてインバータ基
準周波数ωinv*を求めているので、制御系を不安定化さ
せるような現象を起こしにくく、安定性を高めることが
できる。
【0107】本実施例のインバータ周波数演算部35
は、誘起電圧演算部23においてd軸誘起電圧Ed とq
軸誘起電圧Eq とを推定演算している((19)式、
(20)式参照)。この演算では、指令d軸電圧VdRe
f、指令q軸電圧VqRefからそれぞれインピーダンス降
下分を減算しているために、モータパラメータの正確な
値が必要となる。特に、一次抵抗は誘導電動機7の運転
状態例えば温度状態に応じて変動するので、その設定値
R1 を一定とした場合には設定誤差が大きくなる虞があ
る。そこで、本実施例では、一次抵抗補正部53を設け
て一次抵抗の設定値R1を補正するようになっている
((30)式参照)。
【0108】上述した解析結果が示すように、一次抵抗
の設定誤差ΔR1 がなく単なる軸ずれによる誘起電圧誤
差は、h軸方向に生じv軸方向にはほとんど生じない
(図9参照)。このことは、つまりv軸誘起電圧誤差d
Ev が生じた場合には、一次抵抗に設定誤差が存在する
と考えられる。そこで、本実施例では、v軸誘起電圧誤
差dEv が0に収束するように一次抵抗の設定値R1 を
調整することにより、精度良く一次抵抗を推定すること
が可能となっている。
【0109】その結果、速度制御範囲やトルク制御範囲
が広がり、一次抵抗の設定誤差の影響が大きく現れる低
速回転重負荷時においても安定した滑らかな運転が可能
となる。また、本実施例のように、v軸誘起電圧Ev に
基づいて一次抵抗補正を行い、h軸誘起電圧Eh に基づ
いて軸ずれ補償を行うことにより、これら補正制御およ
び補償制御の非干渉化が図れ、一次抵抗の設定値R1 と
推定速度ωrhの一層の高精度化が図れる。
【0110】(第2の実施形態)以下、本発明の第2の
実施例について図10および図11を参照しながら説明
する。本実施例は、第1の実施例に対しhv軸位相角演
算部の構成のみを異にするため、他の構成部分について
は図面による表示および説明を省略する。
【0111】図10は、hv軸位相角演算部54の構成
を機能ブロックにより示したもので、図1に示すhv軸
位相角演算部36と同一構成部分には同一符号を付して
示している。この図10において、除算器37とAtan演
算部38とは一次電流位相角演算手段に相当し、上述し
た(16)式、(17)式によって一次電流位相角θId
q を演算する。演算された一次電流位相角θIdq は、減
算器55、56に入力されるようになっている。減算器
55は、90°から一次電流位相角θIdq を減算し、減
算器56は、−90°から一次電流位相角θIdq を減算
するようになっており、その減算結果はともに入力切替
器57に入力されている。
【0112】符号判断部58(符号判定手段に相当)
は、指令トルク電流IqRefを入力とし、その符号に応じ
て入力切替器57に対し「P」または「N」の極性信号
を出力するようになっている。ここで、極性信号は、指
令トルク電流IqRefが正の場合(力行指令時)に「P」
となり、指令トルク電流IqRefが負の場合(回生指令
時)に「N」となる。入力切替器57は、極性信号が
「P」の場合にあっては減算器55の出力を位相角θhv
として出力し、極性信号が「N」の場合にあっては減算
器56の出力を位相角θhvとして出力するようになって
いる。なお、減算器55、56と入力切替器57とが、
本発明でいう位相角設定手段に相当する。
【0113】このように構成されたhv軸位相角演算部
54を備えたセンサレスベクトル制御装置においては、
hv軸とdq軸との関係および誘起電圧誤差の軌跡は図
11に示すようになる。すなわち、指令トルク電流IqR
efが正の力行状態にあっては、図11(a)に示すよう
にh軸は一次電流ベクトルに対し90°遅れた軸として
定義され、指令トルク電流IqRefが負の回生状態にあっ
ては、図11(b)に示すようにh軸は一次電流ベクト
ルに対し90°進んだ軸として定義される。また、v軸
はh軸から90°進んだ軸として定義される。
【0114】一次抵抗によるインピーダンス降下は一次
電流ベクトルの向きに生じるため、上述のように定義さ
れるhv軸回転座標系では、一次抵抗の設定値R1 に設
定誤差が存在すると誘起電圧誤差の軌跡はv軸方向に推
移し、h軸誘起電圧Eh には誤差の影響が現れない。従
って、本実施例によれば、第1の実施例と同様の作用、
効果を得られるとともに、特に一次抵抗の設定誤差に対
してロバストな軸ずれ補償が可能となる。これにより、
速度制御範囲を低速側へ拡大できるとともに、制御精度
を一層高めることができる。
【0115】(第3の実施形態)以下、本発明の第3の
実施例についてセンサレスベクトル制御装置の構成を機
能ブロックにより示す図12を参照しながら説明する。
なお、図12において、図1と同一構成部分には同一符
号を付して示し、ここでは異なる構成部分について説明
する。
【0116】この図12において、センサレスベクトル
制御装置59は、インバータ回路2とベクトル制御部6
0(ベクトル制御手段に相当)とから構成され、ベクト
ル制御部60は、第1の実施例におけるベクトル制御部
34に対しインバータ周波数演算部の構成が異なってい
る。本実施例のインバータ周波数演算部61(インバー
タ周波数演算手段に相当)は、すべてdq軸回転座標系
上において制御を行うようになっている。
【0117】軸安定化補償部62は、第2の従来例(図
16参照)における軸安定化補償部31と同様の構成を
備えている。そして、この軸安定化補償部62は、誘起
電圧演算部23(d軸誘起電圧演算手段に相当)で演算
されたd軸誘起電圧Ed が0に収束するように当該d軸
誘起電圧Ed に対してPI制御を実行し((3)式、
(4)式参照)、インバータ周波数ωinv に対する補正
量ωcmp3を出力するようになっている。
【0118】減算器63(q軸誘起電圧誤差演算手段に
相当)は、誘起電圧演算部23(q軸誘起電圧演算手段
に相当)で演算されたq軸誘起電圧Eq から基準誘起電
圧演算部44で演算された基準誘起電圧E* を減算し、
q軸誘起電圧誤差dEq を出力するようになっている。
ここで、基準誘起電圧E* はq軸の基準誘起電圧に相当
する。
【0119】軸安定化補償部64(インバータ周波数補
正手段に相当)は、このq軸誘起電圧誤差dEq が0に
収束するように当該q軸誘起電圧誤差dEq に対して次
の(31)式によりPI制御を実行し、インバータ周波
数ωinv に対する補正量ωcmp4を出力するようになって
いる。なお、関数Sgn() は、上述した(4)式により定
義されるものである。
【0120】
【数23】
【0121】加算器51は、得られた補正量ωcmp3とω
cmp4とを加算して補正量ωcmp とし、減算器52は、イ
ンバータ基準周波数演算部30(図16参照)で演算さ
れたインバータ基準周波数ωinv*((2)式参照)から
その補正量ωcmp を減算することによりインバータ周波
数ωinv を出力するようになっている。そして、減算器
26により、インバータ周波数ωinv から基準すべり周
波数ωs*が減算されて推定速度ωrhが出力される。
【0122】上記構成を有するセンサレスベクトル制御
装置59によれば、d軸誘起電圧Edだけでなくq軸誘
起電圧誤差dEq に基づいてインバータ周波数ωinv が
補正され、軸ずれ補償が行われる。第1の実施例での解
析結果が示すように、特に重負荷時の場合、d軸誘起電
圧Ed には軸ずれの情報が現れにくいが、q軸誘起電圧
誤差dEq は軸ずれにより大きく変化することから軸ず
れに関する多くの情報を含んでいる。
【0123】従って、q軸誘起電圧誤差が0になるよう
にインバータ周波数ωinv を補正することにより、負荷
の大きさにかかわらず、軸ずれの情報をインバータ周波
数ωinv に作用させ易くなり、制御系の安定化を図るこ
とができる。そして、この制御により、モータパラメー
タ例えば一次抵抗の設定誤差に対しロバストな制御系を
実現できる。その結果、速度制御範囲を拡大でき、ま
た、低速回転時においてより大きなトルクを安定して発
生することが可能となる。
【0124】(第4の実施形態)以下、本発明の第4の
実施例についてセンサレスベクトル制御装置の構成を機
能ブロックにより示す図13を参照しながら説明する。
なお、図13において、図1と同一構成部分には同一符
号を付して示し、ここでは異なる構成部分について説明
する。
【0125】この図13において、センサレスベクトル
制御装置65は、インバータ回路2とベクトル制御部6
6(ベクトル制御手段に相当)とから構成され、ベクト
ル制御部66は、第1の実施例におけるベクトル制御部
34に対しインバータ周波数演算部の構成が異なってい
る。本実施例のインバータ周波数演算部67(インバー
タ周波数演算手段に相当)は、v軸二次磁束誤差に基づ
いてインバータ周波数ωinv を補正する点に特徴を有し
ている。
【0126】二次磁束演算部68(dq軸二次磁束演算
手段に相当)は、第1の実施例で説明した(19)式、
(20)式によりd軸誘起電圧Ed 、q軸誘起電圧Eq
を推定演算し、さらに次の(32)式、(33)式によ
る積分演算によりd軸二次磁束φd 、q軸二次磁束φq
を演算するようになっている。
【0127】
【数24】
【0128】v軸二次磁束誤差演算部69(v軸二次磁
束誤差演算手段に相当)は、座標変換部70、71と減
算器72とから構成されている。このうち座標変換部7
0は、dq軸回転座標系における二次磁束をhv軸回転
座標系における二次磁束に変換するもので、上述のd軸
二次磁束φd とq軸二次磁束φq とを入力し、次の(3
4)式によりh軸二次磁束φh とv軸二次磁束φv とを
演算するようになっている。
【0129】
【数25】
【0130】基準二次磁束演算部73(基準二次磁束演
算手段に相当)は、指令励磁電流IdRefに基づいて、d
q軸回転座標系において理論上導かれる基準二次磁束φ
* を次の(35)式により演算するようになっている。
【0131】
【数26】
【0132】上記v軸二次磁束誤差演算部69の座標変
換部71は、dq軸回転座標系における基準二次磁束を
hv軸回転座標系における基準二次磁束に変換するもの
で、基準二次磁束φ* を入力とし、次の(36)式によ
りv軸基準二次磁束φv*を演算するようになっている。
【0133】
【数27】
【0134】減算器72は、v軸二次磁束φv からv軸
基準二次磁束φv*を減算してv軸二次磁束誤差dφv を
求める。軸安定化補償部74(インバータ周波数補正手
段に相当)は、v軸二次磁束誤差dφv が0に収束する
ように当該v軸二次磁束誤差dφv に対して次の(3
7)式によりPI制御を実行し、インバータ周波数ωin
v を出力するようになっている。
【0135】
【数28】
【0136】上記構成を有するセンサレスベクトル制御
装置65によれば、v軸二次磁束φv とv軸基準二次磁
束φv*との差つまりv軸二次磁束誤差dφv が0に収束
するようにインバータ周波数ωinv が生成される。第1
の実施例での解析結果は、定常状態における軸ずれと誘
起電圧誤差との関係を示すものであった。しかし、定常
状態においては、誘起電圧は二次磁束に対し90°進ん
だ関係にあるため、上記軸ずれと誘起電圧とに関する解
析結果は、軸ずれと二次磁束との関係についても適用す
ることができる。
【0137】すなわち、q軸二次磁束φq は、理想的な
ベクトル制御が成立している状態(理想動作点)では0
になる。しかし、重負荷時の場合、q軸二次磁束φq に
は軸ずれの情報が現れにくい。これに対し、v軸二次磁
束誤差dφv は軸ずれにより大きく変化することから軸
ずれに関する多くの情報を有している。従って、v軸二
次磁束誤差dφv に基づいてインバータ周波数ωinv を
生成することにより、負荷の大きさにかかわらず、軸ず
れの情報をインバータ周波数ωinv に作用させ易くな
り、制御系の安定化を図ることができる。そして、この
制御により、一次抵抗の設定誤差に対しロバストな制御
系を実現できる。その結果、速度制御範囲が拡大し、低
速回生時においてより大きなトルクを安定して発生する
ことが可能となる。
【0138】(第5の実施形態)以下、本発明の第5の
実施例について図14を参照しながら説明する。図14
は、指令電流演算部の構成を機能ブロックにより示した
ものである。ここに示す指令電流演算部76は、d軸誘
起電圧Ed に基づいてインバータ周波数ωinv を補正し
つつ生成する構成を備えたセンサレスベクトル制御装
置、例えば従来構成のセンサレスベクトル制御装置1、
28(図15、図16参照)において用いられる。
【0139】この指令電流演算部76は、指令二次磁束
φRef と指令トルクTRef とを入力し、指令励磁電流I
dRef(指令d軸電流に相当)と指令トルク電流IqRef
(指令q軸電流に相当)とを演算するようになってい
る。基準励磁電流演算部77は、指令二次磁束φRef を
入力とし、次の(38)式により基準励磁電流Id*を演
算するようになっている。
【0140】
【数29】
【0141】基準トルク電流演算部78は、指令二次磁
束φRef と指令トルクTRef とを入力し、次の(39)
式により基準トルク電流Iq*を演算するようになってい
る。ここで、Pは誘導電動機の極対数である。
【0142】
【数30】
【0143】除算器79は、基準トルク電流Iq*を基準
励磁電流Id*で除算し、その除算結果をリミット判定部
80に対し出力するようになっている。つまり、この除
算器79の出力は、基準励磁電流Id*に対する基準トル
ク電流Iq*の割合(以下、基準電流比と称す)を示して
いる。リミット判定部80は、この基準電流比の絶対値
と所定値k(k>0)とを比較し、基準電流比の絶対値
が所定値kよりも大きい場合にあってはリミットフラグ
FlgLMTを1に設定し、基準電流比の絶対値が所定値k以
下の場合にあってはリミットフラグFlgLMTを0に設定す
るようになっている。
【0144】符号判断部81は、指令トルクTRef を入
力し、その符号に応じて次の(40)式により定まる符
号信号GSign を出力するようになっている。ここで、関
数Sgn() は、上述した(4)式により定義されるもので
ある。
【0145】
【数31】
【0146】指令励磁電流演算部82は、指令励磁電流
IdRefと指令トルク電流IqRefの絶対値との割合が1:
kとなる条件の下で指令トルクTRef に一致したトルク
出力が得られるように、次の(41)式により指令励磁
電流IdRef0 を演算するようになっている。
【0147】
【数32】
【0148】また、指令トルク電流演算部83は、指令
励磁電流IdRefと指令トルク電流IqRefの絶対値との割
合が1:kとなる条件の下で、次の(42)式により指
令トルク電流IqRef0 を演算するようになっている。
【0149】
【数33】
【0150】切替器84は、スイッチ手段により構成さ
れ、上述したリミットフラグFlgLMTに応じた指令励磁電
流IdRefと指令トルク電流IqRefとを出力するようにな
っている。すなわち、リミットフラグFlgLMT=0つまり
基準電流比の絶対値が所定値k以下の場合にあっては、
切替器84は、基準励磁電流Id*を指令励磁電流IdRef
とし、基準トルク電流Iq*を指令トルク電流IqRefとし
て出力する。一方、リミットフラグFlgLMT=1つまり基
準電流比の絶対値が所定値kよりも大きい場合にあって
は、切替器84は、指令励磁電流IdRef0 を指令励磁電
流IdRefとし、指令トルク電流IqRef0 を指令トルク電
流IqRefとして出力する。従って、一定の指令二次磁束
φRef が与えられている時の指令励磁電流IdRefは、前
者の場合には一定となり、後者の場合には指令トルクT
Ref に応じて設定される。
【0151】このように、指令電流演算部76は、指令
二次磁束φRef と指令トルクTRefとに基づいて、励磁
電流に対するトルク電流の割合(つまりすべり周波数)
が所定値以下であり且つ出力トルクが指令トルクTRef
に一致するように、指令励磁電流IdRefと指令トルク電
流IqRefとを生成する。この点において、指令電流演算
部76は、いわゆるトルクリミット手段とは全く異なる
ものである。そして、d軸誘起電圧Ed に基づいて軸ず
れ補正を行う構成を備えたセンサレスベクトル制御装置
1、28に対し指令電流演算部76を適用すると、以下
のような作用、効果が得られる。
【0152】すなわち、第1の実施例での解析結果が示
すように、励磁電流に対するトルク電流の割合が増加す
る重負荷時には、軸ずれによる誘起電圧誤差の軌跡は、
d軸に対して大きな交差角を持つようになる(図3、図
7参照)。一方、一次抵抗に設定誤差がある場合、誘起
電圧誤差の軌跡は一次電流ベクトルの方向に推移する
(図8参照)。従って、重負荷時においては、d軸誘起
電圧Ed に関して軸ずれによる影響と一次抵抗の設定誤
差による影響とが互いに干渉し合い、d軸誘起電圧Ed
からでは軸ずれを正しく検出できない虞がある。
【0153】これに対し、指令電流演算部76を用いる
と、d軸電流Id に対するq軸電流Iq の割合が所定値
k以下に制限されるので上記干渉状態を回避し易くなり
(図4〜図6参照)、軸ずれ補償による安定性と一次抵
抗に対するロバスト性とを確保することができる。その
結果、速度制御範囲が低速側へ拡大し、重負荷時におい
ても指令トルクに一致したトルクを安定して発生させる
ことができる。
【0154】(その他の実施形態)なお、本発明は上記
し且つ図面に示す各実施例に限定されるものではなく、
例えば以下のように変形または拡張が可能である。第1
の実施例においては以下のような変形または拡張が可能
である。軸ずれ現象を周波数領域で2分割し、h軸誘起
電圧誤差dEhLF とd軸誘起電圧EdHF とに基づいてイ
ンバータ周波数ωinv を補正したが、d軸誘起電圧EdH
F による補正は必ずしも必要ではない。従って、ローパ
スフィルタ45、ハイパスフィルタ47、軸安定化補償
部48および加算器51を除いた構成としても良い。ロ
ーパスフィルタ45のカットオフ角周波数g1 およびハ
イパスフィルタ47のカットオフ角周波数g2 をともに
1/τ2[rad/s]に設定したが、必ずしもこの値に限定さ
れない。
【0155】インバータ周波数ωinv の基準項であるイ
ンバータ基準周波数ωinv*を得るためにインバータ基準
周波数演算部50を備えたが、軸安定化補償部46は積
分要素を備えているので、インバータ基準周波数演算部
50を除いた構成としても良い。
【0156】誘起電圧演算部23におけるd軸誘起電圧
Ed およびq軸誘起電圧Eq の演算精度を高めるために
一次抵抗補正部53を備えたが、要求される制御精度、
使用条件などによっては、一次抵抗補正部53を除いた
構成としても良い。また、一次抵抗補正部53は、v軸
誘起電圧誤差dEv に基づいて一次抵抗の設定値R1 を
補正する新規な構成を備えており、h軸誘起電圧誤差d
Eh に基づく軸ずれ補償とは独立してセンサレスベクト
ル制御装置(例えば図15、図16に示すセンサレスベ
クトル制御装置1、27)に適用することができる。こ
れにより、一次抵抗の変動に対してロバストな制御系を
構成することができる。
【0157】誘起電圧演算部23は、指令d軸電圧VdR
ef、指令q軸電圧VqRefからd軸電流Id とq軸電流I
q とによるインピーダンス降下分を減算することにより
d軸誘起電圧Ed 、q軸誘起電圧Eq を推定演算した
が、d軸電流Id とq軸電流Iq に替えて指令励磁電流
IdRefと指令トルク電流IqRefを用いて推定演算するよ
うに構成しても良い。第4の実施例における二次磁束演
算部68についても同様である。第3の実施例におい
て、インバータ基準周波数演算部30を除いた構成とし
ても良い。また、第4の実施例において、インバータ周
波数ωinv の基準項であるインバータ基準周波数ωinv*
を演算するインバータ基準周波数演算部を付加しても良
い。
【0158】
【発明の効果】以上の説明によって明らかなように、本
発明の速度センサレスベクトル制御装置は、d軸に対し
位相角θHVだけ遅れたh軸と当該h軸に対し90°進ん
だv軸とからなるhv軸直交座標系を定義するととも
に、位相角θHVとdq軸直交座標系における一次電流の
位相角とが同符号となる条件の下で位相角θHVを所定の
位相角に設定し、h軸誘起電圧誤差に基づいてインバー
タ周波数を補正するように構成されている。h軸誘起電
圧誤差にはd軸誘起電圧よりも軸ずれの影響が顕著に現
れるので、d軸誘起電圧に着目していた従来構成に比べ
て軸ずれの情報をインバータ周波数に作用させ易くな
り、制御系の安定性を高めることができる。そして、モ
ータパラメータ特には一次抵抗の設定誤差に対しロバス
トな制御系を実現できる。その結果、速度制御範囲が低
速側へ拡大し、低速回生時においても大きなトルクを安
定して発生させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すセンサレスベクト
ル制御装置の機能ブロック図
【図2】hv軸回転座標系とdq軸回転座標系との関係
を示すベクトル図
【図3】力行150%時における軸ずれに対する誘起電
圧誤差の軌跡を示す図
【図4】力行75%時における軸ずれに対する誘起電圧
誤差の軌跡を示す図
【図5】無負荷時における軸ずれに対する誘起電圧誤差
の軌跡を示す図
【図6】回生75%時における軸ずれに対する誘起電圧
誤差の軌跡を示す図
【図7】回生150%時における軸ずれに対する誘起電
圧誤差の軌跡を示す図
【図8】回生150%時におけるdq軸回転座標系から
見た誘起電圧誤差の軌跡を示す図
【図9】回生150%時におけるhv軸回転座標系から
見た誘起電圧誤差の軌跡を示す図
【図10】本発明の第2の実施例を示すhv軸位相角演
算部の機能ブロック図
【図11】力行状態(a)および回生状態(b)におけ
るhv軸回転座標系とdq軸回転座標系との関係を示す
ベクトル図
【図12】本発明の第3の実施例を示す図1相当図
【図13】本発明の第4の実施例を示す図1相当図
【図14】本発明の第5の実施例を示す指令電流演算部
の機能ブロック図
【図15】第1の従来例を示す図1相当図
【図16】第2の従来例を示す図1相当図
【図17】dq軸直交座標系と静止座標系との関係を示
すベクトル図
【符号の説明】 2はインバータ回路(インバータ装置)、7は誘導電動
機、9は指令電圧演算部(dq軸指令電圧演算手段)、
11は座標変換部(dq軸電流演算手段)、12、13
は電流検出器(電流検出手段)、23は誘起電圧演算部
(dq軸誘起電圧演算手段、d軸誘起電圧演算手段、q
軸誘起電圧演算手段)、33、59、65はセンサレス
ベクトル制御装置、34、60、66はベクトル制御部
(ベクトル制御手段)、35、61、67はインバータ
周波数演算部(インバータ周波数演算手段)、36、5
4はhv軸位相角演算部(hv軸位相角演算手段)、3
9はhv軸誘起電圧誤差演算部(h軸誘起電圧誤差演算
手段、v軸誘起電圧誤差演算手段)、44は基準誘起電
圧演算部(基準誘起電圧演算手段)、45はローパスフ
ィルタ(第1のフィルタ手段)、46は軸安定化補償部
(第1の軸安定化補償手段)、47はハイパスフィルタ
(第2のフィルタ手段)、48は軸安定化補償部(第2
の軸安定化補償手段)、49はインバータ周波数補正部
(インバータ周波数補正手段)、50はインバータ基準
周波数演算部(インバータ基準周波数演算手段)、53
は一次抵抗補正部(一次抵抗補正手段)、58は符号判
断部(符号判定手段)、63は減算器(q軸誘起電圧誤
差演算手段)、64、74は軸安定化補償部(インバー
タ周波数補正手段)、68は二次磁束演算部(dq軸二
次磁束演算手段)、69はv軸二次磁束誤差演算部(v
軸二次磁束誤差演算手段)、73は基準二次磁束演算部
(基準二次磁束演算手段)である。
フロントページの続き Fターム(参考) 5H576 BB06 DD02 DD04 EE01 EE09 EE15 EE18 GG04 HA04 HB02 JJ05 JJ22 JJ24 JJ25 JJ26 JJ28 LL14 LL22 LL25 LL30 LL34 LL40

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘導電動機を駆動するインバータ装置と
    当該インバータ装置を制御するベクトル制御手段とから
    構成され、 前記ベクトル制御手段が、 前記誘導電動機の相電流を検出する電流検出手段と、 d軸と当該d軸に対し90°進んだq軸とからなるdq
    軸直交座標系において、前記検出された相電流に基づい
    て前記誘導電動機の一次電流のd軸電流とq軸電流とを
    演算するdq軸電流演算手段と、 前記d軸電流と前記q軸電流とがそれぞれ前記誘導電動
    機の励磁電流を指令する指令d軸電流とトルク電流を指
    令する指令q軸電流とに一致するように指令d軸電圧と
    指令q軸電圧とを演算するdq軸指令電圧演算手段と、 前記d軸の向きと前記誘導電動機の二次磁束の向きとが
    一致するように、前記インバータ装置が出力するインバ
    ータ周波数を演算するインバータ周波数演算手段とを備
    えて構成されている速度センサレスベクトル制御装置に
    おいて、 前記d軸に対し位相角θHVだけ遅れたh軸と当該h軸に
    対し90°進んだv軸とからなるhv軸直交座標系を定
    義し、 前記インバータ周波数演算手段は、 前記位相角θHVと前記dq軸直交座標系における前記一
    次電流の位相角とが同符号となる条件の下で前記位相角
    θHVを所定の位相角に設定するhv軸位相角演算手段
    と、 前記インバータ周波数と前記指令d軸電流とに基づいて
    基準誘起電圧を演算する基準誘起電圧演算手段と、 前記指令d軸電流または前記d軸電流、前記指令q軸電
    流または前記q軸電流、前記指令d軸電圧、および前記
    指令q軸電圧に基づいてd軸誘起電圧とq軸誘起電圧と
    を推定演算するdq軸誘起電圧演算手段と、 前記位相角θHV、前記基準誘起電圧、前記d軸誘起電
    圧、および前記q軸誘起電圧に基づいてh軸誘起電圧誤
    差を演算するh軸誘起電圧誤差演算手段と、 前記h軸誘起電圧誤差に基づいて前記インバータ周波数
    を補正するインバータ周波数補正手段とを備えて構成さ
    れていることを特徴とする速度センサレスベクトル制御
    装置。
  2. 【請求項2】 前記インバータ周波数補正手段は、 前記h軸誘起電圧誤差を入力として低域ろ過特性を有す
    る第1のフィルタ手段と、 この第1のフィルタ手段を介して出力される前記h軸誘
    起電圧誤差が0となるように前記インバータ周波数に対
    する第1の周波数補正量を演算する第1の軸安定化補償
    手段と、 前記d軸誘起電圧を入力として高域ろ過特性を有する第
    2のフィルタ手段と、 この第2のフィルタ手段を介して出力される前記d軸誘
    起電圧が0となるように前記インバータ周波数に対する
    第2の周波数補正量を演算する第2の軸安定化補償手段
    とを備え、 前記第1の周波数補正量および前記第2の周波数補正量
    により前記インバータ周波数を補正するように構成され
    ていることを特徴とする請求項1記載の速度センサレス
    ベクトル制御装置。
  3. 【請求項3】 前記第1および第2のフィルタ手段は、
    それぞれカットオフ角周波数が前記誘導電動機の二次時
    定数の逆数にほぼ等しくなるように設定されていること
    を特徴とする請求項2記載の速度センサレスベクトル制
    御装置。
  4. 【請求項4】 前記hv軸位相角演算手段は、前記位相
    角θHVを前記一次電流の位相角に等しく設定するように
    構成されていることを特徴とする請求項1ないし3の何
    れかに記載の速度センサレスベクトル制御装置。
  5. 【請求項5】 前記hv軸位相角演算手段は、 前記指令d軸電流または前記d軸電流と前記指令q軸電
    流または前記q軸電流とに基づいて前記一次電流の位相
    角を演算する一次電流位相角演算手段と、 前記指令q軸電流または前記q軸電流の符号を判定する
    符号判定手段と、 前記符号が正と判定された場合には、90°から前記一
    次電流の位相角を減算した値を前記位相角θHVとして設
    定し、前記符号が負と判定された場合には、−90°か
    ら前記一次電流の位相角を減算した値を前記位相角θHV
    として設定する位相角設定手段とから構成されているこ
    とを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の速度
    センサレスベクトル制御装置。
  6. 【請求項6】 前記インバータ周波数演算手段は、 前記位相角θHV、前記d軸誘起電圧、および前記q軸誘
    起電圧に基づいてv軸誘起電圧を演算するv軸誘起電圧
    演算手段と、 前記位相角θHVと前記v軸誘起電圧と前記指令d軸電流
    または前記d軸電流とに基づいて、前記インバータ周波
    数の基準項であるインバータ基準周波数を演算するイン
    バータ基準周波数演算手段とを備えていることを特徴と
    する請求項1ないし5の何れかに記載の速度センサレス
    ベクトル制御装置。
  7. 【請求項7】 誘導電動機を駆動するインバータ装置と
    当該インバータ装置を制御するベクトル制御手段とから
    構成され、 前記ベクトル制御手段が、 前記誘導電動機の相電流を検出する電流検出手段と、 d軸と当該d軸に対し90°進んだq軸とからなるdq
    軸直交座標系において、前記検出された相電流に基づい
    て前記誘導電動機の一次電流のd軸電流とq軸電流とを
    演算するdq軸電流演算手段と、 前記d軸電流と前記q軸電流とがそれぞれ前記誘導電動
    機の励磁電流を指令する指令d軸電流とトルク電流を指
    令する指令q軸電流とに一致するように指令d軸電圧と
    指令q軸電圧とを演算するdq軸指令電圧演算手段と、 前記d軸の向きと前記誘導電動機の二次磁束の向きとが
    一致するように、前記インバータ装置が出力するインバ
    ータ周波数を演算するインバータ周波数演算手段とを備
    えて構成されている速度センサレスベクトル制御装置に
    おいて、 前記d軸に対し位相角θHVだけ遅れたh軸と当該h軸に
    対し90°進んだv軸とからなるhv軸直交座標系を定
    義し、 前記位相角θHVと前記dq軸直交座標系における前記一
    次電流の位相角とが同符号となる条件の下で前記位相角
    θHVを所定の位相角に設定するhv軸位相角演算手段
    と、 前記インバータ周波数と前記指令d軸電流とに基づいて
    基準誘起電圧を演算する基準誘起電圧演算手段と、 前記指令d軸電圧から、少なくとも、前記誘導電動機の
    一次抵抗設定値と前記指令d軸電流または前記d軸電流
    との積を減算することによりd軸誘起電圧を推定演算
    し、前記指令q軸電圧から、少なくとも、前記一次抵抗
    設定値と前記指令q軸電流または前記q軸電流との積を
    減算することによりq軸誘起電圧を推定演算するdq軸
    誘起電圧演算手段と、 前記位相角θHV、前記基準誘起電圧、前記d軸誘起電
    圧、および前記q軸誘起電圧に基づいてv軸誘起電圧誤
    差を演算するv軸誘起電圧誤差演算手段と、 前記v軸誘起電圧誤差に基づいて前記一次抵抗設定値を
    補正する一次抵抗補正手段とを備えて構成されているこ
    とを特徴とする速度センサレスベクトル制御装置。
  8. 【請求項8】 前記hv軸位相角演算手段は、 前記指令d軸電流または前記d軸電流と前記指令q軸電
    流または前記q軸電流とに基づいて前記一次電流の位相
    角を演算する一次電流位相角演算手段と、 前記指令q軸電流または前記q軸電流の符号を判定する
    符号判定手段と、 前記符号が正と判定された場合には、90°から前記一
    次電流の位相角を減算した値を前記位相角θHVとして設
    定し、前記符号が負と判定された場合には、−90°か
    ら前記一次電流の位相角を減算した値を前記位相角θHV
    として設定する位相角設定手段とから構成されているこ
    とを特徴とする請求項7記載の速度センサレスベクトル
    制御装置。
  9. 【請求項9】 誘導電動機を駆動するインバータ装置と
    当該インバータ装置を制御するベクトル制御手段とから
    構成され、 前記ベクトル制御手段が、 前記誘導電動機の相電流を検出する電流検出手段と、 d軸と当該d軸に対し90°進んだq軸とからなるdq
    軸直交座標系において、前記検出された相電流に基づい
    て前記誘導電動機の一次電流のd軸電流とq軸電流とを
    演算するdq軸電流演算手段と、 前記d軸電流と前記q軸電流とがそれぞれ前記誘導電動
    機の励磁電流を指令する指令d軸電流とトルク電流を指
    令する指令q軸電流とに一致するように指令d軸電圧と
    指令q軸電圧とを演算するdq軸指令電圧演算手段と、 前記指令d軸電流または前記d軸電流、前記指令q軸電
    流または前記q軸電流、および前記指令d軸電圧に基づ
    いてd軸誘起電圧を推定演算するd軸誘起電圧演算手段
    と、 前記d軸誘起電圧に基づいて、前記d軸の向きと前記誘
    導電動機の二次磁束の向きとが一致するように、前記イ
    ンバータ装置が出力するインバータ周波数を補正して生
    成するインバータ周波数演算手段とを備えて構成されて
    いる速度センサレスベクトル制御装置において、 前記インバータ周波数演算手段は、 前記インバータ周波数と前記指令d軸電流とに基づいて
    基準誘起電圧を演算する基準誘起電圧演算手段と、 前記指令d軸電流または前記d軸電流、前記指令q軸電
    流または前記q軸電流、および前記指令q軸電圧に基づ
    いてq軸誘起電圧を推定演算するq軸誘起電圧演算手段
    と、 前記q軸誘起電圧と前記基準誘起電圧とに基づいてq軸
    誘起電圧誤差を演算するq軸誘起電圧誤差演算手段と、 前記q軸誘起電圧誤差に基づいて前記インバータ周波数
    を補正するインバータ周波数補正手段とから構成されて
    いることを特徴とする速度センサレスベクトル制御装
    置。
  10. 【請求項10】 誘導電動機を駆動するインバータ装置
    と当該インバータ装置を制御するベクトル制御手段とか
    ら構成され、 前記ベクトル制御手段が、 前記誘導電動機の相電流を検出する電流検出手段と、 d軸と当該d軸に対し90°進んだq軸とからなるdq
    軸直交座標系において、前記検出された相電流に基づい
    て前記誘導電動機の一次電流のd軸電流とq軸電流とを
    演算するdq軸電流演算手段と、 前記d軸電流と前記q軸電流とがそれぞれ前記誘導電動
    機の励磁電流を指令する指令d軸電流とトルク電流を指
    令する指令q軸電流とに一致するように指令d軸電圧と
    指令q軸電圧とを演算するdq軸指令電圧演算手段と、 前記d軸の向きと前記誘導電動機の二次磁束の向きとが
    一致するように、前記インバータ装置が出力するインバ
    ータ周波数を演算するインバータ周波数演算手段とを備
    えて構成されている速度センサレスベクトル制御装置に
    おいて、 前記d軸に対し位相角θHVだけ遅れたh軸と当該h軸に
    対し90°進んだv軸とからなるhv軸直交座標系を定
    義し、 前記インバータ周波数演算手段は、 前記位相角θHVと前記dq軸直交座標系における前記一
    次電流の位相角とが同符号となる条件の下で前記位相角
    θHVを所定の位相角に設定するhv軸位相角演算手段
    と、 前記指令d軸電流に基づいて基準二次磁束を演算する基
    準二次磁束演算手段と、 前記指令d軸電流または前記d軸電流、前記指令q軸電
    流または前記q軸電流、前記指令d軸電圧、および前記
    指令q軸電圧に基づいてd軸二次磁束とq軸二次磁束と
    を推定演算するdq軸二次磁束演算手段と、 前記位相角θHV、前記基準二次磁束、前記d軸二次磁
    束、および前記q軸二次磁束に基づいてv軸二次磁束誤
    差を演算するv軸二次磁束誤差演算手段と、 前記v軸二次磁束誤差に基づいて前記インバータ周波数
    を補正するインバータ周波数補正手段とから構成されて
    いることを特徴とする速度センサレスベクトル制御装
    置。
  11. 【請求項11】 誘導電動機を駆動するインバータ装置
    と当該インバータ装置を制御するベクトル制御手段とか
    ら構成され、 前記ベクトル制御手段が、 前記誘導電動機の相電流を検出する電流検出手段と、 d軸と当該d軸に対し90°進んだq軸とからなるdq
    軸直交座標系において、前記検出された相電流に基づい
    て前記誘導電動機の一次電流のd軸電流とq軸電流とを
    演算するdq軸電流演算手段と、 前記誘導電動機の指令二次磁束と指令トルクとに基づい
    て指令d軸電流と指令q軸電流とを演算するdq軸指令
    電流演算手段と、 前記d軸電流と前記q軸電流とがそれぞれ前記指令d軸
    電流と前記指令q軸電流とに一致するように指令d軸電
    圧と指令q軸電圧とを演算するdq軸指令電圧演算手段
    と、 前記指令d軸電流または前記d軸電流、前記指令q軸電
    流または前記q軸電流、および前記指令d軸電圧に基づ
    いてd軸誘起電圧を推定演算するd軸誘起電圧演算手段
    と、 前記d軸誘起電圧に基づいて、前記d軸の向きと前記誘
    導電動機の二次磁束の向きとが一致するように、前記イ
    ンバータ装置が出力するインバータ周波数を補正して生
    成するインバータ周波数演算手段とを備えて構成されて
    いる速度センサレスベクトル制御装置において、 前記dq軸指令電流演算手段は、前記誘導電動機の発生
    トルクが前記指令トルクに等しくなるとともに、前記指
    令d軸電流に対する前記指令q軸電流の割合が所定値以
    下となるように前記指令d軸電流と前記指令q軸電流と
    を演算するように構成されていることを特徴とする速度
    センサレスベクトル制御装置。
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