JP2002234935A - ポリエステルの製造方法 - Google Patents

ポリエステルの製造方法

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JP2002234935A
JP2002234935A JP2001364957A JP2001364957A JP2002234935A JP 2002234935 A JP2002234935 A JP 2002234935A JP 2001364957 A JP2001364957 A JP 2001364957A JP 2001364957 A JP2001364957 A JP 2001364957A JP 2002234935 A JP2002234935 A JP 2002234935A
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Atsushi Hara
厚 原
Koji Yoshida
孝次 吉田
Itsuki Yamauchi
一城 山内
Hirotoshi Sonoda
博俊 園田
Yoshitaka Eto
嘉孝 衛藤
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形時での金型汚れを発生させにくく、また
ボトルの透明性や口栓部結晶化が良好となるポリエステ
ルを提供し、さらにはポリエステルチップの水処理時の
処理槽や配管の汚れを少なくするポリエステルの製造方
法を提供すること。 【解決手段】 テレフタル酸またはそのエステル形成性
誘導体とエチレングリコ−ルまたはそのエステル形成性
誘導体とをエステル化またはエステル交換する低重合体
製造工程(a)、低重合体を溶融重縮合する溶融重縮合
工程(b)、ポリエステルよりファイン及び/またはフ
イルム状物を除去するファイン等除去工程(c)、ポリ
エステルを固相重縮合する固相重合工程(d)、ポリエ
ステルよりファイン及び/またはフイルム状物を除去す
るファイン等除去工程(e)、ポリエステルを水と接触
処理させる水処理工程(f)、ポリエステルよりファイ
ン及び/またはフイルム状物を除去するファイン等除去
工程(g)とを含むことを特徴とするポリエステルの製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボトルをはじめと
して、フィルム、シ−ト成形用などに用いられるポリエ
ステルの製造方法に関し、さらに詳しくは、成形時に金
型汚れが発生しにくく、成形体の結晶化コントロ−ル性
に優れたポリエステルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレ−トなどのポリ
エステルは、機械的性質及び化学的性質が共に優れてい
るため、工業的価値が高く、繊維、フイルム、シ−ト、
ボトルなどとして広く使用されている。
【0003】調味料、油、飲料、化粧品、洗剤などの容
器の素材としては、充填内容物の種類およびその使用目
的に応じて種々の樹脂が採用されている。
【0004】これらのうちでポリエステルは機械的強
度、耐熱性、透明性およびガスバリヤ−性に優れている
ので、特にジュ−ス、清涼飲料、炭酸飲料などの飲料充
填用容器の素材として最適である。
【0005】このようなポリエステルは射出成形機械な
どの成形機に供給して中空成形体用プリフォ−ムを成形
し、このプリフォ−ムを所定形状の金型に挿入し延伸ブ
ロ−成形した後ボトルの胴部を熱処理(ヒ−トセット)
して中空成形容器に成形され、さらには必要に応じてボ
トルの口栓部を熱処理(口栓部結晶化)させるのが一般
的である。
【0006】ところが、従来のポリエステルには、環状
三量体などのオリゴマ−類が含まれており、このオリゴ
マ−類が金型内面や金型のガスの排気口、排気管に付着
することによる金型汚れが発生しやすかった。
【0007】また、ポリエステルは、副生物であるアセ
トアルデヒドを含有する。ポリエステル中のアセトアル
デヒド含有量が多い場合には、これから成形された容器
やその他包装等の材質中のアセトアルデヒド含有量も多
くなり、該容器等に充填された飲料等の風味や臭いに影
響を及ぼす。したがって、従来よりポリエステル中のア
セトアルデヒド含有量を低減させるために種々の方策が
採られてきた。
【0008】近年、ポリエチレンテレフタレ−トを中心
とするポリエステル製容器は、ミネラルウオ−タやウ−
ロン茶等の低フレ−バ−飲料用の容器として使用される
ようになってきた。このような飲料の場合は、一般にこ
れらの飲料を熱充填したりまたは充填後加熱して殺菌さ
れるが、飲料容器のアセトアルデヒド含有量の低減だけ
ではこれらの内容物の風味や臭いが改善されないことが
わかってきた。
【0009】また、飲料用金属缶については、工程簡略
化、衛生性、公害防止等の目的から、その内面にエチレ
ンテレフタレ−トを主たる繰り返し単位とするポリエス
テルフイルムを被覆した金属板を利用して製缶する方法
が採られるようになってきた。この場合にも、内容物を
充填後高温で加熱殺菌されるが、この際アセトアルデヒ
ド含有量の低いフイルムを使用しても内容物の風味や臭
いが改善されないことが分かってきた。
【0010】このような問題点を解決する方法として、
特開平3−47830号にはポリエチレンテレフタレ−
トを水処理する方法が開示されている。
【0011】しかし、この方法を工業的に実施する場合
には、処理用の水として蒸留水を用いるとコストの面か
ら不利であるため、河川からの水や地下水、排水等を簡
易処理した工業用水を用いることが一般的である。しか
しながら、工業用水を用いて水処理をした場合、しばし
ば成型時での結晶化が早過ぎ、透明性の悪いボトルにな
ってしまうという問題があった。また口栓部結晶化によ
る口栓部の収縮が規格内に納まらずにキャッピング不良
となる問題もあった。
【0012】本発明者らの検討によると、これは水処理
の段階において、工業用水に含まれているナトリウムや
マグネシウム、カルシウム、二酸化珪素等の金属含有物
質の含有量が一定値より多い場合、これらの金属の酸化
物や水酸化物等の金属含有物質が処理水中に浮遊、沈
殿、さらには処理槽壁や配管壁に付着したりし、これが
ポリエステルチップに付着、浸透して、成形時での結晶
化が促進され、透明性の悪いボトルとなることがわかっ
た。さらには金属含有物質が配管を詰まらせたり、処理
槽や配管の洗浄を困難にさせる等の問題が生じていた。
また、水処理の段階において、ポリエステルチップに付
着しているファイン(樹脂微粉末)が処理水に浮遊、沈
殿し処理槽壁や配管壁に付着して、配管を詰まらせた
り、処理槽や配管の洗浄を困難にさせる等の問題も生じ
ていた。
【0013】したがって、透明性の良好な成形体を与え
る水処理したポリエステルを得るために、工業用水をイ
オン交換処理装置によって処理をしたイオン交換水を使
用し、また、処理槽中のポリエステルの微粉量やその他
の粒子を一定濃度以下になるように管理してポリエステ
ルを水処理するが、この場合でも時には透明性の悪い成
形体しか得られない場合があったり、また口栓部結晶化
後の口栓部寸法が規格に合わなくなってキャッピング不
良となる問題等が生じた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
問題点を解決することにあり、成形時での金型汚れを発
生させにくく、またボトルの透明性や口栓部結晶化が良
好となるポリエステルを提供し、さらにはポリエステル
チップの水処理時の処理槽や配管の汚れを少なくするポ
リエステルの製造方法を提供することを目的としてい
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のポリエステルの製造方法は、テレフタル酸
またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコ−ル
またはそのエステル形成性誘導体とをエステル化または
エステル交換する低重合体製造工程(a)、該低重合体
製造工程で得られた低重合体を溶融重縮合する溶融重縮
合工程(b)、該溶融重縮合工程で得られたポリエステ
ルよりファイン及び/またはフイルム状物を除去するフ
ァイン等除去工程(c)、該ファイン等除去工程で得ら
れたポリエステルを固相重縮合する固相重合工程
(d)、該固相重合工程で得られたポリエステルよりフ
ァイン及び/またはフイルム状物を除去するファイン等
除去工程(e)、該ファイン等除去工程で得られたポリ
エステルを水と接触処理させる水処理工程(f)、該水
処理工程で得られたポリエステルよりファイン及び/ま
たはフイルム状物を除去するファイン等除去工程(g)
とを含むことを特徴とする。
【0016】ここで、ファインとはJIS−Z8801
による呼び寸法1.7mmの金網をはった篩いを通過し
たポリエステルの微粉末を意味し、またフイルム状物と
はJIS−Z8801による呼び寸法5.6mmの金網
をはった篩い上に残ったポリエステルのうち、2個以上
のチップが融着したり、あるいは正常な形状より大きく
切断されたチップ状物を除去した後のフイルム状物を意
味し、これらの含有量は下記の測定法によって測定す
る。
【0017】この場合において、前記の低重合体製造工
程(a)からファイン等除去工程(g)を含めた製造工
程を、連続的に運転することができる。
【0018】この場合において、ファイン等除去工程
(c)によりファインおよび/またはフイルム状物を除
去した後のポリエステルのファイン含有量、フイルム状
物含有量、あるいはファイン含有量とフイルム状物含有
量の合計含有量のいずれかの含有量が300ppm以下
であることができる。
【0019】この場合において、ファイン等除去工程
(e)によりファインおよび/またはフイルム状物を除
去した後のポリエステルのファイン含有量、フイルム状
物含有量、あるいはファイン含有量とフイルム状物含有
量の合計含有量のいずれかの含有量が300ppm以下
であることができる。
【0020】この場合において、ファイン等除去工程
(g)によりファインおよび/またはフイルム状物を除
去した後のポリエステルのファイン含有量、フイルム状
物含有量、あるいはファイン含有量とフイルム状物含有
量の合計含有量のいずれかの含有量が300ppm以下
であることができる。
【0021】この場合において、前記のファイン等除去
工程(c)を経由して前記の固相重合工程(d)へ供給
されるポリエステル中に含まれるファインおよび/また
はフイルム状物の、融解ピ−ク温度の最も高温側の融解
ピ−ク温度が、265℃以下であることができる。
【0022】この場合において、前記のファイン等除去
工程(e)を経由して前記の水処理工程(f)へ供給さ
れるポリエステル中に含まれるファインおよび/または
フイルム状物の、融解ピ−ク温度の最も高温側の融解ピ
−ク温度が、265℃以下であることができる。
【0023】またこの場合において、前記のファイン等
除去工程(g)で処理されたポリエステル中に含まれる
ファインおよび/またはフイルム状物の、融解ピ−ク温
度の最も高温側の融解ピ−ク温度が、265℃以下であ
ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に本発明に係るポリエステル
の製造方法について具体的に説明する。本発明に係るポ
リエステルは、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタ
レ−トであるポリエステルであって、好ましくはエチレ
ンテレフタレ−ト単位を85モル%以上含む線状ポリエ
ステルであり、さらに好ましくは90モル%以上、特に
好ましくは95%以上含む線状ポリエステルである。
【0025】前記ポリエステルが共重合体である場合に
使用される共重合成分としてのジカルボン酸としては、
イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフ
ェニ−ル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタ
ンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的
誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオ
キシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン
酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマ−酸等の脂肪族ジカ
ルボン酸及びその機能的誘導体、シクロヘキサンジカル
ボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体な
どが挙げられる。
【0026】前記ポリエステルが共重合体である場合に
使用される共重合成分としてのグリコ−ルとしては、ジ
エチレングリコ−ル、トリメチレングリコ−ル、テトラ
メチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の脂肪
族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族
グリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリブチレング
リコ−ル等のポリアルキレングリコ−ル、ビスフェノ−
ルA、ビスフェノ−ルAのアルキレンオキサイド付加物
等の芳香族グリコ−ルなどが挙げられる。
【0027】さらに、前記ポリエステルが共重合体であ
る場合に使用される共重合成分としての多官能化合物と
しては、酸成分として、トリメリット酸、ピロメリット
酸等を挙げることができ、グリコ−ル成分としてグリセ
リン、ペンタエリスリト−ルを挙げることができる。以
上の共重合成分の使用量は、ポリエステルが実質的に線
状を維持する程度でなければならない。また、単官能化
合物、例えば安息香酸、ナフトエ酸等を共重合させても
よい。
【0028】本発明に係るポリエステルは、従来公知の
製造方法によって製造することが出来る。即ち、PET
の場合には、テレフタール酸とエチレングリコール及び
必要により他の共重合成分を直接反応させて水を留去し
エステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル
化法、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコ
ール及び必要により他の共重合成分を反応させてメチル
アルコールを留去しエステル交換させた後、減圧下に重
縮合を行うエステル交換法により製造される。ついで極
限粘度を増大させ、アセトアルデヒド含有量等を低下さ
せる為に固相重合を行う。固相重合前の結晶化促進のた
め、溶融重縮合ポリエステルを吸湿させたあと加熱結晶
化させたり、また水蒸気を直接ポリエステルチップに吹
きつけて加熱結晶化させたりしてもよい。そして、固相
重合後のポリエステルチップは、水と接触処理を行う。
【0029】前記溶融重縮合反応は、回分式反応装置で
行っても良いし、また連続式反応装置で行っても良い。
これらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は1段
階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良
い。固相重合反応は、溶融重縮合反応と同様、回分式装
置や連続式装置で行うことが出来る。溶融重縮合と固相
重合は連続で行っても良いし、分割して行ってもよい。
水処理工程も同様に、回分式装置や連続式装置で行うこ
とが出来る。
【0030】以下にはポリエチレンテレフタレートを例
にして連続方式での好ましい製造方法の一例について説
明する。前記のテレフタル酸またはそのエステル形成性
誘導体とエチレングリコ−ルまたはそのエステル形成性
誘導体とを含む原料は、低重合体製造工程(a)におい
てエステル化反応またはエステル交換反応されて低重縮
合体となる。
【0031】エステル化反応により低重縮合体を製造す
る場合には、テレフタル酸またはそのエステル誘導体1
モルに対して1.02〜1.5モル、好ましくは1.0
3〜1.4モルのエチレングリコ−ルが含まれたスラリ
−を調整し、これをエステル化反応工程に連続的に供給
する。
【0032】このようなエステル化反応は、1段階で行
っても、また多段階に分けて行ってもよい。多段階で行
う場合について説明する。エステル化反応は、少なくと
も2個のエステル化反応器を直列に連結した多段式装置
を用いてエチレングリコ−ルが還流する条件下で、反応
によって生成した水またはアルコ−ルを精留塔で系外に
除去しながら実施する。第1段目のエステル化反応の温
度は240〜270℃、好ましくは245〜265℃、
圧力は0.02〜3kg/cm2G、好ましくは0.0
5〜2kg/cm2Gである。最終段目のエステル化反
応の温度は通常250〜280℃、好ましくは255〜
275℃であり、圧力は通常0〜1.5kg/cm
2G、好ましくは0〜1.3kg/cm2Gである。3段
階以上で実施する場合には、中間段階のエステル化反応
の反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反
応条件の間の条件である。これらのエステル化反応の反
応率の上昇は、それぞれの段階で滑らかに分配されるこ
とが好ましい。最終的にはエステル化反応率は90%以
上、好ましくは93%以上に達することが望ましい。こ
れらのエステル化反応により分子量500〜5000程
度の低重縮合体が得られる。
【0033】上記エステル化反応は原料としてテレフタ
ル酸を用いる場合は、テレフタル酸の酸としての触媒作
用により無触媒でも反応させることができるが重縮合触
媒の共存下に実施してもよい。
【0034】また、トリエチルアミン、トリ−n−ブチ
ルアミン、ベンジルジメチルアミンなどの第3級アミ
ン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−
n−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルア
ンモニウムなどの水酸化第4級アンモニウムおよび炭酸
リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリ
ウムなどの塩基性化合物を少量添加して実施すると、ポ
リエチレンテレフタレ−トの主鎖中のジオキシエチレン
テレフタレ−ト成分単位の割合を比較的低水準(全ジオ
−ル成分に対して5モル%以下)に保持できるので好ま
しい。
【0035】また、エステル交換反応によって低重縮合
体を製造する場合は、テレフタル酸ジメチル1モルに対
して1.1〜1.6モル、好ましくは1.2〜1.5モ
ルのエチレングリコ−ルが含まれた溶液を調整し、これ
をエステル交換反応工程に連続的に供給する。
【0036】エステル交換反応は、1〜2個のエステル
交換反応器を直列に連結した装置を用いてエチレングリ
コ−ルが還留する条件下で、反応によって生成したメタ
ノ−ルを精留塔で系外に除去しながら実施する。第1段
目のエステル交換反応の温度は180〜250℃、好ま
しくは200〜240℃である。最終段目のエステル交
換反応の温度は通常230〜270℃、好ましくは24
0〜265℃であり、エステル交換触媒として、Zn、
Cd、Mg、Mn、Co、Ca、Baなどの脂肪酸塩、
炭酸塩やPb、Zn、Sb、Ge酸化物等を用いる。こ
れらのエステル交換反応により分子量約200〜500
程度の低重縮合体が得られる。
【0037】次いで得られた低重縮合体は、重縮合触媒
の存在下に減圧下で、得られるポリエステルの融点以上
の温度に加熱し、この際生成するグリコ−ルを系外に溜
去させて重縮合する溶融重縮合工程(b)に供給され
る。
【0038】このような重縮合反応は、1段階で行って
も、また多段階に分けて行ってもよい。多段階で行う場
合について説明する。重縮合反応条件は、第1段階目の
重縮合の反応温度は250〜290℃、好ましくは26
0〜280℃であり、圧力は500〜20Torr、好
ましくは200〜30Torrで、最終段階の重縮合反
応の温度は265〜300℃、好ましくは275〜29
5℃であり、圧力は10〜0.1Torr、好ましくは
5〜0.5Torrである。
【0039】重縮合反応を3段階以上で実施する場合に
は、中間段階の重縮合反応の反応条件は、上記第1段目
の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件である。こ
れらの重縮合反応工程の各々において到達される極限粘
度の上昇の度合は滑らかに分配されることが好ましい。
【0040】重縮合反応は、重縮合触媒を用いる。重縮
合触媒としては、Ge、Sb、Ti、またはAlの化合
物が用いられるが、Ge化合物とTi化合物、Ge化合
物とAl化合物、Sb化合物とTi化合物、Sb化合物
とGe化合物の混合触媒の使用も好都合である。これら
の化合物は、粉体、水溶液、エチレングリコ−ル溶液、
エチレングリコ−ルのスラリ−等として反応系に添加さ
れる。
【0041】Ge化合物としては、無定形二酸化ゲルマ
ニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム粉末またはエチレン
グリコ−ルのスラリ−、結晶性二酸化ゲルマニウムを水
に加熱溶解した溶液、またはこれにエチレングリコ−ル
を添加加熱処理した溶液等が使用されるが、特に本発明
で用いるポリエステルを得るには二酸化ゲルマニウムを
水に加熱溶解した溶液、またはこれにエチレングリコ−
ルを添加加熱した溶液を使用するのが好ましい。これら
の重縮合触媒はエステル化工程中に添加することができ
る。Ge化合物を使用する場合、その使用量は生成ポリ
マ−中のGe残存量として10〜150ppm、好まし
くは13〜100ppm、更に好ましくは15〜70p
pmである。
【0042】Ti化合物としては、テトラエチルチタネ
−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラ−n−プ
ロピルチタネ−ト、テトラ−n−ブチルチタネ−ト等の
テトラアルキルチタネ−トおよびそれらの部分加水分解
物、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チ
タニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニ
ルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チ
タニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩
化チタン等が挙げられる。Ti化合物は、生成ポリマ−
中のTi残存量として0.1〜10ppmの範囲になる
ように添加する。
【0043】Sb化合物としては、三酸化アンチモン、
酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモン
カリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレ−
ト、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙
げられる。Sb化合物は、生成ポリマ−中のSb残存量
として50〜250ppmの範囲になるように添加す
る。
【0044】また、Al化合物としては、蟻酸アルミニ
ウム、酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、
蓚酸アルミニウム等のカルボン酸塩、酸化物、水酸化ア
ルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウ
ム、炭酸アルミニウム等の無機酸塩、アルミニウムメト
キサイド、アルミニウムエトキサイド等のアルミニウム
アルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネ−ト、
アルミニウムアセチルアセテ−ト等とのアルミニウムキ
レ−ト化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルア
ルミニウム等の有機アルミニウム化合物およびこれらの
部分加水分解物等があげられる。これらのうち酢酸アル
ミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水
酸化塩化アルミニウム、およびアルミニウムアセチルア
セトネ−トが特に好ましい。Al化合物は、生成ポリマ
−中のAl残存量として5〜200ppmの範囲になる
ように添加する。
【0045】また、本発明においては、アルカリ金属化
合物またはアルカリ土類金属化合物を併用してもよい。
アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、
これら元素の酢酸塩等のカルボン酸塩、アルコキサイド
等があげられ、粉体、水溶液、エチレングリコ−ル溶液
等として反応系に添加される。アルカリ金属化合物また
はアルカリ土類金属化合物は、生成ポリマ−中のこれら
の元素の残存量として1〜50ppmの範囲になるよう
に添加する。
【0046】また、安定剤として種々のP化合物を使用
することができる。本発明で使用されるP化合物として
は、リン酸、亜リン酸およびそれらの誘導体等が挙げら
れる。具体例としてはリン酸、リン酸トリメチルエステ
ル、リン酸トリエチルエステル、リン酸トリブチルエス
テル、リン酸トリフェニ−ルエステル、リン酸モノメチ
ルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸モノブチ
ルエステル、リン酸ジブチルエステル、亜リン酸、亜リ
ン酸トリメチルエステル、亜リン酸トリエチルエステ
ル、亜リン酸トリブチルエステル等であり、これらは単
独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
P化合物は、生成ポリマ−中のP残存量として1〜10
00ppmの範囲になるように前記のポリエステル生成
反応工程の任意の段階で添加することができる。
【0047】前記の最終重縮合反応器より得られるポリ
エステルの極限粘度は0.30〜0.85デシリットル
/グラム、好ましくは0.35〜0.80デシリットル
/グラム、さらに好ましくは0.40〜0.75デシリ
ットル/グラムの範囲であることが好ましい。
【0048】本発明に係るポリエステル中に共重合され
たジエチレングリコ−ル含有量は該ポリエステルを構成
するグリコール成分の1.0〜5.0モル%、好ましく
は1.3〜4.5モル%、更に好ましくは1.5〜4.
0モル%である。
【0049】前記の最終重縮合反応器より得られた溶融
ポリエステルは、ダイスより水中に押出されて水中でカ
ットする方式、あるいは大気中に押出された後、直ちに
冷却水で冷却しながらカットする方式等によってチップ
化される。チップ表面に付着した水は、空気流等によっ
て除去される。
【0050】ここで、溶融重縮合工程(b)とは、低重
合体製造工程(a)終了後から、最終溶融重縮合反応器
よりダイスを経由して吐出された溶融ポリエステルをチ
ップ化し、ファイン等除去工程(c)の手前までの段階
をいう。
【0051】ポリエステルのチップの形状は、シリンダ
−型、角型、球状または扁平な板状等の何れでもよく、
その平均粒径は、通常1.5〜5mm、好ましくは1.
6〜4.5mm、さらに好ましくは1.8〜4.0mm
の範囲である。例えば、シリンダ−型の場合は、長さは
1.5〜4mm、径は1.5〜4mm程度であるのが実
用的である。球状粒子の場合は、最大粒子径が平均粒子
径の1.1〜2.0倍、最小粒子径が平均粒子径の0.
7倍以上であるのが実用的である。また、チップの重量
は15〜30mg/個の範囲が実用的である。
【0052】また、チップ化工程の冷却水中のナトリウ
ムの含有量、マグネシウムの含有量、珪素の含有量及び
カルシウムの含有量をそれぞれN、M、S、Cとした場
合、下記の(1)〜(4)の少なくとも一つ、好ましく
はすべてを満足するようにして溶融重縮合ポリエステル
のチップ化を行うのが好ましい。 N ≦ 1.0(ppm) (1) M ≦ 0.5(ppm) (2) S ≦ 2.0(ppm) (3) C ≦ 1.0(ppm) (4)
【0053】前記の条件を外れる冷却水を用いた場合に
は、これらの金属含有化合物がポリエステルチップ表面
に付着し、得られた最終のポリエステルの結晶化速度が
非常に早く、またその変動が大きくなり好ましくない。
【0054】前記のようにして溶融重縮合されたポリエ
ステルは、チップ化されたあと輸送配管中を貯蔵用サイ
ロや固相重合工程(d)に輸送される。このようなチッ
プの輸送を、例えば空気を使用した強制的な低密度輸送
方法で行うと、ポリエステルのチップの表面には配管と
の衝突によって大きな衝撃力がかかり、この結果ファイ
ンやフイルム状物が多量に発生する。このようなファイ
ンやフイルム状物はポリエステルの結晶化を促進させる
効果を持っており、多量に存在する場合には得られた成
形体の透明性が非常に悪くなる。また、このようなファ
インやフイルム状物等には、正常な融点より約10〜2
0℃以上高い融点を持つものが含まれる。また、ポリエ
ステルチップに衝撃力やせん断力がかかる送り装置を用
いたりする場合にも、正常な融点より約10〜20℃以
上高い融点のファインやフイルム状物が非常に多量に発
生する。これは、チップ表面に加わる衝撃力等の大きな
力のためにチップが発熱すると同時にチップ表面におい
てポリエステルの配向結晶化が起こり、緻密な結晶構造
が生じるためではないかと推定される。
【0055】前記のような正常な融点より約10〜20
℃以上高い融点を持つポリエステルのファインやフイル
ム状物をポリエステルチップと共に固相重縮合処理した
り、また引き続き水処理等の処理をすると、これらの融
点は処理前よりさらに高くなる。また、正常な融点より
約10℃以上高くない融点を持つファインやフイルム状
物でも、前記のこれらの処理によって、これらの融点は
正常な融点より約10〜20℃以上高い融点を持つよう
になる。これは、これらの処理により、結晶構造がさら
に緻密な結晶構造に変化するためであろうと推定され
る。
【0056】このような正常な融点より約10〜20℃
以上高い融点のファインやフイルム状物を含むポリエス
テルを通常の成形条件で成形する場合は、溶融成形時に
このような高融点の結晶が完全に溶融せず、結晶核とし
て残る。この結果、加熱時の結晶化速度が非常に早くな
るため中空成形容器の口栓部の結晶化が過大となり、こ
のため口栓部の収縮量が規定値範囲内におさまらなくな
り、口栓部のキャッピング不良となり内容物の漏れが生
じるという問題が起こる。また中空成形用予備成形体が
白化し、このため正常な延伸が不可能となり、厚み斑が
生じ、また結晶化速度が速いため得られた中空成形体の
透明性が悪くなり、また透明性の変動も大となり問題と
なる。
【0057】本発明においては、チップやファイン等の
融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて下記の方法
で測定するが、溶融重縮合ポリエステルのチップの融点
を表す融解ピ−ク温度は通常1つであり、また下記の固
相重合ポリエステルの融点を表す融解ピ−ク温度は、固
相重合条件によって1つであったり、2つであったりす
る。一方、ファイン等の融点を表す融解ピ−ク温度は、
1つ、あるいは複数のピ−クから構成されており、複数
ピ−クの場合は最も高温側の融解ピ−ク温度に注目す
る。
【0058】本発明に係る主たる繰り返し単位がエチレ
ンテレフタレ−トであるポリエステルの場合は、前記の
ファイン等除去工程(c)を経由して固相重合工程
(d)へ供給されるポリエステル中に含まれるファイン
および/またはフイルム状物の、融解ピ−ク温度の最も
高温側の融解ピ−ク温度が265℃である場合には、前
記の理由により得られたポリエステルの結晶化速度が早
くなりすぎたり、またその変動が非常に大きくなり、得
られた中空成形用予備成形体が白化し、このため正常な
延伸が不可能となり、厚み斑が生じ、また得られた中空
成形体の透明性が悪くなり、また透明性の変動も大とな
り大きな問題となる。
【0059】したがって、溶融重縮合工程(b)で溶融
重縮合され、次いでチップ化されたポリエステルは、フ
ァインおよび/またはフイルム状物を分離除去するため
にファイン等除去工程(c)へ輸送され、固相重合する
前に、これらを出来るだけ多量に除去することが重要で
ある。
【0060】そして、該固相重合する前に設置したファ
イン等除去工程(c)によってファインおよび/または
フイルム状物を除去した後のポリエステルのファイン含
有量、フイルム状物含有量、あるいはファイン含有量と
フイルム状物含有量の合計含有量のいずれかの含有量を
300ppm以下にすることによって上記の問題点を解
決するものであり、好ましくは200ppm以下、より
好ましくは100ppm以下、さらに好ましくは50p
pm以下に低下させるのが望ましい。
【0061】また本発明に係る主たる繰り返し単位がエ
チレンテレフタレ−トであるポリエステルの場合は、フ
ァイン等除去工程(c)を経由して前記の固相重合工程
(d)へ供給されるポリエステル中に含まれるファイン
および/またはフイルム状物の、融解ピ−ク温度の最も
高温側の融解ピ−ク温度が、265℃以下であることに
よって上記の問題点を解決するものである。
【0062】ファイン等の除去方法としては、固相重合
工程(d)の直前に別々に設置した振動篩工程及び空気
流による気流分級工程、重力式分級工程等で処理する方
法等が挙げられる。これらの工程をさらに追加してもよ
い。また、融解ピ−ク温度の最も高温側の融解ピ−ク温
度が265℃を越えるファインおよび/またはフイルム
状物を含まないようにする方法としては、次のような方
法が挙げられる。すなわち、溶融重縮合後ダイスより溶
融ポリエステルを水中に押出して水中でカットする方
式、あるいは大気中に押出した後、直ちに冷却水で冷却
しながらカットする方式によってチップ化し、ついでチ
ップ状に形成したポリエステルチップを水切り後、振動
篩工程および空気流による気流分級工程によって所定の
サイズ以外の形状のチップやファインやフイルム状物を
除去し、プラグ輸送方式やバケット式コンベヤ−輸送方
式により貯蔵用タンクに送る。該タンクからのチップの
抜出はスクリュ−式フィ−ダ−により、次工程へはプラ
グ輸送方式やバケット式コンベヤ−輸送方式によって輸
送し、固相重合工程(d)の直前に空気流による気流分
級工程、あるいは振動式篩分工程等を設けてファイン除
去処理を行う。また、前記のファインやフイルム状物の
除去処理を行った溶融重縮合ポリエステルを、固相重合
工程(d)直前で空気流による気流分級工程、あるいは
振動式篩分工程等によって、再度ファインやフイルム状
物の除去を行い、固相重合工程(d)へ直接投入するこ
ともできる。溶融重縮合したプレポリマ−チップを固相
重合設備へ輸送する際や固相重合後のポリエステルチッ
プを篩分工程、加熱処理工程や貯槽等へ輸送する際に
は、これらの輸送の大部分はプラグ輸送方式やバケット
式コンベヤ輸送方式を採用し、また結晶化装置や固相重
合反応器からのチップの抜出しはスクリュ−フィ−ダ−
を使用するなどして、チップと工程の機器や輸送配管等
との衝撃を出来るだけ抑えることができる装置を使用す
る。
【0063】このようにして得られた溶融重縮合された
ポリエステルは、固相重合工程(d)において従来公知
の方法によって固相重縮合する。まず固相重縮合に供さ
れる前記のポリエステルは、不活性ガス下または減圧
下、あるいは水蒸気または水蒸気含有不活性ガス雰囲気
下において、100〜210℃の温度で1〜5時間加熱
して予備結晶化される。次いで不活性ガス雰囲気下また
は減圧下に190〜230℃の温度で1〜30時間の固
相重縮合を行う。固相重縮合後、必要に応じて減圧下ま
たは不活性ガス雰囲気下において、約150〜50℃以
下に冷却される。ここで、固相重合工程(d)とは、フ
ァイン等除去工程(c)を出た後から固相重縮合後のチ
ップの冷却までの工程をいう。
【0064】このようにして得られたポリエステルの極
限粘度は0.50〜1.30デシリットル/グラム、好
ましくは0.55〜1.20デシリットル/グラム、さ
らに好ましくは0.60〜0.90デシリットル/グラ
ムの範囲である。極限粘度が0.50デシリットル/グ
ラム未満では、得られた成形体等の機械的特性が悪い。
また、1.30デシリットル/グラムを越える場合は、
成型機等による溶融時に樹脂温度が高くなって熱分解が
激しくなり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合
物が増加したり、成形体が黄色に着色する等の問題が起
こる。また、このポリエステルのアセトアルデヒド含有
量は10ppm以下、好ましくは8ppm以下、更に好
ましくは5ppm以下、ホルムアルデヒド含有量は7p
pm以下、好ましくは6ppm以下、更に好ましくは4
ppm以下であることが望ましい。
【0065】また、このポリエステルの環状3量体の含
有量は0.50重量%以下、好ましくは0.45重量%
以下、さらに好ましくは0.40重量%以下であること
が望ましい。
【0066】固相重縮合されたポリエステルは、輸送配
管中を貯蔵用サイロ等や水処理工程などの次の工程に輸
送される。このようなチップの輸送を、前記の溶融重縮
合ポリエステルチップと同様に、例えば空気を使用した
強制的な低密度輸送方法で行うと、ポリエステルのチッ
プの表面には配管との衝突によって大きな衝撃力がかか
り、この結果、溶融重縮合ポリエステルの場合と同じよ
うにファインやフイルム状物が多量に発生する。このよ
うなファインやフイルム状物はポリエステルの結晶化を
促進させる効果を持っており、多量に存在する場合には
得られた成形体の透明性が非常に悪くなる。また、この
ようなファインやフイルム状物等には、正常な融点より
約10〜20℃以上高い融点を持つものが含まれる。ま
た、回転式の固相重合装置を用いて固相重合したり、あ
るいはポリエステルチップに衝撃力やせん断力がかかる
送り装置を用いたりする場合にも、正常な融点より約1
0〜20℃以上高い融点のファインやフイルム状物が非
常に多量に発生する。これは、溶融重縮合ポリエステル
の場合と同様に、チップ表面に加わる衝撃力等の大きな
力のためにチップが発熱すると同時にチップ表面におい
てポリエステルの配向結晶化が起こり、緻密な結晶構造
が生じるためではないかと推定される。
【0067】前記のような正常な融点より約10〜20
℃以上高い融点を持つポリエステルのファインやフイル
ム状物をポリエステルチップと共に水処理等の処理をす
ると、これらの融点は処理前よりさらに高くなる。ま
た、正常な融点より約10℃以上高くない融点を持つフ
ァインやフイルム状物でも、前記のこれらの処理によっ
て、これらの融点は正常な融点より約10〜20℃以上
高い融点を持つようになる。これは、このような処理に
より、結晶構造がさらに緻密な結晶構造に変化するため
であろうと推定される。
【0068】このような正常な融点より約10〜20℃
以上高い融点のファインやフイルム状物を含むポリエス
テルを通常の成形条件で成形する場合は、前記と同じよ
うに溶融成形時に結晶が完全に溶融せず、結晶核として
残る。この結果、加熱時の結晶化速度が早くなるため中
空成形容器の口栓部の結晶化が過大となり、このため口
栓部の収縮量が規定値範囲内におさまらなくなり、口栓
部のキャッピング不良となり内容物の漏れが生じるとい
う問題が起こる。また中空成形用予備成形体が白化し、
このため正常な延伸が不可能となり、厚み斑が生じ、ま
た結晶化速度が速いため得られた中空成形体の透明性が
悪くなり、また透明性の変動も大となる。
【0069】またさらに、本発明に係る主たる繰り返し
単位がエチレンテレフタレ−トであるポリエステルの場
合は、前記のファイン等除去工程(e)を経由して水処
理工程(f)へ供給されるポリエステル中に含まれるフ
ァインおよび/またはフイルム状物の、融解ピ−ク温度
の最も高温側のピ−ク温度が、265℃を越える場合に
は、前記の溶融重縮合ポリエステルの場合と同様に透明
性の点で問題となる。したがって、固相重合工程(d)
で固相重縮合処理されたポリエステルは、ファインおよ
び/またはフイルム状物を分離除去するためにファイン
等除去工程(e)へ輸送され、水と接触処理する前に、
これらを出来るだけ多量に除去することが重要である。
【0070】そして、水処理工程の前に設置したファイ
ン等除去工程(e)によってファインおよび/またはフ
イルム状物を除去した後のポリエステルのファイン含有
量、フイルム状物含有量、あるいはファイン含有量とフ
イルム状物含有量の合計含有量のいずれかの含有量を3
00ppm以下にすることによって上記の問題点を解決
するものであり、好ましくは200ppm以下、より好
ましくは100ppm以下、さらに好ましくは50pp
m以下に低下させるのが望ましい。
【0071】また本発明に係る主たる繰り返し単位がエ
チレンテレフタレ−トであるポリエステルの場合は、フ
ァイン等除去工程(e)を経由して前記の水処理工程
(f)へ供給されるポリエステル中に含まれるファイン
および/またはフイルム状物の、融解ピ−ク温度の最も
高温側の融解ピ−ク温度が、265℃以下であることに
よって上記の問題点をより一層解決するものである。
【0072】ファイン等の除去方法としては、水処理工
程の直前に別々に設置した振動篩機及び空気流による気
流分級機、重力式分級機等で処理する方法で処理する方
法等が挙げられる。これらの工程をさらに追加すること
ができる。このように固相重合工程(d)およびファイ
ン等除去工程(e)を経て得られたポリエステルは、水
処理工程(d)において重縮合触媒を失活処理される。
ポリエステルの水処理方法としては、溶融重縮合後や固
相重縮合後にポリエステルチップを水や水蒸気または水
蒸気含有気体と接触処理する方法が挙げられる。
【0073】前記のポリエステルチップを水や水蒸気ま
たは水蒸気含有気体と接触処理する方法を次に述べる。
水との接触処理方法としては、水中に浸ける方法やシャ
ワ−でチップ上に水をかける方法等が挙げられる。処理
時間としては5分〜2日間、好ましくは10分〜1日
間、さらに好ましくは30分〜10時間で、水の温度と
しては20〜180℃、好ましくは40〜150℃、さ
らに好ましくは50〜120℃である。
【0074】以下に水処理を工業的に行う方法を例示す
るが、これに限定するものではない。また処理方法は連
続方式、バッチ方式のいずれであっても差し支えない
が、工業的に行うためには連続方式の方が好ましい。ポ
リエステルのチップをバッチ方式で水処理する場合は、
サイロタイプの処理槽が挙げられる。すなわちバッチ方
式でポリエステルのチップをサイロへ受け入れ水処理を
行う。ポリエステルのチップを連続方式で水処理する場
合は、塔型の処理槽に継続的又は間欠的にポリエステル
のチップを上部より受け入れ、水処理させることができ
る。この概念図を図1に示す。
【0075】水処理方法が連続方式の場合であってもバ
ッチ方式の場合であっても、系外から導入する水の中に
存在する粒径が1〜25μmの粒子の個数をX、ナトリ
ウムの含有量をN、マグネシウムの含有量をM、カルシ
ウムの含有量Cを、珪素の含有量をSとした場合、下記
(1)〜(5)の少なくとも一つ、好ましくはすべてを
満足させて水処理を行うのが望ましい。 1 ≦ X ≦ 50000 (個/10ml) (1) 0.001 ≦ N ≦ 1.0 (ppm) (2) 0.001 ≦ M ≦ 0.5 (ppm) (3) 0.001 ≦ C ≦ 0.5 (ppm) (4) 0.01 ≦ S ≦ 2.0 (ppm) (5)
【0076】水処理槽に導入する水中の粒子個数、ナト
リウム、マグネシウム、カルシウム、珪素の含有量のい
ずれかを上記範囲に設定することにより、スケ−ルと呼
ばれる酸化物や水酸化物等の金属含有物質が処理水中に
浮遊、沈殿、さらには処理槽壁や配管壁に付着したり
し、これがポリエステルチップに付着、浸透して、成形
時での結晶化が促進され、透明性の悪いボトルになるこ
とを防ぐことができる。
【0077】以下に水処理に用いる、粒径1〜25μm
の粒子を1〜50000個/10ml含む水を得る方法
を例示する。水中の粒子数を50000個/10ml以
下にする方法としては、工業用水等の自然水を処理槽に
供給するまでの工程の少なくとも1ヶ所以上に粒子を除
去する装置を設置する。好ましくは自然界の水の採取口
から、前記した処理槽、処理槽から排水した水を再度処
理槽に戻す配管、ファイン除去装置等、水処理に必要な
付帯設備を含めた処理装置に至るまでの間に粒子を除去
する装置を設置し、処理装置に供給する水中の、粒径1
〜25μmの粒子の含有量を1〜50000個/10m
lにすることが好ましい。粒子を除去する装置としては
フィルタ−濾過装置、膜濾過装置、沈殿槽、遠心分離
器、泡沫同伴処理機等が挙げられる。例えばフィルタ−
濾過装置であれば、方式としてベルトフィルタ−方式、
バグフィルタ−方式、カ−トリッジフィルタ−方式、ス
クリ−ンフィルタ−方式、遠心濾過方式等の濾過装置が
挙げられる。中でも連続的に行うにはベルトフィルタ−
方式、遠心濾過方式、バグフィルタ−方式、スクリ−ン
フィルタ−方式の濾過装置が適している。またベルトフ
ィルタ−方式の濾過装置であれば濾材としては、紙、金
属、布等が挙げられる。また粒子の除去と処理水の流れ
を効率良く行なうため、フィルタ−の目のサイズは5〜
100μm、好ましくは10〜70μm、さらに好まし
くは15〜40μmがよい。
【0078】また系外からの水中のナトリウムやマグネ
シウム、カルシウム、珪素を前記の範囲に低減させるた
めに、処理槽に工業用水が送られるまでの工程で少なく
とも1ヶ所以上にナトリウムやマグネシウム、カルシウ
ム、珪素を除去する装置を設置する。また、粒子状にな
った二酸化珪素やアルミノ珪酸塩等の粘土鉱物を除去す
るためにはフィルタ−を設置する。ナトリウムやマグネ
シウム、カルシウム、珪素を除去する装置としては、イ
オン交換装置、限外濾過装置などが挙げられる。
【0079】水処理の方法が連続的、又はバッチ的のい
ずれの場合であっても、処理槽から排出した処理水のす
べて、あるいは殆どを工業排水としてしまうと、新しい
水が多量に入用であるばかりでなく、排水量増大による
環境への影響が懸念される。即ち、処理槽から排出した
少なくとも一部の処理水を、水処理槽へ戻して再利用す
ることにより、必要な水量を低減し、また排水量増大に
よる環境への影響を低減することが出来、さらには水処
理槽へ返される排水がある程度温度を保持していれば、
処理水の加熱量も小さく出来るため、処理層から排出さ
れた処理水は水処理層へ戻して再利用されることが好ま
しい。また、水を再利用させることで処理層中の処理水
の流量を上げることができ、結果としてポリエステルチ
ップに付着したファインを洗い流すことができるため、
ファイン除去効果も生まれる。ここで、水処理槽から排
出された後、再び処理槽に戻して再利用される処理水と
しては、水処理槽のオ−バ−フロ−口から排出された水
と処理槽よりポリエステルチップと共に排出され、次い
で該チップから分離された処理水がある。
【0080】しかし、水処理において処理槽から排出さ
れる処理水には、処理槽にポリエステルチップを受け入
れる段階で既にポリエステルチップに付着しているファ
インや、水処理時にポリエステルチップ同士あるいは処
理槽壁との摩擦で発生するポリエステルのファインが含
まれている。また新しい処理水中にも無機物質由来の微
粒子や腐敗植物、動物に起因する有機微粒子等が含まれ
ている。
【0081】したがって、処理槽から排出した処理水を
再度処理槽へ戻して再利用すると、処理槽内の処理水に
含まれるファイン量や微粒子量は次第に増加し、処理水
中に含まれているファインや微粒子が処理槽壁や配管壁
に付着して、配管を詰まらせる場合があった。
【0082】また処理水中に含まれているファインや微
粒子がポリエステルチップに付着し、この後、水分を乾
燥除去する段階でポリエステルチップにファインや微粒
子が付着あるいは浸透するため、ポリエステルのファイ
ンや微粒子の含有量が非常に多くなり、このようにして
得られたポリエステルは結晶性が促進されて、得られた
ボトルの透明性は悪くなり、またボトル口栓部結晶化時
の結晶化度が過大となって口栓部の寸法が規格に入らな
くなり、そのため口栓部のキャッピング不良、内容物の
漏れが生じる場合があった。
【0083】したがって、本発明において、水処理槽か
ら排出された後、少なくともその一部を再度処理槽へ戻
して再利用される処理水中に存在する粒径が1〜40μ
mの粒子を100000個/10ml以下、好ましくは
80000個/10ml以下、さらに好ましくは500
00個/10ml以下に維持するのが望ましい。ここで
は、このようにして処理槽に戻して再利用される処理水
をリサイクル水と称する。
【0084】以下に該リサイクル水中の粒径が1〜40
μmの粒子数を100000個/10ml以下にする方
法を例示するが、本発明はこの限りではない。該リサイ
クル水中の粒径が1〜40μmの粒子数を100000
個/10ml以下にする方法としては、処理槽から排出
した処理水が再び処理槽に返されるまでの工程で少なく
とも1ヶ所以上にファインと微粒子を除去する装置を設
置する。ファインと微粒子を除去する装置としてはフィ
ルタ−濾過装置、膜濾過装置、沈殿槽、遠心分離器、泡
沫同伴処理機等が挙げられる。例えばフィルタ−濾過装
置であれば、方式として自動自己洗浄方式、ベルトフィ
ルタ−方式、バグフィルタ−方式、カ−トリッジフィル
タ−方式、遠心濾過方式等の濾過装置が挙げられる。中
でも連続的に行うにはベルトフィルタ−方式、遠心濾過
方式、バグフィルタ−方式の濾過装置が適している。ま
たベルトフィルタ−方式の濾過装置であれば濾材として
は、紙、金属、布等が挙げられる。またファインの除去
と処理水の流れを効率良く行なうため、フィルタ−の目
のサイズは5〜100μm、好ましくは5〜70μm、
さらに好ましくは5〜40μmがよい。
【0085】また、系外から導入する水は、水処理槽か
らチップと共に排出され、次いで濾過等の処理を行った
あと再利用される処理水と一緒にして処理槽へ供給する
ことも可能である。
【0086】またポリエステルのチップと水蒸気または
水蒸気含有ガスとを接触させて処理する場合は、50〜
150℃、好ましくは50〜110℃の温度の水蒸気ま
たは水蒸気含有ガスあるいは水蒸気含有空気を好ましく
は粒状ポリエチレンテレフタレ−ト1kg当り、水蒸気と
して0.5g以上の量で供給させるか、または存在させ
て粒状ポリエチレンテレフタレ−トと水蒸気とを接触さ
せる。
【0087】この、ポリエステルのチップと水蒸気との
接触は、通常10分間〜2日間、好ましくは20分間〜
10時間行われる。
【0088】以下に粒状ポリエチレンテレフタレ−トと
水蒸気または水蒸気含有ガスとの接触処理を工業的に行
なう方法を例示するが、これに限定されるものではな
い。また処理方法は連続方式、バッチ方式のいずれであ
っても差し支えない。
【0089】ポリエステルのチップをバッチ方式で水蒸
気と接触処理をする場合は、サイロタイプの処理装置が
挙げられる。すなわちポリエステルのチップをサイロへ
受け入れ、バッチ方式で、水蒸気または水蒸気含有ガス
を供給し接触処理を行なう。
【0090】ポリエステルのチップを連続的に水蒸気と
接触処理する場合は塔型の処理装置に連続で粒状ポリエ
チレンテレフタレ−トを上部より受け入れ、並流あるい
は向流で水蒸気を連続供給し水蒸気と接触処理させるこ
とができる。
【0091】上記の如く、水又は水蒸気で処理した粒状
ポリエチレンテレフタレ−トを、例えば振動篩機、シモ
ンカ−タ−などの水切り装置で水切りし、必要に応じて
次の乾燥工程へ移送する。
【0092】水又は水蒸気と接触処理したポリエステル
のチップの乾燥には、通常用いられるポリエステルの乾
燥処理を用いることができる。連続的に乾燥する方法と
しては、上部よりポリエステルのチップを供給し、下部
より乾燥ガスを通気するホッパ−型の通気乾燥機が通常
使用される。また、回転ディスクや外部ジャケットに加
熱媒体等を供給する回転ディスク型連続乾燥機によって
も乾燥することができる。
【0093】バッチ方式で乾燥する場合は、ダブルコ−
ン型回転乾燥機を用いて減圧下で乾燥したり、また大気
圧下で乾燥ガスを通気しながら乾燥してもよい。
【0094】乾燥ガスとしては大気空気でも差し支えな
いが、ポリエステルの加水分解や熱酸化分解による分子
量低下を防止する点からは乾燥窒素、除湿空気が好まし
い。ここで、水処理工程(f)とは、水との接触処理を
行う処理装置から乾燥後のチップ冷却までの工程をい
う。
【0095】前記の水処理工程(f)を経たポリエステ
ルチップは、水との接触処理前のチップよりも脆くなっ
ており、例えば、ポリエステルチップ表面に大きな衝撃
力がかかるロ−タリ−フィ−ダ等の回転式フィ−ダ−や
空気を利用した強制的な低密度輸送方式を利用して、保
管用サイロやフレキシブルコンテナ−へ充填する充填処
理工程へ輸送配管中を輸送したりすると、ファインやフ
イルム状物が非常に大量に発生し、その含有量は、時に
はポリエステルチップに対して1000ppm以上にな
る場合がある。特に、接触処理時間が長くなったり、ま
た処理温度が高くなる程、ファインやフイルム状物の発
生量が多くなる。しかも、このようなファインやフイル
ム状物は正常なポリエステルの融点よりも約10〜20
℃以上高い融点を持っており、また結晶化促進効果があ
り、しかもポリエステルチップに均一な状態で混合して
存在しているのではなくて、偏在している。したがっ
て、このようなポリエステルから得た成形体の加熱時の
結晶化速度は早くなり、また、成形体の結晶化速度の変
動や透明性の変動が非常に大きくなり問題となる。
【0096】したがって、水処理工程(f)で処理され
たポリエステルは、ファインおよび/またはフイルム状
物を分離除去するためにファイン等除去工程(g)へ輸
送され、サイロ、輸送用コンテナ−等の容器に充填され
る前に、これらを出来るだけ多量に除去することが重要
である。
【0097】そして、水処理後に設置したファイン等除
去工程(g)によってファインおよび/またはフイルム
状物を除去した後のポリエステルのファイン含有量、フ
イルム状物含有量、あるいはファイン含有量とフイルム
状物含有量の合計含有量のいずれかの含有量を300p
pm以下にすることによって上記の問題点を解決するも
のであり、好ましくは200ppm以下、より好ましく
は100ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下
に低下させるのが望ましい。
【0098】またさらに本発明に係る主たる繰り返し単
位がエチレンテレフタレ−トであるポリエステルの場合
は、ファイン等除去工程(g)で処理されたポリエステ
ル中に含まれるファインおよび/またはフイルム状物
の、融解ピ−ク温度の最も高温側の融解ピ−ク温度が、
265℃以下であることによって上記の問題点をより一
層解決するものである。
【0099】ポリエステルの製造工程において、溶融重
縮合工程(b)や固相重合工程(d)、あるいは水処理
工程(f)等から篩分工程や気流分級工程等の各工程を
経由してサイロ、輸送用コンテナ−等の容器に充填され
るが、これらの工程間のポリエステルの輸送や乾燥に
は、一般に送風機等によって処理設備近辺の空気を工程
に採りいれて使用される。従来は、このような空気は、
これを未処理のままで使用するか、または、JIS B
9908(1991)で規定される形式3のような低
性能フィルタユニットを装着した清浄機によって処理し
ただけで使用するのが一般的であった。しかし、このよ
うな工程で処理されたポリエステルからは、透明性が悪
い成形体しか得られないという問題が生じる場合があっ
た。特に、前記の固相重合前のファインおよび/または
フイルム状物を分離除去する工程、水との接触処理工程
において、ポリエステルと接触する気体として前記のよ
うな品質の空気を用いると、得られた成形体の結晶化速
度や透明性等の変動が大となり問題となる可能性が大き
い。
【0100】したがって、本発明のポリエステルの製造
方法において、特に前記の溶融重縮合後のファインおよ
び/またはフイルム状物を分離除去する工程の直前か
ら、それ以降の工程においてポリエステルと接触する気
体として、粒径0.3〜5μmの粒子が1000000
(個/立方フィ−ト)以下の、好ましくは500000
(個/立方フィ−ト)以下、さらに好ましくは1000
00(個/立方フィ−ト)以下の、系外より導入される
気体を使用することが望ましい。気体中の粒径5μmを
超える粒子は、特に限定するものではないが、好ましく
は5(個/立方フィ−ト)以下、さらに好ましくは1
(個/立方フィ−ト)以下である。
【0101】なお、気体中の粒径0.3μm未満の粒子
に関しては、特に規定するものではないが、透明な成形
体を与える樹脂を得るためには、少ない方が好ましい。
粒径0.3μm未満の粒子数としては好ましくは100
00000(個/立方フィ−ト)以下、より好ましくは
5000000(個/立方フィ−ト)以下、さらに好ま
しくは2000000(個/立方フィ−ト以下)であ
る。
【0102】以下に、系外から導入する気体中の粒径
0.3〜5μmの粒子数を1000000(個/立方フ
ィ−ト)以下に制御する方法を例示するが、本発明はこ
れに限定するものではない。
【0103】系外から導入する気体中の粒径0.3〜5
μmの粒子数を1000000(個/立方フィ−ト)以
下にする方法としては、系外から導入する気体がポリエ
ステルチップと接触するまでの工程中の少なくとも1ケ
所以上に該粒子を除去する清浄化装置を設置する。該気
体が処理設備近辺の空気の場合は、該空気採りいれ口か
ら送風機によって導入した空気がポリエステルチップと
接触するまでの工程中に、JIS B 9908(19
91)で規定される形式1又は/及び形式2のフィルタ
ユニットを装着した気体清浄装置を設置し、該空気中の
粒径0.3〜5μmの粒子数を1000000(個/立
方フィ−ト)以下にすることが好まし。また、該空気採
りいれ口にJIS B 9908(1991)で規定さ
れる形式3のフィルタユニットを装着した気体清浄装置
を設置して、前記のフィルタユニットを装着した気体清
浄装置と併用することによって前記のフィルタユニット
の寿命を延ばすことが可能である。
【0104】気体中の粒子を除去するJIS B 99
08(1991)で規定される形式1の超高性能のフィ
ルタ(以下、HEPAフィルタと略称する)ユニットの
素材としては、ガラス繊維からなる濾紙が挙げられる。
【0105】また、JIS B 9908(1991)
で規定される形式2の高性能フィルタユニットの素材と
しては、ポリプロピレン繊維からなるフィルタやポリテ
トラフルオロエチレンフイルムとPET繊維布の積層体
からのフィルタ等が挙げられる。一般には、ポリプロピ
レン繊維製の静電フィルタが使用される。
【0106】また、JIS B 9908(1991)
で規定される形式3の低性能フィルタユニットの素材と
しては、PETやポリプロピレンからなる不織布等が挙
げられる。前記のような、ポリエステルと接触する気
体、特に空気の清浄化は、全工程において実施するのが
好ましいことは言うまでもない。
【0107】かくしてテレフタル酸またはそのエステル
形成性誘導体とエチレングリコ−ルまたはそのエステル
形成性誘導体とをエステル化またはエステル交換する低
重合体製造工程(a)、該低重合体製造工程で得られた
低重合体を溶融重縮合する溶融重縮合工程(b)、該溶
融重縮合処理工程で得られたポリエステルよりファイン
及び/またはフイルム状物を除去するファイン等除去工
程(c)、該ファイン等除去工程で得られたポリエステ
ルを固相重縮合する固相重合工程(d)、該固相重合工
程で得られたポリエステルよりファイン及び/またはフ
イルム状物を除去するファイン等除去工程(e)、該フ
ァイン等除去工程で得られたポリエステルを水と接触処
理させる水処理工程(f)、該水処理工程で得られたポ
リエステルよりファイン及び/またはフイルム状物を除
去するファイン等除去工程(g)とを含むことを特徴と
するポリエステルの製造方法により、極限粘度が0.5
0〜1.30デシリットル/グラム、アセトアルデヒド
含有量が10重量ppm以下、環状三量体の含有量が
0.5重量%以下、成形板のヘイズが15%以下である
ポリエステルであって、透明性および耐熱寸法安定性の
優れた成形体、特に耐熱性の優れた延伸中空成形体を効
率よく生産することができ、また金型を汚すことの少な
い長時間連続成形性に優れたポリエステルを得ることが
できる。
【0108】本発明に係るポリエステルには、必要に応
じて他の添加剤、例えば、公知の紫外線吸収剤、酸素吸
収剤、酸素捕獲剤、外部より添加する滑剤や反応中に内
部析出させた滑剤、離型剤、核剤、安定剤、帯電防止
剤、顔料などの各種の添加剤を配合してもよい。
【0109】上記の本発明の製造方法によって得られた
ポリエステルは、射出成形及び延伸ブロ−成形されて延
伸中空成形体に、また押出成形されてシ−ト状物等に成
形される。
【0110】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、本明細書中における主な特性値の測定法を以
下に説明する。
【0111】0(1)ポリエステルの極限粘度(IV) 1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノ−ル
(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求
めた。
【0112】(2)ポリエステルのジエチレングリコ−
ル含有量(以下[DEG含有量」という) メタノ−ルによって分解し、ガスクロマトグラフィ−に
よりDEG量を定量し、全グリコ−ル成分に対する割合
(モル%)で表した。
【0113】(3)ポリエステルの環状3量体の含有量
(以下「CT含有量」という) 試料をヘキサフルオロイソプロパノ−ル/クロロフォル
ム混合液に溶解し、さらにクロロフォルムを加えて希釈
する。これにメタノ−ルを加えてポリマ−を沈殿させた
後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォルムア
ミドで定容とし、液体クロマトグラフ法よりエチレンテ
レフタレ−ト単位から構成される環状3量体を定量し
た。
【0114】(4)ポリエステルのアセトアルデヒド含
有量(以下「AA含有量」という) 試料/蒸留水=1グラム/2ccを窒素置換したガラス
アンプルに入れた上部を溶封し、160℃で2時間抽出
処理を行い、冷却後抽出液中のアセトアルデヒドを高感
度ガスクロマトグラフィ−で測定し、濃度をppmで表
示した。
【0115】(5)ポリエステルの溶融時の環状3量体
増加量(△CT量) 乾燥したポリエステルチップ3gをガラス製試験管に入
れ、窒素雰囲気下で290℃のオイルバスに60分浸漬
させ溶融させる。溶融時の環状3量体増加量は、次式に
より求める。 溶融時の環状3量体増加量(重量%)=溶融後の環状3
量体含有量(重量%)−溶融前の環状3量体含有量(重
量%)
【0116】(6)ファインの含有量およびフイルム状
物含有量の測定 樹脂約0.5kgを、JIS−Z8801による呼び寸
法5.6mmの金網をはった篩(A)と呼び寸法1.7
mmの金網をはった篩(直径20cm)(B)を2段に
組合せた篩の上に乗せ、テラオカ社製揺動型篩い振トウ
機SNF−7で1800rpmで1分間篩った。この操
作を繰り返し、樹脂を合計20kg篩った。前記の篩
(A)上にフイルム状物(厚みが0.5mm以下)とは
別に、2個以上のチップがお互いに融着したものや正常
な形状より大きなサイズに切断されたチップ状物が捕捉
されている場合は、これらを除去した残りのフイルム状
物および篩(B)の下にふるい落とされたファインは、
別々にイオン交換水で洗浄し岩城硝子社製G1ガラスフ
ィルターで濾過して集めた。これらをガラスフィルタ−
ごと乾燥器内で100℃で2時間乾燥後、冷却して秤量
した。再度、イオン交換水で洗浄、乾燥の同一操作を繰
り返し、恒量になったことを確認し、この重量からガラ
スフィルタ−の重量を引き、ファイン重量およびフイル
ム状物の重量を求めた。ファイン含有量あるいはフイル
ム状物含有量は、ファイン重量またはフイルム状物重量
/篩いにかけた全樹脂重量、である。これらの値より合
計含有量を求める。
【0117】(7)ファインおよびフイルム状物の融点
測定 セイコ−電子工業(株)製の示差走査熱量計(DS
C)、RDC−220を用いて測定。(6)において、
20kgのポリエステルから集めたファインまたはフイ
ルム状物を25℃で3日間減圧下に乾燥し、これから一
回の測定に試料4mgを使用して昇温速度20℃/分で
DSC測定を行い、融解ピ−ク温度の最も高温側の融解
ピ−ク温度を求める。測定は最大10ケの試料について
実施し、最も高温側の融解ピ−ク温度の平均値を求め
る。
【0118】(8)ポリエステルチップの平均密度およ
びパリソン口栓部の密度 硝酸カルシュウム/水混合溶液の密度勾配管で30℃で
測定した。
【0119】(9)ヘイズ(霞度%)およびヘイズ斑 下記(12)の成形体(肉厚5mm)および(13)の
中空成形体の胴部(肉厚約0.4mm)より試料を切り
取り、日本電色(株)製ヘイズメ−タ−、modelNDH2
000で測定。また、10回連続して成形した成形板
(肉厚5mm)のヘイズを測定し、ヘイズ斑は下記により
求めた。 ヘイズ斑=ヘイズの最大値/ヘイズの最小値
【0120】(10)パリソン口栓部の加熱による密度
上昇 パリソン口栓部を自家製の赤外線ヒ−タ−によって60
秒間熱処理し、天面から試料を採取し密度を測定した。
【0121】(11)ボトルの厚み斑 後記する(13)の中空成形体の胴中央部からランダム
に4ケ所試料(3cm×3cm)を切り取りデジタル厚
み計でその厚さを測定した(同一試料内を5点づつ測定
し、その平均を試料厚みとした)。厚み斑は下記により
求めた。 厚み斑=厚みの最大値/厚みの最小値
【0122】(12)段付成形板の成形 乾燥したポリエステルを名機製作所製M−150C(D
M)射出成型機により、シリンダ−温度290℃におい
て、10℃の水で冷却した段付平板金型(表面温度約2
2℃)を用い成形する。得られた段付成形板は、2、
3、4、5、6、7、8、9、10、11mmの厚みの
約3cm×約5cm角のプレ−トを階段状に備えたもの
で、1個の重量は約146gである。5mm厚みのプレ
−トはヘイズ(霞度%)測定に使用する。
【0123】(13)金型汚れの評価 ポリエステルを脱湿空気を用いた乾燥機で乾燥し、各機
製作所製M−150C(DM)射出成型機により樹脂温
度295℃でプリフォ−ムを成形した。このプリフォ−
ムの口栓部を自家製の口栓部結晶化装置で加熱結晶化さ
せた後、コ−ポプラスト社製LB−01E延伸ブロ−成
型機を用いて二軸延伸ブロ−成形し、引き続き約155
℃に設定した金型内で約5秒間熱固定し、500ccの
中空成形体(胴部は円形)を得た。同様の条件で連続的に
延伸ブロ−成形し、目視で判断して成形体の透明性が損
なわれるまでの成形回数で金型汚れを評価した。また、
ヘイズ測定用試料としては、5000回連続成形後の成
形体の胴部を供した。
【0124】(14)中空成形体からの内容物の漏れ評
価 前記(13)で成形した中空成形体に90℃の温湯を充
填し、キャッピング機によりキャッピングをしたあと容
器を倒し放置後、内容物の漏洩を調べた。また、キャッ
ピング後の口栓部の変形状態も調べた。
【0125】(15)チップ化時冷却水および導入水中
のナトリウム含有量、カルシウム含有量、マグネシウム
含有量および珪素含有量 粒子除去およびイオン交換済みのチップ化時冷却水およ
び導入水を採取し、岩城硝子社製1G1ガラスフィルタ
−で濾過後、濾液を島津製作所製誘導結合プラズマ発光
分析装置で測定。
【0126】(16)導入水中およびリサイクル水中の
粒子数の測定 粒子除去およびイオン交換済みの導入水、または濾過装
置(5)および吸着塔(8)で処理したリサイクル水を
光遮断法による粒子測定器である株式会社セイシン企業
製のPAC 150を用いて測定し、粒子数を個/10
mlで表示した。
【0127】(17)ポリエステルチップと接触する気
体中の粒子数の測定 気体を強制的に送るための送風機等によって送られ、気
体清浄装置を通過した気体をチップと接触する前に気体
本流と分岐して粒子測定器に導入して測定する。5回測
定を繰返し、平均値を求め、気体1立方フィ−ト当たり
の個数を計算する。粒子測定器としては、リオン株式会
社製の光散乱式粒子測定器、KC−01Bを用いた。
【0128】(実施例1)予め反応物を含有している第
1エステル化反応器に、高純度テレフタル酸とエチルグ
リコ−ルとのスラリ−を連続的に供給し、撹拌下、約2
50℃、0.5kg/cm2Gで平均滞留時間3時間反
応を行った。この反応物を第2エステル化反応器に送付
し、撹拌下、約260℃、0.05kg/cm2Gで所
定の反応度まで反応を行った。また、結晶性二酸化ゲル
マニウムを水に加熱溶解し、これにエチレングリコ−ル
を添加加熱処理した触媒溶液および燐酸のエチレングリ
コ−ル溶液を別々にこの第2エステル化反応器に連続的
に供給した。このエステル化反応生成物を連続的に第1
重縮合反応器に供給し、撹拌下、約265℃、25to
rrで1時間、次いで第2重縮合反応器で撹拌下、約2
65℃、3torrで1時間、さらに最終重縮合反応器
で撹拌下、約275℃、0.5〜1torrで1時間重
縮合させた。溶融重縮合反応物を工業用水(河川伏流水
由来)をイオン交換装置で処理した、ナトリウム含有量
が0.05ppm、マグネシウム含有量が0.01pp
m、カルシウム含有量が0.01ppm、珪素含有量が
0.09ppmの冷却水で冷却しながらチップ化装置で
チップ化後、貯蔵用タンクへ輸送し、次いで振動式篩分
工程および気流分級工程によってファインおよびフイル
ム状物を除去することにより、これらの合計含有量を約
5ppm以下とし、次いで連続式固相重合装置へ輸送し
た。このファイン等の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ
−ク温度は、255℃であった。窒素雰囲気下、約15
5℃で結晶化し、さらに窒素雰囲気下で約200℃に予
熱後、連続固相重合反応器に送り窒素雰囲気下で約20
5℃で固相重合した。処理槽上部の原料チップ供給口
(1)、処理槽の処理水上限レベルに位置するオ−バ−
フロ−排出口(2)、処理槽下部のポリエステルチップ
と処理水の混合物の排出口(3)、オ−バ−フロ−排出
口から排出された処理水と、処理槽下部の排出口から排
出されたポリエステルチップの水切り装置(4)を経由
した処理水が、濾材が紙の連続式フィルタ−であるファ
イン濾過除去装置(5)および吸着塔(8)を経由して
再び水処理槽へ送られる配管(6)、ISP社製のGA
Fフィルタ−バッグPE−1P2S(ポリエステルフェ
ルト、濾過精度1μm)である水中の粒子除去装置とイ
オン交換装置を経由した、系外からの新しいイオン交換
水をこの配管(6)の途中の導入口(9)に導入して得
た水の導入口(7)を備えた内容量50m3の塔型の、
図1に示す処理槽を使用してポリエチレンテレフタレ−
ト(以下、PETと略称)チップを連続的に水処理し
た。前記の固相重合PETチップを振動式篩分工程およ
び気流分級工程によってファインおよびフイルム状物を
を約5ppm(このファイン等の融解ピ−ク温度の最も
高温側のピ−ク温度は、248℃であった)とした後、
処理水温度95℃にコントロ−ルされた処理槽の上部の
供給口(1)から連続投入し、水処理時間3時間で水処
理槽下部の排出口(3)からPETチップを処理水と共
に連続的に抜出しながら水処理を行った。上記処理装置
のイオン交換水導入口(9)の手前で採取した導入水中
の粒径1〜25μmの粒子含有量は約1900個/10
ml、ナトリウム含有量が0.01ppm、マグネシウ
ム含有量が0.02ppm、カルシウム含有量が0.0
3ppm、珪素含有量が0.07ppmであり、また濾
過装置(5)および吸着塔(8)で処理後のリサイクル
水の粒径1〜40μmの粒子数は約18000個/10
mlであった。水処理後、加熱した乾燥空気で乾燥し、
引き続き振動式篩分工程および気流分級工程で処理して
ファイン及びフイルム状物を除去して約10ppmと
し、輸送用コンテナ−に充填した。このファイン等の融
解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度は、248℃で
あった。得られたPETの極限粘度は0.74デシリッ
トル/グラム、DEG含有量は2.7モル%、環状3量
体の含有量は0.30重量%、環状3量体増加量は0.
04重量%、平均密度は1.4021g/cm3、AA
含有量は2.8ppmであった。また蛍光X線分析によ
り測定したGe残存量は48pm、またP残存量は31
ppmであった。なお、溶融重縮合工程(b)のチップ
輸送、固相重合工程(d)および水処理、乾燥工程のチ
ップ輸送は、全てプラグ式輸送方式と一部バケット式コ
ンベヤ−輸送方式により、また固相重合反応器や固相重
合チップ用貯層からのチップの抜き出しは全てスクリュ
ウ式フィ−ダ−を用いた。また、水処理したPETチッ
プを乾燥工程へ送る空気、乾燥用の除湿空気および輸送
用コンテナ−充填までにチップと接触する空気として、
JIS B 9908(1991)の形式3のPET不
織布製フィルタユニットを装着した空気清浄機及びJI
S B 9908(1991)の形式1の粒子捕集率9
9%以上のHEPAフィルタユニットを装着した空気清
浄機で濾過した空気(粒径0.3〜5μmの粒子数は5
30個/立方フィ−ト)を使用した。
【0129】このPETについて成形板及び二軸延伸成
形ボトルによる評価を実施した。結果を表1に示す。成
形板のヘイズは3.0%、口栓部の密度は1.370g
/cm3と問題のない値であり、5000本以上の連続
延伸ブロ−成形を実施したが、金型汚れは認められず、
またボトルの透明性も良好であった。また、内容物の漏
れ試験でも、問題はなく、口栓部の変形もなかった。得
られたボトルの胴部ヘイズは1.5%、ヘイズ斑は1.
1、厚み斑は1.03と良好であった。また、金型汚れ
までの成形回数は12000回と問題がなかった。ボト
ルのAA含有量は15.5ppmと問題のない値であっ
た。
【0130】(比較例1)実施例1と同様にして得られ
た溶融重縮合チップを振動式篩分工程および気流分級工
程で処理せずに実施例1と全く同一条件において固相重
合を行い、次いで固相重合後のチップを振動式篩分工程
および気流分級工程で処理せずに、実施例1と同一条件
において水処理を実施した。ファイン濾過除去装置
(5)のフィルタ−の目詰まりが非常に早く、約3〜5
時間に1度の頻度でフィルタ−交換が必要であった。水
処理後、加熱した乾燥空気で乾燥し、振動式篩分工程お
よび気流分級工程で処理せずに輸送用コンテナ−に充填
した。固相重合工程前、水処理工程前および水処理工程
後のファイン等の含有量とファイン等の融解ピ−ク温度
の最も高温側のピ−ク温度は、それぞれ、620ppm
と275℃、830ppmと279℃、および800p
pmと284℃であった。得られたPETの極限粘度は
0.74デシリットル/グラム、DEG含有量は2.6
モル%、環状3量体の含有量は0.31重量%、環状3
量体増加量は0.05重量%、平均密度は1.4027
g/cm3、AA含有量は2.5ppm、ファイン含有
量は約800ppmであった。また蛍光X線分析により
測定したGe残存量は47pm、またP残存量は31p
pmであった。成形板のヘイズは33.9%と非常に高
く問題であった。また、内容物の漏れ試験では内容物の
漏れが認められた。得られたボトルの胴部ヘイズは1
5.8%、ヘイズ斑は1.5と非常に高く問題であっ
た。なお、溶融重縮合PETのチップ化時の冷却水とし
ては工業用水をそのまま使用した。この水中に含まれる
粒径1〜25μmの粒子は約492300個/10m
l、ナトリウム含有量が7.5ppm、マグネシウム含
有量が2.0ppm、カルシウム含有量が6.5pp
m、珪素含有量が12.0ppmであった。また水処理
したPETチップを乾燥工程へ送る空気、乾燥用の除湿
空気および輸送用コンテナ−充填までにチップと接触す
る空気としては、前記の空気清浄機で処理せずに使用し
た。粒径0.3〜5μmの粒子数は約360万個/立方
フイ−トであった。また全ての工程でのチップの輸送は
低密度輸送方式によって行った。
【0131】
【表1】
【0132】
【発明の効果】本発明のポリエステルの製造方法は、テ
レフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレン
グリコ−ルまたはそのエステル形成性誘導体とをエステ
ル化またはエステル交換する低重合体製造工程(a)、
該低重合体製造工程で得られた低重合体を溶融重縮合す
る溶融重縮合工程(b)、該溶融重縮合工程で得られた
ポリエステルよりファイン及び/またはフイルム状物を
除去するファイン等除去工程(c)、該ファイン等除去
工程で得られたポリエステルを固相重縮合する固相重合
工程(d)、該固相重合工程で得られたポリエステルよ
りファイン及び/またはフイルム状物を除去するファイ
ン等除去工程(e)、該ファイン等除去工程で得られた
ポリエステルを水と接触処理させる水処理工程(f)、
該水処理工程で得られたポリエステルよりファイン及び
/またはフイルム状物を除去するファイン等除去工程
(g)とを含んでいるため、この製造方法により得られ
たポリエステルは、シ−ト成形、ボトル成形等において
金型汚れが少なく、長時間、多数の成形体を透明性が優
れた状態で容易に成形することができる。そして、透明
性のよい、透明性斑および厚み斑のない、耐熱寸法安定
性が優れ、口栓部の結晶化が適正である中空成形体を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の水処理に用いられる装置の概略図で
ある。
【符号の説明】
1 原料チップ供給口 2 オ−バ−フロ−排出口 3 ポリエステルチップと処理水との排出口 4 水切り装置 5 ファイン除去装置 6 配管 7 リサイクル水または/およびイオン交換水の導入
口 8 吸着塔 9 イオン交換水導入口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 園田 博俊 滋賀県草津市上笠3丁目10番20号 (72)発明者 衛藤 嘉孝 滋賀県滋賀郡志賀町高城248番の20 Fターム(参考) 4J029 AA03 AC01 AC02 AE03 BA03 BA04 BA05 BA10 BB13A BD07A BF09 BF25 BF26 CA02 CA04 CA05 CA06 CB05A CB06A CB10A CC06A CD03 CF15 EA05 EB05A HA01 HB01 HB02 HB03A JA123 JC033 JC093 JF023 JF033 JF043 JF131 JF161 JF183 JF193 JF291 JF321 JF381 JF471 JF541 JF571 KE02 KE03 KE05 KE06 KE07 KE12 KE15 KF02 KH00 KH06 KH08 LA04 LA05 LA16 LB04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テレフタル酸またはそのエステル形成性
    誘導体とエチレングリコ−ルまたはそのエステル形成性
    誘導体とをエステル化またはエステル交換する低重合体
    製造工程(a)、該低重合体製造工程で得られた低重合
    体を溶融重縮合する溶融重縮合工程(b)、該溶融重縮
    合工程で得られたポリエステルよりファイン及び/また
    はフイルム状物を除去するファイン等除去工程(c)、
    該ファイン等除去工程で得られたポリエステルを固相重
    縮合する固相重合工程(d)、該固相重合工程で得られ
    たポリエステルよりファイン及び/またはフイルム状物
    を除去するファイン等除去工程(e)、該ファイン等除
    去工程で得られたポリエステルを水と接触処理させる水
    処理工程(f)、該水処理工程で得られたポリエステル
    よりファイン及び/またはフイルム状物を除去するファ
    イン等除去工程(g)とを含むことを特徴とするポリエ
    ステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記の低重合体製造工程(a)からファ
    イン等除去工程(g)を含む製造工程を、連続的に運転
    することを特徴とする請求項1に記載のポリエステルの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 ファイン等除去工程(c)によりファイ
    ンおよび/またはフイルム状物を除去した後のポリエス
    テルのファイン含有量、フイルム状物含有量、あるいは
    ファイン含有量とフイルム状物含有量の合計含有量のい
    ずれかの含有量が300ppm以下であることを特徴と
    する請求項1または2に記載のポリエステルの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 ファイン等除去工程(e)によりファイ
    ンおよび/またはフイルム状物を除去した後のポリエス
    テルのファイン含有量、フイルム状物含有量、あるいは
    ファイン含有量とフイルム状物含有量の合計含有量のい
    ずれかの含有量が300ppm以下であることを特徴と
    する請求項1、2または3に記載のポリエステルの製造
    方法。
  5. 【請求項5】 ファイン等除去工程(g)によりファイ
    ンおよび/またはフイルム状物を除去した後のポリエス
    テルのファイン含有量、フイルム状物含有量、あるいは
    ファイン含有量とフイルム状物含有量の合計含有量のい
    ずれかの含有量が300ppm以下であることを特徴と
    する請求項1、2、3または4に記載のポリエステルの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記のファイン等除去工程(c)を経由
    して前記の固相重合工程(d)へ供給されるポリエステ
    ル中に含まれるファインおよび/またはフイルム状物
    の、融解ピ−ク温度の最も高温側の融解ピ−ク温度が、
    265℃以下であることを特徴とする請求項1、2、
    3、4または5に記載のポリエステルの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記のファイン等除去工程(e)を経由
    して前記の水処理工程(f)へ供給されるポリエステル
    中に含まれるファインおよび/またはフイルム状物の、
    融解ピ−ク温度の最も高温側の融解ピ−ク温度が、26
    5℃以下であることを特徴とする請求項1、2、3、
    4、5または6に記載のポリエステルの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記のファイン等除去工程(g)で処理
    されたポリエステル中に含まれるファインおよび/また
    はフイルム状物の、融解ピ−ク温度の最も高温側の融解
    ピ−ク温度が、265℃以下であることを特徴とする請
    求項1、2、3、4、5、6または7に記載のポリエス
    テルの製造方法。
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