JP2002226907A - 溶融金属の精錬用ランスおよび精錬方法 - Google Patents

溶融金属の精錬用ランスおよび精錬方法

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JP2002226907A
JP2002226907A JP2001026735A JP2001026735A JP2002226907A JP 2002226907 A JP2002226907 A JP 2002226907A JP 2001026735 A JP2001026735 A JP 2001026735A JP 2001026735 A JP2001026735 A JP 2001026735A JP 2002226907 A JP2002226907 A JP 2002226907A
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Koichi Kurita
興一 栗田
Tomoyuki Obana
友之 尾花
Yoshio Watanabe
吉夫 渡辺
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】精錬の途中でランスを交換することなく、効果
的な精錬を行うことができる溶融金属の精錬用ランスお
よび溶融金属の精錬方法の提供。 【解決手段】先端に気体噴出用ノズルを備え、ノズルの
先端部内に環状スリットの空間部を形成するための気体
流路形成体が挿入されており、気体流路形成体は長手方
向の中央部からノズルの先端側の端部およびその反対側
の端部に向かって、ともに横断面積が小さくなってお
り、先端部に向かって横断面積が小さくなる気体流路形
成体の縦断面が、下記(イ)式を満足する少なくとも2
つの曲線で形成されているランス。 α=θe −θ+
μ ・・・(イ) ここで、α:流路形成体中心軸と
マッハ波との角、θe:空間部の最狭部に直交する方向
とノズル中心軸との角、θ:気体の流れの回転角、μ:
マッハ波と気体との角。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、転炉、真空脱ガス
処理装置などに用いる精錬用ランスであって、先端から
酸素ガスなどの気体、または、これらの気体および粉体
とを溶銑、溶鋼などの溶融金属の表面に吹き付けて、脱
炭、脱硫などの精錬を行うための精錬用ランスに関し、
さらに、これらのランスを用いる溶融金属の精錬方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】高炉法により得られる炭素含有率が約5
質量%の溶銑は、通常、転炉を用いて脱炭精錬され、所
定の炭素含有率を有する溶鋼に精錬される。転炉では、
上部に備えるランスの先端から、マッハ数が1を超える
高速の酸素ガスを約800Nm /分程度の大流量
で、溶銑の表面に吹き付けることにより、溶銑を激しく
攪拌し、溶銑の脱炭を促進している(以下、このような
転炉操業を吹錬と記す)。その際、通常、ランス出口で
の酸素ガスの噴出速度が音速を超えるように設計された
ラバルノズルと称されるノズルが、ランスの先端に配置
されている。このようなラバルノズルを備えたランスの
先端を、転炉内の溶銑表面の2〜3m程度の上方にまで
接近させ、音速を超える速度の酸素ガスのジェットを溶
銑表面に衝突させている。酸素ガスのジェットは、周囲
に広がることなく比較的狭い範囲内で溶銑表面に達し、
溶銑が効果的に攪拌され、脱炭反応が促進される。
【0003】このような転炉を用いる溶銑の吹錬におい
て、吹錬中に溶銑が転炉内の上部に飛散(以下、スピッ
ティングと記す場合がある)し、ランス、転炉炉口近傍
などに付着する場合がある。このようなスピッティング
には、ラバルノズルの形状、酸素圧力、酸素流量、ラン
スと鋼浴との間の距離、脱炭酸素効率などが影響するこ
とが知られている。また、溶銑の脱炭が進行した吹錬末
期では、脱炭酸素効率が低下することなどにより、とく
に、溶銑が脱炭された溶鋼のスピッティングが発生しや
すくなる。ランス、転炉炉口近傍などへの溶銑または溶
鋼などの溶湯の付着量が多くなると、転炉の操業をいっ
たん休止して、ランスを交換したり、または転炉炉口に
付着した地金を切断したりすることが必要になり、転炉
における生産性が阻害される。
【0004】そこで、精錬末期に吹錬をいったん中断
し、内部構造が相違するラバルノズルを備えるランスに
交換した上で、吹錬を再開する方法が採られている。ラ
ンスから吹き付ける酸素ガスの流量を低下させ、溶湯の
スピッティングの発生を抑制する方法である。酸素ガス
の流量を低下させる場合に、ランスを交換する必要があ
る理由は、以下のとおりである。
【0005】ラバルノズルと称される中細ノズルから流
出する酸素ガスの流量G(送酸速度)は、音速以上の流
れでは等エントロピー流れとなるので、下記(A)式で
定まることが一般に知られている。 G=g×At×{2/(γ+1)}(γ+1)/{2×(γ−1)} ×(γ×Po×ρo)1/2 ・・・(A) ここで、G :酸素ガスの流量(kg/s) g :重力加速度(m/s) At:スロート部の断面積(m) γ :酸素ガスの比熱比(−) Po:供給側の酸素ガスの圧力(kg/m) ρo:供給側の酸素ガスの密度((kg/m)×(s/
m)) 上記(A)式から、重力加速度g、酸素ガスの比熱比
γ、および供給側の酸素ガスの密度ρoは一定であるの
で、酸素ガスの流量Gは、ラバルノズルのスロート部と
呼ばれる最も断面積の小さい部分の断面積Atと供給側
の酸素ガスの圧力Poとで決まることがわかる。また、
通常の転炉操業では、供給側の酸素ガスの圧力Poも一
定であるので、酸素ガスの流量は、スロート部の断面積
Atによって一義的に決まることになる。また、上記
(A)式で求まる流量で酸素ガスが流出する場合に、ラ
バルノズルが適正条件の範囲で使用されていることにな
る。
【0006】また、ラバルノズル出口での酸素ガスのジ
ェットのマッハ数Mは、等エントロピー流れを仮定する
と、下記(B)式で決まることが一般に知られている。 (Ae/At) =(1/M)×[{(γ−1)×M +2}/(γ+1)](γ+1)/(γ−1)・・・(B) ここで、Ae:ラバルノズル出口部の断面積(m) At:スロート部の断面積(m) M:酸素ガスのジェットのマッハ数(−) γ:酸素ガスの比熱比(−) 上記(B)式より、酸素ガスの比熱比γは一定であり、
供給側の酸素ガスの圧力が一定の条件下では、ラバルノ
ズル出口での酸素ガスのジェットのマッハ数Mは、ラバ
ルノズル出口部の断面積Aeとスロート部の断面積At
の比で決まる。また、上記(B)式で求まるマッハ数で
酸素ガスが流出する場合に、ラバルノズルが適正使用条
件の範囲内で使用されていることになる。
【0007】したがって、ラバルノズルの形状に合った
適正な使用条件の範囲内でラバルノズルを使用し、か
つ、酸素ガスの流量を低下させるには、スロート部の断
面積Atおよびラバルノズル出口部の断面積Aeを変更
したラバルノズルを先端に配置した別のランスに交換す
る必要がある。
【0008】適正な形状のラバルノズルを配置したラン
スに交換せず、単に酸素ガスの流量を低下させると、ラ
ンス出口での酸素ガスは音速を維持できなくなり、溶銑
表面での効果的な脱炭反応が起こらなくなる。さらに、
ランスを交換するには、吹錬をいったん中断するなど、
合計の精錬時間が長くなるという問題がある。
【0009】転炉で脱炭精錬された溶鋼を、さらに減圧
下で脱炭精錬を行い、炭素含有率が0.005質量%程
度の極低炭素鋼を溶製する場合がある。その際、たとえ
ば、RH式真空処理装置内の上部に配置したラバルノズ
ルを先端に備えるランスから、酸素ガスを積極的に溶鋼
表面に吹き付け、減圧下で溶鋼を効果的に脱炭する方法
が採られる場合がある。溶鋼中の炭素含有率が0.00
5質量%程度にまで低下すると、酸素ガスによる脱炭効
率が極端に低下することが知られている。その際、脱炭
速度を維持するには、酸素ガスの流量を増やす必要があ
る。
【0010】前述と同様に、ラバルノズルの形状に合っ
た適正な使用条件の範囲内でラバルノズルを使用し、か
つ、酸素ガスの流量を増加させるには、スロート部の断
面積Atおよびラバルノズル出口部の断面積Aeを変更
したラバルノズルを先端に配置した別のランスに交換す
る必要がある。別のランスに交換せず、単に酸素ガスの
流量を増加させると、ラバルノズルの形状に合った適正
な使用条件の範囲を外れるため超音速ジェットから音速
以下のジェットへの変化が早くなる。高速のジェットが
減衰し半径方向に拡がる結果、酸素ガスジェットが溶鋼
表面に効果的に到達せず効果的な脱炭反応が起こらなく
なる。のみならず、精錬炉の炉壁に酸素ジェットが直接
衝突することにより、炉壁を早期に溶損させる等の事態
が発生する。
【0011】このように、転炉または真空処理装置を用
いて溶銑または溶鋼を脱炭精錬する際、ランスから吹き
付ける酸素ガスの流量を変化させ、その流量に適正なラ
バルノズルを選択する必要がある。即ち、それぞれ脱炭
精錬の初期に使用したラバルノズルとは別の形状のラバ
ルノズルを先端に備えるランスに交換する必要がある。
ランスを交換すると、脱炭精錬作業をいったん中断する
など、鋼の生産性が阻害される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、転炉、真空
処理装置などに用いる精錬用ランスであって、先端から
酸素ガス、または酸素ガスと粉体などを溶銑、溶鋼など
の溶融金属の表面に吹き付けて、脱炭、脱硫などの精錬
を行うに際し、精錬の途中でランスを交換することな
く、効果的な精錬を行うことができる溶融金属の精錬用
ランスを提供することを目的とし、さらに、精錬の途中
で交換する必要のない精錬用ランスを用いた溶融金属の
精錬方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)および(2)に示す溶融金属の精錬用ランス、な
らびに下記(3)および(4)に示す溶融金属の精錬方
法にある。 (1)溶融金属を大気中または真空下で精錬する際に用
いる先端に気体噴出用ノズルを備えた精錬用ランスであ
って、上記ノズルの先端部内に環状スリットの空間部を
形成するための気体流路形成体が挿入されており、上記
気体流路形成体は、長手方向の中央部からノズルの先端
側の端部およびその反対側の端部に向かって、ともに横
断面積が小さくなっており、そのノズルの先端側の端部
に向かって横断面積が小さくなっている上記気体流路形
成体の部分の縦断面が、下記(イ)式を満足する少なく
とも2つの曲線で形成されている溶融金属の精錬用ラン
ス。 α=θe −θ+μ ・・・(イ) ここで、α :気体流路形成体の中心軸とマッハ波のな
す角(゜) θe:環状スリットの空間部の最狭部に直交する方向と
ノズル中心軸とのなす角(゜) θ :ノズル外筒端部を回転中心とする環状スリットの
空間部の最狭部に直交する方向からの気体の流れの回転
角(゜) μ :マッハ波と気体の流れの方向とのなす角(゜) (2)上記気体流路形成体の先端に、粉体とその粉体を
輸送する気体とを同時に溶融金属に吹き付けるための孔
が配置されている上記(1)に記載の溶融金属の精錬用
ランス。 (3)先端に気体噴出用ノズルを備えた精錬用ランスを
用い、溶融金属を大気中または真空下で精錬する方法で
あって、上記ノズルの先端部内に環状スリットの空間部
を形成するための気体流路形成体が挿入されており、上
記気体流路形成体は、長手方向の中央部からノズルの先
端側の端部およびその反対側の端部に向かって、ともに
横断面積が小さくなっており、そのノズルの先端側の端
部に向かって横断面積が小さくなっている上記気体流路
形成体の部分の縦断面が、下記(イ)式を満足する少な
くとも2つの曲線で形成されている精錬用ランスを用い
る溶融金属の精錬方法。 α=θe −θ+μ ・・・(イ) ここで、α :気体流路形成体の中心軸とマッハ波のな
す角(゜) θe:環状スリットの空間部の最狭部に直交する方向と
ノズル中心軸とのなす角(゜) θ :ノズル外筒端部を回転中心とする環状スリットの
空間部の最狭部に直交する方向からの気体の流れの回転
角(゜) μ :マッハ波と気体の流れの方向とのなす角(゜) (4)上記(3)に記載の精錬用ランスを用いる溶融金
属を大気中または真空下で精錬する方法であって、上記
精錬用ランスに、さらに、上記気体流路形成体の先端
に、粉体とその粉体を輸送する気体とを溶融金属に吹き
付けるための孔を設けた精錬用ランスを用いて、溶融金
属表面に粉体および気体を吹き付けて溶融金属を精錬す
る溶融金属の精錬方法。
【0014】本発明は、溶融金属、たとえば、鉄、アル
ミニウム、銅などの精錬において、脱炭、脱硫、脱酸な
どの反応を起こさせる際に用いて好適な精錬用ランスお
よびそのランスを用いる方法であり、以下では、溶銑お
よび溶鋼の脱炭精錬を代表例として説明する。
【0015】図1は、通常用いられるラバルノズルの縦
断面を示す模式図である。図2は、本発明の溶融金属の
精錬用ランスのランス本体(図示していない)の先端に
配置する、ノズルの先端部内に気体流路形成体を設けた
ノズル先端の例を示す模式図である。図2(a)は、先
端部内に気体流路形成体を備えたノズルの外観を示す模
式図で、図2(b)は、そのノズルの縦断面を示す模式
図である。気体流路形成体の形状の決定方法は後述す
る。図2では、横断面が円形のランスおよびノズルの例
を示す。
【0016】本発明の溶融金属の精錬用ランスのランス
本体の先端に配置する管状のノズルでは、図2(b)に
示すように、ランス本体(図示していない)の先端に備
える管状のノズル1の先端部内に、気体流路形成体2を
配置する。
【0017】図2(b)の例では、気体流路形成体の長
手方向の中央部(符号ロで示す部分)は、円柱状になっ
ている。この中央部からノズルの先端側の端部(符号ハ
で示す部分)、およびその反対側の端部(符号ホで示す
部分)に向かって、ともに横断面積を小さくする。その
内、ノズルの先端側の端部に向かって横断面積を小さく
する部分(符号ハで示す部分)は、その縦断面が、前述
の(イ)式を満足する少なくとも2つの曲線で形成され
るようにする。図2(b)に示す例では、気体流路形成
体の図面上の左側の横断面積を小さくする部分(符号ホ
で示す部分)は空気抵抗を減少させるべく円錐体とし、
その反対側の部分(符号ハで示す部分)を、上記曲線を
有する凹状円錐体とした例を示す。図2(b)中の符号
イは、気体流路形成体の中央部の直径、符号ニは、ノズ
ルの先端側の端部に向かって横断面積を小さくする符号
ハの部分の曲線、符号へは、ノズルの後端側の端部に向
かって横断面積を小さくする符号ホの部分の曲線を示
す。
【0018】管状のノズル1の先端部分4は、図2
(b)に示すような形状とし、この先端部分4と気体流
路形成体2の先端チップ3、すなわち、横断面積が小さ
くなる部分との間に、環状スリット断面状の空間部5が
形成されるようにする。この空間部5の環状スリット断
面積が最も狭くなった絞り部が、図1に示す通常のラバ
ルノズルのスロート部6に相当する部分である。なお、
気体流路形成体2は、ノズルの先端部分4に取り付ける
が、その取り付け部は、たとえば、流速の遅い気体流路
形成体の図面上の左側の横断面積を小さくする部分(符
号ホで示す部分)に支柱10を用いて固定することがで
きる。
【0019】ここで、通常用いられるラバルノズルにお
けるガス流体の流れを簡単に説明する。図1に示すよう
な流れの方向に孔の断面積が変化するラバルノズルで
は、音速はスロート部6である最小断面積の部分で得ら
れる。その後、断面積の大きいラバルノズル出口部7で
は超音速に加速されてガス流体が流出する。スロート部
の断面積、ラバルノズル出口部の断面積、およびラバル
ノズル出口部での流体のジェットのマッハ数との関係な
どは、前述のとおりである。また、流体の流量を変化さ
せる場合の問題も前述のとおりである。
【0020】一方、図3は、本発明の溶融金属の精錬用
ランスのランス本体の先端に配置するノズルの先端部内
に気体流路形成体を備える場合のガス流体の流れを示す
模式図である。前述の気体流路形成体の取り付け部は図
示していない。図3中には、ガス流体の流れを模式的に
矢印で示す。気体流路形成体の形状は、図2に示す形状
に相当する。図3(a)は、ガス流体の流量が多いか、
または真空処理装置のように雰囲気圧力がスロート部出
口圧より低い場合のガス流体の流れを示し、図3(b)
は、ガス流体の流量が少ないか、または雰囲気圧力がス
ロート部出口圧に等しい場合のガス流体の流れを示す。
【0021】超音速の流れが凹面に沿って曲げられる
と、斜めマッハ波が後述する図4中に符号14で示すよ
うに現れて、ガス流速が加速されることは一般に知られ
ている。この性質を利用し、図3に示すように先端部内
に気体流路形成体2を備えるノズル1の場合に、その気
体流路形成体2のノズル先端側の形状を、その縦断面が
前述の(イ)式を満足する少なくとも2つの曲線で形成
されるようにすると、その流路の最も狭いノズル出口を
出たガス流体はノズル1の中央に備える気体流路形成体
に沿って膨張、加速しながら流れ出る。ガス流体が膨張
するとともに、ガス流体のジェットの圧力が低下し、そ
のガス流体のジェット内の圧力が雰囲気の圧力と同じに
なったところで、ガス流体のジェットはノズル先端の外
筒(後述する図4中に符号4で示す)の先端部(後述す
る図4中に符号11で示す)を離れることとなる。
【0022】しかし、従来から用いられているラバルノ
ズルでは、たとえば、特開平2−169815号公報に
も開示されているように、スロート部からの末広がりの
面積拡大比に応じて適正な使用条件が設定されており、
適正な流量より流量が多いと末広がりノズルを出てから
ジェットが雰囲気中に膨張し、その時に膨張衝撃波を発
生し、エネルギーを消費し、ガス流速が急速に低下す
る。また逆に流量が少なすぎるとラバルノズル内部で失
速し、ラバルノズル内で衝撃波を発生してガス流速が音
速以下に低下してしまう。つまり、ラバルノズルの場合
には、その面積拡大比によって雰囲気圧に応じて適正な
流量が決定してしまう。自由に流量を変化できないとい
う欠点を有している。
【0023】本発明の精錬用ランスでは、従来のラバル
ノズルのように強制的にガス流体を末広ノズルで拡大し
ないため、雰囲気圧とジェットの内圧が等しくなったと
ころで、後述する図4中に符号11で示すノズル先端の
外筒の先端部からジェットが離れ、気体流路形成体に沿
って流れた環状ジェットが1本の中実のジェットへと合
体する。これは流量が変化してもなんら影響を受けない
し、また流量が一定で雰囲気圧が変化しても同様であ
る。つまり、ラバルノズルはその末広がりノズルの故に
強制拡大をガス流体に要求するのに対して、本発明の精
錬用ランスでは、ガス流体が自由拡大、すなわち、雰囲
気に応じて膨張し、ガス流体の加速が行われることに特
徴がある。
【0024】本発明の精錬方法では、先端部内に気体流
路形成体を備えるノズルを先端に配置する精錬用ランス
を用いて、溶融金属表面に気体を吹き付ける。したがっ
て、転炉などの大気中、または真空脱ガス装置での真空
下で、ランスを用いて溶銑または溶鋼に酸素ガスを吹き
付けて脱炭精錬を行う際に、精錬の途中で酸素ガスの流
量を変える場合でも、精錬初期から用いているランス
を、交換せずに効果的な脱炭精錬を行うことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の溶融金属の精錬用ランス
およびそのランスを用いる溶融金属の精錬方法を、以下
に一括して説明する。
【0026】本発明の溶融金属の精錬用ランスの先端に
配置するノズルでは、図2(b)に示すように、ノズル
の先端部内に気体流路形成体を配置し、その気体流路形
成体のノズル先端側の形状を、その縦断面が前述の
(イ)式を満足する少なくとも2つの曲線で形成される
ようにする。
【0027】その際、気体流路形成体2の先端チップ3
とノズル1の先端部分4との間の環状スリットの空間部
5の断面積、および前述の凹面を有する気体流路形成体
の形状を下記に示す方法で決めることができる。転炉な
どのように雰囲気圧力がほぼ大気圧に近い場合、または
RH式真空処理装置などのように減圧下の場合にも、同
じ考え方で気体流路形成体を有するノズルを設計できる
ので、以下にまとめて説明する。
【0028】まず、環状スリットの空間部の断面積の決
める方法を説明する。環状スリットの空間部の最狭部の
断面積を環状スリット出口に配置する。その際、次のよ
うにその断面積を求める。すなわち、酸素ガスなどの供
給するガス流体の操業上の最大の流量を選定すれば、供
給側のガス流体の圧力、密度および比熱比などは、設備
の配置により一定値に決まるので、前述の(A)式よ
り、スロート部の断面積に相当する環状スリットの空間
部の最狭部の断面積を求めることができる。
【0029】環状スリット状の空間部の最狭部の断面積
が求まるとその外径を定める必要がある。その環状スリ
ットの外径は、次のように求めることができる。
【0030】すなわち、雰囲気圧と等しくなるまでジェ
ット内圧が低下するのであるので、そのジェットの膨張
を妨げない外径が望ましい。雰囲気圧が低いほどマッハ
数が上昇することは良く知られており、超音速流れが等
エントロピー流れであることからジェットの最大マッハ
数は、下記(C)式で決まることが知られている。 M=[{2/(γ−1)} ×{(Po/Pe)(γ−1)/γ−1}]1/2 ・・・(C) ここで、M:ガス流体のジェットのマッハ数(−) γ:供給側でのガス流体の比熱比(−) Po:供給側でのカ゛ス流体の圧力(単位:kg/mG) Pe:供給先の雰囲気の圧力(単位:kg/mG) 上記(C)式より、ガス流体のジェットのマッハ数M
は、供給側でのガス流体の比熱比γおよび供給側のガス
流体の圧力Poが一定であるので、供給先の雰囲気の圧
力Peで決まることがわかる。たとえば、転炉などのよ
うに場合には、雰囲気圧力は大気圧、また、RH式真空
処理装置のように減圧する際には、減圧時の最小の雰囲
気圧力を選定すればよい。
【0031】環状スリット出口の空間部の外径は、その
外径からなる円の面積が上記により求めたマッハ数に対
応するガス流体のジェットの断面積より大きくなるよう
に決めればよい。求めたマッハ数に対応するガス流体の
ジェットの断面積Ajは、次の(D)式に示す様に、前
述の(B)式を変形した下記(D)式に、環状スリット
最狭部の断面積At、および上記(C)式で求めたマッ
ハ数Mなどを入れることにより求めることができる。 Aj=At×M×[{(γ−1)×M+2} /(γ+1)]{(γ+1)/2×(γ−1)} ・・・(D) ここで、Aj:流体のジェットの断面積(m) At:スリット最狭部の断面積(m) M:流体のジェットのマッハ数(−) γ:供給側での流体の比熱比(−) つぎに、気体流路形成体のノズル先端側の形状を、その
縦断面が前述の(イ)式を満足する少なくとも2つの曲
線で形成されるように、凹面を有する気体流路形成体の
形状を決める方法を説明する。超音速の流れが凹面に沿
って曲げられると、斜めマッハ波(図4中に符号14で
示す)が現れ、等エントロピー流れを仮定すると、斜め
マッハ波のマッハ数が1である最狭部(図4中に符号1
3で示す)での流れの方向からの流れの回転角θ(°)
におけるマッハ数Mと、その流れの回転角θ(°)とは
(E)式の関係が成り立つ。本式は一般に知られた角を
曲がる超音速流の流れの式であり、回転角θ(°)に応
じてマッハ数(M)が増加する。すなわちジェットが加
速する。 θ=[(γ+1)/(γ−1)]1/2tan−1[{(γ-1)×(M −1)}/(γ+1)]−tan−1(M−1)・・・(E) ここで、γ:供給側でのガス流体の比熱比(−) M:ガス流体のジェットのマッハ数(−) 上式から、たとえば、角が無ければ(θ=0°)、M=
1のままであることがわかる。本発明の精錬用ランスの
場合には、角を回っていく間にガス流が加速するので、
軸中心の凹面をなす先端形状はその変化するガス流の方
向に沿って作る必要がある。
【0032】その凹面の形状の決定方法について説明す
る。まず、最狭部の角から斜めマッハ波が発生し、回転
角θの増加と共にマッハ数Mが増加する。一方、マッハ
数Mに応じて、ガス流体の流れの方向は斜めマッハ波の
方向と角μ(°)をなす。すなわち、下記(F)式を満
たす条件でジェット流れの向きが変化する。
【0033】μ=sin−1(1/M) ・・・(F) 斜めマッハ波がスリット出口の角部を回り込む、すなわ
ち回転角θが増加する間に、マッハ数が増加し、それに
対応して斜めマッハ波と流れの方向とが形成する角μが
変化する。気体流路形成体の形状を、順次変化する流れ
と平行な方向に取ることにより、凹面を有す気体流路形
成体の形状を求めることができる。
【0034】図4は、凹面を有する気体流路形成体の形
状とスリット出口で形成される斜めマッハ波の角度との
関係を示す模式図である。上述する回転角θ、角μおよ
び気体流路形成体の形状の関係を示す。
【0035】図4中の符号3は、気体流路形成体の先端
チップ、符号4は、ノズルの先端部分、符号5は、スリ
ット状の空間部、符号11は、ノズルの先端部分の角
部、符号12は、気体流路形成体の先端チップの凹面の
接線、符号13は、最狭部のライン(マッハ数=1のラ
イン)、符号14は、超音速の流れが凹面に沿って曲げ
られると現れる斜めマッハ波、符号α は、気体流路形
成体の中心軸とマッハ波のなす角、符号θeは、環状ス
リットの空間部の最狭部に直交する方向とノズル中心軸
とのなす角、符号θは、ノズル外筒端部を回転中心とす
る環状スリットの空間部の最狭部に直交する方向からの
気体の流れの回転角、および符号μは、マッハ波と気体
の流れの方向とのなす角を示す。
【0036】ノズルおよび気体流路形成体の横断面形状
は、円形が望ましいが、それ以外の形状でも構わない。
たとえば、長方形の断面形状でもよく、その際、気体流
路形成体の長辺側の曲面が、上述の方法で決めた形状で
あればよい。また、気体流路形成体は、ノズルとともに
内部を水冷できる構造とするのが望ましい。溶銑または
溶鋼からの輻射熱などの負荷が大きいからである。
【0037】上述する先端部内に気体流路形成体を備え
るノズルを先端に配置するランスを用いて、たとえば、
転炉において溶銑に、または減圧下の真空処理装置内の
溶鋼に、酸素ガスを吹き付けることにより、従来のラバ
ルノズルの様に流量を変化させる毎にランスを交換する
必要が無く、連続して、溶銑または溶鋼の効果的な脱炭
精錬を行うことができる。
【0038】さらに、本発明の溶融金属の精錬用ランス
の先端に配置するノズルは、先端部内に気体流路形成体
を備えるノズルであって、その気体流路形成体の軸中心
に開口部を有し、粉体とその粉体を輸送する気体とを通
過させる通流路がその開口部に通じている気体流路形成
体を備えるノズルとするのが望ましい。
【0039】図5は、本発明の溶融金属の精錬用ランス
の先端に配置する先端部内に気体流路形成体を備え、そ
の気体流路形成体の軸中心に開口部を有し、粉体とその
粉体を輸送するガス流体とを通過させる通流路がその開
口部に通じている気体流路形成体を備えるノズルを示す
模式図である。図5(a)は、ノズルの外観を示す模式
図で、図5(b)は、ノズルの縦断面を示す。図5
(b)中に示す符号a〜hについては、後述する実施例
で説明する。
【0040】気体流路形成体2の先端チップ3には、粉
体およびガス流体が流出できる開口部8を備え、気体流
路形成体の内部には、その開口部8に繋がる通流路9を
備える。開口部8および通流路9の断面積の大きさは、
吹き付ける粉体の流量などで決めればよい。気体流路形
成体2の先端チップ3とノズル1の先端部分4との間の
環状スリットの空間部5の断面積、および凹面を有する
気体流路形成体の形状は前述の方法で決めることができ
る。なお、気体流路形成体2は、ノズルの先端部分4に
取り付けるが、その取り付け部は図示していない。
【0041】気体流路形成体2の先端チップ3に開口部
8を備えることによる超音速ジェットへの影響は開口部
8の断面積がノズルの先端部分4の開口部の断面積の約
1/2以下であれば、超音速ジェットは合体しやすいこ
とから、先端チップ3の開口部8は前述の図3で示すガ
ス流体の流れへの影響はない。粉体および粉体を輸送す
るガス流体は、ガス流体のジェットに包まれながら、溶
銑または溶鋼の表面に達することができる。
【0042】ノズル、開口部および開口部を備える気体
流路形成体の横断面形状は、円形が望ましいが、それ以
外の形状でも構わない。たとえば、長方形の気体流路形
成体の曲面の形状は、前述の開口部のない気体流路形成
体の場合と同じ方法で決めればよい。また、このような
気体流路形成体は、ノズルとともに内部を水冷できる構
造とするのが望ましい。溶銑または溶鋼からの輻射熱な
どの負荷が大きいからである。
【0043】先端部内に気体流路形成体を備え、その気
体流路形成体の先端に開口部を有し、粉体とその粉体を
輸送する気体とを通過させる通流路がその開口部に通じ
ている気体流路形成体を備えるノズルを先端に配置した
ランスを用いて、たとえば、転炉において溶銑に酸素ガ
スを吹き付けるとともに、鉄鉱石などの粉体を吹き付け
ることにより、より効果的に脱炭反応を促進することが
できる。また、減圧下の真空処理装置内の溶鋼に酸素ガ
スを吹き付けるとともに、鉄鉱石などの粉体を吹き付け
ることにより、より効果的に脱炭反応を促進することが
できる。
【0044】吹き付ける粉体としては、溶融金属および
その精錬の目的などにより選択すればよい。溶銑または
溶鋼の脱炭精錬を目的とする場合には、たとえば、前述
の鉄鉱石の粉体などを用いることができる。脱硫または
脱燐の精錬を目的とする場合には、生石灰の粉体などを
用いればよい。また、粉体の粒度は、ノズルに備える通
流路の大きさ、精錬の効果などにより決めればよい。
【0045】
【実施例】(実施例1)高炉法により得られる溶銑を転
炉により脱炭精錬する場合の例について、以下に説明す
る。
【0046】容量250tの溶銑を脱炭精錬する転炉の
大きさは、おおよそ内径6m、高さ10mで、操業する
際の溶銑(以下、溶湯と記す場合がある)の深さは約
1.3mである。
【0047】通常、ラバルノズルを先端に配置したラン
スにより、酸素ガスのジェットを溶湯表面に吹き付け
る。その際、通常、銅製で、その内部が水冷構造になっ
た外形直径330mm程度のランスが用いられる。
【0048】実施例1は、前述の図2に示すような、ま
た、気体流路形成体のノズル先端側の形状を、その縦断
面が前述の(イ)式を満足する少なくとも2つの曲線で
形成されるようにした気体流路形成体を有するノズルを
先端に配置する本発明の精錬用ランスを用いて、本発明
の精錬方法を実施する場合の例である。気体流路形成体
は、ランス本体と同じとするのがよい。気体流路形成体
の大きさは、つぎに示す寸法、形状とすることができ
る。つまり、図2(b)中に示す符号イの直径は60m
m、符号ロの長さは20mmとする。符号ハの長さは1
30mmとし、符号ニで示される曲線は、前述の図4で
説明する方法で決めることができる。また、符号ホの長
さは40mmとし、符号ホおよび符号へで示される部分
は、円錐状とすることができる。この気体流路形成体
は、中実でも、中空でも構わない。また、図2(b)中
に符号6で示すスリット状の空間部に関し、その最狭部
の断面積をスリット出口に配置し、その断面積を152
1mm とすることができる。また、酸素ガスの供給
側の圧力は、通常の0.86MPaG程度でよい。
【0049】上述する本発明のノズル6本からなる精錬
用ランスを用いて、本発明の精錬方法を実施すると、脱
炭精錬の初期の酸素ガスの流量約1000Nm/分、
また溶湯のC含有率が2質量%程度になる脱炭精錬の末
期の酸素ガスの流量約800Nm/分の各条件に対し
て、ランスを交換することなく、安定して脱炭精錬を継
続することができる。溶湯のスピッティング防止を目的
に酸素ガスの流量を低下させる脱炭精錬の末期でも、酸
素ガスのジェットのマッハ数は、ランス出口で2.1程
度であり、脱炭酸素効率を低下させることなく脱炭精錬
を継続できる。従来のラバルノズルを先端に配置したラ
ンスを用いて、脱炭精錬の末期でランスを交換するのに
比べて、精錬時間を10%程度短縮することができる。 (実施例2)転炉を用いて脱炭精錬して得られる炭素含
有率0.05%の溶鋼を、RH式真空処理装置を用い
て、炭素含有率0.005質量%程度の極低炭素鋼に脱
炭精錬する場合の例について、以下に説明する。
【0050】容量250tの溶鋼(以下、溶湯と記す場
合がある)を脱炭精錬するRH式真空処理装置の真空槽
の大きさは、おおよそ内径2m、高さ9.5mで、操業
する際の真空槽内の溶湯の深さは約0.2mである。
【0051】溶湯中に浸漬する耐火物製の羽口から、酸
素ガスを溶湯中に吹き込む方法もあるが、真空槽内の上
部に配置し、上下に移動可能なランスを用いて、溶湯表
面に酸素ガスのジェットを吹き付け、溶鋼を脱炭精錬す
る方法がある。このようなランスを用いる方法の場合
に、通常のラバルノズルを先端に配置した外形165m
m程度のランスが用いられている。通常、銅製で、その
内部が水冷構造になったランスが用いられる。
【0052】実施例2は、前述の図5に示すような内部
に粉体と気体の通流路を有する気体流路形成体を備える
ノズルを先端に配置する本発明の精錬用ランスを用い
て、本発明の精錬方法を実施する場合の例である。気体
流路形成体は、粉体による摩耗を防ぐためにステンレス
製とするのがよい。
【0053】気体流路形成体の大きさは、つぎに示す寸
法、形状とすることができる。つまり、図5(b)中に
示すノズル先端の開口部および通流路の内径である符号
aの寸法は30mmとし、符号bは直径75mm、符号
cは長さ30mmとする。符号dの長さは100mmと
し、符号eで示される曲線は、前述の図4で説明する方
法で決めることができる。また、符号fの長さは30m
mとし、符号fおよび符号gで示される部分は、円錐状
とすることができる。この気体流路形成体は、中実で
も、中空でも構わない。また、図5(b)中に符号hで
示すスリット状の空間部に関し、その最狭部の断面積を
スリット出口に配置し、その断面積を707mm
することができる。
【0054】また、真空処理装置の真空度は通常の50
Torrでよく、酸素ガスの供給側の圧力は、通常の
0.46MPaG程度でよい。ノズルから粉体を溶鋼表
面に吹き付ける際には、平均粒径が0.2mm程度の鉄
鉱石の粉体を用いることができる。
【0055】内部に粉体と気体の通流路を有する気体流
路形成体を備えるノズルを用いる場合でも、粉体を吹き
付けなくても構わないので、粉体を吹き付けない場合に
は、ノズルの気体流路形成体の開口部が詰まらないよう
に、窒素ガス、Arガスなどのパージ用ガスを流してお
けばよい。
【0056】上述する本発明の精錬用ランスを用いて、
本発明の精錬方法を実施すると、槽内圧力が如何に変化
しようとも脱炭精錬の酸素ガスの流量を任意に選択出来
る。たとえば、槽内圧が通常の50torrの場合に4
0Nm/分の流量で操業することも、20Nm/分に
変更して操業することも可能である。
【0057】しかし、従来のラバルノズルを先端に配置
したランスを用いてランスを交換することなく、槽内圧
や酸素ガスの流量を適正な使用条件から変更することは
出来ない。従来のラバルノズルでは槽内圧に応じてただ
1つの適正な流量が存在する。たとえば、適正な流量と
異なる流量を流した場合、真空脱ガス槽の耐火物寿命が
1/2と短くなる。これは従来のラバルノズルの設計に
おける適正な使用条件を外れるとジェットの減衰が大き
くなり、酸素ガスのジェットが拡散しやすくなり、酸素
ガスが直接槽壁の耐火物に到達するためである。また、
別の従来のラバルノズルを先端に配置するランスに交換
するには、長い交換時間がかかる。
【0058】現場的には、本発明の精錬ランスを用いて
ジェットによる溶鋼の凹み深さが溶鋼浴面高さを超えな
いように流量を調整する。つまり、槽内の溶鋼浴面状態
を観察しながら最大流量を流し、精錬時間の短縮を計っ
ている。
【0059】
【発明の効果】本発明の精錬用ランスおよび本発明の精
錬方法を適用することにより、転炉などを用いる大気
中、または真空処理装置を用いる真空下で、ランスを用
いて溶銑または溶鋼の表面に気体、または気体および粉
体を吹き付け、脱炭などの精錬を行う際に、ランス交換
せずに効果的な脱炭などを行うことができる。さらに、
脱炭以外に、脱硫、脱燐などを、ランス交換せずに効果
的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】通常用いられるラバルノズルの縦断面を示す模
式図である。
【図2】本発明のランス先端に配置する気体流路形成体
を備えるノズルの例を示す模式図である。
【図3】本発明のランス先端に配置する気体流路形成体
を備えるノズルを用いた場合の気体の流れを示す模式図
である。
【図4】凹面を有する気体流路形成体の形状とスリット
出口で形成される斜め衝撃波の角度との関係を示す模式
図である。
【図5】本発明の内部に気体と粉体の通流路を有する気
体流路形成体を備えるノズルの例を示す模式図である。
【符号の説明】
1:ノズル 2:気
体流路形成体 3:気体流路形成体の先端チップ 4:ノ
ズルの先端部分 5:スリット状の空間部 6:ス
ロート部 7:ラバルノズル出口部 8:開口部 9:通
流路 10:気体流路形成体2の取り付け支柱 11:ノズルの先端部分4の角部 12:気体流路形成体の先端チップ3の凹面の接線 13:最狭部のライン(マッハ数=1のライン) 14:マッハ波 α :気体流路形成体の中心軸とマッハ波のなす角 θe:環状スリットの空間部の最狭部に直交する方向と
ノズル中心軸とのなす角 θ :ノズル外筒端部を回転中心とする環状スリットの
空間部の最狭部に直交する方向からの気体の流れの回転
角 μ :マッハ波と気体の流れの方向とのなす角
フロントページの続き (72)発明者 渡辺 吉夫 茨城県鹿嶋市大字光3番地 住友金属工業 株式会社鹿島製鉄所内 Fターム(参考) 4K002 BF03 4K013 BA02 BA05 BA08 CA04 CB04 CC04 CE01 EA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融金属を大気中または真空下で精錬する
    際に用いる先端に気体噴出用ノズルを備えた精錬用ラン
    スであって、上記ノズルの先端部内に環状スリットの空
    間部を形成するための気体流路形成体が挿入されてお
    り、上記気体流路形成体は、長手方向の中央部からノズ
    ルの先端側の端部およびその反対側の端部に向かって、
    ともに横断面積が小さくなっており、そのノズルの先端
    側の端部に向かって横断面積が小さくなっている上記気
    体流路形成体の部分の縦断面が、下記(イ)式を満足す
    る少なくとも2つの曲線で形成されていることを特徴と
    する溶融金属の精錬用ランス。 α=θe −θ+μ ・・・(イ) ここで、α :気体流路形成体の中心軸とマッハ波のな
    す角(゜) θe:環状スリットの空間部の最狭部に直交する方向と
    ノズル中心軸とのなす角(゜) θ :ノズル外筒端部を回転中心とする環状スリットの
    空間部の最狭部に直交する方向からの気体の流れの回転
    角(゜) μ :マッハ波と気体の流れの方向とのなす角(゜)
  2. 【請求項2】上記気体流路形成体の先端に、粉体とその
    粉体を輸送する気体とを同時に溶融金属に吹き付けるた
    めの孔が配置されていることを特徴とする請求項1に記
    載の溶融金属の精錬用ランス。
  3. 【請求項3】先端に気体噴出用ノズルを備えた精錬用ラ
    ンスを用い、溶融金属を大気中または真空下で精錬する
    方法であって、上記ノズルの先端部内に環状スリットの
    空間部を形成するための気体流路形成体が挿入されてお
    り、上記気体流路形成体は、長手方向の中央部からノズ
    ルの先端側の端部およびその反対側の端部に向かって、
    ともに横断面積が小さくなっており、そのノズルの先端
    側の端部に向かって横断面積が小さくなっている上記気
    体流路形成体の部分の縦断面が、下記(イ)式を満足す
    る少なくとも2つの曲線で形成されている精錬用ランス
    を用いることを特徴とする溶融金属の精錬方法。 α=θe −θ+μ ・・・(イ) ここで、α :気体流路形成体の中心軸とマッハ波のな
    す角(゜) θe:環状スリットの空間部の最狭部に直交する方向と
    ノズル中心軸とのなす角(゜) θ :ノズル外筒端部を回転中心とする環状スリットの
    空間部の最狭部に直交する方向からの気体の流れの回転
    角(゜) μ :マッハ波と気体の流れの方向とのなす角(゜)
  4. 【請求項4】請求項3に記載の精錬用ランスを用いる溶
    融金属を大気中または真空下で精錬する方法であって、
    上記精錬用ランスに、さらに、上記気体流路形成体の先
    端に、粉体とその粉体を輸送する気体とを溶融金属に吹
    き付けるための孔を設けた精錬用ランスを用いて、溶融
    金属表面に粉体および気体を吹き付けて溶融金属を精錬
    することを特徴とする溶融金属の精錬方法。
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