JP2002226569A - 架橋剤及びその製造方法 - Google Patents

架橋剤及びその製造方法

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JP2002226569A
JP2002226569A JP2002025010A JP2002025010A JP2002226569A JP 2002226569 A JP2002226569 A JP 2002226569A JP 2002025010 A JP2002025010 A JP 2002025010A JP 2002025010 A JP2002025010 A JP 2002025010A JP 2002226569 A JP2002226569 A JP 2002226569A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 押出成形が可能で、かつ硬化時の急激な収縮
による割れ等の発生を抑制することができ、硬化樹脂の
脆さ及び耐衝撃性を改善することができる不飽和ポリエ
ステル樹脂組成物を調製することができる架橋剤及びそ
の製造方法を得る。 【解決手段】 ポリエステルの末端カルボキシル基に、
スチレンまたはその誘導体のハロゲン化物を反応させて
得られる、片末端または両末端にビニルフェニレン基を
有する重量平均分子量300以上のポリエステルである
ことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、押出成形が可能な
不飽和ポリエステル樹脂組成物に用いることができる架
橋剤及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】不飽和ポリエステル樹脂は、強化プラス
チック、塗料、化粧板など幅広い用途で用いられている
熱硬化性樹脂であり、硬化の際に架橋剤として働く、ス
チレン、メタクリル酸メチル、ジアリルフタレート等の
モノマーが含有されている。このような架橋剤として
は、一般にスチレンが用いられている。メタクリル酸メ
チルは、不飽和ポリエステルとの共重合性が悪いので、
一般にスチレンと併用されている。また、ジアリルフタ
レートは、ガラス繊維を入れた乾式不飽和ポリエステル
成形材料に用いられる場合が多い。
【0003】不飽和ポリエステル樹脂の成形方法として
は、従来より、種々の方法が採用されており、例えば、
注型法、ハンドレイアップ法、レジントランスファーモ
ールディング法(RTM法)、圧縮成形法、射出成形法
があり、これらの成形材料としてシートモールディング
コンパウンド(SMC)、バルクモールディングコンパ
ウンド(BMC)などが知られている。
【0004】また、不飽和ポリエステル樹脂の用途の一
つとして、衣服等のボタンが知られている。このような
ボタンは、遠心ドラム法により不飽和ポリエステル樹脂
をシート状にし、これを打ち抜いた後、硬化させ、面削
り等の仕上げ加工を施して製造するのが一般的である。
このようにボタンの製造工程においては、打ち抜き加工
が行われるので、原料樹脂の3〜4割程度が屑として廃
棄処分されている。廃棄物は、焼却や埋立等により処分
しているが、焼却の際には臭い、すす、煙を生じ、また
高温のため焼却炉を傷める等の問題を生じる。また埋立
の処分においては、埋立地の確保が困難になってきてい
るという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような問題を解
決する方法として、不飽和ポリエステル樹脂を押出成形
し、得られた押出成形物をカッティングすることにより
ボタンを製造する方法が考えられる。しかしながら、ス
チレンを架橋剤として用いる従来の不飽和ポリエステル
樹脂は、プレキュアして得られるゲルが非常に脆いた
め、押出成形が困難であった。また、最終的に得られる
硬化物は、硬くて脆い等の問題があり、不飽和ポリエス
テル樹脂を用い押出成形でボタンを成形することは実現
されていない。
【0006】一方、不飽和ポリエステル樹脂の注型成形
においては、厚物の成形ができないという問題があっ
た。すなわち、厚物の成形を行うと、硬化の際に重合熱
が成形物内に蓄積されるため、短時間で硬化が進行し、
成形物が割れる等の問題があった。
【0007】上記のような問題を解決する方法として、
不飽和ポリエステル樹脂の硬化を制御する方法が考えら
れる。硬化を制御する具体的な方法としては、2,4−
ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン等の連鎖移動剤
を用いる方法が知られている(伴野茂樹、駒井猛、強化
プラスチックス、29(8)、 357(1983))。しかしながら、
連鎖移動剤を用いる方法では、架橋(硬化)反応が完結
しないおそれがある。
【0008】また、硬化樹脂の物性を改善する方法とし
ては、不飽和ポリエステル樹脂における不飽和結合の間
の炭化水素鎖を長くする方法が考えられるが、このよう
な不飽和ポリエステルの合成は困難であり、またこのよ
うな不飽和ポリエステルは反応性が低いため、硬化反応
が完結しないおそれがある(滝山榮一郎著、ポリエステ
ル樹脂ハンドブック、p.80、 (1988)日刊工業新聞社)。
【0009】本発明の目的は、押出成形が可能で、かつ
硬化時の急激な収縮による割れ等の発生を抑制すること
ができ、硬化樹脂の脆さ及び耐衝撃性を改善することが
できる不飽和ポリエステル樹脂組成物を調製することが
できる架橋剤及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
の問題を解消するため、不飽和ポリエステル樹脂に含有
させる架橋剤について鋭意検討を行った結果、特定のポ
リエステルを架橋剤として用いることにより、押出成形
が可能で、かつ硬化時の急激な収縮による割れ等の発生
を抑制することができ、硬化樹脂の脆さ及び耐衝撃性を
改善し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、末端にビニルフェニ
レン基を有する重量平均分子量300以上のポリエステ
ルからなる架橋剤及びその製造方法である。本発明にお
いて架橋剤として用いられるポリエステルは、末端にビ
ニルフェニレン基を有するポリエステルである。ビニル
フェニレン基は、CH2=CH−C64−の構造を有す
る重合性二重結合基である。
【0012】本発明において架橋剤として用いるポリエ
ステルの重量平均分子量は300以上であり、好ましく
は300〜200,000、さらに好ましくは500〜
20,000である。重量平均分子量が低すぎると、押
出成形が可能でかつ硬化樹脂の脆さ及び耐衝撃性が改善
されるという本発明の効果が得られないおそれがある。
また重量平均分子量が高すぎると、樹脂組成物中におい
て均一な混合が難しくなるというおそれがある。
【0013】また、本発明において架橋剤として用いる
ポリエステルは、上記のように重量平均分子量が300
以上であるので、そのポリエステル骨格中にエステル基
を4つ以上含有しているものが好ましい。
【0014】本発明において架橋剤として用いるポリエ
ステルは、ポリエステル骨格を有するオリゴマーなどの
化合物の片末端または両末端にビニルフェニレン基を有
する化合物を反応させることにより合成することができ
る。
【0015】例えば、片末端または両末端にカルボキシ
ル基を有するポリエステルに、スチレンのハロゲン化物
またはスチレンの誘導体のハロゲン化物を反応させて合
成することができる。
【0016】本発明においては、ポリエステルの片末端
または両末端に設けられる重合性二重結合基として、ビ
ニルフェニレン基を用いている。以下、この理由につい
て説明する。
【0017】架橋剤に用いられる重合性二重結合基は、
不飽和ポリエステルの重合性炭素−炭素二重結合に対
し、反応性が高いものであることが望ましい。不飽和ポ
リエステルの重合性炭素−炭素二重結合は、通常トラン
ス体に異性化するため、フマレート基の構造を有してお
り、このフマレート基のエステル部分は長鎖であるが、
その重合性はジイソプロピルフマレートとほぼ同じであ
ると考えられる。従って、ジイソプロピルフマレートと
の反応性から、不飽和ポリエステル中の炭素−炭素二重
結合に対する反応性を評価することができる。表1は、
各種ビニルモノマー(M1)とジイソプロピルフマレー
ト(M2)とのラジカル共重合におけるモノマー反応性
比(r1=k11/k12、r2=k22/k21)を示してい
る。具体的には、ベンゼン中、60℃におけるモノマー
反応性比を示している。なお、表1のラジカル共重合モ
ノマー反応性比は、T.Otsu, A.Matsumoto, K.Shiraish
i, N.Amaya, Y.Koinuma, J.Polym.Sci.:Part A:Polym.C
hem., 30(8), 1559(1992) から引用したものである。
【0018】
【表1】
【0019】表1から明らかなように、スチレン、塩化
ビニルは、ジイソプロピルフマレートに対し良好な共重
合性を有しており、メチルアクリレート、フェニルアク
リレート>アクリロニトリル、メチルメタクリレート、
塩化ビニリデン>メタクリロニトリルの順で共重合性が
悪くなっており、これらのビニルモノマー(M1)の含
有量の大きい共重合体が得られる。また、イソブテン、
酢酸ビニル、イソプロペニルアセテートも、やはり共重
合性が悪く、これらのビニルモノマーの場合は、ビニル
モノマー(M1)の含有量の小さい共重合体が得られる
ことがわかる。
【0020】以上のことから、スチレンと同様の重合性
二重結合基であるビニルフェニレン基を有するポリエス
テルの場合は、不飽和ポリエステルの二重結合に対し良
好な反応性を有しており、従って架橋剤として単独で用
いても、十分な反応性を示し架橋反応を生じることがわ
かる。
【0021】参考のため、後述する比較例において架橋
剤として用いるジアリルフタレート(M2)と各種フマ
レート(M1)とのラジカル共重合におけるモノマー反
応性比を表2に示す。なお、表2に示す値は、Polymer
handbook, Edited by J.Brandrup, E.H.Immergut, II/1
83, John Wiley & Sons から引用したものである。
【0022】
【表2】
【0023】表2から明らかなように、ジアリルフタレ
ートはフマレートと共重合可能であるが、ジアリルフタ
レート単位の少ない共重合体が得られる。また、一般に
アリルモノマーは連鎖移動が大きいため重合性が悪いこ
とが知られている。
【0024】本発明において架橋剤として用いられるポ
リエステルの骨格となるポリエステル部分は、脂肪族ま
たは芳香族直鎖状飽和ポリエステルであることが好まし
い。このようなポリエステル部分は、通常のポリエステ
ルの合成方法により合成することができる。一般的なポ
リエステル合成方法は、例えば、大津隆行、木下雅悦、
高分子合成の実験法、化学同人(1972)に記載されてい
る。具体的には、例えば、ポリプロピレンフタレートの
場合、プロピレングリコールと無水フタル酸を等モル入
れ、窒素気流下、1時間かけて150℃に上げ、150
℃で1時間反応させ、さらに1時間かけて210℃に上
げ、210℃で数時間脱水反応させて得ることができ
る。ポリエチレンテレフタレートの場合、テレフタル酸
ジメチルとエチレングリコールを用い、酢酸カルシウム
及び三酸化アンチモンをエステル交換触媒として用い、
加熱し、縮合反応させて合成することができる。フェニ
ルイソフタレートの場合、トリクロルビフェニル中でヒ
ドロキノンとイソフタル酸ジクロリドを加熱溶液重縮合
して合成することができる。また、ラクトンの開環重合
によってもポリエステルを合成することができる。
【0025】上述のように、両末端にビニルフェニレン
基を導入する場合、上記のようにして得られるポリエス
テルの両末端にカルボキシル基を導入し、このカルボキ
シル基と反応させることにより上記重合性二重結合基を
導入することができる。ポリエステルの両末端にカルボ
キシル基を導入する方法の1つとして、ポリエステルの
末端のヒドロキシル基をピリジン中、100℃で、1.
1倍当量の無水二塩基酸と数時間反応させる方法があ
る。また、ポリエステルの合成の最終段階において、末
端のヒドロキシル基の1.1倍当量の二塩基酸成分(無
水物、酸クロリド、ジカルボン酸)を投入し、数時間反
応させる方法によっても、カルボキシル基を導入するこ
とができる。
【0026】その他の架橋剤 本発明の不飽和ポリエステル組成物においては、上記の
架橋剤としてのポリエステルに加えて、スチレンなどの
ビニルモノマーの架橋剤を添加することができる。特に
スチレンなどの液状モノマーは、溶剤としての機能も有
する。この他、架橋剤として使用することができるモノ
マーとしては、メタクリル酸メチル、ジアリルフタレー
ト等を挙げることができる。メタクリル酸メチルは、ス
チレンと併用することが好ましい。
【0027】架橋剤の配合割合 本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物における架橋剤
としてのポリエステルの配合割合は、不飽和ポリエステ
ル樹脂100重量部に対し200〜1重量部が好まし
く、さらに好ましくは100〜10重量部である。架橋
剤としてのポリエステルの配合割合が少ないと、押出成
形が可能で、硬化樹脂の脆さ及び耐衝撃性が改善される
という本発明の効果が十分に得られない場合があり、逆
に架橋剤としてのポリエステルの配合割合が多すぎる
と、耐熱性等の物性が損なわれるおそれがある。
【0028】スチレン等の他のビニルモノマーを併用す
る場合は、これらのビニルモノマーは、不飽和ポリエス
テル樹脂100重量部に対し、10〜100重量部であ
ることが好ましく、さらに好ましくは30〜70重量部
であり、架橋剤全体の20〜80重量%となるように配
合することが好ましい。
【0029】不飽和ポリエステル樹脂 本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物において用いる
不飽和ポリエステル樹脂は、特に限定されるものではな
く、一般的な不飽和ポリエステル樹脂を用いることがで
きる。すなわち、無水マレイン酸のような不飽和二塩基
酸及び無水フタル酸のような飽和二塩基酸とグリコール
のエステルであり、分子内にエステル結合と不飽和結合
を有する分子量数千程度の直鎖状のプレポリマーを用い
ることができる。
【0030】不飽和二塩基酸としては、無水マレイン
酸、フマル酸等が挙げられ、飽和二塩基酸としては、無
水フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、テトラクロロ
無水フタル酸、ヘット酸、無水ナジン酸等が挙げられ、
二価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、1,3−ブタンジオール、ジエチレン
グリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグ
リコール、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物
等が挙げられる。これらの各成分は単独でまたは2種以
上混合して用いることができる。
【0031】重合開始剤 本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物には、一般に架
橋反応により硬化させるための重合開始剤が添加され
る。このような重合開始剤としては、一般にラジカル開
始剤が用いられる。ラジカル開始剤は、熱によるラジカ
ル開始剤であってもよいし、光によるラジカル開始剤で
あってもよい。また、ラジカル開始剤と共に、あるいは
ラジカル開始剤を用いずに、電子線を照射して架橋反応
させ本発明の不飽和ポリエステル樹脂を硬化してもよ
い。
【0032】常温硬化に用いるラジカル開始剤として
は、メチルエチルケトンパーオキサイド−ナフテン酸コ
バルト等が挙げられ、中温加熱硬化(60〜80℃)に
用いるラジカル開始剤としては、t−ブチルパーオキシ
−2−エチルヘキサノエート等が挙げられ、100℃以
上の高温硬化に用いるラジカル開始剤としては、過酸化
ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエート等が挙げられ
る。開始剤の配合量としては、不飽和ポリエステル樹脂
に対して0.1〜5重量%程度が好ましく、さらに好ま
しくは0.5〜1.5重量%である。開始剤の量が少な
すぎると、硬化が不十分となり、開始剤の量が多すぎる
と、樹脂のライフが短くなったり、あるいは硬化樹脂に
黄変が生じるおそれがある。
【0033】成形助剤 本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物においては、押
出成形時における樹脂の流動性を良好にし成形性を高め
るための成形助剤を添加してもよい。このような成形助
剤としては、熱可塑性樹脂などを用いることができる。
成形助剤に用いる熱可塑性樹脂としては、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリ酢酸ビニル共重合体、ポリカプロラクトン、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリプロピレンフタレート
等のポリエステル、ポリメタクリル酸メチル、アクリル
系ポリマー、ポリスチレン、ポリエチレン等が挙げられ
る。特に、ガラス転移温度(Tg)が押出成形温度以下
である熱可塑性樹脂を用いると、成形時における流動性
がより良好になる。このような成形助剤を添加すること
により、成形時に押し出された樹脂の強度を増加させる
ことができ、押出成形性を高めることができる。
【0034】成形助剤の添加量としては、不飽和ポリエ
ステル樹脂組成物全体の1〜30重量%となるように添
加することが好ましい。成形助剤の添加量が少ないと、
押出成形時における成形性を高めるという効果が得られ
ない場合があり、成形助剤の添加量が多すぎると、得ら
れる硬化樹脂の耐熱性が低下するおそれがある。
【0035】その他の添加剤 本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物には、不飽和ポ
リエステル樹脂に通常添加する添加剤を添加することが
できる。例えば、炭酸カルシウム等の充填剤、MgO、
Ca(OH)2等の増粘剤、ポリエチレンテレフタレー
ト等の低収縮剤、ガラス繊維等の補強剤、ステアリン酸
亜鉛等の離型剤、着色剤等を配合することができる。
【0036】樹脂の成形 本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、押出成形が
可能な不飽和ポリエステル樹脂組成物である。押出成形
は、本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物を加熱して
プレキュアしながら押し出すことにより行うことができ
る。本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物のプレキュ
ア成形物は、優れた可塑性を有しているので、プレキュ
アしながら押し出すことにより成形することができる。
また、予めプレキュアした後、これを押出成形すること
もできる。このようにして得られる押出成形後のプレキ
ュア成形物は、硬化反応を完全にするため、ポストキュ
アすることが好ましい。プレキュアの温度は、特に限定
されるものではないが、一般には30〜80℃程度の温
度で行われる。また、ポストキュアの温度も特に限定さ
れるものではないが、一般には80〜160℃程度の温
度で行われる。
【0037】以上のようにして得られるプレキュア成形
物は、上述のように優れた可塑性を有しているので、プ
レキュア成形後に切削加工等を行うことができる。ま
た、本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、上述の
ように押出成形が可能な不飽和ポリエステル樹脂組成物
であるが、その成形方法は、押出成形に限定されるもの
ではなく、例えば、注型成形、圧縮成形、射出成形、ハ
ンドレイアップ成形法等の従来から知られている一般的
な成形方法により成形することができる。このような成
形方法において、上述のように、本発明の不飽和ポリエ
ステル樹脂組成物のプレキュア成形物は、優れた可塑性
を有しているので、従来は困難であった切削加工等を行
うことができる。従って、押出成形以外の成形方法にお
いても、適宜必要に応じてプレキュアを行い、適度の強
度のプレキュア硬化物とした後、成形することができ
る。
【0038】本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物を
押出成形してボタンを製造する場合、例えば、液状の原
料樹脂を低温で一旦押し出し、プレキュアされた棒状の
固体樹脂とし、複数の異なる色柄の棒状固体樹脂を柄組
した後、再度高温で押し出し、柄組された絵柄を有する
棒状体を得ることができる。また、固体状(粘土状)の
原料樹脂を直接柄組し、これを高温で一度に棒状に押し
出し、柄組された絵柄を有する棒状体を製造してもよ
い。このようにして得られた棒状体をカッティングし、
カッティングしたものはそのままボタンに用いるか、あ
るいは圧縮成形するか、あるいは切削加工した後ポスト
キュアするか、あるいはポストキュアした後切削加工す
ることにより最終製品に仕上げることができる。不飽和
ポリエステル樹脂組成物を完全に硬化させるためには、
カッティング後、圧縮成形またはポストキュアにより加
熱することが好ましい。本発明の不飽和ポリエステル樹
脂組成物を用いることにより、ポストキュア後、薄いボ
タンであっても、欠けることなしに穴あけ加工等を行う
ことができる。
【0039】本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物の
用途は、特に限定されるものではなく、上記のようなボ
タン、ブローチ等の装飾品、FRPとしての、テラス等
の波平板、下水道用等のパイプ、浴槽ユニット、浄化
槽、漁船、ヨット、タンク、トレー等の通常の不飽和ポ
リエステル樹脂の用途に用いることができる。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、架橋剤としてのポリエ
ステルを用いて不飽和ポリエステル樹脂を硬化させるの
で、ゲル化時におけるゲルの脆さを改善することがで
き、押出成形が可能となる。また、重合時の収縮を軽減
することができ、硬化後の不飽和ポリエステル樹脂の脆
さも改善することができ、耐衝撃性を向上させることが
できる。また、注型成形等においても、急激に硬化、収
縮しないので、厚みのある成形物であっても、成形時に
割れを生じることなく成形物を得ることができる。
【0041】
【実施例】以下に実施例を挙げ本発明を具体的に説明す
る。以下の実施例及び比較例においては、架橋剤及びラ
ジカル開始剤を添加した不飽和ポリエステル樹脂組成物
の硬化挙動をレオロジ社製レオメーターMR−300に
より貯蔵弾性率(G´、単位dyn/cm2)を測定す
ることにより評価した。弾性率G´が103オーダーに
なる手前の温度及び時間を、それぞれ硬化開始温度及び
硬化開始時間とし、貯蔵弾性率G´が107オーダーに
なるときの温度及び時間を、それぞれ硬化終了温度及び
硬化終了時間とした。なお、弾性率G´が107オーダ
ーにならない場合には、106のオーダーの最も大きな
測定値になるときの温度及び時間を、それぞれ硬化終了
温度及び硬化終了時間とした。
【0042】(実施例1)ビニルフェニレン基片末端ポ
リエステル(架橋剤)の合成 攪はん機、冷却器付き3つ口2リットル丸底フラスコ
に、プロピレングリコール76.10g(1.0モ
ル)、無水フタル酸148.12g(1.0モル)を入
れ、窒素気流下、オイルバスにて、150℃、1時間加
熱し、さらに、210℃に1時間かけて上げ、210
℃、4時間脱水縮合反応させた。反応後、反応物を50
0mlビーカーに入れ、無色、固体のポリプロピレンフ
タレート106.95g(収率51.9%)を得た。G
PCにより分子量を測定した結果、数平均分子量=1,
218、重量平均分子量=2,022、重量平均分子量
/数平均分子量=1.66であった。また酸価は29.
83であった。
【0043】攪はん機、冷却器付き3つ口500ml丸
底フラスコに、ポリプロピレンフタレート30.0g
(酸価より求めたカルボキシル基=0.0249グラム
当量)を入れ、DMF15mlに溶解した。次いで、ク
ロロメチルスチレン11.38g(0.076モル)、
50%水酸化ナトリウム水溶液2gを入れ、30℃で4
8時間反応させた。反応後、反応物をn−ヘプタン中に
投入し、ポリマーを沈殿させ、水、ジエチルエーテル、
n−ヘプタンで数回洗い、減圧乾燥し、ビニルフェニレ
ン基片末端ポリエステル(淡黄色固体)、27.77g
(収率84.5%)を得た。GPCにより分子量を測定
した結果、数平均分子量=1,327、重量平均分子量
=2,103、重量平均分子量/数平均分子量=1.5
9であった。そして酸価は0.26であり、この酸価か
ら、反応率は99.1%であった。またIR吸収スペク
トルは以下のとおりであった。
【0044】IR吸収スペクトル:3530、3438
cm-1、3072cm-1(=CH2基)、2983、2
883cm-1(メチル基)、2948cm-1(メチレン
基)、1723cm-1(エステル基)、1668cm-1
(末端ビニル基)、1590、1488cm-1(フェニ
ル基)、1449cm-1(メチル、メチレン、フェニル
基)、1386cm-1(メチル基)、1265、112
3、1067、987、920、850、784c
-1、745cm-1(オルソ置換フェニル基)、70
6、655、559、460cm-1
【0045】またバリアンUNITY−プラス400に
よりNMRを測定した。400MHz IHNMR(CD
Cl3)(ppm):δ=7.674(フェニル基プロ
トン、エステル基メタ位、2H)、7.470(フェニ
ル基プロトン、エステル基オルト位、2H)、5.38
9(メチン基プロトン、1H)、4.369(メチレン
基プロトン、2H)、1.310(メチル基のプロト
ン、3H)、7.32(末端ビニルベンジル基のフェニ
ル基プロトン)、6.68(末端ビニルベンジル基の=
CH−)、5.75(末端ビニルべンジル基の=C
2)、4.11(末端ビニルベンジル基のメチレン基
プロトン)。100MHz13CNMR(CDCl3
(ppm):δ=167.087(カルボニル基炭
素)、132.220(フェニル基炭素、エステル基メ
タ位)、131.483(フェニル基炭素、エステル基
結合炭素)、129.365(フェニル基炭素、エステ
ル基オルト位)、69.997(メチン基炭素)、6
7.438(メチレン基炭素)、16.574(メチル
基炭素)、138.1(末端ビニルベンジル基、=CH
−)、136.7(末端ビニルベンジル基、フェニル基
炭素、ビニル基結合炭素)、134.0(末端ビニルベ
ンジル基、フェニル基炭素、メチレン基結合炭素)、1
28.996(末端ビニルベンジル基、フェニル基炭
素、ビニル基のメタ位)、126.639(末端ビニル
ベンジル基、フェニル基炭素、ビニル基のオルト位)、
114.5(末端ビニルベンジル基、CH2=)、7
1.3(末端ビニルベンジル基、メチレン基炭素)。
【0046】(実施例2)ビニルフェニレン基両末端ポ
リエステル(架橋剤)の合成 攪はん機、冷却器付き3つ口2リットル丸底フラスコ
に、プロピレングリコール76.10g(1.0モ
ル)、無水フタル酸148.12g(1.0モル)を入
れ、窒素気流下、オイルバスにて、150℃、1時間加
熱し、さらに、210℃に1時間かけて上げ、210
℃、4時間脱水縮合反応させた。反応後、反応物を50
0mlビーカーに入れ、無色、固体のポリプロピレンフ
タレート106.95g(収率51.9%)を得た。G
PCにより分子量を測定した結果、数平均分子量=1,
218、重量平均分子量=2,022、重量平均分子量
/数平均分子量=1.66であった。そして酸価は2
9.83であった。
【0047】攪はん機、冷却器付き3つ口500ml丸
底フラスコに、ポリプロピレンフタレート30.0g
(酸価より求めたカルボキシル基=0.0249グラム
当量)、無水フタル酸4.05(0.0274モル)を
入れ、ピリジン50mlに溶解した。そして100℃で
3時間反応させた。反応後、反応物をn−ヘキサン中に
投入し、ポリマーを沈殿させ、メタノール、ジエチルエ
ーテル、n−ヘキサンで数回洗い、減圧乾燥し、カルボ
キシル基両末端ポリエステル(ポリプロピレンフタレー
ト)25.48g(収率74.8%)を得た。GPCに
より分子量を測定した結果、数平均分子量=1,24
2、重量平均分子量=2,118、重量平均分子量/数
平均分子量=1.71であった。そして酸価は41.5
4であった。
【0048】攪はん機、冷却器付き3つ口500ml丸
底フラスコに、上記のカルボキシル基両末端ポリプロピ
レンフタレート20g(酸価より求めたカルボキシル基
=0.023グラム当量)を入れ、DMF15mlに溶
解した。次いで、クロロメチルスチレン10.57g
(0.069モル)、50%水酸化ナトリウム水溶液
0.92gを入れ、30℃で48時間反応させた。反応
後、反応物をn−ヘプタン中に投入し、ポリマーを沈殿
させ、水、ジエチルエーテル、n−ヘプタンで数回洗
い、減圧乾燥し、ビニルフェニレン基両末端ポリエステ
ル(黄色固体)、16.37g(収率69.6%)を得
た。GPCにより分子量を測定した結果、数平均分子量
=1,271、重量平均分子量=2,246、重量平均
分子量/数平均分子量=1.77であった。そして酸価
は0.27であり、この酸価から、反応率は99.4%
であった。またIR吸収スペクトルは以下のとおりであ
った。
【0049】IR吸収スペクトル:3529、3447
cm-1、3072cm-1(=CH2基)、2984、2
883cm-1(メチル基)、2947cm-1(メチレン
基)、1728cm-1(エステル基)、1672cm-1
(末端ビニル基)、1587、1486cm-1(フェニ
ル基)、1452cm-1(メチル、メチレン、フェニル
基)、1385cm-1(メチル基)、1264、112
5、1069、988、919、850、784c
-1、745cm-1(オルソ置換フェニル基)、70
5、652、559、461cm-1
【0050】またバリアンUNITY−プラス400に
よりNMRを測定した。400MHz IHNMR(CD
Cl3)(ppm):δ=7.673(フェニル基プロ
トン、エステル基メタ位、2H)、7.467(フェニ
ル基プロトン、エステル基オルト位、2H)、5.38
7(メチン基プロトン、1H)、4.390(メチレン
基プロトン、2H)、1.326(メチル基のプロト
ン、3H)、7.32(末端ビニルベンジル基のフェニ
ル基プロトン)、6.68(末端ビニルベンジル基の=
CH−)、5.75(末端ビニルベンジル基の=C
2)、4.11(末端ビニルベンジル基のメチレン基
プロトン)。100MHz13CNMR(CDCl3
(ppm):δ=166.775(カルボニル基炭
素)、131.777(フェニル基炭素、エステル基メ
タ位)、131.167(フェニル基炭素、エステル基
結合炭素)、129.024(フェニル基炭素、エステ
ル基オルト位)、69.679(メチン基炭素)、6
6.991(メチレン基炭素)、16.269(メチル
基炭素)、136.5(末端ビニルベンジル基、=CH
−)、136.0(末端ビニルベンジル基、フェニル基
炭素、ビニル基結合炭素)、133.5(末端ビニルベ
ンジル基、フェニル基炭素、メチレン基結合炭素)、1
28.6(末端ビニルベンジル基、フェニル基炭素、ビ
ニル基のメタ位)、126.6(末端ビニルベンジル
基、フェニル基炭素、ビニル基のオルト位)、115.
0(末端ビニルベンジル基、CH2=)、71.5(末
端ビニルベンジル基、メチレン基炭素)。
【0051】(実施例3)ビニルフェニレン基片末端ポ
リエステル(架橋剤)による不飽和ポリエステルの硬化 不飽和ポリエステル(大日本インキ化学工業社製、商品
名「MR8141」、スチレン不含、数平均分子量=
2,054、重量平均分子量=5,953、重量平均分
子量/数平均分子量=2.90、プロピレングリコール
−フタル酸−エチレングリコール−フマル酸を単位とし
たフマレート基当量=348g/eq(1グラム当量の
フマレート基を含む樹脂のグラム数))35.0g(フ
マレート基=0.10グラム当量)、実施例1で得られ
たビニルフェニレン基片末端ポリエステル(数平均分子
量=1,327、重量平均分子量=2,103、重量平
均分子量/数平均分子量=1.59、ビニルフェニレン
基当量=2,103g/eq)10.0g(ビニルフェ
ニレン基=0.05グラム当量)、スチレン20.8g
(0.20モル、(スチレン+ビニルフェニレン基)/
フマレート基のモル比=2.05)、ラジカル開始剤と
してのベンゾイルパーオキサイド0.5g及びt−ブチ
ルパーベンゾエート0.5gを混合し、プレキュアを7
0℃、2時間で行ない、ポストキュアを120℃、2時
間で行なって注型成形した。
【0052】プレキュア成形物はたわみが大きく、破断
せず、その曲げ強度等は測定できなかった。ポストキュ
ア成形物の曲げ強度は79.0MPa、曲げ弾性率は
4.390GPa、破断たわみは3.32mmであっ
た。
【0053】レオロジ社製「レオメーターMR−30
0」にて、硬化挙動(貯蔵弾性率G′)を測定した。温
度分散測定(25℃→125℃、昇温速度2℃/分)で
は、82.7℃(G′=4.32×102dyn/c
2)で硬化が始まり、98.7℃(G′=1.02×
107dyn/cm2)で硬化は終了した。80℃一定の
時間分散測定では、202秒(G′=8.05×102
dyn/cm2)に硬化が始まり、882秒(G′=
1.00×107dyn/cm2)に硬化は終了した。硬
化に要する時間(ゲル化時間)は620秒であった。
【0054】(実施例4)ビニルフェニレン基両末端ポ
リエステル(架橋剤)による不飽和ポリエステルの硬化 不飽和ポリエステル(大日本インキ化学工業社製、商品
名「MR8141」、スチレン不含、数平均分子量=
2,054、重量平均分子量=5,953、重量平均分
子量/数平均分子量=2.90、プロピレングリコール
−フタル酸−エチレングリコール−フマル酸を単位とし
たフマレート基当量=348g/eq(1グラム当量の
フマレート基を含む樹脂のグラム数))35.0g(フ
マレート基=0.10グラム当量)、実施例2で得られ
たビニルフェニレン基両末端ポリエステル(数平均分子
量=1,271、重量平均分子量=2,246、重量平
均分子量/数平均分子量=1.77、ビニルフェニレン
基当量=1,786g/eq)10g(ビニルフェニレ
ン基=0.006グラム当量)、スチレン20.8g
(0.20モル、(スチレン+ビニルフェニレン基)/
フマレート基のモル比=2.06)、ラジカル開始剤と
してのベンゾイルパーオキサイド0.5g及びt−ブチ
ルパーベンゾエート0.5gを混合し、プレキュアを7
0℃、2時間で行ない、ポストキュアを120℃、2時
間で行なって注型成形した。
【0055】プレキュア成形物はたわみが大きく、破断
せず、その曲げ強度等は測定できなかった。ポストキュ
ア成形物の曲げ強度は114.0MPa、曲げ弾性率は
4.680GPa、破断たわみは4.89mmであっ
た。
【0056】レオロジ社製「レオメーターMR−30
0」にて、硬化挙動(貯蔵弾性率G′)を測定した。温
度分散測定(25℃→125℃、昇温速度2℃/分)で
は、76.8℃(G′=6.41×102dyn/c
2)で硬化が始まり、94.7℃(G′=1.02×
107dyn/cm2)で硬化は終了した。80℃一定の
時間分散測定では、252秒(G′=5.15×102
dyn/cm2)に硬化が始まり、842秒(G′=
1.00×107dyn/cm2)に硬化は終了した。硬
化に要する時間(ゲル化時間)は590秒であった。
【0057】(比較例1)スチレンによる不飽和ポリエ
ステルの硬化 不飽和ポリエステル(大日本インキ化学工業社製、商品
名「MR8141」、スチレン不含、数平均分子量=
2,054、重量平均分子量=5,953、重量平均分
子量/数平均分子量=2.90、プロピレングリコール
−フタル酸−エチレングリコール−フマル酸を単位とし
たフマレート基当量=348g/eq(1グラム当量の
フマレート基を含む樹脂のグラム数))60.0g(フ
マレート基=0.17グラム当量)、スチレン40.0
g(0.38モル、(スチレン/フマレート基のモル比
=2.24)、ラジカル開始剤としてのベンゾイルパー
オキサイド0.5g及びt−ブチルパーベンゾエート
0.5gを混合し、プレキュアを70℃、2時間で行な
い、ポストキュアを120℃、2時間で行なって注型成
形した。
【0058】プレキュア成形物は脆くくずれやすいた
め、成形できず、その曲げ強度等は測定できなかった。
ポストキュア成形物の曲げ強度は92.0MPa、曲げ
弾性率は4.350GPa、破断たわみは4.13mm
であった。
【0059】レオロジ社製「レオメーターMR−30
0」にて、硬化挙動(貯蔵弾性率G′)を測定した。温
度分散測定(25℃→125℃、昇温速度2℃/分)で
は、80.6℃(G′=6.34×102dyn/c
2)で硬化が始まり、94.7℃(G′=1.09×
107dyn/cm2)で硬化は終了した。80℃一定の
時間分散測定では、222秒(G′=1.15×102
dyn/cm2)に硬化が始まり、802秒(G′=
1.00×107dyn/cm2)に硬化は終了した。硬
化に要する時間(ゲル化時間)は580秒であった。
【0060】(比較例2)ジアリルフタレートプレポリ
マーによる不飽和ポリエステルの硬化 不飽和ポリエステル(大日本インキ化学工業社製、商品
名「MR8141」、スチレン不含、数平均分子量=
2,054、重量平均分子量=5,953、重量平均分
子量/数平均分子量=2.90、プロピレングリコール
−フタル酸−エチレングリコール−フマル酸を単位とし
たフマレート基当量=348g/eq(1グラム当量の
フマレート基を含む樹脂のグラム数))35g(フマレ
ート基=0.1グラム当量)、ジアリルフタレートプレ
ポリマー(ダイソー社製、商品名「ダイソーダップ」、
数平均分子量=8,665、重量平均分子量=42,5
70、重量平均分子量/数平均分子量=4.91、ヨウ
素価=60、アリル基当量417g/eq)20.0g
(アリル基=0.048グラム当量)、スチレン20.
8g(0.2モル、(スチレン+アリル基)/フマレー
ト基のモル比=2.48)、ラジカル開始剤としてのベ
ンゾイルパーオキサイド0.5g及びt−ブチルパーベ
ンゾエート0.5gを混合し、プレキュアを70℃、2
時間で行ない、ポストキュアを120℃、2時間で行な
って注型成形した。
【0061】プレキュア成形物の曲げ強度は8.5MP
a、曲げ弾性率は0.502GPa、破断たわみは1.
11mmであった。ポストキュア成形物の曲げ強度は1
1.9MPa、曲げ弾性率は0.618GPa、破断た
わみは1.28mmであった。
【0062】レオロジ社製「レオメーターMR−30
0」にて、硬化挙動(貯蔵弾性率G′)を測定した。温
度分散測定(25℃→125℃、昇温速度2℃/分)で
は、80.8℃(G′=8.34×10-1dyn/cm
2)で硬化が始まり、104.7℃(G′=1.03×
107dyn/cm2)で硬化は終了した。80℃一定の
時間分散測定では、112秒(G′=8.44×102
dyn/cm2)に硬化が始まり、1,742秒(G′
=1.00×107dyn/cm2)に硬化は終了した。
硬化に要する時間(ゲル化時間)は1,630秒であっ
た。
【0063】(比較例3)ジアリルイソフタレートプレ
ポリマーによる不飽和ポリエステルの硬化 不飽和ポリエステル(大日本インキ化学工業社製、商品
名「MR8141」、スチレン不含、数平均分子量=
2,054、重量平均分子量=5,953、重量平均分
子量/数平均分子量=2.90、プロピレングリコール
−フタル酸−エチレングリコール−フマル酸を単位とし
たフマレート基当量=348g/eq(1グラム当量の
フマレート基を含む樹脂のグラム数))35g(フマレ
ート基=0.1グラム当量)、ジアリルイソフタレート
プレポリマー(ダイソー社製、商品名「ダイソーイソダ
ップ」、数平均分子量=10,469、重量平均分子量
=153,769、重量平均分子量/数平均分子量=1
4.69、ヨウ素価=83、アリル基当量=303g/
eq)20g(アリル基=0.066グラム当量)、ス
チレン20.8(0.2モル、(スチレン+アリル基)
/フマレート基のモル比=2.66)、ラジカル開始剤
としてのベンゾイルパーオキサイド0.5g及びt−ブ
チルパーベンゾエート0.5gを混合し、プレキュアを
70℃、2時間で行ない、ポストキュアを120℃、2
時間で行なって注型成形した。
【0064】プレキュア成形物の曲げ強度は13.6M
Pa、曲げ弾性率は0.512GPa、破断たわみは
2.03mmであった。ポストキュア成形物の曲げ強度
は21.5MPa、曲げ弾性率は0.825GPa、破
断たわみは2.15mmであった。
【0065】レオロジ社製「レオメーターMR−30
0」にて、硬化挙動(貯蔵弾性率G′)を測定した。温
度分散測定(25℃→125℃、昇温速度2℃/分)で
は、66.7℃(G′=3.16×102dyn/c
2)で硬化が始まり、102.7℃(G′=1.02
×107dyn/cm2)で硬化は終了した。80℃一定
の時間分散測定では、32秒(G′=4.69×102
dyn/cm2)に硬化が始まり、1,672秒(G′
=1.00×107dyn/cm2)に硬化は終了した。
硬化に要する時間(ゲル化時間)は1,640秒であっ
た。
【0066】実施例3及び4並びに比較例1〜3におけ
るプレキュア成形物及びポストキュア成形物の曲げ強度
等の測定結果、並びに80℃での弾性率G´の時間分散
による測定結果及び25℃−125℃での弾性率G´の
温度分散による測定結果をそれぞれ表3及び表4にまと
めて示す。
【0067】また、各実施例及び各比較例のポストキュ
ア成形物について、ガラス転移温度(Tg)及び橋かけ
点間平均分子量(Mc)を測定した。ガラス転移温度
(Tg)は、動的粘弾性の温度分散測定結果(10H
z)より求めたtanδのピーク温度をTgとした。ま
た、橋かけ点間平均分子量(Mc)は、ゴム領域におけ
る貯蔵弾性率(E´、Tg+40℃の温度の値)より、
次式のゴム弾性理論式を用いて求めた。
【0068】E´=3φdRT/Mc (φ:フロント係数、d:密度、R:気体定数、T:絶
対温度) 以上のようにして得られたガラス転移温度及び橋かけ点
間平均分子量の測定値を表3に併せて示す。
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】表3から明らかなように、架橋剤としてス
チレンを用いた比較例1では、脆くくずれやすいため、
プレキュア成形物を得ることができなかった。また、架
橋剤としてジアリルフタレートを用いた比較例2及び3
では、プレキュア成形物の破断たわみが小さく、容易に
破壊されてしまう成形物であり、押出成形等に適さない
ことがわかる。これに対し、各実施例のプレキュア成形
物は、たわみが非常に大きく破断しない成形物であっ
た。
【0072】また、各実施例のポストキュア成形物の破
断たわみは、比較例2及び3に比べ大きくなっており、
脆さ及び耐衝撃性が改善されていることがわかる。ま
た、表4から明らかなように、本発明に従う各実施例の
不飽和ポリエステル樹脂組成物は、押出成形をはじめ種
々の成形方法で硬化させることができる硬化挙動を示す
ことがわかる。
【0073】(実施例5)不飽和ポリエステル樹脂組成
物の押出成形 実施例3及び4において調製した各不飽和ポリエステル
樹脂組成物を、 Custom Scientific Instruments社製、
CS−194AV−270型押出機で75℃にて、3m
m径の棒状に押し出した。得られた棒状のプレキュア成
形体を、90℃にて30分間ポストキュアして棒状の硬
化樹脂を得た。比較例1〜3において調製した各不飽和
ポリエステル樹脂組成物についても、同様にして押出機
で押出成形したが、脆くてくずれやすくまとまらないた
め、棒状の成形体は得られなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 育克 和歌山県那賀郡岩出町根来588−10 (72)発明者 前田 拓也 和歌山県和歌山市満屋天神東293−5 (72)発明者 神前 ▼裕▲行 和歌山県西牟婁郡上富田町朝来3520番地の 13 協業組合 高雄ボタン内 Fターム(参考) 4J029 AA07 AB02 AB04 AC02 AE18 BA03 BA08 BB05A CB04A CB05A CB06A GA82 JB042 KB23 KC05 KH01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両末端にビニルフェニレン基を有する重
    量平均分子量300以上のポリエステルからなる架橋
    剤。
  2. 【請求項2】 ポリエステルの末端カルボキシル基に、
    スチレンまたはその誘導体のハロゲン化物を反応させて
    片末端または両末端にビニルフェニレン基を有する重量
    平均分子量300以上のポリエステルを合成することを
    特徴とする製造方法。
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