JP2002197580A - 火災検知器及び火災検知器の汚損補償方法 - Google Patents

火災検知器及び火災検知器の汚損補償方法

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JP2002197580A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 検知センサの前方に配置される透光性窓の汚
損状態の検出精度を向上することにより、汚損補償機能
の信頼性の向上を図ることができる火災検知器及び火災
検知器の汚損補償方法を提供する。 【解決手段】 火災検知器は、透光性窓11内に配置さ
れ、赤外線エネルギーを検出し、電気信号に変換して出
力するセンサ部SENと、センサ部SENの検出信号S
aから、所定の周波数帯域の信号成分Aaのみを通過さ
せるフィルタ部FLTと、信号成分Aaを増幅する信号
増幅部AMPと、信号増幅部AMPの増幅出力(受光出
力)に基づいて、火災判定処理及び汚損補償処理を実行
する信号処理部PROと、透光性窓11の汚損状態に応
じて、信号増幅部AMPの増幅率を変更制御する増幅制
御部70と、透光性窓11の汚損状態に応じて設定され
る発光エネルギーで試験光源LGTを発光駆動する試験
光源制御部80と、を有して構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火炎を観測して得
られる輻射エネルギーを検出することにより、炎を検知
して火災の発生を判定する火災検知器に関し、特に、火
災判定を行う検知センサの前面に設けられる透光性窓の
汚損に対する自動補償機能を備えた火災検知器及び火災
検知器の汚損補償方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両用や鉄道用等のトンネル内に
は、通行上の安全を確保するため、照明灯や火災監視設
備、消火設備、避難誘導設備等、様々な設備が設置され
ている。特に、火災監視設備の主要な機器である火災検
知器は、トンネル内での車両火災等を検知し、いち早く
トンネル管理者や車両の運転者に通報することを目的と
して、トンネル内の見通しが効く壁面に所定間隔、例え
ば、25m間隔で配置されている。
【0003】ここで、トンネル内に設置されている従来
の火災検知器の一例について、図面を参照して説明す
る。図16は、従来、一般的に使用されているトンネル
用火災検知器の概略構成図である。なお、このような火
災検知器の構成は、例えば、特開平7−175986号
公報等に記載されている。
【0004】図16(a)、(b)に示すように、火災
検知器100は、概略、本体ケース101と、該本体ケ
ース101に取り付けられた上部カバー102と、該上
部カバー102の略中央部においてトンネル内部方向に
突出するように組み付けられたドーム状の透光性の受光
ガラス103と、該受光ガラス103の内部に収納さ
れ、火炎から放射される輻射光を検出する受光素子(検
知センサ)104a、104bと、受光素子104a、
104bにより検出された信号を増幅する増幅回路や火
災判断を行う信号処理回路等が搭載された回路基板10
5と、受光ガラス103の周辺に配置され、受光ガラス
103の汚れ状態等を検知するための試験光CKを投光
するチェックランプ(試験光源)106a、106bが
収納されたドーム状のグローブ107a、107bと、
を有して構成されている。
【0005】このような構成において、各々の受光素子
104a、104bは、図16(b)に示すように、ト
ンネル内壁面TSに垂直な中心線LCを概ね境界にし
て、各々、図面左方の領域ALと図面右方の領域ARを
個別に監視するように検知エリアが設定されている。こ
こで、火災検知器100は、受光ガラス103の内部に
収納される受光素子104a、104bによって設定さ
れる上記検知エリアが、トンネルの長手方向(図面左右
方向)に対して大きく設定され、隣接して設置された同
様の火災検知器100の配置位置まで非監視区域を発生
させることなく効率的に監視するために、受光素子10
4a、104bがトンネル内壁面TSに対して、概ね4
5度の角度を有するように設置されている。そのため、
ドーム状の受光ガラス101は、必然的にトンネル内に
大きく突出せざるを得ない構造を有している。
【0006】なお、通常、火災検知器100は、トンネ
ル内に設置される場合、受光ガラス103とグローブ1
07a、107bを外部に露出する状態で、検知器箱
(図示を省略)に収納されて壁等に取り付けられる。こ
こで、埋込型の場合には、検知器箱前面がトンネル内壁
面TSと略一致するように設置され、露出型の場合に
は、検出器箱背面がトンネル内壁面TSと略一致するよ
うに設置される。
【0007】次に、上述した構成を有する火災検知器へ
の汚れの付着について、図面を参照して説明する。図1
7は、トンネル内に生じる気流と、従来技術における火
災検出器への汚れの付着状態との関係を示す概略断面図
である。一般に、車両用のトンネル(道路トンネル)内
には、車両の走行やジェットファンの換気等によりトン
ネルの長手方向の一方向に向かって支配的に2m〜10
m/s程度で流れる気流Cや車両の通過時に生じる不規
則な乱れた気流等があり、これらによってトンネル内に
は様々な方向の気流が生じていることが知られている。
そのため、図17に示すように、トンネル内に突出して
設けられた受光ガラス103は、トンネル内に生じる気
流Cに晒される。
【0008】ここで、トンネル内には、車両から排出さ
れる煤煙や粉塵、土砂、凍結防止剤等の化学物質等、汚
れの原因となる様々な物質(以下、「汚れ原因物質」と
総称する)が浮遊しているため、これらの物質が気流に
乗って飛来し、ドーム状の受光ガラス103の気流上流
側に直接衝突して汚れDSTとして付着する。なお、受
光ガラス103の気流上流側以外にも汚れは付着するも
のの、気流が直接衝突する上流側に比較すると、汚れ具
合は数分の1程度である。このような受光ガラス103
の汚れDSTは、内部に収納された受光素子104a、
104bの受光量を減少させて、検知感度を低下させる
ことになるため、火災検知器100の性能を維持するた
めには、頻繁に清掃作業を行わなければならないという
問題を有している。
【0009】ここで、清掃作業の時期を知るための手法
としては、例えば、図16に示したように、ドーム状の
受光ガラス103の周辺に、受光ガラス103の汚れ状
態を検知するための試験光CKを発するチェックランプ
106a、106bを配置して、定期的に受光ガラス1
03の汚れ状態(汚損度)を検出することにより、上記
清掃作業の時期を診断し、報知する機能を備えたものが
ある。また、検知感度の低下を電気的処理等により自動
的に補償(汚損補償処理)して、清掃作業の頻度を低減
する汚損補償機能を備え、清掃サイクルを伸ばす工夫が
なされたものも知られている。なお、汚損補償処理によ
る汚損の影響の回避方法については、例えば、特開平6
−325274号公報、特開平5−314376号公報
等に詳しく記載されている。
【0010】上述したような汚損補償処理を適用した輻
射式(光学式)の火災検知器の概略構成としては、例え
ば、図18の機能ブロック図に示すように、大別して、
火炎FR等から放射される輻射エネルギー(特に、赤外
線エネルギー)を検出する焦電型等の受光素子を備えた
検知センサ110(図16、図17における受光素子1
04a、104bに相当する)と、該検知センサ110
により検出、出力される検出信号Spから、後述する炎
判定処理(又は、火災判定処理)に用いられる特定の周
波数帯域の信号成分Apのみを通過させるフィルタ部1
20と、フィルタ部120を通過した信号成分Apを所
定の信号レベルに初段増幅するプリアンプ130と、プ
リアンプ130からの出力を、炎判定処理に適した信号
レベルに増幅するメインアンプ140と、メインアンプ
140から出力される増幅出力(アナログ信号)Bpを
デジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換器(以
下、「A/D変換器」と記す)150と、A/D変換さ
れた増幅出力Bpに基づいて、炎判定処理を実行する信
号処理部(又は、火災判定処理部)160と、検知セン
サ110とは離間して設けられた試験光源170(図1
6、図17におけるチェックランプ106a、106b
に相当する)と、を有して構成されている。
【0011】ここで、検知センサ110の前方(検知エ
リア側)、及び、試験光源170の前方(検知センサ
側)には、各々サファイアガラス等からなる検知センサ
保護用の透光性窓111(図16、図17における受光
ガラス103に相当する)、及び、試験光源保護用の透
光性窓112(図16、図17におけるグローブ107
a、107bに相当する)が設けられている。
【0012】このような構成を有する火災検知器におけ
る火災監視処理においては、検知センサ110により火
炎FRが観測されると、火炎FRの輻射エネルギーに応
じた検出信号Spが出力され、フィルタ部120により
火災判定に用いられる周波数帯域の信号成分Apのみが
通過し、プリアンプ130及びメインアンプ140によ
り所定の信号レベルに増幅される。さらに、増幅出力B
pは、A/D変換器150によりデジタル信号に変換さ
れて、受光出力として信号処理部160に入力され、所
定の火災判定処理が実行される。すなわち、特定の周波
数帯域に含まれる火炎特有の信号成分に基づいて、火災
の判定処理が実行される。
【0013】一方、汚損補償処理においては、受光ガラ
スの汚損状態を検出する試験動作時に信号処理部160
から所定の発光駆動信号を出力することにより、試験光
源170から検知センサ110に試験光(擬似火炎光:
特定の周波数帯域で明滅)CKが透光性窓112、11
1を介して投光されると、透光性窓111の汚損状態に
応じた(又は、関連付けられた)検出信号Spが出力さ
れ、上述した火災監視処理の場合と同様に、所定の周波
数帯域を有する信号成分Apのみが抽出され、所定の増
幅率で増幅、デジタル変換されて、受光出力として信号
処理部160に入力される。
【0014】信号処理部160では、受光出力の信号レ
ベルが判定され、基準値に対するレベル変化から算出さ
れる試験光CKの減光率が、例えば、所定のしきい値以
上と判定された場合(透光性窓111の汚損により試験
光CKの透過が減少し、受光出力の信号レベルが微弱に
なった場合)には、受光出力が火災判定処理に支障のな
い信号レベルとなるように、例えば、プリアンプ130
及び/又はメインアンプ140による信号増幅率を変更
制御したり、信号処理部160内で、火災判定レベルを
変更する処理が実行されていた。これにより、透光性窓
111の汚損状態が進行した場合であっても、受光出力
の信号レベルの低下を電気的処理又はソフト的処理によ
り補償して、火災検知器としての検知性能を確保して、
清掃作業頻度の低減を図っていた。
【0015】特に、上述したような道路トンネルに設置
される輻射式の火災検知器においては、一般的な環境に
設置されるものに比較して汚損の進行が著しいため、検
知性能を大幅に向上させることが求められている。その
ため、上記汚損補償処理によって、例えば、85%の極
めて高い減光率であっても火災検知機能が正常に動作す
るように設定されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来技術においては、次に示すような問題点を
有していた。すなわち、図18に示したように、検知セ
ンサ110及び試験光源170の前方に配置される各透
光性窓111、112の外面側(外気側)は、いずれも
汚れ原因物質が浮遊する外気に晒された状態にあるた
め、トンネル内に生じる気流に応じて汚れの付着が略同
時に進行する環境にある。
【0017】一方、火災検知器の火災監視処理において
は、検知センサ110の前方に配置された透光性窓11
1のみを介して受光した、火炎FRからの輻射エネルギ
ーに基づいて、火災判定処理が実行される。したがっ
て、検知センサ110及び試験光源170の前方に配置
された双方の透光性窓111、112を介して試験光C
Kが、検知センサ110に投光されるため、検知センサ
110の前方に配置された透光性窓111の汚損状態の
みを検出する場合には、試験光源170の前方に配置さ
れた透光性窓112の汚損状態を考慮する必要がある。
【0018】例えば、上述したように、検知センサ11
0の前方に配置された透光性窓111の減光率が85%
に達するまで、火災検知機能を補償する場合にあって
は、検知センサ110の前方に配置された透光性窓11
1と、試験光源170の前方に配置された透光性窓11
2の汚損状態の経時的な進行度が同等である場合、試験
光源170の前方に配置された透光性窓112の減光率
も85%に達していることになるので、双方の透光性窓
111、112を透過した試験光CKの減光率は、概ね
98%〔≒97.75%=1−(透光性窓111の透過
率15%)×(透光性窓112の透過率15%)〕に達
していることになる。この場合、上記補償限界を検出す
るためには、透光性窓111の無汚損状態に比較して僅
か2%強程度の透過試験光CKを良好に検出する必要が
ある。
【0019】すなわち、透光性窓111が無汚損状態の
ときに検出される試験光CKの受光出力の信号レベル
を、例えば、4.5Vp−pとした場合、98%の減光
時に検出される信号レベルは、僅か1/50の0.09
Vp−pとなるが、この微少な信号レベルを十分に判別
することができる精度を必要とすることになる。しかし
ながら、このような微少な信号レベルをノイズレベルと
明確に区別して検出し、正確な減光率に換算することは
極めて困難であるという問題を有していた。これは、受
光出力が微少(微弱)になりすぎると、信号レベルを正
確に検出することが困難になるばかりではなく、無信号
状態や故障状態との区別も困難になるためである。
【0020】そこで、本発明は、このような問題点に鑑
み、検知センサの前方に配置される透光性窓の汚損状態
の検出精度を向上することにより、汚損補償機能の信頼
性の向上を図ることができる火災検知器及び火災検知器
の汚損補償方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明に係
る火災検知器は、透光性窓内に配設され、光エネルギー
を電気信号に変換する検知センサと、該検知センサから
の検知信号に基づいて、所定の火災判定処理を実行する
火災判定手段と、前記透光性窓内に配設された汚損検出
用検知センサと、所定の試験光源から投光した試験光を
前記透光性窓を介して、前記汚損検出用検知センサに受
光させることにより、前記透光性窓の汚損状態を検出
し、所定の汚損補償処理を実行する汚損補償手段と、を
備えた火災検知器において、前記汚損補償手段は、前記
透光性窓の汚損状態に応じて、前記試験光源から投光さ
れる前記試験光の発光エネルギーを可変制御することを
特徴としている。
【0022】すなわち、火災判定用の検知センサが収納
された透光性窓の汚損による火災検知機能(検知感度)
の低下を自動的に補償する汚損補償機能を備えた火災検
知器において、上記透光性窓内に配設された汚損検出用
検知センサに対して、試験光源から投光される試験光の
発光エネルギー(発光レベル)が、透光性窓の汚損状態
(汚損段階)に応じて可変的に設定制御される。
【0023】したがって、透光性窓の汚損状態により、
汚損検出用検知センサによる試験光の検知出力が微弱な
状態になった場合であっても、試験光源の発光エネルギ
ーを増加するように変更設定することにより、透光性窓
の汚損状態を適切に検出し、判定することができるの
で、透光性窓の汚損状態に応じた検知感度を適切に設定
する汚損補償処理を実行することができ、良好な火災検
知機能を維持、保証することができる。
【0024】請求項2記載の発明に係る火災検知器は、
請求頃1記載の火災検知器において、前記汚損補償手段
は、前記透光性窓が無汚損状態のときに前記汚損検出用
検知センサから出力される出力信号の信号レベルを基準
値として、所定の発光エネルギーを有する前記試験光を
受光し、前記汚損検出用検知センサから出力される前記
出力信号の前記基準値に対する相対値が、前記所定の発
光エネルギーに対応する所定のしきい値範囲内にあるか
否かを判定し、該判定結果に基づいて、前記発光エネル
ギーを可変制御することを特徴としている。
【0025】すなわち、所定の発光エネルギーを有する
試験光を受光した場合の、汚損検出用検知センサからの
出力信号の相対値(相対出力)が、該所定の発光エネル
ギーに対応する所定のしきい値範囲内にあるか否かを判
定し、相対出力がしきい値範囲外の場合には、発光エネ
ルギーを増大又は低減して新たな発光エネルギーに変更
設定する処理を実行し、相対出力がしきい値範囲内の場
合には、該相対出力に基づいて、透光性窓の汚損状態
(汚損段階)を判定して、該汚損状態に対応した所定の
汚損補償処理を実行する。
【0026】したがって、透光性窓の汚損状態により、
汚損検出用検知センサからの出力信号の信号レベルが増
減した場合であっても、汚損検出用検知センサからの出
力を、無汚損状態(透光性窓が清浄な状態)を基準値と
する相対出力として取り扱い、試験光の発光エネルギー
に対応したしきい値範囲と比較することにより、透光性
窓の汚損状態に応じた適切な発光エネルギーを設定する
ことができるので、透光性窓の汚損状態を適切に判定す
ることができ、該汚損状態に応じた適切な汚損補償処理
(例えば、検知感度の変更設定)を行うことができる。
【0027】請求項3記載の発明に係る火災検知器は、
請求頃2記載の火災検知器において、前記汚損補償手段
は、前記出力信号の相対値のしきい値範囲と前記透光性
窓の汚損段階とを関連付けた相関テーブルを備え、該相
関テーブルに基づいて、前記透光性窓の汚損段階を判定
し、該判定された汚損段階に応じた所定の汚損補償処理
を実行することを特徴としている。したがって、相対出
力がしきい値範囲内の場合には、相関テーブルを参照す
る簡易な処理方法により、透光性窓の汚損段階を適切に
判定して、該汚損状態に対応した所定の汚損補償処理を
実行することができる。
【0028】請求項4記載の発明に係る火災検知器は、
請求頃2又は3記載の火災検知器において、前記汚損補
償手段は、少なくとも、前記透光性窓が無汚損状態のと
きに前記汚損検出用検知センサから出力される出力信号
の信号レベル、及び、前記可変制御された発光エネルギ
ーに関する情報を記憶する記憶部を備えていることを特
徴としている。
【0029】したがって、記憶部に記憶された基準値に
基づいて、汚損検出用検知センサからの出力信号を相対
出力に換算し、透光性窓の汚損状態に応じた適切な発光
エネルギーを設定することができるので、透光性窓の汚
損段階を適切に判定することができるとともに、次回の
汚損補償処理において、記憶部に記憶された、前回の透
光性窓の汚損状態に応じた発光エネルギーに基づいて、
次回の透光性窓の汚損状態に応じた適切な発光エネルギ
ーを変更設定する処理を開始することができるので、制
御処理を簡素化して、迅速な汚損補償処理を実現するこ
とができる。
【0030】請求項5記載の発明に係る火災検知器は、
請求項1乃至4のいずれかに記載の火災検知器におい
て、前記検知センサ及び前記汚損検出用検知センサは、
単一のセンサ素子により構成されていることを特徴とし
ている。すなわち、汚損補償処理の実行時に、透光性窓
の汚損状態を判定するために使用される汚損検出用検知
センサは、火災判定処理に使用される検知センサと同一
のセンサ素子により兼用されている。
【0031】したがって、センサ部を簡易かつ安価に構
成することができるとともに、試験光として、火炎に相
当する疑似火炎光を適用することになるので、センサ部
(検知センサ及び汚損検出用検知センサ)からの検知出
力を処理する火災判定処理及び汚損補償処理の各信号処
理系の回路構成を兼用することにより、火災検知器の装
置構成を簡略化することもできる。
【0032】請求項6記載の発明に係る火災検知器は、
請求項1乃至4のいずれかに記載の火災検知器におい
て、前記検知センサ及び前記汚損検出用検知センサは、
独立した別個のセンサ素子により構成されていることを
特徴としている。すなわち、汚損補償処理の実行時に、
透光性窓の汚損状態を判定するために使用される汚損検
出用検知センサは、火災判定処理に使用される検知セン
サとは別個独立した専用のセンサ素子により構成されて
いる。したがって、火炎特有のエネルギー成分を含む試
験光を適用する必要がないので、任意のエネルギー成分
を発光する試験光源を適用することができ、汚損検出用
検知センサからの検知出力を処理する回路構成の設計自
由度を向上させることができる。
【0033】請求項7記載の発明に係る火災検知器は、
請求項1乃至6のいずれかに記載の火災検知器におい
て、前記試験光源は、火炎特有のちらつき周波数で発光
駆動されることを特徴としている。すなわち、汚損補償
処理の実行時に、試験光源から投光される試験光は、火
炎特有のちらつき周波数成分を含んでいる。したがっ
て、火災判定処理時と同等の、又は、類似するちらつき
周波数成分を含む試験光を受光することにより汚損検出
用検知センサから出力される検知出力に基づいて、透光
性窓の汚損状態を判定することができるので、適切な汚
損補償処理を実行することができる。
【0034】請求項8記載の発明に係る火災検知器は、
請求項1乃至6のいずれかに記載の火災検知器におい
て、前記試験光源は、火炎特有のちらつき周波数と異な
る周波数で発光駆動されることを特徴としている。すな
わち、汚損補償処理の実行時に、試験光源から投光され
る試験光は、火炎特有のちらつき周波数成分を含んでい
ない。又は、火炎特有のちらつき周波数成分以外の周波
数成分を含んでいる。
【0035】したがって、汚損補償処理特有の周波数成
分を含む試験光を受光することにより汚損検出用検知セ
ンサから出力される検知出力に基づいて、透光性窓の汚
損状態を判定することができるので、汚損検出用検知セ
ンサからの検知出力を処理する回路構成の設計自由度を
向上させることができる。また、火災判定処理及び汚損
補償処理に用いられる周波数成分が異なっているので、
火災判定処理及び汚損補償処理を同時進行的に実行する
ことができ、汚損補償処理中に火災判定処理が中断され
ることを防止して、火災検知機能を良好に維持すること
ができる。
【0036】請求項9記載の発明に係る火災検知器は、
請求項6又は8記載の火災検知器において、前記試験光
源の発光波長帯域は、火災判定処理時に前記検知センサ
により検出される波長帯域とは異なることを特徴として
いる。すなわち、汚損補償処理の実行時に、試験光源か
ら投光される試験光の波長帯域は、火炎特有の波長成分
を含んでいない。又は、火炎特有の波長成分以外の波長
成分を含んでいる。
【0037】したがって、汚損補償処理特有の波長成分
を含む試験光を受光することにより汚損検出用検知セン
サから出力される検知出力に基づいて、透光性窓の汚損
状態を判定することができるので、汚損検出用検知セン
サからの検知出力を処理する回路構成の設計自由度を向
上させることができる。また、火災判定処理及び汚損補
償処理に用いられる波長成分が異なっているので、火災
判定処理及び汚損補償処理を同時進行的に実行すること
ができ、汚損補償処理中に火災判定処理が中断されるこ
とを防止して、火災検知機能を良好に維持することがで
きる。
【0038】請求項10記載の発明に係る火災検知器の
汚損補償方法は、透光性窓内に配設され、光エネルギー
を電気信号に変換する検知センサと、該検知センサから
の出力信号に基づいて、所定の火災判定処理を実行する
火災判定手段と、前記透光性窓内に配設された汚損検出
用検知センサと、を備え、所定の試験光源から投光した
試験光を前記透光性窓を介して、前記汚損検出用検知セ
ンサに受光させることにより、前記透光性窓の汚損状態
を検出し、所定の汚損補償処理を実行する火災検知器の
汚損補償方法において、前記汚損補償処理は、前記透光
性窓の汚損状態に応じて、前記試験光源から投光される
前記試験光の発光エネルギーを可変制御する手順を有し
ていることを特徴としている。
【0039】すなわち、火災判定用の検知センサが収納
された透光性窓の汚損による火災検知機能(検知感度)
の低下を自動的に補償する汚損補償機能を備えた火災検
知器において、透光性窓の汚損状態に応じて、試験光源
から投光される試験光の発光エネルギーを可変的に設定
制御する手順と、変更設定された発光エネルギーを有す
る試験光に基づいて、透光性窓の汚損状態を検出し、判
定する手順と、判定された透光性窓の汚損状態に応じ
て、火災の検知感度を可変的に設定制御する手順と、を
有している。
【0040】したがって、透光性窓の汚損状態により、
汚損検出用検知センサによる試験光の検知出力が微弱な
状態になった場合であっても、試験光源の発光エネルギ
ーを増加するように変更設定することにより、透光性窓
の汚損状態を適切に検出、判定することができるので、
透光性窓の汚損状態に応じた検知感度を適切に設定する
汚損補償処理を実行することができ、良好な火災検知機
能を維持、保証することができる。
【0041】請求項11記載の発明に係る火災検知器の
汚損補償方法は、請求頃10記載の火災検知器の汚損補
償方法において、前記汚損補償処理は、前記透光性窓が
無汚損状態のときに前記汚損検出用検知センサから出力
される出力信号の信号レベルを基準値として、所定の発
光エネルギーを有する前記試験光を受光し、前記汚損検
出用検知センサから出力される前記出力信号の前記基準
値に対する相対値が、前記所定の発光エネルギーに対応
する所定のしきい値範囲内にあるか否かを判定する手順
と、前記相対値が前記しきい値範囲外の場合には、前記
発光エネルギーを可変制御する手順と、を有しているこ
とを特徴としている。
【0042】すなわち、火災に対する検知感度を設定制
御する汚損補償処理に先立って、所定の発光エネルギー
を有する試験光を受光した場合の、汚損検出用検知セン
サからの出力信号の相対値(相対出力)が、該所定の発
光エネルギーに対応する所定のしきい値範囲内にあるか
否かを判定し、その判定結果に基づいて、試験光の発光
エネルギーが透光性窓の汚損状態に応じた適切な発光エ
ネルギーに変更設定される。
【0043】したがって、透光性窓の汚損状態により、
汚損検出用検知センサからの出力信号の信号レベルが増
減した場合であっても、汚損検出用検知センサからの出
力を、無汚損状態(透光性窓が清浄な状態)を基準値と
する相対出力として取り扱い、試験光の発光エネルギー
に対応したしきい値範囲と比較することにより、透光性
窓の汚損状態に応じた適切な発光エネルギーを設定する
ことができるので、透光性窓の汚損状態を適切に判定す
ることができ、該汚損状態に応じた適切な汚損補償処理
(例えば、検知感度の変更設定)を行うことができる。
【0044】請求項12記載の発明に係る火災検知器の
汚損補償方法は、請求頃10又は11記載の火災検知器
の汚損補償方法において、前記汚損補償処理は、少なく
とも、前記可変制御された発光エネルギーに関する情報
を記憶する手順を有していることを特徴としている。し
たがって、次回の汚損補償処理において、記憶された前
回の透光性窓の汚損状態に応じた発光エネルギーに基づ
いて、次回の透光性窓の汚損状態に応じた適切な発光エ
ネルギーを変更設定する処理を開始することができるの
で、制御処理を簡素化して、迅速な汚損補償処理を実現
することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】まず、本発明に係る火災検知器の
全体構成について、図面を参照して説明する。 <第1の実施形態>図1は、本発明に係る火災検知器の
第1の実施形態を示す概略ブロック図であり、図2は、
本実施形態に係る火災検知器に適用される信号処理部の
概略構成を示す機能ブロック図である。なお、図2にお
いては、本発明の特徴である汚損補償処理に関連する構
成について詳しく説明し、火災判定処理に関する構成に
ついては、その説明を簡略化する。
【0046】図1に示すように、本実施形態に係る火災
検知器は、大別して、所定の波長帯域の赤外線エネルギ
ー(光エネルギー)を電気信号に変換して出力するセン
サ部(検知センサ、汚損検出用検知センサ兼用)SEN
と、センサ部SENの検知面側に配置された、検知セン
サ保護用の透光性窓11と、センサ部SENから出力さ
れる検出信号Saから、後述する信号処理部PROにお
ける火災判定処理(又は、炎判定処理)及び汚損補償処
理に用いる所定の周波数帯域の信号成分Aaのみを通過
させるフィルタ部FLTと、フィルタ部FLTを通過し
た信号成分Aaを火災判定処理及び汚損補償処理に適し
た信号レベルに増幅する信号増幅部AMPと、信号増幅
部AMPから出力される増幅出力(アナログ信号)Ba
をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部
(以下、「A/D変換部」と記す)50と、A/D変換
された受光出力レベルに基づいて、火災判定処理及び汚
損補償処理を実行する信号処理部(火災判定手段、汚損
補償手段)PROと、透光性窓11の汚損状態に応じ
て、センサ部SENから出力される検出信号Saを増幅
する増幅率を変更制御する増幅制御部70と、透光性窓
11の汚損状態を検出する試験動作時に、所定の発光周
波数及び発光エネルギーで発光する試験光源LGTと、
試験光源LGTの投光面側に配置された試験光源保護用
の透光性窓(以下、「試験光透光性窓」と記す)12
と、試験光源LGTの発光状態を制御する試験光源制御
部80と、を有して構成されている。
【0047】以下、各構成について、詳しく説明する。 (イ)センサ部SEN/フィルタ部FLT センサ部SENは、火炎FR等の熱源から放射される赤
外線エネルギーを検出し、電気信号に変換して出力する
焦電型の受光素子10を備えて構成され、フィルタ部F
LTは、該受光素子10から出力される検出信号Saか
ら、火災判定処理に用いられる特定の周波数帯域の信号
成分Aaのみを通過させる周波数フィルタ(前置フィル
タ)20を備えて構成されている。
【0048】(ロ)透光性窓11 透光性窓11は、例えば、センサ部SENが収納された
本体カバー(筐体)の一面側(検知エリア側)であっ
て、受光素子10の受光面側に配置され、例えば、サフ
ァイアガラス等の赤外線透過性の部材により形成されて
いる。ここでは、透光性窓11の外面側がトンネル内の
外気(気流)に晒された状態にあるものとする。
【0049】(ハ)フィルタ部FLT フィルタ部FLTは、周波数フィルタ(前置フィルタ)
20を備え、上記受光素子10から出力される検出信号
Saから、火災判定処理に用いられる火炎特有の周波数
帯域に含まれる信号成分Aaのみを通過させて、後段の
信号増幅部(プリアンプ30、メインアンプ40)AM
Pに伝達する。
【0050】(ニ)信号増幅部(プリアンプ30/メイ
ンアンプ40)AMP 信号増幅部AMPは、フィルタ部FLTを通過した信号
成分Aaを初段増幅するプリアンプ30と、プリアンプ
30からの出力を火災判定処理に適した信号レベルに増
幅するメインアンプ40を備え、センサ部SENから出
力される検知信号Saを所定の増幅率で増幅する。ここ
で、信号増幅部AMPにおける信号増幅率は、任意に変
更設定可能なように構成されている。詳しくは後述す
る。
【0051】(ホ)A/D変換部50 A/D変換部50は、メインアンプ40から出力された
アナログ信号を、火災判定処理及び汚損補償処理に適し
たデジタル信号に変換する。なお、A/D変換部50
は、後段の信号処理部PROがデジタル信号処理を行う
場合にのみ必要であり、アナログ信号を直接扱うような
処理回路により構成されている場合には、省略すること
ができる。
【0052】(ヘ)増幅制御部70 増幅制御部70は、信号処理部PROからの制御指令に
基づいて、信号増幅部AMPを構成するプリアンプ30
及びメインアンプ40の少なくともいずれか一方の信号
増幅率を変更制御することにより、センサ部SENから
出力される検知信号Saを、後段の信号処理部PROに
おける火災判定処理及び汚損補償処理に適した所定の信
号レベルに増幅するように信号増幅率を設定する。
【0053】(ト)試験光源制御部80/試験光源LG
T 試験光源制御部80は、信号処理部PROからの制御指
令に基づいて、試験光源LGTの点滅状態(発光周波
数)や発光強度(発光レベル又は発光エネルギー)を制
御することにより、所定の試験光(例えば、特定の周波
数帯域及び発光強度で明滅する擬似火炎光)がセンサ部
SENに対して投光される。
【0054】ここで、試験光源LGTの前方には、試験
光透光性窓12が配置されているので、試験光源LGT
から投光される試験光は、試験光透光性窓12を介し
て、一旦、火災検知器の外部に放出され、その後、セン
サ部SEN前方に配置された透光性窓11を介して、受
光素子10に入射する。なお、試験光源LGTとして
は、火炎特有の波長成分を含む光を放射する光源、例え
ば、白熱ランプ等を火炎特有のちらつき周波数(数Hz
程度)に対応する周波数で点滅制御させたものを良好に
適用することができる。
【0055】(チ)信号処理部PRO 信号処理部PROは、少なくとも、火災判定処理を実行
する火災判定部60Aと、透光性窓11の汚損状態(又
は、汚損度)を判定し、該汚損状態に対応する所定の汚
損補償処理を実行するための汚損判定部60Bとを備え
て構成されている。火災判定部60Aは、火災監視モー
ドにおいて、上記信号増幅部AMPからA/D変換部5
0を介して出力される受光出力レベルに基づいて、火炎
の有無を検出し、火災の発生を判定する火災判定処理を
実行する。
【0056】また、汚損判定部60Bは、火災検知器の
機能試験モードにおいて、試験光源制御部80に制御指
令を送出して、所定の発光周波数及び発光エネルギーで
試験光源LGTを点滅制御し、その際にセンサ部SEN
から出力される検出信号Saに基づいて、センサ部SE
Nの前方に配置された透光性窓11の汚損状態を検出す
る。そして、該汚損状態等に基づいて、試験光源制御部
80に制御指令を送出して、試験光源LGTから投光さ
れる試験光の発光エネルギーを可変的に設定制御するこ
とにより、透光性窓11の汚損状態に応じた適切な発光
レベルの試験光を試験光源LGTから投光するように調
整するとともに、当該汚損状態に基づいて、増幅制御部
70に制御指令を送出して、信号増幅部AMPにおける
信号増幅率を可変的に設定制御することにより、火災検
知器としての検知感度(すなわち、火炎に対する検出感
度)を調整して、上記火災判定処理を適切に実行するた
めの汚損補償処理を実行する。
【0057】さらに、火災判定部60A及び汚損判定部
60Bは、火災判定処理における結果や透光性窓11の
汚損状態(例えば、汚損補償限界に達した場合の汚損異
常信号等)を、図示を省略した防災センター等に設置さ
れた防災監視盤に通知する。なお、上記火災監視モード
から機能試験モードへの移行は、周期的に実行されるも
のであってもよいし、火災検知器外部、例えば、防災セ
ンターに設置された防災監視盤からの試験指令に基づい
て、任意のタイミングで実行されるものであってもよ
い。
【0058】ここで、信号処理部PROの具体的な構成
について説明する。信号処理部PROは、具体的には、
図2に示すように、大別して、火災判定処理を実行する
火災判定部60Aと、汚損補償処理を実行する汚損判定
部60Bと、試験光源LGTの発光レベル(発光エネル
ギー)と透光性窓11の汚損段階(汚損状態)、受光相
対出力のしきい値範囲との相関関係を規定した相関テー
ブル61と、透光性窓が汚損されていない状態(無汚損
状態)における試験光源LGTの発光レベル及び検知セ
ンサSENから得られる受光出力レベル等の初期情報、
また、機能試験モードにおいて設定制御される試験光源
LGTの発光レベルに関する情報等を記憶、保持する記
憶部62と、試験光源LGTから投光される試験光によ
って、汚損判定部60bにおいて透光性窓11の汚損状
態(又は、汚損度)を適切に判定することができるよう
に、当該透光性窓11の汚損状態に応じて、上記試験光
の発光レベル(又は、発光エネルギー)を適当に設定制
御する発光レベル制御部63と、を有して構成されてい
る。なお、相関テーブル61の詳細については、後述す
る。
【0059】火災判定部60Aは、A/D変換部50
(又は、メインアンプ40)からの増幅出力(受光出力
レベル)に基づいて、所定の火災判定処理を実行し、火
災の発生を判定した場合には、図示を省略したインター
フェース回路を介して、防災センターに設置された防災
監視盤に、当該火災判定情報を送信する。なお、火災判
定処理の具体的な手法としては、例えば、増幅出力の積
分レベルと所定の火災判定レベルとを比較する方法を適
用することができる。また、他の火災判定方法として
は、火炎特有のちらつき周波数が得られるか否かを判定
するものや、前述したレベル比較との組合せ等、種々の
手法を適用することができる。
【0060】汚損判定部60Bは、周期的に、あるい
は、防災センターに設置された防災監視盤等、火災検知
器外部からの試験指令に基づいて試験光源制御部80を
制御し、所定の発光周波数、及び、発光レベル制御部6
3により設定された所定の発光レベルの試験光を試験光
源LGTから発光させるとともに、該試験光の投光によ
り、検知センサSENから出力される検出信号を増幅出
力(受光出力レベル)として受け取る。このとき、所定
の初期値(基準値)に対する受光出力レベルの相対値
(受光相対出力)を算出し、当該受光相対出力が、当該
発光レベルに応じて予め設定された所定のしきい値範囲
内にあるか否かを判定して、透光性窓11の汚損状態に
対する試験光の発光レベルが適正であるか否かを判定す
る。
【0061】また、汚損判定部60Bは、試験光の発光
レベルが適正である場合に得られた受光相対出力に基づ
いて、透光性窓11の汚損段階(汚損状態)を判定し、
該汚損段階に応じて増幅制御部70を制御し、信号増幅
部AMPにおける信号増幅率(検知感度)の設定状態を
切り換えることにより、火災判定処理における受光出力
レベルを適正に補正制御する汚損補償処理を実行する。
【0062】発光レベル制御部63は、上記汚損判定部
60Bにより受光相対出力が所定のしきい値範囲内にあ
るか否かの判定結果に基づいて、試験光の発光レベルが
透光性窓11の汚損状態を判定するうえで適正なレベル
となるように、可変的に設定制御する。これにより、試
験光源制御部80は、発光レベル制御部63により設定
された発光レベルに対応して、例えば、試験光源LGT
の発光駆動電流値を所定値に切り換える制御を行う。
【0063】ここで、汚損判定部60Bにおいて、受光
相対出力が所定のしきい値範囲内にあるか否かを判定し
て、発光レベル制御部63により発光レベルを適正なレ
ベルになるように設定制御する処理は、本実施形態に示
すように、予め所定の相関関係が規定された上記相関テ
ーブル61を参照する手法や、特定の計算式等により演
算する手法等を良好に適用することができる。相関テー
ブル61を参照する手法については、後述する。
【0064】なお、受光相対出力が所定のしきい値範囲
内にあるか否かを判定し、試験光の発光レベルを適正な
レベルに設定制御する汚損補償処理において、受光相対
出力が所定の汚損補償限界に達した場合(すなわち、透
光性窓11の汚損状態が著しく、信号増幅部AMPにお
ける信号増幅率を増大させる制御では、火炎を良好に検
出することができない状態に至った場合)には、インタ
ーフェース回路I/Fを介して、防災センターの防災監
視盤等に当該汚損情報を送信する。
【0065】次に、本実施形態に適用される相関テーブ
ルについて、図面を参照して説明する。図3は、本実施
形態に係る火災検知器の汚損補償処理に適用される、試
験光源LGTの発光レベルと受光相対出力、透光性窓1
1の汚損段階との相関関係の一例を示す相関テーブルで
ある。
【0066】本実施形態においては、図3の相関テーブ
ルに示すように、所定の初期状態を基準とする試験光源
LGTの相対的な発光レベルFL1〜FL3に対応付け
て、所定の初期状態を基準とする相対的な受光出力レベ
ル(受光相対出力)のしきい値範囲が設定されている。
具体的には、透光性窓11が無汚損状態又は汚損が最も
軽度である汚損状態において、該透光性窓11を透過し
て試験光を投光する試験光源LGTの発光レベル、及
び、その試験光に対する受光出力レベルを各々基準(初
期値“1”)として対応付け、透光性窓11の汚損状態
を判定する際に、ノイズレベル等に影響されることなく
適正な受光出力レベルが得られるように、各発光レベル
(相対発光エネルギー)及び対応する受光相対出力のし
きい値範囲が設定されている。
【0067】例えば、透光性窓11が無汚損状態におけ
る試験光源LGTの任意の発光エネルギーを基準(初期
値“1”;発光レベルFL1)とし、この場合における
受光相対出力のしきい値範囲を1〜0.25と規定し、
また、試験光源LGTの発光エネルギーが初期値の2倍
である発光レベルFL2における受光相対出力のしきい
値範囲を0.5〜0.125と規定し、また、試験光源
LGTの発光エネルギーが初期値の4倍である発光レベ
ルFL3における受光相対出力のしきい値範囲を0.2
5〜0.09及び0.09以下と規定している。そし
て、このような試験光源LGTの発光レベル(相対発光
エネルギー)と受光相対出力の相関関係に基づいて、透
光性窓11の汚損状態を判定する処理に先立って、試験
光源LGTの発光レベル及びその受光相対出力が適正な
レベルとなるように、試験光源LGTの発光レベルが段
階的に可変設定される。
【0068】また、設定(確定)された発光レベルにお
ける受光相対出力に基づいて、試験光が透過した透光性
窓11の汚損状態(すなわち、発光レベル及び受光相対
出力に基づいて換算される汚損度又は減光率を段階的に
レベル分けした汚損段階)が判定される。具体的には、
試験光源LGTが発光レベルFL1(相対発光エネルギ
ー“1”)の状態において、受光相対出力が1〜0.2
5のしきい値範囲内にある場合には、汚損段階SL1
(減光率0〜50%に対応)と判定し、また、発光レベ
ルFL2(相対発光エネルギー“2”)の状態におい
て、受光相対出力が0.5〜0.125のしきい値範囲
内にある場合には、汚損段階SL2(減光率50〜75
%に対応)と判定し、また、発光レベルFL3(相対発
光エネルギー“4”)の状態において、受光相対出力が
0.25〜0.09のしきい値範囲内にある場合には、
汚損段階SL3(減光率75〜85%に対応)と判定
し、発光レベルFL3(相対発光エネルギー“4”)の
状態において、受光相対出力が0.09以下の場合に
は、汚損段階SL4(減光率85%以上に対応)と判定
する。
【0069】このような試験光源LGTの発光レベルと
受光相対出力、透光性窓11の汚損状態(汚損段階)と
の対応関係の有効性について、従来技術と対比して詳し
く説明する。図4は、従来技術における汚損補償処理に
適用される発光レベルと受光相対出力、透光性窓の汚損
状態との相関関係を、図3に示した相関テーブルと対比
するため、便宜的にテーブル形式で示したものである。
また、図5は、図4に示した相関テーブルを適用した場
合の汚損状態(汚損段階及び減光率)と受光相対出力と
の関係を示す相関図であり、図6は、図3に示した相関
テーブルを適用した場合の汚損状態(汚損段階及び減光
率)と受光相対出力との関係を示す相関図である。
【0070】図4に示すように、従来技術においては、
本実施形態と同様に、4段階の受光相対出力のしきい値
範囲を設定した場合、試験光源11の発光レベルを可変
的に設定制御する手段を有していないため(すなわち、
各発光レベルにおける発光エネルギーが一定で可変制御
が不可能であったため)、透光性窓11の汚損段階は、
受光出力レベルに基づく受光相対出力がいずれのしきい
値範囲に含まれるかという対応関係によってのみ判定さ
れる。すなわち、一定の発光レベル(相対発光エネルギ
ー)で試験光源から投光された試験光の受光相対出力
が、予め設定されたしきい値範囲(上限しきい値〜下限
しきい値)のいずれに含まれるかによって、透光性窓の
汚損状態(汚損段階SL1〜SL4及び減光率)が判定
される。
【0071】ここで、試験光の受光相対出力に基づいて
換算される減光率は、本実施形態に示した場合と同様
に、透光性窓及び試験光透光性窓の汚損状態に依存す
る。そして、ここでは、透光性窓と試験光透光性窓の汚
損の進行の度合いが同等であるものとして説明するが、
火災検知器の筐体構造等により、両者の汚損の進行の度
合いの差が予め判明している場合には、例えば、その差
に応じた所定の係数を設定して減光率を換算することに
より、上記と同等の処理を実現することができる。
【0072】したがって、例えば、透光性窓及び試験光
透光性窓が無汚損状態のとき得られる受光出力レベルを
基準にして、試験光の受光相対出力がしきい値範囲1〜
0.25〔=(透光性窓の減光率50%)×(試験光透
光性窓の減光率50%)〕にある場合には、減光率が0
〜50%で規定される汚損段階SL1に関連付けられ
る。また、試験光の受光相対出力がしきい値範囲0.2
5〜0.0625〔=(透光性窓の減光率25%)×
(試験光透光性窓の減光率25%)〕にある場合には、
減光率が50〜75%で規定される汚損段階SL2に関
連付けられ、試験光の受光相対出力がしきい値範囲0.
0625〜0.0225〔=(透光性窓の減光率15
%)×(試験光透光性窓の減光率15%)〕にある場合
には、減光率が75〜85%で規定される汚損段階SL
3に関連付けられる。さらに、試験光の受光相対出力が
しきい値範囲0.0225以下にある場合には、減光率
が85%以上で規定される汚損段階SL4に関連付けら
れる。ここで、汚損段階SL4(受光相対出力が0.0
225以下)、すなわち、減光率が85%以上の場合に
は、汚損補償限界に達したものと判定される。
【0073】そして、このような受光相対出力のしきい
値範囲と、汚損段階及び減光率との判別精度について検
討すると、図5に示すように、汚損段階SL1とSL2
間では、受光相対出力が1/10オーダーの比較的大き
なレベル差を有するとともに、その絶対値も有効な大き
さを有しているので、受光相対出力に基づいて、良好に
汚損段階及び減光率を判定することができるが、汚損段
階SL2とSL3間、あるいは、汚損段階SL3とSL
4間では、受光相対出力がノイズレベルに相当する1/
100オーダーの微少なレベル差になるとともに、特
に、汚損段階SL4の下限しきい値近傍では、その絶対
値も微小となるため、受光相対出力に基づいて、汚損段
階及び減光率を正確に判定することが困難であった。
【0074】これに対して、本実施形態においては、図
3に示すように、透光性窓11が無汚損状態における試
験光源LGTの発光レベル、及び、該発光レベルの試験
光に対する受光出力レベルを基準にして、透光性窓11
の汚損状態に応じて、試験光源LGTの発光レベル(相
対発光エネルギー)、及び、それに対応する受光相対出
力のしきい値範囲を、段階的に変化させるように設定制
御する。
【0075】すなわち、透光性窓及び試験光透光性窓が
無汚損状態のときの試験光源LGTの発光エネルギー及
びその受光出力レベルを基準(“1”)にして、発光レ
ベルFL1の試験光に対する受光相対出力がしきい値範
囲1〜0.25〔=(相対発光エネルギー“1”)×
(透光性窓の減光率50%)×(試験光透光性窓の減光
率50%)〕にある場合には、減光率が0〜50%で規
定される汚損段階SL1に関連付けられる。また、発光
レベルFL2の試験光の受光相対出力がしきい値範囲
0.5〔=(相対発光エネルギー“2”)×(透光性窓
の減光率50%)×(試験光透光性窓の減光率50
%)〕〜0.125〔=(相対発光エネルギー“2”)
×(透光性窓の減光率25%)×(試験光透光性窓の減
光率25%)〕にある場合には、減光率が50〜75%
で規定される汚損段階SL2に関連付けられ、発光レベ
ルFL3の試験光の受光相対出力がしきい値範囲0.2
5〔=(相対発光エネルギー“4”)×(透光性窓の減
光率25%)×(試験光透光性窓の減光率25%)〕〜
0.09〔=(相対発光エネルギー“4”)×(透光性
窓の減光率15%)×(試験光透光性窓の減光率15
%)〕にある場合には、減光率が75〜85%で規定さ
れる汚損段階SL3に関連付けられる。さらに、発光レ
ベルFL3の試験光の受光相対出力がしきい値範囲0.
09以下にある場合には、減光率が85%以上で規定さ
れる汚損段階SL4に関連付けられる。ここで、汚損段
階SL4(受光相対出力が0.09以下)、すなわち、
減光率が85%以上の場合には、汚損補償限界に達した
ものと判定される。
【0076】ここで、上述した従来技術と同様に、この
ような試験光の発光レベルと受光相対出力のしきい値範
囲、汚損段階及び減光率との判別精度について検討する
と、図6に示すように、発光レベルFL1の試験光に対
する受光相対出力に基づく汚損段階SL1(図中、L1
a)と発光レベルFL1の2倍の発光エネルギーを有す
る発光レベルFL2の試験光に対する受光相対出力に基
づく汚損段階SL2(図中、L2a)、また、発光レベ
ルFL2の試験光に対する受光相対出力に基づく汚損段
階SL2(図中、L2a)と発光レベルFL1の4倍の
発光エネルギーを有する発光レベルFL3の試験光に対
する受光相対出力に基づく汚損段階SL3(図中、L3
a)、あるいは、発光レベルFL3の試験光に対する受
光相対出力に基づく汚損段階SL3(図中、L3a)と
発光レベルFL3の試験光に対する受光相対出力に基づ
く汚損段階SL4(図中、L3b)のいずれの関係にお
いても、受光相対出力が略1/10オーダーの比較的大
きなレベル差を有するとともに、汚損段階SL4の下限
しきい値近傍においても、その絶対値が大きく設定され
るので、透光性窓11及び試験光透光性窓12の汚損状
態が進行した場合であっても、汚損段階及び減光率を精
度良く判定することができ、適切な汚損補償処理を行っ
て、良好な火災判定処理を実行することができる。
【0077】なお、本実施形態においては、図3に示し
た相関テーブルにおいて、透光性窓11の汚損状態と受
光相対出力のしきい値範囲を対応付けて4段階に規定
し、各段階の汚損状態を的確に判定することができるよ
うに、試験光源の発光レベルを初期値に対して2倍、4
倍に可変的に設定制御する場合について説明したが、本
発明は、この形態に限定されるものではなく、発光レベ
ルの設定を無段階的に連続的に設定制御するものであっ
てもよい。
【0078】次に、上述した本実施形態に係る火災検知
器における動作処理について、図面を参照して具体的に
説明する。図7は、本実施形態に係る火災検知器の機能
試験モード(初期登録処理状態及び汚損補償処理状態)
を示す機能ブロック図であり、図8は、本実施形態に係
る火災検知器の火災監視モード(火災判定処理)を示す
機能ブロック図である。また、図9は、本実施形態に係
る火災検知器に適用される火災監視モードから機能試験
モードへの移行の手順を示すフローチャートである。な
お、ここでは、図2に示した信号処理部の構成、及び、
図3に示した相関テーブルを適宜参照しながら説明す
る。本実施形態に係る火災検知器における動作処理は、
初期値登録処理、火災判定処理、及び、汚損補償処理の
各処理により構成されている。
【0079】<初期値登録処理>まず、初期値登録処理
においては、図2、図7に示すように、透光性窓11及
び試験光透光性窓12が汚損されていない状態(無汚損
状態:製造時、工場出荷時等)、又は、汚損が最も軽度
である状態を初期状態として、発光レベル制御部63に
より設定される試験光源LGTの発光レベル(相対発光
エネルギー“1”)、及び、試験光源制御部80により
該発光レベルで試験光源LGTを点滅制御して投光され
る試験光CKに対して、検知センサSENから得られる
検出信号(受光出力レベル)を、各々初期値(又は、基
準値)として記憶部62に記憶する。また、この初期状
態における透光性窓11の汚損状態は、試験光源LGT
の発光レベルFL1及び受光相対出力に基づいて算出さ
れる減光率が略0%であるので、汚損段階SL1と判定
される。
【0080】<火災判定処理>火災判定処理において
は、図8に示すように、検知センサSENにより火炎F
Rが観測されると、火炎FRの輻射エネルギーに応じた
検出信号Saが出力され、フィルタ部FLT及び信号増
幅部AMPにより火災判定処理に用いられる周波数帯域
の信号成分Aaのみが抽出され、上記初期値登録処理時
(無汚損時)又は後述する汚損補償処理によって設定さ
れた信号増幅率で増幅処理される。そして、増幅出力B
aは、A/D変換部50によりデジタル信号に変換され
て、受光出力として信号処理部PRO(火災判定部60
A)に入力され、所定の火災判定処理が実行される。
【0081】そして、時間の経過とともに、検知センサ
の前方に配置された透光性窓11に付着する汚れが増大
した場合には、後述する汚損補償処理により判定される
汚損段階(又は、汚損度)に応じて、信号増幅部AMP
の信号増幅率が設定変更され、火災検知器内部における
検知感度を初期値に対して、例えば、2倍、4倍等に増
大させる。このようにして、汚損状態に応じて受光出力
レベルを補償することにより、火災検知器の検知感度
を、適切な火災検知機能を保証する所定のレベル範囲内
に確保して良好な火災判定処理を継続する。なお、経時
的に汚れが減少した場合には、他の非火災源に対する検
知感度が敏感になりすぎないように、適正なレベルに検
知感度を下げる処理を実行する。
【0082】ここで、火災判定処理を実行する火災監視
モードから、汚損補償処理を実行する機能試験モードへ
の移行は、図9に示すように、常時、火災判定処理を実
行している状態(S101)において、例えば、防災セ
ンターの防災監視盤等、火災検知器の外部から試験指令
を受信した場合や、火災検知器内部に備えられた内蔵タ
イマ等からの所定の周期毎のタイマ出力による試験指令
を受けた場合には(S102)、信号処理部(火災判定
部)PROが、火災判定部60Aにおける火災判定処理
を一旦中止して、汚損判定部60Bによる汚損補償処理
を開始することにより実行される(S103)。ここ
で、防災センターの防災監視盤から出力される試験指令
は、例えば、防災監視盤に内蔵、あるいは、付設されて
いるタイマから所定周期毎に出力されるタイマ出力であ
っても良いし、管理者による人為的な機能試験実行操作
に基づいて任意のタイミングで出力されるものであって
も良い。なお、汚損補償処理を実行する周期としては、
例えば、24時間周期等に設定される。そして、汚損補
償処理が終了した場合には、機能試験モード(S10
3)から火災監視モード(S101)に移行する。
【0083】<汚損補償処理>次いで、汚損補償処理の
具体的な処理手順について説明する。図10は、本実施
形態に係る火災検知器に適用される汚損補償処理の手順
を示すフローチャートである。 (ステップS201、S202)図10に示すように、
まず、信号処理部PROは、試験指令を受けることによ
り、火災監視モードから機能試験モードに切り替わり、
汚損補償処理を含む試験処理を開始する。これにより、
前回の汚損補償処理に係る汚損判定部60Bの諸設定、
及び、信号増幅部AMPの信号増幅率を初期状態にリセ
ットする。
【0084】(ステップS203、S204)次いで、
汚損判定部60Bは、記憶部62に記憶されている、前
回の汚損補償処理で用いた試験光源LGTの発光レベル
(相対発光エネルギー)に関する情報(例えば、FL
2)を読み出して、発光レベル制御部63に設定すると
ともに、相関テーブル(図3)を参照して、該発光レベ
ルに対応する受光相対出力のしきい値範囲を規定する上
限値データ(FL2の場合、「0.5」)及び下限値デ
ータ(FL2の場合、「0.125」)を読み込む。
【0085】(ステップS205、S206)次いで、
発光レベル制御部63は、記憶部62から読み出された
発光レベル(相対発光エネルギー“2”)に基づいて、
試験光源制御部80を駆動制御することにより、試験光
源LGTが所定の発光強度で、かつ、火炎のちらつき周
波数に近似する点滅周期で所定時間点灯駆動される。
【0086】これにより、試験光源LGTから投光され
た試験光(疑似火炎光)CKは、図7に示したように、
試験光透光性窓12及び透光性窓11を介して、受光素
子10により受光される。受光素子10は、試験光の発
光レベル(相対発光エネルギー“2”)及び透光性窓1
1の汚損状態に応じた検出信号を出力し、フィルタ部F
LT及び信号増幅部AMPにおいて所定の周波数帯域の
信号成分及び信号レベルを有する受光出力に増幅され
て、所定の時間間隔で所定の期間だけ信号処理部PRO
に取り込まれる。
【0087】すなわち、受光素子10に入射する試験光
CKは、受光素子10前方の透光性窓11の汚損状態に
応じて、本来の試験光(透光性窓11が汚損されていな
い状態での光強度)よりも減衰するので、信号処理部P
ROに取り込まれる受光出力レベルは、受光素子10の
前方の透光性窓11の汚損状態を反映した大きさとな
る。そして、信号処理部PROに受光出力レベルが所定
期間取り込まれると、試験光源制御部80により、試験
光源LGTが消灯制御される。
【0088】(ステップS207)次いで、上述した初
期値登録処理により記憶部62に記憶されている受光出
力レベルの初期値に対する今回取り込まれた受光出力レ
ベルの比、すなわち、受光相対出力を算出する。 (ステップS208、S209)次いで、今回算出され
た受光相対出力が、上述したステップS204において
相関テーブル(図3)を参照して読み込まれた前回の発
光レベルにおける上限しきい値(FL2の場合、「0.
5」)と比較され、上限しきい値よりも大きいか否かが
判定される。
【0089】(ステップS210、S211)上述した
ステップS209において、今回算出された受光相対出
力が、前回の発光レベルにおける上限しきい値よりも小
さい場合には、次いで、前回の発光レベルにおける下限
しきい値(FL2の場合、「0.125」)と比較さ
れ、下限しきい値よりも小さいか否かが判定される。
【0090】(ステップS212)上述したステップS
211において、今回算出された受光相対出力が、前回
の発光レベル(FL2)における下限しきい値よりも大
きい場合には、前回と同等の発光レベルに対応した受光
相対出力のしきい値範囲(FL2の場合、「0.5〜
0.125」)内にあるものと判別して、今回の試験光
源LGTの発光レベルと受光相対出力に基づいて、試験
光CKの減光率を算出するとともに、相関テーブル(図
3)を参照することにより、透光性窓11の汚損段階を
判定(この場合、SL2)し、該汚損段階SL2に対応
する所定の汚損補償処理を実行する。ここで、汚損補償
処理においては、上述したように、当該汚損段階にある
透光性窓11を介して火炎FRからの輻射エネルギーを
良好に検出し、火災判定処理を適切に実行することがで
きる受光出力レベルが得られるように、信号増幅部AM
Pの信号増幅率が設定制御される。
【0091】(ステップS213)次いで、汚損補償処
理の実行後、今回判定された試験光源LGTの発光レベ
ル(FL2)に関する情報を記憶部62に記憶更新し、
図9に示したように、機能試験モードを終了して、火災
監視モードに復帰する。 (ステップS214)また、上述したステップS209
において、今回算出された受光相対出力が、前回の発光
レベル(FL2)における上限しきい値(「0.5」)
よりも大きい場合には、試験光源LGTの発光レベルを
下方設定できるか否かが判断される。すなわち、前回の
発光レベル(FL2)よりも低い発光レベルが存在する
か否かによって、下方設定の可否を判断する。
【0092】(ステップS215、S216)上述した
ステップS214において、発光レベルの下方設定が可
能と判断された場合には、発光レベル(FL2)を1段
階下方設定して、試験光源LGTの発光エネルギーを半
減した発光レベル(FL1;相対発光エネルギー
“1”)を記憶部62に記憶更新して、再度ステップS
202以降の処理を繰り返す。
【0093】(ステップS217、S218)一方、前
回の発光レベルが最低レベル(すなわち、FL1)にあ
って、上述したステップS214において、発光レベル
の下方設定が不可能と判断された場合には、前回の発光
レベルが初期状態(FL1)、すなわち、透光性窓11
が無汚損状態にあるものと判定する。この場合、汚損補
償処理を実行する必要はないので、汚損補償制御を解除
して、今回判定された試験光源LGTの発光レベル(F
L1)に関する情報を記憶部62に記憶更新し、図9に
示したように、機能試験モードを終了して、火災監視モ
ードに復帰する。
【0094】(ステップS219)また、上述したステ
ップS211において、今回算出された受光相対出力
が、前回の発光レベル(FL2)における下限しきい値
(「0.125」)よりも小さい場合には、試験光源L
GTの発光レベルを上方設定できるか否かが判断され
る。すなわち、前回の発光レベル(FL2)よりも高い
発光レベルが存在するか否かによって、上方設定の可否
を判断する。
【0095】(ステップS220、S221)上述した
ステップS211において、発光レベルの上方設定が可
能と判断された場合には、発光レベル(FL2)を1段
階上方設定して、試験光源LGTの発光エネルギーを倍
増した発光レベル(FL3;相対発光エネルギー
“4”)を記憶部62に記憶更新して、再度ステップS
202以降の処理を繰り返す。
【0096】(ステップS222、S223、S22
4)一方、前回の発光レベルが最高レベル(すなわち、
FL3)であって、上述したステップS219におい
て、発光レベルの上方設定が不可能と判断された場合に
は、透光性窓11の汚損状態が汚損補償限界に達してい
るものと判定する。この場合、火災検知器の外部、例え
ば、防災センターの防災監視盤等に対して、汚損限界信
号を出力して管理者等に異常を報知し、透光性窓11の
清浄化作業の早期実施等、適切な対処を促し、透光性窓
11の汚損状態の改善による復旧を待つ。また、今回判
定された試験光源LGTの発光レベル(FL3)に関す
る情報は、記憶部62に記憶更新される。
【0097】以上の一連の処理ステップを繰り返すこと
により、透光性窓11の汚損状態に応じて、試験光源L
GTの発光レベルを随時上方設定又は下方設定して、受
光相対出力が比較的大きなレベル差を有するように、ま
た、汚損が進行した状態であっても、機能試験時の受光
出力レベルの絶対値が適切なオーダーを有するように制
御される。したがって、透光性窓11の汚損段階又は減
光率を精度良く判定することができるので、汚損補償処
理による適正な検知感度の設定を実現することができ、
火災判定処理における誤報や失報の発生を大幅に抑制す
ることができる。
【0098】また、本実施形態に係る火災検知器及び火
災検知器の汚損補償方法によれば、試験光源LGTから
投光される試験光として、火炎特有の波長成分及びちら
つき周波数を有する疑似火炎光を適用しているので、火
災判定処理及び汚損補償処理に利用される受光出力処理
回路(検知センサSEN、フィルタ部FLT、信号増幅
部AMP、A/D変換部50)を、単一の構成により兼
用することができ、回路構成を簡略化しつつ、良好な火
災判定処理及び汚損補償処理を実行することができる。
【0099】<第2の実施形態>次に、本発明に係る火
災検知器の第2の実施形態について、図面を参照して説
明する。図11は、本発明に係る火災検知器の第2の実
施形態を示す概略構成図である。ここで、上述した実施
形態と同等の構成については、同一の符号を付して、そ
の説明を簡略化する。
【0100】上述した第1の実施形態においては、試験
光源LGTから投光される試験光CKとして、疑似火炎
光を適用することにより、火災判定処理及び汚損補償処
理に適用される受光出力処理回路(検知センサSEN、
フィルタ部FLT、信号増幅部AMP、A/D変換部5
0)を兼用した構成について説明したが、本実施形態に
おいては、センサ部SENのみを兼用して、フィルタ部
FLT、信号増幅部AMP及びA/D変換部50からな
る受光出力処理回路を、火災判定処理及び汚損補償処理
の各々に独自に設け、専用化した構成を有している。ま
た、試験光源LGTから投光される試験光CKについて
も、火炎特有のちらつき周波数以外であって、かつ、セ
ンサ部SENにより検知が可能な任意の発光周波数を有
するように設定されている。
【0101】本実施形態に係る火災検知器は、図11に
示すように、火炎FR又は試験光CKを観測することに
より検出信号Saを出力する単一の受光素子10を備え
たセンサ部(検知センサ、汚損検出用検知センサ兼用)
SENと、検出信号Saから火災判定処理に適した受光
出力(増幅出力Ba)を生成して、信号処理部PROに
送出する火災監視用の受光出力処理回路CIRAと、検
出信号Saから汚損補償処理に適した受光出力(増幅出
力Bb)を生成して、信号処理部PROに送出する汚損
補償用の受光出力処理回路CIRBと、受光出力処理回
路CIRA及びCIRBからの受光出力(増幅出力B
a、Bb)に基づいて、上述した火災判定処理及び汚損
補償処理を実行する信号処理部PROと、信号処理部P
ROからの制御指令に基づいて、信号増幅部AMPAに
おける信号増幅率(検知感度)を可変的に設定制御する
増幅制御部70と、透光性窓11の汚損状態に応じて、
所定の発光レベル(相対発光エネルギー)で試験光源LG
Tを発光駆動(点滅制御)する試験光源制御部80と、
を有して構成されている。
【0102】火災監視用の受光出力処理回路CIRA
は、検出信号Saから所定の周波数帯域の信号成分Aa
のみを通過させる周波数フィルタ20Aを備えたフィル
タ部FLTAと、当該信号成分Aaを所定の増幅率で増
幅するプリアンプ30A及びメインアンプ40Aを備え
た信号増幅部AMPAと、増幅出力Baをデジタル信号
に変換するA/D変換部50Aとを有している。
【0103】汚損補償用の受光出力処理回路CIRB
は、検出信号Saから汚損補償処理に適用される所定の
周波数帯域の信号成分Abのみを通過させる周波数フィ
ルタ20Bを備えたフィルタ部FLTBと、当該信号成
分Abを所定の増幅率で増幅するプリアンプ30B及び
メインアンプ40Bを備えた信号増幅部AMPBと、増
幅出力Bbをデジタル信号に変換するA/D変換部50
Bとを有している。
【0104】信号処理部PROは、上述した実施形態
(図2)と同様に、火災判定処理を実行する火災判定部
60A、及び、汚損補償処理を実行する汚損判定部60
Bを備えている。試験光源LGTは、試験光源制御部8
0からの制御により所定の発光周波数及び発光エネルギ
ーで発光駆動されるが、投光される試験光CKは、火炎
特有のちらつき周波数を含まないように設定されてい
る。
【0105】このような構成を有する火災検知器におい
て、火災監視モードにあっては、センサ部SENにより
火炎FRが観測されると、フィルタ部FLTAにより火
災判定処理に用いられる周波数を有する信号成分Aaの
みが通過し、信号増幅部AMPAにより信号増幅された
増幅出力(受光出力)Baが火災判定部60Aに入力さ
れる。このとき、フィルタ部FLTAにより、上記火炎
特有の周波数成分のみが通過し、試験光源LGTから投
光される試験光CK特有の周波数成分は遮断される。
【0106】一方、機能試験モードにおいては、センサ
部SENにより試験光源LGTからの試験光CKが観測
されると、フィルタ部FLTBにより汚損補償処理に用
いられる周波数を有する信号成分Abのみが通過し、信
号増幅部AMPBにより信号増幅された増幅出力(受光
出力)Bbが汚損判定部60Bに入力される。このと
き、フィルタ部FLTBにより、上記試験光源LGTか
ら投光される試験光CK特有の周波数成分のみが通過
し、火炎特有の周波数成分は遮断される。
【0107】したがって、本実施形態に係る火災検知器
によれば、試験光源LGTから投光される試験光CK
は、火炎特有のちらつき周波数を含まないが、汚損判定
部60Bにより受光出力として取り込まれる特定の発光
周波数を有するように設定されているので、センサ部S
ENを単一の構成により兼用しつつ、火災判定処理及び
汚損補償処理に適用されるフィルタ部、信号増幅部、A
/D変換部からなる受光出力処理回路を、別個独立して
構成することができる。
【0108】これにより、受光出力処理回路を火災判定
処理又は汚損補償処理に適した所望の回路特性を有する
ように構成することができるので、火災検知器の設計自
由度を大幅に向上させることができる。特に、火炎特有
のちらつき周波数を含む疑似火炎光を用いることなく、
透光性窓11の汚損状態を良好に検出することができる
ので、例えば、高速で点滅制御が可能な低消費電力の発
光ダイオード(LED)等を試験光源に適用することが
でき、この場合には、機能試験に要する所要時間を短縮
することもできる。また、火災判定処理及び汚損補償処
理に用いられる周波数成分(センサ部に入射する光の周
波数)が異なっているので、火災判定処理及び汚損補償
処理を同時進行的に実行することができ、汚損補償処理
中に火災判定処理が中断されることを防止して、火災検
知機能を良好に維持することができる。
【0109】<第3の実施形態>次に、本発明に係る火
災検知器の第3の実施形態について、図面を参照して説
明する。図12は、本発明に係る火災検知器の第3の実
施形態を示す概略構成図である。ここで、上述した実施
形態と同等の構成については、同一の符号を付して、そ
の説明を簡略化する。
【0110】上述した第2の実施形態においては、セン
サ部SENのみを兼用して、フィルタ部FLTA、FL
TB、信号増幅部AMPA、AMPB、A/D変換部5
0A、50Bからなる受光出力処理回路CIRA、CI
RBを、火災判定処理及び汚損補償処理の各信号処理系
に対応させて個別に設け、専用化した構成について説明
したが、本実施形態においては、センサ部SENについ
ても、火災判定処理及び汚損補償処理に対応させて個別
に設け、専用化した構成を有するとともに、各々のセン
サ部により検出される波長帯域が異なるように構成され
ている。センサ部SEN以外の構成は、第2の実施形態
と同様として説明する。
【0111】本実施形態に係る火災検知器は、図12に
示すように、単一の透光性窓11の内部に、火災判定処
理に適用されるセンサ部SENA、フィルタ部FLT
A、信号増幅部AMPA、A/D変換部50Aからなる
火災監視用の受光出力処理回路CIRAと、汚損補償処
理に適用されるセンサ部SENB、フィルタ部FLT
B、信号増幅部AMPB、A/D変換部50Bからなる
汚損補償用の受光出力処理回路CIRBが、別個独立し
て設けられた構成を有している。
【0112】ここで、火災監視用の受光出力処理回路C
IRAに設けられるセンサ部SENAから出力される検
出信号Saは、センサ部SENAに実装された光学波長
フィルタ(図示を省略;図14(a)に示すセンサ部S
ENの構成参照)の波長通過特性及び周波数フィルタ2
0Aの周波数通過特性により、所定の波長帯域及び所定
の周波数帯域の信号成分Aaのみが通過する。
【0113】一方、汚損補償用の受光出力処理回路CI
RBに設けられるセンサ部SENBから出力される検出
信号Sbは、センサ部SENBに実装された光学波長フ
ィルタ(図示を省略;図14(a)に示すセンサ部SE
Nの構成参照)の波長通過特性及び周波数フィルタ20
Bの周波数通過特性により、所定の波長帯域及び所定の
周波数帯域の信号成分Abのみが通過する。
【0114】そして、本実施形態においては、センサ部
SENAに実装された光学波長フィルタには、CO
共鳴放射による波長帯域(4.4〜4.5μm付近の波
長帯域)の光を通過する光学式のバンドパスフィルタが
使用され、また、センサ部SENBに実装された光学波
長フィルタには、COの共鳴放射による波長帯域とは
異なる波長帯域の光を通過するバンドパスフィルタが使
用される。また、試験光源LGTは、試験光源制御部8
0からの制御により所定の発光周波数及び発光エネルギ
ーで発光駆動されるが、投光される試験光CKは、少な
くとも火炎特有の波長帯域以外の成分を含み、かつ、セ
ンサ部SENBにより検知が可能な任意の波長帯域を有
するように設定されている。
【0115】このような構成を有する火災検知器におい
て、火災監視モードにおいては、センサ部SENAによ
り火炎FRが観測されると、受光出力処理回路CIRA
により火災判定処理に用いられる波長成分及び周波数成
分を含む増幅出力(受光出力)Baが火災判定部60A
に入力され、機能試験モードにおいては、センサ部SE
NBにより試験光源LGTからの試験光CKが観測され
ると、受光出力処理回路CIRBにより汚損補償処理に
用いられる波長成分及び周波数成分を含む増幅出力(受
光出力)Bbが汚損判定部60Bに入力される。すなわ
ち、機能試験モードにおいては、試験光源LGTから発
光された試験光CKのうち、センサ部SENBに実装さ
れた光学波長フィルタにより、火炎特有のCOの共鳴
放射による波長帯域以外の成分のみが通過して、汚損判
定処理部60Bにより受光出力として取り込まれる。
【0116】したがって、本実施形態に係る火災検知器
によれば、火災判定処理及び汚損補償処理に対応して、
センサ部SENA、SENBを含む専用の受光出力処理
回路CIRA、CIRBを個別に設け、かつ、試験光源
LGTから投光され、センサ部SENBにより検出され
る試験光CKが、実質的に火炎特有の波長帯域を含まな
い(換言すれば、汚損判定部60Bにより取り込まれる
受光出力が、火炎特有の波長帯域以外であって、汚損補
償処理特有の波長帯域を含む)ように設定されているの
で、火災判定処理又は汚損補償処理に適した所望の回路
特性を有するように受光出力処理回路を構成することが
でき、火災検知器の設計自由度を大幅に向上させること
ができ、汚損補償処理を適切に行うことができる。
【0117】また、汚損補償用のセンサ部SENBを、
火災監視用のセンサ部SENAとは独立した構成を有し
ているので、汚損補償用のセンサ部SENBを、透光性
窓11を介して試験光源LGTを見通す任意の位置に配
置することができる。また、火災判定処理及び汚損補償
処理に用いられる波長帯域(センサ部に入射する波長)
が異なっているので、火災判定処理及び汚損補償処理を
同時進行的に実行することができ、汚損補償処理中に火
災判定処理が中断されることを防止して、火災検知機能
を良好に維持することができる。
【0118】なお、本実施形態においては、試験光源の
波長帯域として、実質的に火炎特有の波長成分を含まな
いように設定した場合について説明したが、本発明はこ
れに限定されるものではなく、このような波長帯域の設
定に加えて、上述した第2の実施形態にも示したよう
に、火炎特有のちらつき周波数をも含まないように設定
したものであってもよい。
【0119】<第4の実施形態>次に、本発明に係る火
災検知器の第4の実施形態について、図面を参照して説
明する。図13は、本発明に係る火災検知器の第4の実
施形態を示す概略構成図である。図14は、本実施形態
に係る火災検知器に適用されるセンサ部の構成例及び受
光素子の配置例を示す図である。ここで、上述した実施
形態と同等の構成については、同一の符号を付して、そ
の説明を簡略化する。
【0120】上述した各実施形態においては、各センサ
部に単一の受光素子を備え、該受光素子から出力される
単一の検出信号に基づく受光出力を信号処理部に出力す
る構成について説明したが、本実施形態においては、セ
ンサ部が複数の受光素子を備え、各受光素子毎に個別に
検出信号を出力するとともに、検出信号相互を任意に加
算合成(積算)することにより増幅処理に相当する信号
処理を行う信号増幅部を備えている。
【0121】図13に示すように、本実施形態に係る火
災検知器は、単一の透光性窓の内部に、複数の受光素子
10a〜10hを備えたセンサ部SENと、各受光素子
10a〜10h毎に接続され、各検出信号Sa〜Shか
ら所定の周波数帯域の信号成分Aa〜Ahのみを通過さ
せる複数の周波数フィルタ20a〜20hを備えたフィ
ルタ部FLTと、信号成分Aa〜Ah相互を所定の組み
合わせで加算合成し、所定の増幅率で増幅する信号増幅
部AMPと、信号増幅部AMPからA/D変換部50を
介して出力された増幅出力に基づいて、火災判定処理を
行う火災判定部60A及び汚損補償処理を行う汚損判定
部60Bを備えた信号処理部PROと、信号増幅部AM
Pにおける信号成分Aa〜Ah相互の加算合成状態を設
定制御するスイッチ制御部(増幅制御部)71と、試験
光源LGTを所定の発光エネルギーで点滅制御する試験
光源制御部80と、を有して構成されている。
【0122】以下、本実施形態における特徴的な構成に
ついてのみ具体的に説明する。 (リ)センサ部SEN/フィルタ部FLT センサ部SENは、略同一の検知エリアを有し、かつ、
火炎FR等の熱源からの赤外線エネルギーを略同時に検
出する複数の受光素子10a〜10hを有して構成さ
れ、フィルタ部FLTは、該受光素子10a〜10hの
各々から出力される検出信号Sa〜Shから、火災判定
処理に用いられる特定の周波数帯域の信号成分Aa〜A
hのみを通過させる周波数フィルタ(前置フィルタ)2
0a〜20hを有して構成されている。
【0123】ここで、センサ部SENは、具体的には、
例えば、図14(a)に示すように、複数の受光素子1
0a〜10hが形成された基板13と、該基板13を支
持するための基板搭載部14と、基板搭載部14側の背
面側から延在する端子16と、該端子16が一面側(図
面上面側)から他面側(図面下面側)へ貫通して設けら
れ、上記基板搭載部14が固定された基部15と、受光
素子10a〜10hの前方に光学波長フィルタである保
護用透光性窓17が設けられ、上記受光素子10a〜1
0h及び基板13を保護するカバー部材18とにより、
センサモジュールとしてパッケージ化された構成を有し
ている。
【0124】このようなセンサ部SENに適用される受
光素子10a〜10hの配置例としては、例えば、図1
4(b)に示すように、単一の基板13上に、同一の素
子寸法(サイズ)、すなわち、同一の検知感度を有する
受光素子10a〜10hを、複数個(本実施形態におい
ては、8個)、マトリクス状に配置形成したものを適用
することができる。なお、受光素子10a〜10hの配
置例としては、上記マトリクス状に限定されるものでは
なく、直線状や千鳥状等の任意の配列でアレイ状に形成
したものであっても良い。ここで、アレイ状とは、同一
の基板上に同一の製造プロセスにより形成された受光素
子群であることを意味している。そして、各々の受光素
子10a〜10hは、略同一の検知エリアを略同時に監
視するように設定され、かつ、検出信号Sa〜Shを個
別に周波数フィルタ20a〜20hに出力するように構
成されている。
【0125】上述したように、受光素子10a〜10h
をアレイ状に形成し、センサモジュールとしてパッケー
ジ化することにより、センサ部SENの構成を小型化す
ることができるとともに、各受光素子10a〜10hの
検知感度特性を略均一化して、出力される各検出信号S
a〜Shを略同等(Sa≒Sb≒Sc≒Sd≒Se≒S
f≒Sg≒Sh)にすることができ、後述する加算増幅
処理を良好に行うことができる。
【0126】なお、図13、図14においては、説明の
都合上、8個の受光素子10a〜10hを備えたセンサ
部SENについて示したが、受光素子の設置数や配置方
法、素子寸法等については、何ら限定されるものではな
い。また、センサ部SENの他の構成例としては、単一
の受光素子のみを備えてパッケージ化された同一種類の
センサモジュール10Aを複数個用意し、これらを互い
に近接して所定の配列で配置した構成を適用することも
できる。このように、個別独立してパッケージ化された
同一種類のセンサモジュール10Aを複数個近接して配
置することにより、比較的安価な汎用のセンサモジュー
ルをセンサ部に適用することができるので、火災検知器
を安価かつ簡易に構成することができる。
【0127】(ヌ)信号増幅部AMP 信号増幅部AMPは、各周波数フィルタ20a〜20h
を介して個別に入力される検出信号Sa〜Shの信号成
分Aa〜Ahを、各々所定の増幅率で初段増幅するプリ
アンプ30a〜30hと、プリアンプ30c〜30hの
各出力線La〜Lhを接点NAに対して接続状態、又
は、遮断状態に設定するスイッチSW1、SW2と、各
プリアンプ30a〜30hの出力線La〜Lhを所定の
状態で結合接続(加算)して得られる加算出力を、火災判
定処理に適した信号レベルに増幅するメインアンプ40
と、を有して構成されている。
【0128】具体的には、プリアンプ30a、30bか
らの各出力線La、Lbを接点naにおいて接続した出
力線LAaは、接点NAを介して、常時メインアンプ4
0に接続され、プリアンプ30c、30dからの各出力
線Lc、Ldを接点nbにおいて接続した出力線LAb
は、スイッチSW1を介して接点NAに接続され、プリ
アンプ30e〜30hからの各出力線Le〜Lhを接点
ncにおいて接続した出力線LAcは、スイッチSW2
を介して接点NAに接続される。
【0129】したがって、プリアンプ30a、30bか
らの各増幅出力は、接点naにおいて加算合成され、プ
リアンプ30c、30dの各増幅出力は、接点nbにお
いて加算合成され、プリアンプ30e〜30hの各増幅
出力は、接点ncにおいて加算合成される。さらに、各
加算出力は、出力線LAa〜LAcを介して出力され
て、スイッチSW1、SW2のON/OFF状態に応じ
て、接点NAにおいて加算合成され、後段のメインアン
プ40に入力される。
【0130】ここで、プリアンプ30a〜30hから出
力線La〜Lhを介して出力される各増幅出力は、略同
一の条件下(略同一の検知エリアを略同時に監視)で得
られた検出信号に基づく信号であるので、これらの出力
線La〜Lhを接点na〜nc、及び、NAにおいて結
合接続することにより、各増幅出力が積算されて信号対
ノイズ比(SN比;以下、「S/N」と記す)が改善さ
れた出力を得ることができる。
【0131】(ル)スイッチ制御部71 スイッチ制御部71は、例えば、信号処理部PROから
の指令に基づいて、信号増幅部AMPにおける、スイッ
チSW1、SW2のON/OFF状態を制御して、プリ
アンプ30a〜30hからの出力線La〜Lhの接続状
態(以下、「加算増幅処理の設定状態」という)を切り
換え制御する。
【0132】上述したように、本実施形態に係る火災検
知器においては、プリアンプ30a〜30hからの増幅
出力を加算し、メインアンプ40により増幅した加算増
幅出力を用いて、上述した火災判定処理が実行される。
また、周期的、あるいは、外部からの試験指令に基づい
て、検知センサ前方に配置された透光性窓11の汚損状
態を検出し、該汚損状態に応じて、試験光源の発光エネ
ルギーが設定制御されるとともに、信号増幅部AMPに
おける加算増幅処理の設定状態が切り換え制御されて、
火災検知器としての検知感度が適切に設定される。
【0133】ここで、本実施形態に係る火災検知器にお
ける増幅作用について、図面を参照して詳しく説明す
る。図15は、本実施形態に係る火災検知器に適用され
る加算増幅部における設定状態を示す状態図である。こ
こでは、図13に示した火災検知器の構成を適宜参照し
ながら説明する。
【0134】本実施形態に係る火災検知器においては、
センサ部SENに備えられた各受光素子10a〜10h
が略均一な検知感度特性を有し、かつ、略同一の検知エ
リアを略同時に監視するので、各受光素子10a〜10
hから出力される検出信号Sa〜Shは、略同等(Sa
≒Sb≒Sc≒Sd≒Se≒Sf≒Sg≒Sh)な信号
として得られる。そして、検出信号Sa〜Shから所定
の周波数帯域の信号成分Aa〜Ahを抽出し、各プリア
ンプ30a〜30h及びメインアンプ40により増幅処
理する場合、各信号成分Aa〜Ahは、各プリアンプ3
0a〜30hに設定された増幅率で信号増幅される。な
お、本実施形態においては、各プリアンプ30a〜30
hの増幅率は、全て同一であるものとして説明する。
【0135】ここで、図15(a)に示すように、スイ
ッチSW1、SW2がOFF状態にあるときには、各プ
リアンプ30a、30bの各出力線La、Lbは、接点
naを介して接点NAにおいて結合接続されているの
で、各プリアンプ30a、30bからの増幅出力は、加
算合成(すなわち、積算)されて、略同一の帯域に現れ
る本来の火災検出成分の信号レベルが、概ね2倍に増大
されてメインアンプ40に出力される。
【0136】一方、各プリアンプ30a、30bからの
増幅出力に含まれるノイズ成分は、各出力線La、Lb
を接点naにおいて結合接続した構成により、加算合成
(積算)されて、上記本来の火災検出成分の信号レベル
に比較して、相対的に増大率が抑制されて出力される。
したがって、火災判定処理における本来の火災検出成分
へのノイズ成分の影響を大幅に抑制することができる。
【0137】このように、本実施形態に示した信号増幅
部AMPにより、本来の火災検出成分のみを増大させ、
かつ、ノイズ成分を相対的に抑制することができるの
は、各受光素子10a〜10hにおける本来の火災検出
成分相互が、同一の被検出体(炎)を同時に検出してい
ることにより密接な相関を有しているのに対して、ノイ
ズ成分相互には相関が比較的少ないことに基づくもので
ある。
【0138】そして、センサ部SENの前方に配置され
た透光性窓11の汚損状態が進行して、信号処理部PR
Oに送出される受光出力レベルが所定値以下になった場
合には、スイッチ制御部71によりスイッチSW1をO
N状態に切り換えることにより、図15(b)に示すよ
うに、プリアンプ30a〜30dの各出力線La〜Ld
が、接点na、nbを介して接点NAにおいて結合接続
(加算合成)された構成となるので、本来の火災検出成
分の出力レベルが、概ね2倍に増大されてメインアンプ
40に出力される。
【0139】同様に、図15(c)に示すように、スイ
ッチSW1、SW2をON状態に切り換えることによ
り、各プリアンプ30a〜30hの各出力線La〜Lh
が、接点NAにおいて結合接続(加算合成)された構成
となるので、本来の火災検出成分の出力レベルが、概ね
4倍に増大されてメインアンプ40に出力される。
【0140】したがって、透光性窓11の汚損状態に応
じて、スイッチSW1、SW2を切り換え制御すること
により、各プリアンプ30a〜30h及びメインアンプ
40の増幅率を変化(増大)させることなく、所望の信
号レベルに増幅された受光出力レベルを得ることができ
る。また、このような信号成分Aa〜Ahを加算増幅し
た場合におけるS/Nは、一般に、m=8個の受光素子
からの出力を加算合成(積算)することにより、√8倍
に向上することができる。
【0141】したがって、複数の受光素子からの検出出
力を加算増幅することにより、従来と同等の信号増幅率
を実現するためにメインアンプ40に必要とされる増幅
率を低減することができるとともに、本来の火災検出成
分のみを良好に増幅させて、本来の火災検出成分をより
顕在化させることができ、信号処理部PROに入力され
る加算増幅出力のS/Nを大幅に改善して、より正確な
火災判定処理を行うことができる。
【0142】なお、本実施形態においては、多素子から
なるセンサ部SEN及びフィルタ部FLTを、単一の受
光出力処理回路を有する第1の実施形態に係る火災検知
器(図1)に適用した例について説明したが、本発明は
この構成に限定されるものではなく、第2及び第3の実
施形態に適用したものであっても良い。また、上述した
各実施形態に係る火災検知器は、火炎を観測して得られ
る輻射エネルギーを検出することにより火災の発生を判
定するものであれば、どのような空間に設置されるもの
であってもよく、上述したトンネル内壁面に設置される
火災検知器に限定されるものではない。
【0143】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
火災判定用の検知センサが収納された透光性窓の汚損に
よる火災検知機能の低下を自動的に補償する汚損補償機
能を備えた火災検知器において、上記透光性窓内に配設
された汚損検出用検知センサに対して、試験光源から投
光される試験光の発光エネルギーが、透光性窓の汚損状
態に応じて可変的に設定制御されるので、透光性窓の汚
損状態により、汚損検出用検知センサによる試験光の検
知出力が微弱な状態になった場合であっても、試験光源
の発光エネルギーを増加するように変更設定することに
より、透光性窓の汚損状態を適切に検出することがで
き、透光性窓の汚損状態に応じた検知感度を適切に設定
する汚損補償処理を実行して、良好な火災検知機能を維
持、保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る火災検知器の第1の実施形態を示
す概略ブロック図である。
【図2】本実施形態に係る火災検知器に適用される信号
処理部の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本実施形態に係る火災検知器の汚損補償処理に
適用される、試験光源LGTの発光レベルと受光相対出
力、透光性窓11の汚損段階との相関関係の一例を示す
相関テーブルである。
【図4】従来技術における汚損補償処理に発光レベルと
受光相対出力、透光性窓の汚損状態との相関関係を示す
相関テーブルである。
【図5】図4に示した相関テーブルを適用した場合の汚
損段階と受光相対出力との関係を示す相関図である。
【図6】図3に示した相関テーブルを適用した場合の汚
損段階と受光相対出力との関係を示す相関図である。
【図7】本実施形態に係る火災検知器の機能試験モード
(初期登録処理状態及び汚損補償処理状態)を示す機能
ブロック図である。
【図8】本実施形態に係る火災検知器の火災監視モード
(火災判定処理)を示す機能ブロック図である。
【図9】本実施形態に係る火災検知器に適用される火災
監視モードから機能試験モードへの移行の手順を示すフ
ローチャートである。
【図10】本実施形態に係る火災検知器に適用される汚
損補償処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る火災検知器の第2の実施形態を
示す概略構成図である。
【図12】本発明に係る火災検知器の第3の実施形態を
示す概略構成図である。
【図13】本発明に係る火災検知器の第4の実施形態を
示す概略構成図である。
【図14】本実施形態に係る火災検知器に適用されるセ
ンサ部の構成例及び受光素子の配置例を示す図である。
【図15】本実施形態に係る火災検知器に適用される加
算増幅部における設定状態を示す状態図である。
【図16】従来、一般的に使用されているトンネル用火
災検知器の概略構成図である。
【図17】トンネル内に生じる気流と、従来技術におけ
る火災検出器への汚れの付着状態との関係を示す概略断
面図である。
【図18】汚損補償処理を適用した輻射式(光学式)の
火災検知器の概略構成を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
11 透光性窓 12 試験光透光性窓 10、10A、10B、10a〜10h 受光素子 20、20A、20B、20a〜20h 周波数フ
ィルタ 30、30A、30B、30a〜30h プリアン
プ 40、40A、40B、 メインアンプ 50、50A、50B A/D変換部 60A 火災判定部 60B 汚損判定部 61 相関テーブル 62 記憶部 63 発光レベル制御部 70 増幅制御部 71 スイッチ制御部 80 試験光源制御部 LGT 試験光源 SEN、SENA、SENB センサ部 FLT、FLTA、FLTB フィルタ部 AMP、AMPA、AMPB 信号増幅部 CIRA、CIRB 受光出力処理回路 PRO 信号処理部 SW1、SW2 スイッチ
フロントページの続き Fターム(参考) 2G065 AB02 AB27 BA13 BC10 BC14 BC21 BC28 BC33 BC35 CA29 DA01 DA06 5C085 AA13 AB01 AC14 BA14 CA02 CA13 CA25 DA17 EA08 EA38 FA35 5C087 AA02 AA03 BB06 CC02 CC36 DD04 EE09 FF04 GG03 GG08 GG19 GG23

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透光性窓内に配設され、光エネルギーを
    電気信号に変換する検知センサと、該検知センサからの
    検知信号に基づいて、所定の火災判定処理を実行する火
    災判定手段と、前記透光性窓内に配設された汚損検出用
    検知センサと、所定の試験光源から投光した試験光を前
    記透光性窓を介して、前記汚損検出用検知センサに受光
    させることにより、前記透光性窓の汚損状態を検出し、
    所定の汚損補償処理を実行する汚損補償手段と、を備え
    た火災検知器において、 前記汚損補償手段は、前記透光性窓の汚損状態に応じ
    て、前記試験光源から投光される前記試験光の発光エネ
    ルギーを可変制御することを特徴とする火災検知器。
  2. 【請求項2】 前記汚損補償手段は、前記透光性窓が
    無汚損状態のときに前記汚損検出用検知センサから出力
    される出力信号の信号レベルを基準値として、所定の発
    光エネルギーを有する前記試験光を受光し、前記汚損検
    出用検知センサから出力される前記出力信号の前記基準
    値に対する相対値が、前記所定の発光エネルギーに対応
    する所定のしきい値範囲内にあるか否かを判定し、該判
    定結果に基づいて、前記発光エネルギーを可変制御する
    ことを特徴とする請求頃1記載の火災検知器。
  3. 【請求項3】 前記汚損補償手段は、前記出力信号の相
    対値のしきい値範囲と前記透光性窓の汚損段階とを関連
    付けた相関テーブルを備え、該相関テーブルに基づい
    て、前記透光性窓の汚損段階を判定し、該判定された汚
    損段階に応じた所定の汚損補償処理を実行することを特
    徴とする請求頃2記載の火災検知器。
  4. 【請求項4】 前記汚損補償手段は、少なくとも、前記
    透光性窓が無汚損状態のときに前記汚損検出用検知セン
    サから出力される出力信号の信号レベル、及び、前記可
    変制御された発光エネルギーに関する情報を記憶する記
    憶部を備えていることを特徴とする請求頃2又は3記載
    の火災検知器。
  5. 【請求項5】 前記検知センサ及び前記汚損検出用検知
    センサは、単一のセンサ素子により構成されていること
    を特徴とする請求項1乃至4記載の火災検知器。
  6. 【請求項6】 前記検知センサ及び前記汚損検出用検知
    センサは、独立した別個のセンサ素子により構成されて
    いることを特徴とする請求項1乃至4記載の火災検知
    器。
  7. 【請求項7】 前記試験光源は、火炎特有のちらつき周
    波数で発光駆動されることを特徴とする請求項1乃至6
    のいずれかに記載の火災検知器。
  8. 【請求項8】 前記試験光源は、火炎特有のちらつき周
    波数と異なる周波数で発光駆動されることを特徴とする
    請求項1乃至6のいずれかに記載の火災検知器。
  9. 【請求項9】 前記試験光源の発光波長帯域は、火災判
    定処理時に前記検知センサにより検出される波長帯域と
    は異なることを特徴とする請求項6又は8記載の火災検
    知器。
  10. 【請求項10】 透光性窓内に配設され、光エネルギー
    を電気信号に変換する検知センサと、該検知センサから
    の出力信号に基づいて、所定の火災判定処理を実行する
    火災判定手段と、前記透光性窓内に配設された汚損検出
    用検知センサと、を備え、所定の試験光源から投光した
    試験光を前記透光性窓を介して、前記汚損検出用検知セ
    ンサに受光させることにより、前記透光性窓の汚損状態
    を検出し、所定の汚損補償処理を実行する火災検知器の
    汚損補償方法において、 前記汚損補償処理は、前記透光性窓の汚損状態に応じ
    て、前記試験光源から投光される前記試験光の発光エネ
    ルギーを可変制御する手順を有していることを特徴とす
    る火災検知器の汚損補償方法。
  11. 【請求項11】 前記汚損補償処理は、 前記透光性窓が無汚損状態のときに前記汚損検出用検知
    センサから出力される出力信号の信号レベルを基準値と
    して、所定の発光エネルギーを有する前記試験光を受光
    し、前記汚損検出用検知センサから出力される前記出力
    信号の前記基準値に対する相対値が、前記所定の発光エ
    ネルギーに対応する所定のしきい値範囲内にあるか否か
    を判定する手順と、 前記相対値が前記しきい値範囲外の場合には、前記発光
    エネルギーを可変制御する手順と、 を有していることを特徴とする請求頃10記載の火災検
    知器の汚損補償方法。
  12. 【請求項12】 前記汚損補償処理は、少なくとも、前
    記可変制御された発光エネルギーに関する情報を記憶す
    る手順を有していることを特徴とする請求頃10又は1
    1記載の火災検知器の汚損補償方法。
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