JP2002193719A - ヨウ素−シクロデキストリン包接化物の製造方法 - Google Patents

ヨウ素−シクロデキストリン包接化物の製造方法

Info

Publication number
JP2002193719A
JP2002193719A JP2000401225A JP2000401225A JP2002193719A JP 2002193719 A JP2002193719 A JP 2002193719A JP 2000401225 A JP2000401225 A JP 2000401225A JP 2000401225 A JP2000401225 A JP 2000401225A JP 2002193719 A JP2002193719 A JP 2002193719A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
iodine
cyclodextrin
clathrate
mol
amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000401225A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisashi Suzuki
久之 鈴木
Osamu Koshikawa
修 越川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippoh Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Nippoh Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippoh Chemicals Co Ltd filed Critical Nippoh Chemicals Co Ltd
Priority to JP2000401225A priority Critical patent/JP2002193719A/ja
Publication of JP2002193719A publication Critical patent/JP2002193719A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 異なる包接量のヨウ素−シクロデキストリン
包接化物を簡便に製造する方法を提供する。 【解決手段】 ヨウ素溶解助剤含有溶液に、ヨウ素1モ
ル:ヨウ素含有助剤1.5〜5モルの割合で溶解し、こ
れにヨウ素1モルに対して0.67〜100モルのシク
ロデキストリンを添加してヨウ素−デキストリン包接化
合物を析出させることを特徴とする、ヨウ素−シクロデ
キストリン包接化物の製造方法である。本発明によれ
ば、異なるヨウ素包接量のヨウ素−シクロデキストリン
包接化物を簡便に製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヨウ素−シクロデ
キストリン包接化物の製造方法に関し、より詳細には、
ヨウ素−シクロデキストリン包接化物の製造工程で発生
する廃液を、ヨウ素溶解助剤含有溶液として再使用す
る、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物の製造方法、
およびヨウ素を高濃度に包接するヨウ素−シクロデキス
トリン包接化物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ヨウ素は殺菌・防カビ・消毒
・防腐剤としての効用は公知である。しかしながら、ヨ
ウ素自身は水に難溶性のためヨードチンキのようにヨウ
化カリウムを加えて水溶化したり、グリセリン、ポリビ
ニルピロリドン等とコンプレックスを形成させ製剤化す
ることが多かった。このため、従来のヨウ素製剤はいず
れも液状であり、用途によっては扱い難く、更にヨウ素
自身は常温においても揮発しやすく保存には注意を要す
る等の欠点があり実際の用途は制限されていた。
【0003】このような観点から、ヨウ素をβ−シクロ
デキストリンで包接した化合物が開発され、各種の用途
に使用されている。例えば、特開昭51−88625号
公報には、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物を用い
た消臭、殺菌剤が、特開昭51−100892号公報に
は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物を用いた殺
菌、防腐包装紙が、特開昭51−112538号公報に
は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物を過酸化水素
と併用する食品の殺菌、漂白方法が、特開昭51−11
8643号公報には、ヨウ素−シクロデキストリン包接
化物を用いた植物栽培用温床紙が、特開昭51−118
859号公報には、ヨウ素−シクロデキストリン包接化
物を含むグレーズが開示されている。
【0004】一方、このように有用なヨウ素−シクロデ
キストリン包接化物は、シクロデキストリンと水溶化し
たヨウ素とを混合する方法が一般的である。例えば、特
開昭51−88625号公報には、β−シクロデキスト
リンはヨウ素と最高で約等モル比の包接体を形成するこ
とが記載されている。このため、包接方法として理論当
量より過剰のヨウ素を水に加えてこれにヨウ素を水に溶
かす目的で少量のヨウ化カリウムを加えてヨウ素を溶解
し、次いで理論当量のβ−シクロデキストリンを加えて
撹拌し、加温後放置する方法が開示されている。これに
よってヨウ素を包接したβ−シクロデキストリンが沈殿
するため、ロ過後洗浄して付着するヨウ素を除去し、通
気乾燥または減圧乾燥して目的物たるヨウ素−シクロデ
キストリン包接化物が得られる。具体的には、実施例で
は、ヨウ素とヨウ化カリウムとを約等モル溶解した水溶
液に、β−シクロデキストリンをヨウ素と等モル加えて
撹拌し、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物を合成し
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報記載の方法でヨウ素−シクロデキストリン包接化物を
製造すると、沈殿したヨウ素−シクロデキストリン包接
化物をスラリーから分離することが困難であり、回収率
が低下する場合がある。
【0006】また、ヨウ素は水への溶解が困難であり、
このためヨウ素溶解助剤としてヨウ化カリウムを使用し
ているが、上記公報記載の方法ではヨウ素の溶解に長持
間を必要とし、迅速なヨウ素−シクロデキストリン包接
化物の製造工程における律速段階となっている。
【0007】また、上記方法で製造したヨウ素−シクロ
デキストリン包接化物の構造は不明であって、理論的に
はシクロデキストリン1モルに対して1モルのヨウ素が
包接され、ヨウ化カリウムは廃棄されている。しかしな
がら、ヨウ素元素は、天然資源であり、存在量が極めて
制限された元素であることから、使用済みのヨウ化カリ
ウム溶液を、そのまま廃棄することは不利である。
【0008】また、上記方法では、ヨウ素とヨウ素溶解
助剤とシクロデキストリンとをそれぞれ等モルづつ混合
しているが、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物に含
まれるヨウ素の包接量を調整することは困難である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、ヨウ素−シ
クロデキストリン包接化物について詳細に検討した結
果、ヨウ素とヨウ素溶解助剤との比率を特定範囲にする
と極めてヨウ素の溶解性に優れること、ヨウ素に対する
シクロデキストリン量を調整することで極めて広範囲に
ヨウ素含有量を異ならせたヨウ素−シクロデキストリン
包接化物が製造できること、シクロデキストリン添加後
に得られたスラリーを一時的に加熱すると、析出したヨ
ウ素−シクロデキストリン包接化物のスラリーからの分
離が極めて操作性が向上すること、目的物の定量分析の
結果、得られたヨウ素−シクロデキストリン包接化物に
はヨウ素溶解助剤が含まれず、このため析出物の分離液
は、ヨウ素溶解助剤として再使用できることを見出し、
本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の
(1)〜(11)を提供することを目的とする。
【0010】(1) ヨウ素溶解助剤含有溶液に、ヨウ
素1モル:ヨウ素含有助剤1.5〜5モルの割合で溶解
し、これにヨウ素1モルに対して0.67〜100モル
のシクロデキストリンを添加してヨウ素−デキストリン
包接化合物を析出させることを特徴とする、ヨウ素−シ
クロデキストリン包接化物の製造方法。
【0011】(2) 更に、該ヨウ素−デキストリン包
接化合物を析出させて得た分離液を、ヨウ素溶解助剤含
有溶液として再使用することを特徴とする、上記(1)
記載の製造方法。
【0012】(3) シクロデキストリンを添加して得
たスラリーを温度80〜100℃に加熱したのちに冷却
して該ヨウ素−デキストリン包接化合物を析出させるこ
とを特徴とする、上記(1)または(2)記載の製造方
法。
【0013】(4) 該析出物の分離が、遠心分離によ
るものである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の
製造方法。
【0014】(5) 該ヨウ素溶解助剤が、水素原子又
はアルカリ金属またはアルカリ土類金属とハロゲン原子
とのハロゲン化物である、上記(1)〜(4)のいずれ
かに記載の製造方法。
【0015】(6) 該ハロゲン原子が、塩素、臭素ま
たはヨウ素である、上記(5)記載の製造方法。
【0016】(7) 該ハロゲン化物が、ヨウ化ナトリ
ウムまたはヨウ化カリウムである、上記(5)記載の製
造方法。
【0017】(8) シクロデキストリンが、α−シク
ロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロ
デキストリンおよびこれらの化学修飾体からなる群から
選ばれる1種以上である、上記(1)〜(7)のいずれ
かに記載の製造方法。
【0018】(9) ヨウ素をシクロデキストリン中
に、ヨウ素1モル:シクロデキストリン0.67〜10
0モルの割合で包接する、ヨウ素−シクロデキストリン
包接化物。
【0019】(10) ヨウ素含有量が19〜25質量
%である、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物。
【0020】(11) 該シクロデキストリンが、β−
シクロデキストリンである、請求項9または10記載の
ヨウ素−シクロデキストリン包接化物。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の第一は、ヨウ素溶解助剤
含有溶液に、ヨウ素1モル:ヨウ素含有助剤1.5〜5
モルの割合で溶解し、これにヨウ素1モルに対して0.
67〜100モルのシクロデキストリンを添加してヨウ
素−デキストリン包接化合物を析出させることを特徴と
する、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物の製造方法
である。
【0022】本発明によれば、ヨウ素(I2)1モルに
対してヨウ素溶解助剤をヨウ素の1.5〜5モル倍使用
することでヨウ素の溶解性を向上させることができ、更
に該溶液にシクロデキストリンを所望する包接量となる
ように添加すると、ヨウ素1モルに対してシクロデキス
トリン0.67〜100モルの広い範囲で異なる包接量
のヨウ素−シクロデキストリン包接化物を製造すること
ができる。また、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物
は反応スラリー中に析出しているが、シクロデキストリ
ン添加後に一時的に加熱することで該析出物のダイラタ
ンシーを防止でき、これによって析出物分離操作を簡便
に行うことができる。以下、本発明を詳細に説明する。
【0023】本発明では、ヨウ素(I2)に対してヨウ
素溶解助剤をヨウ素の1.5〜5モル倍使用してヨウ素
を溶解させることを特徴とする。従来は、ヨウ素溶解助
剤1モルに対して等モルのヨウ素を溶解していたが、ヨ
ウ素の溶解性に劣るものであった。例えば、ヨウ素溶解
助剤量がヨウ素と等モルの場合には、常温でも加温して
もヨウ素の溶解に2日以上を必要としていたが、単にヨ
ウ素溶解助剤をヨウ素の1.5モル比以上5モル比以下
とすると、常温で30〜60分でヨウ素を全て溶解する
のである。
【0024】また、従来では、このような等モルづつの
溶液にシクロデキストリンを添加した場合のヨウ素の包
接量も不明であった。このため、例えばヨウ素溶解助剤
としてヨウ化カリウムを使用した場合には、KIとI2
によってKI3が形成され、これがそのままシクロデキ
ストリン内に包接されると考ることもできた。
【0025】しかしながら、ヨウ素とヨウ素溶解助剤量
を上記範囲に調整して溶解し、これにシクロデキストリ
ンを添加すると、結果的にI2がシクロデキストリンに
包接されることが判明した。しかも、ヨウ素とシクロデ
キストリンの包接量は等モルに限られず、シクロデキス
トリン量を調整することで所望の包接量に制御できるこ
とが判明したのである。すなわち、ヨウ素とβ−シクロ
デキストリンとが等モル比である場合には、ヨウ素の最
高濃度が、約18.3質量%(I2/シクロデキストリ
ン+I2)となるはずである。しかしながら、本発明に
よれば、20質量%を越えるヨウ素含量のヨウ素−シク
ロデキストリン包接化物が得られるのである。しかも該
ヨウ素−シクロデキストリン包接化物は、ヨウ素特有の
臭気を持たない。このようなことは従来全く知られてい
なかったことである。この理由については明確でない
が、従来と異なり、シクロデキストリン1モルに対して
1モルのヨウ素がそのまま包接される場合に限られず、
例えば2モルのシクロデキストリンが互いに向き合って
より大きな籠状体を形成し、この中にヨウ素が3モル包
接される場合が考えられる。
【0026】このようなヨウ素溶解助剤としては、水素
原子又はリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ
金属、またはマグネシウム、カルシウム,バリウムなど
のアルカリ土類金属と、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素な
どのハロゲン原子とのハロゲン化物が好ましく、該ハロ
ゲン原子が塩素、臭素またはヨウ素であることがより好
ましい。このようなヨウ素溶解助剤としては、塩酸、臭
化水素酸、ヨウ化水素酸、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カ
リウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ
化バリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグ
ネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、臭化ナトリ
ウム、臭化カリウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウ
ム、臭化バリウム等があり、これらのなかでもヨウ素の
溶解性に優れる点で、ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カ
リウムを使用することが好ましい。
【0027】本発明では、ヨウ素溶解助剤をヨウ素の
1.5〜5モル倍、より好ましくは1.5〜3.0モル
倍、特に好ましくは1.8〜2.2モル倍である。1.
5モル倍を下回るとヨウ素の溶解性に劣り、その一方、
5モル倍を越えてもヨウ素の溶解性に変化が少ないから
である。
【0028】本発明で使用するシクロデキストリンとし
ては、シクロデキストリンが、α−シクロデキストリ
ン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン
およびこれらの化学修飾体からなる群から選ばれる1種
以上のいずれでもよい。しかしながら、β−シクロデキ
ストリンを使用することが好ましい。ヨウ素−シクロデ
キストリン包接化物内へのヨウ素の包接量の調整が容易
だからである。
【0029】本発明では、上記範囲でヨウ素を溶解した
ヨウ素溶解助剤含有溶液に、ヨウ素1モルに対して0.
67〜100モルのシクロデキストリンを添加する。上
記のように、従来ではシクロデキストリンに対するヨウ
素の包接量は、等モルと考えられていたが、本発明では
シクロデキストリンの添加量を調整することで、ヨウ素
の包接量を広範囲に制御できるからである。添加するシ
クロデキストリン量は、より好ましくは0.67〜2
2.2モル、特に好ましくは0.67〜4.26モルで
ある。100モルを越えても、得られたヨウ素−シクロ
デキストリン包接化物内のヨウ素の包接量が少なく、シ
クロデキストリンとしての効果を奏することが困難であ
り、その一方、0.67モルを下回っても包接量を更に
増加させることが困難だからである。なお、シクロデキ
ストリンを添加すると目的物たるヨウ素−シクロデキス
トリン包接化物がスラリー中に析出するが、溶解を促進
するために撹拌することが好ましい。なお、溶液中に析
出したヨウ素−シクロデキストリン包接化物は沈殿する
ため、これを瀘別し、または遠心分離などによって分取
し、乾燥するとヨウ素−シクロデキストリン包接化物を
結晶又は粉末状で得ることができる。
【0030】この遠心分離は、目的物を分離できればよ
く、一般には400〜900G、10〜40分、より好
ましくは500〜800G、20〜50分、特に好まし
くは600〜700G、30〜60分である。
【0031】一方、本発明では、シクロデキストリンを
添加した溶液を温度80〜100℃に加温すると、その
後の沈殿物のダイラタンシーを極めて効果的に抑制でき
ることが判明した。特に好ましくは温度85〜95℃、
特に好ましくは温度88〜92℃である。該温度より低
い場合は加熱の効果が十分でなく、ダイラタンシーの抑
制が不十分である。その一方、該温度より高い場合は蒸
発したヨウ素蒸気が器壁にふれて冷却されヨウ素が析出
固着し操作に支障をきたす。ダイラタンシーは、比較的
大きい粒子のペーストが、急激な強い外力の作用で液体
を内部に吸い込んで膨脹し固化する現象であり、外力を
除けば再び流動性を回復する。すなわち、粒子のパッキ
ング状態が急激な外力によって一時的に変わることから
起こる現象である。上記加温処理を怠ると、ヨウ素−シ
クロデキストリン包接化物を分離する際にヨウ素−シク
ロデキストリン包接化物の湿ケーキのダイラタンシーを
おこし容易にサラサラの湿結晶を得ることができないば
かりか、このまま乾燥機で乾燥すると大きなインゴット
となり多大な手間が必要となる。このため、単に加熱処
理を行うだけで次工程の操作が簡便になることは、生産
効率の向上に対する貢献度が高い処理といえる。
【0032】このような加熱は、反応器外周を加熱ジャ
ケットで被覆し、これに上記液温となるように熱媒を循
環させるなどの方法で容易に行うことができる。この加
熱時間は、該高温になってから0〜3時間,より好まし
くは0〜2時間、特には、0〜1時間である。3時間を
超えてもダイラタンシー抑制効果に変化が少なく、生産
効率をおとす。
【0033】また、加熱後の析出物を含むスラリーは、
沈殿物を析出させるために、温度0〜40℃、より好ま
しくは5〜30℃、特には10〜20℃に冷却する。冷
却後に得た析出物は、上記と同様に遠心分離によって分
取することができる。また、分取後の析出物を水洗して
もよく、付着するヨウ素やヨウ素溶解助剤を除去するこ
とができる。
【0034】本発明では、更に、該ヨウ素−デキストリ
ン包接化合物を析出させて得た分離液を、ヨウ素溶解助
剤含有溶液として再使用することが好ましい。上記のよ
うに、本発明ではヨウ素とヨウ素溶解助剤とを特定範囲
で溶解した結果、これにシクロデキストリンを所望量添
加することで、所望の包接量のヨウ素を包接するヨウ素
−シクロデキストリン包接化物を得る事ができる。重要
なことは、該ヨウ素−シクロデキストリン包接化物は、
シクロデキストリン内にヨウ素のみを包接するものであ
ることが明確となり、これはヨウ素の包接量やヨウ素溶
解助剤の使用量によっても変化しないのである。このこ
とによって、上記析出物を分取した後の分離液には、ヨ
ウ素−シクロデキストリン包接化物製造工程の当初に添
加したと同量のヨウ素溶解助剤が含まれることが判明
し、よってこれを連続的な製造工程で再利用すると、新
たにヨウ素とシクロデキストリンとを供給するだけで、
極めて生産性の高いヨウ素−シクロデキストリン包接化
物を製造できるのである。しかも、上記のように、シク
ロデキストリンに対するヨウ素の包接量は、ヨウ素溶解
助剤の使用量には何ら影響を生じないため、同一ライン
で、添加するシクロデキストリン量を変化させるだけ
で、異なる包接量のヨウ素−シクロデキストリン包接化
物を製造することができるのである。
【0035】なお、本発明によれば、溶液中のヨウ素の
大半がシクロデキストリンに包接され、分離液に残存す
るヨウ素量は極めて少なくなっている。このため、ヨウ
素−シクロデキストリン包接化物を遠心分離機などによ
って分離する際にも未反応のヨウ素がヨウ素−シクロデ
キストリン包接化物に残存することなく、かつヨウ素特
有の臭気も無くなり、乾燥時に周辺器機を腐食すること
無く作業性・作業環境も良好になるなどの利点もある。
【0036】以下、本発明の好ましい態様の一例を、ヨ
ウ素溶解助剤としてKIを使用し、シクロデキストリン
としてβ−シクロデキストリンを使用してβ−シクロデ
キストリン1モルに対して1モルのヨウ素を包接したヨ
ウ素−シクロデキストリン包接化物を製造する場合を、
図1を用いて説明する。
【0037】まず、ヨウ素−シクロデキストリン包接化
物製造の第1サイクルとして、水にヨウ素溶解助剤であ
るKI2モルを室温で撹拌して溶解し、これにヨウ素1
モルを添加し、撹拌して溶解する。これにβ−シクロデ
キストリン1モルを添加した後、温度90℃に加温し0
〜3時間維持する。ついで、該溶液を温度17℃に冷却
するとβ−シクロデキストリン1モル当たりヨウ素を1
モル包接したヨウ素−シクロデキストリン包接化物が析
出するため、これを600Gで30分遠心してヨウ素−
シクロデキストリン包接化物を分取し、同時に分離液を
得る。一方、該ヨウ素−シクロデキストリン包接化物は
更に水で洗浄し、洗浄液を先の分離液に合わせる。この
分離液には、KI2モルが含まれるため、これをヨウ素
溶解助剤として使用し、ヨウ素を溶解して第2サイクル
を行う。なお、第1サイクルで得たヨウ素−シクロデキ
ストリン包接化物は、その後乾燥して、結晶又は粉末状
のヨウ素−シクロデキストリン包接化物とすることがで
きる。
【0038】なお、第2サイクルでは、ヨウ素に対する
シクロデキストリン量を第1サイクルと異ならせてもよ
く、これによって同一装置を使用して異なる包接量のヨ
ウ素−シクロデキストリン包接化物を製造することがで
きる。
【0039】本発明では、上記のように特にKI溶液を
再利用することで連続的なヨウ素−シクロデキストリン
包接化物の製造が可能であり、第2サイクル以降では、
ヨウ素とシクロデキストリンとを供給するだけで目的物
であるヨウ素−シクロデキストリン包接化物を製造する
ことができる。
【0040】本発明の第二は、ヨウ素をシクロデキスト
リン中に、ヨウ素1モル:シクロデキストリン0.67
〜100モルの割合で包接する、ヨウ素−シクロデキス
トリン包接化物である。上記のように、本発明の製造方
法によれば、シクロデキストリンの添加量を調整するこ
とで所望の包接量のヨウ素−シクロデキストリン包接化
物が得られる。この際、シクロデキストリンとしては、
β−シクロデキストリンであることが好ましい。ヨウ素
の放出量の保持および放出の制御が容易だからである。
なお、該ヨウ素−シクロデキストリン包接化物は、ヨウ
素の包接量によって着色の程度に相違があるが、いずれ
もヨウ素特有の臭気は持たないものである。
【0041】本発明のヨウ素−シクロデキストリン包接
化物は、ヨウ素の消臭・殺菌剤としての用途拡大に寄与
するものである。特に、即効性及び又は除効性を有する
ヨウ素含有消臭・殺菌剤となる。また、無臭・低刺激性
のヨウ素製剤として使用することもできる。
【0042】また、ヨウ素−シクロデキストリン包接化
物からのヨウ素の放出方法としては高温にすること、水
と接触させること、ヨウ素を消費するものと接触させる
ことなどがある。
【0043】
【実施例】以下に、実施例により本発明を詳細に説明す
る。 (実施例1)200lGL反応機に水100リットル及
びヨウ化カリウム9.88kg(59.5モル)を仕込
み常温で溶解した。次いで粉末ヨウ素7.56kg(2
9.8モル)を仕込み60分間撹拌して溶解した。
【0044】これにβ−シクロデキストリン22.68
kg(20モル)を仕込み、常温で30分間撹拌した後
90℃まで加温し直ちに冷却して20℃とした。
【0045】析出したヨウ素−β−シクロデキストリン
包接化物を遠心分離し付着している分離液を水洗し得ら
れた湿結晶ヨウ素−β−シクロデキストリン包接化物を
200lGLコニカルドライヤー中、4.7kPa、7
5℃、2時間乾燥した。これによって乾品ヨウ素−β−
シクロデキストリン包接化物28.92kg(収率9
5.6質量%)を得た。このもののヨウ素量は、22.
4質量%であり、ヨウ素特有の臭気は感じられなかっ
た。
【0046】(実施例2)実施例1で得られた分離液と
洗液とを100リットルに濃縮してヨウ素溶解助剤含有
溶液として使用し、ヨウ化カリウムを新たに仕込まない
以外は実施例1と同様に処理してヨウ素−β−シクロデ
キストリン包接化物乾品28.91kg(収率95.6
質量%)、ヨウ素含有量22.2質量%を得た。
【0047】(参考例:抗菌性テスト) 使用菌株:Escherichia coli.HB1
01株 被検薬剤:ヨウ素−β−シクロデキストリン包接化物
(ヨウ素量22.4質量%:CD−Iと略記)、ポピド
ンヨード(PVPI)、トロイケミカル社製ヨウ素製
剤、商品名「TROYSAN」の3種を使用して、実施
例1で得たヨウ素−β−シクロデキストリン包接化物の
抗菌性を試験した。
【0048】生理的食塩水混分−平板法:滅菌した生理
的食塩水に所定の濃度に被検薬剤を溶解し1000pp
mより2倍希釈系列をつくり、TROYSANは初期液
として飽和液(<156ppm、20℃)を使用した。
これらに大腸菌希釈液を混合(1×107個/ml)
し、室温下(25℃)、10分間放置した後、この混合
液を普通カンテン培地に接種し(1×106個/pla
te)し、37℃、18時間培養後、平板上のコロニー
数を測定した。結果を表1に示す。
【0049】ヨウ素系殺菌剤の抗菌力評価は、混合系か
表面系かでその結果は大きく異なる場合があるが、本実
験では10分間の接触において99.9%の菌を死滅さ
せる濃度を基準とした場合CD−I、PVPIの有効な
発育阻止濃度はいずれも125ppmであった。又、T
ROYSANは抗菌性を示さなかった。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、ヨウ素(I2)1モル
に対してヨウ素溶解助剤をヨウ素の1.5〜5モル倍使
用することでヨウ素の溶解性を向上させることができ、
更に該溶液にシクロデキストリンを所望する包接量とな
るように添加すると、ヨウ素1モルに対してシクロデキ
ストリン0.67〜100モルの広い範囲で異なる包接
量のヨウ素−シクロデキストリン包接化物を製造するこ
とができる。
【0052】また、ヨウ素−シクロデキストリン包接化
物は反応スラリー中に析出するが、シクロデキストリン
添加後に一時的に加熱することで該析出物のダイラタン
シーを防止でき、これによって析出物分離操作を簡便に
行うことができる。
【0053】本発明によれば、異なるヨウ素包接量のヨ
ウ素−シクロデキストリン包接化物を簡便に製造するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の製造方法の好ましい態様の一例を
示す製造フロー図である。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヨウ素溶解助剤含有溶液に、ヨウ素1モ
    ル:ヨウ素含有助剤1.5〜5モルの割合で溶解し、こ
    れにヨウ素1モルに対して0.67〜100モルのシク
    ロデキストリンを添加してヨウ素−デキストリン包接化
    合物を析出させることを特徴とする、ヨウ素−シクロデ
    キストリン包接化物の製造方法。
  2. 【請求項2】 更に、該ヨウ素−デキストリン包接化合
    物を析出させて得た分離液を、ヨウ素溶解助剤含有溶液
    として再使用することを特徴とする、請求項1記載の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 シクロデキストリンを添加して得たスラ
    リーを温度80〜100℃に加熱したのちに冷却して該
    ヨウ素−デキストリン包接化合物を析出させることを特
    徴とする、請求項1または2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 該析出物の分離が、遠心分離によるもの
    である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 該ヨウ素溶解助剤が、水素原子又はアル
    カリ金属またはアルカリ土類金属とハロゲン原子とのハ
    ロゲン化物である、請求項1〜4のいずれかに記載の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 該ハロゲン原子が、塩素、臭素またはヨ
    ウ素である、請求項5記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 該ハロゲン化物が、ヨウ化ナトリウムま
    たはヨウ化カリウムである、請求項5記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 シクロデキストリンが、α−シクロデキ
    ストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキス
    トリンおよびこれらの化学修飾体からなる群から選ばれ
    る1種以上である、請求項1〜7のいずれかに記載の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 ヨウ素をシクロデキストリン中に、ヨウ
    素1モル:シクロデキストリン0.67〜100モルの
    割合で包接する、ヨウ素−シクロデキストリン包接化
    物。
  10. 【請求項10】 ヨウ素含有量が19〜25質量%であ
    る、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物。
  11. 【請求項11】 該シクロデキストリンが、β−シクロ
    デキストリンである、請求項9または10記載のヨウ素
    −シクロデキストリン包接化物。
JP2000401225A 2000-12-28 2000-12-28 ヨウ素−シクロデキストリン包接化物の製造方法 Withdrawn JP2002193719A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000401225A JP2002193719A (ja) 2000-12-28 2000-12-28 ヨウ素−シクロデキストリン包接化物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000401225A JP2002193719A (ja) 2000-12-28 2000-12-28 ヨウ素−シクロデキストリン包接化物の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002193719A true JP2002193719A (ja) 2002-07-10

Family

ID=18865697

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000401225A Withdrawn JP2002193719A (ja) 2000-12-28 2000-12-28 ヨウ素−シクロデキストリン包接化物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002193719A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006080307A1 (ja) * 2005-01-27 2006-08-03 Nippoh Chemicals Co., Ltd. 水性組成物
CN114917267A (zh) * 2022-04-25 2022-08-19 杭州西子卫生消毒药械有限公司 一种皮肤用含碘消毒剂及其制备方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006080307A1 (ja) * 2005-01-27 2006-08-03 Nippoh Chemicals Co., Ltd. 水性組成物
CN114917267A (zh) * 2022-04-25 2022-08-19 杭州西子卫生消毒药械有限公司 一种皮肤用含碘消毒剂及其制备方法
CN114917267B (zh) * 2022-04-25 2023-04-11 杭州西子卫生消毒药械有限公司 一种皮肤用含碘消毒剂及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5008106A (en) Method for reducing the microbial content of surfaces with a microbiocidal, anhydrous complex of PVP-H2 O2
CA2028354A1 (en) Substantially anhydrous complexes of pvp and h o
FR2472579A1 (fr) Complexes d'inclusion de l'acide 2-chlorethylphosphonique leur preparation et compositions regulatrices de la croissance des vegetaux qui contiennent ces complexes
JPH0471841B2 (ja)
US5462692A (en) Stable solid acetylperoxyborate compounds
JP2002193719A (ja) ヨウ素−シクロデキストリン包接化物の製造方法
US5139763A (en) Class of stable potassium monopersulfate compositions
JPH0427171B2 (ja)
EP2850056A1 (en) Activation of peroxygen bleach
JPH0788201B2 (ja) 滅菌・消臭用組成物及び滅菌・消臭方法
JP3601222B2 (ja) スチレンスルホン酸ナトリウム半水和物、それよりなる組成物及びその製造方法
JPH01190601A (ja) 包接化合物の製造方法
JP3554924B2 (ja) フリーヒドロキシルアミン水溶液の製造方法
JP6875763B1 (ja) クエン酸水素二銀及び/又はクエン酸二水素銀の製造方法並びにこれを用いた抗菌又は抗ウイルス溶液の製造方法
JP4270425B2 (ja) 安定性の優れた過酢酸溶液の製造方法
JP2002370902A (ja) ヨウ素−シクロデキストリン包接化物の顆粒およびその製造方法
JPH01190602A (ja) 包接化合物
US4112226A (en) Process for removing non-fluorescent triazine derivative impurities from fluorescent agents
CN116267919B (zh) 一种过硫酸氢钾复合物粉及其制备方法
JP7323876B2 (ja) クロピドグレル硫酸塩のi型結晶の製造方法
JP4310842B2 (ja) 抗菌剤およびその製造方法
JPH0157115B2 (ja)
JP2995576B2 (ja) 4,6―ジメトキシ―2―メタンスルホニルピリミジンの精製方法
JP4479863B2 (ja) N−モノブロモイソシアヌル酸金属塩水和物及びその製造法
JP2885431B2 (ja) 2―チオシアノメチルチオベンゾチアゾールの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20080304