JP2002172668A - キャビティ内流体の解析方法および装置 - Google Patents

キャビティ内流体の解析方法および装置

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JP2002172668A
JP2002172668A JP2000373988A JP2000373988A JP2002172668A JP 2002172668 A JP2002172668 A JP 2002172668A JP 2000373988 A JP2000373988 A JP 2000373988A JP 2000373988 A JP2000373988 A JP 2000373988A JP 2002172668 A JP2002172668 A JP 2002172668A
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Hideto Oi
秀人 大井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャビティ内の流体の流動過程において3次
元的で複雑な形状の成型品で微小要素数が多い場合で
も、計算精度を低くすることなく高速に解析を行うこと
ができる解析方法および装置を提供すること。 【解決手段】 解析対象を微小要素に分割した集合を複
数の部分集合領域に分割する。並列演算処理の電子計算
機を用いて、各部分集合領域ごとに別々の演算処理装置
により時間変化にともなう流体の流動状態を計算する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は射出成形の材料の流
動過程のようなキャビティ内流体の流動過程を解析する
解析方法、および解析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から金型内材料の流動過程をコンピ
ュータシミュレーションにより再現する射出成形過程等
の流体流動過程の解析方法は広く実用化されており、特
に射出成形過程の解析方法は、射出成形品の製品開発に
おいて高品質化、効率化、低コスト化に貢献している。
その解析方法は、3次元モデルの解析の場合、解を求め
る領域を四面体、六面体等の微小要素に分割し、流動初
期の状態から完了するまでの間に細かい時間増分を与
え、流体の充填状態の変化、温度分布、速度分布、及び
圧力分布の動的な変化を有限要素法や有限体積法などに
よって流動状態の近似解を求めるもので、例えば特許第
2998596号公報に記載の技術があげられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術では、キャ
ビティ内流体の流動解析で精度の高い解を求めようとす
ると、有限要素解析モデル内の微小要素を細かく分割す
る必要がある。また、本質的に非定常現象の解析である
ため、時間進行にしたがい充填状態の変化、温度分布、
流速分布、圧力分布といった流動の状態を計算する必要
がある。また、射出成形過程の流動解析を行う場合、解
析対象にはリブ、突起物、孔といったものがある場合が
多い。そのため解析対象となる材料流路の形状は往々に
して複雑なものとなる。
【0004】複雑な形状の流路内の流動解析において精
度の高い近似解を得るためには、解析対象を微小要素の
集合からなる有限要素モデルを作成する際に、解析対象
をより細かな微小要素に分割する必要がある。しかし解
析対象を細かな微小要素に分割すると有限要素モデルを
構成する微小要素の数が増大するため、必要とする計算
容量が大きくなるとともに1回の計算時間が大きくな
る。特に射出成形の解析は非定常状態の解析であり、流
体の充填時間の経過に応じて流体の充填の状態やその他
の状態を計算する。具体的には、細かい時間増分値を設
定し、流体の充填の開始から完了まで、この時間増分値
毎に時間を進めながら充填やその他の状態を逐次解析計
算をする。しかしながら、細かな微小要素に分割した場
合、文献「有限要素法流動解析(日科技連、1985年
発行)」に記されるように、非定常解析の安定条件を満
たすには時間増分値を小さくとらなければいけないた
め、計算を繰り返す回数が増大して著しく計算時間がか
かる。このように、複雑な形状を解析するには膨大な計
算容量と計算時間が必要となるために、実機による試作
をシミュレーションで代替し効率化をはかることの障害
となっていた。そのため従来は有限要素モデルを作成す
る際に、リブ、突起物を省略、または形状を簡略化する
ことで微小要素の数を少なくするとともに、時間増分値
を大きくすることで計算時間の短縮をはかっている。こ
れは形状が正確に再現されないため、計算の精度の低下
を伴う方法であった。
【0005】上記問題点に鑑み、本発明の目的は、複雑
形状の射出成形品のような複雑な形状のキャビティ内で
の流体の流動に対し、計算精度を損なうことなく計算時
間を短縮して解析を実行するキャビティ内の流体流動解
析方法、装置、および記憶媒体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のキャビティ内流
体の流動解析装置によれば、流体が流動するキャビティ
内の空間を複数の微小要素に分割した解析モデルを構築
する解析モデル構築手段と、構築した解析モデルを微小
要素の集合よりなる複数個の部分集合領域に分割する部
分集合分割手段と、各部分集合領域ごとに別々の演算処
理装置により時間変化にともなう流体の流動状態を計算
する流動状態解析手段とを有することを特徴とするキャ
ビティ内流体の流動解析装置が提供される。
【0007】また、本発明のキャビティ内流体の流動解
析装置の好ましい態様によれば、前記の部分集合分割手
段は、前記部分集合領域に含まれる充填流体の量が均等
になるように分割することを特徴とするキャビティ内流
体の流動解析装置が提供される。
【0008】また、本発明のキャビティ内流体の流動解
析装置の別の好ましい態様によれば前記部分集合分割手
段は、流体の流入ゲート数とフローフロントの長さとが
概略均等になるように分割するものであることを特徴と
する流動解析装置が提供される。
【0009】また、本発明のキャビティ内流体の流動解
析装置の好ましい態様によれば、前記部分集合分割手段
は、前記部分集合領域に含まれる充填流体のキャビティ
に接する部位の面積が概略均等となるように分割するも
のであることを特徴とするキャビティ内流体の流動解析
装置が提供される。
【0010】また、本発明のキャビティ内流体の流動解
析方法によれば、流体が流動するキャビティ内の空間を
複数の微小要素に分割した解析モデルを構築し、解析モ
デルを微小要素の集合よりなる複数個の部分集合領域に
分割し、前記各部分集合領域ごとに別々の演算処理装置
により時間変化にともなう流体の流動状態を計算するこ
とを特徴とするキャビティ内流体の流動解析方法が提供
される。
【0011】また、本発明によれば、キャビティ内流体
の流動解析方法の各手順を並列処理の電子計算機を用い
て実施できるように電子計算機を動作させるソフトウェ
アが提供される。
【0012】また本発明によれば、前記のソフトウェア
を記憶した記憶媒体が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明者らの知見によれば、科学
技術計算やデータベース検索に代表されるような大規模
データを高速に処理する計算で使用されている並列処理
の計算機は、(a)処理装置の数に比例して実行速度を
向上させられる点、(b)メモリを処理装置あるいは複
数個の処理装置群ごとに分散することで、大量のメモリ
を扱うことができ、大規模な問題を扱える点、などの理
由により流体の流動過程の解析に適用することが可能で
ある。
【0014】一般に計算機が扱う作業は並列化可能部分
と並列化不可能部分に分けられ、全体の作業に対する並
列化可能部分の割合を並列化率という。また、並列処理
では、処理装置の間で情報を交換するために通信を行
う。この通信と通信との間に処理装置がより大量の演算
を行うほうが、通信同期待ちや通信時間の損失が少なく
並列処理の効率が高くなるが、これを粒度が大きいとい
う。すなわち並列化率の高い作業ほど、また粒度の大き
い作業ほど、並列処理の計算機での作業に向いている。
また、実際に並列処理で作業を行う場合は、通信同期待
ちを少なくし、並列処理の効率を向上させるために、各
処理装置に均等に作業を配分することが重要である。
【0015】本発明者らの知見によれば、キャビティ内
流体の流動過程のような流体流動過程の解析に好ましく
使用される有限要素法の分野では並列化の手法として領
域分割法が利用しやすい。領域分割法はあらかじめ有限
要素解析モデルを複数個の部分集合に分け、各部分集合
を演算処理装置に割り当てる方法である。領域分割法は
並列化率が高く、また粒度が大きい方法である。また、
領域を均等に分割することで処理装置の負荷を均等にす
ることが可能で、並列処理の効率が高い。
【0016】以上の知見に基づき、本発明者らは以下に
詳説する本発明に至った。本発明のの流体流動過程の流
動解析方法、装置、記憶媒体の実施の形態を射出成形過
程を例にとって図面を参照しながら説明する。
【0017】図1は、本発明の流体流動過程の解析装置
のハードウェア構成例を示す図である。並列処理演算装
置100にデータ記憶装置200、形状データ入力装置
300、有限要素解析モデル入力装置400、境界条
件、初期条件入力装置500、出力装置500が接続さ
れている。さらに並列演算処理装置100はn個(nは
2以上の整数)の演算処理装置100−1〜100−n
から構成される。個々の演算処理装置100−i(iは
1以上n以下の整数)はさらに部分集合領域分割手段1
01−i(iは1以上n以下の整数)、剛性マトリック
ス作成手段102−i(iは1以上n以下の整数)およ
び流体流動状態計算手段103−i(iは1以上n以下
の整数)から構成される。例えば、解析する射出成形品
の解析モデルデータと境界条件、初期条件は形状データ
入力装置300により入力が受け付けられ、データ記憶
装置200に格納される。そしてこれをオペレータの指
示により並列処理演算装置100内の1つまたは複数の
演算処理装置が内部のRAM(ランダムアクセス可能な
揮発性メモリ)に読み込み、有限要素解析モデルを作成
し、部分集合領域に分割して解析を実行する。あるい
は、有限要素解析モデル入力装置400により有限要素
解析モデルデータの入力が受け付けられ、データ記憶装
置200に格納される。そしてこれをオペレータの指示
により並列処理演算装置100内の1つまたは複数の演
算処理装置が内部のRAM(ランダムアクセス可能な揮
発性メモリ)に読み込み、部分集合領域に分割して解析
を実行する。このようにメモリ上に解析モデルを作成し
たり、読み込んだりすることを解析モデルの構築とい
う。各演算処理装置が行った解析の結果は1つの演算処
理装置に集めて全体の解析結果として出力装置に出力す
る。この場合、各演算処理装置が各演算処理装置の解析
結果をそのまま出力装置に出力してもよい。さらに必要
に応じて、オペレータが境界条件、初期条件を変更して
再び解析ができる。また、解析結果の出力は別途用意し
たプリンタ装置に対して行ってもよく、データ記憶装置
200に格納してもよい。この場合は別の解析装置の入
力データとしてこの出力を利用することもできる。
【0018】図2は本実施形態の各手順の例を示したフ
ローチャートである。
【0019】射出成形過程の解析では、まずはじめに、
例えば図3に示すような成型品の形状を図4に示すよう
な微小要素に分割して射出成型品の有限要素解析モデル
データを入力する(ステップ1)。次に境界条件、初期
条件(たとえば材料射出速度、材料温度、射出成形材料
などの射出成形条件)を入力する(ステップ2)。な
お、ステップ1とステップ2の順序は逆になってもかま
わない次に、微小要素の集合を例えば図5に示すように
各演算処理装置ごとに部分集合に領域分割する(ステッ
プ3)。そして、各演算処理装置により、部分集合の剛
性マトリックスを作成する(ステップ4)。なおステッ
プ4では、剛性マトリックスは解析モデル全体の剛性マ
トリックスを作成してもかまわない。
【0020】さらに各領域間の境界にあたる内部境界部
分の圧力は未知数であるので、まず内部境界部分の圧
力、圧力変化を求める(ステップ5)。各演算処理装置
により、内部境界部分の圧力値とステップ2で境界条件
として与えた圧力値を使用して各部分集合の領域内部の
微小要素の圧力、圧力変化、あるいは流動速度を並行し
て求める(ステップ6)。次に充填が完了しているかど
うか判断する(ステップ7)。完了していれば解析は終
了し、そうでなければ部分集合領域を再分割する必要が
あるかどうか判断する(ステップ8)。必要がある場合
はステップ3へ、必要がない場合はステップ5へ戻り、
次のタイムステップの解析を実行する。このようにして
得られた結果をたとえばグラフィック処理して、等高線
あるいはグラフなどの形式で表示する(ステップ9)。
あるいは上述のようにプリンタ装置などに出力してもよ
い。
【0021】以下に上記ステップをさらに詳しく説明す
る。ステップ5において上記のごとく分割された領域を
用いて内部境界部分の圧力、圧力変化を計算する方法に
ついて詳しく説明する。
【0022】射出成形の充填解析を有限要素法で行う場
合、解析モデル内部の微小要素の頂点における圧力を求
める式は以下の連立1次方程式に帰着する。
【0023】
【数1】
【0024】ここで、解析モデル内部の微小要素の頂点
の総数をN個としたとき、AはN×Nの大きさの剛性マ
トリックス、pはN次元の微小要素の頂点の圧力よりな
るベクトル、qはN次元微小要素の頂点の流量よりなる
ベクトルである。領域分割法では例えば文献「階層型領
域分割法による超並列弾塑性有限要素解析(日本機械学
会論文集65巻634号A編、1998年発行)」にあ
るように、数1を次のように定式化することで、並列処
理計算に適合させる。部分領域の分割方法については後
述するが、部分領域の総数をn(nは2以上かつNより
小さな自然数)とすると、各部分領域における連立1次
方程式は
【0025】
【数2】
【0026】と書ける。このマトリックスとベクトルを
内部境界節点であるものとそうでないもの(部分領域内
部にあるもの)とに分けて書くと、次式のように書け
る。
【0027】
【数3】
【0028】ここで、Bは内部境界条件が与えられる節
点を示す添字、Iは部分領域内部にある節点であること
を示す添字である。この式から、部分領域内部にある節
点に関する式は、
【0029】
【数4】
【0030】内部境界上にある節点に関する式は、全領
域数をn個とすると
【0031】
【数5】
【0032】と書ける。数4と数5により次の内部境界
条件を求める式が求まる。
【0033】
【数6】
【0034】この式を連立1次方程式の求解方法である
直接法あるいは反復法を適用して求解し内部境界条件p
(i) Bを求める。
【0035】数6で得られた内部境界条件p(i) Bをステ
ップ6において数4に代入すると、数4は部分領域内部
の節点p(i) Iに関する連立一次方程式となる。この式を
解くことにより部分領域内部の圧力分布、流速分布が求
まる。
【0036】このように並列演算処理により射出成形解
析をすることで、従来の射出成形解析に比べ大幅に計算
時間が短縮が可能となった。例えば4つの演算処理装置
を持つ並列処理装置で解析を実行した場合、従来の射出
成形解析の約1/3程度の時間で解析を実行する。また
各演算処理装置は担当する領域の剛性マトリックスしか
保持しなくてよいために、使用するメモリも各演算処理
装置あたり約1/4に減少し、微小要素数の非常に多い
成型品の解析も可能となった。
【0037】次に、図2のステップ4において微小要素
からなる解析モデルを複数の部分集合に分割する方法に
ついて詳しく説明する。
【0038】領域分割方法の第1は、時刻tnにおける
充填領域の体積をV、部分領域の数をnとしたとき、時
刻tnにおける充填領域全体を体積V/nなるn個の部
分領域に分割する方法である。射出成形解析の並列演算
処理を効率的に行うには、各演算処理装置の演算処理量
が概略均等であることが望ましい。ここで概略均等と
は、全体を平均した量と各部分における量との比δがあ
る一定範囲に収まることを示す。本発明者の知見によれ
ばδの範囲は0.9以上1.1以下に収まることが望ま
しい。
【0039】射出成形解析における有限要素法の計算で
は、計算の規模は微小要素の数に依存する。領域分割法
では各演算処理装置に部分領域が割り当てられるため、
各演算処理装置での計算規模は部分領域の大きさおよび
配分された微小要素の数に依存する。そのため本発明で
は図4のような微小要素からなる有限要素モデルを図5
のように各部分領域に概略均等に分割する。このこと
で、各演算処理装置における計算規模をほぼ同等のもの
にできる。
【0040】領域分割方法の第2は時刻tnにおいて各
部分領域に含まれる流体の流入ゲート数とフローフロン
ト微小要素数ができるだけ均一となるように分割する方
法である。ここでフローフロントとは流体の流動の先端
部分のことである。このことで、領域間境界条件の数に
偏りがないため、また充填初期に領域間の材料充填領域
が偏らないため、効率的に並列処理が実行できる。
【0041】領域分割方法の第3は時刻tnにおいて各
部分領域に含まれる充填材料のキャビティに接する部位
の面積が概略均等となるように分割する方法である。金
型との熱交換による温度解析をともなう場合は、金型表
面部分の熱伝達の境界条件の数が均等になることが望ま
しいが、このように分割することで領域間境界条件の数
に偏りがなくなり、効率的に並列処理が実行できる。
【0042】次にステップ8の部分領域の再分割につい
て詳しく説明する。
【0043】射出成形の充填解析では充填の進行に従い
解析対象の領域が変化するため、この変化に追随して部
分領域が変化することが望ましい。しかし微小要素集合
のうち、材料が充填された微小要素を取り出し、1回の
解析ごとに部分領域の再分割を行うと、再分割の処理と
剛性マトリックスを再作成しなければならないため、余
分な処理時間が必要となる。この再分割の処理に伴う余
分な処理時間をできるだけ少なくするため、ある一定の
条件を満たした場合、再分割の処理と剛性マトリックス
の再作成の処理は行わないものとする。例えば各部分領
域の材料が充填されている微小要素の数を数え上げ、各
領域の充填済み微小要素数の分散をとり、分散が大きい
ときは各領域間の微小要素数の差異が大きくなったと判
断する。入力者が定めたある分散の閾値未満のときは、
各領域間の微小要素数の差異が小さいと判断し、再分割
を行わずにステップ4に移り次のタイムステップの解析
を実行する。
【0044】上記のほかにも再分割の実行の判断の方法
は種々のものがあり、例えば、各部分領域の微小要素数
の平均値をとり、その平均値と部分領域の微小要素数の
差が入力者が定めたある閾値未満のときは、各領域間の
微小要素数の差異が小さいと判断し、再分割を行わずに
ステップ4に移り次のタイムステップの解析を実行する
方法や、平均値の代わりに中央値を使う方法も考えられ
る。さらには、文献「SQC 理論と実際(朝倉書店、
1992年発行)」に記されているバラツキを表す指標
のSN比η(数7)を使用する方法も考えられる。
【0045】
【数7】
【0046】ただしここでη:SN比、μ:各領域の微
小要素数の平均、σ2:各領域の微小要素数分散、であ
る。SN比は分散が大きいほど、また平均値が低いほど
小さくなる特性を持つ。SN比は小さいほど各領域の微
小要素数の散らばりが大きいといえるため、各領域間の
微小要素数の差異が大きいと判断する。SN比を閾値と
して使用する場合は、SN比がある閾値以上のときは再
分割を行わずにステップ4に移り次のタイムステップの
解析を実行する。発明者の知見によると閾値として設定
するSN比は2.0〜10.0が望ましい。
【0047】なお、本発明において演算処理装置はそれ
ぞれ別体で完全に個別に動作可能な演算処理装置である
ことが望ましいが、単一の演算処理装置でも、内部にハ
ードウェア的に個別に動作可能な複数の演算ユニットを
有し、並列計算処理の効果が発現しうる構成を有する場
合は、「別々の演算処理装置である」とみなす。
【0048】以上の通り、本実施形態のキャビティ内流
体の解析方法および装置は、コンピュータのメモリ上の
プログラムおよびデータならびに中央演算装置の動作に
よって実現されている。かかるコンピュータプログラム
は、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROMといった
コンピュータ読み取り可能な有形記憶媒体または無線も
しくは有線のネットワーク等の伝送媒体を通じて流通さ
れる。
【0049】
【実施例】以下に、上記実施形態を用いてキャビティ内
流体の流動過程の解析方法、および解析装置の計算例を
図面を参照しながら詳細に説明する。
【0050】[実施例1]ここでは図6に示す箱形の射
出成形による材料成型品を演算処理装置を4台持つ並列
演算処理の計算機で解析する場合の実施例について説明
する。まず図2のフローチャートのステップ1で入力装
置400より入力された図6、7に示すような8個の頂
点よりなる6面体を微小要素とした有限要素解析モデル
50を入力しデータ保存装置200に保存し、その後メ
モリ上に読み込む。ステップ2で射出成形条件を(使用
材料:PBT材料、射出温度:280℃、金型温度:8
0℃、充填時間:1秒、流体流入路位置:3カ所)を境
界条件、初期条件入力装置500より入力した。なお図
7は図6の有限要素モデル51を底面側から見たもので
あり、3カ所の流体流入ゲート51〜54が設定されて
いる。
【0051】つづいて時刻t=Δt(Δt=0.1秒)
とし、時刻tにおける圧力変化の状態を以下の手順で求
めた。ステップ3において、部分集合領域分割手段10
1−1により解析モデルを微小領域の数が同じであり、
流体流入ゲートが均等に配分されるように4つの部分領
域に分割した。図8がその領域分割の結果である。そし
て各演算装置に対して、並列演算処理装置間の通信手段
110によって、図8の各演算処理装置の計算を担当す
る領域の情報が送られた。次にステップ4において各並
列演算処理装置の剛性マトリックス作成装置102−i
(i=1,…,4)により各並列演算処理装置担当の剛
性マトリックスを作成した。
【0052】ステップ5において、各演算処理装置の流
体流動状態計算手段103−i(i=1,…,4)によ
り、図6の手順にしたがい内部境界における圧力および
圧力変化を求めた。つづいて、ステップ6において各演
算処理装置の流体流動状態計算手段103−i(i=
1,…,4)により担当領域内部の微小要素の圧力、圧
力変化、および流動速度を求めた。ステップ7で充填が
完了したかどうか判断し、ステップ8で領域の再分割が
必要かどうか判断しt=t+Δtとして、ステップ3に
もどり計算を実行した。
【0053】ステップ3からステップ8の一連の繰り返
し計算において、t=0.6のときの充填状態は図9の
ようになった。ここでステップ8において領域再分割の
必要性を判断するために、各領域の充填済みの微小要素
数のSN比を計算すると0.853であった。これはあ
らかじめ設定していた閾値2.0よりも小さくなってい
たため、図10のように再分割した。その後再びステッ
プ3以降ステップ8までの一連の計算を流体の充填が完
了するまで繰り返し計算し、図11に示すような圧力分
布を得た。ここでは各微小要素の圧力を等高線表示し
た。ステップ3以下の一連の計算は従来の単一の演算処
理装置による計算と比べて約30%の計算時間で完了し
た。
【0054】得られた圧力分布に基づいて特許第299
8596号の方法にしたがい流動速度分布(図12)を
求めた。さらにせん断応力分布や圧力変化分布なども求
めた。もしも、ここで例えば極端な圧力勾配部分が存在
するなど、成形不良が予測される場合は、成形品形状や
成形条件あるいは材料などを変更してステップ1から繰
り返すことにより、適正な製品設計、成形型設計、ある
いは成形条件などを得る。
【0055】[実施例2]ここでは図13に示す薄肉で
ある板形の材料成型品を演算処理装置3台持つ並列演算
処理の計算機で解析する場合の実施例について説明す
る。まず図2のステップ1で入力装置400より入力さ
れた図13に示すような8個の頂点よりなる6面体を微
小要素とした有限要素解析モデル60を入力しデータ保
存装置200に保存する。ステップ2で射出成形条件を
(使用材料:PBT材料、射出温度:280℃、金型温
度:80℃、充填時間:1秒、流体流入路位置:1カ
所)を境界条件、初期条件入力装置500より入力し
た。
【0056】つづいて時刻t=Δt(Δt=0.1秒)
とし、時刻tにおける圧力変化の状態を以下の手順で求
めた。ステップ3において、部分集合領域分割手段10
1−aにより解析モデルを微小領域の数が同じであるよ
うに3つの部分領域に分割した。図14がその領域分割
の結果である。そして各演算装置に対して、並列演算処
理装置間の通信手段110によって、図14の各演算処
理装置の計算を担当する領域の情報が送られた。次にス
テップ4において各並列演算処理装置の剛性マトリック
ス作成装置102−i(i=1,…,3)により各並列
演算処理装置担当の剛性マトリックスを作成した。
【0057】ステップ5において、各演算処理装置の流
体流動状態計算手段103−i(i=1,…,3)によ
り、図6の手順にしたがい内部境界における圧力および
圧力変化を求めた。つづいて、ステップ6において各演
算処理装置の流体流動状態計算手段103−i(i=
1,…,3)により担当領域内部の微小要素の圧力、圧
力変化、および流動速度を求めた。ステップ7で材料の
充填が完了したかどうか判断し、ステップ8で領域の再
分割が必要かどうか判断した。t=t+Δtとして、ス
テップ3にもどり計算を実行した。
【0058】ステップ3からステップ8の一連の繰り返
し計算において、t=0.1のときの充填状態は図15
のようになった。ここでステップ8において領域再分割
の必要性を判断するために、各領域の充填済みの微小要
素数のSN比を計算すると4.47であった。これはあ
らかじめ設定していた閾値5.0よりも小さくなってい
たため、解析対象の表面面積を計算し、解析対象の表面
面積を同一にして、図16のように再分割した。その後
再びステップ3以降ステップ8までの一連の計算を繰り
返し計算し、図17に示すような充填完了時の圧力分布
を得た。この実施例の場合ステップ3以下の一連の計算
は従来の単一の演算処理装置による計算と比べて約40
%の計算時間で完了した。
【0059】得られた圧力分布に基づいてさらに流動速
度分布(図18)を求めた。さらにせん断応力分布など
も求めた。
【0060】実施例1の場合と同様に、ここで例えば極
端な圧力勾配部分が存在するなど、成形不良が予測され
る場合は、成形品形状や成形条件あるいは材料などを変
更してステップ1から繰り返すことにより、適正な製品
設計、成形型設計、あるいは成形条件などを得る。
【0061】
【発明の効果】本発明の解析方法および解析装置によれ
ば、並列演算処理の電子計算機によるキャビティ内流体
の流動過程の解析において、計算対象を領域分割し複数
の演算装置で計算することにより、3次元的で複雑な形
状の成型品で微小要素数が多い場合でも、計算精度を低
くすることなく高速に解析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の並列演算処理装置のキャビティ内流体
の流動過程の解析装置のハードウェア構成例を示す図で
ある。
【図2】本発明の並列演算処理装置のキャビティ内流体
の流動過程の解析方法および解析装置の手順の例を示す
フローチャートである。
【図3】本発明において用いる成形品の例を示す図であ
る。
【図4】本発明において用いる3次元的な微小要素集合
の例を示す図である。
【図5】本発明において用いる3次元的な微小要素集合
を部分領域に分割した例を示す図である。
【図6】本発明の一実施例における解析対象となる射出
成型品の微小要素集合の例を示す図である。
【図7】本発明の一実施例における解析対象となる射出
成型品の微小要素集合の例を示す図である。
【図8】本発明の一実施例における解析対象となる射出
成型品の微小要素集合を部分領域に分割した例を示す図
である。
【図9】本発明の一実施例における解析対象となる射出
成型品内部の材料の充填状態を解析した結果を示す図で
ある。
【図10】本発明の一実施例における解析対象となる射
出成型品の微小要素集合を部分領域に再分割した例を示
す図である。
【図11】本発明の一実施例における解析対象となる射
出成型品内部の圧力の分布を解析した結果を示す図であ
る。
【図12】本発明の一実施例における解析対象となる射
出成型品内部の流動速度の分布を解析した結果を示す図
である。
【図13】本発明の一実施例における解析対象となる射
出成型品の微小要素集合の例を示す図である。
【図14】本発明の一実施例における解析対象となる射
出成型品の微小要素集合を部分領域に分割した例を示す
図である。
【図15】本発明の一実施例における解析対象となる射
出成型品内部の材料の充填状態を解析した結果を示す図
である。
【図16】本発明の一実施例における解析対象となる射
出成型品の微小要素集合を部分領域に再分割した例を示
す図である。
【図17】本発明の一実施例における解析対象となる射
出成型品内部の圧力の分布を解析した結果を示す図であ
る。
【図18】本発明の一実施例における解析対象となる射
出成型品内部の流動速度の分布を解析した結果を示す図
である。
【符号の説明】
50:箱形形状の微小要素に分割された有限要素モデル 51:流体流入ゲート 52:流体流入ゲート 53:流体流入ゲート 54:流体流入ゲート 60:薄肉の板形状の微小要素に分割された有限要素モ
デル 61:流体流入ゲート 100:並列演算処理装置 100−1:演算処理装置 100−2:演算処理装置 100−n:演算処理装置 101−1:解析モデル構築手段 101−2:解析モデル構築手段 101−n:解析モデル構築手段 102−1:部分集合分割手段 102−2:部分集合分割手段 102−n:部分集合分割手段 103−1:流動状態解析手段 103−2:流動状態解析手段 103−n:流動状態解析手段 110:並列演算処理装置内の演算装置間の通信手段 200:データ記憶装置 300:形状データ入力装置 400:有限要素解析モデル入力装置 500:境界条件、初期条件入力装置 600:出力装置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体が流動するキャビティ内の空間を複
    数の微小要素に分割した解析モデルを構築する解析モデ
    ル構築手段と、構築した解析モデルを微小要素の集合よ
    りなる複数個の部分集合領域に分割する部分集合分割手
    段と、各部分集合領域ごとに別々の演算処理装置により
    時間変化にともなう流体の流動状態を計算する流動状態
    解析手段とを有することを特徴とするキャビティ内流体
    の流動解析装置。
  2. 【請求項2】 前記の部分集合分割手段は、前記部分集
    合領域に含まれる充填流体の量が均等になるように分割
    することを特徴とする請求項1のキャビティ内流体の流
    動解析装置。
  3. 【請求項3】 前記部分集合分割手段は、流体の流入ゲ
    ート数とフローフロントの長さとが概略均等になるよう
    に分割するものであることを特徴とする請求項1のキャ
    ビティ内流体の流動解析装置。
  4. 【請求項4】 前記部分集合分割手段は、前記部分集合
    領域に含まれる充填流体のキャビティに接する部位の面
    積が概略均等となるように分割するものであることを特
    徴とする請求項1のキャビティ内流体の流動解析装置。
  5. 【請求項5】 流体が流動するキャビティ内の空間を複
    数の微小要素に分割した解析モデルを構築し、解析モデ
    ルを微小要素の集合よりなる複数個の部分集合領域に分
    割し、前記各部分集合領域ごとに別々の演算処理装置に
    より時間変化にともなう流体の流動状態を計算すること
    を特徴とするキャビティ内流体の流動解析方法。
  6. 【請求項6】 請求項5のキャビティ内流体の流動解析
    方法の各手順を並列処理の電子計算機を用いて実施でき
    るように電子計算機を動作させるソフトウェア。
  7. 【請求項7】 請求項6のソフトウェアを記憶した記憶
    媒体。
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