JP2002136882A - アニオン交換体の製造方法及びアニオン交換体 - Google Patents

アニオン交換体の製造方法及びアニオン交換体

Info

Publication number
JP2002136882A
JP2002136882A JP2000383251A JP2000383251A JP2002136882A JP 2002136882 A JP2002136882 A JP 2002136882A JP 2000383251 A JP2000383251 A JP 2000383251A JP 2000383251 A JP2000383251 A JP 2000383251A JP 2002136882 A JP2002136882 A JP 2002136882A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
anion exchanger
group
anion
general formula
organic molecule
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000383251A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoko Honda
直子 本多
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2000383251A priority Critical patent/JP2002136882A/ja
Publication of JP2002136882A publication Critical patent/JP2002136882A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Other Resins Obtained By Reactions Not Involving Carbon-To-Carbon Unsaturated Bonds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオン交換樹脂の表面電荷に起因するクラン
ピングを低減することのできる新規なアニオン交換体の
製造方法を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で表される繰り返し単
位を構成要素として含有する架橋共重合体に、OH基を
有する有機分子を反応させた後、下記一般式(2)で表
される化合物と反応させるアニオン交換体の製造方法。 【化1】 (一般式(1)中、Rは炭素数1〜8の直鎖状アルキレ
ン基又は環状炭化水素基、炭素数1〜8のアルコキシメ
チレン基であり、Zはハロゲン原子を表わす。またRは
ベンゼン環のどの位置で置換されていてもよく、さらに
ベンゼン環のその他の部位はアルキル基またはハロゲン
原子で置換されていても良い。mは1以上の整数であ
る。) 【化2】 (一般式(2)中、R1、R2及びR3は炭素数1〜20
のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アニオン交換体の
製造方法に関する。詳しくは、混床式脱塩装置における
クランピングが低減されたアニオン交換体の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、代表的なアニオン交換樹脂は、ス
チレン−ジビニルベンゼン共重合体にクロロメチル化反
応を行った後、アミノ化反応を行うことによりアニオン
交換基を導入することにより製造されている。このよう
なアニオン交換樹脂はその製造方法からして、一般に樹
脂全てにほぼ均一にイオン交換基である官能基が導入さ
れた構造となっており、樹脂表面にも官能基が存在して
いるため、樹脂表面はその官能基に由来する親水的かつ
静電的な性質を有している。
【0003】この表面官能基に起因するアニオン交換樹
脂の問題点として、クランピングが挙げられる。クラン
ピングとはアニオン交換樹脂の重要な用途の一つである
混床式脱塩装置使用時に発生する問題であり、混床調製
時カチオン樹脂粒子とアニオン樹脂粒子が表面の静電的
な相互作用によって、凝塊又は凝集を形成する現象を言
う。この現象に起因する操作性の低下、及び空隙の発生
による床内の流動分布の乱れによる混床出口水質の低下
が問題となる。この望ましくない凝集を克服するために
用いられている種々の試みとしては、水溶性樹脂状高分
子電解質で処理して処理された樹脂の表面電荷を中和す
る方法(米国特許第2961417号明細書)、水不溶
性架橋イオン交換エマルジョン粒子で処理する方法(米
国特許第4347328号明細書)、及び無機微粒子で
処理する方法(米国特許第3263891号明細書、特
開平6−276713号公報)などが挙げられる。
【0004】上記のうち、水溶性樹脂状高分子電解質で
の処理(米国特許第2961417号明細書)は、混床
凝集を低下させるが、処理された樹脂のイオン交換速度
をも低下させ、このため混床系の全体としての効率が低
下する。不溶性イオン交換エマルジョン粒子での処理
(米国特許第4347328号明細書)は、使用量が多
く、処理された樹脂からエマルジョン粒子を除去するた
めの長い洗浄工程を包含する。
【0005】また無機微粒子処理(米国特許第3,26
3,891号明細書、特開平6−276713号公報)
に関しては、表面処理剤の溶解による微量金属等無機成
分の溶出が問題となる。これらの処理は、化合物が化学
結合を介してアニオン交換体と結合していないため、処
理剤自体が脱落するおそれがあり水質悪化の原因とな
る。また、使用や経時によりクランピング防止能が低下
することが知られている。このため、溶出のおそれがな
くかつクランピングの問題を解決できるアニオン交換体
が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みて為されたものであり、その目的は、上述したような
クランピングの問題を解決し、アニオン交換体表面を化
学結合により電荷的に中性な状態に近づけた、クランピ
ングの生じにくいアニオン交換体の製造方法を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を行った結果、アニオン交換体
とカチオン交換体を混合した場合に発生するクランピン
グを防止する方法として、アニオン交換体表面、もしく
はカチオン交換体表面の電荷を抑制することにより可能
であると考え、特にアニオン交換体粒子において表面近
傍の電荷を化学的に結合された中性分子と通常のアニオ
ン交換基を共存させることにより、通常の高分子電解質
での処理と同等のクランピング防止性能を発揮するだけ
でなく、全ての基が化学的に結合されているため溶出す
るおそれが少なく、さらに、中性分子であるため、水処
理性能への影響を低減させることができることに知見
し、本発明を完成した。
【0008】即ち本発明の要旨は、下記一般式(1)で
表される繰り返し単位を構成要素として含有する架橋共
重合体に、OH基を有する有機分子を反応させた後、下
記一般式(2)で表される化合物と反応させることを特
徴とするアニオン交換体の製造方法、に存する。
【0009】
【化3】
【0010】(一般式(1)中、Rは炭素数1〜8の直
鎖状アルキレン基又は環状炭化水素基、炭素数1〜8の
アルコキシメチレン基であり、Zはハロゲン原子を表わ
す。またRはベンゼン環のどの位置で置換されていても
よく、さらにベンゼン環のその他の部位はアルキル基ま
たはハロゲン原子で置換されていても良い。mは1以上
の整数である。)
【0011】
【化4】
【0012】(一般式(2)中、R1、R2及びR3は炭
素数1〜20のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を
表す。) また本発明の別の要旨は、芳香族架橋共重合体を母体と
するアニオン交換体であって、該アニオン交換体表面に
おける官能基密度が、アニオン交換体全体における官能
基密度の0.1倍以下であることを特徴とする上記の方
法により得られるアニオン交換体、に存する。(ここで
いう官能基密度の比は下記式(a)により定義される。
【0013】
【数2】官能基密度比:A/B (a) A:アニオン交換体表面の単位重量あたりの官能器量:
X線電子分光(ESCA)測定による、表面深度50オ
ングストロ−ム程度表面極近傍における、アニオン交換
体乾燥重量1gに対する対イオンのモル数。 B:アニオン交換体全体の単位重量あたりの官能器量:
中性塩分解容量測定法で分析される、アニオン交換体乾
燥重量1gに対する官能基のモル数。)
【0014】
【発明の実施の形態】<アニオン交換体の製造方法>本
発明において、アニオン交換体は、下記一般式(1)で
表される繰り返し単位を構成要素として含有する架橋共
重合体に、OH基を有する有機分子を反応させた後、下
記一般式(2)の化合物と反応させることにより製造す
る。
【0015】
【化5】
【0016】
【化6】
【0017】上記(1)式中、Rは炭素数1〜8の直鎖
状アルキレン基又は環状炭化水素基、炭素数1〜8のア
ルコキシメチレン基である。具体的にはメチレン基、エ
チレン基、プロピレン基、ブチレン基、シクロペンチレ
ン基、シクロへキシレン基、クメニル基、メトキシメチ
レン基、メトキシエチレン基、エトキシエチレン基、ブ
トキシブチレン基が挙げられ、中でも炭素数1〜4の直
鎖状アルキレン基が好ましい。 Zはフッ素、塩素、臭
素、ヨウ素などのハロゲン原子を表す。
【0018】Rはベンゼン環のどの位置で置換されてい
てもよく、さらにベンゼン環のその他の部位はアルキル
基またはハロゲン原子で置換されていても良い。mは1
以上の整数である。また上記一般式(2)中、R1、R2
及びR3は炭素数1〜20のアルキル基又はヒドロキシ
アルキル基を表す。具体的にはメチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基等のアルキル基、ヒドロキシメチル
基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒド
ロキシブチル基等のヒドロキシアルキル基が挙げられ
る。
【0019】本発明のアニオン交換体の中間体である一
般式(1)の構造を有する架橋共重合体の製法は、例え
ば、以下に示すような方法が挙げられる。例えば、モノ
ビニル芳香族化合物と架橋剤の共重合体を基体として、
高分子修飾法によって一般式(1)の置換基−R−Zを
導入する方法が挙げられる。また、一般式(1)の繰り
返し構造を含む前駆単量体を合成し、少なくとも架橋剤
とともに共重合して架橋性共重合体を得ることができ
る。一般的なアニオン交換体は前者の方法によって製造
される。
【0020】本発明の一般式(1)の架橋共重合体は、
スチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ビニルナ
フタレンなどのモノビニル芳香族化合物と、ジビニルベ
ンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニ
ルナフタレン、トリビニルベンゼンなどのポリビニル芳
香族化合物との架橋共重合体に公知の方法でクロロメチ
ル基を導入したものや、クロロメチルスチレン、クロロ
エチルスチレン、クロロプロピルスチレン、クロロブチ
ルスチレン、ブロモメチルスチレン、ブロモエチルスチ
レン、ブロモプロピルスチレン、ブロモブチルスチレン
などのハロアルキルスチレン、とポリビニル芳香族化合
物の共重合体などが挙げられる。中でも、スチレン−ジ
ビニルベンゼン共重合体にクロロメチル基を導入したも
のであることが好ましい。本発明の芳香族架橋共重合体
は、一般的なゲル型のものの他に、樹脂内に物理的な細
孔を有するポーラス型(マクロレティキュラー型)の構
造のものも用いることができる。
【0021】モノビニル芳香族化合物とポリビニル芳香
族化合物の重合は、懸濁重合法により公知の方法で行わ
れる。ポリビニル芳香族単量体の含有率が低い場合に
は、得られるアニオン交換体は高膨潤性重合体となるた
め、体積当たりの交換容量が低下する。一方、含有率が
高い場合にも、イオン交換基を有する構成成分(I)の
含有率が低くなるため、重量当たりの交換容量は低下す
る。従って、本発明のアニオン交換体を製造する際の不
飽和炭化水素含有架橋性単量体の含有率は、モノマ−全
体に対して通常0.1〜50重量%、好ましくは0.2
〜25重量%で用いられる。
【0022】これらの単量体の共重合は、過酸化物、あ
るいはアゾ系重合開始剤を用いる公知の方法で重合を行
うことができる。重合開始剤としては、過酸化ベンゾイ
ル(BPO)、過酸化ラウロイル、t−フ゛チルハイト
゛ロハ゜ーオキサイト゛等の過酸化物系重合開始剤、ア
ソ゛ヒ゛スイソフ゛チロニトリル(AIBN)、2,
2'−アソ゛ヒ゛ス(2,4−シ゛メチルハ゛レロニト
リル)等のアゾ系重合開始剤等が用いられる。その使用
量は、全単量体に対して、通常0.05〜3重量%であ
る。重合温度は、重合開始剤の半減期温度、使用量、単
量体の重合性等により異なるが通常、40〜150℃、
好ましくは50〜100℃で使用される。重合時間は
0.5〜30時間、好ましくは、1〜15時間である。
【0023】重合方法は、特に限定されるものではな
く、公知の種々の方法を、そのままあるいは組み合わせ
て採用することができる。球状のアニオン交換体は、水
/油型又は油/水型の懸濁重合により製造される。特
に、重合方法は上記で示した単量体成分を用い重合開始
剤の存在下、浴比が1対2から1対6の範囲として懸濁
重合法で行うことが好ましい。
【0024】スチレン−ジビニルベンゼンに代表される
架橋共重合体へのハロアルキル基の導入は、公知の方法
により行われる。例えば、スチレンジビニルベンゼン共
重合体に、クロロメチルメチルエーテルを加え、塩化亜
鉛、塩化鉄などのルイス酸触媒の存在下、反応させれば
よい。クロロメチルメチルエーテルはスチレン/ジビニ
ルベンゼン共重合体を膨潤させ、スラリーを保てる量で
有ればよく、反応に不活性な非芳香族系の溶媒を添加し
てもよい。反応条件は、反応剤の量によるが、通常室温
から60℃の温度で、30分から20時間反応させれば
よい。
【0025】本発明のアニオン交換樹脂は、たとえばハ
ロアルキル基を有する芳香族架橋共重合体の樹脂表面に
存在するハロアルキル基を、アミノ化反応に不活性な官
能基に変換後アミノ化することによって製造される。た
とえば樹脂表面に存在するクロロメチル基のみをアミノ
化反応に不活性な官能基に変換する方法としては希硫酸
で加熱する方法や、高濃度のアルカリ水溶液中での加熱
処理等が知られている(特開平7−204523号公報
参照)。
【0026】本発明のアニオン交換体表面に存在するハ
ロアルキル基のみをアミノ化反応に不活性な官能基に変
換する方法としては、樹脂表面に存在するハロアルキル
基を、OH基を有する有機分子と反応させる方法が用い
られる。OH基を有する有機分子としては、アニオン交
換体表面近傍に反応し、内部への反応が起こりにくいも
のが適当である。具体的には、メタノ−ル、エタノ−
ル、1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ル、1−ブタノ
−ル、2−ブタノ−ル、tert−ブタノ−ル、アリル
アルコ−ル、ベンジルアルコ−ル、シクロヘキサノ−
ル、1,2−エタンジオ−ル、1,2−プロパンジオ−
ル、グリセリン等の炭素数1〜12のアルコ−ル類が好
ましく用いられるい。中でも炭素数1〜8の水溶性アル
コール類が好ましく、さらにその反応性からイソプロピ
ルアルコ−ル等の2級以上のアルコ−ルが好適である。
【0027】また、OH基を有する有機分子としては、
親水性の付与の面からは、複数のOH基を有する水溶性
高分子が好ましい。具体的には、ポリビニルアルコ−
ル、部分鹸化ポリビニルアルコール、セルロ−ス、メチ
ルセルロース、エチルセルロース、デキストラン等が挙
げられる。これらの中でもハロアルキル基を有するポリ
マー表面との親和性から疎水性部分を有するものが好ま
しく、特に好ましくは部分鹸化ポリビニルアルコール、
メチルセルロース、エチルセルロース等である。これら
のOH基を有する有機分子は単独、もしくは混合して用
いられる。
【0028】本発明のアニオン交換体表面に存在するハ
ロアルキル基のみをアミノ化反応に不活性な官能基に変
換するために用いられる活性OH基を有する有機分子の
添加量は、有機分子の反応性により異なるが、反応に用
いる一般式(1)のポリマーにおけるZのモル数に対す
る有機中性分子のOH基のモル比で、通常1×10-6
1000倍の範囲で用いられる。
【0029】容易に充分な反応を得るためには、過剰量
の有機分子を用いることが適切でありかつ、製造時の経
済性から反応に用いる有機分子は少量であるほど良い。
炭素数1〜12のアルコ−ル類では、有機分子を溶媒と
兼用する場合があるため、好ましくは0.001〜10
0倍である。複数のOH基を有する水溶性高分子では、
溶媒は別途使用し、且つポリマー内部への浸透が少ない
ため、好ましくは一般式(1)のポリマーにおけるZの
モル数に対する有機中性分子のOH基のモル比で、好ま
しくは、1×10-6〜10倍、より好ましくは1×10
-5〜1×10-1倍の範囲で用いられるまたアニオン交換
体に、炭素数1〜12のアルコ−ル類、及び/又は複数
のOH基を有する水溶性高分子を反応させる際には、活
性化剤を存在させることが好ましい。
【0030】この活性化剤としては、例えば、ナトリウ
ムメトキシド、カリウムエトキシド等の金属アルコキシ
ド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属の水酸
化物が挙げられる。また、塩析効果により反応促進を促
す薬剤として塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸カル
シウム、炭酸水素ナトリウム等の金属塩が活性剤として
単品もしくは混合して添加される。好ましい活性化剤は
有機分子種により異なるが、炭素数1〜12のアルコ−
ル類に対しては1〜4のアルカリ金属オキシドが好まし
い。
【0031】複数のOH基を有する水溶性高分子に対し
ては、金属の水酸化物、金属塩が好ましいが、最も好ま
しいのは水酸化ナトリウムである。この際の活性化剤の
添加量は有機分子の性状により異なるが、反応に用いる
一般式(1)のポリマーにおけるZのモル数に対し、通
常、100倍以内の範囲で用いられるが、より効率よく
反応を進めるためにはモル比で0.01〜100倍がよ
り好ましい。最も好ましくは、0.1〜20倍である。
【0032】本発明の樹脂表面に存在するハロアルキル
基のみをアミノ化反応に不活性な官能基に変換する反応
時の溶媒としては、有機分子そのものが溶液である場合
は、溶媒をかねて用いられる。この際の溶媒としては、
メタノ−ル、エタノ−ル、ノルマルプロパノ−ル、イソ
プロパノール、ジオキサン等の有機溶媒、水等を単独も
しくは混合して用いても良い。
【0033】溶媒と有機分子を含めた反応時の溶液量は
ポリマー組成、及び溶媒種により異なるが、一般式
(1)の架橋共重合体をスラリーとして流動させるのに
充分な量以上であれば良い。本発明の樹脂表面に存在す
るハロアルキル基のみをアミノ化反応に不活性な官能基
に変換する反応条件としては、一般式(1)で表される
繰り返し単位を構成要素として含有する架橋共重合体
を、OH基を有する有機分子と反応させ、さらに、必要
に応じて溶媒と、活性化剤を共存させ、通常、0〜12
0℃の温度範囲で、0.1〜48時間程度接触させる。
より好ましい反応条件は、活性化剤の共存のもと10〜
100℃の温度範囲で0.1〜20時間接触させる方法
であり、最も好ましくは活性化剤の共存のもと25〜1
00℃の温度範囲で1〜10時間接触させるのがよい。
【0034】本発明のアニオン交換体に官能基を導入す
る工程は、一般式(2)を溶解する溶媒の存在下で加温
することにより、容易に反応させることが出来る。溶媒
としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノール、1,4−ジオキサン、トルエン、塩化メチレ
ン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエ
チレン、クロロホルム、エチレングリコール、水などが
利用でき、それらの混合溶媒も使用できる。反応温度は
特に制限されないが、通常0〜150℃、好ましくは3
0〜100℃が用いられる。一般式(2)で表される化
合物の使用量は、その反応性により異なるが、通常残存
ハロアルキル基に対して、1〜2当量あればよい。ま
た、2種の官能基量を制御したいときは、その範囲で適
宜量比を変えればよい。
【0035】また、ハロアルキル基を有する架橋共重合
体に対して、水や炭素数1〜4の水溶性貧溶媒中でアミ
ノ化反応に不活性な官能基に変換した後架橋共重合体を
濾別し、ジオキサンやトルエンなどの良溶媒を添加して
式(2)で表される化合物を添加し反応させる方法をと
ることもできる。この方法により、ごく表面近傍のハロ
アルキル基のみをアミノ化反応に不活性な官能基に変換
し、全体としては高いイオン交換容量を得ることができ
る。
【0036】本発明の方法により、同一の一般式(1)
で表される繰り返し単位を構成要素として含有する架橋
共重合体を出発物質とした場合、OH基を有する有機分
子と反応させずに(2)の化合物と反応させた場合と比
較して、後述するアニオン交換体全体に対するアニオン
交換体表面の表面官能基密度比を0.1倍以下とするこ
とができる。 <アニオン交換体>本発明の製造方法により得られるア
ニオン交換体は、芳香族架橋共重合体を母体とするアニ
オン交換体であって、該アニオン交換体表面における官
能機密度が、アニオン交換体全体における官能基密度
の、通常0.1倍以下である。
【0037】表面の官能機密度は小さいほど良く、好ま
しくは0.05倍以下、より好ましくは0.03倍以
下、最も好ましくは0.01倍未満とすることにより反
対電荷を有するイオン交換樹脂との表面における静電的
相互作用を抑制する事ができる。アニオン交換体の官能
基密度に関して、混床脱塩等の一般的用途においては、
樹脂全体の交換容量が高いことが求められる。一方反対
電荷を有するイオン交換樹脂との表面における静電的相
互作用を抑制するためには、表面近傍の官能基密度を低
くすることが要求される。さらに、クランピングに関し
ては、選択係数の低いイオンを対イオンとして有するア
ニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂において特異的に起
こることが知られている。本特許においては樹脂全体の
官能基密度に対する樹脂表面の官能基密度の比を下記式
(a)のとおり定義した。
【0038】
【数3】官能基密度比=A/B (a) A(アニオン交換体表面の単位重量あたりの官能器
量):X線電子分光(ESCA)測定による、表面深度
50オングストロ−ム程度表面極近傍における、アニオ
ン交換体乾燥重量1gに対する対イオンのモル数。
【0039】B(アニオン交換体全体の単位重量あたり
の官能器量):一般的な中性塩分解容量測定法で分析さ
れる、アニオン交換体乾燥重量1gに対する官能基のモ
ル数。本発明のアニオン交換体では、その構造を特定す
るためにX線光電子分光解析(ESCA)による元素組
成分析が有効である。X線光電子分光解析では、乾燥状
態のアニオン交換体の表面深度50オングストローム程
度についての元素組成が分析可能である。たとえば、ア
ニオン交換樹脂に関しては対イオンを"ダイヤイオンI
基礎編"(三菱化学)p145等に記載の一般的な方法
でCl形に調製した後乾燥し、樹脂表面のX線光電子分
光解析を実施できる。X線電子分光法においてハロゲン
を含むポリマ−においては、軟X線照射によって僅かな
がら脱ハロゲンが起きるが、一定条件で材の比較をする
上では、再現性の良い値がえられ比較上問題にならな
い。本特許におけるX線光電子分光解析は全て以下の条
件で測定した。
【0040】測定装置:KRATOS社製 XSAM8
00pci X線源:Al Kα 15kV×15mA モノクロメ
−タ使用 Pass Energy:サ−ベイスペクトル 80e
V,ナロ−スペクトル20eV 取り出し角 :90度(分析深度〜50オングストロー
ム程度) A(アニオン交換体表面単位重量あたりの官能器量)の
値は、X線光電子分光解析により得られる表面に存在す
る対イオンClの存在比率であり、表面近傍における官
能基密度を示す。また、X線光電子分光解析では、分析
元素の化学結合状態を判別し、有機Clと無機Clを判
別する事ができるため、有機ハロゲンを含む材について
は、対イオンである無機Clの存在比率を採用すること
により、表面近傍における官能基密度を得ることができ
る。ここで測定される対イオンClは塩形調製によりよ
り容易に選択係数の小さいOH形に変換される。クラン
ピングは通常このOH形のアニオン交換体とH形のカチ
オン交換体表面で、イオン交換によりアニオン交換性官
能基とカチオン交換性官能基が直接静電的に結合する事
により発生すると考えられる。この手法で得られた表面
近傍における官能基密度は、クランピング性能の強弱と
強い相関を有する。なお、測定時の対イオンの形態に関
しては、X線光電子分光解析(ESCA)で定量できる
元素であれば限定されるものではないが、アニオン交換
樹脂OH形に関しては大気中のCO2による塩形変換が
容易に発生するため本評価上好ましくない。
【0041】なおX線光電子分光解析(ESCA)法に
よれば米国特許第2961417号明細書にあるよう
な、水溶性高分子電解質での処理では、アニオン交換体
においては水溶性樹脂由来のカチオン交換基が検出され
るため、それと判別できる、水溶性高分子電解質では、
アニオン交換体と反対の電荷を有するイオン交換性官能
基部位による強力なイオン交換によりアニオン交換体の
表面官能基のイオン交換を阻害するものであり、このよ
うな樹脂に関しては検出されたカチオン交換基を対イオ
ンとして計算に加え、表面処理剤官能基によるイオン交
換部位マスキング部と、イオン交換可能なCl形官能基
部の量を合計することにより、樹脂表面本来の官能基密
度を本発明の方法で評価することができる。
【0042】また、米国特許第4347328号明細書
にある水不溶性架橋イオン交換エマルジョン粒子で処理
する方法、米国特許第3263891号明細書、特開平
6−276713号公報に記載の無機微粒子で処理する
方法等固形物による表面処理に関しては、電子顕微鏡等
による高倍率の表面観測において固形物の外観を観察す
る事により、処理剤である固形物の存在を判別する事が
でき、且つX線光電子分光解析(ESCA)法により処
理剤の組成が検出されるためそれと判定できる。 これ
らのアニオン交換体製品化後の後処理によりクランピン
グを防止した樹脂に関しては、固形物による表面処理で
は固形物表面の、アニオン交換体と逆符号のゼータ電位
による静電的な結合により、アニオン交換体の表面官能
基のイオン交換を阻害するものであり、アニオン交換体
表面に処理剤層が形成されており本特許の方法による評
価は適さない。即ち電子顕微鏡等による高倍率の表面観
測において米国特許第4347328号記載の粒状ポリ
マーが観察されるもの、及びX線光電子分光解析(ES
CA)法によるアニオン交換体表面解析において、無機
成分即ち無機の珪素、鉄、マグネシウム、アルミ等の合
計が測定元素総計の10重量%以上であるものについて
は本発明の評価方法は適用できない。
【0043】また、本発明の製造方法により得られるア
ニオン交換体は、対イオンCl形において、アニオン交
換体全体の乾燥重量あたりの中性塩分解容量が通常、1
mmol/g-dry-R-Cl以上であり、より好ましくは、2mmol/
g-dry-R-Cl(ここで、「g-dry-R-Cl」は、対イオンCl
型の乾燥樹脂1gを意味する。)以上最も好ましくは3
mmol/g-dry-R-Cl以上である。
【0044】アニオン交換体の形状は、直径5×10-2
〜2mmの球状粒子であることが好ましく、より好まし
くは、用途によっても異なるが、混床脱塩等の一般的用
途においては、1×10-1〜1mmの球状粒子であるこ
とがより好ましい。中性塩分解容量の測定は、"ダイヤ
イオンI基礎編"(三菱化学(株))p143−145
等に記載の一般的方法により実施できる。
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実
施例によって限定されるものではない。 実施例1 スチレン92.5g、57%ジビニルベンゼン7.5g
の混合物に過酸化ベンゾイル0.5gを加え均一な溶液
とした。これを、0.6gのポリビニルアルコールを含
む脱塩水600ml中に加えて、攪拌下に加熱し、80
℃で8時間重合させた。水洗後、乾燥して得られたスチ
レンジビニルベンゼン共重合体60gにクロロメチルメ
チルエーテル204gと塩化亜鉛21gを加え、50℃
で5時間反応させた。未反応のクロロメチルメチルエー
テルと塩化亜鉛を水で不活性化して架橋クロロメチル化
スチレン/ジビニルベンゼン共重合体を得た。この架橋
されたクロロメチル化スチレン/ジビニルベンゼン共重
合体60gに、イソプロピルアルコール200ml、ナ
トリウムメトキシド10.8gを加え、80℃8時間反
応させた。このポリマーを、濾過後、15gとり、50
mlの1,4−ジオキサン、及び30%トリメチルアミ
ン水溶液21mlを加え、50℃で8時間反応させた。
得られたポリマーを濾過し4%NaClを20BV流
し、塩型をCl型として、アニオン交換体Aを得た。
【0046】ダイヤイオンI基礎編"(三菱化学)p1
45記載の方法に従い、アニオン交換体Aの中性塩分解
容量を測定をした。以下、中性塩分解容量の測定は全て
この方法により測定した。アニオン交換体Aの水分は5
4.4%であった。この樹脂について、ダイヤイオンI
基礎編"(三菱化学)p136記載の方法に従い、対イ
オンをCl形(基準形)に調製した後約1gを秤量瓶に
採り、減圧環境下80℃で8時間乾燥した。以上の方法
で調製した対イオンCl形乾燥樹脂サンプル表面のX線
電子分光解析(ESCA)により樹脂表面の対イオン塩
素を測定した。結果を表−1に示す。なお、以下X線電
子分光解析のためのサンプル調製は全てこの方法により
実施した。
【0047】
【表1】
【0048】官能基密度比:A/B (a) A:アニオン交換体表面の単位重量あたりの官能基量[m
eq/g-R-Cl] X線電子分光(ESCA)測定による、表面深度50オ
ングストロ−ム程度表面極近傍における、アニオン交換
体乾燥重量1gに対する対イオンのモル数。下記式
(A)により算出される。
【0049】
【数4】イオン Cl定量値[atmic%]/Clの原子量(=35.5)・0 (A) B:アニオン交換体全体の単位重量あたりの官能基量[m
eq/g-R-Cl] 中性塩分解容量測定法で分析される、アニオン交換体乾
燥重量1gに対する官能基のモル数。) 実施例2 実施例1で得られた架橋クロロメチル化スチレン/ジビ
ニルベンゼン共重合体60gに、メタノ−ル200m
l、ナトリウムメトキシド10.8gを加え、60℃で
8時間反応させた。このポリマーを、濾過後、15gと
り、50mlの1,4−ジオキサン、及び30%トリメ
チルアミン水溶液21mlを加え、50℃8時間反応さ
せた。得られたポリマーを濾過し4%NaClを20B
V流し、塩型をCl型として、アニオン交換体Bを得
た。
【0050】アニオン交換体Bの中性塩分解容量を測定
した。水分は54.8%であった。この樹脂についてX
線電子分光解析(ESCA)により樹脂表面の対イオン
塩素を測定した。結果を表−2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】実施例3 実施例1で得られた架橋クロロメチル化スチレン/ジビ
ニルベンゼン共重合体60gに、エチレングリコール2
00mlナトリウムメトキシド10.8gを加え、60
℃で8時間反応させた。このポリマーを、濾過後、15
gとり、50mlの1,4−ジオキサン、及び30%ト
リメチルアミン水溶液21mlを加え、50℃8時間反
応させた。得られたポリマーを濾過し4%NaClを2
0BV流し、塩型をCl型として、アニオン交換体Cを
得た。
【0053】アニオン交換体C中性塩分解容量を測定し
た。水分は55.1%であった。この樹脂についてX線
電子分光解析(ESCA)により樹脂表面の対イオン塩
素を測定した。結果を表−3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】実施例4 実施例1で得られた架橋クロロメチル化スチレン/ジビ
ニルベンゼン共重合体60gに、鹸化度約88mol
%、分子量約30000のポリビニルアルコール3gを
脱塩水に溶解し1.5Lとした溶液を加え、水酸化ナト
リウム240gを添加溶解した後95℃で3時間反応さ
せた。このポリマーを、濾過後、15gとり、50ml
の1,4−ジオキサン、及び30%トリメチルアミン水
溶液21mlを加え、50℃8時間反応させた。得られ
たポリマーを濾過し4%NaClを20BV流し、塩型
をCl型として、アニオン交換体Dを得た。(使用ポリ
ビニルアルコール:市販品日本合成製PVA GL−1
3 鹸化度製品規格86〜89mol%、重合度100
0以下)アニオン交換体Dの中性塩分解容量を測定し
た。水分は54.9%であった。この樹脂についてX線
電子分光解析(ESCA)により樹脂表面の対イオン塩
素を測定した。結果を表−4に示す。なお本実施例に関
しては、表面Cl濃度が極低く、イオンクロルと有機ク
ロルの分離が不可であったため表面全Cl(有機+無
機)の定量値をイオンクロル定量値として取り扱った。
(表中*印)
【0056】
【表4】
【0057】比較例1 実施例1で合成した架橋されたクロロメチル化スチレン
/ジビニルベンゼン共重合体15gに、50mlの1,
4−ジオキサン、及び30%トリメチルアミン水溶液2
1mlを加え、50℃で8時間反応させた。得られたポ
リマーを濾過、水洗し、アニオン交換体Eを得た。
【0058】アニオン交換体Dの中性塩分解容量を測定
した。水分は54.7%であった。この樹脂についてX
線電子分光解析(ESCA)により樹脂表面の対イオン
塩素を測定した。結果を表−5に示す。
【0059】
【表5】
【0060】なお、アニオン交換体Eの官能基密度比A
/Bに対するアニオン交換体A,B,CDの官能基密度
比A/Bを表−6に示す。
【0061】
【表6】
【0062】<クランピング評価>実施例1、実施例
2、実施例3、実施例4で得られたアニオン交換体と比
較例1で得られたアニオン交換体について、クランピン
グの比較評価を行った。結果を表6に示す。 (クランピング評価方法)対イオン形に調製したアニオ
ン交換樹脂を10mlのメスシリンダーで10ml正確
に計量し、脱塩水を用いてグラスフィルターに移し、2
N−NaOH 750mlをSV約70で流してOH形
に変換し、続いて脱塩水約2LをSV約70で流して洗
浄し対イオンOH形のアニオン交換樹脂を得た。カチオ
ン交換樹脂は三菱化学社製強酸性カチオン交換樹脂SK
1BH(対イオンH形)約12mlを 脱塩水を用いで
グラスフィルターに移し、2N−HCl 500mlを
SV約70で流し続いて脱塩水約2LをSV約70で流
して洗浄して使用した。
【0063】対イオンOH形アニオン交換樹脂サンプル
と、対イオンH形カチオン交換樹脂は、それぞれ10m
lのメスシリンダ−で10ml正確に計量し、脱塩水を
用いて100mlビ−カ−中に移送しプラスチック製ス
パチュラで3回混合し1分間静置した。静置後混合した
樹脂を 50ml ガラス製メスシリンダ−に充填後メ
スシリンダーを棒でたたく等して刺激を与え混合樹脂の
上面が低下しなくなったことを確認し混合樹脂の体積を
測定した。この操作を、実施例1,実施例2,実施例3
で得られたアニオン交換体と比較例1で得られたアニオ
ン交換体について行った。
【0064】測定結果は混合する前の対イオンOH形ア
ニオン交換樹脂サンプルと、対イオンH形カチオン交換
樹脂がそれぞれ10mlであることから、混合前の体積
20mlに対する混合樹脂体積の比を体積増加率として
まとめた。
【0065】
【表7】
【0066】比較例2(無機微粒子処理品の調製) 強塩基形アニオン交換樹脂SA12A(三菱化学社製)
を実施例4と同様の方法でOH形に調整した後、250
mlガラス製メスシリンダ−を用いて200ml計量後
高速回転装置を使用し、サラン濾布中で3000rpm
で5分間脱水した。一方、ベントナイト粉末(関東化学
鹿1級) 10gを5Lポリビーカ中で、脱塩水にと共
に攪拌し0.5%ベントナイト懸濁液2Lを調製した。
続いて、前出脱水樹脂を加え10分間撹拌後、脱塩水に
よるデカンデ−ション3回後500mlガラスカラム中
に脱塩水を用いて移送し、脱塩水5Lを2hで通水しア
ニオン交換体Eを得た。
【0067】比較例3(高分子電解質処理品の調製) 強塩基形アニオン交換樹脂SA12A(三菱化学社製)
を実施例4と同様の方法でOH形に調整した後、250
mlガラス製メスシリンダ−を用いて200ml計量後
高速回転装置を使用し、サラン濾布中で3000rpm
で5分間脱水した。一方脱塩水により、0.2%溶液に
調製した分子量約50000のスルホン化ポリスチレン
(ナトリウム形)を再生形強酸性カチオン交換樹脂SK
1B(三菱化学社製)カラムに通液して遊離酸形に調製
し溶液を200ml採取した。続いて、脱水樹脂とポリ
スチレンスルホン酸水溶液を500ml ガラス3角フ
ラスコ中で混合し、震とう装置(yamato sha
ker SA−31)により100rpmで1時間震と
う後、脱塩水によるデカンデ−ション3回後500ml
ガラスカラム中に脱塩水を用いて移送し、脱塩水5Lを
2hで通水しアニオン交換体Fを得た。
【0068】<クランピング評価>本発明の製法により
得られるアニオン交換体では、化学修飾により表面電荷
を抑制しているため、樹脂表面の後処理により表面電荷
を抑制する方法と比較して、クランピング防止効果が長
期間発現されると考えられる。そこで、加速試験によ
り、表面処理法との比較を実施した。
【0069】加速試験は、2N−HCl 10BV、脱
塩水1BV、2N−NaOH 10BV、脱塩水1BV
の順に樹脂に接触させることを1サイクルとした。評価
樹脂量を対イオンOH形で10ml採取しガラスカラム
17mmφ× 100 mmHに脱塩水で充填し、上記
の通液を繰り返し100サイクル SV=30で実施し
た。
【0070】加速試験前後のクランピング評価(方法は
前述の方法と同様)を表−8に示す。
【0071】
【表8】
【0072】本発明のアニオン交換体では、加速試験後
の混合体積評価は表面化学修飾品及び標準品で加速試験
後初期評価と同等、もしくは低下傾向であった。一方、
製品表面を後処理し、からみを防止した2手法(比較例
2及び3)については加速試験後加速試験まえよりりク
ランピングによる体積増加が上昇した。
【0073】
【発明の効果】本発明の製法により得られるアニオン交
換体は、表面の官能基密度を極端に小さいため、表面電
荷に起因するクランピングの問題を抑制するものであ
る。また化学結合により表面官能基密度抑制するため、
クランピング防止効果が永続的であり溶出の問題も発生
しない。さらに、表面の官能基密度の低さにより有機汚
染性も改善され使用可能期間を長くすることができる。
本発明の製法により得られるアニオン交換体は表面官能
基密度を抑えつつ充分なイオン交換容量を保っているた
め、混床脱塩の用途に特に適する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 5/20 CET C08J 5/20 CET // C08L 25:18 C08L 25:18 Fターム(参考) 4F071 AA09 AA22 AA29 AA77 AB15 AB18 AC05 AC12 AD06 AH02 FA09 FB02 FB07 FD02 FD04 4J031 AA02 AA03 AA13 AA14 AA17 AB01 AC04 AD01 AE19 AF08 4J100 AB00P AB02P AB04P AB08P AB09P AB15Q AB16Q BB01H CA01 CA04 CA31 HA53 HA61 HB39 HB52 HC09 HC10 HC13 HC45 JA16

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される繰り返し単
    位を構成要素として含有する架橋共重合体に、OH基を
    有する有機分子を反応させた後、下記一般式(2)で表
    される化合物と反応させることを特徴とするアニオン交
    換体の製造方法。 【化1】 (一般式(1)中、Rは炭素数1〜8の直鎖状アルキレ
    ン基又は環状炭化水素基、炭素数1〜8のアルコキシメ
    チレン基であり、Zはハロゲン原子を表わす。またRは
    ベンゼン環のどの位置で置換されていてもよく、さらに
    ベンゼン環のその他の部位はアルキル基またはハロゲン
    原子で置換されていても良い。mは1以上の整数であ
    る。) 【化2】 (一般式(2)中、R1、R2及びR3は炭素数1〜20
    のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す。)
  2. 【請求項2】 OH基を有する有機分子が、炭素数1〜
    12のアルコ−ルである請求項1に記載のアニオン交換
    体の製造方法。
  3. 【請求項3】 OH基を有する有機分子が、複数のOH
    基を有する水溶性高分子である請求項1または2に記載
    のアニオン交換体の製造方法。
  4. 【請求項4】 OH基を有する有機分子が、疎水部分を
    有するものである請求項1〜3のいずれかに記載のアニ
    オン交換体の製造方法。
  5. 【請求項5】 OH基を有する有機分子が、部分鹸化ポ
    リビニルアルコール、メチルセスロ−ル、エチルセルロ
    −スから選ばれるものである請求項4に記載のアニオン
    交換樹脂の製造方法
  6. 【請求項6】OH基を有する有機分子の活性化剤とし
    て、炭素数1〜4の金属アルコキシド、金属の水酸化
    物、金属塩のいずれか、もしくはこれらの混合物を存在
    させる請求項1〜5のいずれかに記載のアニオン交換体
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 芳香族架橋共重合体を母体とするアニオ
    ン交換体であって、該アニオン交換体表面における官能
    基密度が、アニオン交換体全体における官能基密度の
    0.1倍以下であることを特徴とする請求項1〜6の何
    れかの方法により得られるアニオン交換体。(ここでい
    う官能基密度の比は下記式(a)により定義される。 【数1】官能基密度比:A/B (a) A(アニオン交換体表面の単位重量あたりの官能器
    量):X線電子分光(ESCA)測定による、表面深度
    50オングストロ−ム程度表面極近傍における、アニオ
    ン交換体乾燥重量1gに対する対イオンのモル数。 B(アニオン交換体全体の単位重量あたりの官能器
    量):中性塩分解容量測定法で分析される、アニオン交
    換体乾燥重量1gに対する官能基のモル数。)
  8. 【請求項8】 対イオンCl形において、アニオン交換
    体全体の乾燥重量あたりの中性塩分解容量が1mmol/g-d
    ry-R-Cl以上である請求項7に記載のアニオン交換体。
  9. 【請求項9】 直径5×10-2〜2mmの球状粒子であ
    る請求項7または8に記載のアニオン交換体。
JP2000383251A 2000-08-25 2000-12-18 アニオン交換体の製造方法及びアニオン交換体 Pending JP2002136882A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000383251A JP2002136882A (ja) 2000-08-25 2000-12-18 アニオン交換体の製造方法及びアニオン交換体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000-255880 2000-08-25
JP2000255880 2000-08-25
JP2000383251A JP2002136882A (ja) 2000-08-25 2000-12-18 アニオン交換体の製造方法及びアニオン交換体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002136882A true JP2002136882A (ja) 2002-05-14

Family

ID=26598492

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000383251A Pending JP2002136882A (ja) 2000-08-25 2000-12-18 アニオン交換体の製造方法及びアニオン交換体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002136882A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012157864A (ja) * 2007-04-19 2012-08-23 Kurita Water Ind Ltd アニオン交換樹脂の製造方法、アニオン交換樹脂、混床樹脂および電子部品・材料洗浄用超純水の製造方法
US8476324B2 (en) 2007-04-19 2013-07-02 Kurita Water Industries Ltd. Method for manufacturing anion exchange resin, anion exchange resin, method for manufacturing cation exchange resin, cation exchange resin, mixed bed resin, and method for manufacturing ultrapure water for washing electronic component material
CN112125991A (zh) * 2020-09-21 2020-12-25 凯瑞环保科技股份有限公司 一种耐高温强碱性阴离子交换树脂的制备方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012157864A (ja) * 2007-04-19 2012-08-23 Kurita Water Ind Ltd アニオン交換樹脂の製造方法、アニオン交換樹脂、混床樹脂および電子部品・材料洗浄用超純水の製造方法
US8476324B2 (en) 2007-04-19 2013-07-02 Kurita Water Industries Ltd. Method for manufacturing anion exchange resin, anion exchange resin, method for manufacturing cation exchange resin, cation exchange resin, mixed bed resin, and method for manufacturing ultrapure water for washing electronic component material
US8765825B2 (en) 2007-04-19 2014-07-01 Kurita Water Industries Ltd. Method for manufacturing anion exchange resin, anion exchange resin, method for manufacturing cation exchange resin, cation exchange resin, mixed bed resin, and method for manufacturing ultrapure water for washing electronic component material
US8846773B2 (en) 2007-04-19 2014-09-30 Kurita Water Industries Ltd. Method for manufacturing anion exchange resin, anion exchange resin, method for manufacturing cation exchange resin, cation exchange resin, mixed bed resin, and method for manufacturing ultrapure water for washing electronic component material
CN112125991A (zh) * 2020-09-21 2020-12-25 凯瑞环保科技股份有限公司 一种耐高温强碱性阴离子交换树脂的制备方法
CN112125991B (zh) * 2020-09-21 2023-07-28 凯瑞环保科技股份有限公司 一种耐高温强碱性阴离子交换树脂的制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4052343A (en) Crosslinked, macroreticular poly(dimethylaminoethyl methacrylate) ion-exchange resins and method of preparation by aqueous suspension polymerization using trialkylamine phase extender
EP0646142B1 (en) An adiabatic process for the preparation of ion exchange and adsorbent copolymers
WO1993012167A1 (en) Seeded porous copolymers and ion-exchange resins prepared therefrom
JP5675654B2 (ja) ビニル芳香族ポリマーの第三級アミンによるアミノ化
JPS5830327B2 (ja) ビニルベンジルクロリドの不溶性巨大網状重合体の製造法
JP2003301016A (ja) 単分散アニオン交換ゲルの製法および単分散アニオン交換ゲル
US5726210A (en) Process for preparation of anion exchange resin
JP2002136882A (ja) アニオン交換体の製造方法及びアニオン交換体
JP2002102719A (ja) 混床式イオン交換樹脂床及びこれに用いるアニオン交換樹脂
JP4744494B2 (ja) 熱安定性アニオン交換体
JP2021502441A (ja) 一官能性ビニルモノマーの添加を含む重合プロセス
JPH11179218A (ja) イオン交換樹脂
JP2001031712A (ja) イオン交換体の製造方法
JP3059251B2 (ja) アミノリン酸型キレート樹脂の製造方法
JPH0722711B2 (ja) 陰イオン交換樹脂及びその製造方法
US3749684A (en) Resins with tertiary amine oxide functionality
JPH0724334A (ja) アニオン交換体及び該アニオン交換体からなるガス吸着剤
JPH0314499B2 (ja)
JP3843524B2 (ja) 多孔性強塩基性アニオン交換体及びその製造方法
JPH07330818A (ja) 球状架橋共重合体の製造方法
JPH09221523A (ja) アニオン交換体
JPH11226303A (ja) クロマトグラフィー用担体
JP2024120920A (ja) 一官能性ビニルモノマーの添加を含む重合プロセス
JPH06238270A (ja) 吸着又は脱塩方法
JP3460729B2 (ja) 高交換容量を有するアニオン交換体及びその製造方法