JP2002076547A - フッ素樹脂プリント基板及びその製造方法 - Google Patents

フッ素樹脂プリント基板及びその製造方法

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JP2002076547A
JP2002076547A JP2000257435A JP2000257435A JP2002076547A JP 2002076547 A JP2002076547 A JP 2002076547A JP 2000257435 A JP2000257435 A JP 2000257435A JP 2000257435 A JP2000257435 A JP 2000257435A JP 2002076547 A JP2002076547 A JP 2002076547A
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fluororesin
short fibers
circuit board
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nonwoven fabric
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JP2000257435A
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Hitoshi Kanzaki
仁 神崎
Toshimitsu Tanii
利光 谷井
Satoru Hashimoto
哲 橋本
Yasuhiko Ichino
靖彦 市野
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Nippon Pillar Packing Co Ltd
Original Assignee
Nippon Pillar Packing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比誘電率が高く、誘電特性のばらつきがな
く、スルーホールの信頼性に優れたフッ素樹脂プリント
基板を提供する。 【解決手段】 フッ素樹脂短繊維及び高誘電性短繊維を
水中に分散させ、湿式抄造法により、フッ素樹脂短繊維
2及び高誘電性短繊維3が縦横2方向にランダム配向し
た混成不織布1を形成し、これをフッ素樹脂の融点以上
の温度で熱処理することによりフッ素樹脂短繊維同士を
融着させる。このようにしてできた混成不織布1に銅箔
4を重ねて、フッ素樹脂の融点以上の温度で熱圧着す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フッ素樹脂プリン
ト基板に関し、特に、情報通信機器等における高周波帯
で用いられるアンテナ部品や、ICパッケージ等の半導
体基板として用いられる高誘電率のフッ素樹脂プリント
基板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高度情報化社会の到来に伴い、通
信手段の革新が著しい。例えば、携帯電話、自動車電話
等の移動体通信機器や、衛星放送、衛星通信等のニュー
メディアシステムにおいては、情報伝達はより高速化、
高周波化の傾向にある。信号が高周波化すれば波長は短
くなり、波長が短くなるほど概して回路素子も小さくす
ることができる。従って、高周波化は通信機器の小型化
に寄与する。しかしながら、携帯電話等の移動体通信機
器においては、さらなる小型化の要請がある。現行の周
波数で、さらなる小型化を図るには、これまで一般に比
誘電率の低いものが用いられてきたプリント基板を、比
誘電率の高いものに移行することが効果的である。これ
は、比誘電率εrの誘電体中を伝播する電磁波の波長λ
が、真空中の電磁波波長をλとするとき、λ=λ
(εr 1/2)で表されることに基づいている。すなわ
ち、誘電体中を伝播する電磁波の波長λは、比誘電率が
高くなるほど短くなるからである。一方、信号の減衰
(伝送損失)を少なくするには、誘電正接(tanδ)
を小さくする必要があることはいうまでもない。以上の
ことから、特に小型化を要する通信機器に搭載されるプ
リント基板としては、例えば比誘電率が10以上で、か
つ、誘電正接の小さいものが要望されている。
【0003】図3は、例えば特開平3−5140号公報
に掲載された従来のフッ素樹脂プリント基板を示す断面
図である。図において、当該フッ素樹脂プリント基板
は、比誘電率の高い無機フィラー51を配合したフッ素
樹脂ディスパージョン52を、ガラスクロス53に含浸
させ、熱処理して得たフッ素樹脂プリプレグ50の両面
に、銅箔54を熱圧着したものである。ガラスクロス5
3は、図4に示すように、ガラス繊維からなる経糸53
a及び緯糸53bを適当な密度で織ったものである。こ
のようにして当該フッ素樹脂プリント基板においては、
絶縁層であるフッ素樹脂中に高誘電率の無機フィラー5
1を含有させることにより、基板の比誘電率を高めるこ
とができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来のフッ素樹脂プリント基板では、比誘電率8
程度までが限界であり、近年の市場の要請である比誘電
率10以上を達成することはできなかった。これは、基
板全体の比誘電率の増大を妨げる要因として、フッ素樹
脂の低い比誘電率(2.1)のみならず、ガラスクロス
53の中程度な比誘電率(6.5)の影響が大きいこと
による。すなわち、無機フィラー51の添加量を可能な
限り増大させても、所定の体積を占めるガラスクロス5
3の存在による比誘電率のマイナス要因を補い切れな
い。それどころか、無機フィラー51の混合比率を高め
ることにより、フッ素樹脂52の量が相対的に少なくな
り、フッ素樹脂52が無機フィラー51の周りを十分に
流動できなくなる。この結果、無機フィラー51の粒子
間に微細な隙間(孔)が多量に発生して、基板の吸水率
が高くなり、絶縁劣化や誘電正接の増大による信号損失
の増大を招く。また、フッ素樹脂の流動によるアンカー
効果(接着効果)が低下して、銅箔54が剥離しやすく
なる。
【0005】また、上記のような従来のフッ素樹脂プリ
ント基板は、基板の縦方向、横方向及び厚さ方向をそれ
ぞれX方向、Y方向及びZ方向とすると、ガラスクロス
51の存在によってX方向及びY方向には熱膨張が抑制
され、熱膨張係数が小さくなる。ところが、その代わり
に、Z方向の熱膨張係数が大きくなる。このため、温度
変化の大きい環境下ではZ方向への基板の熱伸縮が大き
くなる。基板にスルーホールが設けられている場合に
は、このような熱伸縮によりスルーホールの導電部も伸
縮し、損傷を生じる場合がある。従って、従来のフッ素
樹脂プリント基板は、スルーホールの信頼性に欠けると
いう問題点がある。
【0006】さらに、図4に示すように、ガラスクロス
51は網目構造になっているため、誘電率及び誘電正接
が不均一である。すなわち、基板上の回路から見て、そ
の真下が、網目(目開き)Mの部分であるか、経糸51
a又は緯糸51bであるか、あるいは、それらの交差部
であるか、によって誘電率及び誘電正接が異なってく
る。このことは、基板上の回路素子(特に、フィルタ
等)に影響を及ぼし、その電気的特性にばらつきを生じ
るという問題点がある。
【0007】上記のような従来の問題点に鑑み、本発明
は、比誘電率が高く、誘電特性のばらつきがなく、スル
ーホールの信頼性に優れたフッ素樹脂プリント基板を提
供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のフッ素樹脂プリ
ント基板は、フッ素樹脂短繊維と高誘電性短繊維とが縦
横2方向にランダム配向し、かつ、前記フッ素樹脂短繊
維同士が融着してなる少なくとも1層の混成不織布によ
って構成された絶縁層と、前記絶縁層の少なくとも片面
に熱圧着された所望パターンの導電体層とを備えたもの
である(請求項1)。上記のように構成されたフッ素樹
脂プリント基板においては、フッ素樹脂短繊維及び高誘
電性短繊維が縦横2方向にランダム配向されているの
で、基板全体で均一に誘電率が高められる。また、ガラ
スクロスを用いない分だけ高誘電性短繊維を多く配合す
ることができるので、高い比誘電率が達成される。しか
も、誘電特性(誘電率、誘電正接)が基板全体で均一化
される。また、高誘電性短繊維の低い熱膨張係数に起因
して、厚さ方向への熱膨張係数も低減される。
【0009】また、上記フッ素樹脂プリント基板(請求
項1)において、高誘電性短繊維の比誘電率は10以上
であることが好ましい(請求項2)。この場合、高誘電
性短繊維の存在により、基板全体の比誘電率を10以上
にすることができる。
【0010】また、上記フッ素樹脂プリント基板(請求
項1)において、高誘電性短繊維の配合量が35〜70
vol%であることが好ましい(請求項3)。この場合、
高誘電性短繊維の存在によって高い比誘電率及び優れた
スルーホール信頼性が得られるとともに、フッ素樹脂短
繊維の存在によって優れたピール強度及び低い吸水率が
得られる。
【0011】また、上記フッ素樹脂プリント基板(請求
項1)において、高誘電性短繊維は、アルミナセラミッ
ク、二酸化チタンセラミック、チタン酸バリウム系セラ
ミック、チタン酸鉛系セラミック、チタン酸ストロンチ
ウム系セラミック、チタン酸カルシウム系セラミック、
チタン酸ビスマス系セラミック、チタン酸マグネシウム
系セラミック、及び、ジルコン酸鉛系セラミックからな
る群から選択される少なくとも1つであってもよい(請
求項4)。この場合、セラミックの高誘電性短繊維が配
合されることにより、高い比誘電率及び優れたスルーホ
ール信頼性が得られるとともに、絶縁層の物理的な強度
も均一かつ十分なものとなる。
【0012】また、上記フッ素樹脂プリント基板(請求
項1)において、絶縁層と導電体層との間に、縦横2方
向へランダム配向したフッ素樹脂短繊維が互いに融着し
てなる不織布によって構成した接着層を設けてもよい
(請求項5)。この場合、導電体層と直接接触するのは
接着層である。従って、絶縁層に高誘電性短繊維を多量
に配合したとしても、接着層のフッ素樹脂短繊維の作用
効果により、接着層に対する導電体層の良好なピール強
度を得ることができる。
【0013】また、上記フッ素樹脂プリント基板(請求
項1)において、混成不織布は、フッ素樹脂短繊維及び
高誘電性短繊維を湿式円網式抄造法により抄紙したもの
であってもよい(請求項6)。この場合、フッ素樹脂短
繊維及び高誘電性短繊維が、よりランダムに配向し易
い。
【0014】また、本発明のフッ素樹脂プリント基板の
製造方法は、フッ素樹脂短繊維及び高誘電性短繊維を水
中に分散させ、湿式抄造法により、フッ素樹脂短繊維及
び高誘電性短繊維が縦横2方向にランダム配向した混成
不織布を形成し、前記混成不織布をフッ素樹脂の融点以
上の温度で熱処理することによりフッ素樹脂短繊維同士
を融着させ、前記混成不織布を絶縁層とし、その少なく
とも片面に導電体層を重ねて、フッ素樹脂の融点以上の
温度で熱圧着し、熱圧着された導電体層に導電路のパタ
ーンを形成するものである(請求項7)。上記のような
フッ素樹脂プリント基板の製造方法においては、湿式抄
造法により、フッ素樹脂短繊維及び高誘電性短繊維が縦
横2方向にランダム配向された混成不織布が得られ、こ
の混成不織布を絶縁層とする基板の全体で均一に誘電率
が高められる。また、ガラスクロスを用いない分だけ高
誘電性短繊維を多く配合することができるので、高い比
誘電率を有するフッ素樹脂プリント基板が得られる。し
かも、誘電特性(誘電率、誘電正接)が基板全体で均一
化され、ばらつきがなくなる。また、高誘電性短繊維の
低い熱膨張係数に起因して、厚さ方向への熱膨張係数も
低減される。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施形態によ
るフッ素樹脂プリント基板の断面図である。図におい
て、当該フッ素樹脂プリント基板は、抄造法により、フ
ッ素樹脂短繊維2と、比誘電率εが10以上(特に好
ましくは15以上)の高誘電性短繊維3とを抄紙してな
る混成不織布1の絶縁層と、混成不織布1の上下両面に
設けられた銅箔4の導電体層とを備えている。このよう
なフッ素樹脂プリント基板は、以下のようにして製造さ
れる。
【0016】まず、フッ素樹脂短繊維は、熱可塑性フッ
素樹脂からなるものであり、代表的なものはPTFE短
繊維である。これは、PTFEの微粒子を高分子電解質
水溶液又はビスコースからなるマトリックス物質中に分
散混合し、その混合液を凝固浴中に吐出して凝固させた
後、脱酸処理等を行うことにより得られる。なお、PT
FEに代えて、テトラフルオロエチレン・パーフルオロ
アルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフ
ルオロエチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重
合体(PFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフル
オロプロピレン共重合体(FEP)、又は、テトラフル
オロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)を用いて
もよい。
【0017】フッ素樹脂短繊維は、繊維長が1〜20m
m、好ましくは2〜10mmで、繊維径が100μm以
下、好ましくは50μm以下の短繊維、若しくは、機械
的な破砕処理によってフィブリル化した短繊維等が用い
られる。繊維長が20mmを超えると地合が悪くなり、
逆に1mm以下の場合は抄造時に流出しやすくなり歩留
まりが悪くなるので好ましくない。また、繊維径が10
0μmより太いと、得られるシートの繊維同士の交絡点
が減少するため強度が弱くなり、好ましくない。なお、
繊維径は細いほど均一なシートが得られるため好まし
い。
【0018】高誘電性短繊維は、基板の比誘電率の増大
を目的として添加されるものであり、その比誘電率は1
0以上、特に好ましくは15以上である。例えば、高誘
電性ガラス繊維やセラミック繊維が適する。特に、二酸
化チタン系セラミック、チタン酸バリウム系セラミッ
ク、チタン酸鉛系セラミック、チタン酸ストロンチウム
系セラミック、チタン酸カルシウム系セラミック、チタ
ン酸ビスマス系セラミック、チタン酸マグネシウム系セ
ラミック、ジルコン酸鉛系セラミック等が好ましい。こ
れらは、単独で又は2種以上を混合して用いることがで
きる。なお、二酸化チタン系セラミックとは、組成的に
は二酸化チタンのみを含む系、又は二酸化チタンに他の
少量の添加物を含む系で、主成分である二酸化チタンの
結晶構造が保持されているものである。他の系のセラミ
ックもこれと同様である。二酸化チタン(TiO
は、種々の結晶構造を含むものであるが、誘電体セラミ
ックとして使用されるのは、そのうちのルチル構造のも
のである。
【0019】高誘電性短繊維の繊維長は1〜60mm、
好ましくは、2〜10mmで、繊維径は30μm以下、
好ましくは20μm以下のものが適する。繊維長が長す
ぎると、抄造時の分散性が悪くなり、高誘電性が不均一
となるため好ましくない。また、繊維径が太すぎると、
繊維が剛直となるため、繊維間の接触が失われ、高誘電
性が損なわれるため、好ましくない。高誘電性短繊維の
熱膨張率は、2〜10×10−6/℃のものが好適であ
る。熱膨張率が10×10−6/℃を超えると、基板の
熱膨張率を小さくする効果が少ないため、好ましくな
い。また、熱膨張率が2×10−6/℃より小さいもの
は現存しない。
【0020】上記のようなフッ素樹脂短繊維及び高誘電
性短繊維を用いて、湿式抄造法により混成不織布を作
る。すなわち、水中にフッ素樹脂短繊維及び高誘電性短
繊維を分散させ、必要なバインダ等を加えて、これを抄
紙処理することにより、フッ素樹脂短繊維及び高誘電性
短繊維の混成不織布を得る。
【0021】上記のような湿式抄造法においては、水を
媒体とするため、短繊維(フッ素樹脂短繊維及び高誘電
性短繊維)の分散及び混合が容易である。また、界面活
性剤や粘着材等の添加剤を加えることによって短繊維の
分散性を加減することが可能である。従って、混成不織
布の縦及び横方向をそれぞれX方向及びY方向とすると
き、短繊維がX,Y2方向(以下、XY方向という。)
にランダム配向した、均一な地合の混成不織布を得るこ
とができる。湿式抄造法には、長網式、円網式等があ
り、いずれも適用可能であるが、円網式は、長網式に比
べて、より短繊維がXY方向にランダム配向し易いので
好適である。なお、出来上がった混成不織布は、フッ素
樹脂短繊維及び高誘電性短繊維の他、上記マトリックス
物質や、抄造過程で添加されたバインダや添加剤等の助
剤を含んでいる。
【0022】次に、混成不織布を、フッ素樹脂の融点
(PTFEの場合は327℃)以上の温度(最高500
℃)で熱処理し、フッ素樹脂短繊維同士を融着させる。
この熱処理により、フッ素樹脂短繊維及び高誘電性短繊
維以外の物質はすべて炭化し、さらに空気酸化して除去
される。こうして、フッ素樹脂短繊維と高誘電性短繊維
とがXY方向にランダム配向し、かつ、フッ素樹脂短繊
維同士が融着してなる混成不織布が得られる。なお、こ
の段階の混成不織布においては、フッ素樹脂短繊維間に
微小な隙間が残存している。
【0023】次に、図1に示すように、混成不織布1の
上下両面(用途によっては片面でもよい。)に、厚さ1
8μmの銅箔4を重ねて、フッ素樹脂の融点以上の温度
で熱圧着する。なお、銅箔4の裏面(混成不織布1と接
する方)には、多数の微小な突起が設けられており、こ
れらが、混成不織布1の短繊維間に残存している空隙に
入り込んだ状態で熱圧着される。こうして、銅箔4が混
成不織布1に付着し、絶縁層としての混成不織布1と、
導電体層としての銅箔4とを備えたフッ素樹脂プリント
基板が得られる。
【0024】その後、導電路のパターン形成等の後工程
を施し、所望のパターンの導電路を設けたフッ素樹脂プ
リント基板を得ることができる。パターン形成は、剥離
現像型ホトレジスト、溶解現像型ホトレジスト等を用い
て行われる。例えば、銅箔4の表面にアルカリ現像型ホ
トレジスト膜を形成し、その上からホトマスクを介して
パターン状に露光する。そして、銅箔の露出部をエッチ
ング等により除去し、さらに、ホトレジストの露光部を
溶解除去すれば、ホトレジストの露光パターンに対応す
る回路パターンを有するフッ素樹脂プリント基板を得る
ことができる。
【0025】なお、上記の例は絶縁層が1枚の混成不織
布からなる構成を示したが、例えば図2に示すように、
混成不織布1を複数枚積層して熱圧着し、積層間でフッ
素樹脂短繊維同士を融着させることにより、任意の厚さ
の絶縁層を得ることができる。
【0026】このようにしてできたフッ素樹脂プリント
基板においては、フッ素樹脂短繊維及び高誘電性短繊維
がXY方向にランダム配向されているので、基板全体で
均一に誘電率が高められる。また、ガラスクロスを用い
ない分だけ高誘電性短繊維を多く配合することができる
ので、10以上の比誘電率を容易に達成することができ
る。しかも、誘電特性(誘電率、誘電正接)が基板全体
で均一化され、ばらつきがなくなる。さらに、セラミッ
クの高誘電性短繊維が配合されることにより、絶縁層の
物理的な強度も均一かつ十分なものとなる。
【0027】また、フッ素樹脂短繊維の熱膨張係数の異
方性と高誘電性短繊維の低い熱膨張係数とに起因して、
ガラスクロスを使用しないにもかかわらず、XY方向へ
の熱膨張係数を、ガラスクロスを用いた場合と同等程度
にまで低減することができる。従って、優れた寸法安定
性を得ることができる。なお、この異方性は、径方向の
熱膨張係数より長手方向の熱膨張係数が若干小さいこと
と、長手方向には延伸処理が施されていることとに基づ
いている。また、高誘電性短繊維の低い熱膨張係数に起
因して、Z方向(厚さ方向)への熱膨張係数も低減され
る。従って、当該フッ素樹脂プリント基板は、スルーホ
ール信頼性に優れている。
【0028】また、熱圧着においてZ方向に加圧された
とき、フッ素樹脂短繊維がXY方向にランダム配向され
ていることにより、加圧の後の、短繊維面積(短繊維が
押し拡がって占める面積)を十分に確保することができ
る。また、熱圧着によって、銅箔4の裏面の微小な突起
の周りにフッ素樹脂が十分に回り込んで強固なアンカー
効果が発揮される。従って、混成不織布1に対する銅箔
4のピール強度を著しく向上させることができる。この
ようなフッ素樹脂短繊維に基づく作用効果は、高誘電性
短繊維の配合量を過不足なく適量(25〜60%)にす
ることにより確保することができる。
【0029】また、絶縁層(混成不織布1)と導電体層
(銅箔4)との間に、X,Y2方向へランダム配向した
フッ素樹脂短繊維(のみ)が互いに融着してなる不織布
によって構成した接着層を設けてもよい。この場合に
は、導電体層と直接接触するのは接着層である。従っ
て、絶縁層に高誘電性短繊維を多量に配合したとして
も、接着層におけるフッ素樹脂短繊維の上記作用効果に
より、接着層に対する導電体層の良好なピール強度を得
ることができる。
【0030】上記の製造方法における高誘電性短繊維の
配合量(体積割合)の相異なる4つの実施例(接着層の
有無も含む。)において、製造されるフッ素樹脂プリン
ト基板の比誘電率、スルーホール信頼性(ホットオイル
試験サイクル(数値が高いほど信頼性大))、XY方向
の熱膨張係数、Z方向の熱膨張係数、ピール強度及び吸
水率について検証した。また、比較のために、基板の厚
さが本実施形態と同一で、Eガラスクロスにフッ素樹脂
を含浸コートした従来品(比較例1)や、高誘電性短繊
維の配合量がやや少ないもの(比較例2、30vol%)
及びかなり多いもの(比較例3、80vol%)について
も検証したところ、以下の表1に示すデータが得られ
た。なお、高誘電性短繊維としては、チタン酸カルシウ
ム系セラミック(比誘電率約20)を用いた。
【0031】
【表1】
【0032】上記の表1に示すように、高誘電性短繊維
の配合量が35〜70vol%の場合は、非常に高い比誘
電率が得られるとともに、スルーホール信頼性及びピー
ル強度に優れ、吸水率も低い。一方、30vol%では、
比誘電率が低く、スルーホール信頼性にも欠ける。80
vol%では、ピール強度が低下し、吸水率が上がる。従
って、高誘電性短繊維の配合量は35〜70vol%が好
適である。
【0033】
【発明の効果】以上のように構成された本発明は以下の
効果を奏する。請求項1のフッ素樹脂プリント基板によ
れば、フッ素樹脂短繊維及び高誘電性短繊維が縦横2方
向にランダム配向されているので、基板全体で均一に誘
電率が高められる。また、ガラスクロスを用いない分だ
け高誘電性短繊維を多く配合することができるので、高
い比誘電率を容易に達成することができる。しかも、誘
電特性(誘電率、誘電正接)が基板全体で均一化され、
ばらつきがなくなる。また、高誘電性短繊維の低い熱膨
張係数に起因して、厚さ方向への熱膨張係数も低減され
るので、当該フッ素樹脂プリント基板は、スルーホール
信頼性に優れている。
【0034】請求項2のフッ素樹脂プリント基板によれ
ば、高誘電性短繊維の存在により、基板全体の比誘電率
を10以上にすることができる。
【0035】請求項3のフッ素樹脂プリント基板によれ
ば、高誘電性短繊維の存在によって高い比誘電率及び優
れたスルーホール信頼性が得られるとともに、フッ素樹
脂短繊維の存在によって優れたピール強度及び低い吸水
率が得られる。
【0036】請求項4のフッ素樹脂プリント基板によれ
ば、セラミックの高誘電性短繊維が配合されることによ
り、高い比誘電率及び優れたスルーホール信頼性が得ら
れるとともに、絶縁層の物理的な強度も均一かつ十分な
ものとなる。
【0037】請求項5のフッ素樹脂プリント基板によれ
ば、導電体層と直接接触するのは接着層であるので、絶
縁層に高誘電性短繊維を多量に配合したとしても、接着
層のフッ素樹脂短繊維の作用効果により、接着層に対す
る導電体層の良好なピール強度を得ることができる。
【0038】請求項6のフッ素樹脂プリント基板によれ
ば、フッ素樹脂短繊維及び高誘電性短繊維が、よりラン
ダムに配向し易いので、誘電特性のばらつきを抑える効
果が向上する。
【0039】請求項7のフッ素樹脂プリント基板の製造
方法によれば、湿式抄造法により、フッ素樹脂短繊維及
び高誘電性短繊維が縦横2方向にランダム配向された混
成不織布が得られ、この混成不織布を絶縁層とする基板
の全体で均一に誘電率が高められる。また、ガラスクロ
スを用いない分だけ高誘電性短繊維を多く配合すること
ができるので、高い比誘電率を有するフッ素樹脂プリン
ト基板を容易に得ることができる。しかも、誘電特性
(誘電率、誘電正接)が基板全体で均一化され、ばらつ
きがなくなる。また、高誘電性短繊維の低い熱膨張係数
に起因して、厚さ方向への熱膨張係数も低減される。従
って、当該方法によって製造されたフッ素樹脂プリント
基板は、スルーホール信頼性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるフッ素樹脂プリント
基板の断面図である。
【図2】上記フッ素樹脂プリント基板における絶縁層を
多層化した構成を示す断面図である。
【図3】従来のフッ素樹脂プリント基板の断面図であ
る。
【図4】図3におけるガラスクロスの平面図である。
【符号の説明】
1 不織布 2 フッ素樹脂短繊維 3 高誘電性短繊維 4 銅箔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D21H 13/12 D21H 13/12 13/46 13/46 (72)発明者 橋本 哲 兵庫県三田市下内神字打場541番地の1 日本ピラー工業株式会社三田工場内 (72)発明者 市野 靖彦 兵庫県三田市下内神字打場541番地の1 日本ピラー工業株式会社三田工場内 Fターム(参考) 4F100 AA19A AA21A AA27A AB17 AB33 AD03A AK17A AK17C AR00B BA03 BA07 BA10A BA10B DG03A DG03C DG15A DG15C EC03A EC03C EC032 EH411 EJ422 GB43 JG01B JG04A JG05 JG05A JL01 JL11C YY00A 4L055 AF05 AF25 EA34 FA11 GA01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フッ素樹脂短繊維と高誘電性短繊維とが縦
    横2方向にランダム配向し、かつ、前記フッ素樹脂短繊
    維同士が融着してなる少なくとも1層の混成不織布によ
    って構成された絶縁層と、 前記絶縁層の少なくとも片面に熱圧着された所望パター
    ンの導電体層とを備えたことを特徴とするフッ素樹脂プ
    リント基板。
  2. 【請求項2】前記高誘電性短繊維の比誘電率が10以上
    である請求項1記載のフッ素樹脂プリント基板。
  3. 【請求項3】前記高誘電性短繊維の配合量が35〜70
    vol%である請求項1記載のフッ素樹脂プリント基板。
  4. 【請求項4】前記高誘電性短繊維は、アルミナセラミッ
    ク、二酸化チタンセラミック、チタン酸バリウム系セラ
    ミック、チタン酸鉛系セラミック、チタン酸ストロンチ
    ウム系セラミック、チタン酸カルシウム系セラミック、
    チタン酸ビスマス系セラミック、チタン酸マグネシウム
    系セラミック、及び、ジルコン酸鉛系セラミックからな
    る群から選択される少なくとも1つである請求項1記載
    のフッ素樹脂プリント基板。
  5. 【請求項5】前記絶縁層と前記導電体層との間に、縦横
    2方向へランダム配向したフッ素樹脂短繊維が互いに融
    着してなる不織布によって構成した接着層を設けた請求
    項1記載のフッ素樹脂プリント基板。
  6. 【請求項6】前記混成不織布は、フッ素樹脂短繊維及び
    高誘電性短繊維を湿式円網式抄造法により抄紙したもの
    である請求項1記載のフッ素樹脂プリント基板。
  7. 【請求項7】フッ素樹脂短繊維及び高誘電性短繊維を水
    中に分散させ、湿式抄造法により、フッ素樹脂短繊維及
    び高誘電性短繊維が縦横2方向にランダム配向した混成
    不織布を形成し、 前記混成不織布をフッ素樹脂の融点以上の温度で熱処理
    することによりフッ素樹脂短繊維同士を融着させ、 前記混成不織布を絶縁層とし、その少なくとも片面に導
    電体層を重ねて、フッ素樹脂の融点以上の温度で熱圧着
    し、 熱圧着された導電体層に導電路のパターンを形成するこ
    とを特徴とするフッ素樹脂プリント基板の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003063237A1 (fr) * 2002-01-25 2003-07-31 Sony Corporation Substrat pour module haute frequence et module haute frequence
KR20210136965A (ko) 2019-03-12 2021-11-17 에이지씨 가부시키가이샤 액상 조성물, 강유전성 절연 시트 및 그 제조 방법
CN114080097A (zh) * 2020-08-20 2022-02-22 浙江华正新材料股份有限公司 电路基板及其制备方法

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