JP2002066605A - 熱間圧延方法および設備 - Google Patents

熱間圧延方法および設備

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JP2002066605A
JP2002066605A JP2000261151A JP2000261151A JP2002066605A JP 2002066605 A JP2002066605 A JP 2002066605A JP 2000261151 A JP2000261151 A JP 2000261151A JP 2000261151 A JP2000261151 A JP 2000261151A JP 2002066605 A JP2002066605 A JP 2002066605A
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Toshiyasu Niimura
敏康 新村
Kenjiro Narita
健次郎 成田
Satoshi Hirano
平野  聡
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】幅広い鋼種に対応可能であるとともに、可逆式
圧延機を用い安価な設備構成で金属組織の微細化が可能
な圧延設備および圧延方法を提供する。 【解決手段】パス方向を変えながら圧延材を繰り返し圧
延する可逆式熱間圧延機100と、この圧延機に対して
圧延材の卷き出し、巻き取りを行うとともに、圧延後の
圧延材温度を保持する保熱装置4,5とを備える熱間圧
延設備において、圧延機の入側および出側に、圧延材を
Ar1変態点以下の温度に冷却し得る冷却手段と、圧延
材をAc1変態点以上又はAc3変態点以上の温度に加
熱し得る加熱手段と設置し、卷き出された圧延材をAr
1変態点以下に冷却し、同温度で圧延した後、その圧延
材をAc3変態点以上に再加熱し巻き取る圧延パスを、
パス方向を変えながら複数回、繰り返し行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は可逆式圧延機を用い
て鉄鋼材料を圧延する際、材料の加熱、冷却を繰返し行
いながら圧延することにより良質な熱延鋼板を製造する
熱間圧延方法および設備に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼板などの構造材料には、靭性、強度、
加工性など機械的性質に優れていることが求められる。
鋼板においてこれらの機械的性質を高めるには、添加元
素による析出や固溶を利用したものや、熱処理によるも
のなどがあるが、機械的性質全体を向上させる手段とし
ては、金属組織を微細化する方法が有効である。これま
で組織微細化の手段として数多くの手法が提案されてお
り、制御圧延法、制御冷却法、大圧下圧延法などがあ
る。
【0003】このうち、制御圧延と合金元素添加を組み
合わせた方法として、特開昭56−87622号公報に
記載の技術が挙げられる(以下、従来技術1と言う)。
この従来技術1では、Nb,V,Tiを添加した鋼板
を、Ae3変態点(平衡状態においてフェライトからオ
ーステナイトヘ変態を開始する温度を指し、以下単にA
r3変態点と言う)以上1170℃以下の温度域に鋼板
を加熱後、950℃〜Ar3変態点(オーステナイト域
にある鋼板を冷却した際、フェライト変態を開始する温
度を指し、以下単にAr3変態点と言う)の温度域で累
積圧下が45%以上になるよう熱間圧延を施し、Ar3
変態点以上で圧延を完了すると言う圧延方法が提案され
ている。そして同技術によればNb,Vを添加すること
でNbC,NbNなどの化合物を析出させ、オーステナ
イトの再結晶を抑制するとともに、化合物の析出効果で
強度を上昇させる。さらにTiを添加することでオース
テナイト中にTiNを微細に析出させ、加熱時のオース
テナイト粒の生成および粗大化を抑制し組織の微細化を
図るものである。本技術はNbもしくはTiと言った合
金元素の添加により容易に高張力化が図れること、およ
び再結晶の抑制効果でフェライト粒の微細化も同時に図
れることなどから、これまで広く用いられてきた。
【0004】また、制御圧延法として特開昭58−12
3823号公報において、Ar3変態点直上(Ar3+
100℃)以下の温度において合計圧下率が80%以上
の圧延を施し、Ar3変態点直下(Ar3−30℃)以
上の温度で圧延を終了させる圧延方法が提案されている
(以下、従来技術2と言う)。この従来技術2によれ
ば、Ar3変態点直上で加工を行うことにより、オース
テナイト粒界に微細なフェライト粒を加工後短時間で析
出させるとともに、加工歪によってフェライト粒と未変
態オーステナイト粒との境界に新しいフェライト粒を析
出させる。そしてこの加工過程を操り返し行うことで、
微細なフェライト粒を組織全面に生成させる。さらに同
技術では、圧延直後の材料を20℃/8以上の冷却速度
で600℃以下まで冷却することで、一度生じた微細な
フェライト粒の成長を抑制している。これにより、延性
に優れかつ強度の高い鋼板が製造可能となった。また同
技術では、仕上げ圧延工程で微細化を行うため、同工程
以前において特別な設備が必要ないと言う利点も兼ね備
えている。
【0005】一方、大圧下圧延法としては特開昭59−
229413号公報に記載の技術が挙げられる(以下、
従来技術3と言う)。この従来技術3では、連続熱間圧
延機の最終段およびその前段において、圧下率40%以
上、平均歪速度60秒分の1以下の大圧下をパス間時間
が2秒以内になるよう圧延を行う。そして、大圧下を2
パスに分けて圧延することにより歪の累積効果でフェラ
イト生成量を増加させるとともに、各スタンドにおける
圧下率を40%以上にすることでγ(オーステナイト)
からα(フェライト)への歪誘起変態を促進し、組熾の
細粒化を図っている。また同技術では、歪速度が60秒
分の1以上、パス間時間が2秒以上の時にはフェライト
が粗大化すると言う実験結果から平均歪速度として60
秒分の1以下、パス間時間として2秒以下の圧延方法を
提案している。これにより、自動車鋼板に適した強度と
延性の両方に優れた鋼板が製造可能となった。また本技
術によれば、熱間圧延のみで結晶粒の微細化を図るた
め、従来技術1のようにNb,Tiを含有させなくても
組織微細化が図れるため、低コストでの材料高強度化が
可能になったばかりでなく、材料のリサイクル性も同時
に向上した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上の従来技術1によ
り、鋼板の高張力化および組織の微細化を図ることがで
きるが、組織微細化の観点から見た場合、加熱時の昇温
速度や加熱時間が不適切であると、析出吻を分散させた
にも関わらずオーステナイト粒は粗大化する。その結
果、後の再結晶を伴う圧延行程でも組熾微細化が困難と
なり、結果的に材料の強度低下を招く。加えて鋼の炭素
濃度が低い場合には、析出する化合物の量自体が減少し
てしまうため、γ(オーステナイト)→α(フェライ
ト)変態促進効果が減少し、組熾微細化のためのプロセ
ス制御はさらに困難となる。一方添加する合金成分自身
も高価であり、また元素を添加することによりリサイク
ル性を損なうと言う問題も抱えている。加えて、これら
の元素を溶体化する上では高温加熱が必要であるため、
加熱炉の能力増強などで設備コストが増大する上、実生
産においてもコストの増加を招く。
【0007】一方、従来技術2により合金元素を添加す
ることなく組織の微細化、材料の高強度化を図ることが
できた。しかし同技術を極低炭素鋼に適用した易合、結
晶粒の成長が速いため組織の微細化に限界があった。加
えて圧延により結晶粒が伸長されるため、材料の機械的
性質に異方性が生じてしまうと言う問題も抱えている。
【0008】更に従来技術3では、Nb,Tiなどの合
金元素を添加せずに組織の微細化が可能となった。しか
し同技術では、1回の圧延当たり圧下率40%以上の大
圧下を行わなくてはならない。そのため必然的に圧下能
力の高い設備が要求され、大型の圧延設備が必要となり
設備コストが増加する。また、圧延1回ごとの圧延荷重
が大きくなるため、圧延機にかかる負荷が増加し設備の
寿命低下につながる。
【0009】さらに従来技術1〜3、いずれの圧延方法
においても、圧延方向に圧延機が複数並べられた、いわ
ゆるタンデム型圧延設備を対象としている。タンデム型
圧延設備は複数の圧下の時間間隔(パス間時間)が短時
間であるため、パス間時間での結晶粒成長等は無視でき
る程度である。しかし、タンデム型圧延設備は大規模な
ものであり、莫大な投資が必要になると言う欠点があ
る。
【0010】一方、小規模で安価な設備として可逆式熱
間圧延機があるが、この設備の場合、巻き取り、巻き戻
しを操り返しながら圧延を行うため、パス間時間が大き
く(数100秒程度)なり、パス間での結晶粒成長が著
しいものとなる。Nb,V等を添加する従来技術1は、
圧延開始時のγ→α変態を遅らせることを図ったもので
あるが、パス間時間が数100秒程度の可逆式熱間圧延
機ではパス間での結晶粒成長を抑制する効果は低減しま
うと言う問題がある。またそのため、最終的に得られる
組織が粗大化してしまい、材料の機械的特性も低下す
る。
【0011】本発明の目的は、幅広い鋼種に対応可能で
あるとともに、可逆式圧延機を用い安価な設備構成で金
属組織の微細化が可能な圧延設備および圧延方法を提供
することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】まず、説明の理解を容易
にするため、本願明細書で使用する技術用語を以下に定
義する。以下の定義は、金属組織学の技術分野で一般的
に用いられているものである。
【0013】Ac1変態点:フェライト域にある鋼板を
加熱した際、オーステナイト変態を開始する温度を指
す。 Ac3変態点:フェライト域にある鋼板を加熱した際、
オーステナイト変態が完了する温度を指す。 Ar1変態点:オーステナイト域にある鋼板を冷却した
際、フェライト変態が完了する温度を指す。 Ar3変態点:オーステナイト域にある鋼板を冷却した
際、フェライト変態を開始する温度を指す。 Ae1変態点:平衡状態においてオーステナイトからフ
ェライトヘの変態を完了する温度を指す。 Ae3変態点:平衡状態においてフェライトからオース
テナイトヘ変態を開始する温度を指す。 α:フェライト γ:オーステナイト。
【0014】(1)上記目的を達成するために、本発明
は、パス方向を変えながら圧延材を繰り返し圧延する可
逆式熱間圧延機と、この圧延機に対して圧延材の卷き出
し、巻き取りを行うとともに、圧延後の圧延材温度を保
持する保熱装置とを備える熱間圧延設備による熱間圧延
方法において、卷き出された圧延材をAr3変態点以下
の温度で圧延した後、その圧延材を圧延時と異なる組織
形態を生成し得る温度に加熱または冷却し巻き取る圧延
パスを、パス方向を変えながら複数回、繰り返し行うも
のとする。
【0015】このように圧延材をAr3変態点以下の温
度で圧延することにより、Ar3変態点以下の温度では
オーステナイトの再結晶は抑制されるため、圧延により
多数の変形帯が導入され、その後、その圧延材を圧延時
と異なる組織形態を生成し得る温度に加熱または冷却す
ることにより、未再結晶部に導入された多数の変形帯で
α→γ変態(加熱時)或いはγ→α変態(冷却時)が起
こり、微細なγ相或いはα相が生じる。これら一連の組
織変化を伴う圧延パスを、パス方向を変えながら複数
回、繰り返し行うことにより、微細化した組織から多量
の結晶粒が繰り返し生成され、更に組織が微細化され
る。
【0016】前述したように従来技術1においては、N
b,Tiと言った合金元素を添加することで組織微細化
および機械的性質の向上を図ることを特徴としている。
しかし、合金元素の添加で材料のリサイクル性が損なわ
れるばかりでなく、加熱条件によっては組織の粗大化を
招く。従来技術2においては、加工および加工終了温度
をAr3変態点の直上、直下とし、さらに合計圧下率を
80%以上とすることで組織の微細化を図っている。し
かし極低炭素鋼に本技術を適用した場合などは、結晶成
長が早いために組織微細化が困難であるばかりでなく、
材料の機械的性質にも異方性を生じる。従来技術3にお
いては、連続熱間圧延機の最終段において40%以上の
圧下率で2パス圧延を行うことにより、組織の微細化を
図っている。しかし1回の圧延当たり圧下率40%以上
の大圧下を行わなくてはならないため、必然的に圧下能
力の高い設備が要求されるため、圧延設備が大型化し設
備コストの増加を招く。
【0017】しかし本発明によれば、各圧延パスで圧延
材の温度を制御するだけで組織微細化を行うため、従来
技術1でみられるリサイクル性の問題、および組織粗大
化の問題を解決できる。また圧延で形成した変形帯に変
態を発生させるため、従来技術2でみられる機械的性質
の異方性の問題を解決できる。また大圧下を必要とせ
ず、小規模で安価な設備構成である可逆圧延機を用いる
ため、従来技術3でみられる設備コストの問題を解決で
きる。
【0018】また、各圧延パスで圧延材の温度を制御す
ることで組織の微細化を行うため、従来設備に加熱装置
および冷却装置を追加するだけでよく、小コスト設備で
組織微細化が可能である。
【0019】更に、各圧延パスで圧延材の温度を制御す
ることで組織の微細化を行うため、圧延機への負荷が低
減し設備コストの削減が可能であり、かつ鋼材の安定製
造が可能となる。
【0020】以上により本発明によれば、幅広い鋼種に
対応可能であるとともに、可逆式圧延機を用い安価な設
備構成で金属組織の微細化が可能となる。
【0021】(2)また、上記目的を達成するために、
本発明は、パス方向を変えながら圧延材を繰り返し圧延
する可逆式熱間圧延機と、この圧延機に対して圧延材の
卷き出し、巻き取りを行うとともに、圧延後の圧延材温
度を保持する保熱装置とを備える熱間圧延設備による熱
間圧延方法において、卷き出された圧延材をAr1変態
点以下に冷却し、同温度で圧延した後、その圧延材をA
c1変態点以上に再加熱し巻き取る圧延パスを、パス方
向を変えながら複数回、繰り返し行うものとする。
【0022】このように圧延材をAr1変態点以下の温
度で圧延することにより、Ar1変態点以下の温度では
オーステナイトの再結晶は生じないため、圧延により多
数の変形帯が導入され、その後、その圧延材をAc1変
態点以上に再加熱することにより、未再結晶部に導入さ
れた多数の変形帯でα→γ変態が起こり、微細なγ相が
生じる。生成した微細なγ相からはその後の圧延パスで
の冷却で微細なα相が生成し最終組織の微細化を図るこ
とができるとともに、鋼板の機械的性質を向上させるこ
とができる。また、これら一連の組織変化を伴う圧延パ
スを、パス方向を変えながら複数回、繰り返し行うこと
により、微細化した組織から多量の結晶粒が繰り返し生
成され、更に組織が微細化される。
【0023】(3)更に、上記目的を達成するために、
本発明は、パス方向を変えながら圧延材を繰り返し圧延
する可逆式熱間圧延機と、この圧延機に対して圧延材の
卷き出し、巻き取りを行うとともに、圧延後の圧延材温
度を保持する保熱装置とを備える熱間圧延設備による熱
間圧延方法において、卷き出された圧延材をAr1変態
点以下に冷却し、同温度で圧延した後、その圧延材をA
c3変態点以上に再加熱し巻き取る圧延パスを、パス方
向を変えながら複数回、繰り返し行うものとする。
【0024】このように圧延材をAr1変態点以下の温
度で圧延することにより、Ar1変態点以下の温度はオ
ーステナイトの再結晶を生じさせない温度であるため、
その未再結晶部に圧延による多数の変形帯が導入され、
その後、その圧延材をAc3変態点以上に再加熱するこ
とにより、未再結晶部に導入された多数の変形帯でα→
γ変態やγの再結晶が効率的に起こり、微細なγ相が生
じる。生成した微細なγ相からはその後の圧延パスでの
冷却で微細なα相が生成し最終組織の微細化を図ること
ができるとともに、鋼板の機械的性質を向上させること
ができる。また、これら一連の組織変化を伴う圧延パス
を、パス方向を変えながら複数回、繰り返し行うことに
より、微細化した組織から多量の結晶粒が繰り返し生成
され、更に組織が微細化される。
【0025】(4)また、上記目的を達成するために、
本発明は、パス方向を変えながら圧延材を繰り返し圧延
する可逆式熱間圧延機と、この圧延機に対して圧延材の
卷き出し、巻き取りを行うとともに、圧延後の圧延材温
度を保持する保熱装置とを備える熱間圧延設備による熱
間圧延方法において、卷き出された圧延材をAr1変態
点以下に冷却し、同温度で圧延した後、その圧延材をA
c1変態点以上Ac3変態点以下までに再加熱し巻き取
るか、再加熱後に軽圧下で圧延して巻き取る圧延パス
を、パス方向を変えながら複数回、繰り返し行うものと
する。
【0026】このように圧延材をAr1変態点以下の温
度で圧延することにより、Ar1変態点以下の温度では
オーステナイトの再結晶は生じないため、圧延により多
数の変形帯が導入され、その後、その圧延材をAc1変
態点以上Ac3変態点以下までに再加熱することによ
り、未再結晶部に導入された多数の変形帯でα→γ変態
が起こり、微細なγ相が生じる。生成した微細なγ相か
らはその後の圧延パスでの冷却で微細なα相が生成す
る。
【0027】また、圧延材をAc1変態点以上Ac3変
態点以下までに再加熱しそのまま巻き取る(保温する)
場合は、同時にαの再結晶によっても組織微細化が図れ
る。一方、圧延材をAc1変態点以上Ac3変態点以下
までに再加熱した後、軽圧下する場合は、圧延時の歪に
よってγ→αの歪誘起変態も起こり、これによっても微
細なαを多数発生させ、組織を微細化できる。
【0028】そしてこれらにより、最終組織の微細化を
図ることができるとともに、鋼板の機械的性質を向上さ
せることができる。また、これら一連の組織変化を伴う
圧延パスを、パス方向を変えながら複数回、繰り返し行
うことにより、微細化した組織から多量の結晶粒が繰り
返し生成され、更に組織が微細化される。
【0029】(5)また、上記目的を達成するために、
本発明は、パス方向を変えながら圧延材を繰り返し圧延
する可逆式熱間圧延機と、この圧延機に対して圧延材の
卷き出し、巻き取りを行うとともに、圧延後の圧延材温
度を保持する保熱装置とを備える熱間圧延設備による熱
間圧延方法において、卷き出された圧延材をAr1変態
点以上Ar3変態点以下まで冷却し、同温度で圧延した
後、その圧延材をAr1変態点以下まで冷却し巻き取る
圧延パスを行い、次いでパス方向を変え、卷き出された
圧延材をAc1変態点以上Ac3変態点以下まで再加熱
し、同温度で圧延した後、その圧延材をAr1変態点以
下まで冷却し巻き取るか、冷却後に軽圧下で圧延して巻
き取る圧延パスを少なくとも1回行うものとする。
【0030】このように圧延材をAr1変態点以上Ar
3変態点以下まで冷却(最初の圧延パス)、或いはAc
1変態点以上Ac3変態点以下まで再加熱し(2回目以
降の圧延パス)、同温度で圧延することにより、Ar1
変態点以上Ar3変態点以下の温度域或いはAc1変態
点以上Ac3変態点以下の温度域ではオーステナイトの
再結晶は抑制されるため、圧延により多数の変形帯が導
入され、その後、その圧延材をAr1変態点以下まで冷
却することにより、未再結晶部に導入された多数の変形
帯でγ→α変態が起こり、微細なα相が生じる。また、
圧延材をAr1変態点以上Ar3変態点以下まで冷却
(最初の圧延パス)、或いはAc1変態点以上Ac3変
態点以下まで再加熱して(2回目以降の圧延パス)圧延
することにより、連続冷却変態曲線(CCT曲線)で示
されるように、その温度域では他の温度域(Ar1変態
点以下、Ac3変態点以上の温度域)に比べフェライト
変態が早く進行するため、圧延直後の当該温度域でフェ
ライト変態が促進される効果が生じ、これによっても微
細なαを多数発生させ組織を微細化できる。
【0031】一方、圧延材をAr1変態点以下まで冷却
した軽圧下する場合は、圧延時の歪によってγ→αの歪
誘起変態も起こり、これによっても微細なαを多数発生
させ、組織を微細化できる。
【0032】また、圧延材をAr1変態点以上Ar3変
態点以下まで冷却、或いはAc1変態点以上Ac3変態
点以下まで再加熱した後、圧延することにより、オース
テナイトをAr3変態点以上で圧延する場合や、フェラ
イトをAr1変態点以下で圧延する場合に比べて変形抵
抗が小さいため、圧延荷重の小さい圧延機でも操業が可
能となり、設備コストを更に削減することができる。
【0033】(6)上記(1)〜(4)において、好ま
しくは、最初の圧延パスで加熱炉から出た圧延材をAr
3変態点以上の温度で少なくとも1回圧延した後、前記
各圧延パスを行う。
【0034】このように最初の圧延パスで加熱炉から出
た圧延材をAr3変態点以上の温度で少なくとも1回圧
延することにより、オーステナイト粒子が微細化され、
その後上記(1)〜(4)で述べた圧延パスを繰り返し
行うことにより、最終組織を更に微細化できる。
【0035】(7)また、上記(1)〜(5)におい
て、 好ましくは、前記各圧延パスで圧延材を冷却する
際、冷却水を高圧で噴射することにより圧延材表面に生
成した酸化物を除去するとともに、圧延材の再加熱を不
活性ガス雰囲気中で行うことにより酸化物の生成を抑制
する。
【0036】これにより製品としての圧延材表面の酸化
物が少なくなり、圧延材の表面品質が向上する。
【0037】(8)更に、上記(1)〜(5)におい
て、 好ましくは、前記各圧延パスで圧延材を冷却する
際、冷却水を高圧で噴射することにより圧延材表面に生
成した酸化物を除去するとともに、圧延後の圧延材温度
の保持を不活性ガス雰囲気中で行うことにより酸化物の
生成を抑制する。
【0038】これにより製品としての圧延材表面の酸化
物が少なくなり、圧延材の表面品質が向上する。
【0039】(9)また、上記目的を達成するために、
本発明は、パス方向を変えながら圧延材を繰り返し圧延
する可逆式熱間圧延機と、この圧延機に対して圧延材の
卷き出し、巻き取りを行うとともに、圧延後の圧延材温
度を保持する保熱装置とを備える熱間圧延設備におい
て、前記圧延機の入側および出側に配置され、圧延材を
Ar1変態点以下の温度に冷却し得る冷却手段と、前記
圧延機の入側および出側に配置され、圧延材をAc1変
態点以上又はAc3変態点以上の温度に加熱し得る加熱
手段とを備えるものとする。
【0040】このように圧延材をAr1変態点以下の温
度に冷却し得る冷却手段と圧延材をAc1変態点以上又
はAc3変態点以上の温度に加熱し得る加熱手段を設け
ることにより、上記(1)〜(5)で述べた各圧延パス
での圧延材の温度制御を行うことができ、上記各圧延方
法を実施できる。
【0041】(10)上記(9)において、好ましく
は、前記冷却手段が、圧延材に冷却水を噴射する冷却水
噴射ノズルを備えた冷却装置である。
【0042】(11)また、上記(9)において、好ま
しくは、前記加熱手段が、高周波を発生し得るコイルを
備えた誘導加熱装置である。
【0043】(12)上記(9)において、前記加熱手
段が、圧延材に電流を流しそのジュール熱で圧延材を加
熱し得る上下1対のピンチローラを備えた加熱装置であ
ってもよい。
【0044】(13)また、上記(9)において、好ま
しくは、前記保熱装置および前記加熱手段の少なくとも
一方が不活性ガス雰囲気を形成する手段を備える。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を用いて詳細に説明する。 <第1の実施の形態(熱間圧延方法および設備)>図1
は本発明の第1の実施の形態に係わる熱間圧延方法を実
施する熱間圧延設備を示す図であり、図2はその熱間圧
延方法における温度履歴を示す図である。
【0046】図1において、熱間圧延設備は、パス方向
を変えながら圧延材を繰り返し圧延する可逆式熱間圧延
機(以下、単に圧延機という)100と、圧延機100
の入側および出側に配置され、圧延材を冷却する冷却装
置6,7と、圧延機100の入側および出側に配置さ
れ、圧延材を加熱する加熱装置8,9と、圧延材を巻き
取り、巻き戻しかつ圧延後の圧延材温度を保持する保熱
装置4,5と、圧延開始時に圧延機100に供給する圧
延材を加熱する加熱炉1と、圧延完了後の圧延材を巻き
取るコイラー10,11とを備えている。
【0047】圧延機100は作業ロール2,3を備えた
4段圧延機である。冷却装置6,7は、圧延材に冷却水
を噴射する多数の冷却水噴射ノズル6a,7aを備えた
冷却装置であり、加熱装置8,9は、高周波を発生し得
るコイル8a,9aを備えた誘導加熱装置である。保熱
装置4,5は加熱炉4a,5a内に巻き取り・巻き出し
機4b,5bを備えたいわゆるファーネスコイラであ
る。
【0048】次に、以上の熱間圧延設備を用いて行う本
実施の形態による熱間圧延方法を説明する。以下の説明
で「圧延機入側」および「圧延機出側」とは、そのとき
の圧延材の進行方向でみた圧延機100の入側および出
側の意味で用いる。また、かっこ書きの工程番号は図2
の温度履歴に付した番号に対応している。
【0049】1回目の圧延パスは図1の左矢印の方向に
行われるものとする。まず、加熱炉1にて圧延材(鋼
板)をAr3変態点以上の温度に加熱し(工程12)、
この加熱した鋼板を圧延機100に供給して作業ロール
2,3で圧延を行い(工程13)、Ae3変態点以上の
温度に保持された保熱装置4で巻き取る(工程14)。
この圧延パスの間、冷却装置6,7および加熱装置8,
9は全て停止させる。このように加熱炉1から出た直後
の鋼板を圧延することにより、オーステナイト粒子が小
径化される。保熱装置4で巻き取り完了後、保熱を均一
にするため必要に応じ所定時間待機させても良い。
【0050】次に逆方向(図示右矢印)の圧延パスを行
うため保熱装置4から鋼板を巻き出し、圧延機入側の冷
却装置6にて鋼板温度をAr1変態点以下まで冷却し
(工程15)、その後圧延機100の作業ロール2,3
にて圧延を行う(工程16)。そして圧延した鋼板を圧
延機出側の加熱装置8にてAc3変態点以上に加熱した
後(工程17)、Ae3変態点以上の温度で保持された
保熱装置5で巻き取る(工程18)。このとき、保熱装
置5に巻き取られた鋼板の温度はAc3変態点以上に保
持される。また、この圧延パスの間、圧延機入側の加熱
装置9および圧延機出側の冷却装置7は停止させる。保
熱装置5で巻き取り完了後、保熱を均一にするため必要
に応じ所定時間待機させても良い。これらの一連の工程
により、鋼板内部でオーステナイトからフェライトへの
変態(工程15)および逆変態(工程17,18)、さ
らにはオーステナイトの再結晶(工程17,18)が進
行し、組織は微細化する。
【0051】つまり、保熱装置4から巻き出した圧延し
た鋼板をAr3変態点以上の温度からAr1変態点以下
まで冷却すること(工程15)により、γ→α変態を起
こす。また、その後その鋼板をAr1変態点以下の温度
で圧延すること(工程16)により、低温にてオーステ
ナイトの再結晶を回避することで多数の変形帯を導入
し、その後、その鋼板をAc3変態点以上に再加熱し
(工程17)同温度で保持すること(工程18)によ
り、未再結晶部に導入された多数の変形帯でα→γ変態
やγの再結晶を効率的に起こし、微細なγ相を生じさせ
る。生成した微細なγ相からはその後の圧延パスでの冷
却で微細なα相が生成し最終組織の微細化を図ることが
できる。
【0052】巻き取り完了後、再び逆方向の圧延パスを
行うため鋼板を保熱装置5から巻き出し前述と同様の操
作を行う。そしてこれら圧延パスを繰返すことにより、
オーステナイト/フェライト間の変態およびオーステナ
イトの再結晶が繰返し発生し、更なる組織微細化が進行
する。
【0053】この時の粒径変化を図3に示す。尚、図3
中で図2に示す工程と同等の工程には同じ符号を付し、
説明は省略する。
【0054】そして最終の圧延パスでは、圧延が完了し
た鋼板を圧延機出側の加熱装置9または8にて750℃
以上800℃以下に加熱し、750℃以上800℃以下
の温度で保持された保熱装置4または5で巻き取る(工
程19)。巻き取り完了後、鋼板を保熱装置から巻き出
し、冷却装置6または7を用いて温度600℃まで冷却
した後(工程20)、コイラー10または11で巻き取
る(工程21)。この際、一端微細化した組織の粗大化
を抑制するために、20℃/s以上の冷却速度で冷却を
行う。この最終の圧延パスでは、製品組織を均一にする
ため、保熱装置4または5で巻き取り完了後、所定時間
待機させるのが好ましい。
【0055】図4は、従来の可逆式熱間圧延設備を用い
た圧延での温度履歴を、図5はその場合の粒径変化を示
したものである。加熱温度および保熱温度を制御しなか
った場合、各圧延工程で同じ圧下率を加えているにも関
わらず組織微細化効果は低くなっている。そのため最終
的に得られる粒径の大きさも本発明によるものに比べ大
きくなり、結果的に機械的性質が劣ることになる。
【0056】したがって、本実施の形態によれば、加工
温度および圧延終了時の温度を制御することのみにより
組織微細化および機械的性質の向上を図ることができ
る。また、合金元素の添加を行わないため、従来技術1
でみられるリサイクル性の問題、および組織粗大化の問
題を解決できる。またオーステナイトの再結晶および変
態を発生させるため、加工により伸長した組織が解消さ
れ、従来技術2で見られる機械的性質の異方性の問題を
解決できる。また大圧下を必要としないため、従来技術
3でみられる設備コスト増大の問題を解決できる。
【0057】また、各圧延パスで圧延材の温度を制御す
ることで組織の微細化を行うため、従来設備に加熱装置
および冷却装置を追加するだけでよく、小コスト設備で
組織微細化が可能である。
【0058】更に、各圧延パスで圧延材の温度を制御す
ることで組織の微細化を行うため、圧延機への負荷が低
減し設備コストの削減が可能であり、かつ鋼材の安定製
造が可能となる。
【0059】以上のように本実施の形態によれば、幅広
い鋼種に対応可能であるとともに、可逆式圧延機を用い
安価な設備構成で金属組織の微細化が可能となる。 <熱間圧延設備の制御系>図6は、本発明の熱間圧延方
法を実施する熱間圧延設備の制御系を示す図である。図
中、図1に示す部材と同等の部材には同じ符号を付し、
説明は省略する。
【0060】図6において、圧延材(鋼板)は保熱装置
4に巻き取られており、矢印の方向に圧延パスが行われ
るものとする。保熱装置4から巻き戻された鋼板は冷却
装置6にて冷却された後、圧延機100の作業ロール
2,3で圧延される。この際、冷却装置6を次のように
動作させる。保熱装置4の出側に配置された温度検出器
22にて鋼板温度を測定し演算機26へ入力する。演算
機26では鋼板温度データ、鋼板の組成データ、冷却完
了後の板温度設定値を元に冷却水噴射量を算出し、その
値を制御装置27へ入力する。そしてこの値を元に制御
装置27が冷却装置6を構成する冷却水噴射ノズル6a
からの冷却水噴射量を調整し鋼板温度を制御する。
【0061】次に圧延された鋼板は、加熱装置8にて加
熱された後、保熱装置5で巻き取られる。この際、加熱
装置5を次のように動作させる。圧延機出側に配置され
た温度検出器24にて鋼板温度を測定し演算機26へ入
力する。演算機26では鋼板温度データ、鋼板の組成デ
ータ、加熱完了後の板温度設定値を元に加熱量を算出
し、その値を制御装置28へ入力する。そしてこの値を
元に制御装置28が加熱装置8での誘導加熱量を調整し
鋼板温度を制御する。
【0062】逆方向の圧延パスでは、保熱装置5の出側
に配置された温度検出器25および圧延機出側に配置さ
れた温度検出器23を用いる点を除いて上記圧延パスの
場合と同じである。
【0063】以上の制御を、第1の実施の形態で説明し
た圧延方法で行うことによりオーステナイトの再結晶
率、オーステナイト/フェライト間の変態率を変化させ
ることができ、最終的な組織の微細化度合いを制御する
ことができる。 <第2の実施の形態(熱間圧延設備)>図7は本発明の
第2の実施の形態に係わる熱間圧延設備を示す図であ
る。この実施の形態は、圧延機の入側および出側に配置
される加熱装置の変更例を示すものである。図中、図1
に示す部材と同等の部材には同じ符号を付し、説明は省
略する。
【0064】図7において、加熱装置8A,9Aは、複
数設置された上下1対のピンチローラ29,30を備え
ている。ピンチローラ29,30は加熱ローラとして構
成され、そのためピンチローラ29,30には電極が埋
め込まれており、圧延する際、そのピンチローラ29,
30に鋼板を挟み込む。そして加熱時、にロールを介し
て鋼板に電流を流し、鋼板で発生するジュール熱によっ
て加熱を行う。
【0065】本実施の形態による加熱装置8A,9Aに
よっても本発明の圧延方法で鋼板を加熱でき、従って本
実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様な効果
が得られる。 <第3の実施の形態(熱間圧延設備)>図8は本発明の
第3の実施の形態に係わる熱間圧延設備を示す図であ
る。この実施の形態は、圧延機入側および出側に配置さ
れる冷却装置、加熱装置および保熱装置の変更例を示す
ものである。図中、図1に示す部材と同等の部材には同
じ符号を付し、説明は省略する。
【0066】図8において、圧延パスは矢印の方向に行
われているものとする。保熱装置4から巻き戻された鋼
板の表面には保熱時に生成した酸化物スケールが付着し
ている。この酸化物を除去するため、鋼板が圧延機入側
の冷却装置6を通過する際に冷却水を高圧で噴射する。
さらに酸化物除去後の材料表面に、新たに酸化物が生成
するのを抑制するため、ガス供給源31から供給される
不活性ガスを、切り替え弁32を介して圧延機出側の加
熱装置8に供給するとともに、保熱装置5にもガスを供
給する。これにより鋼板の加熱および保熱工程を不活性
ガス家囲気中で行い、酸化物の生成を抑御する。
【0067】逆方向の圧延パスでは、冷却装置7、加熱
装置9、保熱装置4で同様に高圧冷却水の噴射、不活性
ガスの供給を行う。
【0068】さらに圧延前の加熱工程における酸化物生
成も抑制するため、ガス供給源33から加熱装置1へ不
活性ガスを供給する。
【0069】本実施の形態によれば、保熱工程で生成し
た酸化吻を除去することができ、また加熱、保熱工程を
不活性ガス雰囲気中で行うため、材料表面の酸化物の生
成が抑制されるため、圧延材の表面品質が向上する。 <第2の実施の形態(熱間圧延方法)>図9は本発明の
第2の実施の形態に係わる熱間圧延方法における温度履
歴を示す図である。この熱間圧延方法は図1(或いは図
6)に示した熱間圧延設備を用いて次のように実施され
る。
【0070】1回目の圧延パスは図1の左矢印の方向に
行われるものとする。まず、加熱炉1にて圧延材(鋼
板)をAr3変態点以上の温度に加熱し(工程12)、
この加熱した鋼板を圧延機100の作業ロール2,3で
圧延を行い(工程13)、Ae1変態点以上Ae3変態
点以下の温度に保持された保熱装置4で巻き取る(工程
14)。この圧延パスの間、冷却装置6,7および加熱
装置8,9は全て停止させる。このように加熱炉1から
出た直後の鋼板を圧延することにより、オーステナイト
粒子が小径化される。保熱装置4で巻き取り完了後、保
熱を均一にするため必要に応じ所定時間待機させても良
い。
【0071】次に逆方向(図示右矢印)の圧延パスを行
うため保熱装置4から鋼板を巻き出し、圧延機入側の冷
却装置6にて鋼板温度をAr1変態点以下まで冷却し
(工程15)、その後圧延機100の作業ロール2,3
にて圧延を行う(工程16)。そして圧延した鋼板を圧
延機出側の加熱装置8にてAc1変態点以上Ac3変態
点以下の温度に加熱した後(工程17)、Ae1変態点
以上Ae3変態点以下の温度で保持された保熱装置5で
巻き取る(工程18)。このとき、保熱装置5に巻き取
られた鋼板の温度はAc1変態点以上Ac3変態点以下
の温度に保持される。また、この圧延パスの間、圧延機
入側の加熱装置9および圧延機出側の冷却装置7は停止
させる。保熱装置5で巻き取り完了後、保熱を均一にす
るため必要に応じ所定時間待機させても良い。
【0072】これら一連の工程は、圧延後の加熱および
保熱温度がAr3変態点以上、Ae3変態点以上であっ
たのがAc1変態点以上Ac3変態点以下、Ae1変態
点以上Ae3変態点以下になった点を除いて第1の実施
の形態による圧延方法と同じである。鋼板を加熱する温
度がAc1変態点以上Ac3変態点以下の領域であって
も、圧延で未再結晶部に導入された多数の変形帯でα→
γ変態やγの再結晶を起こし、第1の実施の形態による
圧延方法と同様に、それらの一連の工程により、オース
テナイトからフェライトへの変態(工程15)および逆
変態(工程17,18)、さらにはオーステナイトの再
結晶及びフェライトの再結晶(工程17,18)が進行
し、組織は微細化する。
【0073】また、鋼板をAc1変態点以上Ac3変態
点以下まで再加熱し同温度で保持することにより、同時
にγ→αの歪誘起変態も起こり、これによっても微細な
αを多数発生させ、組織を微細化でき、最終組織の微細
化を図ることができる。
【0074】巻き取り完了後、再び逆方向の圧延パスを
行うため鋼板を保熱装置5から巻き出し前述と同様の操
作を行う。そしてこれら圧延パスを繰返すことにより、
オーステナイト/フェライト間の変態およびオーステナ
イトの再結晶、γ→αの歪誘起変態が繰返し発生し、更
なる組織微細化が進行する。
【0075】そして最終の圧延パスでは、圧延が完了し
た材料を圧延機出側の加熱装置9または8にて750℃
以上800℃以下に加熱し、750℃以上800℃以下
の温度で保持された保熱装置4または5で巻き取る(工
程19)。巻き取り完了後、材科を保熱装置から巻き出
し、冷却装置6または7を用いて温度600℃まで冷却
した後(工程20)、コイラー10または11で巻き取
る(工程21)。この最終の圧延パスでは、製品組織を
均一にするため、保熱装置4または5で巻き取り完了
後、所定時間待機させるのが好ましい。
【0076】本実施の形態によっても、第1の実施の形
態と同様な効果が得られる。 <第3の実施の形態(熱間圧延方法)>図10は本発明
の第3の実施の形態に係わる熱間圧延方法における温度
履歴を示す図である。この熱間圧延方法は図1(或いは
図6)に示した熱間圧延設備を用いて次のように実施さ
れる。
【0077】1回目の圧延パスは図1の左矢印の方向に
行われるものとする。まず、加熱装置1にて圧延材(鋼
板)をAr3変態点以上の温度に加熱し(工程12)、
この加熱した鋼板を圧延機入側の冷却装置7にて鋼板温
度がAr1変態点以上Ar3変態点以下になるよう冷却
した後、圧延機100の作業ロール2,3で圧延を行い
(工程13)、Ae1変態点以下の温度に保持された保
熱装置4で巻き取る(工程14)。このとき、保熱装置
4で巻き取られた鋼板はAr1変態転以下の温度に冷却
される。この圧延パスの間、加熱装置8,9および圧延
機出側の冷却装置6は停止させる。保熱装置4で巻き取
り完了後、保熱を均一にするため必要に応じ所定時間待
機させても良い。
【0078】次に逆方向(図示右矢印)の圧延パスを行
うため保熱装置4から鋼板を巻き出し、圧延機入側の加
熱装置9にて鋼板温度をAc1変態点以上Ac3変態点
以下まで加熱し(工程34)、その後圧延機100の作
業ロール2,3にて圧延を行う(工程16)。そして圧
延した鋼板を圧延機出側の冷却装置9にてAr1変態点
以下の温度に冷却した後(工程35)、Ae1変態点以
下の温度で保持された保熟装置5で巻き取る(工程1
8)。このとき、保熱装置5に巻き取られた鋼板の温度
はAr1変態点以下の温度に保持される。また、この圧
延パスの間、圧延パス入側の冷却装置6および圧延機出
側の加熱装置8は停止させる。なお、圧延後、圧延パス
入側の冷却装置6を作動させ冷却を促進してもよい。保
熱装置5で巻き取り完了後、保熱を均一にするため必要
に応じ所定時間待機させても良い。
【0079】このような1回目の圧延パスおよび逆方向
の圧延パスの各々における一連の工程により、オーステ
ナイトからフェライトへの変態(工程13,14および
工程35,18)および逆変態(工程34)が進行し、
組織は微細化する。
【0080】つまり、1回目の圧延パスでは、鋼板をA
r1変態点以上Ar3変態点以下まで冷却(工程13)
し、同温度で圧延することにより、Ar3変態点以下の
低温にてオーステナイトの再結晶を抑制して多数の変形
帯を導入し、その後、その鋼板をAr1変態点以下まで
冷却し同温度で保持すること(工程14)により、未再
結晶部に導入された多数の変形帯でγ→α変態を起こ
し、微細なα相が生じる。
【0081】同様に、2回目の圧延パスでは、鋼板をA
c1変態点以上Ac3変態点以下まで再加熱し(工程3
4)、同温度で圧延することにより、Ar3変態点以下
の低温にてオーステナイトの再結晶を抑制して多数の変
形帯を導入し、その後、その鋼板をAr1変態点以下ま
で冷却し同温度で保持すること(工程35,18)によ
り、未再結晶部に導入された多数の変形帯でγ→α変態
を起こし、微細なα相が生じる。
【0082】また、鋼板をAr1変態点以上Ar3変態
点以下まで冷却(工程13)、あるいはAc1変態点以
上Ac3変態点以下まで再加熱し(工程34)し圧延す
ることにより、連続冷却変態曲線(CCT曲線)で示さ
れるように、その温度域では他の温度域(Ar1変態点
以下、Ac3変態点以上の温度域)に比べフェライト変
態が早く進行するため、圧延直後の当該温度域でフェラ
イト変態が促進される効果が生じ、これによっても微細
なαを多数発生させ組織を微細化できる。
【0083】巻き取り完了後、再び逆方向の圧延パスを
行うため鋼板を保熱装置5から巻き出し前述と同様の操
作を行う。そしてこれら圧延パスを繰返すことにより、
オーステナイトからェライトへの変態が繰返し発生し、
更なる組織微細化が進行する。
【0084】そして最終の圧延パスでは、圧延が完了し
た鋼板を圧延機出側の加熱装置9または8にて750℃
以上800℃以下に加熱し、750℃以上800℃以下
の温度で保持された保熱装置4または5で巻き取る(工
程19)。巻き取り完了後、鋼板を保熱装置から巻き出
し、冷却装置6または7を用いて温度600℃まで冷却
した後(工程20)、コイラー10または11で巻き取
る(工程21)。この最終の圧延パスでは、製品組織を
均一にするため、保熱装置4または5で巻き取り完了
後、所定時間待機させるのが好ましい。
【0085】本実施の形態によっても、鋼板組織の微細
化に関して第1の実施の形態と同様な効果が得られる。
【0086】また、本実施の形態では、鋼板をAr1変
態点以上Ar3変態点以下まで冷却、或いはAc1変態
点以上Ac3変態点以下まで再加熱した後圧延するた
め、オーステナイトをAr3変態点以上で圧延する場合
や、フェライトをAr1変態点以下で圧延する場合に比
べて変形抵抗が小さくなり、そのため圧延荷重の小さい
圧延機でも操業が可能となり、設備コストを更に削減す
ることができる。 <第4の実施の形態(熱間圧延方法および設備)>図1
1は本発明の第4の実施の形態に係わる熱間圧延方法を
実施する熱間圧延設備を示す図であり、図12はその熱
間圧延方法における温度履歴を示す図である。
【0087】図11において、熱間圧延設備は、図1に
示した構成に加え、圧延機100の入側および出側にお
いて、保熱装置4と加熱装置9との間および保熱装置5
と加熱装置8との間に配置された簡易圧延機101,1
02を備えている。簡易圧延機101,102は、それ
ぞれ、作業ロール101a,101bおよび102a,
102bを備えた2段圧延機である。
【0088】次に、この圧延設備を用いて行う本実施の
形態に係わる熱間圧延方法を説明する。この圧延方法
は、図9に示した第2の実施の形態に係わる熱間圧延方
法に対し簡易圧延機101,102を用いた工程が加わ
る点を除いて、第2の実施の形態に係わる熱間圧延方法
と同じである。
【0089】つまり、1回目の圧延パス(図1の左矢
印)およびその後の逆方向(図示右矢印)の圧延パス
で、Ar1変態点以下まで冷却した鋼板を圧延機100
の作業ロール2,3にて圧延し、更にその圧延した鋼板
を圧延機出側の加熱装置8にてAc1変態点以上Ac3
変態点以下の温度に加熱するまで(工程12〜17)は
図9の熱間圧延方法と同じである。圧延した鋼板をAc
1変態点以上Ac3変態点以下の温度に加熱した直後、
本実施の形態では、簡易圧延機101の作業ロール10
1a,101bにて圧下を加え(工程37)、その後A
e1変態点以上Ae3変態点以下の温度で保持された保
熱装置5で巻き取る(工程18)。
【0090】これら一連の工程により、図9の熱間圧延
方法で説明したように、オーステナイトからフェライト
への変態(工程15)および逆変態(工程17,1
8)、さらにはオーステナイトの再結晶(工程17,1
8)が進行し、組織が微細化するとともに、同時にγ→
αの歪誘起変態が起こり、これによっても組織が微細化
する。
【0091】また、同時に、再加熱直後の材料を圧延し
て歪を与えること(工程37)で、γ→αの歪誘起変態
を促進させ更なる組織の微細化を図ることができる。
【0092】巻き取り完了後、再び逆方向の圧延パスで
同様の操作を行い、これら圧延パスを繰返すこと、およ
び最終の圧延パスで鋼板をコイラー10または11で巻
き取るまでの工程は、図9の熱間圧延方法と同じであ
る。
【0093】本実施の形態によれば、第2の実施の形態
による圧延方法よりも更に鋼板組織を微細化できるとい
う効果が得られる。 <第5の実施の形態(熱間圧延方法)>図13は本発明
の第5の実施の形態に係わる熱間圧延方法における温度
履歴を示す図である。この熱間圧延方法は図11に示し
た熱間圧延設備を用いて行われるものである。また、そ
の圧延方法は、図10に示した第3の実施の形態に係わ
る熱間圧延方法に対し簡易圧延機101,102を用い
た工程が加わる点を除いて、第3の実施の形態に係わる
熱間圧延方法と同じである。
【0094】つまり、1回目の圧延パス(図1の左矢
印)およびその後の逆方向(図示右矢印)の圧延パス
で、Ac1変態点以上Ac3変態点以下まで再加熱した
鋼板を圧延機100の作業ロール2,3にて圧延し、さ
らにその圧延した鋼板を圧延機出側の冷却装置9にてA
r1変態点以下の温度に冷却するまで(工程12〜3
5)は図10の熱間圧延方法と同じである。圧延した鋼
板をAr1変態点以下の温度に冷却した直後、本実施の
形態では、簡易圧延機101の作業ロール101a,1
01bにて圧下を加え(工程37)、その後Ae1変態
点以下の温度で保持された保熟装置5で巻き取る(工程
18)。
【0095】これら一連の工程により、図10の熱間圧
延方法で説明したように、オーステナイトからフェライ
トへの変態(工程13,14および工程35,18)お
よび逆変態(工程34)が進行し、組織は微細化すると
ともに、鋼板をAr1変態点以上Ar3変態点以下まで
冷却(工程13)、あるいはAc1変態点以上Ac3変
態点以下まで再加熱し(工程34)、圧延することによ
り、圧延直後の当該温度域でフェライト変態が促進され
る効果が生じ、これによっても微細なαを多数発生させ
組織を微細化できる。
【0096】また、同時に、再加熱直後の材料を圧延し
て歪を与えること(工程37)で、γ→αの歪誘起変態
を促進させ更なる組織の微細化を図ることができる。
【0097】巻き取り完了後、再び逆方向の圧延パスで
同様の操作を行い、これら圧延パスを繰返すこと、およ
び最終の圧延パスで鋼板をコイラー10または11で巻
き取るまでの工程は、図9の熱間圧延方法と同じであ
る。
【0098】本実施の形態によれば、第2の実施の形態
による圧延方法よりも更に鋼板組織を微細化できるとい
う効果が得られる。
【0099】
【発明の効果】本発明によれば、幅広い鋼種に対応可能
であるとともに、可逆式圧延機を用い安価な設備構成で
金属組織の微細化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる熱間圧延設
備を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わる熱間圧延方
法を説明するための温度履歴を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係わる熱間圧延方
法における時間に対する結晶粒径変化を、図2の温度履
歴で用いた各工程と同じ符号を付して示す図である。
【図4】従来の熱間圧延設備による可逆式熱間圧延方法
の一例を説明するための温度履歴を示す図である。
【図5】従来の熱間圧延設備による可逆式熱間圧延方法
の一例における時間に対する結晶粒径変化を、図4の温
度履歴で用いた各工程と同じ符号を付して示す図であ
る。
【図6】図1に示した熱間圧延設備の制御系を当該設備
構成とともに示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係わる熱間圧延設
備を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係わる熱間圧延設
備を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係わる熱間圧延方
法を説明するための温度履歴を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係わる熱間圧延
方法を説明するための温度履歴を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係わる熱間圧延
設備を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係わる熱間圧延
方法を説明するための温度履歴を示す図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態に係わる熱間圧延
方法を説明するための温度履歴を示す図である。
【符号の説明】
1 加熱炉 2,3 作業ロール 4,5 保熱装置 6,7 冷却装置 8,9 加熱装置 10,11 コイラー 12 加熱炉における加熱過程 13 加熱炉による加熱直後の圧延過程 14 巻き取り・保熱過程 15 圧延前の冷却過程 16 圧延過程 17 圧延後の加熱過程 18 巻き取り・保熱過程 19 最終巻き取り・保熱過程 20 最終冷却過程 21 コイラーでの巻き取り過程 22,23,24,25 温度検出器 26 演算機 27,28 制御装置 29,30 加熱用ロール 31 不活性ガス供給源 32 切り替え弁 33 不活性ガス供給源 34 圧延前の加熱過程 35 圧延後の冷却過程 37 圧延過程 100 熱間可逆圧延機 101 簡易圧延機 102 簡易圧延機
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C21D 8/02 C21D 8/02 Z (72)発明者 平野 聡 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 Fターム(参考) 4E002 AD04 BA03 BC01 BC07 BD03 BD07 BD08 CB01 4K032 BA01 CF02 CF03

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パス方向を変えながら圧延材を繰り返し圧
    延する可逆式熱間圧延機と、この圧延機に対して圧延材
    の卷き出し、巻き取りを行うとともに、圧延後の圧延材
    温度を保持する保熱装置とを備える熱間圧延設備による
    熱間圧延方法において、 卷き出された圧延材をAr3変態点以下の温度で圧延し
    た後、その圧延材を圧延時と異なる組織形態を生成し得
    る温度に加熱または冷却し巻き取る圧延パスを、パス方
    向を変えながら複数回、繰り返し行うことを特徴とする
    熱間圧延方法。
  2. 【請求項2】パス方向を変えながら圧延材を繰り返し圧
    延する可逆式熱間圧延機と、この圧延機に対して圧延材
    の卷き出し、巻き取りを行うとともに、圧延後の圧延材
    温度を保持する保熱装置とを備える熱間圧延設備による
    熱間圧延方法において、 卷き出された圧延材をAr1変態点以下に冷却し、同温
    度で圧延した後、その圧延材をAc1変態点以上に再加
    熱し巻き取る圧延パスを、パス方向を変えながら複数
    回、繰り返し行うことを特徴とする熱間圧延方法。
  3. 【請求項3】パス方向を変えながら圧延材を繰り返し圧
    延する可逆式熱間圧延機と、この圧延機に対して圧延材
    の卷き出し、巻き取りを行うとともに、圧延後の圧延材
    温度を保持する保熱装置とを備える熱間圧延設備による
    熱間圧延方法において、 卷き出された圧延材をAr1変態点以下に冷却し、同温
    度で圧延した後、その圧延材をAc3変態点以上に再加
    熱し巻き取る圧延パスを、パス方向を変えながら複数
    回、繰り返し行うことを特徴とする熱間圧延方法。
  4. 【請求項4】パス方向を変えながら圧延材を繰り返し圧
    延する可逆式熱間圧延機と、この圧延機に対して圧延材
    の卷き出し、巻き取りを行うとともに、圧延後の圧延材
    温度を保持する保熱装置とを備える熱間圧延設備による
    熱間圧延方法において、 卷き出された圧延材をAr1変態点以下に冷却し、同温
    度で圧延した後、その圧延材をAc1変態点以上Ac3
    変態点以下までに再加熱し巻き取るか、再加熱後に軽圧
    下で圧延して巻き取る圧延パスを、パス方向を変えなが
    ら複数回、繰り返し行うことを特徴とする熱間圧延方
    法。
  5. 【請求項5】パス方向を変えながら圧延材を繰り返し圧
    延する可逆式熱間圧延機と、この圧延機に対して圧延材
    の卷き出し、巻き取りを行うとともに、圧延後の圧延材
    温度を保持する保熱装置とを備える熱間圧延設備による
    熱間圧延方法において、 卷き出された圧延材をAr1変態点以上Ar3変態点以
    下まで冷却し、同温度で圧延した後、その圧延材をAr
    1変態点以下まで冷却し巻き取る圧延パスを行い、次い
    でパス方向を変え、卷き出された圧延材をAc1変態点
    以上Ac3変態点以下まで再加熱し、同温度で圧延した
    後、その圧延材をAr1変態点以下まで冷却し巻き取る
    か、冷却後に軽圧下で圧延して巻き取る圧延パスを少な
    くとも1回行うことを特徴とする熱間圧延方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜4のいずれか1項記載の熱間圧
    延方法において、最初の圧延パスで加熱炉から出た直後
    の圧延材を圧延した後、前記各圧延パスを行うことを特
    徴とする熱間圧延方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜5のいずれか1項記載の熱間圧
    延方法において、前記各圧延パスで圧延材を冷却する
    際、冷却水を高圧で噴射することにより圧延材表面に生
    成した酸化物を除去するとともに、圧延材の再加熱を不
    活性ガス雰囲気中で行うことにより酸化物の生成を抑制
    することを特徴とする熱間圧延方法。
  8. 【請求項8】請求項1〜5のいずれか1項記載の熱間圧
    延方法において、前記各圧延パスで圧延材を冷却する
    際、冷却水を高圧で噴射することにより圧延材表面に生
    成した酸化物を除去するとともに、圧延後の圧延材温度
    の保持を不活性ガス雰囲気中で行うことにより酸化物の
    生成を抑制することを特徴とする熱間圧延方法。
  9. 【請求項9】パス方向を変えながら圧延材を繰り返し圧
    延する可逆式熱間圧延機と、この圧延機に対して圧延材
    の卷き出し、巻き取りを行うとともに、圧延後の圧延材
    温度を保持する保熱装置とを備える熱間圧延設備におい
    て、 前記圧延機の入側および出側に配置され、圧延材をAr
    1変態点以下の温度に冷却し得る冷却手段と、 前記圧延機の入側および出側に配置され、圧延材をAc
    1変態点以上又はAc3変態点以上の温度に加熱し得る
    加熱手段とを備えることを特徴とする熱間圧延設備。
  10. 【請求項10】請求項9記載の熱間圧延設備において、
    前記冷却手段が、圧延材に冷却水を噴射する冷却水噴射
    ノズルを備えた冷却装置であることを特徴とする熱間圧
    延設備。
  11. 【請求項11】請求項9記載の熱間圧延設備において、
    前記加熱手段が、高周波を発生し得るコイルを備えた誘
    導加熱装置であることを特徴とする熱間圧延設備。
  12. 【請求項12】請求項9記載の熱間圧延設備において、
    前記加熱手段が、圧延材に電流を流しそのジュール熱で
    圧延材を加熱し得る上下1対のピンチローラを備えた加
    熱装置であることを特徴とする熱間圧延設備。
  13. 【請求項13】請求項9記載の熱間圧延設備において、
    前記保熱装置および前記加熱手段の少なくとも一方が不
    活性ガス雰囲気を形成する手段を備えることを特徴とす
    る熱間圧延設備。
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