JP2002015545A - 磁気テープカートリッジ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】下ハーフまたはスライダの部品単体の状態で非
接触式メモリ素子の取り付け、および検査が可能であ
り、非接触式メモリ素子が、磁気テープカートリッジの
保管、搬送および装填・脱着時に外力によってダメージ
を受け難く、装填・脱着に際して邪魔になることもな
く、磁気テープカートリッジならびにデータ読取・書込
装置の設計の自由度も確保することができる磁気テープ
カートリッジの提供。 【解決手段】上ハーフと下ハーフとにより構成されるカ
ートリッジケース内に記録媒体が収容され、上ハーフと
下ハーフとにより構成されるカートリッジケース内に記
録媒体が収容され、下ハーフの底面に沿って摺動可能に
装着されるスライダを有する磁気テープカートリッジで
あって、下ハーフ底面と摺接する前記スライダの上面に
設けられた凹部に非接触式メモリ素子が配設されている
ことを特徴とする磁気テープカートリッジ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は磁気テープカートリ
ッジに関し、特に、各種情報の記録および読取が可能な
非接触式メモリ素子が取り付けられた磁気テープカート
リッジに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、コンピュータ等の外部記憶装置に
用いられる大容量の記録媒体として、磁気テープを巻回
した一対の巻取ハブを上ハーフと下ハーフとからなるカ
ートリッジケースに収容する方式の磁気テープカートリ
ッジが知られ、例えば、ＪＩＳＸ６１２７等にその構造
および寸法諸元が規定されている。この磁気テープカー
トリッジは、主としてコンピュータ等のデータ保存用と
して用いられ、重要な情報が記録されている。

【０００３】この磁気テープカートリッジにおいて、磁
気テープから情報を読み出さなくても、記録されている
情報の内容や磁気テープの種類等を特定できるように、
非接触で情報の書き込みおよび読み出しが可能なＩＣメ
モリを備える非接触式メモリ素子（非接触式メモリ素子
（ＣＭ））をカートリッジケースに取り付けることが考
えられている。この非接触式メモリ素子は、それ自体は
電源を持たず、記録再生装置（デッキ）側に設けられた
データ読取・書込装置の電磁誘導作用によって生起され
る誘導電流により動作し、情報の記録および読取が行わ
れるものである。

【０００４】この非接触式メモリ素子をカートリッジケ
ースに取り付ける場合、外部記憶装置の磁気テープ記録
再生装置の設計の自由度を拡大し、また、非接触式メモ
リ素子自体へのゴミの付着や外部からの衝撃に対する保
護の観点から、通常、カートリッジケース内部に配置さ
れる。例えば、特開平１１−３１７０５０号公報には、
図４に示すように、非接触式メモリ素子をカートリッジ
ケースの内部に組み込んだ磁気テープカートリッジが記
載されている。この磁気テープカートリッジ１００は、
記録再生装置（デッキ、図示せず）に矢印Ａの方向の向
きで挿入されるものである。

【０００５】この例の非接触式メモリ素子は、データ送
受信アンテナ１１０とメモリ・デバイス１１５とを有す
る。メモリ・デバイス１１５は、例えば、従来のメモリ
チップ等の、電子的に情報を取り出すことができる記憶
装置であり、磁気テープカートリッジ１００またはその
内容に関連した情報が記憶される。データ送受信アンテ
ナ１１０は、デッキ側内部に設けられているデータ読取
・書込装置のアンテナから放出される磁場を変換して、
データ送受信アンテナ１１０自身およびメモリ・デバイ
ス１１５に電力を供給するとともに、メモリ・デバイス
１１５からのデジタル・データをデッキ側のデータ読取
・書込装置のアンテナに送信する役割を有するコイルア
ンテナである。このデータ送受信アンテナ１１０は、磁
気テープカートリッジ１００内部の底面１２０と背面１
２５の近くに取り付けられ、図４に示す例では、磁気テ
ープカートリッジ１００の底面１２０と背面１２５の両
方に対して約４５°の角度となる向きに取り付けられて
いる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図４に
示す磁気テープカートリッジのように、カートリッジケ
ース内部に非接触式メモリ素子を実装した場合、磁気テ
ープカートリッジの組立後の動作チェックで非接触式メ
モリ素子の不良が発見された場合には、組み立てた磁気
テープカートリッジの外部ケーシングを分解して非接触
式メモリ素子を交換しなければならないなど作業の効率
化を低下させ、延いては検査工数増加によるコストアッ
プを招く要因となる、等の問題があった。

【０００７】また、非接触式メモリ素子は高価な部材で
あるため、非接触式メモリ素子に問題がなくても、磁気
テープカートリッジに不具合が発見されたり、また、何
らかの理由で磁気テープカートリッジが使用不能となっ
た場合に、非接触式メモリ素子を再利用する場合には、
磁気テープカートリッジを分解して非接触式メモリ素子
を取り出さなければならないという問題もある。

【０００８】さらに、カートリッジケース内部に非接触
式メモリ素子を配置する場合、カートリッジケース内の
各種部材の配置スペースおよび磁気テープの巻取りスペ
ース等により大きな制約を受け、非接触式メモリ素子の
配置位置の設計上の自由度が限られるとともに、外部記
憶装置側に設ける非接触式メモリ素子のデータ読取・書
込装置の配置位置の設計の自由度も制約を受けることと
なる。

【０００９】一方、磁気テープカートリッジの外側に非
接触式メモリ素子を取り付けた場合には、磁気テープカ
ートリッジの保管、搬送および外部記憶装置への装填・
脱着に際して、外力によりダメージを受け易く、非接触
式メモリ素子表面が装填・脱着により傷つく恐れが高
く、また外面へ露出した場合、不測の事態により脱落す
る危険がある。

【００１０】そこで、本発明は、カートリッジケースを
構成する下ハーフの底面あるいはスライダの上面に非接
触式メモリ素子を取り付けることにより、カートリッジ
ケースの組立工程内で、下ハーフまたはスライダの部品
単体の状態で非接触式メモリ素子を取り付けることが可
能であり、この部品単体に取り付けた状態で非接触式メ
モリ素子の検査を行うことができる。そのため、万一、
不良が発見された場合であっても、カートリッジを分解
することなく、部品単体で不良の検出が可能となる。ま
た、非接触式メモリ素子が、磁気テープカートリッジの
保管、搬送および装填・脱着時に外力によってダメージ
を受け難く、装填・脱着に際して邪魔になることもな
く、磁気テープカートリッジの設計の自由度ならびに外
部記憶装置側におけるデータ読取・書込装置の設計の自
由度も確保することができる磁気テープカートリッジを
提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、上ハーフと下ハーフとにより構成される
カートリッジケース内に記録媒体が収容され、下ハーフ
の底面に沿って摺動可能に装着され、下ハーフ底面の開
口部を保護するスライダを有する磁気テープカートリッ
ジであって、下ハーフ底面、および前記スライダの上面
の少なくとも一方に設けられた凹部に非接触式メモリ素
子が配設されていることを特徴とする磁気テープカート
リッジを提供する。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る磁気テープカ
ートリッジについて、図１の斜視分解図に概略構成を示
す実施態様に基づいて、詳細に説明する。図１に示す磁
気テープカートリッジ１は、上ハーフ１０と下ハーフ１
２とから構成されるカートリッジケース１４、および下
ハーフ１２の外側下部に摺動可能に嵌装されるスライダ
１６を主要部材とするものである。

【００１３】この磁気テープカートリッジ１には、上ハ
ーフ１０と下ハーフ１２の間に、供給側の巻取ハブ１８
ａと巻取側の巻取ハブ１８ｂとの間に巻回された磁気テ
ープ２０が収容される。また、上ハーフ１０の前面側に
は、磁気テープカートリッジ非使用時において磁気テー
プ２０を覆い保護する前蓋（リッド）２２が支軸２２ａ
に回動可能に取り付けられている。

【００１４】上ハーフ１０には、磁気テープカートリッ
ジの非使用時に、巻取ハブ１８ａおよび１８ｂに巻回さ
れた磁気テープ２０がたるむのを防止するために、ブレ
ーキ部材２４が付設される。このブレーキ部材２４は、
上ハーフ１０に設けられた突起２６に係止されたブレー
キばね２８によって付勢され、制動片２８ａおよび２８
ｂを、供給側および巻取側の巻取ハブ１８ａおよび１８
ｂの上部に設けられた歯車３０ａおよび３０ｂに係合さ
せることにより、巻取ハブ１８ａ，１８ｂの回転を禁止
し、磁気テープ２０のたるみを防止する。

【００１５】下ハーフ１２は、長方形状の底面１２ａ
に、磁気テープカートリッジ使用時においてカートリッ
ジケース１４内に、巻取ハブ１８ａおよび１８ｂを駆動
するためのリール軸（図示せず）が挿入されるリール軸
挿入孔３２ａ，３２ｂを有し、底面１２ａの左右両端か
ら上ハーフ１０の前蓋２２に向けて前方に伸びる張出部
３４ａ，３４ｂを有する。左右の張出部３４ａ，３４ｂ
には、磁気テープ２０をガイドするための円柱状のリブ
３６ａ，３６ｂが設けられている。この左右の張出部３
４ａと３４ｂの間の空間３８は、磁気テープカートリッ
ジ１が装填されるデッキ側に設けられている、いわゆる
テープローディング装置が進入するための空間である。

【００１６】この磁気テープカートリッジにおいて、下
ハーフ１２の外側下部に嵌装されるスライダ１６は、下
ハーフ１２の底面１２ａに接して磁気テープカートリッ
ジ１の前後方向に摺動し、磁気テープカートリッジの非
使用時には、前方に位置し、下ハーフ１２の左右の張出
部３４ａおよび３４ｂの間の空間３８、ならびにリール
軸挿入孔３２ａおよび３２ｂを閉塞する。また、スライ
ダ１６が後方に位置するときは、前記左右の張出部３４
ａおよび３４ｂの間の空間３８を解放するとともに、ス
ライダ１６の底面１２ａに設けられた２つの孔４０ａお
よび４０ｂが前記リール軸挿入孔３２ａおよび３２ｂと
それぞれ一致し、巻取ハブ１８ａおよび１８ｂを駆動す
るためのリール軸（図示せず）が挿入される開口が形成
される。スライダ１６は、磁気テープカートリッジがデ
ッキに装填されたときには、デッキ内の装置の作用によ
り自動的に後方に位置されるが、磁気テープカートリッ
ジの非使用時には、下ハーフ１２に設けられた板ばね４
２により付勢され、前方に位置される。

【００１７】本発明の磁気テープカートリッジ１は、下
ハーフ１２の底面１２ａと摺接する、スライダ１６の上
面４４に設けられた凹部４６に非接触式メモリ素子４８
が配設されているものである。

【００１８】非接触式メモリ素子４８は、図３に示すよ
うに、矩形の板状部材からなり、その外周にアンテナ５
０が設けられ、内部にＩＣチップ５２が配置されて、全
体が樹脂封止されている。アンテナ５０は、図示しない
デッキ側の非接触式メモリ素子４８へのデータ読み取り
書き込み装置のアンテナから放出される磁場によって電
磁誘導された誘導電流をＩＣチップ５２に供給するコイ
ルアンテナである。なお、非接触式メモリ素子４８の内
の部分５４は、特に作用をしていない。

【００１９】本発明の磁気テープカートリッジにおい
て、非接触式メモリ素子を配設する凹部は、前記図１に
示す実施態様に限定されず、スライダに求められる基本
的機能を阻害しなければ、スライダの上面および下ハー
フ底面のいずれの位置に配置されていてもよく、また、
その形態も非接触式メモリ素子に応じて適宜決定され、
特に限定されない。

【００２０】また、下ハーフ底面あるいはスライダ上面
に形成される凹部の深さは、少なくとも非接触式メモリ
素子の厚さ以上として、スライダがカートリッジケース
前方に移動しても非接触式メモリ素子が邪魔にならない
ようにするのが望ましい。このとき、凹部の深さを、非
接触式メモリ素子の厚さとほぼ同一とし、非接触式メモ
リ素子の上面がスライダの上面と面一または下となるよ
うにすれば、非接触式メモリ素子の上面と下ハーフ底面
と摩擦による摺動抵抗が軽減され、スライダの摺動性の
向上に有効である。

【００２１】さらに、非接触式メモリ素子の取り付け状
態によっては、スライダの上面あるいは下ハーフの底面
の凹部より凸状となり、スライダの上面および下ハーフ
の底面の厚さ方向の内部間隙を圧迫することがあるた
め、スライダの摺動に障害とならないように、非接触式
メモリ素子を取り付けた面に対面する側に凹部を設ける
と、摺動不良を防止し、スライダの摺動時の異常の発生
の防止に有効である。

【００２２】

【発明の効果】本発明の磁気テープカートリッジは、カ
ートリッジケースを構成する下ハーフの底面あるいはス
ライダの上面に非接触式メモリ素子を取り付けることに
より、カートリッジケースの組立工程内で、下ハーフま
たはスライダの部品単体の状態で非接触式メモリ素子を
取り付けることが可能であり、この部品単体に取り付け
た状態で非接触式メモリ素子の検査を行うことができ
る。そのため、万一、不良が発見された場合であって
も、カートリッジを分解することなく、部品単体で不良
の検出が可能となる。さらに、非接触式メモリ素子の取
り付けをカートリッジ組み立ての最終工程で行うことが
でき、非接触式メモリ素子を組み込む前に検査する必要
がなく、組み立て工数を削減することができる。

【００２３】また、スライダの上面の凹部に配設された
非接触式メモリ素子は、外部に露出されることなく、ス
ライダによって保護されるため、磁気テープカートリッ
ジの保管、搬送および装填・脱着時に外力によってダメ
ージを受け難く、装填・脱着に際して邪魔になることも
ない。さらに、非接触式メモリ素子をカートリッジケー
ス内部に取り付ける場合と比べて、磁気テープカートリ
ッジの設計の自由度ならびに外部記憶装置側におけるデ
ータ読取・書込装置の設計の自由度も確保することがで
きる。

【００２４】さらにまた、本発明の磁気テープカートリ
ッジにおいては、下ハーフの底面あるいはスライダの上
面に凹部を設けることは、下ハーフまたはスライダの成
形用金型に簡単な変更を施すことで容易に対応できるた
め、現行品に非接触式メモリ素子を追加して取り付ける
ことが極めて容易にできるという製造上の利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の磁気テープカートリッジの概略構成
を示す斜視分解図である。

【図２】 図１の磁気テープカートリッジのスライダの
背面図である。

【図３】 非接触式メモリ素子を示す平面図である。

【図４】 従来の磁気テープカートリッジの１例を示す
斜視図である。

【符号の説明】

１ 磁気テープカートリッジ １０ 上ハーフ １２ 下ハーフ １４ カートリッジケース １６ スライダ １８ａ 供給側の巻取ハブ １８ｂ 巻取側の巻取ハブ ２０ 磁気テープ ２２ 前蓋 ２２ａ 支軸 ２４ ブレーキ部材 ２６ 突起 ２８ ブレーキばね ２８ａ，２８ｂ 制動片 ３０ａ，３０ｂ 歯車 ３２ａ，３２ｂ リール軸挿入孔 ３４ａ，３４ｂ 張出部 ３６ａ，３６ｂ リブ ３８ 空間 ４０ａ，４０ｂ 孔 ４２ 板ばね ４４ 上面 ４６ 凹部 ４８ 非接触式メモリ素子 ５０ アンテナ ５２ ＩＣチップ ５４ 部分 １００ 磁気テープカートリッジ １１０ データ送受信アンテナ １１５ メモリ・デバイス １２０ 磁気テープカートリッジ内部の底面 １２５ 背面

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上ハーフと下ハーフとにより構成されるカ
   ートリッジケース内に記録媒体が収容され、下ハーフの
   底面に沿って摺動可能に装着され、下ハーフ底面の開口
   部を保護するスライダを有する磁気テープカートリッジ
   であって、下ハーフ底面、および前記スライダの上面の
   少なくとも一方に設けられた凹部に非接触式メモリ素子
   が配設されていることを特徴とする磁気テープカートリ
   ッジ。