JP2002010796A - 高純度リゾホスファチジルイノシトール及び糖脂質の製造方法 - Google Patents

高純度リゾホスファチジルイノシトール及び糖脂質の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 植物リン脂質から高濃度リゾホスファチジ
ルイノシトール及びリン脂質以外の有用物質を取得する
方法。 【解決手段】含水植物リン脂質を原料として用いこれに
アスペルギルス(Aspergillus)属の糸状菌が生産する
ホスホリパーゼA1を作用させ、構成リン脂質の分解の
差を利用して高純度リゾホスファチジルイノシトール及
びリゾホスファチジルイノシトールに富むホスファチジ
ルイノシトール画分を高純度、高収率で得る。又本酵素
がホスホリパーゼBと同じ作用を示すことを利用して、
リン脂質以外のスフィンゴ糖脂質、ステリルグリコシ
ド、グリセロ糖脂質などの有用物質も工業的有利な簡便
な方法で得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高純度植物性リゾ
ホスファチジルイノシトールの製造法に関するものであ
り、更に詳しくは他のリン脂質と混在している状況の下
で、リゾホスファチジルイノシトールを高純度で得るこ
とができる酵素反応を利用した当該化合物の製造法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】リン脂質として知られている1,2−ジ
アシルグリセロリン脂質は、ホスファチジルコリン、ホ
スファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシ
トール、ホスファチジン酸を主とする混合物として、大
豆、小麦、大麦、トウモロコシ、ヒマワリ、ナタネ、落
花生、綿実等に多量存在している。これらの中、レシチ
ン(ホスファチジルコリン)は卵黄由来と植物由来の2
種類に大別されるが、植物リン脂質のなかには、ホスフ
ァチジルイノシトール、ホスファチジン酸が大量に含ま
れていることが知られており、その利用が注目されてい
る。リン脂質はそのままで利用されるだけではなく、リ
ン脂質をリゾ化したリゾリン脂質例えば、植物由来のレ
シチンである大豆レシチンをリゾレシチンに変えて利用
される。即ち、大豆レシチンに水を加えて加水分解酵素
としてホスホリパーゼA1又はA2を作用させて、かか
るリン脂質の脂肪酸部を分解し、2−モノアシルグリセ
ロリン脂質、又は1−モノアシルグリセロリン脂質に改
質したリゾレシチン変える。このような大豆リゾレシチ
ンは、通常の大豆レシチンに比べ、乳化性、タンパク質
やデンプンとの結合能、離型作用が優れていることから
近年その需要が増している。
【0003】ところで、かかる大豆リゾレシチンの製造
には、ブタ膵臓由来の酵素剤パンクレアチンに含まれる
ホスホリパーゼA2が使用されており、ノボ・ノルディ
スク社で商品化されたレシターゼ10Lが専ら用いられ
ているけれど、この酵素はリン脂質の内、ホスファチジ
ルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファ
チジン酸を加水分解するが、ホスファチジルイノシトー
ルには作用しない。そのために大豆リン脂質をリゾ化し
た際に、ホスファチジルイノシトールが加水分解されて
いないことから、構成リン脂質中のホスファチジルコリ
ンとホスファチジルエタノールアミンがリゾ化されたリ
ゾリン脂質が主要部を占める大豆リゾリン脂質が提供さ
れ、利用されている現状にある。即ち、上記大豆リゾリ
ン脂質の特性はこれら二種の主要リン脂質で特徴づけら
れ、特にホスファチジルコリンのリゾ体がこの特性発現
に大きく関与することから、ホスファチジルコリン含量
の高いリゾ型のリン脂質を止むを得ず利用しているのが
現状である。
【0004】ホスファチジルイノシトールは、上記の如
く植物リン脂質にのみ存在し、生体内で細胞の情報伝達
に係り、そのリゾ体と共に生理作用で注目されている
(J. E. Bleasdale, et al(eds), Inositol and Phosph
oinositides, Humana Press, 1985)物質である。ホス
ファチジルイノシトールは又、稚アユや稚クルマエビの
成長促進作用(金沢ら、Z. Angew. Ichthyol 1(4)165(1
985), Acuacu Hure 50 39(1985))や加熱調理用油脂で
風味や離型性で優れた作用(特開平4−330253号公報、
特開平5−168404号公報)を示すことが報告されてい
る。リゾホスファチジルイノシトールは抗カビ作用(特
開平6−256366号公報)をもつことが報告されている。
【0005】前述の抗カビ作用を示すリゾホスファチジ
ルイノシトールは、マボヤより抽出されたものである
が、植物リン脂質に多く存在するホスファチジルイノシ
トールやそのリゾ体には生理作用も含めて多くの有用な
作用を持つものとされているにも拘らず、工業的に製造
する方法が確立していないため、未だ実用的なレベルで
の使用に十分な量のリゾホスファチジルイノシトールを
提供することができず、従って開発が進められていない
のが現状である。又植物リン脂質の中にはスフィンゴ糖
脂質、ステリルグリコシド、グリセロ糖脂質等生理的に
有用で、応用面が期待されている物質が混在して含まれ
ているが、その分離法はクロロホルム、アセトンを用い
たシリカゲルカラム分画法(特開平4−282317号公報)
であり、工程的に煩雑であるから実用的な工業的製造方
法としては採用しがたい方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ここにおいて、本発明
は、かかる事情を背景にして鋭意研究の結果、為された
ものであって、その解決課題とするところは、植物リン
脂質に多く含まれているホスファチジルイノシトールか
ら、特にリゾホスファチジルイノシトールを高純度、高
収率で得る方法を提供することにあり、又、植物リン脂
質中に混在して含まれているリン脂質以外のスフィンゴ
糖脂質、ステリルグリコシド、グリセロ糖脂質などを効
率的に得る方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アスペル
ギルス(Aspergillus)属の糸状菌、特にアスペルギル
ス・ニガー(Aspergillus niger)又はアスペルギルス
・オリゼ(Aspergillusoryzae)が生産するホスホリパ
ーゼA1(三共株式会社で商品化されている)につい
て、このホスホリパーゼA1の作用を鋭意研究した結
果、当該酵素を植物リン脂質に作用させるとき、その中
のホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールア
ミン、ホスファチジン酸は加水分解を受けて、C1位、
C2位共にアシル基の離脱を起こしたが、ホスファチジ
ルイノシトールはリゾホスファチジルイノシトールで留
まっていることを見いだした。本発明は斯かる知見に基
づいてさらに検討を重ねて成されたものである。
【0008】ホスホリパーゼA1は、特開平6−062
850号公報及び特開平7−031472号公報に記載
の如く、グリセリンのC−2位のパルミトイル基を14
で標識したものとC−1位及びC−2位のパルミトイル
基を14Cで標識したL−α−ジパルミトイルホスファチ
ジルコリンへの酵素反応に際し、C−1位とC−2位の
パルミトイル基が14C標識されたホスファチジルコリン
のみから標識されたパルミチン酸が遊離したので、この
酵素がC−1位のアシル基のみに作用すると報告されて
いる。
【0009】しかし、本発明者らがこの酵素を用いて大
豆レシチンの酵素分解を行ったところ、反応時間と共に
ホスファチジルコリンの加水分解が進行し、リゾホスフ
ァチジルコリンになるが、さらに反応を続けると、加水
分解が進み脂肪酸基が2個とも加水分解されたグリセロ
ホスホリルコリンになることを見出したのである。ホス
ホリパーゼA2であるノボ・ノルディスク社のレシター
ゼ10Lの場合はリゾホスファチジルコリンがそれ以上
分解されないのに対し、ホスホリパーゼA1による斯か
る反応はホスファチジルコリンのみならず、ホスファチ
ジルエタノールアミン、ホスファチジン酸でも同様に起
こり、全てがグリセロ体にまで加水分解された。
【0010】この酵素はホスファチジルイノシトールに
作用して、これを酵素分解することについては先に述べ
たが、ホスファチジルイノシトールに対する作用及びこ
れが加水分解を受けて生成するリゾホスファチジルイノ
シトールに対する作用について、酵素特異性が乏しいた
めか、基質の反応速度が遅いためか判然とはしないけれ
ども、リゾホスファチジルイノシトールが反応時間の経
過と共に他のリゾホスファチジルコリン、リゾホスファ
チジルエタノールアミンやリゾホスファチジン酸よりも
多く反応系内に残り得るという予想外の現象を見出した
のである。本発明者らは、以下に述べるところからみ
て、基質の反応速度が遅いためであると考えているが、
斯かる状況下において、本発明者らは、リン脂質混合体
をそのまま酵素分解することによりホスファチジルイノ
シトール、特にリゾホスファチジルイノシトールを効率
よく製造することが出来ることを見出したのである。
【0011】尚、このように生じたリゾホスファチジル
イノシトールについて、ホスホリパーゼA1との反応を
進めると酵素分解し脂肪酸基が2個加水分解されたグリ
セロホスホリルイノシトールへと変わる。斯かる状況か
ら、ホスホリパーゼA1がリン脂質の脂肪酸をすべて加
水分解するホスホリパーゼBと同じ作用を示すことを見
出したのである。ホスホリパーゼBがその起源により加
水分解するリン脂質の種類に左右されるのに対し、この
酵素は植物リン脂質の主要リン脂質をすべて加水分解す
ることから、植物リン脂質中に含まれるスフィンゴ糖脂
質、ステリルグリコシド、グリセロ糖脂質などの有用な
物質を適宜な溶媒を選択することにより、容易に高濃度
で得ることができる方法をも見いだしたことは本発明者
らの本酵素に関する新規な知見であり、これによりスフ
ィンゴ糖脂質、ステリルグリコシド、グリセロ糖脂質な
どを取り出す新規な方法を切り拓いたのである。
【0012】すなわち、本発明者らは、ホスファチジル
イノシトール、ホスファチジルコリン、ホスファチジル
エタノールアミン及びホスファチジン酸のジアシルグリ
セロリン脂質はホスホリパーゼA1の作用を受けて、反
応時間の経過と共にそれぞれリゾホスファチジルイノシ
トール、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジ
ルエタノールアミン及びリゾホスファチジン酸のモノア
シルグリセロリン脂質に加水分解されるのであるが、こ
れらのモノアシルグリセロリン脂質はさらに当該酵素に
よって脱アシル化されてそれぞれのグリセロホスホリル
体にまで加水分解されること、ジアシルグリセロリン脂
質からモノアシルグリセロリン脂質への変換において、
4種のリン脂質の中でホスファチジルイノシトールが最
も遅いこと、リゾホスファチジルイノシトール以外の3
種のモノアシルグリセロリン脂質はさらにグリセロホス
ホリル体への当該酵素によるさらなる加水分解が進行す
るから、リゾホスファチジルイノシトールの反応液中の
含有量が他のモノアシルグリセロリン脂質の反応液中の
含有量よりも多くなリ得ること、リゾホスファチジルイ
ノシトールは反応混合物中の他のモノアシルグリセロリ
ン脂質が加水分解されたそれぞれのグリセロホスホリル
体から容易に分離し得ること、そして全てのジアシルグ
リセロリン脂質がホスホリパーゼA1の作用によってモ
ノアシルグリセロリン脂質を経て、それぞれのグリセロ
ホスホリル体にまで加水分解されるとき、加水分解反応
の出発原料物質(例えば大豆リン脂質)に、例えばスフ
ィンゴ糖脂質、ステリルグリコシド、グリセロ糖脂質な
どの有用物質が含まれている場合、それから分離しにく
いジアシルグリセロリン脂質、モノアシルグリセリン脂
質がもはや反応混合物に実質的に存在しないから、反応
混合物から容易に採取しうること等、数多くの新知見を
得、さらに検討を重ねて本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち、本発明は(1)含水植物リン脂
質にアスペルギルス属の糸状菌が生産するホスホリパー
ゼA1を作用させることを特徴とする高純度リゾホスフ
ァチジルイノシトールの製造法、(2)前記ホスホリパ
ーゼA1の作用時間を調節することによる前記(1)記
載のリゾホスファチジルイノシトールを高収率で得る製
造法、(3)含水植物リン脂質に前記ホスホリパーゼA
1を長時間作用させスフィンゴ糖脂質、ステリルグリコ
シド、グリセロ糖脂質を得ることを特徴とするスフィン
ゴ糖脂質、ステリルグリコシド、グリセロ糖脂質の製造
法、(4)前記ホスホリパーゼA1がアスペスギルス・
ニガー(Aspergillus nigar)又はアスペルギルス・オ
リゼ(Aspergillus oryzae)が生産するホスホリパーゼ
A1のいずれかである前記(1)乃至前記(3)の何れ
かに記載の製造法、(5)含水植物リン脂質を分画し、
ホスファチジルイノシトールを高濃度に含有したものを
原料として用いる前記(1)又は(2)若しくは前記
(4)の何れかに記載の製造法、(6)前記(1)乃至
前記(5)のいずれかに記載の製造方法においてアルカ
リ水溶液、酸性水溶液又は緩衝液を加えて酵素の至適p
Hで反応を行うことを特徴とする前記(1)乃至前記
(5)記載のいずれかに記載されている製造法、(7)
(a)ホスファチジルイノシトールと(b)ホスファチ
ジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン及びホス
ファチジン酸から選ばれる1〜3種とを含む植物リン脂
質混合物をリゾホスファチジルイノシトールの生成量が
リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノ
ールアミン及びリゾホスファチジン酸のいずれの生成量
よりも多くなるまでホスホリパーゼA1で加水分解する
ことを特徴とするリゾホスファチジルイノシトールの製
造方法、及び(8)(c)植物リン脂質及び(d)スフ
ィンゴ糖脂質、ステリルグリコシド及びグリセロ糖脂質
の1種以上を含有する植物材料を植物リン脂質の実質的
に全てをグリセロホスホリル体に変化するまでホスホリ
パーゼA1で加水分解し、反応液から上記(d)成分を
採取することを特徴とするスフィンゴ糖脂質、ステリル
グリコシド及びグリセロ糖脂質の1種以上の製造方法、
に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明方法で使用される原料物質
は、含水植物リン脂質と称する。これは、植物由来であ
って、(a)ホスファチジルイノシトールと(b)ホス
ファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン及
びホスファチジン酸から選ばれる1種以上を含むものな
らどのようなものでもよく、所望により、さらにスフィ
ンゴ糖脂質、ステリルグリコシド及びグリセロ糖脂質の
1〜3種を含んでいるものでもよい。これらは通常は水
を含んでいるが、場合によっては水を含まなくともよ
く、それらを総称して本発明は含水植物リン脂質と称す
る。具体的には例えば、大豆、小麦、大麦、トウモロコ
シ、ヒマワリ、ナタネ、落花生、綿実等の植物又はその
処理物で上記の化学成分を含むものが、便宜に使用され
る。最も好ましい原料はペースト状大豆リン脂質である
が、公知方法で容易に製造できる。
【0015】本発明で使用されるホスホリパーゼA1は
公知の酵素であって、例えば特開平7−31472号公
報の記載に従って容易に製造することが出来る。この酵
素の好ましい条件はpH4.0〜5.0で温度約50℃
乃至60℃程度であるから、反応条件をそのように設定
するのが好ましい。pH値の調節には、自体公知の手段
に従って、アルカリ水溶液(例えばNaOH水溶液)、
酸性水溶液(例えば1N塩酸)を使用してよい。酵素に
よる加水分解反応の反応時間は一概にはいえない。リゾ
ホスファチジルイノシトールを選択的に製造する場合
は、反応液中に、少なくとも反応混合物中のリゾホスフ
ァチジルイノシトールの含有量がリゾホスファチジルコ
リン、リゾホスファチジルエタノールアミン及びリゾホ
スファチジン酸の反応混液中の含有量よりも高くなるま
で加水分解反応を行うのが好ましい。又、反応液からス
フィンゴ糖脂質、ステリルグリコシド、グリセロ糖脂質
の1種以上を採取する場合は、上記4種のジアシルグリ
セロリン脂質のいずれもがそれぞれ対応するモノアシル
グリセロリン脂質を経由して対応するグリセロホスホリ
ル体にまで加水分解されるまで加水分解反応を継続させ
るのが好ましい。反応終了後、自体公知の手段に従っ
て、目的物を反応混合物から採取することが出来る。本
発明の好ましい実施の態様を以下に説明する。%部は特
にことわりのない限り、それぞれ重量%、重量部であ
る。
【0016】ところで、かくの如き本発明に従う手法に
おいて、原料として用いられる植物リン脂質は、各種リ
ン脂質の混合物のまま用いることができるが、植物リン
脂質をエタノールで分画すると、ホスファチジルイノシ
トールがエタノールに溶けないことから、エタノール不
溶部にホスファチジルイノシトールがほとんど全量残留
することとなるので、このエタノール不溶部をリゾホス
ファチジルイノシトール製造の原料として用いることも
でき好都合である。又、植物リン脂質をヘキサンに溶解
し、水性エタノールで分画すると、水性エタノール区分
に糖脂質類が残留することから(H.Pardun, Proceeding
of the 2nd International Colloquimon Soya Lecithi
n, Brighton England, April 3(1982))、この画分をス
テリルグリコシド、糖脂質製造の原料として用いること
もできる。いずれにせよ、取得する目的物質に応じて、
前処理として、植物リン脂質を適宜分画し、使用するこ
とは反応後の後処理を簡便にすることになるので状況に
より適宜行われるところである。
【0017】本発明における酵素反応は、酵素と基質を
水性媒体中又は湿潤状態で接触させることにより行わ
れ、必要に応じて非イオン性有機溶媒(例えばジエチル
エーテル、ジオキサンのようなエーテル類、ヘキサン、
ベンゼン、トルエンのような炭化水素類、酢酸エチル、
酢酸ブチルのようなエステル類等)共存下で行うことも
可能である。又、水性又は湿潤体には、必要に応じて、
酸、アルカリ又は緩衝液を加えてpH3.5乃至6.5
に調整することが反応を促進することになる。本酵素の
添加量は反応温度、反応時間、反応時のpH、基質の性
状や品質、夾雑する物質、要求される効果の程度等によ
り異なるが、好適には1,000ユニット/gの酵素を
用いて、基質に対して0.05重量%乃至5重量%であ
る。
【0018】本酵素の反応温度は10℃乃至70℃(好
適には30℃乃至60℃)であり、反応に要する時間は、反
応温度、pH、基質の種類により異なるが、通常1日乃
至10日間である。反応の進行は日本油化学会編「基準
油脂分析試験法4.3.3.1リン脂質組成(薄層クロ
マトグラフ法)」に従って主要なリン脂質組成の変化を
辿ることで調べられるが、主要なリン脂質のリゾ体の変
化はこの分析法で用いる薄層の展開溶媒条件〔一次展開
−クロロホルム:メタノール:7モルのアンモニア水(1
30:60:8)、二次展開−クロロホルム:メタノール:酢
酸:水(170:25:25:6)〕では不適合で各リン脂質のリ
ゾ体の分離ができない。そこで本発明者らは種々展開溶
媒を検討した結果、一次展開溶媒としてクロロホルム:
メタノール:7モルのアンモニア水(130:70:8)、二次
展開溶媒としてクロロホルム:メタノール:酢酸:ギ酸
(50:30:4.5:6.5)を用いることにより各リン脂質のリ
ゾ体が明確に分離することを見出し、各リン脂質のリゾ
体の標品と比較することにより、その同定を行った。図
1に各リン脂質のリゾ体の分離状況を示す。
【0019】ペースト状大豆リン脂質(リン脂質含量62
%)の50%水溶液に三共株式会社製ホスホリパーゼA
1(11,900ユニット/g)を0.08%添加し、50℃
で反応した結果を図2に示す。各リン脂質の含有割合
は、上述の日本油化学会編「基準油脂分析試験法」に従
い測定したが、展開溶媒は上述の図1の条件に変更し測
定した。その結果、溶液の酸価の上昇に従いホスファチ
ジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスフ
ァチジン酸は若干の反応性の違いはあるものの、反応が
進行して各リゾ体を与えるが各リゾ体を蓄積することな
く、反応を続行すると、さらに分解し各リン脂質はそれ
ぞれグリセロホスホリル体へと変化する。その結果、図
1の原点部分のリン含量が大幅に上昇する。一方ホスフ
ァチジルイノシトールは分解が遅く、又リゾ体に変わっ
たものの更なる加水分解も遅く、酸価77.4の時点で
はリゾホスファチジルイノシトールが9.2%、即ちホ
スファチジルイノシトールと合わせると、もとの量の6
7%の量で得られ、且つ、この生成物中の原点部を除い
たリン脂質中ではリゾホスファチジルイノシトールが6
9%を占める高純度のものになる。この結果は実施例で
再度詳述するが、これにより高純度リゾホスファチジル
イノシトールを得ることができることから、その有効な
製造法であることが判然とし、製法として確立されたの
である。
【0020】酵素反応が終了した後、約70℃乃至90
℃程度で10分乃至2時間の加熱処理によって酵素の失
活を行う。酵素の失活には加熱条件の他にpH処理、加
圧処理等を単独で又は適宜組み合わせて用いても良い。
酵素失活後アセトンによる脱脂、引き続きヘキサンと水
性エタノールとの分画など通常良く用いられる分画方法
により、ヘキサン部から該リゾホスファチジルイノシト
ールを高純度で得ることができる。
【0021】リゾホスファチジルイノシトールを得た前
記の酵素反応を引き続き行い、溶液の酸価が90に達す
るまで反応を続行した。酸価77.4の時点において、
リゾホスファチジルイノシトール以外に若干残っていた
リン脂質やリゾリン脂質は悉く加水分解されて、グリセ
ロホスホリル体にかわる。斯かる反応は、ホスホリパー
ゼBによる加水分解の場合と同様の結果を与えるもので
あるところ、ホスホリパーゼBが基質特異性を示すのに
対し、本酵素即ち、ホスホリパーゼA1は何らの制限も
受けないことから、植物リン脂質に混在してくるスフィ
ンゴ糖脂質、ステリルグルコシド、グリセロ糖脂質等の
有用な物質を取り出すときに、利用できる手法となるこ
とを見出した。
【0022】植物リン脂質中にはスフィンゴ糖脂質、ス
テリルグリコシド、グリセロ糖脂質等リン脂質以外の有
用な物質が混在して含まれているが、これらの物を得る
ときの精製で困難なことはリゾ体を含むリン脂質の除去
であった。そのため、スフィンゴ糖脂質の取得の場合に
見られるように、クロマト法によるか、アルコール性苛
性カリによる加水分解後、Folch分配を行い、ケイ酸カ
ラムで分画する等の方法が採用されるが、これらの方法
は研究室的には適しているものの、工業的な製造では到
底採用できない方法であるから、ここに述べた方法がこ
れらにとって代わることができる。
【0023】本酵素が基質に制限を受けないホスホリパ
ーゼBの作用を示すことはリン脂質に混在しているリン
脂質以外の有用な物質を容易に得る方法を提供する。即
ち本酵素による反応を極限に進めリン脂質の脂肪酸部を
全て加水分解した後アセトン処理を行うと、該有用物質
とリン脂質由来の各種グリセロホスホリル体が残留する
ことになる。これらの混合物をエタノール、水性エタノ
ールによる抽出、ヘキサン−水性エタノールによる分画
等、通常用いられる方法を適用することにより、目的物
質を得ることができるのである。実施例にコーンリン脂
質に混在するスフィンゴ糖脂質であるセレブロシド、ス
テリルグリコシドを得る方法が記載されているが、この
応用範囲はこのことにとどまらない。即ち植物リン脂質
をヘキサン−水性エタノールで分画すると、水性エタノ
ール部からグリセロ糖脂質部が得られるが、随伴するリ
ン脂質体を本酵素で処理し、上述のようにグリセロホス
ホリル体にし、このものから適宜な溶媒抽出によりグリ
セロ糖脂質を得ることができるのである。
【0024】上述のように、本酵素がホスホリパーゼB
の作用を持つことを見いだしたことは、植物リン脂質に
混在して含まれているリン脂質以外の有用な物質を得る
新規な方法を提供するのである。スフィンゴ糖脂質、ス
テリルグリコシド、グリセロ糖脂質等は植物リン脂質の
種類により含量が異なるので、取得せんとする目的物質
に合わせて植物リン脂質の種類を選択するとよい。
【0025】
【実施例】以下に幾つかの実施例を示し、本発明をさら
に具体的に詳しく記述することとするが、本発明がその
ような実施例の記載によって何らの制限を受けることを
意味するものではない。又、本発明には、以下の実施例
の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の
趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づい
て種々なる変更、修正、改良を加え得るものであること
が理解されるべきである。
【0026】なお、以下の実施例における百分率は何れ
も重量基準で示されるものであり、さらにリン脂質及び
そのリゾ化物の略号としてPC:ホスファチジルコリ
ン、PE:ホスファチジルエタノールアミン、PI:ホ
スファチジルイノシトール、PA:ホスファチジン酸、
LPC:リゾホスファチジルコリン、LPE:リゾホス
ファチジルエタノールアミン、LPI:リゾホスファチ
ジルイノシトール、LPA:リゾホスファチジン酸を使
用した。
【0027】実施例1 ペースト状大豆リン脂質(リン脂質含量62%)300g
に水を加え50%水溶液とし、三共株式会社製ホスホリ
パーゼA1(11,900ユニット/g)0.2gを加え50
℃で攪拌し続け、酸価の上昇に伴う構成リン脂質の変化
を辿った図2の数値を表1に示す。一方比較対照例とし
てホスホリパーゼA2(ノボ・ノルディスク社製、レシ
ターゼ10L 11,000ユニット/ml)0.2mlを加え同様
に反応した。結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1から明らかなように反応が進行するに
つれPC、PE、PAともそれぞれLPC、LPE、L
PAに変化するが、この状態で蓄積することなく、さら
に分解してグリセロホスホリル体へと変化する。それに
伴いOR部のリン含量が増す。一方PIはLPIになる
速度が他のリン脂質に比べ遅く、PI以外のリン脂質が
ほとんど分解した酸価77.4の時点(反応開始から1
20時間)で、PI及びLPIを合算したその量はもと
の15.0%から10.0%となった。これは67%が
残存していることを示すものであり、OR部以外のリン
脂質画分中で占めるLPI含量は69%と高純度で残存
していた。更に反応を続行し、酸価90.5(反応開始
から180時間)に達すると代表的なリン脂質全てが分
解してしまう。他方もう一種の酵素ホスホリパーゼA2
ではPC、PE、PAがそれぞれLPC、LPE、LP
Aになるが、更に反応を続けてもこれらの量は減少せ
ず、保持されていた。ここで特徴的なのはPIが反応の
長時間化により若干の減少は認められるもののLPIが
ほとんど生成しなかったことである。
【0030】酸価77.4の反応物に1N−NaOH液
を加え酸価45以下にした後、80℃で20分間酵素の
不活性化を行った。乾燥後アセトン600mlで4回抽
出して脱脂し、100.7gの固形物を得た。この固形
物をヘキサン1Lに分散させ50%エタノール水1Lで
分液し、ヘキサン層を乾固したところ17.9gの固形
物を得た。このもののリン脂質組成(%)はLPI7
1.2、PI5.1、PC5.5、LPC9.5、OR
7.7であり、高純度のLPIを得ることが出来た。
【0031】実施例2 500gのペースト状大豆リン脂質(リン脂質含量62
%)に2Lのエタノールを加え攪拌し、室温で放置後エ
タノール層を傾斜法で分離した後、残渣に対し2度同じ
操作を繰り返した。エタノール層をすべて合わせ溶媒を
留去し、エタノール可溶部175g(リン脂質含量51.0
%)を、又残渣部からエタノール不溶部320g(リン
脂質含量65.8%)を得た。エタノール不溶部320gに
三共株式会社製ホスホリパーゼA1(11,900ユニット/
g)0.25gを溶解した水20mlを加え50℃で攪
拌を続け、実施例1と同様反応を行った。結果を表2に
示す。
【0032】
【表2】
【0033】酸価72.2の時点(反応開始から110
時間)で85℃、30分加熱し、酵素の失活を行い、つ
いで減圧乾燥後アセトン1.2Lで5回抽出し、粉末状
の固形分130.7gを得た。1.3Lのへキサンに分
散させ、1.3Lの50%エタノール水で分液し、ヘキ
サン層を減圧濃縮して60.5gの固形物を得た。この
もののリン脂質組成(%)はLPI30.1、PI2
0.7、LPC5.5、PC2.1、LPE6.2、P
E2.9、LPA2.1、PA1.8、OR10.5で
あった。このようにLPIとPIの含量が50%を越え
かつ、LPIの含量の高いものを高収率で得ることがで
きた。即ち実施例1では300gのペースト状大豆リン
脂質(リン脂質含量62%、リン脂質として186g)からL
PI高濃度のものを17.9g(出発原料であるリン脂
質の9.6%)であるのに対し、エタノール不溶部320g
(リン脂質含量65.8%、リン脂質として210.6g)の本実
施例では出発原料であるリン脂質の28.7%に達す
る。
【0034】実施例3 ペースト状のコーンリン脂質(リン脂質含量61.5%)3
00gに三共株式会社製ホスホリパーゼA1(11,900ユ
ニット/g)0.1gを溶解した水20mlを加え、5
0℃で撹拌を続け、4日後にホスホリパーゼA1 0.
1gを溶解した水20mlを追加した。酸価100に達
した時点(反応開始から100時間)でTLC分析をし
たところ、原点であるOR以外にリン脂質のスポットが
見られなかった。85℃、30分加熱し酵素を失活さ
せ、減圧濃縮した乾燥物を1.2Lのアセトンで5回抽
出し、粉末状の脱脂物132gを得た。この粉末状の脱
脂物を熱エタノール500mlで3回抽出し、熱エタノ
−ル可溶物を5℃以下で放置後、濾過し沈殿物と濾液に
分けた。濾液を濃縮乾燥して固形物28.4gを得た。
このものをSilicagel 60を用い、クロロホルム:メタ
ノール(80:20)で展開し50%硫酸で発色させたとこ
ろ、Rf0、0.03、0.53、0.6、0.86、
0.91の6スポットを与えた。
【0035】Rf0.53のスポットが牛脳由来のセレ
ブロシド標品のそれと一致したので、この部分の固形物
の一部をシリカゲルクロマトにかけ、クロロホルム、ア
セトンで順次溶出し、Rf0.53の相当部の化合物を
純品で得ることができた。このものはニンヒドリン発
色陰性で、IRで標品(β−D−ガラクトシルセラミ
ド)と同じ吸収を与えた。13C−NMRでスフィンゴ
脂質部分に含まれる窒素と結合したメチン基の炭素、酸
素と結合したメチレン基の炭素、水酸基が結合した二重
結合に隣接するメチン基の炭素、アミドのカルボニル炭
素のシグナルにおいて同一の値を示した。しかし標品と
は構成糖が異なり、それがβ−D−グルコースであるこ
とを確認した。
【0036】上において得た固形物と標品セレブロシド
の濃度を変えたものについて、TLCで展開し、50%
硫酸で発色して、発色の強さをデンシトメトリー法で定
量したところ、熱エタノールに可溶で冷エタノールにも
可溶である部分から得た上記固形物中のセレブロシドの
含量は5.1%であった。市販されている日本油脂株式
会社の「ニッサンセラミド」のセレブロシド含量が3%
台、オリザ油化株式会社の「オリザセラミド」のセレブ
ロシド含量が同じく3%台であることに比べると、本発
明で得られるものは濃度が高く、且つ製造法も簡便であ
る。
【0037】前記濾液から得られた固形物中のRf0.
6のスポットは標品のステリルグリコシドと一致し、上
記と同様にしたデンシトメトリー法での分析では10%
を占めた。一方冷エタノール不溶部からは3.8gの固
形物が得られるが、上記と同じくTLC分析を行ったと
ころ、Rf 0、0.03以外に0.6、0.86の2
スポット計4スポットを与え、この中でもステリルグリ
コシドに相当するRf0.6のスポットが主要部を占め
ていたところ、デンシトメトリー法での分析では56.
5%を占めた。
【0038】
【発明の効果】含水植物リン脂質にアスペルギルス属の
糸状菌が産出するホスホリパーゼA1を作用させること
によって、有用なリゾホスファチジルイノシトールが高
純度かつ高収率で製造できる。又、植物リン脂質中に混
在してくるリン脂質以外の有用物質であるスフィンゴ糖
脂質及びステリルグリコシドも工業的有利に製造するこ
とができることを見出した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 PL−A1分解レシチンのTLC展開図であ
る。
【図2】 ペースト状大豆レシチンの酵素反応推移を示
す。
【符号の説明】
PC:ホスファチジルコリン PE:ホスファチジルエタノールアミン PA:ホスファチジン酸 PI:ホスファチジルイノシトール OR:薄層クロマトグラフ上の原点部 LPC:リゾホスファチジルコリン LPE:リゾホスファチジルエタノールアミン LPA:リゾファチジン酸 LPI:リゾホスファチジルイノシトール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:685) C12R 1:685) (C12P 19/44 (C12P 19/44 C12R 1:69) C12R 1:69) (C12P 33/00 (C12P 33/00 C12R 1:685) C12R 1:685) (C12P 33/00 (C12P 33/00 C12R 1:69) C12R 1:69) (72)発明者 ▲高▼ 行植 三重県一志郡嬉野町新屋庄565−1 辻製 油株式会社内 Fターム(参考) 4B064 AE63 AF41 AH07 CA05 CA21 CB03 CC03 CD15 CD22 DA01 DA10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含水植物リン脂質にアスペルギルス属の
    糸状菌が生産するホスホリパーゼA1を作用させること
    を特徴とする高純度リゾホスファチジルイノシトールの
    製造法。
  2. 【請求項2】 前記ホスホリパーゼA1の作用時間を調
    節することによる請求項1記載のリゾホスファチジルイ
    ノシトールを高収率で得る製造法。
  3. 【請求項3】 含水植物リン脂質に前記ホスホリパーゼ
    A1を長時間作用させスフィンゴ糖脂質、ステリルグリ
    コシド、グリセロ糖脂質を得ることを特徴とするスフィ
    ンゴ糖脂質、ステリルグリコシド、グリセロ糖脂質の製
    造法。
  4. 【請求項4】 前記ホスホリパーゼA1がアスペスギル
    ス・ニガー(Aspergillus nigar)又はアスペルギルス
    ・オリゼ(Aspergillus oryzae)が生産するホスホリパ
    ーゼA1のいずれかである請求項1乃至請求項3の何れ
    かに記載の製造法。
  5. 【請求項5】 含水植物リン脂質を分画し、ホスファチ
    ジルイノシトールを高濃度に含有したものを原料として
    用いる請求項1又は請求項2若しくは請求項4の何れか
    に記載の製造法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載
    の製造方法においてアルカリ水溶液、酸性水溶液又は緩
    衝液を加えて酵素の至適pHで反応を行うことを特徴と
    する請求項1乃至請求項5記載のいずれかに記載されて
    いる製造法。
  7. 【請求項7】 (a)ホスファチジルイノシトールと
    (b)ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノー
    ルアミン及びホスファチジン酸から選ばれる1〜3種と
    を含む植物リン脂質混合物をリゾホスファチジルイノシ
    トールの生成量がリゾホスファチジルコリン、リゾホス
    ファチジルエタノールアミン及びリゾホスファチジン酸
    のいずれの生成量よりも多くなるまでホスホリパーゼA
    1で加水分解することを特徴とするリゾホスファチジル
    イノシトールの製造方法。
  8. 【請求項8】 (c)植物リン脂質及び(d)スフィン
    ゴ糖脂質、ステリルグリコシド及びグリセロ糖脂質の1
    種以上を含有する植物材料を植物リン脂質の実質的に全
    てをグリセロホスホリル体に変化するまでホスホリパー
    ゼA1で加水分解し、反応液から上記(d)成分を採取
    することを特徴とするスフィンゴ糖脂質、ステリルグリ
    コシド及びグリセロ糖脂質の1種以上の製造方法。
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